JP3005901U - 乾式目地 - Google Patents
乾式目地Info
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 シーリング材との接合力が強く,脱落がない
乾式目地を提供すること。 【構成】 ゴムよりなる本体11と上記目地溝80の底
部に面するシール面121とよりなり,かつ該シール面
121にはシリコーンゴム層12が形成されている。上
記本体11とシリコーンゴム層12とは,例えばそれぞ
れ有機過酸化物架橋されており,かつ両者の接合面は架
橋接着されている。上記本体11は合成ゴム,もしくは
上記合成ゴムと他の添加ゴム成分を含有してなることが
好ましい。上記合成ゴムは,例えばDCP系EPDM,
塩素化ポリエチレン又はこれらの混合物を含有してな
る。上記シリコーンゴム層12は0.5mm〜1mmの
厚みを有することが好ましい。
乾式目地を提供すること。 【構成】 ゴムよりなる本体11と上記目地溝80の底
部に面するシール面121とよりなり,かつ該シール面
121にはシリコーンゴム層12が形成されている。上
記本体11とシリコーンゴム層12とは,例えばそれぞ
れ有機過酸化物架橋されており,かつ両者の接合面は架
橋接着されている。上記本体11は合成ゴム,もしくは
上記合成ゴムと他の添加ゴム成分を含有してなることが
好ましい。上記合成ゴムは,例えばDCP系EPDM,
塩素化ポリエチレン又はこれらの混合物を含有してな
る。上記シリコーンゴム層12は0.5mm〜1mmの
厚みを有することが好ましい。
Description
【0001】
本考案は,建築物等の外壁に設けられたパネル間の目地溝を閉塞するための, 乾式目地に関する。
【0002】
従来,建築物の外壁においては,外壁本体の保護等の目的から,多数のパネル を張りつけることが行われている。そして,各パネルの間には目地溝が設けられ ている。上記目地溝を塞ぐにあたっては,雨水等が外壁本体を侵さないように水 密性を考慮することが重要である。
【0003】 以下に,上記目地溝を塞ぐ二つの工法を示す。 まず,その第一の工法としては図5に示すごとく,パネル81と81との間に 設けられた目地溝80に液状もしくは半液状のシーリング材2を充填する,湿式 目地シール工法がある。なお,符号89は外壁本体,符号82は裏パネルである 。
【0004】 上記シーリング材2としては,シリコーンシーラントを使用する。上記シリコ ーンシーラントは室温硬化型ゴムで,チューブ等の保存容器から押出し,外界に 置くだけで硬化反応を生じゴム状となる。このため,扱いが容易で,施工工事に 適している。また,液状もしくは半液状のシーリング材を使用しているため,目 地溝が完全に閉塞される。このため,上記工法は水密性について優れている。
【0005】 また,第二の工法としては,図6に示すごとく,弾力性を有するゴム成形品か らなる乾式目地9を準備し,これを目地溝80に対してはめ込む乾式目地シール 工法がある。 上記乾式目地9は,本体90と本体90下方の足部901と,本体90及び足 部901から外方に突き出た複数のリップ部91,911よりなる。また,本工 法においては,予めパネル81と裏パネル82の間に,乾式目地保持材98を設 ける。上記乾式目地保持材98は目地溝80の部分に外方に突き出た凸部980 を有し,該凸部980において,上記乾式目地9の足部901を嵌合するための 嵌合凹部981が設けられている。
【0006】 上記工法に当たっては,まず上記乾式目地9を外方からゆっくりと全体を変形 させながら目地溝80に対して挿入する。そして,遂には,乾式目地保持材98 の嵌合凹部981に対し,足部901に設けられたリップ911が屈曲し,固定 される。 また,目地溝80の上部においては,乾式目地9の上方に設けられたリップ9 1が屈曲することによりこれを閉塞する。
【0007】 しかし,上記工法にはそれぞれ欠点がある。 即ち,前者の湿式目地シール工法においては,シーリング材2が完全に硬化す るまでの間,養生期間を必要とする。そのため,この間,施工工事は中断せねば ならない。更に,シリコーンシーラントは高価で,埃を吸着しやすく汚れやすい という問題点がある。
