JP3002632B2 - 磁気記録媒体の製造方法及び基板ホルダ - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法及び基板ホルダInfo
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Description
体ノイズを有する磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録
媒体製造用の基板ホルダに関し、特に非導電性の基板を
用いた磁気記録媒体の製造方法及びその製造方法に用い
る基板ホルダに関する。
る高記録密度化の要請はますます厳しいものになってい
る。
録媒体は、非磁性基板に下地層、磁性層、保護層を順次
形成したもので、この上で磁気ヘッドが搭載されたヘッ
ドスライダーを浮上走行させながら記録及び再生を行
う。従って、この磁気記録媒体の高記録密度化を実現す
るためには、磁性層の高保磁力化に加えて、ヘッドスラ
イダーの低浮上走行化を実現することが重要である。す
なわち、ヘッドスライダーを低浮上走行化させることに
より、記録、再生の際の磁気ヘッドと磁性層との距離を
小さくなり、高密度の記録、再生が可能となる。
板としてアルミ合金基板を用いている。アルミ合金を基
板とした磁気記録媒体を製造するには、先ず、アルミ合
金基板の表面にNi-Pメッキを施して研磨する。その
後、テクスチャー加工を施して表面に適度の表面粗さを
付与する。最後に、下地層、磁性層及び保護層等を順次
スパッタ法で形成する。これにより、アルミ合金を基板
とした磁気記録媒体が生成され、磁性層に対し磁気的に
データの記録、再生を行うことができる。
行化を実現させるには限界があることが分かってきてい
る。その原因として、アルミ合金基板の硬度等の機械的
特性が低浮上走行化を図るために必要とされる機械的耐
久性を充分に満たすものではないことがある。また、磁
気特性を向上させるための高い温度での加熱処理等に対
する耐熱性や耐食性等の物理的、化学的耐久性も充分で
はないことが分かってきている。
性の高いものとして、最近、非磁性基板にガラス基板や
結晶化ガラス基板を用いた磁気記録媒体が注目されてい
る。その理由の一つは、ガラス及び結晶化ガラスは機械
的、物理的、及び化学的な耐久性が優れていることであ
る。また、別の理由は、ガラスや結晶化ガラスを基板に
した場合に表面を高い平面精度に形成することが比較的
容易であること等の性質が、高記録密度化実現により適
していることが分かってきたためである。
層を成膜する際に基板に対し負のバイアス電圧を印加し
ておくと、磁気記録媒体の高記録密度化が図れることが
知られている。これは、磁性層のスパッタリングでは磁
性材料を正に帯電したプラズマ状態にするため、基板が
負の電荷に帯電していることによりスパッタリングの際
のプラズマの粒子の打ち込みが強力になるからであると
考えられる。そこで、アルミ合金基板を用いた磁気記録
媒体の製造では、磁性層を成膜する際に基板に負のバイ
アス電圧を印加することによって高い保磁力を得てい
る。
非導電性である。そのため、基板を帯電させることがで
きず、負のバイアス電圧の印加による記録密度の高密度
化を図ることができないという問題点があった。
板を高温にしておくことも、磁気記録媒体の高記録密度
化に有効であることが知られている。そのため、ガラス
基板等の基板を用いた磁気記録媒体では、この基板の有
する高い耐熱性を利用して、より高い基板温度にて下地
層、磁性層を形成することで高い保磁力を有する磁気記
録媒体を形成している。従って、ガラス基板等に磁性層
を成膜する際に、基板を高温に保つとともに基板を負の
電荷に帯電させておくことができれば、磁気記録媒体の
より一層の高記録密度化が期待できる。
るため、磁性層の成膜は両面に行わなければならない。
つまり、基板の片面だけを高記録密度化できても意味が
なく、基板の両面において高記録密度の磁性層を成膜で
きなければならない。
のであり、非導電性の基板の両面に磁性層を成膜する際
に、基板を負の電荷に帯電させておくことができる磁気
記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
板を負の電荷に帯電させた状態で基板の両面に磁性層を
成膜することを可能とする基板ホルダを提供することで
ある。
決するために、基板に磁性層等の各種層を成膜する際に
前記基板を保持する磁気記録媒体製造用の基板ホルダに
おいて、支持体で前記基板を垂直に支える保持部と、前
記基板が保持されるべき領域の下側に設けられ、下端部
に作用する上方向の力により上方の端に取りつけられた
バイアス電圧印加用端子を前記基板の下側の端面に接触
