JP2996729B2 - Tpo活性タンパク質に対する抗体 - Google Patents

Tpo活性タンパク質に対する抗体

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JP2996729B2 JP7521122A JP52112295A JP2996729B2 JP 2996729 B2 JP2996729 B2 JP 2996729B2 JP 7521122 A JP7521122 A JP 7521122A JP 52112295 A JP52112295 A JP 52112295A JP 2996729 B2 JP2996729 B2 JP 2996729B2
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【発明の詳細な説明】 この出願は、1995年1月31日出願の係属中の米国特許
出願(出願番号不明)の一部係属出願であり、該米国特
許出願は、1994年12月22日出願の係属中の米国特許出願
第08/361,811号の一部継続出願であり、この後者の米国
特許出願は、1994年10月11日出願の係属中の米国特許出
願第08/320,300号の一部継続出願であり、この後者の米
国特許出願は、1994年7月20日出願の係属中の米国特許
出願第08/278,083号の一部継続出願であり、この後者の
米国特許出願は、1994年4月1日に出願され現在放棄さ
れている米国特許出願第08/221,020号の一部継続出願で
あり、この後者の米国特許出願は、1994年3月14日に出
願され現在放棄されている米国特許出願第08/212,164号
の一部継続出願である。
[発明の分野] 本発明は巨核球前駆細胞の増殖および分化を促進する
か、又は生体内で特異的に血小板の産生を刺激、または
増強する活性を有する新規タンパク質、そのようなタン
パク質をコードするDNA、およびそのようなタンパク質
の製造方法、更にそのようなタンパク質の用途に関す
る。
[発明の背景] 巨核球は主に骨髄中で観察される、多核で細胞質が豊
富な大型の細胞であり、血小板を産生する。巨核球の源
は骨髄中の多能性造血系幹細胞である。多能性幹細胞が
ある程度分化して、巨核球系だけに方向付けられた巨核
球前駆細胞となり、さらに増殖・分化して巨核球とな
る。巨核球はさらに核の倍数性の増加(polyploidizati
on)、細胞質の成熟(cytoplasmic maturation)を遂げ
て、最終的に無核の細胞質断片である血小板を血液循環
へ放出する。1個の成熟した巨核球から平均して2000〜
4000個の血小板が生成される。血小板形成機構は多くの
点で依然として不明であるが、巨核球は骨髄中の静脈洞
内皮表面に一般に局在し、血小板の断片化を起こす類洞
部内に広くゆきわたる細胞質過程を生じさせると考えら
れている。
血小板の産生機序については不明な点が多いが、巨核
球は骨髄の静脈洞の内皮下に局在しており、その細胞質
が、内皮を貫通して、静脈洞内壁にひも状の突起を出
し、血小板を放出すると考えられている。
このような巨核球造血、および血小板産生に関して、
特異的な産生調節機構の存在が示唆されてきた。健常人
や正常な動物では、有効な血小板数が維持されている
が、例えば、正常な動物へ抗血小板抗体を投与すると、
短時間で急激に血小板だけが減少し、その後増加し始
め、さらに一過程に正常値を越えるが、最終的には再び
正常値に戻ることが知られている。また、臨床において
も、赤血球数や白血球数が正常であるにもかかわらず、
血小板数の低下(血小板減少症)や血小板増加症に陥る
ことが分かっている。
血小板の最も重要な機能は、止血機構における止血栓
の形成である。血小板減少により、止血機構が正常に作
働しなくなると、出血傾向を示す。
巨核球形成や血小板形成に関して、特定の調節機構の
存在が示唆されてきた。血小板は、健常人や正常動物で
は有効数に維持されているが、正常動物に抗血小板抗体
を投与すると、血小板数だけが短時間に急激に減少し、
その後、増加に転じ、一般的に正常レベルを超えるが最
終的に正常値に戻ることが知られている。また、臨床分
野において、血小板数の減少(血小板減少症)又は血小
板数の増加(血小板増加症)が赤血球数や白血球数が正
常であるときでさえ起こることも知られている。しか
し、今日まで、(例えば赤血球形成に関与するエリスロ
ポエチンの場合のように)血小板産生に関与する特異的
調節因子の単離及び同定の成功例は報告されていない。
血小板の最も重要な機能は、止血機構における止血栓
の形成である。止血機構の正常な機能が血小板減少症の
ために損われるときには、出血傾向が起こる。
癌の放射線療法や化学療法では、骨髄抑制による血小
板減少症は致命的な合併症であり、そのような癌患者に
は出血傾向を防ぐための血小板輸血が施される。また、
血小板輸血は骨髄移植を受けた患者や再生不良性貧血の
患者にも施される。
そのような血小板輸血のための血小板は、健常な血液
提供者の血液から血小板フェレーシスによって調製され
るが、輸血用血小板は貯蔵寿命が短く、細菌感染による
汚染の可能性がある。また患者をヒト免疫不全ウィルス
(HIV)または各種の肝炎ウィルスの様な危険なウィル
スにさらしたり、患者に輸血血小板表面の組織適合性抗
原(HLA)に対する抗体を誘導したり、あるいは輸血用
血小板に混入するリンパ球により移植片対宿主病(GVH
D)を引き起こしたりする危険性がある。
従って、血小板減少症患者で、内在性の血小板産生を
刺激し、同時に血小板輸血依存を減らすことができれ
ば、極めて有益である。また、癌の放射線療法や化学療
法を受けている患者で、血小板減少を是正または防止す
ることができれば、それらの治療を一層安全にし、治療
の集中度を高めることが可能となり、さらに一層の制癌
効果が期待できるであろう。
そのような理由から、巨核球および血小板の産生調節
に関与する特異的な調節因子の分離、同定のための数多
くの研究が熱心に行なわれてきた。試験管内の研究によ
れば、巨核球系細胞の形成に関与する調節因子は次の二
つに大別されると考えられている(例えば、Williams
ら、J.Cell.Physiol.、110巻、101−104頁、(1982)参
照)。巨核球コロニー刺激因子(Meg−CSF)はCFU−MK
の増殖・分化を促進する調節因子であり、半固形の培養
液中で巨核球からなる集塊(コロニー)の形成を誘導す
る活性を有する。もう一つの調節因子は、巨核球増幅因
子(Meg−Pot)、巨核球刺激因子、血小板生成刺激因子
などと呼ばれ、主に未成熟又は成熟巨核球に働き、分化
・成熟を促進させる。ある場合には、Meg−CSF活性と一
緒に検出される。また、実験的に血小板減少症にした動
物の血小板減少期の血清や血漿を別の正常動物に注入す
ると、血小板が増加することから、生体内で血小板増加
作用を有する体液性因子の存在が考えられており、スロ
ンボポエチン(thrombopoietin:TPO)と呼ばれている。
近年遺伝子がクローニングされたサイトカインのいく
つかについて、試験管内での巨核球系細胞への作用およ
び血小板増加作用が調べられている。ヒトIL−3はヒト
巨核球コロニーの形成を刺激し(Brunoら、Exp.Hemato
l.、16巻、371−377頁、(1988))、少なくともサルで
は血小板数の増加をもたらす(Donahueら、Science、24
1巻、1820−頁、(1988))。しかし、IL−3はすべて
の造血細胞の増殖、分化に影響を及ぼす因子であり、巨
核球造血、および血小板産生の特異的調節因子とは区別
することができる。ヒトIL−6はMeg−CSF活性は示さな
いが、未熟な巨核球に作用して成熟巨核球への分化を促
進する(Williamsら、Exp.Hematol.、18巻、69頁、(19
90))。霊長目動物において、IL−6のin vivo投与は
血小板産生を誘起し、骨髄巨核球の成熟を促進し、およ
び核の倍数性を増加させるが、体重の減少や急性期蛋白
質の誘導などの副作用も認められている(Asanoら、Blo
od、75巻、1602−1605頁、(1990);Stahlら、Blood、7
8巻、1467−1475頁、(1991))。ヒトIL−11もMeg−CS
F活性は示さず、Meg−Pot活性を発揮し、マウスを用い
て血小板増加作用が報告されている(Nebenら、Blood、
81巻、901−908頁、(1993))。また、ヒトLIFは霊長
目動物において、有意に血小板数を増加させるが(Maye
rら、Blood、81巻、3226−3233頁、(1993))、試験管
内での巨核球への作用は微弱である(Bursteinら、J.Ce
ll.Physiol.、153巻、305−312頁、(1992))。
これらのサイトカインには血小板増加因子としての臨
床応用の可能性が期待されているが、巨核球系だけの特
異的に作用するものではなく、また、副作用も認められ
る。従って、臨床においては、より副作用が少ない、巨
核球−血小板系に特異的な血小板増加因子が待望されて
いる。
古くから血小板減少症のヒトや動物の血清、血漿、尿
あるいはある種のヒト培養細胞株の上清中に、Meg−CS
F、Meg−Pot、あるいはTPO活性の存在が報告されている
が、このような因子が単独で、あるいは複数存在して活
性が発揮されるのか、また既知因子との異同など、ほと
んど未解明のままである。
Hoffmanらは、再生不良性貧血や無巨核球性血小板減
少性紫斑病の患者の血清の中に、有意にヒト巨核球コロ
ニー形成を増加させるMeg−CSF活性を見いだし(Hoffma
nら、N.Eng.J.Med.、305巻、533−538頁、(1981))、
Mazurらはさらに、再生不良性貧血患者の血清中のこのM
eg−CSF活性はIL−3あるいはGM−CSFとは異なることを
示した(Mazurら、Blood、76巻、290−297頁、(199
0))。類似のMeg−CSF活性は、集中的に細胞毒性化学
療法を施した癌患者や骨髄移植を施した患者の血清中に
も検出されている(Mazurら、Exp.Hematol.、12巻、624
−628頁、(1984);de AlarconとSchmieder、Prog.Cli
n.Bio.Res.、215巻、335−340頁、(1986))。Hoffman
らは、骨髄巨核球低形成の血小板減少症患者の血漿か
ら、見かけの分子量46000を有するMeg−CSFを精製した
と報告したが(Hoffmanら、J.Clin.Invest.、75巻、117
4−1182頁、(1985))、その後の研究で精製標品の純
度がアミノ酸配列を決定するには不十分であることが判
明している(Hoffman、Blood、74巻、1196−1212頁、
(1989))。血小板減少症患者由来の血漿、あるいは特
発生血小板減少性紫斑病(ITP)患者の尿から、マウス
での75Se−セレノメチオニン(75Se−selenomethionin
e)の新生血小板への取り込みを促進させるTPO様活性が
部分精製され、血漿由来の活性については見かけの分子
量40000を有することが示されている(Grossiら、Hemat
ologica、72巻、291−295頁、(1987);Vannucchiら、L
eukemia、2巻、236−240頁、(1988))。
再生不良性貧血や重症のITP患者の尿中にも、Meg−CS
F活性やTPO様活性が検出されている(Kawakitaら、Br.
J.Haematol.、48巻、609−615頁、(1981);Kawakita
ら、Blood、61巻、556−560頁、(1983))。さらに、K
awakitaらは、再生不良性貧血患者の尿抽出物に含まれ
るMeg−CSF活性は、解離条件下のゲル濾過で見かけの分
子量45000を有することを報告している(Kawakitaら、B
r.J.Haematol.、62巻、715−722頁、(1986))。Eriks
on−Millerらも、同様の尿試料からのMeg−CSFの精製を
報告しているが、その構造は明らかにされていない(Er
ikson−Millerら、“Blood Cell Growth Factors:their
Present and future use in hematology and oncolog
y"ed.by Murphy、AlphaMed Press、Dayton、Ohio、204
−220頁、(1992))。Turnerらは、骨髄移植を施行さ
れた患者の尿からMeg−CSF活性を有する巨核球刺激因子
(MSF)を精製し、その遺伝子をクローニングした(Tur
nerら、Blood、78巻、1106頁279a、(1991)(abstr.、
suppl.1))。このMSFは、分子量28000から35000を有す
る。この因子が、これまで血小板減少症患者の血清や血
漿中に検出されてきたMeg−CSFと同じ因子か否か、また
生体内において血小板増加作用を有するか否かは不明で
ある。
また、ヒト胎児腎臓由来細胞株(HEK細胞)の培養上
清から分子量32000のTPO様活性が精製され、その生物学
的及び生化学的性状が調べられているが、いまだにその
構造は明らかにされていない(McDonaldら、J.Lab.Cli
n.Med.、106巻、162−174頁、(1985);McDonald、Int.
J.cell Cloning、7巻、139−155頁、(1989))。一方
で、別の研究者により、このHEK細胞のならし培養液中
に存在する、試験管内での巨核球の成熟を促進する主要
な活性は、既知サイトカイン、即ち、IL−6とEPOに依
るという報告もある(Withyら、J.Cell.Physiol.、15
巻、3362−372頁、(1992))。
動物由来の因子について、Evattらは、抗血小板血清
を注入したウサギの血小板減少期の血漿中にウサギおよ
びマウスにおいて75Se−セレノメチオニンの新生血小板
への取り込みを促進させるTPO様活性を報告している(E
vattら、J.Lab.Clin.Med.、83巻、364−371頁、(197
4))。その他にも1960年代から1970年代にかけて類似
の報告がいくつも見られる(例えば、Odellら、Proc.So
c.Biol.Med.、108巻、428−431頁、(1961);EvattとLe
vin、J.Clin.Invest.、48巻、1615−1626頁、(1969);
Harker、Am.J.Physiol.、218巻、1376−1380頁、(197
0);ShreinerとLevin、J.Clin.Invest.、49巻、1709−1
713頁、(1970);Penington、Br.Med.J.、1巻、606−6
08頁、(1070))。Evattら、およびHillとLevinは、血
小板減少期のウサギの血漿から、TPO様活性を部分精製
し(Evattら、Blood、54巻、377−388頁、(1979);Hil
lとLevin、Exp.Hematol.、14巻、752−759頁、(198
6))、その後さらに、試験管内において巨核球の分
化、成熟を促進させる活性、即ちMeg−Pot活性を指標に
してこの因子の精製を進め、ゲル濾過上で見かけの分子
量40000〜46000を有することを明らかにした(Keller
ら、Exp.Hematol.、16巻、262−267頁、(1988);Hill
ら、Exp.Hematol.、20巻、354−360頁、(1992))。抗
血小板血清投与で誘導した重症の急性血小板減少症のウ
サギの血漿中にはIL−6活性が検出されないことから、
このTPO様活性はIL−6とは異なる分子によって担われ
ていることが示されている(Hillら、Blood、80巻、346
−351頁、(1992))。
TayrienとRosenbergも、血小板減少症ウサギの血漿、
あるいはHEK細胞の培養上清から、巨核球系のラット培
養細胞株において血小板第4因子の産生を刺激する見か
けの分子量15000を有する因子を精製したが、その構造
は明らかにされていない(TayrienとRosenberg、J.Bio
l.Chem.、262巻、3262−3268頁、(1987))。
また、Nakeffは、抗血小板抗体投与により血小板減少
にしたマウスの血清中にMeg−CSF活性を見いだしている
(Nakeff、“Experimental Hematology Today"ed.by Ba
um and Ledney、Springer−Verlag、NY、111−123頁、
(1977))。一方、血小板減少にしたウサギの血清中に
は、巨核球の成熟を促進したり(Kellerら、Exp.Hemato
l.、16巻、262−267頁、(1988);Hillら、Exp.Hemato
l.、17巻、903−907頁、(1989))、巨核球の血小板へ
の形態変化(LevenとYee、Blood、69巻、1046−1052
頁、(1987))を刺激する活性は検出されているが、Me
g−CSF活性は認められていない。。
Miuraらは、亜致死線量の放射線を全身照射したラッ
トの血小板減少期の血漿中にMeg−CSF活性を検出し(Mi
uraら、Blood、63巻、1060−1066頁、(1984))、この
活性が血小板輸血によって変化しないことから、生体内
でのMeg−CSF活性の誘導には、血小板の減少ではなく、
巨核球の減少が必要であるとしている(Miuraら、Exp.H
ematol.、16巻、139−144頁、(1988))。MazurとSout
hは、亜致死性放射線照射したイヌの血清中にMeg−CSF
活性を検出し、ゲル濾過上で見かけの分子量175000を有
することを報告している(MazurとSouth、Exp.Hemato
l.、13巻、1164−1172頁、(1985))。その他に、血
清、血漿、あるいは尿に由来する因子が、Stranevaら
(Stranevaら、Exp.Hematol.、15巻、657−663頁、(19
87))などによっても報告されている。
このように、血小板減少症のヒトや動物の生体試料の
中に、巨核球造血、および血小板生成を促進する因子の
存在が確認されているにもかかわらず、現在までにその
ような因子の単離、生化学的ならびに生物学的な同定、
および特性決定は、天然の供給源、例えば血液や尿の中
にそのような因子が極端に微量でしか存在しないために
成功していない。
[発明の概要] そこで、本発明の目的は、巨核球前駆細胞の増殖およ
び分化を促進するか、および/又は生体内で特異的に血
小板の産生を刺激、または増強する活性(以下、「TPO
活性」と称する)を有するTPOタンパク質を天然の供給
源から単離・同定し、更にはそのTPOタンパク質をコー
ドする遺伝子を単離すること、組換えDNA技術を用い
て、該タンパク質を均質に大量生産する方法を提供する
ことにある。それが可能となれば、現在採用されている
血小板輸血にとって代わるか、頻度を減らすことがで
き、あるいは血小板障害の治療および診断にも使うこと
ができる。
したがって、本発明は、(i)TPO活性を有するタン
パク質をコードする精製、単離されたDNA配列に係わ
り、該DNA配列は下記の群から選択される。
(a)配列番号(SEQ ID NO)194、195及び196に示され
るDNA配列、又はその相補鎖; (b)厳格な条件下で(a)に定義のDNA配列又はその
断片とハイブリッド形成するDNA配列;及び (c)遺伝コードの縮重がなければ(a)、(b)に定
義のDNA配列とハイブリッド形成しうるDNA配列。
本発明は、また、(ii)TPO活性を有するタンパク質
の製造方法に係わり、該方法は、適切な栄養条件下、該
タンパク質の発現を可能にするように前記DNA配列で形
質転換又はトランスフェクトした原核又は真核宿主細胞
を増殖し、前記DNA配列の発現により得られた目的のタ
ンパク質産物を単離する工程を包含する。
本発明はさらに、(iii)原核又は真核伸縮細胞内で
の前記DNA配列の発現により得られたタンパク質産物に
係わる。
本発明はさらにまた、TPO活性を有する前記タンパク
質を有効量で含有する医薬組成物、並びに血小板障害特
に血小板減少症をもつ患者に前記タンパク質を投与する
ことからなる血小板障害特に血小板減少症を治療するた
めの方法に係わる。
[図面の簡単な説明] 図1は、XRP由来のPhenyl Sepharose 6 FF/LS F2のSe
phacryl S−200HRゲル濾過クロマトグラフィーを示す。
図2は、XRPの低分子量TPOサンプル(Sephacryl S−2
00HR F3)由来のYMC−pack CN−AP TPO活性フラクショ
ンのCapcell Pak C1逆相クロマトグラフィーを示す。
図3は、XRPの低分子量TPOサンプル由来のCapcell Pa
k C1 TPO活性フラクション(FA)のSDS−PAGE分析を示
す。
図4は、SDS−PAGEにより単離されたラットTPOのC18
逆相HPLC上のペプチドマップを示す。ペプチド断片は3
種のプロテアーゼによる系統的加水分解によって得られ
た。
図5は、ラットCFU−MKアッセイ系におけるXRP由来の
TPO活性を示す。
図6は、発現ベクターpEF18Sの構築を示す。
図7は、ラットCFU−MKアッセイ系における、pEF18S
−A2αが導入されたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を
示す。
図8は、ラットCFU−MKアッセイ系におけるpEF18S−H
L34が導入されたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示
す。
図9は、ラットCFU−MKアッセイ系におけるpHT1−231
が導入されたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示す。
図10aは、ラットCFU−MKアッセイ系におけるpHTF1が
導入されたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示す。
図10bは、M−07eアッセイ系におけるpHTF1が導入さ
れたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示す。
図11は、ファージクローンλHGT1の制限酵素地図、並
びにpHGT1及びpEFHGTEの構築を示す。
(図中、E:EcoR I、H:Hind III、S:Sal Iを示す。) 図12aは、ラットCFU−MKアッセイ系におけるpEFHGTE
が導入されたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示す。
図12bは、M−07eアッセイ系におけるpEFHGTEが導入
されたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示す。
図13aは、ラットCFU−MKアッセイ系における、pHT1−
211#1、pHT1−191#1、又はpHT1−171#2が導入さ
れたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示す。
図13bは、ラットCFU−MKアッセイ系におけるpHT1−16
3#2が導入されたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示
す。
図14は、M−07eアッセイ系におけるpHT1−211#1、
pHT1−191#1、pHT1−171#2、又はpHT1−163#2が
導入されたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示す。
図15は、pDEF202−hTPO−P1を導入・発現されたCHO細
胞の培養上清からのヒトTPO精製における、逆相クロマ
トグラフィー(Vydac C4カラム)のクロマトグラム。
図16は、pDEF202−hTPO−P1を導入・発現させたCHO細
胞の培養上清から精製されたヒトTPOのSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動による分離を示す写真。
図17は、pCFM536/h6T(1−163)を導入・発現させた
大腸菌からのヒトTPOの精製における、逆相クロマトグ
ラフィーのクロマトグラム。
図18は、pCFM536/h6T(1−163)を導入・発現させた
大腸菌から分離・精製された変異型ヒトTPO、h6T(1−
163)のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分
離を示す写真。
図19は、ヒトTPO発現プラスミドpDEF202−hTPO163をC
HO細胞にトランスフェクションして得られた培養上清を
出発材料にしたhTPO163精製におけるSuperdex 75pgカラ
ムでのhTPO163の溶出パターンを示す。蛋白質は220nmで
測定した。
図20は、ヒトTPO発現プラスミドpDEF202−hTPO163をC
HO細胞にトランスフェクションして得られた培養上清を
出発材料にしたhTPO163の精製において、Superdex 75pg
カラムで得られたhTPO163標品のSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動分析を示す。ゲル上の各hTPO163は銀染
色された。
図21は、発現ベクターpSMT201の構造を示す。
図22は、M−07eアッセイにおけるβGL−TPO、N3/TP
O、09/TPOを導入・発現させたCOS7培養上清中のTPO活性
を示すグラフ。
図23は、M−07eアッセイにおけるヒトTPO挿入・欠失
誘導体を導入・発現させたCOS7細胞培養上清中のTPO活
性を示すグラフ。
図24は、ヒトTPOをマウスに静脈内投与、または皮下
投与した場合の血小板数の上昇推移を示す。
図25は、ヒトTPOをマウスに皮下投与した場合の用量
に依存した血小板数の上昇推移を示す。
図26は、マウスに5−FUを投与して血小板減少症を誘
起した後にヒトTPOを投与した場合の血小板数の上昇推
移を示す。
図27は、マウスに塩酸ニムスチンを投与して血小板減
少症を誘起した後にヒトTPOを投与した場合の血小板数
の上昇推移を示す。
図28は、マウスにBMT(骨髄移植)を施行した後にヒ
トTPOを投与した場合の血小板数の上昇推移を示す。
図29は、X線照射して血小板減少症を誘起した後のマ
ウスにヒトTPOを投与した場合の血小板数の推移を示
す。
図30は、トランケーテッド(truncated)TPO(配列番
号6中のアミノ酸1−163)を投与した場合の血小板数
の用量依然的上昇推移を示す。
図31は、塩酸ニムスチンを投与して血小板減少症を誘
起した後にトランケーテッド(truncated)TPO(配列番
号6中のアミノ酸1−163)を投与した場合の血小板数
の上昇推移を示すグラフ。
図32は、ヒト巨核球培養系に加えるMpl−Xの濃度を
高めると、巨核球の発生を増々ブロックすることを示
す。
図33は、大腸菌で発現されたヒトTPO誘導体 ([Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Alg133]TPO(1−163)、
[Met-2,Lya-1,Ala1,Val3,Pro148]TPO(1−163)及び
[Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Arg115]TPO(1−163))の
M−07eアッセイにおけるTPO活性を示す。
図34は、大腸菌で発現されたヒトTPO誘導体 ([Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Alg129]TPO(1−163)、
[Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Arg143]TPO(1−163)、
[Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Leu82]TPO(1−163)、[M
et-2,Lys-1,Ala1,Val3,Leu146]TPO(1−163)及び[M
et-2,Lys-1,Ala1,Val3,Arg59]TPO(1−163))のM−
07eアッセイにおけるTPO活性を示す。
[発明の詳細な説明] 本発明は、血小板産生を特異的に刺激又は増大させる
生物活性を有しかつ配列番号6のアミノ酸配列1〜332
を含むトロンボポエチン(TPO)ポリペプチド又はその
誘導体を提供する。ポリペプチドの例として、配列番号
6のアミノ酸配列1〜163、配列番号6のアミノ酸配列
1〜232、配列番号6のアミノ酸配列1〜151、配列番号
2、4及び6の成熟アミノ酸配列からなるポリペプチド
類、並びに1〜6個のアミノ末端アミノ酸が欠損したポ
リペプチド類が挙げられる。さらに、本発明のポリペプ
チドの例として、[Thr33,Thr333,Ser334,Ile335,Gly
336,Tyr337,Pro338,Tyr339,Asp340,Val341,Pro342,Asp
343,Tyr344,Ala345,Gly346,Val347,His348,His349,His
350,His351,His352,His353]TPO,[Asn25,Lys231,Thr
333,Ser334,Ile335,Gly336,Tyr337,Pro338,Tyr339,Asp
340,Val341,Pro342,Asp343,Tyr344,Ala345,Gly346,Val
347,His348,His349,His350,His351,His352,His353]TP
O,[Asn25]TPO及び[Thr33]TPOが挙げられる。本発明
の他のポリペプチドとしては、[ΔHis33]TPO(1−16
3),[ΔArg117]TPO(1−163),[ΔGly116]TPO
(1−163),[His33,Thr33′,Pro34]TPO(1−16
3),[His33,Ala33′,Pro34]TPO(1−163),[His
33,Gly33′,Pro34,Ser38]TPO(1−163),[Gly116,A
sn116′,Arg117]TPO(1−163),[Gly116,Ala116′,
Arg117]TPO(1−163),[Gly116,Gly116′,Arg117
TPO(1−163),[Ala1,Val3,Arg129]TPO(1−16
3),[Ala1,Val3,Arg133]TPO(1−163),[Ala1,Va
l3,Arg143]TPO(1−163),[Ala1,Val3,Leu82]TPO
(1−163),[Ala1,Val3,Leu146]TPO(1−163),
[Ala1,Val3,Pro148]TPO(1−163),[Ala1,Val3,Ar
g59]TPO(1−163),及び[Ala1,Val3,Arg115]TPO
(1−163)のTPOポリペプチド誘導体が挙げられる。
本発明のTPOポリペプチドにはさらに、ポリマー好ま
しくはポリエチレングリコールに共有結合されたものも
包含される。さらに、本発明のTPOポリペプチドには、
アミノ酸[Met-2−Lys-1]、[Met-1]又は[Gly-1]を
さらに含有してもよい。本発明によって提供されるDNA
としては、TPOポリペプチド又は上記誘導体をコードす
るものが挙げられ、適切にはcDNA、ゲノムDNA及び合成D
NAとして提供される。
本発明はまた、上記TPOポリペプチドの製造方法を提
供し、この方法は、本発明のDNAによりコードされるポ
リペプチドを適切な宿主中で発現させ、該TPOポリペプ
チドを単離する工程を包含する。発現されるTPOポリペ
プチドがMet-2−Lys-1ポリペプチドである場合には、前
記方法はさらに、前記単離TPOポリペプチドからMet-2
Lys-1を切断する工程を含んでもよい。
本発明はさらに、グルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ(GST)融合ポリペプチドのようなTPOポリペプチド
の製造方法を提供する。アミノ末端GSTポリペプチド、
トロンビン認識ペプチド及びTPOポリペプチドをコード
するDNAを適切な宿主中に導入し、融合ポリペプチドを
単離し、そのGST部分をトロンビン処理により除去す
る。これによって、[Gly-1]TPOポリペプチド構造が得
られる。
本発明はさらにまた、血小板産生を特異的に刺激又は
増大する生物活性をもつポリペプチドを原核又は真核宿
主細胞で発現可能なように、本発明のDNA配列で形質転
換又はトランスフェクトされた前記宿主細胞を提供す
る。
本発明の医薬組成物は、有効量のTPOポリペプチド又
はその誘導体と医薬的に許容可能な担体と組合わせて含
有するものであり、血小板障害、特に、例えば化学療
法、放射線療法又は骨髄移植によって誘発される血小板
減少症の治療に有効に使用される。対応の治療法も本発
明に含まれる。
最後に、本発明はまた、TPOポリペプチド又はその上
記誘導体と特異的に免疫学的に反応する抗体を提供す
る。この抗体は本発明のTPOポリペプチドの単離や定量
のための方法に有用である。
本発明によれば、TPO活性を有するタンパク質をコー
ドする新規DNA配列(以下、「本発明のDNA配列」と言
う)が提供される。本発明のDNA配列としては、後記配
列表配列番号2、4又は6に示されたアミノ酸配列をコ
ードするDNA配列が挙げられる。
本発明のDNA配列には、TPO活性を保持する限りにおい
て配列番号2、4又は6に示される前記アミノ酸配列の
一部が改変(置換、欠失、挿入、または付加)されてい
る変異体をコードするDNA配列が含まれる。すなわち、T
PO誘導体をコードするDNA配列もまた本発明に包含され
る。
別の言い方をすれば、本発明のDNA配列としては、ア
ミノ酸配列が実質的に配列番号2、4又は6に示された
アミノ酸配列であるタンパク質分子をコードするDNA配
列が含まれる。ここで言う、「実質的に配列番号2、4
又は6に示されたアミノ酸配列」とは、配列番号2、4
又は6に示されたアミノ酸配列」に加えて、TPO活性を
保持する限りにおいて、配列番号2、4又は6に示され
たアミノ酸配列の一部に置換、欠失、挿入又は付加など
の改変があるアミノ酸配列を含むことを意味する。
さらに、本発明のDNA配列は、TPO活性を有するタンパ
ク質をコードするDNA配列から本質的になる。
なお、ここで言う「アミノ酸配列をコードするDNA配
列」には、ヌクレオチド配列における縮重をもつすべの
DNA配列を包含する。
更に、本発明のDNA配列は、以下(a)〜(c)の配
列を包含する。
(a)配列番号7、194、195及び196に示されたDNA配列
またはそれらの相補鎖、 (b)(a)のDNA配列またはその断片と厳格な条件下
でハイブリッド形成するDNA配列、 (c)遺伝コードの縮重がなければ(a)、(b)のDN
A配列とハイブリッド形成しうるDNA配列。
また、別の言い方をすれば、本発明のDNA配列は以下
の(a)、(b)のいずれかに示された配列も包含す
る。
(a)大腸菌DH5に担持されたベクターpEF18S−A2α
(受託番号FERM BP−4565)に悔込まれているTPO活性
を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA配
列、大腸菌DH5に担持されたベクターpHT1−231(受託番
号FERM BP−4564)に組込まれているTPO活性を有する
タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA配列、大腸
菌DH5に担持されたベクターpHTF1(受託番号FEPM BP−
4617)に組込まれているTPO活性を有するタンパク質の
アミノ酸配列をコードするDNA配列、大腸菌DH5に担持さ
れたベクターpHGT1(受託番号FERM BP−4616)に組み
込まれているTPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配
列をコードするDNA配列、 (b)TPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコ
ードするDNA配列であって、(a)のDNA配列またはその
断片と(厳格な条件下で)ハイブリッド形成するDNA配
列。
ここで“厳格な”ハイブリダイゼーション条件という
表現は、縮重配列の、および/または単一配列のオリゴ
ヌクレオチドプライマー(プローブ)を用いることによ
り行う、本発明においてDNAのPCR増幅をとりあげた一連
の実施例において使用されるものである。例として、Sa
mbrookらの“Molecular Cloning"(Cold Spring Har
bor Laboratory Press,1989)の第11章および第14
章、あるいは、Ausubelら編“Current Protocols in
molecular Biology"(Current Protocols,U.S.A.,1
993)のユニット2.10を参照のこと。
本発明のDNAとしては、配列番号6に示されたアミノ
酸配列のうち、1位から163位のアミノ酸配列をコード
するヌクレオチド配列を含み、かつTPO活性を有するタ
ンパク質をコードするDNA配列も含まれる。
このようなDNAは、制限酵素による切断部位の供与、
および/または、発現を容易にするような発現ベクター
構築のための開始部、終止部または中間部へのDNA配列
の付加的供与を含むことができる。また、非哺乳類宿主
を使用する場合には、それにおける発現に好ましいコド
ン(優先コドン)を組み込んでも良い。
本発明のDNA配列の例としては、ヒトをはじめとする
哺乳動物細胞などからmRNAを調製した後、既知の方法で
作製されたcDNAライブラリーから、既知の方法によって
スクリーニングすることによって得られたcDNAがある。
この場合のmRNAの供給源としては、ラット肝臓細胞由来
の細胞株McA−RH8994細胞、HTC細胞、H4−II−E細胞、
ラット肝臓、腎臓、脳、小腸、ヒト肝臓等が挙げられ
る。
また、本発明のDNA配列の他の例としては、ヒトをは
じめとする哺乳動物細胞から既知の方法で作製されたゲ
ノムライブラリーから既知の方法でスクリーニングされ
たゲノムDNA配列であってもよい。この場合のゲノムDNA
の供給源としては、ヒト、ラット、マウス等の染色体DN
Aが挙げられる。
また、このようにして得られた、TPO活性を有するタ
ンパク質をコードするcDANを周知の部位特異的突然変異
法を用いて修飾することによって、一部のアミノ酸配列
が改変されたもの、即ちTPO誘導体をコードするDNAを得
ることができる。
また、本明細書中で開示されたTPO活性を有するタン
パク質のアミノ酸配列又はDNA配列に基づいて、その一
部のアミノ酸配列が改変されたタンパク質をコードする
DNAは、化学合成することによっても容易に得ることが
できる。
本発明のDNA配列は、種々の遺伝子組換え技術によっ
てTPO活性を有するタンパク質を大量生産するために有
用な物質である。
更に、本発明のDNA配列は、TPOの関連タンパク質をコ
ードする遺伝子、並びに他の哺乳動物のTPOのcDNA、お
よびゲノムDNAを単離する場合に標識化プローブとして
用いるのに適した物質である。また、ヒトおよび他の哺
乳類種における遺伝子療法において有用である。本発明
のDANは、大量のTPO生産のための真核宿主として用いる
ことができるトランスジェニック哺乳類種の開発に有用
である(Palmiterら、Science、222、809−814、(198
3))。
また、本発明によれば、上記TPO活性を有するタンパ
ク質をコードするDNAを組み込んだベクター、該ベクタ
ーで形質転換された宿主細胞、該宿主細胞を培養し、産
生されたTPO活性を有するタンパク質を分離・精製する
ことを特徴とするTPO活性を有するタンパク質の製造方
法が提供される。
この場合の宿主細胞としては、原核生物(例えば大腸
菌)、真核生物(例えば酵母、昆虫、あるいは哺乳動
物)細胞等を用いることができる。哺乳動物細胞の例と
しては、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(Chine
se Hamster Ovary)細胞、C−127細胞、BHK(Baby Ham
ster Kidney)細胞、等があげられる。酵母の例として
は、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)やメタノー
ル資化性酵母(Pichia pastoris)等があげられる。昆
虫細胞の例としては、蚕培養細胞等があげられる。
これらの宿主細胞を形質転換させるために用いられる
ベクターには、大腸菌用としてpKC30(Shimatake H.and
M.Rosenberg、Nature、292、128−132、1981)、pTrc9
9A(Amann E.ら、Gene6、69、301−315、1988)等があ
げられる。哺乳動物細胞用としてはpSV2−neo(Souther
n and Berg;J.Mol.Appl.Genet.、1、327−341、198
2)、pCAGGS(Niwaら;Gene、108、193−200、1991)、
あるいはpcDL−SRα296(Takebeら;Mol.Cell.Biol.、
8、466−472、1988)等がある。酵母用としてはpG−1
(Schena M.and Yamamoto K.R.;Science、241、965−96
7、1988)等がある。蚕細胞用としては、組み換えウイ
ルス作製用トランスファーベクターpAc373(Luckowら、
Bio/Technology、6、47−55、1988)等がある。
これらのベクターは必要に応じて複製起点、選択マー
カー、プロモーターを含み、さらに真核細胞用のベクタ
ーには、必要に応じてRNAスプライト部位、ポリアデニ
ル化シグナル等が付加される。
複製起点として、哺乳動物細胞用ベクターには、SV4
0、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス由来のも
の等を用いることができる、大腸菌用ベクターとして
は、ColE1、R因子、F因子由来のもの等を用いること
ができる。酵母用としては2μmDNA、ARS1由来のもの等
を用いることができる。
遺伝子発現用プロモーターとして哺乳動物細胞用ベク
ターには、レトロウイルス、ポリオーマウイルス、アデ
ノウイルス、SV40由来のもの等を用いることができる。
大腸菌用ベクターとしてはバクテリオファージλ由来の
ものや、trp、lpp、lac、tacプロモーター等を用いるこ
とができる。パン酵母用としてはADH、PH05、GPD、PG
K、MAFαプロモーター、メタノール資化性酵母について
はAOX1プロモーター等を用いることができる。蚕細胞用
ベクターとしては核多角体病ウイルス由来のもの等を用
いることができる。
選択マーカーとして、哺乳動物細胞用ベクターには、
ネオマイシン(neo)耐性遺伝子、チミジンキナーゼ(T
K)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、大
腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラ
ーゼ(Ecogpt)遺伝子等を用いることができる。大腸菌
用ベクターとしては、カナマイシン耐性遺伝子、アンピ
シリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子等を用
いることができる。酵母用としてはLeu2、Trp1、Ura3遺
伝子等を用いることができる。
以上の様な宿主−ベクター系を用いつTPO活性を有す
るタンパク質を得るためには、上記ベクターの適当な部
位に本発明の遺伝子を組み込んだ組み換えDNA体によ
り、宿主細胞を形質転換させた後、得られた形質転換体
を培養し、さらに細胞内あるいは培養液もしくはろ液か
ら該ポリペプチドを分離・精製すればよい。これらに用
いられる手段・方法は公知のものを組み合わせて行なう
ことができる。
目的の遺伝子を発現させる場合に、その発現産物のN
末端を均一化するために、本来のシグナル配列を改変し
たり、他のタンパク質のシグナル配列を用いてもよい。
また、N末端およびその近傍のアミノ酸残基を改変(置
換、あるいは付加)することによっても、N末端を均一
化することが可能である。例えば、宿主細胞として大腸
菌を用いて発現させる場合にメチオニン残基に加え、リ
ジン残基を加えるなどしてもよい。
本発明のTPO活性を有する新規タンパク質(以下、
「本発明のタンパク質」と言う)としては、配列番号
2、4又は6に示されたアミノ酸配列から成るタンパク
質がある。また、本発明にはTPO活性を保持する限り、
その一部のアミノ酸配列が改変(置換、欠失、挿入、ま
たは付加)されたもの、即ちTPO誘導体も含まれる。
別の言い方をすれば、本発明のタンパク質としては、
アミノ酸配列が実質的に配列番号2、4又は6に示され
たアミノ酸配列であるようなタンパク質が含まれる。
ここで言う、「実質的に配列番号2、4又は6に示さ
れたアミノ酸配列」とは、配列番号、4又は6に示され
たアミノ酸配列に加えて、TPO活性を保持する限りにお
いて、配列番号、4又は6に示されたアミノ酸配列の一
部に置換、欠失、挿入または付加などがあるアミノ酸配
列を含むものである。
本発明のタンパク質としては、配列番号6に示された
アミノ酸配列の7位から151位のアミノ酸配列を含み、
かつTPO活性を有するタンパク質も含まれる。本発明の
タンパク質には、配列番号6に示されるアミノ酸配列の
1位から163位のアミノ酸配列を含み、かつTPO活性を有
するタンパク質も含まれる。
本発明のTPO誘導体の他の例としては、例えば、アミ
ノ酸の改変(置換、欠失、挿入または付加)を行うこと
によって安定性や体内での持続性の向上を図ったもの、
糖鎖の付加する1つ以上の潜在的部位を欠失または付加
して変化させたもの、1つ以上のシステイン残基を欠失
させるか、またはシステインを他のアミノ酸残基(例え
ば、アラニンまたはセリン残基)で置換したものなどが
挙げられる。
好ましくは、本発明のタンパク質は、cDNA分子、ゲノ
ムDNA分子、または化学合成により得られるDNA断片を含
む組換えベクターで形質転換された宿主細胞から分離・
精製して得られたものであることを特徴とする。
宿主として、細菌(例えば、大腸菌)を用いて菌体内
発現を行う場合には、TPO活性を有するタンパク質のN
末端側に開始メチオニン残基の付加されたタンパク質が
得られるが、このようなタンパク質も本発明に含まれ
る。また、用いる宿主によっては、産生されるTPO活性
を有するタンパク質はグリコシル化されている場合もあ
るし、あるいはグリコシル化されていない場合もあるが
いずれも、本発明のタンパク質に含まれる。
また、本発明のタンパク質としては、天然の供給源
(例えば、TPO活性を含むならし培地、またはヒト尿、
血清、血漿)から精製および単離されたTPO活性を有す
る天然のタンパク質も含まれる。
また、本発明によれば、そのような天然の供給源から
TPOを精製する方法を包含する。そのような精製法とし
ては、一般にタンパク質の精製に用いる工程(イオン交
換クロマトグラフィー、レクチンアフィニティークロマ
トグラフィー、トリアジン色素吸着クロマトグラフィ
ー、疎水相互クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグ
ラフィー、逆相クロマトグラフィー、ヘパリンアフィニ
ティークロマトグラフィー、硫酸化ゲルクロマトグラフ
ィー、ハイドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、
等電点クロマトグラフィー、金属キレーティングクロマ
トグラフィー、分取電気泳動法、および等電点電気泳動
法など)の一つ以上を組み合わせた方法がある。また、
後述の実施例から推定しうるTPOの物理化学的な性質を
利用して組み合わせることのできる方法も本発明に含ま
れる。さらには、TPOを認識することのできる抗体を用
いた抗体アフィニティクロマトグラフィーをも用いるこ
とができる。また、TPOはMplのリガンドであることが判
明したことから(de Sauvageら、Nature369巻、533−53
8頁(1994)、Bartleyら、Cell77巻1117−1124頁(199
4)、Kaushanskyら、Nature 369巻565−568頁(199
4)、Mplを樹脂にカップリングさせることでアフィニテ
ィーゲルカラムを調製し、これを利用することによって
もTPOを精製することができる。より具体的には、Mplの
細胞外領域(Mpl−X)をCHO細胞を宿主として用いた遺
伝子組換え法により生産・調製し、樹脂にカップリング
させて調製されたMpl−Xカラムが挙げられる(前述のB
artleyら(1994))。
本明細書で記載されるように、本発明のTPOポリペプ
チドはさらに、Mplレセプター、特にその細胞外(可溶
性)ドメインに特異的に結合する能力によって特徴付け
られる。
本発明は更に、TPO遺伝子のヒトcDNAまたはゲノムDNA
配列の蛋白質コード鎖と相補的なDNA部分によってコー
ドされるタンパク質、即ちTramontanoら(Nucl.Acids R
es.、12、5049−5059(1984))が記載したような“相
補的逆方向蛋白質”を含む。
本発明には、固体組織および血液または尿のような液
体試料中のTPOまたはその受容体保有細胞の検出および
定量に有用な試薬を提供するために、検出可能なマーカ
ー物質で標識(例えば125Iで放射尿標識するか、または
ビオチニル化する)された本発明のタンパク質も含まれ
る。
ビオチニル化された本発明のタンパク質は、自己骨髄
移植において骨髄から巨核芽球性細胞を除去するために
固定化ストレプトアビジンと結合する場合に有用であ
る。更には、自己または同種異系骨髄移植の場合に自己
または同種異系巨核球系細胞を濃縮するために固定化ス
トレプトアビジンと結合する場合に有用である。リシ
ン、ジフテリア毒素のような毒素とTPOとの毒素結合
体、および放射性同位元素は、抗癌療法に対して、また
は骨髄移植のコンディショニング養生法として有用であ
る。
また、本発明は、検出可能マーカー(例えば放射能標
識、またはビオチンのような非同位元素標識)で標識さ
れる場合や、染色体地図におけるヒトTPO遺伝子位置お
よび/または任意の関連遺伝子ファミリーの位置を突き
止めるためのハイブリダイゼーション法に用いるのに有
用な核酸物質も提供する。それらは、DNAレベルでヒトT
PO遺伝子障害を確認するためにも有用であって、隣接遺
伝子およびそれらの障害を確認するための遺伝子マーカ
ーとしても用いられる。
さらに、本発明には、有用で好適な希釈剤、防腐剤、
可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または担体と
ともに治療上有効量の本発明のタンパク質を含有する医
薬組成物も含まれる。本明細書中で用いる“治療上有効
量”という用語は、指定の条件および投与法に対して治
療効果を提供する量を示す。このような組成物は、液体
であるか、あるいは凍結乾燥またはさもなくば乾燥され
た剤形であって、種々のpH、およびイオン強度から成る
緩衝剤(例えばトリス−塩酸、酢酸塩、燐酸塩)より選
択した希釈剤、表面に吸着しないようにするためのアル
ブミンまたはゼラチンのような添加剤、界面活性剤(例
えばTween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可
溶化剤(例えばグリセロール、ポリエチレグリコー
ル)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫
酸ナトリウム)、防腐剤(例えばチメロサール、ベンジ
ルアルコール、パラベン)、賦形剤または等張化剤(例
えばラクトース、マンニトール)を配合した製剤が含ま
れる。また、蛋白質に対するポリエチレングリコールの
ような重合体との共有結合、金属イオンとの錯体化、あ
るいはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどの
ような重合化合物の粒状製剤中またはその表面上への、
あるいはリポソーム、ミクロエマルジョン、ミセル、単
層または多層小胞、赤血球ゴースト、またはスフェロプ
ラスト中への当該物質の取り込みを包含する。このよう
な組成物は、TPOの物理的状態、溶解性、安定性、in vi
vo放出速度、in vivoクリアランスに影響を及ぼすと思
われるので、組成物の選択は、TPO活性を有する蛋白質
の物理的および化学的特性による。さらに、重合体(例
えばポロキサマーまたはポロキサミン)と、組織特異的
受容体、配位子または抗原に対する抗体に結合するか、
あるいは組織特異的受容体の配位子に結合するTPOとで
被覆される粒状組成物も本発明に包含される。本発明の
組成物の別の剤形としては、非経口、経肺、経鼻、およ
び経口を含めた種々の投与経路のため、粒状形態、保護
被膜、プロテアーゼ阻害剤、または吸収促進剤を配合す
る。
本発明のタンパク質を含有する医薬組成物は、(TPO
タンパク質として)通常0.05μg/kg体重〜1mg/kg体重
を、病状、性別及び投与経路等に応じて、一日数回程度
投与することができる。
本発明のタンパク質を含有する医薬組成物は、活性成
分として後述のM−07eアッセイにおける相対活性量通
常25,000〜500,000,000/kg体重を、病状、性別及び投与
経路等に応じて、一日一回〜数回、1週間に1〜7日間
程度投与することができる。
本発明者らは、ヒトTPOのC末端部位に関して、配列
番号6に示されるアミノ酸配列中C末端から152位まで
のアミノ酸残基が欠損する場合でさえTPO活性が保持さ
れること、またそのN末端部位に関して、該アミノ酸配
列中N末端から6位までのアミノ酸残基が欠損する場合
でさえTPO活性が保持されることを確認している。
したがって、配列番号6の7〜151アミノ酸配列を含
みかつ他の部分に改変(置換、欠失、挿入又は付加)を
有するTPO活性含有タンパク質もまた、本発明の有効成
分として好適に使用しうる。より好適なTPO誘導体は配
列番号6の1〜163アミノ酸配列をもつものである。
更に本発明は、本発明のタンパク質に加えてEPO、G
−CSF、GM−CSF、M−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、I
L−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL
−10、IL−11、IL−12、IL−13、LIF、SCFのような因子
の1つ以上を付加的造血因子として含有する組成物を包
含する。
本発明のタンパク質は、単独あるいは他の付加的造血
因子との組み合わせても、多数の血小板減少症の治療に
有用である。他の付加的造血因子としては、EPO、G−C
SF、GM−CSF、M−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−
4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−1
0、IL−11、IL−12、IL−13、LIF、SCFを挙げることが
できる。
血小板障害、例えば、血小板産生障害や血小板の寿命
短縮(血小板破壊の亢進、あるいは血小板消費の亢進)
による血小板減少を特徴とし、本発明のタンパク質で治
療可能な多数の疾患が存在する。例えば、先天性のファ
ンコニ貧血、化学療法や放射線療法に伴う再生不良性貧
血、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、または骨髄
移植のような骨髄形成不全による血小板減少症などが挙
げられ、このような患者の血小板の回復を促進するため
に用いることができる。また、TPO産生異常による血小
板減少症にも有用である。血小板や巨核球の寿命短縮に
よる血小板減少症としては例えば、特発生血小板減少性
紫斑病、再生不良性貧血、後天性免疫不全症候群(AID
S)、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少症な
どがあり、このような患者の血小板回復促進にも有用で
ある。更に、外科手術前にTPOを投与して自分の血小板
を増加させ、その血小板を自分の手術時に輸血用血小板
として用いる(自己血小板輸血)への用途としても有用
である。
さらに本発明のタンパク質の別の用途は、例えば他の
化学薬品または医薬品、または治療的措置による一過性
の血小板の欠損または損傷によってもたらされた障害の
処置である。TPOは、そのような患者で新しい“無傷
の”血小板の放出を促進するのに用いることができる。
本発明はさらにTPOに特異的に結合する抗体、および
それを得るための抗原を提供する。本発明のタンパク質
または抗原決定基を有する該タンパク質の部分断片が抗
原として使い得る。そのような抗体は、モノクローナル
およびポリクローナル抗体の双方、および既知の方法に
よって作製したキメラ抗体、即ち“組換え”抗体などを
含む。
抗TPO抗体を調製するためには、ヒトTPO自体を抗原と
して使用するか、又はヒトTPOの部分ペプチドを抗原と
して使用することができる。そのようなペプチド抗原に
対する抗体を利用する場合、エピトープは該抗原領域を
特定することによって規定することができる。一方、抗
原タンパク質(TPO)自体に対する抗体を利用する場
合、抗原領域は該抗原のエピトープを分析することによ
って明らかにすることができる。このような場合、明ら
かにされたエピトープを有するこれらの抗体の各々を用
いて、付加糖鎖の種類、ペプチド鎖の長さ等のような性
質の異なる種類のTPO類を分画、検出、定量及び精製す
ることができる。
このように選択されたアミノ酸配列を有するTPOペプ
チドを合成し、適当な担体蛋白質(例えば、アルブミ
ン、KLH(key hole limpethemocyanin)などと共有結
合して免疫反応性抗原を調製するか、あるいはTam(Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,85,5409−5413,1988)の方法によ
るMultiple Antigen Peptide(MAP)型のペプチドを
合成しこれを抗原として、ウサギ、マウス、ラット、ヤ
ギ、ヒツジ、ニワトリ、ハムスター、ウマ、モルモット
など一般に抗体を作らせるために利用される哺乳動物、
鳥類などにアジュバンドなどとともに投与する。これら
の動物より抗血清、細胞を回収し、ポリクローナル抗体
を得ることができる。ペプチドを抗原とした場合では、
抗原領域を特定することによって、エピトープは限定す
ることができる。この場合、分子量の異なる様々なTPO
分子の領域を免疫学的手法により選別、同定することが
できる。一例を挙げれば、ペプチド部分の欠損領域など
を選別、同定することができる。さらには抗体を発現し
ている細胞から抗体遺伝子、またはその一部の遺伝子を
クローニングすることにより、遺伝子工学的に発現させ
た抗体分子を得ることもできる。
種々の抗原決定基(エピトープ)に対する種々の抗体
を一般に含有するポリクローナル抗体に対比して、モノ
クローナル抗体は抗原上の単一抗原決定基に対する抗体
である。TPOに対する特異抗体は、抗原−抗体反応を用
いる診断および分析的アッセイ法の選択性および特異性
を改良したり、TPOを分離・精製するのに有用である。
さらに、それらは、血清からTPOを中和または除去する
のに用いられる。モノクローナル抗体はまた、たとえば
全血の血清中のTPOの検出及び定量に有用である。
本発明の抗ヒトTPO抗体は、ヒトTPOの精製・単離のた
めのアフィニティークロマトグラフィー法におけるリガ
ンドとして用いることが可能である。このアフィニティ
ークロマトグラフィーにおいて有用な抗体の固定化は各
種酵素の固定化方法に準じて行うことができ、例えばCN
Br活性化セファロース−4B(Pharmacia Fine Chemicals
社製)などの担体を使用する方法が利用できる。この固
定化抗ヒトTPO抗体を用いて実際にヒトTPOを精製するた
めには、これをカラムに充填後、これにヒトTPOを含む
溶液を通塔する。この操作で大量のヒトTPOがカラム中
の担体に吸着される。溶媒として、例えば、グリシン−
HCl緩衝液(pH2.5)、塩化ナトリウム溶液、プロピオン
酸、ジオキサン、エチレングリコール、カオトロピック
塩、塩酸グアニジンまたは尿素などで溶出することによ
り、吸着したヒトTPOが高純度で溶出する。
本発明の抗体は、免疫化学的定量アッセイ、特に固相
サンドイッチ法が採用される酵素免疫アッセイによって
ヒトTPOを定量するために使用可能である。
モノクローナル抗体の利点は、他の任意の免疫グロブ
リン分子を含有しない培地中でハイブリドーマ細胞によ
って産生されうる点に存する。モノクローナル抗体は、
ハイブリドーマ細胞の培養上清又はハイブリドーマ細胞
の腹腔内投与によって誘導されるマウス腹水から調製さ
れる。KohlerとMilstein(Eur.J.Immunol.6:511−519,1
976)によって最初に記載されたハイブリドーマ技術を
広く用いて、多数の特異抗原に対するモノクローナル抗
体を高レベルで保有するハイブリドーマ細胞系を作製す
ることができる。
こうして得られた抗体含有材料(抗血清等)から目的
の抗体を精製により単離するために、一般にタンパク質
の精製に用いる1つ以上の工程(プロテインAアフィニ
ティークロマトグラフィー、プロテインGアフィニティ
ークロマトグラフィー、Avidゲルクロマトグラフィー、
抗イムノグロブリン固定化ゲルクロマトグラフィーなど
のアフィニティークロマトグラフィー、陽イオン交換ク
ロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、
レクチンアフィニティークロマトグラフィー、色素吸着
クロマトグラフィー、疎水相互クロマトグラフィー、ゲ
ル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、
ハイドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、フルオ
ロアパタイトクロマトグラフィー、金属キレーティング
クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、分取
電気泳動法、および等電点電気泳動法など)の一つ以上
を組み合わせた方法がある。また、これらの方法以外に
も、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するヒトTP
Oタンパク質そのものか、あるいは抗原となった領域を
含む、あるいはその一部の領域を含むペプチド、即ち目
的抗体を認識可能な分子を化学的に結合させたゲル担体
あるいは膜を調製し、抗体を含む材料をこれに転化する
ことにより、目的の抗体を吸着させ、これを適当な条件
にて溶離、回収する方法、即ち抗原アフィニティ精製を
利用することもできる。
本発明はまた、TPOポリペプチドをコードする内因性D
NA配列を用いて大量のポリペプチド生成物の製造を可能
にする。たとえばin vitro又はex vivo相同組換え手
法を用いて宿主細胞を形質転換してポリペプチドの発現
もしくは増強発現用に供することができる。好適な宿主
細胞にはヒト細胞(例えば、肝臓、骨髄等)が含まれる
が、結果的にTPOポリペプチド発現が達成又は増強され
るように、細胞ゲノム内の標的領域に相同なフランキン
グ配列を用いて前記細胞中にプロモーター又はエンハン
サー配列が挿入される。例えば、U.S.Letters Patent
5,272,071、PCT公開WO 90/14092、WO 91/06666及び
WO 91/09955を参照のこと。
本発明はまた、上記TPOポリペプチドの製法を提供す
るが、この方法は、適切な宿主中で本発明のDNAによっ
てコードされるポリペプチドを発現する工程と前記TPO
ポリペプチドを単離する工程を包含する。発現されたTP
OポリペプチドがMet-2−Lys-1ポリペプチドである場
合、該方法はさらに前記単離TPOポリペプチドからMet-2
−Lys-1を切断する工程を含んでもよい。
本発明はさらにまた、[Gly-1]構造をもつTPOポリペ
プチドの製法を提供するが、この方法は、適切な宿主細
胞中に、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GS
T)コーディング配列とTPOポリペプチドコーディング配
列がトロンビン認識ポリペプチドコーディング配列を介
して分断されている、TPOポリペプチドコーディング配
列の5′にGSTポリペプチドコーディング配列を結合し
て含むDNAを導入する工程、GST−TPO発現産物を単離す
る工程、及びトロンビンで発現ポリペプチドを処理して
GSTアミノ酸配列を除去する工程を包含する。これによ
って得られるTPOポリペプチドは[Gly-1]構造を有す
る。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
(A)ラットTPOの精製、ラット精製TPOの部分アミノ酸
配列の分析及びラット精製TPOの生物学的特性の分析 本発明者らは、まずラットCFU−MKの増殖・分化促進
活性を有するタンパク質(ラットTPO)の精製を試み
た。本精製では、種々の天然の供給源の選択、更には、
クロマトグラフィー担体の選別、分離手段の選択など、
