JP2977579B2 - 中空型超音波モータ装置用支持体および中空型超音波モータ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、中空型超音波モータ装置用支持体および
中空型超音波モータ装置に関するものである。さらに詳
しくは、この発明は、進行波摩擦駆動による超音波モー
タ装置の回転を円滑とし、基体部との振動共鳴を抑止す
ることのできる新しい構造の中空型超音波モータ装置用
支持体およびこの支持体を具備した中空型超音波モータ
装置に関するものである。

（従来の技術とその課題） 従来より、この発明の発明者によってはじめて提案さ
れた進行波摩擦駆動による超音波モータの各種の構造や
その改良が実用開発されてきている。

この超音波モータ装置は、従来のモータ装置とは原理
的に全く異なったもので、高特性で、機能性に優れたも
のである。すなわち、この超音波モータ装置は、複数個
の電歪素子（圧電体と呼んでもよい）と弾性体とによっ
て超音波振動子を構成し、かつ、電歪素子に時間的に位
相の異なる高周波電圧を印加することにより超音波振動
子の所定の表面に楕円振動を形成し得る進行波を生じさ
せ、さらに、その超音波振動子の所定の表面に動体を加
圧接触するように配置して動体が所定の方向に摩擦駆動
されるようにしている。このような原理的、構造的特徴
によって、正逆転が容易に行えるモータ装置で、かつ耐
久性の高いモータ装置が可能となる。

たとえば、このようなモータ装置として、第１図に示
したように、中空円板型の超音波モータ装置もすでに提
案されている。

これは、金属等の中空円板状の弾性体（１）に、これ
に対応して中空円板状に配置した複数の電歪素子（２）
を固定して超音波振動子としたものである。弾性体
（１）の表面には回転子（図示していない）を加圧接触
させ、この回転子を回転駆動させる。電歪素子（２）に
はリード線（３）を接続し、複数の電歪素子（２）に時
間的に位相の異なる高周波電圧を印加することによって
超音波振動子に表面楕円運動を形成し得る進行波を生じ
させる。

この超音波モータ装置において、弾性体（１）の回転
子との接触面に、複数の放射状溝（４）を形成すること
により、さらにこの超音波モータ装置の駆動を高性能化
するともできる。

このように、全く新しい原理、構造に基づくモータ装
置として、その優れた特性、機能が注目されている超音
波モータ装置ではあるが、その実用的応用面について
は、搭載する機器等との関連から、システムとして備え
るべき要件の整備が望まれてもいた。

特に、平板薄型で、小型のモータ装置として注目され
ている第１図にも例示の中空円板型の超音波モータ装置
（すなわち中空型超音波モータ装置）においては、これ
を支持する支持体をどのようなものにするかがひとつの
重要な課題であった。特に、その回転駆動を均質で円滑
なものとし、搭載する機器基体との振動共鳴を抑止する
ことのできる支持体の実現が強く望まれていた。

この発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたも
のであり、中空型超音波モータ装置の特性と機能を十分
に生かし、しかも上記の通りの課題を解決することので
きる、新しい中空型超音波モータ装置用の支持体、およ
びその支持体を具備した中空型超音波モータ装置を提供
することを目的としている。

（課題を解決するための手段） この発明は、上記の課題を解決するものとして、中空
円板状の弾性体に複数の電歪素子が環状に配置固定され
てなる超音波振動子と、この超音波振動子の弾性体の表
面に加圧接触させた回転子とからなる超音波モータ装置
を、当該超音波モータ装置が搭載される基体部に対して
支持するための支持体であって、超音波振動子の内周端
部に上端部が嵌合される小口径円筒と、この小口径円筒
が立設されている中空円板部を持つ大口径台座円筒体と
を有し、且つ、小口径円筒の周壁から大口径台座円筒体
の中空円板部の内周部へ形成された屈曲スリットを複数
有しており、小口径円筒の上端部が超音波振動子の内周
端部に嵌合され、且つ大口径台座円筒体が前記基体部に
取り付けられて、中空型超音波モータ装置を基体部に対
して支持するようになっていることを特徴とする中空型
超音波モータ装置用支持体を提供する。

添付した図面の第２図は上記支持体の平面図を、ま
た、第３図は正面図を、そして第４図は、第２図のＡ−
Ａ断面を示したものであり、この発明のひとつの実施例
を示している。