させる動作をし、下端部と前記バイアス電圧印加用端子
とが電気的に接続された導電性可動部と、を有すること
を特徴とする基板ホルダが提供される。
ば、基板が支持部により支持され、安定した状態で保持
される。基板を保持した基板ホルダの導電性可動部の下
端部を、傾斜面の下部から上部の方向に平行移動させる
ことにより導電性可動部に対し上方向の力が作用し、バ
イアス電圧印加用端子が基板の下側の端面に接触する。
ここで、導電性可動部の下端部にバイアス電圧が掛けら
れると、その電圧がバイアス電圧印加用端子に供給され
基板が帯電する。
する。図1は本発明の磁気記録媒体の製造方法の概略を
示す図である。
性の非磁性基板1を用意する。この非磁性基板1は、例
えばガラス基板や結晶化ガラス基板である。非磁性基板
1は、図示されていない基板ホルダにより垂直に支持さ
れている。
1の表面に下地層2を形成する。これは、静止対向型の
スパッタ装置を用いて行う。下地層2には、Cr等の導
電性物質が用いられる。
層2が形成された非磁性基板1の下側の端面に、バイア
ス電圧印加用端子3を接触させる。バイアス電圧印加用
端子3には負の電圧が供給されている。下地層2は導電
性物質であるため全体が負の電荷に帯電する。なお、こ
こで非磁性基板の下側の端面とは、垂直に支持した非磁
性基板1に対し水平に中心線を引いたときの中心線より
下方の端面を意味する。
1に磁性層4を成膜する。これは、静止対向型のスパッ
タ装置を用いて行う。この際、磁性層4を形成する磁性
材料は正の電位のプラズマ状態である。そのため、負に
帯電した下地層2に対する粒子の打ち込みが強力にな
る。その結果、保磁力の大きい磁性層4が形成される。
を示す図である。(A)は側面図であり、(B)は上面
図である。スパッタ装置はロードロック室11、基板ヒ
ート室12、Cr のスパッタ室13、磁性層のスパッタ
室14、カーボンのスパッタ室15、更に出口側のロー
ドロック室16からなっており、図面に向かって左から
右方向に基板ホルダ30が移動する機構になっている。
ロードロック室11の入口側と、ロードロック室16の
出口側には、それぞれ扉21、27が設けられている。
また、各部屋の間は、仕切板22〜26で仕切られてい
る。
内部の環境を真空にするための部屋である。基板ヒート
室12は、ランプヒータ12a,12bにより磁性材料
の保磁力を高めるために基板を加熱する部屋である。ス
パッタ室13は、Crの下地層をスパッタリングするた
めの部屋である。ターゲット13a,13bがCrより
なる材料を放電することにより、非磁性基板1に下地層
が形成される。スパッタ室14は、CoCrPtの磁性
層をスパッタリングするための部屋である。ターゲット
14a,14bがCoCrPtよりなる材料を放電する
ことにより、非磁性基板1に磁性層が形成される。スパ
ッタ室14内には渡し棒14cが設けられており、これ
により非磁性基板1に負のバイアス電圧を印加すること
ができる。渡し棒14cがバイアス電圧を印加するため
の機構の詳細は後述する。スパッタ室15は、カーボン
の保護膜をスパッタリングするための部屋である。ター
ゲット15a,15bがカーボンよりなる材料を放電す
ることにより、非磁性基板1に保護膜が形成される。ロ
ードロック室16は、空気の排気を行い内部の環境を真
空にするための部屋である。
る機構を示す図である。(A)はバイアス電圧を印加し
ていない状態を示している。図に示すように非磁性基板
1は3つの支持体31,32,33で保持されている。
支持体32と支持体33との間には板バネ35が設けら
れている。板バネ35の一端は支点35aにおいて基板
ホルダ30の本体部に結合されている。板バネ35の他
方の端の上側にはバイアス印加用端子34が設けられて
いる。また、板バネ35の中央部の下側には支持棒36
が取り付けられている。支持棒36を上に持ち上げるこ
とにより、板バネ35を支点35aを中心に回転させ、
バイアス印加用端子34を非磁性基板1に接触させるこ
とができる。また、板バネ35と支持棒36とは導電性
の材料で作られており、支持棒36の下端部に印加され
た電圧をバイアス印加用端子34に伝えることができ
る。
室14に移動すると、渡し棒9が支持棒36を上に押し
上げ、非磁性基板1に負のバイアス電圧が印加される。
図3の(B)はバイアス電圧を印加した状態を示してい
る。この図は、図2に示すスパッタ室14内の様子を示
している。図に示すように壁面にはチャンバーの側面か
らみて台形の形状を有する渡し棒14cが設置されてい
る。この渡し棒14cは導電性物質であり、基板ホルダ
30が移動する時の支持棒36の軌跡上に設けられてい
る。従って、基板ホルダ30がスパッタ室に入ってくる
と、渡し棒14cにより、支持棒36は少しずつ上に押
