JP2991640B2 - ヒトtpo活性を有するタンパク質 - Google Patents

ヒトtpo活性を有するタンパク質

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JP2991640B2
JP2991640B2 JP7161363A JP16136395A JP2991640B2 JP 2991640 B2 JP2991640 B2 JP 2991640B2 JP 7161363 A JP7161363 A JP 7161363A JP 16136395 A JP16136395 A JP 16136395A JP 2991640 B2 JP2991640 B2 JP 2991640B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は巨核球前駆細胞の増殖お
よび分化を促進するか、又は生体内で特異的に血小板の
産生を刺激、または増強する活性を有する新規タンパク
質、及びそのようなタンパク質の用途に関する。
【従来の技術】巨核球は主に骨髄中で観察される、多核
で細胞質が豊富な大型の細胞であり、血小板を産生す
る。巨核球の源は骨髄中の多能性幹細胞である。多能性
幹細胞がある程度分化して、巨核球系だけに方向付けら
れた巨核球前駆細胞(CFU−MK)となり、さらに増
殖・分化して巨核球となる。巨核球はさらに核の倍数性
の増加(polyploidization)、細胞質
の成熟(cytoplasmic maturatio
n)を遂げて、最終的に無核の細胞質断片である血小板
を血液循環へ放出する。1個の成熟した巨核球から平均
して2000〜4000個の血小板が生成される。血小
板の産生機序については不明な点が多いが、巨核球は骨
髄の静脈洞の内皮下に局在しており、その細胞質が、内
皮を貫通して、静脈洞内壁にひも状の突起を出し、血小
板を放出すると考えられている。このような巨核球造
血、および血小板産生に関して、特異的な産生調節機構
の存在が示唆されてきた。健常人や正常な動物では、有
効な血小板数が維持されているが、例えば、正常な動物
へ抗血小板抗体を投与すると、短時間で急激に血小板だ
けが減少し、その後増加し始め、さらに一過性に正常値
を越えるが、最終的には再び正常値に戻ることが知られ
ている。また、臨床においても、赤血球数や白血球数が
正常であるにもかかわらず、血小板数の低下(血小板減
少症)や血小板増加症に陥ることが分かっている。しか
しながら、現在までのところ、そのような産生機構を担
う特異的な調節因子(例えば、赤血球産生におけるエリ
スロポイエチンのような存在)の単離、同定は成功して
いない。血小板の最も重要な機能は、止血機構における
止血栓の形成である。血小板減少により、止血機構が正
常に作働しなくなると、出血傾向を示す。癌の放射線療
法や化学療法では、骨髄抑制による血小板減少症は致命
的な合併症であり、そのような癌患者には出血傾向を防
ぐための血小板輸血が施される。また、血小板輸血は骨
髄移植を受けた患者や再生不良性貧血の患者にも施され
る。そのような血小板輸血のための血小板は、健常な血
液提供者の血液から血小板フェレーシスによって調製さ
れるが、輸血用血小板は貯蔵寿命が短く、細菌感染によ
る汚染の可能性がある。また患者をヒト免疫不全ウィル
ス(HIV)または各種の肝炎ウィルスの様な危険なウ
ィルスにさらしたり、患者に輸血血小板表面の組織適合
性抗原(HLA)に対する抗体を誘導したり、あるいは
輸血用血小板に混入するリンパ球により移植片対宿主病
(GVHD)を引き起こしたりする危険性がある。従っ
て、血小板減少症患者で、内在性の血小板産生を刺激
し、同時に血小板輸血依存を減らすことができれば、極
めて有益である。また、癌の放射線療法や化学療法を受
けている患者で、血小板減少を是正または防止すること
ができれば、それらの治療を一層安全にし、治療の集中
度を高めることが可能となり、さらに一層の制癌効果が
期待できるであろう。そのような理由から、巨核球およ
び血小板の産生調節に関与する特異的な調節因子の分
離、同定のための数多くの研究が熱心に行なわれてき
た。試験管内の研究によれば、巨核球系細胞の増殖・分
化の過程に関与する調節因子は次の二つに大別されると
考えられている(例えば、Williamsら、J.C
ell.Physiol.、110巻、101−104
頁、(1982)を参照)。巨核球コロニー刺激因子
(Meg−CSF)はCFU−MKの増殖・分化を促進
する調節因子であり、実験上、半固形の培養液中で巨核
球からなる集塊(コロニー)の形成を誘導する活性を有
する。もう一つの調節因子は、巨核球増幅因子(Meg
−Pot)、巨核球刺激因子、血小板生成刺激因子など
と呼ばれ、主にCFU−MK以降の分化段階の巨核球に
働き、分化・成熟を促進させる。実験上では、しばしば
Meg−CSF活性を増幅する活性として検出される。
また、実験的に血小板減少症にした動物の血小板減少期
の血清や血漿を別の正常動物に注入すると、血小板が増
加することから、生体内で血小板増加作用を有する体液
性因子の存在が考えられており、スロンボポエチン(t
hrombopoietin:TPO)と呼ばれる。近
年遺伝子がクローニングされたサイトカインのいくつか
について、試験管内での巨核球系細胞への作用および血
小板増加作用が調べられている。ヒトIL−3はヒト巨
核球コロニーの形成を刺激し(Brunoら、Exp.
Hematol.、16巻、371−377頁、(19
88))、少なくともサルでは血小板数の増加をもたら
す(Donahueら、Science、241巻、1
820・頁、(1988))。しかし、IL−3はすべ
ての造血細胞の増殖、分化に影響を及ぼす因子であり、
巨核球造血、および血小板産生の特異的調節因子とは区
別することができる。ヒトIL−6はMeg−CSF活
性は示さないが、未熟な巨核球に作用して成熟巨核球へ
の分化を促進する(Williamsら、Exp,He
matol.、18巻、69−頁、(1990)。マウ
スやサルにおいて、血小板増加作用を示し、骨髄巨核球
の大きさ、および核の倍数性を増加させるが、体重の減
少や急性期蛋白質の誘導などの副作用も認められている
(Asanoら、Blood、75巻、1602−16
05頁、(1990);Stahlら、Blood、7
8巻、1467−1475頁、(1991))。ヒトI
L−11もMeg−CSF活性は示さず、Meg−Po
t活性を発揮し、マウスを用いて血小板増加作用が報告
されている(Nebenら、Blood、81巻、90
1−908頁、(1993))。また、ヒトLIFはサ
ルにおいて、有意に血小板数を増加させるが(Maye
rら、Blood、81巻、3226−3233頁、
(1993))、試験管内での巨核球への作用は微弱で
ある (Bursteinら、J.Cell.Phys
iol.、153巻、305−312頁、(199
2))。これらのサイトカインには血小板増加因子とし
ての臨床応用の可能性が期待されているが、巨核球系だ
けに特異的に作用するものではなく、また、副作用も認
められる。従って、臨床においては、より副作用が少な
い、巨核球−血小板系に特異的な血小板増加因子が待望
されている。古くから血小板減少症のヒトや動物の血
清、血漿、尿あるいはある種のヒト培養細胞株の上清中
に、Meg−CSF、Meg−Pot、あるいはTPO
活性の存在が報告されているが、このような因子が単独
で、あるいは複数存在して活性が発揮されるのか、また
既知因子との異同など、ほとんど未解明のままである。
ヒト生体由来の因子について、Hoffmanらは血小
板の減少に加え、骨髄巨核球の減少した再生不良性貧血
や、無巨核球性血小板減少性紫斑病の患者の血清の中
に、健常人のそれに比べて、有意に高いMeg−CSF
活性を見いだし(Hoffmanら、N.Eng.J.
Med.、305巻、533−538頁、(198
1))、Mazurらはさらに、再生不良性貧血患者の
血清中のこのMeg−CSF活性はIL−3あるいはG
M−CSFとは異なることを示した(Mazurら、B
lood、76巻、290−297頁、(199
0))。類似のMeg−CSF活性は、集中的に化学療
法を施した癌患者や骨髄移植を施した患者の血清中にも
検出されている(Mazurら、Exp.Hemato
l.、12巻、624−628頁、(1984);de
AlarconとSchmieder、Prog C
lin.Bio.Res.、215巻、335−340
頁、(1986))。Hoffmanらは、骨髄巨核球
低形成の血小板減少症患者の血漿から、見かけの分子量
46000を有するMeg−CSFを精製したと報告し
たが(Hoffmanら、J.Clin.Inves
t.、75巻、1174−1182頁、(198
5))、その後の研究で精製標品の純度がアミノ酸配列
を決定するには不十分であることが判明している(Ho
ffman、Blood、74巻、1196−1212
頁、(1989))。類似の血小板減少症患者由来の血
漿、あるいは特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者
の尿から、マウスでの75Se−セレノメチオニン(
75Se−selenomethionine)の新生
血小板への取り込みを促進させるTPO様活性が部分精
製され、血漿由来の活性については見かけの分子量40
000を有することが示されている(Grossiら、
Hematologica、72巻、291−295
頁、(1987);Vannucchiら、Leuke
mia、2巻、236−240頁、(1988)。再生
不良性貧血や重症のITP患者の尿中にも、Meg−C
SF活性やTPO様活性が検出されている(Kawak
itaら、Br.J.Haematol,、48巻、6
09−615頁、(1981);Kawakitaら、
Blood、61巻、556−560頁、(198
3))。さらに、Kawakitaらは、再生不良性貧
血患者の尿抽出物に含まれるMeg−CSF活性は、解
離条件下のゲル濾過で見かけの分子量45000を有す
ることを報告している(Kawakitaら、Br.
J.Haematol、62巻、715−722頁、
(1986))。Erikson−Millerらも、
同様の試料からのMeg−CSFの精製を報告している
が、その構造は明らかにされていない(Erikson
−Millerら、“Blood Cell Grow
th Factors;their present
and future use in hematol
ogy and oncology”ed.by Mu
rphy、AlphaMed Press、Dayto
n、Ohio、204−220頁、(1992))。T
urnerらは、骨髄移植を施行された患者の尿からM
eg−CSF活性を有する巨核球刺激因子(MSF)を
精製し、その遺伝子をクローニングした(Turner
ら、Blood、78巻、1106頁279a、(19
91)(abstr.、suppl.1)。このMSF
は、分子量28000から35000を有するタンパク
質の二量体である。この因子が、これまで血小板減少症
患者の血清や血漿中に検出されてきたMeg−CSFと
同じ因子か否か、また生体内において血小板増加作用を
有するか否かは不明である。また、ヒト胎児腎臓由来細
胞株(HEK細胞)の培養上清から分子量32000の
TPO様活性が精製され、様々な性状が調べられている
が、いまだにその構造は明らかにされていない(McD
onaldら、J.Lab.Clin.Med.、10
6巻、162−174頁、(1985);McDona
ld、Int.J.Cell Cloning、7巻、
139−155頁、(1989))。一方で、別の研究
者により、このHEK細胞のならし培養液中に存在す
る、試験管内での巨核球の成熟を促進する主要な活性
は、この細胞が産生する既知サイトカイン、即ち、IL
−6とEPOに依るという報告もある(Withyら、
J.Cell.Physiol.、15巻、3362−
372頁、(1992))。動物由来の因子について、
Evattらは、抗血小板抗体を注入したウサギの血小
板減少期の血漿中にウサギおよびマウスにおいて75
e−セレノメチオニンの新生血小板への取り込みを促進
させるTPO様活性を報告している(Evattら、
J.Lab.Clin.Med.、83巻、364−3
71頁、(1974))。その他にも1960年代から
1970年代にかけて類似の報告がいくつも見られる
(例えば、Odel1ら、Proc.Soc.Bol.
Med.、108巻、428−431頁、(196
1);EvattとLevin、J.Clin.Inv
est、48巻、1615−1626頁、(196
9);Harker、Am.J.Physiol.、2
18巻、1376−1380頁、(1970);Shr
einerとLevin、J.Clin.Inves
t,、49巻、1709−1713頁、(1970);
Penington、Br.Med.J.、1巻、60
6−608頁、(1970))。Evattら、および
HillとLevinは、抗血小板抗体投与により誘導
した血小板減少期のウサギの血漿から、TPO様活性を
部分精製し(Evattら、Blood、54巻、37
7−388頁、(1979);HillとLevin、
Exp.Hematol.、14巻、752−759
頁、(1986))、その後さらに、試験管内において
巨核球の分化、成熟を促進させる活性、即ちMeg−P
ot活性を指標にしてこの因子の精製を進め、ゲル濾過
上で見かけの分子量40000〜46000を有するこ
とを明らかにしたが、完全精製には至っていない(Ke
llerら、Exp.Hematol.、16巻、26
2−267頁、(1988);Hillら、Exp.H
ematol.、20巻、354−360頁、(199
2))。抗血小板抗体投与で誘導した重症の急性血小板
減少症のウサギの血漿中にはIL−6活性が検出されな
いことから、このTPO様活性はIL−6とは異なる分
子によって担われていることが示されている(Hill
ら、Blood、80巻、346−351頁、(199
2))。TayrienとRosenbergも、同様
のウサギの血漿、あるいはHEK細胞の培養上清から、
巨核球系のラット培養細胞株において血小板第4因子の
産生を刺激する見かけの分子量15000を有する因子
を精製したが、その構造は明らかにされていない(Ta
yrienとRosenberg、J.Biol.Ch
em.、262巻、3262−3268頁、(198
7))。また、Nakeffは、抗血小板抗体投与によ
り血小板減少にしたマウスの血清中にMeg−CSF活
性を見いだしている(Nakeff、“Experim
ental Hematology Today”e
d.by Baum and Ledney、Spri
nger−Verlag、NY、111−123頁、
(1977))。一方、同様の処置で血小板減少にした
ウサギの血漿中には、試験管内において、巨核球の成熟
を促進したり(Kellerら、Exp.Hemato
l.、16巻、262−267頁、(1988);Hi
llら、Exp.Hematol.、17巻、903−
907頁、(11)89)、巨核球の血小板への形態変
化(LevenとYee、Blood、69巻、104
6−1052頁、(1987))を刺激する活性は検出
されているが、Meg−CSF活性は認められていな
い。このような違いが何に起因するのか、理由は不明で
ある。Miuraらは、亜致死線量の放射線を全身照射
したラットの血小板減少期の血漿中にMeg−CSF活
性を検出し(Miuraら、Blood、63巻、10
60−1066頁、(1984))、この活性が血小板
輸血によって減少しないことから、生体内でのMeg−
CSF活性の誘導には、血小板の減少ではなく、巨核球
の減少が必要であるとしている(Miuraら、Ex
p.Hematol.、16巻、139−144頁、
(1988))。MazurとSouthは、放射線照
射により再生不良性貧血にしたイヌの血清中にMeg−
CSF活性を検出し、ゲル濾過上で見かけの分子量17
5000を有することを報告している(MazurとS
outh、Exp.Hematol.、13巻、116
4−1172頁、(1985))。その他に、血清、血
漿、あるいは尿に由来する因子が、Stranevaら
(Stranevaら、Exp.Hematol.、1
5巻、657−663頁、(1987)などによっても
報告されている。このように、血小板減少症のヒトや動
物の生体試料の中に、巨核球造血、および血小板生成を
促進する因子の存在が確認されているにもかかわらず、
現在までにそのような因子の単離、生化学的ならびに生
物学的な同定、および特性決定は、天然の供給源、例え
ば血液や尿の中にそのような因子が極端に微量でしか存
在しないために成功していない。
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、巨核球前駆細胞の増殖および分化を促進するか、お
よび/又は生体内で特異的に血小板の産生を刺激、また
は増強する活性(TPO活性)を有するタンパク質(T
PO)を天然の供給源から単離・同定し、更にはそのよ
うなタンパク質をコードする遺伝子を単離することによ
って組換えDNA技術を用いて、該タンパク質を均質に
大量生産する手段を提供することにある。それが可能と
なれば、現在採用されている血小板輸血にとって代わる
か、頻度を減らすことができ、あるいは血小板障害の治
療および診断にも使うことができる。
【課題を解決するための手段】本発明によれば、TPO
活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする新
規DNA(以下、「本発明のDNA」と言う)が提供さ
れる。本発明のDNAとしては、配列番号16に示され
たアミノ酸配列をコードするDNAがある。本発明のD
NAには、配列番号16に示されたアミノ酸配列およ
び、TPO活性を保持する限りにおいてそのアミノ酸配
列の一部が改変(置換、欠失、挿入、および/または付
加)されているもの、即ち、TPO誘導体をコードする
DNAが含まれる。別の言い方をすれば、本発明のDN
Aとしては、アミノ酸配列が実質的に配列番号16に示
されたアミノ酸配列をコードするDNAが含まれる。こ
こで言う、「実質的に配列番号16に示されたアミノ酸
配列」とは、配列番号16に示されたアミノ酸配列」に
加えて、「TPO活性を保持する限りにおいて、配列番
号16に示されたアミノ酸配列の一部に置換、欠失、挿
入および/または付加などがあるアミノ酸配列」を含む
ものである。なお、ここで言う「アミノ酸配列をコード
するDNA」とは縮重関係にあるすべての塩基配列を有
するDNAを意味している。更に、本発明のDNAは、
TPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコード
するDNAであって、以下(a)〜(c)から選ばれる
DNAを包含する。 (a)配列番号2、配列番号4、または配列番号6に示
されたDNAまたはそれらの相補鎖 (b)(a)のDNAまたはその断片と(厳格な条件下
で)ハイブリッド形成するDNA (c)遺伝コードの縮重がなければ(a)、(b)のD
NAとハイブリッド形成しうるDNA。 また、別の言い方をすれば、本発明のDNAは以下の
(a)、(b)のいずれかに示されたDNAも包含す
る。 (a)大腸菌DH5に担持されたベクターpEF18S
−A2α(受託番号FERM BP−4565)に組込
まれているTPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配
列をコードするDNA、または大腸菌DH5に担持され
たベクターpHT1−231(受託番号FERM BP
−4564)に組込まれているTPO活性を有するタン
パク質のアミノ酸配列をコードするDNA (b)TPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列を
コードするDNAであって、(a)のDNAまたはその
断片と(厳格な条件下で)ハイブリッド形成するDN
A。 ここで“厳格な”ハイブリダイゼーション条件という表
現は、縮重配列の、および/または単一配列のオリゴヌ
クレオチドプライマー(プローブ)を用いることにより
行う、本発明においてDNAのPCR増幅をとりあげた
一連の実施例において使用されるものである。例とし
て、Sambrookらの “Molecular C
loning”(Cold Spring Harbo
r Laboratory Press,1989)の
第11章および第14章、あるいは、Ausubelら
編“Current Protocols in Mo
lecular Biology”(Current
Protocols,U.S.A.,1993)のユニ
ット2.10を参照のこと。本発明のDNAとしては配
列番号16に示されたアミノ酸配列のうち、1位から1
63位のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含み、か
つTPO活性を有するタンパク質をコードするDNAも
含まれる。このようなDNAは、制限酵素による切断部
位の供与、および/または、発現を容易にするような発
現ベクター構築のための開始部、終止部または中間部へ
のDNAの付加的供与を含むことができる。また、非哺
乳類宿主を選択する場合には、それにおける発現に好ま
しいコドン(優先コドン)を組み込んでも良い。本発明
のDNAとしては、ヒトをはじめとする哺乳動物細胞な
どからmRNAを調製した後、既知の方法で作製された
cDNAライブラリーから、既知の方法によってスクリ
ーニングすることによって得られたcDNAがある。こ
の場合のmRNAの供給源としては、ラット肝臓細胞由
来の細胞株McA−RH8994細胞、HTC細胞、H
4−II−E細胞、ラット肝臓、腎臓、脳、小腸、ヒト
肝臓等が挙げられる。また、本発明のDNAとしては、
ヒトをはじめとする哺乳動物細胞から既知の方法で作製
されたゲノムライブラリーから既知の方法でスクリーニ
ングされたゲノムDNAであってもよい。この場合のゲ
ノムDNAの供給源としては、ヒト、ラット、マウス等
の染色体DNAが挙げられる。また、このようにして得
られた、TPO活性を有するタンパク質をコードするc
DNAを周知の部位特異的突然変異法を用いて修飾する
ことによって、一部のアミノ酸配列が改変されたもの、
即ちTPO誘導体をコードするDNAを得ることができ
る。また、本明細書中で開示されたTPO活性を有する
タンパク質のアミノ酸配列/塩基配列に基づいて、その
一部のアミノ酸配列が改変されたタンパク質をコードす
るDNAは、その一部または全部を化学合成することに
よっても当業者が容易に得ることができる。本発明のD
NAは、種々の遺伝子組換え技術によってTPO活性を
有するタンパク質を大量生産するために有用な物質であ
る。更に、本発明のDNAは、TPOの関連タンパク質
をコードする遺伝子、並びに他の哺乳動物のTPOのc
DNA、およびゲノムDNAを単離する場合に標識化プ
ローブとして用いるのに適した物質である。また、ヒト
および他の哺乳類種における遺伝子療法において有用で
ある。本発明のDNAは、大量のTPOおよびTPO生
産のための真核宿主として用いることができるトランス
ジェニック哺乳類種の開発に有用である(Palmit
erら、Science、222、809−814、
(1983))。また、本発明によれば、上記TPO活
性を有するタンパク質をコードするDNAを組み込んだ
ベクター、該ベクターで形質転換された宿主細胞、該宿
主細胞を培養し、産生されたTPO活性を有するタンパ
ク質を分離・精製することを特徴とするTPO活性を有
するタンパク質の製造方法が提供される。この場合の宿
主細胞としては、原核生物(例えば細菌、好ましくは大
腸菌)、真核生物(例えば酵母、昆虫、あるいは哺乳動
物)細胞を用いることができる。哺乳動物細胞の例とし
ては、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(Ch
inese Hamster Ovary)細胞、X6
3.6.5.3.細胞、C−127細胞、BHK(Ba
by Hamster Kidney)細胞、ヒト由来
細胞(例えば、HeLa細胞)等があげられる。酵母の
例としては、パン酵母(Saccharomyces
cerevisiae)やメタノール資化性酵母(Pi
chia pastoris)等があげられる。昆虫細
胞の例としては、蚕培養細胞(例えば、Sf21細胞)
等があげられる。これらの宿主細胞を形質転換させるた
めに用いられるベクターには、大腸菌用としてpKC3
0(Shimatake H.and M.Rosen
berg、Nature、292、128−132、1
981)、pTrc99A(Amann E.ら、Ge
ne6、69、301−315、1988)等があげら
れる。哺乳動物細胞用としてはpSV2−neo(So
uthern and Berg;J.Mol.App
l.Genet.、1、327−341、1982)、
pCAGGS(Niwaら;Gene、108、193
−200、1991)、あるいはpcDL−SR α2
96(Takebeら;Mol.Cell.Bio
l.、8、466−472、1988)等がある。酵母
用としてはpG−1(Schena M.and Ya
mamoto K.R.;Science、241、9
65−967、1988)等がある。蚕細胞用として
は、組み換えウイルス作製用トランスファーベクターp
Ac373(Luckowら、Bio/Technol
ogy、6、47−55、1988)等がある。これら
のベクターは必要に応じて複製起点、選択マーカー、プ
ロモーターを含み、さらに真核細胞用のベクターには、
必要に応じてRNAスプライス部位、ポリアデニル化シ
グナル等が付加される。複製起点として、哺乳動物細胞
用ベクターには、SV40、アデノウイルス、ウシパピ
ローマウイルス由来のもの等を用いることができる。大
腸菌用ベクターとしては、ColE1、R因子、F因子
由来のもの等を用いることができる。酵母用としては2
μmDN ARS1由来のもの等を用いることができ
る。遺伝子発現用プロモーターとして哺乳動物細胞用ベ
クターには、ウイルス由来であるレトロウイルス、ポリ
オーマウイルス、アデノウイルス、SV40由来のもの
等あるいは、染色体由来のもの(例えば、EF1−α)
等を用いることができる。大腸菌用ベクターとしてはバ
クテリオファージλ由来のものや、trp、lpp、l
ac、tacプロモーター等を用いることができる。パ
ン酵母用としてはADH、PH05、GPD、PGK、
MAFαプロモーター、メタノール資化性酵母について
はAOX1プロモーター等を用いることができる。蚕細
胞用ベクターとしては核多角体病ウイルス由来のもの等
を用いることができる。選択マーカーとして、哺乳動物
細胞用ベクターには、ネオマイシン(neo)耐性遺伝
子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、ジヒドロ葉酸還
元酵素(DHFR)遺伝子、大腸菌キサンチングアニン
ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺
伝子等を用いることができる。大腸菌用ベクターとして
は、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝
子、テトラサイクリン耐性遺伝子等を用いることができ
る。酵母用としてはLeu2、Trp1、Ura3遺伝
子等を用いることができる。以上の様な宿主−ベクター
系を用いてTPO活性を有するタンパク質を得るために
は、上記ベクターの適当な部位に該遺伝子を組み込んだ
組み換えDNA体により、宿主細胞を形質転換させた
後、得られた形質転換体を培養し、さらに細胞内あるい
は培養液から該ポリペプチドを分離・精製すればよい。
これらに用いられる手段・方法は公知のものを組み合わ
せて行なうことができる。宿主を用いて発現させる場合
に、その発現産物のN末端をより確実に均一化するた
め、本来のシグナル配列を改変したり、他のタンパク質
のシグナル配列を用いてもよい。また、N末端およびそ
の近傍のアミノ酸残基を改変(置換、あるいは付加)す
ることに(例えば、大腸菌を用いて発現させる場合にメ
チオニン残基に加え、リジン残基を加えるなど)よって
も、N末端を均一化することが可能である。また、グル
タチオン−S−トランスフェラーゼ(GST:Glut
athione−S−transferase)とTP
Oとをトロンビン認識ペプチドを介した融合タンパク質
として適当な宿主にて発現させ、単離した後、その融合
タンパク質をトロンビン処理することにより、GST部
分を除去し、−1位にグリシン残基が付加されたGly
−1TPOタンパク質を得ることができる。本発明のT
PO活性を有する新規タンパク質(以下、「本発明のタ
ンパク質」と言う)としては、配列番号16に示された
アミノ酸配列から成るタンパク質がある。また、本発明
にはTPO活性を保持する限り、その一部のアミノ酸配
列が改変(置換、欠失、挿入、および/または付加)さ
れたもの、即ちTPO誘導体も含まれる。別の言い方を
すれば、本発明のタンパク質としては、アミノ酸配列が
実質的に配列番号16に示されたアミノ酸配列であるよ
うなタンパク質が含まれる。ここで言う、「実質的に配
列番号16に示されたアミノ酸配列」とは、「配列番号
16に示されたアミノ酸配列」に加えて、「TPO活性
を保持する限りにおいて、配列番号16に示されたアミ
ノ酸配列の一部に置換、欠失、挿入および/または付加
などがあるアミノ酸配列」を含むものである。本発明の
タンパク質としては、配列番号16に示されたアミノ酸
配列の7位から151位のアミノ酸配列を含み、かつT
PO活性を有するタンパク質も含まれる。より具体的に
は、配列番号6に示されたアミノ酸配列のうち、1位か
ら231位、1位から211位、1位〜191位、1位
〜171位、1位〜163位、1位〜157位、1位〜
156位、1位〜155位、1位〜154位、1位〜1
53位、1位〜151位及び7位〜163位からなるヒ
トTPOタンパク質が本発明のタンパク質として挙げら
れる。更には、上記7位から151位の配列内部または
外部に、TPO活性を損なわない範囲で、少なくとも1
つのアミノ酸の置換、欠失、挿入および/または付加を
有しているタンパク質も本発明のタンパク質に含まれ
る。本発明のTPO誘導体の他の例としては、例えば、
アミノ酸の改変(置換、欠失、挿入および/または付
加)を行うことによって安定性や体内での持続性の向上
を図ったもの、糖鎖の付加する1つ以上の潜在的部位を
欠失または付加して変化させたもの、1つ以上のシステ
イン残基を欠失させるか、またはシステインを他のアミ
ノ酸残基(例えば、アラニンまたはセリン残基)で置換
したものなどが挙げられる。一般にタンパク質の熱力学
的安定性を向上させる方法として、プロリン残基の導入
とグリシン残基の除去が有効であることが理論的に示さ
れている。(Matthewsら,Proc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.A.84,6663−
6667.1987)。そこで、安定性の向上を目的と
したTPO誘導体を設計する場合、プロリン残基を導入
したTPO誘導体およびグリシン残基を除去したTPO
誘導体を考えることができる。ヒトTPOへのプロリン
残基の導入部位の選定には、例えば、このものに高い相
同性を有する他の生物種由来のTPO(マウスTPO:
Si Lokら、Proc.Natl.cad.Sc
i.U.S.A.369巻、565−568頁、(19
94)、イヌTPO:T.D.Bartleyら、ce
ll 77巻、1117−124頁、(1994))の
アミノ酸配列を利用することができる。例えば、ヒト型
とラット型のアミノ酸配列(配列番号15)を比較し、
ヒト型ではプロリンではないがラット型ではプロリンを
有する部位、あるいは、ヒト型ではグリシンだがラット
型ではグリシン以外のアミノ酸を有する部位を選ぶこと
ができる。例えばこのような部位として、配列番号16
に示されたヒトTPOのアミノ酸配列のうち、9位のロ
イシン残基、82位のグリシン残基、146位のグリシ
ン残基、148位のセリン残基などが挙げられ、それら
のグリシン残基を他のアミノ酸残基に置換した誘導体
や、セリン残基をプロリン残基に置換した誘導体などが
考えられる。また、一般にタンパク質は、疎水性アミノ
酸を内側に、親水性アミノ酸を外側に立体構造が形成さ
れることから、タンパク質表面に存在するアミノ酸をよ
り親水性の高い荷電性アミノ酸に置換することによって
タンパク質の溶解性の向上を期待することができる。ヒ
トTPOの場合でも、このような観点から誘導体を設計
することができる。例えば、14位のリジン残基、52
位のリジン残基、59位のリジン残基、115位のグル
タミン残基、119位のトレオニン残基、138位のリ
ジン残基をそれぞれアルギニン残基に置換したものなど
が挙げられる。更には、TPOとアミノ酸配列における
類似性が指摘されているErythropoietin
(EPO)において、一次構造上4番目に位置するヘリ
ックス(Dヘリックス)を予測し、正電荷を導入したと
ころ、生物活性の向上が認められている(特開平3−7
2885)ことから、TPOについてもそのアミノ酸配
列からDヘリックスを予測し、TPO誘導体を設計する
ことができる。一般にタンパク質のDヘリックスの予測
には、例えば、金久らによる二次構造予測プログラムI
DEAS(金久、IDEAS user’s manu
al)等が使用できる。次に、Dヘリックスが位置する
と予測された領域で、外側に位置するアミノ酸を推定
し、正電荷を導入する候補となるアミノ酸残基を選定す
る。このような候補の選定は、例えば、目的領域の車輪
モデル(Shiffer とEdmundson,Bi
ophys.J.7,121−135.1967)を作
成することにより可能である。ヒトTPOの場合、Dヘ
リックスの位置は126番目から142番目の領域と予
測されるが、この領域で選定されるアミノ酸残基として
例えば、129位のロイシン残基、133位のヒスチジ
ン残基、143位のメチオニン残基等が挙げられる。従
って、これらのアミノ酸残基をアルギニン残基、あるい
はリジン残基に置換して正電荷を導入するような誘導体
が考えられる。本発明のTPO誘導体をより具体的に例
示すれば、少なくとも、ヒトTPOの1位のセリン残基
がアラニン残基に、かつ3位のアラニン残基がバリン残
基に置換されたタンパク質、25位のアルギニン残基が
アスパラギン残基に置換されたタンパク質、33位のヒ
スチジン残基がトレオニン残基に置換されたタンパク
質、25位のアルギニン残基がアスパラギン残基に、か
つ231位のグルタミン酸残基がリジン残基に置換され
たタンパク質、更にこれらのタンパク質のC末端にTh
rSerIleGlyTyrProTyrAspVal
ProAspTyrAlaGlyValHisHisH
isHisHisHisのポリペプチドが付加されたタ
ンパク質を挙げることができる。更には、少なくとも、
33位のヒスチジン残基が欠失したタンパク質、116
位のグリシン残基が欠失したタンパク質、117位のア
ルギニン残基が欠失したタンパク質、33位のヒスチジ
ン残基と34位のプロリン残基の間にトレオニン残基が
挿入されたタンパク質、33位のヒスチジン残基と34
位のプロリン残基の間にアラニン残基が挿入されたタン
パク質、33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残
基の間にグリシン残基が挿入されたタンパク質、33位
のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間にグリシ
ン残基が挿入され、かつ38位のプロリン残基がセリン
残基に置換されたタンパク質、116位のグリシン残基
と117位のアルギニン残基の間にアスパラギン残基が
挿入されたタンパク質、116位のグリシン残基と11
7位のアルギニン残基の間にアラニン残基が挿入された
タンパク質、116位のグリシン残基と117位のアル
ギニン残基の間にグリシン残基が挿入されたタンパク質
を挙げることができる。また、少なくとも、129位の
ロイシン残基がアルギニン残基に置換されたタンパク
質、133位のヒスチジン残基がアルギニン残基に置換
されたタンパク質、143位のメチオニン残基がアルギ
ニン残基に置換されたタンパク質、82位のグリシン残
基がロイシン残基に置換されたタンパク質、146位の
グリシン残基がロイシン残基に置換されたタンパク質、
148位のセリン残基がプロリン残基に置換されたタン
パク質、59位のリジン残基がアルギニン残基に置換さ
れたタンパク質、115位のグルタミンがアルギニン残
基に置換されたタンパク質が挙げられる。また、本発明
のTPOタンパク質としては、配列番号16に示される
アミノ酸配列を有するヒトTPO、および前述の誘導体
の−2位にメチオニン残基、かつ−1位にリジン残基が
付加されたタンパク質、−1位にメチオニン残基が付加
されたタンパク質も含まれる。好ましくは、本発明のタ
ンパク質は、cDNA、ゲノムDNA、または化学合成
により得られるDNAを含む組換えベクターで、形質転
換された宿主細胞から分離・精製して得られたものであ
ることを特徴とする。宿主として、細菌(例えば、大腸
菌)を用いて菌体内発現を行う場合には、TPO活性を
有するタンパク質のN末端側に開始メチオニン残基の付
加されたタンパク質が得られるが、このようなタンパク
質も本発明に含まれる。また、用いる宿主によっては、
産生されるTPO活性を有するタンパク質はグリコシル
化されている場合もあるし、あるいはグリコシル化され
ていない場合もあるがいずれも、本発明のタンパク質に
含まれる。また、本発明のタンパク質としては、天然の
供給源(例えば、TPO活性を含むならし培地、または
ヒト尿、血清、血漿)から精製および単離されたTPO
活性を有する天然のタンパク質も含まれる。また、本発
明によれば、そのような天然の供給源からTPOを精製
する方法を包含する。そのような精製法としては、一般
にタンパク質の精製に用いる工程(イオン交換クロマト
グラフィー、レクチンアフィニティークロマトグラフィ
ー、色素吸着クロマトグラフィー、疎水相互クロマトグ
ラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマト
グラフィー、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィ
ー、硫酸化ゲルクロマトグラフィー、ハイドロキシルア
パタイトクロマトグラフィー、金属キレーティングクロ
マトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、分取電気
泳動法、および等電点電気泳動法など)の一つ以上を組
み合わせた方法がある。また、後述の実施例から推定し
うるTPOの物理化学的な性質を利用して組み合わせる
ことのできる方法も本発明に含まれる。さらには、TP
Oを認識することのできる抗体を用いた抗体カラムをも
用いることができる。また、TPOはMplのリガンド
であることが判明したことから(de Sauvage
ら、Nature369巻533−538頁(199
4)、Bartleyら、Cell 77巻1117−
1124頁(1994)、Kaushanskyら、N
ature 369巻565−568頁(199
4))、Mplを活性化ゲルにカップリングさせること
でアフィニティーゲルカラムを調製し、これを利用する
ことによってもTPOを精製することができる。より具
体的には、Mplの細胞外領域(Mpl−X)をCHO
細胞を宿主として用いた遺伝子組換え法により生産・調
製し、調製されたMpl−Xカラムが挙げられる(前述
のBartleyら(1994))。本発明は更に、T
POのヒトcDNAまたはゲノムDNAの蛋白質コード
鎖と相補的なDNAの部分によってコードされる種類の
タンパク質、即ちTramontanoら(Nucl.
