JP2996609B2 - ピリミジン誘導体 - Google Patents
ピリミジン誘導体Info
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Description
の塩及びそのピリミジン誘導体又はその塩を有効成分と
して含有する医薬組成物、特には抗腎疾患剤に関する。
本発明によるピリミジン誘導体は、血圧低下作用に関わ
るアンジオテンシンII受容体タイプ1に対する拮抗作用
が実質的に認められないか非常に弱いにもかかわらず、
腎障害に対しては充分な改善作用を有する。
す増加する傾向を示している。その理由としては、人口
の高齢化、生活環境の変化と共に、腎疾患に対する的確
な薬剤の開発が遅れていることなどが考えられる。従っ
て、その治療薬が従来から強く求められている。即ち、
腎炎や糖尿病性腎症、腎不全などの腎疾患では、疾患に
伴う病変を治療する対症療法が未だ主体となっている。
つまり、降圧剤、利尿剤、抗炎症剤や食事療法、運動療
法などである。特に、腎疾患では高血圧を伴うことが多
く、また高血圧は腎疾患の悪化要因の一つと考えられて
いるので、降圧剤が用いられることが多い。その中で
も、アンジオテンシンIIの産生や作用を抑制する薬剤に
ついての試みが多い。即ち、アンジオテンシンIIが血圧
を上昇させる作用を有するとともに、腎臓の間質細胞の
増殖を促すなどにより腎疾患を増悪させる原因となると
考えられており、従ってその要因をできるだけ排除する
ことが腎疾患の改善をもたらすものと考えられるからで
ある。
作用を有するアンジオテンシンIIへ変換する酵素(即
ち、アンジオテンシン変換酵素:ACE)を阻害する物
質、つまりアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE
I)である降圧剤(例えば、エナラプリルやカプトリ
ル)を用いると、血圧を下げるとともに腎障害の進行が
改善されることが報告されている(J.Clin.Ph
armacol.,30:155〜158,199
0)。また米国特許第5071867号明細書の記載に
よれば、腎障害ラットに対して、降圧目的に使用する通
常の量よりも更に高い用量を投与することにより腎障害
の改善がもたらされたことから、ヒト(患者)でも慎重
に用量を徐々に増してゆけば、高用量に耐えることがで
き、腎障害の治療の恩恵がもたらせるとされている。し
かし、一方ではこの種の薬剤の特性としての空咳などの
副作用や、降圧に伴い急性腎不全をきたす危険もあり慎
重な投与が必要であることが指摘されている(最新医
学,48:1404〜1409,1993)。
容体拮抗剤(AGIIRA)が降圧剤として開発されてい
る。アンジオテンシンIIの受容体には現在タイプ1とタ
イプ2の2種類が知られている。このうちタイプ2が関
与する作用についてはまだ十分解明されていないが、タ
イプ1は血圧に関与することが判っているので、タイプ
1受容体の拮抗剤が降圧剤開発の目標となっている。ア
ンジオテンシンII受容体に対して強い拮抗作用を示す降
圧剤であって、腎疾患に対する作用も調べられている化
合物として、イミダゾール誘導体である2−ブチル−4
−クロロ−5−(ヒドロキシメチル)−1−〔〔2’−
(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イ
ル〕メチル〕イミダゾール(DuP753又はMK95
4)が知られている。このイミダゾール誘導体を腎障害
ラットに投与すると、蛋白尿や糸球体硬化に対しては効
果があったが、同時に明らかな血圧降下を伴っていた
(J.Clinical Invest.,90:76
6−771,1992)。また、このイミダゾール誘導
体を高脂血症ラットに投与した場合、低用量では血圧に
対する影響がほとんどなくて腎病変を改善したが、腎病
変に対してより効果的な高用量では明確な降圧作用を伴
っていた(Nephron,65:426−432,1
993)。
構造を有する化合物が、例えば、特開昭63−2386
8号公報や、米国特許第5153197号、第5128
355号及び第5155118号各明細書に開示されて
いる。即ち、それらの化合物が、特開昭63−2386
8号公報では高血圧及び鬱血性心不全に対して有効であ
ること、米国特許第5153197号明細書には高血圧
に対して有効であること、米国特許第5128355号
明細書には心不全に対して有効であること、そして米国
特許第5155118号明細書には非ステロイド抗炎症
剤による腎不全に対して有効であることが記載されてい
る。しかし、これらのイミダゾール誘導体はいずれも強
いアンジオテンシンII受容体拮抗作用を特徴としてお
り、降圧作用を有する。
例えば、EP0475206A2号公報に開示されてお
り、腎疾患への適用も記載されている。しかし、そのピ
リミジン化合物は強いアンジオテンシンII受容体拮抗作
用とそれに伴う降圧作用を特徴とするものである。ま
た、そのピリミジン類縁化合物に属する2−〔N−プロ
ピル−N−〔〔2’−(1H−テトラゾール−5−イ
ル)ビフェニル−4−イル〕メチル〕アミノ〕ピリジン
−3−カルボン酸(A−81988)を腎疾患ラットに
投与すると蛋白尿の改善が示されたが、同時に血圧降下
を伴っていたとの報告もある(J.Pharmaco
l.Experimental Therapeuti
cs,267:657−663,1993)。即ち、前
記のピリミジン類縁化合物は強いタイプ1受容体拮抗作
用に基づく降圧作用を有するので、腎疾患に適用した場
合、急性腎不全などをもたらす恐れがあった。
降圧剤による腎疾患の治療では、基本的にはできるだけ
降圧作用の強い薬剤が望まれている。しかし、腎疾患に
おいて、高血圧は是正すべき重要な病態ではあるが、単
に低下させればよいのではなくて、適正な血圧に維持す
ることが重要である。そのためには病態に応じて降圧剤
の種類や用量を組み合わせて血圧を調節することが必要
になる。一方、腎疾患自体は充分な用量による持続的治
療が望ましいので、従来の薬剤を使用する限り、一つの
薬剤で血圧の調節と腎疾患の効果的な治療とを両立させ
るには、基本的に無理があった。前述のような降圧剤を
用いた場合の急性腎不全の問題は、その一例である。本
発明者は、血圧に対する作用を有さずに、腎障害に対し
ては充分な改善効果を示すという、従来はまったく知ら
れていなかった特性を有する化合物を見出すべく鋭意研
究を重ねたところ、アンジオテンシンIIのタイプ1受容
体に対する拮抗力が、降圧剤として標準的な効果を有す
る拮抗剤の1/100から1/1000以下であって実
質的な拮抗作用がないにもかかわらず、腎障害に対して
は充分な改善効果を示す新規のピリミジン誘導体を見出
した。本発明は、こうした知見に基づくものである。
(I)
炭素数1〜6のハロアルキル基、又は−NHR11であ
り;R2 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素
数1〜6のハロアルキル基、ハロゲン原子、−(CH
