JP2988940B2 - 粉末射出成形部品の成形方法 - Google Patents

粉末射出成形部品の成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、粉末射出成形部品の成形方法に関するもの
で、さらに詳細には、金属粉末および/またはセラミッ
クス粉末と、光崩壊性樹脂を有機バインダー成分として
混合し、これを所望の形状に射出成形した後、有機バイ
ンダーを光分解改質し、成形体から効率良く有機バイン
ダーを加熱分解除去し、焼成することを特徴とする粉末
射出成形部品の成形方法に関するものである。
〔従来の技術〕
最近、金属粉末またはセラミックス粉末を用いた各種
焼結部品が、一般工業材料から精密機械部品、電子部
品、電気部品、自動車部品などの分野で広く利用される
ようになってきた。これに伴い、これら部品の寸法精度
や物性、形状等について、かなり厳しい要求がなされる
ようになってきた。現在広く行われているスプレードラ
イヤーによる成形用粉体の構造、その後のラバープレス
による焼結用成形物の製造は、工程が極めて複雑であ
り、さらに歩留まりが非常に悪いという問題があるのみ
ならず、複雑な形状を有する成形物が得られないという
欠点を有している。
このような要求、問題に対処するために、金属粉末ま
たはセラミックス粉末に、適当な樹脂を添加して熱可塑
性を与え、これを射出成形法により成形し、ついでこの
成形体中に含まれる樹脂を加熱分解除去後、本焼成を行
い、所望の金属またはセラミックス粉末射出成形部品を
得る方法がいくつか提案され、また実施されている(た
とえば、特公昭51−29170号、特開昭55−113510号、特
開昭55−113511号各公報)。
これらの方法における重要点は、射出成形時におい
て、成形体にクラックが入らないことはもちろんである
ほか、得られた成形体から、いかにクラックや膨れ、変
形を起こさずに、短時間で樹脂であるところの有機バイ
ンダーを除去するかにある。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来、これら有機バインダーとして、いくつかの熱硬
化性樹脂、および熱可塑性樹脂が検討されているが、熱
硬化性樹脂では、流動性、成形性の面で良い結果が得ら
れていない。一方、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレ
ン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アタクチックポリプロ
ピレン系樹脂が主流をなし、その他数種類の樹脂が提案
され、またその一部は実施されている。そして、これら
有機バインダーを成形体から除去するには、いずれの場
合においても加熱手段のみを用いて、単位時間当りの昇
温速度をわずかにして、数十〜数百時間かけて成形体に
クラックや膨れを生じたり、変形を起こさないように、
細心の注意を払いつつ行われていた。
しかしながら、それにもかかわらず、この従来法にお
いては成形体にクラックや膨れが生ずる頻度が比較的高
く、工業的に必ずしも満足し得る方法とは言い難かっ
た。
これらの問題を改良するために、溶媒抽出により、成
形体から有機バインダーを一部除去し、残余の有機バイ
ンダーを加熱手段により分解除去する方法が提案され、
また実施されている(特開昭57−26105号、特公昭59−2
7743号各公報)。
しかしながら、この溶媒抽出による成形体からのバイ
ンダー除去方法を用いると、特公昭62−33282号公報に
示されるごとく、成形体にクラックを生じるという問題
に加えて、作業者の健康に悪影響を及ぼすという作業環
境問題があり、この問題を除去することは、困難かつ費
用がかかるという欠点を有していた。またさらに、有機
バインダー抽出に用いる溶媒の回収や、再循環を行うた
めには、費用がかかるという欠点を有していた。
また、これまでの前記方法において、成形体にクラッ
クや膨れを生じたり、変形を起こさないようにして、有
機バインダーの除去時間を短縮させる目的で、昇華性、
揮発性、および溶解性の高い成分等を有機バインダー中
に混合することにより、改良を行っている。しかし、こ
のような昇華性、揮発性、および溶解性の高い成分等の
使用は、金属粉末および/またはセラミックス粉末と、
