JP3409003B2 - 電極及びそれを用いたSnメッキ装置 - Google Patents

電極及びそれを用いたSnメッキ装置

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JP3409003B2
JP3409003B2 JP35210699A JP35210699A JP3409003B2 JP 3409003 B2 JP3409003 B2 JP 3409003B2 JP 35210699 A JP35210699 A JP 35210699A JP 35210699 A JP35210699 A JP 35210699A JP 3409003 B2 JP3409003 B2 JP 3409003B2
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博信 宮崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理部材に対し
メッキあるいは電解酸洗処理等の電気化学処理を行うた
めの電極に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば鋼板ストリップにS
n、Zn、Cr等の金属を連続的にメッキするラインに
おいては、メッキ用電極として鉛電極が使用されていた
が、鉛電極は消耗が速く、溶け出した鉛による電解液の
汚染やメッキ被膜の劣化を招きやすい欠点があった。ま
た、環境保全上の観点から、電極材料としてなるべくP
bを使用しない電極に対する需要も高まっている。そこ
で、近年では非消耗性の電極として、Ti等の耐食性金
属で構成された電極基体にセグメント状の放電部材(板
状陽極)を取り付けたものが多く使用されるようになっ
てきている。このようなメッキ電極においては放電部材
として、Ti等の耐食性金属板の表面に、放電活性を付
与するための導電性活物質(IrO等)を被覆したも
のが使用される。
【0003】ところで、鋼板等の連続メッキラインで使
用される電極は、一般にその1枚当りの有効電極面積が
1〜3mという極めて大型のものが使用されている
が、IrO等の導電性活物質層は、該当する金属の化
合物を含有する溶液を塗布して焼成する工程を多数回繰
り返して形成される関係上、大面積のものを一度に形成
することは困難である。また、大面積の放電板を一体形
成した場合、導電性活物質層の一部にのみ損傷が生じて
も、健全部を含めた放電板の全体を交換しなければなら
ないため不経済である。そこで通常は、比較的小面積の
Ti板に各々導電性活物質層を形成した放電部材のセグ
メントを必要な枚数だけ製造し、これを電極基体上にね
じ止め等で固定する方法がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の電極におい
て、放電部材のセグメントを取り付ける電極基体は、そ
の多くが製作上の容易性を考慮して、Tiのムク材ある
いはTiライニングを施した鋼材等により、一体中実の
板状に形成されていた。また、放電部材のセグメント
は、継ぎ目部分におけるメッキ厚不均一等を防止する観
点から、隣接するセグメント間になるべく隙間が生じな
いよう、密に配列した形で電極基体に取り付けるように
していた。このような電極を、例えば鋼板ストリップ等
を被メッキ物とする連続メッキラインにて使用する場
合、図12(a)に示すように、被メッキ物Sは、狭い
隙間Gを隔てて電極Eの放電面に対向しつつ、比較的大
きな速度にて送られる。その結果、被メッキ物Sと電極
Eとの間には、被メッキ物Sに連れ送りされる電解液E
Lの流れが生ずる。この電解液ELの流速が大きくなる
と、隙間G内に負圧が生じ、図12(b)に示すよう
に、被メッキ物Sが電極E側に吸い寄せられて、ショー
トやそれに伴うメッキ不良等のトラブルを招く場合があ
る。また、このような不具合を解消するために、被メッ
キ物Sの送り速度を小さくすると、当然のことながらメ
ッキ処理の能率低下を招くこととなる。
【0005】なお、上記の課題を解決するために、本件
出願人は、実登第3006846号公報にて、通電バー
に電極活性層を有する横長の金属電極板を所定の間隔を
おいて複数個取付けた構造の電極を提案している。この
構成によれば、金属電極板間に形成される隙間(以下、
極板間隙間という)を電解液が流通できるので被メッキ
物と電極との間に負圧が生じにくくなり、上記の吸い付
き等の問題が解消される。しかしながら、該公報の図1
に開示された電極は、極板間隙間の幅が金属電極板の幅
とほぼ同等あるいはそれ以上の大きさを有し、電極に形
成される連通部空隙率は40%以上にも達する。これで
は、電極板から極板間隙間に回り込む電流の発生を考慮
しても、被メッキ物Sとの間に発生するメッキ電流は極
めて不均一となり、得られるメッキ面にメッキ厚むらあ
るいは色むら等が生じやすくなるという欠点を有する。
このような傾向は、連続メッキラインにおいて、被メッ
キ物の送り速度が大きくなった場合に特に顕著となる。
【0006】一方、別の問題としては、例えばSnメッ
キ等に上記電極を使用した場合に、Tiで構成された電
極基材の表面にメッキ金属の結晶が析出することがある
(例えばホイスカー(ウィスカー)と呼ばれるひげ状単
結晶)。この金属結晶は細くて折れやすいため、メッキ
液の流れや他の要因による衝撃により脱落しやすく、例
えばメッキ浴中にて浮遊する金属結晶の破片がストリッ
プと送りロール等との間に巻き込まれ、メッキ面に凹み
や傷などのマークを付けてしまう不具合を生ずることが
ある。従来は、電極基材の露出部分を樹脂製カバー等に
