JP2981996B2 - 磁気ヘッドの加工方法 - Google Patents

磁気ヘッドの加工方法

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JP2981996B2 JP10014693A JP1469398A JP2981996B2 JP 2981996 B2 JP2981996 B2 JP 2981996B2 JP 10014693 A JP10014693 A JP 10014693A JP 1469398 A JP1469398 A JP 1469398A JP 2981996 B2 JP2981996 B2 JP 2981996B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁変換素子が薄
膜で形成される磁気ヘッドの電磁変換素子の高さを精密
に加工する方法及びこれにより製造した磁気ヘッドに関
する。
【0002】
【従来の技術】電磁変換素子が薄膜で形成される磁気ヘ
ッド、例えばインダクティブ型薄膜ヘッドやMRヘッド
では、前者ではスロートハイト(Throat Height)、後
者ではMR素子高さと呼ばれる電磁変換素子の高さ寸法
を、一定限度の許容公差内に維持することが特性上重要
である。通常それらの寸法出しは磁気ヘッドスライダー
の浮上面(Air Bearing Surface、以下ABS面と称
す)をラップ加工することで行われるが、高い加工精度
が要求される。前記磁気ヘッドは、スライダーとなるセ
ラミック基板上に、電磁変換素子を磁性材や絶縁材の薄
膜を積層することで形成しており、1枚の円盤状の基板
から多数の磁気ヘッドを製造することができる。前述し
た電磁変換素子高さ寸法出しのための加工においては、
生産性を上げるため、前記基板から電磁変換素子が列状
に並んだ状態に切出したローバーと称する細長い基板に
ラップ加工を行なうのが一般的である。しかし、円盤状
の基板からローバーを切り出す時に発生する加工歪み
や、ローバーを治具へ接着する時の加圧むらなどによ
り、ローバーに曲がりが生じ、これによりラップ加工後
の電磁変換素子高さ寸法がばらつく、という問題が生じ
る。
【0003】この問題を解決するための従来技術とし
て、特公平7−112672に開示されている研磨制御
装置がある(以下公知例と称す)。これはMRヘッドを
製造するに際し、基板上に電磁変換素子であるMR素子
を成膜すると同時に、研磨ガイドとなるELG(Electr
ical Lapping Guide)と呼ばれる抵抗体をMR素子に
対して一定位置に形成しておき、ローバーのABS面の
ラップを行いながらELGの抵抗値あるいはMR素子自
体の抵抗値を測定し、その結果に基づいた荷重の制御に
よりローバーを保持している治具を変形させ、ローバー
の曲がりを矯正しながら所定のMR素子高さまで加工を
行う装置である。以下、公知例の原理を図7、8により
説明する。なお用語は公知例で用いられたものそのまま
でなく、本発明の説明に使用した用語に言い直してい
る。図7はラップ装置の全体構成略図である。ローバー
15は治具51に接着されており、定盤17上でABS
面18がラップされる。この公知例では加工量の制御に
ローバー15の両端に形成されたELG52、53の抵
抗値と、MR素子54の抵抗値を用いている。ABS面
18がラップされるとELG52、53とMR素子54
の高さが小さくなるため、それらの抵抗値が徐々に高く
なる。すなわちELG52、53とMR素子54の抵抗
値はMR素子高さを表す。そこで制御装置55はラップ
加工中にディジタルオームメータ56でELG52、5
3と複数個のMR素子54の抵抗値を測定し、得られた
抵抗値からローバーの曲がり状態を求め、これに基づい
てアクチュエータ57、58、59が治具51にかける
荷重を制御する。
【0004】図8は公知例における治具51の形状であ
る。持具51にはH型スロット61が設けられており、
これにより両端支持の梁材62が形成されている。ロー
バー15は梁材62の下面63に接着されている。さら
にH型スロット61の形状寸法F、G、H、Iは、アク
チュエータ58が押し棒64を介して梁材62の中央部
を押したとき、梁材62のたわみ曲線が2次多項式とな
