JP2985049B2 - 地下室の構築方法 - Google Patents
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Description
コンクリート部材を使用した地下室の構築方法に関す
る。
住宅においても地下室に対する需要が高まっている。一
方、従来の地下室は、現場打コンクリートにより構築さ
れていた。
ンクリートにより地下室を構築する場合は、型枠、配筋
等の高度の熟練工が必要であり、また、品質管理も必ず
しも十分とはいえず、工期も長いという問題があった。
の函体をプレキャスト・コンクリートにより形成して、
これを埋設するという工法も考えられるが、敷地や周辺
道路の狭い一般住宅の場合、このような大型の函体を搬
入、設置することは、大型の搬送用車輌や、機重機が入
れないため、施工が困難な場合が多い。
敷地や周辺道路が狭くても容易に施工でき、構造的な信
頼性を高くすることができ、地震に対して安全な地下室
の構築方法の提供を目的としたものである。
解決し、所期の目的を達成するための本発明の特徴は、
掘削された地下空間に、縦向きの壁構成部と水平向きの
底盤構成部が一体的に形成された断面がL字形のプレキ
ャスト・コンクリート部材を複数個互いに接合して設置
して、地下壁を構築し、前記地下壁の内側空間の底部
に、現場打コンクリートによる底盤を、前記プレキャス
ト・コンクリート部材の底盤構成部に連続する形で構築
する地下室の構築方法であって、複数個のプレキャスト
・コンクリート部材の底盤構成部上に、水平方向に向け
たプレキャスト・コンクリート基礎ばりを、壁構成部と
の間に隙間を開けた配置で固定し、前記プレキャスト・
コンクリート基礎ばりの内側に現場打コンクリートを打
設し、前記プレキャスト・コンクリート基礎ばり上に、
内壁を設置することにある。
ンクリート部材の接合端面に互いに向き合う配置に溝を
形成し、前記プレスキャスト・コンクリート部材の接合
後に、互いに対向する溝によって構成される孔内に、シ
ール材を注入若しくは充填することが好ましく、また、
プレキャスト・コンクリート部材の接合端面の溝を、中
央に深溝を配し、その両側に段状配置に浅溝を連続させ
て形成し、前記プレキャスト・コンクリート部材の接合
によって互いに対向する浅溝間に形成される前後一対の
隙間に、弾性材を、前記プレキャスト・コンクリート部
材の接合により圧縮された形で装着し、前記プレキャス
ト・コンクリート部材の接合後に、互いに対向する前記
深溝によって構成される孔内にシール材を注入若しくは
充填することがより好ましい。
て、弾性材は天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等ゴム
状弾性を示す材料若しくは独立気泡を内在したゴム状弾
性を示す材料、ポリオレフィン類又は水膨潤性材料を前
記材料に練り込んだ材料等であって、特に制限はない
が、含水することによって膨脹する膨潤ゴム製の弾性材
が好適に用いられる。更に、本発明の地下室の構築方法
において、シール材は作業性、シール性能等から流動性
を有する材料であって、反応硬化性能を有する材料が好
適である。
体的に形成された断面がL字形のプレキャスト・コンク
リート部材を用いることによって工期を短縮するととも
に、最も応力が大きくなる地下壁と底盤の接合部分の構
造的な信頼性を高くすることができ、また、接合部分以
外の底盤を現場打コンクリートにより構築することによ
って工費を低減することができる。また、プレキャスト
・コンクリート部材を複数個接合することによって、個
々のプレキャスト・コンクリート部材が小型化されるの
で、敷地や周辺道路の狭い一般住宅においても容易に施
工することができる。
接合後に、接合端面の溝によって形成される孔内にシー
ル材を注入若しくは充填することによって、プレキャス
ト・コンクリート部材同士を緊密に接合して構造的な信
頼性を高くすることができるとともに、プレキャスト・
コンクリート部材間の止水を好適に行うことができる。
接合端面の浅溝によって形成される隙間に弾性材を装着
し、深溝によって形成される孔内にシール材を注入若し
