JP2004256837A - カーボン保護膜、そのカーボン保護膜を備えた磁気記録媒体及び磁気ヘッド、並びに磁気記憶装置 - Google Patents

カーボン保護膜、そのカーボン保護膜を備えた磁気記録媒体及び磁気ヘッド、並びに磁気記憶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子状の突起の形成を防止し平滑で高硬度のカーボン保護膜、そのカーボン保護膜を備えた磁気記録媒体及び磁気ヘッド、並びに磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】FCA法を用いたカーボン保護膜成膜装置は、カーボン粒子群を生成する発生部と、カーボン粒子群を選別するフィルタ部と、プラズマ形成部と、カーボン保護膜を形成する成膜部とよりなる。プラズマ形成部において、カーボン粒子をプラズマを形成するArイオン等により粉砕し、カーボンイオンに電離させる。カーボン粒子がカーボン保護膜に取り込まれることを防止する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボン保護膜、そのカーボン保護膜を備えた磁気記録媒体及び磁気ヘッド、並びに磁気記憶装置に係り、特に、本発明は、FCA法により形成され、カーボン保護膜中の粒子状の突起が低減されたカーボン保護膜及びその形成方法に関する。
【0002】
近年、インターネットの急速な普及、及び通信速度の向上により、取り扱われるデータ量が飛躍的に増加し、記憶容量が百Gバイト台の記憶装置がパソコンに搭載されるようになってきている。また、記録される情報は、従来の文字情報から動画映像のような情報量の著しく大きな情報に変化してきており、また磁気記憶装置が一般家庭の電気機器にも搭載されるようになってきている。これらが故に、記憶容量のさらに大なる記憶装置のニーズが高まると共に、これまでと同様の耐久性も要求される。すなわち、ますます困難となる高記録密度化技術において、記録密度及び耐久性の向上の両立が不可欠となっている。
【0003】
【従来の技術】
磁気記録媒体、例えば面内記録方式のハードディスク装置の場合、記録密度の決定因子の一つである磁気ディスクと磁気ヘッドとのスペーシングは数十nm程度にまで低減されている。さらなる低減のためには、スペーシングの一層の低減が必要となる。
【0004】
磁気ディスクは、非磁性基板上に、非磁性金属下地層、強磁性合金記録層、カーボン保護膜を順次積層し、更に潤滑剤よりなる潤滑層が形成された構造となっている。従来の技術では、カーボン保護膜は、スパッタリング法、CVD法(化学的気相成長法)などで成膜されており、カーボン保護膜を成膜する際に、水素や窒素を含む雰囲気中でカーボンを成膜することにより、高硬度の水素化あるいは窒化カーボンを形成して、薄膜化しながらも耐久性を向上させてきた。
【0005】
また浮上方式の磁気ヘッドは磁気記録媒体に対向して浮上面を形成し、この浮上面、及び浮上面の端部に設けられた磁気変換素子を保護するためにカーボン保護膜が形成されている。カーボン保護膜は、従来ECR(Electron Cycrlotron Resonance)−CVD法、IBD法(Ion Beam Deposition法)などで成膜されている。低浮上量化により、磁気ディスクとの接触によるダメージのみならず、磁気ディスクの潤滑剤が浮上面に移行し、付着し易くなっている。この対策として、カーボン保護膜表面をフッ素化処理することによって、表面エネルギーを低減し潤滑剤の付着を抑制している。
【0006】
さらなる記録密度向上のため、スペーシングの低減の一手法として、磁気ディスク及び磁気ヘッドのカーボン保護膜の膜厚の一層の低減が必要とされている。また、それと共に耐久性、耐蝕性の維持・向上が要求されている。
【0007】
最近、従来のスパッタリング法やECR−CVD法、IBD法と比較して、より高硬度・高密度のカーボン保護膜が形成可能なFCA法(Filtered Cathodic Arc法)が開発されている。FCA法により形成されたカーボン保護膜は、他の方法と比較して炭素原子同士の結合がsp結合に対してsp結合の割合が高く、テトラヘドラルアモルファスカーボン(tetrahedral amorphous carbon(ta−C))膜と呼ばれている。FCA法により形成されたカーボン保護膜は、その高硬度及び高密度の故、一層の薄膜化の可能性を有しており、次世代磁気ディスク・磁気ヘッド用カーボン保護膜として期待されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−32907号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、FCA法により形成されたカーボン保護膜には、アーク放電によりカソードターゲットから剥離した数nm〜数十nmのカーボン粒子が混入し、磁気ディスク表面に突起が形成されることがある。かかる突起の高さはカーボン保護膜の表面から、数nm〜数十nmの高さを有するので、磁気ディスク−磁気ヘッド間のスペーシングと同程度となり、かかる突起が形成された磁気ディスクや磁気ヘッドは製品として使用することはできない。したがって、製品歩留まりを低下させる原因となるという問題がある。