有機バインダー成分とからなる混合体の貯蔵安定性に問
題を生じるという欠点を有していた。
〔課題を解決するための手段〕
本発者は、かかる点に鑑み、溶媒抽出の使用、および
昇華性成分、揮発性成分、溶解性成分等の使用を避け、
作業環境の低下を招くことなく、成形体にクラックや膨
れを生じたり、変形を起こさないようにして、成形体か
らの有機バインダー除去を効率的に行い、且つ金属粉末
および/またはセラミックス粉末と、有機バインダー成
分とからなる、均質な混合体の貯蔵安定性にも問題のな
い粉末射出成形部品の成形方法を見出すことを目的とし
て、鋭意研究、検討した結果、金属粉末および/または
セラミックス粉末と、少なくとも1種類の光崩壊性樹脂
を含む有機バインダー成分とを、均一に混合し、これを
所望の形状に射出成形した後、有機バインダーの光分解
改質と、従来方法の加熱分解除去とを併用することによ
り、成形体から効率良く有機バインダーを除去し、焼成
することにより、前記目的を達成し得ることを見出し
た。
本発明において使用される金属粉末としては、金属珪
素粉末、高速度鋼等の鉄または鉄合金粉末、チタン系、
タングステン系、ボロン系等の超合金粉末、磁性材料粉
末等の各種金属粉末等があり、また、セラミックス粉末
としては、窒化珪素粉末、炭化珪素粉末、アルミナ粉
末、ジルコニア粉末、サイアロン粉末(窒化珪素−アル
ミナ系)等の各種セラミックス粉末がある。また、金属
粉末とセラミックス粉末とを混合したサーメット粉末と
して使用することもでき、必要に応じて、これらの各種
金属粉末とセラミックス粉末の1種類または2種類以上
を適宜混合して用いることもできる。また、金属繊維、
セラミックス繊維のうち短繊維であって、有機バインダ
ーと混合することにより射出成形可能なものも本発明の
範囲に含まれる。これらの粉末には、素材である粉末の
ほか、焼結用助剤、成形助剤、物性向上のための他の助
剤等を適宜あらかじめ添加しておくこともできる。
本発明に用いる光崩壊性樹脂とは 一般式 (式中、R1とR2は、H以外の原子あるいは基を示し、n
は、1以上の整数を示す。) で示されるものが好ましく、さらに好ましくは、R1また
はR2のどちらかがメチル基であるところのメタクリレー
ト系樹脂である。具体的には、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエチルメタクリレート、ポリn−プロピルメタ
クリレート、ポリi−プロピルメタクリレート、ポリn
−ブチルメタクリレート、ポリi−ブチルメタクリレー
ト、ポリt−ブチルメタクリレート、ポリsec−ブチル
メタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、
ポリベンジルメタクリレート、ポリエチルヘキシルメタ
クリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリneo−
ペンチルメタクリレート、ポリt−ペンチルメタクリレ
ート等の各種メタクリレート系樹脂がある。また、メチ
ルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルメタ
クリレート−アクリロニトリル共重合体、メチルメタク
リレート−イソブチレン共重合体、メチルメタクリレー
ト−i−プロピルメタクリレート共重合体、メチルメタ
クリレート−メチル−a−クロロアクリレート共重合
体、n−ブチルメタクリレート−シクロヘキシルメタク
リレート共重合体、n−ヘキシルメタクリレート−メチ
ル−a−クロロアクリレート共重合体、メチルメタクリ
レート−n−ヘキシルメタクリレート−メチル−a−ク
ロロアクリレート共重合体等の共重合体も本発明に含ま
れる。これら光崩壊性樹脂は、単独で有機バインダーと
して用いることもできるが、金属粉末やセラミックス粉
末との親和性を高め、成形時の流動性を高めるために
は、他の公知の有機バインダーや、低融点物質と組み合
わせることもできる。この時、光崩壊性樹脂は有機バイ
ンダー成分中において、10重量%以上含有されることが
好ましく、さらに好ましくは、30重量%以上含有される
ことが好ましい。
一般に有機高分子化合物は、光(放射線)の照射によ
り分解型と架橋型とに大別される。その有機高分子化合