精製の組立について数々の試行錯誤を繰り返した。その
結果、本発明者らは、X線、あるいはγ線照射により誘
導した血小板減少症ラットの血漿より、後述の<参考例
>に記載したラットCFU−MKアッセイに基づくTPO活性を
指標として、TPO活性を有するタンパク質を精製し、そ
の部分アミノ酸配列を決定した<実施例1〜2>。
また、その血漿由来ラットTPOの生物学的特性につい
て試験した<実施例3>。
なお、精製から、精製されたラットTPOの部分アミノ
酸配列の決定までの概要は以下の通りである。
(i) X線、あるいはγ線照射による血小板減少症ラ
ット約1100匹分の血漿を集め、Sephadex G−25クロマト
グラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー(Q−Se
pharose FF)、更にレクチンクロマトグラフィー(WGA
−Agarose)のステップまで進め、WGA−Agarose吸着TPO
活性画分を得た。
(ii) 次に、このWGA−Agarose吸着TPO活性画分を色
素吸着アフィニティークロマトグラフィー(TSK AF−BL
UE 650MH)、疎水相互作用クロマトグラフィー(Phenyl
Sepharose 6 FF/LS)、ゲル濾過クロマトグラフィー
(Sephacryl S−200 HR)までの処理を実施した。このS
ephacryl S−200 HRにおいては、TPO活性は4つのピー
ク(分子量の大きいものから、F1、F2、F3、F4)に分か
れたので、TPO活性画分F2とF3とをそれぞれ濃縮し、高
分子TPO標品F2、低分子TPO標品F3として、それぞれ個別
に次の精製ステップに進めた。
(iii) 低分子TPO標品F3を分取逆相クロマトグラフィ
ー(YMC−Pack PROTEIN−RP)、逆相クロマトグラフィ
ー(YMC−Pack CN−AP)、更に逆相クロマトグラフィー
(Capcell Pack C1)で分離した。得られたTPO活性画分
を、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、電気
泳動ゲルからTPO活性の抽出を行ったところ、非還元下
で見かけ上分子量約17000〜19000のバンドにTPO活性が
存在することが確認できた。
(iv) そこで、全てのTPO活性画分を非還元下でSDSゲ
ル電気泳動にかけ、PVDF膜に転写した。次いで、PVDF膜
上タンパク質の系統的な限定酵素分解によるペプチド断
片化を実施し、ラットTPOタンパク質の部分アミノ酸配
列を決定することができた。2つのペプチド断片のアミ
ノ酸配列情報を基にラットTPOの遺伝子クローニングを
実施した。
(v) 一方、Sephacryl S−200HRからの高分子TPO標
品F2についても、低分子TPO標品F3と同様に精製を進
め、最終ステップの逆相クロマトグラフィー(Capcell
Pack C1)で得られたTPO活性画分をSDSゲル電気泳動に
かけ、TPO活性の抽出を行った。活性を調べてみると、F
3由来のTPOと同じく、非還元下で見かけ上分子量約1700
0〜22000のバンドにTPO活性が存在することが確認でき
た。
(B)ラットTPO産生細胞の特定化、mRNAの調製及びラ
ットcDNAライブラリーの構築 精製したラットTPOを血漿由来であるため、cDNAクロ
ーニングのためには、mRNAの供給源となる臓器あるいは
細胞を選抜する必要があった。そこでラット血漿由来TP
Oの生化学的性質と生物学的性質に基づいて、種々の臓
器、あるいは細胞の培養上清中のTPO活性をスクリーニ
ングした。その結果、ラット肝臓細胞由来の細胞株であ
るMcA−RH8994細胞、HTC細胞、H4−II−E細胞の培養上
清中、並びにラットの初代肝臓細胞の培養上清中にもラ
ット血漿由来TPOとほぼ同等のTPO活性を見いだした<実
施例4>。
一方、発現ベクターpEF18Sを、2種類の発現ベクター
pME18S並びにpEFBOSを組み合わせて構築した<実施例5
>。このベクターの構築によりインサートの組み込みに
使用できる多種類のクローニング部位を持つ、発現効率
の高いベクターを用いてcDNAをクローニングすることが
容易となった。
cDNAライブラリーの構築には上記の発現ベクターの他
にpUC系やpBR系のプラスミドベクター、λ系のファージ
ベクター等が主に使用される。
本発明者らは、McA−RH8994細胞を培養し、グアニジ
ンチオシアナート溶液を加えてホモジナイズ後、CsCl密
度勾配遠心法により全RNAを得た<実施例6>。
RNAの調製は熱フェノール法や酸性グアニジンフェノ
ールクロロホルム法等でも行なうことが出来る。
この全RNAからオリゴdT固定化ラテックス粒子により
ポリ(A)+RNAを精製した後、制限酵素Not I切断配列
を付加したオリゴdTをプライマーとして逆転写酵素によ
り1本鎖cDNAを合成し、RNase HおよびE.coli DNAポリ
メラーゼIを用いて、2本鎖cDNAを得た。得られた2本
鎖のcDNAにEcoR Iリンカーを付加し、これを実施例5で
構築したcDNA発現ベクターpEF18SをNot IをEcoR Iで切
断したものとつなぎ合わせて、コンピテントな大腸菌DH
5株を形質転換させ、cDNAライブラリーを構築した<実
施例7>。
(C)PCR法によるラットTPOcDNA断片の取得(クローニ
ング) ラット血漿より精製したラットTPOの部分アミノ酸配
列をもとに、その配列をコードすると考えられるDNA配
列を予測し、ポリメラーゼチェインリアクション(PC
R)に使用する縮重プライマーを合成した。使用するプ
ライマーは、本発明で用いたプライマー以外の位置のア
ミノ酸配列に基づくものであってもよい。また、イノシ
ンを使わず縮重合の高いプライマーを用いることも出来
る。更に、ラットにおいて使用頻度の高いコドンを使用
して縮重度を減らしたプライマーを設計することも出来
る(WadaらNucleic Acids Res.、18、2367〜2411、1990
参照) 先に作製したcDNAライブラリー全体よりプラスミドDN
Aを抽出し、このDNAを鋳型としてPCRを実施したところ
約330bpのバンドが検出され、ヌクレオチド基配列を決
定したところ、ラットTPOの遺伝子の一部をコードするD
NA断片(A1断片)であることが分かった<実施例8>。
(D)PCR法によるラットTPOcDNAのスクリーニング、ラ
ットTPOcDNAのシークエンス及びTPO活性の確認 先に構築したcDNAライブラリーを約1万クローンずつ
のプールに分け、それらのうち100プールからプラスミ
ドDNAを抽出した。これらDNAを鋳型とし、A1断片のヌク
レオチド配列をもとに新たに合成したプライマーを使用
してPCRを行なったところ、100プール中3プールに特異
的と考えられるバンドが検出された。そこで、これらの
うち1プールを選び、このプールをさらに約900クロー
ンずつのサブプールに分け、それらのうち100プールに
ついて同様のPCRを行なったところ、3サブプールでバ
ンドが検出された。これらのうち1プールを選択し、更
に、40クノーンずつのサブプールに分け、最終的には1
クローンづつ同様のPCRによる選別を行なった結果、ラ
ットTPO遺伝子cDNA断片を担持したプラスミドpEF18S−A
2αを持つクローンの単離に成功した<実施例9〜10
>。
このcDNA断片のヌクレオチド配列を決定したところ、
ラット血漿中より精製し部分的に決定したアミノ酸配列
をコードしていることが明らかとなり、ラットTPO遺伝
子であると考えられた<実施例10>。
上記のようにして得られたクローンよりプラスミドDN
Aを精製し、COS1細胞にトランスフェクションしたとこ
ろ、その培養上清中にTPO活性を検出することができ
た。この結果、得られたpEF18S−A2αはラットTPOをコ
ードしているcDNAを担持していることが確認できた<実
施例11>。
(E)ラット各種組織でのTPOmRNAの検出 ラット体内におけるTPOmRNAの発現組織をPCRによって
解析し、脳、肝臓、小腸、並びに腎臓において特異的な
発現を検出した<実施例12>。
(F)ヒトcDNAライブラリーの構築 実施例4および12の結果より、ヒトTPOcDNAクローニ
ングのための出発組織として肝臓を選択した。そこで、
市販の正常ヒト肝臓由来のmRNAより、cDNAライブラリー
を構築した。ベクターにはラットのライブラリーと同様
にpEF18Sを用い、ラットの場合と同じ操作でcDNAを合成
し制限酵素Not IとEcoR I部位を利用した方向性を持っ
たライブラリーとした。大腸菌株DH5に導入し作製した
ライブラリーのクローンの数は約120万個であった<実
施例13>。
(G)PCR法によるヒトTPOcDNA断片の取得(クローニン
グ) pEF18S−A2αに担持されたラットTPOをコードするcDN
Aのヌクレオチド配列をもとに、数種類のPCR用プライマ
ーを合成した。市販の正常ヒト肝臓由来のmRNAよりcDNA
を合成し、これらのプライマーを用いてPCRを実施した
ところ、620bp前後のバンドが観察された。ヌクレオチ
ド配列を決定したところ、ラットTPOと約86%の相同性
を有するDAN断片であることが明らかとなり、ヒトTPOを
コードする遺伝子の一部であると考えられた<実施例14
>。
(H)PCR法によるヒトTPOcDNAのスクリーニング、ヒト
TPOcDNAのシークエンス及びTPO活性の確認 先に調製したヒトcDNAライブラリーを増幅し、約10万
クローンずつのプールに分割し、90個のプールからプラ
スミドを抽出した。これらのDNAを鋳型とし、実施例14
で得られたヒトTPO断片のヌクレオチド配列を基に新た
に合成したプライマーを用いてPCRを行なったところ、
3個のプールでバンドが観察された。これらより1個の
プールを選択し、5000個のクローンを1プールとするサ
ブプールに分け、それらのうちの90プールよりプラスミ
ドDANを精製した。これらを鋳型として同様のPCRを実施
したところ、5個のサブプールでバンドが検出された。
そこで、これらより1プールを選び250個のクローンを
1プールとするサブプールに更に分割し、それらのうち
の90プールよりプラスミドDNAを精製し再度PCRによる検
出を行なったところ、3個のプールでバンドが観察され
た。そこで、このうち1プールを選び、30個のクローン
を1プールとするサブプールに分割し、それらのうちの
90プールからプラスミドDNAを精製しPCRを実施した結
果、3個のプールでバンドが観察された。これらのうち
1プールより90個のコロニーを拾い、プラスミドDNAを
調製し、PCRを実施することで最終的にクローンHL34を
得た<実施例15>。
このクローンが持つプラスミドDNAのヌクレオチド配
列を決定したところ、ラットTPOのヌクレオチド配列と
約84%程度の相同性を持つcDNAを担持していることが明
らかとなった<実施例16>。
このクローンのプラスミドDNAを精製し、COS1細胞に
トランスフェクションしたところ、培養上清中のTPO活
性が検出され、このクローンが持つプラスミドDNAはヒ
トTPOをコードする遺伝子cDNA断片を担持していること
が確認された<実施例17>。
しかしながら、このcDNA断片は終止コドンが無く、ま
た、ポリA尾部様配列を3′端に持っており、これはク
ローニングの際の人工産物であると考えられた。そこ
で、ポリA尾部様配列直前までのアミノ酸をコードする
発現ベクターを構築し、COS1細胞での発現を行なったと
ころ、培養上清中にTPO活性が検出された<実施例18
>。
完全長cDNAの構造を解析するためにPCRを利用したヒ
トTPO3′末端側のDNA断片を得た。
この断片のヌクレオチド配列を決定したところ、実施
例15で得たクローンHL34のcDNAとオーバーラップするこ
とがわかり、オープンリーディングフレームも延び全体
で353個のアミノ酸からなる蛋白質をコードすることが
予想された。すなわちヒトTPOタンパク質は21個のシグ
ナル配列を含む353個のアミノ酸からなることが示唆さ
れた<実施例19>。
ヒトTPOのcDNAクローニングは、上記のようなクロー
ニング法以外にも、pUC系pBR系のプラスミドベクター、
λ系のファージベクター等を使用して構築したライブラ
リーを利用し、ラットTPOcDNA断片をプローブとしたコ
ロニーハイブリダイゼイションあるいはプラークハイブ
リダイゼイションによっても行なうことができる。縮重
プローブの設計にあたっては、縮重の度合いを減少させ
るためにイノシンを使うこともできる。TPO活性を特異
的に、また感度良く検出できるアッセイ法が利用できる
場合には、本発明で用いた様な発現ライブラリーを使用
した発現クローニングも行なうことができる。
しかしながら、実施例15で記載するように正常ヒト肝
臓においてはヒトTPOをコードするRNAの含量は著しく低
いと考えられるため(この実施例から算出される含量は
300万個に1個の割合であった)、合成したオリゴヌク
レオチドプローブやラットやヒトTPOのcDNA断片をプロ
ーブとして用いるハイブリダイゼイションによるスクリ
ーニング方法では、処理するクローンやプラークの数が
膨大なものになり、また、ハイブリダイゼイションの感
度や特異性がPCR法に及ばないため困難を極めることが
予想される。実際に本発明者らも実施例13において作製
した正常ヒト肝臓cDNAライブラリー200万クローンにつ
いて、ラットTPOcDNA断片をプローブとしたコロニーハ
イブリダイゼイションを実施したが、ヒトTPOcDNAクロ
ーンを得ることは出来なかった。
(I)ヒト正常肝臓由来TPOcDNAライブラリーの再構築 実施例15で得られたクローンHL34は不完全なcDNAを含
むクローンであると考えられたため、完全長のヒトTPOc
DNAを得る目的で、市販の正常ヒト肝臓由来のポリ
(A)+RNAを用いてヒトTPOcDNAライブラリー(hTPO−F
1)を構築し直した。大腸菌株DH5に導入し作製したライ
ブラリーのクローンの数は約100万個であった。<実施
例20> (J)ヒトTPOcDNAのスクリーニング、ヒトTPOcDNAのシ
ークエンス及び発現、並びにTPO活性の確認 実施例14で得られた部分長のヒトTPOcDNAの塩基配列
(配列番号3)、および実施例19において推定された完
全長のヒトTPOcDNAの塩基配列(配列番号196)をもと
に、PCR用プライマーを合成した。
実施例20で構築したcDNAライブラリー(hTPO−F1)を
3つのプール(#1〜3)に分割し、それぞれのプール
よりプラスミドDNAを調製し、これらのDNAを鋳型として
合成したプライマーを用いてPCRを実施した。#3のプ
ール由来のDNAを用いた場合に予想される大きさのDNAが
増幅されたため、#3のプールを15000個づつのサブプ
ールに分割し、先の合成プライマーでPCRを実施したと
ころ、90プール中6プールで予想される大きさのDNAが
増幅された。これらより1個のプールを選択し、1000個
のクローンを1プールとするサブプールに分け、プラス
ミドDNAを調製しPCRを行ったが、DNAの増幅は観察され
なかった。これは、求めるクローンの増殖が他のクロー
ンより遅いためにプラスミドDNAの回収率が悪くなった
ことが原因と考えられた。そこで、#3のプールに戻
り、LBプレート1枚あたり4100個のコロニーとなるよう
にクローンをまき、100枚のプレート、並びにそれぞれ
のレプリカプレートを作製した。プレートのコロニーか
ら抽出したDNAについて先と同様にPCRを行ったところ、
100プール中1プールでバンドの増幅が観察された。
このプールのプレートより2枚のレプリカフィルター
を作製し、放射標識プローブ(プラスミドpEF18S−HL34
のEcoR I/BamH I断片)を用いたコロニーハイブリダイ
ゼーションを行った。その結果、陽性シグナルが1個観
察されたため、元のプレートよりコロニーを拾い、LBプ
レートにまき直して得られたコロニー50個よりプラスミ
ドDNAを調製し、PCRを実施することにより、最終的にク
ローンpHTF1を得た。<実施例21>このようにDNAクロー
ンのスクリーニングにおいては、ハイブリダイゼイショ
ン、PCR、発現クローニング等が主に用いられるが、こ
れらを適宜組み合わせてスクリーニングの効率、感度を
上昇させる、あるいは、労力を低減させることができ
る。ここで得られたクローンpHTF1のヌクレオチド配列
を決定したところ、オープンリーディングフレームが存
在し、このオープンリーディングフレームにコードされ
ると考えられるタンパク質のアミノ酸配列は、ヒトTPO
の推定アミノ酸配列(配列番号6)と完全に一致した。
ヌクレオチド配列は推定されたもの(配列番号196)と
は3箇所で異なっていたが、アミノ酸の変換は起こさな
かった。これによりヒトTPOタンパク質は21残基のシグ
ナル配列を含む353個のアミノ酸からなることが確認で
きた。上記のようにして得られたクローンpHTF1よりプ
ラスミドDNAを調製し、COS1細胞にトランスフェクショ
ンしたところ、その培養上清中にTPO活性を検出するこ
とができた。<実施例23> (K)プラークハイブリダイゼーションによるヒトTPO
染色体DNAのスクリーニング、ヒトTPO染色体DNAのシー
クエンス及び発現、並びにTPO活性の確認 東北大学遺伝子実験施設 山本徳男教授より頂いたヒ
トゲノミックライブラリーより、NZYMプレート1枚あた
り3万個となるようにファージをまき、18枚のプレー
ト、並びにそれぞれのプレートから2枚のレプリカフィ
ルターを作製した。クローンpHTF1に含まれるヒトTPOcD
NA断片(配列番号7の塩基配列番号178−1025)をPCRで
増幅後精製し、32P標識したものをプローブとして用い
て、プラークハイブリダイゼーションを行った。その結
果、13個の陽性シグナルが検出されたため、それぞれ元
のプレートよりプラークを拾い、NZYMプレート1枚あた
り1000プラークとなるようにまき直して、それぞれのプ
レートから作製した2枚のレプリカフィルターについて
前記と同様の条件下で再度プラークハイブリダイゼーシ
ョンを実施した。その結果、13組すべてのフィルターで
陽性シグナルが検出されたため、プラークを単離し、フ
ァージDNAを調製し、13クローンそれぞれについてヒトT
POcDNAのコーディング領域を含んでいるかどうかをPCR
によりチェックした。
13クローン中5クローンは、cDNAから予想されるコー
ディング領域を全て含んでいると考えられたため、1ク
ローン(λHGT1)を選択し、Southern blot解析(用い
たプローブは先と同じ)を行った。制限酵素Hind IIIで
消化した場合に約10kbpの単一バンドが観察されたの
で、クローンλHGT1のDNAを制限酵素Hind IIIで消化後
アガロースゲルで泳動し、10kbpのバンドを切り出して
精製し、クローニングベクターpUC13にサブクローニン
グし、最終的にクローンpHGT1を得た。<実施例24> このクローンのヌクレオチド配列を決定したところ、
担持されている染色体DNAは、実施例19において推定さ
れたヒトTPOタンパク質のコーディング領域をすべて含
み、その領域に関してはヌクレオチド配列はその推定さ
れたヌクレオチド配列と完全に一致した(配列番号19
6)。
また、エクソンに相当する領域は4つのイントロンで
分断されており、実施例21で取得したクローンpHTF1に
担持されている完全長のヒトTPOcDNAのヌクレオチド配
列とは異なることが判明した(配列番号7)。
最終的に選択された5クローンのうち残りの4クロー
ンについてもヌクレオチド配列の決定を行ったところ、
2箇所はクローンpHGT1と一致し、残りの2クローンがp
HGT1と一致するがクローンpHTF1で観察されるように
3′非コーディング領域内に異なる1個のヌクレオチド
を有していた<実施例25> 上記のようにして得られたプラスミドクローンpHGT1
のEcoR I断片を発現ベクターpEF18Sにつなぎ、ヒトTPO
発現プラスミドpEFHGTEを調製し、COS1細胞にトランス
フェクションしたところ、その培養上清中にTPO活性を
検出することができた。<実施例26> (L)ヒトTPO欠失誘導体の作製、COS1細胞での発現及
びTPO活性確認 実施例18並びに22の結果よりヒトTPOタンパク質はそ
のカルボキシ末端側の除去後でさえも生物活性を示すこ
とが明らかになった。そこでヒトTPOタンパク質の活性
発現に必要な領域を解析する目的で欠失誘導体実験を実
施した。実施例18で得たクローンpHT1−231のプラスミ
ドDNAを鋳型とし、合成したプライマーでPCRを行うこと
により一連の発現プラスミドを調製した。
ヒトTPOタンパク質のC末端側を欠失させた発現プラ
スミド、即ち、アミノ酸1−211位、1−191位、1−17
1位、および1−163位をコードする欠失誘導体のプラス
ミドDNAを得た。得られたそれぞれのプラスミドDNAをCO
S1細胞へトランスフェクションしたところ、いずれの培
養上清中においてもTPO活性が検出された。<実施例27
> TPO活性を担う領域をさらに詳細に検討するために、
C末側より151番目のアミノ酸まで順次欠失させた誘導
体並びに、N末側6、7、12番目のアミノ酸まで欠失さ
せた誘導体を作製し、COS1細胞で発現させ活性を検出し
たところ、N末側では7番目のアミノ酸まで欠失させた
場合に、C末側では151番目のアミノ酸まで欠失させた
場合に活性が検出できなくなった。<実施例28、29> このように得られたcDNAをもとに誘導体(欠失、置
換、挿入、付加等)を作製することにより、本来のタン
パク質の活性を担う改変型タンパク質を得ることができ
る。この場合に用いる手法としては、PCR法、部位特異
的突然変異誘発法、化学合成法等がある。
(M)ヒトTPOcDNAのCHO細胞での発現及びTPOの精製 配列番号6に示されるヒトTPOの推定アミノ酸配列を
コードするcDNAを動物細胞中で発現可能な発現プラスミ
ド、pHTP1を構築した。<実施例30> このpHTP1中のTPOcDNA領域を用い、CHO細胞発現用ベ
クターpDEF202−hTPO−P1を構築した。<実施例31> このベクターをCHO細胞にトランスフェクションし選
択を行った結果、染色体中にヒトTPOを保有する発現ベ
クターが組み込まれた形質転換細胞が得られた。<実施
例32> 実施例32において、ヒトTPO発現プラスミドpDEF202−
hTPO−P1をCHO細胞にトランスフェクションして得られ
たヒトTPO産生CHO細胞株(CHO28−30細胞、25nM MTX耐
性)を大量培養した<実施例55>。
その培養上清100LからヒトTPOを精製した。<実施例5
6> また、別法により実施例55で得られた培養上清からTP
Oを精製した。<実施例57> (N)ヒトTPOcDNAのX63.6.5.3.細胞での発現及び活性
確認 実施例30で調製されたプラスミド、pBLTENのTPOcDNA
領域を用い、X63.6.5.3細胞用発現ベクター、BMCGSneo
−hTPO−P1を構築した。<実施例33> このベクターをX63.6.5.3細胞にトランスフェクショ
ンしたところ、染色体中にヒトTPOをコードする発現ベ
クターを組み込んだ、形質転換細胞が得られた。この細
胞を培養したところ、培養上清中にTPO活性が検出され
た。<実施例34> (O)ヒトTPOのCOS1細胞での大量発現並びにその精
製、分子量測定及び生物学的特性 実施例30で調製された発現ベクター、pHTP1をCOS1細
胞にトランスフェクションし発現させた培養上清を大量
(合計約401)に調製した。<実施例35> 実施例35の方法で調製された発現ベクター、pHTP1由
来TPOを含むCOS1細胞無血清培養上清約71から、TPOの精
製を行った。疎水相互作用クロマトグラフィー、陽イオ
ン交換カラムクロマトグラフィー、WGAカラムクロマト
グラフィー、逆相カラムクロマトグラフィーの各段階を
経て、高活性のTPOを得ることができた。<実施例36> このようにCOS1細胞培養上清より部分精製されたTPO
について、分子量測定、および生物学的特性の分析を行
った。<実施例37、38> (P)ヒトTPOの大腸菌における発現 グルタチオン−S−トランスフェラーゼとヒトTPO
(アミノ酸1−174位)の融合タンパク質(「GST−TPO
(1−174)」)の大腸菌発現用ベクター、pGEX−2T/hT
(1−174)を構築した。この際のヒトTPOcDNAのヌクレ
オチド配列の一部(5′側および半分の領域)は大腸菌
優先コドンに変換した。<実施例39> GST−TPO(1−174)を大腸菌で発現させ、菌体を破
砕後、沈殿画分に含まれるGST−TPO(1−174)の可溶
化を行った。次に、TPOの巻き戻し(リフォールディン
グ)条件の検討、精製条件の検討(グルタチオンアフィ
ニティーカラム、陽イオン交換カラム等)、トロンビン
消化によるGST蛋白質領域の切断などの段階を組み合わ
せた結果、設計通りのTPOのアミノ酸配列を含む蛋白質
が部分精製できた。この蛋白質はラットCFU−MKアッセ
イ系にてTPO活性を有することが確認できた。<実施例4
0、41> また、ヒトTPO(アミノ酸1−163位)の1位のSer残
基をAla残基に、かつ3位のAla残基をVal残基に変換
し、さらに−1位にLys残基、−2位にMet残基を付加し
た変異型ヒトTPOタンパク質(「h6T(1−163)」と称
す)の大腸菌発現用ベクター、pCFM536/h6T(1−163)
を構築した。このベクターが担持するヒトTPOcDNAによ
ってコードされるアミノ酸(1−163)のヌクレオチド
配列は全て大腸菌での優先コドンに変換した。<実施例
42> h6T(1−163)を大腸菌で発現させ、菌体を破砕後、
沈殿画分に含まれるh6T(1−163)の可溶化を検討、リ
フォームディング条件の検討を実施した結果、設計通り
のTPOのアミノ酸配列を含むタンパク質が部分精製でき
た。このタンパク質はラットCFU−MKアッセイ系にてTPO
活性を有することが確認できた。<実施例43、44> さらに、ヒトTPOタンパク質(アミノ酸1−163)の−
1位のLys残基、−2位にMet残基を付加した変異型ヒト
TPOタンパク質(「hMKT(1−163)」と称す)の大腸菌
発現用ベクターpCFM536/hMKT(1−163)を構築した。h
MKT(1−163)を実施例43と同様に大腸菌で発現させ、
得られた発現タンパク質をSDS−PAGE後PVDF膜に転写
し、N末端アミノ酸配列分析を行った結果、設計通りの
アミノ酸配列を含むことが確認できた。<実施例52> また、ヒトTPO(アミノ酸1−322位)の−1位にLys
残基、−2位にMet残基を付加した変異型ヒトTPOタンパ
ク質(「hMKT(1−332)」と称す)の大腸菌発現用ベ
クターpCFM536/hMKT(1−332)を構築した。hMKT(1
−332)を実施例42と同様に大腸菌で発現させ、後述の
実施例45で作製した抗ヒトTPOペプチド抗体を用いたウ
ェスタンブロッティングにより発現を確認した。<実施
例66> (Q)抗TPOペプチド抗体の作製及び抗TPOペプチド抗体
カラムの調製 実施例10にて判明されているラットTPOのアミノ酸配
列のうち、3箇所の部分領域に相当するペプチドを合成
し、ウサギポリクローナル抗TPOペプチド抗体を作製し
た。これらの抗体がラット及びヒトTPOを認識すること
を確認した。また、配列番号6(もしくは配列番号7)
に示されるヒトTPOのアミノ酸配列のうち、6箇所の部
分領域に相当するペプチドを合成し、ウサギポリクロナ
ール抗TPOペプチド抗体を作製した。これらの抗体がヒ
トTPOを認識することを確認した。<実施例45> TPOに対して結合親和性を持つような分子、即ち、抗T
PO抗体、TPO受容体などをカラム担体に結合させ、アフ
ィニティーカラムクロマトグラフィーによりTPOを精製
する方法が考えられる。そこでまず実施例45で得られた
抗TPOペプチド抗体をゲル担体に結合させた抗TPO抗体カ
ラムを調製した。<実施例46> (R)COS1細胞で発現させたヒトTPOの抗TPOペプチド抗
体カラムを用いた精製並びにその分子量及び生物学的特
性 発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクショ
ンした培養上清を材料として部分精製TPOを得て、これ
を抗TPO抗体カラムにかけた。吸着画分にTPO活性を有す
ることが確認できたので、これをさらに逆相カラムクロ
マトグラフィーにかけ精製し、その分子量と生物学的活
性を調べた。<実施例47> (S)COS1細胞で発現させたヒトTPOの部分精製標品の
活性確認 実施例36で精製されたTPO活性画分、すなわち、発現
ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションして
得られた培養上清由来で、Capcell Pak C1 300Aカラム
の段階まで精製されたTPOサンプルの生物学的活性を調
べた結果、生体内において血小板増加作用を有すること
がわかった。<実施例48> また、発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェ
クションして得られた、培養上清33Lを出発材料にし、
陽イオン交換カラムで得られた粗精製TPO画分の生物学
的活性を調べた結果、生体内において血小板増加作用を
有することがわかった。<実施例49> (T)ヒトTPO染色体DNAのCHO細胞での発現及び活性確
認 CHO細胞でのヒトTPO染色体発現ベクター、pDEF202−g
hTPOを構築した。<実施例50> このベクターをCHO細胞に導入したところ、染色体中
にヒトTPO染色体DNAを担持する発現ベクターが組み込ま
れた形質転換細胞が得られた。この細胞を培養したとこ
ろ、培養上清中にTPO活性が検出された。<実施例51> (U)大腸菌で発現させた変異型ヒトTPOの部分精製及
び活性確認 大腸菌で発現した、ヒトTPOヌクレオチド配列をコー
ドするクローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異型ヒト
TPOについて、塩酸グアニジンとグルタチオンを用いた
リフォールディング操作を行い、ここで得たh6T(1−1
63)が、生体内において血小板増加作用を有することを
確認した。<実施例53> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするク
ローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異型ヒトTPOにつ
いて、N−ラウロイルサルコシンナトリウムと硫酸銅を
用いたリフォールディング操作を行い、さらに陽イオン
交換クロマトグラフィーを用いて精製したh6T(1−16
3)が、生体内において血小板増加作用を有することを
確認した。<実施例54> また、更に別法を用いて、変異型ヒトTPO、h6T(1−
163)のリフォールディング及び精製を行った。<実施
例60、61> (V)ヒトTPOcDNAの昆虫細胞での発現及びTPO活性確認 ヒトTPOの昆虫細胞での発現用組換えウィルスを作製
し<実施例58>、昆虫細胞Sf21で発現させ、培養上清中
の活性を確認した。<実施例59> (W)ヒトTPO(アミノ酸1−163位)のCHO細胞での発
現及び精製 配列番号6に示したヒトTPOのアミノ酸配列のうち、
1−163位のアミノ酸配列を有するヒトTPOタンパク質
(「hTPO163」と称す)のCHO細胞発現用ベクターpDEF20
2−hTPO163を構築した。発現ベクターpDEF202hTPO163を
CHO細胞にトランスフェクションして得られたhTPO163産
生CHO細胞株を大量培養し、その培養上清からhTPO163を
精製した。<実施例62〜65> (X)ヒトTPO誘導体の作成 ヒトTPOの25位のArg残基がAsn残基に、231位のGlu残
基がLys残基にそれぞれ置換された誘導体(「N3/TPO」
と称す)、および33位のHis残基がThr残基に置換された
誘導体(「09/TPO」と称す)をコードするプラスミドで
トランスフェクションしたCOS7細胞培養上清中にTPO活
性が検出された。
各誘導体をコードするプラスミドをCOS7細胞中にトラ
ンスフェクトした後、培養した。培養上清中にTPO活性
が検出された。<実施例67> h6T(1−163)のアミノ酸の1つを他のアミノ酸で置
換した誘導体を、大腸菌の発現系を用いて調製し、各誘
導体についてTPO活性を見出した。<実施例94> (Y)ヒトTPOの挿入又は欠失誘導体の調製 hTPO163にアミノ酸を挿入した誘導体またはhTPO163の
アミノ酸の一部を欠失させた誘導体をコードするプラス
ミドでトランスフェクションしたCOS7細胞培養上清中に
TPO活性が検出された。<実施例68> なお、本発明において用いたTPO活性の測定方法(in
vitroアッセイ系)を<参考例>として以下に説明す
る。
(z)抗ヒトTPO抗体の調製と精製 ヒトTPOのペプチド断片を用いてポリクローナル抗体
を調製し<実施例69>、次いでウェスターンブロット分
析<実施例70>及び抗TPO抗体アフィニティカラムの作
製<実施例71>に使用した。
(AA)ヒトTPOのin vivo活性 精製ヒトTPOを血小板減少症を誘導されたマウスに投
与し、コントロール群に対して血小板数の変化をモニタ
ーした。<実施例72>〜<実施例79> 血小板減少症の治療に有用な医薬組成物も記載され
る。<実施例80>〜<実施例89> (BB)MLP受容体結合作用に基づくTPO活性 Mpl受容体との特異的結合相互作用に基づいてTPO活性
を定義するアッセイ法が提供される。<実施例90>〜<
実施例93> 本発明は、要約すると、以下のようになる。
(1) 血小板産生を特異的に刺激または増強する生物
活性を有しかつ配列番号6のアミノ酸配列1〜332を有
するトロンボポエチン(TPO)ポリペプチド又はその誘
導体。
(2) 配列番号6のアミノ酸配列1〜163からなる上
記(1)に記載のTPOポリペプチド誘導体。
(3) 配列番号6のアミノ酸配列1〜232からなる上
記(1)に記載のTPOポリペプチド誘導体。
(4) 配列番号6のアミノ酸配列1〜151からなる上
記(1)に記載のTPOポリペプチド誘導体。
(5) 1〜6個のアミノ末端アミノ酸が欠失された上
記(1)、(2)又は(3)に記載のTPOポリペプチド
誘導体。
(6) [ΔHis33]TPO(1−163)、[ΔArg117]TPO
(1−163)及び[ΔGly116]TPO(1−163)からなる
群から選択される上記(2)に記載のTPOポリペプチド
誘導体。
(7) [His33,Thr33′,Pro34]TPO(1−163)、[H
is33,Ala33′,Pro34]TPO(1−163)、[His33,Gly
33′,Pro34,Ser38]TPO(1−163)、[Gly116,Asn
116′,Arg117]TPO(1−163)、[Gly116,Ala116′,Ar
g117]TPO(1−163)、[Gly116,Gly116′,Arg117]TP
O(1−163)及び[Ala1,Val3]TPO(1−163)からな
る群から選択される上記(2)に記載のTPOポリペプチ
ド誘導体。
(8) [Thr33,Thr333,Ser334,Ile335,Gly336,Ty
r337,Pro338,Tyr339,Asp340,Val341,Pro342,Asp343,Tyr
344,Ala345,Gly346,Val347,His348,His349,His350,His
351,His352,His353]TPO及び[Asn25,Lys231,Thr333,Se
r334,Ile335,Gly336,Tyr337,Pro338,Tyr339,Asp340,Val
341,Pro342,Asp343,Tyr344,Ala345,Gly346,Val347,His
348,His349,His350,His351,His352,His353]TPOからな
る群から選択される上記(1)に記載のTPOポリペプチ
ド誘導体。
(9) [Asn25]TPO及び[Thr33]TPOからなる群から
選択される上記(1)に記載のTPOポリペプチド誘導
体。
(10) [Ala1,Val3,Arg129]TPO(1−163)、[Al
a1,Val3,Arg133]TPO(1−163)、[Ala1,Val3,Ar
g143]TPO(1−163)、[Ala1,Val3,Leu82]TPO(1−
163)、[Ala1,Val3,Leu146]TPO(1−163)、[Ala1,
Val3,Pro148]TPO(1−163)、[Ala1,Val3,Arg59]TP
O(1−163)及び[Ala1,Val3,Arg115]TPO(1−163)
からなる群から選択される上記(2)に記載のTPOポリ
ペプチド誘導体。
(11) [Arg129]TPO(1−163)、[Arg133]TPO
(1−163)、[Arg143]TPO(1−163)、[Leu82]TP
O(1−163)、[Les146]TPO(1−163)、[Pro148
TPO(1−163)、[Arg59]TPO(1−163)及び[Arg
115]TPO(1−163)からなる群から選択される上記
(2)に記載のTPOポリペプチド誘導体。
(12) ポリマーに共有結合されている上記(1)に記
載のTPOポリペプチド。
(13) 前記ポリマーがポリエチレングリコールである
上記(12)に記載のTPOポリペプチド。
(14) さらにアミノ酸Met-2−Lys-1を有する上記
(1)〜(13)のいずれかに記載のTPOポリペプチド。
(15) さらにMet-1を有する上記(1)〜(13)のい
ずれかに記載のTPOポリペプチド。
(16) さらにGly-1を有する上記(1)〜(13)のい
ずれかに記載のTPOポリペプチド。
(17) 上記(2)、(4)又は(6)の成熟アミノ酸
配列からなるポリペプチド。
(18) 上記(1)〜(11)、(14)、(15)及び(1
7)のいずれかに記載のTPOポリペプチドをコードするDN
A。
(19) 血小板産生を特異的に刺激または増強する生物
活性を有するTPOポリペプチドの発現を確実化するため
のDNA配列であって、 (a)配列番号194、195又は196に示されるDNA配列又
はその相補鎖; (b)厳格な条件下で(a)のDNA配列又はその断片
とハイブリット形成するDNA配列;及び (c)遺伝コードの縮重がなければ(a)及び(b)
のDNA配列とハイブリッド形成しうるDNA配列 からなる群から選択される前記DNA配列。
(20) 上記(19)に記載のcDNA配列。
(21) 上記(19)に記載のゲノムDAN配列。
(22) 上記(19)に記載の合成DNA配列。
(23) TPOポリペプチドの製造方法であって、 a)上記(18)、(19)、(20)、(21)又は(22)
に記載のDNAによってコードされるポリペプチドを適切
な宿主中で発現させ、及び b)前記TPOポリペプチドを単離する工程を包含する
前記方法。
(24) 発現されるTPOポリペプチドがMet-2−Lys-1
リペプチドであり、かつ前記単離TPOポリペプチドからM
et-2−Lys-1を切断する工程をさらに含む上記(23)に
記載の方法。
(25) 血小板産生を特異的に刺激または増強する生物
活性を有するTPOポリペプチドの発現を確実化するため
に使用するDNA配列であり、TPOポリペプチドコーディン
グ配列のビン認識ペプチドをコードし、また該トロンビ
ン認識ペプチドの5′側にグルタチオン−S−トランス
フェラーゼ(GST)をさらにコードすることを特徴とす
るDNA配列。
(26) 配列番号6のアミノ酸配列1〜174からなるTPO
ポリペプチドの発現を確実化するために使用する上記
(25)に記載のDNA配列。
(27) 血小板産生を特異的に刺激または増強する生物
活性を有するTPOポリペプチドの製造方法であって、 a)上記(25)又は(26)に記載のDNAによってコー
ドされるポリペプチドを適切な宿主中で発現し、 b)前記GST−(トロンビン認識ペプチド)−TPOポリ
ペプチドを単離し、 c)単離されたGST−(トロンビン認識ペプチド)−T
POポリペプチドをトロンビンで処理し、及び d)Gly-1−TPOポリペプチドを単離する 工程を包含する前記方法。
(28) Gly-1−TPOポリペプチドが[Gly-1]TPO(1−
174)である上記(27)に記載の方法。
(29) 単離されたGly-1−TPOポリペプチドが配列番号
6のアミノ酸配列1〜174からなるTPO誘導体である上記
(27)又は(28)に記載の方法。
(30) 上記(23)、(24)、(27)、(28)又は(2
9)に記載の方法によって得られるタンパク質生成物。
(31) 血小板産生を特異的に刺激または増強する生物
活性を有するポリペプチドの発現を可能にするように、
上記(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(25)
又は(26)に記載のDNA配列で形質転換又はトランスフ
ェクションされた原核又は真核宿主細胞。
(32) 上記(1)〜(16)及び(30)のいずれかに記
載の有効量のポリペプチドを、医薬的に許容可能な担体
と組合わせ含有する医薬組成物。
(33) 血小板障害の治療に使用するための上記(32)
に記載の医薬組成物。
(34) 血小板減少症の治療に使用するための上記(3
2)に記載の医薬組成物。
(35) 化学療法、放射線療法又は骨髄移植によって誘
発された血小板減少症の治療に使用するための上記(3
4)記載の医薬組成物。
(36) 上記(1)〜(16)及び(30)のいずれかに記
載の有効量のポリペプチドを、血小板障害をもつ患者に
投与することからなる血小板障害を治療するための方
法。
(37) 上記(1)〜(16)及び(30)のいずれかに記
載の有効量のポリペプチドを、血小板減少症をもつ患者
に投与することからなる血小板減少症を治療するための
方法。
(38) 化学療法、放射線療法又は骨髄移植によって誘
発された血小板減少症を治療するための上記(37)に記
載の方法。
(39) 上記(1)〜(16)及び(30)のいずれかに記
載のポリペプチドと特異的に免疫反応性のある抗体。
(40) 上記(1)〜(16)及び(30)のいずれかに記
載のポリペプチドを単離するための、上記(39)に記載
の抗体の使用。
(41) 上記(1)〜(16)及び(30)のいずれかに記
載のポリペプチドを定量するための、上記(39)に記載
の抗体の使用。
参考例 A.ラット巨核球前駆細胞アッセイ(ラットCFU−MKアッ
セイ)系(液体培養系) 巨核球は、エネルギー依存性に細胞外のセロトニン
(serotonin)を取り込んで、濃染顆粒に蓄積する(Fed
orko、Lab.Invest.、36巻、310−320頁、(1977))。
この現象は、少なくともCFU−MKと認識可能な巨核球の
間に位置する小型で単核のアセチルコリン陽性細胞にお
いてすでに認められ(BrickerとZuckerman、Exp.Hemato
l.,12巻、672−675頁、(1984))、その後、巨核球サ
イズの増大に応じてセロトニンの取り込み量が増加する
(SchickとWeinstein、J.Lab.Clin.Med.、98巻、607−6
15頁、(1981))。しかも、骨髄細胞の中では巨核球系
細胞だけに特異的である(SchickとWeinstein、J.Lab.C
lin.Med.、98巻、607−615頁、(1981))ことが知られ
ている。本アッセイ系は、高度に濃縮されたラットCFU
−MK(Gp II b/III a+CFU−MK画分;後述)を被検検体
の存在下に培養し、CFU−MKから成長した巨核球への14C
−セロトニン(14C−5−hydroxy tryptamine creatini
ne sulphate;14C−5HT))の取り込みを測定法する。
本アッセイ系の利点は、用いる細胞に含まれるCFU−M
Kの割合が極めて高く(後述の「アッセイ方法」参
照)、これに反して混入するTPOの標的細胞以外の細胞
が少ないので、混入細胞による間接的影響(例えば、本
因子以外の何らかの物質が混入細胞に作用してMeg−CSF
活性を誘導させたり、混入細胞が本因子と協同作用する
何らかの因子を産生したりするなど)を軽減することが
でき、また、1つのウエルの中で培養する全細胞数が少
なくてすむために、比較的長い期間良好な培養環境を維
持することができることにある。さらに、培養期間中に
活性標品によってCFU−MKから生成した数多くのサイズ
の大きい成熟巨核球を位相差顕微鏡下に観察することが
でき、活性の有無や程度を定性的に判定できることも利
点である。この定性判定の結果は14C−セロトニンの取
り込みによる定量結果と良く対応している。従って、定
性判定を併用することにより、定量結果の信頼性を高め
ることができる。
アッセイ方法 まず、アッセイに用いる高度に濃縮されたラットCFU
−MK(「Gp II b/III a+CFU−MK画分」)を既に報告し
ている方法(Miyazakiら、Exp.Hematol.、20巻、855〜8
61頁、(1992年))を若干改良した方法に従って調製し
た。その概略は次のとおりである。
Wistar系ラット(♂、8〜12週齢)の大腿骨、および
脛骨を摘出し、常法に従い、骨髄細胞浮遊液を調製す
る。骨髄細胞浮遊液の調製には、LevineとFedorkoが報
告した巨核球分離用媒体(LevineとFedorko、Blood、50
巻、713−725頁、(1977))を若干改良した媒体(13.6
mMクエン酸三ナトリウム、11.1mMグルコース、1mMアデ
ノシン、1mMテオフィリン、10mM HEPES(pH7.25)、0.5
%ウシ血清アルブミン(以下、BSAと略す)(Path−O
−Cyte4;生化学工業)、およびCa2+とMg2+を含まないHa
nks平衡塩類溶液からなる溶液:以下、HATCH溶液と略
す)を用いる。骨髄細胞浮遊液を、Percoll原液(Pharm
acia社製)をHATCH溶液で希釈して調製したPercoll不連
続密度勾配溶液(密度;1.050g/ml/1.063g/ml/1.082g/m
l)の上に重層し、20℃にて、400×gで20分間遠心す
る。遠心後、密度1.063g/mlと1.082g/mlの界面に集まっ
た細胞を回収する。細胞を洗滌後、10%ウシ胎仔血清
(以下FCSと略す)を含むIscove改変Dulbecco培養液
(以下IMDM培養液と略す)で浮遊させ、直径100mmの組
織培養用プラスティックディッシュに入れて、5%炭酸
ガス培養器中にて37℃で1時間培養する。培養後、非付
着性細胞画分を回収し、再び直径100mmのプラスティッ
クディッシュに入れ、さらに37℃で1時間培養した後、
非付着性細胞画分を集める。回収した細胞をHATCH溶液
に再浮遊させ、予めマウスモノクローナル抗ラット血小
板Gp II b/III a抗体であるP55抗体(Miyazakiら、Thro
mb.Res.、59巻、941−953頁、(1990))を吸着させて
おいた細菌検査用100mmペトリディッシュ(Falcon1005;
Becton−Dickinson社製)に入れ、室温で1時間静置す
る。その後、非吸着細胞をHATCH溶液で十分に洗滌、除
去した後、固相化P55抗体に吸着した細胞をピペッティ
ングにてはがし、回収する。通常、ラット1匹から3〜
4×105個の細胞が得られる。得られた細胞画分にはラ
ットCFU−MKが高度に濃縮されており(以下、「Gp II b
/III a+CFU−MK画分」と言う)、後述するコロニーアッ
セイ系における飽和濃度のラットIL−3存在下の検定に
より通常5〜10%程度のCFU−MKが含まれることが分か
っている。なお、上記P55抗体を産生するハイブリドー
マ(p55細胞)は、1994年2月14日付で通商産業省工業
技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−45
63として受託されている。
次に、得られたGp II b/III a+CFU−MK画分を10%FCS
を含むIMDM培養液で再浮遊させ、組織培養用96ウエル平
底プレートへ1ウエル当たり104個の細胞が入るように
分配し、さらにIMDM培養液に対して十分に透析した標準
品(後に相述する)や、被検検体を加え、最終培養液量
を200μl/ウエルにする。プレートを炭酸ガス培養器に
入れ、37℃で4日間培養する。4日間の培養終了3時間
前に1ウエル当たり0.1μCi(3.7KBq)の14C−セロトニ
ンを添加し、引き続き37℃で培養する。培養終了後、プ
レートを1000rpmにて、3分間遠心し、上清を吸引除去
する。続いて、0.05%EDTAを含むPBSを1ウエル当たり2
00μl加えて遠心し、上清を吸引除去し、細胞を洗滌す
る。この洗滌操作をもう一度繰り返す。得られた細胞ペ
レットへ2%Triton X−100を1ウエル当たり200μl加
え、プレートをプレートミキサーで5〜10分程度振蕩
し、細胞を十分に溶解する。得られた細胞溶解液のうち
の150μlを市販のカップ状の固体シンチレーター(Rea
dy Cap;Beckman社製)の中へ移し、一晩50℃の乾燥器中
に静置して、乾固させる。翌日、Ready Capをガラスバ
イアルに入れ、液体シンチレーションカウンターにて14
Cの放射活性を測定する。
なお、上述の細胞溶解液中のアセチルコリンエステラ
ーゼ活性をIshibashiとBursteinの方法(IshibashiとBu
rstein、Blood、67巻、1512−1514頁、(1986))に従
って測定しても、14C−セロトニンの取り込みによる定
量結果と極めて類似した結果が得られる。
標準品 まず、標準品の作製に用いる血小板減少症ラット血漿
を以下の方法で調製した。
7〜8週齢のwistar系正常ラット(♂)へ、前述した
P55抗体を1回の投与量を0.5mgとして、約24時間間隔で
2回、静脈注射し、2回目の投与の約24時間後の血小板
減少期にエーテル麻酔下に開腹し、予め抗凝固剤として
1mlの3.8%(v/v)クエン酸三ナトリウム溶液を吸い上
げておい10ml用注射筒を用いて腹大動脈から採血した。
血液をプラスティック製の遠心チューブに移し、1200×
gで、10分間遠心し、血漿画分を回収した。この血漿画
分を再度1200×gで、10分間遠心し、遠心後、細胞や血
小板などからなるペレットを吸い上げないように十分に
気をつけながら血漿画分を回収し、プールした(以下、
このようにして得られた血漿を「TRP」と言う)。続い
て、TRPから実施例1に記載する方法に従って調製したC
a処理TRP(標準品C)、WGA−Agaroseカラム活性画分
(標準品W)、あるいはPhenyl Sepharose 6 FF/LSカラ
ム活性画分(標準品P)を、十分量のIMDM培養液に対し
て徹底的に透析し、活性検定用の標準品とした。
なお、実施例1に示したラットTPO精製過程において
は、初期は標準品Cを用いたが、途中から標準品W、さ
らにその後は標準品Pを用いた。恣意的に標準品Cの活
性を1と定義し、それを基に標準品Wおよび標準品Pの
相対活性を求めた。被検検体の相対活性の求め方は、標
準品と被検検体との用量反応曲線を描き、被検検体の活
性が標準品Cの活性のn倍であったとき、その検体の相
対活性をnとした。
B.コロニーアッセイ系 骨髄細胞を半固型の培養液中で被検検体の存在下に培
養し、CFU−MKが増殖・分化して形成される巨核球コロ
ニーの数を算定することによりMeg−CSF活性を測定する
アッセイ法である。
アッセイ法 (a)ラット非分離骨髄細胞などを用いる場合 ラット非分離骨髄細胞、前記A.のGp II b/III a+CFU
−MKの分離・濃縮操作の各段階で得られる細胞、あるい
はGp II b/III a+CFU−MK画分、10%FCS、2mMグルタミ
ン、1mMピルビン酸ナトリウム、50μM2−メルカプトエ
タノール、0.3%の寒天(AGAR NOBLE、DIFCO社製)を含
む最終液量1mlのIMDM培養液を直径35mmの組織培養用プ
ラスチックディッシュに入れて室温で固化させた後、炭
酸ガス培養器中にて37℃で培養する。通常、1つのディ
ッシュ当たりのまき込み細胞数を、非分離骨髄細胞、Pe
rcoll遠心分離段階およびプラスティックディッシュ付
着性細胞除去段階の細胞、およびGp II b/III a+CFU−M
K画分で、それぞれ、2〜4×105、2〜5×104、0.5〜
2×103個とする。6〜7日目に寒天ゲルをディッシュ
から取り出してスライドガラス(76mm×52mm)に受け、
孔径50μmのナイロンメッシュ、続いて濾紙をのせて水
分を吸収し、それらを除いてから室温で十分に乾燥させ
る。50℃のホットプレート上で5分間熱固定した後、Ja
cksonの方法(Jackson、Blood、42巻、413−421頁、(1
973))に従って調製したアセチルコリンエステラーゼ
染色液に2〜4時間浸し、巨核球が十分に染色されてい
るのを確認してから取りだして水洗し、乾燥後Harrisへ
マトキシリン液にて30秒間、後染色を施し、水洗、風乾
させる。アセチルコリンエステラーゼ陽性の巨核球3個
以上から成る集塊を一つのコロニーとして巨核球コロニ
ー数を算定する。
(b)マウスの非分離骨髄細胞を用いる場合 1つのディッシュ当たりのまき込み細胞数を2〜4×
105個として、上記(a)と同様の方法で行なうことが
できる。
(c)ヒト骨髄細胞やヒト臍帯血細胞を用いる場合 ヒト骨髄細胞やヒト臍帯血細胞をそのまま用いること
もできるが、以下のようにそれらから濃縮したCFU−MK
画分を用いることができる。
まず骨髄液、あるいは臍帯血をLymphoprep(第一化学
社製)上に重層し、遠心後、界面に集まった白血球画分
を回収する。この細胞画分から、ビオチン化したヒトの
細胞表面抗原(CD2、CD11c、およびCD19)に対するビオ
チン化したモノクローナル抗体が結合する細胞を、アビ
ジンを結合させた磁気ビーズを用いて除去する。この磁
気ビーズ法で除去できる細胞は、主にB細胞、T細胞、
マクロファージ、および一部の顆粒球である。残った細
胞を、FITC標識された抗CD34抗体、およびPE標識された
抗HLA−DR抗体で染色し、続いてセルソーター(例え
ば、ELITE;COULTER社製)を用いて、CD34陽性、かつHLA
−DR陽性の細胞画分を回収する。この画分にCFU−MKが
濃縮されている(CD34+DR+CFU−MK画分と略す)。ヒト
のコロニーアッセイは、上記のラットの骨髄細胞を用い
たコロニーアッセイとほぼ同様の方法で行なうが、1つ
のプラスティックディッシュ当たりのCD34+DR+CFU−MK
画分のまき込み数を3〜5×103個とし、10%FCSの代わ
りに12.5%ヒトAB血漿と12.5%FCSの混合物を用いる。
また、巨核球コロニーを形成させるまでの培養期間は12
日間から14日間である。ヒト巨核球の検出には、巨核球
の表面抗原であるヒトGp II b/III aに対するマウスモ
ノクローナル抗体を用いたアルカリフォスファターゼ−
抗アルカリフォスファターゼ抗体法で巨核球を免疫染色
し(例えば、Teramuraら、Exp.Hematol.16巻、843−848
頁、(1988))、3個以上の巨核球からなるコロニーを
巨核球コロニーとして算定する。
C.ヒト巨核芽球性細胞株を用いたアッセイ系(M−07e
アッセイ) ヒト巨核芽球性細胞株であるM−07e細胞は、GM−CS
F、IL−3、SCF、IL−2などに応答して増殖する細胞株
であることが知られているが(Avanziら、J.Cell、Phys
iol.、145巻、458−464頁、(1990)、Kissら、Leukemi
a、7巻、)、TPOにも応答することが判明し、ラットCF
U−MKアッセイ系の代替アッセイ法として使うことがで
きる。
アッセイ法 GM−CSF存在下に継代培養されたM−07e細胞を回収
し、十分に洗滌後、10%FCSを含むIMDM培養液に再浮遊
させる。組織培養用96ウエル平底プレートへ1ウエル当
たりの細胞数が104個になるようにM−07e細胞を入れ、
さらに標準品、および被検検体を加えて、最終液量を20
0μl/ウエルにする。プレートを5%炭酸ガス培養器に
入れ、37℃で、3日間培養する。3日目の培養終了4時
間前に1μCi(37KBq)/ウエルの3H−thymidineを添加
し、培養終了後、セルハーベスターで細胞をガラス繊維
フィルター上に集め、3Hの放射活性を液体シンチレーシ
ョンカウンター(例えば、ベータプレート;Pharmacia社
製)にて測定する。
D.マウスプロB細胞株を用いたアッセイ系(Ba/F3アッ
セイ) マウスプロB細胞株Ba/F3細胞は、IL−3やIL−4な
どに応答して増殖する細胞株であることが知られている
(Palaciosら、Cell、41巻、727−734頁)。その亜株で
あるBF−TE22細胞はIL−3やIL−4ばかりでなくTPOに
応答し、細胞増殖する事が判明し、ラットCFU−MKアッ
セイやヒト巨核芽球性細胞株を用いたアッセイ(M−07
eアッセイ)の代替アッセイ法として用いることができ
る。このアッセイ系の概要は以下の通りである。まず、
1ng/mlのマウスIL−3存在下に継代培養しているBF−TE
22細胞を回収し、イスコフ改変DME培地(IMDM;GIBCO
社)で3回洗浄したのちに、10%FCSを含むIMDM培地に
再懸濁させる。次に、組織培養用96ウエル平底プレート
に1ウエルあたり細胞数が1×104個になるように細胞
を接種し、さらにTPO標準品あるいは被検検体を加え
て、最終液量を200ml/ウエルとなるようにし、プレート
を5%炭酸ガス培養器中で2〜3日間培養する。2また
は3日目の培養終了4時間前に1μCi(37KBq)/ウエ
ルの3H−チミジンを添加し、さらに培養を継続する。培
養終了後、セルハーベスターを用いて細胞をガラス繊維
フィルター上に回収し、細胞に取り込まれた3Hの放射活
性を液体シンチレーションカウンターにて測定する。本
アッセイ系ではTPO活性を含まない被検検体では、細胞
はほぼ死滅し、3H−チミジンをほとんど取り込まないの
に対し、TPO活性を含む被検検体では、細胞はTPO濃度依
存的に活発な増殖を示し3H−チミジンの取り込みが認め
られる。また、本アッセイは、M−07eアッセイやCFU−
MKアッセイとパラレルを結果を示す。
以下、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
<実施例1−1> 抗血小板抗体投与による血小板減少症ラットの血漿から
のラットTPO精製 抗血小板抗体投与による血小板減少症ラットの血漿の調
製 前述の<参考例>A.ラット巨核球前駆細胞(CFU−M
K)アッセイ系に記載の方法でラット約1000匹分のTRPを
調製し、調製の供給源とした。
TRPからのラットTPOの精製 当初、TRP中のTPO含有量は多くとも300万分の1程度
であろうとの推定に基づき、ラット約1000匹分のTRPを
材料に精製を進めた結果、1pmole弱のラットTPOの部分
精製標品を得た。次にこの標品の部分アミノ酸配列の分
析を試行し、3種の部分アミノ酸配列の結果を得た。こ
れらは肝臓でつくられるセリンプロテアーゼインヒビタ
ー(SPI)のアミノ酸配列と一致しているか、類似した
ものであった。従って、TPOがセリンプロテアーゼイン
ヒビターと類似した構造をもつものであるという可能
性、及びTPO以外の混入タンパク質由来の配列である可
能性のいずれについても否定はできなかった。これらの
不確定な配列をもとにラットcDNAライブラリーからのTP
O遺伝子クローニングを実施したが、結局、候補遺伝子
を得ることはできなかった。これは、分析した標品の純
度と量に不足があったためと考え、あらためて鋭意研究
を重ねることとなった。アミノ酸配列分析のために必要
な最終精製標品を得るため、次の<実施例1−2>に述
べる精製を行った。尚、特筆すべきことは、本<実施例
1−2>による結果より、TRPあるいはXRP(後述)に存
在するTPO量は、驚くべきことに全血漿蛋白質の1億分
の1から10億分の1と推定され、これを精製することが
通常は極めて困難であるほど、微量の含有量であること
が判明した。
実施例1〜2 X線、あるいはγ線照射による血小板減少症ラットの血
漿からのラットTPOの精製 X線、あるいはγ線照射による血小板減少症ラットの血
漿の調製 亜致死線量(6〜7Gy)のX線、あるいはγ線を7〜
8週齢のWistar系正常ラット(♂)へ全身照射し、血小
板減少期の14日目に採血し、前述のTRPと同様の操作で
血漿画分を調製した(以下、この血漿を「XRP」と言
う。)。
ここでは、合計してラット約1100匹分のXRP(約8L)
を精製の供給源とした。
XRPからのラットTPOの精製 ラット約1100匹分の血漿の総蛋白質量は493000mgにも
達するため、一度に処理することができなかった。そこ
で、以下に述べる精製ステップのうち、(1)〜(4)
では約100匹ずつ11のロットに分けて実施する。次いで
(5)〜(7)では6つのバッチに分けて実施した。
(8)以降は約1100匹分から粗精製されたものをまとめ
て実施した。
このうち、あるひとつのロット(XW9)、バッチ(XB
6)における精製例を代表として説明のために挙げ、併
せて精製の各ステップについて述べる。
尚、精製の全ステップに於いて、TPO活性は前述の<
実施例>に記載したラットCFU−MKアッセイ系を用いて
測定した。
逆相クロマトグラフィー及び界面活性剤の存在下での
Superdex75pgゲルろ過を室温で実施した以外は、特に記
載しない限り4℃で精製を行った。また、蛋白質の定量
は、クーマジー色素結合法(PIERCE社製試薬、カタログ
番号23236X)、または、ビシンコニン酸法(PIERCE社製
試薬、カタログ番号23225)を用いて実施した。
精製の概要を、第1表に示した。
(1)ラット血漿の場合カルシウム処理・遠心処理・蛋
白質分解酵素阻害剤処理 ロット番号XW9の場合 −80℃で保存した役100匹分のXRP(742ml,蛋白濃度5
4.8mg/ml,総蛋白質量40686mg)を解凍し、ポリプロピレ
ン製遠心チューブ(ナルゲン社製)に移した。これに各
々最終濃度100mMになるように塩化カルシウム粉末を加
え、4℃で一晩静置した。次に8000RPMで60分遠心後、
上清を回収した。TPO活性を含むこの上清(742ml,蛋白
濃度54.9mg/ml,総蛋白質量40740mg)に、最終濃度1mMの
蛋白質分解酵素阻害剤であるp−APMSF(p−アミノジ
フェニルメタンスルホニルフルオリド 塩酸塩、和光純
薬工業、カタログ番号010−10393)を加え、次に述べる
Sephadex G−25カラムによるバッファ−交換のステップ
へ進めた。
このようにして、約100匹分ごとにひとつのロットに
まとめ、塩化カルシウム・p−APMSF処理し、合計11ロ
ット、約1100匹分のXRP(総体積8184ml、総蛋白質量493
007mg)の処理を繰り返し、それぞれSephadex G−25カ
ラムへ進めた。
(2)Sephadex G−25<バッファー交換> ロット番号XW9の場合 (1)で得られた塩化カルシウム処理後の上清(742m
l,蛋白濃度54.9mg/ml、総蛋白質量40740mg)を、20mM T
ris−HCl,pH8で予め平衡化してあったSephadex G−25M
カラム(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号
17−0033−03;直径11.3cm、ベッド高47cm)に流速40〜7
0ml/minで添加し、蛋白質が溶出してくるまでの1300ml
を捨てた。次に、紫外吸収が立ち上がってきた時点か
ら、電気伝導度が500μS/cmに達するまでを集め、200mM
Tris−HCl pH8溶液に置換されたTPO活性を含む蛋白質
画面(1377ml,蛋白濃度27.56mg/ml)を回収した。TPO活
性画分の総蛋白質量は、37882mg、このステップでの蛋
白収量は、93%であった。また、TPOの相対活性は、2.3
であった。
このようにして、全ロットについてそれぞれSephadex
G−25カラムを実施した結果、合計すると、総体積2111
7ml、総蛋白質量480306mg、平均相対活性1.8、相対活性
量864600のSephadex G−25のTPO活性画分を得た。
(3)Q−Sepharose FF<強陰イオン交換クロマトグラ
フィー> ロット番号XW9の場合 (2)で得られたSephadex G−25MのTPO活性画分(13
75ml,蛋白濃度27.5mg/ml、総蛋白質量37841mg、相対活
性2.3)を流速40ml/minで、Q−Sepharose FF(ファル
マシア バイオテク社製、カタログ番号17−01510−01;
直径5cm、ベッド高27cm)に添加し、20mM Tris−HCl,pH
8で素通り画分F1(3949ml,蛋白濃度0.98mg/ml,総蛋白質
量3870mg,相対活性0)を溶出した。
次に、175mM NaClを含む20mM Tris−HCl,pH8緩衝液に
換えて、TPO活性画分F2(4375ml,蛋白濃度5.36mg/ml)
を溶出した。
最後に、1000mM NaClを含む20mM Tris−HCl pH8緩衝
液で、F3(1221ml,蛋白濃度3.9mg/ml,総蛋白質量4783m
g,相対活性3.8)を溶出した。TPO活性画分F2の総蛋白質
量は、23440mg、このステップでのF2の蛋白収量は、61.
