JP2936492B2 - コンクリート製組立型地下室およびコンクリート製組立型地下室の施工方法 - Google Patents

コンクリート製組立型地下室およびコンクリート製組立型地下室の施工方法

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JP2936492B2 JP2150302A JP15030290A JP2936492B2 JP 2936492 B2 JP2936492 B2 JP 2936492B2 JP 2150302 A JP2150302 A JP 2150302A JP 15030290 A JP15030290 A JP 15030290A JP 2936492 B2 JP2936492 B2 JP 2936492B2
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Description

【発明の詳細な説明】
「産業上の利用分野」 本発明は住宅の地下室として好適なコンクリート製組
立型地下室およびコンクリート製組立型地下室の施工方
法にかかわり、特に上面が開口した矩形箱型の地下室本
体と、この地下室本体の内側に配設されて地下室本体の
内部を仕切る間仕切り壁とからなりかつこれらの上に家
屋等を構成する建築物を載せるようにした地下室および
その施工方法に関するものである。 「従来の技術」 近年における住宅事情の悪化などから、一般の住宅に
おいても地下室を設置することが行なわれるようになっ
てきた。 従来、住宅の地下室は、地下収蔵庫として構成された
ものが多いため、その構造も例えば容器状のカプセル
を、地面に掘った穴の中にアンカーボルトを介して据え
付け、穴を埋め戻してなる構成のものなどであった(例
えば特公平1−15663号「地下庫およびその製造方法」
参照)。 しかし、このような構成の地下室は、地下収蔵庫とし
て機能された構成であるため、全体的に内部の大きさが
小さく、住宅の居室として要求される機能を十分満足さ
せるものではなかった。したがって、近年では、地下室
をコンクリート造りとして部屋全体を大型化する傾向に
ある。 このような鉄筋コンクリート製の地下室は、例えば現
場打ちコンクリートにより築造されたものが一般的であ
る。 これは、まず、パワーショベル等を用いて地下室の敷
地よりやや広めに掘削工事を行ない、次に、その底部に
砂利等を敷いて、該砂利等を敷いた上にコンクリートを
打設して、いわゆる基礎コンクリートの施工を行なう。 そして、床鉄筋を格子状に配設して、この床鉄筋にコ
ンクリートを打設し、このとき、側壁が立設される位置
に側壁の鉄筋に連設される突出筋をコンクリートの表面
から突出するように配設しておく。 次に、床部のコンクリートが固まった後に、その所定
の位置に突出した突出筋に側壁の縦筋を連結し、これら
側壁の縦筋に、横筋を連結して、側壁の鉄筋を施工す
る。 次いで、施工した側壁の鉄筋の両側に型枠を組立て
て、その中にコンクリートを打設して側壁を施工する。 そして、側壁のコンクリートが固まった後に、固枠を
解体し、側壁の外側の空間を埋めて完成させるものであ
る。 「発明が解決しようとする課題」 前記従来の地下室の技術においては、その施工作業が
現場打ちコンクリートの施工作業となるため、現場での
作業能率が悪く、工期が長くなるなどの難点があった。 しかも、現場打ちコンクリートによる施工作業では、
側壁を構築する場合に、側壁鉄筋の両側に型枠を組立て
るための空間を設けなければならず、施工面積よりも広
めに地盤を掘り下げなければならず、コスト高になるな
どの問題点があった。 そこで、本発明者等はこれらの問題点を解決すべく鋭
意研究した結果、地下室全体をプレキャストコンクリー
ト製ユニットの接合により築造すれば、現場での作業能
率が向上し、またユニットの据え付けだけで地下室が形
成されるので、掘削面積も少なくてすむとの考えに至っ
た。 しかしながら、単に地下室の内部を区画し、それぞれ
をプレキャストコンクリート製ユニットに分割してもユ
ニット自身の大きさが大型化し、またその種類も多くな
