JP2983749B2 - 光学部品の位置決め保持体およびその製造方法 - Google Patents

光学部品の位置決め保持体およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリズム、ミラー等の
光学部品の保持体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プリズム、ミラー等の光学部品を、光記
録装置等の光学ヘッドなどに搭載する場合、その軸を光
軸に対して重ね合わせたり、あるいは面を光軸に垂直に
合わせて、位置決め・固定する必要がある。
【0003】このような光学部品の位置決め形状(保持
体)としては、互いに直交する第一および第二の基準面
にプリズムを押し付けて位置出しし、接着剤を用いて、
あるいは機械的に固定されることが知られている。
【0004】そして一般には、アルミダイカストなどの
金属材料により形成された粗加工品を、カッターにより
精密加工して、直交する第一および第二の基準面を形成
する方式が知られており、例えば、特公昭63−156
61号公報に、この位置決め・保持機構が示されてい
る。以下、図7〜9にこの加工方法を示す。
【0005】図7(a)では、アルミダイカスト等の金
属材料で作成された粗加工のブロック11′に対して、
一点鎖線の如くカッターで切削し、図7(b)に示した
第一基準面23′および第二基準面33′を形成して、
光学ヘッドの一部に位置決め保持体11を形成する。し
かしこの方法では、第一基準面23′と第二基準面3
3′との交差部に、カッターの曲率半径に基づくRが残
ることは避けられない。そのため、このRとプリズム4
1のシャープエッジ41a(図8(b)参照)とが干渉
し、正確な位置決めを行なうことができない。
【0006】そこで、図8(a)または図9(a)に一
点鎖線で示すようにカッターで切削し、第一基準面2
3′および第二基準面33′を形成するとともに、プリ
ズム41のシャープエッジ41aのニゲ部35を形成す
る方法が知られている。しかしこの方法では、ニゲ部3
5の加工に直径の細いカッターしか使用できないため、
カッターの欠損を避けるために切込み量、送り速度とも
上げることができず、加工時間が長くなってしまうとい
う問題がある。
【0007】また、光学ヘッド本体に穿設した複数の穴
にピンを嵌合し、このピンにプリズムの平面部を押し付
けて位置決め固定する方式が知られている(実開昭62
−73321号公報)。この方法によれば、プリズムの
シャープエッジと位置決め部材との干渉の問題はない。
しかし、ピンを使用するため部品点数、圧入工程が増加
してコストアップを招き、また、部材が増加することか
ら許容公差(精度)の管理も面倒となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光学ヘッド
などにプリズム、ミラー等を位置決めして保持する際
に、プリズム等のシャープエッジを避けたニゲ部を直径
の大きなカッターで効率的に形成しうる位置決め・保持
構造およびその製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の光学部品の位置
管め保持体は、互いに直交する第一および第二基準面に
光学部品を当接させて、光学部品を位置決めして保持す
る位置決め保持体であって、一体的に形成された第一面
および第二面を有し、第一面には、離間して右側第一基
準面および左側第一基準面が、これら両基準面間に凹入
部を形成して、第一面から一体的に突設され、該凹入部
の前方で、第二面から一体的に突出して第二基準面が形
成され、右側第一基準面および左側第一基準面と第二基
準面とが直接交差せず、これらの間に光学部品のシャー
エッジを位置せしめるニゲ部が設けられていることを
特徴とする。
【0010】また、本発明の光学部品の位置決め保持体
の製造方法は、互いに直交する第一および第二基準面に
光学部品を当接させて、光学部品を位置決めして保持す
る位置決め保持体であって、一体的に形成された第一面
および第二面を有し、第一面には、離間して右側第一基
準面および左側第一基準面が、これら両基準面間に凹入
部を形成して、第一面から一体的に突設され、該凹入部
の前方で、第二面から一体的に突出して第二基準面が形
成され、右側第一基準面および左側第一基準面と第二基
準面とが直接交差せず、これらの間に光学部品のシャー
エッジを位置せしめるニゲ部が設けられている光学部
品の位置決め保持体を製造するに際し、形成すべき右側