Acids Res.、12、5049−5059(1
984))が記載したような“相補的逆方向蛋白質”を
含む。本発明には、固体組織および血液または尿のよう
な液体試料中のTPOまたはその受容体保有細胞の検出
および定量に有用な試薬を提供するために、検出可能な
マーカー物質で標識(例えば125Iで放射能標識する
か、またはビオチニル化する)された本発明のタンパク
質も含まれる。ビオチニル化された本発明のタンパク質
は、自己骨髄移植において骨髄から巨核芽球性細胞を除
去するために固定化ストレプトアビジンと結合する場合
に有用である。更には、自己または同種異系骨髄移植の
場合に自己または同種異系巨核球系細胞を濃縮するため
に固定化ストレプトアビジンと結合する場合に有用であ
る。リシン、ジフテリア毒素のような毒素とTPOとの
毒素結合体、および放射性同位元素は、抗癌療法に対し
て、または骨髄移植のコンディショニング養生法として
有用である。また、本発明は、検出可能マーカー(例え
ば放射能標識、またはビオチンのような非同位元素標
識)で標識される場合や、染色体地図におけるヒトTP
O遺伝子位置および/または任意の関連遺伝子ファミリ
ーの位置を突き止めるためのハイブリダイゼーション法
に用いるのに有用な核酸物質も提供する。それらは、D
NAレベルでヒトTPO遺伝子障害を確認するためにも
有用であって、隣接遺伝子およびそれらの障害を確認す
るための遺伝子マーカーとしても用いられる。さらに、
本発明には、有用で好適な希釈剤、防腐剤、可溶化剤、
乳化剤、アジュバントおよび/または担体とともに治療
上有効量の本発明のタンパク質を含有する医薬組成物も
含まれる。本明細書中で用いる“治療上有効量”という
用語は、指定の条件および投与法に対して治療効果を提
供する量を示す。このような組成物は、液体であるか、
あるいは凍結乾燥またはさもなくば乾燥された剤形であ
って、種々のpH、およびイオン強度から成る緩衝剤
(例えばトリス−塩酸、酢酸塩、燐酸塩)より選択した
希釈剤、表面に吸着しないようにするためのアルブミン
またはゼラチンのような添加剤、界面活性剤(例えばT
ween 20、Tween 80、Pluronic
F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えばグリセロー
ル、ポリエチレングリコール)、酸化防止剤(例えばア
スコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例
えばチメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、
賦形剤または等張化剤(例えばラクトース、マンニトー
ル)を配合した製剤が含まれる。また、蛋白質に対する
ポリエチレングリコールのような重合体との共有結合、
金属イオンとの錯体化、あるいはポリ乳酸、ポリグリコ
ール酸、ヒドロゲルなどのような重合化合物の粒状製剤
中またはその表面上への、あるいはリポソーム、ミクロ
エマルジョン、ミセル、単層または多層小胞、赤血球ゴ
ースト、またはスフェロプラスト中への当該物質の取り
込みを包含する。このような組成物は、TPOの物理的
状態、溶解性、安定性、in vivo放出速度、in
vivoクリアランスに影響を及ぼすと思われるの
で、組成物の選択は、TPO活性を有する蛋白質の物理
的および化学的特性による。さらに、重合体(例えばポ
ロキサマーまたはポロキサミン)と、組織特異的受容
体、配位子または抗原に対する抗体に結合するか、ある
いは組織特異的受容体の配位子に結合するTPOとで被
覆される粒状組成物も本発明に包含される。本発明の組
成物の別の剤形としては、非経口、経肺、経鼻、および
経口を含めた種々の投与経路のため、粒状形態、保護被
膜、プロテアーゼ阻害剤、または吸収促進剤を配合す
る。本発明のタンパク質を含有する医薬組成物は、活性
成分として通常0.05μg/kg体重〜1mg/kg
体重を、病状、性別及び投与経路等に応じて、一日数回
程度投与することができる。本発明のタンパク質を含有
する医薬組成物は、活性成分として後述のM−07eア
ッセイにおける相対活性量通常25,000〜500,
000,000/kg体重を、病状、性別及び投与経路
等に応じて、一日一回〜数回、1週間に1〜7日間程度
投与することができる。更に本発明は、本発明のタンパ
ク質に加えてEPO、G−CSF、GM−CSF、M−
CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、I
L−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、I
L−10、1L−11、IL−12、IL−13、LI
F、SCFのような因子の1つ以上を付加的造血因子と
して含有する組成物を包含する。本発明のタンパク質
は、単独あるいは他の付加的造血因子との組み合わせて
も、多数の血小板減少症の治療に有用である。他の付加
的造血因子としては、EPO、G−CSF、GM−CS
F、M−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL
−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL
−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−1
3、LIF、SCFを挙げることができる。本発明によ
れば、本発明のタンパク質を有効成分とし、制ガン剤や
免疫抑制剤の投与による化学療法や放射線療法、あるい
は骨髄移植(BMT)における血小板減少症の治療剤が
提供される。更に、血小板障害、例えば、血小板産生障
害や血小板の寿命短縮(血小板破壊の亢進、あるいは血
小板消費の亢進)による血小板減少を特徴とし、本発明
のタンパク質で治療可能な多数の疾患が存在する。例え
ば、先天性のファンコニ貧血、化学療法や放射線療法に
伴う再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白
血病、または骨髄移植のような骨髄形成不全による血小
板減少症などが挙げられ、このような患者の血小板の回
復を促進するために用いることができる。また、TPO
産生異常による血小板減少症にも有用である。血小板や
巨核球の寿命短縮による血小板減少症としては例えば、
特発性血小板減少性紫斑病、後天性免疫不全症候群(A
IDS)、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少
症などがあり、このような患者の血小板回復促進にも有
用である。更に、外科手術前にTPOを投与して自分の
血小板を増加させ、その血小板を自分の手術時に輸血用
血小板として用いる(自己血小板輸血)への用途として
も有用である。さらに本発明のタンパク質の別の用途
は、例えば他の化学薬品または医薬品、または治療的措
置による一過性の血小板の欠損または損傷によってもた
らされた障害の処置である。TPOは、そのような患者
で新しい“無傷の”血小板の放出を促進するのに用いる
ことができる。本発明はさらにTPOに特異的に結合す
る抗体、およびそれを得るための抗原を提供する。本発
明のタンパク質または抗原決定基を有する該タンパク質
の部分断片が抗原として使い得る。そのような抗体は、
モノクローナルおよびポリクローナル抗体の双方、およ
び既知の方法によって作製したキメラ抗体、即ち“組換
え”抗体などを含む。種々の抗原決定基(エピトープ)
に対する種々の抗体を一般に含有する慣用的抗体(ポリ
クローナル)製剤に対比して、モノクローナル抗体は各
々、抗原上の単一抗原決定基に対する抗体である。TP
Oに対する特異抗体は、抗原−抗体反応を用いる診断お
よび分析的アッセイ法の選択性および特異性を改良した
り、TPOを分離・精製するのに有用である。さらに、
それらは、血清からTPOを中和または除去するのに用
いられる。モノクローナル抗体の利点は、それらが、他
の免疫グロブリンが混入していない培地中でハイブリド
ーマ細胞によって合成され得ることである。モノクロー
ナル抗体は、ハイブリドーマ細胞の培養上清から、また
はマウスにハイブリドーマ細胞を腹腔内接種することに
よって誘導される腹水から調製される。Kohlerと
Milsteinが最初に記載したハイブリドーマ技術
(Eur.J.Immunol.6、511−519
(1971))は、多数の特異抗原に対する高レベルの
モノクローナル抗体を保有するハイブリッド細胞系を生
成するために広く用い得る。以下、本発明を更に詳細に
説明する。 (A)ラットTPOの精製〜ラット精製TPOの部分ア
ミノ酸配列の分析〜ラット精製TPOの生物学的特性の
分析 本発明者らは、まずラットCFU−MKの増殖・分化促
進活性を有するタンパク質(ラットTPO)の精製を試
みた。本精製では、種々の天然の供給源の選択、更に
は、クロマトグラフィー担体の選択、分離手段の選択な
ど、精製の組立について数々の試行錯誤を繰り返した。
その結果、本発明者らは、X線、あるいはγ線照射によ
り誘導した血小板減少症ラットの血漿より、後述の<参
考例>に記載したラットCFU−MKアッセイに基づく
TPO活性を指標として、TPO活性を有するタンパク
質を精製し、その部分アミノ酸配列を決定した<実施例
1〜2>。また、その血漿由来ラットTPOの生物学的
特性について試験した<実施例3>。なお、精製から、
精製されたラットTPOの部分アミノ酸配列の決定まで
の概要は以下の通りである。 (1) X線、あるいはγ線照射による血小板減少症ラ
ット約1100匹分の血漿を集め、Sephadek
G−25クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグ
ラフィー(Q−Sepharose FF)、更にレク
チンクロマトグラフィー(WGA−Agarose)の
ステップまで進め、WGA−Agarose吸着TPO
活性画分を得た。 (2) 次に、このWGA−Agarose吸着TPO
活性画分を色素吸着アフィニティークロマトグラフィー
(TSK AF−BLUE 650MH)、疎水相互作
用クロマトグラフィー(Phenyl Sepharo
se.6 FF/LS)、ゲル濾過クロマトグラフィー
(Sephacryl S−200 HR)までの処理
を実施した。このSephacryl S−200 H
Rにおいては、TPO活性は4つのピーク(分子量の大
きいものから、F1、F2、F3、F4)に分かれたの
で、TPO活性画分F2とF3とをそれぞれ濃縮し、高
分子TPO標品F2、低分子TPO標品F3として、そ
れぞれ個別に次の精製ステップに進めた。 (3) 低分子TPO標品F3を分取逆相クロマトグラ
フィー(YMC−Pack PROTE IN−R
P)、逆相クロマトグラフィー(YMC−PackCN
−AP)、更に逆相クロマトグラフィー(Capcel
l Pack C1)で分離した。得られたTPO活性
画分を、SDSゲル電気泳動にかけ、電気泳動ゲルから
TPO活性の抽出を行ったところ、非還元下で見かけ上
分子量約17000〜19000のバンドにTPO活性
が存在することが確認できた。 (4) そこで、全てのTPO活性画分を非還元下でS
DSゲル電気泳動にかけ、PVDF膜に転写した。次い
で、PVDF膜上タンパク質の系統的な限定酵素分解に
よるペプチド断片化を実施し、ラットTPOタンパク質
の部分アミノ酸配列を決定することができた(2つの断
片のアミノ酸配列情報を基にラットTPOの遺伝子クロ
ーニングを実施した。)。 (5) 一方、Sephacryl S−200 HR
からの高分子TPO標品F2についても、低分子TPO
標品F3と同様に精製を進め、最終ステップの逆相クロ
マトグラフィー(Capcell Pack C1)で
得られたTPO活性画分をSDSゲル電気泳動にかけ、
TPO活性の抽出を行った。活性を調べてみると、F3
由来のTPOと同じく、非還元下で見かけ上分子量約1
7000〜22000のバンドにTPO活性が存在する
ことが確認できた。 (B)ラットTPO産生細胞の特定化〜mRNAの調製
〜ラットcDNAライブラリーの構築 精製したラットTPOは血漿由来であるため、cDNA
クローニングのためには、mRNAの供給源となる臓器
あるいは細胞を選抜する必要があった。そこでラット血
漿由来TP0の生化学的性質と生物学的性質に基づい
て、種々の臓器、あるいは細胞の培養上清中のTPO活
性をスクリーニングした。その結果、ラット肝臓細胞由
来の細胞株であるMcA−RH8994細胞、HTC細
胞、H4−II−E細胞の培養上清中、並びにラットの
初代肝臓細胞の培養上清中にもラット血漿由来TPOと
ほぼ同等のTPO活性を見いだした<実施例4>。一
方、サル細胞(COS1細胞)でのcDNA発現ベクタ
ーpEF18Sを、2種類の発現ベクターpME18S
並びにpEFBOSを組み合わせて構築した<実施例5
>。このベクターの構築によりインサートの組み込みに
使用できる多種類のクローニング部位を持つ、発現効率
の高いベクターを用いてcDNAをクローニングするこ
とが容易となった。cDNAライブラリーの構築には上
記の発現ベクターの他にpUC系やpBR系のプラスミ
ドベクター、λ系のファージベクター等が主に使用され
る。本発明者らは、McA−RH8994細胞を培養
し、グアニジンチオシアナート溶液を加えてホモジナイ
ズ後、CsCl密度勾配遠心法により全RNAを得た<
実施例6>。RNAの調製は熱フェノール法や酸性グア
ニジンフェノールクロロホルム法等でも行なうことが出
来る。この全RNAからオリゴdT固定化ラテックス粒
子によりポリ(A)RNAを精製した後、制限酵素N
otI切断配列を付加したオリゴdTをプライマーとし
て逆転写酵素により1本鎖cDNAを合成し、RNas
e HおよびE.coli DNAポリメラーゼIを用
いて、2本鎖cDNAを得た。得られた2本鎖のcDN
AにEcoRIリンカーを付加し、これを実施例5で構
築したcDNA発現ベクターpEF18SをNotIと
EcoRIで切断したものとつなぎ合わせて、コンピテ
ントな大腸菌DH5株を形質転換させ、cDNAライブ
ラリーを構築した<実施例7>。 (C)PCR法によるラットTPOcDNA断片の取得
(クローニング) ラット血漿より精製したラットTPOの部分アミノ酸配
列をもとに、その配列をコードすると考えられるDNA
配列を予測し、ポリメラーゼチェインリアクション(P
CR)に使用する縮重プライマーを合成した。使用する
プライマーは、本発明で用いたプライマー以外の位置の
アミノ酸配列に基づくものであってもよい。また、イノ
シンを使わず縮重度の高いプライマーを用いることも出
来る。更に、ラットにおいて使用頻度の高いコドンを使
用して縮重度を減らしたプライマーを設計することも出
来る(WadaらNucleic Acids Re
s.、18、2367〜2411、1990参照)。先
に作製したcDNAライブラリー全体よりプラスミドD
NAを抽出し、このDNAを鋳型としてPCRを実施し
たところ約330bpのバンドが検出され、塩基配列を
決定したところ、ラットTPOの遺伝子の一部をコード
するDNA断片(A1断片)であることが分かった<実
施例8>。 (D)PCR法によるラットTPOcDNAのスクリー
ニング〜ラットTPOcDNAのシークエンス〜発現確
認 先に構築したcDNAライブラリーを約1万クローンず
つのプールに分け、それらのうち100プールからプラ
スミドDNAを抽出した。これらDNAを鋳型とし、A
1断片の塩基配列をもとに新たに合成したプライマーを
使用してPCRを行なったところ、100プール中3プ
ールに特異的と考えられるバンドが検出された。そこ
で、これらのうち1プールを選び、このプールをさらに
約900クローンずつのサブプールに分け、それらのう
ち100プールについて同様のPCRを行なったとこ
ろ、3サブプールでバンドが検出された。これらのうち
1プールを選択し、更に、40クローンずつのサブプー
ルに分け、最終的には1クローンづつ同様のPCRによ
る選別を行なった結果、ラットTPO遺伝子cDNA断
片を担持したプラスミドpEF18S−A2αを持つク
ローンの単離に成功した<実施例9〜10>。このcD
NA断片の塩基配列を決定したところ、ラット血漿中よ
り精製し部分的に決定したアミノ酸配列をコードしてい
ることが明らかとなり、ラットTPO遺伝子であると考
えられた<実施例10>。上記のようにして得られたク
ローンよりプラスミドDNAを精製し、COS1細胞に
トランスフェクションしたところ、その培養上清中にT
PO活性を検出することができた。この結果、得られた
pEF18S−A2αはラットTPOをコードしている
cDNAを担持していることが確認できた<実施例11
>。 (E)ラット各種組織でのTPOmRNAの検出 ラット体内におけるTPOmRNAの発現組織をPCR
によって解析し、脳、肝臓、小腸、並びに腎臓において
特異的な発現を検出した<実施例12>。 (F)ヒトcDNAライブラリーの構築 実施例4および12の結果より、ヒトTPOcDNAク
ローニングのための出発組織として肝臓を選択した。そ
こで、市販の正常ヒト肝臓由来のmRNAより、cDN
Aライブラリーを構築した。ベクターにはラットのライ
ブラリーと同様にpEF18Sを用い、ラットの場合と
同じ操作でcDNAを合成し制限酵素NotIとEco
RI部位を利用した方向性を持ったライブラリーとし
た。大腸菌株DH5に導入し作製したライブラリーのク
ローンの数は約120万個であった<実施例13>。 (G)PCR法によるヒトTPOcDNA断片の取得
(クローニング) pEF18S−A2αに担持されたラットTPOをコー
ドするcDNAの塩基配列をもとに、数種類のPCR用
プライマーを合成した。市販の正常ヒト肝臓由来のmR
NAよりcDNAを合成し、これらのプライマーを用い
てPCRを実施したところ、620bp前後のバンドが
観察された。塩基配列を決定したところ、ラットTPO
と約86%の相同性を有するDNA断片であることが明
らかとなり、ヒトTPOをコードする遺伝子の一部であ
ると考えられた<実施例14>。 (H)PCR法によるヒトTPOcDNAのスクリーニ
ング〜ヒトTPOcDNAのシークエンス〜発現確認 先に調製したヒトcDNAライブラリーを増幅し、約1
0万クローンずつのプールに分割し、90個のプールか
らプラスミドを抽出した。これらのDNAを鋳型とし、
実施例14で得られたヒトーTPO断片の塩基配列を基
に新たに合成したプライマーを用いてPCRを行なった
ところ、3個のプールでバンドが観察された。これらよ
り1個のプールを選択し、5000個のクローンを1プ
ールとするサブプールに分け、それらのうちの90プー
ルよりプラスミドDNAを精製した。これらを鋳型とし
て同様のPCRを実施したところ、5個のサブプールで
バンドが検出された。そこで、これらより1プールを選
び250個のクローンを1プールとするサブプールに更
に分割し、それらのうちの90プールよりプラスミドD
NAを精製し再度PCRによる検出を行なったところ、
3個のプールでバンドが観察された。そこで、このうち
1プールを選び、30個のクローンを1プールとするサ
ブプールに分割し、それらのうちの90プールからプラ
スミドDNAを精製しPCRを実施した結果、3個のプ
ールでバンドが観察された。これらのうち1プールより
90個のコロニーを拾い、プラスミドDNAを調製し、
PCRを実施することで最終的にクローンHL34を得
た<実施例15>。このクローンが持つプラスミドDN
Aの塩基配列を決定したところ、ラットTPOの塩基配
列と約84%程度の相同性を持つcDNAを担持してい
ることが明らかとなった<実施例16>。このクローン
のプラスミドDNAを精製し、COS1細胞にトランス
フェクションしたところ、培養上清中にTPO活性が検
出され、このクローンが持つプラスミドDNAはヒトT
POをコードする遺伝子cDNA断片を担持しているこ
とが確認された<実施例17>。しかしながら、このc
DNA断片は終止コドンが無く、また、ポリA尾部様配
列を3’端に持っており、これはクローニングの際の人
工産物であると考えられた。そこで、ポリA尾部様配列
直前までのアミノ酸をコードする発現ベクターを構築
し、COS1細胞での発現を行なったところ、培養上清
中にTPO活性が検出された<実施例18>。完全長c
DNAの構造を解析するためにPCRを利用しヒトTP
O3’末端側のDNA断片を得た。この断片の塩基配列
を決定したところ、実施例15で得たクローンHL34
のcDNAとオーバーラップすることがわかり、オープ
ンリーディングフレームも延び全体で353個のアミノ
酸からなる蛋白質をコードすることが予想された。すな
わちヒトTPOタンパク質は21個のシグナル配列を含
む353個のアミノ酸からなることが示唆された<実施
例19>。ヒトTPOのcDNAクローニングは、上記
のようなクローニング法以外にも、pUC系やpBR系
のプラスミドベクター、λ系のファージベクター等を使
用して構築したライブラリーを利用し、ラットTPOc
DNA断片をプローブとしたコロニーハイブリダイゼイ
ションあるいはプラークハイブリダイゼイションによっ
ても行なうことができる。縮重プローブの設計にあたっ
ては、縮重の度合いを減少させるためにイノシンを使う
こともできる。TPO活性を特異的に、また感度良く検
出できるアッセイ法が利用できる場合には、本発明で用
いた様な発現ライブラリーを使用した発現クローニング
も行なうことができる。しかしながら、実施例15で記
載するように正常ヒト肝臓においてはヒトTPOをコー
ドするRNAの含量は著しく低いと考えられるため(こ
の実施例から算出される含量は300万個に1個の割合
であった)、合成したオリゴヌクレオチドプローブやラ
ットやヒトTPOのcDNA断片をプローブとして用い
るハイブリダイゼイションによるスクリーニング方法で
は、処理するクローンやプラークの数が膨大なものにな
り、また、ハイブリダイゼイションの感度や特異性がP
CR法に及ばないため困難を極めることが予想される。
実際に本発明者らも実施例13において作製した正常ヒ
ト肝臓cDNAライブラリー200万クローンについ
て、ラットTPOcDNA断片をプローブとしたコロニ
ーハイブリダイゼイションを実施したが、ヒトTPOc
DNAクローンを得ることは出来なかった。 (I)ヒトTPOcDNAライブラリーの再構築 実施例15で得られたクローンHL34は不完全なcD
NAを含むクローンであると考えられたため、完全長の
ヒトTPOcDNAを得る目的で、市販の正常ヒト肝臓
由来のポリ(A)RNAを用いてヒトTPOcDNA
ライブラリー(hTPO−F1)を構築し直した。大腸
菌株DH5に導入し作製したライブラリーのクローンの
数は約100万個であった。<実施例20> (J)コロニーハイブリダイゼーションによるヒトTP
OcDNAの再スクリーニング〜ヒトTPOcDNAの
シークエンス〜発現確認 実施例14で得られた部分長のヒトTPOcDNAの塩
基配列(配列番号3)、および実施例19において推定
された完全長のヒトTPOcDNAの塩基配列(配列番
号6)をもとに、PCR用プライマーを合成した。実施
例20で構築したcDNAライブラリー(hTPO−F
1)を3つのプール(#1〜3)に分割し、それぞれの
プールよりプラスミドDNAを調製し、これらのDNA
を鋳型として合成したプライマーを用いてPCRを実施
した。#3のプール由来のDNAを用いた場合に予想さ
れる大きさのDNAが増幅されたため、#3のプールを
15000個づつのサブプールに分割し、先の合成プラ
イマーでPCRを実施したところ、90プール中6プー
ルで予想される大きさのDNAが増幅された。これらよ
り1個のプールを選択し、1000個のクローンを1プ
ールとするサブプールに分け、プラスミドDNAを調製
しPCRを行ったが、DNAの増幅は観察されなかっ
た。これは、求めるクローンの増殖が他のクローンより
遅いためにプラスミドDNAの回収率が悪くなったこと
が原因と考えられた。そこで、#3のプールに戻り、L
Bプレート1枚あたり4100個のコロニーとなるよう
にクローンをまき、100枚のプレート、並びにそれぞ
れのレプリカプレートを作製した。プレートのコロニー
から抽出したDNAについて先と同様にPCRを行った
ところ、100プール中1プールでバンドの増幅が観察
された。このプールのプレートより2枚のレプリカフィ
ルターを作製し、放射標識プローブ(プラスミドpEF
18S−HL34のEcoRI/BamHI断片)を用
いたコロニーハイブリダイゼーションを行った。その結
果、陽性シグナルが1個観察されたため、元のプレート
よりコロニーを拾い、LBプレートにまき直して得られ
たコロニー50個よりプラスミドDNAを調製し、PC
Rを実施することにより、最終的にクローンpHTF1
を得た。<実施例21> このようにDNAクローンのスクリーニングにおいて
は、ハイブリダイゼイション、PCR、発現クローニン
グ等が主に用いられるが、これらを適宜組み合わせてス
クリーニングの効率、感度を上昇させる、あるいは、労
力を低減させることができる。ここで得られたクローン
pHTF1の塩基配列を決定したところ、オープンリー
ディングフレームが存在し、このオープンリーディング
フレームにコードされると考えられるタンパク質のアミ
ノ酸配列は、実施例19で推定されたヒトTPOのアミ
ノ酸配列(配列番号6)と完全に一致した。塩基配列は
配列番号6とは3箇所で異なっていたが、アミノ酸の変
換は起こさなかった。これによりヒトTPOタンパク質
は21残基のシグナル配列を含む353個のアミノ酸か
らなることが確認できた。<実施例22> 上記のようにして得られたクローンpHTF1よりプラ
スミドDNAを調製し、COS1細胞にトランスフェク
ションしたところ、その培養上清中にTPO活性を検出
することができた。<実施例23> (K)プラークハイブリダイゼーションによるヒトTP
O染色体DNAのスクリーニング〜ヒトTPO染色体D
NAのシークエンス〜発現確認 東北大学遺伝子実験施設 山本徳男教授より頂いたヒト
ゲノミックライブラリーより、NZYMプレート1枚あ
たり3万個となるようにファージをまき、18枚のプレ
ート、並びにそれぞれのレプリカフィルターを作製し
た。クローンpHTF1に含まれるヒトTPOcDNA
断片(配列番号7の塩基配列番号178−1025)を
PCRで増幅後精製し32P標識したものをプローブと
して用いて、プラークハイブリダイゼーションを行っ
た。その結果、13個の陽性シグナルが検出されたた
め、それぞれ元のプレートよりプラークを拾い、NZY
プレート1枚あたり1000プラークとなるようにま
き直して、それぞれより作製したレプリカフィルターに
ついて再度プラークハイブリダイゼーションを実施し
た。その結果、13組すべてのフィルターで陽性シグナ
ルが検出されたため、プラークを単離し、ファージDN
Aを調製し、13クローンそれぞれについてヒトTPO
cDNAのコーディング領域を含んでいるかどうかをP
CRによりチェックした。13クローン中5クローン
は、cDNAから予想されるコーディング領域を全て含
んでいると考えられたため、1クローン(λHGT1)
を選択し、Southernblot解析(用いたプロ
ーブは先と同じ)を行った。制限酵素HindIIIで
消化した場合に約10kbpの単一バンドが観察された
ので、クローンλHGT1のDNAを制限酵素Hind
IIIで消化後アガロースゲルで泳動し、10kbpの
バンドを切り出して精製し、クローニングベクターpU
C13にサブクローニングし、最終的にクローンpHG
T1を得た。<実施例24> このクローンの塩基配列を決定したところ、担持されて
いる染色体DNAは、配列番号6に示したヒトTPOタ
ンパク質のコーディング領域をすべて含み、その領域に
関しては塩基配列は完全に一致した。また、エクソンに
相当する領域は4つのイントロンで分断されており、実
施例21で取得したクローンpHTF1に担持されてい
る完全長のヒトTPOcDNAの塩基配列とは3箇所で
異なることが判明した。最終的に選択された5クローン
のうち残りの4クローンについても塩基配列の決定を行
ったところ、2箇所はクローンpHGT1と一致し、残
りの1箇所については2クローンがpHGT1と一致
し、もう2クローンpHTF1と一致していた。<実施
例25> 上記のようにして得られたプラスミドクローンpHGT
1のEcoRI断片を発現ベクターpEF18Sにつな
ぎ、ヒトTPO発現プラスミドpEFHGTEを調製
し、COS1細胞にトランスフェクションしたところ、
その培養上清中にTPO活性を検出することができた。
<実施例26> (L)ヒトTPO欠失誘導体の作製〜COS1細胞での
発現〜活性確認 実施例18並びに22の結果よりヒトTPOタンパク質
はその活性発現に全長のアミノ酸を必要としないことが
予想された。そこでヒトTPOタンパク質の活性発現に
必要な領域を解析する目的で、実施例18で得たクロー
ンpHT1−231のプラスミドDNAを鋳型とし、合
成したプライマーでPCRを行うことにより、ヒトTP
Oタンパク質のC末端側を欠失させた発現プラスミド、
即ち、アミノ酸1−211位、1−191位、1−17
1位、および1−163位をコードする欠失誘導体のプ
ラスミドDNAを得た。得られたそれぞれのプラスミド
DNAをCOS1細胞へトランスフェクションしたとこ
ろ、いずれの培養上清中においてもTPO活性が検出さ
れた。<実施例27> TPO活性を担う領域をさらに詳細に検討するために、
C末側より151番目のアミノ酸まで順次欠失させた誘
導体並びに、N末側6、7、12番目のアミノ酸まで欠
失させた誘導体を作製し、COS1細胞で発現させ活性
を検出したところ、N末側では7番目のアミノ酸まで欠
失させた場合に、C末側では151番目のアミノ酸まで
欠失させた場合に活性が検出できなくなった。<実施例
28、29> このように得られたcDNAをもとに誘導体(欠失、置
換、挿入、付加等)を作製することにより、本来のタン
パク質の活性を担う改変型タンパク質を得ることができ
る。この場合に用いる手法としては、PCR法、Sit
e directed mutagenesis法、化
学合成法等がある。 (M)ヒトTPOcDNAのCHO細胞での発現〜精製 配列番号6のアミノ酸配列をコードするcDNA動物細
胞用発現プラスミド、pHTP1を構築した。<実施例
30> このpHTP1のTPOcDNA領域を用い、CHO細
胞発現用ベクターpDEF202−hTPO−P1を構
築した。<実施例31> このベクターをCHO細胞にトランスフェクションし選
択を行った結果、染色体中にヒトTPOをコードする発
現ベクターが組み込まれた形質転換細胞が得られた。こ
の細胞クローンを培養したところ培養上清中にTPO活
性が検出された。<実施例32> 実施例32において、ヒトTPO発現プラスミドpDE
F202−hTPO−P1をCHO細胞にトランスフェ
クションして得られたヒトTPO産生CHO細胞株(C
HO28−30細胞、25nM MTX耐性)を大量培
養した<実施例55>。その培養上清100Lからヒト
TPOを精製した。<実施例56> また、別法により実施例55で得られた培養上清からT
POを精製した。<実施例57> (N)ヒトTPOcDNAのX63.6.5.3.細胞
での発現〜活性確認 実施例30で調製されたプラスミド、PBLTENのT
POcDNA領域を用い、X63.6.5.3細胞用発
現ベクター、BMCGSneo−hTPO−P1を構築
した。<実施例33> このベクターをX63.6.5.3細胞にトランスフェ
クションしたところ、染色体中にヒトTPOをコードす
る発現ベクターを組み込んだ、形質転換細胞が得られ
た。この細胞を培養したところ、培養上清中にTPO活
性が検出された。<実施例34> (O)ヒトTPOのCOS1細胞での大量発現〜精製〜
分子量測定、生物学的特性 実施例30で調製された発現ベクター、pHTP1をC
OS1細胞にトランスフェクションし発現させた培養上
清を大量(合計約40l)に調製した。<実施例35> 実施例35の方法で調製された発現ベクター、pHTP
1由来TPOを含むCOS1細胞無血清培養上清約7l
から、TPOの精製を行った。疎水相互作用クロマトグ
ラフィー、陽イオン交換カラム、WGAカラム、逆相カ
ラムの各段階を経て、高活性のTPOを得ることができ
た。<実施例36> このようにCOS1細胞培養上清より部分精製されたT
POについて、分子量測定、および生物学的特性の分析
を行った。<実施例37、38> (P)ヒトTPOの大腸菌における発現 グルタチオン−S−トランスフェラーゼとヒトTPO
(アミノ酸1−174位)の融合タンパク質(「GST
−TPO(1−174)」)の大腸菌発現用ベクター、
pGEX−2T/hT(1−174)を構築した。この
際のヒトTPOcDNAの塩基配列の一部(5’側およ
そ半分の領域)は大腸菌優先コドンに変換した。<実施
例39> GST−TPO(1−174)を大腸菌で発現させ、菌
体を破砕後、沈殿画分に含まれるGST−TPO(1−
174)の可溶化を行った。次に、TPOの巻き戻し
(リフォールディング)条件の検討、精製条件の検討
(グルタチオンアフィニティーカラム、陽イオン交換カ
ラム等)、トロンビン消化によるGST蛋白質領域の切
断などの段階を組み合わせた結果、設計通りのTPOの
アミノ酸配列を含む蛋白質が部分精製できた。この蛋白
質はラットCFU−MKアッセイ系にてTPO活性を有
することが確認できた。<実施例40、41> また、ヒトTPO(アミノ酸1−163位)の1位のS
er残基をAla残基に、かつ3位のAla残基をVa
l残基に変換し、さらに−1位にLys残基、−2位に
Met残基を付加した変異型ヒトTPOタンパク質
(「h6T(1−163)」と称す)の大腸菌発現用ベ
クター、pCFM536/h6T(1−163)を構築
した。このベクターが担持するヒトTPOcDNAによ
ってコードされるアミノ酸(1−163)の塩基配列は
全て大腸菌での優先コドンに変換した。<実施例42> h6T(1−163)を大腸菌で発現させ、菌体を破砕
後、沈殿画分に含まれるh6T(1−163)の可溶化
を検討、リフォールディング条件の検討を実施した結
果、設計通りのTPOのアミノ酸配列を含むタンパク質
が部分精製できた。このタンパク質はラットCFU−M
Kアッセイ系にてTPO活性を有することが確認でき
た。<実施例43、44> さらに、ヒトTPOcDNA(アミノ酸1−163)の
−1位にLys残基、−2位にMet残基を付加した変
異型ヒトTPOタンパク質(「hMKT(1−63)」
と称す)の大腸菌発現用ベクターpCFM536/hM
KT(1−163)を構築した。hMKT(1−16
3)を実施例43と同様に大腸菌で発現させ、得られた
発現タンパク質をSDS−PAGE後PVDF膜に転写
し、N末端アミノ酸配列分析を行った結果、設計通りの
アミノ酸配列を含むことが確認できた。<実施例52> また、ヒトTPO(アミノ酸1−332位)の−1位に
Lys残基、−2位にMet残基を付加した変異型ヒト
TPOタンパク質(「hMKT(1−332)」と称
す)の大腸菌発現用ベクターpCFM536/hMKT
(1−332)を構築した。hMKT(1−332)を
実施例42と同様に大腸菌で発現させ、後述の実施例4
5で作製した抗ヒトTPOペプチド抗体を用いたウェス
タンブロッティングにより発現を確認した。<実施例6
6> (Q)抗TPOペプチド抗体の作製〜抗TPOペプチド
抗体カラムの調製 実施例10にて判明されているラットTPOのアミノ酸
配列のうち、3箇所の部分領域に相当するペプチドを合
成し、ウサギポリクローナル抗TPOペプチド抗体を作
製した。これらの抗体がラット及びヒトTPOを認識す
ることを確認した。また、配列番号6(もしくは配列番
号7)に示されるヒトTPOのアミノ酸配列のうち、6
箇所の部分領域に相当するペプチドを合成し、ウサギポ
リクロナール抗TPOペプチド抗体を作製した。これら
の抗体がヒトTPOを認識することを確認した。<実施
例45> TPOに対して結合親和性を持つような分子、即ち、抗
TPO抗体、TPO受容体などをカラム坦体に結合さ
せ、アフィニティーカラムクロマトグラフィーによりT
POを精製する方法が考えられる。そこでまず実施例4
5で得られた抗TPOペプチド抗体をゲル坦体に結合さ
せた抗TPO抗体カラムを調製した。<実施例46> (R)COS1細胞で発現させたヒトTPOの抗TPO
ペプチド抗体カラムを用いた精製〜分子量測定、生物学
的特性 発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェ
クションした培養上清を材料として部分精製TPOを得
て、これを抗TPO抗体カラムにかけた。吸着画分にT
PO活性を有することが確認できたので、これをさらに
逆相カラムクロマトグラフィーにかけ精製し、その分子
量と生物学的活性を調べた。<実施例47> (S)COS1細胞で発現させたヒトTPOの部分精製
標品の活性確認 実施例36で精製されたTPO活性画分、すなわち、発
現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェク
ションして得られた培養上清由来で、Capcell
Pak C1 300Aカラムの段階まで精製されたT
POの生物学的活性を調べた結果、生体内において血小
板増加作用を有することがわかった。<実施例48> また、発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトラン
スフェクションして得られた、培養上清33Lを出発材
料にし、陽イオン交換カラムで得られた粗精製TPO画
分の生物学的活性を調べた結果、生体内において血小板
増加作用を有することがわかった。<実施例49> (T)ヒトTPO染色体DNAのCHO細胞での発現〜
活性確認 CHO細胞でのヒトTPO染色体発現ベクター、pDE
F202−ghTPOを構築した。<実施例50> このベクターをCHO細胞に導入したところ、染色体中
にヒトTPO染色体DNAを担持する発現ベクターが組
み込まれた形質転換細胞が得られた。この細胞を培養し
たところ、培養上清中にTPO活性が検出された。<実
施例51> (U)大腸菌で発現させた変異型ヒトTPOの部分精製
〜活性確認 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするク
ローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異
型ヒトTPOについて、塩酸グアニジンとグルタチオン
を用いたリフォールディング操作を行い、ここで得たh
6T(1−163)が、生体内において血小板増加作用
を有することを確認した。<実施例53> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするク
ローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異
型ヒトTPOについて、N−ラウロイルサルコシンナト
リウムと硫酸銅を用いたリフォールディング操作を行
い、さらに陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて精
製したh6T(1−163)が、生体内において血小板
増加作用を有することを確認した。<実施例54> また、更に別法を用いて、変異型ヒトTPO、h6T
(1−163)のリフォールディング〜精製を行った。
<実施例60、61> (V)ヒトTPOcDNAの昆虫細胞での発現〜活性確
認 ヒトTPOの昆虫細胞での発現用組換えウィルスを作製
し<実施例58>、昆虫細胞Sf21で発現させ、培養
上清中の活性を確認した。<実施例59> (W)ヒトTPO(アミノ酸1−163位)のCHO細
胞での発現〜精製 配列番号6に示したヒトTPOのアミノ酸配列のうち、
1−163位のアミノ酸配列を有するヒトTPOタンパ
ク質(「hTPO163」と称す)のCHO細胞発現用
ベクターpDEF202−hTPO163を構築した。
発現ベクターpDEF202−hTPO163をCHO
細胞にトランスフェクションして得られたhTPO16
3産生CHO細胞株を大量培養し、その培養上清からh
TPO163を精製した。<実施例62〜65> (X)ヒトTPO誘導体の作成 ヒトTPOの25位のArg残基がAsn残基に、23
1位のGlu残基がLys残基にそれぞれ置換され、更
にC末端に付加的ペプチドを有する誘導体(「N3/T
PO」と称す)、および33位のHis残基がThr残
基に置換され、更にC末端に付加的ペプチドを有する誘
導体(「O9/TPO」と称す)をコードするプラスミ
ドでトランスフェクションしたCOS7細胞培養上清中
にTPO活性が検出された。<実施例67> hTPO163にアミノ酸を挿入した誘導体またはhT
PO163のアミノ酸の一部を欠失させた誘導体をコー
ドするプラスミドでトランスフェクションしたCOS7
細胞培養上清中にTPO活性が検出された。<実施例6
8> h6T(1−163)を鋳型として、大腸菌を用いてT
PO誘導体を作製し、そのTPO活性を確認した。<実
施例77> (Y)TPOによる薬理作用 実施例56で得られたヒトTPOの静脈内投与、並びに
皮下投与による正常マウスにおける血小板増加作用を確
認した。<実施例69、70> また、実施例56で得られたヒトTPOが、制ガン剤投
与による血小板減少の阻止効果および血小板減少からの
血小板数回復促進効果、更にはBMT(骨髄移植)施行
後、並びに放射線照射後の血小板数の回復促進効果を有
することを確認した。<実施例71〜74> また、実施例65で得られたヒトTPOの正常マウスに
おける血小板増加作用、および制ガン剤投与による血小
板減少からの血小板数回復促進効果を確認した。<実施
例75、76> (Z)ヒトTPO製剤の調製 ヒトTPOを有効成分とする製剤の調製例を示した。<
製剤実施例1〜9> なお、本発明において用いたTPO活性の測定方法(i
n vitroアッセイ系)を<参考例>として以下に
説明する。 <参考例> A.ラット巨核球前駆細胞(CFU−MK)アッセイ
(ラットCFU−MKアッセイ)系(液体培養系) 巨核球は、エネルギー依存性に細胞外のセロトニン(s
erotonin)を取り込んで、濃染顆粒に蓄積する
(Fedorko、Lab.Invest.、36巻、
310−321頁、(1977))。この現象は、少な
くともCFU−MKと認識可能な巨核球の間の分化段階
に位置する小型で単核のアセチルコリン陽性細胞におい
てすでに認められ(BrickerとZuckerma
n、Exp.Hematol.、12巻、672−67
5頁、(1984))、その後、巨核球サイズの増大に
応じてserotoninの取り込み量が増加する(S
chickとWeinstein、J.Lab.Cli
n.Med.、98巻、607−615頁、(198
1))。しかも、骨髄細胞の中では巨核球系細胞だけに
特異的である(SchickとWeinstein、
J.Lab.Clin.Med.、98巻、607−6
15頁、(1981))ことが知られている。本アッセ
イ系は、高度に濃縮されたラットCFU−MK(GpI
Ib/IIIaCFU−MK画分;後述)を被検検体
の存在下に培養し、巨核球の増殖・分化を14C−セロ
トニン(14C−5−hydroxy tryptam
ine creatinine sulphate;
14C−5HT))の取り込みを指標とした測定法であ
る。本アッセイ系の利点は、用いる細胞に含まれるCF
U−MKの割合が極めて高く(後述の「アッセイ方法」
参照)、これに反して混入するTPOの標的細胞以外の
細胞が少ないので、混入細胞による間接的影響(例え
ば、本因子以外の何らかの物質が混入細胞に作用してM
eg−CSF活性を誘導させたり、混入細胞が本因子と
協同作用する何らかの因子を産生したりするなど)を軽
減することができ、また、1つのウエルの中で培養する
全細胞数が少なくてすむために、比較的長い期間良好な
培養環境を維持することができることにある。さらに、
培養期間中に活性標品によってCFU−MKから生成し
た数多くのサイズの大きい成熟巨核球を位相差顕微鏡下
に観察することができ、活性の有無や程度を定性的に判
定できることも利点である。この定性判定の結果は14
C−セロトニンの取り込みによる定量結果と良く対応し
ている。従って、定性判定を併用することにより、定量
結果の信頼性を高めることができる。 「アッセイ方法」まず、アッセイに用いる高度に濃縮さ
れたラットCFU−MK(「GpIIb/IIIa
FU−MK画分」)を既に報告している方法(Miya
zakiら、Exp.Hematol.、20巻、85
5〜861頁、(1992年))を若干改良した方法に
従って調製した。その概略は次のとおりである。Wis
tar系ラット(♂、8〜12週齢)の大腿骨、および
脛骨を摘出し、常法に従い、骨髄細胞浮遊液を調製す
る。骨髄細胞浮遊液の調製には、LevineとFed
orkoが報告した巨核球分離用媒体(Levineと
Fedorko、Blood、50巻、713−725
頁、(1977))を若干改良した媒体(13.6mM
クエン酸三ナトリウム、11.1mMグルコース、1m
Mアデノシン、1mMテオフィリン、10mM HEP
ES(pH7.25)、0.5%ウシ血清アルブミン
(以下、BSAと略す)(Path−O−Cyte
4;生化学工業)、およびCa2+とMg2+を含まな
いHanks平衡塩類溶液からなる溶液:以下、HAT
CH溶液と略す)を用いる。骨髄細胞浮遊液を、Per
coll原液(Pharmacia社製)をHATCH
溶液で希釈して調製したPercoll不連続密度勾配
溶液(密度;1.050g/ml/1.063g/ml
/1.082g/ml)の上に重層し、20℃にて40
0×gで20分間遠心する。遠心後、密度1.063g
/mlと1.082g/mlの界面に集まった細胞を回
収する。細胞を洗滌後、10%ウシ胎仔血清(以下FC
Sと略す)を含むIscove改変Dulbecco培
養液(以下IMDM培養液と略す)で浮遊させ、直径1
00mmの組織培養用プラスティックディッシュに入れ
て、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で1時間培養す
る。培養後、非付着性細胞画分を回収し、再び直径10
0mmのプラスティックディッシュに入れ、さらに37
℃で1時間培養した後、非付着性細胞画分を集める。回
収した細胞をHATCH溶液に再浮遊させ、予めマウス
モノクローナル抗ラット血小板GpIIb/IIIa抗
体であるP55抗体(Miyazakiら、Throm
b.Res.、59巻、941−953頁、(199
0))を吸着させておいた細菌検査用100mmペトリ
ディッシュ(Falcon1005;Becton−D
ickinson社製)に入れ、室温で1時間静置す
る。その後、非吸着細胞をHATCH溶液で十分に洗
滌、除去した後、固相化P55抗体に吸着した細胞をピ
ペッティングにてはがし、回収する。通常、ラット1匹
から3〜4×10個の細胞が得られる。得られた細胞
画分にはラットCFU−MKが高度に濃縮されており
(以下、「GpIIb/IIIaCFU−MK画分」
と言う)、後述するコロニーアッセイ系における飽和濃
度のラットIL−3存在下の検定により通常5〜10%
程度のCFU−MKが含まれることが分かっている。な
お、上記P55抗体を産生するハイブリドーマ(p55
細胞)は、1994年2月14日付で通商産業省工業技
術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP
−4563として寄託されている。次に、得られたGp
IIb/IIIaCFU−MK画分を10%FCSを
含むIMDM培養液で再浮遊させ、組織培養用96ウエ
ル平底プレートへ1ウエル当たり10個の細胞が入る
ように分配し、さらにIMDM培養液に対して十分に透
析した標準品(後に詳述する)や、被検検体を加え、最
終培養液量を200μl/ウエルにする。プレートを炭
酸ガス培養器に入れ、37℃で4日間培養する。4日目
の培養終了3時間前に1ウエル当たり0.1μCi
(3.7KBq)の14C−セロトニンを添加し、引き
続き37℃で培養する。培養終了後、プレートを100
0rpmにて、3分間遠心し、上清を吸引除去する。続
いて、0.05%EDTAを含むPBSを1ウエル当た
り200μl加えて遠心し、上清を吸引除去し、細胞を
洗滌する。この洗滌操作をもう一度繰り返す。得られた
細胞ペレットへ2%Triton X−100を1ウエ
ル当たり200μl加え、プレートをプレートミキサー
で5〜10分程度振蕩し、細胞を十分に溶解する。得ら
れた細胞溶解液のうちの150μlを市販のカップ状の
固体シンチレーター(Ready Cap;Beckm
an社製)の中へ移し、一晩50℃の乾燥器中に静置し
て、乾固させる。翌日、Ready Capをガラスバ
イアルに入れ、液体シンチレーションカウンターにて
14Cの放射活性を測定する。なお、上述の細胞溶解液
中のアセチルコリンエステラーゼ活性をIshibas
hiとBursteinの方法(Ishibashiと
Burstein、Blood、67巻、1512−1
514頁、(1986))に従って測定しても、14
−セロトニンの取り込みによる定量結果と極めて類似し
た結果が得られる。「標準品」 まず、標準品の作製に用いる血小板減少症ラ
ット血漿を以下の方法で調製した。7〜8週齢のWis
tar系正常ラット(♂)へ、前述したP55抗体を1
回の投与量を0.5mgとして、約24時間間隔で2
回、静脈注射し、2回目の投与の約24時間後の血小板
減少期にエーテル麻酔下に開腹し、予め抗凝固剤として
1mlの3.8%(v/v)クエン酸三ナトリウム溶液
を吸い上げておいた10ml用注射筒を用いて腹大動脈
から採血した。血液をプラスティック製の遠心チューブ
に移し、1200×gで、10分間遠心し、血漿画分を
回収した。この血漿画分を再度1200×gで、10分
間遠心し、遠心後、細胞や血小板などからなるペレット
を吸い上げないように十分に気をつけながら血漿画分を
回収し、プールした(以下、このようにして得られた血
漿を「TRP」と言う)。続いて、TRPから実施例1
に記載する方法に従って調製したCa処理TRP(標準
品C)、WGA−Agaroseカラム活性画分(標準
品W)、あるいはPhenyl Sepharose
6 FF/LSカラム活性画分(標準品P)を、十分量
のIMDM培養液に対して徹底的に透析し、活性検定用
の標準品とした。なお、実施例1に示したラットTPO
精製過程においては、初期は標準品Cを用いたが、途中
から標準品W、さらにその後は標準品Pを用いた。恣意
的に標準品Cの活性を1と定義し、それを基に標準品W
および標準品Pの相対活性を求めた。被検検体の相対活
性の求め方は、標準品と被検検体との用量反応曲線を描
き、被検検体の活性が標準品Cの活性のn倍であったと
き、その検体の相対活性をnとした。 B.コロニーアッセイ系 骨髄細胞を半固型の培養液中で被検検体の存在下に培養
し、CFU−MKが増殖・分化して形成される巨核球コ
ロニーの数を算定することによりMeg−CSF活性を
測定するアッセイ法である。 「アッセイ法」 (a)ラット非分離骨髄細胞などを用いる場合 ラット非分離骨髄細胞、前記A.のGpIIb/III
CFU−MKの分離・濃縮操作の各段階で得られる
細胞、あるいはGpIIb/IIIaCFU−MK画
分、10%FCS、2mMグルタミン、1mMピルビン
酸ナトリウム、50μM 2−メルカプトエタノール、
0.3%の寒天(AGAR NOBLE、DIFCO社
製)を含む最終液量1mlのIMDM培養液を直径35
mmの組織培養用プラスチックディッシュに入れて室温
で固化させた後、炭酸ガス培養器中にて37℃で培養す
る。通常、1つのディッシュ当たりのまき込み細胞数
を、非分離骨髄細胞、Percoll遠心分離段階およ
びプラスティックディッシュ付着性細胞除去段階の細
胞、およびGpIIb/IIIaCFU−MK画分
で、それぞれ、2〜4×10、2〜5×10、0.
5〜2×10個とする。6〜7日目に寒天ゲルをディ
ッシュから取り出してスライドガラス(76mm×52
mm)に受け、孔径50μmのナイロンメッシュ、続い
て濾紙をのせて水分を吸収し、それらを除いてから室温
で十分に乾燥させる。50℃のホットプレート上で5分
間熱固定した後、Jacksonの方法(Jackso
n、Blood、42巻、413−421頁、(197
3))に従って調製したアセチルコリンエステラーゼ染
色液に2〜4時間浸し、巨核球が十分に染色されている
のを確認してから取りだして水洗し、乾燥後Harri
sヘマトキシリン液にて30秒間、後染色を施し、水
洗、風乾させる。アセチルコリンエステラーゼ陽性の巨
核球3個以上から成る集塊を一つのコロニーとして巨核
球コロニー数を算定する。 (b)マウスの非分離骨髄細胞を用いる場合 1つのディッシュ当たりのまき込み細胞数を2〜4×1
個として、上記(a)と同様の方法で行なうことが
できる。 (c)ヒト骨髄細胞やヒト臍帯血細胞を用いる場合 ヒト骨髄細胞やヒト臍帯血細胞をそのまま用いることも
できるが、以下のようにそれらから濃縮したCFU−M
K画分を用いることができる。 まず骨髄液、あるいは臍帯血をLymphoprep
(第一化学社製)上に重層し、遠心後、界面に集まった
白血球画分を回収する。この細胞画分から、ビオチン化
したヒトの細胞表面抗原(CD2、CD11c、および
CD19)に対するビオチン化したモノクローナル抗体
が結合する細胞を、アビジンを結合させた磁気ビーズを
用いて除去する。この磁気ビーズ法で除去できる細胞
は、主にB細胞、T細胞、マクロファージ、および一部
の顆粒球である。残った細胞を、FITC標識された抗
CD34抗体、およびPE標識された抗HLA−DR抗
体で染色し、続いてセルソーター(例えば、ELIT
E;COULTER社製)を用いて、CD34陽性、か
つHLA−DR陽性の細胞画分を回収する。この画分に
CFU−MKが濃縮されている(CD34DRCF
U−MK画分と略す)。ヒトのコロニーアッセイは、上
記のラットの骨髄細胞を用いたコロニーアッセイとほぼ
同様の方法で行なうが、1つのプラスティックディッシ
ュ当たりのCD34DRCFU−MK画分のまき込
み数を3〜5×10個とし、10%FCSの代わりに
12.5%ヒトAB血漿と12.5%FCSの混合物を
用いる。また、巨核球コロニーを形成させるまでの培養
期間は12日間から14日間である。ヒト巨核球の検出
には、巨核球の表面抗原であるヒトGpIIb/III
aに対するマウスモノクローナル抗体を用いたアルカリ
フォスファターゼ−抗アルカリフォスファターゼ抗体法
で巨核球を免疫染色し(例えば、Teramuraら、
Exp.Hematol.16巻、843−848頁、
(1988))、3個以上の巨核球からなるコロニーを
巨核球コロニーとして算定する。 C.ヒト巨核芽球性細胞株を用いたアッセイ系(M−0
7eアッセイ) ヒト巨核芽球性細胞株であるM−07e細胞は、GM−
CSF、IL−3、SCF、IL−2などに応答して増
殖する細胞株であることが知られているが(Avanz
iら、J.Cell.Physiol.、145巻、4
58−464頁、(1990)、Kissら、Leuk
emia、7巻、)、TPOにも応答することが判明
し、ラットCFU−MKアッセイ系の代替アッセイ法と
して使うことができる。 「アッセイ法」GM−CSF存在下に継代培養している
M−07e細胞を回収し、十分に洗滌後、10%FCS
を含むIMDM培養液に再浮遊させる。組織培養用96
ウエル平底プレートへ1ウエル当たりの細胞数が10
個になるようにM−07e細胞を入れ、さらに標準品、
および被検検体を加えて、最終液量を200μl/ウエ
ルにする。プレートを5%炭酸ガス培養器に入れ、37
℃で、3日間培養する。3日目の培養終了4時間前に1
μCi(37KBq)/ウエルのH−thymidi
neを添加し、培養終了後、セルハーベスターで細胞を
ガラス繊維フィルター上に集め、Hの放射活性を液体
シンチレーションカウンター(例えば、ベータプレー
ト;Pharmacia社製)にて測定する。なお、M
−07eアッセイにおける相対活性量の定義は、前述
A.のラットCFU−MKアッセイにおける定義と同じ
である。 D.マウスプロB細胞株を用いたアッセイ系(Ba/F
3アッセイ) マウスプロB細胞株Ba/F3細胞は、IL−3やIL
−4などに応答して増殖する細胞株であることが知られ
ている(Palaciosら、Cell、41巻、72
7−734頁)。その亜株であるBF−TE22細胞は
IL−3やIL−4ばかりでなくTPOに応答し、細胞
増殖する事が判明し、ラットCFU−MKアッセイやヒ
ト巨核芽球性細胞株を用いたアッセイ(M−07eアッ
セイ)の代替アッセイ法として用いることができる。こ
のアッセイ系の概要は以下の通りである。まず、1ng
/mlのマウスIL−3存在下に継代培養しているBF
−TE22細胞を回収し、イスコフ改変DME培地(I
MDM;GIBCO社)で3回洗浄したのちに、10%
FCSを含むIMDM培地に再懸濁させる。次に、組織
培養用96ウエル平底プレートに1ウエルあたり細胞数
が1x10個になるように細胞を接種し、さらにTP
O標準品あるいは被検検体を加えて、最終液量を200
ml/ウエルとなるようにし、プレートを5%炭酸ガス
培養器中で2−3日間培養する。2または3日目の培養
終了4時間前に1mCi(37KBq)/ウエルの
−thymidineを添加し、さらに培養を継続す
る。培養終了後、セルハーベスターを用いて細胞をガラ
ス繊維フィルター上に回収し、細胞に取り込まれた
の放射活性を液体シンチレーションカウンターにて測定
する。本アッセイ系ではTPO活性を含まない被検検体
では、細胞はほぼ死滅しH−thymidineをほ
とんど取り込まないのに対し、TPO活性を含む被検検
体では、細胞はTPO濃度依存的に活発な増殖を示し
H−thymidineの取り込みが認められる。ま
た、本アッセイは、M−07eアッセイやCFU−MK
アッセイとパラレルな結果を示す。
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明
する。 <実施例1−1>抗血小板抗体投与による血小板減少症
ラットの血漿からのラットTPO精製 「抗血小板抗体投与による血小板減少症ラットの血漿の
調製」前述の<参考例>A.ラット巨核球前駆細胞(C
FU−MK)アッセイ系に記載の方法でラット約100
0匹分のTRPを調製し、精製の供給源とした。 「TRPからのラットTPOの精製」当初、TRP中の
TPO含有量は多くとも300万分の1程度であろうと
の推定に基づき、ラット約1000匹分のTRPを材料
に精製を進めた結果、1pmole弱のラットTPOの
部分精製標品を得た。次にこの標品の部分アミノ酸配列
の分析を試行し、3種の部分アミノ酸配列の結果を得
た。これらは肝臓でつくられるセリンプロテアーゼイン
ヒビター(SPI)のアミノ酸配列と一致しているか、
類似したものであった。従って、TPOがセリンプロテ
アーゼインヒビターと類似した構造をもつものであると
いう可能性、及びTPO以外の混入タンパク質由来の配
列である可能性のいずれについても否定はできなかっ
た。これらの不確定な配列をもとにラットcDNAライ
ブラリーからのTPO遺伝子クローニングを実施した
が、結局、候補遺伝子を得ることはできなかった。これ
は、分析した標品の純度と量に不足があったためと考
え、あらためて鋭意研究を重ねることとなった。アミノ
酸配列分析のために必要な最終精製標品を得るため、次
の実施例1−2に述べる精製を行った。尚、特筆すべき
ことは、本実施例1−2による結果より、TRPあるい
はXRP(後述)に存在するTPO量は、驚くべきこと
に全血漿蛋白質の1億分の1から10億分の1と推定さ
れ、これを精製することが通常は極めて困難であるほ
ど、微量の含有量であることが判明した。 <実施例1−2>X線、あるいはγ線照射による血小板
減少症ラットの血漿からのラットTPOの精製 「X線、あるいはγ線照射による血小板減少症ラットの
血漿の調製」亜致死線量(6〜7Gy)のX線、あるい
はγ線を7〜8週齢のWistar系正常ラット(♂)
へ全身照射し、血小板減少期の14日目に採血し、前述
のTRPと同様の操作で血漿画分を調製した(以下、こ
の血漿を「XRP」と言う。)。ここでは、合計してラ
ット約1100匹分のXRP(約8L)を精製の供給源
とした。 「XRPからのラットTPOの精製」ラット約1100
匹分の血漿の総蛋白質量は493000mgにも達する
ため、一度に処理することができなかった。そこで、以
下に述べる精製ステップのうち、(1)〜(4)では約
100匹ずつ11のロットに分けて実施した。次いで
(5)〜(7)では6つのバッチに分けて実施した。
(8)以降は約1100匹分から粗精製されたものをま
とめて実施した。このうち、あるひとつのロット(XW
9)、バッチ(XB6)における精製例を代表として説
明のために挙げ、併せて精製の各ステップについて述べ
る。尚、精製の全ステップに於いて、TPO活性は前述
の<参考例>に記載したラットCFU−MKアッセイ系
を用いて測定した。逆相クロマトグラフィーを室温で実
施した以外は、特に記載しない限り4℃で精製を行っ
た。また、蛋白質の定量は、クーマジー色素結合法(P
IERCE社製試薬、カタログ番号23236X)、ま
たは、ビシンコニン酸法(PIERCE社製試薬、カタ
ログ番号23225)を用いて実施した。精製の概要
を、表1に示した。
【表1】 (1)ラット血漿の塩化カルシウム処理・遠心処理・蛋
白質分解酵素阻害剤処理−80℃で保存した約100匹
分のXRP(742ml,蛋白濃度54.8mg/m
l,総蛋白質量40686mg)を解凍し、ポリプロピ
レン製遠心チューブ(ナルゲン社製)に移した。これに
各々最終濃度100mMになるように塩化カルシウム粉
末を加え、4℃で一晩静置した。次に8000RPMで
60分遠心後、上清を回収した。TPO活性を含むこの
上清(742ml,蛋白濃度54.9mg/ml,総蛋
白質量40740mg)に、最終濃度1mMの蛋白質分
解酵素阻害剤であるp−APMSF(p−アミノジフェ
ニルメタンスルホニルフルオリド 塩酸塩、和光純薬工
業、カタログ番号010−10393)を加え、次に述
べるSephadex G−25カラムによるバッファ
ー交換のステップへ進めた。このようにして、約100
匹分ごとにひとつのロットにまとめ、塩化カルシウム・
p−APMSF処理し、合計11ロット、約1100匹
分のXRP(総体積8184ml、総蛋白質量4930
07mg)の処理を繰り返し、それぞれSephade
x G−25カラムへ進めた。 (2)Sephadex G−25<バッファー交換> (1)で得られた塩化カルシウム処理後の上清(742
ml,蛋白濃度54.9mg/ml、総蛋白質量407
40mg)を、20mM Tris−HCl,pH8で
予め平衡化してあったSephadex G−25Mカ
ラム(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号1
7−0033−03;直径11.3cm、ベッド高47
cm)に流速40〜70ml/minで添加し、蛋白質
が溶出してくるまでの1300mlを捨てた。次に、紫
外吸収が立ち上がってきた時点から、電気伝導度が50
0μS/cmに達するまでを集め、20mM Tris
−HCl pH8溶液に置換されたTPO活性を含む蛋
白質画分(1377ml,蛋白濃度27.56mg/m
l)を回収した。TPO活性画分の総蛋白質量は、37
882mg、このステップでの蛋白収量は、93%であ
った。また、TPOの相対活性は、2.3であった。こ
のようにして、全ロットについてそれぞれSephad
ex G−25カラムを実施した結果、合計すると、総
体積 21117ml、総蛋白質量 480306m
g、平均相対活性 1.8、相対活性量 864600
のSephadex G−25のTPO活性画分を得
た。 (3)Q−Sepharose FF<強陰イオン交換
クロマトグラフィー> (2)で得られたSephadex G−25MのTP
O活性画分(1375ml,蛋白濃度27.5mg/m
l、総蛋白質量37841mg、相対活性2.3)を流
速40ml/minで、Q−Sepharose FF
(ファルマシアバイオテク社製、カタログ番号17−0
510−01;直径 5cm、ベッド高 27cm)に
添加し、20mM Tris−HCl,pH8で素通る
画分F1(3949ml,蛋白濃度0.98mg/m
l,総蛋白質量3870mg,相対活性0)を溶出し
た。次に、175mM NaClを含む20mM Tr
is−HCl,pH8緩衝液に換えて、TPO活性画分
F2(4375ml,蛋白濃度5.36mg/ml)を
溶出した。最後に、1000mM NaClを含む20
mM Tris−HCl pH8緩衝液で、F3(12
21ml,蛋白濃度3.9mg/ml,総蛋白質量47
83mg,相対活性3.8)を溶出した。TPO活性画
分F2の総蛋白質量は、23440mg、このステップ
でのF2の蛋白収量は、61.9%であった。また、T
POの相対活性は、6.8に上昇した。このようにし
て、Sephadex G−25のTPO活性画分の全
ロットをQ−SepharoseFFにかけた結果、合
計すると総体積 35842ml、総蛋白質量 314
384mg、平均相対活性 8.6、相対活性量 27
04000のQ−Sepharose FFのTPO活
性画分F2を得た。 (4)小麦胚芽アグルチニン(WGA)−Agaros
e<レクチンアフィニティークロマトグラフィー> (3)で得られたQ−Sepharose FFのTP
O活性画分F2を3回に分けて、WGA−Agaros
e(ホーネン社製、カタログ番号800273;直径
5cm、ベッド高 22.5cm)に流速5ml/mi
nで添加し、ダルベッコ氏リン酸等張緩衝液(DPB
S)で素通る画分F1(9336ml,蛋白濃度2.3
0mg/ml,総蛋白質量21407mg,相対活性
6.9)を得た。次に、0.2M N−アセチル−D−
グルコサミン(GlcNAc、ナカライ社製、カタログ
番号005−20)、150mM NaCl、0.02
%アジ化ナトリウムを含む20mM Na Phosp
hate,pH7.2緩衝液により溶出されたプール
を、限外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメガウル
トラセット分子量8000カット)で濃縮し、WGA−
Agarose吸着TPO活性画分F2(2993m
l,蛋白濃度0.376mg/ml)を得た。このTP
O活性画分F2の総蛋白質量は、1125mg、このス
テップでのF2の蛋白収量は、4.8%であった。ま
た、TPOの相対活性は、101に上昇した。ここで得
られたF2は−80℃で保存した。このようにして、Q
−Sepharose FFのTPO活性画分F2の全
ロットについて、繰り返しWGA−Agaroseにか
けた結果、総体積 33094ml、総蛋白質量 15
030mg、平均相対活性 132、相対活性量198
7000のWGA−AgaroseのTPO活性画分F
2を得た。 (5)TSK−gel AF−BLUE 650 MH
<色素吸着アフィニティークロマトグラフィー> (4)で得られた、合計215匹分のXRPから出発し
たロットXW8のWGA−Agarose吸着TPO活
性画分とロットXW9のWGA−Agarose吸着T
PO活性画分F2をバッチXB6としてまとめた(59
74ml,蛋白濃度0.388mg/ml、総蛋白質量
2319mg、相対活性150)。この体積5974m
lに対し、0.85molesのNaCl(296.7
6g)を加え、最終濃度0.822M NaCl,61
32mlの溶液とした後、1M NaCl,20mM
Na Phosphate,pH7.2で予め平衡化し
てあったTSK−gel AF−BLUE 650 M
Hカラム(トーソー社製、カタログ番号08705;直
径 5cm、ベッド高 23cm)に、流速7ml/m
inで添加した。添加終了後、流速10ml/minに
て、20mM Na Phosphate,1M Na
cl,pH7.2で溶出される素通り(約8470m
l)を集め、これを限外濾過ユニット(フィルトロン社
製、オメガウルトラセット分子量8000カット)で濃
縮し、素通り画分F1(543ml,蛋白濃度2.05
mg/ml,総蛋白質量1112mg,相対活性31)
を得た。次に、溶出液を2M NaSCNにかえ、溶出
されたTSK−gel AF−BLUE 650MH
吸着TPO活性画分F2(1427ml,蛋白濃度0.