2 )m C6 H5 、−NH2 、−NHR12、−NH(CH
2 )n C6 H5 、−NH(CH2 )p C6 H4−O
R13、−N(R14)(CH2 )q C6 H5 、−NHC
(=O)R15、−NHC(=O)(CH2 )r C6 H
5 、−NHC(=O)CH(C6 H5 )2 、−OR16、
又は−O(CH2 )s C6 H5 ;R3 は−COOH、−
COOR17、ヒドロキシル基、−OR18、−NH2 、−
N(R19)2 、−NHR20、アゾール基、又はスルホン
酸基であり;R11は炭素数1〜6のアルキル基、又は炭
素数1〜6のハロアルキル基であり;R12、R13、
R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20はそれぞ
れ独立して炭素数1〜6のアルキル基であり;mは0又
は1〜6の整数であり;nは0又は1〜6の整数であ
り;pは0又は1〜6の整数であり;qは0又は1〜6
の整数であり;rは0又は1〜6の整数であり;sは0
又は1〜6の整数である〕で表されるピリミジン誘導体
(以下、本物質と称することがある)又はその塩に関す
る。
は分枝状アルキル基を含み、例えば、炭素数1〜4のア
ルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、
s−ブチル基又はt−ブチル基であり、炭素数1〜5の
アルキル基としては、前記の各基の他に、例えば、n−
ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、t−ペ
ンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、
1,2−ジメチルプロピル基又は1−エチルプロピル基
を挙げることができ、そして炭素数1〜6のアルキル基
としては、前記の各基の他に、例えば、n−ヘキシル
基、i−ヘキシル基又は2−エチルブチル基を挙げるこ
とができる。
原子、フッ素原子又はヨウ素原子である。また、炭素数
1〜6のハロアルキル基は、前記の炭素数1〜6のアル
キル基に前記のハロゲン原子1〜13個が置換した基で
あり、好ましいハロアルキル基としては、例えば、トリ
フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、4,4,
4−トリフルオロブチル基を挙げることができる。アゾ
ール基は、ヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子又
はイオウ原子)2〜4個を含む5員環であり、例えば、
イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラ
ゾール基、イソオキサゾール基、イソチアゾール基、ト
リアゾール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール
基、テトラゾール基、オキサトリアゾール基又はチアト
リアゾール基を挙げることができる。好ましいアゾール
基としては、例えば、テトラゾール基を挙げることがで
きる。
子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロア
ルキル基、又は−NHR11であり;R2 は水素原子、炭
素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル
基、ハロゲン原子、−(CH2 )m C6 H5 、−NH
2 、−NHR12、−NH(CH2 )n C6 H5 、−NH
(CH2 )p C6 H4 −OR13、−N(R14)(CH
2 )q C6 H5 、−NHC(=O)R15、−NHC(=
O)(CH2 )r C6 H5 、−NHC(=O)CH(C
6 H5 )2 、−OR16、又は−O(CH2 )s C6 H
5 ;R3 は−COOH、−COOR17、ヒドロキシル
基、−OR18、−NH2 、−N(R19)2 、−NH
R20、アゾール基、又はスルホン酸基であり;R11は炭
素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロアル
キル基であり;R12、R13、R14、R15、R16、R17、
R18、R19及びR20はそれぞれ独立して炭素数1〜4の
アルキル基であり;mは0又は1〜4の整数であり;n
は0又は1〜4の整数であり;pは0又は1〜4の整数
であり;qは0又は1〜4の整数であり;rは0又は1
〜4の整数であり;sは0又は1〜4の整数である、前
記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好まし
い。
ジン環の2位又は6位にあり、R3がフェニル環の4位
(p位)にある化合物又はその塩が更に好ましく、R2
がピリミジン環の6位にあり、R3 がフェニル環の4位
(p位)にある化合物又はその塩が一層好ましい。
の塩や無機塩基若しくは有機塩基との塩が含まれ、薬学
的に許容される塩が好ましい。酸付加塩としては、例え
ば、塩酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩又はp−トル
エンスルホン酸塩、更には、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸、マレイン酸又はフマル酸などのジカルボン酸との
塩、更に、酢酸、プロピオン酸又は酪酸などのモノカル
ボン酸との塩等を挙げることができる。また、本物質の
塩の形成に適した無機塩基は、例えば、アンモニア、ナ
トリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アル
ミニウム等の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等である。
有機塩基との塩としては、例えば、メチルアミン、ジメ
チルアミン、トリエチルアミンのようなモノ−、ジ−、
及びトリ−アルキルアミン塩、モノ−、ジ−、及びトリ
−ヒドロキシアルキルアミン塩、グアニジン塩、N−メ
チルグルコサミン塩、アミノ酸塩等を挙げることができ
る。
No.90の構造を以下の表1〜4に示し、それらの各
化合物の元素分析及び質量分析の結果を表5〜9に示
す。なお、以下の表1〜4に示した各化合物を、本明細
書の以下の記載において、その化合物No.で示すこと
がある。以下の各表において、Meはメチル基、Etは
エチル基、Prはプロピル基、Buはブチル基、Pen
はペンチル基、Hexはヘキシル基、Phはフェニル基
を示す。
製することができる。例えば、本物質は以下のステップ
(a)〜(c)からなる合成経路〔1〕によって調製す
ることができる。合成経路〔1〕:
式(2)(X2 はハロゲン原子である)の化合物と反応
させて、一般式(3)の化合物を得る。反応は、エタノ
ール、ブタノール、ジオキサン、ジメチルスルホキシ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN,N−ジエ