【0010】
また、数nm程度の微少なカーボン粒子であっても、カーボン保護膜上に微小突起が形成され、磁気ヘッドとの衝突により次第に破壊され、カーボン保護膜にクラックが形成されることがある。磁気ディスクに付着した強酸性コンタミネーション等が、かかるクラックに浸透して強磁性合金記録層に達し、腐食させてしまうという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、カーボン粒子の突起の形成を防止し、平滑で高硬度のカーボン保護膜、そのカーボン保護膜を備えた磁気記録媒体及び磁気ヘッド、並びに磁気記憶装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、Filtered Cathod Arc法により、カーボンイオンと、カーボン原子と、カーボン粒子とを含むカーボン粒子群を生成し、該カーボン粒子群のうちカーボンイオンを選別して基板に堆積されてなるカーボン保護膜であって、前記カーボン粒子をプラズマ領域においてカーボンイオンに変換させることを特徴とするカーボン保護膜が提供される。
【0013】
本発明によれば、Filtered Cathod Arc法(以下、FCA法と呼ぶ。)によりカーボン保護膜が形成される。FCA法ではアーク放電によりカーボンターゲットからカーボンイオンやカーボン原子が蒸発するが、カーボン粒子も同時に発生してしまう。このようなカーボン粒子は、通常基板に達する前にフィルタ部で除去されるが、フィルタ部の内壁等に衝突・反射して、基板に到達するカーボン粒子もある。本発明では、カーボン粒子をプラズマ領域のイオンと衝突させることにより粉砕し、さらにイオン化させてカーボンイオンに変換する。変換されたカーボンイオンは、アーク放電により生じたカーボンイオンと共に基板に堆積してカーボン保護膜を形成する。したがって、カーボン保護膜にカーボン粒子が混入しないので、平滑性に優れ、膜質の良好なカーボン保護膜が形成される。その結果、薄膜化を図ることができ、磁気記録媒体や磁気ヘッドに適用することにより高記録密度化を実現できる。
【0014】
前記プラズマ領域は高周波プラズマにより形成されてもよく、Arガスが電離されて形成されてもよい。プラズマ領域中のイオン、例えばArイオンが高周波電圧により振動運動されカーボン粒子に衝突し、効率良くカーボン粒子を粉砕すると共にイオン化することができる。
【0015】
また、カーボン保護膜に窒素または水素が添加されてもよい。FCA法により形成されたカーボン保護膜に窒素や水素を添加すると、膜硬度はやや低下するが、潤滑剤との濡れ性や密着性が良好となる。
【0016】
本発明の他の観点によれば、基板と、前記基板の上方に形成されたカーボン保護膜と、を含む磁気記録媒体において、上記いずれかのカーボン保護膜を備えることを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0017】
本発明によれば、磁気記録媒体のカーボン保護膜が上記のカーボン保護膜により形成されている。したがって、高硬度であり、平滑性に優れているので、耐久性・耐蝕性に優れ、さらなる薄膜化が可能である。よって高密度記録化の可能な磁気記録媒体が実現できる。
【0018】
本発明のその他の観点によれば、磁気記録媒体に接触し、または磁気記録媒体上を浮上して記録または再生を行い、スライダと、前記スライダの磁気記録媒体に対向する側に形成されたカーボン保護膜とを含む磁気ヘッドにおいて、上記カーボン保護膜が上記いずれかのカーボン保護膜であることを特徴とする磁気ヘッドが提供される。
【0019】
本発明によれば、磁気記録媒体に接触するスライダの媒体対向面に上記のカーボン保護膜が形成されている。したがって、耐久性、耐摩耗性に優れる。また、磁気変換素子の表面にも上記のカーボン保護膜が形成されているので、耐スクラッチ性、耐蝕性に優れる。
【0020】
また、前記カーボン保護膜にフッ素が添加されてもよい。カーボン保護膜の表面エネルギーを低減し潤滑剤の濡れ性を低減し潤滑剤の付着を抑制することができる。
【0021】
本発明のその他の観点によれば、上記磁気記録媒体、及び/又は上記磁気ヘッドを備えた磁気記憶装置が提供される。
【0022】
本発明によれば、耐久性、耐蝕性に優れ、高密度記録可能な磁気記憶装置が実現できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体の断面図である。図1を参照するに、磁気記録媒体10は、基板11と、基板11上に下地層12、非磁性中間層13、安定化層14、非磁性結合層15、記録層16、カーボン保護膜18が順次積層され、さらにカーボン保護膜18上に潤滑層19が形成された構成となっている。
【0025】
基板11は、ガラス基板、NiPメッキアルミニウム合金基板、シリコン基板、セラミクス基板等を用いることができる。ガラス基板、シリコン基板、セラミクス基板等にはスパッタ法などによりNiP層などを形成してもよい。導電性を付与してスパッタ時にバイアスを印加することが可能となると共に、次に説明する下地層12を所望の結晶方向に配向させることができる。