くは充填することによって、シール材の接合端面外への
漏れを防止できるとともに、プレキャスト・コンクリー
ト部材間の止水を確実に行うことができる。
ト部材の底盤構成部上に水平方向に向いたプレキャスト
・コンクリート基礎ばりを固定し、その内側に現場打コ
ンクリートを打設することによって、プレキャスト・コ
ンクリート部材及び現場打コンクリートをより強固に一
体化することができる。更に、プレキャスト・コンクリ
ート基礎ばりをプレキャスト・コンクリート部材の壁構
成部との間に隙間を開けて配置し、その上に内壁を設置
することによって、プレキャスト・コンクリート部材の
壁構成部と内壁との間に空間が形成されて、内壁に結露
が生じることが防止され、また、壁構成部に結露が生じ
た場合には、プレキャスト・コンクリート基礎ばりとの
隙間を排水溝として排水することができる。
する。
ャスト・コンクリート部材(以下、PCa部材という)
であり、PCa部材1は、図5に示すように、縦向きの
壁構成部2と水平向きの底盤構成部3が一体的に形成さ
れ、L字形の縦断面形状を有している。
2810mmの基本部材1Aを基準として、あらゆる平面
形の地下室に対応させるために、図2に示すように、調
整部材1B,1D,1E,1F、コーナー部材1C、内
T字形部材1G、外T字形部材1H等の種々の幅、形状
のものが用意されている。
は、壁構成部2と底盤構成部3からなるL字形に更に底
盤構成部3が付加された逆T字形の縦断面形状を有して
いるが、本明細書においては、このような縦断面の一部
がL字形のものを含めて、L字形の縦断面形状というも
のとする。
接するPCa部材1と互いに接合するために、図4及び
図5に示すように、連結金具4が固着されている。即
ち、連結金具4は、図8に示すように、ボルト穴が設け
られたコ字形の鋼板により形成されており、これに溶接
されたアンカー鉄筋5,5とともにPCa部材1内に埋
設されて固定されている。そして、連結金具4にボルト
を装着するためのボルトボックス6が形成されている。
ル材を充填するための深溝7が、図5に示すように、壁
構成部2又は底盤構成部3に対して平行に形成されてお
り、深溝7の注入口7iは壁構成部2の上端面に配置さ
れており、空気抜き口7oは底盤構成部3の上面に配置
されている。
材を装着するための浅溝8,8が、図6又は図7に示す
ように、深溝7の両側に段状に配置された形で深溝7と
連続して形成されている。
て地下室を構築するには、掘削された地下空間に、割栗
地業40、捨てコンクリート41の施工を行った後に、
必要な種類及び数のPCa部材1を搬入、設置して、例
えば図2に示すように地下壁を構築する。そして、この
地下壁の内側の空間の底部に、現場打コンクリート31
を打設して、底盤(基礎スラブ)をPCa部材1による
地下壁と一体化させる形で構築する。
PCa部材1が小型に形成されているので、敷地や周辺
道路の狭い一般住宅であっても好適に作業を行うことが
できる。
するPCa部材1,1の接合端面の浅溝8,8,8,8
間に形成される前後一対(内面寄と外面寄)の隙間に弾
性材20を装着し、この弾性材20を隣接するPCa部
材1,1によって挾んで圧縮する形で、各PCa部材1
を捨てコンクリート41上に載置する。
成ゴム、ポリウレタン等のゴム状弾性材料、これらに独
立気泡を内在したもの、これらにポリオレフィン類又は
水膨潤性材料を練り込んだものなど、種々の弾性材料を
用いることができるが、含水することによって膨脹する
膨潤ゴム製の弾性材料が好適である。
a部材1,1を互いに接合させ、その接合端面の連結金
具4,4、ハイテンション・ボルト10を介して互いに
一体化する。即ち、PCa部材1,1間にシール材を充
填する前にPCa部材1,1を互いに接合するので、P
Ca部材1,1の接合端面を緊密に当接させることがで
き、構造的な信頼性を高くすることかできる。
面の深溝7,7が対向することによって形成される孔9
内に、二液性反応硬化軟質エポキシ樹脂等のシール材2
1を注入若しくは充填する。なお、シール材21として
は、流動性を有し、反応硬化性能を有する材料が、作業
性、シール性能の点から好適である。