チルホルムアミド等の有機溶媒中で、トリエチルアミ
ン、ピリジン、ピコリン、又はルチジン等の塩基の存在
下に、20〜150℃、好ましくは還流下で、5〜72
時間攪拌して行う。
ド、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトン、
クロロホルム、又はピリジン等の溶媒に溶解し、アミノ
基をR1 −CONH基(R1 は前記と同じ意味である)
に変換することのできる化合物を加え、0〜100℃で
3〜40時間反応させて、一般式(4)の化合物を得
る。アミノ基をR1 −CONH基に変換することのでき
る化合物は、例えば、R1 基がn−ブチルの場合には、
例えば吉草酸クロリドを挙げることができる。その他の
R1 の場合には、目的とするR1 基に応じて当業者が適
宜選択することができる。
と同じ意味である)に変換することのできる化合物とを
反応させて、一般式(I)の化合物を得る。アミンとの
反応はブタノール、エタノール、ジオキサン、ジメチル
スルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機
溶媒中、20〜150℃、好ましくは還流下で、3〜7
2時間攪拌して行う。アルコールとの反応はアルコール
中、アルカリ水溶液存在下に、必要に応じてテトラヒド
ロフラン、ジオキサン等の溶媒を加え、20〜150℃
で、3〜72時間行う。X2 基をR2 基に変換すること
のできる化合物としては、例えば、R2 基がベンジルア
ミノの場合には、例えば、ベンジルアミンを挙げること
ができる。その他のR2 基の場合には、目的とするR2
基に応じて当業者が適宜選択することができる。
タノール、エタノール、ブタノール等の有機溶媒中でア
ルカリ水溶液の存在下に、20〜100℃で1〜48時
間攪拌して、加水分解し、酸析して、遊離の一般式
(I)の化合物に変換することができる。また、一般式
(I)の化合物の塩、特に薬学的に許容される塩は、一
般式(I)の化合物と当量のアルカリを用いて、溶媒を
蒸発、又は溶液を濃縮し、乾固し、精製して得ることが
できる。
ピリミジン誘導体又はその薬学上許容することのできる
塩は、血圧に対する作用を有さずに、腎障害に対しては
充分な改善効果を示す。従って、本発明は前記一般式
(I)で表されるピリミジン誘導体又はその薬学上許容
することのできる塩を有効成分として含有することを特
徴とする医薬組成物、特には抗腎疾患剤にも関する。本
物質は抗腎疾患剤として有用である。腎炎、腎症、腎不
全、ネフローゼ症侯群、無症候性蛋白尿、血尿、糖尿病
性腎症、薬物性腎障害、尿路感染症、前立腺炎等に有用
である。本物質はヒトを含めた哺乳動物に経口的または
非経口的(例えば、経皮、静脈内、腹腔内など)に投与
される。本物質をマウスに500mg/kgの量で経口
投与して一週間観察したが死亡例は認められなかった。
はそれ以上を加えて、製剤、例えば、散剤、錠剤、顆
粒、カプセル、座剤、注射剤、又は経口用液剤等にする
ことができる。添加剤としては、例えば、ステアリン酸
マグネシウム、タルク、乳糖、デキストリン、デンプン
類、メチルセルロース、脂肪酸グリセリド類、水、プロ
ピレングリコール、マクロゴール類、アルコール、結晶
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度
ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース類、ポビ
ドン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸カルシウム
等を挙げることができる。更に、必要に応じて、着色
剤、安定化剤、抗酸化剤、防腐剤、pH調節剤、等張化
剤、溶解補助剤及び/又は無痛化剤等を添加することが
できる。顆粒剤、錠剤又はカプセル剤は、コーティング
基剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等によ
ってコーティングすることもできる。
g、好ましくは1〜100mg含有させることができ
る。本物質の使用量は一日につき体重1kg当たり0.
1〜150mg、好ましくは1〜100mgである。こ
れを一日1回または2〜3回に分けて投与する。しかし
ながらその投与量は患者の病状によって適宜選択するこ
とができる。
IIの溶液中における立体構造解析を行い、これとの親和
性の程度を考慮しながら、各種化合物の特性を研究し
た。即ち、降圧作用に関係することが知られているアン
ジオテンシンIIのタイプ1受容体に対する拮抗力、腎障
害動物での腎障害改善作用、血圧に対する作用などにつ
いて詳細な検討を加えたところ、本物質又はその塩が、
従来公知の降圧剤化合物とは全く異なる、所望の特性を
有することを見出した。本物質又はその塩は、前記のと
おり、アンジオテンシンIIのタイプ1受容体に対する拮
抗力に関して、降圧剤として標準的な効果のある従来公
知の拮抗剤の1/100から1/1000以下であり、
実質的な拮抗作用がないにもかかわらず、腎障害に対し
ては改善効果を示す。こうした特性を有する化合物が存
在することは、既存の知見からは全く予測し得ない驚く
べきことである。本物質がどのようにして上記のような
作用を示すかについて、明確な理由は現在のところ不明
であり、本発明は以下の推論に拘束されるものではない
が、例えば、腎障害増悪をもたらす腎間質細胞増殖など
の作用に関わるアンジオテンシンIIの受容体(既に知ら
れているタイプ1及びタイプ2以外の新しい受容体)へ
の特異的拮抗作用や腎への集積性などが推定される。ま
た、アンジオテンシンII受容体拮抗作用ではない全く別
の機序の作用による可能性もある。本物質がアンジオテ
ンシンII受容体拮抗剤に分類されるものであったとして
も、またそうでない場合はなおさら、いずれにしても、
降圧剤として従来から開発されているような、公知の受
容体拮抗作用が強くて降圧作用のあるアンジオテンシン
II受容体拮抗剤とは、全く異なる特性を有する化合物で
ある。即ち、本物質は、化学構造の点、作用効果の点、
及び医薬としての実用性の点のいずれにおいても、従来
存在しなかった新規な化合物である。
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:4−〔〔(6−クロロ−5−アミノ)ピリミ
ジン−4−イル〕アミノメチル〕安息香酸メチルエステ
ル(3−1)の調製:(a)ステップ メタノール(250ml)に、氷冷攪拌下で塩化水素ガ
スを吹き込み、塩化水素(44. 4g)のメタノール溶
液を調製した。室温で4−アミノメチル安息香酸(2
5. 70g)を加え、加熱還流下で28時間攪拌した。
溶液はほぼ均一溶液となった。この溶液から溶媒を減圧
下で留去し、4−アミノメチル安息香酸メチルエステル
塩酸塩(33. 11g)を無色固体として得た。この化
合物(21.53g)、5−アミノ−4,6−ジクロロ
−ピリミジン(2)(15. 93g)、1−ブタノール