るなどの解決すべき課題が残されている。 また地下室自体をプレキャスト化した場合、地山とユ
ニットとの間を埋めて、これらを一体化する必要があ
り、このためのグラウト作業に手間がかかるといった課
題も残されている。 本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、少ない種類のプレキャストコンクリ
ート製ユニットにより、地下室を形成し得て、現場での
作業能率を向上させることができ、また特に、グラウト
作業を施すことなく、地下室本体と地山とを一体化する
ことのできるコンクリート性組立型地下室及びその施工
方法を提供することにある。 「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するために本発明の地下室は、上面
が開口した矩形箱型の地下室本体と、この地下室本体の
内側に配設されて地下室本体の内部を仕切る間仕切り壁
とからなりかつこれらの上に家屋等を構成する建築物を
載せるようにした地下室であって、前記地下室本体を、
地下室のコーナー部に位置しかつ底板部の隣接する2つ
の縁部に側板部を立設し、前記側板部の反対側に位置す
る前記底板部の端面に前記端面から突出した状態で埋設
されたアンカー筋を有する第1のコンクリートユニット
と、地下室のコーナー部に位置する第1のコンクリート
ユニットの間に並べられかつ底板部の縁部に側板部を立
設し、前記側板部の反対側に位置する前記底板部の端面
に前記端面から突出した状態で埋設されたアンカー筋を
有する第2のコンクリートユニットと、これら第1及び
第2のコンクリートユニットを組んだときにそれらの底
板部の前記アンカー筋が埋設された端面によって囲まれ
る四角穴の内部に現場打ちコンクリートより形成された
床コンクリート部とから構成してなり、地下室本体の内
部には、前記間仕切り壁を設けないことにより開口部を
形成し、この開口部、間仕切り壁、地下室本体の側板部
の上端には、前記建築物を載せる四角柱状の梁部を連続
して架け渡したことを特徴とするものである。 また、このような地下室の施工方法としては、底板部
の隣接する2つの縁部に側板部を立設し、前記側板部の
反対側に位置する前記底板部の端面に前記端面から突出
した状態で埋設されたアンカー筋を有する第1のコンク
リートユニットを、地下室の四隅となるコーナー部に据
え付けるとともに、これら第1のコンクリートユニット
の間に床板部の縁部に側板部を立設し、前記側板部の反
対側に位置する前記底板部の端面に前記端面から突出し
た状態で埋設されたアンカー筋を有するL字型の第2の
コンクリートユニットを配置し、隣接するコンクリート
ユニットどうしを相互に緊結接合した後、第1及び第2
のコンクリートユニットを組んだときにそれらの底板部
の前記アンカー筋が埋設された端面によって囲まれる四
角穴の内部に現場打ちによってコンクリートを打設して
なり、地下室本体の内部に、前記間仕切り壁を設けない
ことにより開口部を形成し、この開口部、間仕切り壁、
地下室本体の側板部の上端に、前記建築物を載せる四角
柱状の梁部を連続して架け渡す方法などが好適である。 「作用」 本発明によれば、底板部の隣接する2つの縁部に側板
部を立設した第1のコンクリートユニットを地下室のコ
ーナー部に位置させ、これら第1のコンクリートユニッ
トの間に、L字型をした第2のコンクリートユニットを
並べて、隣接するコンクリートユニットの側板部及び底
板部どうしを相互に接合することにより地下室の周囲を
構築でき、その後、基盤部に現場打ちでコンクリートを
打設することによって、地下室の主体となる地下室本体
を築造することができるので、現場での施工作業を効率
化させることができる。 また本発明では、地下室本体の床部の大部分である第
1及び第2のコンクリートユニットの底板部のアンカー
筋を埋設した端面によって囲まれる四角穴の内部を現場
打ちコンクリートにより形成したので、地下室本体と基
盤部との間を一体化することができ、特にコンクリート
ユニット施工後のグラウト作業を省略することが可能に