447mg/ml)を得た。このTPO活性画分F2の
総蛋白質量は638mg、このステップでのF2の蛋白
収量は27.5%であった。また、TPOの相対活性
は、1500に上昇した。このようにして、WGA−A
garose吸着TPO活性画分F2の全バッチについ
て、各々TSK AF−BLUE 650MHにかけた
結果、総体積 10655ml、総蛋白質量4236m
g、平均相対活性 905、相対活性量3834000
のTSK−gelAF−BLUE 650MHのTPO
活性画分F2を得た。 (6)Phenyl Sepharose 6 FF/
LS<疎水相互作用クロマトグラフィー> (5)で得られたTSK−gel AF−BLUE 6
50 MHのTPO活性画分F2(1424ml,蛋白
濃度0.447mg/ml、総蛋白質量638mg、相
対活性1500)の体積1424mlに対し、1.5m
olesのAmmonium Solfate(28
2.2g)の粉末を加え、最終濃度1.35M Amm
onium Sulfate,1581mlの溶液とし
た。これを1.5M Ammonium Sulfat
e,50mM Na Phosphate,pH7.2
で予め平衡化してあったPhenyl Sepharo
se 6 FF(Low Sub)カラム(ファルマシ
アバイオテク社製、カタログ番号17−0965−0
5;直径 5cm、ベッド高 10cm)に、流速7m
l/minにて添加し、添加終了後、溶出液を0.8M
Ammonium Sulfate,36mM Na
Phosphateにかえ、流速10ml/minに
て溶出される画分(約3160ml)までを集め、これ
を限外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメガウルト
ラセット分子量8000カット)で濃縮し、F1(48
5ml,蛋白濃度0.194mg/ml,総蛋白質量9
4.2mg,相対活性0)を得た。次に、溶出液を20
mM Na Phosphate,pH7.2にかえ、
溶出されたTPO活性画分F2(約3500ml)を得
た。これを限外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメ
ガウルトラセット分子量8000カット)で濃縮し、一
旦サンプリングした。この段階のTPO活性画分F2
(220ml)の蛋白濃度は1.45mg/ml,総蛋
白質量319mg、このステップでのF2の蛋白収量
は、50.0%であった。また、TPOの相対活性は、
1230であった。このようにして、TSK−gel
AF−BLUE 650MH のTPO活性画分F2の
全バッチについて、繰り返しPhenyl Sepha
roseFF/LSにかけた結果、総体積 1966m
l、総蛋白質量 2762mg、平均相対活性 84
7、相対活性量 2339000のPhenyl Se
pharose FF/LSのTPO活性画分F2を得
た。 (7)Sephacryl S−200 HR<ゲル濾
過クロマトグラフィー> (6)で得られたPhenyl Sepharose
6 FF/LSのTPO活性画分F2(217ml,蛋
白濃度 1.45mg/ml、総蛋白質量315mg、
相対活性1230)に、144.8mlの5M NaC
l溶液を加えて362mlの2M NaClとした後、
さらに限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直
径76mm)で約50mlまで濃縮した。これに8M尿
素を等量体積(50ml)加え、最終濃度1M NaC
l、4M尿素の溶液約100mlにした。さらに約80
mlまで濃縮し、最終的に88.78mlのサンプルに
し、Sephacryl S−200 HRカラム(フ
ァルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−05
84−01;直径 7.5cm、ベッド高 100c
m)に、注入した。その後3ml/minの流速にてD
PBSで展開し、ボイド体積(1200ml)以降45
mlずつ60本のポリプロピレン製チューブに集めた。
この溶出パターンを図1に示した。2本ごとにアッセイ
にかけ、残りは1100匹分の全てのSephacry
l S−200HRのプロセスを終えるまで、−85℃
にて凍結保存した。アッセイの結果よりXB6では以下
のようにフラクションをまとめた(図1)。 (F1)チューブ番号 1〜15(ボイド体積付近の分
子量94000以上の画分) (F2)チューブ番号 16〜26(分子量94000
〜33000) (F3)チューブ番号 27〜44(分子量33000
〜3000) (F4)チューブ番号 45〜55(分子量3000以
下) このようにして、Phenyl Sepharose
6 FF/LSで得たTPO活性画分F2の全バッチに
ついて、各々Sephacryl S−200HRにか
け、それぞれのフラクションについてアッセイを行な
い、−85℃にて凍結保存をした。すべてのバッチにつ
いてSephacryl S−200 HR終了後、次
の逆相クロマトグラフィー(YMC−Pack PRO
TEIN−RP)を実施する直前に解凍をし、限外濾過
ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径76mm)で
濃縮し、下記の2つの標品を得た。以下、このSeph
acryl S−200 HRのTPO活性画分F2の
濃縮標品を「高分子TPO標品F2」、Sephacr
yl S−200HRのTPO活性画分F3の濃縮標品
を「低分子TPO標品F3」と言う。ここで述べる高分
子TPO標品F2、低分子TPO標品F3とは便宜上、
ゲル濾過クロマトグラフィーで溶出位置の異なった画分
をまとめたものを称するのであって、必ずしも真の分子
量を表現したものではない。
【表2】 以降、低分子TPO標品F3と高分子TPO標品F2と
をそれぞれ次の精製ステップに進めた。以下(8)〜
(11)に低分子TPO標品F3の精製の各ステップに
ついて述べる。 (8)YMC−Pack PROTEIN−RP<逆相
クロマトグラフィー> (7)で得られた低分子TPO標品F3(総蛋白質量5
0.3mg,蛋白濃度0.184mg/ml,相対活性
20000,相対活性量1007000、総体積274
ml)に展開溶媒A(0.025%トリフルオロ酢酸
(TFA))および展開溶媒B(0.025% TFA
を含む1−プロパノール)を加え、最終体積508.6
3ml、最終プロパノール濃度約20%、TFA濃度
0.012%、蛋白濃度0.0989mg/mlに調製
した。ここで不溶物の発生があったので、これを遠心
し、上清のみを254.3ml(25.2mg)ずつ2
回に分けて、予め30%Bで平衡化してあったYMC−
Pack PROTEIN−RP(YMC社、カタログ
番号A−PRRP−33−03−15;直径 3cm、
ベッド高 7.5cm)カラムに流速2ml/minで
添加した。沈殿物は5mMのCHAPS(3−[(3−
コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパ
ンスルフォナート;同仁化学研究所製、カタログ番号7
5621−03−3)を含む20mM酢酸ナトリウム、
pH5.5を20ml加えて可溶化し、合わせてカラム
に送り込んだ。サンプルを添加した後、約50mlの溶
媒(展開溶媒A:展開溶媒B=3:1)を通液し、まず
素通り画分を集めた。次に展開プログラム(120分の
30%B〜45%Bの直線濃度勾配)を開始して、10
mlずつ合計36本のフラクションをポリプロピレン製
チューブに集め取った。これを繰り返して同じチューブ
に集めたため、最終的に20mlずつ、合計36本フラ
クションとなった。素通り画分はそのまま限外濾過ユニ
ット(アミコン社製;YM 3膜、直径76mm)で2
0mlまで濃縮した。素通り画分及びチューブ番号1〜
36の各20mlのフラクションより0.1ml取り、
20μlの5% BSAを添加後遠心エバポレーション
で乾固し、最終的に0.25mlのIMDMアッセイ培
養液に溶解し、アッセイにかけ、TPO活性画分を特定
した。この結果、チューブ番号17〜27(プロパノー
ル濃度で36.0〜43.0%の範囲)にTPOの活性
があり、これを低分子TPO標品F3由来のYMC−P
ack PROTEIN−RPのTPO活性画分F2と
した。次のYMC−Pack CN−APに進める直前
まで−85℃で保存した。 低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack PRO
TEIN−RPのTPO活性画分F2 総体積 220ml 蛋白濃度 0.0130mg/ml 総蛋白質量 2.85mg 相対活性 130000 相対活性量 371000 (9)YMC−Pack CN−AP<逆相クロマトグ
ラフィー> (8)で得られた低分子TPO標品F3由来のYMC−
Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分F2
のうち214.9ml(総蛋白質量2.79mg,蛋白
濃度0.0130mg/ml,相対活性130000,
相対活性量36300)に、50%グリセロールを0.
6ml加え、1.8mlまで濃縮した。最終的に体積5
mlで、プロパノール濃度は20%以下、グリセロール
は約6%であった。これを5回(各回の注入蛋白質量
0.555mg,体積1ml)に分けて実施した。毎回
ごとに、展開溶媒Aに0.1%TFA、展開溶媒Bに
0.05%TFAを含む1−プロパノールを用い、15
%Bで平衡化したYMC−Pack CN−AP(YM
C社製、カタログ番号AP−513;直径 6mm、ベ
ッド高250mm)カラムに、流速0.6ml/min
で注入した。注入終了後、15%Bから25%Bにプロ
パノール濃度を上げ、さらに25%Bから50%Bまで
65分の直線濃度勾配で展開した。最後の回に、蛋白を
含まない同じ組成の溶液1mlを注入、展開し、カラム
内に残存するTPO活性の回収を行った。合計6回分同
じポリプロピレン製チューブに集めたため、各フラクシ
ョンは、7.2mlずつ44本となった。このうち30
μl(240分の1フラクション)を取り20μlの5
%BSAを加え、遠心エバポレーションで乾固し、最終
的に0.24mlのIMDMアッセイ培養液に溶解し、
アッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結
果、チューブ番号28〜33(プロパノール濃度で3
7.0〜42.0%の範囲)に強いTPOの活性があっ
たため、これを低分子TPO標品F3由来YMC−Pa
ck CN−APのメインのTPO活性画分FAとし
た。 低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack CN−
APのTPO活性画分FA 総体積 43.20ml 蛋白濃度 0.00863mg/ml 総蛋白質量 0.373mg 相対活性 800000 相対活性量 298400 (10)Capcell Pak Cl 300A<最
終の逆相クロマトグラフィー> (9)で得られた低分子TPO標品F3由来のTPO活
性画分FA43.20mlのうち43.12ml(総蛋
白質量0.372mg,蛋白濃度0.00863mg/
ml,相対活性800000,相対活性量29760
0)に、0.2mlの50%グリセロールを加え、0.
1mlのグリセロール溶液となるまで濃縮した。これに
展開溶媒A(0.1% TFA):展開溶媒B(0.0
5%TFAを含む1−プロパノール)=85:15(1
5%B)の溶液2mlを加えて、最終的に、体積2.1
ml、プロパノール濃度が約14%、グリセロールが約
4.8%、蛋白濃度0.177mg/mlのサンプルに
調製した。これを15%Bで平衡化したCapcell
Pak Cl 300A(資生堂製、カタログ番号C
1TYPE:SG300A;直径 4.6mm、ベッド
高 250mm)カラムに注入し、27%Bから38%
Bまで65分の直線濃度勾配で流速0.4ml/min
で展開し、ポリプロピレン製チューブ72本に0.6m
lずつ集めた。各フラクションから、3μl(200分
の1フラクション)を取り20μlの5%BSAを加
え、最終的に225μlのIMDMアッセイ培養液に置
換し、オリジナル体積から75倍希釈したものをアッセ
イにかけた。各フラクションから、電気泳動のために1
μl(600分の1フラクション)を取り、遠心エバポ
レーションし、還元剤を含まないSDSゲル電気泳動サ
ンプルバッファーを10μl加え、95℃で5分処理し
た。これを15−25%SDS−ポリアクリルアミドプ
レキャストゲル(第一化学薬品社製)を用いてSDSゲ
ル電気泳動し、2D−銀染色試薬・「第一」銀染色キッ
ト(第一化学薬品社製、カタログ番号167997、以
下「銀染色キット」と言う)で染色した。分子量マーカ
ーには「第一」・III低分子量マーカー(第一化学薬
品社製、カタログ番号181061、以下「DPCII
I」と言う)を用いた。以上の分析の結果、チューブ番
号35〜43(プロパノール濃度で30.0〜32.5
%の範囲)に明らかにTPOの活性があった。このうち
チューブ番号36〜42(プロパノール濃度で30.5
〜32.0%の範囲)をメインのTPO活性画分FAと
した。以上の結果を図2に示した。蛋白質量をクロマト
グラムから推定し、アッセイの結果と合わせて評価する
と、総蛋白質量39.6μg,蛋白濃度9.4μg/m
l,相対活性4890000,相対活性量193600
となった。TPO活性画分チューブ番号36〜42のS
DSゲル電気泳動像を調べてみると、活性の強さと、染
色された濃さが相関するバンドが存在することが明らか
となった。しかもこのバンドの分子量は、見かけ上、即
ち還元状態での標準分子量蛋白に対し、17000〜1
9000の位置にあり、TPOの候補となる有力なバン
ドであることがわかった。 (11)電気泳動ゲルからのTPO活性の抽出<15%
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動>TPO活性画分FAの分析例 (10)で得られた低分子TPO標品F3由来のTPO
活性画分FA 4200μl(総蛋白質量39.6μ
g,蛋白濃度9.4μg/ml,相対活性489000
0,相対活性量193600)の内、5.5μl(76
4分の1フラクション)を活性抽出のため、2.5μl
(1680分の1フラクション)を銀染色のためにそれ
ぞれサンプルチューブに取り、遠心エバポレーション
し、還元剤不含のSDSゲル電気泳動サンプルバッファ
ー10μlを加え、37℃1時間処理後、室温で18時
間放置することによりSDS化した。分子量マーカーに
は、プレステインド・ローレンジマーカー(Bio−R
ad社161−0305)、及びDPCIIIマーカー
を用いた。これらのサンプルを常法(Laemmli、
Nature、227巻、680−685頁、(197
0))に従って、マイクロスラブゲルを用いた15%S
DSポリアクリルアミドゲル電気泳動を4℃にて実施し
た。泳動終了後、直ちに銀染色に付す部分をナイフで切
断し固定液に入れ、銀染色キットを用いて銀染色した。
一方、活性を切り出すべき部分を、分子量の全域に渡っ
て、ナイフを用いて幅1.5〜2.5mmの34本のゲ
ルにスライスし、小林の方法(小林幹彦、生化学、第5
9巻、第9号(1987))を改良した方法でゲルの破
砕を行った。微細な断片に破砕されたゲルに各々0.3
mlの抽出バッファー(20mM Tris−HCl,
pH8,500mM NaCl,0.05%BSA)を
加え、4℃で6時間振とうし、抽出を行った。次に最終
濃度20mMの500mMリン酸カリウム、pH6.8
を加え、4℃で1時間振とうし、沈殿したSDSを除く
ためウルトラフリーC3GV0.22μmフィルター付
濾過ユニット(ミリポア社製、型番UFC3 OGV
OS)に移し、1000xg(4000RPM)で15
分間遠心し、濾液を回収した。これをウルトラフリーC
3−LGC分子量10000カット限外濾過ユニット
(ミリポア社製、型番UFC3 LGC 00)に移し
3000xg(7000RPM)で遠心した。濃縮液が
約50μlに達した時点で、300μlの20mMNa
Phosphate,pH7.2のバッファーを加
え、再び限外濾過を行った。これを2回繰り返し、残存
するSDSを除去した。さらにアッセイ培養液に対し同
様な操作を繰り返し、最終的に300μlに調製した。
これを滅菌し、TPO活性を測定した。このような実験
の結果、銀染色で明瞭に検出できた蛋白質は、DPCI
IIマーカーに対し、見かけ上の分子量約17000〜
19000、14000、11000の3種であった。
Capcell Pak ClカラムのTPO活性画分
の電気泳動で、活性の強さと、染色されたバンドの濃さ
が相関する見かけ上の分子量が約17000〜1900
0のバンドが観察できたが、本実験においてもTPO活
性が検出された見かけ上の分子量は約17000〜19
000であった。以上の結果を図3に示した。以上の結
果、TPO活性を示す蛋白質は、最終的に電気泳動ゲル
上で確認可能なまでにCapcell Pak Cl
300Aカラムの活性画分中に精製されたと確認でき
た。このサンプルを15%SDSポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(非還元下)して銀染色されたバンドの濃さ
から、全TPO活性画分中の見かけ上の分子量約170
00〜19000のTPO候補蛋白質の量は、約1.7
μgであった。以下(12)〜(15)に高分子TPO
標品F2の精製の各ステップについて述べる。 (12)YMC−Pack PROTEIN−RP<逆
相クロマトグラフィー> (7)で得られた高分子TPO標品F2(総蛋白質量2
57mg,蛋白濃度0.894mg/ml,相対活性7
840,相対活性量2015000、総体積287m
l)に展開溶媒A(0.025% TFA)およびサン
プルの3分の1容の95.8mlの展開溶媒B(0.0
25%TFAを含む1−プロパノール)を加え、最終体
積383ml、最終プロパノール濃度約25%、TFA
濃度0.006%、蛋白濃度0.671mg/mlとし
た。ここで不溶物の発生があったので、遠心後の上清の
みを62.3ml(42.8mg)ずつ6回に分けて、
予め30%Bで平衡化してあったYMC−Pack P
ROTEIN−RP(YMC社製、カタログ番号A−P
RRP−33−03−15;直径 3cm、ベッド高
7.5cm)カラムに流速2ml/minで注入した。
沈殿物は5mMのCHAPSを含む20mM酢酸ナトリ
ウム、pH5.5を10ml加えて可溶化できたので、
合わせてカラムに送り込んだ。それぞれサンプルを注入
した後、約50mlの溶媒(展開溶媒A:展開溶媒B=
3:1)を通液し、素通り画分を集めた後、展開プログ
ラム(120分の30%Bから45%Bの直線濃度勾
配)を開始し、15mlずつ合計24本のフラクション
をポリプロピレン製チューブに集め取った。1回目から
6回目まで同じ様に繰り返し、最終的に90mlずつの
フラクションが24本となった。素通り画分とチューブ
番号1はそのまま限外濾過ユニット(アミコン社製;Y
M 3膜、直径76mm)で90mlまで濃縮した。素
通りを含むチューブ番号1から24までのフラクション
より0.3ml取り、10μlの5%BSAを添加後遠
心エバポレーションで乾固し、最終的に0.3mlのI
MDMアッセイ培養液に溶解し、アッセイにかけ、TP
O活性画分を特定した。この結果、チューブ番号10〜
15(プロパノール濃度で34.0〜39.5%の範
囲)にTPOの活性があり、これを高分子TPO標品F
2由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのT
PO活性画分F2とした。次のYMC−Pack CN
−APに進める直前まで、−85℃で保存した。高分子
TPO標品F2由来のYMC−Pack PROTEI
N−RPのTPO活性画分F2 総体積 540ml 蛋白濃度 0.021mg/ml 総蛋白質量 11.4mg 相対活性 227000 相対活性量 2588000 (13)Superdex 75 pg<CHAPS存
在下でのゲル濾過クロマトグラフィー> (12)で得られた高分子TPO標品F2由来のYMC
−Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分F
2のうち、538.2ml(総蛋白質量11.3mg,
蛋白濃度0,021mg/ml,相対活性22700
0,相対活性量2565000)に50%グリセロール
を0.6ml添加後、遠心エバポレーション濃縮した。
次に、6mlの20mM CHAPSを加えた。さら
に、18mlの20mM CHAPSを加え攪拌し、4
℃に移し、41時間後に最初のサンプルをHiLoad
26/60 Superdex 75pg(ファルマシ
ア バイオテク社製、カタログ番号17−1070−0
1;直径 2.6cm、ベッド高 60cm)カラムに
注入し、流速1ml/minで、5mM CHAPSを
含むDPBSで展開した。一回に4ml(蛋白濃度0.
466mg/ml,蛋白質量1.86mg)のサンプル
をカラムに注入した。6回目に分けてカラムで展開し、
全てのYMC−Pack PROTEIN−RPのTP
O活性画分をSuperdex 75 pgカラムで分
取した。フラクションは5mlずつ6回分、即ち合計3
0mlのフラクションが45本となった。それぞれのフ
ラクションより0.1ml取り、10μlの5% BS
Aを添加後、遠心エバポレーションで乾固し、最終的に
0.25mlのIMDMアッセイ培養液に溶解し、アッ
セイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チ
ューブ番号13〜31(分子量で78000〜3000
の範囲)にTPOの活性があったため、これを高分子T
PO標品F2由来のSuperdex 75 pgのT
PO活性画分F2とした。 高分子TPO標品F2由来のSuperdex 75
pgのTPO活性画分F2 総体積 540ml 蛋白濃度 0.00216mg/ml 総蛋白質量 1.17mg 相対活性 1750000 相対活性量 2041000 (14)YMC−Pack CN−AP<逆相クロマト
グラフィー> (13)で得られた高分子TPO標品F2由来のSup
erdex 75 pgのTPO活性画分F2(分子量
78000〜3000)540mlのうち、513.2
ml(総蛋白質量1.11mg,蛋白濃度0.0021
6mg/ml,相対活性1750000,相対活性量1
943000)に10分の1容の展開液B(0.05%
TFAを含む1−プロパノール)を加えた後、展開溶
媒A(0.1% TFA)と展開液Bを用いて15%B
で平衡化したYMC−PackCN−AP(YMC社
製、カタログ番号AP−513;直径 6mm、ベッド
高250mm)カラムに、流速0.6ml/minで注
入した。注入終了後、15%Bから25%Bにプロパノ
ール濃度を上げ、さらに25%Bから50%Bまでの6
5分の直線濃度勾配で展開した。YMC−Pack C
N−APカラムに進めるにあたり、全インプットサンプ
ルの20分の1をまずパイロット的に進め、活性が良好
に回収できることを確認できた。そこで、残りの20分
の19を2回に分けて分取した。つまり合計3回の展開
をおこなった。計3回分で分取された各フラクションを
同じポリプロピレン製チューブ44本に集めたので、合
計3,6mlずつとなった。このうち5μl(720分
の1フラクション)を取り、最終的に0.25mlのI
MDMアッセイ培養液に置換した。アッセイの結果、チ
ューブ番号24〜30(プロパノール濃度で36.0〜
42.0%の範囲)に極めて強いTPOの活性があった
ため、これを高分子TPO標品F2由来のYMC−Pa
ck CN−APのメインのTPO活性画分FAとし
た。 高分子TPO標品F2由来のSuperdex 75
pgのTPO活性画分FA 総体積 25.20ml 蛋白濃度 0.0246mg/ml 総蛋白質量 0.620mg 相対活性 700000 相対活性量 434000 (15)Capcell Pak Cl 300A<最
終の逆相クロマトグラフィー> (14)で得られた高分子TPO標品F2由来のYMC
−Pack CN−APのTPO活性画分FA25.2
0mlのうち、24.66ml(総蛋白質量0.606
mg,蛋白濃度0.0246mg/ml,相対活性70
0000,相対活性量424000)に、0.4mlの
50%グリセロールを加え、遠心エバポレーションで濃
縮した。最終的に、プロパノール濃度は数%、グリセロ
ールは10%、蛋白濃度0.303mg/mlの2ml
のサンプルとなった。展開溶媒A(0.1% TF
A)、展開溶媒B(0.05% TFAを含む1−プロ
パノール)を用いて、15%Bで平衡化したCapce
ll Pak Cl300A(資生堂 カタログ番号C
l TYPE:SG300A;直径 4.6mm、ベッ
ド高 250mm)カラムに注入し、27%Bから38
%Bまで65分の直線濃度勾配で流速0.4ml/mi
nで展開し、ポリプロピレン製チューブ72本に0.6
mlずつ集めた。各フラクションから、0.75μl
(800分の1フラクション)を取り、20μlの5%
BSA を加え、最終的に225μlのIMDMアッセ
イ培養液に置換し、オリジナル体積から300倍希釈し
たものをアッセイにかけた。各フラクションから、電気
泳動のために2μl(300分の1フラクション)を取
り、遠心エバポレーションし、10μlの還元剤を含ま
ないSDS電気泳動サンプルバッファーを加え、95℃
で5分処理した。これを15〜25%SDS−ポリアク
リルアミドプレキャストゲル(第一化学薬品製)を用い
てSDSゲル電気泳動し、銀染色キットで染色した。分
子量マーカーにはDPCIIIマーカーを用いた。以上
の分析の結果、チューブ番号33〜39(プロパノール
濃度で29.5〜31.5%の範囲)に明らかにTPO
の活性があった。このうち、チューブ番号34〜39
(プロパノール濃度で30.0〜31.5%の範囲)を
メインのTPO活性画分FAとした。メインのTPO活
性画分のSDSゲル電気泳動像を調べてみると、(1
0)に述べた低分子TPO標品F3から出発したものと
同じく見かけ上17000〜22000の分子量範囲
に、活性の強さと、染色された濃さが相関するバンドが
存在することが明らかとなった。 <実施例2> ラット精製TPOの部分アミノ酸配列の分析 岩松の方法(岩松ら、新基礎生化学実験法、第4巻、3
3〜84頁(丸善刊);岩松明彦、生化学、第63巻、
第2号、139−143頁、(1991);Akihi
ro Iwamastu、Electorophore
sis、第13巻、142−147頁、(1992))
により、実施例1の(10)で得られたCapcell
Pak Cl 300AカラムのTPO画分FA中の
ラットTPO候補タンパク質のアミノ酸配列の分析を行
った。即ち、サンプルをSDSゲル電気泳動し、電気的
にポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に転写し
た。次いで、PVDF膜上の蛋白質を還元S−アルキル
化した後、系統的、段階的に3種のプロテアーゼで限定
酵素分解し、ペプチドフラグメント化し、これを逆相ク
ロマトグラフィーで分離精製し、得られたペプチドを高
感度アミノ酸配列決定法により分析した。以下にその詳
細を述べる。低分子TPO標品F3由来のCapcell Pak
Cl 300AのTPO画分FAのTPO候補蛋白質の
分析例 (1)Capcell Pak Cl 300Aカラム
のTPO画分FA(チューブ番号36〜42)の濃縮 実施例1の(10)で得られた低分子TPO標品F3由
来の、CapcellPak Cl300AカラムのT
PO活性画分FA(チューブ番号36〜42)4200
μl(総蛋白質量39.6μg,蛋白濃度9.4μg/
ml,相対活性4890000,相対活性量19360
0)のうち、4151μl(全フラクションの98.8
%)をアミノ酸配列のための分折に進めた。クロマトグ
ラムから推定される蛋白質量は39.1μgであるが、
このうちSDSゲル電気泳動で銀染色された見かけ上の
分子量約17000〜19000のTPO候補蛋白質の
量は、約1.6μgであった。このサンプルにグリセロ
ールを添加し、遠心エバポレーションで濃縮し、5μl
のグリセロール溶液とした。これに還元剤を含まないS
DS電気泳動サンプルバッファー、及びpHを調整する
ために1M Tris−HCl,pH8を加え、最終的
に、200mM Tris−HCl,pH8.0,50
mM Tris−HCl,pH6.8,1.1%SD
S,2mM EDTA,0.02% BPB,30%グ
リセロールを含む約25μlのサンプルにした。このサ
ンプルを過度に加熱することなく十分にSDS化するた
めに、まず室温に14時間置き、次に60℃で5分処理
した。 (2)電気泳動 常法に従って、マイクロスラブゲル(4.0%アクリル
アミド濃縮ゲル、15%アクリルアミド分離ゲル)を調
製し、SDSゲル電気泳動を室温下で12.5mA、次
いで17.5mAの一定電流にて2時間かけて実施し
た。分子量マーカーには、プレステインド・ローレンジ
マーカー(Bio−Rad 社 161−0305)、
及びDPCIIIマーカーを用いた。泳動終了後直ちP
VDF膜に転写した(次項)。また、分析に付したサン
プルの一部を、非還元のまま、及びジチオスレイトール
(DTT)で還元化し、15〜25%ポリアクリルアミ
ドプレキャストゲル(第一化学薬品社製;マルチゲル1
5/25、カタログ番号211072)で電気泳動し
た。これを銀染色キットを用いて銀染色したところ、T
POと期待されたバンドは、還元下において分子量約1
9000であり、Capcell PakCl 300
AカラムでのTPO活性画分中のTPO候補蛋白質の純
度が、数%程度であることが確認できた。また非還元・
還元それぞれの移動度が異なるため、分子内部に少なく
とも一つ以上のS−S結合を持つことが示唆された。 (3)PVDF膜へのエレクトロブロット法による転写
・バンドの検出 セミドライ転写装置(マリソル社製、ウエットフォー転
写装置モデルKS−8460)を用いて、常法に従い、
160mA(11〜17V)の一定電流で1時間かけて
PVDF膜(アプライドバイオシステムズ社製ProB
lott、カタログ番号400994)に転写を行っ
た。陽極液に、0.3M Tris,20%メタノー
ル,pH10.4、転写膜液に、25mM Tris−
20%メタノール,pH10.4、陰極液に、25mM
Tris,40mM アミノカプロン酸,20%メタ
ノール,pH10.4を用いた。転写された膜をポンソ
ーS染色液(100ml中0.1gのポンソーSと1m
lの酢酸を含む)で染色したところ、複数のバンドが染
色され、この中にTPOと期待された分子量約1900
0のバンドを確認することができた。これを切り出し、
ペプチドの断片化に進めた。(次項) (4)ペプチドフラグメント化とペプチドマッピング・
アミノ酸配列分析 PVDF膜上に転写・還元S−アルキル化されたTPO
候補蛋白質の断片化を系統的に行うために、次の三つの
プロテアーゼにより、段階的に限定的酵素分解を行っ
た。 一次消化 リシルエンドペプチダーゼ(Achromb
acter lyticus m497−1、和光純薬
工業製、カタログ番号129−02541) 二次消化 エンドプロテイナーゼAsp−N(ベーリン
ガー・マンハイム社製、カタログ番号1054 58
9) 三次消化 トリプシン−TPCK(Worthingt
on Biochemical 社製、カタログ番号3
740) 各々の酵素消化で得られたペプチド断片を回収し、展開
溶媒Aに0.05%TFA、展開溶媒Bに0.02%T
FAを含むイソプロパノール:アセトニトリル=7:3
の混液を用いて、Wakosil−II 5C18 C
18 逆相カラム(和光純薬工業製;直径2.0mm、
長さ150mm)で、カラム温度30℃、流速0.25
ml/分、1%Bから50%Bを30分の直線濃度勾配
にて展開することによりマッピング(図4)し、得られ
たペプチドフラグメントを回収した。それぞれのペプチ
ドフラグメントを気相アミノ酸シークエンサー(島津製
作所製、PPSQ−2)にてエドマン分解後、順次回収
されたN末端のPTHアミノ酸を、アイソクラティック
溶出法によるC18逆相カラムクロマトグラフィーにて
同定を行った。この結果を次にまとめた。 一次消化 リシルエンドペプチダーゼによるペプチド断
片のアミノ酸配列 フラグメント名 アミノ酸配列
【表3】
【表4】
【表5】 以上の配列のうち、()付きで示したものは、系統的酵
素消化から演繹推定しうるアミノ酸残基である。 (5)得られたアミノ酸配列の類似性分析<ホモロジー
サーチ> 得られたアミノ酸配列が、すでに報告されている既知の
蛋白質に含まれているかどうか、あるいは、類似配列を
もつ蛋白質があるかどうかについて、配列解析ソフトウ
ェアであるマックベクター(Kodak Intern
ationalBiotechnologies,In
c.)を用いて分析した。既知蛋白質あるいは既知遺伝
子の情報は、Entrez Release 6データ
ベース(米国 National Center fo
r Biotechnology Informati
on,National Library of Me
dicine,National Institute
s of Health、1993年8月15日発行)
を利用した。これに含まれる各種データベースは以下の
通りである。 この結果、AP12の配列(K)DSFLADVKは、
ラットのCorticosteroid−bindin
g globulin(CBG)precursof
〔PIRデータベース登録番号 A40066;smi
th andHammond;“Rat cortic
osteroid−bindingglobulin:
primary structure and mes
senger ribonucleic acid l
evels in theliver under d
ifferentphysiological con
ditions.”Mol.Endocrinol,
(1989),3,420−426,]の内部配列KD
SFLADVKと完全一致した。さらによく調べてみる
と、AP3の配列(K)XYYESZ((XはA、S、
G、M、Qのどれか)、(ZはEまたはK))と類似性
の高いKQYYESEという配列が、ラットCBGのア
ミノ酸配列に含まれていることが判明した。これらのA
P12、AP3に相当する配列はラットCBGでは連続
しており、KDSFLADVKQYYESEという内部
アミノ酸配列に相当する。しかしながら、AP12、A
P3以外のフラグメントのアミノ酸配列に関しては、類
似性を考慮すべき既知の蛋白質や遺伝子は見つからなか
った。 <実施例3> 血小板減少症ラット血漿由来TPOの生物学的特性分析 (1) ラットCFU−MKアッセイ系(液体培養系)
において 代表例として、血小板減少症ラット血漿からのTPO部
分精製標品(実施例1の(8)に記載したYMC Pa
ck Protein−RPカラムTPO活性画分F
2)を用いた場合の用量反応曲線を図5に示した。培養
を経時的に顕微鏡下で観察したところ、日を追って巨核
球の分化、成熟の進行、即ち細胞サイズの増大が認めら
れ、おそらく、細胞の増加も起こっていることと思われ
た。特に顕著な変化として、培養最終日の4日目に数多
くの巨核球による突起形成が認められた(培養3日目で
はほとんど認められない)。この突起形成は、cyto
plasmic process formation
(LevenとYee、Blood、69巻、1046
−1052頁、(1987))、あるいは、propl
atelet process formation
(Toppら、Blood7、76巻、912−924
頁、(1990))などと呼ばれ、巨核球からさらに分
化の進んだ血小板の前駆構造体であり、現在までのとこ
ろin vitroで観察できる巨核球分化の最終形態
と考えられている。TPO標品単独でこのような形態変
化が高い頻度で認められたことから、本因子は単独でC
FU−MKの増殖・分化を促進し、成熟巨核球を生成さ
せ、さらに最終的に血小板産生まで進行させる可能性が
考えられる。 (2) コロニーアッセイ系において 血小板減少症ラット血漿からのTPO部分精製標品につ
いて、ラットの非分離骨髄細胞、分離・濃縮各段階の細
胞、あるいはGpIIb/IIIaCFU−MK画分
を用いたコロニーアッセイ系で検定したところ、ラット
血漿由来のTPOは、巨核球コロニーを形成させた。T
POによって形成される巨核球コロニーと他の既知サイ
トカイン、即ち、ラットIL−3、マウスGM−CS
F、あるいはヒトEPOによって形成される巨核球コロ
ニーを比較すると、TPOによって形成される巨核球コ
ロニーには、個々のコロニーを構成する巨核球数は少な
いが、各々の巨核球のサイズが大きい、即ち成熟度が進
んでいるという特徴がある。さらに、他の細胞系統のコ
ロニーはほとんど形成されず、TPOが示すMeg−C
SF活性は巨核球特異的な活性と考えられる。これらの
ことから、TPOは、本コロニーアッセイ系においてM
eg−CSF活性を発揮する他の既知サイトカイン、即
ち、ラットIL−3、マウスGM−CSF、あるいはヒ
トEPOとは、生物学的特性を異にし、ユニークなMe
g−CSF活性を発揮することが明白となった。ヒト骨
髄細胞、あるいはヒト臍帯血細胞由来のCD34DR
細胞画分に対しても血小板減少症ラット血漿からのT
PO部分精製標品はMeg−CSF活性を示し、有意な
数のヒト巨核球コロニーを形成させた。このことは本因
子に種特異性のないことを示している。 <実施例4> ラットTPO産生細胞の特定化 (1) ラットTPO産生臓器の探索 まず、ラットTPOの部分アミノ酸配列に基づくラット
TPO遺伝子のクローニング、あるいは発現クローニン
グのためのmRNA供給源を確保する目的で、ラットT
PO産生臓器の探索、特定化を行った。当初、P55抗
体投与により血小板減少症にしたラットから経時的に骨
髄、肺、肝臓、脾臓を摘出し、その細胞(肺、肝臓の場
合は臓器切片)の培養上清を採取し、ラットCFU−M
Kアッセイ系にて上清中の活性を評価したが、明確な結
果は得られなかった。続いて、ラットにおける肝臓とT
PO産生との関連性を示唆する報告(Siemensm
aら、J.Lab.Clin.Med.、86巻、81
7−833頁、(1975))を考慮して、P55抗体
投与により血小板減少症にしたラットの肝臓からコラゲ
ナーゼかん流法にて調製した肝細胞を培養し、その上清
からWGA−Agaroseカラムに吸着した画分をV
ydac phenyl逆相カラムに展開したところ、
ラットCFU−MKアッセイ系にてラット血漿由来TP
O活性と同じ位置に極めて類似した活性が認められた。
正常ラット肝細胞の培養上清からも弱いながらも活性が
認められた。これらの結果から、肝臓がTPO産生臓器
の1つである可能性が強く示唆された。 (2) ラットTPO産生細胞株のスクリーニング 上記の結果を基に、ラットTPO産生細胞株のスクリー
ニングを行った。まず、20種類のラット肝臓由来細胞
株をそれぞれの継代培養用の培養液中でほぼコンフルエ
ントになるまで培養した後、培養液に含まれる血清を5
%FCSに統一したそれぞれの培養液で置換して、さら
に3日間培養を継続し、それぞれの培養上清を採取し
た。その上清を(1)に記した方法で部分精製して、T
PO産生の有無を調べたところ、3種類のラット肝実質
細胞由来細胞株、即ち、McA−RH8994細胞(A
TCC寄託番号CRL1602、Beckerら、“O
ncodevelotental Gene Expr
ession”ed.byFishman and s
ell、Academic Pres.、NY、259
−271頁、(1976)、大日本製薬より購入)、H
4−II−E細胞(ATCC寄託番号CRL1548、
Pitotら、Nat.Cancer Inst.Mo
nogr.、13巻、229−245頁、(196
4)、大日本製薬より購入)、およびHTC細胞(Th
ompsonら、Proc Natl.Acad.Sc
i.USA、56巻、296−303頁、(196
6)、大日本製薬より購入)から明らかにTPO活性の
産生が確認された。 (3) McA−RH8994細胞、H4−II−E細
胞、およびHTC細胞が産生するTPO活性の詳細な分
析 これらの3種類のラット細胞株から分泌されるTPO活
性と平行して精製を進めていたラット血漿由来のTPO
活性を、生化学的性質と生物学的性質の両面からさらに
詳細に比較検討した。McA−RH8994細胞を10
%FCSを含むalpha−MEM(−)培養液に浮遊
させて、底面積175cmの組織培養用培養プラステ
ィックフラスコに1×10個/フラスコになるように
入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で3日間培養し
た後、5%FCSを含むIMDM培養液に置き換え、さ
らに3日間培養し、上清を回収した。H4−II−E細
胞を10%FCSを含むDulbecco改変Eagl
e培養液(グルコース4.5g/l含有)(以下、DM
EM培養液)に浮遊させて、底面積175cmの組織
培養用プラスティックフラスコに5×10個/フラス
コになるように入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃
で3日間培養した後、5%FCSを含むIMDM培養液
に置き換え、さらに3日間培養し、上清を回収した。ま
た、HTC細胞を5%FCSを含むDMEM培養液に浮
遊させて、底面積175cmの組織培養用プラスティ
ックフラスコに2.5×10個/フラスコになるよう
に入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で3日間培養
した後、5%FCSを含むIMDM培養液に置き換え、
さらに3日間培養し、上清を回収した。このようにして
得た3種類の細胞株の培養上清それぞれ2リットルか
ら、実施例1−2に記載したXRPからのTPOの精製
法に従って、細胞株由来TPOの部分精製を行った。以
下に概略を述べる。まず、限外濾過器により培養上清を
約6倍に濃縮した後、SephadexG−25カラム
で20 mM Tris−HCl(pH8.0)にバッ
ファー交換した。溶出液をQ−Sepharose F
Fカラムに添加し、20 mMTris−HCl(pH
8.0)で洗滌後、吸着画分を175 mM NaCl
を含む20mM Tris−HCl(pH8.0)で溶
出した。この画分をWGA−Agaroseカラムに添
加し、PBSで洗った後、吸着画分を0.2 MGlc
NAcと0.15 M NaClを含む20 mM N
a Phosphate(pH7.2)により溶出し
た。この溶出液をTSK−gel AF−BLUE 6
50MHカラムに添加し、1M NaClを含む20
mM NaPhosphate(pH7.2)で洗った
後、2M NaSCNにより溶出した。これをPhen
yl−Sepharose 6 FF/LSカラムに添
加し、1.5M硫酸アンモニウム(Ammonium
Sulfate)を含む50mM Na Phosph
ate(pH7.2)、次いで0.8 M 硫酸アンモ
ニウムを含む36 mM Na Phosphateで
洗った後、20 mM Na Phosphate(p
H7.2)により溶出した。この吸着画分を、濃縮後、
逆相Vydac Protein C4カラム(The
Separations Group社製 カタログ
番号214TP51015;直径1cm、ベッド高15
cm)で分画した。展開溶媒Aに0.1%TFA、展開
溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プロパノールを用
い、予めカラムを20%Bで平衡化し、サンプルを注入
後、流速1ml/minで20%Bから40%Bまで9
0分の直線濃度勾配により溶出した。この結果、どの細
胞株由来のTPO活性も、30%から43%濃度の1−
プロパノールで溶出された。各精製段階の標品をラット
CFU−MKアッセイ系にて活性測定した結果、3種類
の細胞株由来のTPO活性はいずれもXRP由来のTP
O活性と極めて類似した挙動を示した(実施例1−2を
参照)(表6に、ラットCFU−MKアッセイ系での各
段階における相対比活性、活性収率などを記載)。さら
に、最終段階の逆相カラムからの溶出画分をラットCF
U−MKアッセイ系にて活性測定した結果、3種類の細
胞株由来のTPO活性とXRP由来のTPO活性は同じ
ピーク位置に溶出されていた。この逆相カラムの活性画
分を中心に、ラットGpIIb/IIIaCFU−M
Kの分離・濃縮過程の付着細胞除去段階で得られる非付
着性細胞を用いてコロニーアッセイを行ったところ、い
ずれもラットCFU−MKアッセイ系での活性の溶出パ
ターンにほぼ一致して巨核球コロニーの形成が認められ
(表7)、また、XRP由来のTPO活性と同様に、3
種類の細胞株由来の活性はいずれも専ら巨核球コロニー
を形成させ、他の系統のコロニーはほとんど形成させな
かった。実施例1−2に記載した方法に従って、プール
した逆相カラムの活性画分をSDSポリアクリルアミド
ゲル電気泳動に供し、泳動後にゲルから蛋白質を抽出し
て、ラットCFU−MKアッセイ系にて活性測定したと
ころ、XRP由来のTPOは見かけの分子量17000
〜22000、McA−RH8994細胞由来のTPO
は見かけの分子量33000〜39000、H4−II
−E細胞由来のTPOは見かけの分子量31000〜3
8000、HTC細胞由来のTPOは見かけの分子量1
7000〜22000、および分子量28000〜35
000を有していた。以上のように、McA−RH89
94細胞、H4−II−E細胞、およびHTC細胞が産
生するTPO活性は、XRP由来のTPOと比べて、見
かけ上の分子量の点で生化学的性質を若干異にするもの
の、生物学的性質において同等であることが明らかとな
った。本発明において、ここで特筆すべきことは、血液
中に存在するTPO活性を持つ分子が、産生細胞におい
て、あるいは産生細胞から分泌後に、分子内の特定な、
あるいは不特定な位置で切断されたものである可能性を
示唆する。また、TPO遺伝子(mRNAやcDNA)
においても様々な長さのものが存在する可能性をも示し
たものである。
【表6】
【表7】 <実施例5> cDNAライブラリー作製用発現ベクター(pEF18
S)の構築 ベクターへのcDNA断片の組み込みが容易で、クロー
ニングしたcDNAの発現効率が高いベクターを作製
し、TPOcDNAのクローニングと発現に備えた。す
なわち、発現効率が高いプロモーターとして知られるエ
ロンゲーションファクター1α(EF1α)のプロモー
ターを、扱いやすい発現ベクターpME18SのSRα
プロモーターと入れ替え、発現ベクターpEF18Sを
構築した(図6参照)。エロンゲーションファクター1
αのプロモーターは発現ベクターpEF−BOS(Mi
zushimaら、Nucleic Acids Re
s.、18、5322、1990)1μgを制限酵素H
indIIIとEcoRIで部分的に消化した後、2%
アガロースゲル(FMC Bioproducts社
製)を用いた電気泳動にかけ、約1200bpのDNA
断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット
(バイオラッド社製;Willisら、BioTech
niques、、92−99、1990の方法にもと
づいたもので、多孔性シリカベースのマトリックスを利
用した吸着により選択的にDNAを精製するキット)を
用いて精製した。このDNA断片100ngを同様にH
indIIIとEcoRIで消化した50ngの発現ベ
クターpME18S(Liuら、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA、90、8957−896
1、1993)につなぎこんだ。宿主菌にはコンピテン
ト・ハイ E.coli DH5(東洋紡績社製;Ha
nahanら、J.Mol.Biol,、166、55
7−580、1983の方法の変法により作製したコン
ピテントな宿主菌)を用い、得られたコロニー12個を
ランダムに選びプラスミドDNAを精製し、それらDN
Aの制限酵素での消化パターンにより目的のプラスミド
(pEF18S)を含む10クローンの中から1個を選
択し、大量にプラスミドDNAを調製した。プラスミド
DNAの精製は本質的にMolecular Clon
ing[Sambrookら、Cold Spring
Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。
すなわち、上記のようにして得られたクローンpME1
8Sを50μg/mlのAmpicilinを含む50
mlのLB培地(1%Bacto−tryptone、
0.5%Bacto−yeast extract、
0.5%NaCl)で一夜培養した後、遠心分離により
得た菌体を4mlのTEG−lysozyme(25m
M Tris・Cl(pH8)、10mM EDTA、
50mM Glucose、0.5%lysozym
e)溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaOH/1%
SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M pot
assium/5M acetate溶液を6ml加え
てよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清はフェノー
ル−クロロホルム(1:1)処理後、等量のイソプロパ
ノールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレットはT
E溶液(10mMトリス−塩酸(pH7.5)、1mM
EDTA)に溶解後、RNase処理、フェノール−
クロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を
行なう。ペレットを再度TE溶液に溶解し、Nacl、
ポリエチレングリコール3000をそれぞれ0.63
M、7.5%になるように加えて遠心する。最後に、ペ
レットはTE溶液に溶解後エタノール沈殿を行なう。こ
れにより約300μgのプラスミドDNAを得た。この
DNA100μgを制限酵素EcoRIおよびNotI
で完全に消化後、0.8%のアガロースゲル(FMC
BioProducts社製)で泳動し、ベクター断片
を回収後プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイ
オラッド社製)で精製しおよそ55μgのプラスミドD
NAを得た。このDNAを以下のcDNAライブラリー
作製に使用した。 <実施例6> McA−RH8994細胞からのmRNAの精製 実施例4のコロニーアッセイの結果より比較的活性の高
かったMcA−RH8994細胞をラットTPOcDN
Aクローニングの材料に選び以下の実験に供した。全R
NAの単離は本質的にMolecular Cloni
ng[Sambrookら、Cold Spring
Harb or LaboratoryPress(1
989)]に記載されているようにして実施した。Mc
A−RH8994細胞を直径90mmのシャーレ15枚
に完全に密に増殖させた後、シャーレから培養液を除
き、1枚のシャーレ当り0.8mlの5Mグアニジン溶
液(5Mグアニジンチオシアナート、5mMクエン酸ナ
トリウム(pH7.0)、0.1Mβ−メルカプトエタ
ノール、0.5%ザルコシル硫酸ナトリウム)を加え、
よく懸濁した後1本のチューブに混合液を集め、グアニ
ジン溶液を加えて全量を20mlとした。この細胞が壊
れて粘稠になった混合液は、18Gさらに21Gの注射
針を装填した20ml容の注射器を用い、粘性がほとん
どなくなるまでおよそ20回吸入排出を繰り返した。ベ
ックマン社製SW28ローターに合うポリアロマー製の
遠心チューブに18mlの5.7M CsCl−0.1
M EDTA(pH7.5)をクッションとして先に加
えておき、チューブがほぼ満たされるように上述の混合
液約20mlを層が乱れないように静かに重層した。こ
のようにして調製された遠心チューブを20℃で250
00r.p.m.、20時間遠心した後、得られたペレ
ットを少量の80%エタノールを用いて2回洗浄した。
ペレットはTE溶液に溶解せしめ、フェノール−クロロ
ホルム(1:1)にて抽出後、1/10量の3M酢酸ナ
トリウムと2.5倍量のエタノールを加えてエタノール
沈殿を行い全RNAを得た(約10個の細胞より全R
NA約2.5mgを得た)。全RNAからのポリ(A)
RNAの精製はOligotexTM−dT30(S
uper)(日本合成ゴム/日本ロッシュ社製;ラテッ
クス粒子の表面にオリゴdTが共有結合で固定してあ
り、ポリ(A)RNA精製に使われるオリゴdTカラ
ムと同様にポリ(A)RNAの精製ができる)を用い
て行った。全RNA約500μgより20μgのポリ
(A)RNAを得た。 <実施例7> ラットcDNAライブラリーの構築 実施例5で得られた5μgのポリ(A)RNAからT
imeSaverTMcDNA Synthesis
Kit(Pharmacia社製;Okayama−B
erg法:Mol.Cell.Biol,、、161
−170、1982、の変法によるcDNA合成法のキ
ット)およびDIRECTIONALCLONING
TOOLBOX(Pharmacia社製;NotI配
列を含むcDNA合成のためのプライマー:5′−AA
CTGGAAGAATTCGCGGCCGCAGGAA
(T)18−3′並びにEcoRI配列付加用アダプタ
ー:5′−AATTCGGCACGAG−3′および
5′−CTCGTGCCG−3′のセット)を用いて、
5’端にEcoRI、3’端にNotI認識部位を持つ
2本鎖cDNAを合成した。合成したcDNAは1.2
μgの予めEcoRIおよびNotIで処理した発現ベ
クターpEF18S(実施例5参照)と連結させ、8.
