JP2001067629A - 薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドの製造方法

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JP2001067629A
JP2001067629A JP23784399A JP23784399A JP2001067629A JP 2001067629 A JP2001067629 A JP 2001067629A JP 23784399 A JP23784399 A JP 23784399A JP 23784399 A JP23784399 A JP 23784399A JP 2001067629 A JP2001067629 A JP 2001067629A
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英雄 山倉
Chihiro Isono
千博 磯野
Koji Tanaka
幸治 田中
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】MRヘッドの出力特性向上には、MR素子高さ
の高精度加工が必須である。MR素子高さの制御研磨加
工では、前工程でのMR素子とうねり成分(3次曲線以
上の高次曲線成分)は補正できず、前工程においてMR
素子並びにうねり量が大の際は、それを補正できず、M
R素子の加工精度が劣化する。 【解決手段】MR素子高さの制御研磨加工工程における
ロウバーを長手方向に分割し、各エリアで個別にMR素
子高さ寸法の分布を2次曲線で近似し、各2次曲線が直
線に近づくべく各エリアに加える荷重を制御する操作
と、エリア間の接合部とロウバー両端部のMR素子高さ
寸法が直線に並ぶように各エリア接合部に加える荷重を
制御する操作と、ロウバー全体のMR素子高さ寸法を直
線で近似し、その傾きが最小にすべくロウバーの左右に
加える荷重を制御する操作を行って、MR素子高さの制
御研磨加工工程で、MR素子高さを高精度に加工でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に誘導型磁
気変換素子及び磁気抵抗効果素子を積層した薄膜磁気ヘ
ッドに係わり、特に、磁気抵抗効果素子の素子高さを高
精度に制御するための薄膜磁気ヘッドの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気ディスク装置においては、小
型・大容量化が進んでおり、現在3.5インチと2.5
インチサイズのディスクを用いた小型磁気ディスク装置
が主流になっている。このような小型ディスク装置で
は、ディスクの速度が低いため、再生出力がディスク速
度に依存する磁気誘導型ヘッドでは、再生出力が低下
し、問題になる。これに対し、磁界の変化によって抵抗
値が変化する磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と呼
ぶ)を用いた磁気抵抗効果型ヘッド(以下、MRヘッド
と呼ぶ)では、再生出力がディスク速度に依存しないた
め、小型磁気ディスク装置においても高い再生出力を得
ることができる。また、MRヘッドでは、高密度化に伴
う狭トラック化に対しても磁気誘導型磁気ヘッドと比べ
て高い再生出力を得られることから、小型化・大容量化
に適した磁気ヘッドであると考えられている。
【0003】一方、MRヘッドでは、磁界の変化に起因
するMR素子の抵抗値変化を検出するため、磁気ヘッド
スライダのディスクに対向する面(以下、浮上面と呼
ぶ)にMR素子を露出させて使用する構造が最も再生効
率が高い。このような浮上面にMR素子が露出するMR
ヘッドでは、浮上面加工時にMR素子の一部を加工(研
磨加工)して、浮上面に露出させる。そして、MR素子
の浮上面と直角方向の寸法をMR素子高さと呼び、この
MR素子高さは研磨加工における加工量を制御すること
で決められている。MRヘッドでは、このMR素子高さ
によって、再生出力が変化するため、MR素子高さがば
らつくと、再生出力が変動するという問題が生じる。し
たがって、MRヘッドの再生出力変動を抑制するために
は、MR素子高さを研磨加工工程において精度良く加工
することが必要となる。
【0004】このMR素子高さは、その寸法を小さくす
ることで感度が高くなることから、年々寸法が小さくな
っており、以前は1〜2μm程度であったのに対し、現
在は0.5〜1.0μmになっており、将来的には0.