物が、光(放射線)の照射により分解型になるか、架橋
型になるかは、光(放射線)照射により誘発される励起
状態の化学反応の活性化エネルギーの大きさに支配され
ることが、理論、実験の両面から確かめられている。ま
た、経験則として若干の例外もあるが、Millar−Wall−
Charlsbyの規則では、 一般式 あるいは CH2CH2 (ただし、式中R1、R2は側鎖であり、Hは側鎖とみなさ
ないが、ClやFは側鎖とみなす。また、nは、1以上の
整数を示す。) は架橋型となることが知られている。
本発明において、一般式およびで示される有機高
分子化合物、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレン
では本発明の目的を達成することができず、逆に悪影響
を与えることになる。つまり、特開昭59−199570号公報
に示されるような、分子中の側鎖に、単にメチル基を有
する有機高分子化合物では、本発明の目的を達成するこ
とはできない。即ち、本発明の目的を達成するために
は、一般式 (式中、R1とR2は、H以外の原子あるいは基を示し、n
は、1以上の整数を示す。) で示される、光照射により分解型となる有機高分子化合
物を、光崩壊性樹脂として用いることにより、はじめて
実現することができるのである。
本発明における金属粉末および/またはセラミックス
粉末と有機バインダーとの混合は、公知の方法により行
われる。具体的には、金属粉末および/またはセラミッ
クス粉末と、光崩壊性樹脂および/または他の公知の有
機バインダーとを、加圧式ニーダーで溶融混合すること
により、効率良く、均質な混合体を形成することがで
き、一定の成形性、および一定の重量、密度を保有した
混合体、および成形体を得ることができる。
本発明における均質な混合体の成形は、射出成形機を
用いて公知の方法により、所望の形状の成形体を得る。
この時、均質な混合体を用いることにより、安定した成
形を行うことが可能となる。
本発明における最大の特徴は、成形体表面に所定以上
のエネルギーを有する光として紫外線、電子線、または
X線を照射することにより、成形体表面の一定分子量を
有する有機バインダーを、光分解改質することにある。
有機バインダーを除去する工程において重要なことは、
成形体表面から有機バインダー成分を、分解ガスとして
徐々に除去し、順次内部へと分解を進行させることにあ
る。単に加熱手段のみを用いる方法では、このような分
解の進行を制御することは、非常に困難である。この問
題を解決するために、有機バインダーの種類や組合せに
より種々検討されているが、効果的なものは未だ見出さ
れていない。本発明の方法によれば、容易に成形体表面
から順次内部へと、有機バインダー成分の分解除去を制
御することできる。つまり、成形後の成形体表面に、光
として紫外線、電子線、またはX線を照射すると、これ
らの線量は、照射面で吸収、或いは散乱され、成形体内
部に進行するに従い、減少することになる。即ち、必然
的に成形体表面の光崩壊性樹脂から光分解改質が起こ
り、順次成形体内部へと、光分解改質が進行することに
なる。この光分解改質の進行は、用いる光崩壊性樹脂の
種類により、外部光エネルギーによるものと、ラジカル
解重合により連鎖的に起こるものとが存在し、この両者
が同時に起こるものも存在する。このように光分解改質
された有機バインダーは、ガス化、或いは低分子量化さ
れ、成形体表面から揮散除去、或いは成形体表面層に残
余として存在することになる。この時、発生した分解ガ
スは、成形体表面から順次揮散除去されるため、成形体
にクラックや膨れが生じることはない。
本発明において、光崩壊性樹脂の光分解改質を、より
効率的に行うために、有機バインダー混合物に、少なく
とも1種類の光崩壊促進剤を添加して用いることもでき
る。光崩壊促進剤としては、α−メチルスチレン、2−
メチルカプトエタノール、エチルベンゼン、メチルp−
ヒドロキシベンゾエート、p−メトキシベンゾイックア
シド等を具体的にあげることができる。
本発明における有機バインダーの除去工程は、加熱手
段により行われるが、予め成形体表面に所定以上のエネ
ルギーを有する光として紫外線、電子線、またはX線を
照射することにより、成形体表面の一定分子量を有する
有機バインダーを光分解改質することで、より効率的な
