JP3004431B2 - 亜鉛負極活物質 - Google Patents
亜鉛負極活物質Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は亜鉛アルカリ二次電池に
用いられる負極活物質を提供するものであり、詳しくは
亜鉛負極表面がアルカリ水溶液中で実質的な溶解度を示
さずかつ充放電の電位範囲で酸化・還元反応を伴わない
スカンジウム、イットリウム、あるいはランタノイド属
元素の水酸化物の薄層で被覆された構造を有し、放電時
に生成した水酸化亜鉛Zn(OH)2が水酸化亜鉛イオ
ンZn(OH)4 2-として電解質中に溶出するのを抑制
して、充放電の繰り返しによる亜鉛デンドライト(樹状
結晶)生成と形状変化を低減できる亜鉛アルカリ二次電
池の負極活物質に関するものである。
用いられる負極活物質を提供するものであり、詳しくは
亜鉛負極表面がアルカリ水溶液中で実質的な溶解度を示
さずかつ充放電の電位範囲で酸化・還元反応を伴わない
スカンジウム、イットリウム、あるいはランタノイド属
元素の水酸化物の薄層で被覆された構造を有し、放電時
に生成した水酸化亜鉛Zn(OH)2が水酸化亜鉛イオ
ンZn(OH)4 2-として電解質中に溶出するのを抑制
して、充放電の繰り返しによる亜鉛デンドライト(樹状
結晶)生成と形状変化を低減できる亜鉛アルカリ二次電
池の負極活物質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛を負極活物質とする亜鉛アルカリ二
次電池はエネルギー密度(単位電池重量当たりのワット
時、Wh/kg)と出力密度(単位電池重量当たりのワ
ット、W/kg)が高く、かつ安価であるとともに環境
汚染が無いという利点があり、将来の電気自動車用二次
電池として期待されている反面、解決すべき課題が多
い。
次電池はエネルギー密度(単位電池重量当たりのワット
時、Wh/kg)と出力密度(単位電池重量当たりのワ
ット、W/kg)が高く、かつ安価であるとともに環境
汚染が無いという利点があり、将来の電気自動車用二次
電池として期待されている反面、解決すべき課題が多
い。
【0003】一般的なアルカリ二次電池の負極のうち、
既に広く利用されているカドミウム負極あるいは技術的
に完成に近い鉄負極に比較して、実用化が遅れている亜
鉛負極が大きく異なるのは、亜鉛負極では放電時に生成
する水酸化物がアルカリ電解質水溶液中に溶解すること
である。
既に広く利用されているカドミウム負極あるいは技術的
に完成に近い鉄負極に比較して、実用化が遅れている亜
鉛負極が大きく異なるのは、亜鉛負極では放電時に生成
する水酸化物がアルカリ電解質水溶液中に溶解すること
である。
【0004】放電で生成した水酸化亜鉛Zn(OH) 2
が亜鉛酸イオンZn(OH)4 2-として電解質中に溶出
した結果、充電時の亜鉛の析出が不均一になる。
が亜鉛酸イオンZn(OH)4 2-として電解質中に溶出
した結果、充電時の亜鉛の析出が不均一になる。
【0005】充放電の繰り返しにより、この不均一性は
増長され、負極板の形状が変化する。また、不均一な亜
鉛析出の際に生じるデンドライト(樹状結晶)が正極と
の問のセパレータを突き破り内部短絡する。
増長され、負極板の形状が変化する。また、不均一な亜
鉛析出の際に生じるデンドライト(樹状結晶)が正極と
の問のセパレータを突き破り内部短絡する。
【0006】これら負極の形状変化と内部短絡が亜鉛を
負極とするアルカリ二次電池の充放電繰り返し寿命が他
のアルカリ二次電池に比較して著しく短いものとし、そ
の利用範囲を著しく狭めている。
負極とするアルカリ二次電池の充放電繰り返し寿命が他
のアルカリ二次電池に比較して著しく短いものとし、そ
の利用範囲を著しく狭めている。
【0007】上記の亜鉛負極の欠点は水酸化亜鉛がアル
カリ水溶液中に溶解するという基本的な化学的特性に起