5μm以下になると考えられる。これにともない、MR
素子高さの加工精度の要求値も年々高精度化する傾向に
あり、今後±0.10μm以下が要求されると考えられ
る。
【0005】MR素子高さの制御研磨方法としては、特
開昭63−191570号公報に記載されているよう
に、素子の形成工程においてMR素子とは別に形成して
ある測定用のパターン(抵抗検知素子)の抵抗値を測定
し、測定した抵抗値をMR素子高さに換算することで研
磨加工中のMR素子高さをモニタリングし、このMR素
子高さがターゲットの寸法になるように傾き成分と2次
曲がり成分とうねり成分を制御する方法が一般的であ
る。具体的には、ロウバー内に形成した数十ホ゜イントの抵
抗検知素子の抵抗値から換算したMR素子高さを2次曲
線もしくは4次曲線で近似し、この近似曲線の傾き成
分、2次曲がり成分、うねり成分が小さくなるように研
磨加工中にロウバーに加える荷重を制御することで、ロ
ウバー内のMR素子高さを制御している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記説明した現状のM
R素子高さの制御研磨加工では、MR素子高さの2次近
似曲線もしくは4次近似曲線に対し、1ホ゜イントから3ホ゜イ
ントの制御点で補正するため、傾き成分と2次曲がり成分
については補正することができるが、うねり成分(3次
曲線以上の高次曲線成分)については補正することが困
難である。
【0007】よって、現状のMR素子高さの制御研磨加
工では、前工程においてMR素子の並びにうねり成分が
生じていると、このうねりを補正できない場合がある。
この場合には、補正できないうねり量がMR素子高さの
誤差になるため、加工精度が劣化し問題となる。
【0008】本発明の課題は、MR素子高さの制御研磨
加工の前工程において発生するMR素子のうねり成分を
抑制することで、MR素子高さの制御研磨加工における
補正誤差を低減し、MR素子高さを高精度に制御するM
Rヘッドの製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、MR素子高
さの制御研磨加工工程において、ロウバーをいくつかの
エリアに分割し、そのエリア毎に独立にMR素子高さの
分布を2次曲線で近似し、この2次曲線がそれぞれ直線
になるように各エリアに加える荷重を制御する動作と、
各エリア間の接合部とロウバー両端部のMR素子高さの
寸法が直線上に並ぶようにエリア接合部に加える荷重を
制御する動作と、ロウバー全体の磁気抵抗効果素子の高
さ寸法の分布を直線で近似し、この近似直線の傾きが最
小になるようにロウバーの左右に加える荷重を制御する
動作を行うことにより達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明する。
【0011】始めに、磁気ディスク装置の概要について
説明する。図1は磁気ヘッドとディスクの配置図であ
る。CSS(Contact Start Stop)方式の磁気ディスク装
置では、磁気記録媒体であるディスク2の回転による動
圧を利用することで、磁気ヘッド1をディスク2の表面
から微小量だけ浮上させ、スライダの端部に形成された
磁気記録素子によってデータの記録再生を行なってい
る。このとき、ディスク2の表面と磁気ヘッド1との間
隔を浮上量hと呼び、ディスクに対する磁気ヘッド1の
角度を仰角θと呼ぶ。
【0012】MRヘッドを用いた磁気ディスク装置の記
録再生は、次のように行われる。
【0013】(1)コイル5と上部磁性膜6により、デ
ィスク表面を磁化することにより、記録が行われる。
【0014】(2)磁化されているディスクの表面と磁
気ヘッドスライダ1が相対的に移動することで、ディス
クに書き込まれたS、Nの極性により、MR素子4の抵
抗値が変化する。このMR素子4の抵抗値変化を検出す
ることにより、ディスクの表面に書き込んだデータが再
生される。
【0015】次に、MRヘッドの構造について説明す
る。図2はMRヘッドの構造図である。MRヘッドは、
セラミックスのウエハ3の表面に誘導型磁気変換素子と
MR素子をスパッタリング、マスク形成、エッチング等
