JP3001930B2 - 塩素化ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

塩素化ポリオレフィンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の技術分野] 本発明は、非常に防食性に優れた塩素化ポリオレフィ
ンの製造方法に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] ポリオレフィンの55〜75%塩素化物は、従来から重防
食用の塗料原料として有用なことが知られ、主に塩素系
溶媒中で塩素化し、その後水蒸気蒸留法、直接噴霧法、
溶媒転換法などの方法で処理されて製造されてきた。か
かる塩素化物は均一に塩素化されていることから、有機
溶剤に均一に溶解することを特徴としている。
しかし、近年は地球環境の問題から、塩素系溶媒の使
用が制限される方向にあり、塩素化ポリオレフィンの製
造においても、かわりに水媒体中での塩素化が検討され
ている。
水媒体中で、水分散状態あるいはエマルジョン状態の
ポリオレフィンを塩素化する方法は公知である。ゴム状
ポリオレフィンの結晶状態の変換のために、ポリオレフ
ィンを塩素含有量20〜50%(重量基準、以下同様)程度
にまで塩素化する場合、塩素化は水分散系で行われ、各
種界面活性剤などの擬集防止剤を使用したり、ポリオレ
フィンの融点や反応温度を厳密に規定して塩素化が行わ
れている(特公昭62−60403号、特開昭63−128005号な
どを参照)。
また分子量15000以上のポリオレフィンを微粒子と
し、水性懸濁液中で塩素化する方法も知られているが、
(特公昭40−15660号)、この塩素化物は通常の有機溶
剤に均一に溶解せず、重防食用の塗料としては使用しに
くい。
一方、ポリマー状ポリオレフィン酸化型ポリオレフィ
ンワックスを溶融混合して、アルカリ水溶液中に投入
し、微粉末化した球状粒子を、水分散系で70〜80℃の温
度で行い、塩素含有量50%以下に塩素化する方法も提案
されているが(特公昭58〜12883号)、この塩素化物は
通常の有機溶剤であるトルエンには不溶である。
以上のように、従来の水媒体中でのポリオレフィンの
塩素化方法では、塗料原料として好適な塩素化ポリオレ
フィンを、効率的に得ることができなかった。
本発明の目的は、重防食用の塗料として使用できるよ
うな有機溶媒に可溶性の高塩素化ポリオレフィンを、水
媒体中で粒子擬集などの恐れなく、均一に塩素化する方
法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の塩素化ポリオレフィンの製造方法は、分子量
が500〜15000、軟化点が85〜140℃で、平均粒子径が0.1
〜200μの微粒子状低分子量ポリオレフィンを、水中に
分散させ、0〜40℃で、塩素濃度55〜75%に塩素化する
ことを特徴とする。
本発明に使用される原料ポリオレフィンとしては、オ
レフィン系不飽和炭化水素の単独重合体または共重合体
が挙げられる。上記単独重合体としては、エチレン、プ
ロピレン、ブテン−1、メチルペンテン−1、ヘキセン
−1、オクテン−1などのモノマーの単独重合体があ
る。また上記共重合体としてはエチレン−プロピレン共
重合体などのこれらモノマー相互の共重合体、あるいは
これらモノマーと不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニ
ルなどとの共重合体がある。さらに上記共重合体を空気
酸化して変性した共重合体やマレイン酸、無水マレイン
酸、イタコン酸などで酸変性した共重合体も使用でき
る。
本発明の原料ポリオレフィンの分子量は500〜15000、
好ましくは1000〜7000である。分子量が低すぎると、水
媒体中での塩素化時に初期に融着しやすい。分子量が高
すぎると高塩素化物になったときに擬集を起こしやす
い。いずれも塩素化物は塗料用原料としては不適当であ
る。
本発明の原料ポリオレフィンの軟化点は85〜140℃で
ある。85℃未満であると水媒体中での塩素化途中で融着
しやすい。140℃を越えると、塩素化物が脆くなり塗料