るように設計されている。アクチュエータ57、58、
59が梁材62にかける荷重はELG52、53とMR
素子54の抵抗値から求められたローバー15の平衡度
と湾曲度に基づいて制御される。アクチュエータ57、
58、59の荷重をそれぞれPL、PC、PRとする
と、平衡度に関してローバー15の図面に向かって右側
の加工量が足りない場合にはPL<PR、左側の加工量
が足りない場合にはPL>PRとなるように制御され
る。また湾曲度に関してローバー15の中央部の加工量
が足りない場合にはPC>PL、PR、両端の加工量が
足りない場合にはPC<PL、PRとなるように制御さ
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記公知例では、梁材
62のたわみ曲線が2次多項式で近似できるようにH型
スロット形状を設計しておき、ローバー15の平衡度と
湾曲度に基づいて治具51に加える荷重を制御してい
る。しかし治具51へローバー15を接着した後、或い
はローバー15をラップ加工している最中のローバーの
曲がり形状は、図9に示すように必ずしも2次多項式で
表すのが最適ではない。図9(a)及び(b)は、治具
へローバーを接着した後のローバーの曲がりを、両端の
電磁変換素子(以下素子と略す)を基準に各素子の位置
を顕微鏡で測定した結果をプロットして表し、これを2
次近似曲線化したものと4次近似曲線化したものを示し
たものである。明らかに2次近似曲線の方はずれが大き
く、これを基にした荷重制御によって変形させた梁材6
2の形状と実際のローバー15の形状の差が、加工後の
素子高さばらつきを生ずることがわかる。今後さらに厳
しくなる素子高さの許容公差に対して加工合格率を向上
させるには、ローバーの実際の形状にできるだけ忠実な
変形の制御が必要となる。本発明は、素子高さを直接的
又は間接的に測定できる機能を有するラップ装置を用い
て、ローバーの変形を実際の形状に近い次数の多項式で
近似し、変形を矯正するように荷重を与えて加工する磁
気ヘッドの加工方法及びこれにより製造される素子高さ
ばらつきの少ない磁気ヘッドを提供することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の磁気ヘ
ッドの電磁変換素子(以下素子と略す)が並んでいるロ
ーバーを治具の梁材に取付け、各素子を所望の高さにす
るようにローバーを加工する磁気ヘッドの加工方法にお
いて、前記梁材に作用させる荷重に対しその変形を4次
多項式で表し、荷重と前記4次多項式中の係数の関係を
行列式で求め、これから梁材の曲がり形状を示す係数に
対する部分行列の逆行列を求めておき、加工中に計測算
出された複数の素子高さをもとにローバーの変形を所定
の次数の多項式で表し、曲がり形状を示す係数を前記逆
行列と掛けることで曲がりを矯正する荷重を算出し、そ
の荷重を梁材に作用させてローバーを加工することを特
徴とする磁気ヘッドの加工方法である。なお、治具は2
点で中間支持され両端部と中央部に荷重作用点を有する
梁材を有する構造のものとすれば、梁材変形は最大4次
多項式で表すことができ、従ってこれに取付けたローバ
ーは4次以下の次数の数式で表すことができる。また、
ここでいう所定の次数の多項式とは、4次の多項式を言
う場合や、当初は2次の多項式で途中から4次の多項式
と切替えるような場合の都度の多項式を言う。2次多項
式を用いる場合の曲がり矯正荷重は、前記逆行列に掛け
る曲がり形状を示す係数のうち2次以外の係数は0とし
て求める。
【0007】前記の2次多項式と4次多項式を組合わせ
た加工においては、ローバーに設けられた素子の中、少
なくとも両端部と中央部にある素子が加工開始されたと
判定されるまでは、ローバーの曲がり形状を2次多項式
で表して曲がり矯正荷重を求め、その荷重を梁材に作用
させてローバーを加工し、前記素子が加工開始されたと
判定された後は、ローバーの曲がり形状を4次多項式で
表して曲がり矯正荷重を求め、その荷重を梁材に作用さ
せてローバーを加工するとよい。なお、前記ローバーの
変形を最終の4次多項式で表すためのタイミングは、ロ
ーバーに形成された全ての素子が加工開始されたと判定
された時とすることもできる。
【0008】また本発明は、複数の磁気ヘッドの電磁変
換素子(以下素子と略す)が並んでいるローバーを治具