【0008】 また,後者の乾式目地シール工法においては,予め別部材として保持材98を 作成し,これを取付る必要がある。このため,施工工事に手間がかかる。 更に,本工法においては,乾式目地9はリップ部911の弾性によって保持材 98に固定されている。このため,乾式目地9が劣化し,その弾性が衰えた場合 ,保持材98から脱落するおそれがある。さらに,リップ部91の弾性によって 目地溝80を閉塞しているため水密性が充分でない。
【0009】 従って,上記工法の欠点を補うために,以下の組合わせ目地シール工法を採用 する場合がある。 即ち,図7に示すごとく,まず目地溝80に対して少量のシーリング材2を注 入する。上記シーリング材2はシリコーンシーラントである。そして,上記シー リング材2が硬化する前に乾式目地9を目地溝80に挿入する。 これにより,上記シーリング材2が外部に露出しないため,養生期間を設ける 必要がなくなる。更に,シーリング材2と乾式目地9の両者でもって二重に目地 溝80を閉塞するため,水密性が向上する。なお,図7中の符号は,図6,図5 と同様のものを示す。
【0010】
しかしながら,上記工法においても以下の欠点がある。即ち,上記乾式目地9 は一般にゴム又は軟性樹脂からなる。しかし,シーリング材2として使用される シリコーンシーラントとこれらゴム類とは接合しない。このため,図7に示すご とき工法を採用しても,乾式目地9とシーリング材2との接合強度は低く,長期 使用中において乾式目地9の脱落を防止することはできない。 本考案は,かかる問題点に鑑み,シーリング材との接合力が強く,脱落がない 乾式目地を提供しようとするものである。
【0011】
本考案は,外壁等のパネル間の目地溝を閉塞するための乾式目地であって,該 乾式目地は,ゴムよりなる本体と上記目地溝の底部に面するシール面とよりなり ,かつ該シール面にはシリコーンゴム層が形成されていることを特徴とする乾式 目地にある。
【0012】 本考案において最も注目すべきことは,上記シール面にはシリコーンゴム層が 形成されていることである。 また,上記シリコーンゴム層をシール面に形成する方法としては,後述するご とく,両者を一体的に成形し,かつ架橋接着する方法,本体上にシリコーンゴム 層をコーティングあるいは貼着する方法などがある。
【0013】 次に,上記本体とシリコーンゴム層とはそれぞれ有機過酸化物架橋されており ,かつ両者の接合面は架橋接着されていることか好ましい。 上記有機過酸化物架橋及び架橋接着を行うには,後述するごとく本体に対して は有機過酸化物架橋剤を,また,シリコーンゴムに対しても有機過酸化物架橋剤 を使用する。
【0014】 次に,上記本体に対して使用する有機過酸化物架橋剤としては,例えば1,3 ビス(第3ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン,2,5ジメチル2,5( 第3ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,ジクミルパーオキサイド,2,4−ジク ロロベンゾイルパーオキサイド,ベンゾイルパーオキサイド,1,1−ジテレブ チルパーオキシ3,3,5−トリメチルシクロヘキサン,2,5−ジメチル2, 5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン,n−ブチル4,4−ジテレブチルパーオ キシバレレート,テレブチルパーオキシベンゾエイト,ジテレブチルパーオキシ ジイソプロピルベンゼン,テレブチルクミルパーオキサイド,2,5−ジメチル 2,5−ジテレブチルパーオキシヘキサン,ジテレブチルパーオキサイド,2, 5−ジメチル2,5−ジテレブチルパーオキシヘキシン3のグループから選ばれ る一種又は二種以上がある。
