JP3002923U - 装飾骨材搭載シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】従来技術の有していた課題を解決して、仕上げ
の作業性を格段に向上させることのできる装飾骨材搭載
シートを提供すること。 【構成】上記目的は、耐熱性、耐水性のフィルム状支持
体上にホットメルト粘着剤組成物層を形成してなる粘着
シートの少なくとも一端部を、粘着剤を塗工しないかあ
るいは耐熱性、耐水性の非粘着性テープ状高分子層の形
成によって非粘着性とし、かつ、上記ホットメルト粘着
剤組成物層に装飾骨材を所望の深さに埋め込んでなるこ
とを特徴とする装飾骨材搭載シートとすることによって
達成することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は景観装飾用コンクリートの骨材露出仕上げ等に用いる装飾骨材搭載シ ートに係り、特に、仕上げの作業性を格段に向上させることのできる装飾骨材搭 載シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

コンクリートの骨材露出仕上げについて、これまでに一般に知られている方法 として、洗い出し法と呼ばれる方法がある。この方法は、骨材を練り込んだモル タルあるいはコンクリートをコンクリート下地上あるいは型枠上に打ち込み、こ れらが半硬化の内に表面のモルタル等を洗い流して骨材の一部を露出させるか、 あるいは、骨材を練り込んだモルタルあるいはコンクリートを打ち込んだ後、そ の表面に表面硬化遅延剤を散布するか、硬化遅延シートで表面を被覆する等の手 段によって表面の硬化を遅らせ、内部のみが硬化した段階で未硬化の表面層を洗 い流して、骨材の一部分を露出させるという方法である。

【０００３】 上記洗い出し法においては、多量の水でモルタルを洗い流すため、重金属等を 含む多量の無機物を処理しなければならないこと、高価な装飾用骨材を必要以上 に多量に使用しなければならないこと、多くの時間と人手を要することなどの問 題点があるため、本発明者等は、骨材露出用に開発された新規の粘着シートを使 用し、粘着剤中に骨材を部分的に埋め込み、この上にモルタル等を打ち込んで硬 化させた後、粘着シートを除去して骨材を露出させる方法を提案した(特願平4‐ 284234号)。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のシート利用骨材露出方法は、乾式でありかつ良好な骨材露出面が得られ ることなど優れた特徴を有しているが、モルタル等が硬化した後その表面から粘 着シートを引き剥がして装飾骨材を露出させる際に、シート全面がモルタル等に 密着しているため、剥がし始めに非常な努力を必要とするなどの問題点があり、 改善が望まれていた。

【０００５】 本考案の目的は、上記従来技術の有していた課題を解決して、仕上げの作業性 を格段に向上させることのできる装飾骨材搭載シートを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的は、耐熱性、耐水性のフィルム状支持体上にホットメルト粘着剤組成 物層を形成してなる粘着シートの少なくとも一端部を、粘着剤を塗工しないか、 あるいは、耐熱性、耐水性の非粘着性テープ状高分子層を形成することによって 非粘着性とし、かつ、上記ホットメルト粘着剤組成物層に装飾骨材を所望の深さ に埋め込んでなることを特徴とする装飾骨材搭載シートとすることによって達成 することができる。上記粘着シートはポリエステルフィルムなどの耐熱性、耐水 性の支持体上に粘着剤層を形成させたものであり、この粘着シートの端部を非粘 着性とすることは、この部分に粘着剤を塗工しないか、あるいは、耐熱性、耐水 性のフィルム、紙等を貼り合わせることによって達成される。

【０００７】 上記粘着シートは、変形が可能でかつ装飾用の骨材を搭載するのに適したもの でなければならず、これは、柔軟性のある耐熱性のシート状支持体に粘着剤を塗 工することによって作製することができる。 ここで、柔軟性のある耐熱性のシート状支持体としては、プラスチクスフィル ム、布、紙、不織布など種々のものが使用可能であるが、強度、取扱いの容易性 の点で、プラスチクスフィルムが適している。

【０００８】 また、骨材を固定する粘着剤としては、柔軟性がありかつ特異な粘着特性、す なわち、骨材を固定するのに十分な強さの粘着力を有する一方除去の際に容易に 剥離できる性質、を備えているものを使用する。さらに、骨材を粘着剤層中所望 の深さに埋め込むためには、骨材を粘着剤面に付着させてからこれに圧力を印加 すること、あるいは、加熱することなどの方法を適用するが、骨材を確実に埋め 込むためには、加熱法が適している。従って、このような方式に適した性質をも 兼ね備えたものを使用する。 上記のような性能を有する粘着剤としては、ホットメルト型の粘着剤が適して おり、基材としては、加熱によって変形しない耐熱性のシート、例えばポリエチ レンテレフタレートのようなポリエステルのフィルムや布が適している。

【０００９】 端部の非粘着部分は、この部分に粘着剤を塗工しないか、高分子フィルムや紙 などからなるテープを粘着剤上に貼り付けるなどの方法によって作製する。この 場合、使用する高分子フィルム等は骨材埋め込み工程に耐え得るように耐熱性で あり、かつ、モルタルペーストやコンクリートペーストを打ち込んだ際に水分で 侵されないように耐水性のものを使用する。

