JP3003597B2 - 固体撮像素子 - Google Patents

固体撮像素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体撮像素子のフォ
オトダイオード上層の膜構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、固体撮像素子のフォトダイオード
の上部には、特開平4−326763号公報に示される
ように、蛍光発光膜が青感度増大を目的として用いられ
ている。図8に特開平4−326763に示される固体
撮像素子のフォトダイオード部の構造を示す。シリコン
基板26上にフォトダイオード27を有しその上層に保
護膜28、蛍光発光膜29が形成されている。蛍光発光
膜29は感度改善を図ろうとする所望の波長域に吸収が
あり、その波長域よりも長波長側でありフォトダイオー
ド27における感度が高い波長域で発光する。フォトダ
イオードの形成されているシリコン基板と上部シリコン
酸化膜界面とは屈折率差が大きく、これらの界面での反
射散乱に伴う青感度減衰が大きいので、シリコン基板と
酸化膜界面で青色光が減衰される前に蛍光顔料により長
波長光に変換することにより、青感度を向上させてい
る。また、裏面から信号を入射するタイプの固体撮像素
子においても、センサが形成されている基板へ入射する
際の青色光減衰が大きいため、裏面に蛍光発光膜を設け
ることにより青感度向上が図られている。
【0003】また、特開平4−322467に示される
ように、図9のごとく、図8の上部に信号をフォトダイ
オード31に集光するためのマイクロレンズ33が形成
された固体撮像素子ではマイクロレンズ33に蛍光顔料
を混ぜ、さらに、マイクロレンズ33上に1層より成る
蛍光反射膜34を設けたものもある。蛍光反射膜34
は、蛍光発光膜33の発光波長の光を反射する膜であ
り、これによりフォトダイオード31に入射しない蛍光
発光を効率的にフォトダイオード31に入射できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平4−32676
3のように、図8に示すごとき構造では蛍光は四方八方
に発光されるためフォトダイオード27に入射しない方
向への発光はロスとなる。また、隣のフォトダイオード
に入射すると誤信号となり解像度等が劣化してしまう。
【0005】また、特開平4−322467のように、
図9に示すごとくマイクロレンズ33に蛍光顔料を混ぜ
た場合、マイクロレンズ33内の蛍光顔料の濃度が一定
でないことによって屈折率の分布が一様でなくなり、フ
ォトダイオード31への集光効率が落ちてしまう。ま
た、蛍光反射膜34も1層では効果が小さい。また、蛍
光発光の蛍光反射膜34により反射光が隣のフォトダイ
オードに入射すると誤信号となり解像度等が劣化してし
まう。
【0006】本発明は固体撮像素子の青感度を、蛍光顔
料を用いて、クロストークなく、効率よく高めることを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明においては上記課
題を、 1.マトリックス状に受光部を有し、隣接する受光部間
上層に遮光膜を有する、すなわち、任意の受光部の周囲
の上層に遮光膜を有する固体撮像素子において、任意の
受光部上層、または受光部上層で遮光膜上端より下層に
波長変換部を有すること、 2.固体撮像素子において、波長変換部上層に波長変換
部の吸収波長は透過し、発光波長は反射するような1層
または多層より成る干渉フィルタを有すること、そして 3.受光部がフォトダイオードより成る可視域の固体撮
像素子において、フォトダイオードを基板内深くまで形
成し、感度のピーク波長を比視感度曲線のピーク波長よ
り長波長側にシフトさせることにより解決している。
【0008】
【発明の実施の形態】図1に本発明の固体撮像素子の一
実施の形態を示す。固体撮像素子の遮光膜5間のフォト
ダイオード10上に波長変換部である蛍光発光膜9を埋
め込み、その上部に蛍光顔料の吸収波長の光信号は透過