または左側のいずれか一方の第一基準面と形成すべき第
二基準面との間に切削用カッターを移動せしめ、第二基
準面の突出高さよりも低い位置まで切削用カッターを進
入させて、切削用カッターにより一方の第一基準面およ
びニゲ部を切削、形成し、ついで、形成すべき他方の第
一基準面と形成すべき第二基準面との間に切削用カッタ
ーを移動せしめ、第二基準面の突出高さよりも低い位置
まで切削用カッターを進入させて、切削用カッターによ
り他方の第一基準面およびニゲ部を切削、形成し、つい
で、右側および左側の第一基準面に触れることなく、切
削用カッターにより第二基準面を切削、形成することを
特徴とする。
【0011】第一および第二基準面間の凹入部は、切削
加工前の粗加工品(ブロック)に予め形成しておいても
よく、また、切削加工時に切削、形成してもよい。
【0012】
【実施例】図1は、本発明の位置決め保持体11に正方
形の貼り合わせプリズム41を位置決めして接着固定し
た状態を示す斜視図である。光学ヘッドにおいては、こ
のような位置決め保持体11が光学ヘッド本体(ベー
ス)の一部として一体的に形成されている。
【0013】図2(a)は位置決め保持体の加工前のブ
ロック11′を示す平面図、図2(b)はその線A−A
に沿った断面図、図2(c)は斜視図であり、図2
(d)はブロック11′を加工する際の切削用カッター
のカッターパス(移動軌跡)を示す。
【0014】図3(a)は加工後の位置決め保持体11
を示す平面図、図3(b)はその線B−Bに沿った断面
図、図3(c)は斜視図である。なお、図3(a),
(b)ではプリズム41を位置決めした状態を示し、図
3(c)ではプリズム41の図示を省略してある(図1
参照)。
【0015】図1に示したように、位置決め保持体11
は、直交する2つの基準面が形成される第一面21およ
び第二面31を有する。第一面21からは、右側第一基
準面23と左側第1基準面25の2つの基準面が突出し
ており、これら第一基準面23,25間に凹入部27を
有する。一方、第二面31から第二基準面33が突出し
ており、第二基準面33と右側および左側第一基準面2
3,25とは直交する。
【0016】外形が立方体の貼合せプリズム41を、各
基準面23,25,33に押し当てることにより、プリ
ズム41の位置決めが可能であり、プリズム41は接着
剤でこれら基準面23,25,33に接着されることに
より、あるいは、適当な付勢部材などで機械的にこれら
基準面23,25,33に押し付けられることにより固
定される。
【0017】凹入部27の前方に設けられた第二基準面
33には、プリズム41の少なくとも面中心が当接され
ることが望ましい。また、右側および左側第一基準面2
3,25の凹入部27側の端部23a,25a前方に
は、第二基準面33が存在しない。第二基準面33と第
一基準面23,25とは交差しておらず、第一基準面2
3,25は第二基準面33の高さより下方にまで延びて
いる。よって、第一基準面23,25と第二基準面33
との間に、プリズム41のシャープエッジ41a(図3
(b)も併せて参照)のニゲ部35が形成される。
【0018】図2に示したように、加工前のブロック1
1′には、予め削り代ろを加味して突起23′,2
5′,33′が形成されるとともに、凹入部27が形成
されている。図2(d)に示したように切削用カッター
を移動せしめ、まず、突起25′を切削する。このと
き、切削用カッターを、形成すべき第二基準面33の高
さよりも低い位置まで進入させて突起25′を切削加工
し、図3に示すように左側第一基準面25およびニゲ部
35を形成する。左側第一基準面25の凹入部27側の
端部25aの切削時に、切削用カッターが第二基準面3
3(突起33′)に当たらない範囲で直径の大きな切削
用カッターを使用できる。
【0019】ついで、切削用カッターを図2(d)で示
すように水平に移動したのち、突起23′を切削して右
側第一基準面23を形成する。このときも、形成すべき
第二基準面33の高さよりも低い位置まで切削用カッタ
ーを進入せしめて突起23′を切削し、右側第一基準面
23およびニゲ部35を形成する。右側第一基準面の凹
入部27側の端部23aの切削時に、切削用カッターが
第二基準面33に接触しない範囲で十分に大きな直径の
カッターを使用することができる。
【0020】このように、右側および左側の第一基準面
23,25の凹入部27側の端部23a,25aと第二
基準面33との間を十分に離し、この空間部を切削用カ
ッターの進入スペースとして利用することができるの
で、直径の大きなカッターの使用が可能となる。
