JP2986857B2 - 導電性繊維基材の製造方法 - Google Patents

導電性繊維基材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は均一な導電性を有する導電性繊維基材の大量
生産を可能とした導電性繊維基材の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
アニリン、チオフェン、ピロール或いはその誘導体等
の導電性高分子形成モノマーを酸化重合して形成される
導電性高分子の生成過程はエピタキシャル生長と言わ
れ、しかも形成される導電性高分子の性能からみて導電
性高分子形成モノマーの酸化重合はできるだけ水溶液を
静置して定温でゆっくりと行うのが良いとされてきた。
このため従来、織布、編布、不織布、糸等の繊維基材
に導電性高分子形成モノマーを酸化重合して導電性高分
子被膜を形成する場合には、単にモノマーと酸化剤とを
含有する導電化処理液に繊維基材を浸漬して静置するだ
けの方法が採用されていた。
しかしながら、このような従来法では初期における処
理液中のモノマー及び酸化剤の濃度が高く、しかも処理
液が静置されているので槽内に濃度むらを生じるため、
酸化重合反応が急激に進行したり水相中で局部的に進行
して重合物が繊維に有効に付着することなく水相中に懸
濁され易く、最終的には粒子状の付着物となって繊維か
ら脱落し易い摩擦堅牢度の悪いものとなり、均一な導電
性を有する繊維基材が得られ難かった。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
処理液を静置する従来法とは全く異なり、処理液を積極
的に繊維基材に接触させる方法を採用することにより、
驚くほど均一な導電性を有する繊維基材を効率良く製造
できることを見出し本発明を完成するに到った。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、(1)導電性高分子形成モノマーと酸化剤
とを含む溶液を、溶液中のモノマーが消失するか、酸化
剤の能力が消失するまで、処理液が繊維基材の繊維間隙
を通過するように流動させながら、少なくとも繊維表面
を導電性高分子で被覆することを特徴とする導電性繊維
基材の製造方法、(2)先に導電性高分子形成モノマー
溶液を次いで酸化剤溶液を、溶液中のモノマーが消失す
るか、酸化剤の能力が消失するまで、処理液が繊維基材
の繊維間隙を通過するように流動させるか、先に酸化剤
溶液を次いでモノマー溶液を、溶液中のモノマーが消失
するか、酸化剤の能力が消失するまで、処理液が繊維基
材の繊維間隙を通過するように流動させながら、少なく
とも繊維表面を導電性高分子で被覆することを特徴とす
る導電性繊維基材の製造方法、(3)導電性高分子形成
モノマー溶液中に酸化剤を添加しつつ該溶液を、モノマ
ーが消失するか、酸化剤の能力が消失するまで、処理液
が繊維基材の繊維間隙を通過するように流動させなが
ら、少なくとも繊維基材表面を導電性高分子で被覆する
ことを特徴とする導電性繊維基材の製造方法、(4)導
電性高分子形成モノマーがアニオン、チオフェン、ピロ
ール又はこれらの誘導体よりなる群から選ばれたモノマ
ーであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれ
かに記載の導電性繊維基材の製造方法、を要旨するもの
である。
本発明において繊維基材としては織布、編布、不織
布、糸等が用いられ、その繊維材質としては特に限定さ
れず綿、麻、ピニロン、アセテート、ポリアミド、アク
リル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹、レーヨン、
芳香族イミド等の天然繊維や合成繊維が区別なく使用で
きる。
本発明において導電性高分子形成モノマーとしてはア
ニリン及びo−クロルアニリン、m−クロルアニリン、
p−クロルアニリン、o−メトキシアニリン、m−メト
キシアニリン、p−メトキシアニリン、o−エトキシア
ニリン、m−エトキシアニリン、p−エトキシアニリ
ン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン、p−メ
チルアニリン等のアニリン誘導体、チオフェン及び3−
メチルチオフェン、3−メトキシチオフェン等のチオオ
フェン誘導体、ピロール及び3,5−ジメチルピロール等
の3,5−置換ピロール、 等の3,4−置換ピロール(但し上記式中φはフェニル基
を示す。)、 等のN−置換ピロール(但し上記式中R1はカルバゾール
基、フェノチアジン基、ピレン基のいずれか、R2はアン