9%であった。また、TPOの相対活性は、6.8に上昇し
た。
このようにして、Sephadex G−25のTPO活性画分の全
ロットをQ−Sepharose FFにかけた結果、合計すると総
体積35842ml、総蛋白質量314384mg、平均相対活性8.6、
総活性量2704000のQ−Sepharose FFのTPO活性画分F2を
得た。
(4)小麦胚芽アグルチニン(WGA)−Agarose<レクチ
ンアフィニティークロマトグラフィー> ロット番号XW9の場合 (3)で得られたQ−Sepharose FFのTPO活性画分F2
を3回に分けて、WGA−Agarose(ホーネン社製、カタロ
グ番号800273;直径5cm、ベッド高22.5cm)に流速5ml/mi
nで添加し、ダルベッコ氏リン酸等張緩衝液(DPBS)で
素通る画分F1(9336ml,蛋白濃度2.30mg/ml,総蛋白質量2
1407mg,相対活性6.9)を得た。
次に、0.2M N−アセチル−D−グルコサミン(ClcNA
c、ナカライ社製、カタログ番号005−20)、150mM NaC
l、0.02%アジ化ナトリウムを含む20mM Na Phosphate,p
H7.2緩衝液により溶出されたプールを、限外濾過ユニッ
ト(フィルトロン社製、オメガウルトラセット分子量80
00カット)で濃縮し、WGA−Agarose吸着TPO活性画分F2
(2993ml,蛋白濃度0.376mg/ml)を得た。
このTPO活性画分F2の総蛋白質量は、1125mg、このス
テップでのF2の蛋白収量は、4.8%であった。また、TPO
の相対活性は、101に上昇した。ここで得られたF2は−8
0℃で保存した。
このようにして、Q−Sepharose FFのTPO活性画分F2
の全ロットについて、繰り返しWGA−Agaroseにかけた結
果、総体積33094ml、総蛋白質量15030mg、平均相対活性
132、総活性量1987000のWGA−AgaroseのTPO活性画分F2
を得た。
(5)TSK−gel AF−BLUE650MH<色素吸着アフィニティ
ークロマトグラフィー> バッチ番号XB6の場合 (4)で得られた、合計215匹分のXRPから出発したロ
ットXW8のWGA−Agarose吸着TPO活性画分とロットXW9のW
GA−Agarose吸着TPO活性画分F2をバッチXB6としてまと
めた(5974ml,蛋白濃度0.388mg/ml、総蛋白質量2319m
g、相対活性150)。
この体積5974mlに対し、0.85molesのNaCl(296.76g)
を加え、最終濃度0.822M NaCl,6132mlの溶液とした後、
1M NaCl,20mM Na Phosphate,pH7.2で予め平衡化してあ
ったTSK−gel AF−BLUE650MHカラム(トーソー社製、カ
タログ番号08705;直径5cm、ベッド高23cm)に、流速7ml
/minで添加した。
添加終了後、流速10ml/minにて、20mM Na Phosphate,
1M NaCl,pH7.2で溶出される素通り(約8470ml)を集
め、これを限外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメ
ガウルトラセット分子量8000カット)で濃縮し、素通り
画分F1(543ml,蛋白濃度2.05mg/ml,総蛋白質量1112mg,
相対活性31)を得た。
次に、溶出液を2M NaSCNにかえ、溶出されたTSK−gel
AF−BLUE650MH吸着TPO活性画分F2(1427ml,蛋白濃度0.
447mg/ml)を得た。
このTPO活性画分F2の総蛋白質量は638mg、このステッ
プでのF2の蛋白収量は27.5%であった。また、TPOの相
対活性は、1500に上昇した。
このようにして、WGA−Agarose吸着TPO活性画分F2の
全バッチについて、各々TSK− AF−BLUE650MHにかけた
結果、総体積10655ml、総蛋白質量4236mg、平均相対活
性905、総活性量3834000のTSK−gel AF−BLUE650MHのTP
O活性画分F2を得た。
(6)Phenyl Sepharose 6 FF/LS<疎水相互作用クロマ
トグラフィー> (5)で得られたTSK−gel AF−BLUE650MHのTPO活性
画分F2(1424ml,蛋白濃度0.447mg/ml、総蛋白質量638m
g、相対活性1500)の体積1424mlに対し、1.5molesのAmm
onium Sulfate(282.2g)の粉末を加え、最終濃度1.35M
Ammonium Sulfate,1581mlの溶液とした。
これを1.5M Ammonium Sulfate,50mM Na Phosphate,pH
7.2で予め平衡化してあったPhenyl Sepharose 6 FF(Lo
w Sub)カラム(ファルマシアバイオテク社製、カタロ
グ番号17−0965−05;直径5cm、ベッド高10cm)に、流速
7ml/minにて添加し、添加終了後、溶出液を0.8M Ammoni
um Sulfate,36mM Na Phosphateにかえ、流速10ml/minに
て溶出される画分(約3160ml)までを集め、これを限外
濾過ユニット(フィルトロン社製、オメガウルトラセッ
ト分子量8000カット)で濃縮し、F1(485ml,蛋白濃度0.
194mg/ml,総蛋白質量94.2mg,相対活性0)を得た。
次に、溶出液を20mM Na Phosphate,pH7.2にかえ、溶
出されたTPO活性画分F2(約3500ml)を得た。これを限
外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメガウルトラセ
ット分子量8000カット)で濃縮し、一旦サンプリングし
た。この段階のTPO活性画分F2(220ml)の蛋白濃度は1.
45mg/ml,総蛋白質量319mg、このステップでのF2の蛋白
収量は、50.0%であった。また、TPOの相対活性は、123
0であった。
このようにして、TSK−gel AF−BLUE650MHのTPO活性
画分F2の全バッチについて、繰り返しPhenyl Sepharose
FF/LSにかけた結果、総体積1966ml、総蛋白質量2762m
g、平均相対活性847、総活性量2339000のPhenyl Sephar
ose FF/LSのTPO活性画分F2を得た。
(7)Sephacryl S−200HR<ゲル濾過クロマトグラフィ
ー> バッチ番号XB6の場合(例えば図1) (6)で得られたPhenyl Sephrose 6 FF/LSのTPO活性
画分F2(217ml,蛋白濃度1.45mg/ml、総蛋白質量315mg、
相対活性1230)に、144.8mlの5M NaCl溶液を加えて362m
lの2M NaClとした後、さらに限外濾過ユニット(アミコ
ン社製;YM3膜、直径76mm)で約50mlまで濃縮した。
これに8M尿素を等量体積(50ml)加え、最終濃度1M N
aCl、4M尿素の溶液約100mlにした。さらに約80mlまで濃
縮し、最終的に88.78mlのサンプルにし、Sephacryl S−
200HRカラム(ファルマシア バイオテク社製、カタロ
グ番号17−0584−01;直径7.5cm、ベッド高100cm)に、
注入した。
その後3ml/minの流速にてDPBSで展開し、ボイド体積
(1200ml)以降45mlずつ60本のポリプロピレン製チュー
ブに集めた。この溶出パターンを図1に示した。2本ご
とにアッセイにかけ、残りは1100匹分の全てのSephacry
l S−200HRのプロセスを終えるまで、−85℃にて凍結保
存した。アッセイの結果よりXB6では以下のようにフラ
クションをまとめた(図1)。
(F1)チューブ番号 1〜15 (ボイド体積付近の分子量94000以上の画分) (F2)チューブ番号 16〜26 (分子量94000〜33000) (F3)チューブ番号 27〜44 (分子量33000〜3000) (F4)チューブ番号 45〜55 (分子量3000以下) このようにして、Phenyl Sepharose 6 FF/LSで得たTP
O活性画分F2の全バッチについて、各々Sephacryl S−20
0HRにかけ、それぞれのフラクションについてアッセイ
を行ない、−85℃にて凍結保存をした。すべてのバッチ
についてSephacryl S−200HR終了後、次の逆相クロマト
グラフィー(YMC−Pack PROTEIN−RP)を実施する直前
に解凍をし、限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、
直径76mm)で濃縮し、下記の2つの標品を得た。以下、
このSephacryl S−200HRのTPO活性画分F2の濃縮標品を
「高分子TPO標品F2」、Sephacryl S−200HRのTPO活性画
分F3の濃縮標品を「低分子TPO標品F3」と言う。ここで
述べる高分子TPO標品F2、低分子TPO標品F3とは便宜上、
ゲル濾過クロマトグラフィーで溶出位置の異なった画分
をまとめたものを称するのであって、必ずしも真の分子
量を表現したものではない。
Sephacryl S−200HRにおけるTPO活性画分 高分子TPO標品F2 低分子標品F3 分子量 94000〜33000 33000〜3000 総体積 3420ml 6480ml 総体積(濃縮後) 293ml 280ml 総蛋白質量 262ml 51.3mg 平均相対活性 7838 20000 総活性量 2055000 1020000 以降、低分子TPO標品F3と高分子TPO標品F2とをそれぞ
れ次の精製ステップに進めた。
以下(8)〜(11)に低分子TPO標品F3の精製の各ス
テップについて述べる。
(8)YMC−Pack PROTEIN−RP<逆相クロマトグラフィ
ー> (7)で得られた低分子TPO標品F3(総蛋白質量50.3m
g,蛋白濃度0.184mg/ml,相対活性20000,総活性量100700
0、総体積274ml)に展開溶媒A(0.025%トリフルオロ
酢酸(TFA))および展開溶媒B(0.025%TFAを含む1
−プロパノール)を加え、最終体積508.63ml、最終プロ
パノール濃度約20%、TFA濃度0.012%、蛋白濃度0.0989
mg/mlに調製した。ここで不溶物の発生があったので、
これを遠心し、上清のみを254.3ml(25.2mg)ずつ2回
に分けて、予め30%Bで平衡化してあったYMC−Pack PR
OTEIN−RP(YMC社、カタログ番号A−PRRP−33−03−1
5;直径3cm、ベッド高7.5cm)カラムに流速2ml/minで添
加した。沈殿物は5mMのCHAPS(3−[(3−コラミドプ
ロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルフォ
ナート;同仁化学研究所製、カタログ番号75621−03−
3)を含む20mM酢酸ナトリウム、pH5.5を20ml加えて可
溶化し、合わせてカラムに送り込んだ。
サンプルを添加した後、約50mlの溶媒(展開溶媒A:展
開溶媒B=3:1)を通液し、まず素通り画分を集めた。
次に展開プログラム(120分の30%B〜45%Bの直線濃
度勾配)を開始して、10mlずつ合計36本のフラクション
をポリプロピレン製チューブに集め取った。これを繰り
返して同チューブに集めたため、最終的に20mlずつ、合
計36本フラクションとなった。素通り画分はそのまま限
外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径76mm)で20
mlまで濃縮した。
素通り画分及びチューブ番号1〜36の各20mlのフラク
ションより0.1ml取り、20μlの5%BSAを添加後遠心エ
バポレーションで乾固し、最終的に0.25mlのIMDMアッセ
イ溶媒液に溶解し、アッセイにかけ、TPO活性画分を特
定した。この結果、チューブ番号17〜27(プロパノール
濃度で36.0〜43.0%の範囲)にTPOの活性があり、これ
を低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO
活性画分F2とした。次のYMC−Pack CN−APに進める直前
まで−85℃で保存した。
低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活
性画分F2 総体積 220ml 蛋白濃度 0.0130mg/ml 総蛋白質量 2.85mg 相対活性 130000 総活性量 371000 (9)YMC−Pack CN−AP<逆相クロマトグラフィー> (8)で得られた低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack P
ROTEIN−RPのTPO活性画分F2のうち214.9ml(総蛋白質量
2.79mg,蛋白濃度0.0130mg/ml,相対活性130000,総活性量
36300)に、50%グリセロールを0.6ml加え、1.8mlまで
濃縮した。最終的に体積5mlで、プロパノール濃度は20
%以下、グリセロールは約6%であった。
これを5回(各回の注入蛋白質量0.555mg,体積1ml)
に分けて実施した。毎回ごとに、展開溶媒Aに0.1%TF
A、展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プロパノールを用
い、15%Bで平衡化したYMC−Pack CN−AP(YMC社製、
カタログ番号AP−513;直径6mm、ベッド高250mm)カラム
に、流速0.6ml/minで注入した。注入終了後、15%Bか
ら25%Bにプロパノール濃度を上げ、さらに25%Bから
50%Bまで65分の直線濃度勾配で展開した。最後の回
に、蛋白を含まない同じ組成の溶液1mlを注入、展開
し、カラム内に残存するTPO活性の回収を行った。合計
6回分同じポリプロピレン製チューブに集めたため、各
フラクションは、7.2mlずつ44本となった。
このうち30μl(240分の1フラクション)を取り20
μlの5%BSAを加え、遠心エバポレーションで乾固
し、最終的に0.24mlのIMDMアッセイ培養液に溶解し、ア
ッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チ
ューブ番号28〜33(プロパノール濃度で37.0〜42.0%の
範囲)に強いTPO活性があったため、これを低分子TPO標
品F3由来YMC−Pack CN−APのメインのTPO活性画分FAと
した。
低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack CN−APのTPO活性画分
FA 総体積 43.20ml 蛋白濃度 0.00863mg/ml 総蛋白質量 0.373mg 相対活性 800000 総活性量 298400 (10)capcell Pak C1 300A<最終の逆相クロマトグラ
フィー> (9)で得られた低分子TPO標品F3由来のTPO活性画分
FA43.20mlのうち43.12ml(総蛋白質量0.372mg,蛋白濃度
0.00863mg/ml,相対活性800000,相対活性量297600)に、
0.2mlの50%グリセロールを加え、0.1mlのグリセロール
溶液となるまで濃縮した。
これに展開溶媒A(0.1%TFA):展開溶媒B(0.05%
TFAを含む1−プロパノール)=85:15(15%B)の溶液
2mlを加えて、最終的に、体積2.1ml、プロパノール濃度
が約14%、グリセロールが約4.8%、蛋白濃度0.177mg/m
lのサンプルに調製した。これを15%Bで平衡化したCap
cell Pak C1 300a(資生堂製、カタログ番号C1 TYPE:SG
300A;直径4.6mm、ベッド高250mm)カラムに注入し、27
%Bから38%Bまで65分の直線濃度勾配で流速0.4ml/mi
nで展開し、ポリプロピレン製チューブ72本に0.6mlずつ
集めた。
各フラクションから、3μl(200分の1フラクショ
ン)を取り20μlの5%BSAを加え、最終的に255μlの
IMDMアッセイ培養液に置換し、オリジナル体積から75倍
希釈したものをアッセイにかけた。
各フラクションから、電気泳動のために1μl(600
分の1フラクション)を取り、遠心エバポレーション
し、還元剤を含まないSDSゲル電気泳動サンプルバッフ
ァーを10μl加え、95℃で5分処理した。これを15−25
%SDS−ポリアクリルアミドプレキャストゲル(第一化
学製品社製)を用いてSDSゲル電気泳動し、2D−銀染色
試薬・「第一」銀染色キット(第一化学薬品社製、カタ
ログ番号167997、以下「銀染色キット」と言う)で染色
した。分子量マーカーには「第一」・III低分子量マー
カー(第一化学薬品社製、カタログ番号181061、以下
「DPC III」と言う)を用いた。
以上の分析の結果、チューブ番号35〜43(プロパノー
ル濃度で30.0〜32.5%の範囲)に明らかにTPOの活性が
あった。このうちチューブ番号36〜42(プロパノール濃
度で30.5〜32.0%の範囲)をメインのTPO活性画分FAと
した。以上の結果を図2に示した。
蛋白質量をクロマトグラムから推定し、アッセイの結
果と合わせて評価すると、総蛋白質量39.6μg,蛋白濃度
9.4μg/ml,相対活性4890000,相対活性量193600となっ
た。TPO活性画分チューブ番号36〜42のSDSゲル電気泳動
像を調べてみると、活性の強さと、染色された濃さが相
関するバンドが存在することが明らかとなった。しかも
このバンドの分子量は、見かけ上、即ち還元状態での標
準分子量蛋白に対し、17000〜19000の位置にあり、TPO
の候補となる有力なバンドであることがわかった。
(11)電気泳動ゲルからのTPO活性の抽出<15%SDSポリ
アクリルアミドゲル電気泳動> TPO活性画分FAの分析例 (10)で得られた低分子TPO標品F3由来のTPO活性画分
FA4200μl(総蛋白質量39.6μg,蛋白濃度9.4μg/ml,相
対活性489000,総活性量193600)の内、5.5μl(764分
の1フラクション)を活性抽出のため、2.5μl(1680
分の1フラクション)を銀染色のためにそれぞれサンプ
ルチューブに取り、遠心エバポレーションし、還元剤不
含のSDSゲル電気泳動サンプルバッファー10μlを加
え、37℃1時間処理後、室温で18時間放置することによ
りSDS化した。
分子量マーカーには、プレステインド・ローレンジマ
ーカー(Bio−Rad社161−0305)、及びDPC IIIマーカー
を用いた。これらのサンプルを常法(Laemmli、Natur
e、227巻、680−685頁(1970))に従って、マイクロス
ラブゲルを用いた15%SDSポリアクリルアミドゲル電気
泳動を4℃にて実施した。泳動終了後、直ちに銀染色に
付す部分をナイフで切断し固定液に入れ、銀染色キット
を用いて銀染色した。
一方、活性を切り出すべき部分を、分子量の全域に渡
って、ナイフを用いて幅1.5〜2.5mmの34本のゲルにスラ
イスし、小林の方法(小林幹彦、生化学、第59巻、第9
号(1987))を改良した方法でゲルの破砕を行った、微
細な断片に破砕されたゲルに各々0.3mlの抽出バッファ
ー(20mM Tris−HCl,pH8,500mM NaCl,0.05%BSA)を加
え、4℃で6時間振とうし、抽出を行った。
次に最終濃度20mMの500mMリン酸カリウム、pH6.8を加
え、4℃で1時間振とうし、沈殿したSDSを除くためウ
ルトラフリーC3GV0.22μmフィルター付濾過ユニット
(ミリポア社製、型板UFC3 OGV 0S)に移し、1000xg(4
000RPM)で15分間遠心し、濾液を回収した。これをウル
トラフリーC3−LGC分子量10000カット限外濾過ユニット
(ミリポア社製、型番UFC3 LGC 00)に移し3000xg(700
0RPM)で遠心した。濃縮液が約50μlに達した時点で、
300μlの20mM Na Phosphate,pH7.2のバッファーを加
え、再び限外濾過を行った。
これを2回繰り返し、残存するSDSを除去した。さら
にアッセイ培養液に対し同様な操作を繰り返し、最終的
に300μlに調製した。これを滅菌し、TPO活性を測定し
た。
このような実験の結果、銀染色で明瞭に検出できた蛋
白質は、DPC IIIマーカーに対し、見かけ上の分子量約1
7000〜19000、14000、11000の3種であった。
Capcell Pak C1カラムのTPO活性画分の電気泳動で、
前記ステップ(10)の実験において活性の強さと、染色
されたバンドの濃さが相関する見かけ上の分子量が約17
000〜19000のバンドが観察できたが、本ステップ(11)
の実験においてもTPO活性が検出された見かけ上の分子
量は約17000〜19000であった。(図3参照) 以上の結果、TPO活性を示す蛋白質は、最終的に電気
泳動ゲル上で確認可能なまでにCapcell Pak C1 300Aカ
ラムの活性画分中に精製されたと確認できた。このサン
プルを15%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(非還
元下)して銀染色されたバンドの濃さから、全TPO活性
画分中の見かけ上の分子量約17000〜19000のTPO候補蛋
白質の量は、約1.7μgであった。
以下(12)〜(15)に高分子TPO標品F2の精製の各ス
テップについて述べる。
(12)YMC−Pack PROTEIN−RP<逆相クロマトグラフィ
ー> (7)で得られた高分子TPO標品F2(総蛋白質量257m
g,蛋白濃度0.894mg/ml,相対活性7840,総活性量201500
0、総体積287ml)の展開溶媒A(0.025%TFA)およびサ
ンプルの3分の1容の95.8mlの展開溶媒B(0.025%TFA
を含む1−プロパノール)を加え、最終体積383ml、最
終プロパノール濃度約25%、TFA濃度0.006%、蛋白濃度
0.671mg/mlとした。ここで不溶物の発生があったので、
遠心後の上清のみを62.3ml(42.8mg)ずつ6回に分け
て、予め30%Bで平衡化してあったYMC−Pack PROTEIN
−RP(YMC社製、カタログ番号A−PRRP−33−03−15;直
径3cm、ベッド高7.5cm)カラムに流速2ml/minで注入し
た。沈殿物は5mMのCHAPSを含む20mM酢酸ナトリウム、pH
5.5を10ml加えて可溶化できたので、合わせてカラムに
送り込んだ。
それぞれサンプルを注入した後、約50mlの溶媒(展開
溶媒A:展開溶媒B=3:1)を通液し、素通り画分を集め
た後、展開プログラム(120分の30%Bから45%Bの直
線濃度勾配)を開始し、15mlずつ合計24本のフラクショ
ンをポリプロピレン製チューブに集め取った。1回目か
ら6回目まで同じ様に繰り返し、最終的に90mlずつのフ
ラクションが24本となった。素通り画分とチューブ番号
1はそのまま限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、
直径76mm)で90mlまで濃縮した。
素通りを含むチューブ番号1から24までのフラクショ
ンより0.3ml取り、10μlの5%BSAを添加後遠心エバポ
レーションで乾固し、最終的に0.3mlのIMDMアッセイ培
養液に溶解し、アッセイにかけ、TPO活性画分を特定し
た。この結果、チューブ番号10〜15(プロパノール濃度
で34.0〜39.5%の範囲)にTPOの活性があり、これを高
分子TPO標品F2由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活性
画分F2とした。次のYMC−Pack CN−APに進める直前ま
で、−85℃で保存した。
高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活
性画分F2 総体積 540ml 蛋白濃度 0.021mg/ml 総蛋白質量 11.4mg 相対活性 227000 総活性量 2588000 (13)Superdex75pg<CHAPS存在下でのゲル濾過クロマ
トグラフィー> (12)で得られた高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack P
ROTEIN−RPのTPO活性画分F2のうち、538.2ml(総蛋白質
量11.3mg,蛋白濃度0.021mg/ml,相対活性227000,総活性
量2565000)に50%グリセロールを0.6ml添加後、遠心エ
バポレーション濃縮した。次に、6mlの20mM CHAPSを加
えた。さらに、18mlの20mM CHAPSを加え攪拌し、4℃に
移し、41時間後に最初のサンプルをHiLoad26/60Superde
x75pg(ファマシア バイオテク社製、カタログ番号17
−1070−01;直径2.6cm、ベッド高60cm)カラムに注入
し、流速1ml/minで、5mM CHAPSを含むDPBSで展開した。
一回に4ml(蛋白濃度0.466mg/ml,蛋白質量1.86mg)のサ
ンプルをカラムに注入した。
6回目に分けてカラムで展開し、全てのYMC−Pack PR
OTEIN−RPのTPO活性画分をSuperdex75pgカラムで分取し
た。フラクションは5mlずつ6回分、即ち合計30mlのフ
ラクションが45本となった。
それぞれのフラクションより0.1ml取り、10μlの5
%BSAを添加後、遠心エバポレーションで乾固し、最終
的に0.25mlのIMDMアッセイ培養液に溶解し、アッセイに
かけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番
号13〜31(分子量で78000〜3000の範囲)にTPOの活性が
あったため、これを高分子TPO標品F2由来のSuperdex75p
gのTPO活性画分F2とした。
高分子TPO標品F2由来のSuperdex75pgのTPO活性画分F2 総体積 540ml 蛋白濃度 0.00216mg/ml 総蛋白質量 11.7mg 相対活性 1750000 総活性量 2041000 (14)YMC−Pack CN−AP<逆相クロマトグラフィー> (13)で得られた高分子TPO標品F2由来のSuperdex75p
gのTPO活性画分F2(分子量78000〜3000)540mlのうち、
513.2ml(総蛋白質量1.11mg,蛋白濃度0.00216mg/ml,相
対活性1750000,相対活性量1943000)に10分の1容の展
開液B(0.05%TFAを含む1−プロパノール)を加えた
後、展開溶媒A(0.1%TFA)と展開液Bを用いて15%B
で平衡化したYMC−Pack CN−AP(YMC社製、カタログ番
号AP−513;直径6mm、ベッド高250mm)カラムに、流速0.
6ml/minで注入した。注入終了後、15%Bから25%Bに
プロパノール濃度を上げ、さらに25%Bから50%Bまで
の65分の直線濃度勾配で展開した。
YMC−Pack CN−APカラムに進めるにあたり、全インプ
ットサンプルの20分の1をまずパイロット的に進め、活
性が良好に回収できることを確認できた。そこで、残り
の20分の19を2回に分けて分取した。つまり合計3回の
展開をおこなった。計3回分で分取された各フラクショ
ンを同じポリプロピレン製チューブ44本に集めたので、
合計3.6mlずつとなった。
このうち5μl(720分の1フラクション)を取り、
最終的に0.25mlのIMDMアッセイ培養液に置換した。アッ
セイの結果、チューブ番号24〜30(プロパノール濃度で
36.0〜42.0%の範囲)に極めて強いTPOの活性があった
ため、これを高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack CN−AP
のメインのTPO活性画分FAとした。
高分子TPO標品F2由来のSuperdex75pgのTPO活性画分FA 総体積 525.20ml 蛋白濃度 0.0246mg/ml 総蛋白質量 0.620mg 相対活性 700000 総活性量 434000 (15)Capcell Pak C1 300A<最終の逆相クロマトグラ
フィー> (14)で得られた高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack C
N−APのTPO活性画分FA25.20mlのうち、24.66ml(総蛋白
質量0.606mg,蛋白濃度0.0246mgml,相対活性700000,総活
性量424000)に、0.4mlの50%グリセロールを加え、遠
心エバポレーションで濃縮した。
最終的に、プロパノール濃度は数%、グリセロールは
10%、蛋白濃度0.303mg/mlの2mlのサンプルとなった。
展開溶媒A(0.1%TFA)、展開溶媒B(0.05%TFAを含
む1−プロパノール)を用いて、15%Bで平衡化したCa
pcell Pak C1 300A(資生堂カタログ番号C1 TYPE:SG300
A;直径4.6mm、ベッド高250mm)カラムに注入し、27%B
から38%Bまで65分の直線濃度勾配で流速0.4ml/minで
展開し、ポリプロピレン製チューブ72本に0.6mlずつ集
めた。
各フラクションから、0.75μl(800分の1フラクシ
ョン)を取り、20μlの5%BSAを加え、最終的に225μ
lのIMDMアッセイ培養液に置換し、オリジナル体積から
300倍希釈したものをアッセイにかけた。
各フラクションから、電気泳動のために2μl(300
分の1フラクション)を取り、遠心エバポレーション
し、10μlの還元剤を含まないSDS電気泳動サンプルバ
ッファーを加え、95℃で5分処理した。これを15〜25%
SDS−ポリアクリルアミドプレキャストゲル(第一化学
薬品製)を用いてSDSゲル電気泳動し、銀染色キットで
染色した。分子量マーカーにはDPC IIIマーカーを用い
た。
以上の分析の結果、チューブ番号33〜39(プロパノー
ル濃度で29.5〜31.5%の範囲)に明らかにTPOの活性が
あった。このうち、チューブ番号34〜39(プロパノール
濃度で30.0〜31.5%の範囲)をメインのTPO活性画分FA
とした。メインのTPO活性画分のSDSゲル電気泳動像を調
べてみると、(10)に述べた低分子TPO標品F3から出発
したものと同じく見かけ上17000〜22000の分子量範囲
に、活性の強さと、染色された濃さが相関するバンドが
存在することが明らかとなった。
<実施例2> ラット精製TPOの部分アミノ酸配列の分析 岩松の方法(岩松ら、新基礎生化学実験法、第4巻、
33〜84頁(丸善刊);岩松明彦、生化学、第63巻、第2
号、139−143頁、(1991);Akihiro Iwamastu、Elector
ophoresis、第13巻、142−147頁、(1992))により、
実施例1の(10)で得られたCapcell Pak C1 300Aカラ
ムのTPO画分FA中のラットTPO候補タンパク質のアミノ酸
配列の分析を行った。即ち、サンプルをSDSゲル電気泳
動し、電気的にポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜
に転写した。次いで、PVDF膜上の蛋白質を還元S−アル
キル化した後、系統的、段階的に3種のプロテアーゼで
in situ限定酵素分解し、ペプチドフラゲメント化し、
これを逆相クロマトグラフィー分離精製し、得られたペ
プチドを高感度アミノ酸配列決定法により分析した。以
下にその詳細を述べる。
低分子TPO標品F3由来のCapcell Pak C1 300AのTPO画分F
AのTPO候補蛋白質の分析例 (1)Capcell Pak C1 300AカラムのTPO画分FA(チュー
ブ番号36〜42)の濃縮 実施例1の(10)で得られた低分子TPO標品F3由来
の、Capcell Pak C1 300AカラムのTPO活性画分FA(チュ
ーブ番号36〜42)4200μl(総蛋白質量39.6μg,蛋白濃
度9.4μg/ml,相対活性4890000,相活性量193600)のう
ち、4151μl(全フラクションの98.8%)をアミノ酸配
列のための分析に進めた。クラマトグラムから推定され
る蛋白質量は39.1μgであるが、このうちSDSゲル電気
泳動で銀染色された見かけ上の分子量約17000〜19000の
TPO候補蛋白質の量は、約1.6μgであった。
このサンプルにグリセロールを添加し、遠心エバポレ
ーションで濃縮し、5μlのグリセロール溶液とした。
これに還元剤を含まないSDS電気泳動サンプルバッファ
ー、及びpHを調整するために1M Tris−HCl,pH8を加え、
最終的に、20mM Tris−HCl,pH8.0,50mM Tris−HCl,pH6.
8,1.1%SDS,2mM EDTA,0.02%BPB,30%グリセロールを含
む約25μlのサンプルにした。
このサンプルを過度に加熱することなく十分にSDS化
するために、まず室温に14時間置き、次に60℃で5分処
理した。
(2)電気泳動 常法に従って、マイクロスラブゲル(4.0%アクリル
アミド濃度ゲル、15%アクリルアミド分離ゲル)を調製
し、SDSゲル電気泳動を室温下で12.5mA、次いで17.5mA
の一定電流にて2時間かけて実施した。分子量マーカー
には、プレステインド・ローレンジマーカー(Bio−Rad
社161−305)、及びDPC IIIマーカーを用いた。泳動終
了後直ちPVDF膜に転写した(次項)。
また、分析に付したサンプルの一部を、非還元のま
ま、及びジチオスレイトール(DTT)で還元化し、15〜2
5%ポリアクリルアミドプレキャストゲル(第一化学薬
品社製;マルチゲル15/25、カタログ番号211072)で電
気泳動した。これを銀染色キットを用いて銀染色したと
ころ、TPOと期待されたバンドは、還元下において分子
量約19000であり、Capcell Pak C1 300AカラムでのTPO
活性画分中のTPO候補蛋白質の純度が、数%程度である
ことが確認できた。また非還元・還元それぞれの移動度
が異なるため、分子内部に少なくとも一つ以上のS−S
結合を持つことが示唆された。
(3)PVDF膜へのエレクトロブロット法による転写・バ
ンドの検出 セミドライ転写装置(マリソル社製、ウエットフォー
転写装置モデルKS−8460)を用いて、常法に従い、160m
A(11〜17V)の一定電流で1時間かけてPVDF膜(アプラ
イドバイオシステムズ社製ProBlott、カタログ番号4009
94)に転写を行った。陽極液に、0.3M Tris,20%メタノ
ール,pH10.4、転写膜液に、25mM Tris,20%メタノール,
pH10.4、陰極液に、25mM Tris,40mMアミノカプロン酸,2
0%メタノール,pH10.4を用いた。
転写された膜をポンソーS染色液(100ml中の0.1gの
ポンソーSと1mlの酢酸を含む)で染色したところ、複
数のバンドが染色され、この中にTPOと期待された分子
量約19000のバンドを確認することができた。これを切
り出し、ペプチドの断片化に進めた。(次項) (4)ペプチドフラグメント化とペプチドマッピング・
アミノ酸配列分析 PVDF膜上に転写・還元S−アルキル化されたTPO候補
蛋白質の断片化を系統的に行うために、次の三つのプロ
テアーゼにより、段階的に限定的酵素分解を行った。
一次消化 シリルエンドペプチダーゼ(Achromobacter
lyticusm497−1、和光純薬工業製、カタログ番号129−
02541) 二次消化 エンドプロテインナーゼAsp−N(ベーリン
ガー・マンハイム社製、カタログ番号1054 589) 三次消化 トリプシン−TPCK(Worthington Biochemica
l社製、カタログ番号3740) 各々の酵素消化で得られたペプチド断片を回収し、展
開溶媒Aに0.05%TFA、展開溶媒Bに0.02%TFAを含むイ
ソプロパノール:アセトニトリル=7:3の混液を用い
て、Wakosil−II 5C18 C18逆相カラム(和光純薬工業
製;直径2.0mm、長さ150mm)で、カラム温度30℃、流速
0.25ml/分、1%Bから50%Bを30分の直線濃度勾配に
て展開することによりマッピング(図4)し、得られた
ペプチドフラグメントを回収した。それぞれのペプチド
フラグメントを気相アミノ酸シークエンサー(島津製作
所製、PPSQ−2)にてエドマン分解後、順次回収された
N末端のPTHアミノ酸を、アイソクラティック溶出法に
よるC18逆相カラムクロマトグラフィーにて同定を行っ
た。この結果を次にまとめた。
以上の配列のうち、()付きで示したものは、系統的
酵素消化から演繹推定しうるアミノ酸残基である。
(5)得られたアミノ酸配列の類似性分析<ホモロジー
サーチ> 得られたアミノ酸配列が、すでに報告されている既知
の蛋白質に含まれているかどうか、あるいは、類似配列
をもつ蛋白質があるかどうかについて、配列解析ソフト
ウェアであるマックベクター(Kodak International Bi
otechnologies,Inc.)を用いて分析した。既知蛋白質あ
るいは既知遺伝子の情報は、Entrez Release6データベ
ース(米国National Center for Biotechnology Inform
ation,National Library of Medicine,National Instit
utes of Health、1993年8月15日発行)を利用した。こ
れに含まれる各種データベースは以下の通りである。
Entrez Release6データベース NCBI−GenBank,August 15,1993(Release 78.0) EMBL,July 15,1993(Release 35.0 plus updates) DDBJ,July 15,1993 SWISS−PROT,April,1993(Release 25.0) PIR,June 30,1993(Release 37.0) PDB,April,1993 PRF,May,1993 dbEST,July 15,1993(Release 1.10) U.S.and Europian Patents この結果、AP12の配列(K)DSFLADVKは、ラットのCo
rticosteroid−binding globulin(CBG)precursor[PI
Rデータベース登録番号 A40066;Smith and Hammond;
“Rat corticosteroid−binding globulin:primary str
ucture and messenger ribonucleic acid levels in th
e liver under different physiological conditions."