に代表される薄膜工程により形成し、これを切断加工す
ることで、複数個の磁気ヘッドスライダが連なったロウ
バー13に加工する。そして、ロウバー13の状態で研
磨加工(浮上面研磨)を行い、MR素子高さを所定の寸
法に加工するとともに浮上面を鏡面に加工する。そし
て、研磨後のロウバー13を再度切断加工することで磁
気ヘッドスライダ1の状態にする。このため、磁気ヘッ
ドスライダ1の端面には、ウエハ3の状態で形成した磁
気記録素子が形成される。次に、素子部の構造について
説明する。
【0016】誘導型磁気記録素子はコイル5と上部磁性
膜6、上部シールド膜8により構成されており、上部磁
性膜6の端部は、浮上面に露出し、この露出部によりデ
ータの記録を行う。そして、上部磁性膜6の近傍には、
MR素子4が配置されており、その両端には電極7が接
続される。また、MR素子のデータ再生時のノイズを低
減するために、上部シールド膜8と下部シールド膜9に
MR素子4は挟まれる構造となっている。また、大多数
のMRヘッドの場合において、MR素子4は浮上面11
に露出する構造になっていることから、MR素子4の浮
上面と直角方向の高さであるMR素子高さは、この研磨
加工によってその寸法が決められる。そして、このMR
素子高さは、データを再生する際の再生出力に大きく影
響することから、研磨加工時の加工公差は非常に狭くな
っている。
【0017】次に、MR素子高さの制御研磨方法につい
て説明する。図3はロウバーの外観図である。ロウバー
13は、磁気ヘッドスライダ1が横に数十個連なった状
態であり、MR素子高さの制御研磨工程は、このロウバ
ーの状態で加工される。また、ロウバー13には、磁気
ヘッドスライダと磁気ヘッドスライダの間に切断部を設
けられており、この切断部に浮上面研磨加工時にMR素
子高さを検出するための抵抗検知素子12が形成され
る。研磨加工におけるMR素子高さの制御には、この抵
抗検知素子12の一部が研磨加工により除去される際の
抵抗値の変化を研磨加工中に検出し、この抵抗値をMR
素子高さに換算することで、ロウバー内のMR素子高さ
の分布をモニタリングし、このMR素子高さの分布が均
一になるようにロウバーに加える荷重を制御している。
【0018】現在の磁気ヘッドスライダのサイズとして
は、ピコスライダと呼ばれるサイズが主流となってお
り、そのサイズとしては幅b=1.2mm,長さL=
1.0mm,高さh=0.3mmである。そして、ロウ
バーのサイズとしては、幅b=1.2mm,長さL=4
0〜80mm,高さh=0.30〜0.33mmとなっ
ている。ロウバーの長さが他の寸法と比較して非常に長
い理由としては、ロウバーの長さを長くすることにより
1本のロウバーに入るスライダ数が増加し、それだけ生
産性が向上するためである。しかし、ロウバーの長さを
長くすると、ロウバーの剛性が低下するため、ロウバー
に2次曲り成分と3次曲線以上の高次曲線成分(うねり
成分と呼ぶ)が生じ易くなる。ロウバーに2次曲り成分
とうねり成分が生じると、ロウバー内のMR素子にも2
次曲り成分とうねり成分が生じる。図4はロウバーにお
ける素子並びの概念図である。そして、ロウバー内のM
R素子の2次曲り成分とうねり成分は、MR素子高さの
制御研磨加工において補正仕切れなかった場合には、そ
のままMR素子高さの誤差になってしまう。ただし、M
R素子並びの2次曲り成分に関しては比較的容易に補正
することが可能であるため、MR素子高さの誤差への影
響は小さい。しかし、MR素子並びのうねり成分に関し
ては、補正するのが困難であるため、MR素子高さの誤
差に大きく影響を及ぼす。よって、MR素子高さを高精
度化するためには、MR素子の2次曲り成分とうねり成
分を抑制することが必須であると考えられる。
【0019】次に、ロウバー内の素子の2次曲り成分と
うねり成分の測定方法について説明する。素子並び測定
では、ロウバーの素子面にあらかじめ形成してある測定
用パターンの位置を画像処理により位置データとして取
り込み、1ロウバー内で16ホ゜イント測定した位置データ
並べることで、ロウバーのMR高さ方向の素子並びと定
義している。また、素子並び測定では、素子並びの優劣
を評価するための評価パラメータとして、素子曲がり量