因しているが、亜鉛の溶出を抑制するいくつかの方法が
提唱されている。
カリ水溶液中に溶解するという基本的な化学的特性に起
因しているが、亜鉛の溶出を抑制するいくつかの方法が
提唱されている。
【0008】US特許4,358,517においては、
亜鉛負極中にカルシウムの水酸化物あるいは酸化物を添
加し、放電時に不溶性のカルシウムジンケートを形成せ
しめ、水酸化亜鉛を不溶化できるとしている。
亜鉛負極中にカルシウムの水酸化物あるいは酸化物を添
加し、放電時に不溶性のカルシウムジンケートを形成せ
しめ、水酸化亜鉛を不溶化できるとしている。
【0009】かかる方法では、酸化亜鉛とほぼ同重量の
水酸化カルシュウムの混合体を成形後還元して多孔質亜
鉛負極を得るが、負極重量当たりの亜鉛重量が顕著に減
少するため、亜鉛負極の高エネルギー密度という最大の
特徴を失う。
水酸化カルシュウムの混合体を成形後還元して多孔質亜
鉛負極を得るが、負極重量当たりの亜鉛重量が顕著に減
少するため、亜鉛負極の高エネルギー密度という最大の
特徴を失う。
【0010】表面多孔質層で亜鉛の溶出を抑制する方法
として、特開昭57―163963で密着性の多孔質酸
化マグネシウムの形成を提唱している。
として、特開昭57―163963で密着性の多孔質酸
化マグネシウムの形成を提唱している。
【0011】かかる酸化マグネシウム層は亜鉛負極板に
塗布あるいはスプレー法により密着形成されるが、酸化
マグネシウム粉末を原料とすることから、多孔質亜鉛負
極を均一な薄層で被覆して負極活物質とするのは難しく
平板負極に利用が限定され、この方法では亜鉛負極の高
出力密度の特徴を失う。
塗布あるいはスプレー法により密着形成されるが、酸化
マグネシウム粉末を原料とすることから、多孔質亜鉛負
極を均一な薄層で被覆して負極活物質とするのは難しく
平板負極に利用が限定され、この方法では亜鉛負極の高
出力密度の特徴を失う。
【0012】その他電解質水溶液中に弗化物イオンの添
加等が試みられているが改善がみられたとする効果は報
告されていない。
加等が試みられているが改善がみられたとする効果は報
告されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、水酸化
亜鉛の不溶化処理を施した従来の亜鉛負極活物質では、
充放電繰り返し寿命の改善はみられたものの、エネルギ
ー密度あるいは出力密度の著しい低下を招いた。
亜鉛の不溶化処理を施した従来の亜鉛負極活物質では、
充放電繰り返し寿命の改善はみられたものの、エネルギ
ー密度あるいは出力密度の著しい低下を招いた。
【0014】本発明はかかる現状に鑑み、エネルギー密
度と出力密度の低下を軽減しつつ、放電時に生成した水
酸化亜鉛が電解質中に溶出するのを抑制して、充放電の
繰り返しによる亜鉛デンドライト生成と形状変化を低減
できる亜鉛アルカリ二次電池の負極活物質を提供するこ
とを目的とする。
度と出力密度の低下を軽減しつつ、放電時に生成した水
酸化亜鉛が電解質中に溶出するのを抑制して、充放電の
繰り返しによる亜鉛デンドライト生成と形状変化を低減
できる亜鉛アルカリ二次電池の負極活物質を提供するこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に沿って鋭意研究の結果、電池の充放電反応とは無関
係でかつアルカリ水溶液中に溶解しない水酸化物で亜鉛
負極表面を被覆することにより、放電時に生成する水酸
化亜鉛の溶出を抑制できることを見いだし、本発明に到
達した。
的に沿って鋭意研究の結果、電池の充放電反応とは無関
係でかつアルカリ水溶液中に溶解しない水酸化物で亜鉛
負極表面を被覆することにより、放電時に生成する水酸
化亜鉛の溶出を抑制できることを見いだし、本発明に到
達した。
【0016】すなわち、本発明は、アルカリ水溶液中で