Mol.Endocrinol.,(198),3,420−426,]の内部配列KDS
FLADVKの完全一致した。
さらによく調べてみると、AP3の配列(K)XYYESZ
((XはA、S、G、M、Qのどれか)、(ZはEまた
はK))と類似性の高いKQYYESE(配列番号193)という
配列が、ラットCBGのアミノ酸配列に含まれていること
が判明した。これらのAP12、AP3に相当する配列はラッ
トCBGでは連続しており、KDSFLADVKQYYESE(配列番号19
0)という内部アミノ酸配列に相当する。
しかしながら、AP12、AP3以外のフラグメントのアミ
ノ酸配列に関しては、類似性を考慮すべき既知の蛋白質
や遺伝子は見つからなかった。
<実施例3> 血小板減少症ラット血漿由来TPOの生物学的特性分析 (1) ラットCFU−MKアッセイ系(液体培養系)にお
いて 代表例として、血小板減少症ラット血漿からのTPO部
分精製標品(実施例1−2の(8)に記載したYMC Pack
Protein−RPカラムTPO活性画分F2)を用いた場合の用
量反応曲線を図5に示した。培養を経時的に顕微鏡下で
観察したところ、日を追って巨核球の分化、成熟の進
行、即ち細胞サイズの増大が認めら8れ、おそらく、細
胞の増加も起こっていることと思われた。特に顕著な変
化として、培養最終日の4日目に数多くの巨核球による
突起形成が認められた(培養3日目ではほとんど認めら
れない)。この突起形成は、cytoplasmic process form
ation(LevenとYee、Blood、69巻、1046−1052頁、(19
87))、あるいは、prolatelet process formation(To
ppら、Blood7、76巻、912−924頁、(1990))などと呼
ばれ、巨核球からさらに分化の進んだ血小板の前駆構造
体であり、現在までのところin vitroで観察できる巨核
球分化の最終形態と考えられている。TPO標品単独でこ
のような形態変化が高い頻度で認められたことから、本
因子は単独でCFU−MKの増殖・分化を促進し、成熟巨核
球を生成させ、さらに最終的に血小板産生まで進行させ
る可能性が考えられる。
(2) コロニーアッセイ系において 血小板減少症ラット血漿からのTPO部分精製標品につ
いて、ラットの非分離骨髄細胞、分離・濃縮各段階の細
胞、あるいはGp II b/III a+CFU−MK画分を用いたコロ
ニーアッセイ系で検定したところ、ラット血漿由来のTP
Oは、巨核球コロニーを形成させた。TPOによって形成さ
れる巨核球コロニーと他の既知サイトカイン、即ち、ラ
ットIL−3、マウスGM−CSF、あるいはヒトEPOによって
形成される巨核球コロニーを比較すると、TPOによって
形成される巨核球コロニーには、個々のコロニーを構成
する巨核球数は少ないが、各々の巨核球のサイズが大き
い、即ち成熟度が進んでいるという特徴がある。さら
に、北の細胞系統のコロニーはほとんど形成されず、TP
Oが示すMeg−CSF活性は巨核球特異的な活性と考えられ
る。これらのことから、TPOは、本コロニーアッセイ系
においてMeg−CSF活性を発揮する他の既知サイトカイ
ン、即ち、ラットIL−3、マウスGM−CSF、あるいはヒ
トEPOとは、生物学的特性を異にし、ユニークなMeg−CS
F活性を発揮することが明白となった。
ヒト骨髄細胞、あるいはヒト臍帯血細胞由来のCD34+D
R+細胞画分に対しても血小板減少症ラット血漿からのTP
O部分精製標品はMeg−CSF活性を示し、有意な数のヒト
巨核球コロニーを形成させた。このことは本因子に種特
異性のないことを示している。
<実施例4> ラットTPO産生細胞の特定化 (1) ラットTPO産生臓器の探索 まず、ラットTPOの部分アミノ酸配列に基づくラットT
PO遺伝子のクローニング、あるいは発現クローニングの
ためのmRAM供給源を確保する目的で、ラットTPO産生臓
器の探索、特定化を行った。当初、P55抗体投与により
血小板減少症にしたラットから経時的に骨髄、肺、肝
臓、脾臓を摘出し、その細胞(肺、肝臓の場合は臓器切
片)の培養上清を採取し、ラットCFU−MKアッセイ系に
て上清中の活性を評価したが、明確な結果は得られなか
った。続いて、ラットにおける肝臓とTPO産生との関連
性を示す示唆する報告(Siemensmaら、J.Lab.Clin.Me
d.、86巻、817−833頁、(1975))を考慮して、P55抗
体投与により血小板減少症にしたラットの肝臓からコラ
ゲナーゼかん流法にて調製した肝細胞を培養し、その上
清からWGA−Agaroseカラムに吸着した画分をVydac phen
yl逆相カラムに展開したとろ、ラットCFU−MKアッセイ
系にてラット血漿由来TPO活性と同じ位置に極めて類似
した活性が認められた。正常ラット肝細胞の培養上清か
らも弱いながらも活性が認められた。これらの結果か
ら、肝臓がTPO産生臓器の1つである可能性が強く示唆
された。
(2) ラットTPO産生細胞株のスクリーニング 上記の結果を基に、ラットTPO産生細胞株のスクリー
ニングを行った。まず、20種類のラット肝臓由来細胞株
をそれぞれ継代培養用の培養液中でほぼコンフルエント
になるまで培養した後、培養液に含まれる血清を5%FC
Sに同一したそれぞれの培養液で置換して、さらに3日
間培養を継続し、それぞれの培養上清を採取した。その
上清を(1)に記した方法で部分精製して、TPO産生の
有無を調べたところ、3種類のラット肝実質細胞由来細
胞株、即ち、McA−RH8994細胞(ATCC寄託番号CRL1602、
Beckerら、“Oncodevelopmental Gene Expression"ed.b
y Fishman and Sell、Academic Press、NY、259−270
頁、(1976)、大日本製薬より購入)、HF−II−E細胞
(ATCC寄託番号CRL1548、Pitotら、Nat.Cancer Inst.Mo
nogr.、13巻、229−245頁、(1964)、大日本製薬より
購入)、およびHTC細胞(Thompsonら、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA、56巻、296−303頁、(1966)、大日本製薬よ
り購入)から明らかにTPO活性の産生が確認された。
(3) McA−RH8994細胞、H4−II−E細胞、およびHTC
細胞が産生するTPO活性の詳細な分析 これらの3種類のラット細胞株から分泌されるTPO活
性と平行して精製を進めていたラット血漿由来のTPO活
性を、生化学性質と生物学的性質の両面からさらに詳細
に比較検討した。
McA−RH8994細胞を10%FCSを含むalpha−MEM(−)培
養液に浮遊させて、底面積175cm2の組織培養用培養プラ
スティックフラスコに1×106個/フラスコになるよう
に入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で3日間培養し
た後、5%FCSを含むIMDM培養液に置き換え、さらに3
日間培養し、上清を回収した。H4−II−E細胞を10%FC
Sを含むDulbecco改変Eagle培養液(グルコース4.5g/l含
有)(以下、DMEM培養液)に浮遊させて、底面積175cm2
の組織培養用プラスティックフラスコに5×105個/フ
ラスコになるように入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37
℃で3日間培養した後、5%FCSを含むIMDM培養液に置
き換え、さらに3日間培養し、上清を回収した、また、
HTC細胞を5%FCSを含むDMEM培養液に浮遊させて、底面
積175cm2の組織培養用プラスティックフラスコに2.5×1
05個/フラスコになるように入れ、5%炭酸ガス培養器
中にて37℃で3日間培養した後、5%FCSを含むIMDM培
養液に置き換え、さらに3日間培養し、上清を回収し
た。
このようにして得た3種類の細胞株の培養上清それぞ
れ2リットルから、実施例1−2に記載したXRPからのT
POの精製法に従って、細胞株由来TPOの部分精製を行っ
た。以下に概略を述べる。
まず、限外濾過器により培養上清を約6倍に濃縮した
後、Sephadex G−25カラムで20mM Tris−HCl(pH8.0)
にバッファー交換した。溶出液をQ−Sepharose FFカラ
ムに添加し、20mM Tris−HCl(pH8.0)で洗滌後、吸着
画分を175mM NaClを含む20mM Tris−HCl(pH8.0)で溶
出した。この画分をWGA−Agaroseカラムに添加し、PBS
で洗った後、吸着画分を0.2M GlcNAcと0.15M NaClを含
む20mM Na Phoshate(pH7.2)により溶出した。この溶
出液をTSP−gel AF−BLUE 650MHカラムに添加し、1M Na
Clを含む20mM Na Phosphate(pH7.2)で洗った後、2M N
aSCNにより溶出した、これをPhenyl−Sephrose6FF/LSカ
ラムに添加し、1.5M硫酸アンモニウム(Ammonium Sulfa
te)を含む50mM Na Phosphate(pH7.2)、次いで0.8M硫
酸アンモニウムを含む36mM Na Phosphateで洗った後、2
0mM Na Phosphate(pH7.2)により溶出した。この吸着
画分を、濃縮後、逆相Yydac Protein C4カラム(The se
parations Group社製 カタログ番号214TP51015;直径1c
m、ベッド高15cm)で分画した。展開溶媒Aに0.1%TF
A、展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プロパノールを用
い、予めカラムを20%Bで平衡化し、サンプルを注入
後、流速1ml/minで20%Bから40%Bまで90分の直線濃
度勾配により溶出した。この結果、どの細胞株由来のTP
O活性も、30%から43%濃度の1−プロパノールで溶出
された。
各精製段階の標品をラットCFU−MKアッセイ系にて活
性測定した結果、3種類の細胞株由来のTPO活性はいず
れもXRP由来のTPO活性と極めて類似した挙動を示した
(実施例1−2を参照)(表2に、ラットCFU−MKアッ
セイ系での各段階における相対比活性、活性収率などを
記載)。さらに、最終段階の逆相カラムからの溶出画分
をラットCFU−MKアッセイ系にて活性測定した結果、3
種類の細胞株由来のTPO活性とXRP由来のTPO活性は同じ
ピーク位置に溶出されていた。この逆相カラムの活性画
分を中心に、ラットGp II b/III a+CFU−MKの分離・濃
縮過程の付着細胞除去段階で得られる非付着性細胞を用
いてコロニーアッセイを行ったところ、いずれもラット
CFU−MKアッセイ系での活性の溶出パターンにほぼ一致
して巨核球コロニーの形成が認められ(表3)、また、
XRP由来のTPO活性と同様に、3種類の細胞株由来の活性
はいずれも専ら巨核球コロニーを形成させ、他の系統の
コロニーはほとんど形成させなかった。
実施例1−2に記載した方法に従って、プールした逆
相カラムの活性画分をSDSポリアクリルアミドゲル電気
泳動に供し、泳動後にゲルから蛋白質を抽出して、ラッ
トCFU−MKアッセイ系にて活性測定したところ、XRP由来
のTPOは見かけの分子量17000〜22000、McA−RH8994細胞
由来のTPOは見かけの分子量33000〜39000、H4−II−E
細胞由来のTPOは見かけの分子量31000〜38000、HTC細胞
由来のTPOは見かけの分子量17000〜22000、および分子
量28000〜35000を有していた。
以上のように、McA−RH8994細胞、H4−II−E細胞、
およびHTC細胞が産生するTPO活性は、XRP由来のTPOと比
べて、見かけ上の分子量の点で生化学的性質を若干異に
するものの、生物学的性質において同等であることが明
らかとなった。本発明において、ここで特筆すべきこと
は、血液中に存在するTPO活性を持つ分子が、産生細胞
において、あるいは産生細胞から分泌後に、分子内に特
定な、あるいは不特定な位置で切断されたものである可
能性を示唆する。また、TPO遺伝子(mRNAやcDNA)にお
いても様々な長さのものが存在する可能性をも示したも
のである。
<実施例5> cDNAライブラリー作製用発現ベクター(pEF18S)の構築 ベクターへのcDNA断片の組み込みが容易で、クローニ
ングしたcDNAの発現効率が高いベクターを作製し、TPOc
DNAのクローニングと発現に備えた。すなわち、発現効
率が高いプロモーターとして知られるエロンゲーション
ファクター1α(EF1α)のプロモーターを、扱いやす
い発現ベクターpME18SのSRαプロモーターと入れ替え、
発現ベクターpEF18Sを構築した(図6参照)。エロンゲ
ーションファクター1αのプロモーターは発現ベクター
pEF−BOS(Mizushimaら、Nucleic Acids Res.、18、532
2、1990)1μgを制限酵素Hind IIIとEcoR Iで部分的
に消化した後、2%アガロースゲル(FMC BioProducts
社製)を用いた電気泳動にかけ、約1200bpのDNA断片を
分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオ
ラッド社製;Willisら、Bio Techniques、、92−99、1
990の方法にもとづいたもので、多孔性シリカベースの
マトリックスを利用した吸着により選択的にDNAを精製
するキット)を用いて精製した。このDNA断片100ngを同
様にHing IIIとEcoR Iで消化した50ngの発現ベクターpM
E18S(Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90、8957−896
1、1993)につなぎこんだ。宿主菌にはコンピテント・
ハイE.coli DH5(東洋紡績社製;Hanahanら、J.Mol.Bio
l.、166、557−580、1983の方法の変法により作製した
コンピテントな宿主菌)を用い、得られたコロニー12個
をランダムに選びプラスミドDNAを精製し、それらDNAの
制限酵素での消化パターンにより目的のプラスミド(pE
F18S)を含む10クローンの中から1個を選択し、大量に
プラスミドDNAを調製した。
プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning
[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。すな
わち、上記のようにして得られたクローンpME18Sを50μ
g/mlのAmpicilinを含む50mlのLB培地(1%Bacto−tryp
tone、0.5%Bactoyeast extract、0.5%NaCl)で一夜培
養した後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−lysozy
me(25mM Tris・Cl(pH8)、10mM EDTA、50mM Glucos
e、0.5%lysozyme)溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaOH/1%
SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M potassium/5M
acetate溶液を6ml加えてよく懸濁した後遠心し、上清
を得る。上清はフェノール−クロロホルム(1:1)処理
後、等量のイソプロパノールを加えて遠心し、ペレット
を得た。ペレットはTE溶液(10mMトリス−塩酸(pH7.
5)、1mM EDTA)に溶解後、RNase処理、フェノール−ク
ロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行な
う。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリエチレ
ングリコール3000をそれぞれ0.63M、7.5%になるように
加えて遠心する。最後に、ペレットはTE溶液に溶解後エ
タノール沈殿を行なう。これにより約300μgのプラス
ミドDNAを得た。このDNA100μgを制限酵素EcoR Iおよ
びNot Iで完全に消化後、0.8%のアガロースゲル(FMC
BioProducts社製)で泳動し、ベクター断片を回収後プ
レップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社
製)で精製しおよそ55μgのプラスミドDNAを得た。こ
のDNAを以下のcDNAライブラリー作製に使用した。
<実施例6> McA−RH8994細胞からのmRNAの精製 実施例4のコロニーアッセイの結果より比較的活性の
高かったMcA−RH8994細胞をラットTPOcDNAクローニング
の材料に選び以下の実験に供した。
全RNAの単離は本質的にMolecular Cloning[Sambrook
ら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]
に記載されているようにして実施した。McA−RH8994細
胞を直径90mmのシャーレ15枚に完全に密に増殖させた
後、シャーレから培養液を除き、1枚のシャーレ当り0.
8mlの5Mグアニジン溶液(5Mグアニジンチオシアナー
ト、5mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)、0.1M β−メル
カプトエタノール、0.5%ザルコシル硫酸ナトリウム)
を加え、よく懸濁した後1本のチューブに混合液を集
め、グアニジン溶液を加えて全量を20mlとした。この細
胞が壊れて粘調になった混合液は、18Gさらに21Gの注射
針を装填した20ml容の注射器を用い、粘性がほとんどな
くなるまでおよそ20回吸入排出を繰り返した。ベックマ
ン社製SW28ローターに合うポリアロマー製の遠心チュー
ブに18mlの5.7M CsCl−0.1M EDTA(pH7.5)をクッショ
ンとして先に加えておき、チューブがほぼ満たされるよ
うに上述の混合液約20mlを層が乱れないように静かに重
層した。このようにして調製された遠心チューブを20℃
で25000r.p.m.、20時間遠心した後、得られたペレット
を少量の80%エタノールを用いて2回洗浄した。ペルッ
トはTE溶液に溶解せしめ、フェノール−クロロホルム
(1:1)にて抽出後、1/10量の3M酢酸ナトリウムと2.5倍
量のエタノールを加えてエタノール沈殿を行い全RNAを
得た(約108個の細胞より全RNA約2.5mgを得た)。
全RNAからのポリ(A)+RNAの精製はOligotexTX−dT3
0(Super)(日本合成ゴム/日本ロッシュ社製;ラテッ
クス粒子の表面にオリゴdTが共有結合で固定してあり、
ポリ(A)+RNA精製に使われるオリゴdTカラムと同様に
ポリ(A)+RNAの精製ができる)を用いて行った。全RN
A約500μgより20μgのポリ(A)+RNAを得た。
<実施例7> ラットcDNAライブラリーの構築 実施例6で得られた5μgのポリ(A)+RNAからTime
SaverTM cDNA Synthesis Kit(Phamacia社製;Okayama−
Berg法:Mol.Cell.Biol.、、161−170、1982、の変法
によるcDNA合成法のキット)およびDIRECTIONAL CLONIN
G TOOLBOX(Pharmacia社製;Not I配列を含むcDNA合成の
ためのプライマー:5′−AACTGGAAGAATTCGCGGCCGCAGGAA
(T)18−3′(配列番号15)並びにEcoR I配列付加用
アダプター:5′−AATTCGGCACGAG−3′(配列番号16)
および5′−CTCGTGCCG−3′(配列番号17)のセッ
ト)を用いて、5′端にEcoR I、3′端にNot I認識部
位を持つ2本鎖cDNAを合成した。合成したcDNAは1.2μ
gの予めEcoR IおよびNot Iで処理した発現ベクターpEF
18S(実施例5参照)と連結させ、8.4mlのコンピテント
・ハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。そ
の結果、5.3×105個の形質転換体が得られた。
<実施例8> PCR法によるラットTPOcDNA断片の取得(クローニング) 実施例7で作製したMcA−RH8994cDNAライブラリー53
万クローンを50μg/mlのAmpicilinを含む50mlのLB培地
で一夜培養した後、遠心分離により得た菌体からQIAGEN
−tip100(DIAGEN社製;DNA精製用シリカゲルベースの陰
イオン交換カラム)を用いてMcA−RH8994cDNAライブラ
リープラスミドを精製し、約200μgのプラスミドDNAを
得た。
実施例2に記載のペプチド断片AP8のアミノ酸配列に
対応する2種類のアンチセンスヌクレオチドプライマー
AP8−1R,AP8−2R、及びcDNAライブラリー作製に用いた
図6に示したプラスミドベクターpEF18Sのヒトエロンゲ
ーションファクター1αの第1イントロンに対応するセ
ンスヌクレオチドプライマーEF1α−1,EF1α−2を合成
した。合成にはアプライドバイオシステムズ社製394DNA
/RNAシンセサイザー(β−シアノエチルアミダイト法に
もとづく合成機)を使用し、同社製の合成DNA精製用OPC
カラム(逆相シリカゲルを充填したカラムでトリチル基
を持つ合成DNAを精製するカラム)を用いて精製した。
精製した合成DNAはTE溶液に50μMとなるように溶解
し、使用時まで−20℃に保存した。以下用いる合成オリ
ゴヌクレオチドは全て同様に合成並びに精製して使用し
た。
プライマーAP8−1R,AP8−2Rは、連続した17個のヌク
レオチドからなる混合型プライマーであり、タカハシら
の研究になるようにデオキシイノシンを使用した(Taka
hashi,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82,1931−19
35(1985))。
プライマーEF1 α−1,EF1α−2は、Uetsuki,et al.,
J.Biol.Chem.264,5791−5798(1989)にあるゲノム配列
の1491−1512、1513−1532に相当するヌクレオチド配列
を基にして合成したそれぞれ21、20個のヌクレオチドか
らなるプライマーである。
McA−RH8994cDNAライブラリープラスミド3μgを鋳
型とし、AP8−1R(500pmol)、EF1 α−1(100pmol)
をプライマーとして、GeneAmpTM PCR Reagent Kit with
AmpliTaqTM DNA Polymerase(宝酒造社製;PCR用耐熱性
Taq Iポリメラーゼ、反応バッファー、dNTPのセット)
を用いて、GeneAmpTM PCR System9600(PERKIN−ELMER
社製;PCR用反応機)により100μlの用量でPCR反応(95
℃で2分間加熱後、95℃で1分間の変性条件、40℃で1
分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35回の
反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行
った。増幅されたDNA断片の特異性を上げるために、得
られたPCR反応液1μlを鋳型とし、EF1 α−2(100pm
ol)、AP8−2R(500pmol)をプライマーとして、同様に
100μlの容量でPCR反応(95℃で2分間加熱後、95℃で
1分間の変性条件、45℃で1分間のアニール条件、72℃
で1分間の合成条件で35回の反応を行い、さらに7分間
72℃でインキュベート)を行った。
ここで得られた反応液を、2%アガロースゲル(FMC
BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、このPCR反
応の主要産物である約330dpのDNA断片を分離し、プレッ
プ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を
用いて精製した。このDNA断片をT4DNAリガーゼ(ライフ
テクロロジー社製)を用いてpCRTM II(Invitrogen社
製;PCR産物TAクローニング用ベクター:PCRに使用する耐
熱性ポリメラーゼ末端トランスフェラーゼ活性を有する
ために、PCRで増幅したDNAの3′末端にデオシアデニル
酸を1個付加する性質を利用し、5′−dT突出末端を持
つベクターpCRTM IIにそのままサブクローニングする方
法)ベクターにサブクローンした。任意に選択した28ク
ローンについてQIAGEN−tip100(DIAGEN社製)を使用し
てプラスミドDNAを精製し、これをTaq Dye DeoxyTM Ter
minater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシス
テムズ社製;PCRを利用した、蛍光色素で行なうジデオキ
シ法:Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、74、5463−5
467、1977)を用いて、アプライドバイオシステムズ社
製373ADNAシークエンサー(蛍光シークエンサー)によ
りシークエンスし、各クローンの塩基配列を決定した。
得られたDNA断片の中で、AP8のアミノ酸のN末端側3
個(Ile/Thr/Ser)−Val−ProをAP8−2Rのプライマーに
隣接してコードするものを選択し、全長をシークエンス
したところ、26lbpを有するcDNAを含んでいた。このcDN
A断片の173〜175の塩基配列はメチオニンをコードする
ものでありコーディングのフレームはAP8のアミノ酸の
フレームと一致した。またこの配列の前後はKozakの配
列(Kozak,M.,Cell,44,283−292、1986)に適合するこ
とから翻訳の開始部位と推定され、ラットTPOタンパク
質のN末部分をコードするcDNA断片と考えられた。この
cDNA断片をA1と命名した。ベクターの配列を除いたA1断
片の塩基配列およびそれから演繹されるアミノ酸配列を
配列表(配列番号1)に示した。
<実施例9> PCR法によるラットTPOcDNAのスクリーニング 前述のcDNAライブラリーを約1万クローンづつのプー
ルに分け、50μg/mlのAmpicilinを含む1mlのLB培地中で
一夜培養した後、プラスミド自動分離装置PI−100(倉
敷紡績社製、VER−3.0;アルカリSDS法:Molecular Cuoni
ng[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s、1989]:の変法にもとづくプラスミドDNA自動抽出
機)を用いてプラスミドDNAを抽出した。その1/30量を
鋳型としてフラグメントA1をもとに設計した2種の合成
オリゴヌクレオチド 5′CGAGGGTGTACCTGGGTCCTG3′(配列番号31)(配列
番号1の配列の1−17のセンス配列;CGAGはアダプター
の配列)および 5′CAGAGTTAGTCTTGCGGTGAG3′(配列番号32)(配列
番号1の配列の212−232のアンチセンス配列)をプライ
マーとして合成・精製し、GeneAmpTM PCR Reagent Kit
with AmpliTaqTM DNA Polymerase(宝酒造社製)を用い
て、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)
によりPCR反応(94℃で30秒間の変性条件、66℃で30秒
間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反
応)を行った結果、100プール中3プールに236bpの特異
的バンドが検出された。このうちの1プールを約900ク
ローンづつのプールに分けプラスミドDNAを抽出し、同
様のPCR反応を行ったところ、100プール中3プールにバ
ンドが検出された。さらにこのうちの1プールを40クロ
ーンづつのプールに分け、同様の選別を行なった結果10
0プール中3プールで特異的と考えられるバンドが観察
された。これらのうち1プールを選び50μg/mlのAmpici
linを含むLBプレート(15%アガーを含むLB培地)上に
蒔き、出現した1つ1つのコロニーについてプラスミド
DNAを抽出し同様のPCR反応を行った結果、100クローン
中2クローンで陽性バンドを検出した。
<実施例10> ラットTPOcDNAのシークエンス プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning
[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。実施
例9で最終的に得られた2個のクローンを50μg/mlのAm
picilinを含む50mlのLB培地で一夜培養した後、実施例
6と同様に精製し、最終的に約300μgのプラスミドDNA
を得た。
ここで得られたプラスミドDNAをTaq Dye DeoxyTM Ter
minater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシス
テムズ社製)を用いて、実施例8と同様にシークエンス
し、cDNA全長の塩基配列を決定した。その結果、2個の
クローンの塩基配列は完全に一致し同一のクローンであ
ることが明らかとなった。この中から1クローンを選び
該cDNAを担持したプラスミドクローンをpEF18S−A2αと
命名した。塩基配列およびそれから演繹されるアミノ酸
配列を配列表(配列番号2)に示した。
配列表(配列番号2)に示す配列の特徴は顕著であ
る。172bpの5′非翻訳領域後の配列は、メチオニンに
始まる21個のタンパク質から成る分泌のためのシグナル
配列と推定される、疎水性に富むアミノ酸をコードして
いる。このタンパク質は126個のアミノ酸残基を有し、
停止コドン(TAA)の後に1025ヌクレオチドの3′非翻
訳配列及びポリA尾部の多数のアデニンが続く。このタ
ンパク質中には、実施例2で解析された部分アミノ酸配
列AP8に対応する配列のみが含まれていた(配列番号2
におけるアミノ酸番号1〜12)。N−グリコシル化のた
めの配列部位は存在しない。また、3′非翻訳配列末端
近くの1624〜1629のヌクレオチド配列は、コンセンサス
配列とは異なるが、潜在的ポリアデニル化配列と考えら
れる。
大腸菌DH5に担持されたベクターpEF18S−A2αは1994
年2月14日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術
研究所に受託番号FERM BP−4565として寄託した。
<実施例11> ラットTPOcDNAのCOS1細胞での発現及びTPO活性の確認 プラスミドpEF18S−A2αのCOS1細胞へのトランスフェ
クションは、クロロキン処理を含むDEAEP−デキストラ
ン法(Sompayracら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78巻、75
75−7578頁、(1981);Luthmanら、Nucl.Acids Res.、1
1巻、1295−1308頁、(1983))に若干の改変を加えた
以下の方法に従い実施した。10%FCSを含むDMEM培養液
に浮遊させたCOS1細胞(ATCC CRL1650)を直径100nmの
組織培養用プラスティックシャーレに入れ、5%炭酸ガ
ス培養器中にて37℃で約40%コンフルエントになるまで
培養した。一方、500μg/mlのDEAE−デキストラン(フ
ァルマシア社)、80μMのクロロキン(シグマ社)、8
%(v/v)のHBS(21mM HEPES−145mM NaCl、pH7.1)及
び9%(v/v)のNu−Serum(コラボレイティブ社)を含
む4mlのDMEM培養液に30μlのHBSに溶解したプラスミド
pEF18S−A2α(10μg)を混和し、トランスフェクショ
ン直前にDMEM培養液で2度洗浄した上記のCOS1細胞に添
加した後、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で5時間培養
した。その後、培養上清を吸引除去しDMEM培養液でシャ
ーレを2度洗浄した後、10%FCSを含むDMEM培養液を15m
l加え、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で3日ないしは
5日間培養し、培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して十分に透析
後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、
プラスミドpEF18S−A2αをトランスフェクションして発
現させたCOS1細胞の培養上清中に用量依存的にTPO活性
が認められ(図7)、また、ラットTPOの場合と同様に
培養4日目に多数のcytoplasmic process formation形
成が認められた。一方、インサートを含まないプラスミ
ドpEF18SをトランスフェクションしたCSO1細胞培養上清
ではTPO活性は検出されなかった(図7)。また、M−0
7eアッセイe系においても、プラスミドpEF18S−A2αを
トランスフェクションして発現させたCOS1細胞の培養上
清中に用量依存的にM−07e細胞増殖促進活性が認めら
れ、インサートを含まないプラスミドpEF18Sをトランス
フェクションしたCOS1細胞培養上清では活性が認められ
なかった。これらの結果から、pEF18S−A2αがTPO活性
を有するタンパク質をコードする遺伝子を担持している
ことが確認された。
次に、このTPO活性のin vivo血小板増加作用を調べる
ため、部分精製品を調製した。調製過程でのTPO活性測
定には、ラットCFU−MKアッセイ系を用いた。まず、プ
ラスミドpEF18S−A2αをトランスフェクションしたCOS1
細胞を、0.2mgのBSAを含む無血清培養液で3日間培養
し、約5.8Lの無血清培養上清を得た。その無血清培養上
清に、p−APMSFを最終濃度1mM加え、0.22μmの濾過フ
ィルターで通過する濾液をとった。この体積5793ml(蛋
白質濃度0.229mg/ml、総蛋白質量1326mg、相対活性100
0、総活性量1326080)に対し1000ml当り0.85molesのNaC
l(合計288g)を加え、最終濃度0.822M NaCl,5849mlの
溶液とした後、1M NaCl,20mM Na Phoshate pH7.2で予め
平衡化してあったTSK−gel AF−BLUE650MHカラム(トー
ソー社製、カタログ番号08705;直径5cm、ベッド高6cm)
に、流速7ml/minで添加した。添加終了後、20mM Na Pho
sphate,1M NaCl,pH7.2で溶出される素通り(約7900ml)
を集め、これを限外濾過ユニット(フィルトロン社・オ
メガウルトラセット 分子量8000カット)で濃縮し、素
通り画分F1(460ml,蛋白質濃度2.11mg/ml,総蛋白質量97
3mg,相対活性16.3)を得た。次に、溶出液を2M NaSCNに
かえ、溶出されたTSK−gel AF−BLUE650MH吸着TPO活性
画分F2(2840ml)を限外濾過ユニット(アミコン社製;Y
M3膜、直径76mm)を用いて、6.81mlまで濃縮した。この
TPO活性画分F2の総蛋白質量は、12.5mg、このステップ
でのF2の蛋白質収量は0.62%であった。また、TPOの相
対活性は、240であった。次に、HiLoad26/20Superdex20
0pg(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17
−1071−01;直径2.6cm、ベッド高60cm)カラムに注入
し、流速1ml/minで、50mMのNaClを含む20mM Na Acetat
e,pH5.5で展開した。展開開始後に溶出した194mlから26
0mlまでの範囲の画分にTPO活性が確認できた。そこで、
これをまとめて、Superdex200pgのTPO活性画分F2(66m
l,蛋白質濃度0.112mg/ml,総蛋白質量7.41mg,相対活性14
2860、総活性量1058600)とした。次に、展開溶媒A(2
0mM Na Acetate,pH5.5)および展開溶媒B(500mMのNaC
uの含む20mM Na Phophate,pH7.2)を用意し、100%Aで
平衡化した強陽イオン交換カラムのRESOURCE S(ファル
マシア バイオテク社製、カタログ番号17−1178−01;
直径0.64cm、ベッド高3cm)カラムに、流速1ml/minで、
注入した。次いで、流速0.3ml/minで、40分かけて100%
Aから100%Bまでの直線濃度勾配にて展開した。アッ
セイの結果、広い範囲(5%Bから32%Bの範囲)にTP
O活性が溶出されていることが分かった。このTPO活性画
分をまとめて、限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3
膜、直径25mm)で濃縮し、RESOURCE SのTPO活性画分F2
(1.65ml,蛋白質濃度4.74mg/ml,総蛋白質量7.82mg,相対
活性71400、総活性量558600)を得ることができた。
得られた標品は純粋なTPO標品ではなかったが、ラッ
トCFU−MKアッセイ系において、十分に高い活性が確認
されたので、マウスへの投与実験を実施した。即ち、投
与前日に血小板数を測定しておいたICR系マウス(9週
例;♂)の皮下へ、TPO部分精製品(474μg(100μ
l)/マウス/日)、対照としてBSA(200μg(100μ
l)/マウス/日)、あるいは対照としてTPO部分精製
品が溶解されている緩衝液と同じ組成の緩衝液(100μl
/マウス/日)を5日間連日投与し、6日目に心臓より
採血して血小板数を測定した(F800;東亜医用電子)。T
PO部分精製品投与マウスでは投与前に比べて平均して約
2.14倍の血小板数の増加を認めた。また、投与群の間で
比較すると、TPO部分精製品投与マウスでは、BSA投与マ
ウスに比べて約1.74倍、あるいは緩衝液のみを投与した
マウスに比べて約1.90倍の血小板数の増加を認めた。こ
の結果から、TPOが生体内において血小板増加作用を有
することが明らかとなった。なお、TPO部分精製品投与
マウスにおいて、マウスの急性期蛋白質の1種であるim
munosuppresive acidic protein(IAP)の増加が認めら
れなかったことから、TPOは急性期蛋白質の誘導に関し
てIL−6やIL−11とは性格を異にすることが強く示唆さ
れた。
<実施例12> ラット各種組織でのTPOmRNAの検出 ラットTPOmRNAがラット体内においてどの組織で発現
しているかを確認するために、ラットの各種組織よりRN
Aを抽出した。実施例1に記載されているものと同様に
X線照射を行なった11日目ないし14日目のラット6匹よ
り各種組織(脳、胸腺、肺、肝臓、心臓、脾臓、小腸、
腎臓、精巣および骨髄細胞)を摘出し速やかに液体窒素
で凍結した。全RNAの抽出にはRNA単離用試薬ISOGEN(和
光純薬)を使用した。凍結した組織の重量に応じた量の
ISOGEN試薬を加え、ホモジナイザー(ヒスコトロン:日
音医理科器械製作所;NS−60)により、組織が完全に破
砕されるまで(およそ10000RPMで45〜60秒)処理した
後、全RNA抽出操作を行なった(ChomczynskiらのAcid G
uanidium Phenol Chroloform法にもとづく抽出法:Anal.
Biochem.、162:156:159、1987を参照)。その結果、そ
れぞれの組織より1.1mg〜5.6mgの全RNAが得られた。
全RNAからポリ(A)+RNAの精製はOligotexTM−dT30
(Super)(日本合成ゴム/日本ロッシュ社製)を用い
て行い全RNA約500μgより20μgのポリ(A)+RNAを得
た。
得られた各種組織のポリ(A)+RNAそれぞれ1μgよ
りランダムプライマーを使用してcDNAの1本鎖目を合成
した。ポリ(A)+RNA1μgを10μlの滅菌水に溶かし7
0℃で15分間加温後急冷し、75pmoleランダムプライマー
(宝酒造社製)、10U RNase inhibitor(ベーリンガー
マンハイム社製)、50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KC
l、3mM MgCl2、200U SuperscriptTM II(ライフテクノ
ロジー社製逆転写酵素)となるようにそれぞれの試薬を
加え(全量20μl)、37℃で1時間保温した。反応液を
70℃で10分間加熱し酵素を失活させた後−20℃で使用時
まで保存した。
実施例10で得られたラットTPOのcDNA配列より新たにP
CR用プライマーを合成した。合成したプライマーの配列
は以下の通り。
合成したcDNA反応液のそれぞれ0.1容を鋳型に用いこ
こで合成したプライマー(rTPO−I、tTPO−N)をそれ
ぞれ1μM使用してPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Rea
gent Kit with AmpliTaqTM DNA Polymerase(宝酒造社
製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−E
LMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で2分
間加熱後、95℃で1分間の変性条件、57℃で1分間のア
ニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行
い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。こ
こで得られた反応液を、2%アガロースゲル(FMC BioP
roducts社製)を用いた電気泳動にかけ増幅されたバン
ドを観察したところ、脳、肝臓、小腸並びに腎臓で特異
的と考えられるバンドが観察された。この結果より、発
現量の多少は判断できないがラットにおいてはこれらの
組織でTPOmRNAが発現していると考えられた。人におい
ても同様な発現様式を示すことが示唆されるが実施例4
の結果と合わせて考えると、肝臓がヒトTPOcDNA取得の
ための出発材料としては適当であると判断された。
<実施例13> ヒト正常肝臓由来cDNAライブラリーの構築 実施例12の結果より、肝臓をヒトTPOcDNAクローニン
グのための材料に選び、市販の正常ヒト肝臓由来ポリ
(A)+RNA(Clontech社製:ChomczynskiらのAcid Guani
dium Phenol Chroloform法にもとづいて抽出したもの)
5μgを用い実施例7と同様にTimeSaverTM cDNA Synth
esis Kit(Pharmacia社製)およびDIRECTIONAL CLONING
TOOLBOX(Pharmacia社製)を使用して、5′端にEcoR
I、3′端にNot I認識部位を持つ2本鎖cDNAを合成し
た。合成したcDNAは1.2μgの予めEcoR IおよびNot Iで
処理した発現ベクターpEF18Sと連結させ、8.4mlのコン
ピテント・ハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換
した。その結果、1.2×106個の形質転換体が得られた。
<実施例14> PCRによるヒトTPOcDNA断片の取得(クローニング) 市販の正常ヒト肝臓由来ポリ(A)+RNA(Clontech社
製)1μgよりランダムプライマーを使用してcDNAの1
本鎖目を合成した。ポリ(A)+RNA1μgを10μlの滅
菌水に溶かし70℃で15分間加温後急冷し、75pmoleラン
ダムプライマー(宝酒造社製)、10U RNase Inhibitor
(ベーリンガーマンハイム社製)、50mM Tris−HCl(pH
8.3)、75mM KCl、3mM MgCl2、200U SuperScriptTM II
(ライフテクノロジー社製)となるようにそれぞれの試
薬を加え(全量20μl)、37℃で1時間保温した。反応
液を70℃で10分間加熱し酵素を失活させた後−20℃で使
用時まで保存した。
ラットTPOcDNA配列(配列番号2)よりPCR用プライマ
ーを合成した。プライマーの配列は以下の通り。
合成したcDNA反応液の0.1容を鋳型に用いここで合成
したプライマー(rTPO−AIN、rTPO−N)をそれぞれ1
μM使用してPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent K
it with AmpliTaqTM DNA Polymerase(宝酒造社製)を
用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社
製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で2分間加熱
後、95℃で1分間の変性条件、40℃で1分間のアニール
条件、72℃で1分間の合成条件で35回の反応を行い、さ
らに7分間72℃でインキュベート)を行った。
ここで得られた反応液を、2%アガロースゲル(FMC
BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、このPCR反
応の主要産物である約620bpのDNA断片を分離し、プレッ
プ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を
用いて精製した。この精製したDNA断片をTaq Dye Deoxy
TM Teraminater Cycle sequening Kit(アプライドバイ
オシステム社製)を用いて、アプライドバイオシステム
ズ社製373ADNAシークエンサーにより直接シークエンス
しヌクレオチド配列を決定した。プライマー部分を除く
塩基配列およびそれから演繹されるアミノ酸配列を配列
表(配列番号3)に示した。
このDNA断片はプライマー配列を除くと580bpの長さを
有し、ラットcDNA塩基配列との比較を行なった結果、86
%の相同性を持つことが明かとなり、ヒトTPOcDNAの一
部をコードするDNA断片であると考えられた。
<実施例15> PCR法によるヒトTPOcDNAのスクリーニング 配列番号3をもとにヒトTPOに対応するPCR用プライマ
ーを合成した。配列は以下の通り。
hTPO−I:5′−TTGTGACCTCCGAGTCCTCAG−3′(配列番
号37)(配列番号3の60−80) hTPO−J:5′−TGACGCAGAGGGTGGACCCTC−3′(配列番
号38)(配列番号3の479−499に対応するアンチセン
ス) 実施例13において構築したヒトcDNAライブラリーを増
幅し約10万個のクローンを1個の集団とするプールに分
割し、50μg/mlのAmpicilinを含む1mlのLB培地中で一夜
培養した後、プラスミド自動分離装置PI−100(倉敷紡
績社製、VER−3.0)を用いてプラスミドDNAを抽出し
た。抽出したDNAはTE溶液に溶解した。
抽出したDNAの5%を鋳型として使用し、合成したプ
ライマー(hTPO−I、hTPO−J)をそれぞれ1μM使っ
てPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with Am
pliTaqTM DNA Ploymerase(宝酒造社製)を用いて、Gen
eAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により2
0μlの容量でPCR反応(95℃で1分間の変性条件、59℃
で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35
回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)
を行った結果、90プール中3プールで特異的と考えられ
るバンドが検出された。これらのうち1プールを選び、
約5000クローンづつのプールに分け90プールよりプラス
ミドDNAを精製し、再度同一の条件でPCRを実施した。そ
の結果、5個のプールでバンドが検出された。これらよ
り1プールを選択し250個のクローンを2プールとする
サブプールに分け、90プールについてプラスミドDNAを
抽出した。これらについて同様にPCRを行なった処、3
個のプールでバンドが観察された。これらより1プール
を選択し30個のクローンを1プールとしてサブプールを
作り、90プールからプラスミドDNAを精製しPCRを実施し
た結果3個のプールでバンドが観察された。これらのう
ち1プールを選び50μg/mlのAmpicilinを含むLBプレー
ト上にまき、90個のコロニーについて同様にプラスミド
DNAを抽出しPCRによる確認を行なった結果、最終的にク
ローンHL34を得た。
<実施例16> ヒトTPOcDNAのシークエンス プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning
[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。クロ
ーンHL34を50μg/mlのAmpicilinを含む50mlのLB培地で
一夜培養した後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−
lysozyme溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaOH/1%SDS溶液を
加えてよく懸濁する。さらに3M potassium/5M acetate
溶液を6ml加えてよく懸濁した後遠心し、上清を得る。
上清はフェノール−クロロホルム(1:1)処理後、等量
のイソプロパノールを加えて遠心、ペレットを得た。ペ
レットはTE溶液に溶解後、RNAse処理、フェノール−ク
ロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行な
う。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリエチレ
ングリコール3000をそれぞれ0.63M、7.5%になるように
加えて遠心する。最後に、ペレットはTE溶液に溶解後エ
タノール沈殿を行なう。これにより約300μgのプラス
ミドDNA pEF18S−HL34を得た。
精製したプラスミドDNAについてTaq Dye DeoxyTM Ter
minater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシス
テムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製
373DNAシークエンサーによりシークエンスし、全長のヌ
クレオチド配列を決定した。ヌクレオチド配列およびそ
れから演繹されるアミノ酸配列を配列表(配列番号4)
に示した。ヌクレオチド配列決定に必要なプライマーは
配列番号3の配列をもとに合成したプライマー並びに、
それらのプライマーによるシークエンス反応で解析され
た内部配列をもとに設計した合成プライマーを使用し
た。
その結果、得られたプラスミドクローンpEF18S−HL34
は861塩基対のcDNA断片を含み、実施例2で分析された
ラットTPOの部分アミノ酸配列AP8(配列番号4:アミノ酸
番号1〜12)及びTP2/TP3(配列番号4:アミノ酸番号157
〜162)と相同性の高い配列が確認された。このDNA断片
は、25塩基目から始まるオープンリーディングフレーム
をコードしていると考えられたが、終止コドンは無く
3′端には76塩基からなるポリA尾部様配列を持ってい
た。ポリA尾部様配列直前までの253個のアミノ酸配列
はラットTPOcDNAのもの(配列番号2の147残基のアミノ
酸配列部分)と比較すると84%の相同性を持っておりラ
ットTPOに対応するヒトのcDNAの一部をコードするDNA断
片と考えられた。終止コドンが無く3′端にポリA尾部
様配列を持っていたことから、このクローンは完全なcD
NAを反映するものではなく、cDNAライブララー作製時の
人工産物であることが示唆された。
<実施例17> ヒトTPOcDNAのCOS1細胞での発現及びTPO活性の確認 得られたプラスミドクローンpEF18−HL34のCOS1細胞
へのトランスフェクションは、実施例11に従って行なっ
た。すなわちプラスミドDNA10μgを使用しクロロキン
処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェ
クションを行ない、3日ないし5日後に培養上清を回収
した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して十分に透析
後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、p
EF18S−HL34をトランスフェクションして発現させたCOS
1細胞培養上清では用量依存的にTPO活性が認められ(図
8)、また、培養4日目に多数の巨核球による突起形成
が観察された。一方、インサートを含まない発現プラス
ミドをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清では
活性が認められなかった(図8)。また、M−07eアッ
セイ系においてもpEF18S−HL34をトランスフェクション
して発現させたCOS1細胞培養上清にのみM−07e細胞増
殖促進活性が認められた。これらの結果から、pEF18S−
HL34がTPO活性を有するタンパク質をコードする遺伝子c
DNA断片を担持していることが判明した。また、ヒトTPO
がラットにも作用する(種特異性がない)ことも明らか
となった。
<実施例18> ヒトTPO欠失型cDNAの発現及びTPO活性の確認 実施例15で得られたクローンHL34のヒトTPOcDNAは、
その3′側にポリA尾部様の連続配列を持っていたが、
この配列はラットTPOcDNAには観られず実験上の人工産
物である可能性が示唆された。そこで、このポリA尾部
様配列を欠失させたcDNAを作製し、発現させた蛋白質が
TPOとしての活性を示すか検討した。欠失体の作製にはP
CRを利用した。PCR用プライマーの配列を下記に示す。
それぞれの5′端には制限酵素認識配列を付加してある
(hTPO5にはEcoR I、hTPO3にはNot I並びに2つのスト
ップコドンTAATGAを付加した)。
実施例16で得られたプラスミドクローンpEF18S−HL34
のプラスミドDNA1μgを鋳型として使用し、合成したプ
ライマー(hTPO5、hTPO3)各10μMを使ってPCRを実施
した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DN
A Ploymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR
System 9600(PERKIN−ELMER社製)による100μlの容
量でPCR反応(95℃で1分間の変性条件、65℃で1分間
のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で15回の反応
を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行っ
た。得られた約800bpのバンドを制限酵素EcoR I並びにN
ot Iで消化後精製し、同様に制限酵素処理した発現ベク
ターpEF18Sにサブクローニングした。得られた形質転換
体より約800bpのDNA断片を含むクローンを5個選別しプ
ラスミドDNAを大量調製した(方法は実施例5参照)。
それぞれのプラスミドについては、PCRで増幅した部分
の約800bp全領域に関してヌクレオチド配列の決定を行
ない実施例16で解析したヌクレオチド配列(配列番号4
の1−780)と完全に一致していることを確認した。
このプラスミドクローンをpHT1−231と命名した。大
腸菌DH5に担持されたベクターpHT1−231は1994年2月14
日付で通商産業省工業技術院生命工学技術研究所に受託
番号FERM BP−4564として寄託した。
得られたプラスミドのCOS1細胞での発現は実施例11に
従って行なった。すなわちプラスミドDNA各10μgを使
用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用い
たトランスフェクションを行ない、3日ないし5日後に
培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラッ
トCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pHT1−231
をトランスフェクションして発現させたCOS1細胞培養上
清ではTPO活性が認められ(図9)、また、培養4日目
に多数の巨核球による突起形成が観察された。一方、cD
NAインサートを含まない発現プラスミドをトランスフェ
クションしたCOS1細胞培養上清では活性が認められなか
った(図9)。また。M−07eアッセイ系においてもpHT
1−231をトランスフェクションして発現させたCOS1細胞
培養上清のみM−07e細胞増殖促進活性が認められた。
これらの結果から、pHT1−231に含まれるcDNA断片はPO
活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であること
が明らかとなった。
<実施例19> PCRによるヒトTPOC末側領域のクローニング 実施例15で得られたクローンHL34のヒトTPOcDNAはそ
の3′末端にポリA尾部様配列を持っており、3′部分
は不完全なクローンであることが示唆された。そこで、
PCRにより完全長の3′領域を取得することを試みた。
実施例16で決定した塩基配列よりPCR用5′側プライマ
ーを4種類合成した。
また、3′側プライマーとしてはポリA部分直後から
の増幅を期待して3′端にミックスのヌクレオチドを4
ベース含む以下のプライマーを合成した。また、ミック
ス部分を含まないアンカープライマーも合成した。
実施例14と同様にヒト正常肝臓由来ポリ(A)+RNA
(Clontech社製)1μgによりcDNAの1本鎖目を合成し
た。ただし、プライマーとしてはオリゴdTプライマー
(Pharmacia社製のTimeSaverTM cDNA Synthesis kitに
添付のものを0.5μg)を使用した。cDNA合成の反応液
の0.1容を鋳型として1回目のPCRを実施した。PCRにはG
eneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA Ploym
erase(宝酒造社製)並びに、GeneAmpTM PCR System 96
00(PERKIN−ELMER社製)を用いた。プライマーにはhTP
O−H(20μM)及びhTPO3mix(10μgM)を使用し50μ
lの容量で反応を行なった(96℃2分間の後に、96℃1
分間/48℃1分間/72℃1分間を10サイクル反応し、さら
に72℃7分間)。
1回目の反応液の0.1容を鋳型として2回目のPCRを行
なった。プライマーにはhTPO−K(20μM)及びhTPO3m
ix(10μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった
(96℃2分間の後に、96℃1分間/63℃1分間/72℃1分
間を10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。
2目の反応液の0.1容を鋳型として3回目のPCRを行な
った。プライマーにはhTPO−N(20μM)及びhTPO3mix
(10μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった(96
℃2分間の後に、96℃1分間/63℃1分間/72℃1分間を
10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。
3回目の反応液の0.1容を鋳型として4回目のPCRを行
なった。プライマーにはhTPO−O(20μM)及びhTPO3m
ix(10μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった
(95℃2分間の後に、96℃1分間/63℃1分間/72℃1分
間を10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。
4回目の反応液の0.1容を鋳型として5回目のPCRを行
なった。プライマーにはhTPO−O(20μM)及びhTPO3a
nchor(20μM)を使用し50μlの容量で反応を行なっ
た(96℃2分間の後に、96℃1分間/58℃1分間/72℃1
分間を10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。
ここで得られた反応を、2%アガロースゲル(FMC Bi
oProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、このPCR反応
の主要産物である約600bpのDNA断片を分離し、プレップ
−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用
いて精製した。この精製したDNA断片をTaq Dye DeoxyTM
Terminater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオ
システムズ社製)を用いて、アプライドバイオシステム
ズ社製373ADNAシークエンサーにより直接シークエンス
し塩基配列を決定した。塩基配列およびそれから演繹さ
れるアミノ酸配列を配列表(配列番号5)に示した。
このDNA断片はプライマーhTPO−Oに始まる130個のア
ミノ酸をコードするヌクレオチド配列を持っており、さ
らに3′側に180塩基以上の配列が続いていた(577塩基
目以降は解読できなかった)。このDNA断片にコードさ
れるグリシンに始まる30個のアミノ酸配列は配列番号4
で記載したアミノ酸番号203〜232のアミノ酸配列と一致
した。同時に1番から94番目までの塩基配列も配列番号
4の692〜785のものと一致していた。
実施例17のcDNA断片の解析及び本例のPCR増幅断片の
解析の結果より、配列番号6に記載するように、ヒトTP
Oタンパク質は21残基のシグナル配列を含む353個のアミ
ノ酸からなると推定される。
<実施例20> ヒト正常肝臓由来cDNAライブラリーの再構築 実施例15で得られたクローンHL34は、オープンリーデ
ィングフレームに終止コドンを持たず、その3′末端に
ポリA尾部様配列を持っておりcDNA合成の際の人工産物
であることが考えられたため、新たに市販の正常ヒト肝
臓由来ポリ(A)+RNA(Clontech社製)5μgを用い、
cDNAライブラリーを構築し直した。cDNAの合成にはSupe
rScriptTM Lambda System for cDNA Synthesis and λ
Cloning Kit並びにSuperScriptTM II RNaseH−(ともに
LIFE TECHNOLOGIES社製)を使用した。ポリ(A)+RNA
を熱変性後、Kitに付属のNot I配列付きオリゴdTをプラ
イマーとして含む20μlの反応液(50mM Tris−HCl、pH
8.3/75mM KCl/3mM MgCl2/1mM DTT/1mM dNTP/200U Super
ScriptTM II RNaseH−)に加え、37℃で60分間保温し
た。cDNAの2本鎖目を合成(25mM Tris−HCl、pH8.3、1
00mM KCl、5mM MgCl2、各250μM dNTRs、5mM DTT、40U
E.coli DNA polymerase I、2U E.coli RNaseH、10U E.c
oli DNA ligaseを含む150μlの反応液中で16℃2時間
保温)後、10U t4 DNA polymaraseを加えさらに16℃で
5分間保温した。反応液を65℃で1分間加熱後等量のフ
ェノール−クロロホルムで1回抽出し、SizeSepTM 400
spun column(Pharmacia社製のTimeSaverTM cDNA Synth
esis Kitに付属の低分子量DNA除去用スパンカラム)に
より400bpより小さいcDNAを除いた。このサンプルにEco
R I Adaptor(Pharmacia社製のTimeSaverTM cDNA Synth
esis Kitに付属のもの)を付加後制限酵素Not Iで消化
したものを、再度SizeSepTM 400 spun columnにかけ、
低分子量のDNAを除去した。これによって得られた、
5′端にEcoR I、3′端にNot I認識配列を持つ2本鎖c
DNAはそれぞれ1.3μgであり、予めEcoR IおよびNot I
で処理した発現ベクターpEF18Sと連結させ、9.2mlのコ
ンピテント・ハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転
換した。その結果、得られたヒト肝臓cDNAライブラリー
(hTPO−F1)は1.0×106個の形質転換体を含むものであ
った。
<実施例21> ヒト肝臓cDNAライブラリーhTPO−F1からのTPOcDNAクロ
ーンのスクリーニング 配列表中の配列番号3及び6をもとにヒトTPOcDNAに
対応するPCR用プライマーを合成した。配列は以下の通
り。
実施例20において構築したヒト肝臓cDNAライブラリー
hTPO−F1(1.0×106個)を3つのプール(#1〜3)に
分割し凍結保存した。それぞれのプールよりプラスミド
DNAを調製し、その1%を鋳型として、合成したプライ
マー(hTPO−I及びhTPO−KU)各1μMを用いてPCRを
行なった。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaq
TM DNA Ploymerase(宝酒造社製)を使用して、GeneAmp
TM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により00μ
lの容量でPCR(95℃で1分間の変性条件、59℃で1分
間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35回の反
応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行っ
た結果、#3のプール由来のプラスミドDNAを用いた場
合に予想される大きさのDNAが増幅された。そこで、こ
の#3のプールを15000個のサブプールに分割し、50μg
/mlのAmpicillinを含む1mlのLB培地中で1夜培養した
後、プラスミド自動分離装置PI−100を用いてプラスミ
ドDNAを抽出した。抽出したDNAはTE溶液に溶解し、その
5%を鋳型としてPCRを実施した(使用したプライマ
ー、反応条件は上記と同一である)。その結果、90プー
ル中6プールで予想される大きさのDNAが増幅された。
これらのうち1プールを選択し1000個のクローンを1つ
の集団とするサブプールに分割し、上記と同様にプラス
ミドDNAを調製しPCRを行なったがDNAの増幅は観察され
なかった。一連のPCRで増幅されるDNAの電気泳動上のバ
ンドの濃さは、サブプールを細かくして行くに連れ、薄
くなってきた。そのため、求めるクローンの増殖が良く
ないためプラスミドDNAの回収が悪く、PCRによる増幅が
弱くなり最終的に増幅されなくなったことが考えられ
た。そこで#3のプールに戻り、コロニーハイブリダイ
ゼイションによるスクリーニングを行なうことにした。
#3のプールにより、15cmのLBプレートあたり4100個
のコロニーとなるようにクローンをまき、100枚のプレ
ートを作製した。それぞれのプレートについて1枚づつ
レプリカプレートを作製し、それらのうち片方のプレー
トを37℃でさらに6時間培養してからコロニーを回収し
プラスミドDNAを抽出した。これらのDNAについて上記と
同様のPCRを実施したところ、100プール中1プールで予
想される大きさのバンドの増幅が観察された。そこでこ
のプールのプレートより2枚のレプリカフィルターを作
製した(PALL社製BIODYNETM A TRANSFER MEMBRANEを使
用)。フィルターの変性は10%SDS10分間、0.5N NAOH/
1.5M NaCl10分間、0.5M Tris−HCl(pH8.0)/1.5M NaCl
10分間行ない、30分間風乾燥後80℃の真空オーブン中で
1時間ベーキングした。ベーキングしたフィルターは6
×SSC(20×SSCは11中に175.3g NaCl、88.2gを含みpH7.