用に適さない。
本発明の原料ポリオレフィンの平均粒子径は0.1〜200
μである。0.1μ未満では塩素化が進むと全体がゼリー
状となり、擬集団塊化する。200μを越えると、粒子表
面の塩素化のみが進行し、全体として不均一状態とな
り、有機溶剤に均一に溶けない塩素化物が得られる。
本発明の原料ポリオレフィンを微粒子化する方法とし
ては、機械的粉砕法、溶媒沈澱法、溶融急冷法などがあ
る。その他、乳化重合、懸濁重合法で製造して微粒子状
態のまま固形化したものでもよい。
本発明では上記の原料ポリオレフィンを水に分散させ
て塩素化を行うのであるが、このときの水相中の原料ポ
リオレフィン濃度は30重量%未満(好ましくは10重量%
未満、さらに好ましくは5重量%未満)となるように調
整するのが望ましい。さらに水相への分散に際して、原
料ポリオレフィンが機械的な撹拌などで容易に均一散す
るよう、懸濁安定剤、すなわち、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレン縮合物、ポリオキシアルキレンアル
キルエーテル、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエ
ーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキ
レンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン
グリセリン脂肪酸エステルなどのノニオン界面活性剤
(好ましくはHLBが11以上のもの)、あるいは高級アル
コールサルフェート、アルキルベンゼンスルフォン酸
塩、アルキルフォスフェート塩、ポリオキシアルキレン
アルキルサルフェート、ジアルキルスルフォコハク酸塩
などのアニオン界面活性剤を使用することができる。
上記懸濁安定剤を使用する場合の使用量は、原料ポリ
オレフィン100重量部に対して0.1〜7重量部、好ましく
は1〜5重量部である。0.1重量部未満では懸濁物の安
定性が悪く、7重量部を越えると後工程の塩素化に悪影
響を与え、粒子が凝集したり、不均一な塩素化物が生成
するので好ましくない。
本発明の塩素化は、塩素化温度0〜40℃で行う。
本発明の塩素化は、塩素化物の塩素含有量55〜75%ま
で行う。55%未満では例え均一に塩素化されていても、
トルエン、キシレンなどの有機溶剤への溶解性が悪く、
均一な溶液が得られない。また75%を越えると、塩素化
物自体が有機溶媒へ不溶性となる。
本発明の塩素化においては、ラジカル開始剤を使用し
たり、あるいは紫外線照射下で行えば塩素の有効利用が
図られる。また塩素の供給は、フィード式、密閉式のい
ずれでもよく、常圧下でも加圧下でもよい。
[発明の効果] 本発明の製造方法で得られた塩素化ポリオレフィン
は、有機溶剤に均一に溶解し、重防食用塗料の原料とし
て極めて有用である。
[実施例] 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 粘度法による分子量3000、密度0.93g/cm3、軟化点114
℃(JIS K−2207)、酸価1.0mgKOH/g、平均粒子径30μ
のポリエチレン35g、ステアリン酸ソーダ0.35g、水658m
lを、容積が1で、撹拌機、温度計、塩素フィードノ
ズルを具備し、外部から水銀ランプで紫外線を照射でき
る筒状反応槽を仕込み、温度20℃で撹拌しながら、塩素
ガスを50g/時間の速度で吹き込んだ。
こうして6時間塩素化後、濾過により粒子を分け、水
で洗浄し、50℃の減圧下に乾燥した。反応途中での粒子
の融着は見られず、濾過、乾燥後も粒子状であった。乾
燥した塩素化物の塩素含有量は68%であり、このものの
20%トルエン溶液、及び同液をガラスに塗布して乾燥さ
せたフィルムも均一透明であった。
実施例2 粘度法による分子量1500、密度0.93g/cm3、軟化点108
℃(JIS K−2207)、酸価15.8mgKOH/g、平均粒子径80
μ、エチレン/プロピレンのモル比率=95/5のエチレン
プロピレン共重合体35g、ステアリン酸ソーダ0.35g、水
