JP2005171416A - ポリベンザゾール繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】 糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも、高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下の小さいポリベンザゾール繊維を提供することを目的とする。
【解決手段】 熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料で、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有するもの、なかでもペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類を糸中に含有せしめることにより、撚係数30で撚りかけした後に80℃相対湿度80%の環境下で240時間処理した後の強度保持率が80%以上であるポリベンザゾール繊維。

Description

本発明は、織物、編物、組み紐、ロープ、コードなどの後加工工程において糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも、高温高湿度に対して優れた耐久性を有するポリベンザゾール繊維に関するものである。
高強度、高耐熱性を有する繊維として、ポリベンゾオキサゾール若しくはポリベンゾチアゾールまたはこれらのコポリマーから構成されるポリベンザゾール繊維が知られている。
通常、ポリベンザゾール繊維は、上記ポリマーやコポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押し出した後、凝固性流体(水、または水と無機酸の混合液)中に浸漬して凝固させ、さらに水洗浴中で徹底的に洗浄し大部分の溶媒を除去した後、無機塩基の水溶液槽を通り、糸中に抽出されずに残っている酸を中和した後、乾燥することによって得られる。
ポリベンザゾール繊維は、強度などの力学特性に優れ、かつ耐熱性も高いため、種々の用途に使用されているが、近年、さらに性能の向上が望まれており、特に、織物、編物、組み紐、ロープ、コードなどの後加工工程において糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも高温高湿度に対して優れた耐久性を有する、すなわち、高温かつ高湿度下に長時間暴露された場合であっても強度を充分に維持することができるポリベンザゾール繊維が強く望まれている。
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも、高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下の小さいポリベンザゾール繊維を提供せんとすることである。
すなわち、本発明は、以下の構成を採用するものである。
1.(a/b)×100で定義される強度保持率(%)の値が80%以上であることを特徴とするポリベンザゾール繊維。
但し、a:撚り係数30になるようにS撚りで撚りかけを行った後30秒放置し、その後S撚りで撚り係数6になる撚り数まで解撚し、その後80℃相対湿度80%の環境下で240時間処理した後に室温下に取り出して測定した強度をいう[cN/dtex]
b:撚り係数30になるようにS撚りで撚りかけを行った後30秒放置し、その後S撚りで撚り係数6になる撚り数まで解撚した後測定した強度をいう[cN/dtex]
2.単糸の平均直径Dが5〜22μm,糸長100mmの測定での平均強度が、4.5GPa以上であることを特徴とする上記第1記載のポリベンザゾール繊維。
3.繊維長500mmにわたって10mm間隔で単糸の直径を測定した際の変動係数CV(標準偏差/平均値)が0.08以下であることを特徴とする上記第1記載のポリベンザゾール繊維。
4.繊維中に残留する無機塩基と鉱酸の化学量論比が0.8〜1.4:1であることを特徴とする上記第1記載のポリベンザゾール繊維。
5.熱分解温度が200℃以上である鉱酸に溶解する有機顔料を繊維中に含有してなることを特徴とする上記第1記載のポリベンザゾール繊維。
6.有機顔料の含有率が2〜8質量%であることを特徴とする上記第5記載のポリベンザゾール繊維。
すなわち、本発明者らは、熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料で、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有するもの、なかでもペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類を糸中に特定量含有せしめることにより、上記記載の有機顔料を糸中に含有せしめない場合と比較して、糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも高温高湿度に対する耐久性が改善される、具体的には高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下が非常に抑制されること、さらに、ポリベンザゾール繊維の糸内部のpHが7近傍になるように保持することが非常に重要であり、それにより、糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも高温高湿度に対する耐久性が改善される、具体的には高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下が非常に抑制されることを見出し、発明を完成するに至ったものである。
本発明によると、糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも高温高湿度に対する耐久性が改善されたポリベンザゾール繊維、具体的には、糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下が非常に小さいポリベンザゾール繊維を提供することを可能とした。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るポリベンザゾール繊維とは、ポリベンザゾールポリマーよりなる繊維をいい、ポリベンザゾール(以下、PBZともいう)とは、ポリベンゾオキサゾール(以下、PBOともいう)、ポリベンゾチアゾール(以下、PBTともいう)、またはポリベンズイミダゾール(以下、PBIともいう)から選ばれる1種以上のポリマーをいう。本発明においてPBOは芳香族基に結合されたオキサゾール環を含むポリマーをいい、その芳香族基は必ずしもベンゼン環である必要は無い。さらにPBOは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)や芳香族基に結合された複数のオキサゾール環の単位からなるポリマーが広く含まれる。同様の考え方は、PBTやPBIにも適用される。また、PBO、PBT及び、またはPBIの混合物、PBO、PBT及びPBIのブロックもしくはランダムコポリマー等のような二つまたはそれ以上のポリベンザゾールポリマーの混合物、コポリマー、ブロックポリマーも含まれる。
PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくは鉱酸中、特定濃度で液晶を形成するライオトロピック液晶ポリマーから選択される。当該ポリマーは構造式(a)〜(f)に記載されているモノマー単位から成る。
Figure 2005171416
ポリベンザゾール繊維は、PBZポリマーを含有するドープより製造されるが、当該ドープを調製するための好適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解しうる非酸化性の酸が挙げられる。好適な非酸化性の酸の例としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸および高濃度の硫酸あるいはそれらの混合物が挙げられる。中でもポリリン酸及びメタンスルホン酸、特にポリリン酸が好適である。
ドープ中のポリマー濃度は好ましくは少なくとも約7質量%であり、より好ましくは少なくとも10質量%、特に好ましくは少なくとも14質量%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取り扱い性により限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度は通常では20質量%を越えることはない。
本発明において、好適なポリマーまたはコポリマーとドープは公知の方法で合成される。例えばWolfeらの米国特許第4,533,693号明細書(1985.8.6)、Sybertらの米国特許第4,772,678号明細書(1988.9.22)、Harrisの米国特許第4,847,350号明細書(1989.7.11)またはGregoryらの米国特許第5,089,591号明細書(1992.2.18)に記載されている。要約すると、好適なモノマーは非酸化性で脱水性の酸溶液中、非酸化性雰囲気で高速撹拌及び高剪断条件のもと約60℃から230℃までの段階的または一定昇温速度で温度を上げることで反応させられる。
このようにして得られるドープを紡糸口金から押し出し、空間で引き伸ばしてフィラメントに形成される。好適な製造法は先に述べた参考文献や米国特許第5,034,250号明細書に記載されている。紡糸口金を出たドープは紡糸口金と洗浄バス間の空間に入る。この空間は一般にエアギャップと呼ばれているが、空気である必要はない。この空間は、溶媒を除去すること無く、かつ、ドープと反応しない溶媒で満たされている必要があり、例えば空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げられる。
紡糸後のフィラメントは、過度の延伸を避けるために洗浄され溶媒の一部が除去される。そして、更に洗浄され、適宜水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等の無機塩基で中和され、ほとんどの溶媒は除去される。ここでいう洗浄とは、ポリベンザゾールポリマーを溶解している鉱酸に対し相溶性であり、ポリベンザゾールポリマーに対して溶媒とならない液体に繊維またはフィラメントを接触させ、ドープから酸溶媒を除去することである。好適な洗浄液体としては、水や水と酸溶媒との混合物がある。フィラメントは、好ましくは残留鉱酸濃度が8000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下に洗浄される。その後、フィラメントは、乾燥、熱処理、巻き取り等が必要に応じて行われる。
本発明における熱分解温度が200℃以上の高耐熱性を有し鉱酸に溶解する有機顔料としては、重合時あるいはポリマードープ中に添加して紡糸後も繊維中に残るものであればよく、具体例としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、染色レーキ、イソインドリノン類、イソインドリン類、ジオキサジン類、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類等が挙げられる。その中でも分子内に−N=及び/又はNH−基を有するものが好ましく、より好ましくはペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類である。
ペリノン及び/又はペリレン類としては、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:2’、1’−i]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー8,17−ジオン、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:1’、2’−j]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー6,9−ジオン、2,9−ビス(p−メトキシベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−エトキシベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(3,5−ジメチルベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−メトキシフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−エトキシフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(3,5−ジメチルフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ジメチルアントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(4−フェニルアゾフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、8,16−ピランスレンジオン等があげられる。