0の溶液)/1%SDSで軽く洗浄後、プレハイブリダイゼイ
ションを行なった。反応液の組成は50%ホルムアミド、
5×SSC、5×Denhardt's solution(50×Denhardt's s
olutionは500ml中に5g Ficoll、5g polyvinylpyrrolido
ne、5g bovine serum albumin fraction Vを含む溶
液)、1%SDS、20μg/mlサケ精子DNAを含むもので、30
mlの溶液中で42℃30分間振盪しながら保温した。プレハ
イブリダイゼイションを行なった後、同組成のハイブリ
ダイゼイション溶液30mlと交換後、[α−32P]dCTP
(アマシャム社製)で放射標識したプローブ(プラスミ
ドpEF18S−HL34のEcoR I/BamH I断片:配列番号4の
5′末端から458塩基目までを精製し、ランダムプライ
マー法で標識したもの;Anal.Biochem.、132、6−13、1
983に記載の方法を利用したアマシャム社製キットMagap
rime DNA labelling systemを使用)を加え、42℃で20
時間振盪しながら保温した。フィルターは2×SSC/0.1
%SDS溶液中で42℃30分間洗浄後、さらに0.2×SSC/0.1
%SDS溶液中で42℃30分間洗浄した。フィルターを増強
スクリーン及びX−OMATTMAR5フィルム(イーストマン
コダック社製)により−70℃16時間オートラジオグラフ
ィーを行なった。その結果、陽性と考えられるシグナル
が1個観察された。そこで、もとのプレートよりシグナ
ル周辺のコロニーをかきとり、10cmのLBプレートにまき
なおした。得られたコロニー50個を培養しDNAを調製後
プライマーhTPO−I及びhTPO−KUを用いてPCRを実施し
た(条件等は上記と同一)。その結果、1クローンのみ
予想通りのバンドが増幅された。このクローンをpHTF1
と命名した。
<実施例22> ヒトTPO cDNAクローンpHTF1のシークエンス プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning
[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。クロ
ーンpHTF1を50μg/mlのAmpicillinを含む50mlのLB培地
で一夜培養した後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG
−lysozyme溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaHO/1%SDS溶液
を加えてよく懸濁する。さらに3M potassium/5M acetat
e溶液を6ml加えてよく懸濁した後遠心し、上清を得る。
上清はフェノール−クロロホルム(1:1)処理後、等量
のイソプロパノールを加えて遠心し、ペレットを得た。
ペレットはTE溶液に溶解後、RNAse処理、フェノール−
クロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行
なう。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリエチ
レングリコール3000をそれぞれ0.63M、7.5%になるよう
に加えて遠心する。最後に、ペレットはTE溶液に溶解後
エタノール沈殿を行なう。これにより約300μgのプラ
スミドDNApHTF1を得た。精製したプラスミドDNAについ
てTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit
(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライ
ドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーにより
シークエンスし、全長のヌクレオチド配列を決定した。
ヌクレオチド配列およびそれから演繹されるアミノ酸配
列を配列表(配列番号7)に示した。ヌクレオチド配列
決定に必要なプライマーは配列番号6の配列をもとに合
成したプライマヌクレオチドびに、それらのプライマー
によるシークエンス反応で解析された内部配列をもとに
設計した合成プライマーを使用した。
その結果、得られたクローンpHTF1は1721塩基対のcDN
A断片からなり、実施例2で分析されたアミノ酸配列AP8
(配列番号7:アミノ酸番号1〜12)及びTP2/TP3(配列
番号7:アミノ酸番号157〜162)と相同性の高い配列が確
認された。このDNA断片は、101塩基目までの5′ノンコ
ーディング領域に続く、102〜104塩基目にコードされる
メチオニンに始まり1158〜1160塩基目にコードされるグ
リシンまで続く353個のアミノ酸からなるオープンリー
ディングフレームをコードしていると考えられ、それに
続く停止コドン(TAA)以降の3′ノンコーディング領
域を531塩基と30個のポリA尾部配列を持っていた。こ
のオープンリーディングフレームにコードされると考え
られるタンパク質のアミノ酸配列は配列番号6に記載
の、ヒトTPOの予想されるアミノ酸配列と完全に一致し
た。ヌクレオチド配列は配列番号6の配列より5′側で
77塩基分、3′側のポリA尾部配列直前までの領域で34
7塩基分長いcDNAをコードしていた。またヌクレオチド
配列は、配列番号6と3箇所で異なっていた。異なるヌ
クレオチド配列は配列番号7のA(84塩基目)が配列番
号6ではC、A(740塩基目)がT、G(1198塩基目)
がAであった。2番目の塩基(740塩基目)のみ、タン
パク質のコーディング領域内の変異であったが、スレオ
ニンの3番目のコドンであり、アミノ酸の変換は起こさ
なかった。この塩基配列の置換が何に起因するのかはこ
の時点では明らかでなかったが、得られたクローンpHTF
1の解析より、ヒトTPOタンパク質は21残基のシグナル配
列を含む353個のアミノ酸からなることが確認できた。
シグナル配列を除いたタンパク質の推定分子量は35466
であった。
大腸菌DH5に担持されベクターpHTF1は1994年3月24日
付けで通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に
受託番号FERM BP−4617として寄託した。
<実施例23> ヒトTPOcDNAクローンpHTF1のCOS1細胞での発現及びTPO
活性の確認 得られたクローンpHTF1のCOS1細胞へのトランスフェ
クションは、実施例11に従って行なった。すなわちプラ
スミドDNA10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−
デキストラン法を用いたトランスフェクションを行な
い、3日後に、培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラッ
トCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pHTF1を発
現させたCOS1細胞培養上清では用量依存的にTPO活性が
認められたが、cDANインサートを含まない発現プラスミ
ドをトランスフェクションしたCOS1培養上清では活性が
認められなかった(図10a)。類似の結果は、M−07eア
ッセイ系においても得られ、pHTF1を発現させたCOS1細
胞培養上清中に有意なM−07e細胞増殖促進活性を認め
た(図10b)。
これらの結果から、pHTF1に含まれるcDNAはTPO活性を
有するタンパク質をコードする遺伝子であることが明確
になった。
<実施例24> ヒトTPO染色体DNAのクローニング ヒトTPOcDNAをプローブとしてヒトTPO染色体DNAのク
ローニングを行なった。クローニングに使用したゲノミ
ックライブラリーは東北大学 遺伝子実験施設山本徳男
教授よりいただいた(Sakaiら、J.Biol.Chem.、269,217
3−2182,1994に記載のライブラリーで、ヒト染色体DNA
を制限酵素Sau3A Iによって部分分解したものをStratag
ene社製ファージベクターLambda EMBL3のBamH I部位に
つないで構築したライブラリー)。このライブラリーよ
りヒトTPOcDNAをプローブとしてスクリーニングを実施
したが、用いた手法はすべて本質的にMolecular Clonin
g[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。大腸
菌LE392を宿主菌として、15cmのNZYMプレート(1l中に1
0g NZamine、5g NaCl、5g bacto yeast extract、2g Mg
Cl4 7H2O、15% agarを含むpH7.0のもの)1枚あたり3
万個となるようにファージをまき、18枚のプレートを作
製した。それぞれのプレートより各2枚のレプリカフィ
ルターを作製した(PALL社製BIODYNETM A TRANSFER MEM
BRANEを使用)。フィルターの変性は0.5N NaOH/1.5M Na
Cl 10分間、0.5M Tris−HCl(pH8.0)/1.5M NaCl 10分
間行ない、30分間風乾し80℃の真空オーブン中で1.5時
間ベーキングした。プレハイブリダイゼイションは50%
ホルムアミド、5×SSC、5×Denhardt's solution、1
%SDS、20μg/mlサケ精子DNAを含む500mlの溶液中で42
℃1時間行なった。プローブはヒトTPCcDNA断片(配列
番号7の塩基配列番号178−1025)をPCRで増幅後精製し
たものをRandom Primer DNA labelling kit(宝酒造社
製;Anal.Biochem.、132、6−13、1983に記載のランダ
ムプライマー法を利用したDNA標識キット)を用いて32P
標識したものを用いた。PCRに使用したプライマーの配
列は以下の通り。
ハイブリダイゼイションはプレハイブリダイゼイショ
ンと同じ組成の溶液を500ml使用し、放射標識したプロ
ーブを加え42℃で20時間行なった。フィルターは2×SS
C/0.1%SDS溶液中室温で5分間づつ3回洗浄後、0.1×S
SC/0.1%SDS溶液中で68℃1時間の洗浄を行なったの
ち、増強スクリーン及びX−OMATTM AR 5フィルム(イ
ーストマンコダック社製)により−70℃16時間オートラ
ジオグラフィーを行なった。その結果、13個の陽性シグ
ナルが得られた。もとのプレートより13個の陽性シグナ
ル周辺のプラークを拾い上げ、15cmのNZY Mプレート1
枚あたり1000プラークとなるようにまき直した。それぞ
れのプレートから各2枚のレプリカフィルターを作製
し、上記と同じ条件でハイブリダイゼイションを実施し
た。その結果、13組全てのフィルターで陽性シグナルが
検出された。各プレートより1個づつプラークを単離
し、Molecular Cloningに記載のPlate Lysate法でファ
ージDNAを調製した。13クローンのファージDNAについて
cDNAのコーディング領域を含んでいるかどうかをPCRに
よってチェックした。チェックに使用したプライマーの
配列は以下の通り。
これらのプライマーの組み合わせにてPCRを実施した
ところ、13クローンのうち5クローンはcDNAから予測さ
れるアミノ酸のコーディング領域を全て含んでいると考
えられた。これら5クローンに含まれる染色体DNAの長
さは約20kbpとそろっており、予備的に検討した制限酵
素解析でもほぼ同一のパターンを示した。そこでこれら
のクローンのうち1個(クローンλHGT1)を選択し、So
uthern blot解析を行なった。すなわち、クローンλHGT
1のDNA各1μgを制限酵素EcoR IまたはHind IIIで完全
に消化し、0.8%アガロースゲルで泳動後、PALL社製BIO
DYNETM A TRANSFER MEMBRANEに転写した。フィルターは
30分間風乾後80℃の真空オーブン中で2時間ベーキング
した。プレハイブリダイゼイションは50%ホルムアミ
ド、5×SSC、5×Denhardt's solution、1%SDS、20
μg/mlサケ精子DNAを含む50mlの溶液中で42℃1時間行
なった。プローブはヒトTPOcDNA断片(配列番号7の塩
基配列番号178−1025)をPCRで増幅後精製したものをRa
ndom Primer DNA labelling kit(宝酒造社製)を使用
して32P標識したものを用いた。ハイブリダイゼイショ
ンはプレハイブリダイゼイションと同じ組成の溶液を50
ml使用し、放射標識したプローブを加え42℃で20時間行
なった。フィルターは2×SSC/0.1%SDS溶液中室温で5
分間づつ3回洗浄後、0.1×SSC/0.1%SDS溶液中で68℃
1時間の洗浄を行なったのち、増強スクリーン及びX−
OMATTMAR5フィルム(イーストマンコダック社製)によ
り−70℃16時間オートラジオグラフィーを行なった。そ
の結果、制限酵素Hind IIIで消化した場合に約10kbpの
単一のバンドが観察された。そこで、クローンλHGT1の
DNA10μgを制限酵素Hind III消化後0.8%アガロースゲ
ルで泳動し、10kbpのバンドを切り出して、プレップ−
A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製
し、同様にHind IIで消化したクローニングベクターpUC
13(Pharmacia社製)にサブクローニングした(宿主菌
は東洋紡積社製コンピテント・ハイE.coli DH5を使用し
た)。
得られたクローンのうち、10kbpのHind III断片を含
むクローンを選択しpHGT1と命名した。
ファージクローンλHGT1のおおまかな制限酵素地図を
図11に示す。
<実施例25> ヒトTPO染色体クローンpHGT1のシークエンス pHGT1クローンを培養しプラスミドDNAの精製を行なっ
た。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、C
old Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載
されているようにして実施した。クローンpHGT1を50μg
/mlのAmpicillinを含む50mlのLB培地で一夜培養した
後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−lysozyme溶液
に懸濁し、8mlの0.2N NaOH/1%SDS溶液を加えてよく懸
濁する。さらに3M potassium/5M acetate溶液を6ml加え
てよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清はフェノー
ル−クロロホルム(1:1)処理後、等量のイソプロパノ
ールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレットはTE溶
液に溶解後、RNase処理、フェノール−クロロホルム
(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行なう。ペレッ
トを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリエチレングリコー
ル3000をそれぞれ0.63M、7.5%になるように加えて遠心
する。最後に、ペレットはTE溶液に溶解後エタノール沈
殿を行なう。これにより約300μgのプラスミドDNApHGT
1を得た。
精製したプラスミドDNAについてTaq Dye DeoxyTM Ter
minater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシス
テムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製
373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、cDNAの
ヌクレオチド配列から予想される、タンパク質コーディ
ング領域周辺のヌクレオチド配列を決定した。ヌクレオ
チド配列およびそれから演繹されるアミノ酸配列を配列
表(配列番号8)に示した。ヌクレオチド配列決定に必
要なプライマーは実施例22で使用した、cDNAのヌクレオ
チド配列解析に用いたもの並びに、それらのプライマー
によるシークエンス反応で解析された内部配列をもとに
設計した合成プライマーを使用した。
その結果、プラスミドクローンpHGT1が担持する染色
体DNAは、配列番号6で予想されたアミノ酸のコーディ
ング領域を全て含みその領域に関しては、ヌクレオチド
配列は完全に一致していた。また、アミノ酸をコードす
るエクソンに相当する領域は4つのイントロンによって
分断されており、イントロンの長さは5′側から順に23
1bp、286bp、1932bp、236bpであった。配列番号7に記
載のcDNAヌクレオチド配列とは3箇所で異なっていた
(図11)。異なるヌクレオチド配列は実施例22で記載し
た箇所(配列番号6と7の相違点)と同一であり、配列
番号7のA(84塩基目)がC、A(740塩基目)がT、
G(1198塩基目)がAであった。すなわち、実施例21で
取得したヒトTPOcDNAクローンpHTF1のヌクレオチド配列
は、ヒト染色体のヌクレオチド配列と3箇所で異なるこ
とが明かとなった。そこで、このヌクレオチド配列の変
異が本来の配列を反映するものであるか解析するため
に、スクリーニングで最終的に選択された5個の染色体
DNAクローンのうち、ヌクレオチド配列を決定していな
い残りの4クローンについて、配列の決定を行なった。
配列の解析はMolecular Cloningに記載のPlate Lysate
法で調製したファージDNAを使用した直接ヌクレオチド
配列決定法で行なった。反応には上記3箇所のヌクレオ
チド配列変異点を解析できる位置の実施例22で合成した
シークエンスプライマー並びに、Taq Dye DeoxyTM Term
inater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシステ
ムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製37
3ADNAシークエンサーによりシークエンスした。その結
果、4個全てのクローンで配列番号7の84塩基目がC、
740塩基目がTであり、配列番号7のcDNAとは異なり、
配列番号6のものと一致した。1198塩基目についてはG
のクローンが2個、Aのクローンが2個であった。すな
わち、染色体DNA本来のヌクレオチド配列が2種類ある
ことが明かとなった。この配列の違いが相同染色体に由
来するものか、複数存在する遺伝子に由来するものか
は、現時点では不明である。また、購入したClontech社
製ポリ(A)+RNAがCaucasian由来であるのに対し、染
色体DNAの由来が日本人であることから、ヌクレオチド
配列の変異は人種の違いに起因する可能性も示唆され
る。
大腸菌DH5に担持されたベクターpHGT1は1994年3月24
日付けで通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
に受託番号FERM BP−4616として寄託した。
<実施例26> ヒトTPO染色体DNAのCOS1細胞での発現と活性確認 サブクローニングして得られたプラスミドクローンpH
GT1には、インサート部分に3箇所、ベクター内に1箇
所、合計4箇所のEcoR I認識配列が存在するが、インサ
ート内の一番5′側のEcoR I認識配列とベクター内のEc
oR I認識配列にはさまれる約4.3kbpのDNA断片に、ヒトT
POタンパク質のコーディング領域が全て含まれること
が、ヌクレオチド配列の解析から明らかになった。そこ
で、この断片をEcoR I処理した発現ベクターpEF18Sにつ
なぎ、4個のヒトTPO発現プラスミドpEFHGTE#1−4を
得た(前述の図11)。これらのプラスミドDNAを調製し
発現実験を行なった。プラスミドDNAの精製は本質的にM
olecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor L
aboratory Press(1989)]に記載されているようにし
て実施し、約250μgのプラスミドDNAを得た。
得られたクローンpEFGTE#1−4のCOS1細胞へのトラ
ンスフェクションは、実施例11に従って行なった。すな
わちプラスミドDNA10μgを使用しクロロキン処理を含
むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクション
を行ない、3日後に培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラッ
トCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pEFHGTEを
発現させたCOS1細胞培養上清中に用量依存的にTPO活性
が認められ、一方、DNAインサートを含まない発現プラ
スミドをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清で
は活性が認められなかった。クローン#1〜4のいずれ
でもほぼ同様の結果が得られたが、代表例としてpEFHGT
E#1における結果を図12aに示した。また、M−07eア
ッセイ系においても、pEFHGTEを発現させたCOS1細胞培
養上清にて用量依存的に有意なM−07e細胞増殖促進活
性が認められた。代表例として、pEFHGTE#1における
結果を図12bに示した。
これらの結果より、得られたクローンpEFHGTE#1〜
4が担持するDNAはヒトTPOの機能的染色体DNAであるこ
とが、明らかとなった。
<実施例27> ヒトTPO欠失型DNAの作製、COS1細胞での発現及びTPO活
性の確認 実施例18の結果より、ヒトTPOはそのカルボキシル側
の除去後でさえ生物活性を発現しうることが明かとなっ
たが、その活性発現に必要な領域を解析する目的で、欠
失誘導体の作製並びに発現を行なった。この実施例で、
pHI1−231によってコードされるTPOタンパク質(アミノ
酸1−231)のカルボキシル末端から20、40、60又は68
アミノ酸を欠失したTPO欠失誘導体について、TPO in vi
tro生物活性能を調べた。最も短い誘導体(アミノ酸1
〜163)は、実施例2に記載されるラット血漿TPOのTP 2
/3に対応するアミノ酸配列を依然として含んでいた。
実施例18で得たプラスミドクローンpHT1−231のDNAを
鋳型として用いかつ合成オリゴヌクレオチドをプライマ
ーとして用いてPCRにより欠失プラスミドを作製した。P
CR用に作製したプライマーの配列は以下の通り。
実施例18で得たクローンpHT1−231のプラスミドDNA1
μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO−
5を5′側として使用、hTPO−2、−3、−4、−Sを
3′側として使用)をそれぞれ10μM使ってPCRを実施
した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DN
A Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR
System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容
量でPCR(95℃で1分間の変性条件、66℃で1分間のア
ニール条件、72℃で1分間の合成条件で20回の反応を行
い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。そ
れぞれのPCRで得られたバンドを制限酵素EcoR I及びNot
Iで消化後、1%アガロースゲル(FMC BioProducts社
製)を用いた電気泳動にかけ、それぞれのPCR反応の予
想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−
A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製
し、同様に制限酵素処理した発現ベクターpEF18Sにサブ
クローニングした(宿主菌としては東洋紡績社製コンピ
テント・ハイE.coli DH5を使用)。得られた形質転換体
のうち、それぞれ予想される長さのインサートを含むク
ローンをそれぞれ4個ないし5個づつ選択し、プラスミ
ドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning
[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。一連
の操作によってアミノ酸1−163をコードする欠失誘導
体(pHT1−163#1−5)、アミノ酸1−171をコードす
る欠失誘導体(pHT1−171#1−4)、アミノ酸1−191
をコードする欠失誘導体(pHT1−191#1−4)、アミ
ノ酸1−211をコードする欠失誘導体(pHT1−211#1−
4)のプラスミドDNAを得た。各プラスミドDNAの全長増
幅領域をヌクレオチド配列分析に掛けた結果、配列番号
4に示されるヌクレオチド配列と完全に一致することが
判明した。
得られたそれぞれのクローンのCOS1細胞へのトランス
フェクションは、実施例11に従って行なった。すなわち
プラスミドDNA各10μgを使用しクロロキン処理を含むD
EAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを
行ない、3日後に培養上清を回収した。
培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラットCFU−M
Kアッセイ系で評価した。その結果、pHT1−211、pHT1−
191、pHT1−171、およびpHT1−163を発現させたいずれ
のCOS1細胞培養上清でも用量依存的にTPO活性を認め
た。代表例としてpHT1−211#1、pHT1−191#1、およ
びpHT1−171#2における結果を図13aに、pHT1−163#
2における結果を図13bに示した。類似の結果は、M−0
7eアッセイ系においても得られ、pHT1−211、pHT1−19
1、pHT1−171、およびpHT1−163を発現させたいずれのC
OS1細胞培養上清でも用量依存的に有意なM−07e細胞増
殖促進活性を認めた。代表例として、pHT1−211#1、p
HT1−191#1、pHT1−171#2、およびpHT1−163#2に
おける結果を図14に示した。
これらの結果より、ヒトTPOタンパク質は、163位のSe
rの後のカルボキシル末端側部分を欠失させても、in vi
troにおける生物活性が保持されることが明らかとな
り、163位のSerまでのアミノ末端側部分の中に、ヒトTP
Oの生物活性領域が含まれていることが示唆された。
<実施例28> ヒトTPO C末側欠失体の作製、COS1細胞での発現及び活
性確認 ヒトTPO蛋白質の活性発現に必須な領域の解析を行な
う目的で、実施例27で得られた欠失体よりもさらにC末
端アミノ酸を欠失させた誘導体を作製しCOS1細胞内でTP
O活性を発現しうるかどうか検討した。実施例16で得た
プラスミドクローンpEF18S−HL34をもとに、163番目の
セリンを基準にC末端側から順次アミノ酸を欠失させた
発現プラスミドを構築した。これら欠失プラスミドの構
築にはPCRを利用した。PCR用に作製したプライマーの配
列は、次の通りである。
実施例16で得たクローンpEF18S−HL34のプラスミドDN
A1μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO
−5を5′側として使用、hTPO−150、−151、−153、
−154、−155、−156、−157を3′側として使用)をそ
れぞれ10μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Rea
gent Kit with AmpliTaqTM DNA Polymerase(宝酒造社
製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−E
LMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で1分
間の変性条件、66℃で1分間のアニール条件、72℃で1
分間の合成条件で20回の反応を行い、さらに7分間72℃
でインキュベート)を行った。それぞれのPCRで得られ
たバンドを制限酵素EcoR I及びNot Iで消化後、1%ア
ガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳
動にかけ、それぞれのPCR反応の予想される大きさの主
要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キ
ット(バイオラッド社製)で精製し、同様に制限酵素処
理した発現ベクターpEF18Sにサブクローニングした(宿
主菌としては東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli D
H5を使用)。得られた形質転換体のうち、それぞれ予想
される長さのインサートを含むクローンをそれぞれ3個
ないし5個づつ選択し、プラスミドDNAを調製した。方
法は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Sp
ring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されて
いるようにして実施した。一連の操作によってアミノ酸
番号1−150をコードする欠失体(pHT1−150#21、22、
25)、アミノ酸番号1−151をコードする欠失体(pHT1
−151#16、17、18)、アミノ酸番号1−153をコードす
る欠失体(pHT1−153#1−5)、アミノ酸番号1−154
をコードする欠失体(pHT1−154#1−5)、アミノ酸
番号1−155をコードする欠失体(pHT1−155#1−
5)、アミノ酸番号1−156をコードする欠失体(pHT1
−156#1−5)、アミノ酸番号1−157をコードする欠
失体(pHT1−157#1−5)のプラスミドDNAを得た。
精製したプラスミドDNA pHT1−150#21、22、25並び
にpHT1−151#16、17、18についてはTap Dye DeoxyTM T
erminater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシ
ステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社
製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、全長
にわたり塩基配列の置換がなく、予想通りのTPOcDNA配
列を持つことを確認した。
得られたそれぞれのクローンのCOS1細胞へのトランス
フェクションは、実施例11に従って行なった。すなわち
プラスミドDNA各10μgを使用しクロロキン処理を含むD
EAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを
行ない、3日後に培養上清を回収した。培養上清をIMDM
培養液に対して十分に透析後、M−07eアッセイ系で評
価した。その結果、151位のアミノ酸であるシステイン
を含む、それぞれアミノ酸1−151位、1−153位、1−
154位、1−155位、1−156位、1−157位からなるC末
側欠失誘導体をコードするクローンをトランスフェクシ
ョンしたCOS1細胞培養上清中には用量依存的にTPO活性
が検出された。しかしながら、151個目のシステインま
でを欠失させたアミノ酸1−150位のC末側欠失誘導体
をコードするクローンをトランスフェクションしたCOS1
細胞培養上清中にはTPO活性が検出されなかった。
<実施例29> ヒトTPO N末側欠失体の作製、COS1細胞での発現及び活
性確認 ヒトTPO蛋白質の活性発現に必須な領域の解析を行な
う目的で、実施例28で得られた欠失体をもとに、N末側
アミノ酸を欠失させた誘導体を作製しTPO活性を発現し
うるかどうか検討した。実施例16で得たプラスミドクロ
ーンpEF18S−HL34並びに、実施例27で得たプラスミドク
ローンpHT1−163をもとに、シグナル配列に続くN末端
側アミノ酸を欠失させた発現プラスミドを構築した。構
築にはPCRを利用した。PCR用に作製したプライマーの配
列は、次の通りである。
(1)アミノ酸番号1−12を欠失する誘導体(pHT13−2
31)作製 実施例18で得たクローンpEF18S−HL34のプラスミドDN
A1.4μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hT
PO−13及びhTPO3を組で使用:hTPO−5並びにhTPO−13R
を組で使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。G
eneAmpTM PCR Reagent Kit with AmplitaqTM DNA Polym
erase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System
9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR
反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、
65℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件
で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベー
ト)を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガロースゲ
ル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、
各々予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレ
ップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)
で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。この溶液
各1μlを鋳型として用い2回目のPCRを実施した。
合成したプライマー(hTPO−5並びにhTPO3を使用)
をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR
Reagent Kit with AmplitaqTM DNA Polymerase(宝酒
造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKI
N−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で
5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、60℃で1分間
のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応
を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行っ
た。PCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioProducts
社製)を用いた電気泳動にかけ、予想される大きさの主
要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キ
ット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTEバッフ
ァーに溶解した。制限酵素EcoR I並びにNot Iで消化
後、等量のフェノール/クロロホルムで1回抽出後エタ
ノール沈殿を行なった。遠心で得られた沈殿を15μlの
TEバッファーに溶解後、同様に制限酵素処理した発現ベ
クターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌としては
東洋紡績社製コンピテント・ハイ E.coli DH5を使
用)。得られた形質転換体のうち、予想される長さのイ
ンサートを含むクローンを45個選択し、プラスミドDNA
を調製した。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambr
ookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(198
9)]に記載されているようにして実施した。アミノ酸
番号1−231をコードする蛋白質のうち1−12を欠失す
る欠失誘導体(pHT13−231)のプラスミドDNAを得た。
これらについてhTPO−5並びにhTPO3のプライマーを用
いたPCRを行ない、45クローンのうち8クローンで予想
される大きさ程度のインサートが確認された。それらの
うち3クローンついてはTaq Dye DeoxyTM Terminater C
ycle Sequening Kit(アプライドバイオシステムズ社
製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNA
シークエンサーによりシークエンスし、1クローンで、
予想通りの欠失が起こっており、またその他の部分も含
めて全長にわたりヌクレオチド配列の置換等がなく、設
計通りのTPOcDNA配列を持つクローンpHT13−231#3が
得られた。
(2)アミノ酸番号1−6を欠失する誘導体(pHT7−16
3)の作製 上記(1)の欠失誘導体作製においては、TPO蛋白質
のC末端を231番目のアミノ酸として設計したが、C末
端側はさらに欠失させてもTPO活性を発現しうることが
確認されたため、今回の欠失体作製にあたってはC末端
を163番目のアミノ酸までとして設計した。下記(3)
においても同様に163番目のアミノ酸をC末端として設
計した。実施例27で得たクローンpHT1−163のプラスミ
ドDNA1.4μgを鋳型として使用し、合成したプライマー
(hTPO−7及びhTPO−Sを組で使用:hTPO−5並びにhTP
O−7Rを組で使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施し
た。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA
Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR Sy
stem 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量
でPCR反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性
条件、65℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合
成条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキ
ュベート)を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガロ
ースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動に
かけ、各々予想される大きさの主要なDNA断片を分離
し、プレップ−A−ジーンDNA精製イット(バイオラッ
ド社製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。
この溶液各1μlを鋳型として用い2回目のPCRを実施
した。
合成したプライマー(hTPO−5並びにhTPO−Sを使
用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM
PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA Polymerase
(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600
(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応
(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、60℃
で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30
回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)
を行った。PCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioPro
ducts社製)を用いた電気泳動にかけ、予想される大き
さの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA
精製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTE
バッファーに溶解した。制限酵素EcoR I並びにNot Iで
消化後、等量のフェノール/クロロホルムで1回抽出後
エタノール沈殿を行なった。遠心で得られた沈殿を15μ
lのTEバッファーに溶解後、同様に制限酵素処理した発
現ベクターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌とし
ては東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli DH5を使
用)。得られた形質転換体のうち、予想される長さのイ
ンサートを含むクローンを30個選択し、プラスミドDNA
を調製した。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambr
ookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(198
9)]に記載されているようにして実施した。配列番号
4において、アミノ酸番号1−163をコードする蛋白質
のうち1−6を欠失する欠失誘導体(pHT7−163)のプ
ラスミドDNAを得た。これらのクローンにつてはhTPO5−
並びにhTPO−Sをプライマーとして用いたPCRを実施
し、全てのクローンで予想される大きさ程度のインサー
トを含むことが確認された。これらのクローンより3個
を選択し、Taq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequeni
ng Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、ア
プライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサー
によりシークエンスし、2クローンで、予想通りの欠失
が起こっており、またその他の部分も含めて全長にわた
り塩基配列の置換等がなく、設計通りのTPOcDNA配列を
持つ2個のクローンpHT7−163#4、#29が得られた。
(3)アミノ酸番号1−7を欠失する誘導体(pHT8−16
3)作製 アミノ酸番号1−7を欠失する誘導体(pHT8−163)
の作製方法は上記、アミノ酸番号1−6を欠失する誘導
体(pHT7−163)の作製と本質的には同様の方法で行な
った。実施例27で得たクローンpHT1−163のプラスミドD
NA1.4μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(h
TPO−8及びhTPO−Sを組で使用:hTPO−5並びにhTPO−
8Rを組で使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施し
た。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA
Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR Sy
stem 9600(PERIN−ELMER社製)により100μlの容量で
PCR反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条
件、65℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成
条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュ
ベート)を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガロー
スゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にか
け、各々予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、
プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社
製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。この
溶液各1μlを鋳型として用い2回目のPCRを実施し
た。
合成したプライマー(hTPO−5並びにhTPO−Sを使
用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM
PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA Polymerase
(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600
(PERIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応
(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、60℃
で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30
回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)
を行った。PCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioPro
ducts社製)を用いた電気泳動にかけ、予想される大き
さの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA
精製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTE
バッファーに溶解した。制限酵素EcoR I並びにNot Iで
消化後、等量のフェノール/クロロホルムで1回抽出後
エタノール沈殿を行なった。遠心で得られた沈殿を15μ
lのTEバッファーに溶解後、同様に制限酵素処理した発
現ベクターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌とし
ては東洋紡績社製コンピテント・ハイ E.coli DH5を使
用)。得られた形質転換体のうち、予想される長さのイ
ンサートを含むクローンを30個選択し、プラスミドDNA
を調製した。方法は本質にMolecular Cloning[Sambroo
kら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]
に記載されているようにして実施した。配列番号4にお
いて、アミノ酸番号1−163をコードする蛋白質のうち
1−7を欠失する欠失誘導体(pHT8−163)のプラスミ
ドDNAを得た。これらのクローンについてはhTPO−5並
びにhTPO−Sをプライマーとして用いたPCRを実施し、
全てのクローンで予想される大きさ程度のインサートを
含むことが確認された。これらのクローンより3個を選
択し、Taq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening K
it(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプラ
イドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによ
りシークエンスし、2クローンで、予想通りの欠失が起
こって起こっており、またその他の部分も含めて全長に
わたり塩基配列の置換等がなく、設計通りのTPOcDNA配
列を持つ2個のクローンpHT8−163#33、#48が得られ
た。
(4)欠失誘導体のCOS1細胞での発現とTPO活性の確認 得られたそれぞれの欠失体クローンのCOS1細胞へのト
ランスフェクションは、実施例11に従って行なった。す
なわちプラスミドDNA各10μgを使用しクロロキン処理
を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクシ
ョンを行ない、3日後に培養上清を回収した。培養上清
をIMDM培養液に対して十分に透析後、M−07eアッセイ
系で評価した。
その結果、アミノ酸7−163位の欠失誘導体をコード
するクローンをトランスフェクションしたCOS1細胞培養
上清中に弱いながらも用量依存的にTPO活性を認めた。
一方、アミノ酸8−163位、13−231位の欠失誘導体をコ
ードするクローンをトランスフェクションしたCOS1細胞
培養上清中にはTPO活性が認められなかった。
<実施例30> ヒトTPO完全長cDNAプラスミド(pHTP1)の作製 配列番号6のように予想されたヒトTPOcDNAのアミノ
酸コーディング領域を全て持つ、動物細胞発現ベクター
の構築を行なった。
PCRによりヒトTPOcDNAコーディング領域を全てカバー
するDNA断片を以下の様に作製した。
用いたプライマーのヌクレオチド配列は次の通りであ
る。
実施例16で得られたクローンpEF18S−HL34の300ngを
鋳型として1回目のPCRを行なった。プライマーhTPO−
I並びにSA各0.5μMを用い、Vent RTM DNA polymarese
(New England BioLabs社製)1ユニットを使用して反
応(96℃1分間、62℃1分間、72℃1分間という反応を
30サイクル行なった後72℃7分間)を行なった。反応溶
液の組成は以下の通り。最終濃度で10mM KCl、10mM(NH
42SO4、20mM Tris−HCl(pH8.8)、2mM MgSO4、0.1%
Triton X−100、200μM dNTP mix。
市販のヒト正常肝臓由来ポリ(A)+RNA(Clontech
社製)1μgを70℃で10分間加熱後氷上で急冷し、10mM
DTT、500μM dNTPmix、25ng random primer(宝酒造社
製)、10ユニット RNase Inhibitor(ベーリンガーマ
ンハイム社製)、200ユニット SuperScriptTM II RNas
eH−(LIFE TECHNOLOGIES社製)を加え、37℃で1時間
保温しcDNAを合成した。合成したcDNA反応液の20分の1
量を鋳型として使用して2回目のPCRを行なった。プラ
イマーhTPO−P並びにhTPO−KO各2.5μM、2.5ユニット
のAmpliTaqTM DNA polymerase(宝酒造社製)を用いて
反応(95℃1分間、58℃1分間、72℃1分間の反応を30
サイクル)を行なった。
第1及び第2回のPCR溶液を1%アガロースゲル電気
泳動にかけ、それぞれ予想された大きさの主要なバンド
をプレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド
社製)を用いて精製した。それぞれの精製量のうち各20
分の1量を鋳型として3回目のPCRを実施した。Vent R
TM DNA polymerase(New England BioLabs社製)1ユニ
ットを使用して反応(96℃2分間加熱後、96℃2分間、
72℃2分間、という反応を3サイクル行なった後72℃7
分間)を行なった。この反応液にそれぞれ1μMとなる
ようにhTPO−I並びにhTPO−KOを加えた後、96℃2分間
の加熱を行ない、そののち96℃1分間、62℃1分間、72
℃1分間の反応を25サイクル行なったあと72℃でさらに
7分間反応させた。反応液を等量の水飽和フェノール−
クロロホルムで1回抽出後、さらに等量のクロロホルム
で1回抽出したのち、エタノール沈殿(0.3M酢酸ナトリ
ウム、0.5μlベーリンガーマンハイム社製グリコーゲ
ン、2.5倍量エタノール存在下)を行なってDNAを回収し
た。回収したDNAを制限酵素BamH I並びにNot Iで消化後
1%アガロースゲル電気泳動にかけ、予想された大きさ
の主要なバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キット
(バイオラッド社製)を用いて精製したのち、予め同様
に制限酵素BamH I並びにNot Iで消化したpBluescript I
I SK+ベクター(Stratagene社)に連結後、コンピテン
トハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。得
られたコロニーより4クローンを選びプラスミドDNAを
調製した。精製したプラスミドDNAについてはTaq Dye D
eoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit(アプライド
バイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシス
テムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンス
し、BamH IからNot Iにかけての領域に塩基配列の置換
がなく、予想通りのTPOcDNA配列を持つことが確認でき
たクローンpBLTPを得た。
pBLTPを制限酵素EcoR I並びにBamH Iで消化後1%ア
ガロースゲル電気泳動にかけ、高分子量のバンドをプレ
ップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)
を用いて精製した。同様にpEF18S−HL34も制限酵素処理
し450bpのバンドを精製した。それぞれのDNAをLigation
しコンピテントハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質
転換した。得られたコロニーよりプラスミドDNAを調製
し、ヒトTPOcDNAのインサートを含むクローンpBLTENを
得た。得られたpBLTENを制限酵素EcoR I並びにNot Iで
消化後、1%アガロースゲル電気泳動にかけ、約1200bp
のバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイ
オラッド社製)を用いて精製した後、同様に制限酵素処
理した発現ベクターpEF18Sに連結しコンピテントハイE.
coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。得られたコ
ロニーよりプラスミドDNAを調製し、ヒトTPOcDNAのコー
ディング領域を全て含むクローンpHTP1を得た。このク
ローンのプラスミドDNAを大量に調製し以下の実験に使
用した。プラスミドDNAの調製は本質的にMolecular Clo
ning(Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess、1989)に記載されているようにして実施した。
<実施例31> CHO細胞内でのヒトTPO発現用の哺乳動物発現プラスミ
ド、pDEF202−hTPO−P 1の構築 マウスDHFRミニ遺伝子を含むプラスミドpMG1、1μg
を制限酵素EcoR IとBamH Iで処理した後、アガロースゲ
ル電気泳動しマウスDHFRミニ遺伝子を含む断片(約2.5k
bp)を回収した。回収した断片を50mM Tris−HCl(pH7.
5)、7mM MgCl2、1mM mercaptoethnol、0.2mM dNTPから
なる反応液25μl中に溶解し、Klenowフラグメント2単
位を加え、室温で30分間反応させ、DNAの末端を平滑化
した。次いで、フェノール/クロロホルム処理、エタノ
ール沈殿後、10mM Tri−HCl(pH 8.0)、1mM EDTAから
なるTE溶液10μlに溶解した。
次に、得られたマウスDHFRミニ遺伝子を含む断片と動
物細胞用発現ベクターpEF 18Sを制限酵素Sma Iで処理し
た後、アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)で脱リン
酸化してえられたベクターDNAをT 4DNAリガーゼ(宝酒
造製)で結合させ、発現ベクターpDEF202を得た。
次に、このベクターpDEF202を制限酵素EcoR IとSpe I
で処理し、アガロースゲル電気泳動で大きい方のベクタ
ーフラグメントを回収したのち、このフラグメントとヒ
トTPO cDNA(P1クローン)を含むプラスミドpHTP1を制
限酵素EcoR IとSpe Iで処理して得られたヒトTPO cDNA
(P1クローン)とをT 4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合
させ、発現ベクターpDEF202−pTPO−P1得た。このプラ
スミドはSV40の複製開始領域、ヒトエロンゲーションフ
ァクタ−1−アルファプロモーター、SV40初期ポリアデ
ニル部位、マウスDHFRミニ遺伝子、pUC18の複製開始領
域、β−ラクタマーゼ遺伝子(Ampr)を含み、ヒトエロ
ンゲーションファクタ−1−アルファプロモーター下流
にヒトTPO cDNAが接続されている。
<実施例32> CHO細胞でのヒトTPOの発現 CHO細胞(dhfr−株、UrlaubとChasin;Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA;77巻4216頁、1980)を6cm径のプレート(Fal
con社製)中10%牛胎児血清を含むα最小必須培地(α
−MEM(−)、チミジン、ヒポキサンチン添加)で培養
増殖させ、これをリン酸カルシウム法(CellPhect、フ
ァルマシア社製)によって形質転換した。すなわち、実
施例31で調製したpDEF202−pTPO−P1プラスミド10μg
にバッファーA:120μlおよびH2O:120μlを加え混合し
たのち、室温で10分間放置した。つぎに、この溶液にバ
ッファーB:120μlを加え、再度混合したのち、室温で3
0分間放置した。このDNA溶液をプレートに滴下したの
ち、CO2インキュベーター中で6時間培養した。プレー
トから培地を除去し、α−MEM(−)にて2回洗浄後、1
0%ジメチルスルフォオキシド含有α−MEM(−)を添加
し、室温で2分間処理した。次いで、10%透析牛胎児血
清含有非選択培地(前出α−MEM(−)、ヒポキサンチ
ン、チミジン添加)を添加して2日間培養したのち、10
%透析牛胎児血清含有選択培地(α−MEM(−)、ヒポ
キサンチン、チミジン無添加)での選択をおこなった。
選択は細胞をトリプシン処理した後、6cm径プレート1
枚あたりを、10cm径プレート5枚あるいは24ウエルプレ
ート20枚に分割したのち、2日ごとに選択培地にて培地
交換を行いながら培養を続行する事により実施した。細
胞が増殖してきたプレートあるいはウエルについてはそ
の培養上清中のヒトTPO活性をM−07eアッセイ及びBa/F
3アッセイを用いて測定したところ、いずれのアッセイ
系においても活性が認められた。培養培地中にヒトTPO
を分泌する細胞を、25nMのメソトレキセートを含む選択
培地でさらに選択し、高レベルのヒトTPOを産生する細
胞クローンを単離した。
なお、CHO細胞の形質転換はCHO細胞に対しpHTP1とpMG
1を同時形質転換(co−transfection)することによっ
ても行うことができる。
プラスミドpDEF202−hTPO−P1によって形質転換され
たCHO細胞株(CHO−DUKXB11)は1995年1月31日付で通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号
FERM BP−4988として寄託されている。
<実施例33> X 63.6.5.3.細胞用組換えベクター、BMCGSneo−hTPO−P
1の構築 動物細胞用発現ベクターBMCGSneo1μgを制限酵素Xho
IとNot Iで処理した後、アガロースゲル電気ゲル電気
泳動し、ベクターDNA部分を回収した。次いで得られたD
NA断片とヒトTPO cDNAを含むプラスミドpBLTENを制限酵
素Xho IとNot Iで処理して得られたヒトTPO cDNA(P 1
クローン)とをT 4DNAリガーゼで結合させ、発現プラス
ミドBMCGSneo−hTPO−P1を得た。この発現プラスミドは
サイトメガロウイルス初期プロモーター、ウサギβグロ
ビン遺伝子由来のイントロンおよびポリアデニル部位ヒ
トβグロビン遺伝子の一部、ウシパピローマウイルス1
遺伝子の69%、チミジンキナーゼプロモーターおよびポ
リアデニル部位、ホスホトランスフェラーゼI(ネオマ
イシン耐性遺伝子)、pBR 322の複製開始領域およびβ
−ラクタマーゼ遺伝子(Ampr)を含みサイトメガロウイ
ルスプロモーター下流にヒトTPO cDNAが接続されてい
る。
<実施例34> X 63.6.5.3.細胞での発現 X 63.6.5.3.細胞は10%牛胎児血清を含むDulbecco's
minimal essential(DME)培地中で培養増殖させ、これ
をエレクトロポレーション法によって形質転換した。
すなわち、実施例33で調製したBMCGSneo−pTPO−P1プ
ラスミド20μgを107個の細胞を含むDME培地750μlに
加え、エレクトロポレーション用の4mmギャップのキュ
ベットにセットし、4℃で10分間放置した。このキュベ
ットをエレクトロポレーション装置(BTX 600、BTX社
製)にセットし、380V、25mF、24オングストロームの条
件で遺伝子導入した。遺伝子導入後、キュベットを再び
4℃で15分間放置したのち、細胞を10%牛胎児血清を含
むDMEで一回洗浄した。次に細胞を50mlの10%牛胎児血
清を含むDMEに懸濁し、96ウエルプレート5枚に分割し
たのち、CO2インキュベーター中で2日間培養した。そ
の後、培養液を1mg/mlのG418(GIBCO社)、10%牛胎児
血清を含むDMEに交換し、以後3日ごとに培地交換し
た。細胞が増殖してきたウエルについてはその培養上清
中のヒトTPO活性をCFU−MKアッセイ、M−07eアッセイ
及びBa/F3アッセイを用いて測定したところ、いずれの
アッセイ系においても活性が認められた。培養培地中に
ヒトTPOを分泌する形質転換体を限界希釈法により2回
クローニングし、ヒトTPO産生細胞株を樹立した。
<実施例35> ヒトTPOのCOS1細胞での大量発現 COS1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に記
載のクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法で実施
した。COS1細胞(ATCC CRL1650)をコラーゲンコート処
理した。175cm2の培養フラスコ中で、10%(v/v)のFCS
を含むIMDMを用いて、37℃の5%炭酸ガスインキュベー
ター内で約100%コンフルエントになるまで培養した。
培養フラスコのコラーゲンコート処理は、1mM HClで0.3
mg/mlに調製したコラーゲン溶液(イワキ社製Cellmatri
x typeI−C)を175cm2の培養フラスコあたり25ml加
え、室温で1時間放置後コラーゲン溶液を回収し、20〜
50mlのPBSで1回洗浄することで行なった。トランスフ
ェクションは175cm2の培養フラスコ1枚あたり、250μg
/mlのDEAE−デキストラン(ファルマシア社)、60μM
のクロロキン(シグマ社)、および10%(v/v)のNu−S
erum(コラボレイティブ社)を含む20mlのIMDM溶液に50
0μlのHBSに溶解したプラスミドpHTP1(40μg)を混
和し、トランスフェクション直前にIMDMで1回洗浄した
上記のCOS1細胞に添加した後、37℃の5%炭酸ガスイン
キュベーター内で3時間培養した。その後、培養上清を
吸引除去しIMDMで1回洗浄した後、50mlの無血清培地を
添加し、37℃の5%炭酸ガスインキュベーター内で培養
し、5日後に培養上清を回収した。1回の操作には175c
m2の培養フラスコ100から260枚を使用し、5〜131の培
養上清を回収した。無血清培地の組成は、5μg/ml Ins
ulin(シグマ社製)、5μg/ml Transferrin(シグマ社
製)、10μM monoethanolamine(和光純薬)、25nM Sod
ium selenite(シグマ社製)、200μg/mlのBSA(ニチレ
イ社製脂肪酸フリー高純度ウシアルブミン)を含むIMDM
である。
<実施例36> COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミドpHT
P1,P1クローン由来)の精製と活性確認 COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミドp
HTP1由来)の活性と精製の実施例を以下に述べる。TPO
の血小板増加作用を調べるため、部分精製品をまず調製
し、かつ高純度のTPO標品を得るための精製を行った。
以下の調製過程でのTPO活性測定には、M−07eアッセイ
系を主に用いたが、ラットCFU−MKアッセイ系において
も同様のTPO活性が示された。またこれらのアッセイに
際し、最終濃度0.02〜0.05%のヒト血清アルブミン(HS
A)を標品に添加した。
まず、プラスミドpHTP1を大橋、須藤の方法(Hideya
Ohashi and Tadashi Sudo,Biosci.Biotech.Biochem.,58
(4),758−759,1994)を用いてトランスフェクション
したCOS1細胞を、1000ml当たり0.2gのBSA、5mgの牛イン
シュリン、5mgのヒトトランスフェリンを含みかつ、0.0
2mMのモノエタノールアミン、25nMのSodium Seleniteを
含む無血清IMDM培養液で5日間、5%炭酸ガス培養器中
にて37℃で培養し、約7Lの無血清培養上清を得た。その
無血清培養上清に、蛋白質分解酵素阻害剤であるp−AP
MSF及びPefabloc SC(4−(2−Aminoethyl)−benzen
esulfonyl fluoride hydrochloride,Merk社製、カタロ
グ番号24839)を最終濃度約1mM加え、0.22μmの濾過フ
ィルターの濾液をとった。これを限外濾過ユニット(フ
ィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子量8000カ
ット、またはミリポア社製・PLGCペリコンカセット 分
子量10000カット)で約10倍濃縮し、体積723ml(蛋白質
濃度3.38mg/ml、総蛋白質量2445mg、相対活性43000、総
活性量105100000)に対し1000ml当り1.6molesのAmmoniu
m Sulfate(合計288g)を加え、最終濃度1.5M Ammonium
sulfateを含む804mlの溶液とした後、1.25M Ammonium
Sulfateを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)
で予め平衡化してあったMacro−Prep Methyl HICカラム
(Bio−Rad社製、カタログ番号156−0080;直径5cm、ベ
ッド高9cm)に、流速10ml/minで添加した。添加終了
後、1.25M Ammonium Sulfateを含む20mMクエン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH5.2)で溶出された素通り画分F1(2384m
l,蛋白質濃度0.864mg/ml,総蛋白質量2061mg,相対活性60
00)を得た。
次に、溶出液を20mM Na Citrate,pH5.8にかえ、溶出
された画分F2(1092ml,蛋白質濃度0.776mg/ml,総蛋白質
量847mg,相対活性150000)を集めた。
さらに、Macro−Prep Methyl HICカラムF2(1081ml)
を、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.8)で予め平
衡化したSP Sepharose Fast Flow(ファルマシア バイ
オテク社製、カタログ番号17−0729−01;直径3cm、ベッ
ド高10cm)カラムに注入し、流速10ml/minで添加した。
添加終了後、さらに110mM NaClを含む20mMクエン酸ナト
リウム緩衝液(pH5.6)で溶出されたものをまとめた画
分F1(2262ml,蛋白質濃度0.270mg/ml,総蛋白質量610mg,
相対活性30000)を得た。次に、溶出液を400mM NaClを
含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)にかえ、
溶出された画分F2(856ml,蛋白質濃度0.189mg/ml,総蛋
白質量162mg,相対活性300000)を集めた。次に、溶出液
を1000mM NaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(p
H5.2)にかえ、溶出された画分F3(370ml,蛋白質濃度0.