実質的な溶解度を示さず、かつ電池の充放電反応の電位
範囲で酸化・還元反応を伴わない水酸化物で被覆された
亜鉛アルカリ二次電池用の亜鉛負極活物質である。
実質的な溶解度を示さず、かつ電池の充放電反応の電位
範囲で酸化・還元反応を伴わない水酸化物で被覆された
亜鉛アルカリ二次電池用の亜鉛負極活物質である。
【0017】本発明の亜鉛負極表面を被覆する水酸化物
および水和酸化物は、スカンジウム、イットリウムある
いはランタノイド属元素の水酸化物の単体あるいは混合
物であることを特徴とする。
および水和酸化物は、スカンジウム、イットリウムある
いはランタノイド属元素の水酸化物の単体あるいは混合
物であることを特徴とする。
【0018】また、亜鉛負極表面を水酸化物で被覆する
方法は、スカンジウム、イットリウム、あるいはランタ
ノイド属元素が溶解している水溶液中で亜鉛電極に負電
流を通じ、水素発生反応に付随する電極表面のpH増大
を利用して水酸化物を形成せしめることを特徴とする。
方法は、スカンジウム、イットリウム、あるいはランタ
ノイド属元素が溶解している水溶液中で亜鉛電極に負電
流を通じ、水素発生反応に付随する電極表面のpH増大
を利用して水酸化物を形成せしめることを特徴とする。
【0019】以下に、本発明の亜鉛負極活物質について
詳細に説明する。
詳細に説明する。
【0020】アルカリ二次電池の負極としては、カドミ
ウムが最も通常に用いられ、次いで鉄電極が用いられて
いるが、亜鉛電極の使用は用途が限られ、未だ研究の域
にある。カドミウムと鉄負極においては、放電反応で生
成する水酸化カドミウムと水酸化第1鉄はアルカリ電解
質水溶液には溶解しない。
ウムが最も通常に用いられ、次いで鉄電極が用いられて
いるが、亜鉛電極の使用は用途が限られ、未だ研究の域
にある。カドミウムと鉄負極においては、放電反応で生
成する水酸化カドミウムと水酸化第1鉄はアルカリ電解
質水溶液には溶解しない。
【0021】その結果、充放電の繰り返しに伴う電極の
形状変化あるいはデンドライト形成は軽微である。他
方、亜鉛負極では、放電反応で生成する水酸化亜鉛はア
ルカリ電解質水溶液に溶出する。
形状変化あるいはデンドライト形成は軽微である。他
方、亜鉛負極では、放電反応で生成する水酸化亜鉛はア
ルカリ電解質水溶液に溶出する。
【0022】アルカリ濃度の低下とともに水酸化亜鉛の
溶解度が低下するので、水酸化亜鉛溶出を抑制する方法
として電解質中のアルカリ濃度を低下させることが考え
られる。
溶解度が低下するので、水酸化亜鉛溶出を抑制する方法
として電解質中のアルカリ濃度を低下させることが考え
られる。
【0023】しかし、アルカリ濃度の低下は溶液抵抗の
増大を引き起こすとともに、通常は水酸化ニッケルであ
る正極活物質の活性を著しく損なうので、高アルカリ濃
度はこのタイプの二次電池の必須条件である。
増大を引き起こすとともに、通常は水酸化ニッケルであ
る正極活物質の活性を著しく損なうので、高アルカリ濃
度はこのタイプの二次電池の必須条件である。
【0024】イオン種は透過するが水酸化カリウム等の
電解質の拡散を抑制できるイオン透過性層による亜鉛負
極表面被覆は、水酸化亜鉛が高濃度のアルカリ電解質水
溶液に直接に接しないため、水酸化亜鉛の溶出が抑制で
きる一つの方法である。
電解質の拡散を抑制できるイオン透過性層による亜鉛負
極表面被覆は、水酸化亜鉛が高濃度のアルカリ電解質水
溶液に直接に接しないため、水酸化亜鉛の溶出が抑制で
きる一つの方法である。
【0025】このイオン透過性物質は有機高分子からな
るイオン交換膜である必要はない。高濃度のアルカリ溶
液中で安定であり、イオン伝導度が高いものであれば無
機化合物でも良い。
るイオン交換膜である必要はない。高濃度のアルカリ溶
液中で安定であり、イオン伝導度が高いものであれば無
機化合物でも良い。
【0026】アルカリ二次電池の負極のうちカドミウム