これらのペリノン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。
フタロシアニン類としては、フタロシアニン骨格を有していればその中心に配位する金属の有無および原子種は問わない。これらの化合物の具体例としては、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32鉄、29H,31H−フタロシアニネート−N29,N30,N31,N32コバルト、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅、オキソ(29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32),(SP−5−12)チタニウム等があげられる。また、これらのフタロシアニン骨格が1個以上のハロゲン原子、メチル基、メトキシ基等の置換基を有していてもよい。
これらのフタロシアニン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。
キナクリドン類としては、5,12−ジヒドロー2,9−ジメチルキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロー2,9−ジクロロキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロー2,9−ジブロモキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン等があげられる。
これらのキナクリドン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。
また、ペリレン類、ペリノン類、フタロシアニン類およびキナクリドン類の2つまたは3つ以上の化合物の併用も可能である。
勿論本発明技術内容はこれらに限定されるものではない。
これらの有機化合物を糸中に含有させる方法としては、特に限定されず、ポリベンザゾールの重合のいずれの段階または重合終了時のポリマードープの段階で含有させることができる。例えば、有機顔料をポリベンザゾールの原料を仕込む際に同時に仕込む方法、段階的または任意の昇温速度で温度を上げて反応させている任意の時点で添加する方法、また、重合反応終了時に反応系中に添加し、撹拌混合する方法が好ましい。
本発明に係るポリベンザゾール繊維の最大の特徴は、撚係数30で撚りかけした後、80℃相対湿度80%の環境下で240時間処理した後の強度保持率が80%以上であることである。好ましくは80〜100%、更に82〜100%、更に84〜100%、更に85〜100%、更に80〜99%、更に80〜98%、更に84〜98%である。ポリベンザゾール繊維は分子自身の剛直性が高く、分子鎖同士の相互作用が小さいため、糸に曲げ応力がかかると繊維軸方向に対して垂直方向にキンクバンドが発生する。後加工の種類によりキンクバンドの発生の程度に差はあるものの、後加工処理を行うと通常キンクバンドが発生する。また、単に糸に撚りをかけるだけでも撚り数が高くなるとキンクバンドが発生する。キンクバンドが発生したポリベンザゾール繊維を高温かつ高湿度下に長時間暴露すると、キンクバンドがない場合と比較して、暴露による強度低下が大きくなる傾向があるが、紡糸後の糸中に前記の有機顔料を含んでいることにより、キンクバンドが発生した場合でも、高温高湿度に対する耐久性、すなわち、高温高湿度下に長時間暴露したときの強度低下を小さくすることができる。これにより、織物、編物、組み紐、ロープ、コードなどの後加工工程において糸がダメージを受けて糸にキンクバンドが発生した後でも高温高湿度に対して優れた耐久性を有するようになる。ここでいう有機顔料は前述のごとく熱分解温度が200℃以上の耐熱性を有し、鉱酸に溶解するものであり、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−を有する有機顔料である。より好ましくは、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類またはキナクリドン類の有機顔料である。
本発明に係る上記のポリベンザゾール繊維は、望ましくは繊維中に残留する無機塩基と鉱酸の化学量論比が0.8〜1.4:1であることである。繊維中に残留する無機塩基と鉱酸の化学量論比が0.8未満であれば、糸内部のpHが極端に酸性となるため、PBZ分子の加水分解が進行し、強度が低下しやすくなる。キンクバンドがない場合と比較して、キンクバンドが発生したポリベンザゾール繊維ではこの傾向がさらに顕著になり、高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下が大きくなる。一方、繊維中に残留する無機塩基と鉱酸の化学量論比が1.4を超えると、糸内部のpHが極端に塩基性となるため、PBZ分子の加水分解が進行し、強度が低下しやすくなる。キンクバンドがない場合と比較して、キンクバンドが発生したポリベンザゾール繊維ではその傾向がさらに顕著になり、高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下が大きくなる。以上より、繊維中に残留する無機塩基と鉱酸の化学量論比は0.8〜1.4:1であることが望ましく、より好ましくは1.0〜1.3:1であり、繊維中どの部分においても上記化学量論比を実現していることが望ましい。洗浄中での無機塩基による中和方法として、ガイドオイリング方式、シャワリング方式、ディップ方式などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明に係る上記ポリベンザゾール繊維は、前述した有機顔料の繊維中の含有率が2〜8質量%であることが望ましい。含有率が2質量%未満であれば、有機顔料を糸中に含有せしめることによる期待効果、すなわち、糸にキンクバンドが発生した後の耐久性、具体的には高温かつ高湿度下に長時間暴露されることによる強度低下抑制効果が低減される。一方、含有率が8質量%を超えると、フィラメント繊度の増加や繊度斑を惹起し、初期の糸強度が低くなるため好ましくない。含有率が2〜8質量%の範囲では、糸中で有機顔料が欠点となって繊維の初期強度が低下することも無く、また、紡糸時の可紡性も良好であり、糸切れの無い良好な操業性が維持される。これは、添加した顔料が鉱酸に溶解するため、ポリマードープ中でも溶解しているためと推測しているが、本発明はこの考察に拘束されるものではない。
