JP2854168B2 - コンクリート製組立型地下室の躯体構造 - Google Patents

コンクリート製組立型地下室の躯体構造

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JP2854168B2
JP2854168B2 JP3208327A JP20832791A JP2854168B2 JP 2854168 B2 JP2854168 B2 JP 2854168B2 JP 3208327 A JP3208327 A JP 3208327A JP 20832791 A JP20832791 A JP 20832791A JP 2854168 B2 JP2854168 B2 JP 2854168B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は住宅の地下室として好適
なコンクリート製組立型地下室の躯体構造にかかわり、
特に上面が開口した矩形箱型の地下室本体からなりかつ
これらの上に家屋等を構成する建築物を載せるようにし
た地下室の躯体構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年における住宅事情の悪化などから、
一般の住宅においても地下室を設置することが行なわれ
るようになってきた。従来、住宅の地下室は、地下収蔵
庫として構成されたものが多いため、その構造も例えば
容器状のカプセルを、地面に掘った穴の中にアンカーボ
ルトを介して据え付け、穴を埋め戻してなる構成のもの
などであった(例えば特公平1ー15663号「地下庫
およびその製造方法」参照)。
【0003】しかし、このような構成の地下室は、地下
収蔵庫として機能された構成であるため、全体的に内部
の大きさが小さく、住宅の居室として要求される機能を
十分満足させるものではなかった。したがって、近年で
は、地下室をコンクリート造りとして部屋全体を大型化
する傾向にある。このような鉄筋コンクリート製の地下
室は、例えば現場打ちコンクリートにより築造されたも
のが一般的である。
【0004】これは、まず、パワーショベル等を用いて
地下室の敷地よりやや広めに掘削工事を行ない、次に、
その底部に砂利等を敷いて、該砂利等を敷いた上にコン
クリートを打設して、いわゆる基礎コンクリートの施工
を行なう。そして、床鉄筋を格子状に配設して、この床
鉄筋にコンクリートを打設し、このとき、側壁が立設さ
れる位置に側壁の鉄筋に連設される突出筋をコンクリー
トの表面から突出するように配設しておく。次に、床部
のコンクリートが固まった後に、その所定の位置に突出
した突出筋に側壁の縦筋を連結し、これら側壁の縦筋
に、横筋を連結して、側壁の鉄筋を施工する。次いで、
施工した側壁の鉄筋の両側に型枠を組立てて、その中に
コンクリートを打設して側壁を施工する。そして、側壁
のコンクリートが固まった後に、型枠を解体し、側壁の
外側の空間を埋めて完成させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の地下室の技
術においては、その施工作業が現場打ちコンクリートの
施工作業となるため、現場での作業能率が悪く、工期が
長くなるなどの難点があった。しかも、現場打ちコンク
リートによる施工作業では、側壁を構築する場合に、側
壁鉄筋の両側に型枠を組立てるための空間を設けなけれ
ばならず、施工面積よりも広めに地盤を掘り下げなけれ
ばならず、コスト高になるなどの問題点があった。
【0006】そこで、本発明者等はこれらの問題点を解
決すべく鋭意研究した結果、地下室全体をプレキャスト
コンクリート製ユニットの接合により築造すれば、現場
での作業能率が向上し、またユニットの据え付けだけで
地下室が形成されるので、掘削面積も少なくてすむとの
考えに至った。
【0007】しかしながら、単に地下室の内部を区画
し、それぞれをプレキャストコンクリート製ユニットに
分割してもユニット自身の大きさが大型化し、またその
種類も多くなるなどの解決すべき課題が残されている。
また地下室自体をプレキャスト化した場合、地山とユニ
ットとの間を埋めて、これらを一体化する必要があり、
このためのグラウト作業に手間がかかるといった課題も
残されている。また、地下室を複数のユニット等による
分割体すると、それらユニット間等の接合部の抵抗曲げ