034mg/ml,総蛋白質量12.6mg,相対活性150000)を集め
た。
さらに、SP Sepharose Fast Flowカラムにおいて主た
るTPO活性画分F2(845ml)に、最終濃度約10%の1−プ
ロパノールを加え、400mMのNaClを含む20mMカラム酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.4)で予め平衡化したLA−WGAカラ
ム(ホーネン社製、カタログ番号WG−007;直径2cm、ベ
ッド高14cm)カラムに注入し、流速3ml/minで添加し
た。添加終了後、400mMのNaClを含む20mMクエン酸ナト
リウム緩衝液(pH5.4)と1−プロパノールの混液(9:
1)で溶出されたものをまとめた画分F1(64.4ml,蛋白質
濃度0.0178mg/ml,総蛋白質量1.15mg,相対活性17220)を
得た。次に、溶出液を0.4M GlcNac,10%1−プロパノー
ルを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)にか
え、溶出された画分F2(45ml,蛋白質濃度0.0104mg/ml,
総蛋白質量0.470mg,相対活性675000)を集めた。
そこで、LA−WGAカラムにおいて主たるTPO活性画分F2
(340ml)に、最終濃度約0.005%のTFAを加えた後、YMC
−Pack CN−AP(YMC社製、カタログ番号AP−513;直径6m
m、ベッド高250mm)カラムにて展開した。即ち、展開溶
媒Aに0.1%TFA、展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プ
ロパノールを用い、15%Bで平衡化したYMC−Pack CN−
APカラムに、流速0.6ml/minで注入した。注入終了後、1
5%Bから25%Bにプロパノール濃度を上げ、さらに25
%Bから50%Bまで65分の直線濃度勾配で展開し、1.5m
l(2.5min)ずつポリプロピレン製チューブに集めた。
それぞれ0.5μl(3000分の1フラクション)を取りH
SAを加え、限外濾過濃縮し、最終的に0.05%HSAを含む
0.25mlのIMDMアッセイ培養液溶液とし、これをアッセイ
にかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ
番号24〜30(プロパノール濃度で35.0〜42.0%の範囲)
に強いTPOの活性(相対活性約630000〜4800000)があっ
たため、TPO活性画分FA(13.5ml)とした。
そこでさらに、YMC−Pack CN−APで得られたFAを、展
開溶媒Aに0.1%TFA、展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1
−プロパノールを用いたCapcell Pak C1 300A(資生堂
製、カタログ番号C1 TYPE:SG300A;直径4.6mm、ベッド高
150mmに加え、直径4.6mm、ベッド高35mmのプレカラムを
接続したもの)カラムにて展開した。即ち、YMC−Pack
CN−APで得られたFAの一部(8.9ml)をとり、0.3mlのグ
リセロールを添加後、遠心エバポレーションで濃縮後、
約2.5mlの10%B液を加え、20%Bで平衡化したCapcell
Pak C1 300Aカラムに流速0.4ml/minで注入した。注入
終了後、20%Bにて5分溶出した後、20%Bから40%B
まで50分の直線濃度勾配で展開し、1ml(2.5min)ずつ
ポリプヨピレン製チューブに集めた。
それぞれ1μl(1000分の1フラクション)を取りHS
Aを加え、限外濾過濃縮し、最終的に0.05%HSAを含む0.
25mlのIMDMアッセイ培養液溶液とし、これをアッセイに
かけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番
号20〜23(プロパノール濃度で28.5〜32.5%の範囲)に
強いTPOの活性(相対活性約3000000〜22500000)を示す
高活性標品を得ることができた。
<実施例37> COS1細胞で発現したヒトTPOの分子量測定 COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミドp
HTF1、F1クローン由来)の分子量は、糖鎖が付加された
結果、ペプチド鎖の大きさから推定しうる分子量よりも
大きいことが考えられた。そこでまず、COS1細胞で発現
したヒト完全長TPO(発現プラスミドpHTF1、F1クローン
由来)を含む培養上清から部分精製TPO画分を以下のよ
うに調製した。即ち、展開溶媒A(0.1%トリフルオロ
酢酸(TFA))および展開溶媒B(0.05% TFAを含む1
−プロパノール)を用いて、25%Bで予め平衡化したYM
C−Pack PROTEIN−RP(YMC社、カタログ番号A−PRRP−
33−46−25;直径0.46cm、ベッド高15cm)カラムに、培
養上清0.3mlを注入し、流速0.4ml/minで5分25%Bを通
液した後、50分間の25%Bから50%Bまでの直線濃度勾
配にて分画した。TPO活性は34.5%〜43.5%1−プロパ
ノールの範囲に溶出され、これを遠心エバポレーション
で乾固し、部分精製標品を得た。
次に、実施例1に述べた非還元下SDS−PAGEのゲルか
ら蛋白質抽出操作後、M−07eアッセイ系にてTPO活性を
調べ、あるいは実施例45に述べるウエスターン分析によ
り、還元処理されたDPC IIIマーカーに対する分子量を
測定した。この結果、見かけ上の分子量約69000〜94000
の広い範囲にTPO活性が存在し、分子量の不均一性を確
認できた。さらにこれと同様にして、N−Glycanase
(ジェンザイム社製、カタログ番号1472−00)によるN
結合型糖鎖切断後のTPOについて、還元処理されたDPC I
IIマーカーに対する見かけ上の分子量を調べてみると、
36000〜40000となり、ペプチド鎖の大きさから推定しう
る分子量約35000よりもなおも大きいことが判明し、O
結合型糖鎖をも含むことが強く示唆された。
これらと同様、COS1細胞で発現したヒト完全長TPO
(発現プラスミドpHTF1、F1クローン由来)の見かけ上
の分子量についても調べたところ、63000〜83000であっ
た。
<実施例38> ヒトTPOの生物学的特性 主に発現プラスミドpHTF1をCOS1細胞へトランスフェ
クションして得られたTPO活性を含有する培養上清を用
いて、ヒトTPOのヒト、およびラット血液系細胞に対す
る作用を調べた。
ヒト臍帯血から調製したCD34+、DR+細胞画分を用いた
コロニーアッセイ系で検定したところ、ヒトTPOにより
有意な数の巨核球コロニーが形成された。例えば、発現
プラスミドpHT1−231をトランスフェクション、発現さ
せたCOS1細胞培養上清を10%添加した条件下で、6000個
のCD34+、DR+細胞から平均11.5個の巨核球コロニーが形
成された。ヒト抹消血からFicoll−Paqueを用いた比重
遠心法にて得られた白血球画分からプラスティック付着
性細胞を除去し、さらにSBA(ダイズアグルチニン)に
親和性を有する細胞をAISマイクロセレクターCD34(旭
メディカル株)を用いたパニング法にて除去し、最終的
にAISマイクロセレクターCD34(旭メディカル株)を用
いたパニング法にてCD34+細胞画分を得た。この細胞画
分にヒトTPO(発現プラスミドpHTF1をトランスフェクシ
ョン、発現させたCOS1細胞培養上清)を添加し、10日間
液体培養したところ、サイズの大きいGp II b/III a+
胞の選択的増殖が認められ、さらにこのGp II b/III a+
細胞では核の倍数性(ploidy)が増加していた。このこ
とから、ヒトTPOがヒト巨核球系前駆細胞に特異的に作
用し、その増殖・分化を促進することが強く示唆され
た。
ラット骨髄細胞から分離・精製したGp II b/III a+
胞画分、及びGp II b/III a+細胞画分を得る前段階のプ
ラスティック非付着性細胞画分を用いたコロニーアッセ
イ系で検定したところ、ヒトTPOにより有意な数の巨核
球コロニーが形成された。例えば、発現プラスミドpTHF
1をトランスフェクション、発現させたCOS1細胞培養上
清を20%添加した条件下で、培養5日目に1000個のGp I
I b/III a+細胞から平均34.5個の巨核球コロニー、また
20000個のプラスティック非付着性細胞から平均28.5個
の巨核球コロニーが形成された。さらに、プラスチック
非付着細胞画分には巨核球系以外の様々な系統の前駆細
胞が存在するが、ヒトTPOの添加では巨核球コロニーし
か形成されず、ヒトTPOを巨核球系前駆細胞に特異的に
作用することが強く示唆された。また、ラット骨髄由来
のGp II b/III a+細胞画分をヒトTPO(発現プラスミドp
HTF1をトランスフェクション、発現させたCOS1細胞培養
上清を20%添加)の存在下に3〜5日間液体培養し、核
の倍数性(ploidy)を調べたところ、培養5日目に明ら
かにploidyが増加していた。
<実施例39> グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)とヒトT
PO(アミノ酸1−174)の融合タンパク質(以下、この
融合タンパク質を「GST−TPO(1−174)」と称す)の
大腸菌発現用ベクターの構築 大腸菌でのヒトTPOの発現を容易にするために、ヒトT
POをコードしかつ大腸菌優先コドンを含有する人工遺伝
子を作製した。なお、このDNAヌクレオチド配列は大腸
菌翻訳開始用のアミノ末端メチオニンコドン(ATG)を
−1の位置に有する。下記に示した1−12の合成オリゴ
ヌクレオチド: を作製し、2−11の合成オリゴヌクレオチドをT4キナー
ゼ(ファルマシア社製)により1mM ATP,10mM Tris−ace
tate,10mM Mg−acetate,50mM K−acetateの溶液中でリ
ン酸化した。これらの合成オリゴヌクレオチドを6本の
二本鎖DNAにするために1及び2;3及び4;5及び6;7及び8;
9及び10;11及び12それぞれの組み合わせの一本鎖DNAを1
0mM Tris/HCl(pH7.5),10mM MgCl2,50mM NaClの溶液中
でアニールした。次に1及び2;3及び4;5及び6の三組の
二本鎖DNAと、7及び8;9及び10;11及び12の三組の二本
鎖DNAをそれぞれT4リガーゼ(ライフテクノロジー社
製)を用いて反応し、更にこれら二種の反応液を同様に
してT4リガーゼを用いて反応した。このライゼーション
反応で得られたDNAをBamH I(ベーリンガーマンハイム
社製)で消化後、2%のアガロースゲルで泳動し、約39
0−400bpの大きさのフラグメントを回収してプレップ−
A−ジーンDNA精製キットで精製し、Xba I,BamH Iで消
化したpUC18にサブクローニングした(宿主はE.coli DH
5αを使用した)。得られたクローンのうち、ヒトTPOを
コードしかつ次に示したコドンを含有する人工遺伝子を
もつクローンを、ヌクレオチド配列の解析により選択
し、これをpUC18(XB)(1−123)とした。コーディン
グ鎖のDNA配列を配列表(配列番号9)に示した。
ヒト正常肝臓由来ポリ(A)+RNA 1μgよりcDNAの1
本鎖目をオリゴdTプライマーをプライマーとして合成
し、cDNA合成の反応液の0.1容を鋳型としてPCRを行っ
た。プライマーにはhTPO−C及びhTPO−こ(EcoR I)を
使用し、100μlの容量で反応を行った(96℃ 2分間
の後に、95℃ 1分間/58℃ 1分間/72℃ 1分間を30
サイクル反応し、さらに72℃ 7分間)。これによって
得られた、ヒトTPOcDNA断片をBamH IとEcoR Iで消化後
2%のアガロースゲルで泳動し、約600bpの大きさのフ
ラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キ
ットで精製し、EcoR I,BamH Iで消化したpUC18にサブク
ローニングした(宿主はE.coli DH5αを使用した)。正
しいヒトTPO塩基配列をコードするクローンを、塩基配
列の解析により選択し、pUC18(BE)(124−322)とし
た。ここで用いたPCR用プライマーの配列は以下の通り
である。
pUC18(BE)(124−332)をBamH IとEcoR Iで消化後
2%のアガロースゲルで泳動し、約600bpの大きさのヒ
トTPOcDNAのC末端側フラグメントを回収してプレップ
−A−ジーンDNA精製キットで精製し、EcoR I,BamH Iで
消化したpUC18(XB)(1−123)にサブクローニングし
た(宿主はE.coli DH5αを使用した)。ここで得られた
クローンをpUC18(XE)(1−332)とした。
ヒトTPOcDNAのC末端側の種々のデリーションコンス
トラクトを作製し、それを発現させインビトロのヒトTP
O活性の測定を行った実施例より、ヒトTPOアミノ酸1−
163はヒトTPO活性を保持することが明らかになったの
で、このペプチド断片を含んだ発現ベクターを構築する
ことにした。ここでは、GST−TPO(1−174)の発現を
行った。
pHTF1クローンの681−686(アミノ酸173−174)に相
当する塩基配列は、制限酵素Sac Iにより認識されるの
で、この制限酵素認識部位を利用して2本の合成オリゴ
ヌクレオチドにより終止コドンを導入した。具体的に
は、2本の合成オリゴヌクレオチドSSE1,SSE2を10mM Tr
is/HCl(pH7.5),10mM MgCl2,50mM NaClの溶液中でアニ
ールし、ここで得られた二本鎖DNAを、Sac I,EcoR Iで
消化してヒトTPOcDNAのC末端側約480bpを除いたpUC18
(XE)(1−332)にDNA Ligation Kit(宝酒造社製)
を用いて導入し、クローンpUC18(XS)(1−174)を得
ることができた(宿主はE.coli DH5αを使用した)。こ
こで用いた合成オリゴヌクレオチドの配列を下記に示し
た。
pUC18(XS)(1−174)をXba I,EcoR Iで消化後、2
%のアガロースゲルで泳動し、ヒトTPOアミノ酸1−174
をコードする約600bpの大きさのフラグメントを回収し
てプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、Xba
I,EcoR Iで消化したpBluescript II SK+(ストラタジー
ン社製)にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5α
を使用した)。ここで得られたクローンをpBL(XS)
(1−174)とした。さらに、これと同様にしてpBL(X
S)(1−174)をXba I,Hind IIIで消化後、ヒトTPOア
ミノ酸1−174をコードする約550bpの大きさのフラグメ
ントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで
精製し、Xba I,Hind IIIで消化したpCFM536(特表示昭6
0−501988)にクローニングした(宿主はE.coli DH5α
を使用した)。ここで得られたクローンをpCFM536/hT
(1−174)とした。
グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)との
融合タンパク発現ベクターであるpGEX−2T(ファルマシ
ア社製)によって、GST−TPO(1−174)を発現させる
ために、次のことを行った。pCFM536/hT(1−174)を
鋳型として、2本のPCR用プライマーGEX1,GEX3を用いて
PCRを行った(96℃ 2分間の後に、95℃ 1分間/41℃
1分間/72℃ 1分間を22サイクル反応し、さらに72
℃ 7分間)。これによって得られた、ヒトTPOをコー
ドする断片をNae IとEcoR Iで消化後2%のアガロース
ゲルで泳動し、約550bpの大きさのフラグメントを回収
してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、Eco
R I,Sma Iで消化したpGEX−2Tにクローニングし(宿主
はE.coli DH5を使用した)、正しいヒトTPO塩基配列を
コードするクローンpGEX−2T/hT(1−174)を、塩基配
列の解析により選択し、これをGST−TPO(1−174)発
現用の形質転換体とした。ここで用いたPCR用プライマ
ーの配列は以下の通りである。
またこの発現プラスミドは、GSTタンパクに続いてト
ロンビン認識ペプチド、及びヒトTPO(アミノ酸1−17
4)をコードする配列を含んでいる。トロンビン認識ペ
プチド、及びヒトTPO(アミノ酸1−174)をコードする
配列を配列表(配列番号10)に示した。
<実施例40> GST−TPO(1−174)の大腸菌での発現 実施例39で得られた形質転換株を、アンピシリン50μ
g/mlを含むLB培地60mlに37℃で一晩振盪培養し、この培
養液25をアンピシリン50μg/mlを含むLB培地1000mlに加
えて、ODはA600が0.7−0.8に至るまで37℃で振盪培養し
た。次いで最終濃度が、0.1mMになるようにIPTGを添加
し、さらに3時間振盪培養して、GST−TPO(1−174)
の発現を誘導した。
<実施例41> 大腸菌で発現したGST−TPO(1−174)の精製と活性確
認 ヒトTPOヌクレオチド配列をコードするクローンpGEX
−2T/hT(1−174)由来GST−TPO(1−174)生産組換
体凍結菌体5.9gに水10mlを加えてけん濁し、高圧破砕機
で菌体を破砕した。遠心分離により、GST−TPO(1−17
4)を沈殿画分に回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成
分等を除去した。次に、回収されたGST−TPO(1−17
4)を含む沈殿画分に水5mlを加えてけん濁した後、攪拌
しながら1MTris緩衝液pH8.5を6ml、10M尿素120ml、水16
mlを加えた。室温にて5分間攪拌可溶化後、溶液を4等
分し、各々、以下のとおり(1)〜(4)の4種の操作
を行った。
(1)20mM Tris緩衝液pH8.5で10倍希釈した。これに還
元型グルタチオンと酸化型グルタチオンを加えて、各
々、最終濃度5mM及び0.5mMとし、4℃で一晩静置した。
遠心分離により、上清中にGST−TPO(1−174)を回収
し、これに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で2倍
希釈した後、酢酸を用いてpH5.5に調整した。20mMクエ
ン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で平衡化したSP Sepharose
Fast Flow(ファルマシア バイオテク社製、カタログ
番号17−0729−01)陽イオン交換カラムにGST−TPO(1
−174)を吸着させた。同樹脂を20mMクエン酸ナトリウ
ム緩衝液pH5.5で洗浄した後、500mM塩化ナトリウムを含
む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5を用いてGST−TP
O(1−174)を溶出させた。溶出液129mlに2.6mlの1M T
ris緩衝液pH8.5を加えて、pHを8.1にした後、グルタチ
オンセファロース4B(ファルマシア バイオテク社製、
カタログ番号17−0756−01)カラムに添加しGST−TPO
(1−174)を吸着させた。PBSで洗浄した後、10mM還元
型グルタチオンを含む20mM Tris緩衝液pH8.5でGST−TPO
(1−174)を溶出させた。溶出液にトロンビン37NIH U
nitを加えて室温で4時間静置した後、PBSで10倍希釈
し、グルタチオンセファロース4Bカラムに添加し切断さ
れたGSTを吸着させ、非吸着画分にTPO(1−174)を回
収した。回収した非吸着画分を20mMクエン酸ナトリウム
緩衝液pH5.5で3倍希釈し、同緩衝液で平衡化したSP Se
pharose Fast Flow陽イオン交換カラムに添加し、同緩
衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃
度勾配法によって溶出を行なった。
(2)(1)の操作を全て0.1%ポリソルベート80存在
下で行った。
(3)20m MTris緩衝液pH8.5で10倍希釈した。これに還
元型グルタチオンと酸化型グルタチオンを加えて、各
々、最終濃度5mM及び0.5mMとし、4℃で一晩静置した。
遠心分離により、上清中にGST−TPO(1−174)を回収
し、これに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で2倍
希釈した後、酢酸を用いてpH5.5に調整した。20mMクエ
ン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で平衡化したSP Sepharose
Fast Flow陽イオン交換樹脂にGST−TPO(1−174)を吸
着させた。同樹脂を20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.
5で洗浄した後、500mM塩化ナトリウムを含む20mMクエン
酸ナトリウム緩衝液pH5.5を用いてGST−TPO(1−174)
を溶出させた。溶出液に1MTris緩衝液pH8.5を加えてpH
を約8とし、トロンビン320NIH Unitを加えて室温で4
時間静置した後、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5
で5倍希釈し、同緩衝液で平衡化したSP Sepharose Fas
t Flow陽イオン交換カラムに添加し、同緩衝液中で塩化
ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配法によ
って溶出を行なった。
(4)(3)の操作を全て0.1%ポリソルベート80存在
下で行った。
SP Sepharose Fast Flow陽イオン交換クロマトグラフ
ィーの塩化ナトリウム濃度約200mMから400mMで溶出され
た画分を、各々、IMDM培養液に対して十分に透析後、ラ
ットCFU−MK系で評価した結果、容量依存的にTPO活性を
認めた。同画分を還元剤存在下でのSDS−PAGEで分析し
た結果、この画分の主タンパク質バンドの一つとして分
子量19Kダルトンのバンドが検出された(純度1−20
%)。このバンドについて実施例1に記載された方法に
より、SDS−PAGE後、PVDF膜に転写しN末端シークエン
ス分析を行なった結果、このpGEX−2T/hT(1−174)由
来の融合蛋白質として発現されるべきTPOの配列を含む
ことが確認できた。得られたTPOの推定アミノ酸配列は
[Gly-1]TPOであり、トロンビン認識ペプチドドリンカ
ー配列と共にリンカー上に公知のトロンビン活性が付与
される。
<実施例42> アミノ酸1(Ser→Ala)、アミノ酸3(Ala→Val)に置
換をもつヒトTPO(アミノ酸1−163)の大腸菌用発現ベ
クターの構築 実施例39で作製したpUC18(XE)(1−332)をXba I,
EcoR Iで消化後、2%のアガロースゲルで泳動し、ヒト
TPOアミノ酸1−332をコードする約1000bpの大きさのフ
ラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キ
ットで精製し、Xba I,EcoR Iで消化したpBluescript II
SK+(ストラタジーン社製)にサブクローニングした
(宿主はE.coli DH5αを使用した)。ここで得られたク
ローンをpBL(XE)(1−332)とした。
次にこのクローンpBL(XE)(1−332)のBamH I認識
配列からアミノ酸163(366−489)までを大腸菌優先コ
ドンに変更することとした。後記の13−20の合成オリゴ
ヌクレオチドを作成し、13及び14;15及び16;17及び18の
合成オリゴヌクレオチドを同チューブ中でT4キナーゼ
(ファルマシア社製)を用いて0.1mM ATP,10mM Tris−a
cetate,10mM Mg−acetate,50mM K−acetateの溶液中で
リン酸化した。さらに1/10量の100mM Tris/HCl(pH7.
5),100mM MgCl2,500mM NaClの溶液を加え、水浴中で3
分間煮沸した後、放置することにより2本鎖DNAとし
た。次に13及び14;15及び16;17及び18の三組の二本鎖DN
AをDNAライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて連
結し、これを鋳型として19及び20の合成オリゴヌクレオ
チドをプライマーとしてPCR反応を行った。これによっ
て得られたPCR産物をBamH IとHid IIIで消化後2%のア
ガロースゲルで泳動し、約130bpの断片をプレップ−A
−ジーンDNA精製キットにより回収した。これをBamH I
とHid IIIで消化したpBL(XE)(1−332)にサブクロ
ーニングした(宿主はE.coli DH5を使用した)。得られ
たクローンのうち以下に示した塩基配列を有するものを
シークエンシングにより選択し、これをpBL(XH)(1
−163)とした。
さらに、ヒトTPO(アミノ酸1−163)の発現量を増す
こと、またN末端のプロテアーゼによる分解を防ぐこと
を目的として、ヒトTPO(アミノ酸1−163)の1位のア
ミノ酸をSer→Alaに、3位のアミノ酸をAla→Valに変換
し([Ala1、Val3]TPO(1−163))、更に−1位にLy
s、−2位にMetをコードするような変位型ヒトTPO(ア
ミノ酸1−163)([Met-2、Lys-1,、Ala1、Val3]TPO
(1−163))(以下、このようなタンパク質を「h6T
(1−163)」と称す)を発現させるための発現ベクタ
ーの構築を行った。後記の4種の合成オリゴヌクレオチ
ドを作製し、2−9、3−3の合成オリゴヌクレオチド
をT4キナーゼ(ファルマシア社製)により1mM ATP,10mM
Tris−acetate,10mM Mg−acetate,50mM K−acetateの
溶液中でリン酸化した。これらの合成オリゴヌクレオチ
ドを2本の二本鎖DNAにするために1−9及び2−9;3−
3及び4−3それぞれの組み合わせの一本鎖DNAを10mM
Tris/HCl(pH7.5),10mM MgCl2,50mM NaClの溶液中でア
ニールした。次に1−9及び2−9;3−3及び4−3の
二組の二本鎖DNAをDNA Ligation Kit(宝酒造社製)を
用いて反応した。このライゲーション反応で得られたDN
Aを、X ba I,Nru Iで消化したpBL(XH)(1−163)に
サブクローニングし、塩基配列の解析により以下に示し
た合成オリゴヌクレオチドにより正しく置換されたクロ
ーンを選択し(宿主はE.coli DH5αを使用した)、これ
をpBL(XH)h6T(1−163)とした。
pBL(XH)h6T(1−163)をX ba I,Hind IIIで消化
後、変異型のヒトTPOアミノ酸1−163をコードする約50
0bpの大きさのフラグメントを回収してプレップ−A−
ジーンDNA精製キットで精製し、X ba I,Hind IIIで消化
したpCFM536(特表昭60−501988)にクローニングした
(宿主はpMW1(ATCC No.39933)で予め形質転換された
E.coli JM109を使用した)。ここで得られたクローンを
pCFM536/h6T(1−163)とし、この発現ベクターを有す
る大腸菌株を変異型のヒトTPO、すわなちh6T(1−16
3)発現用の形質転換体とした。この発現プラスミド
は、配列表(配列番号11)に示されたDNA配列を含んで
いる。
<実施例43> h6T(1−163)の大腸菌での発現 発現プラスミドpCFM536の発現制御は、λPLプロモー
ターによるが、これ自体が、cI857リプレッサー遺伝子
の制御下にある。<実施例42>で得られた形質転換株
を、アンピシリン50μg/ml、テトラサイクリン12.5μg/
mlを含むLB培地60mlに30℃で一晩振盪培養し、この培養
液25mlをアンピシリン50μg/mlを含むLB培地1000mlに加
えて、ODはA600が1.0−1.2に至るまで30℃で振盪培養し
た。次いで最終温度が、42℃になるように65℃の約330m
l LB培地を添加し、さらに3時間42℃で振盪培養してh6
T(1−163)の発現を誘導した。
<実施例44> 大腸菌で発現したh6T(1−163)の精製と活性確認 h6T(1−163)生産組換体凍結菌体3.6gに水10mlを加
えてけん濁し、高圧破砕機で菌体を破砕した。遠心分離
により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成
分等を除去する。回収されたh6T(1−163)を含む沈殿
画分に水7mlを加えてけん濁した後、攪拌しながら1M Tr
is緩衝液pH8.5を3mlを加えた後、尿素(終濃度8M)、塩
酸グアニジン(終濃度6M)、N−ラウロイルサルコシン
ナトリウム(終濃度2%)を各々加えて室温にて5−20
分間攪拌して可溶化された。これを20mM Tris緩衝液pH
8.5で10倍希釈し、4℃中にて一晩でタンパク質の巻き
戻し(リフォールディング)操作を行なった。この際
に、空気酸化の他、添加物としてグルタチオン及び硫酸
銅を各々添加した。遠心分離により、上清中にh6T(1
−163)を回収した。各々の回収画分について還元剤存
在下でのSDS−PAGEで分析した結果、どの方法に於て
も、この画分の主タンパク質バンドとして分子量約18K
ダルトンのバンドが検出された(純度30−40%)。この
バンドについて実施例1に記載された方法により、SDS
−PAGE後、PVDF膜に転写しN末端シークエンス分析を行
なった結果、このpCFM536/h6T(1−163)由来の変異型
TPOとして発現されるべきTPOの配列を含むことが確認で
きた。各々の画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、
ラットCFU−MK系で評価した結果、全ての画分に於て用
量依存的にTPO活性を認めた。
<実施例45> 抗TPOペプチド抗体の作製と、SDS−PAGE→ウエスターン
分析によるTPOの検出 抗TPO抗体が作製できれば、免疫学的手法によりTPOの
蛋白質を検出することができる。そこで、最初に判明し
たラットTPOのアミノ酸配列のうち、比較的抗原として
適していると考えられた3カ所の領域(以下に示す)を
選び、Tam(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,5409−5413,19
88)の方法により4本鎖のMultiple Antigen Peptide
(MAP)型のペプチドを合成し、100μgずつ8回にわた
ってそれぞれウサギ2把に免疫した結果、これらの抗血
清を得ることができた。
合成ペプチド抗原に含まれるアミノ酸配列 (a)ラットTPO(9−28)(ペブチドRT1領域): (ただし24番目のは本来、遺伝子から決定されたアミ
ノ酸残基はSである) (b)ラットTPO(46−66)(ペプチドRT2領域): (c)ラットTPO(163−180)(ペプチドRT4領域): (ただし178番目〜180番目のLLDは本来、遺伝子から決
定されたアミノ酸残基ではTSGである) 次いで、これらの抗血清のうち、まず抗RT1ペプチ
ド、抗RT2ペプチド抗体について、プロテインAカラム
(PROSEP−A;Bioprocessing Ltd社製、カタログ番号842
7)を用いて、IgG画分(それぞれ2344mg、1920mg)を
得、これらのうちそれぞれ54mg、32mgをとり活性型ビオ
チン(NHS−LC−Biotin II、PIERCE社製、カタログ番号
21336)とカップリングすることにより、ビオチン化し
た。。実施例1に述べた方法と同様に、組み換え体TPO
を含む標品をSDS−PAGEにかけ、次いでPVDFあるいは、
ニトロセルロース膜にエレクトロブロティングし、定法
によりこれらのビオチン化抗体を一次抗体として用いて
ウェスタン分析を行った。
即ち、ブロッティング後の膜を20mM Tris−HCl、0.5M
NaCl(pH7.5)(TBS)で5分洗浄し、0.1%Tween20入
りTBS(TTBS)で5分2回洗浄後、ブロッキング剤(Blo
ckAce、大日本製薬社製、カタログ番号uk−B25)で60分
処理した。次に10μg/mlの濃度のビオチン化抗TPOペプ
チド抗体、0.05%BSA、10% BlockAceを含むTTBS溶液
で60分後処理後、TTBSで5分2回洗浄した。次にアルカ
リフォスファターゼ標識アビジン(Leinco Technologie
s社製、カタログ番号A108)を10%BlockAce、TTBS溶液
で5000倍希釈したものを含む溶液で30分処理し、5分2
回のTTBS洗浄、5分間のTBS洗浄を行った後、アルカリ
フォスファターゼ基質(Bio−Rad社製、カタログ番号17
0−6432)により発色させた。以上のウエスタン分析は
室温にて実施した。
この結果、COS1細胞で発現した各種組み換えラットTP
Oのみならず、COS1細胞及び大腸菌で発現した各種組み
換えヒトTPO(具体的には、これまでの実施例に述べたC
OS1細胞で発現したプラスミドpHTP1あるいはプラスミド
pHTF1由来ヒトTPOとそのN結合型糖鎖切断後のTPO、大
腸菌で発現したGST−TPO(1−174)及びそのトロンビ
ン消化後のTPO、大腸菌で発現した変異型TPOであるh6T
(1−163))をも認識することができた。そして、こ
れら各種組み換えヒトTPOの分析に用いることが可能と
なった。
以上の手法と同様にして、抗ヒトTPOペプチド抗体の
作製が可能であることが示された。これらの手法で得た
抗体により、ウェスタン分析のみならず、抗体カラムに
よるTPOの精製をはじめ、通常考えられる抗体を用いた
あらゆる免疫学的手法への応用が可能となる。
また、配列番号7に示されるヒトTPOのアミノ酸配列
のうち、比較的抗原として適していると考えられた6カ
所の領域(表4に示す)を選び、4本鎖のMultiple An
tigen Peptide(MAP)型のペプチドを合成し、100μg
ずつ8回にわたってそれぞれウサギ2把に免疫した。
表4で示された各ペプチド領域のC末端にシステイン
残基を結合させた1本鎖ペプチドを別途合成し、これを
試験抗原として酵素免疫測定法を用いて抗体価を調べた
ところ、いずれの血清についても抗体価の上昇が確認さ
れたので、これらを抗血清とした。
抗体は、1種の抗原ペプチドにつきウサギ抗血清2把
ずつ免疫したため、それぞれのウサギごとに抗体を分け
て調製した。具体的には、これら由来するウサギの個体
ごとに区別して、抗HT1ペプチド抗体では、それぞれ、
抗HT1−1ペプチド抗体、抗HT1−2ペプチド抗体の様に
称する。
以下に抗HT1−1ペプチド抗体についての精製を例と
して示す。
まず、システイン残基を結合したHT1の1本鎖ペプチ
ド30mgを12mlのSulfoLinkカップリングゲル(Pierce社
製、カタログ番号44895)に結合させた。即ち、ゲル体
積の6倍容のカップリングバッファー(50mM Tris、5mM
EDTA−Na pH8.5)で平衡化したゲルに、抗原の含まれ
るペプチド溶液を15分間カップリングさせた。次に30分
間静置した後、ゲル体積の3倍容のカップリングバッフ
ァーでゲルを洗浄した。次に0.05M L−Cystein−HClを
含むカップリングバッファーを、1ml/mlゲルの割合で添
加し、15分間未反応基をブロックした。次に30分間静置
した後、ゲル体積の8倍容のカップリングバッファーで
ゲルを洗浄した。以上のカップリングは室温で行った。
このようにして、抗原領域を含むペプチドをカップリン
グ効率28.3%にてゲルに共有結合させ、1mlゲル当たり
に結合したペプチドが0.8mgである抗原ペプチド抗原カ
ラムを調製した。
次に、全採血後の抗HT1−1ペプチド抗体を含む抗血
清78.4mlのうち76.7ml(蛋白質量3620mg)を予め150mM
のNaCl、0.05%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝
液(pH8)で平衡化した抗原カラムに添加し、さらに同
緩衝液で洗浄後105.9mlの素通り画分(蛋白質量3680m
g)を得た。次に0.1Mクエン酸緩衝液(pH3.0)で吸着画
分を溶出し、ただちに21.1mlの0.1M炭酸緩衝液(pH9.
9)を加えて中和後、限外濾過(アミコン社製YM30膜)
にて濃縮し、11.2ml(蛋白質量77.7mg)の150mMのNaC
l、0.05%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(p
H8)の溶液中に精製された抗HT1−1ペプチド抗体を得
ることができた。
同様にして、抗HT1−2ペプチド抗体(60.0mg)、抗H
T2−1ペプチド抗体(18.8mg)、抗HT2−2ペプチド抗
体(8.2mg)などを得ることができた。抗HT3〜6ペプチ
ド抗体も同様にして得ることができる。
アフィニティ精製した抗HT1−1ペプチド抗体、抗HT1
−2ペプチド抗体、抗HT2−1ペプチド抗体、抗HT2−2
ペプチド抗体をそれぞれ3mgをとり活性型ビオチン(NHS
−LC−Biotin II、PIERCE社製、カタログ番号21336)と
カップリングすることにより、ビオチン化した。
下記のアミノ酸配列: をコードする遺伝子を導入・発現させたCHO細胞の培養
上清から部分精製された組換えヒトTPO標品を定法に従
い、SDS−PAGEにかけ、次いでPVDFあるいはニトロセル
ロース膜にエレクトロブロティングし、上述の抗RTペプ
チド抗体の場合と同様にウェスタン分析を行ったとこ
ろ、それぞれの精製された抗体により、ヒトTPOが認
識、検出されることが確認できた。
<実施例46> 抗TPOペプチド抗体カラムの調製 実施例45で得られた抗ラットTPOペプチド抗体は、ラ
ット及びヒトTPOを認識することができるため、抗RT1ペ
プチド抗体、抗RT2ペプチド抗体の免疫グロブリン(Ig
G)画分を以下のようにして、クロマトグロフィー担体
に結合させ、抗TPOペプチド抗体カラムを作製した。材
料となった抗体は、それぞれの抗原ペプチドにつきウサ
ギ抗血清2把ずつから由来し、それぞれのウサギごとに
抗体を分けて調製した。具体的には、抗RT1ペプチド抗
体では、それぞれ、抗RT1−1ペプチド抗体と抗RT1−2
ペプチド抗体と称し、抗RT2ペプチド抗体では、抗RT2−
1ペプチド抗体と抗RT2−2ペプチド抗体と称す。これ
らを別々にして抗体カラムを調製したため、抗RT1ペプ
チド抗体カラムは2種(それぞれ抗RT1−1抗体カラ
ム、抗RT1−2抗体カラムと称す)、抗RT2ペプチド抗体
カラムは2種(それぞれ抗RT2−1抗体カラム、抗RT2−
2抗体カラムと称す)、さらに抗RT1−2ペプチド抗体
と抗RT2−1ペプチド抗体を混合してゲルにカップリン
グした抗体カラム(抗RT1−2+2−1混合抗体カラ
ム)、の5種類を調製した。
各々の抗体を5mg/ml(抗RT1+2mix抗体カラムでは抗R
T1−2ペプチド抗体と抗RT2−1ペプチド抗体を等量混
合した2.5mg/ml)の濃度で含む50mM Na Phosphate,0.15
M NaCl(pH8.0)の溶液とし、これを2.31mlとり、1.54m
体積の膨潤したホルミル活性化ゲル(Formyl−Cellulof
ine、チッソ株式会社製)と合わせ、4℃で2時間カッ
プリング反応させた。次いで、10mg/mlの濃度の還元剤
溶液(Trimethylamine borane(TMAB)、生化学工業
製、カタログ番号680246)を1.1ml加え、さらに6時間
カップリング反応させた後、遠心分離によりゲル部分の
みを回収した。これに10mlの精製水を加え、遠心分離で
ゲル部分のみの回収といった操作を4回繰り返し、未反
応の抗体を取り除いた。次に4.6mlのブロッキング緩衝
液(0.2M Na Phosphate,1M ethanol amine(pH7.0))
と1.1mlの還元剤溶液を加え、4℃で2時間以上処理す
ることにより、未反応のゲルの活性基をブロックした。
最後にゲルを遠心分離を用いて精製水、DPBSで洗浄し、
小カラムチューブに充填し、3Mチオシアン酸カリウム溶
液、0.1Mグリシン−HCl(pH2.5)溶液で洗浄後、再度DP
BSで再平衡化して保存した。
抗RT1−1抗体カラム、抗RT1−2抗体カラム、抗RT2
−1抗体カラム、抗RT2−2抗体カラム、抗RT1−2+2
−1混合抗体カラムの5種類それぞれの抗TPOペプチド
抗体ゲルでは、各IgG画分のカップリング効率は順に97.
4%、95.4%、98.4%、98.3%、99.4%に達した。ま
た、それぞれのゲル体積当たりにカップリングしたIgG
画分量は、5.6mg/mlゲル、5.8mg/mlゲル、5.7mg/mlゲ
ル、5.7mg/mlゲル、2.9mg/mlゲルであった。従って、抗
体の由来や抗原の違いによって、カップリング効率やカ
ップリング量に大きな差がないことが確認できたため、
これらの抗体カラムを利用して、以下、実施例47に示す
実験を行った。
<実施例47> 発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクション
して得られた培養上清由来TPOの抗TPO抗体カラム→逆相
カラムクロマトグラフィーでの精製及び生物学的活性の
確認 以下の精製サンプルの評価のためのin vitroアッセイ
方法は、M−07eアッセイ系を用いた。発現ベクターpHT
P1をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた、実
施例35の培養上清由来TPOの部分精製標品(TPOが回収さ
れた主たる画分ではない画分、即ち、Mecro−Prep Meth
yl HICカラムの素通り画分F1と、F2の後に20mM Na Citr
ate,pH5.8でカラム洗浄し溶出したF3、SP Sepharose Fa
st FlowカラムのF1とF3をまとめてTPOサブプール画分
(5463.79ml,蛋白質濃度0.490mg/ml,総蛋白質量2676mg,
相対活性12100,総活性量32380000)とし、限外濾過ユニ
ット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子
量8000カット)でまず濃縮し、さらに溶媒をDPBSに置換
し、小体積になってからはYM−10膜付き限外濾過ユニッ
ト(アミコン社製)を用いて最終的に120.2mlの0.05%
アジ化ナトリウムを含むDPBS溶液にした。次に実施例46
で調製した5種類の抗TPOペプチド抗体ゲルを全て混合
し、1本の抗体カラム(直径1.6cm,ベッド高4.8cm,抗RT
1+2混合抗体カラムと称す)にまとめ、室温にて流速
0.033ml/minでTPOサブプール画分を添加した。添加終了
後、DPBSで溶出液の紫外線吸収が十分下がるまでを集
め、さらにYM−10膜付き限外濾過ユニット(アミコン社
製)で濃縮した素通り画分F1(82.62ml,蛋白質濃度14.3
mg/ml,総蛋白質量1184mg,相対活性67500,相対活性量799
00000)を集めた。次に酸性溶離液(0.1Mグリシン−HCl
(pH2.5))で溶出されるカラム吸着画分F2(92.97ml,
蛋白質濃度0.12mg/ml,総蛋白質量11.1mg,総活性257100,
総活性量2860000)を溶出した。素通り画分F1には相当
量のTPO活性があったが、抗体カラムに吸着したTPOにつ
いては約20倍の相対活性の上昇が認められたため、さら
に精製を行った。即ち、展開溶液Aに0.1%TFA、展開溶
媒Bに0.05%TFAを含む1−プロパノールを用いたCapce
ll Pak Cl 300A(資生堂製、カタログ番号Cl TYPE:SG30
0A;直径4.6mm、ベッド高150mmに加え、直径4.6mm、ベッ
ド高35mmのプレカラムを接続したもの)カラムにて、抗
体カラムで得られたF2に10分の1体積の展開溶媒Bを加
え、20%Bで平衡化したCapcell Pak Cl 300Aカラムに
流速0.4ml/minで注入した。注入終了後、20%Bにて5
分溶出した後、20%Bから40%Bまで50分の直線濃度勾
配で展開し、1ml(2.5min)ずつポリプロピレン製チュ
ーブに集めた。
それぞれ2μl(500分の1フラクション)を取りHSA
を加え、限外濾過濃縮し、最終的に0.02%HSAを含む0.2
5mlのIMDMアッセイ培養液溶液とし、これをアッセイに
かけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番
号20〜23(プロパノール濃度で28.5〜32.5%の範囲)に
強いTPOの活性を示す標品を得ることができた。またこ
れらの標品を<実施例45>に述べた方法によりウエスタ
ーン分析をしたところ、DPC III分子量をマーカーに対
し、還元下において見かけ上の分子量が60000〜70000の
TPOが確かに存在し、これとは別に、32000〜43000、200
00〜30000の分子量をもつ分子も存在していることが判
明した。
<実施例48> 発現ベクターpHTPをCOS1細胞にトランスフェクションし
て得られた培養上清由来で、Capcell Pak Cl 300Aカラ
ムの段階まで精製されたTPOの生物学的活性の確認 実施例36で精製されたTPO活性画分、即ちCapcell Pak
Cl 300Aカラムのチューブ番号20〜23(プロパノール濃
度で28.5〜32.5%の範囲)までを集め、0.21mlのグリセ
ロールを添加後遠心エバポレーションで濃縮した。これ
に6M塩酸グアニジン溶液0.21mlを加えたものをDPBSで1m
lに希釈後、Sephadex G25カラム(NAP−10,ファルマシ
ア バイオテック社製、カタログ番号17−0854−01)で
0.01%HSAを含むDPBS溶液に置換し、さらに1.1mlの0.01
%HSAを含むDPBSを加えて、最終的にTPO活性画分FA(2.
6ml)を調製した。この標品の生物学的TPO活性をについ
て調べるために、in vivoアッセイを行った。即ち、1
群4匹のICR系雄性マウス(8週齢)に、活性画分100μ
l(M−07eアッセイ系での相対活性量87400を含む)を
1日1回、5日間連日皮下投与した。対照として、0.01
%HSAを含むDPBS100μlを同様のスケジュールで皮下投
与した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌日に眼底
より行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用
いて血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了後
において投与前と比較して平均で1.42倍の血小板の増加
を認め、対照群の血小板と比較しても1.23倍の高値を示
し、両者の間に有意差(p<0.05,Student t−test)を
認めた。この結果から、動物細胞で生産された上記のヒ
トTPOが、生体内において血小板増加作用を有すること
が明らかとなった。
<実施例49> 発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクション
して得られた、培養上清33Lを出発材料にし、陽イオン
交換カラムで得た粗精製TPO画分の生物学的活性の確認 (1)以下の精製サンプルの評価のためのin vitroアッ
セイ方法は、M−07eアッセイ系を用いた。実施例36で
記載された方法と同様にして、33Lの発現ベクターpHTP1
をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた無血清
培養上清を得て、0.22μmの濾過フィルターの濾液をと
った。これを限外濾過ユニット(ミリポア社製・PLGCペ
ルコンカセット 分子量10000カット)で約10倍濃縮
し、蛋白質分解酵素阻害剤であるp−APMSFを最終濃度
約1mM加え、体積2018ml(蛋白質濃度3.22mg/ml、総蛋白
質量6502mg、相対活性66000、総活性量429100000)を得
た。次に、限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメ
ガウルトラセット 分子量30000カット)で濃縮工程を
繰り返し、分子量30000以上の画分(体積1190ml、蛋白
質濃度2.54mg/ml、総蛋白質量3020mg、相対活性82500、
総活性量249000000)と、分子量30000以下の画分(体積
2975ml、蛋白質濃度0.471mg/ml、総蛋白質量1402mg、相
対活性4500、相対活性量6310000)を得ることができ
た。分子量30000以下の画分にTPO活性が存在すること
は、TPOの動物細胞での発現・分泌の過程において、最
終的に培養上清中に、低分子化したTPOが含まれている
可能性を示す。一方、分子量30000以上の画分をさらに2
0mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)に置換し、20mM
クエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)で予め平衡化したS
P Sepharose Fast Flow(ファルマシア バイオテク社
製、カタログ番号17−0729−01;直径2.6cm、ベッド高29
cm)カラムに注入し、流速5ml/minで添加した。添加終
了後、からに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)
で洗浄溶出した。次に展開溶媒Aに20mMクエン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH6.1)、展開溶媒A中に1M NaClを含む溶
液を展開溶媒Bとして用い、流速3ml/minで0%Bから5
0%Bまで215分間、さらに50%Bから100%Bまで20分
の直線濃度勾配で展開し、30ml(10min)ずつポリプロ
ピレン製チューブに集めた。これらの一部を取り、M−
07eアッセイ系で活性の分布を調べたところ、広範囲に
わたりTPO活性が溶出されたことが判明した。そこで素
通りを含め、50mM以下のNaClで溶出された画分をF1、TP
Oの主画分として50〜1000mMのNaClで溶出された画分をF
2としてまとめた。F1は体積1951ml(蛋白質濃度2.05mg/
ml、総蛋白質量3994mg、相対活性13500、総活性量53900
000)、F2は体積649.8ml(蛋白質濃度1.11mg/ml、総蛋
白質量721mg、相対活性268000、総活性量193000000)で
あった。
(2)SP Sepharose Fast Flow F2の生物学的活性の確
認 (1)で分取したSP Sepharose Fast FlowのF2を2.5m
l取り、Sephadex G25カラム(NAP−25,ファルマシア
バイオテック社製、カタログ番号17−0852−−01)で0.
01%HSAを含むDPBS溶液3.5mlに置換し、このサンプル
(蛋白質濃度1.46mg/ml)の生物学的TPO活性について調
べるために、in vivoアッセイを行った。即ち、1群4
匹のICR系雄性マウス(8週齢)に、活性画分100μl
(M−07eアッセイ系での総活性量123000を含む)を1
日1回、5日間連日皮下投与した。対照として、0.01%
HSAを含むDPBS100μ1を同様のスケジュールで皮下投与
した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌日に眼底よ
り行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用い
て血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了後に
おいて投与前と比較して平均で1.29倍の血小板の増加を
認め、対照群の血小板数と比較しても1.12倍の高値を示
し、両者の間に有意差(p<0.05,Student t−test)を
認めた。この結果から、哺乳動物細胞で生産された上記
のヒトTPOが、生体内において血小板増加作用を有する
ことが明らかとなった。
<実施例50> ヒトTPO染色体DNAのCHO細胞用組換え発現ベクター、pDE
F202−ghTPOの構築 ベクターpDEF202を制限酵素Kpn IとSpe Iで処理し、
アガロースゲル電気泳動で小さい方のマウスDHFRミニ遺
伝子とSV40ポリアデニル化シグナルを含むフラグメント
を回収したのち、このフラグメントとヒトTPO染色体DNA
を含むプラスミドpEFHGTEを制限酵素Kpn IとSpe Iで処
理しSV40ポリアデニル化シグナルを含む領域を除去した
ベクターDNAとをT 4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合さ
せ、発現ベクターpDEF202−ghTPOを得た。このプラスミ
ドはSV40の複製開始領域、ヒトエロンゲーションファク
タ−1−アルファプロモーター、SV40初期ポリアデニル
部位、マウスDHFRミニ遺伝子、pUC18の複製開始領域、
β−ラクタマーゼ遺伝子(Ampr)を含み、ヒトエロンゲ
ーションファクタ−1−アルファプロモーター下流にヒ
トTPO染色体DNAが接続されている。
<実施例51> CHO細胞によるヒトTPO染色体DNAの発現 CHO細胞(dhfr−株、UrlaubとChasin;Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA;77巻4216頁、1980)を6cm径のプレート(Fal
con社製)中10%牛胎児血清を含むα最小必須培地(α
−MEM(−)、チミジン、ヒポキサンチン添加)で培養
増殖させ、これをリン酸カルシウム法(CellPhect、フ
ァルマシア社製)によって形質転換した。
すなわち、実施例50で調製したpDEF202−ghTPOプラス
ミド10μgにバッファーA:120μlおよびH20:120μlを
加え混合したのち、室温で10分間インキュベートした。
つぎに、この溶液にバッファーB:120μlを加え、再度
混合したのち、室温で30分間放置した。このDNA溶液を
プレートに滴下したのち、CO2インキュベーター中で6
時間培養した。プレートから培地を除去し、α−MEM
(−)にて2回洗浄後、10%ジメチルスルフォオキシド
含有α−MEM(−)を添加し、室温で2分間処理した。
次いで、10%透析牛胎児血清含有非選択培地(前出α−
MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン添加)を添加し
て2日間培養したのち、10%透析牛胎児血清含有選択培
地(α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン無添
加)での選択をおこなった。選択は細胞をトリプシン処
理した後、6cm径プレート1枚あたりを、10cm径プレー
ト5枚あるいは24ウエルプレート20枚に分割したのち、
2日ごとに選択培地にて培地交換を行いながら培養を続
行する事により実施した。細胞が増殖してきたプレート
あるいはウエルについてその培養上清中のヒトTPO活性
をBa/F3アッセイを用いて測定した結果、ヒトTPO活性が
認められた。
なお、CHO細胞の形質転換はCHO細胞に対しpEFHGTEとp
MGlを同時形質転換(co−transfection)することによ
っても行うことができる。
<実施例52> −1位にLys、−2位にMetが付加されたヒトTPO(アミ
ノ酸1−163)(以下、このタンパク質を「hMKT(1−1
63)」と称す)の大腸菌用発現ベクターの構築及び発現
の確認 配列番号6のアミノ酸配列(1−163位)の−1位にL
ys、−2位にMetが付加されたタンパク質を発現するた
め、実施例42と同様にして、以下に示した1−13、2−
13、3−3、4−3の合成オリゴヌクレオチドを用い
て、hMKT(1−163)([Met-2、Lys-1]TPO(1−16
3)とも称する)の大腸菌用発現ベクターpCFM536/hMKT
(1−163)を構築した。
この発現プラスミドは、配列表(配列番号12)に示さ
れたDNA配列を含んでいる。さらに、実施例43と同様に
して、hMKT(1−163)の発現を誘導した。
ここで得られた発現タンパクをSDS−PAGE後PVDF膜に
転写し、N末端アミノ酸配列分析を行った結果、発現さ
れるべきhMKT(1−163)のアミノ酸配列を含むことが
確認できた。
<実施例53> 大腸菌で発現した、ヒトTPO由来変異型ヒトTPO、h6T
(1−163)の塩酸グアニジンとグルタチオンを用いた
リフォールディング、精製及び生物学的活性の確認 実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換体凍結
菌体1.2gに水3mlを加えてけん濁し、高圧破砕機で菌体
を破砕した。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分
の混在蛋白質、菌体成分等を除去する。回収されたh6T
(1−163)を含む沈殿画分に水を加えてけん濁し、最
終4mlとした。攪拌しながら1mlの1M Tris緩衝液PH8.5を
加えた後、20mlの8M塩酸グアニジンを加えて室温にて5
分間攪拌して可溶化した。これを20mM Tris緩衝液PH8.5
で10倍希釈し、5mM還元型グルタチオンと0.5mMの酸化型
グルタチオンを加えて攪拌し溶かした後、4℃中にて一
晩静置した。遠心分離により、上清中にh6T(1−163)
を回収した。得られた上清のうち160mlをYM10限外濾過
膜(アミコン社製)を用いて濃縮し、DPBSにて緩衝液を
置換して最終容量3.4mlとした(蛋白濃度2.18mg/ml)。
この画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラットCF
U−MKアッセイ系で評価した結果、強いTPOの活性(相対
活性58000)を示した。
上記の方法により調製したTPO活性画分についてin vi
voアッセイを行った。1群4匹のICR系雄性マウス(7
週齢)に、活性画分170μl(ラットCFU−MKアッセイ系
での総活性量22000を含む)を1日1回、5日間連日皮
下投与した。対照として、1群6匹の同様のマウスにDP
BS170μlを同様のスケジュールで皮下投与した。採血
は、投与開始直前及び投与終了翌日、終了3日後に眼底
より行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用
いて血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了翌
日において投与前と比較して平均で2.15倍の血小板の増
加を認め、また投与終了3日後においてもその効果は持
続しており2.13倍の高値を維持した。投与終了翌日及び
3日後のいずれの日においても、血小板数は、それぞれ
の日の対照群のそれと比較して1.73倍、1.80倍と高値を
示し、両者の間に有意差(p<0.001,Student t−tes
t)を認めた。この結果から、大腸菌より生産され、上
記の方法で調製したヒトTPOが、生体内において血小板
増加作用を有することが明らかとなった。
<実施例54> 大腸菌で発現した変異型ヒトTPO、h6T(1−163)のN
−ラウロイルサルコシンナトリウムと硫酸銅を用いたリ
フォールディング、精製及び生物学的活性の確認 実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換体凍結
菌体0.6gに水3mlを加えてけん濁し、高圧粉砕機で菌体
を破砕した後、遠心分離により沈殿画分を回収した。沈
殿画分に3.1mlの水を加えて懸濁した後、0.19mlの1M Tr
is緩衝液pH9.2、11.25μlの1M DTT、38μlの0.5M EDT
A、0.38mlの10%デオキシコール酸ナトリウムを攪拌し
ながら加え、室温にて40分間攪拌した。遠心分離により
沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成分等を
除去した。沈殿に水4mlを加えてけん濁した後、遠心分
離によってh6T(1−163)を含む沈殿画分を回収した。
得られた沈殿画分に水3.0mlを加え懸濁した後、攪拌し
ながら0.2mlの1M Tris緩衝液pH8と1mlの10%N−ラウロ
イルサルコシンナトリウムを加えて室温にて20分間攪拌
して可溶化した。これに5μlの1%硫酸銅を加え、室
温にて一晩(約20時間)攪拌した。遠心分離によりh6T
(1−163)を含む上清画分を回収した後、上清5mlに5m
lの水、10mlの20mM Tris緩衝液pH7.7加えた後、2.6gのD
owex l−x4,20−50 mesh,chloride formイオン交換樹脂
を加え、90分間撹拌した。グラスフィルターを用いてイ
オン交換樹脂非吸着画分を回収した後、遠心分離によっ
て上清を回収した。得られた上清を20mM Tris緩衝液pH
7.7で平衡化したSP Sepharose Fast Flow陽イオン交換
カラムに添加し、同緩衝液中でNaCl濃度0Mから500mMま
での直線濃度勾配法によって溶出を行なった。溶出画分
をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラットCFU−MKア
ッセイ系で評価した結果、SP Sepharose Fast Flow陽イ
オン交換クロマトグラフィーのNaCl濃度約100mM付近で
溶出された画分に強いTPOの活性(相対活性約1900000
0)を示した。この画分をウルトラフリーCL分画分子量5
000限外濾過ユニット(ミリポア社製、型番UFC4LCC25)
を用いて1.6倍濃縮した(2.5ml、蛋白濃度25μg/ml)。
同画分を還元剤存在下でSDS−PAGEで分析した結果、TPO
のバンドが主バンドとして検出された(純度70−80
%)。
上記の方法により調製したTPO活性画分についてin vi
voアッセイを行った。1群4匹のICR系雄性マウス(8
週齢)に、活性画分100μl(ラットCFU−MKアッセイ系
での総活性量47500を含む)を1日1回、5日間連日皮
下投与した。対照として、100mM NaClを含む20mM Tris
緩衝液PH7.7 100μlを同様のスケジュールで皮下投与
した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌日に眼底よ
り行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用い
て血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了後に
おいて投与前と比較して平均で1.73倍の血小板の増加を
認め、対照群の血小板数と比較しても1.59倍の高値を示
し、両者の間に有意差(p<0.01,Student t−test)を
認めた。この結果から、大腸菌より生産され、上記の方
法で調製したヒトTPOが、生体内において血小板増加作
用を有することが明らかとなった。
<実施例55> CHO細胞の大量培養 実施例32においてヒトTPO発現プラスミドpDEF202−hT
PO−P1をCHO細胞にトランスフェクションして得られた
ヒトTPO産生CHO細胞株(CHO28−30細胞、25nM MTX耐
性)の大量培養は以下のようにして実施した。細胞を25
nM MTXおよび10%FCSを含むDMEM/F−12培地(GIBCO社)
を用いて培養増殖させた。この細胞をトリプシン溶液を
用いて剥離したのち、200mlの同培地を含むFalcon社製
ローラーボトル(Falcon3000)に1×107個の細胞を接
種し、37℃で1rpmの回転速度で3日間培養した。3日
後、培養液を吸引除去し、100mlのPBSで細胞培養表面を
リンスしたのち、25nM MTXおよび10%FCSを含まないDME
M/F12培地(GIBCO社)を200ml加え、37℃、1rpmの回転
速度で7日間培養し、7日後その培養上清を回収し、次
の精製操作の出発材料にした。上記の操作をローラーボ
トル500本分実施し、培養上清100Lを得た。
<実施例56> ヒトTPO産生CHO細胞株からヒトTPOの精製 (1)実施例55より無血清培養上清約100Lを得て、0.