【0015】 上記有機過酸化物架橋剤は,上記ゴム成分100gに対し,活性酸素量が0. 005〜0.02モルとなるよう添加することが好ましい。 上記活性酸素量が0.005モルよりも少ない場合には,ゴム分子間の架橋が 不充分となるおそれがある。0.02モルよりも多い場合には,弾性が低下し, ゴム状とならないおそれがある。また,架橋に使用されず残留した有機過酸化物 架橋剤によるブルームの発生という問題点もある。
【0016】 上記シリコーンゴム層に対して使用する有機過酸化物架橋剤としては,例えば ベンゾイルパーオキサイド,1,1−ジテレブチルパーオキシ3,3,5−トリ メチルシクロヘキサンが挙げられる。 また,白金系架橋剤を使用することもできる。上記白金系架橋剤としては,例 えば,塩化白金酸,アルコール変性塩化白金酸が挙げられる。 そして上記有機過酸化物架橋及び架橋接着にあたっては,常圧熱風加熱炉(H AV),流動床式加熱炉(LCM),加硫缶等を使用することが好ましい。
【0017】 次に,有機過酸化物架橋及び架橋接着を行うにあたっては,その温度が150 〜300℃であることが好ましい。 上記温度が150℃未満である場合には,架橋速度が非常に遅くなり,生産性 を低下させるおそれがある。上記温度が300℃より大きい場合には,熱による ゴムポリマーの分解反応が発生し,所望する物性を得ることができないおそれが ある。
【0018】 次に,上記本体は合成ゴムであることが好ましい。上記合成ゴムはDCP系E PDM,塩素化ポリエチレン,又はこれらの混合物を含有してなることが好まし い。この場合には,上記シール面に積層したシリコーンゴム層と本体との接合強 度に優れた乾式目地を得ることができる。
【0019】 即ち,従来,合成ゴムとシリコーンゴムとよりなるゴム積層品は,以下の理由 により大変製造が困難であった。 硫黄でもって合成ゴムを架橋させようとすると,該硫黄がシリコーンゴムの架 橋を阻害する。また,有機過酸化物架橋材でもって合成ゴムを架橋させようとす ると,空気中ではゴムポリマーの分解反応が発生する。 しかし,上記特定の成分を含有させた合成ゴムを使用することによって,本体 とシール面とにそれぞれ合成ゴムとシリコーンゴム層とを有し,しかも両者が強 固に結合した乾式目地を得ることができる。
【0020】 また,上記DCP系EPDMは,DCP(ジシクロペンタジエン)を第3成分 とするエチレン−プロピレン共重合体である。 上記塩素化ポリエチレンは,ポリエチレンの塩素置換反応によって製造される ランダム塩素化生成物で,その構造はエチレン,塩化ビニル,1,2ジクロルエ チレンの3成分系共重合体である。
【0021】 上記塩素化ポリエチレンは,その塩素含有率は25〜45%であるものを使用 することが好ましい。上記塩素含有率が25%より少ないものは,ポリエチレン に性質が近似し,樹脂状で弾性体とならないおそれがある。45%より多いもの は,ポリ塩化ビニルに性質が近似し,弾性体とならないおそれがある。
【0022】 上記本体は上記合成ゴムと他の添加ゴム成分を含有してなることが好ましい。 これにより,押出成形性が向上し,架橋速度が速くなるという利点が得られる。 そして,上記添加ゴム成分としては,例えば,ENB系EPDM,イソプレンゴ ム(IR),ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR),スチレンブタジエン ゴム(SBR),クロロスルホン化ポリエチレン(CSM),アクリルゴム(A CM),シリコーンゴム(Q),フッ素ゴム(FKM),ウレタンゴム(U)の グループから選ばれる一種又は二種以上がある。
【0023】 上記添加ゴムは,上記本体用の合成ゴム中に5〜70%(重量%,以下同じ) 添加混合されていることが好ましい。 上記添加ゴムが70%よりも多い場合には,ゴムポリマーの分解反応がゴム分 子間の架橋反応よりも優勢に立ち,本体が充分に架橋しないおそれがある。一方 ,5%未満では,添加による効果を得ることが難しい。