【0026】
下地層12としては、スパッタ法、蒸着法により、基板温度を200℃に設定し、厚さ40nmの(002)面方向に成長したCr層が形成される。具体的には、下地層12は、厚さ10nmから100nmであり、Cr層に限定されず、例えば、Cr層の替わりにCr合金層、例えばCrW、CrMo、CrTi等が用いられる。CrにW等を添加することにより格子定数を制御して下地層12上に形成される非磁性中間層との格子整合を図り、非磁性中間層13のエピタキシャル成長をより完全なものにすることができる。下地層12の厚さは2nm以上50nm以下であることが好ましい。50nmより厚いと下地層12の結晶粒が成長し、結晶粒の面内方向の大きさ(例えば直径)が過度になり、下地層12上に成長する各層に順次引き継がれてしまい、最終的に記録層16の結晶粒が過度に大となり、媒体ノイズを増加させてしまう。また2nmより小さいと非磁性中間層13の結晶性を低下させてしまう。
【0027】
非磁性中間層13は、スパッタ法、蒸着法により形成され、基板温度180℃に設定し、厚さ20nmの(11−20)面方向に成長したCoCr合金、あるいはCoCrTa合金等が用いられる。具体的には、非磁性中間層13は、厚さ1nm〜10nmのCoCr合金(Crの含有量が25原子%以上)、またはCoCr合金にTa、Pt、W等を添加した合金が用いられる。非磁性中間層13は、下地層12と安定化層14(及び記録層16)との格子不整合を緩和するバッファ層として機能すると共に、(11−20)面を成長方向として、安定化層14(及び記録層16)のCoCrPt合金のc軸の面内配向性を向上させる機能を有する。
【0028】
安定化層14及び記録層16は、これらの層間に非磁性結合層15を有し、面内方向にc軸が配向し(例えば(11−20)面方向に成長し)、互いに反強磁性結合する、すなわち安定化層14及び記録層16の磁化が反平行となる積層フェリ構造を有している。安定化層14及び記録層16はそれぞれ強磁性層であり、例えば同じ組成の異なる膜厚の強磁性層が形成される。具体的には、安定化層14及び記録層16は、CoCrPt(Cr:10原子%〜25原子%、Pt:3原子%〜15原子%)、CoCrPtB(B:2原子%〜10原子%)、CoCrPtTa、CoCrPtTaNb等のCoCrPtを主成分とし、これに第4、第5元素を添加した組成を有する。これらのうち、CoCrPtBは例えばCoCrPtTaと比較して少ないPt含有量で保磁力を増すことができるので、高記録密度化および低コスト化の観点から好適である。また、CoCrPtBは、結晶粒の微細化の観点からも好適である。CoCrPtBにさらに第5元素を添加してもよい。
【0029】
また、安定化層14及び記録層16の厚さは、記録層16の残留磁束密度Mrと膜厚δの積Mrδ(磁性層)が安定化層14のMrδ(安定化層)より大に設定する。すなわち、Mrδ−Mrδ>0となるようにする。この差を磁気ヘッドが感知して、磁気記録媒体10に記録された情報を再生する。したがって、情報が記録された磁気記録媒体10からの漏洩磁界を過度に大とすることなく、磁性単位である磁性粒の体積Vを増すことができ、磁化の熱的安定性KV/kTを高めることができる。例えば、安定化層14及び記録層16の組成が同一の場合、すなわちMr=Mrの場合は、安定化層14及び記録層16の厚さの差δ−δに比例する漏洩磁界が生じる。
【0030】
非磁性結合層15は、安定化層14及び記録層16間にスパッタ法、蒸着法により形成され、厚さ0.4nm〜1.0nm(好ましくは0.6nm〜0.8nm)のRu、Rh、Ir、Ru系合金、Rh系合金、及びIr系合金が用いられる。このような範囲の膜厚に設定することにより、安定化層14と記録層16の磁化の向きを反平行とすることができる。
【0031】
カーボン保護膜18はFCA法により記録層16上に形成される。先ずカーボン保護膜16を形成する際に使用するFCA成膜装置について説明する。
【0032】
図2は、FCA成膜装置を模式的に示す断面図である。図2を参照するに、本実施の形態に用いたFCA成膜装置20は、大別して、放電部21、フィルタ部22、プラズマ形成部23、成膜室24より構成されている。
【0033】
放電部21は、カソードターゲット25、アノード26、カソードコイル28、及びストライカ29などにより構成されている。カソードターゲット25はグラファイトにより形成されており、直流電圧が印加されたカソードターゲット25の表面をストライカ29で叩くことで、カソードターゲット25及びアノード26間にアーク放電が開始され、アーク放電により1万℃以上に加熱されたカソードターゲット25より、カーボンイオンやカーボン原子、カーボン原子が塊状となったカーボン粒子、電子などが蒸発・生成される。カソードコイル28は、アーク放電の放電軸に平行に磁界を印加して、カソードターゲット25から蒸発したカーボン原子のイオン化率を高める機能を有する。このようにしてカーボンイオンや、カーボン原子、カーボン粒子、及び電子などよりなるカーボン粒子群が形成され、蒸発した際の運動エネルギー及びFCA成膜装置20内の電位差に起因するクーロン力によりビーム状となってフィルタ部22に供給される。なお、アーク放電によりカソードターゲット25及びアノード26等が高温となるので、外部より冷却水を供給して冷却される。