の梁材に取付け、各素子を所望の高さにするようにロー
バーを加工する磁気ヘッドの加工方法において、前記梁
材に作用させる荷重に対しその変形を4次多項式で表
し、荷重と前記4次多項式中の係数の関係を行列式で求
め、これから梁材の曲がり形状を示す前記係数に対する
部分行列の逆行列を求めておき、加工中に計測算出され
た複数の素子高さをもとにローバーの変形を所定の次数
の多項式で表し、曲がり形状を示す係数を前記逆行列と
掛けることで曲がりを矯正する荷重を算出するととも
に、傾きを示す係数をもとに傾きを矯正する荷重を算出
して、その荷重を治具に作用させて加工する磁気ヘッド
の加工方法である。
【0009】前記の所定の次数の多項式は2次多項式で
あり、ローバーに設けられた素子の中、少なくとも両端
部と中央部にある素子が加工開始されたと判定されるま
では、ローバーの曲がり形状を2次多項式で表して曲が
り矯正荷重と傾き矯正荷重を求め、その荷重を治具に作
用させてローバーを加工し、前記素子が加工開始された
と判定された後は、ローバーの曲がり形状を4次多項式
で表して曲がり矯正荷重と傾き矯正荷重を求め、その荷
重を治具に作用させてローバーを加工するとよい。な
お、前記ローバーの変形を最終の4次多項式で表すため
のタイミングは、ローバーに形成された全ての素子が加
工開始されたと判定された時とすることもできる。
【0010】従って、前述した加工方法を用いて得られ
磁気ヘッドは、複数の磁気ヘッドの電磁変換素子(以
下素子と略す)が並んでいるローバーを治具の梁材に取
付け、各素子を所望の高さにするようにローバーを加工
した後分割して成した磁気ヘッドであって、前記梁材に
取付けられたローバーの変形を4次多項式、又は2次多
項式から4次多項式へと切換えて表し、これらの数式で
示される変形を矯正するようなラップ荷重を作用させて
ローバーをラップ加工した後分割したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図1に示すような治具10
を使用した場合を例にして説明する。治具10は、梁材
12が基材11と左右両側の切り欠き13と中央部の長
方形のスロット14を隔てて2点で中間支持された構造
である。梁材12にローバー15が接着され、ローバー
15の浮上面18が定盤17によってラップ加工され
る。ここで、梁材12は、厚さ寸法Aと、切り欠き13
及び長方形スロット14による寸法B、C、D、Eをも
とに、梁材12の両端部及び中央部の3ヶ所に、荷重L
B、CB、RBをかけたときの変形形状が4次多項式で
近似できるように設計されている。治具10には5ヶ所
に荷重をかけることができる。LB、CB、RBは前記
梁材12にかかる荷重であり、ローバー15の曲がり形
状の矯正を行う。またLT、RTは基材11に作用し、
ローバー15全体に対してラップ加工のための荷重を与
えるものであり、また左右の荷重ローバーランスを変え
ることでローバー15の傾きを矯正することができる。
ローバー15には、素子成膜時に各素子に隣接して前述
したと同様なELG16が形成されている。ELG16
は素子に対して一定位置に形成されているため、その抵
抗値を測定することで素子高さを求めることができる。
なお、磁気ヘッドがMRヘッドの場合には、ELG16
を設けず、MR素子自体の抵抗値を測定し、これより素
子高さを求めるようにしてもよい。
【0012】図2は本発明を用いたラップ装置の荷重制
御に関する構成図である。定盤17でローバー15のラ
ップ加工を行いながら、制御装置22はマルチチャンネ
ルのディジタルオームメータ21によってELG16の
抵抗値Riを測定する。ここでiは1列に並んだELG
のうちi番目のELGに関するものを意味する添字であ
る。つぎに制御装置は各Riに対応した素子の素子高さ
iを順次算出して、素子高さを連ねた線を4次多項式
h=ax4+bx3+cx2+dx+eで近似する。ここ
でx軸は梁材12にローバー15が接着されている部分
の長手方向の座標である。ローバー15の中の素子高さ
を揃えるためには、この4次多項式の曲がり形状が直線
に矯正される方向に荷重LB、CB、RBをかけて梁材
12を変形させることが重要である。
【0013】前記算出した4次多項式h=ax4+bx3