好ましくは3〜6質量%である。
本発明に係る上記ポリベンザゾール繊維は、単糸の平均直径Dが5〜22μm、好ましくは10〜20μmである。
また、糸長100mmの測定での平均強度が、4.5GPa以上、好ましくは5.0〜8.0GPaである。
更に本発明に係るポリベンザゾール繊維は、上述のとおり、望ましくは有機顔料を繊維中に含有せしめたものである。したがって繊維の繊維径斑に対しては、十分な管理が要求される。本発明に係るポリベンザゾール繊維は、繊維長500mmにわたって10mm間隔で単糸の直径を測定した際の変動係数CV(標準偏差/平均値)が0.08以下であることが望ましい。0.08を超えると、細い部分での応力集中が生じ破断が発生しやすくなる。好ましくは0.06以下である。
以下に実例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
(撚りかけ方法)
JIS−L1013に準じて、検ねん器を用い、つかみ間隔を50cmとして、下記の計算式から得られる所定荷重のもと、検ねん器に試料を取り付け、撚り係数30となるように撚りかけを行った。なお、撚りかけはS撚りとした。30秒放置した後、S撚りで撚り係数6になる撚り数まで解撚し、S撚りの撚り係数6のサンプルを得た。なお、撚りをかける際の所定荷重(a)の計算式、および撚り係数(K)と撚り数(Tw)の関係式を下記に示す。
a=(1/10)D
K=0.124×Tw×D1/2
a:所定荷重(g)
Tw:撚数(回/inch)
D:フィラメント繊度(Dtex)
(高温かつ高湿度下における耐久性の評価方法)
高温かつ高湿度下における耐久性の評価は、高温かつ高湿度保管処理前の引張強度に対する処理後の引張強度の保持率で評価を行った。
直径10cmの樹脂ボビンに、上記に記載した撚りかけ方法により撚りをかけたサンプル(S撚りの撚り係数6の状態)を巻き付けた状態で恒温恒湿器中、高温かつ高湿度保管処理した後サンプルを取り出し、室温下で引張試験を実施して得られた引張強度測定値をa(cN/dtex)、上記に記載した撚りかけ方法により撚りをかけたサンプル(S撚りの撚り係数6の状態)の引張試験を室温下で実施して得られた引張強度の測定値をb(cN/dtex)とし、aをbで割って100を掛けて強度保持率を求めた。なお、高温高湿度下での保管処理にはヤマト科学社製Humidic Chamber 1G43Mを使用し、恒温恒湿器中に光が入らないよう完全に遮光して、80℃、相対湿度80%の条件下にて240時間処理を実施した。引張強度の測定は、JIS−L1013に準じて引張試験機(島津製作所製、型式AG−50KNG)にて測定した。
(フィラメント中の残留リン濃度、ナトリウム濃度)
フィラメント中の残留リン濃度は、試料を湿式分解後、モリブデンブルー法による比色分析により求めた。フィラメント中のナトリウム濃度は試料を炭化、灰化、酸溶解後、1.2N−HCl溶液とし、原子吸光法により求めた。
(繊維径)
繊維径の測定は、光学的な手法、マイクロメーターのような機械的な手法のいずれであってもよいが、測定作業の簡便性から走査電子顕微鏡(SEM)や、レーザー式外径測定器等の光学でき方法が好ましい。また、繊維母集団の全体像を反映させる為に、多くの単糸の測定実施する必要がある。まず、可能な限り多くの単糸の測定をする必要があり、少なくとも全フィラメント数の5%さらに好ましくは全フィラメント数の7%について測定を実施する必要がある。ポリベンザゾール繊維の太細変動はフィラメント間よりも糸長方向の変動の方が大きい場合が多いので、糸長方向にも十分な数の測定を実施する必要がある。従って、糸長方向には少なくとも500mm以上、より好ましくは750mm以上にわたって測定し、その際の測定間隔は間隔が広い場合でも25mm以下、より好ましくは12mm以下とする。測定間隔が長いと細くくびれた部分の繊維直径を測定点から漏らしてしまう恐れがあるが、現実的な変動パターンを考慮すると5mm未満の測定間隔では直径の変化量は極僅かである。かかる観点から本発明においては繊維長500mmにわたって10mm間隔での単糸直径の実測を採用した。走査電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率5000倍で単糸直径を測定し、その平均値と正規分布を仮定した標準偏差を算出して、下記に示す式で変動係数(CV)を算出した。なお、事前に直径既知のラテックスビーズを用いて走査電子顕微鏡の倍率補正を行った後、測定を実施した。
CV=単糸直径の標準偏差[μm]/単糸直径の平均値[μm]
(実施例1)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が29dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgにスレン14.8gを添加して撹拌混合した。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4600ppm、ナトリウム濃度は3600ppm、Na/Pモル比は1.05であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は86%であった。
(実施例2)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに銅フタロシアニン14.8gを添加して撹拌混合した。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後120秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4500ppm、ナトリウム濃度は2400ppm、Na/Pモル比は0.72であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は83%であった。
(実施例3)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに銅フタロシアニン14.8gを添加して撹拌混合した。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4400ppm、ナトリウム濃度は3600ppm、Na/Pモル比は1.10であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は88%であった。