モーメントや抵抗せん断力が弱くなるため、その部分の
強度的増加を図るために新たな補強部材を設けなければ
ならないという問題点があった。
【0008】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、少ない種類のプレキャス
トコンクリート製ユニットにより、地下室を形成し得
て、現場での作業能率を向上させることができ、また特
に、グラウト作業を施すことなく、地下室本体と地山と
を一体化することのでき、さらには接合部の補強効果を
高めたコンクリート製組立型地下室の躯体構造を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のコンクリート製
組立型地下室の躯体構造は、地下室のコーナー部に位置
しかつ底板部の隣接する2つの縁部に側板部を立設した
第1のコンクリートユニットと、地下室のコーナー部に
位置する第1のコンクリートユニットの間に並べられ、
かつ底板部の縁部に側板部を立設した第2のコンクリー
トユニットと、これら第1及び第2のコンクリートユニ
ットを組んだときにそれらの底板部によって囲まれる四
角穴の内部に床鉄筋となる鉄筋を格子状に配筋した状態
で現場打ちコンクリートを打設してなる床コンクリート
部とから上面が開口した矩形箱型の地下室本体が構成さ
れるコンクリート製組立型地下室において、第2のコン
クリートユニットの底板部の端面には、その端面の上部
及び下部より前記床コンクリート部側へ突出している水
平アンカー筋と、これら上下の水平アンカー筋を無端状
に連結する連続アンカー筋とからなるアンカー筋が形成
され、床コンクリート部内に配筋された床鉄筋は、上下
に互いに平行に配筋された横筋と、これら横筋の端部を
無端状に連結し、かつ上下の横筋間に長手方向に所定間
隔をあけて配設された縦筋とで格子状に配筋されている
とともに、第2のコンクリートユニットと前記床コンク
リート部との接合部は、前記アンカー筋に前記床コンク
リート部内の床鉄筋の端部が接して重ね合わされた状態
でコンクリートが打設されていることを特徴とするもの
である。
【0010】
【作用】本発明によれば、底板部の隣接する2つの縁部
に側板部を立設した第1のコンクリートユニットを地下
室のコーナー部に位置させ、これら第1のコンクリート
ユニットの間に、L字型をした第2のコンクリートユニ
ットを並べて、隣接するコンクリートユニットの側板部
及び底板部どうしを相互に接合することにより地下室の
周囲を構築でき、その後、基盤部に現場打ちでコンクリ
ートを打設することによって、地下室の主体となる地下
室本体を築造することができるので、現場での施工作業
を効率化させることができる。
【0011】また、現場打ちコンクリート内部に配筋さ
れた床鉄筋と、第2のコンクリートユニットの端面から
突出するアンカー筋とが接した状態で重ねられ、これら
に囲まれた状態で打設されたコンクリートが、第2のコ
ンクリートユニットと現場打ちコンクリートとの接合部
分に曲げモーメントやせん断力が加わってもこれに対す
る反力として働いて抵抗曲げモーメントや抵抗せん断力
が生じ、第2のコンクリートユニットと現場打ちコンク
リートとが強固に接合一体化される。
【0012】また本発明では、地下室本体の床部の大部
分を現場打ちコンクリートにより形成したので、地下室
本体と基盤部との間を一体化することができ、特にコン
クリートユニット施工後のグラウト作業を省略すること
が可能になる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を第1図ないし第1
3図を参照して説明する。これらの図において、符号G
が本発明にかかる地下室であり、この地下室Gは上面が
開口した矩形箱型の地下室本体1と、この地下室本体1
の内側に配設されて地下室本体1の内部を仕切る間仕切
り壁2とを主体として構成され、かつ、これら地下室本
体1及び間仕切り壁2の上に家屋等を構成する建築物H
を載せるようにした基本構造となっている。
【0014】そして、前記地下室本体1は、第2図およ
び第3図などに示すように、地下室の四隅となるコーナ
ー部に位置しかつ底板部10aの隣接する2つの縁部に
側板部10b、10cを立設した第1のコンクリートユ
ニット10と、これら第1のコンクリートユニット10
の間に並べられかつ底板部11aの縁部に側板部11b
を立設した第2のコンクリートユニット11A、11B
