JP2986595B2 - 新規リパーゼ - Google Patents

新規リパーゼ

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JP2986595B2 JP3293111A JP29311191A JP2986595B2 JP 2986595 B2 JP2986595 B2 JP 2986595B2 JP 3293111 A JP3293111 A JP 3293111A JP 29311191 A JP29311191 A JP 29311191A JP 2986595 B2 JP2986595 B2 JP 2986595B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なリパーゼに関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】リパ
ーゼは高級脂肪酸グリセリドのエステル結合を加水分解
する酵素の総称である。また、低水分中ではその逆反応
のエステル合成をも触媒することが知られている。油脂
分解、脂質の除去、エステル合成、エステル交換などの
リパーゼ機能の応用が様々な分野で期待され、工業的に
は、乳製品フレーバーの形成、油脂の加水分解や改質、
消化剤等の医薬、血中脂肪測定のための臨床検査薬等の
幅広い分野で利用されている。しかし新たな応用に関し
ては、それぞれの目的に応じたリパーゼを見いだすこと
が重要な要素となり、更に多様なリパーゼが求められて
いるが、現在入手可能なリパーゼは未だ数が少なく利用
範囲も極く限定されたものになっているのが現状であ
る。
【0003】例えば、近年、洗剤用酵素としてリパーゼ
が洗浄性能の向上に効果があることが知られてきてお
り、特に衣料用洗剤添加物として適したリパーゼが開発
されてきている。しかしながら、食器洗い機用洗剤への
適用については、食器洗い機用洗剤は洗浄条件、洗剤組
成が衣料用とは大きく異なることから食器洗い機用洗剤
への添加に適したリパーゼはほとんど知られていない。
一般的に食器洗い機用の洗剤はアルカリ性であり、さら
に洗浄温度が60〜70℃程度の高温であるため洗剤への利
用のためには高温かつアルカリ性の反応条件下で高い活
性を有する酵素が求められる。さらに洗剤成分の一つで
ある低起泡性の非イオン系界面活性剤の共存下で影響を
受けにくい性質を有する必要がある。
【0004】高温かつアルカリ条件下で活性が維持され
るリパーゼとしては、シュードモナス フラギ(Pseudom
onas fragi)(特公昭50−2553号公報) 、シュードモナ
スニトロレデューセンス バライエティ サーモトレラ
ンス(Pseudomonas nitroreducens var. thermotoreran
s)(特公昭56−28516 号公報)、アルカリゲネス(Alca
ligenes) PL−266(特公昭58−36953 号公報) などが生
産するリパーゼが知られている。しかしこれらのリパー
ゼが界面活性剤あるいは食器洗い機用洗剤を含む洗剤中
で活性が維持されるとの記載はない。一方、食器洗い機
用洗剤中で活性の高いリパーゼとしてはクロモバクター
ビスコーサム バライエティ リポリティクム(Chrom
obacter viscosum var. lipolyticum)及びフミコーラ
ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa)(いずれも特表平
2−504648号)が生産するリパーゼが挙げられるが、こ
れらのリパーゼについても60℃の高温条件で活性が得ら
れるとの記載はなく、現時点で食器洗い機用洗剤に適す
るリパーゼは知られていない。
【0005】従って本発明の目的は、アルカリ領域かつ
高温条件下で高い活性を有し、好ましくは食器洗い機用
洗剤への配合に対し安定なリパーゼを供給することにあ
る。またこれらの条件を充たす酵素は、衣料用洗剤、台
所洗剤、古紙再生における脱インキ工程、エステル合成
による合成香料等の有用エステルの製造や光学活性化合
物の合成、乳化剤や抗菌剤原料としてのモノグリセリド
の合成、エステル交換による油脂の改質、血中脂肪の定
量等の臨床検査薬への利用、食品のフレーバー改質、製
紙パルプ原料の改質などへの応用も可能である。
【0006】
【問題点を解決するための手段】そこで、本発明者は、
上記の条件を充たす、特に食器洗い機用洗剤への添加に
適したリパーゼを新たに探索するべく検討を進めた結
果、茨城県つくば市赤塚の土壌から分離したシュードモ
ナス属に属するS16-019B株が前記の目的に叶うリパーゼ
