JP4381295B2 - ポリベンザゾール系ポリマー及びそれを用いた繊維 - Google Patents

ポリベンザゾール系ポリマー及びそれを用いた繊維 Download PDF

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本発明は、ポリベンザゾールに対して優れた保存安定性を与える構造を分子骨格中に含有させてなるポリベンザゾール及び共重合ポリベンザゾールポリマーと該ポリマーから得られるポリベンザゾール系繊維に関する。詳しくは、高温、高湿環境下においても優れた強度保持性を発揮する高耐久性のポリベンザゾール系繊維に関するものである。
高強度、高耐熱性を有する繊維として、ポリベンゾオキサゾールやポリベンゾチアゾールなどのポリベンザゾール繊維が知られており、通常、ポリベンザゾール繊維は、ポリベンゾオキサゾールやポリベンゾチアゾールポリマーなどと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押し出した後、凝固性流体(水、または水と無機酸の混合液)中に浸漬して凝固させ、次いで水洗浴中で洗浄し後、さらに糸中に残っている酸を中和する目的で無機塩基の水溶液槽を通した後、水洗、乾燥する方法によって製造されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1にも記載されているように、糸中に残存する酸溶媒は、糸の光劣化や強度低下招くため、徹底的に洗浄して、残存酸溶媒量を極力低減するように配慮がなされている。
しかしながら、糸中の残存無機酸溶媒濃度が無機原子で4000ppm以下にするのは容易ではなく、特に、残存酸溶媒濃度が無機原子で2000ppm以下になるようにするためには、高温で長時間の洗浄が必要であり、工業レベルで製造することは容易ではなかった(例えば、特許文献2)。
このため、更なる改善が望まれており、残存酸溶媒量の低減が容易であり、特に、高温高湿度環境に対しても優れた耐久性を有するポリベンザゾール系繊維の出現が期待されている。
特開平8−170222号公報 特開平8−60437号公報
本発明は、上記の事情に着目してなされたものであり、ポリベンザゾールに対して優れた保存安定性を与える構造を分子骨格中に含有させてなるポリベンザゾール及び共重合ポリベンザゾールポリマーを提供するとともに、ポリベンザゾール繊維本来の優れた強度や耐熱性を有しながら、糸中の残存酸溶媒量の低減化が工業レベルで容易であり、高温で高湿度の環境下においても強度低下が少ない、より耐久性能を向上させたポリベンザゾール系繊維を工業的に提供しようとするものである。
すなわち、本発明は、以下の構成を採用するものである。
1.分子鎖中に下記一般式(1)の繰り返し単位で表される構造単位を有することを特徴とするポリベンザゾールポリマー。
Figure 0004381295
XはS、O原子またはNH基を、ZはC−H基、またはN原子を示す。アゾール環においてN原子とX原子/基はトランス位であってもシス位であっても良い。
Yは
Figure 0004381295
で表される。mは1〜10000整数を表す。
2.分子鎖中に下記一般式(1)および(2)で表される繰り返し単位がランダムまたはブロック共重合していることを特徴とする共重合ポリベンザゾールポリマー。
Figure 0004381295
但し、XはS、O原子またはNH基を、Zは、C−H基またはN原子を示す。アゾール環においてN原子とX原子/基はトランス位であってもシス位であっても良い。
繰り返し単位(2)におけるYYは
Figure 0004381295
但し、nは、一般式(2)および(3)で表される繰り返し単位の合計モル数に対する一般式(2)で表される繰り返し単位のモル分率であり、0.01≦n≦0.99の範囲で表される実数である。
3.上記1のポリベンザゾールポリマーから製造されたポリベンザゾール繊維。
4.上記2の共重合ポリベンザゾールポリマーから製造された共重合ポリベンザゾール繊維。
5.ベンザゾール繰り返し単位とそれ以外の繰り返し単位とを有する共重合ポリベンザゾールから製造された共重合ポリベンザゾール繊維において、分子鎖中のベンザゾール繰り返し単位(A)と芳香族環繰り返し単位(B)と複素環繰り返し単位(C)との割合が(A)/(B)/(C)=100/1〜99/99〜1(モル比)であることを特徴とする共重合ポリベンザゾール繊維。
6.前記一般式(2)および(3)において、nが、0.50≦n≦0.99の範囲であることを特徴とする上記4記載の共重合ポリベンザゾール繊維。
7.繊維中の残留酸濃度が酸を構成する無機原子として1800ppm以下であることを特徴とする上記3〜6のいずれかに記載のポリベンザゾール系繊維。
8.80℃、相対湿度80%の環境条件下で700時間処理後の引張強度保持率が80%以上あることを特徴とする上記3〜7のいずれかに記載のポリベンザゾール系繊維
本発明のポリベンザゾール系ポリマーから得られたポリベンザゾール系繊維によれば、ピリジン環などの複素環がポリマー主鎖中に導入されて主鎖が残存酸溶媒に対してより安定化されていること、さらには、30℃程度の低温で短時間の洗浄で、糸中の残留酸濃度が酸を構成する無機原子として1800ppm以下に低減することが容易であるため、従来のポリベンザゾール繊維の高強度、高耐熱性を維持しつつ、高温高湿度環境下での耐久性が改善されたポリベンザゾール系繊維を工業的に提供することが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るポリベンザゾール(以下、PBZともいう)とは、ベンゾオキサゾール(以下、BOともいう)、ベンゾチアゾール(以下、BTともいう)、またはベンズイミダゾール(以下、BIともいう)から選ばれる構造単位を分子骨格に有するポリマーを言い、本発明におけるポリベンザゾール系ポリマーとは、分子鎖中に上記一般式(1)〜(3)の構造を有するポリベンザゾール及び共重合ポリベンザゾールポリマーである。
