JP2991521B2 - 赤外線式厚み・濃度計 - Google Patents

赤外線式厚み・濃度計

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JP2991521B2
JP2991521B2 JP9321991A JP9321991A JP2991521B2 JP 2991521 B2 JP2991521 B2 JP 2991521B2 JP 9321991 A JP9321991 A JP 9321991A JP 9321991 A JP9321991 A JP 9321991A JP 2991521 B2 JP2991521 B2 JP 2991521B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は測定対象物に赤外線を照
射し、吸光度を測定することによって、測定対象物の厚
みあるいは濃度を測定する赤外線式厚み・濃度計に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から測定対象物の厚みあるいは濃度
を測定するために赤外線式厚み・濃度計が使用されてい
る。
【0003】この従来装置としては、図5に示すように
光源1からの光を特定の波長に分光する光学的干渉フィ
ルタ2を取付け、モータ3で回転するようにした回転型
分光器4を通し、時分割で光を測定対象物によって特定
の波長に分光し、測定対象物5の特性吸収波長の光を照
射し、測定対象物の透過・反射した光の強度を赤外線検
出器6によって計測し、タイミング検出回路7に同期し
てこの波長の吸光度の演算処理を行う制御処理回路8に
よって、特性吸収波長の吸光度から検量線を用いて測定
対象物の厚みあるいは濃度に換算し測定する装置があ
る。
【0004】吸光度と厚みあるいは濃度の関係式である
検量線は、ランバートーベールの関係式により一次関数
的な比例関係が成立することを利用している。
【0005】ランバートーベールの関係式 A=alc A;吸光度 a;測定対象物の吸光係数 l;測定対象物の厚み c;測定対象物の濃度 特に測定精度を向上するために、測定対象物に特有の吸
収を示す吸光係数の大きい波長として、特性吸収波長と
呼ばれる波長を選び、その波長での吸光度を測定するこ
とによって厚みあるいは濃度を求める。
【0006】特性吸収波長の吸光度のみから厚みあるい
は濃度を測定する単波長測定方式と、吸光度の測定精度
をより向上するために測定対象物の吸収の少ない波長を
基準として特性吸収波長の吸光度を測定する多波長測定
方式があり、後者が一般的である。図5では、回転型分
光器4に取り付けられた干渉フィルタ2として特性吸収
波長一波長と基準波長二波長を取り付けた多波長測定方
式を示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の装置では、単波
長測定方式・多波長測定方式いずれの測定方式において
も、測定対象物の特定の範囲の厚みあるいは濃度に対し
て1つの特性吸収波長を選定してその吸光度を測定し、
この吸光度よりランバートベールの関係式を用いて測定
対象物の厚みあるいは濃度に換算、測定している。この
ため測定対象ごとに特性吸収波長と該波長に対応する検
量線を選定する必要がある。
【0008】また一材種の測定対象物に対しても、一定
の測定精度を維持しようとすると測定可能な厚み濃度の
範囲は狭くなる。吸光度は厚みあるいは濃度に比例する
ので、透過率の大きさによって吸光度の誤差は一定でな
く、厚みあるいは濃度の相対誤差は透過率誤差を0.5
%とした場合に図2のように変化する。相対誤差が±2
%以下の小さい範囲としては透過率10〜70%の範囲
であるので、これを吸光度に換算すると、測定精度を保
証する測定範囲は吸光度0.16〜1.0に限定され
る。
【0009】また吸光度と測定対象物の厚みあるいは濃
度の関係は前述のようにランバートーベールの関係式に
より一次関数的な比例関係が成立するが、厚みあるいは
濃度が大きくなると測定対象物内の散乱などによって一
次関数的な比例関係が成り立たなくなり検量線の曲がり
が生じることが経験的に知られている。このため従来の