し、発光波長の光信号は反射するような蛍光反射膜であ
る干渉フィルタ3を形成している。図2に固体撮像素子
の一例の平面図を示す。一般に固体撮像素子の受光部と
しての各フォトダイオード10周囲上層はフォトダイオ
ード10以外に入射するスミア(smear)等の疑信
号を低減するため遮光膜5が設けられている。したがっ
て、遮光膜5間に蛍光発光膜9を埋め込めば四方八方へ
の蛍光発光による隣接フォトダイオードとのクロストー
クを防ぐことができる。
【0009】以下に製造方法を示す。固体撮像素子では
一般に遮光膜5形成後、カバー膜4(保護膜)が形成さ
れる。本発明では、その後、蛍光発光膜9を遮光膜5間
のみに形成するか、または、遮光膜5の上まで形成した
後エッチバック等により遮光膜5上に形成された蛍光発
光膜9を除去する。その後、蛍光顔料の吸収波長の信号
は透過し、発光波長の信号は反射するような蛍光反射膜
としての干渉フィルタ3を形成する。その後は、一般の
固体撮像素子のごとく、平坦化層2を形成し、必要に応
じマイクロレンズ1を形成する。
【0010】なお、蛍光顔料の発光波長での蛍光反射膜
3の反射率を大きくすると、3板式カラーカメラの青色
センサとして利用できる。また、反射率をあまり大きく
しないと、現状より青感度の大きい、全波長域で使用可
能な固体撮像素子も形成できる。また、3板式の青色セ
ンサとして用いるなら、フォトダイオード10のNウェ
ルを深くまで形成することにより、さらに青感度を向上
できる。
【0011】以上、青感度向上について述べてきたが、
蛍光発光膜9の代わりに、YAGレーザの発光検出に用
いられるような赤色光を吸収し緑色光を発光するような
IRコンバータ(波長変換部としての)を用いれば、固
体撮像素子の赤感度を隣接するフォトダイオードとのク
ロストークがなく、高めることができる。
【0012】ここで、固体撮像素子の作用について述べ
る。図7にCCDの分光量子効率の一例を示す。適用す
る蛍光顔料の吸収波長はλ1 nmで発光波長がλ2 nm
であり、発光効率(発光量/入射量)はαであるとす
る。蛍光顔料による発光は四方八方に行われるため、発
光のうちβがフォトダイオードに達するとする。また、
フォトダイオードの吸収波長での量子効率をη1 、発光
波長での量子効率をη2とする。吸収波長の信号につい
て考える。蛍光顔料をフォトダイオード上に塗布した場
合には、α・β・η2 の青色信号がフォトダイオードに
達するのに対し、蛍光顔料なしの場合には、η1 の青色
信号がフォトダイオードに達する。したがって、 α・β・η2 /η1 >1 (1) であれば、蛍光顔料塗布時の青色感度の方が大きくな
る。
【0013】次に蛍光反射膜について述べる。これは、
上式(1)のβを高めるものである。蛍光反射膜は蛍光
顔料の吸収波長の信号を透過し、発光波長の信号を反射
する干渉フィルタ膜を指し、蛍光発光膜上に形成するこ
とにより、蛍光顔料による四方八方への発光のうち、フ
ォトダイオードと逆方向に出るものを、フォトダイオー
ドに入射するようにするものである。
【0014】図5のような多層膜で、各膜の屈折率が上
からn1 ,n2 ,n3 で、中央の膜の厚さをd、入射光
波長をλとする。n1 <n2 >n3 の場合、光線1と光
線2は反射時に位相がπずれるので、 d−m・λ/4/n2 m:奇数のとき反射が促進され、 d=m・λ/4/n2 m:偶数のとき反射が抑制される。 (A) よって、膜厚dを調整することにより、ある波長λ1
反射を促進し、ある波長λ2 で反射を抑制することがで
きる。ただし、反射の強さは屈折率差で決定されるた
め、この構造では膜種変更でしか反射の強さを変更でき
ない。しかし、図6のように、もっと層数の多い多層膜
構造とし、i番目の膜厚を、波長λ1 は反射をゼロ近く
に抑え、波長λ2 は反射を増加させる膜厚とすれば、多
重反射は無視しているが、ほぼ、波長λ1 の反射はゼロ
近くのまま、波長λ2 の反射のみを増加できる。この構
造では2種類の膜を交互に重ねるのが簡単と考えられ
る。
【0015】次に、図3に、再度、CCDの分光量子効
率を示す。一般にCCDの分光感度のピークは比視感度