【0034】
フィルタ部22は、2つのフィルタコイル30A,30Bを備えた45°ベントタイプのフィルタを用いている。フィルタコイル30A,30Bによりカーボン粒子群の流れる方向に対して垂直に(図の紙面に垂直に)磁場を印加することにより、カーボン粒子群中の荷電粒子の流れを偏向させて、その他の粒子はFCA成膜装置20の内壁や内壁に設けられたフィン32にトラップさせる。フィルタの原理は、磁場中を移動する荷電粒子に作用するローレンツ力であり、曲げられる際の曲率半径をRとするとR=mv/(qB)で表され、ここで、カーボン粒子群中の荷電粒子の運動量mvと電荷量q、フィルタコイルにより印加される磁場Bである。したがって、v及びBを適切に選択することによりカーボンイオンのみを選別可能となり、カーボンの中性原子及び粒子、電子等はトラップされる。
【0035】
ところが、例えばカーボン粒子であってもFCA成膜装置20の内壁に反射して、成膜室24にある基板11の記録層16上に到達するものがある。上述したように、このような粒子は数nm〜数十nmの大きさであっても、ヘッドクラッシュの原因となる。しかし、後述するように、本発明のFCA成膜装置20にはフィルタ部22と成膜室24との間にプラズマ形成部23が設けられており、プラズマ形成部23によって形成された高周波プラズマ形成領域35を通過するカーボン粒子を粉砕すると共にイオン化してカーボンイオンに変換することができる。
【0036】
また、フィルタ部22は一対または二対のラスターマグネット31が設けられている。ラスターマグネット31によりカーボンイオンの流れを上下、あるいは左右に振ることができ、均一な膜厚のカーボン保護膜を形成することができる。
【0037】
図2に示すように、プラズマ形成部23には、高周波プラズマ装置36が設けられている。高周波プラズマ装置36は、FCA成膜装置20の内部に設けられた円筒状電極38と、円筒状電極38に接続された高周波電源39等より構成されている。例えば13.65MHzのRFパワー150Wを投入し、Arガス流量を40sccmに設定する。Arガスがイオン化され、プラズマ形成領域35が形成される。高周波電場によりArイオンが振動され、カーボン粒子に衝突を繰り返しカーボン粒子を粉砕する。プラズマ形成領域35中のカーボンイオンも同様に粉砕に寄与すると推察され、粉砕されたカーボン原子はさらにプラズマによりイオン化され、カーボンイオンとなって成膜室24に供給される。具体的には、高周波電源39の周波数は約10MHzであり、RFパワーは100W〜500Wに設定される。
【0038】
また、Arガスに窒素ガスを添加してもよい。窒素ガスがプラズマ形成領域35においてイオン化され、カーボン粒子に衝突してカーボン粒子を粉砕すると共に、カーボン保護膜18中に取り込まれ、窒素がドープされたカーボン保護膜18を形成することができる。窒素がドープされることにより潤滑剤との濡れ性及び密着性を向上することができる。窒素ガスの添加量は、Arガス流量:窒素ガス流量が90:10〜0:100に設定される。また、圧力は1×10−3Pa〜1×10−2Paが好適である。
【0039】
また、Arガスに水素を添加してもよい。かかるカーボン保護膜は潤滑剤の濡れ性が低下し、ヘッド用カーボン保護膜として好適である。水素ガスの添加量は、Arガス流量:水素ガス流量が90:10〜0:100に設定される。また、圧力は1×10−3Pa〜1×10−2Paが好適である。水素ガスあるいは上記の窒素ガスの流量がこれらの範囲を超えて大となると、カーボン保護膜18の硬度が低下してしまう。
【0040】
なお、高周波プラズマ装置36は、円筒状電極38の替わりに平行平板型電極でもよい。また、高周波プラズマ装置36の変わりにマイクロ波プラズマ装置を用いてもよい。円筒型電極の高周波プラズマ装置36と比較してより高いプラズマ密度を形成することができ、効率良くカーボン粒子を粉砕することができる。例えばマイクロ波の周波数を2.45GHz、RFパワーを約200Wに設定する。
【0041】
成膜室24には、基板11を保持する基板保持台40が設けられ接地されている。基板11はカーボンイオンが流入する方向に略垂直に保持されている。但し、カーボン保護膜の厚さの均一性を確保するために基板を傾けるようになっていてもよく、回転自在となっていてもよい。さらに、本実施の形態のFCA成膜装置20は、下地となる記録層等と真空中で連続して形成するため、記録層等を形成する成膜室とカーボン保護膜を形成する成膜室24との間は、基板11あるいは基板11を保持した基板保持台40が搬送されるようになっている。
【0042】
カーボン保護膜18は以上のようにして形成される。なお、FCA成膜装置20では、基板11の片面側にのみカーボン保護膜が形成されるので、磁気記録媒体10が両面型の場合は、片面ごとにFCA成膜装置を設けてもよく、基板面を裏返すことにより1台のFCA成膜装置により形成してもよい。図1に戻って、カーボン保護膜18の厚さは0.5nm〜5nmに設定され、磁気ヘッドと磁気記録媒体とのスペーシングを低減する観点からは、0.5nm〜3nmであることが好ましい。