本発明におけるポリマーの中で、繊維化した場合の繊維特性の点で芳香族環と複素環が導入されたポリマーが好ましい。ポリマー中のベンザゾール繰り返し単位、芳香族環及び複素環単位に着目し、分子鎖中のベンザゾール繰り返し単位(A)と芳香族環繰り返し単位(B)と複素環繰り返し単位(C)との割合で示すと、(A)/(B)/(C)=100/1〜99/99〜1(モル比)であることが好ましく、(A)/(B)/(C)=100/50〜99/50〜1(モル比)がより好ましい。
(A)-(B)が連結した繰り返し単位及び(A)-(C)が連結した繰り返し単位は、それぞれランダムであってもブロック化していてもよい。
本発明のポリベンザゾールにおける芳香族環繰り返し単位(B)とは、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニルなどであり、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ビフェニルジカルボン酸などを使用することによって導入することができる。
本発明のポリベンザゾールにおける複素環繰り返し単位(C)とは、ピリジン環、ビピリジン環、ピロール環、ピラジン環などであり、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,3’ −ビピリジン−6,6’−ジカルボン酸、2,2’ −ビピリジン−5,5’−ジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,5−ピロールジカルボン酸などを使用することによって導入することができる。
本発明に係るポリベンザゾールにおいて、好ましいのは、分子鎖中に上記一般式(2)および(3)で表される繰り返し単位がランダムまたはブロック共重合されてなるポリベンザゾールである。
具体的には下記の構造が挙げられる。
Figure 0004381295
Figure 0004381295
Figure 0004381295
Figure 0004381295
等が挙げられるが、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における共重合ポリベンザゾールの合成方法としては、基本的には、例えばWolfeらの米国特許第4,533,693号明細書(1985.8.6)、Sybertらの米国特許第4,772,678号明細書(1988.9.22)、Harrisの米国特許第4,847,350号明細書(1989.7.11)、Gregoryらの米国特許第5,089,591号明細書(1992.2.18)などに記載されている方法を採用することができる。すなわち、好適なモノマーは、非酸化性で脱水性の酸溶液中で、非酸化性雰囲気下で高速撹拌及び高剪断条件のもと、約60℃から230℃までの段階的または一定昇温速度で温度を上げることで反応させられる。
すなわち、本発明におけるピリジン環を含有する共重合ポリベンザゾールは、下記の反応式にしたがって合成される。反応溶媒としては、一般的にポリリン酸が用いられる。
ホモポリマーの場合
Figure 0004381295
XはS、O原子またはNH基を、ZはC−H基またはN原子を示す。アゾール環においてN原子とX原子/基はトランス位であってもシス位であっても良い。nは整数を表す。mは2または4を表す。ここで使用されるフェニレンジアミン誘導体は、そのままの形で用いても良いが、通常は安定化のために塩酸塩の形で使用される。
Yは
Figure 0004381295
で表される。
共重合体の場合
Figure 0004381295
但し、nは、一般式(1)および(2)で表される繰り返し単位の合計モル数に対する一般式(1)で表される繰り返し単位のモル分率であり、0≦n≦1の範囲で表される実数である。XはS、O原子またはNH基を、ZはC−H基またはN原子を示す。mは2または4を示す。アゾール環においてN原子とX原子/基はトランス位であってもシス位であっても良い。
Yは
Figure 0004381295
で表され、これらが単独、または1−nの範囲内でこれら5つの繰り返し単位が任意の割合で共重合していてもよい。
ここで使用されるフェニレンジアミン誘導体は、そのままの形で用いても良いが、通常は安定化のために塩酸塩の形で使用される。まず、フェニレンジアミン誘導体と芳香族ジカルボン酸をポリリン酸中に添加し、窒素等の不活性ガス気流下で塩化水素ガスが完全に脱離するまで30〜130℃で加熱される。次に、130〜160℃に昇温して3〜20時間反応させ、IV=4〜8dL/gのオリゴマーが生成する。次に170〜250℃に昇温して重合反応を完結させ、IV=15dL/g以上の高分子量のポリベンザゾールが得られる。この重合反応で得られたポリマードープを水やアルコールのような溶媒で洗浄することによりポリリン酸を除去することができる。
重合時及び紡糸時のドープ中のポリマー濃度は好ましくは少なくとも約7質量%であり、より好ましくは少なくとも10質量%、特に好ましくは少なくとも12質量%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取り扱い性により決定されるが、ポリマー濃度は通常では25質量%を越えることはなく、通常は20質量%以下である。
