JP2975991B2 - 偏光性測定方法及び装置 - Google Patents

偏光性測定方法及び装置

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JP2975991B2 JP10515493A JP51549398A JP2975991B2 JP 2975991 B2 JP2975991 B2 JP 2975991B2 JP 10515493 A JP10515493 A JP 10515493A JP 51549398 A JP51549398 A JP 51549398A JP 2975991 B2 JP2975991 B2 JP 2975991B2
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修司 豊永
隆之 菅
義太郎 中野
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、試料に光が照射されたことにより発生す
る蛍光やラマン散乱光の偏光性を測定する偏光性測定装
置および方法に関するものである。
背景技術 試料に光を照射すると、その光と同一波長の光が反射
光や散乱光として生じるが、その他にも、その照射光の
波長とは異なる波長の光(例えば、蛍光、ラマン散乱
光)も発生する場合がある。この蛍光やラマン散乱光の
強度を測定することにより、その試料に関する有益な情
報が得られるが、これらの偏光性を測定することによっ
ても、試料に関する有益な情報が得られる。
例えば、蛍光プローブを含む試料に励起光を照射し、
その試料から発生する蛍光の偏光解消を測定することに
より、ターゲットに結合した蛍光プローブが存在するか
否かを知ることができる。すなわち、蛍光プローブを含
む試料に直線偏光のパルス励起光が照射されると、その
蛍光プローブから蛍光が発生する。その蛍光の偏光状態
は、励起光照射当初は略直線偏光であるが、蛍光プロー
ブがブラウン運動により不規則な回転を行うと、励起さ
れた蛍光プローブの分子軸が乱れ、そのために、時間の
経過とともに蛍光の偏光性は解消され、遂には非偏光状
態となる。この偏光解消の速度は、蛍光プローブがター
ゲットに結合している場合と、フリーな場合とでは異な
るので、その偏光解消の速度の差異を利用して、ターゲ
ットに結合した蛍光プローブの存否を知ることができ
る。
したがって、顕微鏡下で、この蛍光の偏光解消の度合
いの2次元像を測定することができれば、ターゲットに
結合した蛍光プローブが存在する位置を特定することが
でき、また、試料中のターゲットの挙動等を解析するこ
とができるので、例えば、細胞における諸機能の解明に
貢献し得るものとして期待されている。同様に、顕微鏡
下でラマン散乱光の偏光性の2次元像を測定することに
よっても、試料に関する有益な情報が得られるものと期
待されている。
ところで、蛍光の偏光状態の2次元像を観察する技術
が、D.Axelrod,"Carbocyanine Dye Orientation in Red
Cell Membrane studied by Microscopic Fluorescence
Polarization",Biophys.J.,Vol.26,pp.557−574(197
9)およびK.Suzuki,et al,"Spatiotemporal Relationsh
ips Among Early Events of Fertilization in Sea Urc
hin Eggs Revealed by Multiview Microscopy",Biophy
s.J.,Vol.68,pp.739−748(1995)に記載されている。
D・Axelrodの論文に記載されている技術は、顕微鏡
下で定常光(直線偏光の励起光)照射により発生した蛍
光の偏光状態を測定することにより、生体膜に導入され
た蛍光色素の配向および運動性を調べるものである。こ
こで用いられている光検出器は光電子増倍管であり、蛍
光像面上の絞りを走査することにより2次元的な蛍光偏
光像を得ている。このような蛍光の偏光を測定するに際
して問題となるのが、異なる偏光方位に対して偏光素子
以外の光学系および光検出器が異なった応答を示すこと
により生じる測定誤差である。この論文に記載の技術で
は、全くの非偏光の光を受光光学系(試料から光検出器
までの光学系)および光検出器に通すことにより、その
測定誤差を補正(偏光応答補正)している。
K.Suzukiの論文に記載されている技術は、試料から発
生した蛍光を偏光ビームスプリッタにより互いに直交す
る直線偏光成分それぞれに分岐し、その2分岐された蛍
光の像それぞれを単一のカメラにより撮像することによ
り、試料の定常的な分子配向を解析するものである。こ
の論文に記載の技術では、均質な試料を非偏光の励起光
で励起し、その試料から発生する蛍光が全く無偏光であ
ることを利用して偏光応答補正を行っている。
しかしながら、D.Axelrodの論文やK.Suzukiの論文に
記載されている技術では、非偏光の光を用いて偏光応答
補正を行っているが、この非偏光の光は本来観察すべき
蛍光とは異なるため補正精度は低く、したがって、偏光
性の測定精度も低い。また、理想的な非偏光の光を作成
するのは容易ではない。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたもので
あり、第1の光束(励起光、照射光)が照射された試料
から発生する第2の光束(蛍光、ラマン散乱光)の偏光
性を精度良く測定することができる偏光性測定方法およ
び装置を提供することを目的とする。
発明の開示 本発明に係る偏光性測定方法は、試料に照射する第1
の光束および試料から発生する第2の光束のうち何れか
一方を反射し他方を透過する光束分岐手段を用いて、第
1の光束を光束分岐手段を経て試料に照射し、該照射に
より試料から発生し光束分岐手段を経た第2の光束の偏
光性を測定する偏光性測定方法であって、(1)第1の
光束を光束分岐手段に対してp偏光として試料に照射し
たときに発生する第2の光束のp偏光成分の強度Ipp
よびs偏光成分の強度Ipsを測定する第1のステップ
と、(2)第1の光束を光束分岐手段に対してs偏光と
して試料に照射したときに発生する第2の光束のp偏光
成分の強度Ispおよびs偏光成分の強度Issを測定する第
2のステップと、(3)偏光応答補正因子Gを G=[(Ipp・Isp)/(Ips・Iss)]1/2 なる式により求める第3のステップと、(4)偏光応答
補正因子Gに基づいて偏光応答補正を行って第2の光束
の偏光性を求める第4のステップと、を備える。
この偏光性測定方法によれば、第1のステップで、第
1の光束は光束分岐手段に対してp偏光として試料に照