+cx2+dx+eを例に、図3と図4をもとに、曲が
り形状を直線形状に矯正するような荷重LB、CB、R
Bを求める方法を説明する。図3は梁材12を4次多項
式の形状で曲げるための荷重を算出する方法を示す図で
ある。まず予め、梁材12に荷重F1、F2、F3をか
けたときの梁材12の変形量yを構造解析の変形シミュ
レーションで求め、その変形を4次多項式y=ax4
bx3+cx2+dx+eで近似して荷重F1、F2、F
3と各次数の係数a、b、c、dの関係を表す行列Kを
求める。ここで、梁材12の曲がり形状を表しているの
は4次、3次、2次の係数であるから、各係数a、b、
cを決定する部分行列の逆行列K’を計算しておく。こ
こで梁材12の変形量を求める手段として、変形シミュ
レーションを使用する代わりに、実物の治具10に既知
の荷重F1、F2、F3をかけて、その時の変形量を電
気マイクロ等で実測する方法も使用可能である。これに
より、ラップ加工中に算出される素子高さの4次近似式
h=ax4+bx3+cx2+dx+eの中の曲がり形状
を表す係数a、b、cに、前記のK’を掛けることで、
梁材12をその形状で変形させるための荷重F1、F
2、F3を求めることができる。
【0014】図4は図3に示した荷重の算出方法を実際
のラップ荷重制御に適用する場合の荷重制御例のブロッ
ク図である。ラップ加工中のローバー15の曲がり形状
の矯正については、全ての素子高さが等しくなる荷重方
向、すなわち素子高さの4次近似式の4次、3次、2次
の係数a、b、cがすべて0になる荷重方向に係数a、
b、cに基づく矯正荷重LB、CB、RBを積分制御す
る。係数a、b、cに上記の逆行列K’を掛けて求めた
荷重F1、F2、F3に適当な定数GBをかけて求めた
矯正荷重LB、CB、RBを徐々に調整していき、4
次、3次、2次の係数a、b、cがすべて0になったと
きには、そのときの荷重LB、CB、RBを保持する。
【0015】ところで、前述したように、加工開始段階
のローバー形状は2次近似式よりも4次近似式で表すこ
とが適切であるが、素子高さをもとに求める前記4次近
似式h=ax4+bx3+cx2+dx+eでは、ローバ
ー15の正確な曲がり形状を表していない場合があり、
適切な曲がり矯正荷重が算出できないことがある。これ
は、ローバー15に形成されたELG16は、加工前の
ローバー15の曲がり形状のために全てが同時に加工開
始されることがないためである。以下、図5及び6を参
照しながら、この問題とその解決策について説明する。
【0016】図5は、加工前のローバー15が定盤17
に対して凸の場合を示したものである。図5(a)に示
すように、ローバー15の中央付近から定盤17に当た
り始めるため、加工初期段階ではローバー15の中央付
近のELG16から加工が始まる。このときの素子高さ
状況をプロットしたものと、これを4次多項式h=ax
4+bx3+cx2+dx+eで近似化した曲線を図5
(b)に示す。まだ定盤17と当たっていないローバー
15の両端部では、素子高さは初期の高さH0のままで
あるのに対し、ローバー15の中央付近では初期高さH
0より小さくなっている。ここでx軸はローバー15の
長手方向位置を表し、ローバー15の中央が原点0であ
る。このような状態の素子高さを4次多項式h=ax4
+bx3+cx2+dx+eで近似すると、その係数の符
号は、4次係数a<0であり、2次係数c>0となる。
2次係数c>0は実際のローバー15の曲がり形状と同
じく定盤17に対して凸であることを表しているが、4
次係数a<0は実際のローバー15の曲がり形状とは反
対に定盤17に対して凹であることを表している。従っ
てこの4次係数aから算出される荷重成分は実際のロー
バー15の曲がりを矯正する方向とは逆向きに作用する
ものであり、その結果、前述したように係数a、b、c
をもとに求められる矯正荷重は、ローバー15の曲がり
矯正を行うためには最適なものではなく、時には曲がり
修正に時間がかかり、不十分なままで加工が完了して素
子高さをそろえることができないという状況が発生す
る。
【0017】この不具合を改善するため、加工初期段階
では図5(c)に示すように、素子高さ状況を、ローバ
ー15の曲がり方向を正しく示す係数を有する数式であ
る2次多項式h=cx2+dx+e化して近似する。即