なる。 「実施例」 以下、本発明の一実施例を第1図ないし第9図を参照
して説明する。 これらの図において、符号Gが本発明にかかる地下室
であり、この地下室Gは上面が開口した矩形箱型の地下
室本体1と、この地下室本体1の内側に配設されて地下
室本体1の内部を仕切る間仕切り壁2とを主体として構
成され、かつ、これら地下室本体1及び間仕切り壁2の
上に家屋等を構成する建築物Hを載せるようにした基本
構造となっている。なお、間仕切り壁2の側方には、第
3図に示すように、間仕切り壁2を設けないことによっ
て出入り用の開口部40が形成されている。 そして、前記地下室本体1は、第2図および第3図な
どに示すように、地下室の四隅となるコーナー部に位置
しかつ底板部10aの隣接する2つの縁部に側板部10b、10
cを立設した第1のコンクリートユニット10と、これら
第1のコンクリートユニット10の間に並べられかつ底板
部11aの縁部に側板部11bを立設した第2のコンクリート
ユニット11A、11Bとによってその周囲が構成されるとと
もに、これら第1及び第2のコンクリートユニット10、
11A、11Bを組んだときにそれらの底板部10a、11aによっ
て囲まれる四角穴の内部に打設された現場打ちコンクリ
ートCによってその床部が構成されており、また前記コ
ンクリートユニット10、11A、11Bの側板部10b、10c、11
b、間仕切り壁2および開口部40の上にプレキャストコ
ンクリート製の梁部13が連続して架け渡されて建築物H
が載置されるようになっている。 地下室本体1を構成するコンクリートユニット10、11
A、11Bについて具体的に説明すると、これらコンクリー
トユニット10、11A、11Bはそれぞれ予め工場において所
定の形状、寸法に製作されるもので、これらコンクリー
トユニット10、11A、11Bのうち第1のコンクリートユニ
ット10は、実施例では地下室の四隅のコーナー部を構成
するようになっており、また第2のコンクリートユニッ
ト11A、11Bは相互に複数接合されて地下室の中央の側壁
部を構成するようになっている。 なお、これらコンクリートユニット10、11A、11Bの端
面には目地材が施工されてコンクリートユニット10、11
A、11Bに十分な水密性が確保されることは勿論である。 そして、実施例では、第1のコンクリートユニット10
は、地下室の長手方向に細長い形状の底板部10aと、こ
の底板部10aの隣接する2辺に立設された幅の大きな側
板部10bおよび幅の小さな側板部10cとを主体として構成
されており、また前記底板部10aの端面には現場打ちコ
ンクリートからなる床部との接合を強固にするためにア
ンカー筋Tが端面よりも突出した状態で埋設されてい
る。 なお、前記床板部10aおよび側板部10b、10cの接合端
面にはそれぞれ第5図および第6図に示すように、ボル
ト・ナット20、21により止められる構造の継手金物22が
埋設され、隣接するユニットどうしをさらに強固に接合
できるようになっている。 なお、このコンクリートユニット10の底板部10aに
は、継手金物22とは別に、必要に応じてインサート23を
埋設した凹部24が形成され、凹部24に埋設されたインサ
ート23にボルト25止めされるユニット連結用の連結金物
30を介して隣接するコンクリートユニット10どうしを固
定できるようになっている(第7図および第8図参
照)。 また、第9図は側板部10b、10cと梁部13との接続構造
を示すもので、梁部13は側板部10b、10cの上端に埋設さ
れたインサート26に梁部13を貫通する長ボルト16をねじ
込むことにより固定されるものである。なお、図示例で
は、前記長ボルト16は、おねじの形成された軸体16a
と、この軸体16aの上部に定着板16bを介して螺合される
ナット16cとを主体として構成されている。 次に、第2のコンクリートユニット11A、11Bについて
説明すると、地下室の長手方向に沿う側壁部を構成する
コンクリートユニット11Aは、もう一方のコンクリート
ユニット11Bよりも側板部11bの幅が大きく形成され、ま