と鉄負極上に生成する水酸化カドミウムと水酸化第1鉄
層それ自体がイオン透過性があることが知られている。
と鉄負極上に生成する水酸化カドミウムと水酸化第1鉄
層それ自体がイオン透過性があることが知られている。
【0027】すなわち、負極表面とその水酸化物層界面
での充放電反応は、水酸化物微粒子の隙間を透過する水
酸化物イオンの輸送を介して進行している。
での充放電反応は、水酸化物微粒子の隙間を透過する水
酸化物イオンの輸送を介して進行している。
【0028】これらの水酸化物層は電解質の拡散を抑制
するので、負極表面の水酸化物イオンの濃度は電解質溶
液中に比較して小さいことが期待できる。
するので、負極表面の水酸化物イオンの濃度は電解質溶
液中に比較して小さいことが期待できる。
【0029】理想的に電解質拡散を抑制した場合には、
負極と水酸化物層界面の水酸化物イオンの濃度は水酸化
カドミウムあるいは水酸化第1鉄の解離平衡反応定数の
大きさで決まる。
負極と水酸化物層界面の水酸化物イオンの濃度は水酸化
カドミウムあるいは水酸化第1鉄の解離平衡反応定数の
大きさで決まる。
【0030】亜鉛負極においてもその表面を水酸化物で
被覆することにより、亜鉛負極表面が電解質溶液より低
濃度の水酸化物イオン環境を作り出すことができる。
被覆することにより、亜鉛負極表面が電解質溶液より低
濃度の水酸化物イオン環境を作り出すことができる。
【0031】この水酸化物層は濃厚アルカリ溶液に溶解
しないものであるとともに、亜鉛二次電池の充放電の電
気化学反応とは無関係でなければならない。また作成時
の水洗等の操作に耐える特性を有する必要がある。
しないものであるとともに、亜鉛二次電池の充放電の電
気化学反応とは無関係でなければならない。また作成時
の水洗等の操作に耐える特性を有する必要がある。
【0032】この見地から、亜鉛負極被覆に水酸化カド
ミウム、水和酸化カドミウムあるいは水酸化第1鉄を用
いることは、電気化学反応の存在の故に不適である。
ミウム、水和酸化カドミウムあるいは水酸化第1鉄を用
いることは、電気化学反応の存在の故に不適である。
【0033】亜鉛アルカリ二次電池の充放電反応は、負
極においては、Zn+2H2O=Zn(OH)2+2H+
+2eである。
極においては、Zn+2H2O=Zn(OH)2+2H+
+2eである。
【0034】正極反応としては、ニッケル正極の場合、
Ni(OH) 2=NiOOH+H++eであり、空気負極
の場合は2H 2O=O2+4H++4eである。
Ni(OH) 2=NiOOH+H++eであり、空気負極
の場合は2H 2O=O2+4H++4eである。
【0035】これらの電気化学反応の電位範囲で酸化還
元反応が存在しない水酸化物としてスカンジウム(S
c)、イットリウム(Y)とランタノイド属の3価の水
酸化物が挙げられる。
元反応が存在しない水酸化物としてスカンジウム(S
c)、イットリウム(Y)とランタノイド属の3価の水
酸化物が挙げられる。
【0036】これらの元素の3価の電子状態と金属状態
との平衡電位は極めて卑であることが特徴であり、いず
れも亜鉛の2価の電子状態と金属状態の平衡電位より卑
である。
との平衡電位は極めて卑であることが特徴であり、いず
れも亜鉛の2価の電子状態と金属状態の平衡電位より卑
である。
【0037】ランタイド属の元素のうちセリウム(C
e)とプラセオジム(Pr)は3価と4価の電子状態の
酸化還元反応があるが、その平衡電位は正極の水酸化ニ
ッケルあるいは酸素の酸化還元平衡電位より貴であり、
亜鉛アルカリ二次電池の充放電反応とは無関係である。
e)とプラセオジム(Pr)は3価と4価の電子状態の
酸化還元反応があるが、その平衡電位は正極の水酸化ニ
ッケルあるいは酸素の酸化還元平衡電位より貴であり、
亜鉛アルカリ二次電池の充放電反応とは無関係である。
【0038】上記のスカンジウム、イットリウムおよび