し上げられる。基板ホルダ30の移動によって支持棒3
6が渡し棒14cの最上端にきた時に、バイアス印加用
端子34が非磁性基板1端面に接触する。この時、渡し
棒14cには負の電圧が印加されている。従って、その
電圧は支持棒36、板バネ35を介してバイアス印加用
端子34に伝えられる。
び基板ホルダを用いて磁気記録媒体を製造する場合の製
造方法を説明する。ここでは、非磁性基板としてガラス
基板を用いる。
する。この基板ホルダ30を大気圧にされたロードロッ
ク室11に移動する。ロードロック室11の入口側の扉
21を閉めた後に、ロードロック室11内の空気を排気
し、1×10-5Torr以下の真空状態にする。ロードロッ
ク室11内が真空になったら、仕切板22を開け基板ホ
ルダ30を基板ヒート室12に移動する。
で5分間加熱する。続いて下地層のスパッタ室13に移
動し、スパッタリングにより基板表面に600オングス
トロームのCr を成膜する。次に基板ホルダ30を磁性
層のスパッタ室14に移動する。スパッタ室14では、
図3で示したように基板ホルダ30の移動によってバイ
アス印加用端子34(図3に示す)がCr の付着した基
板端面に接触している。この状態で磁性層形成時に−2
00Vの負のバイアス電圧を印加しながら400オング
ストロームのCo Cr Pt を成膜する。その後スパッタ
室15に移動し150オングストロームのカーボン保護
膜を成膜する。最後に、基板ホルダ30を内部が真空状
態のロードロック室16に移動した後仕切板26を閉
め、ロードロック室16を大気圧に戻した後、基板ホル
ダ30をスパッタ装置の外部に取り出す。
にディッピング法によってパーフルオロポリエーテルを
塗布し、厚さ20オングストロームの潤滑層を形成す
る。これにより、保磁力の高い磁気記録媒体が得られ
る。
気記録媒体の特性に関する測定結果を示す。まず、上記
の例を実施例1とする。そして、バイアス電圧以外の条
件が実施例1と等しく、磁性層形成時のバイアス電圧を
−50V、−100V、−150V、−250Vとして
作製した磁気記録媒体をそれぞれ実施例2、実施例3、
実施例4、実施例5とする。また、磁性層形成時にバイ
アス電圧を印加しなかった以外は実施例1と同様にして
作製した磁気記録媒体を比較例1とする。
力、分解能、及びノイズを測定した結果を以下の表に示
す。
製造した磁気記録媒体から8mmφの試料を切り出し
て、膜面方向に磁場を印加し、振動試料型磁力計により
最大外部印加磁場15kOeで測定した。
媒体ノイズ)の測定は、次のようにして行った。即ち、
得られた磁気ディスクを用いて、磁気ヘッド浮上量が
0.055μmの薄膜ヘッドを用い、薄膜ヘッドと磁気
ディスクの相対速度を6m/sで、線記録密度70kf
ci(1インチあたり70, 000ビットの線記録密
度)における記録再生出力を測定した。また、キャリア
周波数9MHzで測定帯域を16MHzとしてスペクト
ルアナライザーにより信号記録再生時のノイズスペクト
ラムを測定した。本測定に用いた薄膜ヘッドは、コイル
ターン数50、トラック幅6μm、磁気ヘッドギャップ
長0.25μmである。
にバイアスを印加させることによって、得られた磁気デ
ィスクは全て、保磁力が2000Oe以上、再生出力が
150μV以上、分解能が50%以上、媒体ノイズが
2.5μVrms以下であるという優れた特性を有して
いることがわかる。
作製された磁気ディスクは、本実施例に比較して保磁
力、再生出力、分解能とも低く、媒体ノイズが大きいと
いった、何れの特性も劣っている。
に、下地層形成後に下地層が付着した基板端面にバイア
ス印加用端子を接触させる工程を有することによって、
基板上に被覆された金属膜によって基板全体にバイアス
を印加させることが可能となり、高い保磁力を有する磁
性層の成膜を基板の両面同時に実行することが可能とな
る。ここで下地層形成後に、下地層が付着した基板端面
にバイアス印加用端子を接触させるようにしたのは、下
地層形成前から端子を接触させた場合では、基板端面と
端子の接触点に金属膜が付着せず、ディスク面全体に均
一なバイアスがかけられないためである。
持するようにしたため、基板を強固に保持することがで
きる。従って、バイアス印加用の端子を接触させる工程
で基板の落下を防止することができる。
板の下部から接触させるようにしたため、端子の接触に
よって塵埃が発生しても、基板表面に埃等が付着するこ
とを防止することができる。その結果、磁気記録媒体を
高品質に保つことができる。
てガラス基板を用いているが、非磁性基板として結晶化
ガラス基板を用いることもできる。このように、非磁性
基板としてガラス基板、あるいは結晶化ガラス基板を用
いることによって高い保磁力と低浮上走行化を同時に満