4mlのコンピテント・ハイE.coli DH5(東
洋紡績社製)を形質転換した。その結果、5.3×10
個の形質転換体が得られた。 <実施例8> PCR法によるラットTPOcDNA断片の取得(クロ
ーニング) 実施例7で作製したMcA−RH8994cDNAライ
ブラリー53万クローンを50μg/mlのAmpic
ilinを含む50mlのLB培地で一夜培養した後、
遠心分離により得た菌体からQIAGEN−tip10
0(DIAGEN社製;DNA精製用シリカゲルベース
の陰イオン交換カラム)を用いてMcA−RH8994
cDNAライブラリープラスミドを精製し、約200μ
gのプラスミドDNAを得た。実施例2に記載のペプチ
ド断片AP8のアミノ酸配列に対応する2種類のアンチ
センスヌクレオチドプライマーAP8−1R,AP8−
2R、及びcDNAラブプラリー作製に用いた図6に示
したプラスミドベクターpEF18Sのヒトエロンゲー
ションファクター1αの第1イントロンに対応するセン
スヌクレオチドプライマーEF1α−1,EF1α−2
を合成した。合成にはアプライドバイオシステムズ社製
394DNA/RNAシンセサイザー(β−シアノエチ
ルアミダイト法にもとづく合成機)を使用し、同社製の
合成DNA精製用OPCカラム(逆相シリカゲルを充填
したカラムでトリチル基を持つ合成DNAを精製するカ
ラム)を用いて精製した。精製した合成DNAはTE溶
液に50μMとなるように溶解し、使用時まで−20℃
に保存した。以下用いる合成オリゴヌクレオチドは全て
同様に合成並びに精製して使用した。プライマーAP8
−1R,AP8−2Rは、連続した17個のヌクレオチ
ドからなる混合型プライマーであり、タカハシらの研究
にあるようにデオキシイノシンを使用した(Takah
ashi,et al,Proc.Natl.Aca
d.Sci.(USA)82,1931−1935(1
985))。プライマーEF1 α−1,EF1α−2
は、Uetsuki,et al,J.Biol.ch
em.264,5791−5798(1989)にある
ゲノム配列の1491−1512、1513−1532
に相当する塩基配列を基にして合成したそれぞれ21、
20個のヌクレオチドからなるプライマーである。合成
したプライマーの配列を表8に示す。
【表8】 McA−RH8994cDNAライブラリープラスミド
3μgを鋳型とし、AP8−1R(500pmol)、
EF1 α−1(100pmol)をプライマーとし
て、GeneAmpTMPCR Reagent Ki
t with AmpliTaq TMDNA Pol
ymerase(宝酒造社製;PCR用耐熱性TaqI
ポリメラーゼ、反応バッファー、dNTPのセット)を
用いて、GeneAmpTMPCR System 9
600(PERKIN−ELMER社製;PCR用反応
機)により100μlの容量でPCR反応(95℃で2
分間加熱後、95℃で1分間の変性条件、40℃で1分
間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35回
の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)
を行った。増幅されたDNA断片の特異性を上げるため
に、得られたPCR反応液1μlを鋳型とし、EF1
α−2(100pmol)、AP8−2R(500pm
ol)をプライマーとして、同様に100μlの容量で
PCR反応(95℃で2分間加熱後、95℃で1分間の
変性条件、45℃で1分間のアニール条件、72℃で1
分間の合成条件で35回の反応を行い、さらに7分間7
2℃でインキュベート)を行った。ここで得られた反応
液を、2%アガロースゲル(FMC BioProdu
cts社製)を用いた電気泳動にかけ、このPCR反応
の主要産物である約330bpのDNA断片を分離し、
プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド
社製)を用いて精製した。このDNA断片をT4DNA
リガーゼ(ライフテクノロジー社製)を用いてpCR
TMII(Invitrogen社製;PCR産物TA
クローニング用ベクター:PCRに使用する耐熱性ポリ
メラーゼが末端トランスフェラーゼ活性を有するため
に、PCRで増幅したDNAの3’末端にデオキシアデ
ニル酸を1個付加する性質を利用し、5’−dT突出末
端を持つベクターpCRTMIIにそのままサブクロー
ニングする方法)ベクターにサブクローンした。任意に
選択した28クローンについてQIAGEN−tip1
00(DIAGEN社製)を使用してプラスミドDNA
を精製し、これをTaq Dye DeoxyTMTe
rminater Cycle SequeningK
it(アプライドバイオシステムズ社製;PCRを利用
した、蛍光色素で行なうジデオキシ法:Sanger
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、
74、5463−5467、1977)を用いて、アプ
ライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエン
サー(蛍光シークエンサー)によりシークエンスし、各
クローンの塩基配列を決定した。得られたDNA断片の
中で、AP8のアミノ酸のN末端側3個(Ile/Th
r/Ser)−Val−ProをAP8−2Rのプライ
マーに隣接してコードするものを選択し、全長をシーク
エンスしたところ、261bpを有するcDNAを含ん
でいた。このcDNA断片の173〜175の塩基配列
はメチオニンをコードするものでありコーディングのフ
レームはAP8のアミノ酸のフレームと一致した。また
この配列の前後はKozakの配列(Kozak,
M.,Cell,44,283−292、1986)に
適合することから翻訳の開始部位と推定され、ラットT
POタンパク質のN末部分をコードするcDNA断片と
考えられた。このcDNA断片をA1と命名した。ベク
ターの配列を除いたA1断片の塩基配列およびそれから
演繹されるアミノ酸配列を配列表(配列番号1)に示し
た。 <実施例9> PCR法によるラットTPOcDNAのスクリーニング 前述のcDNAライブラリーを約1万クローンづつのプ
ールに分け、50μg/mlのAmpicilinを含
む1mlのLB培地中で一夜培養した後、プラスミド自
動分離装置PI−100(倉敷紡績社製、VER−3.
0;アルカリSDS法:Molecular Clon
ing [Sambrookら、Cold Sprin
g Harbor Laboratory Pres
s,1989]:の変法にもとづくプラスミドDNA自
動抽出機)を用いてプラスミドDNAを抽出した。その
1/30量を鋳型としてフラグメントA1をもとに設計
した2種の合成オリゴヌクレオチド 5’CGAGGGTGTACCTGGGTCCTG3’
(配列番号1の配列の1−17のセンス配列;CGAG
はアダプターの配列)および5’CAGAGTTAGT
CTTGCGGTGAG3’(配列番号1の配列の21
2−232のアンチセンス配列)をプライマーとして合
成・精製し、GeneAmpTMPCR Reagen
tKit with AmpliTaqTMDNA P
olymerase(宝酒造社製)を用いて、Gene
AmpTMPCR System9600(PERKI
N−ELMER社製)によりPCR反応(94℃で30
秒間の変性条件、66℃で30秒間のアニール条件、7
2℃で1分間の合成条件で30回の反応)を行った結
果、100プール中3プールに236bpの特異的バン
ドが検出された。このうちの1プールを約900クロー
ンづつのプールに分けプラスミドDNAを抽出し、同様
のPCR反応を行ったところ、100プール中3プール
にバンドが検出された。さらにこのうちの1プールを4
0クローンづつのプールに分け、同様の選別を行なった
結果100プール中3プールで特異的と考えられるバン
ドが観察された。これらのうち1プールを選び50μg
/mlのAmpicilinを含むLBプレート(15
%アガーを含むLB培地)上に蒔き、出現した1つ1つ
のコロニーについてプラスミドDNAを抽出し同様のP
CR反応を行った結果、100クローン中2クローンで
陽性バンドを検出した。 <実施例10> ラットTPOcDNAのシークエンス プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular
Cloning[Sambrookら、Cold S
pring Harbor Laboratory P
ress(1989)]に記載されているようにして実
施した。実施例9で最終的に得られた2個のクローンを
50μg/mlのAmpicilinを含む50mlの
LB培地で一夜培養した後、実施例5と同様に精製し、
最終的に約300μgのプラスミドDNAを得た。ここ
で得られたプラスミドDNAをTaq Dye Deo
xyTM Terminater Cycle Seq
uening Kit(アプライドバイオシステムズ社
製)を用いて、実施例8と同様にシークエンスし、cD
NA全長の塩基配列を決定した。その結果、2個のクロ
ーンの塩基配列は完全に一致し同一のクローンであるこ
とが明かとなった。この中から1クローンを選び該cD
NAを担持したプラスミドクローンをpEF18S−A
2αと命名した。塩基配列およびそれから演繹されるア
ミノ酸配列を配列表(配列番号2)に示した。配列表
(配列番号2)に示す配列の特徴は顕著である。172
bpの5’非翻訳領域後の配列は、メチオニンに始まる
21個のタンパク質から成る分泌のためのシグナル配列
と推定される、疎水性に富むアミノ酸をコードしてい
る。このタンパク質は126個のアミノ酸残基を有し、
停止コドン(TAA)の後に1022塩基の3’非翻訳
配列及びポリA尾部の多数のアデニンが続く。このタン
パク質中には、実施例2で解析された部分アミノ酸配列
AP8に対応する配列のみが含まれていた(配列番号2
におけるアミノ酸番号1〜12)。N−グリコシル化の
ための配列部位は存在しない。また、3’非翻訳配列末
端近くの1624〜1629の塩基配列は、コンセンサ
ス配列とは異なるが、潜在的ポリアデニル化配列と考え
られる。大腸菌DH5に担持されたベクターpEF18
S−A2αは1994年2月14日付で通商産業省工業
技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM B
P−4565として寄託した。これはまた、1995年
3月22日付で中華民国食品工業発展研究所(FIRD
I)に受託番号940083として寄託した。 <実施例11> ラットTPOcDNAのCOS1細胞での発現〜活性確
認 プラスミドpEF18S−A2αのCOS1細胞へのト
ランスフェクションは、クロロキン処理を含むDEAE
−デキストラン法(sompayracら、Proc・
Nanl.Acad.Sci.USA 78巻、757
5−7578頁、(1981);Luthmanら、N
ucl.Acids Res.、11巻、1295−1
308頁、(1983))に若干の改変を加えた以下の
方法に従い実施した。10%FCSを含むDMEM培養
液に浮遊させたCOS1細胞(ATCC CRL165
0)を直径100mmの組織培養用プラスティックシャ
ーレに入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で約40
%コンフルエントになるまで培養した。一方、500μ
g/mlのDEAE−デキストラン(ファルマシア
社)、80μMのクロロキン(シグマ社)、8%(v/
v)のHBS(21mMHEPES−145mM Na
Cl、pH 7.1)及び9%(v/v)のNu−Se
rum(コラボレイティブ社)を含む4mlのDMEM
培養液に30μlのHBSに溶解したプラスミドpEF
18S−A2α(10μg)を混和し、トランスフェク
ション直前にDMEM培養液で2度洗浄した上記のCO
S1細胞に添加した後、5%炭酸ガス培養器中にて37
℃で5時間培養した。その後、培養上清を吸引除去しD
MEM培養液でシャーレを2度洗浄した後、10%FC
Sを含むDMEM培養液を15ml加え、5%炭酸ガス
培養器中にて37℃で3日ないしは5日間培養し、培養
上清を回収した。得られた培養上清をIMDM培養液に
対して十分に透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で
評価した。その結果、プラスミドpEF18S−A2α
をトランスフェクションして発現させたCOS1細胞の
培養上清中に用量依存的にTPO活性が認められ(図
7)、また、ラットTPの場合と同様に培養4日目に多
数のcytoplasmic process for
mation形成が認められた。一方、インサートを含
まないプラスミドpEF18Sをトランスフェクション
したCOS1細胞培養上清ではTPO活性は検出されな
かった(図7)。また、M−07eアッセイ系において
も、プラスミドpEF18S−A2αをトランスフェク
ションして発現させたCOS1細胞の培養上清中に用量
依存的にM−07e細胞増殖促進活性が認められ、イン
サートを含まないプラスミドpEF18Sをトランスフ
ェクションしたCOS1細胞培養上清では活性が認めら
れなかった。これらの結果から、pEF18S−A2α
がTPO活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を
担持していることが確認された。次に、このTPO活性
の血小板増加作用を調べるため、部分精製品を調製し
た。調製過程でのTPO活性測定には、ラットCFU−
MKアッセイ系を用いた。まず、プラスミドpEF18
S−A2αをトランスフェクションしたCOS1細胞
を、0.2mgのBSAを含む無血清培養液で3日間培
養し、約5.8Lの無血清培養上清を得た。その無血清
培養上清に、p−APMSFを最終濃度1mM加え、
0.22μmの濾過フィルターで通過する濾液をとっ
た。この体積5793ml(蛋白質濃度0.229mg
/ml、総蛋白質量1326mg、相対活性1000、
相対活性量1326080)に対し1000ml当り
0.85moles のNaCl(合計288g)を加
え、最終濃度0.822M NaCl,5849mlの
溶液とした後、1M NaCl,20mM NaPho
sphate pH7.2で予め平衡化してあったTS
K−gel AF−BLUE 650 MHカラム(ト
ーソー社製、カタログ番号08705;直径5cm、ベ
ッド高 6cm)に、流速7ml/minで添加した。
添加終了後、20mMNaPhosphate,1M
NaCl,pH7.2で溶出される素通り(約7900
ml)を集め、これを限外濾過ユニット(フィルトロン
社・オメガウルトラセット 分子量8000カット)で
濃縮し、素通り画分F1(460ml,蛋白質濃度2,
11mg/ml,総蛋白質量973mg,相対活性1
6.3)を得た。次に、溶出液を2M NaSCNにか
え、溶出されたTSK−gel AF−BLUE 65
0MH 吸着TPO活性画分F2(2840ml)を限
外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径76m
m)を用いて、6.81mlまで濃縮した。このTPO
活性画分F2の総蛋白質量は12.5mg、このステッ
プでのF2の蛋白質収量は0.62%であった。また、
TPOの相対活性は、240であった。次に、HiLo
ad 26/60 Superdex 200pg(フ
ァルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−10
71−01;直径2.6cm、ベッド高 60cm)カ
ラムに注入し、流速1ml/minで、50mMのNa
clを含む20mM Na Acetate,pH5.
5で展開した。展開開始後に溶出した194mlから2
60mlまでの範囲の画分にTPO活性が確認できた。
そこで、これをまとめて、Superdex 200p
gのTPO活性画分F2(66ml,蛋白質濃度0.1
12mg/ml,総蛋白質量7.41mg,相対活性1
42860、相対活性量1058600)とした。次
に、展開溶媒A(20mM Na Acetate,p
H5.5)および展開溶媒B(500mMのNaclを
含む20mM Na Phophate,pH7.2)
を用意し、100%Aで平衡化した強陽イオン交換カラ
ムのRESOURCE S(ファルマシア バイオテク
社製、カタログ番号17−1178−01;直径 0.
64cm、ベッド高 3cm)カラムに、流速1ml/
minで、注入した。次いで、流速0.3ml/min
で、40分かけて100%Aから100%Bまでの直線
濃度勾配にて展開した。アッセイの結果、広い範囲(5
%Bから32%Bの範囲)にTPO活性が溶出されてい
ることが分かった。このTPO活性画分をまとめて、限
外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径25m
m)で濃縮し、RESOURCE SのTPO活性画分
F2(1.65ml,蛋白質濃度4.74mg/ml,
総蛋白質量7.82mg,相対活性71400、相対活
性量558600)を得ることができた。得られた標品
は純粋なTPO標品ではなかったが、ラットCFU−M
Kアッセイ系において、十分に高い活性が確認されたの
で、マウスへの投与実験を実施した。即ち、投与前日に
血小板数を測定しておいたICR系マウス(9週齢;
♂)の皮下へ、TPO部分精製品(474μg(100
μl)/マウス/日)、対照としてBSA(200μg
(100μl)/マウス/日)、あるいは対照としてT
PO部分精製品が溶解されている緩衝液と同じ組成の緩
衝液(100μl/マウス/日)を5日間連日投与し、
6日目に心臓より採血して血小板数を測定した(F80
0;東亜医用電子)。TPO部分精製品投与マウスでは
投与前に比べて平均して約2.14倍の血小板数の増加
を認めた。また、投与群の間で比較すると、TPO部分
精製品投与マウスでは、BSA投与マウスに比べて約
1.74倍、あるいは緩衝液のみを投与したマウスに比
べて約1.90倍の血小板数の増加を認めた。この結果
から、TPOが生体内において血小板増加作用を有する
ことが明らかとなった。なお、TPO部分精製品投与マ
ウスにおいて、マウスの急性期蛋白質の1種であるim
munosuppresive acidic pro
tein(IAP)の増加が認められなかったことか
ら、TPOは急性期蛋白質の誘導に関してIL−6やI
L−11とは性格を異にすることが強く示唆された。 <実施例12> ラット各種組織でのTPOmRNAの検出 ラットTPOmRNAがラット体内においてどの組織で
発現しているかを確認するために、ラットの各種組織よ
りRNAを抽出した。実施例1に記載されているものと
同様にX線照射を行なった11日目ないし14日目のラ
ット6匹より各種組織(脳、胸腺、肺、肝臓、心臓、脾
臓、小腸、腎職、精巣および骨髄細胞)を摘出し速やか
に液体窒素で凍結した。全RNAの抽出にはRNA単離
用試薬ISOGEN(和光純薬)を使用した。凍結した
組織の重量に応じた量のISOGEN試薬を加え、ホモ
ジナイザー(ヒスコトロン;日音医理科器械製作所;N
S−60)により、組織が完全に破砕されるまで(およ
そ10000RPMで45〜60秒)処理した後、全R
NA抽出操作を行なった(Chomczynskiらの
Acid Guanidium Phenol Chr
oloform法にもとづく抽出法:Anal.Bio
chem.、162:156−159、1987を参
照)。その結果、それぞれの組織より1.1mg〜5.
6mgの全RNAが得られた。全RNAからポリ(A)
RNAの精製はOligotex TM−dT30
(Super)(日本合成ゴム/日本ロッシュ社製)を
用いて行い全RNA約500μgより20μgのポリ
(A)RNAを得た。得られた各種組織のポリ(A)
RNAそれぞれ1μgよりランダムプライマーを使用
してcDNAの1本鎖目を合成した。ポリ(A)RN
A 1μgを10μlの滅菌水に溶かし70℃で15分
間加温後急冷し、75pmoleランダムプライマー
(宝酒造社製)、10U RNase Inhibit
or(ベーリンガーマンハイム社製)、50mM Tr
is−Hcl(pH8.3)、75mM KCl、3m
M MgCl、200U SuperScript
TMII(ライフテクノロジー社製逆転写酵素)となる
ようにそれぞれの試薬を加え(全量20μl)、37℃
で1時間保温した。反応液を70℃で10分間加熱し酵
素を失活させた後−20℃で使用時まで保存した。実施
例10で得られたラットTPOのcDNA配列より新た
にPCR用プライマーを合成した。合成したプライマー
の配列は以下の通り。 合成したcDNA反応液のそれぞれ0.1容を鋳型に用
いここで合成したプライマー(rTPO−I、rTPO
−N)をそれぞれ1μM使用してPCRを実施した。G
eneAmpTMPCR Reagent Kit W
ith AmpliTaqTMDNA Polymer
ase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM
CR System 9600(PERKIN−ELM
ER社製)により100μlの容量でPCR反応(95
℃で2分間加熱後、95℃で1分間の変性条件、57℃
で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で
30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベ
ート)を行った。ここで得られた反応液を、2%アガロ
ースゲル(FMC BioProducts社製)を用
いた電気泳動にかけ増幅されたバンドを観察したとこ
ろ、脳、肝臓、小腸並びに腎臓で特異的と考えられるバ
ンドが観察された。この結果より、発現量の多少は判断
できないがラットにおいてはこれらの組織でTPOmR
NAが発現していると考えられた。人においても同様な
発現様式を示すことが示唆されるが実施例4の結果と合
わせて考えると、肝臓がヒトTPOcDNA取得のため
の出発材料としては適当であると判断された。 <実施例13> ヒト正常肝臓由来cDNAライブラリーの構築 実施例12の結果より、肝臓をヒトTPOcDNAクロ
ーニングのための材料に選び、市販の正常ヒト肝臓由来
ポリ(A)RNA(Clontech社製:chom
czynskiらのAcid Guanidium P
henol Chroloform法にもとづいて抽出
したもの)5μgを用い実施例7と同様にTimeSa
verTMcDNA Synthesis Kit
(Pharmacia社製)およびDIRECTION
AL CLONING TOOLBOX (Pharm
acia社製)を使用して、5’端にEcoRI、3’
端にNotI認識部位を持つ2本鎖cDNAを合成し
た。合成したcDNAは1.2μgの予めEcoRIお
よびNOtIで処理した発現ベクターpEF18Sと連
結させ、8.4mlのコンピテント・ハイ E.col
i DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。その結
果、1.2×10個の形質転換体が得られた。 <実施例14> PCRによるヒトTPOcDNA断片の取得(クローニ
ング) 市販の正常ヒト肝臓由来ポリ(A)RNA(Clon
tech社製)1μgよりランダムプライマーを使用し
てcDNAの1本鎖目を合成した。ポリ(A)RNA
1μgを10μlの滅菌水に溶かし70℃で15分間加
温後急冷し、75pmole ランダムプライマー(宝
酒造社製)、10U RNase Inhibitor
(ベーリンガーマンハイム社製)、50mM Tris
−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM
MgCl、200U Super ScriptTM
II(ライフテクノロジー社製)となるようにそれぞれ
の試薬を加え(全量20μl)、37℃で1時間保温し
た。反応液を70℃で10分間加熱し酵素を失活させた
後−20℃で使用時まで保存した。ラットTPOcDN
A配列(配列番号2)よりPCR用プライマーを合成し
た。プライマーの配列は以下の通り。 合成したcDNA反応液の0.1容を鋳型に用いここで
合成したプライマー(rTPO−AIN、rTPO−
N)をそれぞれ1μM使用してPCRを実施した。Ge
neAmpTMPCR Reagent Kit wi
th AmpliTaqTMDNA Polymera
se (宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM
CR System 9600(PERKIN−ELM
ER社製)により100μlの容量でPCR反応(95
℃で2分間加熱後、95℃で1分間の変性条件、40℃
で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で
35回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベ
ート)を行った。ここで得られた反応液を、2%アガロ
ースゲル(FMC BioProducts社製)を用
いた電気泳動にかけ、このPCR反応の主要産物である
約620bpのDNA断片を分離し、プレップ−A−ジ
ーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精
製した。この精製したDNA断片をTaq Dye D
eoxyTMTerminater Cycle Se
quening Kit(アプライドバイオシステムズ
社製)を用いて、アプライドバイオシステムズ社製37
3ADNAシークエンサーにより直接シークエンスし塩
基配列を決定した。プライマー部分を除く塩基配列およ
びそれから演繹されるアミノ酸配列を配列表(配列番号
3)に示した。このDNA断片はプライマー配列を除く
と580bpの長さを有し、ラットcDNA塩基配列と
の比較を行なった結果、86%の相同性を持つことが明
かとなり、ヒトTPOcDNAの一部をコードするDN
A断片であると考えられた。 <実施例15> PCR法によるヒトTPOcDNAのスクリーニング 配列表−配列番号3をもとにヒトTPOに対応するPC
R用プライマーを合成した。配列は以下の通り。 実施例13において構築したヒトcDNAライブラリー
を増幅し約10万個のクローンを1個の集団とするプー
ルに分割し、50μg/mlのAmpicilinを含
む1mlのLB培地中で一夜培養した後、プラスミド自
動分離装置PI−100(倉敷紡績社製、VER−3.
0)を用いてプラスミドDNAを抽出した。抽出したD
NAはTE溶液に溶解した。抽出したDNAの5%を鋳
型として使用し、合成したプライマー(hTPO−I、
hTPO−J)をそれぞれ1μM使ってPCRを実施し
た。GeneAmpTMPCR Reagent Ki
t with AmpliTaqTMDNAPolym
erase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmp
TMPCRSystem 9600(PERKIN−E
LMER社製)により20μlの容量でPCR反応(9
5℃で1分間の変性条件、59℃で1分間のアニール条
件、72℃で1分間の合成条件で35回の反応を行い、
さらに7分間72℃でインキュベート)を行った結果、
90プール中3プールで特異的と考えられるバンドが検
出された。これらのうち1プールを選び、約5000ク
ローンづつのプールに分け90プールよりプラスミドD
NAを精製し、再度同一の条件でPCRを実施した。そ
の結果、5個のプールでバンドが検出された。これらよ
り1プールを選択し250個のクローンを1プールとす
るサブプールに分け、90プールについてプラスミドD
NAを抽出した。これらについて同様にPCRを行なっ
た処、3個のプールでバンドが観察された。これらより
1プールを選択し30個のクローンを1プールとしてサ
ブプールを作り、90プールからプラスミドDNAを精
製しPCRを実施した結果3個のプールでバンドが観察
された。これらのうち1プールを選び50μg/mlの
Ampicilinを含むLBプレート上にまき、90
個のコロニーについて同様にプラスミドDNAを抽出し
PCRによる確認を行なった結果、最終的にクローンH
L34を得た。 <実施例16> ヒトTPOcDNAのシークエンス プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular
Cloning [Sambrookら、Cold
Spring Harbor Laboratory
Press(1989)]に記載されているようにして
実施した。クローンHL34を50μg/mlのAmp
icilinを含む50mlのLB培地で一夜培養した
後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−lys
ozyme溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaOH
/1%SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M
potassium/5M acetate溶液を6m
l加えてよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清はフ
ェノール−クロロホルム(1:1)処理後、等量のイソ
プロパノールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレッ
トはTE溶液に溶解後、RNAse処理、フェノール−
クロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を
行なう。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、
ポリエチレングリコール3000をそれぞれ0.63
M、7.5%になるように加えて遠心する。最後に、ペ
レットはTE溶液に溶解後エタノール沈殿を行なう。こ
れにより約300μgのプラスミドDNA pEF18
S−HL34を得た。精製したプラスミドDNAについ
てTaq Dye DeoxyTMTerminate
r Cycle Sequening Kit(アプラ
イドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオ
システムズ社製373ADNAシークエンサーによりシ
ークエンスし、全長の塩基配列を決定した。塩基配列お
よびそれから演繹されるアミノ酸配列を配列表(配列番
号4)に示した。塩基配列決定に必要なプライマーは配
列番号3の配列をもとに合成したプライマー並びに、そ
れらのプライマーによるシークエンス反応で解析された
内部配列をもとに設計した合成プライマーを使用した。
その結果、得られたプラスミドクローンpEF18S−
HL34は861塩基対のcDNA断片を含み、実施例
2で分析されたラットTPOの部分アミノ酸配列AP8
(配列番号4:アミノ酸番号1〜12)及びTP2/T
P3(配列番号4:アミノ酸番号157〜162)と相
同性の高い配列が確認された。このDNA断片は、25
塩基目から始まるオープンリーディングフレームをコー
ドしていると考えられたが、終止コドンは無く3’端に
は76塩基からなるポリA尾部様配列を持っていた。ポ
リA尾部様配列直前までの253個のアミノ酸配列はラ
ットTPOcDNAのもの(配列番号2の147残基の
アミノ酸配列部分)と比較すると84%の相同性を持っ
ておりラットTPOに対応するヒトのcDNAの一部を
コードするDNA断片と考えられた。終止コドンが無く
3’端にポリA尾部様配列を持っていたことから、この
クローンは完全なcDNAを反映するものではなく、c
DNAライブラリー作製時の人工産物であることが示唆
された。 <実施例17> ヒトTPOcDNAのCOS1細胞での発現〜活性確認 得られたプラスミドクローンpEF18−HL34のC
OS 1細胞へのトランスフェクションは、実施例11
に従って行なった。すなわちプラスミDNA10μgを
使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法
を用いたトランスフェクションを行ない、3日ないし5
日後に培養上清を回収した。得られた培養上清をIMD
M培養液に対して十分に透析後、ラットCFU−MKア
ッセイ系で評価した。その結果、pEF18S−HL3
4をトランスフェクションして発現させたCOS1細胞
培養上清では用量依存的にTPO活性が認められ(図
8)、また、培養4日目に多数の巨核球による突起形成
が観察された。一方、インサートを含まない発現プラス
ミドをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清
では活性が認められなかった(図8)。また、M−07
eアッセイ系においてもpEF18S−HL34をトラ
ンスフェクションして発現させたCOS1細胞培養上清
にのみM−07e細胞増殖促進活性が認められた。これ
らの結果から、pEF18S−HL34がTPO活性を
有するタンパク質をコードする遺伝子cDNA断片を担
持していることが判明した。また、ヒトTPOがラット
にも作用する(種特異性がない)ことも明らかとなっ
た。 <実施例18> ヒトTPO欠失型cDNAの発現〜活性確認 実施例15で得られたクローンHL34のヒトTPOc
DNAは、その3’側にポリA尾部様の連続するアデニ
ン配列を持っていたが、この配列はラットTPOcDN
Aには観られず実験上の人工産物である可能性が示唆さ
れた。そこで、このポリA尾部様の連続するアデニン配
列を欠失させたcDNAを作製し、発現させた蛋白質が
TPOとしての活性を示すか検討した。欠失体の作製に
はPCRを利用した。PCR用プライマーの配列を表9
に示す。それぞれの5’端には制限酵素認識配列を付加
してある(hTPO5にはEcoRI、hTPO3には
NotI並びに2つのストップコドンTAATGAを付
加した)。
【表9】 実施例16で得られたプラスミドクローンpEF18S
−HL34のプラスミドDNA1μgを鋳型として使用
し、合成したプライマー(hTPO5、hTPO3)各
10μMを使ってPCRを実施した。GeneAmp
TMPCR Reagent Kit with Am
pliTaqTMDNA Polymerase(宝酒
造社製)を用いて、GeneAmpTMPCR Sys
tem 9600(PERKIN−ELMER社製)に
より100μlの容量でPCR反応(95℃で1分間の
変性条件、65℃で1分間のアニール条件、72℃で1
分間の合成条件で15回の反応を行い、さらに7分間7
2℃でインキュベート)を行った。得られた約800b
pのバンドを制限酵素EcoRI並びにNotIで消化
後精製し、同様に制限酵素処理した発現ベクターpEF
18Sにサブクローニングした。得られた形質転換体よ
り約800bpのDNA断片を含むクローンを5個選択
しプラスミドDNAを大量調製した(方法は実施例5参
照)。それぞれのプラスミドについては、PCRで増幅
した部分の約800 bp全領域に関して塩基配列の決
定を行ない実施例16で解析した塩基配列(配列番号4
の1−780)と完全に一致していることを確認した。
このプラスミドクローンをpHT1−231と命名し
た。大腸菌DH5に担持されたベクターpHT1−23
1は1994年2月14日付で通商産業省工業技術院生
命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−45
64として寄託した。これはまた、1995年3月22
日付で中華民国 食品工業発展研究所(FIRDI)に
受託番号940082として寄託した。得られたプラス
ミドのCOS1細胞での発現は実施例11に従って行な
った。すなわちプラスミドDNA各10μgを使用しク
ロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いた
トランスフェクションを行ない、3日ないし5日後に培
養上清を回収した。得られた培養上清をIMDM培養液
に対して透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価
した。その結果、pHT1−231をトランスフェクシ
ョンして発現させたCOS1細胞培養上清ではTPO活
性が認められ(図9)、また、培養4日目に多数の巨核
球による突起形成が観察された。一方、cDNAインサ
ートを含まない発現プラスミドをトランスフェクション
したCOS1細胞培養上清では活性が認められなかった
(図9)。また、M−07eアッセイ系においてもpH
T1−231をトランスフェクションして発現させたC
OS1細胞培養上清にのみM−07e細胞増殖促進活性
が認められた。これらの結果から、pHT1−231に
含まれるcDNA断片はTPO活性を有するタンパク質
をコードする遺伝子であることが明らかとなった。 <実施例19> PCRによるヒトTPOC末側領域のクローニング 実施例15で得られたクローンHL34のヒトTPOc
DNAはその3’末端にポリA尾部様配列を持ってお
り、3’部分は不完全なクローンであることが示唆され
た。そこで、PCRにより完全長の3’領域を取得する
ことを試みた。実施例16で決定した塩基配列よりPC
R用5’側プライマーを4種類合成した。
【表10】 また、3’側プライマーとしてはポリA部分直後からの
増幅を期待して3’端にミックスのヌクレオチドを4ベ
ース含む以下のプライマーを合成した。また、ミックス
部分を含まないアンカープライマーも合成した。
【表11】 実施例14と同様にヒト正常肝臓由来ポリ(A)RN
A (Clontech社製)1μgよりcDNAの1
本鎖目を合成した。ただし、プライマーとしてはオリゴ
dTプライマー(Pharmacia社製のTimeS
averTMcDNA Synthesis Kit
に添付のものを0.5μg)を使用した。cDNA合成
の反応液の0.1容を鋳型として1回目のPCRを実施
した。PCRにはGeneAmpTMPCR Reag
ent Kit with AmpliTaqTMDN
A Polymerase (宝酒造社製)並びに、
GeneAmpTMPCR System 9600
(PERKIN−ELMER社製)を用いた。プライマ
ーにはhTPO−H(20μM)及びhTPO3mix
(10μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった
(96℃2分間の後に、96℃ 1分間/48℃ 1分
間/72℃ 1分間を10サイクル反応し、さらに72
℃ 7分間)。1回目の反応液の0.1容を鋳型として
2回目のPCRを行なった。プライマーにはhTPO−
K(20μM)及びhTPO3mix(10μM)を使
用し50μlの容量で反応を行なった(96℃2分間の
後に、96℃ 1分間/63℃ 1分間/72℃ 1分
間を10サイクル反応し、さらに72℃ 7分間)。2
回目の反応液の0.1容を鋳型として3回目のPCRを
行なった。プライマーにはhTPO−N(20μM)及
びhTPO3mix(10μM)を使用し50μlの容
量で反応を行なった(96℃ 2分間の後に、96℃
1分間/63℃ 1分間/72℃ 1分間を10サイク
ル反応し、さらに72℃ 7分間)。3回目の反応液の
0.1容を鋳型として4回目のPCRを行なった。プラ
イマーにはhTPO−O(20μM)及びhTPO3m
ix(10μM)を使用し50μlの容で反応を行なっ
た(96℃ 2分間の後に、96℃1分間/63℃ 1
分間/72℃ 1分間を10サイクル反応し、さらに7
2℃1分間)。4回目の反応液の0.1容を鋳型として
5回目のPCRを行なった。プライマーにはhTPO−
O(20μM)及びhTPO3anchor(20μ
M)を使用し50μlの容量で反応を行なった(96℃
2分間の後に、96℃ 1分間/58℃ 1分間/7
2℃ 1分間を10サイクル反応し、さらに72℃ 7
分間)。ここで得られた反応液を、2%アガロースゲル
(FMC BioProducts社製)を用いた電気
泳動にかけ、このPCR反応の主要産物である約600
bpのDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDN
A精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製した。
この精製したDNA断片をTaqDye Deoxy
TMTerminater Cycle Sequen
ing Kit (アプライドバイオシステムズ社製)
を用いて、アプライドバイオシステムズ社製373AD
NAシークエンサーにより直接シークエンスし塩基配列
を決定した。塩基配列およびそれから演繹されるアミノ
酸配列を配列表(配列番号5)に示した。このDNA断
片はプライマーhTPO−Oに始まる130個のアミノ
酸をコードする塩基配列を持っており、さらに3’側に
180塩基以上の配列が続いていた(577塩基目以降
は解読できなかった)。このDNA断片にコードされる
グリシンに始まる30個のアミノ酸配列は配列番号4で
記載したアミノ酸番号203〜232のアミノ酸配列と
一致した。同時に1番から94番目までの塩基配列も配
列番号4の692〜785のものと一致していた。実施
例17のcDNA断片の解析及び本例のPCR増幅断片
の解析の結果より、配列番号6に記載するように、ヒト
TPOタンパク質は21残基のシグナル配列を含む35
3個のアミノ酸からなると推定される。なお、配列番号
6に示されたヒトTPOタンパク質の成熟タンパク質部
分に相当するアミノ酸配列を配列番号16として示し
た。 <実施例20> ヒト正常肝臓由来cDNAライブラリーの再構築 実施例15で得られたクローンHL34は、オープンリ
ーディングフレームに終止コドンを持たず、その3’末
端にポリA尾部様配列を持っておりcDNA合成の際の
人工産物であることが考えられたため、新たに市販の正
常ヒト肝臓由来ポリ(A)RNA(Clontech
社製)5μgを用い、cDNAライブラリーを構築し直
した。cDNAの合成にはSuperScriptTM
Lambda System for cDNA Sy
nthesis and λCloning Kit並
びにSuperScriptTMII RNaseH−
(ともにLIFE TECHNOLOGIES社製)を
使用した。ポリ(A)RNAを熱変性後、Kitに付
属のNotI配列付きオリゴdTをプライマーとして含
む20μlの反応液(50mM Tris−HCl、p
H8.3/75mMKCl/3mM MgCl/1m
M DTT/1mM dNTP/200USuperS
criptTMII RNaseH−)に加え、37℃
で60分間保温した。cDNAの2本鎖目を合成(25
mM Tris−HCl、pH8.3、100mM K
Cl、5mM MgCl、各250μM dNTP
s、5mM DTT、40U E.coli DNA
polymerase I、2U E.coli RN
aseH、10U E.coli DNA ligas
eを含む150μlの反応液中で16℃2時間保温)
後、10U T4 DNA polymaraseを加
えさらに16℃で5分間保温した。反応液を65℃で1
0分間加熱後等量のフェノール−クロロホルムで1回抽
出し、SizeSepTM400 spun colu
mn(Pharmacia社製のTimeSaver
TMcDNA Synthesis Kitに付属の低
分子量DNA除去用スパンカラム)により400 bp
より小さいcDNAを除いた。このサンプルにEcoR
I Adaptor(Pharmacia社製のTim
eSaverTMcDNA Synthesis Ki
tに付属のもの)を付加後制限酵素NotIで消化した
ものを、再度SizeSepTM400 spun c
olumnにかけ、低分子量のDNAを除去した。これ
によって得られた、5’端にEcoRI、3’端にNo
tI認識配列を持つ2本鎖cDNAはそれぞれ1.3μ
gであり、予めEcoRIおよびNotIで処理した発
現ベクターpEF18Sと連結させ、9.2mlのコン
ピテント・ハイE.coli DH5(東洋紡績社製)
を形質転換した。その結果、得られたヒト肝臓cDNA
ライブラリー(hTPO−F1)は1.0×10個の
形質転換体を含むものであった。 <実施例21> >ヒト肝臓cDNAライブラリーhTPO−F1からの
TPOcDNAクローンのスクリーニング 配列表−配列番号3及び6をもとにヒトTPOcDNA
に対応するPCR用プライマーを合成した。配列は以下
の通り 実施例20において構築したヒト肝臓cDNAライブラ
リーhTPO−F1(1.0×10個)を3つのプー
ル(#1〜3)に分割し凍結保存した。それぞれのプー
ルよりプラスミドDNAを調製し、その1%を鋳型とし
て、合成したプライマー(hTPO−I及びhTPO−
KU)各1μMを用いてPCRを行なった。GeneA
mpTMPCR Reagent Kit with
AmpliTaqTMDNA Polymerase
(宝酒造社製)を使用して、GeneAmpTMPCR
System 9600(PERKIN−ELMER
社製)により100μlの容量でPCR(95℃で1分
間の変性条件、59℃で1分間のアニール条件、72℃
で1分間の合成条件で35回の反応を行い、さらに7分
間72℃でインキュベート)を行った結果、#3のプー
ル由来のプラスミドDNAを用いた場合に予想される大
きさのDNAが増幅された。そこで、この#3のプール
を15000個のサブプールに分割し、50μg/ml
のAmpicillinを含む1mlのLB培地中で1
夜培養した後、プラスミド自動分離装置PI−100を
用いてプラスミドDNAを抽出した。抽出したDNAは
TE溶液に溶解し、その5%を鋳型としてPCRを実施
した(使用したプライマー、反応条件は上記と同一であ
る)。その結果、90プール中6プールで予想される大
きさのDNAが増幅された。これらのうち1プールを選
択し1000個のクローンを1つの集団とするサブプー
ルに分割し、上記と同様にプラスミドDNAを調製しP
CRを行なったがDNAの増幅は観察されなかった。一
連のPCRで増幅されるDNAの電気泳動上のバンドの
濃さは、サブプールを細かくして行くに連れ、薄くなっ
てきた。そのため、求めるクローンの増殖が良くないた
めプラスミドDNAの回収が悪く、PCRによる増幅が
弱くなり最終的に増幅されなくなったことが考えられ
た。そこで#3のプールに戻り、コロニーハイブリダイ
ゼイションによるスクリーニングを行なうことにした。
#3のプールより、15cmのLBプレートあたり41
00個のコロニーとなるようにクローンをまき、100
枚のプレートを作製した。それぞれのプレートについて
1枚づつレプリカプレートを作製し、それらのうち片方
のプレートを37℃でさらに6時間培養してからコロニ
ーを回収しプラスミドDNAを抽出した。これらのDN
Aについて上記と同様のPCRを実施したところ、10
0プール中1プールで予想される大きさのバンドの増幅
が観察された。そこでこのプールのプレートより2枚の
レプリカフィルターを作製した(PALL社製BIOD
YNETMA TRANSFER MEMBRANEを
使用)。フィルターの変性は10%SDS 10分間、
0.5N NaOH/1.5M NaCl 10分間、
0.5M Tris−HCl(pH8.0)/1.5M
NaCl 10分間行ない、30分間風乾後80℃の
真空オーブン中で1時間ベーキングした。ベーキングし
たフィルターは6×SSC(20×SSCは1l中に1
75.3gNaCl、88.2gを含みpH7.0の溶
液)/1%SDSで軽く洗浄後、プレハイブリダイゼイ
ションを行なった。反応液の組成は50%ホルムアミ
ド、5×SSC、5×Denhardt’s solu
tion(50×Denhardt’s soluti
onは500ml中に5g Ficoll、5g po
lyvinylpyrrolidone、5g bov
ine serum albumin fractio
n Vを含む溶液)、1%SDS、20μg/mlサケ
精子DNAを含むもので、30mlの溶液中で42℃3
0分間振盪しながら保温した。プレハイブリダイゼイシ
ョンを行なった後、同組成のハイブリダイゼイション溶
液30mlと交換後、[α−32P]dCTP(アマシ
ャム社製)で放射標識したプローブ(プラスミドpEF
18S−HL34のEcoRI/BamHI断片:配列
番号4の5’末端から458塩基目までを精製し、ラン
ダムプライマー法で標識したもの;Anal.Bioc
hem.、132、6−13、1983に記載の方法を
利用したアマシャム社製キットMegaprimeDN
A labelling systemを使用)を加
え、42℃で20時間振盪しながら保温した。フィルタ
ーは2×SSC/0.1%SDS溶液中で42℃30分
間洗浄後、さらに0.2×SSC/0.1%SDS溶液
中で42℃30分間洗浄した。フィルターを増強スクリ
ーン及びX−OMATTMAR5フィルム(イーストマ
ンコダック社製)により−70℃16時間オートラジオ
グラフィーを行なった。その結果、陽性と考えられるシ
グナルが1個観察された。そこで、もとのプレートより
シグナル周辺のコロニーをかきとり、10cmのLBプ
レートにまきなおした。得られたコロニー50個を培養
しDNAを調製後プライマーhTPO−I及びhTPO
−KUを用いてPCRを実施した(条件等は上記と同
一)。その結果、1クローンのみ予想通りのバンドが増
幅された。このクローンをpHTF1と命名した。 <実施例22> ヒトTPO cDNAクローンpHTF1のシークエン
ス プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular
Cloning[Sambrookら、Cold S
pring Harbor Laboratory P
ress(1989)]に記載されているようにして実
施した。クローンpHTF1を50μg/mlのAmp
icillinを含む50mlのLB培地で一夜培養し
た後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−ly
sozyme溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaO
H/1%SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M
potassium/5M acetate溶液を6
ml加えてよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清は
フェノールークロロホルム(1:1)処理後、等量のイ
ソプロパノールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレ
ットはTE溶液に溶解後、RNAse処理、フェノール
ークロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿
を行なう。ペレットを再度TE溶液に溶解し、Nac
l、ポリエチレングリコール3000をそれぞれ0.6
3M、7.5%になるように加えて遠心する。最後に、
ペレットはTE溶液に溶解後エタノール沈殿を行なう。
これにより約300μgのプラスミドDNApHTF1
を得た。精製したプラスミドDNAについてTaq D
ye DeoxyTMTerminater Cycl
e Sequening Kit(アプライドバイオシ
ステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社
製373ADNAシークエンサーによりシークエンス
し、全長の塩基配列を決定した。塩基配列およびそれか
ら演繹されるアミノ酸配列を配列表(配列番号7)に示
した。塩基配列決定に必要なプライマーは配列番号6の
配列をもとに合成したプライマー並びに、それらのプラ
イマーによるシークエンス反応で解析された内部配列を
もとに設計した合成プライマーを使用した。その結果、
得られたクローンpHTF1は1721塩基対のcDN
A断片からなり、実施例2で分析されたアミノ酸配列A
P8(配列番号7:アミノ酸番号1〜12)及びTP2
/TP3(配列番号7:アミノ酸番号157〜162)
と相同性の高い配列が確認された。このDNA断片は、
101塩基目までの5’ノンコーディング領域に続く、
102〜104塩基目にコードされるメチオニンに始ま
り1158〜1160塩基目にコードされるグリシンま
で続く353個のアミノ酸からなるオープンリーディン
グフレームをコードしていると考えられ、それに続く停
止コドン(TAA)以降の3’ノンコーディング領域を
531塩基と30個のポリA尾部配列を持っていた。こ
のオープンリーディングフレームにコードされると考え
られるタンパク質のアミノ酸配列は配列番号6に記載
の、ヒトTPOの予想されるアミノ酸配列と完全に一致
した。塩基配列は配列番号6の配列より5’側で77塩
基分、3’側のポリA尾部配列直前までの領域で347
塩基分長いcDNAをコードしていた。また塩基配列
は、配列番号6と3箇所で異なっていた。異なる塩基配
列は配列番号7のA(84塩基目)が配列番号6では
C、A(740塩基目)がT、G(1198塩基目)が
Aであった。2番目の塩基(740塩基目)のみ、タン
パク質のコーディング領域内の変異であったが、スレオ
ニンの3番目のコドンであり、アミノ酸の変換は起こさ
なかった。この塩基配列の置換が何に起因するのかはこ
の時点では明らかでなかったが、得られたクローンpH
TF1の解析より、ヒトTPOタンパク質は21残基の
シグナル配列を含む353個のアミノ酸からなることが
確認できた。シグナル配列を除いたタンパク質の推定分
子量は35466であった。大腸菌DH5に担持された
ベクターpHTF1は1994年3月24日付けで通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号F
ERM BP−4617として寄託した。これはまた、
1995年3月22日付で中華民国 食品工業発展研究
所(FIRDI)に受託番号940085として寄託し
た。 <実施例23> ヒトTPOcDNAクローンpHTF1のCOS1細胞
での発現〜活性確認 得られたクローンpHTF1のCOS1細胞へのトラン
スフェクションは、実施例11に従って行なった。すな
わちプラスミドDNA10μgを使用しクロロキン処理
を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェ
クションを行ない、3日後に培養上清を回収した。得ら
れた培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラット
CFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pHT
F1を発現させたCOS1細胞培養上清では用量依存的
にTPO活性が認められたが、cDNAインサートを含
まない発現プラスミドをトランスフェクションしたCO
S1培養上清では活性が認められなかった(図10
a)。類似の結果は、M−07eアッセイ系においても
得られ、pHTF1を発現させたCOS1細胞培養上清
中に有意なM−07e細胞増殖促進活性を認めた(図1
0b)。これらの結果から、pHTF1に含まれるcD
NAはTPO活性を有するタンパク質をコードする遺伝
子であることが明確になった。 <実施例24> ヒトTPO染色体DNAのクローニング ヒトTPOcDNAをプローブとしてヒトTPO染色体
DNAのクローニングを行なった。クローニングに使用
したゲノミックライブラリーは東北大学 遺伝子実験施
設山本徳男教授よりいただいた(Sakaiら、J.B
iol.Chem.、269、2173−2182、1
994に記載のライブラリーで、ヒト染色体DNAを制
限酵素Sau3AIによって部分分解したものをStr
atagene社製ファージベクターLambda E
MBL3のBamHI部位につないで構築したライブラ
リー)。このライブラリーよりヒトTPOcDNAをプ
ローブとしてスクリーニングを実施したが、用いた手法
はすべて本質的にMolecular Cloning
[Sambrookら、Cold SpringHar
bor Laboratory Press(198
9)]に記載されているようにして実施した。大腸菌L
E392を宿主菌として、15cmのNZYMプレート
(1l中に10g NZamine、5g Nacl、
5g bacto yeast extract、2g
MgCl7HO、15%agarを含む。pH
7.0のもの)1枚あたり3万個となるようにファージ
をまき、18枚のプレートを作製した。それぞれのプレ
ートより各2枚のレプリカフィルターを作製した(PA
LL社製BIODYNETMA TRANSFER M
EMBRANEを使用)。フィルターの変性は0.5N
NaOH/1.5M NaCl 10分間、0.5M
Tris−HCl(pH8.0)/1.5M NaC
l 10分間行ない、30分間風乾し80℃の真空オー
ブン中で1.5時間ベーキングした。プレハイブリダイ
ゼイションは50%ホルムアミド、5×SSC、5×D
enhardt’s solution、1%SDS、
20μg/mlサケ精子DNAを含む500mlの溶液
中で42℃1時間行なった。プローブはヒトTPOcD
NA断片(配列番号7の塩基配列番号178−102
5)をPCRで増幅後精製したものをRandom P
rimer DNA labelling kit(宝
酒造社製;Anal Biochem.、132、6−
13、1983に記載のランダムプライマー法を利用し