と素子ばらつきを素子高さデータより算出している。
【0020】次に、素子曲がり量と素子ばらつきの計算
方法について説明する。図5は素子並びの測定例であ
る。図5に示すように、素子並び測定では、1本のロウ
バーに対し、16ポイントの素子高さを測定している。
そして、この素子高さデータを基に、素子高さデータの
2次近似曲線を計算し、計算した2次近似曲線の最大高
さを素子曲がり量と定義している。このとき、2次近似
曲線の曲がり方向が凹方向の場合をマイナス曲がり、凸
方向の場合をプラス曲がりと定義している。また、2次
近似曲線と各素子高さデータとの誤差の最大値を素子ば
らつきと定義している。よって、素子ばらつきは、MR
素子のうねり成分を現わす評価パラメータであると言え
る。
【0021】そして、ロウバーのMR素子の2次曲がり
成分とうねり成分を抑制するための1つの方法として、
ロウバーの長さを短くし、制御する素子数を減らす方法
が考えられる。
【0022】次に実施例について説明する。
【0023】「ロウバー内素子数の削減によるMR素子
高さ加工精度向上」上記説明したように、MR素子高さ
を高精度化するためには、MR素子のうねり成分を抑制
することが必要である。そして、ロウバーの長さを短く
し、制御する素子数を減らす方法が考えられる。ここで
は、ロウバーの長さを短くし、ロウバー内の素子数を削
減することによりMR素子高さ精度を向上した結果につ
いて説明する。
【0024】図6、図7は、ロウバーの長さを短くし、
ロウバー1本の素子数を減らした場合の治具接着後の素
子並び精度を測定した結果である。図6は素子曲り量、
図7は素子ばらつきをまとめたグラフである。素子曲り
量に関しては、ロウバーの長さを短くし、ロウバー内の
素子数を減らすことで、素子曲り量の平均値が0に近づ
いており、そのばらつき量も小さくなっていることがわ
かる。また、素子ばらつきに関しては、ロウバーの長さ
を短くし、ロウバー内の素子数を減らすことで平均値・
最大値ともに低減できることがわかる。この結果によ
り、ロウバーの長さを短くし、ロウバー内の素子数を減
らすことで、MR素子の2次曲り成分とうねり成分を抑
制できると考える。
【0025】次に、図6、7のロウバーを研磨加工した
場合のMR素子高さ精度について説明する。図8はロウ
バーの長さを短くし、ロウバー内の素子数を減らした場
合のMR素子高さ精度のグラフである。ここでは、抵抗
検知素子から換算したMR素子高さ(hMRと呼ぶ)を
用いており、図8の縦軸では、ロウバー内の各抵抗検知
素子から換算したhMRの数値からhMR狙い値を差し
引いた値である。よって、縦軸の0は、狙い値のhMR
に加工された場合であり、プラスの値は研磨加工量が不
足している場合、マイナスの値は研磨加工量が過剰な場
合である。図8の結果において、各ホ゜イントの平均値がh
MR狙い値になっていることがわかる。これは、制御研
磨加工において、加工中の各ポイントのhMRの平均値
が狙い値になった時に加工を停止する制御を行っている
ためである。図8において、ロウバー内の素子数によ
り、最大値・最小値が大きく変わることがわかる。特
に、ロウバー内の素子数ロウバー内の素子数を14素子
以下にすることで、hMR加工精度±0.1mmを達成でき
ることがわかる。この結果より、ロウバーの長さを短く
し、ロウバー内の素子数を減らすことで、MR素子高さ
精度を向上できると言える。
【0026】「エリア分割制御によるMR素子高さ加工
精度向上」以上説明したように、ロウバーの長さを短く
し、ロウバー内の素子数を減らすことでMR素子のうね
り成分を抑制できるため、hMR加工精度を向上でき
る。しかし、この場合には、ロウバー1本当たりのスラ
イダ数が減少するため、1回に研磨するスライダ数が低
下し、生産性が下がるという問題が発生する。これに対
し、本発明では、hMR加工精度を向上し、かつ生産性
を下げないMRヘッドの製造方法を提供する。以下、エ
リア分割MR素子高さ制御方式について説明する。
【0027】図9はエリア分割MR素子高さ制御方式の
概念図である。現状の制御研磨加工では、抵抗検知素子
から換算したhMRの分布を、2次曲線もしくは4次曲