より覆うことで、このような金属結晶析出に対する防止
策が講じられていたが、カバー等を設ける分だけ電極構
造が複雑化し、コストアップが避けがたかった。
【0007】本発明の課題の第一は、被処理物が高速移
動するラインに適用した場合でも、電極と被処理物との
間の隙間に負圧が発生しにくく、ショート等のトラブル
が生じにくい構造を有し、かつメッキむら等の少ない良
好なメッキが可能な電極を提供することにある。また、
課題の第二は、電極基材表面にメッキ金属の析出が生じ
にくい構造の電極を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために本発明の電極の第一は、少なくとも
表層部が耐食性金属で構成された電極基体と、少なくと
も表層部が耐食性金属で構成されて電極基体の被処理部
材に対向する側に配置され、裏面側にて電極基体に電気
的に導通するように該電極基体に固定されるとともに、
放電面となる表面側がPt属金属又はその酸化物を主体
に構成された導電性活物質被覆層で覆われた放電部材と
を備え、電極基体には、放電部材の取り付けられる側か
らその反対側に向けてこれを貫通する貫通部が形成され
る一方、放電部材は、複数枚のセグメントに分割された
形で電極基体に取り付けられるとともに、セグメント内
又は隣接するセグメント間において厚さ方向に、該セグ
メントの表面側から電極基体の貫通部に連通する連通部
が形成されており、かつ連通部を含めた放電面の総面積
をS1、該放電面に対する連通部の開口面積の合計をS2
として、開口率K=S2/S1を0.025〜0.35と
したことを特徴とする。
【0009】該本発明の電極の第一の構成においては、
放電面に面した状態で鋼材ストリップ等の被処理部材が
高速移動して液流が発生しても、放電部材の連通部と電
極基体の貫通部とを介して電極表面側と裏面側とで液体
(例えばメッキ液等の電解液)が流通可能となっている
ので、被処理部材と電極との間に負圧が発生しにくい。
その結果、負圧発生により被処理部材と電極とが吸引・
接近してショート等のトラブルを招く不具合を、極めて
効果的に防止することができる。また、負圧発生の心配
が軽減されることから、被処理部材の送り速度を増大さ
せることが可能となり、該電極を用いたメッキや電解酸
洗等の電気化学処理の能率を大幅に向上させることがで
きる。そして、連通部を含めた放電面の総面積をS1、
該放電面に対する連通部の開口面積の合計をS2とし
て、開口率K=S2/S1を0.025〜0.35の範囲
に限定することで、連通部形成によるメッキ電流の不均
一が生じにくく、メッキ厚や色むらの少ない良好なメッ
キが可能となる。すなわち、本発明の課題の第一が解決
される。
【0010】なお、上記の開口率K=S2/S1が0.0
25未満になると、連通部における液流通量が不十分と
なり、被処理部材と電極との間に負圧が発生して吸い付
き等の問題を発生しやすくなる。他方、開口率が0.3
5を超えるとメッキ電流密度に不均一が生じやすくな
り、メッキ厚むらや色むら等が発生しやすくなる。な
お、開口率Kは、より望ましくは0.1〜0.2とする
のがよい。
【0011】また、本発明の電極の第二は、少なくとも
表層部が耐食性金属で構成された電極基体と、少なくと
も表層部が耐食性金属で構成されて前記電極基体の前記
被処理部材に対向する側に配置され、裏面側にて前記電
極基体に電気的に導通するように該電極基体に固定され
るとともに、放電面となる表面側がPt属金属又はその
酸化物を主体に構成された導電性活物質被覆層で覆われ
た放電部材とを備え、前記電極基体は、少なくともその
表層部がTi又はTi合金で構成されたTi系金属部と
され、そのTi系金属部の表面に、カチオン成分の主体
がTiであるTi系酸化物層が、厚さ0.1〜50μm
の範囲にて形成されていることを特徴とする。
【0012】上記本発明の電極の第二の構成では、電解
液中での耐食性向上のため、電極基体の少なくともその
表層部を、Ti又はTi合金で構成されたTi系金属部
とする。そして、そのTi系金属部の表面に、カチオン
成分の主体がTiであるTi系酸化物層(例えば酸化T
i層)を、厚さ0.1〜50μmの範囲にて形成するこ
とで、特に電解液としてメッキ液を使用する場合、Ti
系金属部の表面へのメッキ金属の析出を効果的に防止な
いし抑制することができる。これにより、例えば脱落し
た析出物の被処理物メッキ層への巻込みや、それによる
傷等の発生といった不具合が極めて生じにくくなる。こ
の効果は、ホイスカーと呼ばれるひげ状の結晶が成長し
やすいSnメッキ処理に適用した場合にとりわけ顕著で
ある。また、Ti系酸化物層は、Ti系酸化物に転化で
きる物質(例えばブチルチタネート等のアルキルチタネ
ートや、Tiアルコキシドなど)の溶液を塗布して適当
な雰囲気にて仮焼したり、あるいは酸化雰囲気中にてT
i系金属部表面を直接熱処理することで簡単に形成で
き、従来のように樹脂製カバーを電極基体に被せる方式
と比較して構造を大幅に単純化できる。
【0013】なお、この本発明の電極の第二の構成は、
前記した第一の構成に組み合わせることも可能である。
第一の構成においては、被処理部材の送り速度を増大で
きる利点があることをすでに述べたが、被処理部材の送
り速度が増大すると、電極基材表面にメッキ金属の析出
物が生じていた場合に、液流によってこれが脱落する不
具合が生じやすくなる。そこで第二の構成を組み合わせ
れば、電極基材表面にメッキ金属の析出物が生じにくく
なるので、被処理部材の送り速度を増大させても上記の
ような不具合を生ずる心配がなくなる。