ち、ローバー15の曲がり形状を2次多項式h=cx2
+dx+eで近似すると、2次係数の符号はc>0とな
り、実際のローバー15の曲がり形状と同じく定盤17
に対して凸であることを表す。曲げ矯正荷重は、図3及
び図4における数式において、係数a及び係数bはa=
b=0とし、係数cは前記2次多項式における2次係数
を用いて求める。これより、ローバー15の中央付近の
加工が開始された段階からローバー15の曲がりに対し
て適切な方向へ曲がり矯正が可能となる。このようにし
て、加工初期段階ではローバー15を2次多項式h=c
2+dx+eで近似して、速やかにロー両端部のEL
G16を加工できるような矯正荷重を与え、その後ロー
両端部の所定のELG16の加工が始まった時点から4
次多項式h=ax4+bx3+cx2+dx+eで近似
し、精密な曲がり矯正制御を行なう。
【0018】図6は、加工前のローバー15が定盤17
に対して凹の場合を示したものである。図6(a)に示
すように、ローバー15の両端から定盤17に当たり始
めるため、加工初期段階ではロー両端のELG16から
加工が始まる。このときの素子高さをプロットして4次
多項式h=ax4+bx3+cx2+dx+eで近似する
と図6(b)に示すようになる。まだ定盤17と当たっ
ていないローバー15の中央付近では、素子高さは初期
の高さH0のままであるのに対し、ローバー15の両端
部では初期高さH0より小さくなっている。この状態の
素子高さを4次多項式h=ax4+bx3+cx2+dx
+eで近似すると、その係数の符号は、4次係数a<0
であり2次係数c>0となる。4次係数a<0は実際の
ローバー15の曲がり形状と同じく定盤17に対して凹
であることを表しているが、2次係数c>0は、実際の
ローバー15の形状とは反対に定盤17に対して凸であ
ることを表している。従って上述したと同様に、この2
次係数cから算出される荷重成分は実際のローバー15
の曲がりを矯正する方向とは逆向きに作用することにな
り、前記と同様の問題が生ずる。
【0019】そこで、前記したと同様にこの不具合を改
善するため、加工初期段階で上述したような素子高さ状
態を呈するものに対しては、図6(c)に示すようにロ
ーバー15の曲がり形状を2次多項式h=cx2+dx
+eで近似して前述したと同様にして荷重の制御を行
う。ローバー15の曲がり形状を2次多項式h=cx2
+dx+eで近似すると、2次係数の符号はc<0とな
り実際のローバー15の曲がり形状と同じく定盤17に
対して凹であることを表す。これより、ローバー15の
中央付近の加工が開始された段階からローバー15の曲
がりに対して適切な方向へ曲がり矯正が可能となる。そ
の後ロー中央付近の所定のELG16の加工が始まった
時点から4次多項式h=ax4+bx3+cx2+dx+
eでの近似へと切り替えればよい。このようにして、加
工初期段階ではローバー15を2次多項式h=cx2
dx+eで近似して、速やかにロー中央部のELG16
を加工できるような矯正荷重を与え、その後ロー中央部
の所定のELG16の加工が始まった時点から4次多項
式h=ax4+bx3+cx2+dx+eで近似し、精密
な曲がり矯正制御を行なう。
【0020】本発明では、加工初期段階においてローバ
ー15の中央部及び両端部にある素子が加工開始された
と判定されるまで、即ち中央部及び両端部にある予め設
定したELG又はMR素子の加工が開始されるまでは、
ローバー15の曲がり形状をその係数の符号がローバー
15の大きな曲がり方向と一致する2次近似式h=cx
2+dx+eで表して曲がり矯正荷重LB、CB、RB
を求め、速やかに前記ELG又はMR素子が加工開始さ
れるようにし、前記ローバー15の中央部及び両端部に
ある素子が加工開始されたと判定された後、ローバー1
5の形状を4次近似式h=ax4+bx3+cx2+dx
+eで表し、4次多項式の全ての曲がり形状を示す係数
を使って曲がり矯正荷重LB、CB、RBを求め、精度
良く加工するのである。なお、前記4次近似式への切り
替えを、ローバー15の中央部及び両端部にある素子が
加工開始されたと判定した時に行なう代わりに、ローバ
ー上の全ての素子が加工開始されたと判定した時に行な
うようにしてもよい。この場合、複雑な曲がり形状のロ