線で近似し、この近似曲線が直線になるように制御する
方法が一般的である。これに対し、ロウバーを数個のエ
リアに分割し、そのエリア毎にMR素子高さ寸法の分布
を2次曲線で近似し、これらの2次近似曲線が各々直線
になるように各エリアを独立に制御すれば、ロウバー内
の素子数を削減し、MR素子高さを高精度に加工するこ
とができる。この場合には、1回に研磨するロウバーの
長さを長くすることができるため、生産性が低下しな
い。図9は、長さLのロウバーを3つのエリアに分割
し、制御するロウバーの長さを短くすることでロウバー
内の素子数を1/3に削減した例である。
【0028】次に、素子数42のロウバーを3つのエリ
アに分割し、エリア内の素子数を 14素子に削減した
実施例について説明する。図10はエリア分割MR素子
高さ制御方式における研磨加工治具の外観図である。エ
リア分割MR素子高さ制御の研磨加工冶具には、各エリ
アの中心に各エリアの2次曲がり量を補正する曲がり制
御点、エリアとエリアの接合部にエリアの傾きを補正す
るエリア傾き補正点、冶具の両端にロウバー傾き補正点
を配置してある。次に、この研磨加工冶具を取り付け
て、研磨加工を行う研磨加工装置について説明する。図
11は研磨加工装置の制御部の外観図である。ロウバー
13を接着した研磨加工冶具14を研磨冶具固定板16
にねじで固定する。この際、研磨加工冶具14のロウバ
ー傾き制御点の丸穴にピン17aとピン17bがはめ合
わされ、3つの曲がり制御点の丸穴にピン21aとピン
21bとピン21cがはめ合わされ、2つのエリア傾き
制御点の丸穴にピン22aとピン22bがはめ合わされ
る。そして、ピン17aとピン17bには、ねじ穴があ
いており、ここにボルトを入れ、締めることにより研磨
加工冶具14を研磨加工冶具固定板16に固定してい
る。そして、ピン17aとピン17bにはロッド18a
とロッド18bが取り付けられており、ロッド18aと
ロッド18bに対して2個のエアシリンダにより下方向
の荷重を加えることでロウバー13に研磨荷重を加える
とともにロウバー内のMR素子高さ分布の傾きを補正す
るための荷重を加えている。また、ピン21aとピン2
1bとピン21cにはロッド19aとロッド19bとロ
ッド19cが取り付けられており、ロッド19aとロッ
ド19bとロッド19cに対して3個のエアシリンダに
より上下方向の荷重を加えることで3つのエリアにおけ
る2次曲がり量を補正している。さらにピン22aとピ
ン22bはロッド20aとロッド20bが取り付けられ
ており、ロッド20aとロッド20bに対して2個のエ
アシリンダにより上下方向の荷重を加えることで各エリ
アの傾きをを補正している。また、この研磨加工装置で
は、研磨加工中に抵抗検知素子12の抵抗値変化を検出
するため、次のような構造になっている。図11に示す
ように、ロウバー13に形成してある抵抗検知素子12
と抵抗検出用回路基板24をワイヤ25により接続し、
抵抗検出用回路基板24と研磨加工装置本体をピン23
により接続することで、研磨加工中の抵抗検知素子12
の抵抗値を測定することが可能となっている。
【0029】次に、MR素子高さの制御について説明す
る。図12は加工中の抵抗検知素子の抵抗値から算出し
た42ホ゜イントのMR素子高さテ゛ータをグラフにした結果で
ある。
【0030】(1)図は制御前の初期状態である。MR
素子高さの分布としては、うねりと傾きが生じているこ
とが分かる。この状態からロウバー傾き補正とエリア内
傾き補正とエリア内2次曲がり量の補正を行うことによ
り、MR素子高さ精度を向上する。ここでは、説明のた
めに各項目毎に補正した結果について説明する。
【0031】(1)ロウバー傾き補正 a.図12(1)図において、MR素子高さテ゛ータ42ポ
イントの近似直線を計算する。
【0032】b.計算した近似直線の両端のMR素子高
さの差を傾きkとする。
【0033】c.傾きkの値が最小になるようにロッド
18aとロッド18bに加える荷重バランスを制御(こ
の場合にはスライダNo.42に近い側のロッドの下向きの
荷重を高く設定する)する。
【0034】d.決められたサンプリングタイム毎にa
〜cを繰り返す。
【0035】上記制御により、図12(1)図のMR素