射され、これに伴い発生した第2の光束のp偏光成分の
強度Ippおよびs偏光成分の強度Ipsが測定され、また、
第2のステップで、第1の光束は光束分岐手段に対して
s偏光として試料に照射され、これに伴い発生した第2
の光束のp偏光成分の強度Ispおよびs偏光成分の強度I
ssが測定される。そして、第3のステップで、偏光応答
補正因子Gが上記の式で求められ、第4のステップで、
この偏光応答補正因子Gに基づいて偏光応答補正がなさ
れ、第2の光束の偏光性が求められる。
また、本発明に係る偏光性測定方法は、第2のステッ
プで、第1のステップの測定時と同じ配置の試料に対し
て第1の光束を照射する。この場合には、試料中に第2
の光束を発生する物質がランダムに配向している系にお
いて第2の光束の偏光性が測定される。
また、本発明に係る偏光性測定方法は、第1のステッ
プで、所定方向を中心軸とする所定回転角度位置にある
試料に対して第1の光束を照射し、第2のステップで、
中心軸について所定回転角度位置とは90度異なる回転角
度位置にある試料に対して第1の光束を照射する。この
場合には、試料中に第2の光束を発生する物質が一定方
向に配向している系において第2の光束の偏光性が測定
される。
また、本発明に係る偏光性測定方法は、第4のステッ
プで第2の光束の偏光性を P1(p)=(Ipp−G・Ips)/(Ipp+G・Ips) または、 P1(s)=(G・Iss−Isp)/(G・Iss+Isp) なる式により求めてもよいし、 P2(p)=(Ipp−G・Ips)/(Ipp+2・G・Ips) または、 P2(s)=(G・Iss−Isp)/(G・Iss+2・Isp) なる式により求めてもよいし、 P3(p)=1−G・(Ips/Ipp) または、 P3(s)=G−(Isp/Iss) なる式により求めてもよいし、 P4(p)=(Ipp/Ips)−G または、 P4(s)=G・(Iss/Isp)−1 なる式により求めてもよい。何れも、第2の光束の偏光
性を表すのに好適なパラメータである。特に、P3および
P4は、少ない演算量で求めることができる。
また、本発明に係る偏光性測定方法は、第1の光束
が、試料により多光子吸収され得る波長の光束であり、
第2の光束が、その多光子吸収に伴い発生する光束であ
る。この場合には、第2の光束の偏光性は、高感度かつ
S/N比良く測定される。
本発明に係る偏光性測定装置は、試料に照射する第1
の光束および試料から発生する第2の光束のうち何れか
一方を反射し他方を透過する光束分岐手段を用いて、第
1の光束を光束分岐手段を経て試料に照射し、該照射に
より試料から発生し光束分岐手段を経た第2の光束の偏
光性を測定する偏光性測定装置であって、(1)試料に
照射する直線偏光の第1の光束を出力する光源部と、
(2)光源部から出力された第1の光束の偏光方位を回
転させる偏光方位回転手段と、(3)第1の光束が試料
に照射されて発生した光束のうち光束分岐手段を経た第
2の光束のp偏光成分およびs偏光成分それぞれの強度
を検出する検出手段と、(4)偏光方位回転手段により
光束分岐手段に対してp偏光とされた第1の光束が試料
に照射されたときに検出手段により検出された第2の光
束のp偏光成分の強度Ippおよびs偏光成分の強度Ips
並びに、偏光方位回転手段により光束分岐手段に対して
s偏光とされた第1の光束が試料に照射されたときに検
出手段により検出された第2の光束のp偏光成分の強度
Ispおよびs偏光成分の強度Issに基づいて、 G=[(Ipp・Isp)/(Ips・Iss)]1/2 なる式により偏光応答補正因子Gを求める補正因子演算
手段と、(5)偏光応答補正因子Gに基づいて偏光応答
補正を行って第2の光束の偏光性を求める偏光性演算手
段と、を備える。
この偏光性測定装置によれば、試料に照射される直線
偏光の第1の光束は、光源部より出力され、偏光方位回
転手段により偏光方位が回転され、光束分岐手段を経て
試料に照射される。第1の光束が試料に照射されて発生
した光束のうち光束分岐手段を経た第2の光束は、検出
手段により、p偏光成分およびs偏光成分それぞれの強
度が検出される。そして、偏光方位回転手段により光束
分岐手段に対してp偏光とされた第1の光束が試料に照
射されたときに検出手段により検出された第2の光束の
p偏光成分の強度Ippおよびs偏光成分の強度Ips、並び
に、偏光方位回転手段により光束分岐手段に対してs偏
光とされた第1の光束が試料に照射されたときに検出手
段により検出された第2の光束のp偏光成分の強度Isp
およびs偏光成分の強度Issに基づいて、補正因子演算
手段により、上記の式により偏光応答補正因子Gが求め
られ、偏光性演算手段により、偏光応答補正因子Gに基
づいて偏光応答補正がなされ、第2の光束の偏光性が求
められる。
また、本発明に係る偏光性測定装置は、補正因子演算
手段が、一定配置にある試料について検出手段により検
出された強度Ipp,Ips,IspおよびIssそれぞれに基づいて
偏光応答補正因子Gを求める。この場合には、試料中に
第2の光束を発生する物質がランダムに配向している系
において第2の光束の偏光性が測定される。
また、本発明に係る偏光性測定装置は、所定方向を中
心軸として試料を回転させる試料回転手段を更に備え、
補正因子演算手段は、中心軸について所定回転角度位置
にある試料について検出手段により検出された強度Ipp
およびIps、並びに、試料回転手段により中心軸につい
て所定回転角度位置とは90度異なる回転角度位置に設定
された試料について検出手段により検出された強度Isp
およびIssに基づいて、偏光応答補正因子Gを求める。
この場合には、試料中に第2の光束を発生する物質が一
定方向に配向している系において第2の光束の偏光性が
測定される。
また、本発明に係る偏光性測定装置は、偏光性演算手
段が第2の光束の偏光性Pを P1(p)=(Ipp−G・Ips)/(Ipp+G・Ips) または、 P1(s)=(G・Iss−Isp)/(G・Iss+Isp) なる式により求めてもよいし、 P2(p)=(Ipp−G・Ips)/(Ipp+2・G・Ips) または、 P2(s)=(G・Iss−Isp)/(G・Iss+2・Isp) なる式により求めてもよいし、 P3(p)=1−G・(Ips/Ipp) または、 P3(s)=G−(Isp/Iss) なる式により求めてもよいし、 P4(p)=(Ipp/Ips)−G または、 P4(s)=G・(Iss/Isp)−1 なる式により求めてもよい。何れも、第2の光束の偏光
性を表すのに好適なパラメータである。特に、P3および
P4は、少ない演算量で求めることができる。
また、本発明に係る偏光性測定装置は、光源部が、試
料により多光子吸収され得る波長の光束を第1の光束と