とによってその周囲が構成されるとともに、これら第1
及び第2のコンクリートユニット10、11A、11B
を組んだときにそれらの底板部10a、11aによって
囲まれる四角穴の内部に打設された現場打ちコンクリー
トCによってその床部が構成されている。
【0015】また、前記コンクリートユニット10、1
1A、11Bの側板部10b、10c、11bおよび間
仕切り壁2の上にプレキャストコンクリート製の梁部1
3が架け渡されて建築物Hが載置されるようになってい
る。地下室本体1を構成するコンクリートユニット1
0、11A、11Bについて具体的に説明すると、これ
らコンクリートユニット10、11A、11Bはそれぞ
れ予め工場において所定の形状、寸法に製作されるもの
で、これらコンクリートユニット10、11A、11B
のうち第1のコンクリートユニット10は、実施例では
地下室の四隅のコーナー部を構成するようになってお
り、また第2のコンクリートユニット11A、11Bは
相互に複数接合されて地下室の中央の側壁部を構成する
ようになっている。また、互いに並列に配置された第2
のコンクリートユニット11Bには、それぞれのコーナ
ー部40の幅方向に、かつ隣合うユニット11Bと接す
る面で開口して挿通孔41が形成されている。そして、
これら挿通孔41にPC鋼が挿入され、両端部の第2の
コンクリートユニット11Bの挿通孔41位置でPC鋼
が固定されることにより、並列に配置された第2のコン
クリートユニット11Bは互いに接合した状態で一体化
される。
【0016】なお、これらコンクリートユニット10、
11A、11Bの端面には目地材が施工されてコンクリ
ートユニット10、11A、11Bに十分な水密性が確
保されることは勿論である。そして、実施例では、第1
のコンクリートユニット10は、地下室の長手方向に細
長い形状の底板部10aと、この底板部10aの隣接す
る2辺に立設された幅の大きな側板部10bおよび幅の
小さな側板部10cとを主体として構成されている。
【0017】そして、前記底板部10aおよび側板部1
0b、10cの接合端面には、それぞれ第9図および第
10図に示すように、ボルト・ナット20、21により
止められる構造の継手金物22が埋設され、隣接するユ
ニットどうしをさらに強固に接合できるようになってい
る。なお、このコンクリートユニット10の底板部10
aには、継手金物22とは別に、必要に応じてインサー
ト23を埋設した凹部24が形成され、凹部24に埋設
されたインサート23にボルト25止めされるユニット
連結用の連結金物30を介して隣接するコンクリートユ
ニット10どうしを固定できるようになっている(第1
1図および第12図参照)。
【0018】また、第13図は、側板部10b、10c
と梁部13との接続構造を示すもので、梁部13は側板
部10b、10cの上端に埋設されたインサート26に
梁部13を貫通する長ボルト16をねじ込むことにより
固定されるものである。なお、図示例では、前記長ボル
ト16は、おねじの形成された軸体16aと、この軸体
16aの上部に定着板16bを介して螺合されるナット
16cとを主体として構成されている。
【0019】次に、第2のコンクリートユニット11
A、11Bについて説明すると、地下室の長手方向に沿
う側壁部を構成するコンクリートユニット11Aは、も
う一方のコンクリートユニット11Bよりも側板部11
bの幅が大きく形成され、また底板部11aがもう一方
のコンクリートユニット11Bよりも短く形成された基
本構造となっている。
【0020】より具体的には、コンクリートユニット1
1Aの底板部11aは、第1のコンクリートユニット1
0の底板部10aの幅寸法に合わせて形成されており、
コンクリートユニット11Bの底板部11aは第1のコ
ンクリートユニット10の底板部10aの長さ寸法に合
わせて形成されている。そして、ユニットどうしの接合
面(すなわち、底板部及び側板部の端面)には、止水用
の目地材が介在させられてその水密性が確保されるよう
になっている。またコンクリートユニット11A、11
Bどうしは、例えば第9図及び第10図に示すようなユ
ニットの端面に埋設された継手金物22を介してボルト
20、ナット21により一体化されるとともに、側壁部
の上端に架け渡されたプレキャストコンクリート製の梁
部13により固定される点は先のコンクリートユニット
10と同様である。