ランタノイド属の元素には、産出量が希少で分離・精製
が困難なため、価格が極めて高価なものが含まれ、実用
上の見地からは、イットリウム(Y)、ランタン(L
a)、セリウム(Ce)、およびニオジム(Nd)に利
用は限定されるであろう。
ランタノイド属の元素には、産出量が希少で分離・精製
が困難なため、価格が極めて高価なものが含まれ、実用
上の見地からは、イットリウム(Y)、ランタン(L
a)、セリウム(Ce)、およびニオジム(Nd)に利
用は限定されるであろう。
【0039】これらの元素の水酸化物のアルカリ溶液中
の溶解度も小さいのが特徴である。溶解度あるいは溶解
イオン濃度の数値は文献によって異なるが、例えば、P
ourbaix著のAtoras of Electr
ochemical Equilibria in A
queous Solutionsによると水酸化イッ
トリウムの溶解反応Y(OH)3+3H+=Y3++3H 2
Oによる平衡Y3+濃度の対数値はlogC=19.86
−3pHで与えられ、中性およびアルカリ性溶液中の溶
解度が十分に小さいことが分かる。
の溶解度も小さいのが特徴である。溶解度あるいは溶解
イオン濃度の数値は文献によって異なるが、例えば、P
ourbaix著のAtoras of Electr
ochemical Equilibria in A
queous Solutionsによると水酸化イッ
トリウムの溶解反応Y(OH)3+3H+=Y3++3H 2
Oによる平衡Y3+濃度の対数値はlogC=19.86
−3pHで与えられ、中性およびアルカリ性溶液中の溶
解度が十分に小さいことが分かる。
【0040】また、水酸化ランタンのLa3+濃度の対数
値はlogC=23.02−3pHで与えられ、3価の
水酸化セリウムではlogC=22.15−3pH、水
酸化ニオジムではlogC=21.25−3pHで与え
られている。
値はlogC=23.02−3pHで与えられ、3価の
水酸化セリウムではlogC=22.15−3pH、水
酸化ニオジムではlogC=21.25−3pHで与え
られている。
【0041】亜鉛負極表面にスカンジウム、イットリウ
ム、あるいはランタノイド属元素の水酸化物層を形成せ
しめるには、予め調整した水酸化物等を塗布あるいはス
プレーしてもよいが、より好適には、これらのイオンが
溶解している弱酸性あるいは酸性溶液中に亜鉛負極を浸
漬し、白金等の溶解しない金属を陽極として、亜鉛負極
に負電流を通じる方法が挙げられる。
ム、あるいはランタノイド属元素の水酸化物層を形成せ
しめるには、予め調整した水酸化物等を塗布あるいはス
プレーしてもよいが、より好適には、これらのイオンが
溶解している弱酸性あるいは酸性溶液中に亜鉛負極を浸
漬し、白金等の溶解しない金属を陽極として、亜鉛負極
に負電流を通じる方法が挙げられる。
【0042】かかる水酸化物層の形成する方法は、負極
で進行する水素発生反応にともない表面近傍のpHが上
昇し、表面近傍における溶解度が小さくなって水酸化物
として析出する原理を利用している。
で進行する水素発生反応にともない表面近傍のpHが上
昇し、表面近傍における溶解度が小さくなって水酸化物
として析出する原理を利用している。
【0043】一般にかかる方法で形成される皮膜は水を
含有する水酸化物あるいは水和酸化物であり、両者を厳
密に区別することができないので、本発明においては水
酸化物として記述している。
含有する水酸化物あるいは水和酸化物であり、両者を厳
密に区別することができないので、本発明においては水
酸化物として記述している。
【0044】上記の方法での形成される水酸化物層の厚
さは溶液中のイオン濃度、pH、攪拌条件、電流密度、
通電時間、温度等に依存する。
さは溶液中のイオン濃度、pH、攪拌条件、電流密度、
通電時間、温度等に依存する。
【0045】例えば、0.1モル濃度の硝酸ランタン溶