して出力するとともに、検出手段が、その多光子吸収に
伴い発生する光束を第2の光束として検出する。この場
合には、第2の光束の偏光性は、高感度かつS/N比良く
測定される。
また、本発明に係る偏光性測定装置は、(1)試料に
照射する第1の光束を出力する光源部と、(2)第1の
光束を試料に照射し、該照射により試料から発生した第
2の光束を入力し、第1の光束および第2の光束のうち
何れか一方を反射し他方を透過する第1の光束分岐手段
と、(3)第1の光束分岐手段の分光特性と等しい分光
特性を有し、第1の光束分岐手段における第2の光束に
対する入射面と90度異なる入射面を有し、第1の光束分
岐手段から出力された第2の光束を入力する第2の光束
分岐手段と、(4)第2の光束分岐手段を経た第2の光
束のp偏光成分およびs偏光成分それぞれの強度を検出
する検出手段と、(5)検出手段により検出された第2
の光束のp偏光成分およびs偏光成分それぞれの強度に
基づいて第2の光束の偏光性を測定する偏光性演算手段
と、を備える。
この偏光性測定装置によれば、試料に照射される第1
の光束は、光源部より出力され、第1の光束分岐手段を
経て試料に照射される。第1の光束が試料に照射されて
発生した第2の光束は、第1および第2の光束分岐手段
を順次経て、そのp偏光成分およびs偏光成分それぞれ
の強度が検出手段により検出され、そして、これらの強
度に基づいて偏光性が測定される。ここで、第1および
第2の光束分岐手段は、互いに等しい分光特性を有し、
第2の光束に対して互いに90度異なる入射面を有するの
で、第1および第2の光束分岐手段それぞれの分光特性
が相殺され、これらに起因する偏光性測定誤差がなくな
る。
図面の簡単な説明 図1は、0次元(ポイント)の偏光性測定におけるG
因子の求め方の説明図である。
図2は、本発明に係る偏光性測定方法および装置にお
けるG因子の求め方の説明図である。
図3は、本発明に係る偏光性測定方法および装置にお
いて試料中の蛍光プローブの分子軸が配向して分布して
いる場合のG因子の求め方の説明図である。
図4は、θの回転相関時間を持つ蛍光分子からの励
起光に平行および垂直な蛍光偏光成分強度の減衰曲線を
示すグラフである。
図5は、θの回転相関時間を持つ蛍光分子からの励
起光に平行および垂直な蛍光偏光成分強度の減衰曲線を
示すグラフである。
図6は、偏光性P1の減衰曲線を示すグラフである。
図7は、偏光性P2の減衰曲線を示すグラフである。
図8は、偏光性P3の減衰曲線を示すグラフである。
図9は、偏光性P4の減衰曲線を示すグラフである。
図10は、本発明に係る偏光性測定装置の構成図であ
る。
図11は、試料から発生した蛍光の強度を偏光素子を通
さないでそのまま測定したときの減衰曲線(太線)と、
顕微鏡下での装置の応答関数(細線)とを示すグラフで
ある。
図12は、p偏光のパルス励起光で励起したときに発生
した蛍光のp偏光成分(太線)およびs偏光成分(細
線)それぞれの減衰曲線を示すグラフである。
図13は、G因子による偏光応答補正を行って得られた
異方性比P2の減衰曲線(太線)と、偏光応答補正を行わ
ないで得られた異方性比P2の減衰曲線(細線)とを示す
グラフである。
図14は、本発明に係る偏光性測定装置において偏光応
答補正を行って得られた異方性比P2の減衰曲線(太線)
と、従来構成の偏光性測定装置において偏光応答補正を
行って得られた異方性比P2の減衰曲線(細線)とを示す
グラフである。
図15は、p偏光のパルス励起光でHDAF溶液を励起した
ときに発生した蛍光のp偏光成分(太線)およびs偏光
成分(細線)それぞれの減衰曲線を示すグラフである。
図16は、p偏光のパルス励起光でHDAF染色NG細胞を励
起したときに発生した蛍光のp偏光成分(太線)および
s偏光成分(細線)それぞれの減衰曲線を示すグラフで
ある。
図17は、HDAF溶液(細線)およびHDAF染色NG細胞(太
線)を励起したときに発生した蛍光についてG因子によ
る偏光応答補正を行って得られた異方性比P2の減衰曲線
を示すグラフである。
図18は、フリーな蛍光プローブ(HDAF溶液)とターゲ
ットに結合した蛍光プローブ(HDAF染色NG細胞)が共存
する試料の模式図である。
図19は、フリー領域とバウンド領域の異方性比P2の値
とそのコントラストを示す図表である。
図20Aおよび図20Bそれぞれは、多光子励起の場合にも
好適に用いられる偏光性測定装置の蛍光検出光学系の構
成図であり、蛍光検出光学系の光軸に対して垂直であっ
て且つ互いに垂直な2方向それぞれから見た図である。
図21は、1光子励起の場合(細線)および2光子励起
の場合(太線)それぞれについて励起確率を示すグラフ
である。
図22は、励起光の偏光方位と蛍光プローブの分子軸の
方位との関係を説明する図である。
図23は、1光子励起の場合(細線)および2光子励起
の場合(太線)それぞれについて、定常光励起の場合の
蛍光の異方性比P2の値をθ/τに対してプロットしたグ
ラフである。
図24は、1光子励起の場合(細線)および2光子励起
の場合(太線)それぞれについて、定常光励起の場合の
蛍光の異方性比P2のθ/τに対する傾斜をプロットした
グラフである。
図25は、1光子励起の場合および2光子励起の場合そ
れぞれについて、グリセロール割合に対して、蛍光の異
方性比P2および標準偏差σの測定値をまとめた図表であ
る。
図26は、1光子励起の場合(細線)および2光子励起
の場合(太線)それぞれについて、グリセロール割合に
対して、蛍光の異方性比P2の測定値をプロットしたグラ
フである。
図27は、1光子励起の場合および2光子励起の場合そ
れぞれについて、グリセロール割合の10%増に対して、
蛍光の異方性比P2の増分ΔP2をまとめた図表である。
図28は、1光子励起の場合(細線)および2光子励起
の場合(太線)それぞれについて、グリセロール割合の
10%増に対して、蛍光の異方性比P2の増分ΔP2の値をプ
ロットしたグラフである。
図29は、1光子励起の場合および2光子励起の場合そ
れぞれについて、グリセロール割合に対して、蛍光の異
方性比P2を標準偏差σで割った値(P2/σ)、および、
蛍光の異方性比P2の増分ΔP2を標準偏差σで割った値
(ΔP2/σ)をまとめた図表である。
図30は、1光子励起の場合(細線)および2光子励起
の場合(太線)それぞれについて、グリセロール割合に
対して、蛍光の異方性比P2を標準偏差σで割った値(P2
/σ)をプロットしたグラフである。
図31は、1光子励起の場合(細線)および2光子励起
の場合(太線)それぞれについて、グリセロール割合に
対して、蛍光の異方性比P2の増分ΔP2を標準偏差σで割
った値(ΔP2/σ)をプロットしたグラフである。