【0021】一方、前記ブロック11A、11Bの各側
板部11b、11cの上端にも、梁部13を止める長ボ
ルト16をねじ込むためのインサート26が埋設され、
また底板部11aには必要に応じて連結金物30を固定
するためのインサート23を埋設した凹部24が形成さ
れている。
【0022】ここで、これらコンクリートユニット11
A、11Bの底板部11aの端面には、アンカー筋Tが
突出した状態で埋設されている。すなわち、このアンカ
ー筋Tは、図5に示すように、第1及び第2のコンクリ
ートユニット11A、11Bの底板部11aで囲まれた
床コンクリート部Cに対向している端面11cの上部及
び下部から突出している水平アンカー筋T1、T2と、こ
れら上下の水平アンカー筋の端部を結ぶ連続アンカー筋
T3とから略コ字状となるように設けられている。
【0023】次に、第1及び第2のコンクリートユニッ
ト10、11A、11Bを組んだときにそれらの底板部
10a、11aによって囲まれる四角穴の内部に打設さ
れた現場打ちコンクリートCによって構成される床部に
ついて説明する。前記四角穴内部には、格子状に床鉄筋
Yが配設される。この格子状に配設された床鉄筋Yは、
上下に互いに平行に配筋された横筋Y1、Y2と、これら
上下の横鉄筋Y1、Y2の長手方向に所定間隔をあけて配
筋されている縦筋Y3とで構成され、横筋Y1、Y2の端部
は上下に縦筋Y3が連続して設けられて無端状とされて
いる。
【0024】このように形成された床鉄筋Yの端部は、
図7及び図8で示すように、第2のコンクリートユニッ
ト11A、11Bの底板部11aの端面から突出してい
るアンカー筋Tと接した状態で重なり、これにより、第
2のコンクリートユニット11A、11Bの底板部11
a近傍にはアンカー鉄筋T、床鉄筋Yにより平面視略四
角状の鉄筋枠部Rが形成される。そして、格子状に床鉄
筋Yが配筋された四角穴内部に現場打ちによコンクリー
トCが打設されることにより床部が形成される。
【0025】次に、前記第1及び第2のコンクリートユ
ニット10、11A、11Bの上端に架け渡されるプレ
キャストコンクリート製の梁部13について説明する
と、これはコンクリートによって四角柱状に形成されて
いて長手方向に連結されたコンクリートユニット10、
11A、11Bの上端ならびに間仕切り壁2の上端を固
定すると共に、上部建築物(図示例では家屋)Hの1階
床パネルを支持するようになっている。
【0026】なお、間仕切り壁2は予め工場において、
平板状に形成された複数のプレキャストコンクリートパ
ネル2aを底板部上に立設し、パネルの面方向につない
で形成されたものである。なお、間仕切り壁2を構成す
るプレキャストコンクリートパネル2aの立設手段は例
えば地下室本体1の床部に突設したアンカーボルトやあ
るいは継手金物などを介して固定するようにすればよ
く、またパネルどうしの連結手段はボルト・ナットによ
り連結される継手金物などを介して実施するようにすれ
ばよい。
【0027】ところで、家屋Hとしては、例えばユニッ
ト化した床パネルを梁部13の上に敷き込み、その上に
1階の壁パネルおよび2階の床パネル、2階の壁パネル
を組み上げ、さらに、軸組、木組等をして、屋根パネル
を組み立ててなる構成のものなどが挙げられるが、家屋
の構成はこのようなものに限定されるものではなく、在
来工法で構築されるものや、ユニット住宅などであって
も良い。なお、前記各パネル工法による家屋の場合にお
ける家屋と梁部との接合は、例えば梁部の上面に、アン
カーボルトを突出させて設けておき、このアンカーボル
トを介して壁、床等のパネルを一体化するようにすれば
よい。
【0028】次に、このように構成されたコンクリート
製組立型地下室の施工方法および作用を説明する。ま
ず、地下室本体1を構成する各プレキャストコンクリー
トユニット10、11A、11Bは、工場において、予
め一定の寸法、形状にコンクリート等によって一体に打
設して形成される。そして、これらユニットは、トラッ
クによって作業現場に運搬されるが、この際、地下室本
体1は、コーナー部を構成する第1のコンクリートユニ
ット10と、このユニット10の間に配設されたL字型
の第2のコンクリートユニット11A、11Bとから構
成されているため、基本的に2形態をしたプレキャスト
コンクリート製品を工場から運搬すれば良く、また地下