(260ml)、及びトリエチルアミン(41ml)の
淡黄色懸濁液を還流温度まで加熱して溶解し、そのまま
還流下で19時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、水(2
50ml)とクロロホルム(500ml)を加え、振盪
した。析出した淡黄色固体を濾別して、標記の化合物の
粗生成物(17. 20g)を得た。この粗生成物を酢酸
エチル/クロロホルム=1/1から再結晶して、標記の
化合物(14. 85g)を無色の結晶として得た。 融点:197. 5−198. 5℃1 H−NMR(500MHz,CDCI3 )δ:3. 8
4(s,3H) ,4,71(d,2H),5. 09(s,
2H),7. 44−7. 46(m,1H),7.44
(d,2H),7. 71(s,1H),7.92(d,
2H)
レラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメチル〕安息
香酸メチルエステル(4−1)(化合物No.1)の調
製:(b)ステップ 前記実施例1で調製した化合物(3−1)(14. 63
g)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(70ml)
懸濁液を、セプタムシールした。室温で攪拌下に塩化バ
レリル(7. 24g)を注射器で加えると溶液は淡黄色
の均一な溶液になった。80℃の温浴上で加熱した後、
トリエチルアミン(10ml)と乾燥N,N−ジメチル
ホルムアミド(140ml)を注射器で加え、5. 5時
間攪拌した。溶媒を減圧下で留去し、水(150ml)
を加え、クロロホルム(400ml)で抽出した。有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、黄土色
の粘稠物質(31. 66g)を得た。これを酢酸エチル
/ヘキサンから再結晶して、標記の化合物(10. 18
g)を無色燐片状晶として得た。
5(t,3H),1. 41(sext,2H),1. 7
3(quint,2H),2. 48(t,2H),3.
90(s,3H),4. 77(d,2H),6. 15
(dd,1H),7. 08(s,1H),7. 39
(d,2H),8. 00(d,2H),8. 28(s,
1H)
バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメチル〕安
息香酸(化合物No.2)の調製 前記実施例2で調製した化合物(4−1)(6.00
g)のメタノール(90ml)溶液に、1規定NaOH
水溶液(30ml)を加え、室温で26.5時間放置し
た。反応液を濃縮乾固した。この乾固物に1規定HCl
水溶液(31ml)を加えてpH7とし、析出した粘稠
物をクロロホルムに溶解し、水とNaCl飽和水溶液で
洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮
して粗生成物(6.90g)を黄色油状物として得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフイー(Kies
elgel 60,300g,クロロホルム/メタノー
ル=30/1)で精製し、標記の化合物(2. 27g)
を淡黄色固体とて得た。1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0.8
8(t,3H),1.37(sext,2H),1.7
8(quint,2H),2.76(t,2H),4.
20(s,3H),5.50(s,2H),7.20
(d,2H),8.04(d,2H),8.53(s,
1H)
−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメチ
ル〕安息香酸メチルエステル(化合物No.3)の調
製:(c)ステップ 前記実施例2で調製した化合物(4−1)(0. 50
g)、1−ブタノール(7ml)、及びベンジルアミン
(0. 57g)の懸濁液を攪拌下で還流温度まで加熱す
ると淡黄色の均一溶液となった。この溶液を加熱還流下
で23時間攪拌した。溶媒を減圧下で80℃の温浴上で
留去し、水(15ml)を加え、クロロホルム(計40
ml)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、濃縮して、淡黄色の油状物質(0.76g)を得
た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフイー(Ki
eselgel 60,70g,クロロホルム/酢酸エ
チル=1/1)で精製し、標記の化合物(0. 28g)
を無色結晶として得た。 融点:144. 0−148. 0℃1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0.8
1(t,1.5H),0.86(t,1.5H),1.
19(sext,1H),1.31(sext,1
H),1.47(quint,1H),1.65(qu
int,1H),2.04(t,1H),2.37
(t,1H),3.90(s,3H),4.60−4.
73(m,4H),4.82(dd,0.5H),4.
95(dd,0.5H),5.09(dd,0.5
H),5.20(dd,0.5H),6.04(s,
0.5H),6.33(s,0.5H),7.21−
7.39(m,7H),7.98(d,2H),8. 2
2(s,0.5H),8. 25(s,0.5H)
ノ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメ
チル〕安息香酸メチルエステル(化合物No.4)の調
製:(c)ステップ 実施例4と同様にして、前記実施例2で調製した化合物
(4−1)(0. 50g)とフェネチルアミン(0. 4
9g)から、標記の化合物(0.24g)を無色結晶と
して得た。 融点:130.0−133. 0℃1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0.8
2(t,1.5H),0.90(t,1.5H),1.
17(sext,1H),1.32(sext,1
H),1.43(quint,1H),1.52−1.
63(m,1H),1.85−1.98(m,1H),
2.30(t,1H),2.86−2.90(m,2
H),3.65−3.77(m,2H),3.90
(s,3H),4.50(dd,0.5H),4.66
−4.77(m,2H),4.80(dd,0.5
H),4.93(dd,0.5H),5.16(dd,
0.5H),5.94(s,0.5H),6.17
(s,0.5H),7.18−7.37(m,7H),
7.97(d,2H),8.21(s,0. 5H),
8.23(s,0.5H)
ルアミノ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕ア
ミノメチル〕安息香酸メチルエステル(化合物No.