た底板部11aがもう一方のコンクリートユニット11Bより
も短く形成された基本構造となっている。 より具体的には、コンクリートユニット11Aの底板部1
1aは、第1のコンクリートユニット10の底板部10aの幅
寸法に合わせて形成されており、コンクリートユニット
11Bの底板部11aは第1のコンクリートユニット10の底板
部10aの長さ寸法に合わせて形成されている。 なお、これらコンクリートユニット11A、11Bにおいて
も、底板部11aの端面にはアンカー筋Tが突出した状態
で埋設されるとともに、ユニットどうしの接合面(すな
わち、底板部及び側板部の端面)には止水用の目地材が
介在させられてその水密性が確保されるようになってお
り、またコンクリートユニット11A、11Bどうしは、例え
ば第5図及び第6図に示すようなユニットの端面に埋設
された継手金物22を介してボルト20、ナット21により一
体化されるとともに、側壁部の上端に架け渡されたプレ
キャストコンクリート製の梁部13により固定される点は
先のコンクリートユニット10と同様である。 一方、前記ブロック11A、11Bの各側板部11b、11cの上
端にも、梁部13を止める長ボルト16をねじ込むためのイ
ンサート26が埋設され、また底板部11aには必要に応じ
て連結金物30を固定するためのインサート23を埋設した
凹部24が形成されている。 さて前記第1及び第2のコンクリートユニット10、11
A、11Bの上端に架け渡されるプレキャストコンクリート
製の梁部13について説明すると、これはコンクリートに
よって四角柱状に形成されていて長手方向に連結された
コンクリートユニット10、11A、11Bの上端ならびに間仕
切り壁2の上端を固定すると共に、上部建築物(図示例
では家屋)Hの1階床パネルを支持するようになってい
る。 なお、間仕切り壁2は予め工場において、平板状に形
成された複数のプレキャストコンクリートパネル2aを床
板部上に立設し、パネルの面方向につないで形成された
ものである。 なお、間仕切り壁2を構成するプレキャストコンクリ
ートパネル2aの立設手段は例えば地下室本体1の床部に
突設したアンカーボルトやあるいは継手金物などを介し
て固定するようにすればよく、またパネルどうしの連結
手段はボルト・ナットにより連結される継手金物などを
介して実施するようにすればよい。 ところで、家屋Hとしては、例えばユニット化した床
パネルを梁部13の上に敷き込み、その上に1階の壁パネ
ルおよび2階の床パネル、2階の壁パネルを組み上げ、
さらに、軸組、木組等をして、屋根パネルを組み立てて
なる構成のものなどが挙げられるが、家屋の構成はこの
ようなものに限定されるものではなく、在来工法で構築
されるものや、ユニット住宅などであっても良い。 なお、前記各パネル工法による家屋の場合における家
屋と梁部との接合は、例えば梁部の上面に、アンカーボ
ルトを突出させて設けておき、このアンカーボルトを介
して壁、床等のパネルを一体化するようにすればよい。 次に、このように構成されたコンクリート製組立型地
下室の施工方法および作用を説明する。 まず、地下室本体1を構成する各プレキャストコンク
リートユニット10、11A、11Bは、工場において、予め一
定の寸法、形状にコンクリート等によって一体に打設し
て形成される。 そして、これらユニットは、トラックによって作業現
場に運搬されるが、この際、地下室本体1は、コーナー
部を構成する第1のコンクリートユニット10と、このユ
ニット10の間に配設されたL字型の第2のコンクリート
ユニット11A、11Bとから構成されているため、基本的に
2形態をしたプレキャストコンクリート製品を工場から
運搬すれば良く、また地下室の形態を大型化する場合に
は、第1のコンクリートユニット10の間に挾まれる第2
のコンクリートユニット11A、11Bの数を増すことにより
対応できるので、コンクリートユニット自身を大型化す
る必要がなく、現場への運搬性をきわめて良好にするこ
とができる。 次に、現場において、地下室を組立てるには、地下室
を構築すべき地面の根切り作業を行ない、所定の大きさ