室の形態を大型化する場合には、第1のコンクリートユ
ニット10の間に挾まれる第2のコンクリートユニット
11A、11Bの数を増すことにより対応できるので、
コンクリートユニット自身を大型化する必要がなく、現
場への運搬性をきわめて良好にすることができる。
【0029】次に、現場において、地下室を組立てるに
は、地下室を構築すべき地面の根切り作業を行ない、所
定の大きさの穴を掘った後、割栗地業工程、捨てコンク
リートの打設工程を経て、基盤部の施工を行ない、ま
た、この際にコンクリートユニット10、11A、11
Bの据え付けレベルの基準となる鋼管を埋め込む。次い
で、各コンクリートユニットをトラックからクレーン等
を使って吊り下ろし、次々にこれらを組合わせて接合し
ていくわけであるが、その組立て順序は例えば以下に説
明するような工程により行なう。
【0030】なお、以下に説明する施工工程は一例であ
って、他の工程によるものであってもよいことは勿論で
ある。
【コーナー部のユニットの据え付け】一番最初の据え付
けは、地下室の配置を決めるコーナー部のユニット10
から始め、このユニット10を地下室の四隅となる位置
に置く。
【第2のユニットの据え付け】地下室の四隅となる位置
に第1のコンクリートユニット10を据え付けたなら
ば、これらのコンクリートユニット10を基準に第2の
コンクリートユニット11A、11Bを据え付け接合す
る。この際(コンクリートユニット10、11A、11
Bを接合する際)、各コンクリートユニット10、11
A、11Bの間に連結金物30を差し渡すとともに、こ
れらユニットの接合面に埋設した継手金物を介して各ユ
ニットを一体化する。
【コンクリート床部の配筋作業】以上の工程によって根
切り穴の内部にコンクリートユニット10、11A、1
1Bが接合されると、基盤部の位置に四角い穴が開いた
形となるので、この四角穴内部に、上下に互いに平行に
配筋された横筋Y1、Y2と、これら上下の横筋の端部を
無端状に連結し、かつ幅方向に所定間隔をあけて配筋し
た縦筋Y3とで構成された床鉄筋Yを格子状に配設す
る。そして、床鉄筋Yの端部は、第2のコンクリートユ
ニット11A、11Bの底板部11aの端面11cから
突出しているアンカー筋Tと接した状態で重ねて、第2
のコンクリートユニット11A、11Bの底板部11a
近傍に鉄筋により平面視略四角状の鉄筋枠部Rを形成す
る。
【コンクリート床部の施工】そして、格子状に床鉄筋Y
が配設された四角穴部分に、現場打ちによってコンクリ
ートを打設して締め固めることにより、地下室本体1の
床部が完成する。ここで、前述した床鉄筋Yの端部とア
ンカー筋Tとにより平面視略四角状に形成された鉄筋枠
部R内にも密にコンクリートが充填されることになる。
これにより、第2のコンクリートユニット11A、11
Bと現場打ちコンクリートCとの接合部分である鉄筋枠
部R近傍に曲げモーメントやせん断力が加わっても、こ
れに対する鉄筋枠部R内のコンクリートによる反力が働
いて抵抗曲げモーメントや抵抗せん断力に抵抗する力が
生じ、第2のコンクリートユニット11A、11Bと現
場打ちコンクリートCとが強固に接合一体化される。
【間仕切り壁と梁部の施工】以上の工程によって地下室
本体1の施工が完了したならば、地下室本体1の床部の
上にプレキャストコンクリートパネル2aを立設し、そ
れらを面方向に接合して間仕切り壁2の施工を行なう。
その後、地下室本体1の側壁部上端及び間仕切り壁2の
上端に梁部13を架け渡して地下室の主要部を完成させ
る。以上のようにして、地下室本体1と間仕切り壁2と
の施工を終えたならば、内部の仕上げ工事等を完了させ
ると、第1図に示すような地下室が完成する。一方、前
記家屋Hの施工は、例えば、家屋の構成がパネルを主体
として構成されている場合には、梁部13の上にユニッ
ト化した床パネルを敷き込み、その上に1階および2階
の壁パネルを組み上げ、さらに、軸組、木組等をして、
屋根パネルを組み立てて、建築物を構築するといった方
法が採られる。なお、1階部分の各壁パネルは、コンク
リート製の梁部の上面より突出するアンカーボルトへ壁
パネルの下端の穴を落とし込んでボルト締めにより、一
体化すれば良い。
【0031】以上の手順によれば、掘削穴の壁に沿っ
て、コンクリートユニット10、11A、11Bを据え
付け、地下室本体1をその周囲から築造していくように
しているので、組立てられたコンクリートユニット1