共重合ポリベンザゾール繊維は、共重合ポリベンザゾールを含有するドープより製造されるが、当該ドープを調製するための好適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解しうる非酸化性の酸が挙げられる。好適な非酸化性の酸の例としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸および高濃度の硫酸あるいはそれらの混合物などの無機酸類が挙げられる。中でもポリリン酸及びメタンスルホン酸が、特にポリリン酸が好適である。また、重合終了後、ベンザゾール共重合体を単離すること無く、そのまま紡糸用ドープとして使用することもできる。
このようにして得られるドープを紡糸口金から押し出し、空間で引き伸ばしてフィラメントが形成される。好適なフィラメントの製造法は、米国特許第5034250号明細書に記載されている方法を採用することができる。紡糸口金を出たドープは紡糸口金と洗浄バス間の空間に入る。この空間は一般にエアギャップと呼ばれているが、空気である必要はない。この空間は、溶媒を除去すること無く、かつ、ドープと反応しない溶媒で満たされている必要があり、例えば空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げられる。
紡糸後のフィラメント状のドープ(以下、ドープフィラメントとも言う)は、過度の延伸を避けるために洗浄され溶媒の一部が除去される。そして、更に洗浄され、適宜水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等の無機塩基で中和され、ほとんどの溶媒は除去される。ここでいう洗浄とは、共重合ポリベンザゾールを溶解している酸に対し相溶性であり、共重合ポリベンザゾールに対して溶媒とならない液体に、ドープフィラメントまたは繊維を接触させ、ドープフィラメントまたは繊維から酸溶媒を除去することである。好適な洗浄液体としては、水や水と酸溶媒との混合物がある。
本発明の共重合ポリベンザゾールのドープフィラメントは、酸溶媒濃度が0〜30質量%の水溶液で、温度10〜60℃の凝固浴に、1〜20秒間浸漬するだけで、容易に残留酸溶媒量が無機原子で8000ppm程度、さらには5000ppm程度にまで洗浄されることになる。
このため、本発明の共重合ポリベンザゾール繊維は、従来の洗浄方法で、容易に糸中の残存酸溶媒濃度が無機原子で4000ppm以下にすることができるが、発明者らは、さらに、糸中の残存酸溶媒濃度が無機原子で2000ppm以下にするために、鋭意検討の結果、共重合ポリベンザゾール繊維の洗浄には、中和処理後の温度と洗浄時間の管理が重要であることを見いだした。
洗浄浴の浴温は、好ましくは10℃以上60℃未満、さらに好ましくは20℃以上50℃未満、最も好ましくは25℃以上45℃未満である。浴温が10℃未満で低くなりすぎると、表面における繊維構造の緻密化を誘い、酸の洗浄効果が落ちる傾向がある。一方、浴温を高くしすぎると、凝固時に繊維中の結晶構造に乱れが誘発され、結果として繊維構造中にのこる残留応力のために繊維強度が低下し好ましくない。
洗浄時間は概ね20秒以上あれば効果を見いだすことが出来るが、あまり長すぎると生産効率の観点から好ましくない。最適な洗浄時間は20秒以上3分以下、さらに好ましくは25秒以上2分以下、最も好ましくは30秒以上1分以下である。
上記の工程を経ることでフィラメントは、残留酸濃度が酸を構成する無機原子として1800ppm以下にすることができる。残留酸濃度は、1800ppm以下が好ましく、より好ましくは1400ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下である。これらは洗浄条件を選ぶことにより、コントロールすることができる。その後、フィラメントは、乾燥、熱処理、巻き取り等が必要に応じて行われる。
残留酸濃度の測定方法は、公知の抽出法や公知の機器分析法、化学分析法などが利用できるが、酸が有するリンや硫黄などの無機原子に着目して測定する機器分析法が簡便である。
例えば、リン含有濃度の測定法は、特に限定されるものではないが、走査型蛍光X線分析装置による測定法が簡便で好ましい。その他、残留酸濃度を決定する方法として、原子吸光法、ICP発光分析法、イオンクロマトグラフィー法などのような化学分析法で測定しても良い。
本発明に係る上記のポリベンザゾール繊維は、繊維中に残留する無機塩基と無機酸の化学量論比が0.8〜2:1であることが好ましい。繊維中に残留する無機塩基と無機酸の化学量論比が0.8未満であれば、糸内部のpHが極端に酸性となるため、ポリベンザゾールの加水分解が進行し、強度が低下しやすくなる。ピリジン環などの複素環を共重合していないホモポリマーからなるポリベンザゾール繊維ではこの傾向がさらに顕著になり、高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下が大きくなる。一方、繊維中に残留する無機塩基と無機酸の化学量論比が2を超えると、糸内部のpHが極端に塩基性となるため、PBZ分子の加水分解が進行し、強度が低下しやすくなる。ピリジン環などを共重合していないホモポリベンザゾール繊維ではその傾向が特に顕著になり、高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下が大きくなる。以上より、繊維中に残留する無機塩基と無機酸の化学量論比は0.8〜2:1であることが好ましく、より好ましくは1〜1.5:1であり、微視的に見たとき繊維中どの部分においても上記化学量論比を実現していることが望ましい。洗浄中での無機塩基による中和方法として、ガイドオイリング方式、シャワリング方式、ディップ方式などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明に係る上記共重合ポリベンザゾール繊維は、一般式(3)で示した成分が1〜99モル%、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは1〜40モル%である。含有率が1モル%未満であれば、ピリジン環構造を糸中に導入せしめることにより期待される効果、すなわち、高温かつ高湿度下における強度低下の抑制効果が低減される。一方、理由はわからないが含有率が50モル%を超えると、高重合度ポリマーが得にくくなる傾向があり、IV=20dL/g以下では初期の糸強度が低くなる傾向がある。含有率が1〜50モル%の範囲では、繊維の初期強度が低下することもなく、ピリジン環などを含まないホモポリベンザゾールと同等の強度および弾性率を発現し、また、紡糸時の可紡性も良好であり、糸切れのない良好な操業性が維持できる。