に併せて波長550nmに設定されるので、分光量子効
率のピーク波長は図7のように460nm程度になる。
この場合のフォトダイオードの深さは1μm程度であ
る。しかし、この場合、図7からわかるように、(1)
式のη2 /η1 が小さい。図3はη2 /η1 を大きくす
べく、フォトダイオードのNウェルをより深くまで形成
し、感度のピークを長波長側にシフトさせた場合の分光
量子効率である。このような特性のCCDを用いれば、
さらに、青感度向上が図れる。(1)式のαは、使用す
る蛍光顔料で決まってしまう。
【0016】また、クロストークに関しては、実施例で
図面で示すが、CCDの遮光膜間に蛍光発光膜を埋め込
むことにより、隣のフォトダイオードとのクロストーク
を無くすことができる。
【0017】また、膜に蛍光顔料を混ぜた場合、蛍光顔
料の濃度分布が一様とならないため屈折率の分布も一様
とならないという問題に関しては、マイクロレンズに混
入した場合は、集光を行わないといけないため問題とな
るが、本実施例では集光を要求されない膜に混ぜている
ので問題とならない。
【0018】
【実施例】図1に本発明の一実施例を示す。図面は実施
の形態のものと共通である。なお、遮光膜は図2に示す
ごとく、各フォトダイオード周囲の上層に形成されてい
る。半導体基板であるSi基板(N−Sub)12上に
Pウェル13が形成され、Pウェル13上にフォトダイ
オード10部のNウェル14と電荷転送用CCD11部
のNウェル15が形成されている。CCD部11部上に
は下から順にゲート酸化膜(SiO2 )8、ゲート電極
(nドープポリシリコン)7、層間酸化膜(SiO2
6が形成され、その上層に遮光膜(タングステンまたは
アルミ)5とカバー膜(SiO2 )4がCCD部を覆う
ように形成され、さらに上層に干渉フィルタである蛍光
反射膜3、平坦化膜(SiO2 または樹脂)2が形成さ
れている。フォトダイオード部10上には層間酸化膜6
等のSiO2 膜、カバー膜4が形成され、その上層には
遮光膜5間を埋めるように蛍光発光膜9が形成されてい
る。その上層には、蛍光反射膜3、平坦化膜2、マイク
ロレンズ1が形成されている。
【0019】フォトダイオードのNウェル14は通常よ
り深くまで形成され、図3のごとき分光量子効率を有す
る。また、蛍光発光膜9の蛍光顔料には吸収波長400
nm、発光波長550nmの lumogen 410(製品名)を
用いている。
【0020】蛍光発光膜9は、カバー膜4形成後、蛍光
顔料を混入したバイラリン(ポリイミドの1種)をスピ
ンナを用いて塗布し、オーブンで乾燥させ、その後、エ
ッチバックし遮光膜5上端より上層のバイラリンを除去
して形成される。フォトダイオード10上の物質は屈折
率がどれもほぼ1.46近くで透明である。蛍光発光膜
9の発光顔料を混ぜたバイラリンも屈折率が1.46程
度で透明である。
【0021】蛍光反射膜3は400nmの蛍光吸収波長
は透過し、550nnmの蛍光発光波長は反射する必要
がある。いま、蛍光反射膜3の構造として、屈折率2の
シリコン窒化膜と、屈折率1.46のシリコン酸化膜が
交互に重なった多層膜を考える。例えば、図6の奇数番
目が窒化膜で偶数番目が酸化膜で、n部が平坦化膜
2、ns 部が蛍光発光膜9であるような構造である。蛍
光反射膜の両端の物質の屈折率n0とnsも今1.46
となっている。
【0022】このような多層蛍光反射膜の各層の膜厚に
関し、前述の(A)の条件により、屈折率が2の窒化膜
に関しては膜厚を200nmとしたとき、波長400n
mの信号に対しては次数mが2、波長550nmの信号
に対しては次数mが3となり、400nmは反射が抑制
され、550nmは反射が促進される。屈折率が1.4
6の酸化膜に関しては、膜厚を260nmとしたとき、
100nmの信号に対しては次数mが2、550nmの
信号に対しては次数mが3となり、同じく400nmは
反射が抑制され、550nmは反射が促進される。
【0023】したがって、屈折率2の窒化膜200nm
と屈折率1.46の酸化膜260nmを交互に重ねれ