0、11A、11Bが土留め壁となり、地下室内部の施
工作業を現場において簡易に実施できるといった利点が
ある。
【0032】実施例では、地下室本体1を、地下室のコ
ーナー部を構成する第1のコンクリートユニット10
と、地下室の側壁を形成するL字型をした第2のコンク
リートユニット11A、11Bとによりプレキャスト化
し、現場においてはこれらユニットの接合と床部を構成
するコンクリートの打設作業だけで、地下室本体1を形
成し得て、現場での組立てを容易に実施することができ
る。
【0033】また実施例では、隣接するコンクリートユ
ニットは、ユニット端面に埋設された継手金具22およ
び連結金物30を介してそれぞれ接合される構成である
ため、コンクリートユニット及びコンクリート床板どう
しが強固に接合され、地下室本体1全体の強度を向上さ
せることができるといった利点がある。
【0034】また、このように構成された地下室本体1
の梁部13を基礎として、この上に家屋Hを組立ててい
く構成としているので、従来必要であった基礎の施工作
業を省略することができ、また、これにより基礎の位置
に制限を受けることなく、地下室を形成することができ
るので、大型の地下室を容易に築造することができると
いった利点がある。
【0035】また、現場打ちコンクリートC内部に配筋
された床鉄筋Yの端部と、第2のコンクリートユニット
11A、11Bの端面11cから突出するアンカー筋T
とが接した状態で重ねられて平面視略四角状に鉄筋枠部
Rが形成され、この鉄筋枠部R内に密にコンクリートが
充填された構造になるので、第2のコンクリートユニッ
ト11A、11Bと現場打ちコンクリートCとの接合部
分に曲げモーメントやせん断力が加わっても、これに対
する鉄筋枠部R内のコンクリートによる反力が働いて抵
抗曲げモーメントや抵抗せん断力が生じ、第2のコンク
リートユニット11A、11Bと現場打ちコンクリート
Cとを強固に接合一体化することができる。なお、本発
明は前述した実施例に限定されるものではなく、その設
計要求などに応じて、ユニットの大きさ等を変更できる
ことは言うまでもない。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のコンクリ
ート製組立型地下室の躯体構造は、地下室のコーナー部
に位置しかつ底板部の隣接する2つの縁部に側板部を立
設した第1のコンクリートユニットと、地下室のコーナ
ー部に位置する第1のコンクリートユニットの間に並べ
られ、かつ底板部の縁部に側板部を立設した第2のコン
クリートユニットと、これら第1及び第2のコンクリー
トユニットを組んだときにそれらの底板部によって囲ま
れる四角穴の内部に床鉄筋となる鉄筋を格子状に配筋し
た状態で現場打ちコンクリートを打設してなる床コンク
リート部とから上面が開口した矩形箱型の地下室本体が
構成されるコンクリート製組立型地下室において、第2
のコンクリートユニットの底板部の端面には、その端面
の上部及び下部より前記床コンクリート部側へ突出して
いる水平アンカー筋と、これら上下の水平アンカー筋を
無端状に連結する連続アンカー筋とからなるアンカー筋
が形成され、床コンクリート部内に配筋された床鉄筋
は、上下に互いに平行に配筋された横筋と、これら横筋
の端部を無端状に連結し、かつ上下の横筋間に長手方向
に所定間隔をあけて配設された縦筋とで格子状に配筋さ
れているとともに、第2のコンクリートユニットと前記
床コンクリート部との接合部は、アンカー筋に床コンク
リート部内の床鉄筋の端部が接して重ね合わされた状態
でコンクリートが打設されていることを特徴とするもの
であるから、各コンクリート製品を相互に連結する単純
作業と床部への打設作業とによって地下室本体を簡単に
形成し得て、現場での作業能率を向上させることができ
る。
【0037】また、底板部の隣接する2つの縁部に側板
部を立設した第1のコンクリートユニットを、地下室の
四隅となるコーナー部に据え付けるとともに、これら第
1のコンクリートユニットの間に底板部の縁部に側板部
を立設したL字型の第2のコンクリートユニットを配置
し、隣接するコンクリートユニットどうしを相互に緊結
接合した後、第1及び第2のコンクリートユニットを組
んだときにそれらの底板部によって囲まれる四角穴の内
部に現場打ちによってコンクリートを打設することを特
徴とするものであるから、前記地下室を有効適切に製造