分子鎖中におけるピリジン環などの窒素原子を含む複素環の役割は明らかではないが、以下のように推察できる。すなわち、凝固・水洗過程において、一部の酸溶媒はポリベンザゾール分子の凝集・構造形成に伴い、その隙間や分子近傍に取り囲まれてしまい、さらには、ポリベンザゾール分子は非常に剛直であり凝固剤や水との相互作用が小さく、疎水性であるため、従来の方法では水洗工程を通しても水分子がポリベンザゾール分子鎖に取り囲まれた酸に近づくことが出来ず、残留酸濃度のレベルを下げることが非常に困難であった。
ところが、本発明においては、ピリジン環のような窒素を含有し、非共有有電子対を有するサイトを分子鎖中に持たせることにより、(イ)親水性でかつ塩基性成分が導入されたことになり、水に対する親和性が高められて洗浄剤が繊維中のポリベンザゾール成分に取り囲まれた酸に近づくことが可能になる、(ロ)この窒素原子が遊離プロトンの捕捉サイトとなって分子鎖を保護している、(ハ)分子軌道法によればアゾール環の最低空軌道が小さくなるため、アゾール環がより求核攻撃に対してより安定化する、などの作用が発現していることが考えられる。
このため、洗浄効率が向上して残留酸濃度を低減せしめることが容易になったのみならず、さらには、高温高湿環境下においても、分子鎖に対する酸や水分子の攻撃が受けにくくなったと考えられる。
これらの作用により、本発明の共重合ポリベンザゾール繊維は、80℃、相対湿度80%の高温高湿度条件下で、700時間処理後においても、引張強度保持率を80%以上に維持することが可能である。引張強度保持率は85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
本発明に係る上記共重合ポリベンザゾール繊維は、単糸の平均直径Dは、5〜22μm程度が好ましく、より好ましくは10〜20μmである。なお、繊維径の測定は、走査電子顕微鏡(SEM)や、レーザー式外径測定器等の光学的な手法、マイクロメーターのような機械的な手法のいずれであってもよいが、繊維母集団の全体像を反映させる為に、多くの単糸を測定することが好ましい。
また、本発明の共重合ポリベンザゾール繊維の平均強度は、4.5GPa以上であるのが好ましく、5.0〜8.0GPaであるのがより好ましい。
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
(高温高湿度処理法及び耐久性評価方法)
直径10cmの樹脂ボビンに糸サンプルを巻き付けた状態で、恒温恒湿器(ヤマト科学社製Humidic Chamber 1G43M)中に入れ、かつ恒温恒湿器中に光が入らないよう完全に遮光して、80℃、相対湿度80%の条件下で700時間処理を実施した。処理サンプルと未処理サンプルとを、JIS−L1013に準じて引張試験機(島津製作所製、型式AG−50KNG)で引張強度を測定した。
得られた測定値から、以下の引張強度保持率(%)を求めて、耐久性を評価した。
引張強度保持率(%)=(処理サンプル引張強度/未処理サンプル引張強度)×100
(繊維中の残留酸濃度及びナトリウム濃度)
試料をペレット状に固めて走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク ZSX 100e)を用いて、残留リン濃度(ppm)および残留ナトリウム濃度(ppm)を測定した。
(繊維径)
走査電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率5000倍で単糸直径を測定した。
(実施例1)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、3,3’−ビピリジン−6,6’−ジカルボン酸437.4g、116%ポリリン酸2649.0g、五酸化二リン532.9gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、単糸フィラメント径が11.5μmになるように条件を設定し、紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してドープフィラメントを形成させた後、次いで凝固浴(30℃、20%リン酸水溶液)中に5秒間浸漬して凝固させ、かつ1分間流水で洗浄して、マルチフィラメントを得た。なお、紡糸ノズルと凝固浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチ温度を65℃に設定したクエンチチャンバーを設置した。
