JP2998475B2 - 車両のサスペンション取付部構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、車体のサスペンショ
ン取付部構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】車体のサスペンション取付部構造として
は図９，１０に示すものがある。図９において１はスト
ラットハウス、２はフードリッジパネルを示し、フード
リッジパネル２の下部にはフロントサイドメンバ３が配
置されている。フロントサイドメンバ３の下部、具体的
にはダッシュロアパネル４の前側（ＦＲ側）の下部にブ
ラケット５を介して取付ボルト６が設けられ、この取付
ボルト６に図外のインシュレータを介してサスペンショ
ンのサブフレームが取り付けられるようになっている。

【０００３】フロントサイドメンバ３には、図１０に示
すようにサイドシル７の前端に接続されるレインフォー
ス８が分岐して取り付けられている（サブフレームの取
付部構造としては、例えば実開昭６２−６１７７９号，
実開昭６１−１１９８７１号公報に示されている）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のサスペンション取付部構造にあっては、フロントサ
イドメンバ３がレインフォース８との取付部を基端とし
て前側に延びる片持ち構造となっている関係で、取付ボ
ルト６に作用する荷重によって、図１０に示すように矢
印Ａ方向に変位し易く、音振性能が悪化する原因となっ
ている。

【０００５】このようなフロントサイドメンバ３の変位
を防止するためにフロントサイドメンバ３及びブラケッ
ト５の肉厚を増加して取付ボルト６の支持剛性を高める
ことも考えられるが、このようにすると車体重量の増加
を招いてしまう。

【０００６】そこで、この発明は車体重量の増加を抑え
つつ、支持剛性を高めることができる車両のサスペンシ
ョン取付部構造を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】フロントサイドメンバの
途中からレインフォースが斜め外側へ向かって二又状に
分岐され、レインフォースの後端はサイドシルの前端に
取り付けられ、フロントサイドメンバとレインフォース
との又部に、双方にまたがる補強用のガセットが取り付
けられ、フロントサイドメンバとレインフォースとの分
岐部にサスペンションのサブフレームを支持する第１の
固定部材が設けられ、ガセットにサブフレームを支持す
る第２の固定部材が設けられている。

【０００８】

【作用】フロントサイドメンバとレインフォースとの分
岐部にサスペンションのサブフレームを支持する第１の
固定部材を設けることで第１の固定部材の支持点を頂部
としたトラス構造を形成して剛性を高める。第２の固定
部材はフロントサスペンションとレインフォースとの双
方に荷重分担させて支持剛性を高める。また、車両前面
衝突時においてフロントサイドメンバに後方に向かう入
力荷重が作用すると、この荷重はフロントサイドメンバ
とレインフォースとの分岐部からフロントサイドメンバ
とレインフォースとの双方に分配して伝達され、極部的
な変形を抑える。

【０００９】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図面と共に説明
する。図２に示すように、車体前側（ＦＲ側）の左右に
はクロージングプレート９と共に閉断面構造部を形成す
るフロントサイドメンバ１０が設けられている。フロン
トサイドメンバ１０及びクロージングプレート９の後端
にはフランジ部１０Ａ，９Ａが各々設けられ、これらフ
ランジ部１０Ａ，９Ａはダッシュロアパネル１１の前面
に接合されている。

【００１０】フロントサイドメンバ１０の後半部の下部
にはフロントサイドメンバとしてのフロントサイドメン
バエクステンション１２が取り付けられている。フロン
トサイドメンバエクステンション１２は、フロントサイ
ドメンバ１０及びクロージングプレート９に接合される
上に開いた断面コの字状の前半部１３と、この前半部１
３の後端で二又状に分岐する後半部とを有している。後
半部の車室内側（ＯＸ側）には上に開いた断面コの字状
のサイドメンバ部１４が、車室外側には上に開いた断面
コの字状のレインフォースとしてのレインフォース部１
５が各々設けられている。

【００１１】前半部１３の下面には、サイドメンバ部１
４とレインフォース部１５とが分岐する基点（図１に示
す）にサスペンションのサブフレームを支持する第１の
固定部材としての第１ボルト１６が取り付けられてい
る。

【００１２】サイドメンバ部１４の上縁には、フロアパ
ネル１７に接合されるフランジ部１４Ａが設けられ、車
室内側のフランジ部１４Ａはそのまま前半部１３の後端
のフランジ部１３Ａ（ダッシュロアパネル１１に接合さ
れる）と連なっている。ここで、サイドメンバ部１４
は、図４に示すようにダッシュロアパネル１１を境にし
て下側にオフセットしている。

【００１３】レインフォース部１５は、車室内側の側縁
に前記サイドメンバ部１４のフランジ部１４Ａと連なり
フロアパネル１７に接合されるフランジ部１４Ａを備
え、車室外側の側壁１５Ａは図６に示すようにダッシュ
ロアパネル１１に接合されている。レインフォース部１
５の後端には図１に示すように下側と前側に各々フラン
ジ部１５Ｂ，１５Ｃが形成され、これら各フランジ部１
５Ｂ，１５Ｃはサイドシル１８の前端に接合されてい
る。尚、サイドシル１８はフロアパネル１７の側縁に接
合されている。