【0043】
また、FCA法により形成されたカーボン保護膜18は、微結晶よりなり、カーボン原子間の結合がspが支配的であるため、硬度が従来のスパッタ法あるいはCVD法により形成したものより硬度が高い。Arガス雰囲気で成膜したカーボン保護膜18は、ナノインスツルメンツ社製の硬度測定機ナノインデンタII(商品名)により測定すると膜厚50nmにおいて硬度が25GPa〜30GPaであり、窒素ガスを含むArガス雰囲気で成膜した窒素添加カーボン保護膜18の硬度は16GPa〜25GPaである。
【0044】
次に、潤滑層19は、カーボン保護膜18上に厚さ0.5nm〜3nmに設定して、浸漬法、スピンコーティング法により形成される。具体的には、潤滑剤はパーフルオロポリエーテルを主鎖とするZDOL、Z25、AM3001(以上、アウジモント社製商品名)等をフロン系溶媒(例えば、フロリナート(3M社製商品名))に希釈して、浸漬法、例えば基板を引き上げる際の速度により潤滑層の膜厚を制御する引き上げ法を用いることができる。もちろん潤滑剤を含んだフロン系溶媒の液面を所定の速度で低下させて潤滑層の膜厚を制御してもよい。潤滑層19は、上述した窒素あるいは水素をドープしたカーボン保護膜18を用いることにより、密着性を向上することができる。特に、窒素あるいは水素をドープしたカーボン保護膜18には、ZDOL及びAM3001が好適である。
【0045】
本実施の形態によれば、磁気記録媒体は、カーボン保護膜がFCA法により形成され、発生したカーボン粒子はプラズマ形成領域中を通過する際に粉砕・イオン化されカーボンイオンとして記録層上に堆積されるので、カーボン保護膜中へのカーボン粒子の混入が防止される。したがって、25GPa〜30GPaの高硬度のカーボン保護膜を、製品の歩留まり良く形成することができる。その結果、耐久性の優れた磁気記録媒体を実現することができる。
【0046】
プラズマ形成領域35を設けたことによりカーボンのイオン化率が向上し、カソードターゲット25の消費されるカーボンに対するカーボン保護膜18として成膜されるカーボンの割合が増加し、低コスト化、FCA成膜装置20内のカーボン粒子による汚染が抑制される。
【0047】
[実施例]
第1実施例として上記の実施の形態の構成を有する磁気ディスクを形成し、カーボン保護膜の膜質及び突起の有無を評価した。
【0048】
第1実施例の磁気ディスクは、ガラス基板上に、NiP膜(厚さ500nm)、Cr膜(厚さ40nm)、Co70Cr30膜(厚さ4nm)、Co74Cr15Pt8B3膜(厚さ4nm)、Ru膜(厚さ0.8nm)、Co74Cr15Pt8B3膜(厚さ10nm)、カーボン保護膜(厚さ2.0nm)を順次形成した構成とした。なお、成膜時の基板温度を、カーボン保護膜を形成する場合を除いて200℃とした。また、カーボン保護膜の評価のため、潤滑層は塗布しなかった。磁気ディスクとして記録再生に用いるためには、例えばAM3001(厚さ1.5nm)を浸漬法により塗布すればよい。
【0049】
カーボン保護膜は、図2に示したFCA成膜装置により、厚さ2.0nmを形成した。成膜条件は、アーク電流80A、カソードコイル電流10A、放電部側のフィルタコイル30Aを電流6A、成膜室側のフィルタコイル30Bを電流10A、プラズマパワー150Wとした。またFCA成膜装置内に40sccmのArガスを流入し、圧力を1×10−3Pa、成膜時間を20秒とした。また、成膜時間を500秒、他の条件は第1実施例と同様にして厚さ50nmのラマン分光測定用試料を作製した。
【0050】
また、本発明によらない第1比較例の磁気ディスクを、FCA成膜装置の高周波プラズマにRFパワーを投入しないで厚さ2.0nmのカーボン保護膜を形成した以外は第1実施例と同様の条件で作製した。
【0051】
さらに、本発明によらない第2比較例の磁気ディスクを、スパッタ法により厚さ2.0nmの水素化カーボン膜よりなるカーボン保護膜を形成した以外は第1実施例と同様の条件で作製した。具体的には水素を含むArガス雰囲気中(Arガス流量35sccm、Hガス流量5sccm)、全圧1×10−3Paに設定した。また、同様にして厚さ50nmのカーボン保護膜のラマン分光測定用試料を作製した。
【0052】
先ず、ラマン分光法により本実施例及び第1比較例の磁気ディスクのカーボン保護膜の膜質を評価した。ラマン分光測定器(日本分光社製)を用いた。
【0053】
図3はラマン分光のスペクトルを示す特性図である。図中に第1実施例及び第2比較例の磁気ディスクのカーボン保護膜の特性を示した。図3を参照するに、第2比較例の磁気ディスクは、1550cm−1近傍のG−bandのピーク及び1250cm−1近傍のD−bandのピークが現れている。一方、本実施例の磁気ディスクは、1550cm−1近傍のG−bandのピーク及び1250cm−1近傍のD−bandのピークが小さく、またピークが広がっている。それぞれのピークをガウシアン分布を仮定しピーク値を求め、D−bandのピーク値とG−bandのピーク値の比(=D−bandのピーク値/G−bandのピーク値)を比較すると、第1実施例に係るピーク値の比が小さく、硬度の高いsp結合がより大なる割合を占めることが分かった。また、第1実施例に係るピーク値自体が第2比較例に係るピーク値より低く、第1実施例のカーボン保護膜の方がより非晶質化しており、緻密性が増していることが分かる。したがって、高硬度に加え、Co74Cr15Pt膜を保護して耐食性に優れることが推察される。