(実施例4)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに銅フタロシアニン14.8gを添加して撹拌混合した。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後3秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4700ppm、ナトリウム濃度は5400ppm、Na/Pモル比は1.55であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は86%であった。
(実施例5)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに銅フタロシアニン4.4gを添加して撹拌混合した。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4500ppm、ナトリウム濃度は4000ppm、Na/Pモル比は1.20であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は81%であった。
(実施例6)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに銅フタロシアニン32.5gを添加して撹拌混合した。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4400ppm、ナトリウム濃度は3400ppm、Na/Pモル比は1.04であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は87%であった。
(実施例7)
窒素気流下、122%ポリリン酸2165.5g中に4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸252.7gを添加して60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して120℃で4時間、135℃で20時間、150℃で5時間反応せしめた。さらにこのオリゴマードープにテレフタル酸5.6gと銅フタロシアニン19.5gを116%ポリリン酸74.4gに添加した分散液を加えた後、170℃で5時間、200℃で10時間反応せしめ、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が29dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープを得た。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後120秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4600ppm、ナトリウム濃度は2400ppm、Na/Pモル比は0.70であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は84%であった。
(実施例8)
窒素気流下、122%ポリリン酸2165.5g中に4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸252.7gを添加して60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して120℃で4時間、135℃で20時間、150℃で5時間反応せしめた。さらにこのオリゴマードープにテレフタル酸5.6gと銅フタロシアニン19.5gを116%ポリリン酸74.4gに添加した分散液を加えた後、170℃で5時間、200℃で10時間反応せしめ、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が29dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープを得た。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4900ppm、ナトリウム濃度は4200ppm、Na/Pモル比は1.15であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は89%であった。
(実施例9)
窒素気流下、122%ポリリン酸2165.5g中に4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸252.7gを添加して60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して120℃で4時間、135℃で20時間、150℃で5時間反応せしめた。さらにこのオリゴマードープにテレフタル酸5.6gと銅フタロシアニン19.5gを116%ポリリン酸74.4gに添加した分散液を加えた後、170℃で5時間、200℃で10時間反応せしめ、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が29dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープを得た。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後3秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4800ppm、ナトリウム濃度は5600ppm、Na/Pモル比は1.57であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は86%であった。
(実施例10)
窒素気流下、122%ポリリン酸2165.5g中に4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸252.7gを添加して60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して120℃で4時間、135℃で20時間、150℃で5時間反応せしめた。さらにこのオリゴマードープにテレフタル酸5.6gと銅フタロシアニン5.6gを116%ポリリン酸74.4gに添加した分散液を加えた後、170℃で5時間、200℃で10時間反応せしめ、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープを得た。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4500ppm、ナトリウム濃度は3800ppm、Na/Pモル比は1.14であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は82%であった。