トラセン基、R3はカルバゾール基、フェノチアジン基、
ジベンゾフェナジン基のいずれかを示す。)、3−メチ
ルピロール、3−オクチルピロール等の3−置換ピロー
ル等が挙げられる。
酸化剤としては上記モノマーの重合を促進するいかな
るものでも使用でき、例えば過マンガン酸或いは過マン
ガン酸カリウム等の過マンガン酸塩類、三酸化クロム酸
等のクロル酸類、硝酸銀等の硝酸塩類、塩素、臭素、ヨ
ウ素等のハロゲン類、過酸化水素、過酸化ベンゾイル等
の過酸化物類、ペルオクソ二硫酸、ペルオクソ二硫酸カ
リウム等のペルオクソ酸類やペルオクソ酸塩類、次亜塩
素酸、次亜塩素酸カリウム等の酸素酸類や酸素酸塩類、
過塩素酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二
鉄、クエン酸第二鉄等の三価の鉄化合物類、塩化銅等の
遷移金属塩化物、金属酸化物が挙げられ、これらは単独
または2種以上混合して用いられるが、導電性、透明性
の点から三価の鉄化合物が好ましい。酸化剤はモノマー
1モル当たり通常2モル以上使用されるが、特に2〜3
モル使用することが好ましい。
上記モノマーや酸化剤を溶解するための溶媒としては
通常水性溶媒が用いられる。水性溶媒としては水や水と
混和性を有する有機溶媒、或いは該有機溶媒と水との混
合物等が挙げられる。水と混和性を有する有機溶媒とし
てはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピ
ルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチル
アルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール、n−アミルアルコール、iso−アミルアルコ
ール等のアルコール類、エチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチ
レングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノアセテート等のグリコール
類及びその誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサン等
のケトン類、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフ
ォキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラ
ン、アセトニトリル等が挙げられる。これらは単独若し
くは適宜併用することができる。
繊維表面に導電性高分子を垂直結晶析出(エピタキシ
ャル生長)させるには、繊維間隙に導電化処理液を通過
させる必要がある。本発明では、予めモノマーと酸化
剤とを所定量含む処理液を調整しておき、溶液中のモノ
マーが消失するか、酸化剤の能力が消失するまで、繊維
間隙にこの処理液を通過させる方法、モノマー溶液と
酸化剤溶液を別々に用意し、繊維間隙にモノマー溶液を
通過させた後に酸化剤溶液を通過させるか、酸化剤溶液
を通過させた後にモノマー溶液を通過させる操作を溶液
中のモノマーが消失するか、酸化剤の能力が消失するま
で繰り返し行う方法、モノマー溶液に酸化剤を添加し
ながらこの溶液を、溶液中のモノマーが消失するか、酸
化剤の能力が消失するまで、繊維間隙を通過させる方法
が採用される。の方法ではの方法に比べて、繊維基
材を被覆せずに水相中に懸濁する導電性高分子の析出量
が少なくなり効率的なことが多い。またこの方法ではモ
ノマー溶液、酸化剤溶液の繊維基材に対する通過回数を
必ずしも同一にする必要はない。の方法では浴比の小
さい場合の酸化剤濃度を低下させて、より均一にモノマ
ーを酸化重合でき、均一な導電性を付与することができ
る。この方法の場合、酸化剤の全量又は一部をモノマー
溶液に後から添加するが、一部を後から添加する場合、
モノマー溶液に予め添加しておく酸化剤量は、全酸化剤
量の1/2〜2/3程度とすることが好ましい。また酸化剤の
全量を後から添加する場合、繊維基材の間隙にモノマー
溶液を通過させると同時にモノマー溶液への酸化剤の添
加を開始しなくとも良く、モノマー溶液のみを適宜時間
通過させた後に酸化剤の添加を開始しても良い。いずれ
の場合でも、酸化剤の全量を添加し終わった後に、溶液
中のモノマーが消失するか、酸化剤の能力が消失するま
で繊維間隙に処理液を通過させておく。
繊維間隙に処理液を通過させる手段としては、例えば
繊維基材上に処理液を連続的にむらなく散布し、処理液
の自重により繊維間隙を通過させたり、処理液をフィル