得られたマルチフィラメント中の残留リン濃度を確認すると、すでに5000ppm以下になっており、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後、表1に記載の所定の温度・時間で水洗した後、80℃で4時間乾燥して、ポリベンザゾール繊維を得た。前述した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例2)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g、2,2’−ビピリジン−5,5’−ジカルボン酸437.4g、116%ポリリン酸2649.0g、五酸化二リン532.9gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が23dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例3)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g、2,5−ピロールジカルボン酸277.8g、116%ポリリン酸1880.8、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が28dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例4)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g、2,5−ピラジンジカルボン酸301.1g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例5)
窒素気流下、1,4−ジメルカプト−2,5−ジアミノベンゼン二塩酸塩439.1g、3,3’−ビピリジン−6,6’−ジカルボン酸437.4g、116%ポリリン酸3152.3g、五酸化二リン508.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が26dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例6)
窒素気流下、1,4−ジメルカプト−2,5−ジアミノベンゼン二塩酸塩439.1g、2,5−ピラジンジカルボン酸301.1g、116%ポリリン酸2260.0g、五酸化二リン552.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が26dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例7)
窒素気流下、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四塩酸塩508.7g、3,3’−ビピリジン−6,6’−ジカルボン酸437.4g、116%ポリリン酸2649.0g、五酸化二リン532.9gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が25dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例8)
窒素気流下、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四塩酸塩508.7g、2,5−ピラジンジカルボン酸301.1g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例9)
窒素気流下、2,3,5,6−テトラアミノピリジン四塩酸塩510.4g、2,5−ピラジンジカルボン酸301.1g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が25dL/gのポリマードープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表1に示す。
(実施例10−12、比較例1−3)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸29.8g、2,5−ピリジンジカルボン酸269.4g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が22dL/gであった。得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして、マルチフィラメントを製造し、樹脂ボビンに巻き取った。巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後、表1に記載の所定の温度・時間で水洗した後、80℃で4時間乾燥して、共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表1及び表2に示す。
(実施例13)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸148.8g、2,5−ピリジンジカルボン酸149.7g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、25dL/gであった。
得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例14)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸208.3g、2,5−ピリジンジカルボン酸89.8g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、25dL/gであった。
得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例15)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸238.1g、2,5−ピリジンジカルボン酸59.9g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、26dL/gであった。