装置では広範囲な厚みあるいは濃度の測定に対しては、
検量線として折れ線の近似式や高次関数式を用いて対応
している。しかしながらすでに説明したように検量線が
成立する範囲内であっても精度上の問題から、測定範囲
は限定される。
【0010】例えば二軸延伸製造方式による樹脂フィル
ムでは、数ミクロンから数十ミクロンの厚みの製品を製
造する場合においても、製造技術上の理由から製品の両
端部では数百ミクロンの厚みになり、この二つの厚みの
範囲を同時に測定したい要求があるが従来装置ではこの
厚みの範囲を一つの装置によって同時に精度良く測定す
ることはできない。
【0011】本発明は上記の問題点を改良し、測定対象
物が特性吸収波長の異なる測定対象物に変更された場
合、また同一測定対象物であっても厚みあるいは濃度が
測定精度を保証できない広範囲な領域を測定する必要の
ある場合に、測定すべき特性吸収波長を選択して切り替
え、分光波長の変更を装置を停止させて行うことなく連
続的に測定することを可能とすることを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる赤外線厚
み・濃度計は、測定対象物に対して赤外線を放射して、
測定対象物の特性吸収波長での吸光度を測定し、測定対
象物の特性吸収波長での吸光度と測定対象物の厚みまた
は濃度との関係を示す検量線により、測定対象物の厚み
または濃度を測定する赤外線厚み・濃度計において、複
数の特性吸収波長と、それぞれこれらに対応する複数の
検量線とを用い、あらかじめ定めた第1の特性吸収波長
での吸光度の値が特定範囲から外れた場合、いずれか他
の特性吸収波長と、これに対応する検量線とを用いるこ
とを特徴とするものである。
【0013】すなわち、本装置は、測定対象物に対して
特定の光の波長に分光する分光部に、測定が想定される
複数の材種の測定対象物に対応する特性吸収波長あるい
は一材種の測定対象物に対しても広範囲な測定領域を満
足する複数の特性吸収波長に分光する機能を持ち、この
機能により複数の波長の光の吸光度が測定可能なように
し、処理制御部に複数の特性吸収波長から任意の一波長
を選択する波長選択機能とこの機能により測定した複数
波長の吸光度から一つの特性吸収波長の吸光度を選択し
て測定対象物の厚みあるいは濃度に演算処理を行う機能
を持つ装置である。本装置を使用する場合には、必要と
されるであろう複数の特性吸収波長を前もって選定し、
分光部で分光可能なようにする。測定対象に変更が生じ
た場合には処理制御部に指示を与えることにより特定の
特性吸収波長を選択可能なようにする。これによって任
意の測定対象に対して特定の特性吸収波長が選択される
ため、測定対象物が変更になった場合にも厚みあるいは
濃度の測定の変更が容易に実現可能である。また処理制
御部にコンピュータを使用することによって、特性吸収
波長の自動切り替えが可能である。
【0014】ここで複数の特性吸収波長の分光方式とし
ては、時間間隔毎に測定波長を切り替える方式でも良
く、また、空間的に分光し複数の検出器を用いる方式で
も良い。複数の特性吸収波長に分光する位置は測定対象
物に対して光を放射する前でも良く、また測定対象物を
透過あるいは反射した後でも良い。さらに本発明は特性
吸収波長のみの吸光度を測定する単波長測定方式と併用
しても良く、また、特性吸収波長に加えて測定対象物の
厚みあるいは濃度の影響のない複数の波長の光強度を基
準として用いることにより誤差成分を除去し精度向上を
図った多波長測定方式を併用しても良い。
【0015】特性吸収波長の選択方式によっては、複数
の波長をすべて測定する構成を取る必要はなく、選択方
式によって選択された特性吸収波長に限って測定する方
式でも良い。
【0016】
【発明の効果】以上の方式を用いることによって、測定
対象物が変更された場合、あるいは測定範囲が広範囲な
場合にも、特性吸収波長を直接的に変更する必要はな
く、波長の切り替え制御操作のみで連続的に測定が可能
である。処理部あるいは切り替え制御部にコンピュータ
を用いることによって自動的に最適の切り替えも可能で
ある。
【0017】
【実施例】図1は本発明の1実施例として示す概略図で
ある。光源1からの赤外線を、時間間隔毎に分光する波
