JP3005456U - 魚釣用リ−ルの逆転防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転軸の逆転防止状態と逆転可能状態の切換
を確実に行うことができる魚釣用リールの逆転防止装
置。 【構成】 クラッチ本体１１における、ころがり部材６
の楔作用をする作動位置と、楔作用をしない非作動位置
を切換えるための切換部材１３の係合部１８と、操作部
材１６の間に弾性部材１９を介在せしめ、弾性部材１９
の弾性力により、クラッチ本体１１の構成部品の寸法バ
ラつき等によって生ずる切換動作上の不具合を吸収し
て、回転軸３の逆転を確実に防止できるようにしたもの
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、魚釣用リールの回転軸を逆転防止状態と逆転可能状態に切換える逆 転防止装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ハンドルに連動回転する魚釣用リールの回転軸の逆転防止手段として、ころが り部材の楔作用を利用して逆転時の遊度を少なくすると共に、ころがり部材を楔 作用する作動位置と楔作用しない非作動位置に切換える切換部材を装着したもの が、特開平６−５８３４８号で知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、この従来の逆転防止装置は、楔作用するころがり部材の作動位 置から非作動位置への切換え変位量が少なく、そのために切換部材を回転操作す る操作部材及びクラッチ本体の構成部品の寸法バラツキや、組み込み時の誤差等 の影響により確実な切換え（ころがり部材の確実な移動規制）が出来ず、ハンド ルに連動回転する回転軸を逆転防止状態（ころがり部材の作動位置）から逆転可 能状態（ころがり部材の非作動位置）に確実に切換えることができないという問 題がある。

【０００４】 依って本考案は安定して確実にころがり部材の楔作用を利用して回転軸を作動 状態と、非作動状態に切換えることができるように改善した魚釣り用リールの逆 転防止装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的に鑑みて請求項１に係る考案は、環状保持体のガイド溝孔に楔作用す るようにころがり部材をその前後動を規制して嵌合した該環状保持体をハンドル の回転に連動して回転する回転体に嵌合し、該環状保持体の外側に前記ころがり 部材の外方移動を規制する外枠を回り止め嵌着してクラッチ本体を形成し、該ク ラッチ本体の一側部に前記ころがり部材を楔作用をする作動位置と楔作用をしな い非作動位置とに切換える切換部材を回転可能に装着した魚釣用リールの逆転防 止装置において、前記切換部材を切換操作する操作部材をリール本体に変位可能 に支持し、該操作部材の作動部と前記切換部材の係合部との間に弾性部材を介し て前記切換部材を前記ころがり部材の作動位置から非作動位置へ切換操作可能と したことを要旨としている。 請求項２に係る考案は、前記弾性部材をバネ部材で形成しこととを要旨として いる。 請求項３に係る考案は、前記切換部材をころがり部材の作動位置方向にバネ付 勢したことを要旨としている。

【０００６】

【作用】

請求項１に係る魚釣用リールの逆転防止装置によれば、ころがり部材の作動位 置から非作動位置への切換えを、弾性部材の押圧力を介して切換え保持できるの で、ころがり部材の作動位置から非作動位置への移動範囲の狭い一方向クラッチ において、部品寸法のバラツキや取り付け時の誤差等の誤差分を弾性部材の弾性 作用で吸収して作動位置から非作動位置への切換えを確実に行うことができる。 請求項２に係る魚釣用リールの逆転防止装置によれば、バネ部材を介して切換 え保持できるので、簡単な構成で安定した切換部材の切換えが行える。 請求項３に係る魚釣用リールの逆転防止装置によれば、切換部材をころがり部 材の作動位置にバネ付勢することにより、切換部材の不要なガタつきを簡単な構 成で防止でき、逆転防止不良を確実に防止できる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案を添付図面に基づいて説明する。 図１〜図５は魚釣り用リールの逆転防止装置につき本考案の第１実施例を示し ている。 図１は本考案の第１実施例に係る魚釣用リールの逆転防止装置の縦断切欠き正 面図である。 図２は図１に示す実施例のＡ−Ａ線拡大断面図である。 図３は図２に示す切換部材の逆転防止状態時の要部拡大図である。 図４は図２に示す切換部材の逆転可能状態時の要部拡大図である。 図５は図１に示す実施例の要部の分解斜視図である。