ターに通す如く加圧,減圧して繊維基材の間隙を通過さ
れる等、繊維基材に対して処理液を流動させながら接触
させ得る手段から、上記〜の方法に適した手段が適
宜採用されるが、繊維基材に対して処理液を10ml/g・分
以上の速度で流動させながら、溶液中のモノマーが消失
するか、酸化剤の能力が消失するまで繊維間隙に処理液
を通過させるのが均一な処理を行う上で効果的である。
本発明方法の実施には例えばチーズ染色機を用いるこ
とができる。第1図はチーズ染色機を用いた例を示し、
装置では処理槽1内に一端aが処理槽1外に導出され、
他端bが閉止された筒状のボビン2が設けられている。
ボビン2はその周面に直径3〜10mm程度の液通過孔3が
3〜10mm程度のピッチで形成された内径25〜100mm、外
径30〜110mm程度の大きさのステンレス、ポリプロピレ
ン等からなるもので、その周面には繊維基材sが孔3を
覆うように巻かれている。この装置によって処理を行う
には予め処理槽1内に処理液wを入れておき、この処理
液wをポンプ等によって、ボビン2の一端aから吸引し
て排出することにより処理液wを矢印A方向に繊維基材
sを通過させるか、逆にボビン2の一端aから処理液w
をポンプ等によって供給し処理液を矢印B方向に繊維基
材sを通過させる方法、及びこれらを組み合わせた方法
等が採用される。上記処理液wとしては、の方法を採
用する場合にはモノマーと酸化剤とを含む溶液であり、
の方法ではモノマー溶液か酸化剤溶液のいずれかであ
る。またの方法を採用する場合、処理槽1内にモノマ
ーのみを含む溶液を入れておき、この溶液を上記、
の方法と同様に排出、圧入させながら処理槽1内に酸化
剤供給口4から酸化剤溶液を添加するか、特に図示しな
いが別にモノマー溶液を蓄えた処理液槽を設けておき、
この処理液槽内に酸化剤を添加しながら処理液槽内の処
理液をポンプ等によって、ボビン2の一端aから供給す
る方法等が挙げられるが、酸化剤は処理液が流動してい
る箇所で添加することが好ましい。上記チーズ染色機を
用いた処理では処理液を循環させながら処理槽1内から
排出又は処理槽1内に供給するようにすることが好まし
い。
酸化重合反応は通常の重合反応と異なり、定温であっ
てもきわめて迅速に反応が進行するので、ジャケット5
に冷媒循環等を行って処理液をできるだけ定温に維持す
ることが好ましく、その温度範囲としては5〜30℃、特
に15〜25℃が好ましい。約30℃を超えると重合速度が著
しく早くなり、特にの方法の場合には水相中での酸化
重合反応速度が繊維表面における垂直方向結晶析出速度
よりも大きくなってしまうため好ましくない。低温では
重合速度が遅くなるために、より安定した高い導電性が
付与されるが、例えば0℃以下では溶液の凍結等の問題
が生じるため5℃未満の温度は実用上好ましくない。ま
たモノマーは空気によっても重合するので、できるだけ
空気(酸素)の影響を断つように窒素ガス等の不活性ガ
ス雰囲気下で処理を行うか、溶存酸素を除去した状態で
酸化重合を行うことが好ましい。
均一な導電性を付与するために水への溶解性が低いモ
ノマー、酸化剤や重合生成物(特に低分子量の初期重合
生成物)が均一に繊維表面に吸着されるように処理液中
のモノマー、酸化剤を低濃度として用い、モノマーが消
失するか、酸化剤の酸化能力が消失するまで液を流動さ
せておく。このため処理液を循環させて繰り返し繊維間
隙を通過させて処理することが好ましい。
モノマー、酸化剤の濃度は上記、の方法の場合、
溶媒100重量部当たり、モノマーの場合0.001〜3重量
部、酸化剤の場合0.001〜30重量部程度とすることが好
ましい。またの方法の場合も、モノマー溶液中のモノ
マー濃度は上記、の場合と同様、溶媒100重量部当
たり、0.001〜3重量部程度で良く、このモノマー溶液
に添加する酸化剤はそのまま添加しても、モノマー溶液
の溶媒と同様の溶媒に溶解した溶液として添加しても良
い。の方法の場合、酸化剤の添加速度は処理液の繊維
基材に対する流量、繊維基材間隙における流速、モノマ
ー溶液のモノマー濃度、添加する酸化剤の濃度、浴比等
によっても異なるが、通常3〜30/分程度とすること
が好ましく、例えば浴比5:1〜30:1の範囲で、モノマー
濃度0.1〜5%、酸化剤濃度0.3〜10%程度の濃度の溶液
とし、30〜360分程度に亘って微量ずつ添加することが
好ましい。酸化剤はポンプ等によって添加するが、添加
方法としては断続的な滴下でも、連続的な添加でも良
い。また酸化剤の添加は常に一定量ずつ行わなくても良
く、例えば1回の滴下量又は単位時間当たりの添加量