【0021】ついで、図2(d)に示すように切削用カ
ッターを移動し、突起33′を切削して第二基準面33
を形成する。
【0022】図4は、本発明の他の実施例の位置決め保
持体11に、正方形の貼り合わせプリズム41を位置決
めして接着固定した状態を示す、図1と同様の斜視図で
ある。
【0023】図5(a)は位置決め保持体の加工前のブ
ロック11′を示す平面図、図5(b)はその線D−D
に沿った断面図、図5(c)は斜視図であり、図5
(d)はブロック11′を加工する際の切削用カッター
のカッターパス(移動軌跡)を示す。
【0024】図6(a)は加工後の位置決め保持体11
を示す平面図、図6(b)はその線E−Eに沿った断面
図、図6(c)は斜視図である。なお、図6(a),
(b)ではプリズム41を位置決めした状態を示し、図
2(c)ではプリズム41の図示を省略してある(図1
参照)。
【0025】図4に示したように、位置決め保持体11
は、直交する2つの基準面が形成される第一面21およ
び第二面31を有する。第一面21からは、右側第一基
準面23と左側第1基準面25の2つの基準面が突出し
ており、これら第一基準面23,25間に凹入部27を
有する。一方、第二面31から第二基準面33が突出し
ており、第二基準面33と右側および左側第一基準面2
3,25とは直交する。
【0026】外形が立方体の貼合せプリズム41を、各
基準面23,25,33に押し当てることにより、プリ
ズム41の位置決めが可能であり、プリズム41は接着
剤でこれら基準面23,25,33に接着されることに
より、あるいは、適当な付勢部材などで機械的にこれら
基準面23,25,33に押し付けられることにより固
定される。
【0027】凹入部27の前方に設けられた第二基準面
33には、プリズム41の少なくとも面中心が当接され
ることが望ましい。また、右側および左側第一基準面2
3,25の凹入部27側の端部23a,25a前方に
は、第二基準面33が存在しない空間部がある。第二基
準面33と第一基準面23,25とは交差しておらず、
第一基準面23,25は第二基準面33の高さより下方
にまで延びている。よって、第一基準面23,25と第
二基準面33との間に、プリズム41のシャープエッジ
41a(図5(b)も併せて参照)のニゲ部35が形成
される。
【0028】図5に示したように、加工前のブロック1
1′には、仮に第一面21と第二面31とを垂直に切削
加工しようとしても、これらの間には切削用カッターの
直径に基づくRが存在する。そこで、ニゲ部を形成する
ことなく第一面21、第二面31にプリズムを当接しよ
うとすると、プリズムのシャープエッジがR部で干渉し
て位置決め精度がでない。そこで本発明では、第一基準
面23,25と第二基準面33とが直接交差することに
より不可避的にRが生じることを防止し、両基準面23
(または25)と33とが直接交差しないようにニゲ部3
5を形成する。
【0029】図5(d)に示したように切削用カッター
を移動せしめ、まず、第一面21を切削する。このと
き、切削用カッターを、形成すべき第二基準面33の高
さよりも低い位置まで進入させて第一面21を切削加工
し、図6に示すように左側第一基準面25およびニゲ部
35を形成する。また、この切削は左側第一基準面25
の端部25aを超える位置まで行なう。曲率半径がr
(図6(a)参照)を超えない範囲で直径の大きな切削
用カッターを使用できる。
【0030】ついで、切削用カッターを図5(d)で示
すように水平に移動したのち、切削して右側第一基準面
23を形成する。このときも、形成すべき第二基準面3
3の高さよりも低い位置まで切削用カッターを進入せし
めて突起23′を切削し、右側第一基準面23およびニ
ゲ部35を形成する。この切削は、少なくとも、右側第
一基準面23の端部23aを含む範囲で行なう。前記と
同様に、曲率半径がrを超えない範囲で十分に大きな直
径のカッターを使用することができる。
【0031】ついで、図2(d)に示すように切削用カ
ッターを移動し、第二面31を切削して第二基準面33
を形成するとともに、第一基準面21を一部切削して凹
入部27を形成し、この凹入部27がニゲ部として機能
する。第一基準面23,25が形成されている平面の前
方には空間があり、また、第二基準面33が形成されて
いる平面の前方にも空間があるので、ニゲ部が確実に形
成される。
【0032】さらに、第二基準面33が凹入部27の前
方に形成される範囲において、かつ、曲率半径r(図6
(a)参照)を超えない範囲で大きな直径のカッターを