有機バインダーの加熱分解除去をすることが可能とな
る。なぜならば、この光分解改質により、成形体表面か
らの有機バインダーの揮散除去により、成形体表面層に
はミクロポアが形成され、しかる後に加熱分解により発
生するガス化成分のミクロパスになるためである。ま
た、成形体表面層に有機バインダーの低分子量化成分
が、残余として存在することから、熱分解温度の低いこ
れら低分子量化成分から、しかる後に順次加熱分解する
ことができるからである。即ち、光分解改質により形成
および生成されたミクロパス、および有機バインダーの
低分子量化成分が、成形体内部から表面にかけて存在し
ているため、残余の有機バインダーを短時間で効率的に
加熱分解除去しても、発生した分解ガスによるクラック
や膨れ、変形を成形体に発生させることはない。本発明
において、これら光分解改質と加熱分解除去を同時に行
うことで、更に効率的な有機バインダー除去が可能とな
る。また、これら光分解改質と加熱分解除去を同時に行
う前に、予め有機バインダー成分中の低融点物質を加熱
溶融除去することにより、成形体表面層にミクロポアを
積極的に形成させることで、成形体内部の光崩壊性樹脂
の光分解改質を効率的に行うことができる。本発明にお
ける光分解改質と加熱分解除去との同時使用、および光
分解改質と加熱分解除去前の低融点物質の加熱溶融除去
は、肉厚の厚い粉末射出成形部品に特に有効である。本
発明において、有機バインダーの除去工程における除去
率は、70%〜90%が好ましく、さらに好ましくは、80%
〜90%である。
本発明における焼成は、粉末原料の焼成中に10%〜30
%の残余の有機バインダーを完全に除去するために、用
いる有機バインダーの所定分解温度以上まで昇温加熱ま
たは、所定分解温度以上で所定時間保持した後、粉末原
料に応じた所定雰囲気下で、所定の焼結温度で行うこと
により、所望の形状、寸法、および密度を持つ欠陥のな
い粉末射出成形部品を得ることができる。
〔実施例〕
以下に実施例をあげて本発明の効果を示すが、本発明
は、これに限定されるものではない。
(実施例 1) カルボニル鉄粉末92.6重量%に対して、光崩壊性樹脂
であるメチルメタクリレート−i−プロピルメタクリレ
ート共重合体3.3重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合
体1.9重量%、パラフィンワックス2.2重量%を加圧式ニ
ーダを用い、150℃、4Kgf/cm2で十分に溶融混合し、し
かる後に、その混合体をペレット化した。このペレット
を射出成型機により、加熱筒温度180℃、射出圧力1t/cm
2、金型温度45℃にて3mm×12mm×60mmの板状の成形体を
得た。この成形体に190nm〜240nmで強度50mW×cm2の遠
紫外線を照射し、有機バインダの光分解改質を行いなが
ら有機バインダの加熱分解除去を行った。この成形体の
有機バインダの加熱分解除去は、室温から200℃まで2
時間で昇温加熱後、200℃から350℃まで1.5時間で昇温
加熱し、さらに350℃から420℃まで1時間で昇温加熱す
ることにより行った。この有機バインダの除去率は、86
%であった。このようにして、有機バインダの除去処理
を行った成形体の表面を観察したが、クラックや膨れ、
変形はまったく認められなかった。次にこの成形体の焼
成を、水素雰囲気中において、室温から450℃まで1時
間で昇温加熱し、その温度で1時間保持し、残余の有機
バインダ14%を完全に除去した後、450℃から1450℃ま
で3時間で昇温加熱後、その温度で2時間保持して、焼
結体を得た。得られた焼結体は、クラックや膨れ、変形
はまったく認められなかった。
(実施例2) 実施例1において、パラフィンワックスとして、低融
点のパラフィンワックスを使用し、光分解改質および加
熱分解除去前に、所定温度で1時間の加熱抽出除去を行
った。本実施例においては、8mm×12mm×60mmの板状の
成形体を成形した。その他は、すべて実施例1と同様に
して行った。なお、有機バインダの除去率は、87%であ
った。得られた有機バインダの除去体、および焼結体
は、クラックや膨れ、変形はまったく認められなかっ
た。
(参考例1) カルボニル鉄粉末92.6重量%に対して、光崩壊性樹脂
であるメチルメタクリレート−イソブチレン共重合体2.