22μmの濾過フィルターの濾液をとった。これを限外濾
過ユニット(ミリポア社製・PLTKペリコンカセット 分
子量30000カット)で濃縮かつ溶媒を精製水に置換し、
蛋白質分解酵素阻害剤であるp−APMSF(和光純薬社
製)を最終濃度1mM及びPefabloc SC(Merk社製)を最終
濃度0.35mM加え、体積3628ml(蛋白質濃度1.60mg/ml、
総蛋白量5805mg、相対活性1230000、総活性量714900000
0)の分子量30000以上の画分を得た。この画分を実施例
45で述べたウエスターン分析で調べたところ、分子量66
000〜100000の範囲にTPO蛋白質が存在することが明らか
となった。さらによく調べてみると、これとは別に、よ
り低分子のTPOをも含まれていることが判明した。分子
量30000以下の限外濾液はこれとは別に限外濾過ユニッ
ト(ミリポア社製・PLGCペリコンカセット 分子量1000
0カット)で濃縮したところ、体積1901ml(蛋白質濃度
0.36mg/ml、総蛋白質量684mg、相対活性245500、総活性
量167900000)であったため、低分子化したTPO分子が培
養工程において生じたことが確認された。
次に、分子量30000以上の画分3614mlに764gの硫酸ア
ンモニウム、及び144.5mlの0.5Mクエン酸ナトリウム緩
衝液(pH5.5)を加え、最終濃度1.41M硫酸アンモニウ
ム、17.7mMのクエン酸ナトリウム緩衝液を含む4089mlの
溶液とし、生じた不溶物を遠心分離後可溶物を得た。
これを1.2M硫酸アンモニウムを含む20mMクエン酸ナト
リウム緩衝液(pH5.5)で予め平衡化してあったMecro−
Prep Methyl HICカラム(Bio−Rad社製、カタログ番号1
56−0080;直径5cm、ベッド高24.5cm)に、流速約25ml/m
inで添加した。添加終了後、1.2M硫酸アンモニウムを含
む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で溶出され
たものを限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガ
ウルトラセット 分子量8000カット)で濃縮し、素通り
画分F1(4455ml,蛋白質濃度0.400mg/ml,総蛋白質量1780
mg,相対活性1831000)を得た。
次に、溶出液を2mM Na Citrate,pH6.0にかえ、溶出さ
れたものを限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメ
ガウルトラセット 分子量8000カット)で濃縮し、画分
F2(1457ml,蛋白質濃度0.969mg/ml,総蛋白質量1411mg,
相対活性1715000)を集めた。SDS−PAGEにより、このF2
には分子量66000〜100000の蛋白質が存在することが確
認された。さらにウエスターン分析により、この蛋白質
がTPOであることが明らかとなった。
次に、Macro−Prep Methyl HICカラムF2(1443ml)
を、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で予め平
衡化したSP Sepharose Fast Flow(ファルマシア バイ
オテク社製、カタログ番号17−0729−01;直径5cm、ベッ
ド高12cm)カラムに注入し、流速15ml/minで添加した。
添加終了後、さらに50mM NaClを含む20mMクエン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.0)で溶出されたものまでまとめ、
画分F1(3007ml,蛋白質濃度0.226mg/ml,蛋白質量679mg,
相対活性88830)を得た。次に、溶出液を750mM NaClを
含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)にかえ、
溶出された画分F2(931ml,蛋白質濃度0.763mg/ml,総蛋
白質量710mg,相対活性5558000)を集めた。これを限外
濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセッ
ト 分子量8000カット、及びアミコン社製YM3膜)で202
mlまで濃縮した。
次に、SP Sepharose Fast FlowカラムのTPO活性画分F
2の濃縮液(197ml)をSephacryl S−200HRカラム(ファ
ルマシア・バイオテク社製、カタログ番号17−0584−0
5;直径7.5cm、ベッド高100cm)に注入し、流速3ml/min
でゲル濾過を行った。溶離液体積1200〜1785ml、1785〜
2010ml、2010〜2280ml、2280〜3000mlの各範囲をまと
め、それぞれ画分F1(585ml,蛋白質濃度1.00mg/ml,総蛋
白質量589mg,相対活性4118000)、画分F2(225ml,蛋白
質濃度0.263/ml,総蛋白質量59,2mg,相対活性250900
0)、画分F3(270ml,蛋白質濃度0.119/ml,総蛋白質量3
2.1mg,相対活性2535000)、画分F4(720ml,蛋白質濃度
0.0467/ml,総蛋白質量33,6mg,相対活性1155000)を得
た。このように、分画されたTPO活性はゲル濾過法での
分子量範囲が広いことが判明したため、SDS−PAGE後、
ウエスターン分析を実施したところ、F1ではほとんどが
分子量66000〜100000のTPOであったのに対し、F2、F3で
はそれぞれ分子量32000〜60000、分子量32000〜421000
のTPO分子種が存在していた。いずれの分子量のTPO分子
も全てTPO活性をもっていた。
なお、分子量66000〜100000のTPO分子についてN末端
アミノ酸配列分析を実施したところ、ヒトTPO遺伝子で
コードされるタンパク質のアミノ酸配列を含むことが確
認できた。
また、分子量66000〜100000のTPO分子について、N−
グリカナーゼ(N−glycanase:Genzyme社製、カタログ
番号1472−00)、ノイラミニダーゼ(Neuraminidase:ナ
カライテスク社製、カタログ番号242−29 SP)、エンド
−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(Endo−α−
N−acetylgalactosaminidase:生化学工業製、カタログ
番号100453)、およびO−グリコシダーゼ(O−Glycos
idase:Boehringer Mannheim Biochemica社製、カタログ
番号1347101)の糖鎖切断酵素を単独あるいは組み合わ
せて酵素消化実験を行いSDS−PAGEで調べたところ、TPO
のポリペプチド部分は理論値から推定される分子量約36
000であり、N結合型糖鎖とO結合型糖鎖の両方を持つ
糖タンパク質であることが判明した。
<実施例57> ヒトTPO産生CHO細胞株からヒトTPOの精製 (1)実施例55と同様にして得られたCHO細胞無血清
培養上清1Lに211.4gの硫酸アンモニウムを加え、0.2μ
mフィルター(Gelman Science社製、カタログ番号1299
2)で濾過し、予め1.2M硫酸アンモニウム,20mM酢酸ナト
リウム緩衝液(pH5.6)で平衡化しておいたMacro−Prep
Methyl HICカラム(Bio−Rad社製,カタログ番号156−
0081,直径50mm、ベッド高90mm)に流速15ml/minで添加
した。添加終了後、20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.
6)450mlで溶出した。この溶出液をVydac 逆相C4カラ
ム(The Separations Group社製、カタログ番号214BTP5
4,直径4.6mm,ベッド高250mm)に流速0.75ml/minで添加
した。添加終了後、15分間5%エタノールを含む10mMト
リス緩衝液(pH6.4)(展開溶媒A)で洗浄後、展開溶
媒Aから10mMトリス緩衝液(pH6.4)を含む94%エタノ
ール(展開溶媒B)まで66分間の直線グラジエントで溶
出した。このクロマトグラムを図15に示した。TPOと思
われる分子量約65000−100000の分子は、SDS−PAGEによ
る分析の結果、サンプル添加後の保持時間68−72分付近
の画分に得ることができ、単一なバンドであることが確
認できた(図16参照)。さらにウエスターン分析によ
り、このタンパク質がTPOであることを確認した。
このサンプルの一部を取り、N末端アミノ酸分析を行
った結果、ヒトTPO遺伝子でコードされるタンパク質の
アミノ酸配列を含むことが確認できた。
<実施例58> ヒトTPOの昆虫細胞での発現用組換えウイルスの作製 実施例30で作製したpHTP1を制限酵素EcoR I並びにNot
Iで消化後1%アガロースゲル電気泳動にかけ、約1200
bpのバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キットを用
いて精製した後、同様に制限酵素処理したトランスファ
ーベクターpVL1393(インビトローゲン社製)に連結し
コンピテントハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転
換した。得られたコロニーよりプラスミドDNAを調製
し、ヒトTPOcDNAのコーディング領域を全て含むクロー
ンpVL1393/hTPOを得た。このクローンのプラスミドDNA
をMolecular Cloning(Sambrookら、Cold Spring Harbo
r Laboratory Press,1989)に記載されているようにし
て調製し、BaculoGoldTM Transfection Kit(ファーミ
ンゲン社製)を用いて昆虫細胞Sf21(インビトローゲン
社製)にトランスフェクション後、Sf−900培地(ライ
フテクノロジー社製)中で27℃で4日間培養し、そのウ
イルスを含んだ上清を回収した。この上清を109〜105
に希釈してその1mlを用いて、35mm径のシャーレ中で約
7×105個のSf21細胞に27℃で1時間感染させた。上清
を抜きとりSf−900培地を含む1%アガロースを流し込
みアガロースが固まった後、加湿下で27℃で6日間培養
した。ここで形成されたシングルプラークをピックアッ
プし、200μlのSf−900培地中でウイルスを溶出させ
た。このウイルスクローンを24ウエルプレート中でSf21
細胞に感染させウイルスの増幅を行った。得られたシン
グルプラーク由来のウイルス液の一部をフェノール/ク
ロロホルム処理後、エタノール沈殿してウイルスDNAを
回収した。このウイルスDNAを鋳型としてヒトTPOcDNAに
特異的なプライマーを用いてPCRを行い、特異的なDNA断
片が増幅されるか否かにより、ヒトTPOcDNAを含む組換
え体ウイルスを選択した。ここで得られたヒトTPOcDNA
を含む組換え体ウイルスを含む上清を用いてSf21細胞に
感染させ、さらにウイルスの増幅を行った。
<実施例59> Sf21昆虫細胞でのヒトTPOの発現と活性確認 175cm2の培養フラスコ中に、Sf21細胞を約80%コンフ
ルエントになるまで培養し、実施例58で作製したヒトTP
OcDNAを含む組換え体ウイルスを27℃で1時間感染させ
た後、Sf−900培地中で27℃で4日間培養し、その上清
を回収した。得られた培養上清をNAPTM−5カラム(フ
ァルマシア社製)を用いてIMDM培養液に置換し、これを
ラットCFU−MKアッセイ系及びM−07eアッセイ系にかけ
たところ、用量依存的に有意なTPO活性及びM−07e細胞
増殖促進活性が認められた。また、実施例45に記載した
のと同様のウエスタン分析により、Sf21細胞で発現した
組み換えヒトTPOが確認された。
<実施例60> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列を保有するクロー
ンpCFM536/h6T(1−163)由来の変異型ヒトTPO、h6T
(1−163)のN−ラウロイルサルコシンナトリウムと
硫酸銅を用いたリフォールディングとh6T(1−163)精
製 実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換体凍結
菌体30gに水300mlを加えてけん濁し、高圧破砕機(1000
0psi、Rannie High Pressure Laboratory)で菌体を破
砕した後、遠心分離により沈殿画分を回収した。沈殿画
分に90mlの水を加えて懸濁し、さらに撹拌しながら水を
加えて液量を150mlにした後、9mlの1M Tris緩衝液pH9.
2、540μlの1M DTT、1.8mlの0.5M EDTA、18mlの10%デ
オキシコール酸ナトリウムを攪拌しながら加え、室温に
て30分間攪拌した。遠心分離により沈殿画分を回収し、
大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去した。沈殿に18
0mlの5mM DTTを加えてけん濁した後、遠心分離によって
h6T(1−163)を含む沈殿画分を回収した。得られた沈
殿画分に水300mlを加え懸濁し、さらに撹拌しながら水
を加えて液量を570mlにした後、攪拌しながら30mlの1M
Tris緩衝液pH8と150mlの10%N−ラウロイルサルコシン
ナトリウムを加えて室温にて20分間攪拌して可溶化し
た。これに750μlの1%硫酸銅を加え、室温にて一晩
(約20時間)攪拌した。遠心分離によりh6T(1−163)
を含む上清画分を回収した後、上清750mlに750mlの水、
1500mlの20mM Tris緩衝液pH7.7加えた後、撹拌しながら
3mlのポリソルベート80(日光ケミカルズ)を加えた。
同溶液に600gのDowex 1−x4,20−50 mesh,chloride for
mイオン交換樹脂を加え、室温にて90分間撹拌した。グ
ラスフィルターを用いてイオン交換樹脂非吸着画分を回
収した後、750mlの20mM Tris緩衝液pH7.7でイオン交換
樹脂を洗浄した。イオン交換樹脂非吸着画分と洗浄液を
合わせた溶液に2N水酸化ナトリウム加えてpHを9.2に調
整し、0.1%ポリソルベート80を含む20mM Tris緩衝液pH
9.2で平衡化したQ Sepharose Fast Flow陰イオン交換カ
ラム(内径5cm x 10cm)に添加し、非吸着画分を回
収した。塩酸を用いて得られた非吸着画分のpHを7.2に
調整し、0.1%ポリソルベート80を含む20mM Tris緩衝液
pH7.2で平衡化したSP Sepharose Fast Flow陽イオン交
換カラム(内径5cm x 10cm)に添加し、同緩衝液中
で塩化ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配
法によって溶出を行なった。溶出液についてSDS−PAGE
によって分析を行い、TPO溶出画分を集めた。TPO溶出画
分にトリフルオロ酢酸を0.1%になる様に加え、カプセ
ルパック5μm300A C1カラム(内径2.1cm x 5cm x
2本、資生堂)に添加した後、0.1%トリフルオロ酢
酸中で1−プロパノール濃度を上昇させる直線濃度勾配
溶離法によって逆相HPLCを行なった。溶出液について還
元剤非存在下でのSDS−PAGEにより分析した結果及び逆
相HPLCでの溶出位置によって、3画分に分画し、各々に
ついて0.1%トリフルオロ酢酸を用いて3倍希釈した
後、上記の逆相HPLCカラムに添加し、同様の方法で再ク
ロマトグラフィーを行なった。得られたTPO3画分を逆相
HPLCの溶出順にFr.S−a、Fr.S−b、Fr.S−c(図17参
照)として還元剤非存在下でのSDS−PAGEで分析した結
果、各々、分子量18Kダルトン(Fr.S−a)、19Kダルト
ン(Fr.S−b)、18Kダルトン(Fr.S−c)付近に単一
のバンドとして検出された(図18参照)。各々について
アミノ酸組成分析を行った結果、得られたアミノ酸組成
はシークエンス情報からの理論値とほぼ一致し,またN
末端アミノ酸配列分析の結果、予想される配列のみが得
られた。またアミノ酸分析の結果から得られた各画分の
蛋白質量は、各々、0.64mg(Fr.S−a)1.81mg(Fr.S−
b)、3.49mg(Fr.S−c)であった。各画分をIMDM培養
液に対して十分に透析後、M−07eアッセイを行った結
果、相対活性約1620000(Fr.S−a)、相対活性約23500
000(Fr.S−b)、相対活性約746000000(Fr.S−c)の
TPO活性を示した。
<実施例61> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列を保有するクロー
ンpCFM536/h6T(1−163)由来の変形型ヒトTPO、h6T
(1−163)の塩酸グアニジンとシステイン−シスチン
を用いたリフォールディング及びh6T(1−163)の精製 実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換体凍結
菌体50gに水500mlを加えてけん濁し、高圧破砕機(1000
0psi、Rannie High Pressure Laboratory)で菌体を破
砕した後、遠心分離により沈殿画分を回収した。沈殿画
分に水を加えて懸濁し、さらに撹拌しながら水を加えて
液量を250mlにした後、15mlの1M Tris緩衝液pH9.2、900
μlの1M DTT、3mlの0.5M EDTA、30mlの10%デオキシコ
ール酸ナトリウムを攪拌しながら加え、室温にて30分間
攪拌した。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の
混在蛋白質、菌体成分等を除去した。沈殿に300mlの50m
M DTTを加えてけん濁した後、遠心分離によってh6T(1
−163)を含む沈殿画分を回収した。回収されたh6T(1
−163)を含む沈殿画分に水を加えてけん濁し、最終104
mlとした。攪拌しながら20mlの1M Tris緩衝液pH8.5を加
えた後、376mlの8M塩酸グアニジンを加えて室温にて10
分間攪拌して可溶化した。これに攪拌しながら2500mlの
0.1%ポリソルベート80を含む20mM Tris緩衝液pH8.5を
加え、さらに1M塩酸グアニジンを含む20mM Tris緩衝液p
H8.5を2000ml加えた後、5mMシステインと0.5mMシスチン
を加えて攪拌し溶かした。4℃中にて一晩静置した後、
遠心分離によって上清中にh6T(1−163)を回収した。
得られた上清をプレップスケールUFカートリッジPLDC限
外濾過膜(ミリポア)を用いて濃縮し、0.1%ポリソル
ベート80を含む20mM Tris緩衝液pH9.2にて緩衝液を置換
して最終容量約1000mLとした。これを0.1%ポリソルベ
ート80を含む20mM Tris緩衝液pH9.2で平衡化したQ Seph
arose Fast Flow陰イオン交換カラム(内径5cm x 10
cm)に添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから
500mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行ない、塩
化ナトリウム濃度20mMから150mM付近までの塩濃度で溶
出された画分240mLを回収した。得られた画分を20mM Tr
is緩衝液pH7.2で4倍に希釈して960mLとし、酢酸を用い
てpHを7.2に調整した。これを0.1%ポリソルベート80を
含む20mM Tris緩衝液pH7.2で平衡化したSP Sepharose F
ast Flow陽イオン交換カラム(内径5cm x 10cm)に
添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから500mM
までの直線濃度勾配法によって溶出を行なった。溶出液
についてSDS−PAGEによって分析を行い、TPO溶出画分を
集めた。TPO溶出画分にトリフルオロ酢酸を0.1%になる
様に加え、カプセルパック5μm300A C1カラム(内径2.
1cm x 5cm x 2本、資生堂)に添加した後、0.1
%トリフルオロ酢酸中で1−プロパノール濃度を上昇さ
せる直線濃度勾配溶離法によって逆相HPLCを行なった。
溶出液について還元剤非存在下のSDS−PAGEにより分析
した結果及び逆相HPLCでの溶出位置によって2画分に分
画した。得られたTPO溶出2画分を逆相HPLCの溶出順にF
r.G−a、Fr.G−d(図17参照)として各々について還
元剤非存在下でのSDS−PAGEで分析した結果、各々、分
子量18Kダルトン(Fr.G−a)、32Kダルトン(Fr.G−
d)付近に単一のバンドとして検出された(図18参
照)。また、還元剤存在下でのSDS−PAGE分析を行った
結果、どちらの画分も分子量20Kダルトン付近に単一の
バンドとして検出された。各々についてアミノ酸組成分
析を行った結果、得られたアミノ酸組成はシークエンス
情報からの理論値とほぼ一致し,またN末端アミノ酸配
列分析の結果、予想される配列のみが得られた。またア
ミノ酸分析の結果から得られた各画分の蛋白質量は、各
々、2.56mg(Fr.G−a)、1.16mg(Fr.G−d)であっ
た。各画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、M−07
eアッセイを行った結果、相対活性約3960000(Fr.G−
a)、相対活性約7760000(Fr.G−d)のTPO活性を示し
た。
<実施例62> 部分長ヒトTPO(アミノ酸1−163)(以下、このタンパ
ク質を「hTPO163」と称す)のCHO細胞用組換えベクタ
ー、pDEF202−hTPO163の構築 実施例31で得られたベクターpDEF202を制限酵素EcoR
IとSpe Iで処理し、アガロースゲル電気泳動で大きい方
のベクターフラグメントを回収したのち、このフラグメ
ントと−21から163位のアミノ酸までをコードするhTPO6
3 cDNA(配列番号13参照)を含むプラスミドpEF18A−hT
PO163を制限酵素EcoR IとSpe Iで処理して得られたhTPO
163と cDNAとをT4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合さ
せ、発現ベクターpDEF202−hTPO163を得た。このプラス
ミドはSV40の複製開始領域、ヒトエロンゲーションファ
クター1−アルファプロモーター、SV40初期ポリアデニ
ル部位、マウスDHFRミニ遺伝子、pUC18の複製開始領
域、β−ラクタマーゼ遺伝子(Ampr)を含み、ヒトエロ
ンゲーションファクター1−アルファプロモーター下流
にhTPO163 cDNAが接続されている。
<実施例63> CHO細胞によるhTPO163の発現 CHO細胞(dhft−株、UrlaubとChasin;Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA;77巻4216頁、1980)を6cmのプレート(Falco
n社製)中10%牛胎児血清を含むα最小必須培地(α−M
EM(−)、チミジン、ヒポキサンチン添加)で培養増殖
させ、これをトランスフェクタム法(生化学工業社製)
によって形質転換した。
すなわち、実施例62で調製したpDEF202−hTPO163プラ
スミド10μgに0.3M NaCl240μlを加え混合したのち、
トランスフェクタム20μlとH2O220μlとの混合液を加
え、再度混合した。このDNA溶液をプレートに滴下した
のち、CO2インキュベーター中で6時間培養した。プレ
ートから培地を除去し、α−MEM(−)にて2回洗浄
後、10%ジメチルスルフォオキシド含有α−MEM(−)
を添加し、室温で2分間処理した。次いで、10%透析牛
胎児血清含有非選択培地(前出α−MEM(−)、ヒポキ
サンチン、チミジン添加)を添加して2日間培養したの
ち、10%透析牛胎児血清含有選択培地(α−MEM
(−)、ヒポキサンチン、チミジン無添加)での選択を
おこなった。選択は細胞をトリプシン処理した後、6cm
径プレート1枚あたりを、10cm径プレート5枚あるいは
24ウエルプレート20枚に分割したのち、2日ごとに選択
培地にて培地交換を行いながら培養を続行する事により
実施した。細胞が増殖してきたプレートあるいはウエル
についてはその培養上清中のTPO活性をBa/F3アッセイ法
を用いて測定したところ、TPO活性が認められた。培養
上清中にTPO活性の認められたものについては新しいプ
レートあるいはウェルに25nMのメソトレキセートを含む
選択培地で1:15に細胞を分割し、培養を続行することに
よりメソトレキセートに耐性の細胞を増殖させてクロー
ニングを行った。
なお、CHO細胞の形質転換はCHO細胞に対しpEF18S−hT
PO163とpMG1を同時形質転換(co−transfection)する
ことによっても行うことができる。
プラスミドpDEF202−hTPO163によって形質転換された
CHO細胞株(CHO−DUKXB11)は1995年1月31日付で通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FE
RM BP−4989として寄託されている。
<実施例64> CHO細胞の大量培養 実施例63においてhTPO163発現プラスミドpDEF202−hT
PO163をCHO細胞にトランスフェクションして得られたhT
PO163産生CHO細胞株(CHO109細胞、10%透析牛胎児血清
含有選択培地[ヒポキサンチンとチミジンを含まないα
−MEM-]中で上述のように選択して得られた細胞)の大
量培養は以下のようにして実施した。細胞を10%FCSを
含むDMEM/F−12培地(GIBCO社)を用いて培養増殖させ
た。この細胞をトリプシン溶液を用いて剥離したのち、
200mlの同培地を含むFalcon社製ローラーボトル(Falco
n3000)に1000万個の細胞を接触し、37℃で1rpmの回転
速度で3日間培養した。3日後、培養液を吸引除去し、
100mlのPBSで細胞培養表面をリンスしたのち、10%FCS
を含まないDMEM/F−12培地(GIBCO社)を200ml加え、37
℃、1rpmの回転速度で7日間培養し、7日後その培養上
清を回収し、次の精製操作の出発材料にした。上記の操
作をローラーボトル300本分実施し、無血清培養上清の6
0Lを得た。
<実施例65> hTPO163産生CHO細胞株からhTPO163の精製 (1)実施例64より得られた無血清培養上清60Lを得
て、0.22μmの濾過フィルターの濾液をとった。さらに
限外濾過ユニット(フィルトロン社製・分子量10000カ
ット)を用いて濃縮画分(600ml、蛋白質濃度11.2mg/m
l、総蛋白質量6430mg)を得た。この画分を抗HT1ペプチ
ド抗体を用いてウエスターン分析で調べたところ、見か
けの分子量20000〜26000の範囲に発現されたHTPO163蛋
白質が存在することが明らかとなった。
この濃縮培養上清573mlを流速的約20ml/minにて、10m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で予め平衡化してあ
ったSephadex G−25 Fineカラム(ファルマシア・バイ
オテク社製、カタログ番号17−0032−02;直径10cm、ベ
ッド高30cm)にて処理することにより、10mMリン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.8)溶液となった蛋白質画分F1(938
ml,蛋白質濃度4.9mg/ml,総蛋白質量4592mg)を得た。
このSephadex G−25 Fineカラム蛋白質画分929mlを、
予め10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)平衡化したS
P Sepharose Fast Flow(ファルマシア・バイオテク社
製、カタログ番号17−0729−01;直径5cm、ベッド高12c
m)カラムに流速15ml/minで添加した。添加終了後、さ
らに10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)、次いで10
%エタノールを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.
8)で溶出されたものまでをまとめ、画分F1(1608,蛋白
質濃度2.13mg/ml,総蛋白質量3426mg)を得た。次に、溶
出液を10mMリン酸ナトリウム(pH6.8)中に750mM NaC
l、25%エタノールを含む緩衝液にかえ、溶出されたhTP
O163の主たる溶出画分F2(651ml,蛋白質濃度1.67mg/ml,
総蛋白質量1087mg)を集めた。
SP Sepharose Fast FlowカラムのTPO活性画分F2のう
ち200mlをとり、エタノール及び精製水を加え、最終エ
タノール濃度45%の溶液300mlを調製した。ここでエタ
ノール添加の結果生じた不溶物を遠心分離により取り除
いた後、展開溶媒A(10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.
7))、展開溶媒B(90%エタノールを含む10mM酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH6.7))を用意し、予め50%B液に
て平衡化したSOURCE 15RPCカラム(ファルマシア・バイ
オテク社製、カタログ番号17−0727−02;直径2cm、ベッ
ド高20cm)に流速2ml/minで注入した。注入後、カラム
非吸着物質がほぼ溶出するまで45%B液にて洗浄した
後、流速を1.5ml/minにし、まず5分間50%B、次いで5
0%Bから100%Bまで140分の直線濃度勾配の後、100%
B液にて35分間展開した。この間5分(7.5ml)ごとに
集められた溶出画分をSDS−PAGE及びウエスターン分析
にかけ、hTPO163の溶出範囲を調べたところ、エタノー
ル濃度66%〜87%の範囲に見かけの分子量約20000から2
6000の高度に精製されたhTPO163が溶出されていること
が判明した。これらのhTPO163のうち分子量の高いもの
ほど早く逆相カラムから溶出したことから、糖鎖がより
多く結合したhTPO163分子ほど親水性が増していること
が示唆された。
SOURCE 15RPCカラムのhTPO163溶出画分(エタノール
濃度68%〜86.5%の範囲に溶出したhTPO163画分90ml)
のうち、88.8mlにCHAPSを添加後、限外濾過法(アミコ
ン社製、YM−3膜付き限外濾過ユニット)により濃縮、
洗浄を行い、最終的に約5%エタノール、4mMCHAPSを含
む2.5mlの濃縮標品とした。この標品を予め10%エタノ
ールを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で平
衡化したSuperdex 75pgカラム(ファルマシア・バイオ
テク社製、カタログ番号17−1070−01;直径2.6cm、ベッ
ド高60cm)に流速1.5ml/minで注入した。注入後60分後
から、6ml(4分)ごとに溶出画分を集めたところ、SDS
−PAGEにより試験管番号16番以降の画分にhTPO163が溶
出しはじめ、少なくとも31番目までの広い範囲にhTPO16
3が溶出していることを確認した。これは、ゲルろ過の
標準分子量マーカー(Bio−Rad社製Gel Filtration Sta
ndard;カタログ番号151−1901及びCalbiochem社製イン
シュリン;カタログ番号407696の混合物)に対して、分
子量約44000から6000の範囲に相当する。しかもこれら
のhTPO163は糖がより多く付加された分子量の大きいも
のから順に溶出していると考えられた。試験管番号16〜
31(溶出体積180〜276ml)の溶出範囲にあるすべてのhT
PO163の分子種をまとめたものとして画分FAを調製し
た。画分FAとは別に、試験管番号16〜18(溶出体積180
〜198ml)、試験管番号19〜24(溶出体積198〜234m
l)、試験管番号25〜31(溶出体積234〜276ml)の各々
の一部をとり、それぞれ画分FH、FM、FLとした。つまり
画分FAは、実質的に画分FH、FM、FLを合わせたものとな
る。以上、図19に示す。
(2)次に(1)で述べたSuperdex 75pgカラムのpTPO1
63溶出画分FH、FM、FL及びFAについて詳細に述べる。こ
のようにして得られたhTPO163のN末端側のアミノ酸配
列を実施例1に述べた方法と同様にして調べたところ、
N末端のセリンの大部分は同定不能であったことより、
N末端のセリンにO結合型糖鎖が付加されていることが
強く示唆された。また、N末端のセリンに続く配列は遺
伝子配列から期待されたアミノ酸配列であることが確認
できた。アミノ酸組成分析(AccQ.Tag法、ウォターズ
社)の結果、FH、FM、FL及びFAのhTPO163蛋白質(糖鎖
を含まないペプチド部分)の濃度がそれぞれ10.2ng/m
l、6.2ng/ml、0.84ng/ml、3.1ng/mlであった。これらの
画分100ngをマルチゲル15/25(第一化学薬品社製15〜25
%プレキャストポリアクリルアミドゲル)を用いて非還
元条件或いはDTTにより還元後、SDS−PAGEを実施し銀染
色(第一化学薬品社製)したところ、それぞれ極めて高
純度なhTPO163標品であることが確認できた。還元条件
下においてはDPC III分子量マーカー(第一化学薬品社
製)を標準として算出されたFH、FM、FL及びFAのhTPO16
3の見かけの分子量はそれぞれ24000〜21500、23000〜21
000、23000〜20500、23500〜20500であった(図20を参
照)。またウエスターン分析により還元条件下において
はビチオン標識SDS−PAGEスタンダード(Bio−Rad社製B
iotynylate SDS−PAGE Standards,Broad Range;カタロ
グ番号161−0319)を標準として算出されたFH、FM、FL
及びFAのhTPO163の見かけの分子量はそれぞれ26000〜22
000、25500〜22000、26000〜21000、26000〜21000であ
った。FH、FM、FL及びFAの分子量の不均一性は、付加さ
れたO結合型糖鎖の不均一性によることと推定できる。
そこでFH、FM、FL及びFAの各画分をノイラミニダーゼ
(Neuraminidase:ナカライテスク社製、カタログ番号24
2−29 SP)で酵素消化し、DTTで還元後SDS−PAGEで分析
したところ、いずれの画分も見かけの分子量が19000付
近となったことから、hTPO163蛋白質に付加された糖鎖
のシアル酸の量の不均一性が確認されたのと同時に、こ
こで得られたhTPO163が糖蛋白質としてCHO細胞で発現さ
れたものであることが明らかとなった。
(3)(2)で得られたFH、FM、FL及びFAの各画分をM
−07eアッセイ系でin vitro活性を調べたところ、相対
非活性は1mg hTPO163蛋白質(糖鎖重量を含まないペプ
チド部分の重量)当たり、それぞれ511000000、7750000
00、1150000000、715000000であった。
<実施例66> −1位にLys、−2位にMetが付加されたヒトTPO(アミ
ノ酸1−332)(以下「hMKT(1−332)」と称す)の大
腸菌用発現ベクターの構築及び発現 ヒトTPO全長アミノ酸を大腸菌で発現させるためアミ
ノ酸164以降のアミノ酸332までの使用コドンを以下に述
べるように大腸菌優先コドンに変更した。
21及び22;23及び24;25及び26;27及び28;29及び30;31
及び32;33及び34;35及び36;37及び38;39および40の合成
オリゴヌクレオチドを同チューブ中でT4キナーゼ(ファ
ルマシア社製)を用いて0.1mM ATP,10mM Tris−acetat
e,10mM Mg−acetate,50mM K−acetateの溶液中でリン酸
化した。さらに1/10量の100mM Tris/HCl(pH7.5),100m
M MgCl2,500mM NaClの溶液を加え、水浴中で3分間煮沸
した後、放置することにより二本鎖DNAとした。次に21
及び22;23及び24(組合わせA)、25及び26;27及び28;2
9及び30(組合わせB)、31及び32;33及び34(組合わせ
C)、35及び36;37及び38;39及び40(組合わせD)の四
組の二本鎖DNAをDNAライゲーションキット(宝酒造社
製)を用いて連結後、さらに(組合わせA)及び(組合
わせB)、(組合わせC)及び(組合わせD)をそれぞ
れ同様に連結し、得られた反応液を連結1及び連結2と
した。これらの反応液を鋳型として、連結1については
41および42、連結2については43及び44の合成オリゴヌ
クレオチドをプライマーとしてPCR反応を行った。連結
1のPCR反応で得られたPCR産物についてはSac I,EcoR
V、連結2のPCR反応で得られたPCR産物についてはEcoR
V,Hind IIIで消化後2%のアガロースゲルで泳動し、そ
れぞれ約240bp及び250bpの断片をプレップ−A−ジーン
DNA精製キットにより回収した。これら二本の断片ををS
ac IとHind IIIで消化したpBluescript II KS+(スト
ラタジーン社製)にサブクローニングした(宿主はE.co
li DH5を使用した)。得られたクローンのうち表6に示
したヌクレオチド配列を有するものをシークエンシング
により選択し、ここで得られたクローンをpBL(SH)(1
74−332)(配列番号154)とした。
次に実施例42で作成したpBL(XH)h6T(1−163)を
鋳型とし、以下の45及び46の合成オリゴヌクレオチドを
プライマーとしてPCR反応を行い、ここで得られたPCR産
物についてはBamH I,Sac Iで消化後6%のポリアクリル
アミドゲルで泳動し、約160bpの断片をゲルより回収し
た。またpBL(SH)(174−332)をSac I,Hind IIIで消
化して得られた約480bpの断片をプレップ−A−ジーンD
NA精製キットにより回収し、これら二本の断片をBamH I
とHind IIIで消化したpBluescript II KS+(ストラタ
ジーン社製)にサブクローニングした(宿主はE.coli D
H5を使用した)。
得られたクローンのうち表7に示した塩基配列を有す
るものをシークエンシングにより選択し、ここで得られ
たクローンをpBL(BH)(123−332)(配列番号157参
照)とした。
実施例42で作成したpBL(XH)h6T(1−163)をBamH
IとHind IIIで消化し、pBL(BH)(123−332)を同じ制
限酵素で消化して得られた約640bpの断片を連結してク
ローンpBL(XH)h6T(1−334)を作成した。さらに実
施例52で作成したPCFM536/hMKT(1−163)をXba I,Sfi
Iで消化して得られた約270bpの断片を、同じ制限酵素
で消化したpBL(XH)h6T(1−334)に連結してクロー
ンpBL(XH)hMKT(1−334)を作成した。pBL(XH)hMK
T(1−334)をXba I,Hind IIIで消化後、変異型のヒト
TPOアミノ酸1−332をコードする約1040bpの大きさのフ
ラグメントを回収して精製後、Xba I,Hind IIIで消化し
たpCFM536(特表昭60−501988)にクローニングした
(宿主はpMW1(ATCC No.39933)で予め形質転換された
E.coli JM109を使用した)。ここで得られたクローンを
pCFM536/hMKT(1−332)とし、この発現ベクターを有
する大腸菌株を変異型のhMKT(1−332)タンパク発現
用の形質転換体とした。この発現プラスミドは、配列表
(配列番号14)に示されたDNA配列を含んでいる。
ここで得られた形質転換体を、アンピシリン50μg/m
l、テトラサイクリン12.5μg/mlを含むLB培地60mlに30
℃で一晩振盪培養し、この培養液25mlをアンピシリン50
μg/mlを含むLB培地1000mlに加えて、ODはA600が1.0−
1.2に至るまで30℃で振盪培養した。次いで最終温度
が、42℃になるように65℃の約330mlLB培地を添加し、
さらに3時間42℃で振盪培養して変異型のヒトTPO、hMK
T(1−332)([Met-2、Lys-1]TPO(1−332)とも称
する)タンパクの発現を誘導した。
この培養菌体を直接SDS−PAGEにかけた。SDS−PAGEに
は第一化学社製のマルチゲル15/25を用い、泳動後にク
マシーブルー染色を行ったところhMKT(1−332)タン
パク質の発現を誘導したものに関しては、分子量約35kD
のところに発現誘導に特異的なタンパク質が検出され
た。一方、SDS−PAGE後にゲル上のタンパク質をニトロ
セルロース膜にエレクトロブロッティングし、実施例45
で作製した抗HT1ペプチト抗体と反応させ発色させたと
ころ、分子量約35kDのところにバンドが検出されたこと
から、hMKT(1−332)の発現が確認された。
<実施例67> ヒトTPO置換誘導体の作製、COS7細胞での発現及び活性
確認 ヒトTPOのアミノ酸の一部を置換した誘導体がTPO活性
を有するかどうかを以下のとおり検討した。
本実施例で用いた動物細胞発現ベクターpSMT201は以
下のように作製した。
まず、マウスエリスロポエチンレセプターcDNAを含む
発現プラスミドpXM−mEPORn(Dana Farbor癌研究所D′
Andrea博士より入手、Cell:57巻、277−285頁(198
9))を制限酵素Kpn IおよびEcoR Iで処理した後、アガ
ロースゲル電気泳動しマウスエリスロポエチンレセプタ
ーcDNA部分を除くpXMベクター断片を回収した。次に回
収したpXM発現ベクターに種々のクローニング用制限酵
素部位を導入するための2本の合成オリゴヌクレオチド
をABI社製DNA合成機を用いて作製した。合成したオリゴ
ヌクレオチドの塩基配列を以下に示す。
この2本のオリゴヌクレオチドを混合し、アニーリン
グさせ2本鎖オリゴヌクレオチドとした後、上記で回収
したpXMベクター断片とをT 4DNAリガーゼ(宝酒造製)
で結合させ、発現ベクターpDMT201を得た。次にこの発
現ベクターpDMT201に含まれるマウスDHFR cDNAを除去す
るためにpDMT201ベクター及びpEF18Sベクターを制限酵
素Not IおよびHpa Iで処理後アガロースゲル電気泳動
し、pDMT201ベクターDNA由来の大きい方の断片とpEF18S
ベクターDNA由来の小さい方の断片を回収し、T 4DNAリ
ガーゼ(宝酒造製)で結合させることにより発現ベクタ
ーpSMT201を得た。このベクターは、図21に示したとお
りSV40の複製開始領域およびエンハンサー配列、アデノ
ウィルス主要後期プロモーター配列、アデノウィルスト
リパータイトリーダー配列、スプライス信号配列、SV40
初期ポリアデニル部位配列、アデノウィルスVA RNA遺伝
子配列、pUC 18の複製開始領域、β−ラクタマーゼ遺伝
子(Apmr)を含み、目的とする遺伝子を連結するための
制限酵素配列として、Bgl II、Pst I、Kpn I、Xho I、E
coR I、Sma I、Spe IおよびNot I部位を有する。実施例
30で示した完全長ヒトTPO cDNAを含むpHTP1を制限酵素E
coR IおよびSep Iを用いて酵素消化し得られた完全長ヒ
トTPO cDNA断片を、同様に制限酵素消化したベクターpS
MT201にサブクローニングすることによりプラスミドpSM
T201−hTPOを得た。
以上のようにして得たプラスミドpSMT201−hTPOを鋳
型にして、まず誘導体作製用の鋳型となるプラスミドβ
GL−TPO/pBlueを以下のように作製した。
βGL−TPO/pBlueではヒトTPOの5′非翻訳側に、Annw
eilerらの方法に従いウサギのβ−グロビンリーダー配
列の付加を試みた(Annweilerら、Nucleic Acids Resea
rch、19巻、3750頁)。まず以下に示す化学合成した2
本のDNA鎖、そしてベクターBluescript II SK+(東洋
紡績社製)を制限酵素EcoR I及びSma Iで消化した断片
とをライゲーションすることによりリーダー配列が挿入
されたベクターβGL/pBlueを作製した。
PRに用いたプライマーの配列は以下の通り。
PCRはプラスミドpSMT201−hTPO DNA1ngを鋳型として
使用し、合成したプライマーをそれぞれ10μM使って実
施した。TaKaRa PCR Amplification Kit(宝酒造社製)
を用いて、Programmable Thermal Controller(MJ Rese
arch社製)により100μlの容量でPCR(94℃1分間、55
℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒
間、55℃1分間、72℃1分間を20サイクル)を行った。
PCR産物をクロロホルム抽出し、エタノール沈殿を2回
行った後100μlのテバッファーに溶解した。
これを制限酵素Sma I、Hind IIIで消化後、フェノー
ル/クロロホルム抽出、エタノール沈殿を行った。得ら
れた沈殿を10μlのTEバッファーに溶解後、同様に制限
酵素消化したベクターβGL/pBlueにサブクローニングし
た(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli J
M109を使用)。得られた形質転換体のうち20クローン選
択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolec
ular Cloning[Sambookら、Cold Spring Harbor Labora
tory Press(1989)]に記載されているようにして実施
した。精製したプラスミドDNAについてはTaq Dye Deoxy
TM Terminater Cycle Sequencing Kit(アプライドバイ
オシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステム
ズ社製373ADNAシークエンサーにより塩基配列の確認を
行った。βGL−TPO/pBlueをコードするプラスミドは全
長にわたり塩基配列の置換がなく予想通りのTPOcDNA配
列を持つことを確認した。さらにβGL−TPO/pBlueを制
限酵素Bgl II、Spe Iで消化後、フェノール/クロロホ
ルム抽出、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を10
μlのTEバッファーに溶解し、同様に制限酵素消化した
ベクターpSMT201にサブクローニングした(宿主菌は東
洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli JM109を使用)。
本質的にMolecular Cloning[Sambookら、Cold Spring
Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されている
方法に従い、形質転換体からプラスミドDNAを調製し
た。得られた発現ベクターpSMT/βGL−TPOは、図21に示
したpSMT201ベクターのスプライス信号配列の下流にあ
る制限酵素配列Bgl II/Spe I部位にβ−グロビンリーダ
ー配列及びヒトTPOcDNAが接続された構造を有してい
る。このpSMT/βGL−TPOベクターをCOS7細胞へのトラン
スフェクション実験に用いた。
ヒトTPO置換誘導体の作製にはPCRを利用し、Itoらの
方法に従った(Itoら、Gene、102巻、67−70頁 1991
年)。ここでは、ヒトTPOの25位のArg残基をAsn残基に
置換した誘導体、並びに33位のHis残基をThr残基に置換
した誘導体の作製を試みた。これらの誘導体の各々を
[Asn25]TPO、[Thr33]TPOと称する。PCRに用いたプ
ライマーの配列は以下の通り。
第1段階のPCRはプラスミドβGL−TPO/pBlue DNA1ng
を鋳型として使用し、合成したプライマーをそれぞれ10
μM使って実施した。プライマーの組み合わせは[1]
ΔBgl IIとend、[2]T7とN3、[3]T7と09である。T
aKaRa PCR Amplification Kit(宝酒造社製)を用い
て、Programmable Thermal Contraller(MJ Research社
製)により100μlの容量でPCR(94℃1分間、55℃2分
間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、55℃
1分間、72℃1分間を17サイクル)を行った。それぞれ
のPCR産物をクロロホルム抽出し、エタノール沈殿を2
度行った後100μlのTEバッファーに溶解した。このPCR
産物を2種類1μlずつ用いて第2段階のPCRを行っ
た。鋳型の組み合わせは[1]と[2]のPCR産物、
[1]と[3]のPCR産物である。用いたプライマーは
すべてT7とendの組み合わせである。94℃で10分間イン
キュベートした後TaKaRa Taqを加え、94℃1分間、55℃
2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、
55℃1分間、72℃1分間を9サイクル行った。それぞれ
のPCR産物に5mg/ml proteinase Kを1μl、0.5M EDTA
を2μl、20%SDSを2μl加え37℃で30分間保温しTaq
を失活させた後、フェノール/クロロホルム抽出、エタ
ノール沈殿し20μlの減菌水に溶解した。これを制限酵
素Bgl II、Spe Iで消化後、フェノール/クロロホルム
抽出、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を10μl
のTEバッファーに溶解後、同様に制限酵素消化しアルカ
リホスファターゼ(仔ウシ腸、ベーリンガー・マンハイ
ム社製)処理した発現ベクターpSMT201にサブクローニ
ングした(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイE.
coli JM109を使用)。得られた形質転換体のうち、それ
ぞれ2クローンずつ選択し、プラスミドDNAを調製し
た。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambokkら、Co
ld Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載
されているようにして実施した。精製したプラスミドDN
AについてはTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequen
cing Kit(アプアイドバイオシステムズ社製)を用い、
アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサ
ーにより塩基配列の確認を行った。
プライマー[1]と[3]を用いるPCRによって作成
されたプラスミドはアミノ酸置換[His33(CAC)→Thr
(ACC)]をもち、かつ元のC末端(Gly332)に以下の
アミノ酸配列TSIGYPYDXPDYAGVHHHHHH(配列番号169)が
付加されたTPO置換誘導体(O9/TPO)をコードするcDNA
が含まれていることが確認された。この誘導体は[Thr
33,Thr333,Ser334,Ile335,Gly336,Tyr337,Pro338,Tyr
339,Asp340,Val341,Pro342,Asp343,Tyr344,Ala345,Gly
346,Val347,His348,His349,His350,His351,His352,His
353]TPOと称する。
一方、プライマー[1]と[2]を用いるPCRによっ
て作成されたプラスミドはアミノ酸置換[Arg25(AGA)
→Asn(AAC)]以外に更に1カ所のアミノ酸置換[Glu2
31(GAA)→Lys(AAA)]もち、かつC末端(Gly332)
に以下のアミノ酸配列TSIGYPYDVPDYAGVHHHHHHが付加さ
れたTPO置換誘導体(N3/TPO)をコードするcDNAを含ん
でいることが判明した。この誘導体は[Asn25,Lys231,T
hr333,Ser334,Ile335,Gly336,Tyr337,Pro338,Tyr339,As
p340,Val341,Pro342,Asp343,Tyr344,Ala345,Gly346,Val
347,His348,His349,His350,His351,His352,His353]TPO
と称する。
得られたそれぞれのクローンのCOS7細胞へのトランス
フェクションは、実施例35に従いクロロキン処理を含む
DEAE−デキストラン法で行った。すなわちプラスミドDN
A40μgを使用し、トランスフェクション5日後に培養
上清を回収した。回収した培養上清をセントリコン−30
(アミコン社製)で20倍に濃縮しM−07eアッセイ系で
評価した。その結果、ヒトTPO置換誘導体N3/TPO、O9/TP
OをコードするプラスミドでトランスフェクトしたCOS7
細胞培養上清中に、いずれも容量依存的にTPO活性が検
出された(図22参照)。
<実施例68> ヒトTPO挿入・欠失誘導体の作製とCOS7細胞での発現及
びTPO活性の確認 hTPO163にアミノ酸を挿入した誘導体またはhTPO163か
らアミノ酸を欠失した誘導体がTPO活性を有するかどう
か検討した。
作製した誘導体は配列番号13のHis33欠失体([ΔHis
33]TPO(1−163)、dH33)、Gly116欠失体([ΔGly
116]TPO(1−163)、dG116)、Arg117欠失体([ΔAr
g117]TPO(1−163)]、dR117)His33とPro34の間へ
のThr挿入体([His33,Thr33,Pro34]TPO(1−163)、
T33′)、Ala挿入体([His33,Ala33′,Pro34]TPO(1
−163)、A33′)、Gly挿入体([His33,Gly33′,Pr
o34,Ser38]TPO(1−163)、G33′)およびGly116とAr
g117の間へのAsn挿入体([Gly116,Asn116′,Arg117]T
PO(1−163)、N116′)、Ala挿入体([Gly116,Ala
116′,Arg117]TPO(1−163)、G116′)、Gly挿入体
([Gly116,Gly166′,Arg117]TPO(1−163)、G11
6′)である。これらの配列の全ては配列番号13に基づ
く。これらのうちT33′、N116′はそれぞれムチン型糖
鎖、Asn結合型糖鎖の導入を意図した誘導体である。
誘導体の作製にはPCRを利用し、Itoらの方法に従った
(Itoら、Gene、102巻、67−70頁、1991)。PCRに用い
たプライマーの配列は以下の通り。
第1段階のPCRは実施例67で作製したプラスミドβGL
−TPO/pBlue DNA 1ngを鋳型として使用し、合成したプ
ライマーをそれぞれ10μM使って実施した。プライマー
の組み合わせは[1]dR IとendNot I、[2]T7と変異
導入プライマー(dH33,A33′,G33′,T33′,dG116,dR11
7,A116′,G116′,N116′)である。TaKaRa PCR Amplifi
cation Kit(宝酒造社製)を用いて、Programmable The
rmal Contraller(MJ Reserch社製)により100μlの容
量でPCRを行った。[1]の第1PCR反応は、94℃1分
間、45℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃
45秒間、45℃1分間、72℃1分間を17サイクル。[2]
の第1PCR反応は、94℃1分間、55℃2分間、72℃2分間
を3サイクル、続けて94℃45秒間、55℃1分間、72℃1
分間を17サイクル。それぞれのPCR産物をクロロホルム
抽出し、エタノール沈殿を2度行った後100μlのTEバ
ッファーに溶解した。
次に、[1]と[2]のPCR産物をそれぞれ1μlず
つ用いて第2段階のPCRを行った。用いたプライマーは
すべてT7とendNot Iの組み合わせである。94℃で10分間
インキュベートした後TaKaRa Taqを加え、94℃1分間、
55℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒
間、55℃1分間、72℃1分間を9サイクル行った。それ
ぞれのPCR産物に5mg/ml proteinase Kを1μl、0.5M E
DTAを2μl、20%SDSを2μl加え37℃で30分間保温し
Taqを失活させた後、フェノール/クロロホルム抽出、
エタノール沈殿し20μlの滅菌水に溶解した。これを制
限酵素EcoR I、Not Iで消化後、フェノール/クロロホ
ルム抽出、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を10
μlのTEバッファーに溶解後、同様に制限酵素消化しア
ルカリホスファターゼ(仔ウシ腸、ベーリンガー・マン
ハイム社製)処理した発現ベクターpEF18Sにサブクロー
ニングした(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイ
E.coli JM109を使用)。得られた形質転換体からプラス
ミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning
[Sambookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。精製
したプラスミドDNAについてはTaq Dye DeoxyTM Termina
ter Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステム
ズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373A
DNAシークエンサーにより塩基配列の確認を行った。そ
の結果、dH33、A33′、T33′、dG116、dR117、A116′、
G116′、N116′をコードするプラスミドは全長にわたり
意図した部位以外に塩基配列の置換がなく予想通りのTP
OcDNA配列を持つことを確認した。また、G33′では意図
した部位以外に1カ所のアミノ酸置換をもたらす塩基置
換[Pro38(CCT)→Ser(TCT)]が認められた。
得られたそれぞれのクローンのCOS7細胞へのトランス
フェクションは、実施例11に従って行った。すなわちプ
ラスミドDNA10μgを使用し、クロロキン処理を含むDEA
E−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行
い、4−5日後に培養上清を回収した。回収した培養上
清をM−07eアッセイ系で評価した。その結果、アミノ
酸挿入・欠失誘導体をコードするプラスミドでトランス
フェクトしたCOS7細胞内容上清中に、いずれも容量依存
的にTPO活性が検出された(図23参照)。TPO誘導体をコ
ードするcDNAを含まない発現プラスミドpEF18Sをトラン
スフェクションしたCOS7細胞培養上清には活性が認めら
れなかった。
<実施例69> 抗ヒトTPOペプチド抗体の作製と精製 (1)配列番号191に示されるヒトTPOのアミノ酸配列の
うち、比較的抗原として適していると考えられた6ヵ所
の領域(表8に示す)を選び、Tam(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,85,5409−5413,1988)の方法により4本鎖のMult
iple Antigen Peptide(MAP)型のペプチドを合成し、1
00μgずつ8回にわたってそれぞれウサギ2把に免疫し
た。
配列番号119〜124に示される各ペプチド領域(これら
はそれぞれペプチド領域HT1〜6領域と称し、配列番号1
91の配列の8〜28、47〜62、108〜126、172〜190、262
〜284及び306〜332に相当する部分ペプチドである)の
C末端にシステイン残基を結合させた1本鎖ペプチドを
別途合成し、これを試験抗原として炭素免疫測定法を用
いて抗体価を調べたところ、いずれの血清についても抗
体価の上昇が確認されたので、これらを抗血清とした。
なお、前述のC末端にシステイン残基を結合させた1
本鎖合成ペプチドは、後述(2)の抗血清からのアフィ
ニティ精製のための抗原としても用いた。
(2)抗体は、1種の抗原ペプチドにつきウサギ2把ず
つ免疫したため、それぞれのウサギごとに抗体を分けて
調製した。具体的には、これら由来するウサギの個体ご
とに区別して、抗HT1ペプチド抗体では、それぞれ、抗H
T1−1ペプチド抗体、抗HT1−2ペプチド抗体の様に称
する。
以下に抗HT1−1ペプチド抗体についての調製を例と
して示す。
まず、システイン残基を結合したHT1の1本鎖ペプチ
ド30mgを12mlのSulfoLinkカップリングゲル(Pierce社
製、カタログ番号44895)に結合させた。即ち、ゲル体
積の6倍容のカップリングバッファー(50mM Tris、5mM
EDTA−Na pH8.5)で平衡化したゲルに、抗原の含まれ
るペプチド溶液を15分間カップリングさせる。次に30分
間静置した後、ゲル体積の3倍容のカップリングバッフ
ァーでゲルを洗浄する。次に0.05M L−Cystein−HClを
含むカップリングバッファーを、1ml/mlゲルの割合で添
加し、15分間未反応基をブロックする。次に30分間静置
した後、ゲル体積の8倍容のカップリングバッファーで
ゲルを洗浄する。以上のカップリングは室温で行った。
このようにして、抗原領域を含むペプチドをカップリン
グ効率28.3%にてゲルに共有結合させ、1mlゲル当たり
に結合したペプチドが0.8mgである抗原ペプチド抗原カ
ラムを調製した。次に、全採血後の抗HT1−1ペプチド
抗体を含む抗血清78.4mlのうち76.7lm(蛋白質量3620m
g)を予め150mMのNaCl、0.05%アジ化ナトリウムを含む
50mMリン酸緩衝液(pH8)で平衡化した抗原カラムに添
加し、さらに同緩衝液で洗浄後105.9mlの素通り画分
(蛋白質量3680mg)を得た。次に0.1Mクエン酸緩衝液
(pH3.0)で吸着画分を溶出し、ただちに21.1mlの0.1M
炭酸緩衝液(pH9.9)を加えて中和後、減外濾過(アミ
コン社製YM30膜)にて濃縮し、11.2ml(蛋白質量77.7m
g)の150mMのNaCl、0.05%アジ化ナトリウムを含む50mM
リン酸緩衝液(pH8)の溶液中に精製された抗HT1−1ペ
プチド抗体を得ることができた。同様にして、抗HT1−
2ペプチド抗体(60.0mg)、抗HT2−1ペプチド抗体(1
8.8mg)、抗HT2−2ペプチド抗体(8.2mg)などを得る
ことができた。
抗HT3〜6ペプチド抗体も同様にして得ることができ
る。
<実施例70> ウエスターン分析によるTPOの検出 (1)実施例69で得られた抗血清の評価をするために、
以下のような試験を行った。
配列番号6のアミノ酸配列−21〜332をコードする遺
伝子を導入・発現させたCHO細胞の培養上清から部分精
製された組換えヒトTPO標品を常法に従い、SDS−ポリア
クリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)にかけ、次いでPVD
Fあるいは、ニトロセルロース膜にエレクトロブロティ
ングした。ブロッティング後の膜を20mM Tris−HCl、0.