子高さ分布が(2)図に示すような傾きが抑制されたM
R素子高さ分布となる。
【0036】(2)エリア内傾き補正 a.スライダNo.1のMR素子高さデータaとスライダN
o.42のMR素子高さデータbを結ぶ直線を計算する。
【0037】b.エリアAとエリアBの接合部のMR素子
高さデータc、dと計算した直線との差k1と、エリア
BとエリアCの接合部のMR素子高さテ゛ータe、fと計算し
た直線との差k2を計算する。
【0038】c.エリアの傾きk1、k2が最小になる
ようにロッド20aとロッド20bに荷重を加える。
【0039】d.決められたサンプリングタイム毎にa
〜cを繰り返す。
【0040】上記制御により、図12(2)図のMR素
子高さ分布が(3)図に示すようにMR素子高さデータ
a〜fがほぼ一直線に並ぶMR素子高さ分布となる。
【0041】(3)エリア内曲がり補正 a.図12(3)図に示すように、各エリア毎に2次近
似曲線を計算する。
【0042】b.エリアA2次近似曲線のエリアAの中心
におけるのMR素子高さデータと、エリアAの両端の素
子高さデータa、cの平均値との差であるMa(エリアAの
2次曲がり量)を計算する。 エリアB2次近似曲線のエ
リアBの中心におけるMR素子高さデータと、エリアBの
両端の素子高さデータd、eの平均値との差であるMb
(エリアBの2次曲がり量)を計算する。エリアC2次
近似曲線のエリアCの中心におけるのMR素子高さデー
タと、エリアCの両端の素子高さデータf、bの平均値
との差であるMc(エリアCの2次曲がり量)を計算す
る。
【0043】c.各エリアの2次曲がり量Ma,Mb,Mcの値
が最小になるようにロッド19aとロッド19bとロッ
ド19cにそれぞれ荷重を加える。
【0044】d.決められたサンプリングタイム毎にa
〜cを繰り返す。
【0045】上記制御により、図12(3)図のMR素
子高さ分布が(4)図に示すように各エリアの2次曲が
り量が小さくなり、ロウバー全体のMR素子高さ分布の
うねりを抑制することができる。ここでは、説明のため
に各制御項目毎に補正を加えたMR素子高さ分布となっ
ているが、実際にはロウバー傾き補正、エリア内傾き補
正、エリア内曲がり補正を同時に制御している。
【0046】このエリア分割MR素子高さ制御研磨方式
では、エリア数を増加し、エリア内の素子数を少なくす
ればするほどMR素子高さ加工精度を向上できる。ただ
し、このエリア分割制御におけるエリア内素子数の最小
値は3素子である。しかし、エリア内素子数を3素子に
すると、実質上各スライダに対して制御荷重を加えるこ
とになる。この場合には、次のような問題が生じる。
【0047】(1)1つのスライダのMR素子高さデー
タが隣り合った他のデータよりも突出して高い(低い)
場合には、これを補正するために荷重を加えるが、各ス
ライダのMR素子高さを制御する場合には、荷重制御点
と荷重制御点との間の距離が短くなり、曲げに対する剛
性が高くなるため、1つのスライダのMR素子高さを補
正するつもりが、隣り合ったスライダにまでこの荷重が
影響してしまう。これにより、MR素子高さの分布に高
次のうねり成分が生じてしまう。
【0048】(2)各スライダのMR素子高さを制御す
る場合には、剛性が高い状態を無理に荷重を加えて補正
するため、加工中にロウバーに与える歪み量が大きくな
る。これにより、加工後の浮上面の形状精度であるクラ
ウン、キャンバー、ツイストの加工精度が悪くなる。
【0049】このような問題があるため、エリアに分割
する素子数の最小値は4素子と考えられる。また、MR
素子高さ精度±0.1mmを達成するためのエリア内素子数
としては、図8の結果より14スライダ以下と考えられ
る。
【0050】図10に示すエリア分割MR素子高さ制御
研磨方式では、各エリアの接合部分が特異点になり易
い。
【0051】そして、この特異点の影響を小さくするた
めには、2つの方法が考えられる。1つは図13に示す
ように、接合部に溝を加工する方法であり、もう1つは
接合部を完全切断する方法である。これらの方法によ
り、エリア接合部の変形誤差を低減することができる。
【0052】ここでは、MR素子を用いたMRヘッドに