【0024】 次に,上記シリコーンゴム層は,上記本体の全表面に形成されていることが好 ましい。シリコーンゴムは耐候性に優れているため,これによって被覆された乾 式目地も耐候性に優れたものとなる。 次に,上記シリコーンゴム層は0.5mm〜1mmの厚みを有することが好ま しい。 上記シリコーンゴム層の厚みが0.5mmよりも薄い場合には,層の耐久性が 低くなるおそれがある。1mmよりも厚い場合には,高価なシリコーンゴムの使 用量が増加するため,製造コストが高くなるおそれがある。
【0025】 次に,上記本体は目地溝の壁面に押圧接触するリップ部を有し,かつ該リップ 部の下面に上記シリコーンゴム層を有することが好ましい。 上記リップ部は目地溝内で屈曲しつつその壁面に押圧接触し,乾式目地と目地 溝とが完全に密着する。このため水密性に優れた乾式目地を得ることができる。 また,目地溝内のシーリング材がシリコーンシーラントである場合には,リップ 部下面のシリコーン層とこれが接着し,一層水密性を高める。よって,本考案の 乾式目地は,シーリング材として,シリコーンシーラントを用いた場合に,特に 優れたシール性能を発揮する。
【0026】
本考案の乾式目地においては,ゴムよりなる本体と上記目地溝の底部に面する シール面とよりなり,かつ該シール面にはシリコーンゴム層が形成されている。 これにより,乾式目地と目地溝に注入された,シリコーンシーラントよりなる シーリング材との接着強度が向上し,乾式目地の脱落が発生しなくなる。更に, 乾式目地とシーリング材との両者によって目地溝が閉塞されるため,水密性が優 良となる。 上記のごとく,本考案によれば,シーリング材との接合力が強く,脱落がない 乾式目地を提供することができる。
【0027】
実施例1 本考案の実施例にかかる乾式目地につき,図1〜図3を用いて説明する。 図1に示すごとく,本例の乾式目地1は,合成ゴムよりなる本体11と目地溝 80(図2参照)の底部に面するシール面121とよりなり,かつ該シール面1 21はシリコーンゴム層12が形成されている。また,上記乾式目地1には本体 外方に突き出たリップ部111,112を有する。 上記合成ゴムは塩素化ポリエチレンを含有するもので,実施例3において示し た試料No.1と同様のものである。また,シリコーンゴム層も実施例3と同様 である。
【0028】 次に,上記乾式目地1を用いた組合わせ目地シール工法について説明する。 図2に示すごとく,目地溝80に少量のシーリング材2を注入する。その後, 図3に示すごとく,図1に示した乾式目地1を変形させながら目地溝80に圧入 する。そのため,目地溝80の形状に合わせてリップ部111,112が屈曲し ,目地溝80の壁面に対して押圧接触する。また,乾式目地1の下部はシーリン グ材2中に埋設される。 その後,シーリング材2が硬化する。これによって,乾式目地1は目地溝80 に対して固定される。
【0029】 次に,本例の作用効果について説明する。 本例の乾式目地1は,目地溝80に対向する面がシリコーンゴム層12によっ て被覆されている。このため,目地溝80に注入されたシリコーンシーラントか らなるシーリング材2がその硬化の過程において,上記乾式目地1を接着固定す る。
【0030】 そして,ここに重要なことは,乾式目地1のシール面121がシリコーンゴム 層12によって形成されているため,これがシリコーンシーラントと強く結合す ることである。これは両者が,シリコーン成分を含有し互いに強固に接合するた めである。従って,シーリング材2が完全に硬化した後には,乾式目地1が目地 溝80に対して完全に固定され,乾式目地1の脱落等が発生しない。
【0031】 また,本例においては,乾式目地1の本体11のゴム成分として,塩素化ポリ エチレンを含有するものを用いている。そのため,本体とシリコーンゴム層12 との接合も強固である(実施例3参照)。 その上,目地溝80はシーリング材2と乾式目地1のリップ部112とによっ て二重に閉塞される。よって,本例の乾式目地1を使用した組合わせ目地シール 工法は水密性において非常に優れている。 上記のごとく,本例によればシーリング材との接合力が強く脱落しない乾式目 地を得ることができる。