【0054】
次に、カーボン保護膜表面の突起の評価を行った。図4(A)及び(B)はAFM測定によるカーボン保護膜の表面形状を示す図であり、図4(A)は本実施例、(B)は第1比較例に係るものである。突起の測定には、AFM(原子間力顕微鏡、デジタルインスツルメンツ社製、型式ナノスコープIII)を用い、カンチレバーの針先の曲率半径が20nmのものを用い、タッピング法により10μm×10μmの範囲を測定した。
【0055】
図4(B)を参照するに、第1比較例に係るカーボン保護膜には多数の突起状の粒子(白色の粒子として現れているもの)があることが分かる。一方図4(A)を参照するに、本実施例に係るカーボン保護膜には突起状の粒子がほとんど認められない。したがって、本実施例では、プラズマ形成領域においてカーボン粒子が確実に粉砕されていることが分かる。なお、図4(B)の黒い横線は測定ノイズであり、突起の高さが過度の場合に発生するものである。
【0056】
(第2の実施の形態)
本発明の実施の形態は、本発明のカーボン保護膜を備えた磁気ヘッドに係るものである。
【0057】
図5は本発明の実施の形態に係る磁気ヘッドが磁気記録媒体上を浮上する様子を示す図である。図6は、図5に示す磁気ヘッドの磁気記録媒体に対向する側からみた斜視図である。図5及び図6を参照するに、磁気ヘッド50は、矢印ME方向に移動する磁気記録媒体51により生じる矢印AIR方向に流れる空気流の圧力により、空気流の流出端において磁気記録媒体51から数十nmの高さを浮上し、磁気記録媒体51に記録・再生を行う。磁気ヘッド50の空気流の流出端には、記録・再生を行う複合型磁気ヘッド素子52が設けられている(微少なため点で示す。)。
【0058】
磁気ヘッド50のスライダの媒体対向面53−1は、空気流に対する正圧を生じさせるための3つのパッド54と、3つのパッド54に囲まれた負圧を生じさせるための凹部55と、パッド54Lの流出端に設けられた複合型磁気ヘッド素子52などにより構成されている。
【0059】
スライダ53は、アルチック(アルミナとTiCよりなるセラミクス)よりなり、図5に示すようにスライダ53の媒体対向面53−1にはカーボン保護膜56が設けられている。具体的には、図6に示す3つのパッド54の表面には、FCA法により形成した厚さ0.5nm〜20nmのカーボン保護膜56に覆われている。磁気記録媒体51との接触による摩耗、スクラッチ等を防止して、磁気ヘッド50の浮上特性が劣化を防止することができる。なお、カーボン保護膜56を形成する条件は、第1の実施の形態と同様である。
【0060】
ここで、パッド54L又はパッド54Rの流出端、特に複合型磁気ヘッド素子52が形成されているパッド54Lの流出端は、磁気ヘッド50の浮上の際、磁気記録媒体とのスペーシングが最も小さくなる。カーボン保護膜56には突起がなく平滑性に優れているので、スペーシングを低減することができ、優れた耐摩耗性及び耐スクラッチ性を有するが故カーボン保護膜56の膜厚低減も可能であるので、スペーシングを一層低減することができ、高記録密度化が可能となる。
【0061】
図7は複合型磁気ヘッド素子52の媒体対向面の構造を示す拡大図である。図7中、対向する磁気記録媒体が下側から上側へと移動する。図7を参照するに、複合型磁気ヘッド素子52は、記録を行う誘導型記録素子58と再生を行う再生素子59より構成されている。誘導型記録素子58は、アルミナ等の非磁性絶縁材料からなる記録ギャップ部60をもって離隔された上部磁極層61と、下部副磁極62−1を備えた下部磁極層62と、上部磁極層61と下部副磁極62−1との間にヘッド磁界を生ぜしめるコイル(図示されず)などより構成されている。また、再生素子59は、感磁素子であるスピンバルブ型GMR素子63と、スピンバルブ型GMR素子63を非磁性絶縁材料を介して挟む上部シールド層64及び下部シールド層65などから構成されている。
【0062】
これらの上部磁極層61、下部副磁極62−1、下部磁極層62、スピンバルブ型GMR素子63、上部シールド層64、及び下部シールド層65は、軟磁性材料、例えばNiFe(パーマロイ)やCoFeB等、反強磁性材料、例えばFeMnやCoPtPd等、導電材料、例えばCu、Al等より構成されている。したがって、これらの材料は硬度が比較的低く、磁気記録媒体51の突起等に直接接触すると傷つき易い。また、磁気記録媒体51表面に付着している酸またはアルカリにより腐食され易い。これに対し、本実施の形態の磁気ヘッドは、図5及び図6に示すように、複合型磁気ヘッド素子52の表面に、FCA法により形成された厚さ0.5nm〜5nmのカーボン保護膜57が形成されている。したがって、耐スクラッチ性・耐蝕性に優れる。カーボン保護膜57の形成条件は第1の実施の形態と同様である。