【０００８】 図１に示すような魚釣用スピニングリールは、公知のようにローター１を固着 し且つハンドル軸の駆動歯車と噛合するピニオン２を設けたピニオン筒軸３がリ ール本体前部に軸受４を介して回転自在に支持され、軸受４の前部には一体的に カラー５が係合嵌着されている。

【０００９】 図２にも示すように、カラー５の外側にはころがり部材６が嵌合するガイド溝 孔７を形成し且つころがり部材６を前後両側から支承した環状保持体８が回転可 能に嵌着されると共に、環状保持体８の外側には外枠９を回動しないよう回り止 め嵌着してころがり部材６の外方移動を規制し、更にガイド溝孔７にはころがり 部材６を楔作用をする作動位置方向に付勢する板バネ１０を設けてクラッチ本体 １１を形成し、クラッチ本体１１はピニオン筒軸３がローター１の釣糸巻取方向 に回動するときはその回転を許容し、ピニオン筒軸３が逆転しようとすると、こ ろがり部材６の作動位置における楔作用により、ピニオン筒軸３の逆転を阻止す るように構成している。

【００１０】 また、図５にも示すように、環状保持体８のころがり部材６に対応する位置に 円弧状孔１２を形成すると共に、環状保持体８の突設部にはころがり部材６の作 動位置切換用の切換部材１３が、止めリング１４により回動自在に嵌着され、切 換部材１３に突設された作動突片１５が円弧形状孔１２に嵌入してころがり部材 ６に係合し、操作部材１６の回動によりころがり部材６を楔作用をする作動位置 と、楔作用をしない非作動位置とに切換保持するように構成されている。

【００１１】 以上のような従来の逆転防止装置の構成に加えて、本実施例では図２、図３、 図４に詳細を示すように、新たに操作部材１６の作動部１７と切換部材１３の係 合部１８との間に弾性部材１９を介在せしめ、ころがり部材６の作動及び非作動 作用に支障のないバネ力に設定した板バネ１０により、切換部材１３を作動位置 方向へ付勢保持するように構成して、従来の逆転防止装置における作動位置から 非作動位置への切換変位量の少ないことから発生した、ころがり部材の移動規制 の不具合を、弾性部材１９により吸収してころがり部材の確実な移動規制が行え るように改良している。その他、切換部材１３の杵部の左右に設けた突部２０に より、切換部材１３の回動範囲を規制し、振り分けバネ２１によって操作部材１ ６を作動位置と非作動位置の両位置に変位可能に保持している。

【００１２】 従って、図３に示すように、クラッチ本体１１を逆転防止状態（ＯＮ位置）つ まり、ころがり部材６の作動位置の方向に操作部材１６を回動すれば、板バネ１ ０の付勢力によりころがり部材６をガイド溝孔７の楔作用領域に保持せしめ、こ ろがり部材６は板バネ１０の付勢力で作動位置に規制保持される。この状態で、 ピニオン筒軸３はローター１を釣糸巻取方向に回転可能となり、スプール軸２２ の前後動にともない釣糸を巻取ることができる一方、その逆転はころがり部材６ の楔作用によって阻止される。

【００１３】 次に図４に示すように、操作部材１６をクラッチ本体１１が逆転可能状態（Ｏ ＦＦ位置）つまり、ころがり部材６の非作動位置の方向に回動すれば、弾性部材 １９の弾性力を介して切換部材１３が回動し、作動突片１５により板バネ１０の 付勢力に抗してころがり部材６は非作動位置に規制保持される。この状態で、ピ ニオン筒軸３は正転、逆転自在となり釣糸の張力による釣糸の放出操作も可能な 状態となる。 このようにして、弾性部材１９の弾性力により、操作部材及びクラッチ本体１ １の構成部品の寸法のバラツキや、取り付け時に生じる誤差等の誤差分を吸収し て、逆転防止不良を改善することができる。 なお、突部２０は不可欠な部品ではなく、ころがり部材６の付勢板バネ１０に よっても回転方向は規制できる。

【００１４】 つぎに本考案の第２実施例について説明する。 図６は本考案の第２実施例に係る魚釣用リールの逆転防止装置の縦断正面図で ある。 図６に示した第２実施例は、第１実施例では切換部材１３を止めリング１４に よって環状保持体８側に回動自在に嵌着したのに対し、外枠９に取り付け用の突 起部２３を設け、切換部材１３側に嵌合する嵌合孔２４を形成して、切換部材１ ３を回動可能に外枠９にネジ止めしたものであり、第１実施例に比較して部品コ ストが低減され組み込み作業が容易となる利点がある。 それ以外は弾性部材１９を始め第１実施例と同一構成であり、第１実施例と同 一の動作が行われ、同様にころがり部材６の確実な移動規制効果が得られる。