が、徐々に減少(又は増加)するように添加したり、滴
下の間隔が徐々に長く(又は短く)なるように滴下した
りする方法を採用することもできる。
本発明において導電性高分子は繊維基材の表面を被覆
する如く形成される場合と、繊維内部で繊維と複合化し
て形成される場合とがあるが、実際には両方が同時に進
行すると考えらられ明確には区別することはできない。
また、導電化処理後の繊維表面を走査型電子顕微鏡で分
析すると、極めて微細なヒビ割れが見られることが多い
ことから、酸化剤による繊維高分子の酸化とモノマーの
酸化重合反応とがほぼ同時に進行するものと考えられ、
このヒビ割れが、モノマー及び重合体の吸着、導電性に
大きく影響する場合があると考えられる。
本発明においては導電性を更に向上させるために、塩
素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、五酸化リン等のルイ
ス酸、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、1,5−ナ
フタレンスルホン酸、サリチル酸、酢酸、安息香酸等の
プロトン酸等の如き酸類やこれらの可溶性塩をドーパン
トとして添加することができ、また導電性の耐久性を向
上させるために抗酸化剤、紫外線吸収剤を併用しても良
い。また繊維の風合及び導電性を損なわない範囲で導電
処理後、スプレー法、浸漬法、コーティング法、転写法
等により1〜2μm程度のポリマー層を繊維基材表面に
形成しても良い。
〔実施例〕
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
実施例1 繊維基材として直径200μm、250mm長のビニロン糸60
0gを第1図に示す処理装置のボビンに巻き、水20、ピ
ロール13.4g、塩化第二鉄64.9gとからなる導電化処理液
とともに処理槽内に入れて処理液の温度を18℃に維持
し、処理槽内で糸が処理液表面に露出しないように一定
量の処理液を追加しながらボビンの一端aよりポンプに
て吸引し、20の処理液を繊維間隙を通過させながら
(矢印A方向)処理槽外へ排出した。次いでボビンの一
端aより逆に20の処理液を圧入することにより、矢印
B方向に処理液を通過させた。この操作を1サイクルと
し、1サイクル当たり15〜20分として3時間繰り返し通
過させたところ、黒色のビニロン糸が得られた、得られ
たビリロン糸を乾燥させ、表面抵抗値を測定したとこ
ろ、ボビンに巻かれたどの部分を測定しても104〜105Ω
/□の範囲にあり、均一な導電性を有していた。
実施例2 実施例1のビニロン糸を代えて、210デニール、70フ
ィラメントの6ナイロン糸を用い、実施例1と同様にし
て導電化処理を行い、導電性ナイロン糸を得た。得られ
た導電性ナイロン糸の表面抵抗値は103〜104Ω/□で略
均一な導電性を有していた。
実施例3 実施例1と同様の装置を用い、同様にしてボビンに巻
いたビニロン糸を、水20、ピロール13.4gからなるモ
ノマー水溶液を共に処理槽に入れ、モノマー水溶液の排
出、圧入操作を15〜20分/サイクルで2時間繰り返し、
繊維間隙にモノマー水溶液を通過させた。処理槽内のモ
ノマー水溶液を排液した後、水20に塩化第二鉄64.9g
を溶解させた酸化剤水溶液を上記と同様にして繊維間隙
を通過させ、導電性ビニロン糸を得た。得られた導電性
ビニロン糸もまた表面抵抗値が105〜106Ω/□であり、
ボビンに巻かれたどの部分を測定しても均一な導電性を
有していた。
実施例4 実施例3の処理液通過順序を替え、まず酸化剤水溶液
を繊維間隙に通過させた後、排液し、次いでモノマー水
溶液を通過させて導電性ビニロン糸を得たが、これもま
た均一な導電性を有するものであった。
実施例5 150デニール、48フィラメントのポリエチレンテレフ
タレートウーリー加工糸1.2kgを、密度0.35g/ccとなる
ように実施例1で用いたと同様にボビンに巻き、このボ
ビンを内容積10のチーズ染色機の処理槽に、ピロール
モノマー26.8g、tert−ブチルアルコール240g、メチル
アルコール240g、水6000gからなるモノマー溶液ととも
に入れ、モノマー溶液温度を18℃に維持してモノマー溶
液の処理槽からの排出、処理槽への圧入の1サイクルを
2分としてモノマー溶液を10分間循環させた後、塩化第
二鉄1モルを溶解した液温20℃の酸化剤水溶液1500gを1
0g/分の速度でモノマー溶液中に添加し、添加終了後、
更に処理液を2時間循環させた。処理終了後、糸を充分
に水洗し、60℃で通風乾燥した後、仕上げ巻き用ワイン
ダーで巻き返したところ、芯まで均一に導電化されてお