を生産することを見いだした。さらにこのリパーゼを精
製しその理化学的性質を調べたところ、このリパーゼは
新規リパーゼであることを見いだし本発明を完成させ
た。
【0007】即ち本発明は、シュードモナス セパシア
(Pseudomonas cepacia)S16−019B株(微工研菌寄第1257
4 号)により生産され、以下の特徴を有する新規リパー
ゼを提供するものである。 高温かつ弱アルカリ性の
反応条件下でオリーブ油、パーム油、綿実油等の植物性
油脂並びに牛脂、ラード、魚油等の動物性油脂等に対し
高い分解活性を有する。 ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル等の非イオン系界面活性剤およびこれらを含
有する洗剤中で高い活性を有する。 安定pH範囲 pH4〜9.5 作用至適pH pH5〜6.5 作用温度 作用至適温度 pH5.6 の時 50〜70℃ 耐熱性 50℃2時間、60℃1時間の処理でほとんど失活しない。 位置特異性 トリグリセリド分子の 1,3位脂肪酸を特異的に遊離させ
る作用を有する。 分子量 SDS 電気泳動法による分子量は36000 である。
【0008】本発明の新規リパーゼは主としてシュード
モナス セパシア S16-019B 菌株によって生産される
が、これ以外にもリパーゼ生産微生物は上述の理化学的
性質を有するリパーゼを生産するものであればいかなる
ものでも差し支えない。
【0009】次にシュードモナス セパシア S16-019B
菌株の菌学的性質を記す。
【0010】〔形 態〕 (1) 細胞の形:桿状 大きさ:(0.8 〜0.9 )×(1.5 〜3.5)μm (2) 運動性:あり (3) 鞭毛:極鞭毛、一本以上 (4) グラム染色:陰性 (5) 抗酸性:なし (6) 多形性:なし (7) 胞子形成:なし 〔生育状態(30℃、24時間培養)〕 (1) 肉汁寒天平板培養 形状:円形 周縁:全縁状 隆起:凸円状 光沢:あり 表面:円滑 色調:乳白色 (2) 肉汁寒天斜面培養 生育度:普通 形状:糸状 (3) 肉汁液体培養 表面生育:わずかに菌冠を形成 濁度:一様に混濁 (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養 液化せず (5) リトマスミルク 微アルカリ性、液化 〔生理学的性質〕 (1) 硝酸塩の還元 + (2) 脱窒反応 − (3) MRテスト − (4) VPテスト − (5) インドール生成 − (6) 加水分解性 デンプン − ゼラチン + カゼイン + DNA − Tween 80 + エスクリン − (7) クエン酸の利用 + (8) 無機窒素源の利用 NH4 + NO3 + (9) 色素生成 KingA − KingB − (10)ウレアーゼ − (11)オキシダーゼ + (12)カタラーゼ + (13)生育範囲 37℃/41℃ +/− pH 5.6 + (14)酸素に対する態度 好気的 (15)OFテスト 好気的に酸を生成 (17)アルギニンの分解 − (18)フェニルアラニンの脱アミノ反応 − (19)レシチナーゼ + (20)栄養要求性 − (21)炭素化合物の利用 <利用できるもの>酢酸、アジピン酸、アミノ安息香
酸、アゼライン酸、カプリン酸、クエン酸、シトラコン
酸、グルタル酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、ガ
ラクタル酸、ニコチン酸、フェニル酢酸、ピメリン酸、
スベリン酸、m−酒石酸、L−アラビノース、フラクト
ース、グルコース、マルトース、キシロース、リボー
ス、アルダル酸、ヒドロキシ酪酸、アドニトール、マン
ニトール、グルコン酸、2−ケトグルタル酸、N−アセ
チルグルコサミン、L−セリン、L−ヒスチジン、L−
ロイシン、スペルミン、サクロシン、トリプタミン <利用できないもの>グリコール酸、メサコン酸、D−
酒石酸、ラムノース、m−ヒドロキシ安息香酸、2,3
−ブチレングリコール。
【0011】以上の菌学的知見から、バージェイズ・マ
ニュアル・オブ・ディターミネイティブ・バクテリオロ
ジー第8版(Bergey's manualof determinative bacteri
ology 8th ed.) およびバージェイズ・マニュアル・オ
ブ・システマティック・バクテリオロジー(Bergey's m
annual of systematicbacteriology )により検索した
結果、シュードモナス セパシアとほぼ一致した。しか
しながら公知のシュードモナス セパシアのタイプスト