たDNA標識キット)を用いて32P標識したものを用
いた。PCRに使用したプライマーの配列は以下の通
り。 ハイブリダイゼイションはプレハイブリダイゼイション
と同じ組成の溶液を500ml使用し、放射標識したプ
ローブを加え42℃で20時間行なった。フィルターは
2×SSC/0.1%SDS溶液中室温で5分間づつ3
回洗浄後、1.1×SSC/0.1%SDS溶液中で6
8℃1時間の洗浄を行なったのち、増強スクリーン及び
X−OMATTMAR5フィルム(イーストマンコダッ
ク社製)により−70℃16時間オートラジオグラフィ
ーを行なった。その結果、13個の陽性シグナルが得ら
れた。もとのプレートより13個の陽性シグナル周辺の
プラークを拾い上げ、15cmのNZYMプレート1枚
あたり1000プラークとなるようにまき直した。それ
ぞれのプレートから各2枚のレプリカフィルターを作製
し、上記と同じ条件でハイブリダイゼイションを実施し
た。その結果、13組全てのフィルターで陽性シグナル
が検出された。各プレートより1個づつプラークを単離
し、Molecular Cloningに記載のPl
ate Lysate法でファージDNAを調製した。
13クローンのファージDNAについてcDNAのコー
ディング領域を含んでいるかどうかをPCRによってチ
ェックした。チェックに使用したプライマーの配列は以
下の通り。 これらのプライマーの組み合わせにてPCRを実施した
ところ、13クローンのうち5クローンはcDNAから
予測されるアミノ酸のコーディング領域を全て含んでい
ると考えられた。これら5クローンに含まれる染色体D
NAの長さは約20kbpとそろっており、予備的に検
討した制限酵素解析でもほぼ同一のパターンを示した。
そこでこれらのクローンのうち1個(クローンλHGT
1)を選択し、Southern blot解析を行な
った。すなわち、クローンλHGT1のDNA各1μg
を制限酵素EcoRIまたはHindIIIで完全に消
化し、0.8%アガロースゲルで泳動後、PALL社製
BIODYNETMA TRANSFER MEMBR
ANEに転写した。フィルターは30分間風乾後80℃
の真空オーブン中で2時間ベーキングした。プレハイブ
リダイゼイションは50%ホルムアミド、5×SSC、
5×Denhardt’s solution、1%S
DS、20μg/mlサケ精子DNAを含む50mlの
溶液中で42℃1時間行なった。プローブはヒトTPO
cDNA断片(配列番号7の塩基配列番号178−10
25)をPCRで増幅後精製したものをRandom
Primer DNA labelling kit
(宝酒造社製)を使用して32P標識したものを用い
た。ハイブリダイゼイションはプレハイブリダイゼイシ
ョンと同じ組成の溶液を50ml使用し、放射標識した
プローブを加え42℃で20時間行なった。フィルター
は2×SSC/0.1%SDS溶液中室温で5分間づつ
3回洗浄後、0.1×SSC/0.1%SDS溶液中で
68℃1時間の洗浄を行なったのち、増強スクリーン及
びX−OMATTMAR5フィルム(イーストマンコダ
ック社製)により−70℃16時間オートラジオグラフ
ィーを行なった。その結果、制限酵素HindIIIで
消化した場合に約10kbpの単一のバンドが観察され
た。そこで、クローンλHGT1のDNA10μgを制
限酵素HindIIIで消化後0.8%アガロースゲル
で泳動し、10kbpのバンドを切り出して、プレップ
−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で
精製し、同様にHindIIIで消化したクローニング
ベクターpUC13(Pharmacia社製)にサブ
クローニングした(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント
・ハイE.coli DH5を使用した)。得られたク
ローンのうち、10kbpのHindIII断片を含む
クローンを選択しpHGT1と命名した。ファージクロ
ーンλHGT1のおおまかな制限酵素地図を図11に示
す。 <実施例25> ヒトTPO染色体クローンpHGT1のシークエンス pHGT1クローンを培養しプラスミドDNAの精製を
行なった。方法は本質的にMolecular Clo
ning[Sambrookら、Cold Sprin
g Harbor Latoratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。
クローンpHGT1を50μg/mlのAmpicil
linを含む50mlのLB培地で一夜培養した後、遠
心分離により得た菌体を4mlのTEG−lysozy
me溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaOH/1%
SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M pot
assium/5M acetate溶液を6ml加え
てよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清はフェノー
ルークロロホルム(1:1)処理後、等量のイソプロパ
ノールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレットはT
E溶液に溶解後、RNase処理、フェノールークロロ
ホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行な
う。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリ
エチレングリコール3000をそれぞれ0.63M、
7.5%になるように加えて遠心する。最後に、ペレッ
トはTE溶液に溶解後エタノール沈殿を行なう。これに
より約300μgのプラスミドDNApHGT1を得
た。精製したプラスミドDNAについてTaq Dye
DeoxyTMTerminater Cycle
Sequening Kit(アプライドバイオシステ
ムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製3
73ADNAシークエンサーによりシークエンスし、c
DNAの塩基配列から予想される、タンパク質コーディ
ング領域周辺の塩基配列を決定した。塩基配列およびそ
れから演繹されるアミノ酸配列を配列表(配列番号8)
に示した。塩基配列決定に必要なプライマーは実施例2
2で使用した、cDNAの塩基配列解析に用いたもの並
びに、それらのプライマーによるシークエンス反応で解
析された内部配列をもとに設計した合成プライマーを使
用した。その結果、プラスミドクローンpHGT1が担
持する染色体DNAは、配列番号6で予想されたアミノ
酸のコーディング領域を全て含みその領域に関しては、
塩基配列は完全に一致していた。また、アミノ酸をコー
ドするエクソンに相当する領域は4つのイントロンによ
って分断されており、イントロンの長さは5’側から順
に231bp、286bp、1932bp、236bp
であった。配列番号7に記載のcDNA塩基配列とは3
箇所で異なっていた。異なる塩基配列は実施例22で記
載した箇所(配列番号6と7の相違点)と同一であり、
配列番号7のA(84塩基目)がC、A(740塩基
目)がT、G(1198塩基目)がAであった。すなわ
ち、実施例21で取得したヒトTPOcDNAクローン
pHTF1の塩基配列は、ヒト染色体の塩基配列と3箇
所で異なることが明かとなった。そこで、この塩基配列
の変異が本来の配列を反映するものであるか解析するた
めに、スクリーニングで最終的に選択された5個の染色
体DNAクローンのうち、塩基配列を決定していない残
りの4クローンについて、配列の決定を行なった。配列
の解析はMolecular Cloningに記載の
Plate Lysate法で調製したファージDNA
を使用した直接塩基配列決定法で行なった。反応には上
記3箇所の塩基配列変異点を解析できる位置の実施例2
2で合成したシークエンスプライマー並びに、Taq
Dye DeoxyTMTerminater Cyc
le Sequening Kit(アプライドバイオ
システムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ
社製373ADNAシークエンサーによりシークエンス
した。その結果、4個全てのクローンで配列番号7の8
4塩基目がC、740塩基目がTであり、配列番号7の
cDNAとは異なり、配列番号6のものと一致した。1
198塩基目についてはGのクローンが2個、Aのクロ
ーンが2個であった。すなわち、染色体DNA本来の塩
基配列が2種類あることが明かとなった。この配列の違
いが相同染色体に由来するものか、複数存在する遺伝子
に由来するものかは、現時点では不明である。また、購
入したClontech社製ポリ(A)RNAがCa
ucasian由来であるのに対し、染色体DNAの由
来が日本人であることから、塩基配列の変異は人種の違
いに起因する可能性も示唆される。大腸菌DH5に担持
されたベクターpHGT1は1994年3月24日付け
で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託
番号FERM BP−4616として寄託した。これは
また、1995年3月22日付で中華民国 食品工業発
展研究所(FIRDI)に受託番号940084として
寄託した。 <実施例26> ヒトTPO染色体DNAのCOS1細胞での発現と活性
確認 サブクローニングして得られたプラスミドクローンpH
GT1には、インサート部分に3箇所、ベクター内に1
箇所、合計4箇所のEcoRI認識配列が存在するが、
インサート内の一番5’側のEcoRI認識配列とベク
ター内のEcoRI認識配列にはさまれる約4.3kb
pのDNA断片に、ヒトTPOタンパク質のコーディン
グ領域が全て含まれることが、塩基配列の解析から明ら
かになった。そこで、この断片をEcoRI処理した発
現ベクターpEF18Sにつなぎ、4個のヒトTPO発
現プラスミドpEFHGTE#1−4を得た(前述の図
11)。これらのプラスミドDNAを調製し発現実験を
行なった。プラスミドDNAの精製は本質的にMole
cular Cloning[Sambrookら、C
old Spring Harbor Laborat
ory Press(1989)]に記載されているよ
うにして実施し、約250μgのプラスミドDNAを得
た。得られたクローンpEFHGTE#1−4のCOS
1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に従っ
て行なった。すなわちプラスミドDNA10μgを使用
しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用
いたトランスフェクションを行ない、3日後に培養上清
を回収した。得られた培養上清をIMDM培養液に対し
て透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。
その結果、pEFHGTEを発現させたCOS1細胞培
養上清中に用量依存的にTPO活性が認められ、一方、
DNAインサートを含まない発現プラスミドをトランス
フェクションしたCOS1細胞培養上清では活性が認め
られなかった。クローン#1〜4のいずれでもほぼ同様
の結果が得られたが、代表例としてpEFHGTE#1
における結果を図12aに示した。また、M−07eア
ッセイ系においても、pEFHGTEを発現させたCO
S1細胞培養上清にて用量依存的に有意なM−07e細
胞増殖促進活性が認められた。代表例として、pEFH
GTE#1における結果を図12bに示した。これらの
結果より、得られたクローンpEFHGTEが担持する
DNAはヒトTPOの機能的染色体DNAであること
が、明らかとなった。 <実施例27> ヒトTPO欠失誘導体の作製とCOS1細胞での発現〜
活性確認 実施例18の結果より、ヒトTPOは完全長でなくても
活性を発現しうることが明かとなったが、その活性発現
に必要な領域を解析する目的で、欠失誘導体の作製並び
に発現を行なった。実施例18で得たプラスミドクロー
ンpHT1−231をもとにC末端側から順次20個の
アミノ酸を欠失させた発現プラスミド並びにTP2/3
の直後(163番目)までのアミノ酸を含む発現プラス
ミドを作製した。作製にはPCRを利用した。PCR用
に作製したプライマーの配列は以下の通り。 実施例18で得たクローンPHT1−231のプラスミ
ドDNA1μgを鋳型として使用し、合成したプライマ
ー(hTPO−5を5’側として使用、hTPO−2、
−3、−4、−Sを3’側として使用)をそれぞれ10
μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTMPC
R Reagent Kit withAmpliTa
TMDNA Polymerase(宝酒造社製)を
用いて、GeneAmpTMPCR System 9
600(PERKIN−ELMER社製)により100
μlの容量でPCR(95℃で1分間の変性条件、66
℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件
で20回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュ
ベート)を行った。それぞれのPCRで得られたバンド
を制限酵素EcoRI及びNotIで消化後、1%アガ
ロースゲル(FMC BioProducts社製)を
用いた電気泳動にかけ、それぞれのPCR反応の予想さ
れる大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A
−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製
し、同様に制限酵素処理した発現ベクターpEF18S
にサブクローニングした(宿主菌としては東洋紡績社製
コンピテント・ハイ E.coli DH5を使用)。
得られた形質転換体のうち、それぞれ予想される長さの
インサートを含むクローンをそれぞれ4個ないし5個づ
つ選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的
にMolecularCloning [Sambro
okら、Cold Spring Harbor La
boratory Press(1989)]に記載さ
れているようにして実施した。一連の操作によってアミ
ノ酸1−163をコードする欠失誘導体(pHT1−1
63#1−5)、アミノ酸1−171をコードする欠失
誘導体(pHT1−171#1−4)、アミノ酸1−1
91をコードする欠失誘導体(pHT1−191#1−
4)、アミノ酸1−211をコードする欠失誘導体(p
HT1−211#1−4)のプラスミドDNAを得た。
精製したプラスミドDNAについてはTaq Dye
DeoxyTMTerminater Cycle S
equening Kit(アプライドバイオシステム
ズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製37
3ADNAシークエンサーによりシークエンスし、全長
にわたり塩基配列の置換がなく、予想通りのTPOcD
NA配列を持つことを確認した。得られたそれぞれのク
ローンのCOS1細胞へのトランスフェクションは、実
施例11に従って行なった。すなわちプラスミドDNA
各10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デ
キストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、
3日後に培養上清を回収した。培養上清をIMDM培養
液に対して透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評
価した。その結果、pHT1−211、pHT1−19
1、pHT1−171、およびpHT1−163を発現
させたいずれのCOS1細胞培養上清でも用量依存的に
TPO活性を認めた。代表例としてpHT1−211#
1、pHT1−191#1、およびpHT1−171#
2における結果を図13aに、pHT1−163#2に
おける結果を図13bに示した。類似の結果は、M−0
7eアッセイ系においても得られ、pHT1−211、
pHT1−191、pHT1−171、およびpHT1
−163を発現させたいずれのCOS1細胞培養上清で
も用量依存的に有意なM−07e細胞増殖促進活性を認
めた。代表例として、pHT1−211#1、pHT1
−191#1、pHT1−171#2、およびpHT1
−163#2における結果を図14に示した。これらの
結果より、ヒトTPOタンパク質を構成するアミノ酸3
53個(21個のシグナル配列を含む)のうち、164
位のアルギニン以降のアミノ酸を欠失させても、in
vitroにおける活性が保持されることが明らかとな
り、164位のアルギニンより前に、TPO活性発現の
ために必須な領域が含まれていることが示唆された。 <実施例28> ヒトTPO C末側欠失体の作製とCOS1細胞での発
現〜活性確認 ヒトTPO蛋白質の活性発現に必須な領域の解析を行な
う目的で、実施例27で得られた欠失体よりもさらにC
末側アミノ酸を欠失させた誘導体を作製しTPO活性を
発現しうるかどうか検討した。実施例16で得たプラス
ミドクローンpEF18S−HL34をもとに、163
番目のセリンを基準にC末端側から順次アミノ酸を欠失
させた発現プラスミドを構築した。構築にはPCRを利
用した。PCR用に作製したプライマーの配列は、次の
通りである。 実施例16で得たクローンpEF18S−HL34のプ
ラスミドDNA1μgを鋳型として使用し、合成したプ
ライマー(hTPO−5を5’側として使用、hTPO
−150、−151、−153、−154、−155、
−156、−157を3’側として使用)をそれぞれ1
0μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM
CR Reagent Kit witn Ampli
TaqTMDNA Polymerase(宝酒造社
製)を用いて、GeneAmpTMPCR Syste
m 9600(PERKIN−ELMER社製)により
100μlの容量でPCR反応(95℃で1分間の変性
条件、66℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間
の合成条件で20回の反応を行い、さらに7分間72℃
でインキュベート)を行った。それぞれのPCRで得ら
れたバンドを制限酵素EcoRI及びNotIで消化
後、1%アガロースゲル(FMC BioProduc
ts 社製)を用いた電気泳動にかけ、それぞれのPC
R反応の予想される大きさの主要なDNA断片を分離
し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラ
ッド社製)で精製し、同様に制限酵素処理した発現ベク
ターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌とし
ては東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli D
H5を使用)。得られた形質転換体のうち、それぞれ予
想される長さのインサートを含むクローンをそれぞれ3
個ないし5個づつ選択し、プラスミドDNAを調製し
た。方法は本質的にMolecular Clonin
g [Sambrookら、Cold Spring
Harbor Laboratory Press(1
989)]に記載されているようにして実施した。一連
の操作によって配列番号4において、アミノ酸番号1−
150をコードする欠失体(pHT1−150#21、
22、25)、アミノ酸番号1−151をコードする欠
失体(pHT1−151#16、17、18)、アミノ
酸番号1−153をコードする欠失体(pHT1−15
3#1−5)、アミノ酸番号1−154をコードする欠
失体(pHT1−154#1−5)、アミノ酸番号1−
155をコードする欠失体(pHT1−155#1−
5)、アミノ酸番号1−156をコードする欠失体(p
HT1−156#1−5)、アミノ酸番号1−157を
コードする欠失体(pHT1−157#1−5)のプラ
スミドDNAを得た。精製したプラスミドDNA pH
T1−150#21、22、25並びにpHT1−15
1#16、17、18についてはTaq Dye De
oxyTMTerminater Cycle Seq
uening Kit(アプライドバイオシステムズ社
製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373A
DNAシークエンサーによりシークエンスし、全長にわ
たり塩基配列の置換がなく、予想通りのTPOcDNA
配列を持つことを確認した。得られたそれぞれのクロー
ンのCOS 1細胞へのトランスフェクションは、実施
例11に従って行なった。すなわちプラスミドDNA各
10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキ
ストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、3
日後に培養上清を回収した。培養上清をIMDM培養液
に対して十分に透析後、M−07eアッセイ系で評価し
た。その結果、151位のアミノ酸であるシステインを
含む、それぞれアミノ酸1−151位、1−153位、
1−154位、1−155位、1−156位、1−15
7位からなるC末側欠失誘導体をコードするクローンを
トランスフェクションしたCOS1細胞培養上清中には
用量依存的にTPO活性が検出された。しかしながら、
151個目のシステインまでを欠失させたアミノ酸1−
150位のC末側欠失誘導体をコードするクローンをト
ランスフェクションしたCOS1細胞培養上清中にはT
PO活性が検出されなかった。 <実施例29> ヒトTPO N末側欠失体の作製とCOS1細胞での発
現〜活性確認 ヒトTPO蛋白質の活性発現に必須な領域の解析を行な
う目的で、実施例28で得られた欠失体をもとに、N末
側アミノ酸を欠失させた誘導体を作製しTPO活性を発
現しうるかどうか検討した。実施例18で得たプラスミ
ドクローンpEF18S−HL34並びに、実施例27
で得たプラスミドクローンpHT1−163をもとに、
シグナル配列に続くN末端側アミノ酸を欠失させた発現
プラスミドを構築した。構築にはPCRを利用した。P
CR用に作製したプライマーの配列は、次の通りであ
る。 (1)アミノ酸番号1−12を欠失する誘導体(pHT
13−231)作製 実施例18で得たクローンpEF18S−HL34のプ
ラスミドDNA1.4μgを鋳型として使用し、合成し
たプライマー(hTPO−13及びhTPO3を組で使
用:hTPO−5並びにhTPO−13Rを組で使用)
をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneA
mpTMPCR Reagent Kit with
AmpliTaqTMDNA Polymerase
(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTMPCR
System 9600(PERKIN−ELMER社
製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で5
分間変性後、95℃で1分間の変性条件、65℃で1分
間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回
の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)
を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガロース
ゲル(FMC BioProducts 社製)を用い
た電気泳動にかけ、各々予想される大きさの主要なDN
A断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キッ
ト(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTEバッ
ファーに溶解した。この溶液各1μlを鋳型として用い
2回目のPCRを実施した。合成したプライマー(hT
PO−5並びにhTPO3を使用)をそれぞれ5μM使
ってPCRを実施した。 GeneAmpTMPCR
Reagent Kit with AmpliTaq
TMDNA Polymerase(宝酒造社製)を用
いて、GeneAmpTMPCR System 96
00(PERKIN−ELMER社製)により100μ
lの容量でPCR反応(95℃で5分間変性後、95℃
で1分間の変性条件、60℃で1分間のアニール条件、
72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行い、さら
に7分間72℃でインキュベート)を行った。PCR産
物を1.2%アガロースゲル(FMC BioProd
ucts 社製)を用いた電気泳動にかけ、予想される
大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジ
ーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、
15μlのTEバッファーに溶解した。制限酵素Eco
RI並びにNotIで消化後、等量のフェノール/クロ
ロホルムで1回抽出後エタノール沈殿を行なった。遠心
で得られた沈殿を15μlのTEバッファーに溶解後、
同様に制限酵素処理した発現ベクターpEF18Sにサ
ブクローニングした(宿主菌としては東洋紡績社製コン
ピテント・ハイ E.coli DH5を使用)。得ら
れた形質転換体のうち、予想される長さのインサートを
含むクローンを45個選択し、プラスミドDNAを調製
した。方法は本質的に Molecular Clon
ing[Sambrookら、Cold Spring
Harbor Laboratory Press
(1989)]に記載されているようにして実施した。
配列番号4において、アミノ酸番号1−231をコード
する蛋白質のうち1−12を欠失する欠失誘導体(pH
T13−231)のプラスミドDNAを得た。これらに
ついてhTPO−5並びにhTPO3のプライマーを用
いたPCRを行ない、45クローンのうち8クローンで
予想される大きさ程度のインサートが確認された。それ
らのうち3クローンついては Taq Dye Deo
xyTMTerminater Cycle Sequ
ening Kit(アプライドバイオシステムズ社
製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373A
DNAシークエンサーによりシークエンスし、1クロー
ンで、予想通りの欠失が起こっており、またその他の部
分も含めて全長にわたり塩基配列の置換等がなく、設計
通りのTPOcDNA配列を持つクローンpHT13−
231#3が得られた。 (2)アミノ酸番号1−6を欠失する誘導体(pHT7
−163)の作製 上記(1)の欠失誘導体作製においては、TPO蛋白質
のC末端を231番目のアミノ酸として設計したが、C
末端側はさらに欠失させてもTPO活性を発現しうるこ
とが確認されたため、今回の欠失体作製にあたってはC
末端を163番目のアミノ酸までとして設計した。下記
(3)においても同様に163番目のアミノ酸をC末端
として設計した。実施例27で得たクローンpHT1−
163のプラスミドDNA1.4μgを鋳型として使用
し、合成したプライマー(hTPO−7及びhTPO−
Sを組で使用:hTPO−5並びにhTPO−7Rを組
で使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。G
eneAmpTMPCRReagent Kit wi
th AmpliTaqTMDNA Polymera
se(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTMPC
R System9600(PERKIN−ELMER
社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で
5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、65℃で1
分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30
回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベー
ト)を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガロ
ースゲル(FMC BioProducts 社製)を
用いた電気泳動にかけ、各々予想される大きさの主要な
DNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製
キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTE
バッファーに溶解した。この溶液各1μlを鋳型として
用い2回目のPCRを実施した。合成したプライマー
(hTPO−5並びにhTPO−Sを使用)をそれぞれ
5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM
CR Reagent Kit with Ampli
TaqTM DNA Polymerase(宝酒造社
製)を用いて、GeneAmpTMPCR Syste
m 9600(PERKIN−ELMER社製)により
100μlの容量でPCR反応(95℃で5分間変性
後、95℃で1分間の変性条件、60℃で1分間のアニ
ール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を
行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行っ
た。PCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC B
ioProducts 社製)を用いた電気泳動にか
け、予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プ
レップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社
製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。
制限酵素EcoRI並びにNotIで消化後、等量のフ
ェノール/クロロホルムで1回抽出後エタノール沈殿を
行なった。遠心で得られた沈殿を15μlのTEバッフ
ァーに溶解後、同様に制限酵素処理した発現ベクターp
EF18Sにサブクローニングした(宿主菌としては東
洋紡績社製コンピテント・ハイ E.coli DH5
を使用)。得られた形質転換体のうち、予想される長さ
のインサートを含むクローンを30個選択し、プラスミ
ドDNAを調製した。方法は本質的に Molecul
ar Cloning [Sambrookら、col
d Spring HarborLaboratory
Press [(1989)]に記載されているよう
にして実施した。配列番号4において、アミノ酸番号1
−163をコードする蛋白質のうち1−6を欠失する欠
失誘導体(pHT7−163)のプラスミドDNAを得
た。これらのクローンにつてはhTPO−5並びにhT
PO−Sをプライマーとして用いたPCRを実施し、全
てのクローンで予想される大きさ程度のインサートを含
むことが確認された。これらのクローンより3個を選択
し、TaqDye DeoxyTMTerminate
r Cycle Sequening Kit(アプラ
イドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオ
システムズ社製373ADNAシークエンサーによりシ
ークエンスし、2クローンで、予想通りの欠失が起こっ
ており、またその他の部分も含めて全長にわたり塩基配
列の置換等がなく、設計通りのTPOcDNA配列を持
つ2個のクローンpHT7−163#4、#29が得ら
れた。 (3)アミノ酸番号1−7を欠失する誘導体(pHT8
−163)作製 アミノ酸番号1−7を欠失する誘導体(pHT8−16
3)の作製方法は上記、アミノ酸番号1−6を欠失する
誘導体(pHT7−163)の作製と本質的には同様の
方法で行なった。実施例27で得たクローンpHT1−
163のプラスミドDNA1.4μgを鋳型として使用
し、合成したプライマー(hTPO−8及びhTPO−
Sを組で使用:hTPO−5並びにhTPO−8Rを組
で使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。G
eneAmpTMPCR Reagent Kit w
ith AmpliTaqTMDNA Polymer
ase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM
CR System 9600(PERKIN−ELM
ER社製)により100μlの容量でPCR反応(95
℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、65℃
で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で
30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベ
ート)を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガ
ロースゲル(FMC BioProducts 社製)
を用いた電気泳動にかけ、各々予想される大きさの主要
なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精
製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのT
Eバッファーに溶解した。この溶液各1μlを鋳型とし
て用い2回目のPCRを実施した。合成したプライマー
(hTPO−5並びにhTPO−Sを使用)をそれぞれ
5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM
CR Reagent Kit with Ampli
TaqTMDNA Polymerase(宝酒造社
製)を用いて、GeneAmpTMPCR Syste
m 9600(PERKIN−ELMER社製)により
100μlの容量でPCR反応(95℃で5分間変性
後、95℃で1分間の変性条件、60℃で1分間のアニ
ール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を
行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行っ
た。PCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC B
ioproducts 社製)を用いた電気泳動にか
け、予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プ
レップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社
製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。
制限酵素EcoRI並びにNotIで消化後、等量のフ
ェノール/クロロホルムで1回抽出後エタノール沈殿を
行なった。遠心で得られた沈殿を15μlのTEバッフ
ァーに溶解後、同様に制限酵素処理した発現ベクターp
EF18Sにサブクローニングした(宿主菌としては東
洋紡績社製コンピテント・ハイ E.coli DH5
を使用)。得られた形質転換体のうち、予想される長さ
のインサートを含むクローンを30個選択し、プラスミ
ドDNAを調製した。方法は本質的に Molecul
ar Cloning[Sambookら、Cold
Spring Harbor Lboratory P
ress(1989)]に記載されているようにして実
施した。配列番号4において、アミノ酸番号1−163
をコードする蛋白質のうち1−7を欠失する欠失誘導体
(pHT8−163)のプラスミドDNAを得た。これ
らのクローンについてはhTPO−5並びにhTPO−
Sをプライマーとして用いたPCRを実施し、全てのク
ローンで予想される大きさ程度のインサートを含むこと
が確認された。これらのクローンより3個を選択し、T
aq Dye DeoxyTMTerminater
Cycle Sequening Kit(アプライド
バイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシス
テムズ社製373ADNAシークエンサーによりシーク
エンスし、2クローンで、予想通りの欠失が起こって起
こっており、またその他の部分も含めて全長にわたり塩
基配列の置換等がなく、設計通りのTPOcDNA配列
を持つ2個のクローンpHT8−163#33、#48
が得られた。 (4)欠失誘導体のCOS1細胞での発現とTPO活性
の確認 得られたそれぞれの欠失体クローンのCOS 1細胞へ
のトランスフェクションは、実施例11に従って行なっ
た。すなわちプラスミドDNA各10μgを使用しクロ
ロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたト
ランスフェクションを行ない、3日後に培養上清を回収
した。培養上清をIMDM培養液に対して十分に透析
後、M−07eアッセイ系で評価した。その結果、アミ
ノ酸7−163位の欠失誘導体をコードするクローンを
トランスフェクションしたCOS1細胞培養上清中に弱
いながらも用量依存的にTPO活性を認めた。一方、ア
ミノ酸8−163位、13−231位の欠失誘導体をコ
ードするクローンをトランスフェクションしたCOS1
細胞培養上清中にはTPO活性が認められなかった。 <実施例30> ヒトTPO完全長cDNAプラスミド(pHTP1)の
作製 配列番号6のように予想されたヒトTPOcDNAのア
ミノ酸コーディング領域を全て持つ、動物細胞発現ベク
ターの構築を行なった。PCRによりヒトTPOcDN
Aコーディング領域を全てカバーするDNA断片を以下
の様に作製した。用いたプライマーの塩基配列は次の通
りである。 実施例16で得られたクローンpEF18S−HL34
の300ngを鋳型として1回目のPCRを行なった。
プライマーhTPO−I並びにSA各0.5μMを用
い、Vent RTMDNA Polymerase
(New England BioLabs 社製)1
ユニットを使用して反応(96℃1分間、62℃1分
間、72℃1分間という反応を30サイクル行なった後
72℃7分間)を行なった。反応溶液の組成は以下の通
り。最終濃度で10mMKCl、10mM(NH
SO、20mM Tris−HCl(pH8.
8)、2mMMgSO、0.1%TritonX−1
00、200μM dNTP mix。市販のヒト正常
肝臓由来ポリ(A)+RNA(Clonech社製)1
μgを70℃で10分間加熱後氷上で急冷し、10mM
DTT、500μM dNTPmix、25ng r
andom primer(宝酒造社製)、10ユニッ
トRNase Inhibitor(ベーリンガーマン
ハイム社製)、200ユニット SuperScrip
TMII RNaseH−(LIFE TECHNO
LOGIES 社製)を加え、37℃で1時間保温しc
DNAを合成した。合成したCDNA反応液の20分の
1量を鋳型として使用して2回目のPCRを行なった。
プライマーhTPO−P並びにhTPO−KO各2.5
μM、2.5ユニットのAmpliTaqTMDNA
Polymerase(宝酒造社製)を用いて反応(9
5℃1分間、58℃1分間、72℃1分間の反応を30
サイクル)を行なった。2回のPCR溶液を1%アガロ
ースゲル電気泳動にかけ、それぞれ予想された大きさの
主要なバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キット
(バイオラッド社製)を用いて精製した。それぞれの精
製量のうち各20分の1量を鋳型として3回目のPCR
を実施した。Vent RTMDNA Polymer
ase(New England BioLabs 社
製)1ユニットを使用して反応(96℃2分間加熱後、
96℃2分間、72℃2分間、という反応を3サイクル
行なった後72℃7分間)を行なった。この反応液にそ
れぞれ1μMとなるようにhTPO−I並びにhTPO
−KOを加えた後、96℃2分間の加熱を行ない、その
のち96℃1分間、62℃1分間、72℃1分間の反応
を25サイクル行なったあと72℃でさらに7分間反応
させた。反応液を等量の水飽和フェノール−クロロホル
ムで1回抽出後、さらに等量のクロロホルムで1回抽出
したのち、エタノール沈殿(0.3M酢酸ナトリウム、
0.5μlベーリンガーマンハイム社製グリコーゲン、
2.5倍量エタノール存在下)を行なってDNAを回収
した。回収したDNAを制限酵素BamHI並びにNo
tIで消化後1%アガロースゲル電気泳動にかけ、予想
された大きさの主要なバンドをプレップ−A−ジーンD
NA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製した
のち、予め同様に制限酵素BamNI並びにNotI消
化したpBluescriptII SK+ベクター
(Stratagene社)に連結後、コンピテントハ
イE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換し
た。得られたコロニーより4クローンを選びプラスミド
DNAを調製した。精製したプラスミドDNAについて
はTaq Dye DeoxyTMTerminate
r Cycle SequeningKit(アプライ
ドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシ
ステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシー
クエンスし、BamHIからNotIにかけての領域に
塩基配列の置換がなく、予想通りのTPOcDNA配列
を持つことが確認できたクローンpBLTPを得た。p
BLTPを制限酵素EcoRI並びにBamHIで消化
後1%アガロースゲル電気泳動にかけ、高分子量のバン
ドをプレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラ
ッド社製)を用いて精製した。同様にpEF18S−H
L34も制限酵素処理し450bpのバンドを精製し
た。それぞれのDNAをLigationしコンピテン
トハイE,coli DH5(東洋紡績社製)を形質転
換した。得られたコロニーよりプラスミドDNAを調製
し、ヒトTPOcDNAのインサートを含むクローンp
BLTENを得た。得られたpBLTENを制限酵素E
coRI並びにNotIで消化後、1%アガロースゲル
電気泳動にかけ、約1200bpのバンドをプレップ−
A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用
いて精製した後、同様に制限酵素処理した発現ベクター
pEF18Sに連結しコンピテントハイE.coji
DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。得られたコロ
ニーよりプラスミドDNAを調製し、ヒトTPOcDN
Aのコーディング領域を全て含むクローンpHTP1を
得た。このクローンのプラスミドDNAを大量に調製し
以下の実験に使用した。プラスミドDNAの調製は本質
的にMolecular Cloning (Samb
rookら、Cold Spring Harbor
Laboratory Press、1989)に記載
されているようにして実施した。 <実施例31> CHO細胞用組換えベクター、pDEF202−hTP
O−P 1の構築 マウスDHFRミニ遺伝子を含むプラスミドpMG1、
1μgを制限酵素EcoRIとBamHIで処理した
後、アガロースゲル電気泳動しマウスDHFRミニ遺伝
子を含む断片(約2.5kbp)を回収した。回収した
断片を50mMTris−HCl(pH7.5)、7m
M MgCl、1mM mercaptoethno
l、0.2mM dNTPからなる反応液25μl中に
溶解し、Klenowフラグメント2単位を加え、室温
で30分間反応させ、DNAの末端を平滑化した。次い
で、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿
後、10mM Tri−HCl(pH8.0)、1mM
EDTAからなる溶液10μlに溶解した。次に、得
られたマウスDHFRミニ遺伝子を含む断片と動物細胞
用発現ベクターpEF18Sを制限酵素SmaIで処理
した後、アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)で脱リ
ン酸化してえられたベクターDNAをT 4DNAリガ
ーゼ(宝酒造製)で結合させ、発現ベクターpDEF2
02を得た。次に、このベクターpDEF202を制限
酵素EcoRIとSpeIで処理し、アガロースゲル電
気泳動で大きい方のベクターフラグメントを回収したの
ち、このフラグメントとヒトTPO cDNA(P1ク
ローン)を含むプラスミドpHTP1を制限酵素Eco
RIとSpeIで処理して得られたヒトTPO cDN
A(P1クローン)とをT 4DNAリガーゼ(宝酒造
製)で結合させ、発現ベクターpDEF202−hTP
O−P1得た。このプラスミドはSV40の複製開始領
域、ヒトエロンゲーションファクタ−1−アルファプロ
モーター、SV40初期ポリアデニル部位、マウスDH
FRミニ遺伝子、pUC18の複製開始領域、β−ラク
タマーゼ遺伝子(Amp)を含み、ヒトエロンゲーシ
ョンファクタ−1−アルファプロモーター下流にヒトT
PO cDNAが接続されている。 <実施例32> CHO細胞でのヒトTPOの発現 CHO細胞(dhfr−株、UrlaubとChasi
n;Proc.Natl.Acad.Sci.USA;
77巻4216頁、1980)を6cm径のプレート
(Falcon社製)中10%牛胎児血清を含むα最小
必須培地(α−MEM(−)、チミジン、ヒポキサンチ
ン添加)で培養増殖させ、これをリン酸カルシウム法
(CellPhect、ファルマシア社製)によって形
質転換した。すなわち、実施例31で調製したpDEF
202−hTPO−P1プラスミド10μgにバッファ
ーA:120μlおよびHO:120μlを加え混合
したのち、室温で10分間放置した。つぎに、この溶液
にバッファーB:120μlを加え、再度混合したの
ち、室温で30分間放置した。このDNA溶液をプレー
トに滴下したのち、COインキュベーター中で6時間
培養した。プレートから培地を除去し、α−MEM
(−)にて2回洗浄後、10%ジメチルスルフォオキシ
ド含有α−MEM(−)を添加し、室温で2分間処理し
た。次いで、10%透析牛胎児血清含有非選択培地(前
出α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン添加)
を添加して2日間培養したのち、10%透析牛胎児血清
含有選択培地(α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チ
ミジン無添加)での選択をおこなった。選択は細胞をト
リプシン処理した後、6cm径プレート1枚あたりを、
10cm径プレート5枚あるいは24ウエルプレート2
0枚に分割したのち、2日ごとに選択培地にて培地交換
を行いながら培養を続行する事により実施した。細胞が
増殖してきたプレートあるいはウエルについてはその培
養上清中のヒトTPO活性をM−07eアッセイ及びB
a/F3アッセイを用いて測定したところ、いずれのア
ッセイ系においても活性が認められた。培養上清中にヒ
トTPO活性の認められたものについては新しいプレー
トあるいはウエルに25nMのメソトレキセートを含む
選択培地で1:15に細胞を分割し、培養を続行するこ
とによりメソトレキセートに耐性の細胞を増殖させてク
ローニングを行った。なお、CHO細胞の形質転換はC
HO細胞に対しpHTP1とpMG1を同時形質転換
(co−transfection)することによって
も行うことができる。プラスミドpDEF202−hT
PO−P1によって形質転換されたCHO細胞株(CH
O−DUKXB11)は1995年1月31日付で通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号F
ERM BP−4988として寄託されている。これは
また、1995年3月22日付で中華民国食品工業発展
研究所(FIRDI)に受託番号960023として寄
託されている。 <実施例33> X63.6.5.3.細胞用組換えベクター、BMCG
Sneo−hTPO−P1の構築 動物細胞用発現ベクターBMCGSneo1μgを制限
酵素XhoIとNotIで処理した後、アガロースゲル
電気ゲル電気泳動し、ベクターDNA部分を回収した。
次いで得られたDNA断片とヒトTPO cDNAを含
むプラスミドpBLTENを制限酵素XhoIとNot
Iで処理して得られたヒトTPO cDNA(P 1ク
ローン)とをT 4DNAリガーゼで結合させ、発現プ
ラスミドBMCGSneo−hTPO−P1を得た。こ
の発現プラスミドはサイトメガロウイルス初期プロモー
ター、ウサギβグロビン遺伝子由来のイントロンおよび
ポリアデニル部位ヒトβグロビン遺伝子の一部、ウシパ
ピローマウイルス1遺伝子の69%、チミジンキナーゼ
プロモーターおよびポリアデニル部位、ホスホトランス
フェラーゼI(ネオマイシン耐性遺伝子)、pBR32
2の複製開始領域おびβ−ラクタマーゼ遺伝子(Amp
)を含みサイトメガロウイルスプロモーター下流にヒ
トTPO cDNAが接続されている。 <実施例34> X63.6.5.3.細胞での発現 X63.6.5.3.細胞は10%牛胎児血清を含むD
ulbecco′sminimal essentia
l(DME)培地中で培養増殖させ、これをエレクトロ
ポレーション法によって形質転換した。すなわち、実施
例33で調製したBMCGSneo−hTPO−P1プ
ラスミド20μgを10個の細胞を含むDME培地7
50μlに加え、エレクトロポレーション用の4mmギ
ャップのキュベットにセットし、4℃で10分間放置し
た。このキュベットをエレクトロポレーション装置(B
TX600、BTX社製)にセットし、380V、25
mF、24オングストロームの条件で遺伝子導入した。
遺伝子導入後、キュベットを再び4℃で15分間放置し
たのち、細胞を10%牛胎児血清を含むDMEで一回洗
浄した。次に細胞を50mlの10%牛胎児血清を含む
DMEに懸濁し、96ウエルプレート5枚に分割したの
ち、COインキュベーター中で2日間培養した。その
後、培養液を1mg/mlのG418(GIBCO
社)、10%牛胎児血清を含むDMEに交換し、以後3
日ごとに培地交換した。細胞が増殖してきたウエルにつ
いてはその培養上清中のヒトTPO活性をCFU−MK
アッセイ、M−07eアッセイ及びBa/F3アッセイ
を用いて測定したところ、いずれのアッセイ系において
も活性が認められた。培養上清中にヒトTPO活性の認
められたものについては耐性の細胞を増殖させて、2回
クローニングを行い、ヒトTPO産生細胞株を樹立し
た。 <実施例35> ヒトTPOのCOS1細胞での大量発現 COS1細胞へのトランスフェクションは、実施例11
に記載のクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン
法で実施した。COS1細胞(ATCC CRL165
0)をコラーゲンコート処理した175cmの培養フ
ラスコ中で、10%(v/v)のFCSを含むIMDM
を用いて、37℃の5%炭酸ガスインキュベーター内で
約100%コンフルエントになるまで培養した。培養フ
ラスコのコラーゲンコート処理は、1mM HClで
0.3mg/mlに調製したコラーゲン溶液(イワキ社
製Cellmatrix typeI−C)を175c
の培養フラスコあたり25ml加え、室温で1時間
放置後コラーゲン溶液を回収し、20〜50mlのPB
Sで1回洗浄することで行なった。トランスフェクショ
ンは175cmの培養フラスコ1枚あたり、250μ
g/mlのDEAE−デキストラン(ファルマシア
社)、60μMのクロロキン(シグマ社)、および10
%(v/v)のNu−Serum(コラボレイティブ
社)を含む20mlのIMDM溶液に500μlのHB
Sに溶解したプラスミドpHTP1(40μg)を混和
し、トランスフェクション直前にIMDMで1回洗浄し
た上記のCOS1細胞に添加した後、37℃の5%炭酸
ガスインキュベーター内で3時間培養した。その後、培
養上清を吸引除去しIMDMで1回洗浄した後、50m
lの無血清培地を添加し、37℃の5%炭酸ガスインキ
ュベーター内で培養し、5日後に培養上清を回収した。
1回の操作には175cmの培養フラスコ100から
260枚を使用し、5〜13lの培養上清を回収した。
無血清培地の組成は、5μg/ml Insulin
(シグマ社製)、5μg/ml Transferri
n(シグマ社製)、10μM monoethanol
amine(和光純薬)、25nM Sodium s
elenite(シグマ社製)、200μg/mlのB
SA(ニチレイ社製脂肪酸フリー高純度ウシアルブミ
ン)を含むIMDMである。 <実施例36> COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラス
ミドpHTP1,P1クローン由来)の精製と活性確認 COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラス
ミドpHTP1由来)の活性と精製の実施例を以下に述
べる。TPOの血小板増加作用を調べるため、部分精製
品をまず調製し、かつ高純度のTPO標品を得るための
精製を行った。以下の調製過程でのTPO活性測定に
は、M−07eアッセイ系を主に用いたが、ラットCF
U−MKアッセイ系においても同様のTPO活性が示さ
れた。またこれらのアッセイに際し、最終濃度0.02
〜0.05%のヒト血清アルブミン(HSA)を標品に
添加した。まず、プラスミドpHTP1を大橋、須藤の
方法(Hideya Ohashi and Tada
shi Sudo,Biosci.Biotech.B
iochem.,58(4),758−759,199
4)を用いてトランスフェクションしたCOS1細胞
を、1000ml当たり0.2gのBSA、5mgの牛
インシュリン、5mgのヒトトランスフェリンを含みか
つ、0.02mMのモノエタノールアミン、25nMの
Sodium Seleniteを含む無血清IMDM
培養液で5日間、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で培
養し、約7Lの無血清培養上清を得た。その無血清培養
上清に、蛋白質分解酵素阻害剤であるp−APMSF及
びPefabloc SC(4−(2−Aminoet
hyl)−benzenesulfonyl fluo
ride hydrochloride,Merk社
製、カタログ番号24839)を最終濃度約1mM加
え、0.22μmの濾過フィルターの濾液をとった。こ
れを限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガウル
トラセット分子量8000カット、またはミリポア社製
・PLGCペリコンカセット 分子量10000カッ
ト)で約10倍濃縮し、体積723ml(蛋白質濃度
3.38mg/ml、総蛋白質量2445mg、相対活
性43000、相対活性量105100000)に対し
1000ml当り1.6molesのAmmonium
Sulfate(合計288g)を加え、最終濃度
1.5M Ammonium Sulfateを含む8
04mlの溶液とした後、1.25M Ammoniu
m Sulfateを含む20mMクエン酸ナトリウム
緩衝液(pH5.2)で予め平衡化してあったMacr
o−Prep Methyl HICカラム(Bio−
Rad社製、カタログ番号156−0080;直径5c
m、ベッド高9cm)に、流速10ml/minで添加
した。添加終了後、1.25M Ammonium S
ulfateを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液
(pH5.2)で溶出された素通り画分F1(2384
ml,蛋白質濃度0.864mg/ml,総蛋白質量2
061mg,相対活性6000)を得た。次に、溶出液
を20mM Na Citrate,pH5.8にか
え、溶出された画分F2(1092ml,蛋白質濃度
0.776mg/ml,総蛋白質量847mg,相対活
性150000)を集めた。さらに、Macro−Pr
ep Methyl HICカラム F2(1081m
l)を、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.