8重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体2.4重量%、パ
ラフィンワックス2.2重量%を加圧式ニーダを用い、130
℃、4Kgf/cm2で十分に溶融混合し、しかる後に、その混
合体をペレット化した。このペレットを射出成型機によ
り、加熱筒温度150℃、射出圧力1t/cm2、金型温度40℃
にて3mm×12mm×60mmの板状の成形体を得た。この成形
体に190nm〜240nmで強度50mW/cm2の遠紫外線を10分間照
射し、有機バインダの光分解改質を行った。その後この
成形体を、室温から200℃まで2時間で昇温加熱後、200
℃から350℃まで3時間で昇温加熱し、さらに350℃から
420℃まで2時間で昇温加熱することにより、残余の有
機バインダを加熱分解除去した。この有機バインダの除
去率は、88%であった。このようにして、有機バインダ
の除去処理を行った成形体の表面を観察したが、クラッ
クや膨れ、変形はまったく認められなかった。次にこの
成形体の焼成を、実施例1と同様にして行った。得られ
た有機バインダの除去体、および焼結体は、クラックや
膨れ、変形はまったく認められなかった。
(比較例1) 実施例1において、有機バインダの光分解改質を行わ
ず、成形体からの有機バインダの加熱分解除去を、室温
から200℃まで2時間で昇温加熱後、200℃から350℃ま
で3時間で昇温加熱し、さらに350℃から420℃まで2時
間で昇温加熱することにより行い、その他は、すべて実
施例1と同様にして行った。得られた有機バインダの除
去体には、クラックと膨れが認められた。
(比較例2) 参考例1において、光崩壊性樹脂であるメチルメタク
リレート−イソブチレン共重合体の代わりに、ポリプロ
ピレンを用いた。その他は、すべて参考例1と同様にし
て行った。射出成形により得られた成形体は、成形収縮
が著しく、成形体表面にクラックが生じることが認めら
れた。また、得られた有機バインダの除去体にも、クラ
ックと膨れが認められた。したがって、光崩壊性樹脂と
してのポリプロピレンの使用には、問題があると判断し
た。
〔発明の効果〕
以上実施例及び比較例の結果から、本発明である、金
属粉末および/またはセラミックス粉末と、光崩壊性樹
脂を含む有機バインダーとを均一に混合し、これを所望
の形状に射出成形した後、有機バインダーの光分解改質
と加熱分解除去を同時に行うことにより、成形体にクラ
ックや膨れを生じたり、変形を起こさないようにして、
成形体からの有機バインダー除去を効率的に行うことが
でき、更に、光崩壊促進剤を添加することで、成形体か
らの有機バインダー除去を、より一層効率的に行うこと
が可能となった。また、成形体からの有機バインダーの
光分解改質と加熱分解除去前の低融点物質の加熱溶融除
去により、肉厚の厚い成形体からの有機バインダー除去
を、より一層効率的に行うことが可能となった。つま
り、従来方法に比べ、成形体からの有機バインダー除去
時間が大幅に短縮され、生産性を向上できることが明ら
かである。また、溶媒抽出の使用および昇華性成分、揮
発性成分、溶解性成分等の使用を避け、作業環境の低下
を招くことなく、且つ金属粉末および/またはセラミッ
クス粉末と、有機バインダー成分とからなる、均質な混
合体の貯蔵安定性にも問題のない、粉末射出成形部品の
成形方法を見出すことができた。
フロントページの続き 合議体 審判長 吉田 敏明 審判官 森竹 義昭 審判官 野田 直人 (56)参考文献 特開 昭59−199570(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼結した粒子構成体として部品を製造する
    ため、金属粉末および/またはセラミックス粉末の1種
    または2種以上よりなる焼結用粉末と、メタクリレート
    系共重合体を有する少なくとも1種類の光崩壊性樹脂を
    含む有機バインダーとを混合し、均質な混合体を形成す
    る工程と、この混合体を所望の形状の成形体に成形す
    る工程と、前記成形体を加熱しながら、前記成形体表
    面に所定以上のエネルギーを有する光として紫外線、電
    子線、またはX線を成形体を加熱している間はすべて連
    続的に照射することにより、成形体表面の一定分子量を
    有する有機バインダーを光分解改質する処理と、成形体
    を加熱することにより有機バインダーを加熱分解除去す
    る処理とを同時に行う工程と、前記工程で得た成形
    体を焼成する工程とにより、焼結体を得ることを特徴
    とする粉末射出成形部品の成形方法。
  2. 【請求項2】焼結した粒子構成体として部品を製造する
    ため、金属粉末および/またはセラミックス粉末の1種
    または2種以上よりなる焼結用粉末と、メタクリレート
    系共重合体を有する少なくとも1種類の光崩壊性樹脂
    と、少なくとも1種類の低融点物質を含む有機バインダ
    ーとを混合し、均質な混合体を形成する工程と、この
    混合体を所望の形状の成形体に成形する工程と、この
    成形体から低融点の有機バインダー成分を加熱溶融除去
    する工程と、前記成形体を加熱しながら、前記成形体
    表面に所定以上のエネルギーを有する光として紫外線、
    電子線、またはX線を成形体を加熱している間はすべて
    連続的に照射することにより、成形体表面の一定分子量
    を有する有機バインダーを光分解改質する処理と、成形
    体を加熱することにより有機バインダーを加熱分解除去
    する処理とを同時に行う工程と、前記工程で得た成
    形体を焼成する工程とにより、焼結体を得ることを特
    徴とする粉末射出成形部品の成形方法。
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