液中、常温、非攪拌条件で電流密度数mA/cm2にて
数分通電するだけミクロンオーダの皮膜を形成すること
ができる。
液中、常温、非攪拌条件で電流密度数mA/cm2にて
数分通電するだけミクロンオーダの皮膜を形成すること
ができる。
【0046】もちろん、複数のイオン種の混合溶液を用
いた場合には混合された水酸化物皮膜ができる。
いた場合には混合された水酸化物皮膜ができる。
【0047】本発明は、かかる方法で表面被覆された亜
鉛負極を水洗後にアルカリ二次電池の亜鉛負極活物質と
するものである。
鉛負極を水洗後にアルカリ二次電池の亜鉛負極活物質と
するものである。
【0048】また、亜鉛負極表面を水酸化物で被覆する
ために本発明で提唱された通電法の特徴は、平板状亜鉛
負極でも多孔質負極でも、形状に無関係に薄い皮膜を形
成することを可能とすることである。
ために本発明で提唱された通電法の特徴は、平板状亜鉛
負極でも多孔質負極でも、形状に無関係に薄い皮膜を形
成することを可能とすることである。
【0049】さらに、水酸化物が乾燥される工程が無い
ので、表面被覆層中に高い含水量が維持され、その結
果、大きいイオン伝導度が期待できるのも本方法の特徴
である。
ので、表面被覆層中に高い含水量が維持され、その結
果、大きいイオン伝導度が期待できるのも本方法の特徴
である。
【0050】
【実施例】以下、実施例および比較例に基づいて本発明
を具体的に説明する。
を具体的に説明する。
【0051】
【実施例1】市販の硝酸ランタンLa(NO3)3xH2
O 20gを高純度水1リットルに溶解した溶液中で、
純度99.9%の亜鉛平板を負極として電流密度2mA
/cm2にて5分間通電して水酸化ランタンの薄層で被
覆された亜鉛電極を得た。
O 20gを高純度水1リットルに溶解した溶液中で、
純度99.9%の亜鉛平板を負極として電流密度2mA
/cm2にて5分間通電して水酸化ランタンの薄層で被
覆された亜鉛電極を得た。
【0052】この平板亜鉛電極を水洗後に亜鉛を溶解さ
せていない重量濃度40%の水酸化カリウム水溶液に導
入し、水銀・酸化水銀電極を参照電極として関数発生器
付きの定電位分極電源により−1.7Vと−1.3Vと
の間を10mV/秒の電位走引速度で繰り返し通電して
電流変化を記録した。
せていない重量濃度40%の水酸化カリウム水溶液に導
入し、水銀・酸化水銀電極を参照電極として関数発生器
付きの定電位分極電源により−1.7Vと−1.3Vと
の間を10mV/秒の電位走引速度で繰り返し通電して
電流変化を記録した。
【0053】図1に電流密度と電位の関係の一例を示
す。図1において正の電流は亜鉛が水酸化亜鉛に酸化さ
れる放電反応に関するものであり、ピーク状の負電流は
溶出せずに亜鉛上に残存した水酸化亜鉛の還元反応で充
電反応に関するものである。
す。図1において正の電流は亜鉛が水酸化亜鉛に酸化さ
れる放電反応に関するものであり、ピーク状の負電流は
溶出せずに亜鉛上に残存した水酸化亜鉛の還元反応で充
電反応に関するものである。
【0054】したがって、ピーク状の負電流の面積と正
電流の面積の比は充電反応時に生成した水酸化亜鉛が溶
出しないで電極表面に残存する比率を与える。第1表に
各繰り返し回における水酸化亜鉛の残存率を示す。
電流の面積の比は充電反応時に生成した水酸化亜鉛が溶
出しないで電極表面に残存する比率を与える。第1表に
各繰り返し回における水酸化亜鉛の残存率を示す。
【0055】また、第1表には水酸化イットリウム、水
酸化第1セリウム、水酸化ネオジムおよびランタンとイ
ットリウムの混合水酸化物で被覆された亜鉛電極におけ
る水酸化亜鉛残存率も併せて示されている。
酸化第1セリウム、水酸化ネオジムおよびランタンとイ
ットリウムの混合水酸化物で被覆された亜鉛電極におけ
る水酸化亜鉛残存率も併せて示されている。
【0056】
【表1】
【0057】