【0014】なお、放電部材も、少なくともその表層部
を、Ti又はTi合金で構成されたTi系金属部とする
ことができる。この場合、そのTi系金属部の表面の、
導電性活物質被覆層で覆われる以外の部分をTi系酸化
物層にて覆うことで、同様の効果を奏することができ
る。なお、電極基体及び/又は放電部材のTi系金属部
の表面をTi系酸化物層にて覆う場合、電極基体と放電
部材との電気的な導通接触部には、接触不良等の発生を
防止するために、上記Ti系酸化物層は形成しないこと
が望ましい。具体的な態様として、放電部材の少なくと
もその表層部がTi又はTi合金で構成されたTi系金
属部とし、かつ、そのTi系金属部の、前記導電性活物
質被覆層の形成部と前記電極基体との重なり部とを除く
表面に、カチオン成分の主体がTiであるTi系酸化物
層を形成することができる。
【0015】ここで、形成するTi系酸化物層の厚さが
0.1μm未満になると、Ti金属部表面へのメッキ金
属析出抑制効果が不十分となる。また、50μmを越え
てTi系酸化物層を形成すると、酸化物層中の応力が増
加しやすくなり、ひび割れ等の欠陥が生じやすくなる。
該厚さは、望ましくは5〜20μmの範囲で調整するの
がよい。
【0016】上記のような電極は、例えばSnメッキラ
インに有効に適用できる。例えば、Snメッキ液中に
て、長手方向に連続搬送される鋼材ストリップに対し、
被メッキ面となる板面に放電面が対向する形で配置し、
電極側をアノード、鋼材ストリップ側をカソードとして
Snメッキ液を介して通電することにより、鋼材ストリ
ップの表面に連続Snメッキ処理するとともに、鋼材ス
トリップの搬送速度が5m/s以上に設定される高速S
nメッキラインに適用した場合、第一の構成の電極で
は、鋼材ストリップの搬送速度が大きいにも拘わらず、
吸い付き現象やメッキむらあるいは色むらといった問題
が生じにくい。他方、第二の構成では、ホイスカーの発
生自体を極めて効果的に抑制できるため、良好なメッキ
品を高能率で製造できる他、ホイスカーの液流によるそ
の折損・巻き込みに対する根本的な懸念が解消されるの
で、メッキラインのさらなる高速化にも柔軟に対応でき
るようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明の
一実施例たる電極1の正面図((a))及び側面図
((b))である。電極1は、少なくとも表層部(この
実施例ではその全体)が、耐食性金属であるTi又はT
i合金(以下、これらを総称してTi系金属という)に
て構成された電極基体30を有する。また、この電極基
体30の被処理部材に対向する側には、少なくとも表層
部、この実施例ではその全体が耐食性金属であるTi系
金属にて構成され、裏面側にて電極基体30に電気的に
導通するようにこれに固定される放電部材35とを備え
る。この放電部材35は、少なくとも表層部、例えば全
体がTi系金属からなる本体部に対し、放電面となる表
面側がPt属金属又はその酸化物、例えばIrOを主
体に構成された導電性活物質被覆層で覆われている。
【0018】電極基体30には、放電部材35の取り付
けられる側からその反対側に向けてこれを貫通する貫通
部6が形成される一方、放電部材35は、複数枚のセグ
メント3に分割された形で電極基体30に取り付けられ
るとともに、それらセグメント3の厚さ方向に、該セグ
メント3の表面側から電極基体30の貫通部6に連通す
る連通部7が形成されている。すなわち、本発明の電極
の第一の構成の要件を満足するものである。
【0019】図6(a)概念的に示すように、上記のよ
うな電極1は、電解液としてのメッキ液SL中を、長手
方向に連続搬送される被処理部材としての鋼材ストリッ
プSに対し、被メッキ面(この実施例では両面)となる
板面に放電面が対向する形で配置される。そして、電極
側をアノード、鋼材ストリップ側をカソードとしてメッ
キ液SLを介して通電することにより、メッキ液SL中
の金属カチオンが鋼材ストリップSの表面に析出し、連
続メッキ処理されることとなる。なお、本実施例では、
鋼材ストリップSにSnメッキする場合を例に取る。
【0020】鋼材ストリップSは、送りロール51ある
いはガイドロール50等により、一般には5〜10m/
s(特に8〜10m/s)程度のかなりの高速でメッキ
液SL中を搬送される。また、電極1の放電面と鋼板ス
トリップSの被メッキ面との距離は20〜60mm程度
と小さい。そのため、鋼材ストリップSと電極1Eとの
間には、鋼材ストリップSの送りに伴う流体摩擦により
電解液ELの流れが生ずる。しかしながら、図7に示す
ように、放電部材35のセグメント3の連通部7と電極
基体2の貫通部6とを介して電極1の表面側と裏面側と
でメッキ液SLが流通可能となっているので、鋼材スト
リップSと電極1との間に負圧が発生しにくい。その結
果、負圧発生により鋼材ストリップSと電極1とが吸引
・接近してショートする等のトラブルが、効果的に防止
される。なお、メッキ槽B中のガイドロール50は、形
成されたメッキ層への曲げ応力の付加レベルを軽減する
ために、比較的ロール径の大きなものを1本のみ用いて
いるが、図6(b)に示すように2本のガイドロール5
0,50を用いてもよい。
【0021】以下、本実施例の電極1の細部の構造につ
いてさらに詳しく説明する。図1に示すように、放電部
材35のセグメント3は各々板状に形成され、隣接する
縁部間に所定量の隙間が形成されるよう、板面方向に配
列する形態で電極基体30に取り付けられている。そし
て、この隙間が、前記連通部7として機能している(以