【0063】
なお、図5及び図6に戻り、カーボン保護膜をスライダ53の媒体対向面53−1の凹部55を含む表面全体に形成してもよい。磁気記録媒体51の潤滑層から媒体対向面53−1に移行する潤滑剤の付着を防止することができる。特に、付着防止の観点から、カーボン保護膜はフッ素添加カーボン保護膜が好ましい。フッ素添加によりカーボン保護膜表面の表面エネルギーを低下することができ、潤滑剤の付着を抑制することができ、潤滑剤の付着による浮上特性の変化を抑制し、低浮上量の設計であってもヘッドクラッシュ等を防止することができる。
【0064】
フッ素添加カーボン保護膜は、第1の実施の形態において、例えば、雰囲気ガスのArガスにCFガスを添加する。CFガスの添加量は、Arガス流量:CFガス流量が90:10〜0:100に設定される。圧力は1×10−3Pa〜1×10−2Paが好適である。
【0065】
本実施の形態によれば、磁気ヘッド52の媒体対向面53−1、例えばパッド54及び複合型磁気ヘッド素子52の表面に高硬度、高密度カーボン保護膜が形成されているので、耐久性及び耐蝕性に優れる。特に、カーボン保護膜は平滑性に優れているので、磁気ヘッド・磁気記録媒体51間のスペーシングを一層低減することができる。また、媒体対向面53−1の全面にフッ素添加カーボンによりカーボン保護膜を形成することにより、潤滑剤の付着を防止し、浮上特性の劣化を防止することができる。
【0066】
(第3の実施の形態)
本発明の実施の形態は、第1の実施の形態に係る磁気記録媒体及び/又は第2の実施の形態に係る磁気ヘッドを備えた磁気記憶装置に係るものである。
【0067】
図8は、本発明による実施の形態の磁気記憶装置の要部を示す図である。図8を参照するに、磁気記憶装置70は大略ハウジング71からなる。ハウジング71内には、スピンドル(図示されず)により駆動されるハブ72、ハブ72に固定され回転される磁気記録媒体73、アクチュエータユニット74、アクチュエータユニット74に取り付けられ磁気記録媒体73の半径方向に移動されるアーム75及びサスペンション76、サスペンション76に支持された磁気ヘッド78が設けられている。
【0068】
本実施の形態の磁気記憶装置70は、磁気記録媒体73及び磁気ヘッド78に特徴がある。例えば、磁気記録媒体73は第1の実施の形態の磁気記録媒体である。また、磁気ヘッド78は、例えば第2の実施の形態の磁気ヘッドである。磁気記録媒体73及び磁気ヘッド78の少なくとも一方が係る特徴を有していればよい。
【0069】
磁気記憶装置70の基本構成は、図8に示すものに限定されるものではない。本発明で用いる磁気記録媒体73は、磁気ディスクに限定されない。
【0070】
本実施の形態によれば、磁気記憶装置70は、磁気記録媒体73が優れた平滑性、耐久性及び耐蝕性を有するので、高密度記録での低浮上あるいは接触記録方式であっても長期に亘る動作信頼性を有している。また、磁気ヘッド78が優れた平滑性、耐久性及び耐蝕性に加えて長期浮上安定性を有し、長期に亘る動作信頼性を有している。
【0071】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0072】
例えば、上記の実施の形態に係る磁気記録媒体として磁気ディスクを例に説明したが、磁気ディスクに限定されず、例えば、金属薄膜をテープ状基板に形成した蒸着テープ等であってもよく、実施の形態と同様の効果が得られる。
【0073】
なお、図2に示すFCA成膜装置のフィルタ部を複数接続してもよい。但し、製造上許容される装置が占めるスペース及び処理時間の許容される範囲内に限定される。フィルタ部を増すとFCA成膜装置が大規模となり、またカーボン保護膜の成膜レートが低下する。
【0074】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) Filtered Cathod Arc法により、カーボンイオンと、カーボン原子と、カーボン粒子とを含むカーボン粒子群を生成し、該カーボン粒子群のうちカーボンイオンを選別して基板に堆積されてなるカーボン保護膜であって、
前記カーボン粒子をプラズマ領域においてカーボンイオンに変換させることを特徴とするカーボン保護膜。
(付記2) 前記プラズマ領域は高周波プラズマにより形成されることを特徴とする付記1記載のカーボン保護膜。
(付記3) 前記プラズマ領域はマイクロ波プラズマにより形成されることを特徴とする付記1記載のカーボン保護膜。
(付記4) 前記プラズマ領域はArガスが電離されて形成されてなることを特徴とする付記1〜3のうち、いずれか一項記載のカーボン保護膜。
(付記5) 前記Arガスに窒素ガス、水素ガス、フッ素系ガスを添加することを特徴とする付記4記載のカーボン保護膜。
(付記6) 当該カーボン保護膜に窒素又は水素が添加されてなることを特徴とする付記1〜5のうち、いずれか一項記載のカーボン保護膜。
(付記7) 基板と、前記基板の上方に形成された磁性層と、カーボン保護膜とを含む磁気記録媒体において、