の穴を掘った後、割栗地業工程、捨てコンクリートの打
設工程を経て、基盤部の施工を行ない、また、この際に
コンクリートユニット10、11A、11Bの据え付けレベルの
基準となる鋼管を埋め込む。 次いで、各コンクリートユニットをトラックからクレ
ーン等を使って吊り下ろし、次々にこれらを組合わせて
接合していくわけであるが、その組立て順序は例えば以
下に説明するような工程により行なう。なお、以下に説
明する施工工程は一例であって、他の工程によるもので
あってもよいことは勿論である。
【コーナー部のユニットの据え付け】
一番最初の据え付けは、地下室の配置を決めるコーナ
ー部のユニット10から始め、このユニット10を地下室の
四隅となる位置に置く。
【第2のユニットの据え付け】 地下室の四隅となる位置に第1のコンクリートユニッ
ト10を据え付けたならば、これらのコンクリートユニッ
ト10を基準に第2のコンクリートユニット11A、11Bを据
え付けを接合する。 この際(コンクリートユニット10、11A、11Bを接合す
る際)、各コンクリートユニット10、11A、11Bの間に連
結金物30を差し渡すとともに、これらユニットの接合面
に埋設した継手金物を介して各ユニットを一体化する。
【コンクリート床部の施工】
以上の工程によって根切り穴の内部にコンクリートユ
ニット10、11A、11Bが接合されると、基盤部の位置に第
1及び第2のコンクリートユニットの底板部のアンカー
筋が埋設された端面による四角い穴が開いた形となるの
で、この部分に現場打ちによってコンクリートを打設
し、締め固めれば、地下室本体1の床部が完成する。
【間仕切り壁と梁部の施工】
以上の工程によって地下室本体1の施工が完了したな
らば、地下室本体1の床部の上にプレキャストコンクリ
ートパネル2aが立設し、それらを面方向に接合して間仕
切り壁2の施工を行なう。ここで、間仕切り壁2の施工
されない部分は出入り用の開口部40とされる。その後、
地下室本体1の側壁部上端、開口部40及び間仕切り壁2
の上端に梁部13を連続して架け渡して地下室の主要部を
完成させる。 以上のようにして、地下室本体1と間仕切り壁2との
施工を終えたならば、内部の仕上げ工事等を完了させる
と、第1図に示すような地下室が完成する。 一方、前記家屋Hの施工は、例えば、家屋の構成がパ
ネルを主体として構成されている場合には、梁部13の上
にユニット化した床パネルを敷き込み、その上に1階お
よび2階の壁パネルを組み上げ、さらに、軸組、木組等
をして、屋根パネルを組み立てて、建築物を構築すると
いった方法が採られる。 なお、1階部分の各壁パネルは、コンクリート製の梁
部の上面より突出するアンカーボルトへ壁パネルの下端
の穴を落とし込んでボルト締めにより、一体化すれば良
い。 以上の手順によれば、掘削穴の壁に沿って、コンクリ
ートユニット10、11A、11Bを据え付け、地下室本体1を
その周囲から築造していくようにしているので、組立て
られたコンクリートユニット10、11A、11Bが土留め壁と
なり、地下室内部の施工作業が現場において簡易に実施
できるといった利点がある。 実施例では、地下室本体1を、地下室のコーナー部を
構成する第1のコンクリートユニット10と、地下室の側
壁を形成するL字型をした第2のコンクリートユニット
11A、11Bとによりプレキャスト化し、現場においてはこ
れらユニットの接合と床部を構成するコンクリートの打
設作業だけで、地下室本体1を形成し得て、現場での組
立てを容易に実施することができる。 また実施例では、隣接するコンクリートユニットは、
ユニット端面に埋設された継手金具22および連結金物30
を介してそれぞれ接合される構成であるため、コンクリ
ートユニット及びコンクリート床板どうしが強固に接合
され、地下室本体1全体の強度を向上させることができ
るいった利点がある。 また、このように構成された地下室本体1の梁部13を
基礎として、この上に家屋Hを組立てていく構成として
いるので、従来必要であった基礎の施工作業を省略する
ことができ、また、これにより基礎の位置に制限を受け