8)で予め平衡化したSP Sepharose Fa
st Flow(ファルマシア バイオテク社製、カタ
ログ番号17−0729−01;直径3cm、ベッド高
10cm)カラムに注入し、流速10ml/minで添
加した。添加終了後、さらに110mM NaClを含
む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)で
溶出されたものをまとめた画分F1(2262ml,蛋
白質濃度0.270mg/ml,総蛋白質量610m
g,相対活性30000)を得た。次に、溶出液を40
0mM NaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩
衝液(pH5.4)にかえ、溶出された画分F2(85
6ml,蛋白質濃度0.189mg/ml,総蛋白質量
162mg,相対活性300000)を集めた。次に、
溶出液を1000mM NaClを含む20mMクエン
酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)にかえ、溶出された
画分F3(370ml,蛋白質濃度0.034mg/m
l,総蛋白質量12.6mg,相対活性150000)
を集めた。さらに、SP Sepharose Fas
t Flowカラムにおいて主たるTPO活性画分F2
(845ml)に、最終濃度約10%の1−プロパノー
ルを加え、400mMのNaClを含む20mMクエン
酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)で予め平衡化したL
A−WGAカラム(ホーネン社製、カタログ番号WG−
007;直径2cm、ベッド高14cm)カラムに注入
し、流速3ml/minで添加した。添加終了後、40
0mMのNaclを含む20mMクエン酸ナトリウム緩
衝液(pH5.4)と1−プロパノールの混液(9:
1)で溶出されたものをまとめた画分F1(64.4m
l,蛋白質濃度0.0178mg/ml,総蛋白質量
1.15mg,相対活性17220)を得た。次に、溶
出液を0.4M GlcNac,10%1−プロパノー
ルを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.
1)にかえ、溶出された画分F2(45ml,蛋白質濃
度0.0104mg/ml,総蛋白質量0.470m
g,相対活性675000)を集めた。そこで、LA−
WGAカラムにおいて主たるTPO活性画分F2(34
0ml)に、最終濃度約0.005%のTFAを加えた
後、YMC−Pack CN−AP(YMC社製、カタ
ログ番号AP−513;直径6mm、ベッド高250m
m)カラムにて展開した。即ち、展開溶媒Aに0.1%
TFA、展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プロ
パノールを用い、15%Bで平衡化したYMC−Pac
k CN−APカラムに、流速0.6ml/minで注
入した。注入終了後、15%Bから25%Bにプロパノ
ール濃度を上げ、さらに25%Bから50%Bまで65
分の直線濃度勾配で展開し、1.5ml(2.5mi
n)ずつポリプロピレン製チューブに集めた。それぞれ
0.5μl(3000分の1フラクション)を取りHS
Aを加え、限外濾過濃縮し、最終的に0.05%HSA
を含む0.25mlのIMDMアッセイ培養液溶液と
し、これをアッセイにかけ、TPO活性画分を特定し
た。この結果、チューブ番号24〜30(プロパノール
濃度で35.0〜42.0%の範囲)に強いTPOの活
性(相対活性約630000〜4800000)があっ
たため、TPO活性画分FA(13.5ml)とした。
そこでさらに、YMC−Pack CN−APで得られ
たFAを、展開溶媒Aに0.1%TFA、展開溶媒Bに
0.05%TFAを含む1−プロパノールを用いたCa
pcell Pak C1 300A(資生堂製、カタ
ログ番号C1TYPE:SG300A;直径4.6m
m、ベッド高150mmに加え、直径4.6mm、ベッ
ド高35mmのプレカラムを接続したもの)カラムにて
展開した。即ち、YMC−Pack CN−APで得ら
れたFAの一部(8.9ml)をとり、0.3mlのグ
リセロールを添加後、遠心エバポレーションで濃縮後、
約2.5mlの10%B液を加え、20%Bで平衡化し
たCapcell PakC1 300Aカラムに流速
0.4ml/minで注入した。注入終了後、20%B
にて5分溶出した後、20%Bから40%Bまで50分
の直線濃度勾配で展開し、1ml(2.5min)ずつ
ポリプロピレン製チューブに集めた。それぞれ1μl
(1000分の1フラクション)を取りHSAを加え、
限外濾過濃縮し、最終的に0.05%HSAを含む0.
25mlのIMDMアッセイ培養液溶液とし、これをア
ッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、
チューブ番号20〜23(プロパノール濃度で28.5
〜32.5%の範囲)に強いTPOの活性(相対活性約
3000000〜22500000)を示す高活性標品
を得ることができた。 <実施例37> COS1細胞で発現したヒトTPOの分子量測定 COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラス
ミドpHTF1、F1クローン由来)の分子量は、糖鎖
が付加された結果、ペプチド鎖の大きさから推定しうる
分子量よりも大きいことが考えられた。そこでまず、C
OS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミ
ドpHTF1、F1クローン由来)を含む培養上清から
部分精製TPO画分を以下のように調製した。即ち、展
開溶媒A(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA))およ
び展開溶媒B(0.05%TFAを含む1−プロパノー
ル)を用いて、25%Bで予め平衡化したYMC−Pa
ck PROTEIN−RP(YMC社、カタログ番号
A−PRRP−33−46−25;直径0.46cm、
ベッド高15cm)カラムに、培養上清0.3mlを注
入し、流速0.4ml/minで5分25%Bを通液し
た後、50分間の25%Bから50%Bまでの直線濃度
勾配にて分画した。TPO活性は34.5%〜43.5
%1−プロパノールの範囲に溶出され、これを遠心エバ
ポレーションで乾固し、部分精製標品を得た。次に、実
施例1に述べた非還元下SDS−PAGEのゲルから蛋
白質抽出操作後、M−07eアッセイ系にてTPO活性
を調べ、あるいは実施例45に述べるウエスターン分析
により、還元処理されたDPCIIIマーカーに対する
分子量を測定した。この結果、見かけ上の分子量約69
000〜94000の広い範囲にTPO活性が存在し、
分子量の不均一性を確認できた。さらにこれと同様にし
て、N−Glycanase(ジェンザイム社製、カタ
ログ番号1472−00)によるN結合型糖鎖切断後の
TPOについて、還元処理されたDPCIIIマーカー
に対する見かけ上の分子量を調べてみると、36000
〜40000となり、ペプチド鎖の大きさから推定しう
る分子量約35000よりもなおも大きいことが判明
し、O結合型糖鎖をも含むことが強く示唆された。これ
らと同様、COS1細胞で発現したヒト完全長TPO
(発現プラスミドpHTP1、P1クローン由来)の見
かけ上の分子量についても調べたところ、63000〜
83000であった。 <実施例38>ヒトTPOの生物学的特性 主に発現プラスミドpHTF1をCOS1細胞へトラン
スフェクションして得られたTPO活性を含有する培養
上清を用いて、ヒトTPOのヒト、およびラット血液系
細胞に対する作用を調べた。ヒト臍帯血から調製したC
D34、DR細胞画分を用いたコロニーアッセイ系
で検定したところ、ヒトTPOにより有意な数の巨核球
コロニーが形成された。例えば、発現プラスミドpHT
1−231をトランスフェクション、発現させたCOS
1細胞培養上清を10%添加した条件下で、6000個
のCD34、DR細胞から平均11.5個の巨核球
コロニーが形成された。ヒト抹消血からFicoll−
Paqueを用いた比重遠心法にて得られた白血球画分
からプラスティック付着性細胞を除去し、さらにSBA
(ダイズアグルチニン)に親和性を有する細胞をAIS
マイクロセレクターCD34(旭メディカル株)を用い
たパニング法にて除去し、最終的にAISマイクロセレ
クターCD34(旭メディカル株)を用いたパニング法
にてCD34細胞画分を得た。この細胞画分にヒトT
PO(発現プラスミドpHTF1をトランスフェクショ
ン、発現させたCOS1細胞培養上清)を添加し、10
日間液体培養したところ、サイズの大きいGpIIb/
IIIa細胞の選択的増殖が認められ、さらにこのG
pIIb/IIIa細胞では核の倍数性(ploid
y)が増加していた。このことから、ヒトTPOがヒト
巨核球系前駆細胞に特異的に作用し、その増殖・分化を
促進することが強く示唆された。ラット骨髄細胞から分
離・精製したGpIIb/IIIa細胞画分、及びG
pIIb/IIIa細胞画分を得る前段階のプラステ
ィック非付着性細胞画分を用いたコロニーアッセイ系で
検定したところ、ヒトTPOにより有意な数の巨核球コ
ロニーが形成された。例えば、発現プラスミドpHTF
1をトランスフェクション、発現させたCOS1細胞培
養上清を20%添加した条件下で、培養5日目に100
0個のGpIIb/IIIa細胞から平均34.5個
の巨核球コロニー、また20000個のプラスティック
非付着性細胞から平均28.5個の巨核球コロニーが形
成された。さらに、プラスチック非付着細胞画分には巨
核球系以外の様々な系統の前駆細胞が存在するが、ヒト
TPOの添加では巨核球コロニーしか形成されず、ヒト
TPOが巨核球系前駆細胞に特異的に作用することが強
く示唆された。また、ラット骨髄由来のGpIIb/I
IIa細胞画分をヒトTPO(発現プラスミドpHT
F1をトランスフェクション、発現させたCOS1細胞
培養上清を20%添加)の存在下に3〜5日間液体培養
し、核の倍数性(ploidy)を調べたところ、培養
5日目に明らかにploidyが増加していた。 <実施例39> グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)とヒ
トTPO(アミノ酸1−174)の融合タンパク質(以
下、この融合タンパク質を「GST−TPO(1−17
4)」と称す)の大腸菌発現用ベクターの構築 大腸菌でのヒトTPOの発現を容易にするために、ヒト
TPOをコードしかつ大腸菌優先コドンを含有する人工
遺伝子を作製した。なお、このDNA塩基配列は大腸菌
翻訳開始用のアミノ末端メチオニンコドン(ATG)を
−1の位置に有する。表12に示した1−12の合成オ
リゴヌクレオチドを作製し、2−11の合成オリゴヌク
レオチドをT4キナーゼ(ファルマシア社製)により1
mM ATP,10mM Tris−acetate,
10mM Mg−acetate,50mM K−ac
etateの溶液中でリン酸化した。これらの合成オリ
ゴヌクレオチドを6本の二本鎖DNAにするために1及
び2;3及び4;5及び6;7及び8;9及び10;1
1及び12それぞれの組み合わせの一本鎖DNAを10
mM Tris/HCl(pH7.5),10mM M
gCl,50mM NaClの溶液中でアニールし
た。次に1及び2;3及び4;5及び6の三組の二本鎖
DNAと、7及び8;9及び10;11及び12の三組
の二本鎖DNAをそれぞれT4リガーゼ(ライフテクノ
ロジー社製)を用いて反応し、更にこれら二種の反応液
を同様にしてT4リガーゼを用いて反応した。このライ
ゲーション反応で得られたDNAをBamHI(ベーリ
ンガーマンハイム社製)で消化後、2%のアガロースゲ
ルで泳動し、約390−400bpの大きさのフラグメ
ントを回収してプレップ7A−ジーンDNA精製キット
で精製し、XbaI,BamHIで消化したpUC18
にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5
αを使用した)。得られたクローンのうち、表13に示
したヒトTPOをコードしかつ大腸菌優先コドンを含有
する人工遺伝子をもつクローンを、塩基配列の解析によ
り選択し、これをpUC18(XB)(1−123)と
した。表13のコーディング鎖のDNA配列を配列表
(配列番号9)に示した。
【表12】
【表13】 ヒト正常肝臓由来ポリ(A)RNA 1μgよりcD
NAの1本鎖目をオリゴdTプライマーをプライマーと
して合成し、cDNA合成の反応液の0.1容を鋳型と
してPCRを行った。プライマーにはhTPO−C及び
hTPO−こ(EcoRI)を使用し、100μlの容
量で反応を行った(96℃2分間の後に、95℃1分間
/58℃1分間/72℃1分間を30サイクル反応し、
さらに72℃7分間)。これによって得られた、ヒトT
POcDNA断片をBamHIとEcoRIで消化後2
%のアガロースゲルで泳動し、約600bpの大きさの
フラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精
製キットで精製し、EcoRI,BamHIで消化した
pUC18にサブクローニングした(宿主はE.col
i DH5αを使用した)。正しいヒトTPO塩基配列
をコードするクローンを、塩基配列の解析により選択
し、pUC18(BE)(124,332)とした。こ
こで用いたPCR用プライマーの配列は以下の通りであ
る。 pUC18(BE)(124−332)をBamHIと
EcoRIで消化後2%のアガロースゲルで泳動し、約
600bpの大きさのヒトTPOcDNAのC末端側フ
ラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製
キットで精製し、EcoRI,BamHIで消化したp
UC18(XB)(1−123)にサブクローニングし
た(宿主はE.coli DH5αを使用した)。ここ
で得られたクローンをpUC18(XE)1−332)
とした。ヒトTPOcDNAのC末端側の種々のデリー
ションコンストラクトを作製し、それを発現させインビ
トロのヒトTPO活性の測定を行った実施例より、ヒト
TPOアミノ酸1−163はヒトTPO活性を保持する
ことが明らかになったので、このペプチド断片を含んだ
発現ベクターを構築することにした。ここでは、GST
−TPO(1−174)の発現を行った。pHTF1ク
ローンの681−686(アミノ酸173−174)に
相当する塩基配列は、制限酵素SacIにより認識され
るので、この制限酵素認識部位を利用して2本の合成オ
リゴヌクレオチドにより終止コドンを導入した。具体的
には、2本の合成オリゴヌクレオチドSSE1,SSE
2を10mM Tris/HCl(pH7.5),10
mM MgCl,50mM NaClの溶液中でアニ
ールし、ここで得られた二本鎖DNAを、SacI,E
coRIで消化してヒトTPOcDNAのC末端側約4
80bpを除いたpUC18(XE)(1−332)に
DNA Ligation Kit(宝酒造社製)を用
いて導入し、クローンpUC18(XS)(1−17
4)を得ることができた(宿主はE.coli DH5
αを使用した)。ここで用いた合成オリゴヌクレオチド
の配列を表14に示した。
【表14】 pUC18(XS)(1−174)をXbaI,Eco
RIで消化後、2%のアガロースゲルで泳動し、ヒトT
POアミノ酸1−174をコードする約600bpの大
きさのフラグメントを回収してプレップ−A−ジーンD
NA精製キットで精製し、XbaI,EcoRIで消化
したpBluescript IISK(ストラタジ
ーン社製)にサブクローニングした(宿主はE.col
i DH5αを使用した)。ここで得られたクローンを
pBL(XS)(1−174)とした。さらに、これと
同様にしてpBL(XS)(1−174)をXbaI,
HindIIIで消化後、ヒトTPOアミノ酸1−17
4をコードする約550bpの大きさのフラグメントを
回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製
し、XbaI,HindIIIで消化したpCFM53
6(特表示昭60−501988)にクローニングした
(宿主はE.coli DH5αを使用した)。ここで
得られたクローンをpCFM536/hT(1−17
4)とした。グルタチオン−S−トランスフェラーゼ
(GST)との融合タンパク発現ベクターであるpGE
X−2T(ファルマシア社製)によって、GST−TP
O(1−174)を発現させるために、次のことを行っ
た。pCFM536/hT(1−174)を鋳型とし
て、2本のPCR用プライマーGEX1,GEX3を用
いてPCRを行った(96℃2分間の後に、95℃1分
間/41℃1分間/72℃1分間を22サイクル反応
し、さらに72℃7分間)。これによって得られた、ヒ
トTPOをコードする断片をNaeIとEcoRIで消
化後2%のアガロースゲルで泳動し、約550bpの大
きさのフラグメントを回収してプレップ−A−ジーンD
NA精製キットで精製し、EcoRI,Smalで消化
したpGEX−2Tにクローニングし(宿主はE.co
li DH5を使用した)、正しいヒトTPO塩基配列
をコードするクローンpGEX−2T/hT(1−17
4)を、塩基配列の解析により選択し、これをGST−
TPO(1−174)発現用の形質転換体とした。ここ
で用いたPCR用プライマーの配列は以下の通りであ
る。 またこの発現プラスミドは、GSTタンパクに続いてト
ロンビン認識配列、及びヒトTPO(アミノ酸1−17
4)をコードする配列を含んでいる。トロンビン認識配
列、及びヒトTPO(アミノ酸1−174)をコードす
る配列を配列表(配列番号10)に示した。 <実施例40> GST−TPO(1−174)の大腸菌での発現 実施例39で得られた形質転換株を、アンピシリン50
μg/mlを含むLB培地60mlに37℃で一晩振盪
培養し、この培養液25mlをアンピシリン50μg/
mlを含むLB培地1000mlに加えて、ODはA
600が0.7−0.8に至るまで37℃で振盪培養し
た。次いで最終濃度が、0.1mMになるようにIPT
Gを添加し、さらに3時間振盪培養して、GST−TP
O(1−174)の発現を誘導した。 <実施例41> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするク
ローンpGEX−2T/hT(1−174)由来GST
−TPO(1−174)の精製と活性確認 ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpGEX−2
T/hT(1−174)由来GST−TPO(1−17
4)生産組換体凍結菌体5.9gに水10mlを加えて
けん濁し、高圧破砕機で菌体を破砕した。遠心分離によ
り、GST−TPO(1−174)を沈殿画分に回収
し、大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去した。次
に、回収されたGST−TPO(1−174)を含む沈
殿画分に水5mlを加えてけん濁した後、攪拌しながら
1MTris緩衝液pH8.5を6ml、10M尿素1
20ml、水16mlを加えた。室温にて5分間攪拌可
溶化後、溶液を4等分し、各々、以下のとおり(1)〜
(4)の4種の操作を行った。(1)20mMTris
緩衝液pH8.5で10倍希釈した。これに還元型グル
タチオンと酸化型グルタチオンを加えて、各々、最終濃
度5mM及び0.5mMとし、4℃で一晩静置した。遠
心分離により、上清中にGST−TPO(1−174)
を回収しこれに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH
5.5で2倍希釈した後、酢酸を用いてpH5.5に調
整した。20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5
で平衡化したSP Sepharose Fast F
low(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号
17−0729−01)陽イオン交換カラムにGST−
TPO(1−174)を吸着させた。同樹脂を20mM
クエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で洗浄した後、5
00mM塩化ナトリウムを含む20mMクエン酸ナトリ
ウム緩衝液pH5.5を用いてGST−TPO(1−1
74)を溶出させた。溶出液129mlに2.6mlの
1MTris緩衝液pH8.5を加えて、pHを8.1
にした後、グルタチオンセファロース4B(ファルマシ
ア バイオテク社製、カタログ番号17−0756−0
1)カラムに添加しGST−TPO(1−174)を吸
着させた。PBSで洗浄した後、10mM還元型グルタ
チオンを含む20mMTris緩衝液pH8.5でGS
T−TPO(1−174)を溶出させた。溶出液にトロ
ンビン37NIH Unitを加えて室温で4時間静置
した後、PBSで10倍希釈し、グルタチオンセファロ
ース4Bカラムに添加し切断されたGSTを吸着させ、
非吸着画分にTPO(1−174)を回収した。回収し
た非吸着画分を20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH
5.5で3倍希釈し、同緩衝液で平衡化したSP Se
pharoseFast Flow陽イオン交換カラム
に添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから5
00mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行なっ
た。 (2)(1)の操作を全て0.1%ポリソルベート80
存在下で行った。 (3)20mMTris緩衝液pH8.5で10倍希釈
した。これに還元型グルタチオンと酸化型グルタチオン
を加えて、各々、最終濃度5mM及び0.5mMとし、
4℃で一晩静置した。遠心分離により、上清中にGST
−TPO(1−174)を回収し、これに20mMクエ
ン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で2倍希釈した後、酢
酸を用いてpH5.5に調整した。20mMクエン酸ナ
トリウム緩衝液pH5.5で平衡化したSP Seph
arose Fast Flow陽イオン交換樹脂にG
ST−TPO(1−174)を吸着させた。同樹脂を2
0mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で洗浄した
後、500mM塩化ナトリウムを含む20mMクエン酸
ナトリウム緩衝液pH5.5を用いてGST−TPO
(1−174)を溶出させた。溶出液に1 MTris
緩衝液pH8.5を加えてpHを約8とし、トロンビン
320NIH Unitを加えて室温で4時間静置した
後、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で5
倍希釈し、同緩衝液で平衡化したSP Sepharo
se Fast Flow陽イオン交換カラムに添加
し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから500m
Mまでの直線濃度勾配法によって溶出を行なった。 (4)(3)の操作を全て0.1%ポリソルベート80
存在下で行った。 (1)〜(4)の操作で得られたSP Sepharo
se Fast Flow陽イオン交換クロマトグラフ
ィーの塩化ナトリウム濃度約200mMから400mM
で溶出された画分を、各々、IMDM培養液に対して十
分に透析後、ラットCFU−MK系で評価した結果、容
量依存的にTPO活性を認めた。同画分を還元剤存在下
でのSDS−PAGEで分析した結果、この画分の主タ
ンパク質バンドの一つとして分子量19Kダルトンのバ
ンドが検出された(純度1−20%)。このバンドにつ
いて実施例1に記載された方法により、SDS−PAG
E後、PVDF膜に転写しN末端シークエンス分析を行
なった結果、このpGEX−2T/hT(1−174)
由来の融合蛋白質として発現されるべきTPOの配列を
含むことが確認できた。 <実施例42> アミノ酸1(Ser→Ala)、アミノ酸3(Ala→
Val)に変換したヒトTPO(アミノ酸1−163)
の大腸菌用発現ベクターの構築 実施例39で作製したpUC18(XE)(1−33
2)をXbaI,EcoRIで消化後、2%のアガロー
スゲルで泳動し、ヒトTPOアミノ酸1−332をコー
ドする約1000bpの大きさのフラグメントを回収し
てプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、X
baI,EcoRIで消化したpBluescript
II SK+(ストラタジーン社製)にサブクローニ
ングした(宿主はE.coli DH5αを使用し
た)。ここで得られたクローンをpBL(XE)(1−
332)とした。次にこのクローンpBL(XE)(1
−332)のBamHI認識配列からアミノ酸163
(366−489)までを大腸菌優先コドンに変更する
こととした。表に示した13−20の合成オリゴヌクレ
オチドを作成し、13及び14;15及び16;17及
び18の合成オリゴヌクレオチドを同チューブ中でT4
キナーゼ(ファルマシア社製)を用いて0.1mM A
TP,10mM Tris−acetate,10mM
Mg−acetate,50 mM K−aceta
teの溶液中でリン酸化した。さらに1/10量の10
0mM Tris/HCl(pH7.5),100mM
MgCl,500mM NaClの溶液を加え、水
浴中で3分間煮沸した後、放置することにより2本鎖D
NAとした。次に13及び14;15及び16;17及
び18の三組の二本鎖DNAをDNAライゲーションキ
ット(宝酒造社製)を用いて連結し、これを鋳型として
19及び20の合成オリゴヌクレオチドをプライマーと
してPCR反応を行った。これによって得られたPCR
産物をBamHIとHidIIIで消化後2%のアガロ
ースゲルで泳動し、約130bPの断片をプレップ−A
−ジーンDNA精製キットにより回収した。これをBa
mHIとHidIIIで消化したpBL(XE)(1−
332)にサブクローニングした(宿主はE.coli
DH5を使用した)。得られたクローンのうち表15
に示した塩基配列を有するものをシークエンシングによ
り選択し、これをpBL(XH)(1−163)とし
た。
【表15】 さらに、ヒトTPO(アミノ酸1−163)の発現量を
増すこと、またN末端のプロテアーゼによる分解を防ぐ
ことを目的として、ヒトTPO(アミノ酸1−163)
の1位のアミノ酸をSer→Alaに、3位のアミノ酸
をAla→Valに変換し、更に−1位にLys、−2
位にMetをコードするような変異型ヒトTPO(アミ
ノ酸1−163)(以下、このようなタンパク質を「h
6T(1−163)」と称す)を発現させるための発現
ベクターの構築を行った。表に示した4種の合成オリゴ
ヌクレオチドを作製し、2−9、3−3の合成オリゴヌ
クレオチドをT4キナーゼ(ファルマシア社製)により
1mM ATP,10mMTris−acetate,
10mM Mg−acetate,50mM K−ac
etateの溶液中でリン酸化した。これらの合成オリ
ゴヌクレオチドを2本の二本鎖DNAにするために1−
9及び2−9;3−3及び4−3それぞれの組み合わせ
の一本鎖DNAを10mM Tris/HCl(pH
7.5),10mM MgCl,50mM NaCl
の溶液中でアニールした。次に1−9及び2−9;3−
3及び4−3の二組の二本鎖DNAをDNA Liga
tion Kit(宝酒造社製)を用いて反応した。こ
のライゲーション反応で得られたDNAを、XbaI,
NruIで消化したpBL(XH)(1−163)にサ
ブクローニングし、塩基配列の解析により表16に示し
た合成オリゴヌクレオチドにより正しく置換されたクロ
ーンを選択し(宿主はE.coli DH5αを使用し
た)、これをpBL(XH)h6T(1−163)とし
た。
【表16】 pBL(XH)h6T(1−163)をXbaI,Hi
ndIIIで消化後、変異型のヒトTPOアミノ酸1−
163をコードする約500bpの大きさのフラグメン
トを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで
精製し、XbaI,HindIIIで消化したpCFM
536(特表昭60−501988)にクローニングし
た(宿主はpMW1(ATCC No.39933)で
予め形質転換されたE.coli JM109を使用し
た)。ここで得られたクローンをpCFM536/h6
T(1−163)とし、この発現ベクターを有する大腸
菌株を変異型のヒトTPO、すなわちh6T(1−16
3)発現用の形質転換体とした。この発現プラスミド
は、配列表(配列番号11)に示されたDNA配列を含
んでいる。 <実施例43> h6T(1−163)の大腸菌での発現 発現プラスミドpCFM536の発現制御は、λPLプ
ロモーターによるが、これ自体が、cI857リプレッ
サー遺伝子の制御下にある。<実施例42>で得られた
形質転換株を、アンピシリン50μg/ml、テトラサ
イクリン12.5μg/mlを含むLB培地60mlに
30℃で一晩振盪培養し、この培養液25mlをアンピ
シリン50μg/mlを含むLB培地1000mlに加
えて、ODはA600が1.0−1.2に至るまで30
℃で振盪培養した。次いで最終温度が、42℃になるよ
うに65℃の約330mlLB培地を添加し、さらに3
時間42℃で振盪培養してh6T(1−163)の発現
を誘導した。 <実施例44> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするク
ローンpCFM536/h6T(1−163)由来h6
T(1−163)の精製と活性確認 h6T(1−163)生産組換体凍結菌体3.6gに水
10mlを加えてけん濁し、高圧破砕機で菌体を破砕し
た。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋
白質、菌体成分等を除去する。回収されたh6T(1−
163)を含む沈殿画分に水7mlを加えてけん濁した
後、攪拌しながら1M Tris緩衝液pH8.5を3
mlを加えた後、尿素(終濃度8M)、塩酸グアニジン
(終濃度6M)、N−ラウロイルサルコシンナトリウム
(終濃度2%)を各々加えて室温にて5−20分間攪拌
して可溶化した。これを20mM Tris緩衝液pH
8.5で10倍希釈し、4℃中にて一晩でタンパク質の
巻き戻し(リフォールディング)操作を行なった。この
際に、空気酸化の他、添加物としてグルタチオン及び硫
酸銅を各々添加した。遠心分離により、上清中にh6T
(1−163)を回収した。各々の回収画分について還
元剤在下でのSDS−PAGEで分析した結果、どの方
法に於ても、この画分の主タンパク質バンドとして分子
量約18Kダルトンのバンドが検出された(純度30−
40%)。このバンドについて実施例1に記載された方
法により、SDS−PAGE後、PVDF膜に転写しN
末端シークエンス分析を行なった結果、このpCFM5
36/h6T(1−163)由来の変異型TPOとして
発現されるべきTPOの配列を含むことが確認できた。
各々の画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラ
ットCFU−MK系で評価した結果、全ての画分に於て
容量依存的にTPO活性を認めた。 <実施例45> 抗TPOペプチド抗体の作製と、SDS−PAGE→ウ
エスターン分析によるTPOの検出 抗TPO抗体が作製できれば、免疫学的手法によりTP
Oの蛋白質を検出することができる。そこで、最初に判
明したラットTPOのアミノ酸配列のうち、比較的抗原
として適していると考えられた3カ所の領域(表17に
示す)を選び、Tam(Proc・Natl.Aca
d.Sci.USA,85,5409−5413,19
88)の方法により4本鎖のMultiPle Ant
igenPeptide(MAP)型のペプチドを合成
し、100μgずつ8回にわたってそれぞれウサギ2把
に免疫した結果、これらの抗血清を得ることができた。合成ペプチド抗原に含まれるアミノ酸配列
【表17】 次いで、これらの抗血清のうち、まず抗RT1ペプチ
ド、抗RT2ペプチド抗体について、プロテインAカラ
ム(PROSEP−A;Bioprocessing
Ltd社製、カタログ番号8427)を用いて、IgG
画分(それぞれ2344mg、1920mg)を得、こ
れらのうちそれぞれ54mg、32mgをとり活性型ビ
オチン(NHS−LC−Biotin II、PIER
CE社製、カタログ番号21336)とカップリングす
ることにより、ビオチン化した。。実施例1に述べた方
法と同様に、組み換え体TPOを含む標品をSDS−P
AGEにかけ、次いでPVDFあるいは、ニトロセルロ
ース膜にエレクトロブロティングし、定法によりこれら
のビオチン化抗体を一次抗体として用いてウェスタン分
析を行った。即ち、ブロッティング後の膜を20mM
Tris−HCl、0.5M NaCl(pH7.5)
(TBS)で5分洗浄し、0.1%Tween20入り
TBS(TTBS)で5分2回洗浄後、ブロッキング剤
(BlockAce、大日本製薬社製、カタログ番号u
k−B25)で60分処理した。次に10μg/mlの
濃度のビオチン化抗TPOペプチド抗体、0.05%B
SA、10%BlockAceを含むTTBS溶液で6
0分後処理後、TTBSで5分2回洗浄した。次にアル
カリフォスファターゼ標識アビジン(Leinco T
echnologies社製、カタログ番号A108)
を10%BlockAce、TTBS溶液で5000倍
希釈したものを含む溶液で30分処理し、5分2回のT
TBS洗浄、5分間のTBS洗浄を行った後、アルカリ
フォスファターゼ基質(Bio−Rad社製、カタログ
番号170−6432)により発色させた。以上のウエ
スタン分析は室温にて実施した。この結果、COS1細
胞で発現した各種組み換えラットTPOのみならず、C
OS1細胞及び大腸菌で発現した各種組み換えヒトTP
O(具体的には、これまでの実施例に述べたCOS1細
胞で発現したプラスミドpHTP1あるいはプラスミド
pHTF1由来ヒトTPOとそのN結合型糖鎖切断後の
TPO、大腸菌で発現したGST−TPO(1−17
4)及びそのトロンビン消化後のTPO、大腸菌で発現
した変異型TPOであるh6T(1−163))をも認
識することができた。そして、これら各種組み換えヒト
TPOの分析に用いることが可能となった。以上の手法
と同様にして、抗ヒトTPOペプチド抗体の作製が可能
であることが示された。これらの手法で得た抗体によ
り、ウェスタン分析のみならず、抗体カラムによるTP
Oの精製をはじめ、通常考えられる抗体を用いたあらゆ
る免疫学的手法への応用が可能となる。また、配列番号
6に示されるヒトTPOのアミノ酸配列のうち、比較的
抗原として適していると考えられた6カ所の領域(表1
9に示す)を選び、Tam(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA,85,5409−5413,1
988)の方法により4本鎖のMultiple An
tigen Peptide(MAP)型のペプチドを
合成し、100μgずつ8回にわたってそれぞれウサギ
2把に免疫した。表19で示された各ペプチド領域のC
末端にシステイン残基を結合させた1本鎖ペプチドを別
途合成し、これを試験抗原として酵素免疫測定法を用い
て抗体価を調べたところ、いずれの血清についても抗体
価の上昇が確認されたので、これらを抗血清とした。抗
体は、1種の抗原ペプチドにつきウサギ抗血清2把ずつ
免疫したため、それぞれのウサギごとに抗体を分けて調
製した。具体的には、これら由来するウサギの個体ごと
に区別して、抗HT1ペプチド抗体では、それぞれ、抗
HT1−1ペプチド抗体、抗HT1−2ペプチド抗体の
様に称する。以下に抗HT1−1ペプチド抗体について
の精製を例として示す。まず、システイン残基を結合し
たHT1の1本鎖ペプチド30mgを12mlのSul
foLinkカップリングゲル(Pierce社製、カ
タログ番号44895)に結合させた。即ち、ゲル体積
の6倍容のカップリングバッファー(50mM Tri
s、5mM EDTA−Na pH8.5)で平衡化し
たゲルに、抗原の含まれるペプチド溶液を15分間カッ
プリングさせた。次に30分間静置した後、ゲル体積の
3倍容のカップリングバッファーでゲルを洗浄した。次
に0.05M L−Cystein−HClを含むカッ
プリングバッファーを、1ml/mlゲルの割合で添加
し、15分間未反応基をブロックした。次に30分間静
置した後、ゲル体積の8倍容のカップリングバッファー
でゲルを洗浄した。以上のカップリングは室温で行っ
た。このようにして、抗原領域を含むペプチドをカップ
リング効率28.3%にてゲルに共有結合させ、1ml
ゲル当たりに結合したペプチドが0.8mgである抗原
ペプチド抗原カラムを調製した。次に、全採血後の抗H
T1−1ペプチド抗体を含む抗血清78.4mlのうち
76.7ml(蛋白質量3620mg)を予め150m
MのNaCl、0.05%アジ化ナトリウムを含む50
mMリン酸緩衝液(pH8)で平衡化した抗原カラムに
添加し、さらに同緩衝液で洗浄後105.9mlの素通
り画分(蛋白質量3680mg)を得た。次に0.1M
クエン酸緩衝液(pH3.0)で吸着画分を溶出し、た
だちに21.1mlの0.1M炭酸緩衝液(pH9.
9)を加えて中和後、限外濾過(アミコン社製YM30
膜)にて濃縮し、11.2ml(蛋白質量77.7m
g)の150mMのNaCl、0.05%アジ化ナトリ
ウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH8)の溶液中に
精製された抗HT1−1ペプチド抗体を得ることができ
た。同様にして、抗HT1−2ペプチド抗体(60.0
mg)、抗HT2−1ペプチド抗体(18.8mg)、
抗HT2−2ペプチド抗体(8.2mg)などを得るこ
とができた。抗HT3〜6ペプチド抗体も同様にして得
ることができる。アフィニティ精製した抗HT1−1ペ
プチド抗体、抗HT1−2ペプチド抗体、抗HT2−1
ペプチド抗体、抗HT2−2ペプチド抗体をそれぞれ3
mgをとり活性型ビオチン(NHS−LC−Bioti
n II、PIERCE社製、カタログ番号2133
6)とカップリングすることにより、ビオチン化した。
【表19】 のアミノ酸配列をコードする遺伝子を導入・発現させた
CHO細胞の培養上清から部分精製された組換えヒトT
PO標品を定法に従い、SDS−PAGEにかけ、次い
でPVDFあるいはニトロセルロース膜にエレクトロブ
ロティングし、上述の抗RTペプチド抗体の場合と同様
にウェスタン分析を行ったところ、それぞれの精製され
た抗体により、ヒトTPOが認識、検出されることが確
認できた。 <実施例46> 抗TPOペプチド抗体カラムの調製 実施例45で得られた抗ラットTPOペプチド抗体は、
ラット及びヒトTPOを認識することができたため、抗
RT1ペプチド抗体、抗RT2ペプチド抗体の免疫グロ
ブリン(IgG)画分を以下のようにして、クロマトグ
ラフィー坦体に結合させ、抗TPOペプチド抗体カラム
を作製した。材料となった抗体は、それぞれの抗原ペプ
チドにつきウサギ抗血清2把ずつから由来し、それぞれ
のウサギごとに抗体を分けて調製した。具体的には、抗
RT1ペプチド抗体では、それぞれ、抗RT1−1ペプ
チド抗体と抗RT1−2ペプチド抗体と称し、抗RT2
ペプチド抗体では、抗RT2−1ペプチド抗体と抗RT
2−2ペプチド抗体と称す。これらを別々にして抗体カ
ラムを調製したため、抗RT1ペプチド抗体カラムは2
種(それぞれ抗RT1−1抗体カラム、抗RT1−2抗
体カラムと称す)、抗RT2ペプチド抗体カラムは2種
(それぞれ抗RT2−1抗体カラム、抗RT2−2抗体
カラムと称す)、さらに抗RT1−2ペプチド抗体と抗
RT2−1ペプチド抗体を混合してゲルにカップリング
した抗体カラム(抗RT1−2+2−1混合抗体カラ
ム)、の5種類を調製した。各々の抗体を5mg/ml
(抗RT1+2mix抗体カラムでは抗RT1−2ペプ
チド抗体と抗RT2−1ペプチド抗体を等量混合した
2.5mg/ml)の濃度で含む50mM Na Ph
osphate,0.15M NaCl(pH8.0)
の溶液とし、これを2.31mlとり、1.54m体積
の膨潤したホルミル活性化ゲル(Formyl−Cel
lulofine、チッソ株式会社製)と合わせ、4℃
で2時間カップリング反応させた。次いで、10mg/
mlの濃度の還元剤溶液(Trimethylamin
e borane(TMAB)、生化学工業製、カタロ
グ番号680246)を1.1ml加え、さらに6時間
カップリング反応させた後、遠心分離によりゲル部分の
みを回収した。これに10mlの精製水を加え、遠心分
離でゲル部分のみの回収といった操作を4回繰り返し、
未反応の抗体を取り除いた。次に4.6mlのブロッキ
ング緩衝液(0.2M Na Phosphate,1
M ethanol amine(pH7.0))と
1.1mlの還元剤溶液を加え、4℃で2時間以上処理
することにより、未反応のゲルの活性基をブロックし
た。最後にゲルを遠心分離を用いて精製水、DPBSで
洗浄し、小カラムチューブに充填し、3Mチオシアン酸
カリウム溶液、0.1Mグリシン−HCl(pH2.
5)溶液で洗浄後、再度DPBSで再平衡化して保存し
た。抗RT1−1抗体カラム、抗RT1−2抗体カラ
ム、抗RT2−1抗体カラム、抗RT2−2抗体カラ
ム、抗RT1−2+2−1混合抗体カラムの5種類それ
ぞれの抗TPOペプチド抗体ゲルでは、各IgG画分の
カップリング効率は順に97.4%、95.4%、9
8.4%、98.3%、99.4%に達した。また、そ
れぞれのゲル体積当たりにカップリングしたIgG画分
量は、5.6mg/mlゲル、5.8mg/mlゲル、
5.7mg/mlゲル、5.7mg/mlゲル、2.9
mg/mlゲルであった。従って、抗体の由来や抗原の
違いによって、カップリング効率やカップリング量に大
きな差がないことが確認できたため、これらの抗体カラ
ムを利用して、以下、実施例47に示す実験を行った。 <実施例47> 発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェ
クションして得られた培養上清由来TPOの抗TPO抗
体カラム→逆相カラムクロマトグラフィーでの精製〜生
物学的活性の確認 以下の精製サンプルの評価のためのin vitro
ッセイ方法は、M−07eアッセイ系を用いた。発現ベ
クターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクショ
ンして得られた、実施例35の培養上清由来TPOの部
分精製標品(TPOが回収された主たる画分ではない画
分、即ち、Macro−Prep Methyl HI
Cカラムの素通り画分F1と、F2の後に20mM N
a Citrate,pH5.8でカラム洗浄し溶出し
たF3、SP Sepharose Fast Flo
wカラムのF1とF3をまとめてTPOサブプール画分
(5463.79ml,蛋白質濃度0.490mg/m
l,総蛋白質量2676mg,相対活性12100,相
対活性量32380000)とし、限外濾過ユニット
(フィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子量8
000カット)でまず濃縮し、さらに溶媒をDPBSに
置換し、小体積になってからはYM−10膜付き限外濾
過ユニット(アミコン社製)を用いて最終的に120.
2mlの0.05%アジ化ナトリウムを含むDPBS溶
液にした。次に実施例46で調製した5種類の抗TPO
ペプチド抗体ゲルを全て混合し、1本の抗体カラム(直
径1.6cm,ベッド高4.8cm,抗RT1+2混合
抗体カラムと称す)にまとめ、室温にて流速0.033
ml/minでTPOサブプール画分を添加した。添加
終了後、DPBSで溶出液の紫外線吸収が十分下がるま
でを集め、さらにYM−10膜付き限外濾過ユニット
(アミコン社製)で濃縮した素通り画分F1(82.6
2ml,蛋白質濃度14.3mg/ml,総蛋白質量1
184mg,相対活性67500,相対活性量7990
0000)を集めた。次に酸性溶離液(0.1Mグリシ
ン−HCl(pH2.5))で溶出されるカラム吸着画
分F2(92.97ml,蛋白質濃度0.12mg/m
l,総蛋白質量11.1mg,相対活性257100,
相対活性量2860000)を溶出した。素通り画分F
1には相当量のTPO活性があったが、抗体カラムに吸
着したTPOについては約20倍の相対活性の上昇が認
められたため、さらに精製を行った。即ち、展開溶媒A
に0.1%TFA、展開溶媒Bに0.05%TFAを含
む1−プロパノールを用いたCapcell Pak
C1 300A(資生堂製、カタログ番号C1 TYP
E:SG300A;直径 4.6mm、ベッド高 15
0mmに加え、直径4.6mm、ベッド高 35mmの
プレカラムを接続したもの)カラムにて、抗体カラムで
得られたF2に10分の1体積の展開溶媒Bを加え、2
0%Bで平衡化したCapcell Pak C1 3
00Aカラムに流速0.4ml/minで注入した。注
入終了後、20%Bにて5分溶出した後、20%Bから
40%Bまで50分の直線濃度勾配で展開し、1ml
(2.5min)ずつポリプロピレン製チューブに集め
た。それぞれ2μl(500分の1フラクション)を取
りHSAを加え、限外濾過濃縮し、最終的に0.02%
HSAを含む0.25mlのIMDMアッセイ培養液溶
液とし、これをアッセイにかけ、TPO活性画分を特定
した。この結果、チューブ番号20〜23(プロパノー
ル濃度で28.5〜32.5%の範囲)に強いTPOの
活性を示す標品を得ることができた。またこれらの標品
を<実施例45>に述べた方法によりウエスターン分析
をしたところ、DPCIII分子量マーカーに対し、還
元下において見かけ上の分子量が60000〜7000
0のTPOが確かに存在し、これとは別に、32000
〜43000、20000〜30000の分子量をもつ
分子も存在していることが判明した。 <実施例48> 発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェ
クションして得られた培養上清由来で、Capcell
Pak C1 300Aカラムの段階まで精製された
TPOの生物学的活性の確認 実施例36で精製されたTPO活性画分、即ちCapc
ell Pak C1300Aカラムのチューブ番号2
0〜23(プロパノール濃度で28.5〜32.5%の
範囲)までを集め、0.21mlのグリセロールを添加
後遠心エバポレーションで濃縮した。これに6M塩酸グ
アニジン溶液0.21mlを加えたものをDPBSで1
mlに希釈後、Sephadex G25カラム(NA
P−10,ファルマシア バイオテック社製、カタログ
番号17−0854−01)で0.01%HSAを含む
DPBS溶液に置換し、さらに1.1mlの0.01%
HSAを含むDPBSを加えて、最終的にTPO活性画
分FA(2.6ml)を調製した。この標品の生物学的
TPO活性をについて調べるために、in vivo
ッセイを行った。即ち、1群4匹のICR系雄性マウス
(8週齢)に、活性画分100μl(M−07eアッセ
イ系での相対活性量87400を含む)を1日1回、5
日間連日皮下投与した。対照として、0.01%HSA
を含むDPBS100μlを同様のスケジュールで皮下
投与した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌日に眼
底より行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F80
0)を用いて血小板数を測定した。TPO投与群では、
投与終了後において投与前と比較して平均で1.42倍
の血小板の増加を認め、対照群の血小板数と比較しても
1.23倍の高値を示し、両者の間に有意差(p<0,
05,Studentt−test)を認めた。この結
果から、動物細胞で生産された上記のヒトTPOが、生
体内において血小板増加作用を有することが明らかとな
った。 <実施例49> 発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェ
クションして得られた、培養上清33Lを出発材料に
し、陽イオン交換カラムで得た粗精製TPO画分の生物
学的活性の確認 (1)以下の精製サンプルの評価のためのin vit
roアッセイ方法は、M−07eアッセイ系を用いた。
実施例36で記載された方法と同様にして、33Lの発
現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェク
ションして得られた無血清培養上清を得て、0.22μ
mの濾過フィルターの濾液をとった。これを限外濾過ユ
ニット(ミリポア社製・PLGCペリコンカセット 分
子量10000カット)で約10倍濃縮し、蛋白質分解
酵素阻害剤であるp−APMSFを最終濃度約1mM加
え、体積2018ml(蛋白質濃度3.22mg/m
l、総蛋白質量6502mg、相対活性66000、相
対活性量429100000)を得た。次に、限外濾過
ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット分
子量30000カット)で濃縮工程を繰り返し、分子量
30000以上の画分(体積1190ml、蛋白質濃度
2.54mg/ml、総蛋白質量3020mg、相対活
性82500、相対活性量249000000)と、分
子量30000以下の画分(体積2975ml、蛋白質
濃度0.471mg/ml、総蛋白質量1402mg、
相対活性4500、相対活性量6310000)を得る
ことができた。分子量30000以下の画分にTPO活
性が存在することは、TPOの動物細胞での発現・分泌
の過程において、最終的に培養上清中に、低分子化した
TPOが含まれている可能性を示す。一方、分子量30
000以上の画分をさらに20mMクエン酸ナトリウム
緩衝液(pH6.1)に置換し、20mMクエン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.1)で予め平衡化したSP S
epharoseFast Flow(ファルマシア
バイオテク社製、カタログ番号17−0729−01;
直径 2.6cm、ベッド高 29cm)カラムに注入
し、流速5ml/minで添加した。添加終了後、さら
に20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)で
洗浄溶出した。次に展開溶媒Aに20mMクエン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.1)、展開溶媒A中に1M N
aClを含む溶液を展開溶媒Bとして用い、流速3ml
/minで0%Bから50%Bまで215分間、さらに
50%Bから100%Bまで20分の直線濃度勾配で展
開し、30ml(10min)ずつポリプロピレン製チ
ューブに集めた。これらの一部を取り、M−07eアッ
セイ系で活性の分布を調べたところ、広範囲にわたりT
PO活性が溶出されたことが判明した。そこで素通りを
含め、50mM以下のNaClで溶出された画分をF
1、TPOの主画分として50〜1000mMのNaC
lで溶出された画分をF2としてまとめた。F1は体積
1951ml(蛋白質濃度2.05mg/ml、総蛋白
質量3994mg、相対活性13500、相対活性量5
3900000)、F2は体積649.8ml(蛋白質
濃度1.11mg/ml、総蛋白質量721mg、相対
活性268000、相対活性量193000000)で
あった。 (2)SP Sepharose Fast Flow
F2の生物学的活性の確認 (1)で分取したSP Sepharose Fast
FlowのF2を2.5ml取り、Sephadex
G25カラム(NAP−25,ファルマシアバイオテ
ック社製、カタログ番号17−0852−−01)で
0.01%HSAを含むDPBS溶液3.5mlに置換
し、このサンプル(蛋白質濃度1.46mg/ml)の
生物学的TPO活性について調べるために、in vi
voアッセイを行った。即ち、1群4匹のICR系雄性
マウス(8週齢)に、活性画分100μl(M−07e
アッセイ系での相対活性量3150を含む)を1日1
回、5日間連日皮下投与した。対照として、0.01%
HSAを含むDPBS100μlを同様のスケジュール
で皮下投与した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌
日に眼底より行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F
800)を用いて血小板数を測定した。TPO投与群で
は、投与終了後において投与前と比較して平均で1.2
9倍の血小板の増加を認め、対照群の血小板数と比較し
ても1.12倍の高値を示し、両者の間に有意差(p<
0.05,Student t−test)を認めた。
この結果から、動物細胞で生産された上記のヒトTPO
が、生体内において血小板増加作用を有することが明ら
かとなった。 <実施例50> ヒトTPO染色体DNAのCHO細胞用組換え発現ベク
ター、pDEF202−ghTPOの構築 ベクターpDEF202を制限酵素KpnIとSpeI
で処理し、アガロースゲル電気泳動で小さい方のマウス
DHFRミニ遺伝子とSV40ポリアデニル化シグナル
を含むフラグメントを回収したのち、このフラグメント
とヒトTPO染色体DNAを含むプラスミドpEFHG
TEを制限酵素KpnIとSpeIで処理しSV40ポ
リアデニル化シグナルを含む領域を除去したベクターD
NAとをT 4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合さ
せ、発現ベクターpDEF202−ghTPOを得た。
このプラスミドはSV40の複製開始領域、ヒトエロン
ゲーションファクタ−1−アルファプロモーター、SV
40初期ポリアデニル部位、マウスDHFRミニ遺伝
子、pUC18の複製開始領域、β−ラクタマーゼ遺伝
子(Amp)を含み、ヒトエロンゲーションファクタ
−1−アルファプロモーター下流にヒトTPO染色体D
NAが接続されている。 <実施例51> CHO細胞によるヒトTPO染色体DNAの発現 CHO細胞(dhfr−株、UrlaubとChasi
n;Proc.Natl.Acad.Sci.USA;
77巻4216頁、1980)を6cm径のプレート
(Falcon社製)中10%牛胎児血清を含むα最小
必須培地(α−MEM(−)、チミジン、ヒポキサンチ
ン添加)で培養増殖させ、これをリン酸カルシウム法
(CellPhect、ファルマシア社製)によって形
質転換した。すなわち、実施例50で調製したpDEF
202−ghTPOプラスミド10μgにバッファー
A:120μlおよびH20:120μlを加え混合し
たのち、室温で10分間放置した。つぎに、この溶液に
バッファーB:120μlを加え、再度混合したのち、
室温で30分間放置した。このDNA溶液をプレートに
滴下したのち、COインキュベーター中で6時間培養
した。プレートから培地を除去し、α−MEM(−)に
て2回洗浄後、10%ジメチルスルフォオキシド含有α
−MEM(−)を添加し、室温で2分間処理した。次い
で、10%透析牛胎児血清含有非選択培地(前出α−M
EM(−)、ヒポキサンチン、チミジン添加)を添加し
て2日間培養したのち、10%透析牛胎児血清含有選択
培地(α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン無
添加)での選択をおこなった。選択は細胞をトリプシン
処理した後、6cm径プレート1枚あたりを、10cm
径プレート5枚あるいは24ウエルプレート20枚に分
割したのち、2日ごとに選択培地にて培地交換を行いな
がら培養を続行する事により実施した。細胞が増殖して
きたプレートあるいはウエルについてその培養上清中の
ヒトTPO活性をBa/F3アッセイを用いて測定した
結果、ヒトTPO活性が認められた。なお、CHO細胞
の形質転換はCHO細胞に対しpEFHGTEとpMG
1を同時形質転換(co−transfection)
することによっても行うことができる。 <実施例52> −1位にLys、−2位にMetが付加されたヒトTP
O(アミノ酸1−163)(以下、このタンパク質を
「hMKT(1−163)」と称す)の大腸菌用発現ベ
クターの構築〜発現・発現の確認 配列番号6のアミノ酸配列(1−163位)の−1位に
Lys、−2位にMetが付加されたタンパク質を発現
するため、実施例42と同様にして、以下の表18に示
した1−13、2−13、3−3、4−3の合成オリゴ
ヌクレオチドを用いて、hMKT(1−163)の大腸
菌用発現ベクターpCFM536/hMKT(1−16
3)を構築した。
【表18】 この発現プラスミドは、配列表(配列番号12)に示さ
れたDNA配列を含んでいる。さらに、実施例43と同
様にして、hMKT(1−163)の発現を誘導した。
ここで得られた発現タンパクをSDS−PAGE後PV
DF膜に転写し、N末端アミノ酸配列分析を行った結
果、発現されるべきhMKT(1−163)のアミノ酸
配列を含むことが確認できた。 <実施例53>大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列
をコードするクローンpCFM536/h6T(1−1
63)由来変異型ヒトTPO、h6T(1−163)の
塩酸グアニジンとグルタチオンを用いたリフォールディ
ング〜精製〜生物学的活性の確認実施例43で調製され
たh6T(1−163)生産組換体凍結菌体1.2gに
水3mlを加えてけん濁し、高圧破砕機で菌体を破砕し
た。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋
白質、菌体成分等を除去する。回収されたh6T(1−
163)を含む沈殿画分に水を加えてけん濁し、最終4
mlとした。攪拌しながら1mlの1MTris緩衝液
pH8.5を加えた後、20mlの8M塩酸グアニジン
を加えて室温にて5分間攪拌して可溶化した。これを2
0mMTris緩衝液pH8.5で10倍希釈し、5m
M還元型グルタチオンと0.5mMの酸化型グルタチオ
ンを加えて攪拌し溶かした後、4℃中にて一晩静置し
た。遠心分離により、上清中にh6T(1−163)を
回収した。得られた上清のうち160mlをYM10限
外濾過膜(アミコン社製)を用いて濃縮し、DPBSに
て緩衝液を置換して最終容量3.4mlとした(蛋白濃
度2.18mg/ml)。この画分をIMDM培養液に
対して十分に透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で
評価した結果、強いTPOの活性(相対活性5800
0)を示した。上記の方法により調製したTPO活性画
分についてin vivoアッセイを行った。1群4匹
のICR系雄性マウス(7週齢)に、活性画分170μ
l(ラットCFU−MKアッセイ系での相対活性量22
000を含む)を1日1回、5日間連日皮下投与した。
対照として、1群6匹の同様のマウスにDPBS170
μlを同様のスケジュールで皮下投与した。採血は、投
与開始直前及び投与終了翌日、終了3日後に眼底より行
い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用い
て血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了翌
日において投与前と比較して平均で2.15倍の血小板
の増加を認め、また投与終了3日後においてもその効果
は持続しており2.13倍の高値を維持した。投与終了
翌日及び3日後のいずれの日においても、血小板数は、
それぞれの日の対照群のそれと比較して1.73倍、
1.80倍と高値を示し、両者の間に有意差(p<0.