発明を実施するための最良の形態 以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細
に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には
同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以
下では、蛍光の偏光性の測定について説明するが、ラマ
ン散乱光の偏光性の測定についても同様である。また、
「偏光性」なる語は、以下に述べるP1,P2,P3およびP4
総称したものを表す。
先ず、本発明に係る偏光性測定方法および装置の説明
に先立って、偏光応答補正一般について説明する。偏光
性測定に際して、測定誤差の大きな要因の1つとなるの
が、受光光学系(試料から光検出器までの光学系)およ
び光検出器の偏光特性である。偏光素子以外の受光光学
素子および光検出器は、理想的には、異なる偏光に対し
ても等しく応答すべきであるが、実際には、偏光方位に
よって異なる応答をする。したがって、真の蛍光の偏光
性を求めるには、偏光応答を補正する必要がある。
この偏光応答の補正量は、通常、G因子(偏光応答補
正因子)と呼ばれ、0次元(ポイント)の偏光性測定に
おいては、以下のように定義されている。図1は、0次
元(ポイント)の偏光性測定におけるG因子の求め方の
説明図である。p方位に偏光した直線偏光の励起光を試
料に入射し、蛍光を発生させる。この入射方向に対して
直交する方向から、偏光子を用いてp方位(励起光のp
方位と平行な方位)およびs方位(励起光のp方位に垂
直な方位)それぞれの直線偏光成分の蛍光を測定し、そ
れぞれの強度をIppおよびIpsとする。そして、蛍光の偏
光性を特徴付けるパラメータとして、偏光度P1(一般に
は、pで表現される)が、 で定義され、また、異方性比P2(一般には、rで表現さ
れる)が、 で定義されている。
しかし、実際に測定される蛍光強度は、受光光学系お
よび光検出器を経て得られるため、それらの異方性を反
映したものとする。すなわち、受光光学系および光検出
器のp偏光に対する応答をTpとし、s偏光に対する応答
をTsとすると、実際に測定される蛍光強度Ipp′およびI
ps′それぞれは、真の蛍光強度IppおよびIpsそれぞれと
の間に、 Ipp′=Tp・Ipp、Ips′=Ts・Ips …(3) なる関係がある。したがって、偏光度P1および異方性比
P2それぞれと実測蛍光強度Ipp′,Ips′との間の関係
は、(3)式を(1)式および(2)式それぞれに代入
して、 なる関係式で表される。ここで、(4)式および(5)
式それぞれに現れるGは、G因子と呼ばれる偏光応答補
正因子であり、p偏光に対する応答Tpとs偏光に対する
応答Tsとの比 で表される。
このG因子は、以下のようにして求める。s偏光の励
起光を試料に照射して、発生した蛍光のp偏光およびs
偏光それぞれの直線偏光成分の蛍光を測定し、それぞれ
の強度をIsp′およびIss′とする。これらは真の蛍光強
度IspおよびIssそれぞれとの間に、(3)式と同様に、 Isp′=Tp・Isp、Iss′=Ts・Iss …(7) なる関係がある。そして、s偏光の励起光に対して発生
する蛍光のp偏光成分の強度Ispとs偏光成分の強度Iss
とは相等しいと考えられるので、(7)式から、 が得られ、したがって、(6)式で表されるG因子は、
実測された蛍光強度Isp′およびIss′を用いて、 で求められる。すなわち、このG因子による偏光応答補
正を行うことにより、偏光度P1および異方性比P2を高精
度に求めることができる。
以上に述べた偏光応答補正は、0次元(ポイント)の
偏光性測定装置についてのものであるが、本発明に係る
偏光性測定方法および装置のような顕微鏡下では、試料
に対して励起光を照射する方向と蛍光を観察する方向と
が同一であるので、上述した方法ではG因子を求めるこ
とはできない。そこで、この場合には、偏光応答補正を
以下のようにして行う。図2は、本発明に係る偏光性測
定方法および装置におけるG因子の求め方の説明図であ
る。なお、以下では、G因子の求め方を、試料中の蛍光
プローブの分子軸が配向しておらず全くランダムに分布
している場合と、試料中の蛍光プローブの分子軸が配向
して分布している場合とに分けて説明する。
先ず、試料中の蛍光プローブの分子軸が配向しておら
ず全くランダムに分布している場合におけるG因子の求
め方について説明する。
光束分岐手段であるダイクロイックミラーに対してp
偏光の励起光の試料照射により発生した蛍光のp偏光成
分およびs偏光成分それぞれの強度(真値)をIpp,Ips
とし、光検出器により検出される実測値をIpp′,Ips
とする。また、ダイクロイックミラーに対してs偏光の
励起光の試料照射により発生した蛍光のp偏光成分およ
びs偏光成分それぞれの強度(真値)をIsp,Issとし、
光検出器により検出される実測値をIsp′,Iss′とす
る。このとき、これらの量と、受光光学系および光検出
器のp偏光に対する応答Tpと、s偏光に対する応答Ts
の間には、 Ipp′=Tp・Ipp、Ips′=Ts・Ips …(10) Isp′=Tp・Isp、Iss′=Ts・Iss …(11) なる関係がある。
また、p偏光の励起光の照射について得られる異方性
比P2(p)は、 なる式で表され、s偏光の励起光の照射について得られ
る異方性比P2(s)は、 なる式で表される。また、G因子は、 なる式で表されるから、(12)式および(13)式それぞ
れは、 で表される。
試料中の蛍光プローブの分子軸が全くランダムに分布
している場合には、p偏光の励起光の照射について得ら
れる異方性比P2(p)と、s偏光の励起光の照射につい
て得られる異方性比P2(s)とは相等しく、 P2(p)=P2(s) …(17) となる。この(17)式に(15)式および(16)式を代入
することにより、G因子は、 G=[(Ipp′・Isp′)/(Ips′・Iss′)]1/2 …(18) で与えられることになる。
すなわち、試料中の蛍光プローブの分子軸が配向して
おらず全くランダムに分布している場合におけるG因子
は、p偏光およびs偏光それぞれの励起光の試料照射に
より発生する蛍光のp偏光強度およびs偏光強度を測定
し、これらの強度に基づいて(18)式により求められ
る。そして、このようにして得られたG因子による偏光
応答補正を行うことにより、蛍光の偏光度P1ならびに異
方性比P2を高精度に求めることができる。
次に、試料中の蛍光プローブの分子軸が配向して分布
している場合におけるG因子の求め方について説明す
る。なお、実際の測定対象はこのような系に近い場合が
多い。
この場合において、前述の試料中の蛍光プローブの分