ーバーに対しては、より信頼性高く適応できる。
【0021】以上、ローバー15の曲がり形状の矯正方
法について説明したが、ラップ加工のための荷重に、ロ
ーバー15の傾きを考慮した荷重を補正することによ
り、より効率的に、かつ精度よくローバー15の中の素
子高さを揃えることができる。即ち、ローバーの曲がり
形状が直線に矯正される方向に荷重LB、CB、RBを
かけて梁材12を変形させるとともに、ローバーの傾き
が0になるようにラップ加工のための荷重LT、RTを
制御する。荷重LT、RTは、図4に示すように、ラッ
プ荷重FLにローバー15の傾き矯正荷重FTを補正して
求める。ここで、FLはローバー15の加工に適した所
定の荷重を用いるが、FTは素子高さの4次近似式h=
ax4+bx3+cx2+dx+eの3次と1次の係数
b、dによる比例制御により求める。即ち、3次の項h
=bx3が示す曲線を最小自乗法で直線近似し、1次の
係数b’を求め、このb’と1次項の係数dとの和に適
当な比例定数GTをかけてFTを算出する。なお、前述し
た加工初期段階において、2次近似式を用いる場合は、
1次の係数dのみを用いて上記FTを算出する。ただ
し、この時でも4次近似式を用いる場合と同様に、4次
近似式を算出して係数bとdを用いて算出することもで
きる。
【0022】以上、最終加工時におけるローバーの変形
を4次近似で表したもので説明したが、3次でも近似す
ることができることは言うまでもない。また、表すこと
のできる最大次数は治具の構造、即ち梁材の支持状態及
び梁材を変形させるための荷重点位置から決定されるも
のであり、治具の梁材を例えば3点で支持し、荷重点を
4点とすると、6次多項式で表すことができる。ローバ
ーの変形近似次数は、対象のローバーの必要加工精度又
は長さや厚さ等の性状に応じてを設定し、これにあわせ
て治具形状や荷重点を決定し、本発明の思想をもとに合
理的な曲がり矯正荷重を求めるとよい。一般に、次数を
上げるほど細かい変形状態まで表すことができるので、
加工精度がより要求されるものや、長いローバーに対し
ては有効である。
【0023】以上、本発明の磁気ヘッドの加工方法を説
明したが、従来技術で加工して製造した磁気ヘッドと、
本発明で加工して製造した磁気ヘッドの素子高さのばら
つきを調べた結果を図10に示す。どちらも、治具は2
点で中間支持され、両端部と中央部に荷重作用点を有す
る梁材を備えた同一構造のものを用い、この梁材にロー
バーを取付けた。従来技術の加工方法としてローバーの
曲がりを2次多項式だけで表して荷重制御したのに対
し、本発明の加工方法としては、ローバーに設けられた
素子の中、少なくとも両端部と中央部にある素子が加工
開始されたと判定されるまでは、ローバーの曲がり形状
を2次多項式で表し、前記素子が加工開始されたと判定
された後は、ローバーの曲がり形状を4次多項式で表し
て曲がり矯正荷重を求めた。従来方法による素子高さば
らつきが標準偏差(σ)で0.16μmであるのに対
し、本発明によるものは0.07μmと小さいことがわ
かる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明は次の効果を
有している。 1)素子高さの連なりを実際のローバーの曲がり形状に
近い4次多項式で表し、これを矯正するような荷重をか
けて加工するので、素子高さばらつきを小さく加工する
ことができる。 2)初期加工段階にはローバーの未加工部を速やかにな
くすように矯正荷重を与えて加工し、素子高さの連なり
が実際のローバーの曲がり形状を示すようになってから
4次多項式化することにより、効率よくかつ精度良く素
子を加工できる。 3)実際のローバーの形状に近似した4次多項式の中、
傾きを示す3次と1次の係数をもとに傾きを矯正荷重を
求めて曲げ矯正荷重に付与することにより、素子高さば
らつきを小さくすることができる。 4)素子高さばらつきが、標準偏差で0.1μm以下で
ある磁気ヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための治具にローバーが接着
された状態を表す図
【図2】本発明を説明するためのラップ装置の荷重制御
に関する構成図
【図3】本発明を説明するための4次多項式から矯正荷
重を求める方法を示す図