【００１４】サイドメンバ部１４とレインフォース部１
５との又部には、双方にまたがり、下方からガセット１
９が取り付けられている。ガセット１９は図３に示すよ
うに略三角形状の部材であって、サイドメンバ部１４と
レインフォース部１５の下面に接合されるフロアパネル
部１９Ａ（図５，７に示す）を備えると共に、後側辺に
はフロアパネル１７に接合されるフランジ部１９Ｂを備
えている。そして、ガセット１９の中央部には取付孔１
９Ｃが設けられ、ここに前記第１ボルト１６と共にサス
ペンションのサブフレームを支持する第２の固定部材と
しての第２ボルト２０が取り付けられている。尚、２１
はフロアパネル１７のフロアトンネル部を示す。

【００１５】ここで、図８に示すようにフロントサイド
メンバ１０のクロージングプレート９は、フードリッジ
パネル２２の下縁に取り付けられており、このフードリ
ッジパネル２２にはストラットハウス２３が設けられて
いるが、ダッシュアッパパネル２４とストラットハウス
２３とフードリッジパネル２２の縦面２２Ａと狭まれた
部分に平坦な棚部２５が形成されている。

【００１６】上記実施例構造によれば、図１に示すよう
に第１ボルト１６の支持点がサイドメンバ部１４とレイ
ンフォース部１５とが分岐する起点に設定されているた
め、第１ボルト１６の支持点を頂部とし、サイドメンバ
部１４とレインフォース部１５を固定したトラス構造が
形成されるため、サスペンションのサブフレームの支持
剛性を高めることができる。また、第２ボルト２０はサ
イドメンバ部１４とレインフォース部１５とにまたがっ
て固定されたガセット１９に設けられているため、第１
ボルト１６と同様サスペンションのサブフレームの支持
剛性を高めることができる。その結果、フロントサイド
メンバ１０が車室内側に変位することがなくなり、音振
性能が向上し、操縦安定性も向上する。

【００１７】また、車両前面衝突時において、図１に示
すように入力荷重Ｆがフロントサイドメンバエクステン
ション１２の前半部に後向きに作用すると、この入力荷
重Ｆは二又状に分岐している第１ボルト１６の支持点で
サイドメンバ部１４とレインフォース部１５とに各々Ｆ
１，Ｆ２として分配された状態で伝達される。したがっ
て、例えば図１０に示すように車両前面衝突時にかかる
後方入力がほとんどサイドシル側には伝達されない従来
技術に比較して、フロントサイドメンバ３に大きな負荷
がかかるのを防止することができる。

【００１８】そして、フードリッジパネル２２に設けら
れた棚部２５は、図８に示すようにダッシュアッパパネ
ル２４，フードリッジパネル２２の縦面２２Ａ及びスト
ラットハウス２３で囲まれているため、サスペンション
のサブフレーム入力及びストラット入力に対して高い剛
性で対抗することができる。

【００１９】尚、この発明は上記実施例に限られるもの
ではなく、例えばフロントサイドメンバエクステンショ
ン１２のレインフォース部１５を別体で成形しても良
い。

【００２０】

【発明の効果】以上説明してきたようにこの発明によれ
ば、第１の固定部材の支持点を頂部として二又状に分岐
したフロントサイドメンバとレインフォースとでトラス
構造が形成されるため、各部材の板厚を増加させること
なく、第１の固定部材に支持されるサスペンションのサ
ブフレームの支持剛性を高めることができるという効果
がある。したがって、従来のようにフロントサイドメン
バが車室内側へ変位し難くくなり、音振性の向上、繰縦
安定性の向上を図ることができる。

【００２１】また、第２の固定部材はフロントサイドメ
ンバとレインフォースとの又部に、双方にまたがって取
り付けられたガセットに設けられていることにより、サ
スペンションのサブフレームの支持剛性をより一層高め
ることができるという効果がある。

【００２２】そして、車両前面衝突時においてフロント
サイドメンバの前端に荷重が作用すると、この荷重は二
又状に分岐したフロントサイドメンバとレインフォース
とに２分割されて伝達されるため、荷重が一方に偏って
作用するのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の要部平面図。

【図２】この発明の一実施例の全体斜視図。

【図３】ガセットの斜視図。

【図４】図２の側面図。

【図５】図２のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図６】図２のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【図７】図２のＣ−Ｃ線に沿う断面図。

【図８】この発明の一実施例の斜視図。

【図９】従来技術の斜視図。

【図１０】従来技術の平面図。

【符号の説明】

１２…フロントサイドメンバエクステンション（フロン
トサイドメンバ） １４…サイドメンバ部（フロントサイドメンバ） １５…レインフォース部（レインフォース） １６…第１ボルト（第１の固定部材） １８…サイドシル １９…ガセット ２０…第２ボルト（第２の固定部材）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロントサイドメンバの途中からレイン
   フォースが斜め外側へ向かって二又状に分岐され、レイ
   ンフォースの後端はサイドシルの前端に取り付けられ、
   フロントサイドメンバとレインフォースとの又部に、双
   方にまたがる補強用のガセットが取り付けられ、フロン
   トサイドメンバとレインフォースとの分岐部にサスペン
   ションのサブフレームを支持する第１の固定部材が設け
   られ、ガセットにサブフレームを支持する第２の固定部
   材が設けられていることを特徴とする車両のサスペンシ
   ョン取付部構造。