下、隙間7とも記す)。本発明者らが鋭意検討した結
果、放電部材のセグメント間には、液流通の確保を目的
とした多少の隙間が形成されていても、従来考えられて
いるほどにはメッキ電流の均一性が損なわれず、メッキ
厚不均一等の不具合が必ずしも顕在化しないことがわか
った。そこで、従来あまり望ましくないと思われていた
セグメント間の隙間を上記構成ではむしろ積極的に形成
し、これを電極の表裏でメッキ液(電解液)を流通させ
る連通部として利用することにより、メッキ厚不均一等
の不具合を生ずることなく、前記した本発明の効果を達
成することが可能となる。
【0022】放電部材35においてセグメント3は、隙
間7が、予め定められた1つの方向(この実施例では、
水平方向)に沿って直線形態に延びるもののみが、所定
の間隔で互いにほぼ平行に形成されるように、電極基体
30に取り付けられている。この場合、鋼板ストリップ
(被処理部材)Sの送り方向Yを、該隙間7の延伸方向
と交差する向き(この実施例では、図中矢印で示すよう
に、隙間7とほぼ直交する向き)に設定することで、鋼
板ストリップSの幅方向に、常時隙間7に臨む部分が生
じなくなるので、メッキ厚不均一等の不具合を一層生じ
にくくすることができる。
【0023】具体的には、セグメント3はそれぞれ、幅
方向両側に互いにほぼ平行な縁を有する長尺板状、本実
施例では横長方形板状に形成され、これらが該幅方向に
配列することで、その隣接する縁部間に隙間7が形成さ
れている。これによれば、セグメント3は、例えばTi
板材からの切り出し等により簡単に形成できて無駄が生
じにくく、また前記した隙間7の形成形態を理想的な形
で実現できる。本実施例において、セグメント3の幅方
向寸法は約100mm、長手方向寸法は約1200mm
であり、厚さは約6mmである。なお、図3(c)に示
すように、隙間7の延伸方向にセグメント3をさらに分
割することも可能である。この場合、隙間7の延伸方向
において、隣接する分割片3c,3c同士は密に接して
配置することができるが、メッキ厚不均一が生じない範
囲で、それら分割片3c,3cの対向縁間に隙間を形成
してもよい。また、隙間7を隔てて隣接するセグメント
3の間で、各セグメントを構成する分割片3c,3cの
突き合わせ縁位置を互いにずらせるようにしてもよい。
【0024】一方、電極基体30は、バー状又は棒状に
形成された長尺部材2を、その長手方向と交差する向き
に所定の間隔で配列したものとして構成されており、そ
の隣接する長尺部材2,2間に形成される間隙が、前記
した貫通部6として機能している(以下、間隙6とも記
す)。長尺部材2を所定の間隔で配列することで、前記
した貫通部を、その間隙6として簡単に形成することが
できる。また、長尺部材2は、例えばTiの棒材等を長
手方向に切断することで、これも簡単に製造できる。さ
らに、間隙6の形成により、電極基体30ひいては電極
1の全体が軽量化され、例えば電極1のメッキラインへ
の設置や取外しといった作業も楽になる。
【0025】次に、上記電極1は、間隙7(連通部)を
含めた放電面の総面積をS1、該放電面に対する間隙7
の開口面積の合計をS2として、開口率K=S2/S1が
0.025〜0.35の範囲に調整されている。具体的
には、セグメント3の放電面の合計面積をS3、それら
セグメント3間の隙間の合計面積をS4、長尺部材2の
各隙間に露出する部分の合計表面積をS5として、K=
(S4−S5)/(S3+S4)にて開口率Kを表したとき
に、該Kが0.03〜0.35(望ましくは0.1〜
0.2)に調整されている。開口率Kを上記の範囲に限
定することで、連通部形成によるメッキ電流の不均一が
生じにくく、メッキ厚や色むらの少ない良好なメッキが
可能となる。
【0026】この実施例では、長尺部材2は、幅方向寸
法が厚さ方向寸法よりも大きい縦長板状に形成されてい
る(例えば、幅約100mm、長さ約1500mm、厚
さ約20mm)。このような薄型の長尺部材2の組み合
わせにて電極基体30を構成することで、電極1のさら
なる軽量化が図られている。なお、電極基体30の重量
減少と、よりスムーズな液流通とを図るために、間隙6
の幅はセグメント3,3間の隙間7の幅よりも大きく設
定されている。この実施例では、間隙6の幅は長尺部材
2の幅よりも大きい寸法(例えば約150mm程度)に
設定されている。
【0027】また、前記した開口率Kの範囲を実現する
には、セグメント3の幅をW1、隙間7の幅をW2とした
ときにW2がW1よりも小さくなっていることが必要であ
り、より望ましくはW2/(W1+W2)が0.03〜
0.30となっているのがよい。この実施例では、隙間
7の幅は約10mmであり、開口率Kは約0.049で
ある。
【0028】前記したセグメント3は各々、電極基体3
0を構成する長尺部材2に対しそれらに交差する形態
(この実施例では、ほぼ直交する形態)で取り付けられ
ている。このようにすれば、セグメント3と長尺部材2
とを、その重なり部47においてねじ締結あるいは溶接
等により簡単に組み立てることができる。また、隙間7
と間隙6との重なり部分を液の連通部として有効に活用
できる。本実施例では、図2に示すように、セグメント
3と長尺部材2は、その重なり部47においてセグメン
ト3の裏面側に凸設された雄ねじ部10を、長尺部材2
に形成された挿通孔12に挿通し、長尺部材2の裏面側
から雄ねじ部10にナット11を締め込むことにより締
結されている。図1に雄ねじ部10の位置にて示すよう
に、この実施例においては、雄ねじ部10とナット11
とによる締結位置は、セグメント3と長尺部材2との間