使用でき、図4〜6ではプリズム41の一辺の60%程
度の長さの直径を有するカッターを使用できる。
【0033】なお、図5(c)に示した粗加工のブロッ
ク11′においては、予め、凹入部27あるいはニゲ部
35の一部を凹部として形成しておいてもよい(図2
(c)参照)。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、プリズム等の光学部品
の位置決め構造において、プリズム等との広い接触面積
を確保しニゲ部を形成して、プリズム等のシャープエッ
ジを完全に避ける形状に加工できる。
【0035】しかも、この加工に直径の大きなカッター
を使用できるので、加工速度、加工精度ともに向上し、
生産性が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位置決め保持体の実施例を示す斜視図
である。
【図2】本発明の位置決め保持体の加工前の状態を示
し、(a)が平面図、(b)が断面図、(c)が斜視
図、(d)が切削用カッターのカッターパスを示す。
【図3】図2の加工後の状態(位置決め保持体)を示
し、(a)が平面図、(b)が断面図、(c)が斜視図
である。
【図4】本発明の位置決め保持体の他の実施例を示す斜
視図である。
【図5】本発明の位置決め保持体の他の実施例の加工前
の状態を示し、(a)が平面図、(b)が断面図、
(c)が斜視図、(d)が切削用カッターのカッターパ
スを示す。
【図6】図5の加工後の状態(位置決め保持体)を示
し、(a)が平面図、(b)が断面図、(c)が斜視図
である。
【図7】従来の位置決め保持体およびその加工方法を示
す説明断面図である。
【図8】従来の位置決め保持体およびその加工方法を示
す説明断面図である。
【図9】従来の位置決め保持体およびその加工方法を示
す説明断面図である。
【符号の説明】
11 位置決め保持体 21 第一面 23 右側第一基準面 25 左側第一基準面 27 凹入部 31 第二面 33 第二基準面 35 ニゲ部 41 プリズム 41a シャープエッジ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに直交する第一および第二基準面に
    光学部品を当接させて、光学部品を位置決めして保持す
    る位置決め保持体であって、 一体的に形成された第一面および第二面を有し、 第一面には、離間して右側第一基準面および左側第一基
    準面が、これら両基準面間に凹入部を形成して、第一面
    から一体的に突設され、 該凹入部の前方で、第二面から一体的に突出して第二基
    準面が形成され、 右側第一基準面および左側第一基準面と第二基準面とが
    直接交差せず、これらの間に光学部品のシャープエッジ
    を位置せしめるニゲ部が設けられていることを特徴とす
    る光学部品の位置決め保持体。
  2. 【請求項2】 互いに直交する第一および第二基準面に
    光学部品を当接させて、光学部品を位置決めして保持す
    る位置決め保持体であって、 一体的に形成された第一面および第二面を有し、 第一面には、離間して右側第一基準面および左側第一基
    準面が、これら両基準面間に凹入部を形成して、第一面
    から一体的に突設され、 該凹入部の前方で、第二面から一体的に突出して第二基
    準面が形成され、 右側第一基準面および左側第一基準面と第二基準面とが
    直接交差せず、これらの間に光学部品のシャープエッジ
    を位置せしめるニゲ部が設けられている光学部品の位置
    決め保持体を製造するに際し、 形成すべき右側または左側のいずれか一方の第一基準面
    と形成すべき第二基準面との間に切削用カッターを移動
    せしめ、第二基準面の突出高さよりも低い位置まで切削
    用カッターを進入させて、切削用カッターにより一方の
    第一基準面およびニゲ部を切削、形成し、 ついで、形成すべき他方の第一基準面と形成すべき第二
    基準面との間に切削用カッターを移動せしめ、第二基準
    面の突出高さよりも低い位置まで切削用カッターを進入
    させて、切削用カッターにより他方の第一基準面および
    ニゲ部を切削、形成し、 ついで、右側および左側の第一基準面に触れることな
    く、切削用カッターにより第二基準面を切削、形成する
    ことを特徴とする光学部品の位置決め保持体の製造方
    法。
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