ば、波長400nmは反射が抑制され、波長550nm
は反射が促進され、かつ反射強度は重ねる膜数で制御で
きる蛍光反射膜を形成できる。
【0024】この多層蛍光反射膜3の反射率を層数が
1,3,5,7,9の場合について、図4に示す。層数
5とは、図6の奇数番目が窒化膜で偶数番目が酸化膜
で、n0部が平坦化膜2、ns が蛍光発光膜9であるよ
うな場合である。図4を見ると、波長400nmの反射
率はほぼ0なので、膜数を増加させるにつれ、波長40
0nmの反射が小さいまま波長550nmの反射が増加
している。
【0025】lumogen 410 のαは0.8であり、βは膜
数9の蛍光反射膜3を付けることにより図4より0.8
3にできる。また、η2 /η1 は図3により2.2程度
となる。この場合、(1)式左辺は1.46となり、蛍
光顔料を用いることにより46%青感度の向上が実現で
きた。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、各受光部
の上方を取囲むように遮光膜を設けると共に、遮光膜間
のフォトダイオード上に蛍光発光膜を埋込み、蛍光発光
膜の上層に、蛍光発光膜の吸収波長は透過し、発光波長
は反射するフィルタを設けることにより、隣接するフォ
トダイオード間のクロストークを防ぎ、固体撮像素子の
青感度を効率良く高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体撮像素子の一実施例の部分断面図
である。
【図2】図1の固体撮像素子の平面図。
【図3】本発明のフォトダイオードの分光量子効率を示
す図。
【図4】本発明の多層膜干渉フィルタの反射率を示す
図。
【図5】本発明の干渉フィルタの構成を示す図。
【図6】本発明の干渉フィルタの構成を示す図。
【図7】固体撮像素子の分光量子効率の一例を示す図。
【図8】従来例の固体撮像素子のフォトダイオード部の
構造を示す図。
【図9】従来例の固体撮像素子のフォトダイオードの構
造を示す図。
【符号の説明】
1 マイクロレンズ 2 平坦化膜 3 蛍光反射膜(干渉フィルタ、フィルタ) 4 カバー膜(保護膜) 5 遮光膜 6 層間膜 7 ゲート電極 8 ゲート酸化膜 9 蛍光発光膜(波長変換部) 10 フォトダイオード(受光部) 11 電荷転送CCD(電荷転送素子) 12 N−Sub(半導体基板) 13 Pウェル 14,15 Nウェル 26 シリコン基板 27 受光領域 28 保護膜 29 蛍光発光膜 30 半導体基板 31 フォトダイオード 32 薄膜 33 蛍光顔料含有樹脂 34 蛍光反射膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−86857(JP,A) 特開 昭59−56766(JP,A) 特開 平5−93780(JP,A) 特開 平9−61536(JP,A) 特開 平9−129857(JP,A) 特開 平9−206296(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 27/14 - 27/148 H01L 29/762 - 29/768

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にマトリックス状に受光部を有
    し、隣接する受光部間上層に設けられ、かつ、各受光部
    の周囲を取囲むように遮光膜が形成されている固体撮像
    素子であって、任意の受光部上層で前記遮光膜の上端よ
    り下層に波長変換部を有し、受光部がフォトダイオード
    より成り、フォトダイオードを基板内深くまで形成し、
    感度のピーク波長を比視感度曲線より長波長側にシフト
    させたことを特徴とする固体撮像素子。
  2. 【請求項2】 波長変換部上層に波長変換部の吸収波長
    は透過し、発光波長は反射する2層以上の膜よりなるフ
    ィルタを有する請求項1記載の固体撮像素子。
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