【００１０】

【作用】

上記の骨材搭載粘着シート上にモルタルやコンクリートを打ち込んで硬化させ ると粘着剤層から露出している骨材部分はモルタルやコンクリート中に固定され 、粘着シートを剥がすと、粘着剤層中に埋め込まれていた部分の骨材が外部に露 出する。骨材搭載粘着シート上にモルタルやコンクリートを打ち込んで硬化させ たときには、シートの骨材搭載部分あるいは粘着剤露出部分は、全面に亘って、 モルタルやコンクリートに密着している。これは、骨材がモルタル等に強く固定 されているとともに、モルタル等が軟らかい粘着剤層に密着し、これに部分的に 食い込んだような状態で形成されていることによる。このような状態で粘着シー トをモルタル等から引き剥がそうとすると、剥がし始め部分を作るのにかなりの 困難が伴い、また、ときには、シートを傷つけることになり、その後の作業を難 しくする恐れがあるが、端部に非粘着部分を設けて、この部分に装飾骨材が埋め 込まれないように処理しておくと、この部分はモルタル等から容易に剥がれ、シ ートの引き剥がしが極めて容易になる。 また、上記のように、シートの端部が一様に剥がれていると、この部分を適当 なパイプに巻きつけるなどの方法によって、さらに容易に引き剥がすことができ る。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案構成の装飾骨材搭載シートについて、実施例によって具体的に説 明する。

【００１２】

【実施例１】 大きさ600mm×500mm、厚さ38μmのポリエステルフィルム上に、スチレン・ブタ ジエン・スチレンブロック共重合体をベースとするホットメルト系粘着剤を500μ mの厚さに塗工して、粘着シートを作製した。このシートの一端に大きさ10mm× 500mm、厚さ38μmのポリエステルテープを貼り付けた後、シートの粘着剤層上に 平均直径約８mmの装飾用天然石を振りかけ、140℃で20分間加熱して、天然石を 粘着剤層中に部分的に埋め込んで、装飾骨材搭載粘着シートを作製した。図１は このようにして作製した粘着シートの部分断面を示す概念図、図２は装飾骨材搭 載粘着シートの部分断面を示す概念図、図３は装飾骨材搭載粘着シートの上面概 念図で、図において、１はポリエステルフィルム、２は粘着剤、３はポリエステ ルテープ、４は装飾骨材を示す。

【００１３】 上記の装飾骨材搭載粘着シートを600mm×500mm、深さ50mmの型枠に入れ、モル タルを流し込み、60℃で５時間養生してモルタルを硬化させ、粘着剤層から露出 している装飾骨材をモルタル中に固定した。固化したモルタルを型枠から取りだ し、粘着シートを引き剥がして、装飾骨材を露出させた。この際、シートはポリ エステルテープ部分から極めて容易に引き剥がすことができた。

【００１４】

【実施例２】 大きさ600mm×500mm、厚さ38μmのポリエステルフィルム上に、スチレン・ブタ ジエン・スチレンブロック共重合体をベースとするホットメルト系粘着剤を、一 端の10mm幅を残して、500μmの厚さに塗工して、粘着シートを作製した。

【００１５】 この粘着シートに、実施例１の場合と同様にして、装飾骨材を埋め込み、この 表面にモルタルを流し、硬化させた後、粘着シートの引き剥がし性を調べた。結 果は、シートを粘着剤非塗工部分から極めて容易に剥がすことができた。

【００１６】

【考案の効果】

以上述べてきたように、装飾骨材搭載シートを本考案構成のシートとすること によって、従来技術の有していた課題を解決して、仕上げの作業性を格段に向上 させることのできる装飾骨材搭載シートを提供することができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】端部に非粘着部分を有する粘着シートの部分断
面の概念図。

【図２】装飾骨材搭載粘着シートの部分断面の概念図。

【図３】装飾骨材搭載粘着シートの上面概念図。

【符号の説明】

１…ポリエステルフィルム、２…粘着剤、３…ポリエス
テルテープ、４…装飾骨材。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 榎本 弘之 神奈川県川崎市多摩区登戸3819番地 株式 会社スリオンテック内 (72)考案者 小山 正人 神奈川県川崎市多摩区登戸3819番地 株式 会社スリオンテック内 (72)考案者 小河 洋征 東京都府中市寿町１−４−３ セルテック 株式会社内 (72)考案者 石垣 和久 東京都府中市寿町１−４−３ セルテック 株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】耐熱性、耐水性のフィルム状支持体上にホ
   ットメルト粘着剤組成物層を形成してなる粘着シートの
   少なくとも一端部を、粘着剤を塗工しないか、あるい
   は、耐熱性、耐水性の非粘着性テープ状高分子層を形成
   することによって非粘着性とし、かつ、上記ホットメル
   ト粘着剤組成物層に装飾骨材を所望の深さに埋め込んで
   なることを特徴とする装飾骨材搭載シート。