658mlを、容積が1で、撹拌機、温度計、塩素フィー
ドノズルを具備し、外部から水銀ランプで紫外線を照射
できる筒状反応槽に仕込み、温度25℃で撹拌しながら、
塩素ガスを50g/時間の速度で吹き込んだ。
こうして6時間塩素化後、濾過により粒子を分け、水
で洗浄し、50℃の減圧下に乾燥した。反応途中での粒子
の融着は見られず、濾過、乾燥後も粒子状であった。乾
燥した塩素化物の塩素含有量は62%であり、このものの
20%トルエン溶液、及び同液をガラスに塗布して乾燥さ
せたフィルムも均一透明であった。
実施例3 粘度法による分子量3500、密度0.93g/cm3、軟化点102
℃(JIS K−2207)、酸価15.8mgKOH/g、平均粒子径80μ
の無水マレイン酸変性酸化型ポリエチレン35g、ノニオ
ン系界面活性剤アデカノールNP−900(エチレンオキサ
イド/プロピレンオキサイドブロック共重合体、HLB=1
9)0.7g、水658mlを、容積が1で、撹拌機、温度計、
塩素フィードノズルを具備し、外部から水銀ランプで紫
外線を照射できる筒状反応槽に仕込み、温度40℃で撹拌
しながら、塩素ガスを50g/時間の速度で吹き込んだ。
こうして5時間塩素化後、濾過により粒子を分け、水
で洗浄し、50℃の減圧下に乾燥した。反応途中での粒子
の融着は見られず、濾過、乾燥後も粒子状であった。乾
燥した塩素化物の塩素含有量は65%であり、このものの
トルエン溶液、及び同液をガラスに塗布して乾燥させた
フィルムも均一透明であった。
比較例1 粘度法による分子量3000、密度0.93g/cm3、軟化点114
℃(JIS K−2207)、酸価1.0mgKOH/g、平均粒子径400μ
のポリエチレン35g、ステアリン酸ソーダ0.35g、水658m
lを、容積が1で、撹拌機、温度計、塩素フィードノ
ズルを具備し、外部から水銀ランプで紫外線を照射でき
る筒状反応槽に仕込み、温度80℃で撹拌しながら、塩素
ガスを50g/時間の速度で吹き込んだ。
塩素フィード1時間で系は大きな団塊となった。この
ものの一部を水で洗浄し、50℃の減圧下に乾燥したサン
プルの塩素含有量は25%であり、その20%トルエン溶液
は白濁して不均一であった。
次に実施例1〜3で得られた本発明の塩素化ポリオレ
フィンを使用して下記処方で塗料を調製し、下記塗布、
乾燥条件で軟鋼板に塗布し、その物性を評価した結果を
以下の表1に示す。また比較のために四塩化炭素有機溶
剤法で製造した塩素化ポリエチレン(アデカプレンCE−
505:分子量2000、密度0.93g/cm3、軟化点114℃(JIS K
−2207)、酸価1.0mgKOH/g、塩素含有量64%)を使用し
て同様に評価した結果も表1に示す。
<塗料処方> <塗布、乾燥条件> SPCC−SB(JIS G−3141)軟鋼板使用(0.6×50×150m
m;280研磨) 鋼板洗浄;クロロホルムトルエン洗浄 塗 布 ;バァーコター050(0.05mm) 乾 燥 ;48Hr室温セッティング60℃×3Hr
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 伸 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭 電化工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−199207(JP,A) 特開 昭63−128005(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/18 - 8/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子量が500〜15000、軟化点が85〜140℃
    で、平均粒子径が0.1〜200μの微粒子状低分子量ポリオ
    レフィンを水中に分散させ、0〜40℃で、塩素濃度55〜
    75%に塩素化することを特徴とする塩素化ポリオレフィ
    ンの製造方法。
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