たすことが可能となる。
ート室、各スパッタ室)を水平方向に設置したスパッタ
装置を用いたが、必ずしも本発明で使用したタイプのス
パッタ装置を用いる必要はなく、下地層形成後にバイア
ス電圧印加用の端子が接触できる機構を有する装置があ
れば良い。
の層で構成されている場合がある。このように下地層が
複数の層から成る場合には、最下層の下地層を形成した
後にその基板にバイアス電圧を印加することができる。
この場合、それ以後の下地層は、基板を帯電させた状態
で成膜される。このように、磁性層を成膜する場合に限
らず、2層目以降の下地層を成膜する場合においても基
板にバイアス電圧を印加しておくことにより、下地層の
品質が均一になる等の効果が得られる。
媒体製造用の基板ホルダによれば、基板を保持した基板
ホルダの導電性可動部の下端部を、傾斜面の下部から上
部の方向に平行移動させることにより導電性可動部に対
し上方向の力が作用し、バイアス電圧印加用端子が基板
の下側の端面に接触するように構成したので、簡単な構
成で確実に負のバイアス電圧を印加することができる。
図である。
ある。(A)は側面図であり、(B)は上面図である。
す図である。(A)はバイアス電圧を印加していない状
態を示す図であり、(B)はバイアス電圧を印加した状
態を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 基板に磁性層等の各種層を成膜する際に
前記基板を保持する磁気記録媒体製造用の基板ホルダに
おいて、 支持体で前記基板を垂直に支える保持部と、 前記基板が保持されるべき領域の下側に設けられ、下端
部に作用する上方向の力により上方の端に取りつけられ
たバイアス電圧印加用端子を前記基板の下側の端面に接
触させる動作をし、下端部と前記バイアス電圧印加用端
子とが電気的に接続された導電性可動部と、 を有することを特徴とする基板ホルダ。 - 【請求項2】 非導電性の基板上に下地層と磁性層とが
設けられた磁気記録媒体の製造方法において、 前記下地層を形成した基板を支持体で垂直に支え、前記
基板が保持されるべき領域の下側に設けられ、下端部に
作用する上方向の力により上方の端に取りつけられたバ
イアス電圧印加用端子を前記基板の下側の端面に接触さ
せる動作をし、前記下端部と前記バイアス電圧印加用端
子とが電気的に接続された導電性可動部によって前記基
板に負のバイアス電圧を印加して少なくとも磁性層の成
膜を行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項3】 前記導電性可動部の下部を台形状部材に
接触させ、両者の相対運動により、前記導電性可動部を
上方に移動させ、前記バイアス電圧印加用端子を前記基
板の下側の端面に接触させることを特徴とする請求項2
記載の磁気記録媒体の製造方法。
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JP7156331A JP3002632B2 (ja) | 1995-06-22 | 1995-06-22 | 磁気記録媒体の製造方法及び基板ホルダ |
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JP7156331A JP3002632B2 (ja) | 1995-06-22 | 1995-06-22 | 磁気記録媒体の製造方法及び基板ホルダ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH097174A JPH097174A (ja) | 1997-01-10 |
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Family
ID=15625450
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP7156331A Expired - Lifetime JP3002632B2 (ja) | 1995-06-22 | 1995-06-22 | 磁気記録媒体の製造方法及び基板ホルダ |
Country Status (1)
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
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-
1995
- 1995-06-22 JP JP7156331A patent/JP3002632B2/ja not_active Expired - Lifetime
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