001,Student t−test)を認めた。こ
の結果から、大腸菌より生産され、上記の方法で調製し
たヒトTPOが、生体内において血小板増加作用を有す
ることが明らかとなった。 <実施例54> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするク
ローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異
型ヒトTPO、h6T(1−163)のN−ラウロイル
サルコシンナトリウムと硫酸銅を用いたリフォールディ
ング〜精製〜生物学的活性の確認 実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換
体凍結菌体0.6gに水3mlを加えてけん濁し、高圧
破砕機で菌体を破砕した後、遠心分離により沈殿画分を
回収した。沈殿画分に3.1mlの水を加えて懸濁した
後、0.19mlの1MTris緩衝液pH9.2、1
1.25μlの1M DTT、38μlの0.5MED
TA、0.38mlの10%デオキシコール酸ナトリウ
ムを攪拌しながら加え、室温にて40分間攪拌した。遠
心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋白質、
菌体成分等を除去した。沈殿に水4mlを加えてけん濁
した後、遠心分離によってh6T(1−163)を含む
沈殿画分を回収した。得られた沈殿画分に水3.8ml
を加え懸濁した後、攪拌しながら0.2mlの1MTr
is緩衝液pH8と1mlの10%N−ラウロイルサル
コシンナトリウムを加えて室温にて20分間攪拌して可
溶化した。これに5μlの1%硫酸銅を加え、室温にて
一晩(約20時間)攪拌した。遠心分離によりh6T
(1−163)を含む上清画分を回収した後、上清5m
lに5mlの水、10mlの20mMTris緩衝液p
H7.7加えた後、2.6gのDowex 1−x4,
20−50mesh,chloride form イ
オン交換樹脂を加え、90分間撹拌した。グラスフィル
ターを用いてイオン交換樹脂非吸着画分を回収した後、
遠心分離によって上清を回収した。得られた上清を20
mMTris緩衝液pH7.7で平衡化したSP Se
pharose Fast Flow陽イオン交換カラ
ムに添加し、同緩衝液中でNaCl濃度0Mから500
mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行なった。溶
出画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラット
CFU−MKアッセイ系で評価した結果、SP Sep
haroseFast Flow陽イオン交換クロマト
グラフィーのNaCl濃度約100mM付近で溶出され
た画分に強いTPOの活性(相対活性約1900000
0)を示した。この画分をウルトラフリーCL分画分子
量5000限外濾過ユニット(ミリポア社製、型番UF
C4LCC25)を用いて1.6倍濃縮した(2.5m
l、蛋白濃度25μg/ml)。同画分を還元剤存在下
でSDS−PAGEで分析した結果、TPOのバンドが
主バンドとして検出された(純度70−80%)。上記
の方法により調製したTPO活性画分についてin
ivoアッセイを行った。1群4匹のICR系雄性マウ
ス(8週齢)に、活性画分100μl(ラットCFU−
MKアッセイ系での相対活性量47500を含む)を1
日1回、5日間連日皮下投与した。対照として、100
mMNaClを含む20mMTris緩衝液pH7.7
100μlを同様のスケジュールで皮下投与した。採血
は、投与開始直前及び投与終了翌日に眼底より行い、血
球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用いて血小
板数を測定した。TPO投与群では、投与終了後におい
て投与前と比較して平均で1.73倍の血小板の増加を
認め、対照群の血小板数と比較しても1.59倍の高値
を示し、両者の間に有意差(p<0.01,Stude
nt t−test)を認めた。この結果から、大腸菌
より生産され、上記の方法で調製したヒトTPOが、生
体内において血小板増加作用を有することが明らかとな
った。 <実施例55> CHO細胞の大量培養 実施例32においてヒトTPO発現プラスミドpDEF
202−hTPO−P1をCHO細胞にトランスフェク
ションして得られたヒトTPO 産生CHO細胞株(C
HO28−30細胞、25nM MTX耐性)の大量培
養は以下のようにして実施した。細胞を25nM MT
Xおよび10%FCSを含むDMEM/F−12培地
(GIBCO社)を用いて培養増殖させた。この細胞を
トリプシン溶液を用いて剥離したのち、200mlの同
培地を含むFalcon社製ローラーボトル(Falc
on3000)に1×10個の細胞を接種し、37℃
で1rpmの回転速度で3日間培養した。3日後、培養
液を吸引除去し、100mlのPBSで細胞培養表面を
リンスしたのち、25nM MTXおよび10%FCS
を含まないDMEM/F−12培地(GIBCO社)を
200ml加え、37℃、1rpmの回転速度で7日間
培養し、7日後その培養上清を回収し、次の精製操作の
出発材料にした。上記の操作をローラーボトル500本
分実施し、培養上清100Lを得た。 <実施例56> ヒトTPO産生CHO細胞株からヒトTPOの精製 (1)実施例55より無血清培養上清約100Lを得
て、0.22μmの濾過フィルターの濾液をとった。こ
れを限外濾過ユニット(ミリポア社製・PLTKペリコ
ンカセット 分子量30000カット)で濃縮かつ溶媒
を精製水に置換し、蛋白質分解酵素阻害剤であるp−A
PMSF(和光純薬社製)を最終濃度1mM及びPef
abloc SC (Merk社製)を最終濃度0.3
5mM加え、体積3628ml(蛋白質濃度1.60m
g/ml、総蛋白質量5805mg、相対活性1230
000、相対活性量7149000000)の分子量3
0000以上の画分を得た。この画分を実施例45で述
べたウエスターン分析で調べたところ、分子量6600
0〜100000の範囲にTPO蛋白質が存在すること
が明らかとなった。さらによく調べてみると、これとは
別に、より低分子のTPOをも含まれていることが判明
した。分子量30000以下の限外濾液はこれとは別に
限外濾過ユニット(ミリポア社製・PLGCペリコンカ
セット 分子量10000カット)で濃縮したところ、
体積1901ml(蛋白質濃度0.36mg/ml、総
蛋白質量684mg、相対活性245500、相対活性
量167900000)であったため、低分子化したT
PO分子が培養工程において生じたことが確認された。
次に、分子量30000以上の画分3614mlに76
4gの硫酸アンモニウム、及び144.5mlの0.5
Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を加え、最
終濃度1.41M硫酸アンモニウム、17.7mMのク
エン酸ナトリウム緩衝液を含む4089mlの溶液と
し、生じた不溶物を遠心分離後可溶物を得た。これを
1.2M 硫酸アンモニウムを含む20mMクエン酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.5)で予め平衡化してあった
Macro−Prep MethylHIC カラム
(Bio−Rad 社製、カタログ番号156−008
0;直径5cm、ベッド高 24.5cm)に、流速約
25ml/minで添加した。添加終了後、1.2M硫
酸アンモニウムを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝
液(pH5.5)で溶出されたものを限外濾過ユニット
(フィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子量8
000カット)で濃縮し、素通り画分F1(4455m
l,蛋白質濃度0.400mg/ml,総蛋白質量17
80mg,相対活性1831000)を得た。次に、溶
出液を20mM Na Citrate,pH6.0に
かえ、溶出されたものを限外濾過ユニット(フィルトロ
ン社製・オメガウルトラセット 分子量8000カッ
ト)で濃縮し、画分F2 (1457ml,蛋白質濃度
0.969mg/ml,総蛋白質量1411mg, 相
対活性1715000)を集めた。SDS−PAGEに
より、このF2には分子量66000〜100000の
蛋白質が存在することが確認された。さらにウエスター
ン分析により、この蛋白質がTPOであることが明らか
となった。次に、Macro−Prep Methyl
HIC カラム F2(1443ml)を、20mM
クエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で予め平衡化
したSP Sepharose Fast Flow
(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−
0729−01;直径 5cm、ベッド高 12cm)
カラムに注入し、流速15ml/minで添加した。添
加終了後、さらに50mM NaClを含む20mMク
エン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で溶出されたも
のまでをまとめ、画分F1(3007ml,蛋白質濃度
0.226mg/ml,総蛋白質量679mg,相対活
性88830)を得た。次に、溶出液を750mM N
aClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH
5.4)にかえ、溶出された画分F2(931ml,蛋
白質濃度0.763mg/ml,総蛋白質量710m
g,相対活性5558000)を集めた。これを限外濾
過ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット
分子量8000カット、及びアミコン社製YM3膜)
で202mlまで濃縮した。次に、SP Sephar
ose Fast FlowカラムのTPO活性画分F
2の濃縮液(197ml)をSephacryl S−
200HR カラム(ファルマシア・バイオテク社製、
カタログ番号17−0584−05;直径7.5cm、
ベッド高 100cm)に注入し、流速3ml/min
でゲル濾過を行った。溶離液体積1200〜1785m
l、1785〜2010ml、2010〜2280m
l、2280〜3000mlの各範囲をまとめ、それぞ
れ画分F1(585ml,蛋白質濃度1.00mg/m
l,総蛋白質量589mg,相対活性411800
0)、画分F2(225ml,蛋白質濃度0.263/
ml,総蛋白質量59.2mg,相対活性250900
0)、画分F3(270ml,蛋白質濃度0.119/
ml,総蛋白質量32.1mg,相対活性253500
0)、画分F4(720ml,蛋白質濃度0.0467
/ml,総蛋白質量33.6mg,相対活性11550
00)を得た。このように、分画されたTPO活性はゲ
ル濾過法での分子量範囲が広いことが判明したため、S
DS−PAGE後、ウエスターン分析を実施したとこ
ろ、F1ではほとんどが分子量66000〜10000
0のTPOであったのに対し、F2、F3ではそれぞれ
分子量32000〜60000、分子量32000〜4
2000のTPO分子種が存在していた。いずれの分子
量のTPO分子も全てTPO活性をもっていた。なお、
分子量66000〜100000のTPO分子について
N末端アミノ酸配列分析を実施したところ、ヒトTPO
遺伝子でコードされるタンパク質のアミノ酸配列を含む
ことが確認できた。また、分子量66000〜1000
00のTPO分子について、N−グリカナーゼ(N−g
lycanase:Genzyme社製、カタログ番号
1472−00)、ノイラミニダーゼ(Neuramn
idase:ナカライテスク社製、カタログ番号242
−29 SP)、エンド−α−N−アセチルガラクトサ
ミニダーゼ(Endo−α−N−acetylgala
ctosaminidase:生化学工業製、カタログ
番号100453)、およびO−グリコシダーゼ(0−
Glycosidase:Boehringer Ma
nnheim Biochemica社製、カタログ番
号1347101)の糖鎖切断酵素を単独あるいは組み
合わせて酵素消化実験を行いSDS−PAGE調べたと
ころ、TPOのポリペプチド部分は理論値から推定され
る分子量約36000であり、N結合型糖鎖とO結合型
糖鎖の両方を持つ糖タンパク質であることが判明した。 <実施例57> ヒトTPO産生CHO細胞株からヒトTPOの精製 (1)実施例55と同様にして得られたCHO細胞無血
清培養上清1Lに211.4gの硫酸アンモニウムを加
え、0.2μmフィルター(Gelman Scien
ce社製、カタログ番号12992)で濾過し、予め
1.2M硫酸アンモニウム,20mM 酢酸ナトリウム
緩衝液(pH5.6)で平衡化しておいたMacro−
Prep Methyl HICカラム(Bio−Ra
d社製,カタログ番号 156−0081,直径50m
m、ベッド高90mm)に流速15ml/minで添加
した。添加終了後、20mM酢酸ナトリウム緩衝液(p
H5.6)450mlで溶出した。この溶出液をVyd
ac 逆相 C4 カラム(The Separati
ons GrouP社製、カタログ番号214BTP5
4,直径4.6mm,ベッド高250mm)に流速0.
75ml/minで添加した。添加終了後、15分間5
%エタノールを含む10mMトリス緩衝液(pH6.
4)(展開溶媒A)で洗浄後、展開溶媒Aから10mM
トリス緩衝液(pH6.4)を含む94%エタノール
(展開溶媒B)まで66分間の直線グラジエントで溶出
した。このクロマトグラムを図15に示した。TPOと
思われる分子量約65000−100000の分子は、
SDS−PAGEによる分析の結果、サンプル添加後の
保持時間68−72分付近の画分に得ることができ、単
一なバンドであることが確認できた(図16参照)。さ
らにウエスターン分析により、このタンパク質がTPO
であることを確認した。このサンプルの一部を取り、N
末端アミノ酸分析を行った結果、ヒトTPO遺伝子でコ
ードされるタンパク質のアミノ酸配列を含むことが確認
できた。 <実施例58> ヒトTPOの昆虫細胞での発現用組換えウイルスの作製 実施例30で作製したpHTP1を制限酵素EcoRI
並びにNotIで消化後1%アガロースゲル電気泳動に
かけ、約1200bpのバンドをプレップ−A−ジーン
DNA 精製キットを用いて精製した後、同様に制限酵
素処理したトランスファーベクターpVL1393(イ
ンビトローゲン社製)に連結しコンピテントハイE.c
oli DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。得ら
れたコロニーよりプラスミドDNAを調製し、ヒトTP
OcDNAのコーディング領域を全て含むクローンpV
L1393/hTPOを得た。このクローンのプラスミ
ドDNAをMolecular Cloning(sa
mbrookら、ColdSpring Harbor
Laboratory Press,1989)に記
載されているようにして調製し、BaculoGold
TM Transfection Kit(ファーミン
ゲン社製)を用いて昆虫細胞Sf21(インビトローゲ
ン社製)にトランスフェクション後、Sf−900培地
(ライフテクノロジー社製)中で27℃で4日間培養
し、そのウイルスを含んだ上清を回収した。この上清を
10〜10倍に希釈してその1mlを用いて、35
mm径のシャーレ中で約7×10個のSf21細胞に
27℃で1時間感染させた。上清を抜きとりSf−90
0培地を含む1%アガロースを流し込みアガロースが固
まった後、加湿下で27℃で6日間培養した。ここで形
成されたシングルプラークをピックアップし、200μ
lのSf−900培地中でウイルスを溶出させた。この
ウイルスクローンを24ウエルプレート中でSf21細
胞に感染させウイルスの増幅を行った。得られたシング
ルプラーク由来のウイルス液の一部をフェノール/クロ
ロホルム処理後、エタノール沈殿してウイルスDNAを
回収した。このウイルスDNAを鋳型としてヒトTPO
cDNAに特異的なプライマーを用いてPCRを行い、
特異的なDNA断片が増幅されるか否かにより、ヒトT
POcDNAを含む組換え体ウイルスを選択した。ここ
で得られたヒトTPOcDNAを含む組換え体ウイルス
を含む上清を用いてSf21細胞に感染させ、さらにウ
イルスの増幅を行った。 <実施例59> Sf21昆虫細胞でのヒトTPOの発現と活性確認 175cmの培養フラスコ中に、Sf21細胞を約8
0%コンフルエントになるまで培養し、実施例58で作
製したヒトTPOcDNAを含む組換え体ウイルスを2
7℃で1時間感染させた後、Sf−900培地中で27
℃で4日間培養し、その上清を回収した。得られた培養
上清をNAPTM−5カラム(ファルマシア社製)を用
いてIMDM培養液に置換し、これをラットCFU−M
Kアッセイ系及びM−07eアッセイ系にかけたとこ
ろ、用量依存的に有意なTPO活性及びM−07e細胞
増殖促進活性が認められた。また、実施例45に記載し
たのと同様のウエスタン分析により、Sf21細胞で発
現した組み換えヒトTPOが確認された。 <実施例60> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするク
ローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異
型ヒトTPO、h6T(1−163)のN−ラウロイル
サルコシンナトリウムと硫酸銅を用いたリフォールディ
ング法とリフォールディング〜精製 実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換
体凍結菌体30gに水300mlを加えてけん濁し、高
圧破砕機(10000psi、RannieHigh
Pressure Laboratory)で菌体を破
砕した後、遠心分離により沈殿画分を回収した。沈殿画
分に90mlの水を加えて懸濁し、さらに撹拌しながら
水を加えて液量を150mlにした後、9mlの1MT
ris緩衝液pH9.2、540μlの1MDTT、
1.8mlの0.5MEDTA、18mlの10%デオ
キシコール酸ナトリウムを攪拌しながら加え、室温にて
30分間攪拌した。遠心分離により沈殿画分を回収し、
大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去した。沈殿に1
80mlの5mMDTTを加えてけん濁した後、遠心分
離によってh6T(1−163)を含む沈殿画分を回収
した。得られた沈殿画分に水300mlを加え懸濁し、
さらに撹拌しながら水を加えて液量を570mlにした
後、攪拌しながら30mlの1MTris緩衝液pH8
と150mlの10%N−ラウロイルサルコシンナトリ
ウムを加えて室温にて20分間攪拌して可溶化した。こ
れに750μlの1%硫酸銅を加え、室温にて一晩(約
20時間)撹拌した。遠心分離によりh6T(1−16
3)を含む上清画分を回収した後、上清750mlに7
50mlの水、1500mlの20mMTris緩衝液
pH7.7加えた後、撹拌しながら3mlのポリソルベ
ート80(日光ケミカルズ)を加えた。同溶液に600
gのDowex 1−x4,20−50mesh,ch
lorideform イオン交換樹脂を加え、室温に
て90分間撹拌した。グラスフィルターを用いてイオン
交換樹脂非吸着画分を回収した後、750mlの20m
MTris緩衝液pH7.7でイオン交換樹脂を洗浄し
た。イオン交換樹脂非吸着画分と洗浄液を合わせた溶液
に2N水酸化ナトリウム加えてpHを9.2に調整し、
0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩
衝液pH9.2で平衡化したQ Sepharose
Fast Flow陰イオン交換カラム(内径5cm
x 10cm)に添加し、非吸着画分を回収した。塩酸
を用いて得られた非吸着画分のpHを7.2に調整し、
0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩
衝液pH7.2で平衡化したSP Sepharose
Fast Flow陽イオン交換カラム(内径5cm
x 10cm)に添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウ
ム濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配法によっ
て溶出を行なった。溶出液についてSDS−PAGEに
よって分析を行い、TPO溶出画分を集めた。TP0溶
出画分にトリフルオロ酢酸を0.1%になる様に加え、
カプセルパック5μm300A C1カラム(内径2.
1cm x 5cm x 2本、資生堂)に添加した
後、0.1%トリフルオロ酢酸中で1−プロパノール濃
度を上昇させる直線濃度勾配溶離法によって逆相HPL
Cを行なった。溶出液について還元剤非存在下でのSD
S−PAGEにより分析した結果及び逆相HPLCでの
溶出位置によって、3画分に分画し、各々について0.
1%トリフルオロ酢酸を用いて3倍希釈した後、上記の
逆相HPLCカラムに添加し、同様の方法で再クロマト
グラフィーを行なった。得られたTPO3画分を逆相H
PLCの溶出順にFr.S−a、Fr.S−b、Fr.
S−c(図17参照)として還元剤非存在下でのSDS
−PAGEで分析した結果、各々、分子量18Kダルト
ン(Fr.S−a)、19Kダルトン(Fr.S−
b)、18Kダルトン(Fr.s−c)付近に単一のバ
ンドとして検出された(図18参照)。各々についてア
ミノ酸組成分析を行った結果、得られたアミノ酸組成は
シークエンス情報からの理論値とほぼ一致し,またN末
端アミノ酸配列分析の結果、予想される配列のみが得ら
れた。またアミノ酸分析の結果から得られた各画分の蛋
白質量は、各々、0.64mg(Fr.S−a)1.8
1mg(Fr.S−b)、3.49mg(Fr.S−
c)であった。各画分をIMDM培養液に対して十分に
透析後、M−07eアッセイを行った結果、相対活性約
1620000(Fr.S−a)、相対活性約2350
0000(Fr.S−b)、相対活性約7460000
00(Fr.S−c)のTPO活性を示した。 <実施例61> 大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするク
ローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異
型ヒトTPO、h6T(1−163)の塩酸グアニジン
とシステイン−シスチンを用いたリフォールディング〜
精製 実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換
体凍結菌体50gに水500mlを加えてけん濁し、高
圧破砕機(10000psi、RannieHigh
Pressure Laboratory)で菌体を破
砕した後、遠心分離により沈殿画分を回収した。沈殿画
分に水を加えて懸濁し、さらに撹拌しながら水を加えて
液量を250mlにした後、15mlの1MTris緩
衝液pH9.2、900μlの1MDTT、3mlの
0.5MEDTA、30mlの10%デオキシコール酸
ナトリウムを攪拌しながら加え、室温にて30分間攪拌
した。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在
蛋白質、菌体成分等を除去した。沈殿に300mlの5
mMDTTを加えてけん濁した後、遠心分離によってh
6T(1−163)を含む沈殿画分を回収した。回収さ
れたh6T(1−163)を含む沈殿画分に水を加えて
けん濁し、最終104mlとした。攪拌しながら20m
lの1MTris緩衝液pH8.5を加えた後、376
mlの8M塩酸グアニジンを加えて室温にて10分間攪
拌して可溶化した。これに撹拌しながら2500mlの
0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩
衝液pH8.5を加え、さらに1M塩酸グアニジンを含
む20mMTris緩衝液pH8.5を2000ml加
えた後、5mMシステインと0.5mMシスチンを加え
て撹拌し溶かした。4℃中にて一晩静置した後、遠心分
離によって上清中にh6T(1−163)を回収した。
得られた上清をプレップスケールUFカートリッジPL
DC限外濾過膜(ミリポア)を用いて濃縮し、0.1%
ポリソルベート80を含む20mMTris緩衝液pH
9.2にて緩衝液を置換して最終容量約1000mLと
した。これを0.1%ポリソルベート80を含む20m
MTris緩衝液pH9.2で平衡化したQ Seph
arose Fast Flow陰イオン交換カラム
(内径5cm x 10cm)に添加し、同緩衝液中で
塩化ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃度
勾配法によって溶出を行ない、塩化ナトリウム濃度20
mMから150mM付近までの塩濃度で溶出された画分
240mLを回収した。得られた画分を20mMTri
s緩衝液pH7.2で4倍に希釈して960mLとし、
酢酸を用いてpHを7.2に調整した。これを0.1%
ポリソルベート80を含む20mMTris緩衝液pH
7.2で平衡化したSP Sepharose Fas
t Flow陽イオン交換カラム(内径5cm x 1
0cm)に添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0
Mから500mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を
行なった。溶出液についてSDS−PAGEによって分
析を行い、TPO溶出画分を集めた。TPO溶出画分に
トリフルオロ酢酸を0.1%になる様に加え、カプセル
パック5μm300AC1カラム(内径2.1cm x
5cm x 2本、資生堂)に添加した後、0.1%
トリフルオロ酢酸中で1−プロパノール濃度を上昇させ
る直線濃度勾配溶離法によって逆相HPLCを行なっ
た。溶出液について還元剤非存在下のSDS−PAGE
により分析した結果及び逆相HPLCでの溶出位置によ
って2画分に分画した。得られたTPO溶出2画分を逆
相HPLCの溶出順にFr.G−a、Fr.G−d(図
17参照)として各々について還元剤非存在下でのSD
S−PAGEで分析した結果、各々、分子量18Kダル
トン(Fr,G−a)、32Kダルトン(Fr.G−
d)付近に単一のバンドとして検出された(図18参
照)。また、還元剤存在下でのSDS−PAGE分析を
行った結果、どちらの画分も分子量20Kダルトン付近
に単一のバンドとして検出された。各々についてアミノ
酸組成分析を行った結果、得られたアミノ酸組成はシー
クエンス情報からの理論値とほぼ一致し,またN末端ア
ミノ酸配列分析の結果、予想される配列のみが得られ
た。またアミノ酸分析の結果から得られた各画分の蛋白
質量は、各々、2.56mg(Fr.G−a)、1.1
6mg(Fr.G−d)であった。各画分をIMDM培
養液に対して十分に透析後、M−07eアッセイを行っ
た結果、相対活性約3960000(Fr.G−a)、
相対活性約7760000(Fr.G−d)のTPO活
性を示した。 <実施例62> 部分長ヒトTPO(アミノ酸1−163)(以下、この
タンパク質を「hTPO163」と称す)のCHO細胞
用組換えベクター、pDEF202−hTPO163の
構築 実施例31で得られたベクターpDEF202を制限酵
素EcoRIとSpeIで処理し、アガロースゲル電気
泳動で大きい方のベクターフラグメントを回収したの
ち、このフラグメントと−21から163位のアミノ酸
までをコードするhTPO163cDNA(配列表 配
列番号13参照)を含むプラスミドpEF18S−hT
PO163を制限酵素EcoRIとSpeIで処理して
得られたhTPO163cDNA とをT 4DNA
リガーゼ(宝酒造製)で結合させ、発現ベクターpDE
F202−hTPO 163を得た。このプラスミドは
SV40の複製開始領域、ヒトエロンゲーションファク
ター1−アルファプロモーター、SV40初期ポリアデ
ニル部位、マウスDHFRミニ遺伝子、pUC 18の
複製開始領域、β−ラクタマーゼ遺伝子(Amp)を
含み、ヒトエロンゲーションファクター1−アルファプ
ロモーター下流にhTPO163cDNAが接続されて
いる。 <実施例63> CHO細胞によるhTPO163の発現 CHO細胞(dhfr−株、UrlaubとChasi
n;Proc.Natl.Acad.Sci.USA;
77巻4216頁、1980)を6cm径のプレート
(Falcon社製)中10%牛胎児血清を含むα最小
必須培地(α−MEM(−)、チミジン、ヒポキサンチ
ン添加)で培養増殖させ、これをトランスフェクタム法
(生化学工業社製)によって形質転換した。すなわち、
実施例62で調製したpDEF202−hTPO 16
3プラスミド10μgに0.3M NaCl240μl
を加え混合したのち、トランスフェクタム20μlとH
O220μlとの混合液を加え、再度混合した。この
DNA 溶液をプレートに滴下したのち、COインキ
ュベーター中で6時間培養した。プレートから培地を除
去し、α−MEM(−)にて2回洗浄後、10%ジメチ
ルスルフォオキシド含有α−MEM(−)を添加し、室
温で2分間処理した。次いで、10%透析牛胎児血清含
有非選択培地(前出α−MEM(−)、ヒポキサンチ
ン、チミジン添加)を添加して2日間培養したのち、1
0%透析牛胎児血清含有選択培地(α−MEM(−)、
ヒポキサンチン、チミジン無添加)での選択をおこなっ
た。選択は細胞をトリプシン処理した後、6cm径プレ
ート1枚あたりを、10cm径プレート5枚あるいは2
4ウエルプレート20枚に分割したのち、2日ごとに選
択培地にて培地交換を行いながら培養を続行する事によ
り実施した。細胞が増殖してきたプレートあるいはウエ
ルについてはその培養上清中のTPO活性をBa/F3
アッセイ法を用いて測定したところ、TPO活性が認め
られた。培養上清中にTPO活性の認められたものにつ
いては新しいプレートあるいはウエルに25nMのメソ
トレキセートを含む選択培地で1:15に細胞を分割
し、培養を続行することによりメソトレキセートに耐性
の細胞を増殖させてクローニングを行った。なお、CH
O細胞の形質転換はCHO細胞に対しpEF18S−h
TPO 163とpMG1を同時形質転換(co−tr
ansfection)することによっても行うことが
できる。プラスミドpDEF202−hTPO163に
よって形質転換されたCHO細胞株(CHO−DUKX
B11)は1995年1月31日付で通商産業省工業技
術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP
−4989として寄託されている。これはまた、199
5年3月22日付で中華民国 食品工業発展研究所(F
IRDI)に受託番号960024として寄託されてい
る。 <実施例64> CHO細胞の大量培養 実施例63においてhTPO163発現プラスミドpD
EF202−hTPO163をCHO細胞にトランスフ
ェクションして得られたhTPO163産生CHO細胞
株(CHO109細胞、OnM MTX耐性)の大量培
養は以下のようにして実施した。細胞を10%FCSを
含むDMEM/F−12培地(GIBC0社)を用いて
培養増殖させた。この細胞をトリプシン溶液を用いて剥
離したのち、200mlの同培地を含むFalcon社
製ローラーボトル(Falcon3000)に1000
万個の細胞を接種し、37℃で1rpmの回転速度で3
日間培養した。3日後、培養液を吸引除去し、100m
lのPBSで細胞培養表面をリンスしたのち、10%F
CSを含まないDMEM/F−12培地(GIBCO
社)を200ml加え、37℃、1rpmの回転速度で
7日間培養し、7日後その培養上清を回収し、次の精製
操作の出発材料にした。上記の操作をローラーボトル3
00本分実施し、無血清培養上清60Lを得た。 <実施例65> hTPO163産生CHO細胞株からhTPO163の
精製 (1)実施例64より得られた無血清培養上清60Lを
得て、0.22μmの濾過フィルターの濾液をとった。
さらに限外濾過ユニット(フィルトロン社製・分子量1
0000カット)を用いて濃縮画分(600ml、蛋白
質濃度11.2mg/ml、総蛋白質量6430mg)
を得た。この画分を抗HT1ペプチド抗体を用いてウエ
スターン分析で調べたところ、見かけの分子量2000
0〜26000の範囲に発現されたhTPO163蛋白
質が存在することが明らかとなった。この濃縮培養上清
573mlを流速約20ml/minにて、10mMリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で予め平衡化して
あったSephadex G−25 Fineカラム
(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ番号17−
0032−02;直径10cm、ベッド高30cm)に
て処理することにより、10mMリン酸ナトリウム緩衝
液(pH6.8)溶液となった蛋白質画分F1(938
ml,蛋白質濃度4.9mg/ml,総蛋白質量459
4mg)を得た。このSephadex G−25 F
ineカラム蛋白質画分929mlを、予め10mMリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)平衡化したSP
Sepharose Fast Flow(ファルマシ
ア・バイオテク社製、カタログ番号17−0729−0
1;直径5cm、ベッド高 12cm)カラムに流速1
5ml/minで添加した。添加終了後、さらに10m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)、次いで10
%エタノールを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液
(pH6.8)で溶出されたものまでをまとめ、画分F
1(1608ml,蛋白質濃度2.13mg/ml,総
蛋白質量3426mg)を得た。次に、溶出液を10m
Mリン酸ナトリウム(pH6.8)中に750mM N
aCl、25%エタノールを含む緩衝液にかえ、溶出さ
れたhTPO163の主たる溶出画分F2(651m
l,蛋白質濃度1.67mg/ml,総蛋白質量108
7mg)を集めた。SP Sepharose Fas
t FlowカラムのTPO活性画分F2のうち200
mlをとり、エタノール及び精製水を加え、最終エタノ
ール濃度45%の溶液300mlを調製した。ここでエ
タノール添加の結果生じた不溶物を遠心分離により取り
除いた後、展開溶媒A(10mM酢酸ナトリウム緩衝液
(pH6.7))、展開溶媒B(90%エタノールを含
む10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.7))を用
意し、予め50%B液にて平衡化したSOURCE15
RPCカラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタロ
グ番号17−0727−02;直径2cm、ベッド高2
0cm)に流速2ml/minで注入した。注入後、カ
ラム非吸着物質がほぼ溶出するまで45%B液にて洗浄
した後、流速を1.5ml/minにし、まず5分間5
0%B、次いで50%Bから100%Bまで140分の
直線濃度勾配の後、100%B液にて35分間展開し
た。この間5分(7.5ml)ごとに集められた溶出画
分をSDS−PAGE及びウエスターン分析にかけ、h
TPO163の溶出範囲を調べたところ、エタノール濃
度66%〜87%の範囲に見かけの分子量約20000
から26000の高度に精製されたhTPO163が溶
出されていることが判明した。これらのhTPO163
のうち分子量の高いものほどより早く逆相カラムから溶
出したことから、糖鎖がより多く結合したhTPO16
3分子ほど親水性が増していることが示唆された。SO
URCE 15RPCカラムのhTPO163溶出画分
(エタノール濃度68%〜86.5%の範囲に溶出した
hTPO163画分90ml)のうち、88.8mlに
CHAPSを添加後、限外濾過法(アミコン社製、YM
−3膜付き限外濾過ユニット)により濃縮、洗浄を行
い、最終的に約5%エタノール、4mMCHAPSを含
む2.5mlの濃縮標品とした。この標品を予め10%
エタノールを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(p
H6.8)で平衡化したSuperdex 75pg
カラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ番号
17−1070−01;直径2.6cm、ベッド高60
cm)に流速1.5ml/minで注入した。注入後6
0分後から、6ml(4分)ごとに溶出画分を集めたと
ころ、SDS−PAGEにより試験管番号16番以降の
画分にhTPO163が溶出しはじめ、少なくとも31
番目までの広い範囲にhTPO163が溶出しているこ
とを確認した。これは、ゲルろ過の標準分子量マーカー
(Bio−Rad社製Gel Filtration
Standard;カタログ番号151−1901及び
Calbiochem社製インシュリン;カタログ番号
407696の混合物)に対して、分子量約44000
から6000の範囲に相当する。しかもこれらのhTP
O163は糖がより多く付加された分子量の大きいもの
から順に溶出していると考えられた。試験管番号16〜
31(溶出体積180〜276ml)の溶出範囲にある
すべてのhTPO163の分子種をまとめたものとして
画分FAを調製した。画分FAとは別に、試験管番号1
6〜18(溶出体積180〜198ml)、試験管番号
19〜24(溶出体積198〜234ml)、試験管番
号25〜31(溶出体積234〜276ml)の各々の
一部をとり、それぞれ画分FH、FM、FLとした。つ
まり画分FAは、実質的に画分FH、FM、FLを合わ
せたものとなる。以上、図19に示す。 (2)次に(1)で述べたSuperdex 75pg
カラムのhTPO163溶出画分FH、FM、FL及
びFAについて詳細に述べる。このようにして得られた
hTPO163のN末端側のアミノ酸配列を実施例1に
述べた方法と同様にして調べたところ、N末端のセリン
の大部分は同定不能であったことより、N末端のセリン
にO結合型糖鎖が付加されていることが強く示唆され
た。また、N末端のセリンに続く配列は遺伝子配列から
期待されたアミノ酸配列であることが確認できた。アミ
ノ酸組成分析(AccQ.Tag法、ウォターズ社)の
結果、FH、FM、FL及びFAのhTPO163蛋白
質(糖鎖を含まないペプチド部分)の濃度がそれぞれ1
0.2ng/ml、6.2ng/ml、0.84ng/
ml、3.2ng/mlであった。これらの画分100
ngをマルチゲル15/25(第一化学薬品社製15〜
25%プレキャストポリアクリルアミドゲル)を用いて
非還元条件或いはDTTにより還元後、SDS−PAG
Eを実施し銀染色(第一化学薬品社製)したところ、そ
れぞれ極めて高純度なhTPO163標品であることが
確認できた。還元条件下においてはDPCIII分子量
マーカー(第一化学薬品社製)を標準として算出された
FH、FM、FL及びFAのhTPO163の見かけの
分子量はそれぞれ24000〜21500、23000
〜21000、23000〜20500、23500〜
20500であった(図20を参照)。またウエスター
ン分析により還元条件下においてはビオチン標識SDS
−PAGEスタンダード(Bio−Rad 社製 Bi
otynylated SDS−PAGE Stand
ards,Broad Range;カタログ番号16
1−0319)を標準として算出されたFH、FM、F
L及びFAのhTPO163の見かけの分子量はそれぞ
れ26000〜22000、25500〜22000、
26000〜21000、26000〜21000であ
った。FH、FM、FL及びFAの分子量の不均一性
は、付加されたO結合型糖鎖の不均一性によることと推
定できる。そこでFH、FM、FL及びFAの各画分を
ノイラミニダーゼ(Neuraminidase:ナカ
ライテスク社製、カタログ番号242−29 SP)で
酵素消化し、DTTで還元後SDS−PAGEで分析し
たところ、いずれの画分も見かけの分子量が19000
付近となったことから、hTPO163蛋白質に付加さ
れた糖鎖のシアル酸の量の不均一性が確認されたのと同
時に、ここで得られたhTPO163が糖蛋白質として
CHO細胞で発現されたものであることが明らかとなっ
た。 (3)(2)で得られたFH、FM、FL及びFAの各
画分をM−07eアッセイ系でin vitro活性を
調べたところ、相対比活性は1mghTPO163蛋白
質(糖鎖重量を含まないペプチド部分の重量)当たり、
それぞれ511000000、775000000、1
150000000、715000000であった。 <実施例66> −1位にLys、−2位にMetが付加されたヒトTP
O(アミノ酸1−332)(以下「hMKT(1−33
2)」と称す)の大腸菌用発現ベクターの構築及び発現 ヒトTPO全長アミノ酸を大腸菌で発現させるためアミ
ノ酸164以降のアミノ酸332までの使用コドンを以
下に述べるように大腸菌優先コドンに変更した。表20
に示した21−40の合成オリゴヌクレオチドを作成し
た。
【表20】 21及び22;23及び24;25及び26;27及び
28;29及び30;31及び32;33及び34;3
5及び36;37及び38;39および40の合成オリ
ゴヌクレオチドを同チューブ中でT4キナーゼ(ファル
マシア社製)を用いて0.1mM ATP,10mM
Tris−acetate,10mMMg−aceta
te,50 mM K−acetateの溶液中でリン
酸化した。さらに1/10量の100mM Tris/
HCl(pH7.5),100mM MgCl,50
0mM NaClの溶液を加え、水浴中で3分間煮沸し
た後、放置することにより二本鎖DNAとした。次に2
1及び22;23及び24(組合わせA)、25及び2
6;27及び28;29及び30(組合わせB)、31
及び32;33及び34(組合わせC)、35及び3
6;37及び38;39及び40(組合わせD)の四組
の二本鎖DNAをDNA ライゲーションキット(宝酒
造社製)を用いて連結後、さらに(組合わせA)及び
(組合わせB)、(組合わせC)及び(組合わせD)を
それぞれ同様に連結し、得られた反応液を連結1及び連
結2とした。これらの反応液を鋳型として、連結1につ
いては41および42、連結2については43及び44
の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR反
応を行った。連結1のPCR反応で得られたPCR産物
についてはSacI,EcoRV、連結2のPCR反応
で得られたPCR産物についてはEcoRV,Hind
IIIで消化後2%のアガロースゲルで泳動し、それぞ
れ約240bp及び250bpの断片をプレップ−A−
ジーンDNA精製キットにより回収した。これら二本の
断片ををSacIとHindIIIで消化したpBlu
escript II KS+(ストラタジーン社製)
にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5
を使用した)。得られたクローンのうち表21に示した
塩基配列を有するものをシークエンシングにより選択
し、ここで得られたクローンをpBL(SH)(174
−332)とした。
【表21】 次に実施例42で作成したpBL(XH)h6T(1−
163)を鋳型とし、以下の45及び46の合成オリゴ
ヌクレオチドをプライマーとしてPCR反応を行い、こ
こで得られたPCR産物についてはBamHI,Sac
Iで消化後6%のポリアクリルアミドゲルで泳動し、約
160bpの断片をゲルより回収した。またpBL(S
H)(174−332)をSacI,HindIIIで
消化して得られた約480bpの断片をプレップーA−
ジーンDNA精製キットにより回収し、これら二本の断
片をBamHIとHindIIIで消化したpBlue
script II KS+ (ストラタジーン社製)
にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5
を使用した)。 得られたクローンのうち表22に示した塩基配列を有す
るものをシークエンシングにより選択し、ここで得られ
たクローンをpBL(BH)(123.332)とし
た。
【表22】 実施例42で作成したpBL(XH)h6T(1−16
3)をBamHIとHindIIIで消化し、pBL
(BH)(123−332)を同じ制限酵素で消化して
得られた約640bpの断片を連結してクローンpBL
(XH)h6T(1−334)を作成した。さらに実施
例52で作成したPCFM536/hMKT(1−16
3)をXbaI,SfiIで消化して得られた約270
bpの断片を、同じ制限酵素で消化したpBL(XH)
h6T(1−334)に連結してクローンpBL(X
H)hMKT(1−334)を作成した。pBL(X
H)hMKT(1−334)をXbaI,HindII
Iで消化後、変異型のヒトTPOアミノ酸1−332を
コードする約1040bpの大きさのフラグメントを回
収して精製後、XbaI,HindIIIで消化したp
CFM536(特表昭60−501988)にクローニ
ングした(宿主はpMW1(ATCC No.3993
3)で予め形質転換されたE.coli JM109を
使用した)。ここで得られたクローンをpCFM536
/hMKT(1−332)とし、この発現ベクターを有
する大腸菌株を変異型のhMKT(1−332)タンパ
ク発現用の形質転換体とした。この発現プラスミドは、
配列表(配列番号14)に示されたDNA配列を含んで
いる。ここで得られた形質転換株を、アンピシリン50
μg/ml、テトラサイクリン12.5μg/mlを含
むLB培地60mlに30℃で一晩振盪培養し、この培
養液25mlをアンピシリン50μg/mlを含むLB
培地1000mlに加えて、ODはA600が1.0−
1.2に至るまで30℃で振盪培養した。次いで最終温
度が、42℃になるように65℃の約330mlLB培
地を添加し、さらに3時間42℃で振盪培養して変異型
のヒトTPO、hMKT(1−332)タンパクの発現
を誘導した。この培養菌体を直接サンプルとして用いて
SDS−PAGEを行った。SDS−PAGEには第一
化学社製のマルチゲル15/25を用い、泳動後にクマ
シーブルー染色を行ったところhMKT(1−332)
タンパク質の発現を誘導したものに関しては、分子量約
35kDのところに発現誘導に特異的なタンパク質が検
出された。一方、SDS−PAGE後にゲル上のタンパ
ク質をニトロセルロース膜にエレクトロプロッティング
し、実施例45で作製した抗HT1ペプチド抗体と反応
させ発色させたところ、分子量約35kDのところにバ
ンドが検出されたことから、hMKT(1−332)の
発現が確認された。 <実施例67> ヒトTPO置換誘導体の作製とCOS7細胞での発現〜
活性確認 ヒトTPOのアミノ酸の一部を置換した誘導体が活性を
有するかどうかを以下のとおり検討した。本実施例で用
いた動物細胞発現ベクターpSMT201は以下のよう
に作製した。まず、マウスエリスロポエチンレセプター
cDNAを含む発現プラスミドpXM−mEPORn
(Dana Farbor 癌研究所D′−Andre
a博士より入手、Cell:57巻、277−285頁
(1989))を制限酵素KpnIおよびEcoRIで
処理した後、アガロースゲル電気泳動しマウスエリスロ
ポエチンレセプターcDNA部分を除くpXM ベクタ
ー断片を回収した。次に回収したpXM発現ベクターに
種々のクローニング用制限酵素部位を導入するための2
本の合成オリゴヌクレオチドをABI社製DNA合成機
を用いて作製した。合成したオリゴヌクレオチドの塩基
配列を以下に示す。 この2本のオリゴヌクレオチドを混合し、アニーリング
させ2本鎖オリゴヌクレオチドとした後、上記で回収し
たpXMベクター断片とをT4DNAリガーゼ(宝酒造
製)で結合させ、発現ベクターpDMT201を得た。
次にこの発現ベクターpDMT201に含まれるマウス
DHFR cDNAを除去するためにpDMT201ベ
クター及びpEF18Sベクターを制限酵素Not I
およびHpa Iで処理後アガロースゲル電気泳動し、
pDMT201ベクターDNA由来の大きい方の断片と
pEF18SベクターDNA由来の小さい方の断片を回
収し、T 4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合させる
ことにより発現ベクターpSMT201を得た。このベ
クターは、図21に示したとおりSV40の複製開始領
域およびエンハンサー配列、アデノウィルス主要後期プ
ロモーター配列、アデノウィルストリパータイトリーダ
ー配列、スプライス信号配列、SV40初期ポリアデニ
ル部位配列、アデノウィルスVA RNA遺伝子配列、
pUC 18の複製開始領域、β−ラクタマーゼ遺伝子
(Amp)を含み、目的とする遺伝子を連結するため
の制限酵素配列として、BgI II、Pst I、K
pnI、Xho I、EcoRI、Sma I、Spe
I、およびNot I部位を有する。実施例30で示
した完全長ヒトTPO cDNAを含むpHTP1を制
限酵素EcoRIおよびspeIを用いて酵素消化し得
られた完全長ヒトTPO cDNA断片を、同様に制限
酵素消化したベクターpSMT201にサブクローニン
グすることによりプラスミドpSMT201−hTPO
を得た。以上のようにして得たプラスミドpSMT20
1−hTPOを鋳型にして、まず誘導体作製用の鋳型と
なるプラスミドβGL−TPO/pBlueを以下のよ
うに作製した。βGL−TPO/pBlueではヒトT
POの5′非翻訳側に、Annweilerらの方法に
従いウサギのβ−グロビンリーダー配列の付加を試みた
(Annweilerら、Nucleic Acids
Research、19巻、3750頁)。まず以下
に示す化学合成した2本のDNA鎖、そしてベクターB
luescriptIISK+(東洋紡績社製)を制限
酵素EcoRI及びSmaIで消化した断片とをライゲ
ーションすることによりリーダー配列が挿入されたベク
ターβGL/pBlueを作製した。 PCRに用いたプライマーの配列は以下の通り。 PCRはプラスミドpSMT201−hTPO DNA
1ngを鋳型として使用し、合成したプライマーをそれ
ぞれ10μM使って実施した。TaKaRaPCR A
mplification Kit(宝酒造社製)を用
いて、Programmable Thermal C
ontroller(MJ Research社製)に
より100μlの容量でPCR(94℃1分間、55℃
2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45
秒間、55℃1分間、72℃1分間を20サイクル)を
行った。PCR産物をクロロホルム抽出し、エタノール
沈殿を2回行った後100μlのTEバッファーに溶解
した。これを制限酵素smaI、HindIIIで消化
後、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿を
行った。得られた沈殿を10μlのTEバッファーに溶
解後、同様に制限酵素消化したベクターβGL/pBl
ueにサブクローニングした(宿主菌は東洋紡績社製コ
ンピテント・ハイE.coli JM109を使用)。
得られた形質転換体のうち20クローン選択し、プラス
ミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecul
ar Cloning [Sambookら、Cold
Spring Harbor Labotory P
ress(1989)]に記載されているようにして実
施した。精製したプラスミドDNAについてはTaqD
ye DeoxyTMTerminater Cycl
e Sequencing Kit(アプライドバイオ
システムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ
社製373ADNAシークエンサーにより塩基配列の確
認を行った。βGL−TPO/pBlueをコードする
プラスミドは全長にわたり塩基配列の置換がなく予想通
りのTPOcDNA配列を持つことを確認した。さらに
βGL−TPO/pBlueを制限酵素BglII、S
peIで消化後、フェノール/クロロホルム抽出、エタ
ノール沈殿を行った。得られた沈殿を10μlのTEバ
ッファーに溶解し、同様に制限酵素消化したベクターp
SMT201にサブクローニングした(宿主菌は東洋紡
績社製コンピテント・ハイE.coli JM109を