得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例16)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸267.8g、2,5−ピリジンジカルボン酸30.0g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、27dL/gであった。
得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例17)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸282.7g、2,6−ピリジンジカルボン酸15.0g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、24dL/gであった。
得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例18)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸282.7g、2,4−ピリジンジカルボン酸15.0g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は25dL/gであった。
得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例19)
窒素気流下、1,4−ジメルカプト−2,5−ジアミノベンゼン二塩酸塩439.1g、テレフタル酸267.8g、2,5−ピリジンジカルボン酸30.0g、116%ポリリン酸2260.0g、五酸化二リン552.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、27dL/gであった。得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表2に示す。
(実施例20)
窒素気流下、1,4−ジメルカプト−2,5−ジアミノベンゼン二塩酸塩439.1g、テレフタル酸208.3g、2,5−ピリジンジカルボン酸89.8g、116%ポリリン酸2260.0g、五酸化二リン552.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、28dL/gであった。得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表2に示す。
(実施例21)
窒素気流下、1,2,4、5−テトラアミノベンゼン四塩酸塩508.7g、テレフタル酸208.3g、2,5−ピリジンジカルボン酸89.8g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、26dL/gであった。得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて実施例1と同様にして、共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表2に示す。
(実施例22)
窒素気流下、1,2,4、5−テトラアミノベンゼン四塩酸塩508.7g、テレフタル酸267.8g、2,5−ピリジンジカルボン酸30.0g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度は、27dL/gであった。得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表2に示す。
(実施例23)
窒素気流下、2,3−5,6−テトラアミノピリジン四塩酸塩510.4g、テレフタル酸208.3g、2,5−ピリジンジカルボン酸89.8g、116%ポリリン酸1880.8g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた共重合体は、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が25dL/gであった。得られた共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にして、共重合ポリベンザゾール繊維を得た。得られた繊維についての分析結果及び評価結果を表2に示す。
(実施例24)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸148.8g、3,3’ −ビピリジン−6,6’−ジカルボン酸218.7g、116%ポリリン酸2265.1g、五酸化二リン551.5gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で50時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例25)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸208.3g、3,3’ −ビピリジン−6,6’−ジカルボン酸131.2g、116%ポリリン酸2111.4g、五酸化二リン558.9gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が26dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例26)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸267.8g、3,3’ −ビピリジン−6,6’−ジカルボン酸43.7g、116%ポリリン酸1957.8g、五酸化二リン566.3gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で45時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が25dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例27)