付記1〜6のうち、いずれか一項記載のカーボン保護膜を備えることを特徴とする磁気記録媒体。
(付記8) 前記カーボン保護膜は厚さが0.5nm〜5.0nmの範囲であることを特徴とする付記7記載の磁気記録媒体。
(付記9) 前記磁性層は、複数の強磁性層と該複数の強磁性層の間に形成された非磁性結合層よりなる積層フェリ構造を有していることを特徴とする付記7または8記載の磁気記録媒体。
(付記10) 基板と、基板の上方に形成されたカーボン保護膜とを含む磁気記録媒体であって、
前記カーボン保護膜の硬度が膜厚50nmにおいて25GPa以上であることを特徴とする付記7〜9のうち、いずれか一項記載の磁気記録媒体。
(付記11) 磁気記録媒体に接触し、または磁気記録媒体上を浮上して記録または再生を行い、
スライダと、前記スライダの磁気記録媒体に対向する側に形成されたカーボン保護膜とを含む磁気ヘッドにおいて、
前記カーボン保護膜が付記1〜6のうち、いずれか一項記載のカーボン保護膜であることを特徴とする磁気ヘッド。
(付記12) 前記カーボン保護膜にフッ素が添加されてなることを特徴とする付記11記載の磁気ヘッド。
(付記13) 付記7〜10のうち、いずれか一項記載の磁気記録媒体、及び/又は付記11又は12記載の磁気ヘッドを備えた磁気記憶装置。
(付記14) カーボン粒子群を生成する発生部と、カーボン粒子群を選別するフィルタ部と、カーボン保護膜を形成する成膜部とよりなる、FCA法を用いたカーボン保護膜成膜装置であって、
前記発生部と成膜部との間にプラズマ形成領域を設け、
前記カーボン粒子群を前記プラズマ形成領域を通過させて、カーボン粒子群のうちカーボン粒子を粉砕することを特徴とするカーボン保護膜成膜装置。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したところから明らかなように、本発明によれば、粒子状の突起の形成を防止し平滑で高硬度のカーボン保護膜、そのカーボン保護膜を備えた磁気記録媒体及び磁気ヘッド、並びに磁気記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気記録媒体の断面図である。
【図2】FCA成膜装置を模式的に示す断面図である。
【図3】ラマン分光のスペクトルを示す特性図である。
【図4】(A)及び(B)はAFM測定によるカーボン保護膜の表面形状を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッドが磁気記録媒体上を浮上している様子を示す図である
【図6】図5に示す磁気ヘッドの磁気記録媒体に対向する側からみた斜視図である。
【図7】複合型磁気ヘッド素子の媒体対向面の構造を示す拡大図である。
【図8】本発明による第3の実施の形態の磁気記憶装置の要部を示す図である。
【符号の説明】
10、51、73 磁気記録媒体
18、56、57 カーボン保護膜
19 潤滑層
20 FCA成膜装置
21 放電部
22 フィルタ部
23 プラズマ形成部
24 成膜室
36 高周波プラズマ装置
38 円筒状電極
39 高周波電源
50、78 磁気ヘッド
52 複合型磁気ヘッド素子
53 スライダ
70 磁気記憶装置

Claims (8)

  1. Filtered Cathod Arc法により、カーボンイオンと、カーボン原子と、カーボン粒子とを含むカーボン粒子群を生成し、該カーボン粒子群のうちカーボンイオンを選別して基板に堆積されてなるカーボン保護膜であって、
    前記カーボン粒子をプラズマ領域においてカーボンイオンに変換させることを特徴とするカーボン保護膜。
  2. 前記プラズマ領域は高周波プラズマにより形成されることを特徴とする請求項1記載のカーボン保護膜。
  3. 前記プラズマ領域はArガスが電離されて形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載のカーボン保護膜。
  4. 当該カーボン保護膜に窒素または水素が添加されてなることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載のカーボン保護膜。
  5. 基板と、前記基板の上方に形成されたカーボン保護膜とを含む磁気記録媒体において、
    請求項1〜4のうち、いずれか一項記載のカーボン保護膜を備えることを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 磁気記録媒体に接触し、または磁気記録媒体上を浮上して記録または再生を行い、
    スライダと、前記スライダの磁気記録媒体に対向する側に形成されたカーボン保護膜とを含む磁気ヘッドにおいて、
    前記カーボン保護膜が請求項1〜4のうち、いずれか一項記載のカーボン保護膜であることを特徴とする磁気ヘッド。
  7. 前記カーボン保護膜にフッ素が添加されてなることを特徴とする請求項6記載の磁気ヘッド。
  8. 請求項6記載の磁気記録媒体、及び/又は請求項7又は8記載の磁気ヘッドを備えた磁気記憶装置。
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