使用)。本質的にMolecular Cloning
[Sambookら、Cold Spring Ha
rbor Labotory Press(198
9)]に記載されている方法に従い、形質転換体からプ
ラスミドDNAを調製した。得られた発現ベクターpS
MT/βGL−TPOは、図21に示したpSMT20
1ベクターのスプライス信号配列の下流にある制限酵素
配列Bgl II/Spe I部位にβ−グロビンリー
ダー配列及びヒトTPOcDNAが接続された構造を有
している。このpSMT/βGL−TPOベクターCO
S7細胞へのトランスフェクション実験に用いた。ヒト
TPO置換誘導体の作製にはPCRを利用し、Itoら
の方法に従った(Ito ら、Gene、102巻、6
7−70頁 1991年)。ここでは、ヒトTPOの2
5位のArg残基をAsn残基に置換した誘導体、並び
に33位のHis残基をThr残基に置換した誘導体の
作製を試みた。PCRに用いたプライマーの配列は以下
の通り。 第1段階のPCRはプラスミドβGL−TPO/pBl
ue DNA1ngを鋳型として使用し、合成したプラ
イマーをそれぞれ10μM使って実施した(プライマー
の組み合わせは[1]△BglIIとend、[2]T
7とN3、[3]T7と09)。TaKaRa PCR
AmplificationKit(宝酒造社製)を
用いて、Programmble Thermal C
ontroller(MJ Research社製)に
より100μlの容量でPCR(94℃1分間、55℃
2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45
秒間、55℃1分間、72℃1分間を17サイクル)を
行った。それぞれのPCR産物をクロロホルム抽出し、
エタノール沈殿を2度行った後100μlのTEバッフ
ァーに溶解した。このPCR産物を2種類1μlずつ用
いて第2段階のPCRを行った。鋳型の組み合わせは
[1]と[2]のPCR産物、[1]と[3]のPCR
産物である。用いたプライマーはすべてT7とendの
組み合わせである。94℃で10分間インキュベートし
た後TaKaRa Taqを加え、94℃1分間、55
℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃4
5秒間、55℃1分間、72℃1分間を9サイクル行っ
た。それぞれのPCR産物に5mg/ml prote
inase Kを1μl、0.5M EDTAを2μ
l、20%SDSを2μl加え37℃で30分間保温し
Taqを失活させた後、フェノール/クロロホルム抽
出、エタノール沈殿し20μlの滅菌水に溶解した。こ
れを制限酵素BglIII、SpeIで消化後、フェノ
ール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿を行った。得
られた沈殿を10μlのTEバッファーに溶解後、同様
に制限酵素消化しアルカリホスファターゼ(仔ウシ腸、
ベーリンガー・マンハイム社製)処理した発現ベクター
pSMT201にサブクローニングした(宿主菌は東洋
紡績社製コンピテント・ハイE.coli JM109
を使用)。得られた形質転換体のうち、それぞれ2クロ
ーンずつ選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は
本質的にMolecular Cloning [Sa
mbookら、Cold Spring Harbor
Laboratory Press(1989)]に
記載されているようにして実施した。精製したプラスミ
ドDNAについてはTaqDye Deoxy TM
erminaterCycle Sequencing
Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、
アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシーク
エンサーにより塩基配列の確認を行った。[1]と
[3]のPCR産物に由来するプラスミドには意図した
アミノ酸置換[HiS33(CAC)→Thr(AC
C)]をもち、かつC末端(Gly332)に以下のア
ミノ酸配列からなるペプチドが付加されたTPO置換誘
導体(09/TPO)をコードするcDNAが含まれて
いることが確認された。一方、[1]と[2]のPCR
産物に由来するプラスミドは意図したアミノ酸置換[A
rg25(AGA)→Asn(AAC)]以外に更に1
カ所のアミノ酸置換[Glu231(GAA)→Lys
(AAA)]もち、かつC末端(Gly332)に以下
のアミノ酸配列からなるペプチドが付加されたTPO置
換誘導体(N3/TPO)をコードするcDNAを含ん
でいることが判明した。 ペプチド: TSIGYPYDVPDYAGVHHHHHH 得られたそれぞれのクローンのCOS7細胞へのトラン
スフェクションは、実施例35に従いクロロキン処理を
含むDEAE−デキストラン法で行った。すなわちプラ
スミドDNA40μgを使用し、トランスフェクション
5日後に培養上清を回収した。回収した培養上清をセン
トリコン−30(アミコン社製)で20倍に濃縮しM−
07eアッセイ系で評価した。その結果、ヒトTPO置
換誘導体N3/TPO、09/TPOをコードするプラ
スミドでトランスフェクトしたCOS7細胞培養上清中
に、いずれも用量依存的にTPO活性が検出された(図
22参照)。 <実施例68> ヒトTPO挿入・欠失誘導体の作製とCOS7細胞での
発現〜活性確認 hTPO163にアミノ酸を挿入した誘導体またはhT
PO163からアミノ酸を欠失した誘導体が活性を有す
るかどうか検討した。作製した誘導体は配列番号13の
His33欠失体(dH33)、Gly116欠失体
(dG116)、Arg117欠失体(dR117)、
His33とPro34間へのThr挿入体(T3
3’)、Ala挿入体(A33’)、Gly挿入体(G
33’)およびGly116とArg117の間へのA
sn挿入体(N116’)、Ala挿入体(A11
6’)、Gly挿入体(G116’)である。これらの
うちT33’、N116’はそれぞれムチン型糖鎖、A
sn結合型糖鎖の導入を意図した誘導体である。誘導体
の作製にはPCRを利用し、Itoらの方法に従った
(Itoら、Gene、102巻、67−70頁、19
91)。PCRに用いたプライマーの配列は以下の通
り。 第1段階のPCRは実施例67で作製したプラスミドβ
GL−TPO/pBlue DNA1ngを鋳型として
使用し、合成したプライマーをそれぞれ10μM使って
実施した。プライマーの組み合わせは[1]dRIとe
ndNotI、[2]T7と変異導入プライマー(dH
33,A33′,G33′,T33′,dG116,d
R117,A116′,G116′,N116′)であ
る。TaKaRa PCR Amplificatio
n Kit(宝酒造社製)を用いて、Programm
ble Thermal Controller(MJ
Reserch社製)により10μlの容量でPCRを
行った。[1]の反応は、94℃1分間、45℃2分
間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒
間、45℃1分間、72℃1分間を17サイクル。
[2]の反応は、94℃1分間、55℃2分間、72℃
2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、55℃1
分間、72℃1分間を17サイクル。それぞれのPCR
産物をクロロホルム抽出し、エタノール沈殿を2度行っ
た後100μlのTEバッファーに溶解した。次に、
[1]と[2]のPCR産物をそれぞれ1μlずつ用い
て第2段階のPCRを行った。用いたプライマーはすべ
てT7とendNotIの組み合わせである。94℃で
10分間インキュベートした後TaKaRa Taqを
加え、94℃1分間、55℃2分間、72℃2分間を3
サイクル、続けて94℃45秒間、55℃1分間、72
℃1分間を9サイクル行った。それぞれのPCR産物に
5mg/ml proteinase K を1μl、
0.5M EDTAを2μl、20%SDSを2μl加
え37℃で30分間保温しTaqを失活させた後、フェ
ノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿し20μl
の滅菌水に溶解した。これを制限酵素EcoRI、No
tIで消化後、フェノール/クロロホルム抽出、エタノ
ール沈殿を行った。得られた沈殿を10μlのTEバッ
ファーに溶解後、同様に制限酵素消化しアルカリホスフ
ァターゼ(仔ウシ腸、ベーリンガー・マンハイム社製)
処理した発現ベクターpEF18Sにサブクローニング
した(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイE.c
oli JM109を使用)。得られた形質転換体から
プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMole
cular Cloning [Sambookら、c
old SpringHarbor Labotory
Press(1989)]に記載されているようにし
て実施した。精製したプラスミドDNAについてはTa
q Dye DeoxyTMTerminater C
ycle Sequencing Kit(アプライド
バイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシス
テムズ社製373ADNAシークエンサーにより塩基配
列の確認を行った。その結果、dH33、A33’、T
33’、dG116、dR117、A116’、G11
6’、N116’をコードするプラスミドは全長にわた
り意図した部位以外に塩基配列の置換がなく予想通りの
TPOcDNA配列を持つことを確認した。また、G3
3’では意図した部位以外に1カ所のアミノ酸置換をも
たらす塩基置換[Pro38(CCT)→Ser(TC
T)]が認められた。得られたそれぞれのクローンのC
OS7細胞へのトランスフェクションは、実施例11に
従って行った。すなわちプラスミドDNA10μgを使
用し、クロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法
を用いたトランスフェクションを行い、4−5日後に培
養上清を回収した。回収した培養上清をM−07eアッ
セイ系で評価した。その結果、アミノ酸挿入・欠失誘導
体をコードするプラスミドでトランスフェクトしたCO
S7細胞培養上清中に、いずれも用量依存的にTPO活
性が検出された(図23参照)。TPO誘導体をコード
するcDNAを含まない発現プラスミドpEF18Sを
トランスフェクションしたCOS7細胞培養上清には活
性が認められなかった。 <実施例69> TPOによる血小板増加作用 あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウンタ
ー(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定
した正常な8週齢のICR系雄性マウス20匹を無作為
に4群に分けた。そのうちの1群(コントロール−iv
群)には100μlのPBSを1日1回5日間連続で静
脈内に投与し、他の1群(TPO−iv群)には実施例
56で得られたSP Sepharose Fast
FlowのヒトTPO活性画分F2の濃縮液をNAP−
25カラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ
番号17−0852−02)でPBSに置換し、さらに
PBSで希釈したもののうち100μl(M−07eア
ッセイ系での相対活性量211,900を含む)を1日
1回5日間連続で静脈内に投与した。また、別の1群
(コントロール−sc群)には100μlのPBSを1
日1回5日間連続で皮下に投与し、他の1群(TPO−
sc群)にはTPO−iv群と同様に100μlを1日
1回5日間連続で皮下に投与した。投与開始後6、8、
10、13、15日目にそれぞれのマウスの眼窩静脈よ
り経日的に採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用
電子製、F−800)にて血小板数を測定した。血小板
数の推移を図24に示した。すなわち、コントロール−
iv群では血小板数は最も増加した6日目においても投
与前と比較して44%の増加であり、コントロール−s
c群では最も増加した8日目において47%増加が観察
されたにすぎなかった。その一方で、TPO−iv群で
は6日目には投与前と比較して177%の増加がみら
れ、その後も増加を続け10日目には469%という最
大の増加が観察された。また、TPO−sc群では6日
目にすでに347%の増加が見られ、8日後には最大の
493%の増加が観察された。以上の結果より、ヒトT
POは種差、投与ルートに関係なく血小板の増加作用を
有することが確認された。 <実施例70> TPOによる血小板増加作用 あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウンタ
ー(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定
した正常な11週齢のC3H/HeJ系雄性マウス16
匹を無作為に4群に分けた。そのうちの1群(コントロ
ール群)には100μlのPBSを1日1回5日間連続
で皮下に投与した。他の1群(TPO−1群)には実施
例56で得られたSephacryl S−200HR
のヒトTPO活性画分F1をNAP−25でPBSに置
換し、さらにPBSで希釈したもののうち100μl
(M−07eアッセイ系での相対活性量83,000を
含む)を1日1回5日間連続で皮下に投与した。別の1
群(TPO−2群)にはTPO−1群で投与したTPO
活性画分をさらにPBSで2倍に希釈したもののうち1
00μl(M−07eアッセイ系での相対活性量41,
500を含む)を1日1回5日間連続で皮下に投与し
た。また最後の1群(TPO−3群)にはTPO−2群
で投与したTPO活性画分をさらにPBSで2倍に希釈
したもののうち100μl(M−07eアッセイ系での
相対活性量20,750を含む)を1日1回5日間連続
で皮下に投与した。投与開始後6、8、10、12日目
にそれぞれのマウスの眼窩静脈より経日的に採血し、マ
イクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)
にて血小板数を測定した。血小板数の推移を図25に示
した。すなわち、コントロール群では血小板数にほとん
ど変動が見られなかった。TPO投与群では、いずれの
群においても投与開始8日目に最大となるような血小板
数の増加が認められた。また、各投与群の間には用量依
存性が認められた。すなわち、TPO−1群では、6日
目に既に約200%の増加が見られ、8日目には約27
0%にまで増加した。その後減少したが、12日目にお
いても約65の増加が見られコントロール群との間に有
意差(p〈0.01:ダネットの多重比較検定:Dun
net multiple comparison t
est)が認められた。TPO−2群においても同様に
増加が見られたが、増加作用はTPO−1群には及ばな
いものの6、8日目にはそれぞれ約140%、約160
%の増加を認めた。また、12日目にはコントロール群
とほぼ同様のレベルにまで減少した。TPO−3群にお
ける増加作用はTPO−2群よりもさらに弱かったが、
最高値に達した8日目には約110%の増加が見られて
おり、コントロール群との間に有意差(p〈0.01)
も認められた。以上の結果より、ヒトTPOは、マウス
の系統に関係なく血小板数を増加させること、またその
作用には用量依存性があることが確認された。 <実施例71> TPOによる制がん剤投与による血小板減少症阻止効果 8週齢のICR雄性マウス30匹に5−FUを200m
g/kg体重の割合で静脈内投与した後、無作為に各々
15匹の2群に分け、その翌日(Day 1)より一方
の群(コントロール群)には100μlのPBSを1日
1回5日間連続で皮下に投与した。またもう一方の群
(TPO群)には、実施例69で用いたヒトTPO活性
画分F2 100μl(M−07eアッセイ系での相対
活性量211,900を含む)を1日1回5日間連続で
皮下に投与した。投与開始後Day4、6、8にそれぞ
れの群より各々5匹のマウスを無作為に抽出し、眼窩静
脈より採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子
製、E−2500)にて血小板数を測定した。血小板数
の推移を図26に示した。すなわち、コントロール群で
は5−FU投与後血小板数は経日的に減少し、Day
6には最低値(5−FU投与前値の約28%)に達した
が、Day 8には減少の反動で約1.3倍にまで増加
した。TPO群においても5−FU投与後血小板数は経
日的に減少し、Day 6には最低値(5−FU投与前
値の約52%)に達したがDay 4と6の血小板数に
ほとんど差はなく、また、Day6においてはコントロ
ール群に比して有意(p〈0.05:ダネットの多重比
較検定)に高値を維持した。Day 8においては、5
−FU投与前値の約200%にまで増加した。以上の結
果より、ヒトTPOには、制がん剤による血小板減少を
阻止する効果があることが確認された。 <実施例72> TPOによる血小板減少症治療効果 7週齢のICR雄性マウス36匹に塩酸ニムスチン(A
CNU)を50mg/kg体重の割合で静脈内投与した
後、無作為に各々18匹の2群に分け、その翌日(Da
y 1)より一方の群(コントロール群)には200μ
lのPBSを1日2回連日皮下投与し、またもう一方の
群(TPO群)には、実施例70で用いたTPO活性画
分F1にPBSで希釈せずに0.04%の割合でTwe
en−80を添加したもの200μl(M−07eアッ
セイ系での相対活性量360,000を含む)を1日2
回連日皮下投与した。投与開始後各々の群でマウスを無
作為に3群に分け、それぞれをDay 5、12に採血
する群、Day 8、14に採血する群そしてDay1
0に採血する群とした。採血は眼窩静脈より行い、マイ
クロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)に
て血小板数を測定した。血小板数の推移を図27に示し
た。すなわち、コントロール群ではACNU投与後に血
小板数は経日的に減少し、Day8〜10で最低(各々
ACNU投与前値の約29%)となり、Day12に約
49%、Day14に約74%に回復したにすぎなかっ
た。一方TPO群では、Day 5にはACNU投与前
値の約38%にまで減少した。その後は増加に転じ、A
CNU投与前値に比してDay 8では約63%にまで
回復し、Day10以降はACNU投与前値以上の血小
板数を示し、Day12では約300%、Day14で
は約400%にまで増加した。以上のように、コントロ
ール群では減少の過程にあるDay 8〜10において
既にTPO群では増加に転じており、Day10で既に
ACNU投与前値以上の血小板数まで増加していること
から、ヒトTPOは制ガン剤により惹起される血小板減
少からの回復を促進する効果を有することが確認され
た。なお、実施例71の結果を併せてもヒトTPOには
制ガン剤の種類に関係なく血小板数の減少を阻止する効
果および血小板減少からの回復を促進する効果を有する
ことが期待される。 <実施例73> TPOによるBMT施行後の血小板減少症治療効果 7週齢のC3H/HeN系の雄性マウス48匹に10G
yの放射線を全身照射した後、同系のマウスの骨髄細胞
1×10個を直ちに静脈内投与した。そこで無作為に
2群に分け、翌日(Day 1)より一方の群(コント
ロール群)にはPBSを、他方の群(TPO群)には実
施例70で用いたTPO活性画分F1(M−07eアッ
セイ系での相対活性量44,000を含む)をそれぞれ
1日1回100μlずつ20日間連日で皮下投与した。
投与開始後Day 5、10、14、21にそれぞれの
群より各々6匹のマウスを無作為に抽出し、眼窩静脈よ
り採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、
E−2500)にて血小板数を測定した。血小板数の推
移を図28に示した。すなわち、いずれの群においても
BMT施行後に血小板数は経日的に減少し、Day10
に最低(BMT施行前の約3%)となった。その後は徐
々に回復し、Day14にはコントロール群で約11
%、TPO群で約13%となった。Day21にはコン
トロール群では37%に回復したにすぎなかったが、T
PO群では約65%にまで回復し有意な回復促進効果が
認められた。以上の結果より、実施例56で精製された
ヒトTPOには、BMT施行後の血小板数の回復を促進
する効果があることが確認された。 <実施例74> TPOによる放射線照射後の血小板減少症治療効果 8週齢のICR系の雄性マウス36匹に5GyのX線を
全身照射した後、無作為に2群に分け、翌日(Day
1)より一方の群(コントロール群)にはPBSを、他
方の群(TPO群)には実施例70で用いたTPO活性
画分F1(M−07eアッセイ系での相対活性量1,4
40,000を含む)をそれぞれ1日1回3日間連日で
皮下投与し、翌日よりM−07eアッセイ系での相対活
性量360,000を1日1回7日間連日で皮下投与し
た。投与開始後各々の群でマウスを無作為に3群に分
け、それぞれをDay 4、11、21に採血する群、
Day 7、13に採血する群そしてDay9、15に
採血する群とした。採血は眼窩静脈より行い、マイクロ
セルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血
小板数を測定した。図29に血小板数の推移を示した。
すなわち、コントロール群ではX線照射後に血小板数は
経日的に減少し、Day9で最低(X線照射前値の約2
4%)となり、Day11に約38%、Day13に約
67%に回復し、Day15にX線照射前値にまで回復
した。一方TPO群では、Day 7にはX線照射前値
の約24%にまで減少した。その後は増加に転じ、X線
照射前値に比してDay 9では約82%にまで回復
し、Day11以降はX線照射前値以上の血小板数を示
し、Day21までその傾向は維持された。以上のよう
に、コントロール群では減少の過程にあるDay 9に
おいて既にTPO群では増加に転じており、Day11
で既にX線照射前値以上の血小板数まで増加し、その後
も高値を維持した。一方、コントロール群ではX線照射
前値以上の血小板数まで回復するために15日を要して
いる。この結果より、実施例56で精製されたヒトTP
Oは放射線照射後の血小板減少からの回復期間を短縮す
ることが認められ、放射線照射後の血小板減少症治療効
果が認められた。 <実施例75> hTPO163による血小板増加作用 あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウンタ
ー(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定
した正常なC3H/HeN系雄性マウス15匹を無作為
に4群(コントロール群、A,B,C群)に分けた。1
群(コントロール群)には0.1%のマウス血清を含む
PBSを1日1回5日間連続で皮下に投与した。A群に
は、実施例65で得られたSP Sepharose
FastFlowのTPO活性画分F2を0.1%のマ
ウス血清を含むPBSで希釈しhTPO163を1日あ
たり、M−07eアッセイ系での相対活性量として約4
0,000,000/kg体重、B群には同様にM−0
7eアッセイ系での相対活性量として約8,000,0
00/kg体重、そしてC群にも同様にM−07eアッ
セイ系としての相対活性量として約1,600,000
/kg体重の割合で5日間連続で皮下に投与した。投与
開始後6、8、10、12日目にそれぞれのマウスの眼
窩静脈より経日的に採血し、マイクロセルカウンター
(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定し
た。血小板数の推移を図30に示した。すなわち、コン
トロール群では血小板数にほとんど変動が見られなかっ
た。TPO投与群では、いずれの群においても投与開始
8日目に最大となるような血小板数の増加が認められ
た。また、各投与群の間には用量依存性が認められた。
すなわち、A群では、6日目に約88%、8日目に約1
00%の増加が見られ、10日目においても約97%の
増加を維持し、いずれもコントロール群との間に有意差
(p〈0.01:ダネットの多重比較検定)が認められ
た。B群においても同様に増加が見られたが、増加作用
はA群には及ばないものの6、8日目にはそれぞれ約6
5%、約84%の増加を認め、コントロール群との間に
有意差(p〈0.01もしくはp〈0.05:ダネット
の多重比較検定)が認められた。C群における増加作用
はB群よりもさらに弱かったが、最高値に達した8日目
には約31%の増加が見られた。以上の結果より、実施
例65で精製されたhTPO163には、血小板数を増
加させること、またその作用には用量依存性があること
が確認された。 <実施例76> hTPO163による血小板減少症治療効果 8週齢のC3H/HeN雄性マウス100匹に塩酸ニム
スチン(ACNU)を50mg/kg体重の割合で静脈
内投与した後、無作為に各々25匹の4群(コントロー
ル,A,B,C群)に分け、その翌日(Day 1)よ
りコントロール群にはPBSを5ml/kg体重の割合
で1日1回連日皮下投与し、A群には実施例65で得ら
れたSP Sepharose Fast Flowの
TPO活性画分F2をPBSで希釈し、hTPO163
をM−07eアッセイ系における相対活性量として約1
6,000,000/kg体重の割合で1日1回連日皮
下投与した。B群には同様にM−07eアッセイ系にお
ける相対活性量として約48,000,000/kg体
重の割合で、またC群にはM−07eアッセイ系におけ
相対活性量として約160,000,000/kg体重
の割合で1日1回連日皮下投与した。投与開始後各々の
群でマウスを無作為に5群に分け、それぞれをDay
5、8、10、12そして14に採血した。採血は眼窩
静脈より行い、マイクロセルカウンター(東亜医用電子
製、E−2500)にて血小板数を測定した。血小板数
の推移を図31に示した。すなわち、コントロール群で
はACNU投与後に血小板数は経日的に減少し、Day
8〜10で最低(ACNU投与前値の約15〜16
%)となり、Day12に約28%、Day14に約5
1%に回復したにすぎなかった。一方A群では、Day
8にはACNU投与前値の約25%にまで減少した
が、その後は増加に転じ、Day10には約34%に、
Day12には約89%に、そしてDay14にはAC
NU投与前値以上にまで回復した。B群では、Day
8にはACNU投与前値の約23%にまで減少したが、
その後は増加に転じ、Day10にはすでに約64%に
まで回復し、Day14にはACNU投与前値以上にま
で回復した。また、C群においても同様にDay10以
降に増加に転じ、Day12以降にはACNU投与前以
上にまで回復した。以上のように、いずれの群において
も血小板数の最低値はDay 8に観察されたが、ヒト
TPO投与群ではコントロール群に比して減少が緩やか
であり、最低値の底上げが見られた。また、コントロー
ル群ではDay10においても血小板数の回復はほとん
ど見られなかったが、ヒトTPO投与群ではDay10
には程度の差はあるが全ての群で血小板数の回復が観察
され、50μg/kg投与群ではDay12にはすでに
ACNU投与前置以上にまで回復した。コントロール群
ではDay14においてもACNU投与前置の約51%
に回復したにすぎなかったことと比較すると、参考例2
で生産されたhTPO163は、血小板減少からの回復
を促進する効果を有することが明らかとなった。以上、
実施例65で精製されたhTPO163は制ガン剤によ
り惹起される血小板減少症に対する治療効果が認められ
た。 <実施例77> ヒトTPO誘導体の大腸菌における作製 大腸菌で発現されるTPOの生物活性、安定性、および
溶解性の向上を試みて、TPO誘導体を設計し、作製し
た。作製した誘導体は、配列番号11のLeu129の
Arg置換体(L129R)、His133のArg置
換体(H133R)、Met143のArg置換体(M
143R)、Gly82のLeu置換体(G82L)、
Gly146のLeu置換体(G146L)、Ser1
48のPro置換体(S148P)、Lys59のAr
g置換体(K59R)およびGln115のArg置換
体(Q115R)である。TPO誘導体作製のための鋳
型としては、実施例42に記載のh6T(1−163)
を用い、変異導入のため以下に示すオリゴDNAを合成
した。 以下に示す変異プラスミドはすべてSculptorイ
ンビトロミュータジェネシスキット(Amersham
社製)を用いて作製した。実施例42に記載のプラスミ
ドpCFM536/h6T(1−163)から得られる
Xba I−Hind III断片をBluescri
pt II SK−(東洋紡績社製)のXba I−H
ind III切断部位間に挿入して、プラスミドpS
KTPOを作製した。プラスミドpSKTPOは大腸菌
JM109に保持させた。ヘルパーファージM13K0
7(宝酒造社製)を用いてpSKTPOから一本鎖DN
Aを調整し、上記の変異用合成オリゴDNAを用いて、
キットに添付のプロトコールに従い、変異プラスミドを
作製した。得られた候補プラスミドについて挿入断片の
塩基配列を決定し、目的とする部位が変異されているこ
とを確認した。上記で作製したすべてのpSKTPOの
誘導体よりXba I−Hind III断片を抽出
し、プラスミドpCFM536のXba I−Hind
III切断部位間に挿入した後、大腸菌261に形質
転換し、目的とするTPO誘導体を発現させる形質転換
体を完成させた。目的とするTPO誘導体をコードする
遺伝子を含む形質転換体の培養は、実施例43に従って
実施した。得られたh6T(1−163)生産組換体の
凍結菌体(約3g)に、10mM EDTA、10mM
DTT、1mM PMSFを含む20mMトリス緩衝
液(pH8.5)を約30mL加え、懸濁した後、氷冷
下1分間の間隔をおいて1分間のソニケーション(超音
波破砕機を使用)を5回行なった。破砕した菌体を遠心
チューブに移し、4℃、15000rpmで10分間遠
心し、ペレットを集めた。このペレットに、8Mグアニ
ジン塩酸塩、5mM EDTA、1mM PMSFを含
む10mMトリス緩衝液(pH8.7)約30mLを加
えて懸濁し、さらに約50mgのDTTを加え、室温に
て1〜2時間攪拌し、蛋白質試料を還元した。還元後、
2M塩酸溶液を用いて試料のpHを5に調整し、4℃に
放置した。還元した蛋白質試料を、30%グリセロー
ル、3M尿素、3mMシスタミン、1mM L−システ
インを含む10mM CAPS緩衝液(pH10.5、
約1.5L)に対して希釈した。希釈は、室温で一晩か
けて実施した。希釈後の試料溶液を室温で2日間攪拌
し、試料蛋白質を充分に酸化した後、8000rpmで
45分間遠心し、不溶物を除去した。遠心後の上澄みを
6Mリン酸を用いてpH6.8に調整し、イオン交換水
で2倍に希釈した後、不溶物をフィルターペーパー(東
洋濾紙製、#2、直径90mm)2枚を用いてろ過し
た。ろ液をイオン交換樹脂(CM−Sepharose
fast flow、Pharmacia製)のカラ
ム(2.6x10cm)に吸着させた後、15%グリセ
ロール、1M尿素を含む10mMリン酸緩衝液(pH
6.8)約400mLで洗った後、15%グリセロール
を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.2)約300m
Lでカラムを平衡化した。目的試料の溶出には、15%
グリセロールを含む10mMリン酸緩衝液から0.5M
食塩を含む同緩衝液までの直線濃度勾配を用い、流速1
mL/minで行なった。カラムからの蛋白質の溶出を
280nmにおける紫外吸収で追跡し、目的蛋白質を含
むフラクションを集めた(約30〜40mL)。このフ
ラクションを遠心濃縮器(Centriprep 1
0、Amicon社製)を用いて約2mLに濃縮した
後、逆相HPLC(Waters社製)を用いて精製し
た。この時、カラムにはWaters社製μBonda
sphere C4(3.9x150mm)を用い、蛋
白質の溶出には、0.05%TFA溶液である溶離液A
と、70%2−Propanol,30%CH3CNお
よび0.02%TFAを含む溶離液Bを用い、B溶離液
の濃度を40分間で1%から100%まで変化させ、目
的蛋白質を溶出させた。TPO誘導体は、この条件で
は、いずれも約30分の位置に溶出された。精製された
TPO誘導体の活性測定を行なうため、溶出された誘導
体を集め、2Lの10mMリン酸緩衝液に対して2日間
透析した後、遠心濃縮器(Centriprep 1
0、Amicon社製)を用いて濃縮し、M−07eア
ッセイに供した。調製された各TPO誘導体は、いずれ
も対照として用いたh6T(1−163)と同様の生物
活性を示した(図32、図33参照)。以下、製剤例を
示す。 <製剤実施例1>実施例56で得られたヒトTPO画分
を濃縮し、無菌処理した後−20℃で凍結された凍結物
を用いて注射剤とした。 <製剤実施例2>実施例56で得られたヒトTPO画分
を濃縮し、これを無菌操作で10mlバイアル瓶に5m
l充填し、−20℃で凍結乾燥後、ゴム栓に施栓した凍
結乾燥物を用いて注射剤とした。 <製剤実施例3>実施例56で得られたヒトTPO画分
を濃縮し、これを無菌濾過した後10mlバイアル瓶に
充填し注射剤とした。 <製剤実施例4>実施例65で得られたhTPO163
画分を濃縮し、これを無菌処理した後−20℃で凍結さ
れた凍結物を用いて注射剤とした。 <製剤実施例5>実施例56で得られたhTPO163
画分を濃縮し、これを無菌操作で10mlバイアル瓶に
5ml充填し、−20℃で凍結乾燥後、ゴム栓に施栓し
た凍結乾燥物を用いて注射剤とした。 <製剤実施例6>実施例65で得られたhTPO163
画分を濃縮し、これを無菌濾過した後10mlバイアル
瓶に充填し注射剤とした。 <製剤実施例7>参考例実施例57で得られたヒトTP
O画分を濃縮し、これを無菌処理した後−20℃で凍結
された凍結物を用いて注射剤とした。 <製剤実施例8>実施例57で得られたヒトTPO画分
を濃縮し、これを無菌操作で10mlバイアル瓶に5m
l充填し、−20℃で凍結乾燥後、ゴム栓に施栓した凍
結乾燥物を用いて注射剤とした。 <製剤実施例9>実施例57で得られたヒトTPO画分
を濃縮し、これを無菌濾過した後10mlバイアル瓶に
充填し注射剤とした。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】XRPからのラットTPO精製における、ゲル
濾過クロマトグラフィー(sephacryl S−2
00HRカラム)のクロマトグラム及びラットCFU−
MKアッセイにおけるTPO活性を示すグラフ。
【図2】XRP由来のラット低分子TPO標品精製にお
ける逆相クロマトグラフィー(Capcell Pak
Cl 300Aカラム)のクロマトグラム、及びラッ
トCFU−MKアッセイにおけるTPO活性を示すグラ
フ。
【図3】XRP由来のラット低分子TPO標品精製にお
ける逆相クロマトグラフィー(Capcell Pak
Cl 300Aカラム)のTPO活性画分FA(チュ
ーブ番号36〜42)のSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動による分離を示す写真、及びラットCFU−
MKアッセイにおけるTPO活性を示すグラフ。
【図4】XRP由来のラット低分子TPO標品精製にお
ける逆相クロマトグラフィー(Capcell Pak
Cl 300Aカラム)のTPO活性画分FAの、3
段階消化によるペプチドマップを示すグラフ。
【図5】ラットCFU−MKアッセイにおけるラット血
漿由来TPO活性を示すグラフ。
【図6】発現ベクターpEF18Sの構築を示す概念
図。
【図7】ラットCFU−MKアッセイにおけるpEF1
8S−A2αを導入・発現させたCOS1細胞の培養上
清中のTPO活性を示すグラフ。
【図8】ラットCFU−MKアッセイにおけるpEF1
8S−HL34を導入・発現させたCOS1細胞の培養
上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図9】ラットCFU−MKアッセイにおけるpHT1
−231を導入・発現させたCOS1細胞の培養上清中
のTPO活性を示すグラフ。
【図10a】ラットCFU−MKアッセイにおけるpH
TF1を導入・発現させたCOS1細胞の培養上清中の
TPO活性を示すグラフ。
【図10b】M−07eアッセイにおけるpHTF1を
導入・発現させたCOS1細胞の培養上清中のTPO活
性を示すグラフ。
【図11】ファージクローンλHGT1の制限酵素地図
の概略。(図中、E:EcoRI、H:HindII
I、S:sal Iを示す。)
【図12a】ラットCFU−MKアッセイにおけるpE
FHGTEを導入・発現させたCOS1細胞培養上清中
のTPO活性を示すグラフ。
【図12b】M−07eアッセイにおけるpEFHGT
Eを導入・発現させたCOS1細胞培養上清中のTPO
活性を示すグラフ。
【図13a】ラットCFU−MKアッセイにおける、お
よびpHT1−211#1、およびpHT1−191#
1、およびpHT1−171#2を導入・発現させたC
OS1細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図13b】ラットCFU−MKアッセイにおけるpH
T1−163#2を導入・発現させたCOS1細胞培養
上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図14】M−07eアッセイにおけるpHT1−21
1#1、pHT1−191#1、pHT1−171#
2、およびpHT1−163#2を導入・発現させたC
OS1細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図15】pDEF202−hTPO−P1を導入・発
現させたCHO細胞の培養上清からのヒトTPO精製に
おける、逆相クロマトグラフィー(Vydac C4カ
ラム)のクロマトグラム。
【図16】pDEF202−hTPO−P1を導入・発
現させたCHO細胞の培養上清から精製されたヒトTP
OのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分
離を示す写真。
【図17】pCFM536/h6T(1−163)を導
入・発現させた大腸菌からのヒトTPOの精製におけ
る、逆相クロマトグラフィーのクロマトグラム。
【図18】pCFM536/h6T(1−163)を導
入・発現させた大腸菌から分離・精製された変異型ヒト
TPO、h6T(1−163)のSOS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動による分離を示す写真。
【図19】ヒトTPO発現プラスミドpDEF202−
hTPO163をCHO細胞にトランスフェクションし
て得られた培養上清を出発材料にしたhTPO163の
精製におけるSuperdex 75pgカラムでのh
TPO163の溶出。蛋白質は220nmの紫外吸収で
測定した。
【図20】ヒトTPO発現プラスミドpDEF202−
hTPO163をCHO細胞にトランスフェクションし
て得られた培養上清を出発材料にしたhTPO163の
精製において、Superdex 75pgカラムで得
られたhTPO163標品のSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動写真。各hTPO163は銀染色され
た。
【図21】発現ベクターpSMT201の構造を示す
図。
【図22】M−07eアッセイにおけるβGL−TP
O、N3/TPO、O9/TPOを導入・発現させたC
OS7細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図23】M−07eアッセイにおけるヒトTPO挿入
・欠失誘導体を導入・発現させたCOS7細胞培養上清
中のTPO活性を示すグラフ。
【図24】ヒトTPOを正常マウスに静脈内投与、また
は皮下投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図25】ヒトTPOを正常マウスに投与量を変えて皮
下投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図26】マウスに制ガン剤(5−FU)を投与した後
にヒトTPOを投与した場合の血小板数の推移を示すグ
ラフ。
【図27】マウスに制ガン剤(ACNU)を投与した後
にヒトTPOを投与した場合の血小板数の推移を示すグ
ラフ。
【図28】マウスにBMT(骨髄移植)を施行した後に
ヒトTPOを投与した場合の血小板数の推移を示すグラ
フ。
【図29】放射線照射後のマウスにヒトTPOを投与し
た場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図30】hTPO163を正常マウスに皮下投与した
場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図31】マウスに制ガン剤(ACNU)を投与した後
にhTPO163を投与した場合の血小板数の推移を示
すグラフ。
【図32】大腸菌で発現されたヒトTPO誘導体(H1
33R、S148P、Q115R)のM−07eアッセ
イにおけるTPO活性を示すグラフ。
【図33】大腸菌で発現されたヒトTPO誘導体(M1
43R、L129R、G82L、G146L、K59
R)のM−07eアッセイにおけるTPO活性を示すグ
ラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (31)優先権主張番号 特願平6−167328 (32)優先日 平6(1994)6月15日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−227159 (32)優先日 平6(1994)8月17日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−193169 (32)優先日 平6(1994)8月17日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−304167 (32)優先日 平6(1994)11月1日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−298669 (32)優先日 平6(1994)12月1日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−341200 (32)優先日 平6(1994)12月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) 微生物の受託番号 FERM BP−4563 微生物の受託番号 FERM BP−4564 微生物の受託番号 FERM BP−4565 微生物の受託番号 FERM BP−4616 微生物の受託番号 FERM BP−4617 微生物の受託番号 FERM BP−4988 微生物の受託番号 FERM BP−4989 早期審査対象出願 (72)発明者 岩松 明彦 神奈川県横浜市金沢区福浦1−13−5 麒麟麦酒株式会社 基盤技術研究所内 (72)発明者 赤堀 弘典 群馬県高崎市宮原町3 麒麟麦酒株式会 社 医薬探索研究所内 (72)発明者 黒木 良太 神奈川県横浜市金沢区福浦1−13−5 麒麟麦酒株式会社 基盤技術研究所内 (72)発明者 清水 敏之 神奈川県横浜市金沢区福浦1−13−5 麒麟麦酒株式会社 基盤技術研究所内 (72)発明者 武藤 隆則 神奈川県横浜市金沢区福浦1−13−5 麒麟麦酒株式会社 基盤技術研究所内 (56)参考文献 特表 平9−508262(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/19 C12N 1/21 C12N 5/10 C12P 21/02 C07K 14/52 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) WPI(DIALGO)

Claims (29)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アミノ酸配列が、配列番号16に示された
    列または該配列の一部に置換、欠失、挿入、および/ま
    たは付加がある配列からなり、かつヒトTPO活性を有
    するタンパク質。
  2. 【請求項2】アミノ酸配列が、配列番号16の1位から23
    1位の配列または該配列の一部に置換、欠失、挿入、お
    よび/または付加がある配列からなり、かつヒトTPO
    活性を有するタンパク質。
  3. 【請求項3】アミノ酸配列が、配列番号16の1位から16
    3位の配列または該配列の一部に置換、欠失、挿入、お
    よび/または付加がある配列からなり、かつヒトTPO
    活性を有するタンパク質。
  4. 【請求項4】配列番号16に示されたアミノ酸配列を含
    み、かつヒトTPO活性を有するタンパク質。
  5. 【請求項5】配列番号16の1位から231位のアミノ酸配
    列を含み、かつヒトTPO活性を有するタンパク質。
  6. 【請求項6】配列番号16の1位から163位のアミノ酸配
    列を含み、かつヒトTPO活性を有するタンパク質。
  7. 【請求項7】配列番号16の7位から151位のアミノ酸配
    列を含み、かつヒトTPO活性を有するタンパク質。
  8. 【請求項8】アミノ酸配列が配列番号16に示された配列
    からなり、かつヒトTPO活性を有するタンパク質。
  9. 【請求項9】アミノ酸配列が配列番号16の1位から231
    位の配列からなり、かつヒトTPO活性を有するタンパ
    ク質。
  10. 【請求項10】アミノ酸配列が配列番号16の1位から16
    3位の配列からなり、かつヒトTPO活性を有するタン
    パク質。
  11. 【請求項11】少なくとも以下の(a)〜(v)に示す
    いずれかのアミノ酸の変異を有する請求項1〜3のいず
    れか1項に記載のタンパク質: (a)1位のセリン残基がアラニン残基に、かつ3位の
    アラニン残基がバリン残基に置換されている; (b)25位のアルギニン残基がアスパラギン残基に置換
    されている; (c)33位のヒスチジン残基がトレオニン残基に置換さ
    れている; (d)25位のアルギニン残基がアスパラギン残基に、か
    つ231位のグルタミン酸残基がリジン残基に置換されて
    いる; (e)33位のヒスチジン残基が欠失している; (f)116位のグリシン残基が欠失している; (g)117位のアルギニン残基が欠失している; (h)33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間
    にトレオニン残基が挿入されている; (i)33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間
    にアラニン残基が挿入されている; (j)33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間
    にグリシン残基が挿入されている; (k)33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間
    にグリシン残基が挿入され、かつ38位のプロリン残基が
    セリン残基に置換されている; (l)116位のグリシン残基と117位のアルギニン残基の
    間にアスパラギン残基が挿入されている; (m)116位のグリシン残基と117位のアルギニン残基の
    間にアラニン残基が挿入されている; (n)116位のグリシン残基と117位のアルギニン残基の
    間にグリシン残基が挿入されている; (o)129位のロイシン残基がアルギニン残基に置換さ
    れている; (p)133位のヒスチジン残基がアルギニン残基に置換
    されている; (q)143位のメチオニン残基がアルギニン残基に置換
    されている; (r)82位のグリシン残基がロイシン残基に置換されて
    いる; (s)146位のグリシン残基がロイシン残基に置換され
    ている; (t)148位のセリン残基がプロリン残基に置換されて
    いる; (u)59位のリジン残基がアルギニン残基に置換されて
    いる; (v)115位のグルタミン残基がアルギニン残基に置換
    されている。
  12. 【請求項12】C末端にさらにThrSerIleGl
    yTyrProTyrAspValProAspTyr
    AlaGlyValHisHisHisHisHisH
    isのポリペプチドが付加されたものである請求項1〜
    11のいずれか1項に記載のタンパク質。
  13. 【請求項13】−2位にMet残基、かつ−1位にLy
    s残基がさらに付加されたものである請求項1〜11のい
    ずれか1項に記載のタンパク質。
  14. 【請求項14】−1位にMet残基がさらに付加された
    ものである請求項1〜11のいずれか1項に記載のタンパ
    ク質。
  15. 【請求項15】−1位にGly残基がさらに付加された
    ものである請求項1〜11のいずれか1項に記載のタンパ
    ク質。
  16. 【請求項16】請求項1〜15のいずれか1項に記載のタ
    ンパク質をコードするDNAで形質転換されたCHO細
    胞を培養し、分離・精製することによって得ることので
    きるヒトTPO活性を有するタンパク質。
  17. 【請求項17】受託番号FERM BP−4617の大
    腸菌DH5に担持されたベクターpHTF1に組み込ま
    れている、ヒトTPO活性を有するタンパク質のアミノ
    酸配列をコードする塩基配列を含むDNAで真核細胞を
    形質転換し、該細胞を培養し、分離・精製することによ
    って得ることのできるヒトTPO活性を有するタンパク
    質。
  18. 【請求項18】受託番号FERM BP−4617の大
    腸菌DH5に担持されたベクターpHTF1に組み込ま
    れている、ヒトTPO活性を有するタンパク質のアミノ
    酸配列をコードする塩基配列を含むDNAで哺乳動物細
    胞を形質転換し、該細胞を培養し、分離・精製すること
    によって得ることのできるヒトTPO活性を有するタン
    パク質。
  19. 【請求項19】プラスミドpDEF202−hTPO−
    P1によって形質転換されたCHO細胞株(受託番号F
    ERM BP−4988)を培養し、分離・精製するこ
    とによって得ることのできるヒトTPO活性を有するタ
    ンパク質。
  20. 【請求項20】プラスミドpDEF202−hTPO1
    63によって形質転換されたCHO細胞株(受託番号F
    ERM BP−4989)を培養し、分離・精製するこ
    とによって得ることのできるヒトTPO活性を有するタ
    ンパク質。
  21. 【請求項21】重合体と共有結合した請求項1〜20のい
    ずれか1項に記載のタンパク質。
  22. 【請求項22】重合体がポリエチレングリコールである
    請求項21に記載のタンパク質。
  23. 【請求項23】請求項1〜20のいずれか1項に記載のタ
    ンパク質と薬学的に許容可能な担体とを含む、血小板の
    産生を刺激または増強するための医薬組成物。
  24. 【請求項24】該タンパク質が重合体と共有結合したも
    のである請求項23に記載の医薬組成物。
  25. 【請求項25】該重合体がポリエチレングリコールであ
    る請求項24に記載の医薬組成物。
  26. 【請求項26】請求項1〜22のいずれか1項に記載のタ
    ンパク質を有効成分として含む血小板増加剤。
  27. 【請求項27】請求項1〜22のいずれか1項に記載のタ
    ンパク質を有効成分として含む血小板障害治療剤。
  28. 【請求項28】請求項1〜22のいずれか1項に記載のタ
    ンパク質を有効成分として含む血小板減少症治療剤。
  29. 【請求項29】血小板減少症が化学療法、放射線療法ま
    たは骨髄移植におけるものである請求項28に記載の血小
    板減少症治療剤。
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