ることなく、地下室を形成することができるので、大型
の地下室を容易に築造することができるといった利点が
ある。 なお、本発明は前述した実施例に限定されるものでは
なく、その設計要求などに応じて、ユニットの大きさ等
を変更できることは言うまでもない。 「発明の効果」 以上説明したように本発明によれば、次のような優れ
た効果を奏する。 (a)請求項1記載のコンクリート製組立型地下室は、
上面が開口した矩形箱型の地下室本体と、この地下室本
体の内側に配設されて地下室本体の内部を仕切る間仕切
り壁とからなりかつこれらの上に家屋等を構成する建築
物を載せるようにした地下室であって、前記地下室本体
を、地下室のコーナー部に位置しかつ底板部の隣接する
2つの縁部に側板部を立設し、前記側板部の反対側に位
置する前記底板部の端面に前記端面から突出した状態で
埋設されたアンカー筋を有する第1のコンクリートユニ
ットと、地下室のコーナー部に位置する第1のコンクリ
ートユニットの間に並べられかつ底板部の縁部に側板部
を立設し、前記側板部の反対側に位置する前記底板部の
端面に前記端面から突出した状態で埋設されたアンカー
筋を有する第2のコンクリートユニットと、これら第1
及び第2のコンクリートユニットを組んだときにそれら
の底板部の前記アンカー筋が埋設された端面によって囲
まれる四角穴の内部に現場打ちコンクリートより形成さ
れた床コンクリート部とから構成したことを特徴とする
ものであるから、各コンクリート製品を相互に連結する
単純作業と床部への打設作業とによって地下室本体を簡
単に形成し得て、現場での作業能率を向上させることが
できる。 また本発明では、この地下室本体の内側に間仕切り壁
を立て、地下室本体と間仕切り壁の上端にそれぞれプレ
キャストコンクリート製の梁部を架け渡すことにより、
地下室本体の内部を仕切ってその上に家屋等を構成する
構築物を載せることができるので、住宅基礎の施工を省
略することが可能になるといった長所もある。さらに、
間仕切り壁を設けないことにより開口部を形成し、この
開口部、間仕切り壁、地下室本体の上端に、四角柱状の
梁部を連続して架け渡したから、梁部を利用して開口部
を形成できる。そのため、地下室を間仕切る構成したに
もかかわらず、部材点数が嵩むのを抑えることができ
る。 なお、本発明では、地下室本体の床部の大部分を現場
打ちコンクリートにより形成したので、地下室本体と基
盤部との間を一体化することができ、特にコンクリート
ユニット施工後のグラウト作業を省略することが可能に
なるといった効果もある。 (b)請求項2記載の地下室の施工方法は、底板部の隣
接する2つの縁部に側板部を立設し、前記側板部の反対
側に位置する前記底板部の端面に前記端面から突出した
状態で埋設されたアンカー筋を有する第1のコンクリー
トユニットを、地下室の四隅となるコーナー部に据え付
けるとともに、これら第1のコンクリートユニットの間
に底板部の縁部に側板部を立設し、前記側板部の反対側
に位置する前記底板部の端面に前記端面から突出した状
態で埋設されたアンカー筋を有するL字型の第2のコン
クリートユニットを配置し、隣接するコンクリートユニ
ットどうしを相互に緊結接合した後、第1及び第2のコ
ンクリートユニットを組んだときにそれらの底板部の前
記アンカー筋が埋設された端面によって囲まれる四角穴
の内部に現場打ちによってコンクリートを打設すること
を特徴とするものであるから、前記地下室を有効適切に
製造することができるといった効果もある。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明にかかるコンクリート製組立型地下室及び
その施工方法の一実施例を説明するために示したもの
で、第1図は地下室の上に家屋等を構成する建築物を載
置した状態を示す断面図、第2図は床部の施工前の地下
室の概略を示す斜視図、第3図は床部を施工した後の地
下室の概略を示す斜視図、第4図は床部の施工前の地下
室を示す断面図、第5図は隣接するコンクリートユニッ
トの接合構造を示す平面図、第6図はその断面図、第7