5)の調製:(c)ステップ 実施例4と同様にして、前記実施例2で調製した化合物
(4−1)(0. 50g)とフェニルプロピルアミン
(0. 50g)を反応させ、これを酢酸エチル/ヘキサ
ン=1/1から再結晶して標記の化合物(0.21g)
を無色結晶として得た。 融点:146.0−149. 0℃1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )σ:0.8
2(t,1.5H),0.93(t,1.5H),1.
21(sext,1H),1.37(sext,1
H),1.50(quint,1H),1.68(qu
int,1H),1.89−1.98(m,2H),
2.03(t,1H),2.36(t,1H),2. 6
7−2.73(m,2H),3.46−3.53(m,
2H),3.90(s,3H),4.40(dd,0.
5H),4.67−4.73(m,2H),4.75
(dd,0.5H),4.88(dd,0.5H),
5.17(dd,0.5H),5.95(s,0.5
H),6.08(s,0.5H),7.11−7.37
(m,7H),7.98(d,2H),8.19(s,
0.5H),8.21(s,0.5H)
ベンジル)アミノ−5−バレラミド〕ピリミジン−4−
イル〕アミノメチル〕安息香酸メチルエステル(化合物
No.6)の調製:(c)ステップ 実施例4と同様にして、前記実施例2で調製した化合物
(4−1)(0. 38g)と4−メトキシベンジルアミ
ン(0. 56g)から、標記の化合物(0.10g)を
無色結晶として得た。 融点:173.0−176. 0℃1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0.8
1(t,1.5H),0.86(t,1.5H),1.
18(sext,1H),1.30(sext,1
H),1.46(quint,1H),1.65(qu
int,1H),2.02(t,1H),2.36
(t,1H),3. 79(s,3H),3.90(s,
3H),4.53−4.63(m,2H),4.68−
4.77(m,2.5H),4.94(dd,0.5
H),5.01(dd,0.5H),5.18(dd,
0.5H),6. 00(s,0.5H),6.31
(s,0.5H),6. 85−6.88(m,2H),
7.21−7.26(m,2H),7.34−7.39
(m. 2H),7.98(d,2H),8.22(s,
0.5H),8.25(s,0.5H)
−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメチ
ル〕安息香酸(化合物No.7)の調製:前記実施例4
で調製した化合物No.3(0.20g)をメタノール
(30ml)に溶解し、1規定NaOH水溶液(4.5
ml)と水(10ml)を加えた。溶液は均一溶液のま
まであった。この溶液を室温で24時間攪拌した。溶媒
を減圧下で40℃の温浴上で留去した。水(20ml)
を加え、再溶解し、1規定HCl水溶液(計7.5m
l)を加えて酸析した。析出した固体を濾別して無色固
体(0. 20g)を得た。これを水/エタノール(5/
2)から再結晶して、標記の化合物(0. 15g)を無
色粒状晶として得た。 融点:213. 0−233. 5℃(分解)1 H−NMR(500MHz,d6 −DMSO)δ:
0.90(t,3H),1.33(sext,2H),
1.59(quint,2H),2.42(t,2
H),4.59(d,2H),4.65(d,2H),
7.22−7.33(m,7H),7.40(d,2
H),7.87(d.2H),8. 05(s,1H),
8.82(s,1H),12.84(bs,1H) なお、酸析することなく反応液を濃縮し、蒸発残さを精
製して標記化合物のナトリウム塩を得た。
ノ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメ
チル〕安息香酸(化合物No.8)の調製 実施例8と同様にして、前記実施例5で調製した化合物
No.4(0.20g)から、酸性析出固体(0. 17
g)を得た。この固体を水/エタノール(5/4)から
再結晶して、標記の化合物(0. 075g)を無色粒状
結晶として得た。 融点:215. 0−216. 0℃(分解)1 H−NMR(500MHz,d6 −DMSO)δ:
0.90(t,3H),1.32(sext,2H),
1.57(quint,2H),2.35(t,2
H),2.77(t,2H),3.50(q,2H),
4.58(d,2H),5.91(t,1H),6.5
9(t,1H),7. 18−7.30(m,5H),
7.38(d,2H),7.84(d,2H),7. 9
1(s,1H),8. 52(s,1H),12.75
(bs,1H)
ピルアミノ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕
アミノメチル〕安息香酸(化合物No.9)の調製:実
施例8と同様にして、前記実施例6で調製した化合物N
o.5(0.24g)から、酸性析出固体(0. 12
g)を得た。これを水/エタノール(1/1)から再結
晶して、標記の化合物(0. 083g)を無色結晶とし
て得た。 融点:185. 0−190. 0℃(分解)1 H−NMR(500MHz,d6 −DMSO)δ:
0.90(t,3H),1.33(sext,2H),
1.59(quint,2H),2.38(t,2
H),2.60(t,2H),2.54−2.65
(m,2H),4.59(d,2H),5.46(s,
1H),7.15−7.29(m,6H),7.38
(d,2H),7.85(d,2H),7.93(s,
1H),8.57(s,1H),12.79(bs,1
H)
シベンジル)アミノ−5−バレラミド〕ピリミジン−4
−イル〕アミノメチル〕安息香酸(化合物No.10)
の調製 実施例8と同様にして、前記実施例7で調製した化合物
No.6(0.092g)から、酸性析出固体(0. 0
55g)を得た。これを水/エタノール(1/1)から
再結晶して、標記の化合物(0. 014g)を無色結晶
として得た。 融点:216.0−218.0℃(分解)1 H−NMR(500MHz,d6 −DMSO)δ:
0.88(t,3H),1.31(sext,2H),
1.58(quint,2H),2.37(t,2
H),3.71(s,3H),4.45(d,2H),
4.58(d,2H),6.39(t,1H),6.6
0(t,1H),6.83(d,2H),7.21
(d,2H),7.38(d,2H),7.83−7.