子軸が配向しておらず全くランダムに分布している場合
におけるG因子の求め方を適用すると、偏光素子を除く
受光光学素子や光検出器が偏光について異方性を有して
いない場合であっても、あたかも異方性を有しているか
のように蛍光が測定されることになる。したがって、試
料中の蛍光プローブの分子軸が配向して分布している場
合には、(17)式の仮定は成り立たず、p偏光の励起光
の照射について得られる異方性比P2(p)と、s偏光の
励起光の照射について得られる異方性比P2(s)とは一
般には異なり、 P2(p)≠P2(s) …(19) である。
すなわち、p偏光の励起光の照射により試料から発生
する蛍光のうちのp偏光成分およびs偏光成分それぞれ
の強度をIppおよびIpsとし、s偏光の励起光の照射によ
り試料から発生する蛍光のうちのp偏光成分およびs偏
光成分それぞれの強度をIspおよびIssとすると、試料中
の蛍光プローブの分子軸が全くランダムに分布している
場合には、 であるが、蛍光プローブの分子軸が配向して分布してい
る場合には、 である。
そこで、蛍光プローブの分子軸が配向して分布してい
る場合には、G因子を以下のようにして求める。すなわ
ち、p偏光の励起光の照射により試料から発生する蛍光
のうちのp偏光成分およびs偏光成分それぞれの強度
(真値)をIpp(0)およびIps(0)とし、光検出器に
より検出される実測値をIpp(0)′およびIps(0)′
とする。また、図3に示すように励起光照射方向を中心
軸として試料を90度回転した後において、s偏光の励起
光の照射により試料から発生する蛍光のうちのp偏光成
分およびs偏光成分それぞれの強度(真値)をIsp(9
0)およびIss(90)とし、光検出器により検出される実
測値をIsp(90)′およびIss(90)′とする。このと
き、これらの量と、受光光学系および光検出器のp偏光
に対する応答Tpと、s偏光に対する応答Tsとの間には、 Ipp(0)′=Tp・Ipp(0)、Ips(0)′=Ts・Ips
(0) …(22) Isp(90)′=Tp・Isp(90)、Iss(90)′=Ts・Iss
(90) …(23) なる関係がある。
また、試料を回転する前における異方性比P2(p,0)
は、 なる式で表され、試料を90度回転した後における異方性
比P2(s,90)は、 なる式で表される。ここで、(14)式で表されるG因子
を用いると、(24)式および(25)式それぞれは、 で表される。
試料中の蛍光プローブの分子軸が配向して分布してい
る場合には、励起光照射方向を中心軸として試料を90度
回転した後においてs偏光の励起光の照射について得ら
れる異方性比P2(s,90)は、試料を回転する前において
p偏光の励起光の照射について得られる異方性比P2(p,
0)と相等しい。すなわち、 P2(s,90)=P2(p,0) …(28) である。したがって、(26)式と(27)式とを(28)式
に代入して、 が得られ、これを解いて、G因子を表す式として、 G=[(Ipp(0)′・Isp(90)′ /(Ips(0)′・Iss(90)′)]1/2 …(30) が得られる。
すなわち、試料中の蛍光プローブの分子軸が配向して
分布している場合におけるG因子は、励起光照射方向を
中心軸とする試料の回転角度をp偏光およびs偏光それ
ぞれの励起光の試料照射の場合で互いに90度異なるもの
とし、これらp偏光およびs偏光それぞれの励起光の試
料照射により発生する蛍光のp偏光強度およびs偏光強
度を測定し、これらの強度に基づいて(30)式により求
められる。そして、このようにして得られたG因子によ
る偏光応答補正を行うことにより、偏光度P1ならびに異
方性比P2を高精度に求めることができる。
さらに、本発明に係る偏光性測定方法および装置で
は、上述の偏光度P1および異方性比P2とは別に、偏光性
を表す量として、 で表される偏光性を定義する。この偏光性P3およびP
4は、偏光度P1および異方性比P2と比較的よい一致を示
す量である。すなわち、いま蛍光寿命τが同じで回転相
関時間θ(回転ブラウン運動の速さを特徴付ける量)の
異なる2種類の蛍光分子を考える。図4および図5は、
2種類の蛍光分子からの蛍光をそれぞれ別にパルス光励
起によりG=1の系で測定したときの励起光の偏光方位
に平行な蛍光偏光成分強度Ipp′と垂直な蛍光偏光成分
強度Ips′をシミュレーションした結果である。但し、
θをτの0.1倍、θをθの10倍として計算した。
このデータをもとに、偏光性P1を(4)式により、P2
(5)式により、P3を(31)式により、P4を(32)式に
より求めた結果が図6〜図9である。図から判るよう
に、偏光性P1,P2,P3およびP4は、時間およびθの変化に
対して略一致した減衰パターンをとっている。
また、(31)式および(32)式を、偏光度P1および異
方性比P2それぞれの定義式である(4)式および(5)
式と比較すれば判るように、偏光性P3およびP4は、偏光
度P1および異方性比P2を求める演算よりも少ない演算量
で求めることができる。したがって、(31)式および
(32)式を用いた演算による偏光性P3およびP4の算出
は、偏光性の変化をリアルタイムに測定する場合や、2
次元の大量のデータについて偏光性を求める場合のよう
に、短時間に偏光性を求めたいときに極めて有効であ
る。また、演算量が減少することから、演算時の誤差も
低減される。
次に、本発明に係る偏光性測定装置の構成について説
明する。図10は、本発明に係る偏光性測定装置の構成図
である。
パルス励起光源1は、試料7中の蛍光プローブを励起
するパルス励起光(第1の光束)を出力するものであ
る。パルス励起光源1から出力されたパルス励起光は、
偏光子2により直線偏光とされた後に、1/2波長板(偏
光方位回転手段)3に入射して、ダイクロイックミラー
(光束分岐手段)5に関してp偏光方位およびs偏光方
位の何れかに回転させられる。そして、p偏光またはs
偏光とされたパルス励起光は、対物レンズ6により試料
7に照射される。すなわち、パルス励起光は、励起光導
入光学系4により所定の光束径および形状にされ、ダイ
クロイックミラー5により反射され、対物レンズ6によ
り集光されて、試料ステージ(試料回転手段)8に置か
れた試料7上の観察領域に照射される。この試料ステー
ジ8は、試料7に入射するパルス励起光の光軸を中心と
して試料7を回転させることができるものである。
試料7にパルス励起光が照射されると、試料7中の蛍
光プローブから蛍光(第2の光束)が発生する。その蛍
光の強度分布は、検出手段により、励起光照射方向と同
じ方向に出たものがp偏光とs偏光とに分離されて測定
される。すなわち、試料7から発した蛍光のうち対物レ
ンズ6に入射した光束は、対物レンズ6を通過し、ダイ