に生ずる方形の各重なり部47の一方の対角線に沿って
2ケ所ずつ形成されている。なお、放電部材35の導電
性活物質層が消耗あるいは損傷した場合には、ナット1
1を緩めてその消耗ないし損傷部が生じたセグメント3
を取り外し、新しいものと交換すればよい。
【0029】雄ねじ部10、ナット11はそれぞれTi
又はTi合金に構成され、ナット11は、長尺部材2の
裏面側に形成された座ぐり部12aに収容される。ま
た、雄ねじ部10は、その基端部をセグメント3に形成
された取付孔に挿入し、両者の隙間を溶接にて埋める形
で取り付けられている。セグメント3の放電面側に盛り
上がる溶接部分は例えば研磨にて除去され、その平滑化
された表面に、導電性活物質被覆層20(図3(a))
が形成されている。
【0030】図3(a)に示すように、この導電性活物
質層20は、Pt属金属の酸化物、例えばIrOを主
体に、各セグメント3の放電面である表(おもて)面全
面を覆う形で形成され、不溶性陽極層として機能するも
のである。その厚さは、例えば概ね1〜25μm(望ま
しくは5〜15μm)の範囲にて調整される。なお、導
電性活物質層20は、Pt又はその合金の層として形成
することも可能である。
【0031】一方、重なり部47においてセグメント3
と長尺部材2とはそれぞれ電気的に導通しているが、そ
のセグメント3側及び長尺部材2側の各の接触面には、
導通接触状態を良好なものとするために、Pt(又はP
t合金:あるいは、AuやIrなど他の貴金属もしくは
その合金であってもよい)によるメッキ層21,23が
それぞれ形成されている(図3(b)も参照)。
【0032】また、長尺部材2(電極基材30)の重な
り部47(メッキ層21の形成部分)を除く他の表面は
Ti系酸化物層22により覆われている。このTi系酸
化物層22は、カチオンの主体がTiである金属酸化
物、例えばTiOを主体に構成され、その厚さは0.
1〜50μm(望ましくは5〜15μm)の範囲にて調
整される。さらに、セグメント3(放電部材35)の導
電性活物質層20及び重なり部47(メッキ層23の形
成部分)を除く他の表面も、同様のTi系酸化物層22
に覆われている。すなわち、本発明の電極の第二の構成
の要件を満足している。
【0033】上記電極基材30あるいは放電部材35の
ように、TiあるいはTi合金で構成された金属部(T
i系金属部)の表面には、使用するメッキ液の種類によ
っては、メッキ金属の微細な結晶が析出することがあ
る。例えばSnメッキ液の場合、図6(c)に示すよう
に、Ti金属部(図では長尺部材2)の表面にはホイス
カーと呼ばれるひげ状(あるいは針状)の結晶WHKが
析出しやすいことが知られている。この金属結晶WHK
は細くて折れやく、メッキ液の流れや他の要因による衝
撃により折れるとその破片WSK’がメッキ液SL中を
浮遊し、鋼板Sとガイドロール50等との間に巻き込ま
れ、メッキ面に凹みや傷などのマークを付けてしまう不
具合を生ずることがある。
【0034】Snメッキ処理中に、Ti系金属部の表面
にSnメッキ金属の結晶が析出しやすい理由について
は、例えば下記のように推測される。例えば電解によっ
て電極1(メッキの場合、アノードとなる)にて発生す
る酸素により、Ti系金属部の表面は酸化されて不働態
化される。しかしながら、Snメッキ工程においては電
流密度が比較的低いため、電極1で発生する酸素量が少
なく、Ti系金属部表面の不働態化が進みにくい傾向に
ある。その結果、不働態被膜が薄く金属地肌露出に近い
状態の表面部分が存在していると、そこにSnメッキ金
属が析出しやすくなることが考えられる。
【0035】また、本実施例では、Ti製の電極基材3
0及び放電部材35の重なり部47の表面には、図3
(a)に示すように、前述の通りTiよりもはるかに貴
な金属であるPtのメッキ層21あるいは23が形成さ
れている。Ti系金属部の表面にPt等の貴金属メッキ
層が形成されていると、Ti系金属部と貴金属メッキ層
との間に局部電池が形成され、それにより発生する局部
電流により、電位が負となるTi系金属部の表面にメッ
キ金属が析出しやすくなることも別の要因として考えら
れる。これはSnメッキ処理に限らず、他の金属のメッ
キ処理においても程度の差はあれ発生しうることであ
る。
【0036】そこで、前記膜厚範囲にてTi系金属部の
表面にTi系酸化物層を形成すれば、例えば電極1で発
生する酸素量が少ない場合においても、Ti系金属部の
表面を十分に不働態化することができ、メッキ金属の析
出を効果的に防止ないし抑制することができる。特に、
本実施例の電極基材30及び放電部材35のように、貴
金属メッキ層により部分的に覆われたTi系金属部の場
合は、前述の通り局部電池形成によりメッキ金属の析出
が促進されやすいことから、Ti系酸化物層による被覆
の効果がとりわけ顕著なものとなる。
【0037】図4は、放電部材35(セグメント3)に
導電性活物質層20を形成する工程の一例を模式的に示
すものである。まず、Ti系金属からなる本体部3aに
は、貴金属メッキ層21を予め電気メッキ等により形成
しておく。次いで、セグメント本体部3aの放電面とな
る板面に、導電性活物質層20の主成分となる金属、こ
の場合Irの化合物を含有する溶液(例えば塩化イリジ
ウムや塩化イリジウム酸のアルコール溶液)20aを塗
布して炉F内に配し、酸素含有雰囲気中で400〜55
0℃(例えば500℃)にて加熱・焼成することによ
り、IrOを主体とする導電性活物質層20が形成さ
れたセグメント3を得る。なお、1回の塗布・焼成にて
所期の厚さの導電性活物質層20が得られない場合に