(実施例11)
窒素気流下、122%ポリリン酸2165.5g中に4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸252.7gを添加して60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して120℃で4時間、135℃で20時間、150℃で5時間反応せしめた。さらにこのオリゴマードープにテレフタル酸5.6gと銅フタロシアニン41.1gを116%ポリリン酸74.4gに添加した分散液を加えた後、170℃で5時間、200℃で10時間反応せしめ、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が28dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープを得た。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4800ppm、ナトリウム濃度は3900ppm、Na/Pモル比は1.09であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は87%であった。
(実施例12)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,キナクリドン19.2g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめ、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープを得た。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4900ppm、ナトリウム濃度は3900ppm、Na/Pモル比は1.07であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は85%であった。
(比較例1)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で1時間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で25時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめ、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープを得た。
その後、単糸フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径0.18mm、孔数166のノズルから紡糸ドープを押し出してフィラメントとした後、適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に浸漬し、凝固させた。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。クエンチ温度は65℃とした。その後、ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が5000ppm以下になるまで水洗し、乾燥させずにフィラメントを樹脂ボビンに巻き取った。なお、巻取速度は200m/分とした。
巻き取った糸を1%NaOH水溶液で10秒間中和し、その後15秒間水洗した後、80℃で4時間乾燥した。上記に記載した方法により、得られた糸の繊維中の残留リン濃度、ナトリウム濃度を測定した結果、リン濃度は4400ppm、ナトリウム濃度は4000ppm、Na/Pモル比は1.22であった。
上記に記載した方法で高温かつ高湿度下における耐久性の評価を実施した結果、強度保持率は77%であった。
以上の結果を表1にまとめる。表1より明らかなように、比較例と比べ、実施例のポリベンザゾール繊維は高温かつ高湿度下における耐久性が良好であることがわかる。
Figure 2005171416
本発明によると、糸にキンクバンドが発生した後に高温かつ高湿度下に長時間暴露された場合であっても強度を充分に維持することができるポリベンザゾール繊維を提供できるため、産業用資材として実用性を高め利用分野を拡大する効果が絶大である。即ち、織物、編物、組み紐、ロープ、コードなどに加工される用途、すなわち、ケーブル、電線や光ファイバー等のテンションメンバー、ロープ、等の緊張材、耐弾材等の耐衝撃用部材、手袋等の耐切創用部材、ベルト、タイヤ、靴底、ロープ、ホース、等のゴム補強材、等

Claims (6)

  1. (a/b)×100で定義される強度保持率(%)の値が80%以上であることを特徴とするポリベンザゾール繊維。
    但し、a:撚り係数30になるようにS撚りで撚りかけを行った後30秒放置し、その後S撚りで撚り係数6になる撚り数まで解撚し、その後80℃相対湿度80%の環境下で240時間処理した後に室温下に取り出して測定した強度をいう[cN/dtex]
    b:撚り係数30になるようにS撚りで撚りかけを行った後30秒放置し、その後S撚りで撚り係数6になる撚り数まで解撚した後測定した強度をいう[cN/dtex]
  2. 単糸の平均直径Dが5〜22μm,糸長100mmの測定での平均強度が、4.5GPa以上であることを特徴とする請求項1記載のポリベンザゾール繊維。
  3. 繊維長500mmにわたって10mm間隔で単糸の直径を測定した際の変動係数CV(標準偏差/平均値)が0.08以下であることを特徴とする請求項1記載のポリベンザゾール繊維。
  4. 繊維中に残留する無機塩基と鉱酸の化学量論比が0.8〜1.4:1であることを特徴とする請求項1記載のポリベンザゾール繊維。
  5. 熱分解温度が200℃以上である鉱酸に溶解する有機顔料を繊維中に含有してなることを特徴とする請求項1記載のポリベンザゾール繊維。
  6. 有機顔料の含有率が2〜8質量%であることを特徴とする請求項5記載のポリベンザゾール繊維。
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