【図4】本発明を説明するための荷重制御を示すブロッ
ク図
【図5】加工前のローバーの曲がりが定盤に対して凸の
場合の素子高さを示す図
【図6】加工前のローバーの曲がりが定盤に対して凹の
場合の素子高さを示す図
【図7】従来例のローバーの曲がりを修正する機能を有
するラップ装置の概念図
【図8】上記従来例で使用されるローバーの保治具の形
状図
【図9】加工前のローバーの曲がりを2次曲線と4次曲
線で表して比較した図
【図10】従来技術と本発明技術で製造した磁気ヘッド
の素子高さのばらつきを示す図
【符号の説明】
10 治具 11 基材 12 梁材 13 切り欠き 14 スロット 15 ローバー 16 ELG 17 定盤 18 ABS面 51 従来技術の治具

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の磁気ヘッドの電磁変換素子(以下
    素子と略す)が並んでいるローバーを治具の梁材に取付
    け、各素子を所望の高さにするようにローバーを加工す
    る磁気ヘッドの加工方法において、 前記梁材に作用させる荷重に対しその変形を4次多項式
    で表し、荷重と前記4次多項式中の係数の関係を行列式
    で求め、これから梁材の曲がり形状を示す前記係数に対
    する部分行列の逆行列を求めておき、加工中に計測算出
    された複数の素子高さをもとにローバーの変形を所定の
    次数の多項式で表し、曲がり形状を示す係数を前記逆行
    列と掛けることで曲がりを矯正する荷重を算出し、その
    荷重を梁材に作用させてローバーを加工することを特徴
    とする磁気ヘッドの加工方法。
  2. 【請求項2】 前記所定の次数の多項式は2次多項式で
    あり、ローバーに設けられた素子の中、少なくとも両端
    部と中央部にある素子が加工開始されたと判定されるま
    では、ローバーの曲がり形状を前記2次多項式で表して
    曲がり矯正荷重を求め、その荷重を梁材に作用させてロ
    ーバーを加工し、前記素子が加工開始されたと判定され
    た後は、ローバーの曲がり形状を4次多項式で表して曲
    がり矯正荷重を求め、その荷重を梁材に作用させてロー
    バーを加工することを特徴とする請求項1に記載の磁気
    ヘッドの加工方法。
  3. 【請求項3】 複数の磁気ヘッドの電磁変換素子(以下
    素子と略す)が並んでいるローバーを治具の梁材に取付
    け、各素子を所望の高さにするようにローバーを加工す
    る磁気ヘッドの加工方法において、 前記梁材に作用させる荷重に対しその変形を4次多項式
    で表し、荷重と前記4次多項式中の係数の関係を行列式
    で求め、これから梁材の曲がり形状を示す前記係数に対
    する部分行列の逆行列を求めておき、加工中に計測算出
    された複数の素子高さをもとにローバーの変形を所定の
    次数の多項式で表し、曲がり形状を示す係数を前記逆行
    列と掛けることで曲がりを矯正する荷重を算出するとと
    もに、傾きを示す係数をもとに傾きを矯正する荷重を算
    出して、その荷重を治具に作用させて加工することを特
    徴とする磁気ヘッドの加工方法。
  4. 【請求項4】 前記所定の次数の多項式は2次多項式で
    あり、ローバーに設けられた素子の中、少なくとも両端
    部と中央部にある素子が加工開始されたと判定されるま
    では、ローバーの曲がり形状を2次多項式で表して曲が
    り矯正荷重と傾き矯正荷重を求め、その荷重を治具に作
    用させてローバーを加工し、前記素子が加工開始された
    と判定された後は、ローバーの曲がり形状を4次多項式
    で表して曲がり矯正荷重と傾き矯正荷重を求め、その荷
    重を治具に作用させてローバーを加工することを特徴と
    する請求項3に記載の磁気ヘッドの加工方法。
  5. 【請求項5】 ローバーは、2点で中間支持され、両端
    部と中央部に荷重作用点を有する梁材に取り付けられ、
    その変形が最大4次多項式で表すことができる請求項1
    乃至4のいずれかに記載の磁気ヘッドの加工方法。
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