クロイックミラー5を透過し、バンドパスフィルタ9を
透過し、偏光ビームスプリッタ10によりp偏光成分とs
偏光成分とに分岐され、そのp偏光成分およびs偏光成
分それぞれの蛍光偏光像が結像レンズ11および12それぞ
れによりゲート機能付イメージインテンシファイア13お
よび14それぞれの撮像面に結像され、そして、ゲート機
能付イメージインテンシファイア13および14それぞれに
より強度分布が測定される。
ここで、バンドパスフィルタ9は、蛍光を透過させる
ものであるが、試料7で生じたパルス励起光の散乱光を
吸収するものであり、偏光ビームスプリッタ10は、蛍光
のp偏光成分を通過させ、s偏光成分を反射させるもの
である。ゲート機能付イメージインテンシファイア13お
よび14それぞれは、ゲートコントローラ15から出力され
たゲート信号に基づいてゲートを開閉し、ゲートが開い
ているときに撮像面に結像された蛍光偏光像を撮像する
ものである。また、ゲートコントローラ15は、パルス励
起光源1からパルス励起光が出力されるタイミングを基
準時刻として、時刻t0から時間Δtの間だけゲート機能
付イメージインテンシファイア13および14それぞれのゲ
ートを開くよう指示するゲート信号を出力する。
ゲート機能付イメージインテンシファイア13および14
それぞれにより撮像されたp偏光成分およびs偏光成分
それぞれの栄光偏光画像は、画像演算部16に入力され
る。画像演算部16は、これらの蛍光偏光画像に基づい
て、偏光応答補正を行い、偏光性(P1,P2,P3,P4)の2
次元画像を求める。
次に、この偏光性測定装置を用いて偏光応答補正のな
された蛍光の異方性比P2の2次元画像を取得する方法に
ついて説明する。偏光度P1,P2およびP3それぞれの2次
元画像も同様にして求められる。この偏光応答補正およ
び蛍光の異方性比P2の2次元画像は、画像演算部16にお
ける演算によって求められるものである。なお、以下で
は、試料7中の蛍光プローブの分子軸が配向しておらず
全くランダムに分布している場合と、試料7中の蛍光プ
ローブの分子軸が配向して分布している場合とに分けて
説明する。
試料7中の蛍光プローブの分子軸が配向しておらず全
くランダムに分布している場合には、異方性比P2の2次
元画像は以下のようにして取得される。
この場合、1/2波長板3の光学軸を適切に設定して、
パルス励起光源1から出力されたパルス励起光をp偏光
として試料7に照射する。このとき、ゲートコントロー
ラ15からのゲート信号の指示により、時刻t0から時間Δ
tの間にゲート機能付イメージインテンシファイア13お
よび14それぞれにより撮像されたp偏光およびs偏光そ
れぞれの蛍光画像を、Ipp(t0,Δt)およびIps(t0
t)とする。
同様にして、1/2波長板3の光学軸を適切に設定し
て、パルス励起光源1から出力されたパルス励起光をs
偏光として試料7に照射する。このとき、ゲートコント
ローラ15からのゲート信号の指示により、ゲート機能付
イメージインテンシファイア13および14それぞれにより
撮像されたp偏光およびs偏光それぞれの蛍光画像を、
Isp(t0,Δt)およびIss(t0,Δt)とする。
そして、偏光応答補正に関するG因子を、 G=[(Ipp(t0,Δt)・Isp(t0,Δt)) /(Ips(t0,Δt)・Iss(t0,Δt))]1/2 …(33) で求め、異方性比P2(p,t0,Δt)を、 で求める。なお、蛍光画像Ipp(t0,Δt),Ips(t0
t),Isp(t0,Δt)およびIss(t0,Δt)、G因子な
らびに異方性比P2(p,t0,Δt)は、全て、試料7に照
射されるパルス励起光の光軸に垂直な面上の座標(x,
y)の関数である。このようにして、試料中の蛍光プロ
ーブから発生した蛍光の異方性比P2の2次元画像を高精
度に測定することができる。
試料7中の蛍光プローブの分子軸が配向して分布して
いる場合には、異方性比P2の2次元画像は以下のように
して取得される。
この場合、1/2波長板3の光学軸を適切に設定して、
パルス励起光源1から出力されたパルス励起光をp偏光
として試料7に照射する。このとき、ゲートコントロー
ラ15からのゲート信号の指示により、時刻t0から時間Δ
tの間にゲート機能付イメージインテンシファイア13お
よび14それぞれにより撮像されたp偏光およびs偏光そ
れぞれの蛍光画像を、Ipp(0,t0,Δt)およびIps(0,t
0,Δt)とする。
続いて、試料ステージ8の回転により試料7を90度回
転させた後、同様にして、1/2波長板3の光学軸を適切
に設定して、パルス励起光源1から出力されたパルス励
起光をs偏光として試料7に照射する。このとき、ゲー
トコントローラ15からのゲート信号の指示により、ゲー
ト機能付イメージインテンシファイア13および14それぞ
れにより撮像されたp偏光およびs偏光それぞれの蛍光
画像を、Isp(90,t0,Δt)およびIss(90,t0,Δt)と
する。
そして、偏光応答補正に関するG因子を、 G=[(Ipp(0,t0,Δt)・Isp(90,t0,Δt)) /(Ips(0,t0,Δt)・Iss(90,t0,Δt))]
1/2 …(35) で求め、p偏光の励起光の試料照射時における蛍光の異
方性比P2(p,t0,Δt)を、 で求める。なお、蛍光画像Ipp(0,t0,Δt),Ips(0,
t0,Δt)、Isp(90,t0,Δt)およびIss(90,t0
t),G因子ならびに異方性比P2(p,t0,Δt)は、全
て、試料7に照射されるパルス励起光の光軸に垂直な面
上の座標(x,y)の関数である。このようにして、ター
ゲットに結合した蛍光プローブから発生した蛍光の異方
性比P2の2次元画像を高精度に測定することができる。
次に、本発明に係る偏光性測定装置における偏光応答
補正について行った実験の結果について説明する。ここ
で用いた偏光性測定装置の具体的な構成は以下のとおり
である。パルス励起光源1は、モード同期チタンサファ
イアレーザ光源であり、試料7に照射されるパルス励起
光としては、これから出力される第2高調波(波長400n
m、パルス幅200フェムト秒、繰り返し周波数100kHz)を
用いた。偏光子2は、グランレーザプリズムであり、1/
2波長板3は、フレネルロム1/2波長板である。なお、ゲ
ート機能付イメージインテンシファイア13および14それ
ぞれに替えて、ここでは、マイクロチャンネルプレート
内蔵型光電子増倍管を用いて、時間相関光子計数法(TC
PC法)により蛍光強度を測定した。試料7として、FITC
(Fluorescein isothiocyanate)で標識された17merDNA
を用いた。この試料7中では、蛍光プローブの分子軸は
配向しておらず全くランダムに分布している。したがっ