注入口7iから注入し、下方の空気抜き口7oから深溝
7,7間の孔9内の空気を排出することにより、シール
材21を密実に充填することができる。また深溝7,7
間の孔9内にシール材21を充填すると、溝8,8間の
隙間の弾性材20のバックアップ材の効果として、シー
ル材21が深溝7,7間の孔9から漏れることが防止さ
れるとともに、地下水があるような場所においては、弾
性材20、シール材21、弾性材20の順序で3段階に
止水されるので、PCa部材1,1間を確実に止水する
ことができる。
盤を構築するには、まず、PCa部材1の底盤構成部3
と接続する形で配筋を行う。そして、現場打コンクリー
ト31を打設して、各PCa部材1の底盤構成部3と現
場打コンクリート31を一体化させる形で、底盤を構築
する。従って、最も応力の大きくなる地下壁と底盤の接
合部分は、工場製作されるPCa部材1により構築され
るので、工期を短縮できるとともに、構造的な信頼性を
高くすることかできる。即ち、地下壁と底盤の接合部分
に十分な強度を確保でき、また、確実に止水することが
できる。一方、この接合部分以外の底盤は現場打コンク
リート31により構築されるので、工費を低減すること
ができる。
は、図11に示すように、水平方向に向いたプレキャス
ト・コンクリート基礎ばり(以下、PCa基礎ばりとい
う)30を、PCa部材1の壁構成部2に対して隙間を
開けた配置で、各PCa部材1の底盤構成部3上にボル
トを介して固定する。そして、このPCa基礎ばり30
の内側に現場打コンクリート31を打設して底盤を構築
する。従ってPCa部材1同士又はPCa部材1と現場
打コンクリート31をより強固に一体化させることがで
きる。
膏ボード、ロックウール等からなる内壁32を設置す
る。すると、PCa部材1の壁構成部2と内壁32の間
に空間が形成されるので、内壁32に結露が生じること
が防止され、また、壁構成部2とPCa基礎ばり30間
に排水溝が形成されるので、壁構成部2に結露が生じた
場合には、この排水溝を介して排水することができる。
テンション・ボルト10を介してPCa部材1,1を互
いに接合しているが、PCa部材1は種々の方法で接合
することができる。例えば、図12に示すように、PC
a部材1の接合端部に剪断補強鉄筋11が露出した部分
を設け、隣接するPCa部材1,1の各鉄筋11を共通
の鋼板12に溶接するようにしてもよい。また、図13
に示すように、鋼板13をPCa部材1の接合端面に固
着して、隣接するPCa部材1,1の鋼板13,13を
溶接するようにしてもよい。
法においては、最も応力の大きくなる地下室と底盤の接
合部分をプレキャスト・コンクリートにより構築するこ
とによって、構造的な信頼性を高くすることができ、ま
た、接合部分以外の底盤を現場打コンクリートにより構
築することによって工費を低減することができる。ま
た、小型のプレキャスト・コンクリート部材を接合する
ことによって、敷地や周辺道路の狭い一般住宅にも適用
することができる。
接合後に、接合端面の溝によって形成される孔内にシー
ル材を注入若しくは充填することによって、プレキャス
ト・コンクリート部材間の止水を行うとともに、プレキ
ャスト・コンクリート部材同士を緊密に連結して構造的
な信頼性を高くすることができる。
接合端面の浅溝によって形成される隙間に弾性材を装着
し、深溝によって形成される孔内にシール材を注入若し
くは充填することによって、シール材の接合端面外への
漏れを防止できるとともに、プレキャスト・コンクリー
ト部材間の止水を確実に行うことができる。
ト部材の底盤構成部上にプレキャスト・コンクリート基
礎ばりを壁構成部との間に隙間を開けた配置で固定し、
その内側に現場打コンクリートを打設して底盤を構築
し、この上に内壁を設置することによって、プレキャス
ト・コンクリート部材をより強固に一体化することがで
き、また内壁に結露が生じることを防止し、プレキャス
ト・コンクリート基礎ばりとの隙間を排水溝として排水
することができる。
示す斜視図である。
れる地下壁の一例を示す平面図である。
大正面図である。
図である。
示す垂直断面図である。
への弾性材、シール材の装着状態を示す水平断面図であ