88(m,3H),8.56(s,1H),12.77
(bs,1H)
シ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメ
チル〕安息香酸(化合物No.11)の調製 前記実施例2で調製した化合物(4−1)(0. 20
g)をベンジルアルコール(3ml)に溶解した。この
溶液に1規定NaOH水溶液(2.2ml)を加えて乳
濁液とし、更にテトラヒドロフラン(20ml)を加え
て均一溶液とした。この溶液を室温で17時間攪拌し、
溶媒を減圧下で40℃の温浴上で留去した。1規定HC
l水溶液(2.2ml)を加えてpH1として、水(1
0ml)を加えた後、クロロホルム(10ml)で抽出
した。有機層を濃縮して油状物を得た。この油状物に水
(300ml)を加えて析出した固体を濾別して無色固
体(0. 17g;融点=185.5−215.0℃)を
得た。これにメタノール(50ml)を加えて均一溶液
とし、1規定NaOH水溶液(5ml)と水(10m
l)を加えた。室温で18時間攪拌し、溶媒を減圧下で
40℃(浴温)で留去した。これに水(10ml)を加
えて再溶解し、1規定HCl水溶液(7ml)を加えp
H1として析出した固体(0.15g)を濾別した。こ
の固体を水/メタノール=3/10から再結晶して、標
記の化合物No.11(0.054g)を無色針状晶と
して得た。 融点:195.5−197.0℃(分解)1 H−NMR(500MHz,d6 −DMSO)δ:0.
81(t,3H),1.29(sext,2H),
1.62(quint,2H),2.78(t,2
H),5.57(s,2H),5.62(s,2H),
5.63(s,1H),7.24(d,2H),7.3
6−7. 54(m,6H),7.89(d,2H),
8.51(s,1H),12.94(bs,1H)
アミノ)ピリミジン−4−イル〕アミノメチル〕アニソ
ール(3−48)の調製:(a)ステップ 5−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(5. 00
g)、4−アミノメチルアニソール(4.12g)、1
−ブタノール(100ml)、及び乾燥トリエチルアミ
ン(4.9ml)の混合物を、還流温度まで加熱し、4
8時間攪拌した。淡橙色均一溶液を得、これを減圧下で
溶媒を留去し黄褐色の油状物(13.7g)を得た。こ
れに水(100ml)を加え、析出した固体を濾別して
淡黄色粗生成物(7.42g)を得た。濾液に酢酸エチ
ル(100ml)を加え抽出し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、溶媒を減圧下で留去して淡黄色固体(0.5
9g)を得た。先の粗生成物と合わせて酢酸エチルで再
結晶して標記の化合物(5.08g)を無色結晶として
得た。 融点:186.0−188. 0℃1 H−NMR(500MHz,CDCI3 )δ:3. 3
4(bs,2H) ,3.81(s,3H),4.61(
d,2H),5. 01(bs,1H),6.88(d,
2H),7. 28(d,2H),8.12(s,1H)
バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメチル〕ア
ニソール(4−48)(化合物No.48)の調製:
(b)ステップ 前記実施例13で調製した化合物(3−48)(25.
32g)に乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(200
ml)を加えて、セプタムシールした。溶液は無色の均
一溶液となった。室温にて攪拌下でバレリルクロリド
(10.34g)を注射器で5分間かけて加えた。15
分間で80℃に昇温し、加熱した後、乾燥したトリエチ
ルアミン(17ml)を加え、6時間攪拌した。一夜放
置後、溶媒を減圧下で留去し、クロロホルム(250m
l)を加え溶解し、水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、濃縮し、黄土色固体(45.06g)を得た。この
固体をシリカゲルカラムクロマトグラフイー(Kies
elgel 60,250g,酢酸エチル/n−ヘキサ
ン=2/3)で精製し、標記の化合物(17.55g)
を無色針状結晶として得た。 融点:135.0−138. 0℃1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0. 9
3(t,3H),1. 39(sext,2H),1. 7
0(quint,2H),2. 43(t,2H),3.
79(s,3H),4. 63(d,2H),5.88
(bs,1H),6.87(d,2H),6.98(b
s,1H),7.26(d,2H),8. 30(s,1
H)
ノ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノメ
チル〕アニソール(化合物No.89)の調製:(c)
ステップ 実施例4と同様にして、前記実施例14で調製した化合
物(4−48)(1.05g)及びベンジルアミン
(0.64g)を反応させ、これをシリカゲルカラムク
ロマトグラフイー(Kieselgel 60,60
g,酢酸エチル/クロロホルム=1/1)で精製し、標
記の化合物(0. 72g)を無色結晶として得た。 融点:158.0−159.0℃1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0. 7
9−0.85(m,3H),1. 17(sext,1
H),1. 28(sext,1H),1.44(qui
nt,1H),1.58−1.64(m,2H),2.
01(t,1H),2. 32(t,1H),3.79
(s,3H),4.52−4.65(m,4H),4.
68(t,0.5H),4.76(t,0.5H),
4. 83(t,0.5H),5.02(t,0.5
H),6.00(s,0.5H),6.30(s,0.
5H),6.81−6.86(m,2H),7.21−
7.35(m,7H),8.24(s,0.5H),
8.26(s,0.5H)
ミノ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イル〕アミノ
メチル〕アニソール(化合物No.90)の調製:
(c)ステップ 実施例4と同様にして、前記実施例14で調製した化合
物(4−48)(1.05g)及びフェネチルアミン
(0.73g)を反応させ、これをシリカゲルカラムク
ロマトグラフイー(Kieselgel 60,70
g,酢酸エチル/クロロホルム=1/1)で精製し、標
記の化合物(0. 86g)を無色結晶として得た。 融点:151.0−152.5℃1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0.8
2(t,1.5H),0.89(t,1.5H),1.
17(sext,1H),1. 30(sext,1
H),1.42(quint,1H),1.58(qu
int,1H),1.61(s,1H),1.84−
1.95(m,1H),2.26(t,1H),2. 8
7−2.91(m,2H),3.68−3.77(m,
2H),3.78(s,3H),4.48−4.62
(m,2.5H),4.72(t,0.5H),4.7
6(t,0.5H),4.94(t,0.5H),5.