は、塗布・焼成工程を複数回繰り返すようにする。
【0038】一方、電極基体30(長尺部材2)へのT
i系酸化物層の形成は、例えば以下のようにして行う。
すなわち、図4(a)に示すように、長尺部材2の本体
部2aに予め金属メッキ層23を形成しておき、Ti含
有化合物(例えばブチルチタネート)の溶液22aを、
金属メッキ層23の形成領域を除いた残余の表面に塗布
して炉F内に配し、酸素含有雰囲気中で400〜550
℃(例えば500℃)にて加熱・焼成することにより、
図4(b)に示すように、Ti系酸化物層22が形成さ
れた長尺部材2を得る。この場合、焼成の雰囲気及び温
度として、導電性活物質層20形成時のものとほぼ同様
のものを採用できることから、共通の炉Fにて、放電部
材35(セグメント3)へ導電性活物質層20を形成す
るための焼成と、電極基体30(長尺部材2)へTi系
酸化物層23を形成するための焼成とを同時に行うよう
にすれば能率的である。なお、放電部材35(セグメン
ト3)に対してもTi系酸化物層22は、金属メッキ層
21及び導電性活物質層20の形成領域を除く残余の表
面に溶液22aを塗布して焼成することにより、全く同
様に形成できる。
【0039】なお、図5に示すように、Ti系金属部
(図では長尺部材2の本体部2a)に上記の溶液22a
を塗布せず、酸素含有雰囲気等の酸化雰囲気中にて熱処
理するのみでTi系酸化物層22を形成することも可能
である。また、Ti系酸化物層22は、陽極酸化法等の
電気化学的な手法を用いても形成できる。
【0040】図1に戻り、上記電極1においては、配列
する長尺部材2の一方の端部側に、これらにまたがる形
態で給電部4が配置され、長尺部材2を経て放電部材3
5(各セグメント3)に給電するようになっている。複
数配列された長尺部材2の一方の端部にまたがる形で給
電部4を配置することで、長尺部材2に取り付けられた
放電部材35に電流を偏りなく供給でき、例えばメッキ
処理の場合は均一で欠陥の少ないメッキ層の形成に貢献
する。一方、長尺部材2の反対側の端部には、やはりこ
れらにまたがる形で、Ti又はTi合金からなる板状の
補強部材5が溶接等により接合されている。
【0041】給電部4は、各長尺部材2の端部に対し着
脱可能に取り付けられている。この実施例では、長尺部
材2の端部に給電部4の板状の本体5(例えばTi系金
属で構成される)を重ねてねじ挿通孔5b及び2bを一
致させ、ここに挿通されたボルト14にナット15を締
め込むことで、長尺部材2と本体5とを着脱可能に締結
している。なお、図示はしていないが、長尺部材2と本
体5との当接面には、それぞれPt等の貴金属メッキ層
を形成している。
【0042】ここで、本体5の、長尺部材2が取り付け
られているのと反対側の縁部には、該縁に沿って、Cu
等で構成されたバー状の給電体40がボルト41により
取り付けられている。この給電体40より本体5に通電
がなされる。なお、給電体40の外面は、防食のために
Ti系金属等で構成された耐食性金属ライニング42に
より被覆されている。
【0043】また、給電部4の本体5の裏面側には、鋭
角的な断面形状を有する係合溝19が長手方向に形成さ
れている。そして、メッキ槽側の、対応する断面形状の
フック部18にこの係合溝19を引っ掛けて、本体5と
ブスバー18との一方の側から他方の側に固定ねじ16
をねじ込むことにより、給電部4ひいては電極1をメッ
キ槽に取り付けることができる。なお、この係合溝19
に通電用のブスバーを係合させるようにしてもよい。こ
の場合は、前記した給電体40は省略することができ
る。
【0044】以下、電極1の各種変形例について説明す
る。まず、図8及び図9は、使用する電極基体30のい
くつかの変形例を示すものである。放電部材35を取り
付ける側を表面側、これと反対側を裏面側として、表面
側と裏面側とを連通させる形態であれば、貫通部31を
各種形態に形成できる。図8は、電極基体30を、貫通
部として厚さ方向に多数の孔31を形成した一体の穴空
き部材(この実施例では、孔31を六角断面に形成した
ハニカム部材)により構成した例である。また、図9
は、電極基体30を、窓状の貫通部31を複数有する枠
状に構成した例である。
【0045】一方、放電部材35の各セグメント3には
連通部として、図10(a)に示すように、セグメント
中に厚さ方向に貫通穴36を孔設することができる。ま
た、同図(b)に示すように、幅方向の少なくとも一方
の縁から板面方向に切れ込む切欠36を形成してもよ
い。これらのいずれの場合においても、幅方向に隣接す
るセグメント3,3は、隙間が形成されないよう密接配
置することが可能である。ただし、液流通がさらに促進
されるように、図1と同様に隙間を形成してもよいこと
はもちろんである。
【0046】また、上記の実施例では、長尺部材2ある
いはセグメント3の本体部は、全体がTi系金属にて構
成されていたが、図11に示すように、Cu系あるいは
Fe系材料からなる芯材70の外側を、Ti系金属部と
してのTi系金属ライニング71で覆ったクラッド材に
て構成してもよい。
【0047】上記の実施例を含め、本発明の電極は、電
解酸洗等のメッキ以外の電気化学処理に適用することも
可能である。また、上記のように、被処理部材を搬送し
ながら処理を行う連続処理ラインの用途に留まらず、例
えば静止メッキ等への適用も図ることができる。そし
て、被処理部材と電極との間に強い液流が生ずる心配が
なければ、放電部材のセグメント間に隙間を形成せず、
これを密接配置する構成も採用できる。ただし、Snメ
ッキ等の場合、電極基体や放電部材のTi金属部にはメ