長が切り替わるように回転型分光器4に取り付けた複数
からなる光学式干渉フィルタ2を通し、測定対象物に放
射する。この干渉フィルタは前もって測定対象物の特性
吸収波長として2つの波長を選択しておく。測定対象物
5が反射体上の透明なコートの場合に、透過反射した光
は検出器6に入射する。検出器から取り出した出力は干
渉フィルタの回転に同期する回路7によって、対応する
特性吸収波長の吸光度として測定できる。本実施例で
は、回転型分光器4に取り付けられた光学式干渉フィル
タ2として特性吸収波長2波長と基準波長2波長を取り
付けた多波長方式を示している。特性吸収波長I、IIは
制御処理部8によっていずれかの波長を選択する。
【0018】本実施例ではニ軸延伸により製造されたポ
リプロピレンフィルムの広範囲な厚みの連続測定を示
す。このニ軸延伸フィルムでは製造目的厚みを20ミク
ロンとしているが、製造技術上製品の両端部では数百ミ
クロン以上の厚みになる。従来の装置では厚みの薄い領
域を測定対象とする特性吸収波長I(3.5μm)を用
いた場合には図3の10のように測定され端部の厚みが
正確に測定できない。逆に厚みの厚い領域を測定対象と
する特性吸収波長II(2.3μm)を用いた場合には図
3の11のように測定され同様に誤差は大きくなり、い
ずれかの領域の測定を犠牲にするか装置を複数台使用す
る方式が取られている。なお、基準波長としては2.0
μm、3.0μm、4.0μmを用いた。
【0019】この特性吸収波長と厚みの関係式である検
量線を図4に示す。本装置では回転型分光器の特性吸収
波長として厚い領域と薄い領域の二つの特性吸収波長を
分光可能なように干渉フィルタを取り付け、両端部の厚
みの厚い領域では特性吸収波長IIを選択し、中央部の厚
みの薄い領域では特性吸収波長Iを選択するように適正
な特性吸収波長を切り替え制御して測定した結果が図3
の12である。本実施例では検量線の切り替えを特性吸
収波長Iでの吸光度1.0をもって行った。この結果図
3の12に示すように全ての領域にわたって正確な厚み
の測定ができている。
【0020】なお特性吸収波長IIよりさらに厚みの厚い
領域に対応する特性吸収波長III を用いれば、さらに厚
い領域の厚みを測定することも可能である。また、特性
吸収波長Iよりさらに厚みの薄い領域に対応する特性吸
収波長IVを用いれば、特性吸収波長Iの吸光度0.16
で切替えると、さらに薄い領域の厚みを測定することも
可能である。使用する特性吸収波長と検量線によっては
特性吸収波長Iの吸光度の値により特性吸収波長IIをと
ばしてIII に直接切替えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略を示す説明図。
【図2】透過率に対する相対誤差を示す図。
【図3】二軸延伸フィルムでの厚み測定例
【図4】厚みに対して検量線を変更した例
【図5】従来例の概略を示す説明図
【符号の説明】
1 光源 2 干渉フィルター 3 モータ 4 回転型分光器 5 測定対象物 6 赤外線検出器 7 タイミング検出回路 8 制御処理回路 10 特性波長Iでの測定値 11 特性波長IIでの測定値 12 特性波長Iと特性波長IIとを用いた測定値

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象物に対して赤外線を放射して、
    測定対象物の特性吸収波長での吸光度を測定し、測定対
    象物の特性吸収波長での吸光度と測定対象物の厚みまた
    は濃度との関係を示す検量線により、測定対象物の厚み
    または濃度を測定する赤外線厚み・濃度計において、 複数の特性吸収波長と、それぞれこれらに対応する複数
    の検量線とを用い、あらかじめ定めた第1の特性吸収波
    長での吸光度の値が特定範囲から外れた場合、いずれか
    他の特性吸収波長と、これに対応する検量線とを用いる
    ことを特徴とする赤外線厚み・濃度計。
  2. 【請求項2】 吸光度の上記特定範囲が0.16〜1.0
    であることを特徴とする請求項1記載の赤外線厚み・濃
    度計。
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