88(s,0.5H),6.10(s,0.5H),
6.83−6.86(m,2H),7.17−7.32
(m,7H),8.24(s,0.5H),8.25
(s,0.5H)
メチルアミノ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イ
ル〕アミノメチル〕安息香酸メチルエステルの調製:
(c)ステップ 実施例4と同様にして、前記実施例2で調製した化合物
No.1(0.50g)、1−ブタノール(7ml)、
及びN−ベンジルメチルアミン(0.49g)を反応さ
せ、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Ki
eselgel60,70g,酢酸エチル/クロロホル
ム=3/1)で精製し、標記の化合物(0. 21g)を
無色結晶として得た。1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0.7
8(t,3H),1.14(sext,2H),1.3
8(quint,2H),1. 77(t,2H),3.
00(s,3H),3.89(s,3H),4.46
(s,2H),4.73(d,2H),5.59(t,
1H),6.52(s,1H),7.27−7.41
(m,7H),7.97(d,2H),8.23(s,
1H)
メチルアミノ−5−バレラミド)ピリミジン−4−イ
ル〕アミノメチル〕安息香酸(化合物No.61)の調
製 前記実施例17で調製した化合物(0.19g)をメタ
ノール(30ml)に溶解した。この溶液に1規定Na
OH水溶液(4.1ml)及び水(10ml)を加え
た。室温で22時間攪拌し、溶媒を減圧下で40℃で留
去した。水(10ml)を加えて再度溶解し、1規定H
Cl水溶液を白濁するまで加えて、クロロホルム(40
ml)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮
して、無色の固体(0.14g)を得た。この固体を水
/メタノール=1/1から再結晶して標記の化合物
(0.087g)を無色粒状結晶として得た。 融点:160.0−170.0℃1 H−NMR(500MHz,CDCl3 )δ:0.8
2(t,3H),1.22(sext,2H),1. 4
4(quint,2H),2.20(t,2H),2.
91(s,3H),4.61(d,2H),4.68
(s,2H),5.49(s,1H),6.85(t,
1H),7.21−7.34(m,5H),7.38
(d,2H),7.85(d,2H),7.90(s,
1H),8.81(s,1H)
間馴化飼育後、0.5%のメチルセルロース水溶液に本
物質を溶解又は分散して単回経口投与(投与量500m
g/kg)し、6日後の死亡数を調べた。結果を表10
に示す。
受容体に対する親和性を文献(Biochem.Pha
rmacol.,33:4057〜4062、198
4)記載の方法に準じてバインディングアッセイ法によ
り求めた。具体的には、各薬物の存在下での総結合の測
定は次の様に行った。所定濃度の薬物(DMSOに溶解
後、ドラッグディスカバリーシステム添付のバッファー
で2倍希釈しアッセイに供した;0.025ml)、ト
レーサー(0.025ml)、及びレセプター(0.2
ml)を加え、合計0.25mlとし、インキュベート
〔アンジオテンシンII受容体タイプ1(AT1 )では室
温で3時間、タイプ2(AT2 )では37℃1時間〕し
た後、反応液を吸引濾過した(AT1 ではGF/C濾
紙、AT2 はGF/B濾紙を用いた)。吸引濾過後の濾
紙(トレーサーとレセプター結合体)はγ−ウェルカウ
ンター(ARC−500、Aloka)で測定した。非
特異的結合は大過剰のディスプレーサーを加え、同様に
操作することによって求めた。薬物の所定濃度における
特異的結合は、それぞれ総結合から非特異的結合を差し
引いて求めた。AT1 及びAT2 において、所定濃度の
被験薬物及び対照薬物を用い、被験薬物が放射性リガン
ド(トレーサー)とレセプターの結合を阻害する割合
(50%阻害する濃度のIC50値、又は100μMでの
結合阻害%)を求めた。結果を表11に示す。
アンジオテンシンIIのタイプ1の受容体に対するIC50
値が本物質では15000nM以上であった。比較物質
として用いたDuP753のIC50値は20nMである
のに対して、15000nM以上である本物質は、タイ
プ1の受容体に対する阻害効果が無いといえる。このタ
イプ1の受容体に対して結合能がない点は、本物質が、
従来公知のACE阻害剤やアンジオテンシンII拮抗剤と
は作用機序の全く異なる化合物であることを示してい
る。
て、血圧降下作用を調べた。腎疾患ラットは常法に従
い、腎動脈分枝結紮により作製した。即ち、Sprag
ue−Dawley系雌ラットを用い、麻酔下に左腎門
部を露出して腎動脈第二分枝4本の内1本のみを残し、
残り3本をそれぞれ結紮した。更に1週間後に右腎の腎
門部(動脈、静脈、尿管)を結紮し、正常の約1/8の
腎機能に低下したラットを作製した。ラットは一群8匹
とし、各群に検体(20mg/kg)及び対照として水
のみを投与し、2日経過後にテールカフ法による血圧測
定装置(UR5000,ウエダ製作所)を用いて収縮期
血圧を測定した。血圧の平均値を表12に示す。
は明らかな血圧降下作用を示したのに対して、本物質で
は血圧に対する影響は実質的に認められなかった。
る作用) 実施例21と同様にして腎疾患ラットを作製した。一群
8匹として、腎機能の指標である血清クレアチニン値、
尿素窒素値に差のないように15群を用意した。ラット
には、食餌、水を自由摂取させるとともに、各群に本物
質、比較物質(DuP753)を20mg/kg・日の
用量で、また対照群には水のみを連日強制経口投与し
た。2週間後に、麻酔下でラットの頸動脈から血液を
0.2ml採取し、これを遠心分離して得た血清25μ
lを用いてクレアチニン分析計(ベックマン社製)で血
清クレアチニン(Scr)を測定した。尿素窒素(BU
N)は同様して得た血清10μlを用いてBUN分析計
(ベックマン社製)で測定した。クレアチニンクリアラ
ンスは血清クレアチニンを測定後、ラットを尿代謝ケー
ジに24時間入れ、蓄尿した後、尿クレアチニン濃度
(Ucr)をクレアチニン分析計で測定し、また全排泄
尿量(Uvol)を測定した。クレアチニンクリアラン
ス(CCr)は次の式で算出した。 結果を表13に示す。
チニン値、尿素窒素値は、本物質の投与により、対照と
較べて明らかに低値を示し、腎機能を表わすクレアチニ
ンクリアランスは、対照より明らかに改善した。その効
果は比較物質と同程度であり、本物質は、既知のアンジ
オテンシンII受容体拮抗作用及び血圧降下作用が実質的
になくて、腎疾患の改善作用があることが示された。
る作用 実施例21と同様にして腎疾患ラットを作製した。一群
8匹として、腎機能の指標である血清クレアチニン値、
尿素窒素値に差のないように15群を用意した。ラット