レインとは以下の点で異なっている。 S16−019B シュードモナス セパシア のタイプストレイン 41℃での生育 − + 色素生成 − + 炭素化合物の資化性 マルトース + − m−ヒドロキシ安息香酸 − + 2,3ブチレングリコール − + これらの相違点から本リパーゼ生産菌は、分類上シュー
ドモナス セパシアに属するが一般に知られているシュ
ードモナス セパシア種とは異なる特徴を持つ新菌株で
あると判断し、シュードモナス セパシア(Pseudomona
s cepacia) S16−019B株と命名し、通産省工業技術院微
生物工業技術研究所に寄託した。微生物受託番号は、微
工研菌寄第12574 号である。
【0012】次にリパーゼの活性測定方法および本発明
の新規リパーゼの理化学的性質について詳細に述べる。
【0013】活性測定法 本発明においてリパーゼ活性測定法は、日本工業規格
(JIS) K0601−1988「工業用リパーゼの活性度測定方
法」記載の乳化剤無添加法(A法)に準じた。内径35m
m、容量50mlのガラス製円筒形の反応容器に50mMリン酸
緩衝液5ml、オリーブ油1mlを入れ所定温度に保ちなが
らマグネチックスターラーで500rpmで回転撹拌しながら
10分間保ったのち、試料液 100μl を加えてさらに60分
間保つ。次いでエタノール20mlを加え反応を停止する。
pHメーターでpHを測定しながら、 N/20水酸化ナトリウ
ムで滴定を行う。通常pH10を30秒以上持続する点を終点
とする。空試験として 120℃で加熱失活させた酵素液を
試料液として用い、以上の操作を同時に行う。酵素活性
は1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離させる酵素量
を1ユニット(unit) として、以下の計算式により算出
する。
【0014】
【数1】
【0015】A :リパーゼ活性(unit/ml) a :試料溶液の滴定に要した N/20水酸化ナトリウム溶
液量(ml) b :空試験に要した N/20水酸化ナトリウム溶液量(m
l) f : N/20水酸化ナトリウム溶液のファクター S :試料の量(ml) V :調製した試料溶液の全量(ml) 50: N/20水酸化ナトリウム1mlに相当する脂肪酸の量
(μmol) 60:反応時間(min.) なお、特に記載のない場合は、反応条件はpH7、30℃
を標準条件として実施した。
【0016】本発明の新規リパーゼの性質 1)作用 各種グリセリドに作用し、エステル結合を加水分解す
る。 2)基質特異性 オリーブ油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、サフラワ
ー油、コーン油等の植物油脂、ラード、牛脂、イワシ油
等の動物性油脂など各種グリセリドに広範に作用する。
pH7、30℃および60℃の反応条件においてオリーブ油を
基質とした活性を 100とした場合の基質特性を以下に示
す。 3)至適pH域 pH5〜6.5 、最適pH 5.6(図1) 4)安定pH範囲 ブリットン−ロビンソンの広域緩衝液でpH2〜12におい
て30℃、24時間処理した後の残存活性ではpH4〜9.5 の
範囲で安定である(図2)。 5)至適温度(図3) pH 5.6のとき50〜70℃ pH 7.0のとき45〜60℃ pH 9.0のとき30〜40℃ 6)温度・pHなどによる失活条件 pH 7.0において30,40,50℃2時間の処理でほとんど失
活しないが、60℃,1時間の処理で20%、70℃,1時間
の処理で55%失活する。80℃の処理では10分間の処理で
80%以上失活する(図4)。 7)阻害、活性化 1mMの各種金属塩共存下での活性を調べた。金属塩無添
加の場合の活性を100とした場合の比活性を以下に示し
た。 無添加 100% NaCl 98% MgCl2 86% KCl 98% CaCl2 95% MnCl2 59% FeSO4 102% CoCl2 81% NiCl2 64% ZnCl2 93% CuCl2 48% また、さまざまなポリオキシエチレン系の界面活性剤の
0.01%共存系中での活性を調べた。結果を以下に示す。 界面活性剤無添加 100% ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール 37% ポリオキシエチレンアルキル(C12 〜C14)エーテル 42% ポリオキシエチレンオクチルエーテル 62% ポリオキシエチレンラウリルエーテル 41% ポリオキシエチレンソルビタンラウレート 51% 8)分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によると36000