ついて記述したが、次世代の磁気ヘッドであるGMR(G
iant MR)ヘッドに関しても同じである。
【0053】
【発明の効果】本発明では、ロウバーをエリアに分割
し、エリア内の素子数を削減することにより、MR素子
高さの制御研磨加工工程において問題となるロウバー内
のMR素子並びのうねり成分を抑制することができる。
これにより、MR素子高さの制御研磨加工工程におい
て、MR素子高さを高精度に加工することが可能とな
り、再生出力が安定するとともに、MR素子の信頼性を
向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気ヘッドとディスクの配置図
【図2】磁気ヘッド(MRヘッド)の構造図
【図3】ロウバーの外観図
【図4】素子並びの概念図
【図5】素子並び精度の測定例
【図6】ロウバーの長さ/厚さ比が素子曲り量に及ぼす
影響
【図7】ロウバーの長さ/厚さ比が素子ばらつきに及ぼ
す影響
【図8】ロウバーの長さ/厚さ比がMR素子高さ加工精
度に及ぼす影響
【図9】エリア分割制御の概念図
【図10】エリア分割制御用研磨加工治具の外観図
【図11】エリア分割制御用研磨装置の外観図
【図12】MR素子高さ制御の該念図
【図13】エリア分割制御用研磨加工治具の外観図(溝
加工・切断)
【符号の説明】
1…磁気ヘッド(スライダ)、 2…ディスク(記録媒
体)、 3…ウエハ、4…MR素子(磁気抵抗効果素
子)、 5…コイル、 6…上部磁性膜、 7…電極、
8…上部シールド膜、 9…下部シールド膜、 10
…基板材、 11…浮上面、 12…抵抗検知素子、
13…ロウバー、 14…研磨加工治具、 15…研磨
定盤の表面、 16…研磨加工冶具固定板、 17a、
17b…研磨加工冶具取り付けピン、 18a,18b
…ロッド(傾き制御用)、 19a,19b,19c…
ロッド(エリア曲がり制御用)、 20a、20b…ロ
ッド(エリア傾き制御用)、 21a、21b、21c
…ピン(エリア曲がり制御用)、 22a、22b…ピ
ン(エリア傾き制御用)、 23…抵抗検知素子の抵抗
値検出用ピン、 24…抵抗検出用回路基板、 25…
ワイヤ(ワイヤーホ゛ンテ゛ィンク゛)、 26…エリア接合部の
溝、 27…完全切断後のエリア接合部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 幸治 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 Fターム(参考) 5D033 BA12 BB14 DA01 DA11 DA31 5D034 BA03 DA01 DA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に誘導型磁気変換素子及び磁気抵抗
    効果素子を積層した薄膜磁気ヘッドの製造工程におい
    て、 前記薄膜磁気ヘッドを複数個連ねたロウバーの全体の傾
    きを補正する工程と、 前記ロウバーを複数のエリアに分割した後、該エリア分
    割したポイントに力を加えて、該各エリア毎の基準線
    が、該ロウバー全体の基準線とほぼ平行になるようにエ
    リア毎の傾きを補正する工程と、 前記各エリア内部を2次曲線近似で平坦になるように補
    正する工程と、を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッ
    ドの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法
    において、エリア分割後のエリア内の磁気抵抗効果型素
    子数Nを4素子≦N≦14素子にすることを特徴とする
    薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法
    において、エリア間の接合部のロウバー浮上面に溝を形
    成することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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