【比較例1】水酸化物で被覆されていない亜鉛平板を電
極して、実施例1に同じ条件で電位走引を繰り返して電
流化を記録した。図2に電流密度と電位関係の一例を示
し、第1表の比較例欄に水酸化亜鉛の残存率を示す。
極して、実施例1に同じ条件で電位走引を繰り返して電
流化を記録した。図2に電流密度と電位関係の一例を示
し、第1表の比較例欄に水酸化亜鉛の残存率を示す。
【0058】第1表および図1と図2に示した実施例1
と比較例1より、亜鉛表面を被覆したイットリウム、ラ
ンタニウム、セリウム、およびニオジムの水酸化物層、
さらにそれらの混合水酸化物層は、二次電池亜鉛負極の
放電反応過程で生成する水酸化亜鉛の濃厚アルカリ電解
質水溶液中への溶出を抑制し、水酸化亜鉛の表面残存率
を高める効果を有する。
と比較例1より、亜鉛表面を被覆したイットリウム、ラ
ンタニウム、セリウム、およびニオジムの水酸化物層、
さらにそれらの混合水酸化物層は、二次電池亜鉛負極の
放電反応過程で生成する水酸化亜鉛の濃厚アルカリ電解
質水溶液中への溶出を抑制し、水酸化亜鉛の表面残存率
を高める効果を有する。
【0059】
【実施例2】イットリウムの水酸化物層を実施例1と同
じ方法で形成せしめた亜鉛平板電極を、水酸化亜鉛を予
め飽和した40%水酸化カリウム水溶液を電解質とし
て、通電条件を正電流70mA/cm2で75秒と負電
流35mA/cm2で150秒として100回繰り返
し、表面形状変化を光学顕微鏡で観察した。
じ方法で形成せしめた亜鉛平板電極を、水酸化亜鉛を予
め飽和した40%水酸化カリウム水溶液を電解質とし
て、通電条件を正電流70mA/cm2で75秒と負電
流35mA/cm2で150秒として100回繰り返
し、表面形状変化を光学顕微鏡で観察した。
【0060】図3に模式的に示すように、亜鉛表面は水
酸化物層の内側で波状構造であって、デンドライトは形
成されなかった。
酸化物層の内側で波状構造であって、デンドライトは形
成されなかった。
【0061】
【比較例2】水酸化物層で被覆されない亜鉛平板電極を
実施例2と同じ条件で40回繰り返し、表面形状変化を
光学顕微鏡で観察した。亜鉛表面には図4で模式的に示
すステップ状突起とデンドライト突起が多数観察され
た。
実施例2と同じ条件で40回繰り返し、表面形状変化を
光学顕微鏡で観察した。亜鉛表面には図4で模式的に示
すステップ状突起とデンドライト突起が多数観察され
た。
【0062】
【発明の効果】本発明のアルカリ二次電池亜鉛負極表面
を被覆するスカンジウム、イットリウムあるいはランタ
ノイド属元素の水酸化物層、実用的にはそのうちイット
リウム、ランタン、セレニウム、あるいはニオジム水酸
化物層は、放電反応で生成する水酸化亜鉛のアルカリ電
解質溶液中への溶出を抑制して水酸化亜鉛を負極表面に
保存する結果、充放電の繰り返しによる亜鉛負極の形状
変化とデンドライト生成を軽減する効果を有す。
を被覆するスカンジウム、イットリウムあるいはランタ
ノイド属元素の水酸化物層、実用的にはそのうちイット
リウム、ランタン、セレニウム、あるいはニオジム水酸
化物層は、放電反応で生成する水酸化亜鉛のアルカリ電
解質溶液中への溶出を抑制して水酸化亜鉛を負極表面に
保存する結果、充放電の繰り返しによる亜鉛負極の形状
変化とデンドライト生成を軽減する効果を有す。
【図1】電流密度と電位の関係の一例を示す図である。
【図2】電流密度と電位の関係の一例を示す図である。
【図3】亜鉛表面形状の模式図である。
【図4】亜鉛表面形状の模式図である。
1 亜鉛 2 Y(OH)3
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/24,4/26 H01M 4/42,4/62
Claims (3)
- 【請求項1】 アルカリ水溶液中で実質的な溶解度を示
さず、かつ電池の充放電反応の電位範囲で酸化・還元反