することができるといった効果もある。
【0038】また、現場打ちコンクリート内部に配筋さ
れた床鉄筋と、第2のコンクリートユニットの端面から
突出するアンカー筋とが接した状態で重ねられ、これら
に囲まれた状態で打設されたコンクリートが、第2のコ
ンクリートユニットと現場打ちコンクリートとの接合部
分に曲げモーメントやせん断力が加わってもこれに対す
る反力として働いて抵抗曲げモーメントや抵抗せん断力
が生じるため、第2のコンクリートユニットと現場打ち
コンクリートとを強固に接合一体化することができる。
【0039】なお、本発明では、地下室本体の床部の大
部分を現場打ちコンクリートにより形成したので、地下
室本体と基盤部との間を一体化することができ、特にコ
ンクリートユニット施工後のグラウト作業を省略するこ
とが可能になるといった効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】地下室の上に家屋等を構成する建築物を載置し
た状態を示す断面図である。
【図2】床部の施工前の地下室の概略を示す斜視図であ
る。
【図3】床部を施工している状態を示す斜視図である。
【図4】床部の施工前の地下室を示す断面図である。
【図5】第2のコンクリートユニットで囲まれた四角穴
に配設された鉄筋を示す斜視図である。
【図6】第2のコンクリートユニットで囲まれた四角穴
に現場打ちコンクリートを打設した状態を示す斜視図で
ある。
【図7】第2のコンクリートユニットと現場打ちコンク
リートとの接合部を示す要部正面断面図である。
【図8】第2のコンクリートユニットと現場打ちコンク
リートとの接合部を示す要部平面図である。
【図9】隣接するコンクリートユニットの接合構造を示
す平面図である。
【図10】隣接するコンクリートユニットの接合構造を
示す断面図である。
【図11】隣接するコンクリートユニットを繋ぐ連結金
物を示す平面図である。
【図12】隣接するコンクリートユニットの接合構造を
示す断面図である。
【図13】梁部の接合構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 地下室本体 10 第1のコンクリートユニット 11A、11B 第2のコンクリートユニット 11c 第2のコンクリートユニットの底板部の端面 13 プレキャストコンクリート製の梁部 G 地下室 H 家屋 C コンクリート床部 T アンカー筋 T1、T2 水平アンカー筋 T3 連続アンカー筋 Y 床鉄筋 Y1、Y2 横筋 Y3 縦筋

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地下室のコーナー部に位置しかつ底板部
    の隣接する2つの縁部に側板部を立設した第1のコンク
    リートユニットと、地下室のコーナー部に位置する第1
    のコンクリートユニットの間に並べられ、かつ底板部の
    縁部に側板部を立設した第2のコンクリートユニット
    と、これら第1及び第2のコンクリートユニットを組ん
    だときにそれらの底板部によって囲まれる四角穴の内部
    に床鉄筋となる鉄筋を格子状に配筋した状態で現場打ち
    コンクリートを打設してなる床コンクリート部とから上
    面が開口した矩形箱型の地下室本体が構成されるコンク
    リート製組立型地下室において、 前記第2のコンクリートユニットの底板部の端面には、
    その端面の上部及び下部より前記床コンクリート部側へ
    突出している水平アンカー筋と、これら上下の水平アン
    カー筋を無端状に連結する連続アンカー筋とからなるア
    ンカー筋が形成され、 前記床コンクリート部内に配筋された床鉄筋は、上下に
    互いに平行に配筋された横筋と、これら横筋の端部を無
    端状に連結し、かつ上下の横筋間に長手方向に所定間隔
    をあけて配設された縦筋とで格子状に配筋されていると
    ともに、 前記第2のコンクリートユニットと前記床コンクリート
    部との接合部は、前記アンカー筋に前記床コンクリート
    部内の床鉄筋の端部が接して重ね合わされた状態でコン
    クリートが打設されていることを特徴とするコンクリー
    ト製組立型地下室の躯体構造。
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