【0032】 また,上記においては,シリコーンゴム層12は,下方の2つのリップ部11 1の裏面(シール面121)のみに設けたが,最上部のリップ部112に設ける こともできる。また,シリコーンゴム層12は乾式目地1の全表面に設けること もできる。
【0033】 実施例2 本考案の実施例にかかる乾式目地の製造方法につき,図4を用いて説明する。 まず,塩素化ポリエチレンよりなるゴム成分と有機過酸化物架橋剤と補強剤等 の添加物とを混合してなる本体用未架橋混合物110と,シリコーンポリマーと 有機過酸化物架橋剤とよりなるシール用未架橋混合物120とを準備する。次に ,図4に示すごとく,これをクロスヘッド押出機52に投入する。
【0034】 上記クロスヘッド押出機52において,上記本体用未架橋混合物110を乾式 目地の本体の形状に成形すると共に,そのシール面に上記シール用未架橋混合物 120を積層する。これにより積層成形品13を得る。次いで,この積層成形品 13を架橋装置53に導入し,熱空気の存在下で加熱し,本体用未架橋混合物1 10,シール面用未架橋混合物120それぞれを有機過酸化物架橋及び架橋接着 することにより乾式目地1を得る。 最後に上記乾式目地1を水冷装置4を使用して冷却する。
【0035】 なお,上記本体用未架橋混合物110等としては,実施例3において示す試料 No.1と同様のものを使用する。 なお,上記架橋装置53としては常圧熱風加熱炉(HAV),流動床加熱炉( LCM)または加硫缶を使用する。また,上記水冷装置54には,常時冷却水が 流通されている。
【0036】 実施例3 以下,本考案にかかる試料を比較例と共に,表1〜表6を用いて説明する。 本例は,表1〜表3に示した本体用未架橋混合物より作成された試料No.1 〜11及び比較例C1〜C3について性能評価を行ったものである。
【0037】 上記試料及び比較例は,まず,特定のゴム成分に添加物と有機過酸化物架橋剤 もしくは硫黄とを混合して本体用未架橋混合物を準備する。次に,これを試験片 の形状に成形すると共にシール用未架橋混合物を積層し,積層成形品を得る。次 いで,この積層成形品を熱空気の存在下で加熱し試験片としたものである。なお ,架橋装置はHAVを使用し,その他は実施例2の製造方法と同様である。
【0038】 上記ゴム成分のうち,塩素化ポリエチレン及びDCP系EPDMは本体用合成 ゴム成分であり,ENB系EPDM及びイソプレンゴムは添加ゴム成分である。 上記シール用未架橋混合物としては,ポリオルガノシロキサンを含有するシリ コーンポリマーを,これに加える有機過酸化物架橋剤としてはベンゾイルパーオ キサイドを使用する。
【0039】 上記本体用未架橋混合物について,表1〜表3を用いて説明する。 同表において,DCP系EPDM,ENB系EPDM,イソプレンゴムとして は,それぞれ日本合成ゴム株式会社製のJSR・EP75F,JSR・EP21 ,JSR・IR1200を用いた。また,塩素化ポリエチレンとしては,昭和電 工株式会社製のエラスレン401AEを用いた。これらの配合量は,全ゴム成分 中の重量%で示す。
【0040】 また,有機過酸化物架橋剤としては,ジクミルパーオキサイドを用いた。 添加物は補強剤・充填剤として,CaCO3 及びタルク,軟化剤としてパラフ ィン系オイル,架橋促進剤としてステアリン酸,受酸剤として酸化マグネシウム ,脱泡剤として酸化カルシウム,加硫助剤としてトリアリルイソシアヌレートを 用いた。これらの配合量は全てゴム成分100重量部に対する数値である。なお ,上記受酸剤はゴム成分中に塩素化ポリエチレンを使用した場合にのみ用いた。
【0041】 試料No.1について以下に説明する。まず,ゴム成分としては塩素化ポリエ チレンのみを用いる。上記ゴム成分100重量部に対し,有機過酸化物架橋剤は 3重量部用いる。添加物については,補強剤・充填剤を150,軟化剤を50, 架橋促進剤を1,受酸剤を5,脱泡剤を5,加硫助剤を2重量部用いる。上記物 質を混合して未架橋混合物とする。 以下試料No.2〜11,比較例C1〜C3も同様である。 なお,比較例C3においては,有機過酸化物架橋剤の代わりに硫黄を架橋剤と して使用する。このため加硫助剤は使用しない。