て、G因子を(18)式で求め、蛍光の異方性比P2を(1
5)式で求めた。
図11は、試料から発生した蛍光の強度を偏光素子を通
さずそのまま測定したときの減衰曲線(太線)と、顕微
鏡下での装置の応答関数(細線)とを示すグラフであ
る。図12は、p偏光のパルス励起光で励起したときに試
料7から発生した蛍光のp偏光成分(太線)およびs偏
光成分(細線)それぞれの減衰曲線を示すグラフであ
る。なお、この図12では、s偏光成分(細線)の減衰曲
線は、実測値にG因子を掛けた値で表示されている。
図13は、G因子による偏光応答補正を行って得られた
異方性比P2の減衰曲線(太線)と、偏光応答補正を行わ
ないで得られた異方性比P2の減衰曲線(細線)とを示す
グラフである。すなわち、太線は、p偏光およびs偏光
それぞれのパルス励起光で励起したときに試料7から発
生した蛍光の偏光測定の結果に基づいてG因子を求め、
p偏光のパルス励起光で励起したときに試料7から発生
した蛍光のp偏光成分およびs偏光成分それぞれの強度
の測定値についてG因子による偏光応答補正を行って得
られた異方性比P2の減衰曲線を示している。一方、細線
は、実測値が真値であるとの仮定に下に、G因子による
偏光応答補正を行うことなく求めた異方性比P2の減衰曲
線を示している。G因子の値は、1.076であった。な
お、この装置において、ダイクロイックミラー5がG因
子に主に寄与しているものと考えられる。
図14は、本発明に係る偏光性測定装置のような顕微鏡
下(図2の構成)において偏光応答補正を行って得られ
た異方性比P2の減衰曲線(太線)と、従来構成の偏光性
測定装置(図1の構成)において偏光応答補正を行って
得られた異方性比P2の減衰曲線(細線)とを示すグラフ
である。この図に示すように、両者は良い一致を示して
いる。すなわち、本発明に係る偏光性測定装置のような
顕微鏡下においても偏光応答補正を行うことにより正確
な異方性比P2を測定することできることが確認できた。
次に、本発明に係る偏光性測定装置を用いた蛍光偏光
性の測定結果について説明する。ここで用いた偏光性測
定装置の具体的な構成は以下のとおりである。パルス励
起光源1は、モード同期チタンサファイアレーザ光源で
あり、試料7に照射されるパルス励起光としては、これ
から出力される第2高調波(波長465nm、パルス幅200フ
ェムト秒、繰り返し周波数100kHz)を用いた。偏光子2
は、グランレーザプリズムであり、1/2波長板3は、フ
レネルロム1/2波長板である。なお、蛍光の減衰曲線を
測定するときには、ゲート機能付イメージインテンシフ
ァイア13および14それぞれに替えて、マイクロチャンネ
ルプレート内蔵型光電子増倍管を用いて、時間相関光子
計数法(TCPC法)により蛍光強度を測定した。
試料7は、NG細胞(NG108−15)であり、蛍光プロー
ブは、細胞膜に特異的に結合するHDAF(5−(N−hexa
decanoyl)aminofluorescein)であり、染色濃度は10μ
Mであり、染色時間は30分であった。この試料7中で
は、蛍光プローブの分子軸は受光光軸に垂直な面では配
向しておらず全くランダムに分布している。したがっ
て、G因子を(18)式で求め、異方性比P2を(15)式で
求めた。
図15は、p偏光のパルス励起光でフリーな蛍光プロー
ブ(HDAF溶液)を励起したときに発生した蛍光のp偏光
成分(太線)およびs偏光成分(細線)それぞれの減衰
曲線を示すグラフである。なお、この図で、s偏光成分
(細線)の減衰曲線は、実測値にG因子を掛けた値で表
示されている。図16は、p偏光のパルス励起光でターゲ
ットに結合した蛍光プローブ(HDAF染色NG細胞)を励起
したときに発生した蛍光のp偏光成分(太線)およびs
偏光成分(細線)それぞれの減衰曲線を示すグラフであ
る。なお、この図でも、s偏光成分(細線)の減衰曲線
は、実測値にG因子を掛けた値で表示されている。
図17は、HDAF溶液(細線)およびHDAF染色NG細胞(太
線)を励起したときに発生した蛍光についてG因子によ
る偏光応答補正を行って得られた異方性比P2の減衰曲線
を示すグラフである。すなわち、細線は、蛍光プローブ
がフリーな状態であるときの異方性比P2の減衰曲線であ
り、太線は、蛍光プローブがターゲットに結合している
状態であるときの異方性比P2の減衰曲線である。図から
判るように、フリーな蛍光プローブは、ターゲットに結
合した蛍光プローブに比べて速く偏光性が低下している
(速く偏光解消している)。したがって、偏光解消の度
合いを測定することにより、ターゲットに結合した蛍光
プローブとフリーな蛍光プローブの分離が可能となる。
そこで、図18の模式図に示すようにフリーな蛍光プロ
ーブ(HDAF溶液)とターゲットに結合した蛍光プローブ
(HDAF染色NG細胞)が共存する試料において蛍光の偏光
性を2次元的に解析した。まず。試料からの蛍光を偏光
素子を通さずにそのまま測定したときの蛍光強度の2次
元分布(通常の蛍光画像)は、蛍光プローブがフリーに
存在している領域(フリー領域)で平均値I(F)=36
655(標準偏差σ(F)=1863)、蛍光プローブがター
ゲットに結合している領域(バウンド領域)で平均値I
(B)=43864(標準偏差σ(B)=3378)であった。
これらの値から、コントラストC(I)を により計算すると0.09であり非常に低く、また励起光強
度の2次元的なムラもあってフリー領域とバウンド領域
の差が明確ではなかった。次に、試料からの蛍光異方性
比P2の2次元画像をゲート機能付イメージインテンシフ
ァイア13および14のゲートを常に開いた状態で測定した
(DC測定)。その結果、図19に示すように異方性比P2
値は、フリー領域で平均値P2(F)=0.044、バウンド
領域で平均値P2(B)=0.086であった、これらの値か
らコントラストC(P2)を により計算すると0.32であり、フリー領域とバウンド領
域が明確に区別できるようになった。さらに、試料から
の蛍光の異方性比P2をゲート機能付イメージインテンシ
ファイア13および14のゲートを時刻t0=2ns(パルス光
により励起された時刻を0nsとし、フリーな蛍光プロー
ブの偏光性が十分解消した時刻に設定した)から時間3n
sの間だけ開いて測定した(時間分解測定)。その結
果、図19に示すように異方性比P2の値は、フリー領域で
平均P2=0.016、バウンド領域で平均P2=0.069であっ
た。これらの値からコントラストを(38)式により計算
すると0.62になった。すなわち、異方性比P2の2次元画
像において、時間分解測定をすることによりフリー領域
とバウンド領域のコントラストがDC測定に比べて向上し
た。以上のことから、顕微鏡下で蛍光の偏光性の2次元