【００１５】 つぎに本考案の第３実施例について説明する。 図７は本発明の第３実施例に係る魚釣用リールの逆転防止装置の要部拡大図で ある。 第３実施例は、各前実施例が弾性部材１９に板バネを使用したのに対し、ゴム 材２５を使用したものであり、各前実施例と同様な切換変位量のバラつき吸収効 果が得られるものである。

【００１６】 つぎに本考案の第４実施例について説明する。 図８は本考案の第４実施例に係る魚釣用リールの逆転防止装置の要部拡大図で ある。 第４実施例は、第１、第２実施例では弾性部材１９を操作部材１６の作動部１ ７側に配置したのに対し、弾性部材２６を切換部材１３の係合部１８側に設けた ものであり、動作および効果は第１実施例の場合と同様である。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、請求項１に係る考案によれば、操作部材の作動部と切換 部材の係合部との間に弾性部材を介在させ、切換部材をころがり部材の作動位置 から非作動位置へ切換操作可能としたので、ころがり部材の作動位置から非作動 位置への切換を確実に行うことができるものである。 更に、請求項２に係る考案によれば、弾性部材をバネ部材で構成したので、簡 単な構成で安定した切換部材の切換えができるものである。 更に、請求項３に係る考案によれば、切換部材をころがり部材の作動位置方向 にバネ付勢したので、逆転防止不良を確実に防止できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例に係る魚釣用リールの逆転
防止装置の縦断切欠き正面図である。

【図２】図１に示す実施例のＡ−Ａ線拡大断面図であ
る。

【図３】図２に示す切換部材の逆転防止状態時の要部拡
大図である。

【図４】図２に示す切換部材の逆転可能状態時の要部拡
大図である。

【図５】図１に示す実施例の要部分解斜視図である。

【図６】本考案の第２実施例に係る魚釣用リールの逆転
防止装置の縦断正面図である。

【図７】本考案の第３実施例に係る魚釣用リールの逆転
防止装置の要部拡大図である。

【図８】本考案の第４実施例に係る魚釣用リールの逆転
防止装置の要部拡大図である。

【符号の説明】

１ ローター ２ ピニオン ３ ピニオン筒軸 ４ 軸受 ５ カラー ６ ころがり部材 ７ ガイド溝孔 ８ 環状保持体 ９ 外枠 １０ 板バネ １１ クラッチ本体 １２ 円弧状孔 １３ 切換部材 １４ 止めリング １５ 作動突片 １６ 操作部材 １７ 作動部 １８ 係合部 １９、２６ 弾性部材 ２０ 突部 ２１ 振分けバネ ２２ スプール軸 ２３ 突起部 ２４ 嵌合孔 ２５ ゴム

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 環状保持体のガイド溝孔に楔作用するよ
   うにころがり部材をその前後動を規制して嵌合した該環
   状保持体をハンドルの回転に連動して回転する回転体に
   嵌合し、該環状保持体の外側に前記ころがり部材の外方
   移動を規制する外枠を回り止め嵌着してクラッチ本体を
   形成し、該クラッチ本体の一側部に前記ころがり部材を
   楔作用をする作動位置と楔作用をしない非作動位置とに
   切換える切換部材を回転可能に装着した魚釣用リールの
   逆転防止装置において、 前記切換部材を切換操作する操作部材をリール本体に変
   位可能に支持し、該操作部材の作動部と前記切換部材の
   係合部との間に弾性部材を介在させ、該弾性部材を介し
   て前記切換部材を前記ころがり部材の作動位置から非作
   動位置へ切換操作可能としたことを特徴とする魚釣用リ
   ールの逆転防止装置。
2. 【請求項２】 前記弾性部材をバネ部材で形成したした
   ことを特徴とする請求項１記載の魚釣用リールの逆転防
   止装置。
3. 【請求項３】 前記切換部材をころがり部材の作動位置
   方向にバネ付勢したことを特徴とする請求項２記載の魚
   釣用リールの逆転防止装置。