【0042】 次に,表4及び表5に試料No.1〜11にかかる性能評価,表6に比較例C 1〜C3の性能評価を示す。上記性能評価は,本体表面のべとつき及びブルーム 発生の有無,シリコーンゴム層との架橋接着強度により行った。 べとつき及びブルームは本体の表面を接触,目視により観察し,『あり』もし くは『なし』の評価をする。
【0043】 次に,シリコーンゴム層との架橋接着強度の測定について説明する。 上記測定はあらかじめ作成した試験片を,JISK6301に規定される引張 試験機を用い,本体とシリコーンゴム層とを強制的に剥離し,剥離時の最大過重 と剥離状態を観察することにより架橋接着強度を測定する。
【0044】 以下に,性能評価について説明する。 まず,表4及び表5に示すごとく,本実施例にかかる試料No.1〜11は, そのすべてにおいて,本体にべとつき及びブルームが発生していない。一方,表 6に示すごとく,比較例C1及びC2については,本体表面にべとつきとブルー ムが確認された。比較例C3については,べとつき及びブルームは発生していな い。
【0045】 次に,シリコーンゴム層との接着強度について説明する。 試料No.1〜11については本体とシリコーンゴム層とがその接合面で接着 しており,接着強度は20〜32の範囲にある。上記接着強度を越える荷重を与 えた場合においては,両者は剥離せず,試験片そのものが破壊されてしまう。こ のため,両者の接着強度が実用上充分強いことがわかる。
【0046】 これに比べ,比較例C1及びC2の試験片は本体の表面がゴム糊状となってお り,本体とシリコーンゴム層とは接合面において架橋接着が行われていない。ま た,比較例C3においては,シリコーンゴム層が未架橋の状態であり,同様に架 橋接着が行われていない。 即ち,比較例においては,本体とシリコーンゴム層がその接合面において架橋 接着した試験片を得ることができなかった。このため,接着強度については測定 を行うことができなかった。
【0047】 上記より知られるごとく,本例の試料によって作成された乾式目地は,特定の ゴム成分を含む本体とシリコーンゴム層とを積層接合してなる乾式目地である。 上記本体とシリコーンゴム層とはそれぞれが有機過酸化物架橋されており,更に 両者の接合面で架橋接着されている。
【0048】 そして,上記特定のゴム成分とはDCP系EPDM,塩素化ポリエチレンもし くは両者の混合物である。上記ゴム成分は,硫黄を使用せず本体を熱空気下にお いて有機過酸化物架橋させることを可能にする。この場合,ゴムポリマーの分解 反応よりゴム分子間の架橋反応が優勢に立ち,表面のべとつき,ブルームのない 良好な本体が得られる。
【0049】 また,上記本体中にはシリコーンゴム層の架橋反応を阻害する硫黄が存在しな い。よって,本体とシリコーンゴム層との良好な架橋接着が可能となり,両者よ りなる乾式目地が得られる。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【図1】実施例1における乾式目地の断面図。
【図2】実施例1における目地シール工法の説明図。
【図3】実施例1における目地シール工法の説明図。
【図4】実施例2における乾式目地の製造方法の説明
図。
図。
【図5】従来例における湿式目地シール工法の説明図。
【図6】従来例における乾式目地シール工法の説明図。
【図7】従来例における組合わせ目地シール工法の説明
図。
図。
1...乾式目地, 11...本体, 110...本体用未架橋混合物, 111...リップ部, 12...シリコーンゴム層, 120...シール用未架橋混合物, 121...シール面, 80...目地溝, 81...パネル, 89...外壁本体,
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【実用新案登録請求の範囲】
Claims (11)
- 【請求項1】 外壁等のパネル間の目地溝を閉塞するた
めの乾式目地であって,該乾式目地は,ゴムよりなる本