る。
壁の内側に構築される内壁を示す垂直断面図である。
の別の例を示す正面図である。
の更に別の例を示す平面図である。
H) プレキャスト・コンクリート部材 2 壁構成部 3 底盤構成部 4 連結金具 7 深溝 8 浅溝 9 孔 20 弾性材 21 シール材 30 プレキャスト・コンクリート基礎ばり 31 現場打コンクリート 32 内壁
Claims (3)
- 【請求項1】掘削された地下空間に、縦向きの壁構成部
と水平向きの底盤構成部が一体的に形成された断面がL
字形のプレキャスト・コンクリート部材を複数個互いに
接合して設置して、地下壁を構築し、前記地下壁の内側
空間の底部に、現場打コンクリートによる底盤を、前記
プレキャスト・コンクリート部材の底盤構成部に連続す
る形で構築する地下室の構築方法であって、複数個のプ
レキャスト・コンクリート部材の底盤構成部上に、水平
方向に向けたプレキャスト・コンクリート基礎ばりを、
壁構成部との間に隙間を開けた配置で固定し、前記プレ
キャスト・コンクリート基礎ばりの内側に現場打コンク
リートを打設し、前記プレキャスト・コンクリート基礎
ばり上に、内壁を設置することを特徴としてなる地下室
の構築方法。 - 【請求項2】互いに接合される各プレキャスト・コンク
リート部材の接合端面に互いに向き合う配置に溝を形成
し、前記プレスキャスト・コンクリート部材の接合後
に、互いに対向する溝によって構成される孔内に、シー
ル材を注入若しくは充填する請求項1に記載の地下室の
構築方法。 - 【請求項3】プレキャスト・コンクリート部材の接合端
面の溝を、中央に深溝を配し、その両側に段状配置に浅
溝を連続させて形成し、前記プレキャスト・コンクリー
ト部材の接合によって互いに対向する浅溝間に形成され
る前後一対の隙間に、弾性材を、前記プレキャスト・コ
ンクリート部材の接合により圧縮された形で装着し、前
記プレキャスト・コンクリート部材の接合後に、互いに
対向する前記深溝によって構成される孔内にシール材を
注入若しくは充填する請求項2に記載の地下室の構築方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7087532A JP2985049B2 (ja) | 1995-03-20 | 1995-03-20 | 地下室の構築方法 |
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JP7087532A JP2985049B2 (ja) | 1995-03-20 | 1995-03-20 | 地下室の構築方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08260488A JPH08260488A (ja) | 1996-10-08 |
JP2985049B2 true JP2985049B2 (ja) | 1999-11-29 |
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ID=13917607
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP7087532A Expired - Lifetime JP2985049B2 (ja) | 1995-03-20 | 1995-03-20 | 地下室の構築方法 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
JP5619373B2 (ja) * | 2008-04-24 | 2014-11-05 | 史衛 加藤 | プレキャストコンクリート躯体及びそれを用いた建築物並びに建築工法 |
-
1995
- 1995-03-20 JP JP7087532A patent/JP2985049B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH08260488A (ja) | 1996-10-08 |
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