5M NaCl(pH7.5)(TBS)で5分洗浄し、0.1%Tween 20
入りTBS(TTBS)で5分2回洗浄後、ブロッキング剤(B
lockAce、大日本製薬社製、カタログ番号UK−B25)で60
分処理した。抗HT1−1ペプチド抗体、抗HT2−1ペプチ
ド抗体、抗HT3−2ペプチド抗体、抗HT4−1ペプチド抗
体、抗HT5−2ペプチド抗体、抗HT6−1ペプチド抗体を
含む抗血清を、それぞれ0.05%BSA、10%BlockAcuを含
むTTBS溶液で1000倍希釈した抗体を一次抗体として用い
てウェスタン分析を行った。即ち、抗TPOペプチド抗
体、0.05%BSA、10%BlockAceを含むTTBS溶液で60分後
処理後、TTBSで5分間洗浄した。次に抗ウサギF(a
b′)ヤギビオチン化抗体(CALTAG社製,カタログ番号L
43015)、0.05%BSA、10%BlocAceを含むTTBS溶液を二
次抗体として60分処理後、TTBSで5分2回洗浄した。次
にアルカリフォスファターゼ標識アビジン(Leinco Tec
hnologies社製、カタログ番号A108)を10%BlockAce、T
TBS溶液で5000倍希釈したものを含む溶液で30分処理
し、5分2回のTTBS洗浄、5分間のTBS洗浄を行った
後、アルカリフォスファターゼ基質(Bio−Rad社製、カ
タログ番号170 6432)により発色させた。以上のウエス
タン分析は室温にて実施した。その結果、それぞれの抗
血清により、ヒトTPOが認識、検出されることが確認で
きた。
(2)実施例69でアフィニティ精製した抗HT1−1ペプ
チド抗体、抗HT1−2ペプチド抗体、抗HT2−1ペプチド
抗体、抗HT2−2ペプチド抗体をそれぞれ3mgをとり活性
型ビオチン(NHS−LC−Biotin II、PIERCE社製、カタロ
グ番号21336)とカップリングすることにより、ビオチ
ン化した。上記(1)の組換えヒトTPO標品をSDS−PAGE
にかけ、次いでPVDFあるいは、ニトロセルロース膜にエ
レクトロブロティングし、常法によりこれらのビオチン
化抗体を一次抗体として用いてウェスタン分析を行っ
た。即ち、ブロッティング後の膜をTBSで5分洗浄し、T
TBSで5分2回洗浄後、ブロッキング剤(BlockAce)で6
0分処理した。次に1μg/mlの濃度のビオチン化抗TPOペ
プチド抗体、0.05%BSA、10%BlockAceを含むTTBS溶液
で60分後処理後、TTBSで5分2回洗浄した。次にアルカ
リフォスファターゼ標識アビジン(Leinco Technologie
s社製、カタログ番号A108)を10%BlockAce、TTBS溶液
で5000倍希釈したものを含む溶液で30分処理し、5分2
回のTTBS洗浄、5分間のTBS洗浄を行った後、アルカリ
フォスファターゼ基質(Bio−Rad社製、カタログ番号17
0 6432)により発色させた。以上のウエスタン分析は室
温にて実施した。その結果、それぞれの精製された抗体
により、ヒトTPOが認識、検出されることが確認でき
た。
<実施例71> 抗TPOペプチド抗体カラムの調製とヒトTPOの検出 実施例69で得られた抗ヒトTPOペプチド抗体は、ヒトT
POを認識することが確認されたため、これらを以下のよ
うにして、クロマトグラフィー担体に結合させ、抗TPO
ペプチド抗体カラムを作製した。以下、抗HT1−2ペプ
チド抗体で実施した例を示す。
(1)抗体を5mg/mlの濃度で含む50mM Na Phosphate,0.
15M NaCl(pH8.0)の溶液とし、これを0.8mlとり、1.54
m体積の膨潤したホルミル活性化ゲル(Formyl−Cellulo
fine、チッソ株式会社製)と合わせ、4℃で2時間カッ
プリング反応させた。次いで、10mg/mlの濃度の還元剤
溶液(Trimethylamine borane(TMAB)、生化学工業
製、カタログ番号680246)を1.1ml加え、さらに4時間
カップリング反応させた後、遠心分離によりゲル部分の
みを回収した。これに10mlの精製水を加え、遠心分離で
ゲル部分のみの回収といった操作を4回繰り返し、未反
応の抗体を取り除いた。次に3.1mlのブロッキング緩衝
液(0.2M Na Phosphate,1M ethanol amine(pH7.0))
と1.1mlの還元剤溶液を加え、4℃で2時間以上処理す
ることにより、未反応のゲルの活性基をブロックした。
最後にゲルを遠心分離を用いて精製水、20mM Tris−HC
l、0.15M NaCl(pH8.0)で洗浄し、小カラムチューブに
充填し、3Mチオシアン酸ナトリウム溶液、0.1Mグリシン
−HCl(pH2.5)溶液で洗浄後、再度20mM Tris−HCl、0.
15M NaCl(pH8.0)で再平衡化して保存した。
抗HT1−2抗体カラムの抗TPOペプチド抗体ゲルでは、
各IgG画分のカップリング効率は94.2%、に達した。ま
た、ゲル体積当たりにカップリングしたIgG画分量は、
1.9mg/mlゲル、であった。同様に、TPOを抗原としないI
gGを1mlゲル当たり21.8mg結合させたゲルを調製し、こ
れを(2)に述べるように、TPO抗体カラムの非特異的
結合分子の除去を目的としたプレカラム(以下プレ抗体
カラムと称す)として用いた。
(2)以下に抗HT1−2抗体カラムでの別の例を説明す
る。配列番号119〜124のアミノ酸配列をコードする遺伝
子を導入・発現させたCHO細胞の培養上清から部分精製
された組換えヒトTPO標品を(1)で調製したプレ抗体
カラム(1mlゲル)に添加し、この後ゲル体積の10倍容
の20mM Tris−HCl pH8.0、0.15M NaClで素通り画分を集
めた。次にゲル体積の10倍容の酸性溶離液(0.1M Glyci
ne−HCl(pH2.5))でプレ抗体カラム吸着画分を溶出さ
せた。次にプレ抗体カラム素通り画分を(1)で調製し
た抗HT1−2抗体カラム(2mlゲル)に添加後、ゲル体積
の10倍容の20mM Tris−HCl PH8.0、0.15 NaClで洗浄
し、抗HT1−2抗体カラム素通り画分を集めた。次にゲ
ル体積の8倍容の酸性溶離液(0.1M Glycine−HCl(pH
2.5))で抗HT1−2抗体カラム吸着画分を溶出させた。
SDS−PAGEでこれらの画分を調べたところ、TPOはプレ抗
体カラムには吸着することがなく、かつ抗HT1−2抗体
カラムには特異的に結合し、添加標品中のほとんどすべ
てのTPOが結合したことが判明したので、1mlゲル当たり
少なくとも200〜300μgのTPOが結合したことが確認で
きた。
<実施例72> TPOによる血小板増加作用 あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウン
ター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定
した正常な8週齢のICR系雄性マウス20匹を無作為に4
群に分けた。そのうちの1群(コントロール−iv群)に
は100μlのPBSを1日1回5日間連続で静脈内に投与
し、他の1群(TPO−iv群)には実施例56で得られたSP
Sepharose Fast FlowのヒトTPO活性画分F2の濃縮液をNA
P−25カラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタロ
グ番号17−0852−02)でPBSに置換し、さらにPBSで希釈
したもののうち100μl(M−07eアッセイ系での相対活
性量211,900を含む)を1日1回5日間連続で静脈内に
投与した。また、別の1群(コントロール−sc群)には
100μlのPBSを1日1回5日間連続で皮下に投与し、他
の1群(TPO−sc群)にはTPO−iv群と同様に100μlを
1日1回5日間連続で皮下に投与した。投与開始後6、
8、10、13、15日目にそれぞれのマウスの眼窩静脈より
経日的に採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電
子製、F−800)にて血小板数を測定した。血小板数の
推移を図24に示した。すなわち、コントロール−iv群で
は血小板数は最も増加した6日目(0日目は投与した日
である)においても投与前と比較して44%の増加であ
り、コントロール−sc群では最も増加した8日目におい
て47%増加が観察されたにすぎなかった。その一方で、
TPO−iv群では6日目には投与前と比較して177%の増加
がみられ、その後も増加を続け10日目には469%という
最大の増加が観察された。また、TPO−sc群では6日目
にすでに347%の増加が見られ、8日後には最大の493%
の増加が観察された。
以上の結果より、ヒトTPOは種差、投与ルートに関係
なく血小板の増加作用を有することが確認された。
<実施例73> TPOによる血小板増加作用 あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウン
ター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定
した正常な11週齢のC3H/HeJ系雄性マウス16匹を無作為
に4群に分けた。そのうちの1群(コントロール群)に
は100μlのPBSを1日1回5日間連続で皮下に投与し
た。他の1群(TPO−1群)には実施例56で得られたSep
hacryl S−200HRのヒトTPO活性画分をNAP−25でPBSに置
換し、さらにPBSで希釈したもののうち100μl(M−07
eアッセイ系での相対活性量83,000を含む)を1日1回
5日間連続で皮下に投与した。別の1群(TPO−2群)
にはTPO−1群で投与したTPO活性画分をさらにPBSで2
倍に希釈したもののうち100μl(M−07eアッセイ系で
の相対活性量41,500を含む)を1日1回5日間連続で皮
下に投与した。また最後の1群(TPO−3群)にはTPO−
2群で投与したTPO活性画分をさらにPBSで2倍に希釈し
たもののうち100μl(M−07eアッセイ系での相対活性
量20,750を含む)を1日1回5日間連続で皮下に投与し
た。
投与開始後6、8、10、12日目にそれぞれのマウスの
眼窩静脈より経日的に採血し、マイクロセルカウンター
(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定し
た。
血小板数の推移を図25に示した。すなわち、コントロ
ール群では血小板数にほとんど変動が見られなかった。
TPO投与群では、いずれの群においても投与開始8日目
に最大となるような血小板数の増加が認められた。ま
た、各投与群の間には用量依存性が認められた。すなわ
ち、TPO−1群では、6日目に既に約200%の増加が見ら
れ、8日目には約270%にまで増加した。その後減少し
たが、12日目においても約65の増加が見られコントロー
ル群との間に有意差(p<0.01:ダネットの多重比較検
定:Dunnet multiple comparison test)が認められた。
TPO−2群においても同様に増加が見られたが、増加作
用はTPO−1群には及ばないものの6、8日目にはそれ
ぞれ約140%、約160%の増加を認めた。また、12日目に
はコントロール群とほぼ同様のレベルにまで減少した。
TPO−3群における増加作用はTPO−2群よりもさらに弱
かったが、最高値に達した8日目には約110%の増加が
見られており、コントロール群との間に有意差(p<0.
01)も認められた。
以上の結果より、ヒトTPOは、マウスの系統に関係な
く血小板数を増加させること、またその作用には用量依
存性があることが確認された。
<実施例74> TPOによる制がん剤投与による血小板減少症阻止効果 8週齢のICR雄性マウス30匹に5−FUを200mg/kg体重
の割合で静脈内投与した後、無作為に各々15匹の2群に
分け、その翌日(Day1)より一方の群(コントロール
群)には100μlのPBSを1日1回5日間連続で皮下に投
与した。またもう一方の群(TPO群)には、実施例72で
用いたヒトTPO活性画分100μl(M−07eアッセイ系で
の相対活性量211,900を含む)を1日1回5日間連続で
皮下に投与した。
投与開始後Day4、6、8にそれぞれの群より各々5匹
のマウスを無作為に抽出し、眼窩静脈より採血し、マイ
クロセルカウンター(東亜医用電子製、E−2500)にて
血小板数を測定した。血小板数の推移を図26に示した。
すなわち、コントロール群では5−FU投与後血小板数は
経日的に減少し、Day6には最低値(5−FU投与前値の約
28%)に達したが、Day8には減少の反動で約1.3倍にま
で増加した。TPO群においても5−FU投与後血小板数は
経日的に減少し、Day6には最低値(5−FU投与前値の約
52%)に達したがDay4と6の血小板数にほとんど差はな
く、また、Day6においてはコントロール群に比して有意
(p<0.05:ダネットの多重比較検定)に高値を維持し
た。Day8においては、5−FU投与前値の約200%にまで
増加した。
以上の結果より、ヒトTPOには、制がん剤による血小
板減少を阻止する効果があることが確認された。
<実施例75> TPOによる血小板減少症治療効果 7週齢のICR雄性マウス36匹に塩酸ニムスチン(ACN
U)を50mg/kg体重の割合で静脈内投与した後、無作為に
各々18匹の2群に分け、その翌日(Day1)より一方の群
(コントロール群)には200μlのPBSを1日2回連日皮
下投与し、またもう一方の群(TPO群)には、実施例73
で用いたTPO活性画分にPBSで希釈せずに0.04%の割合で
Tween−80を添加したもの200μl(M−07eアッセイ系
での相対活性量380,000を含む)を1日2回連日皮下投
与した。
投与開始後各々の群でマウスを無作為に3群に分け、
それぞれをDay5、12に採血する群、Day8、14に採血する
群そしてDay10に採血する群とした。採血は眼窩静脈よ
り行い、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F
−800)にて血小板数を測定した。血小板数の推移を図2
7に示した。すなわち、コントロール群ではACNU投与後
に血小板数は経日的に減少し、Day8〜10で最低(各々AC
NU投与前値の約29%)となり、Day12に約49%、Day14に
約74%に回復したにすぎなかった。一方TPO群では、Day
5にはACNU投与前値の約38%にまで減少した。その後は
増加に転じ、ACNU投与前値に比してDay8では約63%にま
で回復し、Day10以降はACNU投与前値以上の血小板数を
示し、Day12では約300%、Day14では約400%にまで増加
した。
以上のように、コントロール群では減少の過程にある
Day8〜10において既にTPO群では増加に転じており、Day
10で既にACNU投与前値以上の血小板数まで増加している
ことから、ヒトTPOは制ガン剤により惹起される血小板
減少からの回復を促進する効果を有することが確認され
た。
なお、実施例74の結果を併せてもヒトTPOには制ガン
剤の種類に関係なく血小板数の減少を阻止する効果およ
び血小板減少からの回復を促進する効果を有することが
期待される。
<実施例76> TPOによるBMT施行後の血小板減少症治療効果 7週齢のC3H/HeN系の雄性マウス48匹に10Gyの放射線
を全身照射した後、同系のマウスの骨髄細胞1×106
を直ちに静脈内投与した。そこで無作為に2群に分け、
翌日(Day1)より一方の群(コントロール群)にはPBS
を、他方の群(TPO群)には実施例73で用いたTPO活性画
分(M−07eアッセイ系での相対活性量44,000を含む)
をそれぞれ1日1回100μlずつ20日間連日で皮下投与
した。
投与開始後Day5、10、14、21にそれぞれの群より各々
6匹のマウスを無作為に抽出し、眼窩静脈より採血し、
マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、E−2500)
にて血小板数を測定した。
血小板数の推移を図28に示した。すなわち、いずれの
群においてもBMT施行後に血小板数は経日的に減少し、D
ay10に最低(BMT施行前の約3%)となった。その後は
徐々に回復し、Day14にはコントロール群で約11%、TPO
群で約13%となった。Day21にはコントロール群では37
%に回復したにすぎなかったが、TPO群では約65%にま
で回復し有意な回復促進効果が認められた。
以上の結果より、実施例56で調製されたヒトTPOに
は、BMT施行後の血小板数の回復を促進する効果がある
ことが確認された。
<実施例77> TPOによる放射線照射後の血小板減少症治療効果 8週齢のICR系の雄性マウス36匹に5GyのX線を全身照
射した後、無作為に2群に分け、翌日(Day1)より一方
の群(コントロール群)にはPBSを、他方の群(TPO群)
には実施例73で用いたTPO活性画分(M−07eアッセイ系
での相対活性量1,440,000を含む)をそれぞれ1日1回
3日間連日で皮下投与し、翌日よりM−07eアッセイ系
での相対活性量360,000を1日1回7日間連日で皮下投
与した。投与開始後各々の群でマウスを無作為に3群に
分け、それぞれをDay4、11、21に採血する群、Day7、13
に採血する群そしてDay9、15に採血する群とした。採血
は眼窩静脈より行い、マイクロセルカウンター(東亜医
用電子製、F−800)にて血小板数を測定した。図29に
血小板数の推移を示した。すなわち、コントロール群で
はX線照射後に血小板数は経日的に減少し、Day9で最低
(X線照射前値の約25%)となり、Day11に約38%、Day
13に約67%に回復し、Day15にX線照射前値にまで回復
した。一方TPO群では、Day7にはX線照射前値の約24%
にまで減少した。その後は増加に転じ、X線照射前値に
比してDay9では約82%にまで回復し、Day11以降はX線
照射前値以上の血小板数を示し、Day21までその傾向は
維持された。
以上のように、コントロール群では減少の過程にある
Day9において既にTPO群では増加に転じており、Day11で
既にX線照射前値以上の血小板数まで増加し、その後も
高値を維持した。一方、コントロール群ではX線照射前
値以上の血小板数まで回復するために15日を要してい
る。この結果より、実施例56で産生されたヒトTPOは放
射線照射後の血小板減少からの回復期間を短縮すること
が認められ、放射線照射後の血小板減少症治療効果が認
められた。
<実施例78> hTPO163による血小板増加作用 あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウン
ター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定
した正常なC3H/HeN系雄性マウス15匹を無作為に4群
(コントロール群、A,B,C群)に分けた。1群(コント
ロール群)には0.1%のマウス血清を含むPBSを1日1回
5日間連続で皮下に投与した。A群には、実施例65で得
られたSP Sepharose Fast FlowのTPO活性画分を0.1%の
マウス血清を含むPBSで希釈しhTPO163を1日あたり、M
−07eアッセイ系での相対活性量として約40,000,000/kg
体重、B群には同様にM−07eアッセイ系での相対活性
量として約8,000,000/kg体重、そしてC群にも同様にM
−07eアッセイ系としての相対活性量として約1,600,000
/kg体重の割合で5日間連続で皮下に投与した。
投与開始後6、8、10、12日目にそれぞれのマウスの
眼窩静脈より経日的に採血し、マイクロセルカウンター
(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定し
た。血小板数の推移を図30に示した。
すなわち、コントロール群では血小板数にほとんど変
動が見られなかった。TPO投与群では、いずれの群にお
いても投与開始8日目に最大となるような血小板数の増
加が認められた。また、各投与群の間には用量依存性が
認められた。すなわち、A群では、6日目に約88%、8
日目に約100%の増加が見られ、10日目においても約97
%の増加を維持し、いずれもコントロール群との間に有
意差(p<0.01:ダネットの多重比較検定)が認められ
た。B群においても同様に増加が見られたが、増加作用
はA群には及ばないものの6、8日目にはそれぞれ約65
%、約84%の増加を認め、コントロール群との間に有意
差(p<0.01もしくはp<0.05:ダネットの多重比較検
定)が認められた。C群における増加作用はB群よりも
さらに弱かったが、最高値に達した8日目には約31%の
増加が見られた。
以上の結果より、実施例65で産生されたhTPO163に
は、血小板を増加させること、またその作用には用量依
存性があることが確認された。
<実施例79> hTPO163による血小板減少症治療効果 8週齢のC3H/HeN雄性マウス100匹に塩酸ニムスチン
(ACNU)を50mg/kg体重の割合で静脈内投与した後、無
作為に各々25匹の4群(コントロール,A,B,C群)に分
け、その翌日(Day1)よりコントロール群にはPBSを5ml
/kg体重の割合で1日1回連日皮下投与し、A群には実
施例65で得られたSP Sepharose Fast FlowのTPO活性画
分をPBSで希釈し、hTPO163をM−07eアッセイ系におけ
る相対活性量として約16,000,000/kg体重の割合で1日
1回連日皮下投与した。B群には同様にM−07eアッセ
イ系における相対活性量として約48,000,000/kg体重の
割合で、またC群にはM−07eアッセイ系における相対
活性量として約160,000,000/kg体重の割合で1日1回連
日皮下投与した。
投与開始後各々の群でマウスを無作為に5群に分け、
それぞれをDay5、8、10、12そして14に採血した。採血
は眼窩静脈より行い、マイクロセルカウンター(東亜医
用電子製、E−2500)にて血小板数を測定した。血小板
数の推移を図31に示した。
すなわち、コントロール群ではACNU投与後に血小板数
は経日的に減少し、Day8〜10で最低(ACNU投与前値の約
15〜16%)となり、Day12に約28%、Day14に約51%に回
復したにすぎなかった。一方A群では、Day8にはACNU投
与前値の約25%にまで減少したが、その後は増加に転
じ、Day10には約34%に、Day12には約89%に、そしてDa
y14にはACNU投与前値以上にまで回復した。
以上のように、いずれの群においても血小板数の最低
値はDay8に観察されたが、ヒトTPO投与群ではコントロ
ール群に比して減少が緩やかであり、最低値の底上げが
見られた。また、コントロール群ではDay10においても
血小板数の回復はほとんど見られなかったが、ヒトTPO
投与群ではDay10には程度の差はあるが全ての群で血小
板数の回復が観察され、50μg/kg投与群ではDay12には
すでにACNU投与前置以上にまで回復した。コントロール
群ではDay14においてもACNU投与前置の約51%に回復し
たにすぎなかったことと比較すると、実施例65で生産さ
れたhTPO163は、血小板減少からの回復を促進する効果
を有することが明らかとなった。以上、hTPO163は制ガ
ン剤により惹起される血小板減少症に対する治療効果が
認められた。
以下、製剤例を示す。
<実施例80> 実施例56で得られたヒトTPO画分を濃縮し、無菌処理
した後−20℃で凍結された凍結物を用いて注射剤とし
た。
<実施例81> 実施例56で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無
菌操作で10mlバイアル瓶に5ml充填し、−20℃で凍結乾
燥後、ゴム栓に施栓した凍結乾燥物を用いて注射剤とし
た。
<実施例82> 実施例56で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無
菌濾過した後10mlバイアル瓶に充填し注射剤とした。
<実施例83> 実施例65で得られたhTPO163画分を濃縮し、これを無
菌処理した後−20℃で凍結された凍結物を用いて注射剤
とした。
<実施例84> 実施例56で得られたhTPO163画分を濃縮し、これを無
菌操作で10mlバイアル瓶に5ml充填し、−20℃で凍結乾
燥後、ゴム栓に施栓した凍結乾燥物を用いて注射剤とし
た。
<実施例85> 実施例65で得られたhTPO163画分を濃縮し、これを無
菌濾過した後10mlバイアル瓶に充填し注射剤とした。
<実施例86> 実施例57で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無
菌処理した後−20℃で凍結された凍結物を用いて注射剤
とした。
<実施例87> 実施例57で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無
菌操作で10mlバイアル瓶に5ml充填し、−20℃で凍結乾
燥後、ゴム栓に施栓した凍結乾燥物を用いて注射剤とし
た。
<実施例88> 実施例57で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無
菌濾過した後10mlバイアル瓶に充填し注射剤とした。
<実施例89> 再生不良性イヌ血漿 Mazur,E.とSouth,K.,Exp.Hematol.13:1164−1172(19
85)、Arriaga,M.,South K.,Cohen J.L.及びMazur,E.
M.,Blood 69:486−492(1987)、Mazur,E.,Basilico,
D.,Newton,J.L.,Cohen,J.L.,Charland,C.,Sohl,P.A.及
びNarendran,A.,Blood 76:1771−1782(1990)の記載に
準じて、但し総線量 450ラドの照射を施すことによって
ヘパリン処理再生不良性イヌ血漿(「APK9」)又は正常
イヌ血漿(「NK9」)を調整した。
<実施例90> ヒト巨核球アッセイ 下記の実施例に記載の多くの手順又は適切な代替手順
に関する標準方法は、広く認知されている分子生物学マ
ニュアル、例えばSambrookら編、Molecular Cloning、
2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1987)
及びAusubelら編、Current Protocols in Moleculer Bi
ology,Green associates/Wiley Interscieuce,New York
(1990)に提供されている。
APK9及び分画APK9を、CD34+前駆細胞からのヒト巨核
球の発生を刺激する能力について、アッセイした。CD34
選択細胞は、Hokom,M.H.,Choi,E.,Nichol,J.L.,Hornkoh
l,A.,Arakawa,T.及びHunt,P.,Molecular Biology of Ha
ematopoiesis 3:15−31,1994の記載に準じて末梢血から
得て、1%Glutamine Pen−strep(Irvine Scientific,
Santa Ana,CA)と10%ヘパリン処理ヒトAB血漿(血小板
数少ない)を補充したIscoveの改良Dulbecco培地(IMD
M;GIBCO,Grand Island,NY)中でインキュベートした。
この培地中にはさらに、2−メルカプトエタノール(10
-4M)、ピルビン酸(110μg/ml)、コレステロール(7.
8μg/ml)、アデノシン、グアニン、シチジン、ウリジ
ン、チミジン、2−デオキシシトシン、2−デオキシア
デノシン、2−デオキシグアノシン(各10μg/ml、Sigm
a)、ヒト組換えインスリン(10μg/ml)、ヒトトラン
スフェリン(300μg/ml)、ダイズ脂質(1%、Boehrin
ger Mannheim,Indianapolis,IN)、ヒト組換え塩基性線
芽細胞増殖因子(2ng/ml、Genzyme,Cambridge,MA)、ヒ
ト組換え上皮細胞成長因子(15ng/ml)、血小板由来増
殖因子(10ng/ml、Amgen,Inc.,Thousand Oaks,CA)を含
有させた。CD34選択細胞を、Terasaki式マイクロタイタ
ープレート(Vanguard,Inc.,Neptune,NJ)のウェル中に
培地1mlあたり2×105細胞、最終容量15μlとなるよう
に入れた。細胞を37℃8日間5%CO2含有空気の存在下
加湿箱中でインキュベートし、1%グルタルアルデヒド
を用いて培養ウェルに直接固定し、モノクローナル抗体
カクテル(抗GP I b、抗GP II B(Boidesign)及び抗GP
I b(Dako,Carpinteria,CA))と一緒にインキュベー
トした。免疫反応は、ストレプトアビジン−β−ガラク
トシダーゼ検出系(Histo Mark,Kirgegaard及びPerry)
を用いて発色させた。青色(blue color)によって識別
される巨核球を、逆相顕微鏡下、倍率×100で計数し
た。結果は、ウェルあたりの巨核球平均数±平均標準誤
差(SEM)で示した。ある場合には、データは「巨核球
ユニット/ml」で表わされ、この場合、ある与えられた
サンプルが巨核球発生を誘起する度合がこの実験の陽性
APK9コントロールに対して標準化された。1ユニット
は、APK9標準1μlと同様の巨核球を生じさせる物質の
量として定義される。活性は、5〜10μg/ml MPL−X
(可溶性Mpl受容体)でブロックされうる場合、MPLリガ
ンドによるものとして受入れられた。
APK9は、この系でヒト巨核球発生を刺激する因子を含
むことが実証されている。CD34選択細胞を10%NK9と8
日間インキュベートすると、青色染色された巨核球をほ
とんど示さないが、該細胞を10%APK9と一緒にインキュ
ベートすると青色染色巨核球が極めて多数認められた。
図32から、ヒト巨核球培養系に添加するMpl−Xの濃
度を上げていくと、巨核球の発生が増々ブロックされる
ことが判る。5μg/ml以上のMpl−X濃度では、完全な
阻害が起こる。この実験では、CD34選択細胞は5%APK9
で刺激を受けたが、これは、Mpl−X(多分Mplリガン
ド)と相互作用する活性がヒト巨核球発生に必要である
ことを示すと共に、MplリガンドがAPK9自体に存在して
いることを示している。
さらに、この実験から、ヒト巨核球発生に必要なMpl
リガンド活性がAPK9中に存在することが立証された。AP
K9(135ml)をIscove培地で6倍に希釈し、Mpl−Xアフ
ィニティカラムに載せた。素通りする未結合物質を集め
て、アッセイ前の元の容量まで濃縮した。結合物質は10
mlの1M NaCl中に溶出し、そのプールの20%を透析ろ過
し、アッセイのため4倍に濃縮した。培地単独でインキ
ュベートしたCD34選択細胞では、巨核球への発生がみら
れなかった。5%APK9(カラムに載置したのと同じプー
ル)中でインキュベートした細胞は、ウェルあたり48±
8個の巨核球の発生がみられた。10%の未結合物質中で
インキュベートした細胞では巨核球の発生はみられなか
った。10%の前記溶出プール中でインキュベートした細
胞はウェルあたり120±44個の巨核球細胞を発生させ
た。カラムロード(column load)、溶出プールの活性
のいずれもこのアッセイにおいて5μg/ml Mpl−Xに
より実質的に完全に阻害された。
<実施例91> マウス又はヒトMpl受容体のマウス細胞系へのトランス
フェクション A.マウスMpl受容体 完全長のマウスMpl受容体cDNAを、モロニーマウスザ
ルコーマウィルスのLTR由来の転写プロモーターを含有
する発現ベクター中にサブクローニングした。この組換
え体5μgと選択マーカープラスミドpWLNeo(Stratage
ne)1μgを、IL3依存性マウス細胞株(32D,クローン2
3;(Greenbergerら,PNAS80:2931−2936(1983))中に
コエレクトロポレート(co−electroporate)した。細
胞を5日間培養し回収後、800μg/ml Geneticin(G418,
Sigma)と1ng/mlマウスIL−3を含有する選択培地中で
インキュベートした。次いで、生存する細胞を2×105
細胞からなるプールに分割し、分析可能な細胞集団に増
殖するまで培養を実施した。6個の細胞集団についてポ
リクローナルウサギ抗ペプチド血清を用いるFACS分析に
よりMpl受容体の細胞表面発現を調べた。先と同様の抗
ペプチド血清を用いるFACSによる分類のために1つの細
胞集団を選択した。親細胞株の単一細胞クローンを10%
APK9及びGeneticin中での増殖によって選抜した。35日
間APK9中で選択後、細胞を1ng/mlマウスIL−3中に維持
した。サブクローンのうち1個(1A6.1)を今回の試験
に使用した。
B.ヒトMpl受容体 完全長のヒトMpl受容体配列(Vigon,I.ら、PNAS 89:5
640−5644(1992))を、モロニーマウスザルコーマウ
イルスの転写プロモーターを含有する発現ベクター(マ
ウス受容体におけるのと同一のベクター)中にサブクロ
ーニングした。この組換え体6μgとアンフォトロフィ
ック レトロウィルス パッケージングコントラクト
(amphotrophic retroviral packaging construct)(L
andan,N.R.とLitiman,D.R.,J.Virology 66:5110−5113
(1992))6μgを、CaPO4哺乳動物トランスフェクシ
ョンキット(Stratagene社製)を用いて3×106個の293
細胞中にトランスフェクトした。この同じ細胞を2日
後、また4日後に再びトランスフェクトした。最後のト
ランスフェクションの翌日に、293細胞をIL−3依存性
マウス細胞株(32D,クローン23;Greenbergerら、PNAS 8
0:2931−2936(1983))と一緒に培養した。24時間後、
32D細胞を取り出し、BSAグラジェント(Path−o−cyt
e:Mills Inc.)によって分離した。細胞を、1ng/mlマウ
スIL−3中で増やし、20%APK9中での増殖によって選抜
した。ポリクローナルウサギ抗ペプチド血清を用いるFA
CSによって、受容体を細胞表面に発現している細胞を選
抜した。これらの細胞は、アッセイに使用された。
<実施例92> Mplリガンドの1A6.1アッセイ 1A6.1細胞の培養液中のIL−3を除くために洗浄し、T
erasaki式マイクロタイタープレート中、10%牛胎仔血
清(FCS)、Geneticin(800μg/ml)及び1%pen/strep
(Gibco)を含むたα−MEM(Gibco)中に1ウェルあた
り、15μl、1000個の細胞となるように入れ、テストサ
ンプルを2倍希釈を繰り返して添加した。48時間後、ウ
ェルあたりの生存細胞数を光顕的に測定した。1ユニッ
トの活性は、ウェルあたり200個の生存細胞を生じさせ
る活性量として定義された。活性がアッセイの間に5〜
10μg/ml Mpl−Xを含むことによって完全にブロック
されうる場合には、該活性はMplリガンドによるもので
あるとして定義された。APK9中のMplリガンド活性は、
再生不良性血漿1mlあたり平均4400±539ユニットであっ
た。特に断わらない限り、Mplリガンド活性のユニット
は1A6.1アッセイにおける定義とする。
ヒトMpl受容体遺伝子でトランスフェクトされた細胞
を用いたアッセイは、1A6.1細胞におけるのと実質的に
同一の方法で行なわれた。
<実施例93> Mplリガンドが、マウス、イヌ、ブタ及びヒト由来の再
生不良性血漿又は血清中に存在することの証明 Mplリガンドは、マウス、イヌ、ブタ及びヒト由来の
再生不良性血漿又は血清中に存在する(表9)。血漿
は、照射前及び12日間照射(500ラド)後のBDF1マウス
から集められた。血漿を1A6.1アッセイでテストした結
果、2000ユニット/ml活性の存在が証明され、この活性
はMpl−X(10μg/ml)で実質的に完全に阻害された。
照射マウス血漿はまた、ヒト巨核球アッセイで陽性であ
り、1833ユニット/mlの活性を示した。次に、照射前及
び10日間照射(450ラド)後のイヌから血漿を集めた。1
A6.1アッセイ及びヒト巨核球アッセイの両方で血漿をテ
ストし、活性を検出すると共に、該活性は両アッセイに
おいてMpl−X(10μg/ml)で完全に阻害された。次
に、照射前及び10日間照射(650ラド)後のブタから血
漿を集めた。1A6.1アッセイ及びヒト巨核球アッセイの
両方で血漿をテストした。両アッセイで、Mplリガンド
活性(10μg/ml Mpl−Xで阻害可能)を示し、これは
再生不良性イヌ血漿で見出された活性に相当していた。
再生不良性ヒトから血清を得たが、この材料は骨髄移植
患者から集められた。6人の患者からの血清を、1A6.1
アッセイで分析したところ、903ユニット/mlの活性を示
し、その88%がMplリガンドに起因するものであった(1
0μg/ml Mpl−Xで阻害可能)。14人の再生不良性患者
由来の血清をさらに、ヒト巨核球アッセイでテストし
た。該血清は、941megユニット/mlの実質的活性を示
し、これは10μg/ml Mpl−Xで完全に阻害された。マ
ウスIL−3にする関するデータは、1A6.1アッセイの特
異性を実証するために包含される。この組換えサイトカ
インは該細胞系の増殖を誘発するが、10μg/ml Mpl−
Xによってブロックされない。
<実施例94> ヒトTPO誘導体の大腸菌における作製 大腸菌で発現されるTPOの生物活性、安定性、および
溶解性の向上を試みて、TPO誘導体を設計した。作製し
た誘導体は、配列番号11のLeu129のArg置換体([Me
t-2,Lys-1,Ala1,Val3,Arg129]TPO(1−163)、L129
R)、His133のArg置換体([Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Ar
g133]TPO(1−163)、H133R)、Met143のArg置換体
([Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Arg143]TPO(1−163)、
M143R)、Gly82のLeu置換体([Met-2,Lys-1,Ala1,Va
l3,Leu82]TPO(1−163)、G82L)、Gly146のLeu置換
体([Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Leu146]TPO(1−16
3)、G146L)、Ser148のPro置換体([Met-2,Lys-1,Ala
1,Val3,Pro148]TPO(1−163)、S148P)、Lys59のArg
置換体([Met-2,Lys-1,Ala1,Val3,Arg59]TPO(1−16
3)、K59R)およびGln115のArg置換体([Met-2,Lys-1,
Ala1,Val3,Arg115]TPO(1−163)、Q115R)である。
TPO誘導体作製のための鋳型としては、実施例42に記
載のh6T(1−163)を用い、以下に示すオリゴDNAを合
成した。
以下に示す変異プラスミドはすべてSculptorインビト
ロミュータジェネシスキット(Amersham社製)を用いて
作製した。実施例42に記載のプラスミドpCFM536/h6T
(1−163)から得られるXba I−Hind III断片をBluesc
ript II SK(−)(東洋紡績社製)をXba I−Hind III
切断部位間に挿入して、プラスミドpSKTPOを作製した。
プラスミドpSKTPOは大腸菌JM109に保持させた。ヘルパ
ーファージM13K07(宝酒造社製)を用いてpSKTPOから一
本鎖DNAを調製し、上記の変異用合成オリゴDNAを用い
て、キットに添付のプロトコールに従い、TPO遺伝子に
変異を導入した。供給者のプロトコールに従ってDNA配
列決定キット(Applied Biosystems,USA)を用いて配列
分析を行ない、TPOが変異を受けていることを確認し
た。
上記で作製したすべてのpSKTPOの誘導体よりXba I−H
ind III断片を抽出し、プラスミドpCFM536のXba I−Hin
d III切断部位間に挿入した後、大腸菌261に形質転換
し、目的とするTPO誘導体遺伝子を発現させる形質転換
体を得た。
変異体pCFM536で形質転換された大腸菌#261の培養
は、実施例43に従って実施した。形質転換体の細胞ペレ
ットを集め、少なくとも1日間冷凍庫中に保存した。得
られた凍結菌体(約3g)に、10mM EDTA、10mM DTT、1mM
PMSFを含む20mMトリス緩衝液(pH8.5)を約30mL加え、
懸濁した後、氷冷下1分間の間隔をおいて1分間のソニ
ケーション(超音波破砕機を使用)を5回行なった。破
砕した菌体を15000rpmで10分間遠心し、ペレットを集め
た。
このペレットに、8Mグアニジン塩酸塩、5mM EDTA、1m
M PMSFを含む10mMトリス緩衝液(pH8.7)約30mLを加え
て懸濁し、さらに約50mgのDTTを加え、室温にて1〜1.5
時間攪拌し、蛋白質試料を還元した。還元後、希塩酸溶
液を用いて試料のpHを5に調整し、希釈前4℃に放置し
た。
還元した蛋白質試料を、30%グリセロール、3M尿素、
3mMシスタミン、1mM L−システインを含む10mM CAPS緩
衝液(pH10.5、約1.5L)に対して希釈した。希釈は、一
晩かけて実施した。希釈後の試料溶液を少なくとも2日
間攪拌し、8000rpmで45分間遠心し、不溶物を除去し
た。遠心後の上澄みを6Mリン酸を用いてpH6.8に調整
し、イオン交換水で2倍に希釈した後、不溶物をフィル
ターペーパー(東洋濾紙製、#2、直径90mm)2枚を用
いてろ過した。ろ液をイオン交換樹脂(CM−Sepharose
fast flow、Pharmacia製)のカラム(2.6x 10cm)に吸
着させた後、15%グリセロール、1M尿素を含む10mMリン
酸緩衝液(pH6.8)約400mLで洗った後、15%グリセロー
ルを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.2)でカラムを平衡化
した。目的試料の溶出には、15%グリセロールを含む10
mMリン酸緩衝液から0.5M食塩を含む同緩衝液までの直線
濃度勾配を用い、流速1mL/minで行なった。カラムから
の蛋白質の溶出を280nmにおける紫外吸収で追跡し、目
的蛋白質を含むフラクションをSDS−PAGEで確認し集め
た。
このフラクションを遠心濃縮器(Centriprep 10、Ami
con社製)を用いて約2mLに濃縮した後、逆相HPLC(Wate
rs社製)を用いて精製した。この時、カラムにはWaters
社製(Bondasphere C4(3.9x150mm)を用い、蛋白質の
溶出には、0.05%TFA水溶液と、70%2−Propanol,30%
CH3CNおよび0.02%TFAを含む液を用い、40分間で0.5ml/
minの流速で目的蛋白質を溶出させた。TPO誘導体は、こ
の条件では、いずれも約30分の位置に溶出された。
精製されたTPO誘導体の活性測定を行なうため、精製
した誘導体を1Lの10mMリン酸緩衝液に対して2日間透析
した後、遠心濃縮器(Centriprep 10、Amicon社製)を
用いて約0.1mg/mlまで濃縮し、M−07eアッセイに供し
た。TPO誘導体は、いずれも対照TPOとして用いたh6T
(1−163)とほぼ同様の生物活性を示した(図33、図3
4参照)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平6−155126 (32)優先日 平成6年6月1日(1994.6.1) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−167328 (32)優先日 平成6年6月15日(1994.6.15) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−193169 (32)優先日 平成6年8月17日(1994.8.17) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−227159 (32)優先日 平成6年8月17日(1994.8.17) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−193916 (32)優先日 平成6年8月18日(1994.8.18) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−304167 (32)優先日 平成6年11月1日(1994.11.1) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−298669 (32)優先日 平成6年12月1日(1994.12.1) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−341200 (32)優先日 平成6年12月28日(1994.12.28) (33)優先権主張国 日本(JP) 微生物の受託番号 FERM BP−4563 微生物の受託番号 FERM BP−4564 微生物の受託番号 FERM BP−4565 微生物の受託番号 FERM BP−4616 微生物の受託番号 FERM BP−4617 微生物の受託番号 FERM BP−4988 微生物の受託番号 FERM BP−4989 (72)発明者 赤堀 弘典 群馬県高崎市石原町3439―78―2 (72)発明者 黒木 良太 神奈川県横浜市金沢区能見台5―13―20 ―2 (72)発明者 清水 敏之 神奈川県横浜市金沢区能見台6―35―6 ―101 (72)発明者 武藤 隆則 神奈川県横浜市金沢区寺前2―8―4 金沢八景寮102 (56)参考文献 特表 平9−508262(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12P 21/00 - 21/08 C12N 1/00 - 5/28 C07K 14/00 - 19/00 A61K 38/00 - 38/58 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) GenBank/DDBJ/EMBL

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血小板産生を特異的に刺激または増強する
    生物活性を有する下記の(1)〜(16)のトロンボポエ
    チン(TPO)ポリペプチドおよびその誘導体から選択さ
    れるポリペプチドと特異的に免疫反応性のある抗体: (1)アミノ酸配列が配列番号6の1位〜332位の配列
    からなるTPOポリペプチド; (2)アミノ酸配列が配列番号6の1位〜163位の配列
    からなるTPO誘導体; (3)アミノ酸配列が配列番号6の1位〜232位の配列
    からなるTPO誘導体; (4)アミノ酸配列が配列番号6の1位〜151位の配列
    からなるTPO誘導体; (5)アミノ酸配列が上記(1)〜(4)のアミノ酸配
    列において1〜6個のアミノ末端アミノ酸が欠失された
    配列からなるTPO誘導体; (6)[ΔHis33]TPO(1−163)、[ΔArg117]TPO
    (1−163)及び[ΔGly116]TPO(1−163)からなる
    群から選択されるTPO誘導体; (7)[His33,Thr33′,Pro34]TPO(1−163)、[His
    33,Ala33′,Pro34]TPO(1−163)、[His33,Gly33′,
    Pro34,Ser38]TPO(1−163)、[Gly116,Asn116′,Arg
    117]TPO(1−163)、[Gly116,Ala116′,Arg117]TPO
    (1−163)、[Gly116,Gly116,Arg117]TPO(1−16
    3)及び[Ala1,Val3]TPO(1−163)からなる群から選
    択されるTPO誘導体; (8)[Thr33,Thr333,Ser334,Ile335,Gly336,Tyr337,P
    ro338,Tyr339,Asp340,Val341,Pro342,Asp343,Tyr344,Al
    a345,Gly346,Val347,His348,His349,His350,His351,His
    352,His353]TPO及び[Asn25,Lys231,Thr333,Ser334,Il
    e335,Gly336,Tyr337,Pro338,Tyr339,Asp340,Val341,Pro
    342,Asp343,Tyr344,Ala345,Gly346,Val347,His348,His
    349,His350,His351,His352,His353]TPOからなる群から
    選択されるTPO誘導体; (9)[Asn25]TPO及び[Thr33]TPOからなる群から選
    択されるTPO誘導体; (10)[Als1,Val3,Arg129]TPO(1−163)、[Ala1,V
    al3,Arg133]TPO(1−163)、[Ala1,Val3,Arg143]TP
    O(1−163)、[Ala1,Val3,Leu82]TPO(1−163)、
    [Ala1,Val3,Leu146]TPO(1−163)、[Ala1,Val3,Pr
    o148]TPO(1−163)、[Ala1,Val3,Arg59]TPO(1−
    163)及び[Ala1,Val3,Arg115]TPO(1−163)からな
    る群から選択されるTPO誘導体; (11)[Arg129]TPO(1−163)、[Arg133]TPO(1
    −163)、[Arg143]TPO(1−163)、[Leu82]TPO
    (1−163)、[Leu146]TPO(1−163)、[Pro148]T
    PO(1−163)、[Arg59]TPO(1−163)及び[Ar
    g115]TPO(1−163)からなる群から選択されるTPO誘
    導体; (12)上記(1)〜(11)のTPOポリペプチドまたは誘
    導体にポリマーが共有結合されているTPO誘導体; (13)上記(1)〜(11)のTPOポリペプチドまたは誘
    導体にポリエチレングリコールが共有結合されているTP
    O誘導体; (14)上記(1)〜(13)のTPOポリペプチドまたは誘
    導体にさらにアミノ酸Met-2−Lys-1が付加されているTP
    O誘導体; (15)上記(1)〜(13)のTPOポリペプチドまたは誘
    導体にさらにMet-1が付加されているTPO誘導体;および (16)上記(1)〜(13)のTPOポリペプチドまたは誘
    導体にさらにGly-1が付加されているTPO誘導体。
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