り、その表面抵抗値は3.5×102Ω/□であった。
実施例6 1.5デニール、51mm長のポリエチレンテレフタレート
ステープルフャイバー500gをルーズキャリアー中に入
れ、ピロールモノマー11.2g、ter−ブチルアルコール16
0g、メチルアルコール160g、水6000gよりなるモノマー
溶液を実施例5と同様の条件で10分間循環させた後、塩
化第二鉄67.8gを含む液温15℃の酸化剤水溶液1800gを10
g/分の速度で添加し、添加終了後更に処理液を2時間循
環させた。処理終了後、糸を充分に水洗し、60℃で通風
乾燥した後、仕上げ巻き用ワインダーで巻き返したとこ
ろ、芯まで均一に導電化されており、その表面抵抗値は
8.5×102Ω/□であった。
比較例 実施例1で用いたビニロン糸と、実施例2で用いたナ
イロン糸を使用し、直径1mmの孔が5mmピッチで形成され
た内径25mm、外径27mmのステンレス製円筒に実施例1と
同様にして巻き、実施例1と同様の処理液20に浸漬
し、液温18℃に維持しながら16時間静置した。
得られたビニロン糸、ナイロン糸はともに巻かれた表
面及び円筒の孔付近は良好な表面抵抗値を有していた
が、内部側に位置する部分では表面抵抗値はいずれも極
めて悪い値を示していた。
〔発明の効果〕
本発明の導電性繊維基材の製造方法は、単に導電化処
理液に繊維基材を浸漬して静値するだけの従来法と異な
り、繊維間隙に積極的に処理液を、モノマーが消失する
か、酸化剤の酸化能力が消失するまで、処理液が繊維基
材の繊維間隙を通過するように流動させながら処理する
方法であるから、導電性高分子が効率良く繊維表面に結
晶析出され、この結果浴比を小さくできるとともに、処
理液が繊維基材に均一に接触するので極めて均一な導電
性繊維基材を製造できる。しかも繊維間隙を通過させる
処理液量を調整するだけで容易に繊維基材の導電性をコ
ントロールできる。
またモノマーと酸化剤とを別々の溶液として扱い、個
々に繊維間隙を通過させる方法を採用すれば、水溶液中
に懸濁される導電性高分子を極めて少なくすることがで
きる。
更に酸化剤の全部又は一部をモノマー溶液に添加しな
がら、この溶液を繊維間隙に通過させる方法を採用する
と、更に浴比を小さくしても均一に重合することがで
き、均一で良好な導電性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に使用する装置の一例を示す説明図であ
る。 1……処理槽、2……ボビン、3……液通過孔 4……酸化剤供給口、w……処理液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 13/00 503 H01B 1/12 D06M 15/19 - 15/687 C08G 61/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性高分子形成モノマーと酸化剤とを含
    む溶液を、溶液中のモノマーが消失するか、酸化剤の能
    力が消失するまで、処理液が繊維基材の繊維間隙を通過
    するように流動させながら、少なくとも繊維表面を導電
    性高分子で被覆することを特徴とする導電性繊維基材の
    製造方法。
  2. 【請求項2】先に導電性高分子形成モノマー溶液を次い
    で酸化剤溶液を、溶液中のモノマーが消失するか、酸化
    剤の能力が消失するまで、処理液が繊維基材の繊維間隙
    を通過するように流動させるか、先に酸化剤溶液を次い
    でモノマー溶液を、溶液中のモノマーが消失するか、酸
    化剤の能力が消失するまで、処理液が繊維基材の繊維間
    隙を通過するように流動させながら、少なくとも繊維表
    面を導電性高分子で被覆することを特徴とする導電性繊
    維基材の製造方法。
  3. 【請求項3】導電性高分子形成モノマー溶液中に酸化剤
    を添加しつつ該溶液を、モノマーが消失するか、酸化剤
    の能力が消失するまで、処理液が繊維基材の繊維間隙を
    通過するように流動させながら、少なくとも繊維基材表
    面を導電性高分子で被覆することを特徴とする導電性繊
    維基材の製造方法。
  4. 【請求項4】導電性高分子形成モノマーがアニオン、チ
    オフェン、ピロール又はこれらの誘導体よりなる群から
    選ばれたモノマーであることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の導電性繊維基材の製造方法。
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