である。 9)精製 精製は、各種溶解度による分画、イオン交換、疎水、ア
フィニティー等のクロマトグラフィー、ゲル濾過などを
組み合わせることにより行われる。例えば以下の方法に
より精製することができる。シュードモナス セパシア
S16-019B株をオリーブ油1%、肉エキス1%、ポリペプ
トン1%、酵母エキス0.5%、NaCl 0.5%の組
成の培地で培養し、培養液を遠心分離し菌体を除去した
後、上澄に飽和度80%となるように硫酸アンモニウム
を加え塩析を行う。析出した沈澱を遠心分離で集め緩衝
液に溶解後透析膜により脱塩する。このようにして得ら
れた粗酵素液を分画分子量10000 の限外濾過膜により濃
縮し、DEAE−Toyopearl によるイオン交換、ゲル濾過に
より精製リパーゼを得る。この精製リパーゼは、SDS 電
気泳動で単一バンドを形成し、吸収スペクトルにおける
吸収極大は、278nm に単一ピークとして表れ、単純タン
パク質であることが確認された。比活性は266units/OD
280 であった。 10)等電点(pI) PHAST SYSTEM(ファルマシア社製)での等電点電気泳動
法による測定では等電点(pI)は 4.2であった。 11)位置特異性 トリグリセリドの加水分解に際し 1,3位位置特異性リパ
ーゼは、殆ど1,2 −ジグリセリドのみを生成するが、非
特異性リパーゼは理論上33.3%の1,3 −ジグリセリドを
生成する。そこで薄層クロマトグラフィーによりトリオ
レインを基質とした場合の分解物組成の検討を行い、位
置特異性を調べたところ、本発明リパーゼは 1,3位位置
特異性リパーゼであった。なお、上記の特性評価は後述
の実施例3で得られたリパーゼを用いて行なった。
【0017】シュードモナス セパシアの生産する耐熱
性リパーゼについては特公昭57−59753 号公報に記載さ
れているが、弱アルカリ領域あるいは、洗剤中で高活性
が得られるとの記載はない。更に、特表平2−504323号
によれば特公昭57−59753 号公報に記載のシュードモナ
ス セパシア菌株(微工研菌寄第5494号)の生産するリ
パーゼは非特異性リパーゼを含むが本発明におけるリパ
ーゼは非特異性リパーゼを含まない。また、シュードモ
ナス セパシアの生産するリパーゼが酵素洗剤中で有効
であることが特開昭62−34997 号公報に記載されている
が、低温で洗浄を行う衣料用洗剤への添加に関するもの
であり、60℃以上の高温でかつ弱アルカリ条件におい
て、さらには食器洗浄機用洗剤中で高い活性が得られる
との記載はない。一方、本発明のリパーゼは、高温、か
つ弱アルカリ条件でも高い活性を維持し更には、ポリオ
キシエチレン系界面活性剤に代表される非イオン系界面
活性剤若しくは、これらを含む洗剤中でも同様の性質を
示す。このことから本発明リパーゼは、従来知られてい
るシュードモナス セパシア生産のリパーゼとは異なる
性質を持つ新規なリパーゼであると判断される。
【0018】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】実施例1 オリーブ油1%、ポリペプトン1%、肉エキス1%、酵
母エキス 0.5%、NaCl0.5%よりなる液体培地 500mlをp
H 7.3に調整後、5リットル容ひだ付フラスコに入れ121
℃、15分間蒸気加圧滅菌した後、予め同培地で24時間
振とう培養したシュードモナス セパシア S16−019B株
を接種し、67時間振とう培養を行った。培養液を遠心分
離し菌体を除去した上澄を回収し、粗酵素液を得た。こ
の粗酵素液の活性は、pH7、30℃で17 units/mlであっ
た。
【0020】実施例2 ポリペプトン3%、肉エキス1%、酵母エキス 0.5%、
NaCl 0.5%よりなる液体培地 600mlをpH7.3 に調整後、
1リットル容ジャーファーメンターに入れ 121℃、15分
間加圧滅菌した後、予め同培地で24時間振とう培養した
シュードモナスセパシア S16−019B株の前培養液を接種
し、30℃、48時間、800rpm、1.3vvmで通気撹拌培養し
た。培養液を遠心分離した上澄のリパーゼ活性はpH7、
30℃で38units/mlであった。
【0021】実施例3 実施例2で得られた培養液上澄に飽和度80%に相当する
硫酸アンモニウムを加え酵素成分を沈澱として遠心分離
により回収した。沈澱を10mMリン酸バッファー(pH7)
に対して透析脱塩を行った後凍結乾燥して粗酵素粉末18
24mgを得た。得られた粗酵素の活性はpH7、30℃で49.6
units/mgであった。
【0022】実施例4 実施例3で得た粗酵素粉末について、市販されている家
庭用食器洗い機用洗剤(ティーポール製・ハイウォッシ