図は隣接するコンクリートユニットを繋ぐ連結金物を示
す平面図、第8図はその断面図、第9図は梁部の接合構
造を示す断面図である。 G……地下室、H……家屋、C……コンクリート床部、
1……地下室本体、2……間仕切り壁、10……第1のコ
ンクリートユニット、11A、11B……第2のコンクリート
ユニット、13……プレキャストコンクリート製の梁部、
16……長ボルト、22……継手金物、30……連結金物。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上面が開口した矩形箱型の地下室本体1
    と、この地下室本体1の内側に配設されて地下室本体1
    の内部を仕切る間仕切り壁2とからなりかつこれらの上
    に家屋等を構成する建築物を載せるようにした地下室で
    あって、 前記地下室本体1は、地下室のコーナー部に位置しかつ
    底板部10aの隣接する2つの縁部に側板部10bを立設し、
    前記側板部10bの反対側に位置する前記底板部10aの端面
    に前記端面から突出した状態で埋設されたアンカー筋T
    を有する第1のコンクリートユニット10と、地下室のコ
    ーナー部に位置する第1のコンクリートユニット10,10
    の間に並べられかつ底板部11aの縁部に側板部11bを立設
    し、前記側板部11bの反対側に位置する前記底板部11aの
    端面に前記端面から突出した状態で埋設されたアンカー
    筋Tを有する第2のコンクリートユニット11A,11Bと、
    これら第1及び第2のコンクリートユニットを組んだと
    きにそれらの底板部10a,11aの前記アンカー筋Tが埋設
    された端面によって囲まれる四角穴の内部に現場打ちコ
    ンクリートより形成された床コンクリート部Cとから構
    成されてなり、地下室本体1の内部には、前記間仕切り
    壁2を設けないことにより間仕切り壁2の側方に開口部
    40が形成され、この開口部40、間仕切り壁2、地下室本
    体1の側板部10b,11bの上端には、前記建築物を載せる
    四角柱状の梁部13が連続して架け渡されていることを特
    徴とするコンクリート製組立型地下室。
  2. 【請求項2】上面が開口した矩形箱型の地下室本体1
    と、この地下室本体1の内側に配設されて地下室本体1
    の内部を仕切る間仕切り壁2とからなりかつこれらの上
    に家屋等を構成する建築物を載せるようにした地下室の
    施工方法であって、 底板部10aの隣接する2つの縁部に側板部10bを立設し、
    前記側板部10bの反対側に位置する前記底板部10aの端面
    に前記端面から突出した状態で埋設されたアンカー筋T
    を有する第1のコンクリートユニット10を、地下室の四
    隅となるコーナー部に据え付けるとともに、これら第1
    のコンクリートユニット10,10の間に、底板部11aの縁部
    に側板部11bを立設し、前記側板部11bの反対側に位置す
    る前記底板部11aの端面に前記端面から突出した状態で
    埋設されたアンカー筋Tを有するL字型の第2のコンク
    リートユニット11A,11Bを配置し、隣接するコンクリー
    トユニットどうしを相互に緊結接合した後、第1及び第
    2のコンクリートユニット10,11A,11Bを組んだときにそ
    れらの底板部10a,11aの前記アンカー筋Tが埋設された
    端面によって囲まれる四角穴の内部に現場打ちによって
    コンクリート打設してなり、地下室本体1の内部に、前
    記間仕切り壁2を設けないことにより間仕切り壁2の側
    方に開口部40を形成し、この開口部40、間仕切り壁2、
    地下室本体1の側板部10b,11bの上端に、前記建築物を
    載せる四角柱状の梁部13を連続して架け渡すことを特徴
    とするコンクリート製組立型地下室の施工方法。
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