ッキ金属の析出を防止するために、前述のTi系酸化物
層を形成しておくことが望ましい。他方、鋼板ストリッ
プの連続処理において、図1と同様の形態の電極を使用
することが可能であるが、電解酸洗等の金属析出を伴わ
ない電気化学処理や、電極からの酸素発生が活発でTi
系金属部の表面の不働態化が十分に進行するメッキ処理
においては、電極基体や放電部材のTi金属部には、特
にTi系酸化物層を形成しなくともよい場合がある。こ
のように、本発明の電極の第一及び第二の構成は、状況
に応じて適宜必要なもののみを選択的に使用できる。
【0048】
【実験例】図6(a)に示すメッキ装置を用い、各種試
験を行った。使用した電極は図1に示すタイプのもので
あり、12枚のセグメント3を用いて電極面の縦方向寸
法L1を1320mm、幅方向寸法L2を1200mmと
している。また、長尺部材2は、幅L3が100mm、
厚さが20mmのTi製で、Ti系酸化物層を厚さ約1
0μmにて形成している。さらに、各セグメント3はT
i製の本体部を有し、導電性活物質層としてIrO
を約12μm(Ir含有率:50g/m)にて形成し
ている。そして、その幅L4の調整により隙間7の幅を
変化させ、電極面の開口率Kを0.02〜0.40の範
囲にて各種設定した。
【0049】上記の電極4枚を図6(a)の装置にセッ
トし、メッキ槽B内にSnメッキ浴SLを建浴した。た
だし、浴組成は、Snイオン濃度が30g/L、酸濃度
がH SO換算にて15g/Lのフェノールスルホン
酸浴であり、ヒータにより浴温を45℃に維持した。そ
して、幅900mmの炭素鋼板ストリップを各種スピー
ドにて図6(a)に示す形態で搬送しながら、これをカ
ソードとして電極面(隙間7を含む)全体における電流
密度を30A/dmにて通電し、鋼板ストリップの両
面に連続Snメッキを行った。ただし、電極と鋼板面と
の距離は35mmに固定した。そして、メッキ中におい
ては、電極と鋼板ストリップとの間における吸い付き発
生の有無を観察するとともに、メッキ終了後はメッキ面
における色むらの有無を目視確認し、「○」(色むら全
くなし)、「△」(僅かな色むら発生)、「×」(顕著
な色むらが発生)の3段階にて評価した。以上の結果を
表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】開口率Kを0.025〜0.35の範囲に
調整することで、鋼板ストリップの電極への吸い付きが
起こらず、かつ色むらのない良好なメッキが可能となる
ことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極の一実施例を示す正面図及び側面
図。
【図2】図1の電極の一部を拡大して示す側面断面図。
【図3】放電部材及び電極基体の表面における各種層の
形成形態を模式的に示す断面図、及び放電部材の分割形
態の変形例を示す模式図。
【図4】導電性活物質層とTi系酸化物層との形成工程
の一例を示す説明図。
【図5】Ti系酸化物層の形成工程の変形例を示す説明
図。
【図6】本発明の電極を使用した連続メッキ工程の概念
を説明する図。
【図7】図1の電極の作用説明図。
【図8】電極基体の変形例を示す斜視図。
【図9】同じく別の変形例を示す斜視図。
【図10】放電部材に形成する連通部のいくつかの変形
例を示す正面図。
【図11】放電部材あるいは電極基体をクラッド材で構
成する例を示す断面斜視図。
【図12】従来の電極の問題点を示す図。
【符号の説明】
1 電極 2 長尺部材 2a 部材本体 3 セグメント 3a セグメント本体 4 給電部 6 間隙(貫通部) 7 隙間(連通部) 20 導電性活物質被覆層 22 Ti系酸化物層 30 電極基体 31 貫通孔(貫通部) 35 放電部材 36 連通部 S 鋼板ストリップ(被処理部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 宏勝 大阪府大阪市西区江戸堀1丁目10番8号 ダイソー株式会社内 (72)発明者 高安 彰 愛知県名古屋市瑞穂区堀田通5丁目1番 地 株式会社昭和鉛鉄内 (56)参考文献 特開 平11−172494(JP,A) 登録実用新案3006846(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 7/06 C25D 17/12 C25F 7/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理部材に対しメッキあるいは電解酸
    洗処理等の電気化学処理を行うための電極であって、 少なくとも表層部が耐食性金属で構成された電極基体
    と、 少なくとも表層部が耐食性金属で構成されて前記電極基
    体の前記被処理部材に対向する側に配置され、裏面側に
    て前記電極基体に電気的に導通するように該電極基体に
    固定されるとともに、放電面となる表面側がPt属金属
    又はその酸化物を主体に構成された導電性活物質被覆層
    で覆われた放電部材とを備え、 前記電極基体には、前記放電部材の取り付けられる側か
    らその反対側に向けてこれを貫通する貫通部が形成され
    る一方、 前記放電部材は、複数枚のセグメントに分割された形で
    前記電極基体に取り付けられるとともに、セグメント内
    又は隣接するセグメント間において厚さ方向に、該セグ
    メントの表面側から前記電極基体の貫通部に連通する連
    通部が形成されており、かつ前記連通部を含めた放電面
    の総面積をS1、該放電面に対する前記連通部の開口面