応を伴わない水酸化物被覆された亜鉛アルカリ二次電池
用の亜鉛負極活物質。 - 【請求項2】 水酸化物がスカンジウム、イットリウ
ム、あるいはランタノイド属元素の水酸化物の単体ある
いは混合物である請求項1記載の亜鉛アルカリ二次電池
用の亜鉛負極活物質。 - 【請求項3】 スカンジウム、イットリウム、あるいは
ランタノイド属元素が溶解している水溶液中で亜鉛電極
に負電流を通じ、水素発生反応に付随する電極表面のp
H増大を利用して水酸化物の薄膜を形成せしめることを
特徴とする亜鉛アルカリ二次電池用の亜鉛負極活物質の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3326741A JP3004431B2 (ja) | 1991-11-15 | 1991-11-15 | 亜鉛負極活物質 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3326741A JP3004431B2 (ja) | 1991-11-15 | 1991-11-15 | 亜鉛負極活物質 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05144431A JPH05144431A (ja) | 1993-06-11 |
JP3004431B2 true JP3004431B2 (ja) | 2000-01-31 |
Family
ID=18191165
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3326741A Expired - Lifetime JP3004431B2 (ja) | 1991-11-15 | 1991-11-15 | 亜鉛負極活物質 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3004431B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014018544A (ja) * | 2012-07-23 | 2014-02-03 | Erevo Japan 株式会社 | 車いす用車体フレーム |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3490799B2 (ja) * | 1995-05-31 | 2004-01-26 | 三洋電機株式会社 | 水素吸蔵合金電極、その製造方法及びアルカリ蓄電池 |
WO2014119663A1 (ja) | 2013-02-01 | 2014-08-07 | 株式会社日本触媒 | 電極前駆体、電極、及び、電池 |
EP3306706B1 (en) | 2015-06-03 | 2023-08-30 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Anion conducting membrane |
WO2017077991A1 (ja) * | 2015-11-06 | 2017-05-11 | 日産自動車株式会社 | 二次電池用亜鉛負極材 |
-
1991
- 1991-11-15 JP JP3326741A patent/JP3004431B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014018544A (ja) * | 2012-07-23 | 2014-02-03 | Erevo Japan 株式会社 | 車いす用車体フレーム |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05144431A (ja) | 1993-06-11 |
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