すなわち、たとえばこれら図面に示すことができるよ
うに、この発明の中空型超音波モータ装置用支持体（1
2）は、前述の第１図に例示した超音波振動子と回転子
とからなる中空型超音波モータ装置を、それが搭載され
る機器等の基体部に対して支持するためのものであり、
小口径円筒（７）と大口径台座円筒体（８）とを有し、
且つ複数の屈曲スリット（11）を有している。

小口径円筒（７）は、その上端部（６）が超音波振動
子の内周端部（５）に固定されるようになっており、大
口径台座円筒体（８）は、小口径円筒（７）が立設され
ている中空円板部（９）を備えている。

また、屈曲スリット（11）は、小口径円筒（７）の周
壁（10）から大口径台座円筒体（８）の中空円板部
（９）の内周部へと形成された屈曲形状のスリットであ
る。

そして、この中空型超音波モータ装置用支持体（12）
は、小口径円筒（７）の上端部（６）が超音波振動子の
内周端部（５）に嵌合され、且つ大口径台座円筒体（８
が搭載機器等の基体部に取りつけられて、中空型超音波
モータ装置を基体部に対して支持するようになってい
る。

なお、屈曲スリット（11）の形成については、その数
に限定はないが、たとえば12等配分、24等配分のように
偶数等配することが好ましい。

たとえば、小口径円筒（７）の上端部（６）の外径を
8mm、大口径台座円筒体（８）の中空円板部（９）の外
径を15mm程度とする場合には、24等配分で、幅0.2〜0.3
mm程度の屈曲スリット（11）を配設することができる。
もちろん、これは一つの例であって何ら限定的なもので
はない。

以上の中空型超音波モータ装置用支持体（12）を具備
した中空型超音波モータ装置を例示したものが第５図で
ある。この第５図において、前述の第１図に例示した放
射状の表面溝（４）を有する弾性体（１）と電歪素子
（２）とからなる超音波振動子は、その内周端部（５）
（第１図参照）に中空型超音波モータ装置用支持体（1
2）の小口径円筒（７）の上端部（６）（第２〜４図参
照）が嵌合されて、小口径円筒（７）に支持固定されて
いる。

もちろん、この発明の中空型超音波モータ装置の超音
波振動子や中空型超音波モータ装置用支持体の形状、素
材については様々な態様が可能であることは言うまでも
ない。

（発明の効果） この発明によって、中空型超音波モータ装置の均質で
円滑な回転駆動が可能となり、この装置を搭載する機器
基体との振動共鳴による障害も発生しない。

【図面の簡単な説明】 第１図は、中空型超音波モータ装置の超音波振動子を例
示した断面・背面図である。 第２図、第３図および第４図は、この発明の実施例とし
ての中空型超音波モータ装置用支持体の平面図、正面図
および断面図である。 第５図は、この発明の中空型超音波モータ装置の実施例
を示した斜視図である。 １……弾性体 ２……電歪素子 ３……リード線 ４……放射状溝 ５……内周端部 ６……上端部 ７……小口径円筒 ８……大口径台座円筒体 ９……中空円板部 10……周壁 11……屈曲スリット 12……中空型超音波モータ装置用支持体

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中空円板状の弾性体に複数の電歪素子が環
   状に配置固定されてなる超音波振動子と、この超音波振
   動子の弾性体の表面に加圧接触させた回転子とからなる
   超音波モータ装置を、当該超音波モータ装置が搭載され
   る基体部に対して支持するための支持体であって、 超音波振動子の内周端部に上端部が嵌合される小口径円
   筒と、この小口径円筒が立設されている中空円板部を持
   つ大口径台座円筒体とを有し、且つ、小口径円筒の周壁
   から大口径台座円筒体の中空円板部の内周部へ形成され
   た屈曲スリットを複数有しており、 小口径円筒の上端部が超音波振動子の内周端部に嵌合さ
   れ、且つ大口径台座円筒体が前記基体部に取り付けられ
   て、中空型超音波モータ装置を基体部に対して支持する
   ようになっていることを特徴とする中空型超音波モータ
   装置用支持体。
2. 【請求項２】屈曲スリットは偶数等配されている請求項
   （１）記載の中空型超音波モータ装置用支持体。
3. 【請求項３】請求項（１）または（２）記載の中空型超
   音波モータ装置用支持体を、小口径円筒の上端部が超音
   波振動子の内周端部に嵌合されて、具備していることを
   特徴とする中空型超音波モータ装置。