ュブルー)2g/リットル水溶液中での活性を調べたと
ころ30℃で 19.7units/mg、60℃で17.7units/mgの活
性があった。さらに食器洗い機の洗浄時の温度が30分で
室温から60℃にほぼ直線的に上昇することから同様の反
応条件を設定して活性を測定したところpH9リン酸緩衝
液中で 22.4units/mg、洗剤中で 23.6units/mgの活性
が見られた。
【0023】実施例5 <リパーゼの精製>3%オリーブ油を含有する以外は実
施例1と同様の培地でシュードモナス セパシア S16−
019B株を30℃、48時間培養し、培養液を遠心分離するこ
とにより培養上澄として粗酵素液を得た。粗酵素液に固
形硫安を80%飽和になるまで添加し、遠心分離により沈
澱画分を得た。得られた沈澱を緩衝液1(10mMカリウム
リン酸緩衝液pH7.0)に溶解した後、プロタミン硫酸を
タンパク質 100mgあたり 150mg添加し、生成した沈澱を
遠心分離により除去した。遠心分離の上澄を緩衝液2
(10mMトリス塩酸緩衝液pH 8.0、0.2 %ツイーン20(Tw
een 20))に透析した後、DEAE−トヨパール(5.0×26c
m)に注入した。カラムを緩衝液2で洗浄した後、0.2M塩
化ナトリウムを含む緩衝液2でリパーゼを溶出した。溶
出したリパーゼ画分を濃縮脱塩後、DEAE−トヨパール
(上記カラム)に再度注入し、素通り画分を回収した。
得られた素通り画分をTSK ゲルG2000SW(2.25×60cm)を
用いてゲルろ過を行った。リパーゼ活性画分を回収し、
限外濾過により濃縮した精製リパーゼを得た。精製リパ
ーゼは、SDS 電気泳動法に於いて単一バンドを示し、そ
の分子量は36,000であった。 <リパーゼの等電点>ファーストシステム(ファルマシ
ア社製)を用いて等電点電気泳動を行った結果、精製リ
パーゼの等電点は4.2 であった。 <アミノ酸組成>精製リパーゼを6N 塩酸中で24時間、
48時間、72時間、110 ℃で加水分解し、自動アミノ酸分
析装置(日立製)を用いてアミノ酸分析を行った。得ら
れた結果をシステイン(シスチン)及びトリプトファン
を無視したモル%で表した。 アミノ酸組成(モル%) Asp Thr Ser Glu Gly Ala Val Met Ile Leu 10.5 9.97 6.26 7.12 11.3 12.5 9.40 0.28 3.98 9.97 Tyr Phe Lys His Arg Pro 4.27 1.99 2.27 2.56 2.84 4.55
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリパーゼのpH3〜11における相対活性
を示すグラフである。
【図2】本発明のリパーゼのpH2〜12における30℃、24
時間処理後の残存活性を示すグラフである。
【図3】本発明のリパーゼのpH 5.6、pH7、pH9におけ
る各温度条件での相対活性を示すグラフである。
【図4】本発明のリパーゼの各温度条件下での処理時間
と残存活性の関係の関数を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−63087(JP,A) 特公 平6−47679(JP,B2) 特公 昭57−59753(JP,B2) 特表 平2−504342(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/20 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュードモナス セパシア(Pseudomonas
    cepacia)S16−019B株(微工研菌寄第12574 号)により
    生産され、以下の特徴を有する新規リパーゼ。 高温
    かつ弱アルカリ性の反応条件下で植物性油脂並びに動物
    性油脂に対し高い分解活性を有する。 非イオン系界
    面活性剤及びこれらを含有する洗剤中で高い活性を有す
    る。 安定pH範囲 pH4〜9.5 作用至適pH pH5〜6.5 作用温度 作用至適温度 pH 5.6の時 50〜70℃ 耐熱性 50℃2時間、60℃1時間の処理でほとんど失活しない。 位置特異性 トリグリセリド分子の 1,3位脂肪酸を特異的に遊離させ
    る作用を有する。 分子量 SDS 電気泳動法による分子量は36000 である。
  2. 【請求項2】 自動食器洗い機及び食器洗い乾燥機用洗
    剤添加物として利用しうる請求項記載のリパーゼ。
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