    積の合計をS2として、開口率K=S2/S1を0.02
    5〜0.35としたことを特徴とする電極。
  2. 【請求項2】 前記放電部材の前記セグメントは各々板
    状に形成され、隣接する縁部間に所定量の隙間が形成さ
    れるよう、板面方向に配列する形態で前記電極基体に取
    り付けられ、該隙間が前記連通部として機能する請求項
    1記載の電極。
  3. 【請求項3】 前記放電部材において前記セグメント
    は、前記隙間が、予め定められた1つの方向に沿って直
    線形態に延びるもののみが、所定の間隔で互いにほぼ平
    行に形成されるように前記電極基体に取り付けられてい
    る請求項2記載の電極。
  4. 【請求項4】 前記セグメントはそれぞれ、幅方向両側
    に互いにほぼ平行な縁を有する長尺板状に形成され、こ
    れらが該幅方向に配列することで、その隣接する縁部間
    に前記隙間が形成されている請求項3記載の電極。
  5. 【請求項5】 前記電極基体は、バー状又は棒状に形成
    された長尺部材を、その長手方向と交差する向きに所定
    の間隔で配列した形で構成され、その隣接する長尺部材
    間に形成される間隙が前記貫通部として機能するととも
    に、複数の全前記セグメントの放電面の合計面積をS
    3、それらセグメント間の隙間の合計面積をS4、前記長
    尺部材の各隙間に露出する部分の合計表面積をS5とし
    て、 K=(S4−S5)/(S3+S4) にて前記開口率Kを表したときに、該Kが0.03〜
    0.30にて調整されている前記請求項1ないし4のい
    ずれかに記載の電極。
  6. 【請求項6】 配列する前記長尺部材の一方の端部側
    に、これらにまたがる形態で配置され、該長尺部材を経
    て前記放電部材に給電するための給電部が形成されてい
    る請求項5記載の電極。
  7. 【請求項7】 幅方向両側に互いにほぼ平行な縁を有す
    るとともに、互いにほぼ等しい幅を有する長尺板状の前
    記セグメントが各々、前記電極基体を構成する前記長尺
    部材に対しそれらに交差する形態で取り付けられてお
    り、かつ、前記セグメントの幅をW1、前記隙間の幅を
    W2としたときに、W2/(W1+W2)が0.03〜0.
    30である請求項5又は6に記載の電極。
  8. 【請求項8】 前記電極基体は、少なくともその表層部
    がTi又はTi合金で構成されたTi系金属部とされ、
    そのTi系金属部の表面に、カチオン成分の主体がTi
    であるTi系酸化物層が、厚さ0.1〜50μmの範囲
    にて形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載
    の電極。
  9. 【請求項9】 被処理部材に対しメッキあるいは電解酸
    洗処理等の電気化学処理を行うための電極であって、 少なくとも表層部が耐食性金属で構成された電極基体
    と、 少なくとも表層部が耐食性金属で構成されて前記電極基
    体の前記被処理部材に対向する側に配置され、裏面側に
    て前記電極基体に電気的に導通するように該電極基体に
    固定されるとともに、放電面となる表面側がPt属金属
    又はその酸化物を主体に構成された導電性活物質被覆層
    で覆われた放電部材とを備え、 前記電極基体は、少なくともその表層部がTi又はTi
    合金で構成されたTi系金属部とされ、そのTi系金属
    部の表面に、カチオン成分の主体がTiであるTi系酸
    化物層が、厚さ0.1〜50μmの範囲にて形成されて
    いることを特徴とする電極。
  10. 【請求項10】 前記放電部材の本体部は少なくともそ
    の表層部がTi又はTi合金で構成されたTi系金属部
    とされ、かつ、そのTi系金属部の、前記導電性活物質
    被覆層の形成部と前記電極基体との重なり部とを除く表
    面に、カチオン成分の主体がTiであるTi系酸化物層
    が、厚さ0.1〜50μmの範囲にて形成されている請
    求項8又は9に記載の電極。
  11. 【請求項11】 前記電極基体には、前記放電部材の取
    り付けられる側からその反対側に向けてこれを貫通する
    貫通部が形成される一方、 前記放電部材は、複数枚のセグメントに分割された形で
    前記電極基体に取り付けられるとともに、セグメント内
    又は隣接するセグメント間において厚さ方向に、該セグ
    メントの表面側から前記電極基体の貫通部に連通する連
    通部が形成されている請求項10記載の電極。
  12. 【請求項12】 前記電気化学処理は電解Snメッキ処
    理である請求項1ないし11のいずれかに記載の電極。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の電極を、Snメッキ
    液中にて、長手方向に連続搬送される鋼材ストリップに
    対し、被メッキ面となる板面に放電面が対向する形で配
    置し、電極側をアノード、鋼材ストリップ側をカソード
    として前記Snメッキ液を介して通電することにより、
    鋼材ストリップの表面に連続Snメッキ処理するととも
    に、前記鋼材ストリップの搬送速度が5m/s以上に設
    定されることを特徴とするSnメッキ装置。
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