には、食餌、水を自由摂取させるとともに、各群に本物
質、比較物質(DuP753)を20mg/kg・日の
用量で、また対照群には水のみを連日強制経口投与し
た。腎疾患が進行すると尿毒症のためにラットは死亡す
るので、腎疾患に対する改善効果の総合的な指標とし
て、ラットの生存期間を調べた。結果を表14に示す。
ここで試験期間は8週間とした。従って、全てのラット
が生存した場合に、平均生存期間は8週間となり、これ
が上限値である。
た。その効果は比較物質と同程度かそれ以上であり、本
物質は、既知のアンジオテンシンII受容体拮抗作用及び
血圧降下作用が実質的になくて、腎疾患により死亡する
ラットを延命させることが示された。
g)、コーンスターチ(150mg)、微結晶セルロー
ス(29mg)、及びステアリン酸マグネシウム(5m
g)を混合し、これを打錠して錠剤(230mg/錠)
にした。
ジン誘導体又はその薬学上許容することのできる塩は、
血圧に対する作用が極めて少ないにもかかわらず、腎障
害に対しては充分な効果を示す。従って、このような薬
剤を用いることによって腎疾患に対する治療は充分に行
い、一方、血圧については必要に応じて適切な降圧剤を
用いて血圧を望ましいレベルに調節することにより、急
性腎不全などの問題のない適切な治療が可能になる。
Claims (5)
- 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 〔式中、R1 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、
炭素数1〜6のハロアルキル基、又は−NHR11であ
り;R2 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素
数1〜6のハロアルキル基、ハロゲン原子、−(CH
2 )m C6 H5 、−NH2 、−NHR12、−NH(CH
2 )n C6 H5 、−NH(CH2 )p C6 H4−O
R13、−N(R14)(CH2 )q C6 H5 、−NHC
(=O)R15、−NHC(=O)(CH2 )r C6 H
5 、−NHC(=O)CH(C6 H5 )2 、−OR16、
又は−O(CH2 )s C6 H5 ;R3 は−COOH、−
COOR17、ヒドロキシル基、−OR18、−NH2 、−
N(R19)2 、−NHR20、アゾール基、又はスルホン
酸基であり;R11は炭素数1〜6のアルキル基、又は炭
素数1〜6のハロアルキル基であり;R12、R13、
R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20はそれぞ
れ独立して炭素数1〜6のアルキル基であり;mは0又
は1〜6の整数であり;nは0又は1〜6の整数であ
り;pは0又は1〜6の整数であり;qは0又は1〜6
の整数であり;rは0又は1〜6の整数であり;sは0
又は1〜6の整数である〕で表されるピリミジン誘導体
又はその塩。 - 【請求項2】 R1 が水素原子、炭素数1〜5のアルキ
ル基、炭素数1〜5のハロアルキル基、又は−NHR11
であり;R2 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、
炭素数1〜4のハロアルキル基、ハロゲン原子、−(C
H2 )m C6H5 、−NH2 、−NHR12、−NH(C
H2 )n C6 H5 、−NH(CH2 )p C6 H4 −OR
13、−N(R14)(CH2 )q C6 H5 、−NHC(=
O)R15、−NHC(=O)(CH2 )r C6 H5 、−
NHC(=O)CH(C6 H5)2 、−OR16、又は−
O(CH2 )s C6 H5 ;R3 は−COOH、−COO
R17、ヒドロキシル基、−OR18、−NH2 、−N(R
19)2 、−NHR20、アゾール基、又はスルホン酸基で
あり;R11は炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1
〜5のハロアルキル基であり;R12、R13、R14、
R15、R16、R17、R18、R19及びR20はそれぞれ独立
して炭素数1〜4のアルキル基であり;mは0又は1〜
4の整数であり;nは0又は1〜4の整数であり;pは
0又は1〜4の整数であり;qは0又は1〜4の整数で
あり;rは0又は1〜4の整数であり;sは0又は1〜
4の整数である、請求項1に記載のピリミジン誘導体又
はその塩。 - 【請求項3】 R2 がピリミジン環の2位又は6位にあ
り、R3 がフェニル環の4位にある請求項1に記載のピ
リミジン誘導体又はその塩。 - 【請求項4】 R2 がピリミジン環の6位にあり、R3
がフェニル環の4位にある請求項1に記載のピリミジン
誘導体又はその塩。 - 【請求項5】 請求項1記載の一般式(I)で表される
化合物又はその薬学上許容される塩を含有することを特
徴とする医薬組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7158658A JP2996609B2 (ja) | 1994-06-01 | 1995-06-01 | ピリミジン誘導体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14227494 | 1994-06-01 | ||
JP6-142274 | 1994-06-01 | ||
JP7158658A JP2996609B2 (ja) | 1994-06-01 | 1995-06-01 | ピリミジン誘導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0848672A JPH0848672A (ja) | 1996-02-20 |
JP2996609B2 true JP2996609B2 (ja) | 2000-01-11 |
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ID=26474334
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7158658A Expired - Fee Related JP2996609B2 (ja) | 1994-06-01 | 1995-06-01 | ピリミジン誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2996609B2 (ja) |
-
1995
- 1995-06-01 JP JP7158658A patent/JP2996609B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0848672A (ja) | 1996-02-20 |
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