窒素気流下、1,4−メルカプト−2,5−ジアミノベンゼン二塩酸塩439.1g、テレフタル酸208.3g、2,2’ −ビピリジン−5,5’−ジカルボン酸131.2g、116%ポリリン酸2527.7g、五酸化二リン538.9gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例28)
窒素気流下、1,4−メルカプト−2,5−ジアミノベンゼン二塩酸塩439.1g、テレフタル酸208.3g、2,5−ピラジンジカルボン酸90.3g、116%ポリリン酸2260.0g、五酸化二リン552.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が23dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例29)
1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四塩酸塩508.7g、テレフタル酸208.3g、2,5−ピラジンジカルボン酸90.3g、116%ポリリン酸1881.0g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が26dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例30)
1,2,4,5−テトラアミノベンゼン四塩酸塩508.7g、テレフタル酸267.8g、2,5−ピロールジカルボン酸27.8g、116%ポリリン酸1870.1g、五酸化二リン575.0gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例31)
1,4−メルカプト−2,5−ジアミノベンゼン二塩酸塩439.1g、テレフタル酸267.8g、2,5−ピロールジカルボン酸27.8g、116%ポリリン酸2255.3g、五酸化二リン557.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が25dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例32)
4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩381.6g、テレフタル酸267.8g、2,5−ピロールジカルボン酸27.8g、116%ポリリン酸1867.3g、五酸化二リン580.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
(実施例33)
2,3,5,6−テトラアミノピリジン四塩酸塩510.4g、テレフタル酸267.8g、2,5−ピラジンジカルボン酸90.3g、116%ポリリン酸1881.0g、五酸化二リン570.1gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で40時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が25dL/gの共重合体ドープ2.0kgを用いて、実施例1と同様にしてポリベンザゾール繊維を得た。前述の方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果を表2に示す。
Figure 0004381295
Figure 0004381295
表1及び表2より、実施例のポリベンザゾール系繊維は、低温の簡単な洗浄で、リン濃度を低くでき、すなわち、酸溶媒の残留を少なくでき、高温、高湿度下における繊維強度の低下が抑制できることがわかる。
本発明のポリベンザゾール系ポリマーから製造されたポリベンザゾール系繊維は、高温かつ高湿度下に長時間暴露されるような場合であっても、強度を充分に維持することができ、しかも、工業的製造も容易である。
このため、産業用資材として、より実用性を高めることができ、利用分野を拡大する効果が絶大である。即ち、織物、編物、組み紐、ロープ、コードなどに加工される用途、すなわち、ケーブル、電線や光ファイバー等のテンションメンバー、ロープ、等の緊張材、耐弾材等の耐衝撃用部材、手袋等の耐切創用部材、ベルト、タイヤ、靴底、ロープ、ホース、等のゴム補強材、等広範にわたる用途に使用可能である。

Claims (1)

  1. 分子鎖中に下記一般式()および()で表される繰り返し単位がランダムまたはブロック共重合している共重合ポリベンザゾールポリマーからなり、繊維中に残留する無機塩基と無機酸の化学量論比が0.8〜2:1であり、且つ80℃、相対湿度80%の環境条件下で700時間処理後の引張強度保持率が85%以上あることを特徴とするポリベンザゾール系繊維
    Figure 0004381295
    但し、XはS、O原子またはNH基を、Zは、C−H基またはN原子を示す。アゾール環においてN原子とX原子/基はトランス位であってもシス位であっても良い。
    繰り返し単位(3)におけるYYは
    Figure 0004381295
    但し、nは、一般式(2)および(3)で表される繰り返し単位の合計モル数に対する一般式(2)で表される繰り返し単位のモル分率であり、0.01≦n≦0.99の範囲で表される実数である。
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