体と上記目地溝の底部に面するシール面とよりなり,か
つ該シール面にはシリコーンゴム層が形成されているこ
とを特徴とする乾式目地。 - 【請求項2】 請求項1において,上記本体とシリコー
ンゴム層とはそれぞれ有機過酸化物架橋されており,か
つ両者の接合面は架橋接着されていることを特徴とする
乾式目地。 - 【請求項3】 請求項1又は2において,上記本体は合
成ゴムであることを特徴とする乾式目地。 - 【請求項4】 請求項3において,上記合成ゴムはDC
P系EPDM,塩素化ポリエチレン又はこれらの混合物
を含有してなることを特徴とする乾式目地。 - 【請求項5】 請求項4において,上記本体は上記合成
ゴムと他の添加ゴム成分を含有してなることを特徴とす
る乾式目地。 - 【請求項6】 請求項5において,上記添加ゴム成分
は,ENB系EPDM,イソプレンゴム(IR),ブタ
ジエンアクリロニトリルゴム(NBR),スチレンブタ
ジエンゴム(SBR),クロロスルホン化ポリエチレン
(CSM),アクリルゴム(ACM),シリコーンゴム
(Q),フッ素ゴム(FKM),ウレタンゴム(U)の
グループから選ばれる一種又は二種以上であることを特
徴とする乾式目地。 - 【請求項7】 請求項1〜5又は6において,上記シリ
コーンゴム層は,上記本体の全表面に形成されているこ
とを特徴とする乾式目地。 - 【請求項8】 請求項1〜6又は7において,上記シリ
コーンゴム層は0.5mm〜1mmの厚みを有すること
を特徴とする乾式目地。 - 【請求項9】 請求項1〜7又は8において,上記本体
は目地溝の壁面に押圧接触するリップ部を有し,かつ該
リップ部の下面に上記シリコーンゴム層を有することを
特徴とする乾式目地。 - 【請求項10】 請求項3〜8又は9において,上記合
成ゴムは,DCP系EPDMであることを特徴とする乾
式目地。 - 【請求項11】 請求項3〜8又は9において,上記合
成ゴムは塩素化ポリエチレンであることを特徴とする乾
式目地。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1994003033U JP3005901U (ja) | 1994-03-04 | 1994-03-04 | 乾式目地 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1994003033U JP3005901U (ja) | 1994-03-04 | 1994-03-04 | 乾式目地 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3005901U true JP3005901U (ja) | 1995-01-17 |
Family
ID=43141786
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1994003033U Expired - Lifetime JP3005901U (ja) | 1994-03-04 | 1994-03-04 | 乾式目地 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3005901U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10183784A (ja) * | 1996-12-26 | 1998-07-14 | Natl House Ind Co Ltd | 目地構造 |
-
1994
- 1994-03-04 JP JP1994003033U patent/JP3005901U/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10183784A (ja) * | 1996-12-26 | 1998-07-14 | Natl House Ind Co Ltd | 目地構造 |
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