画像を測定することにより、ターゲットに結合した蛍光
プローブが存在する位置を特定できることが分かる。
次に、本発明に係る偏光性測定装置における偏光応答
補正因子に主に寄与していると考えられるダイクロイッ
クミラー5の偏光特性を物理的(光学的)に相殺する方
法について述べる。
図20Aおよび図20Bそれぞれは、ダイクロイックミラー
5の偏光特性を相殺するための偏光性測定装置の検出光
学系の構成図であり、検出光学系の光軸に対して垂直で
あって且つ互いに垂直な2方向それぞれから見た図であ
る。図20Aおよび図20Bに示す検出光学系は、図10に示す
偏光性測定装置における試料ステージ8から偏光ビーム
スプリッタ10に到るまでの検出光学系に相当するもので
あり、同一要素には同一符号が付されている。なお、こ
の検出光学系以外の部分の構成は、図10に示す偏光性測
定装置において相当するものと同様の構成である。
図20Aおよび図20Bに示す検出光学系は、図10に示す偏
光性測定装置の検出光学系において、第1のダイクロイ
ックミラー5とバンドパスフィルタ9との間の光路上
に、第2のダイクロイックミラー17を挿入したものであ
る。この第2のダイクロイックミラー17は、第1のダイ
クロイックミラー5と同一特性のものであって、第1の
ダイクロイックミラー5を光軸の回りに90度回転させた
方位に配置されている。
この検出光学系によれば、ダイクロイックミラー5に
対してp偏光またはs偏光の直線偏光の励起光は、第1
のダイクロイックミラー5に入射して反射され、対物レ
ンズ6を経て、試料ステージ8上の試料7に照射され
る。励起光の照射により、試料7で発生した蛍光は、対
物レンズ6を経て、ダイクロイックミラー5および17そ
れぞれ順次透過し、バンドパスフィルタ9に到達する。
ここで、ダイクロイックミラー5および17それぞれの特
性は同一であるから、ダイクロイックミラー5および17
それぞれにおけるp偏光に対する応答Tpは互いに等し
く、また、ダイクロイックミラー5および17それぞれに
おけるs偏光に対する応答Tsも互いに等しい。
したがって、試料7で発生し対物レンズ6を通過した
蛍光のp偏光成分(ダイクロイックミラー5を基準)の
強度をIp(0)とすると、この偏光成分が第1のダイク
ロイックミラー5を透過した後の強度Ip(1)は、 Ip(1)=Tp・Ip(0) …(39) であり、さらに第2のダイクロイックミラー17を透過し
た後の蛍光のp偏光成分の強度Ip(2)は、 Ip(2)=Ts・Ip(1)=Ts・Tp・Ip(0)…(40) である。
一方、試料7で発生し対物レンズ6を通過した蛍光の
s偏光成分(ダイクロイックミラー5を基準)の強度を
Is(0)とすると、この偏光成分が第1のダイクロイッ
クミラー5を透過した後の強度Is(1)は、 Is(1)=Ts・Is(0) …(41) であり、さらに第2のダイクロイックミラー17を透過し
た後の蛍光のs偏光成分の強度Is(2)は、 Is(2)=Tp・Is(1)=Tp・Ts・Is(0)…(42) である。
すなわち、 であり、ダイクロイックミラー5および17の応答は、蛍
光のp偏光成分およびs偏光成分の何れに対しても相等
しい。
図10図に示す偏光性測定装置の受光光学系(試料から
光検出器に到るまでの光学系)では、p偏光およびs偏
光の蛍光(ダイクロイックミラー5を基準)それぞれに
対する応答の相違は、主にダイクロイックミラー5に起
因する。しかし、図20Aおよび図20Bに示す検出光学系を
有する偏光性測定装置の受光光学系では、ダイクロイッ
クミラー5および17におけるp偏光およびs偏光の蛍光
(ダイクロイックミラー5を基準)それぞれに対する応
答は相等しいので、受光光学系全体においてp偏光およ
びs偏光の蛍光それぞれに対する応答の相違は小さくな
る。
したがって、図20Aおよび図20Bに示す検出光学系を有
する偏光性測定装置では、第1のダイクロイックミラー
5に加えて第2のダイクロイックミラー17を備えたこと
により、受光光学系の偏光応答特性が改善され、また、
G因子に基づく偏光応答補正を行うので、高精度に蛍光
の偏光性を測定することができる。
以上に説明した偏光性測定方法および装置は、1光子
励起および多光子励起の何れの場合にも適用され得るも
のである。しかし、1光子励起の場合と比較して、多光
子励起の場合には更に顕著なる効果を奏する。そこで、
次に、1光子励起の場合と比較しつつ、2光子励起の場
合について説明する。
偏光性測定は、直線偏光の励起光を試料に照射するこ
とにより、試料中の蛍光プローブのうちで特定の方位に
分子軸を有するものを選択的に励起し、これにより生じ
る蛍光の偏光性を測定するものであり、この偏光性に基
づいて蛍光プローブの回転ブラウン運動の速さ等を検出
するものである。したがって、励起光の偏光方位に平行
な方位に分子軸を有する蛍光プローブのみが励起される
のが望ましい。しかし、実際には、励起光の偏光方位と
異なる方位に分子軸を有する蛍光プローブも或る確率で
励起される。
励起光の偏光方位と蛍光プローブの分子軸方位とがな
す角度をαとすると、蛍光プローブの分子軸方位の励起
光の振幅成分はcosαに比例する。したがって、1光子
励起の場合に、蛍光プローブが励起される確率(励起確
率)p1pは、その蛍光プローブの分子軸方位の励起光の
強度(すなわち、振幅の2乗)に比例するので、 p1p(α)=p0 1p・cos2α …(44) で表される。ここで、p0 1pは、1光子励起の場合におい
て、励起光の偏光方位に平行な方位(α=0)に分子軸
を有する蛍光プローブの励起確率である。一方、2光子
励起の場合の励起確率p2pは、その蛍光プローブの分子
軸方位の励起光の強度の2乗に比例するので、 p2p(α)=p0 2p・cos4α …(45) で表される。ここで、p0 2pは、2光子励起の場合におい
て、励起光の偏光方位に平行な方位(α=0)に分子軸
を有する蛍光プローブの励起確率である。
図21は、1光子励起の場合の励起確率p1p(α)およ
び2光子励起の場合の励起確率p2p(α)それぞれを示
すグラフである。ここでは、α=0のときの励起確率で
あるp0 1pおよびp0 2pそれぞれの値を1に規格化してあ
る。この図に示すように、1光子励起の場合よりも、2
光子励起の場合の方が、角度αの絶対値が大きくなるに
従い、励起確率は急激に減少している。すなわち、励起
光の偏光方位に平行な方位(α=0)に分子軸を有する
蛍光プローブの励起確率に対して、励起光の偏光方位と
異なる方位(α≠0)に分子軸を有する蛍光プローブの
励起確率は、1光子励起の場合よりも、2光子励起の場
合の方が小さい。したがって、試料中で蛍光プローブの
分子軸の方位がランダムに配向している系において偏光
性測定を行う場合には、1光子励起の場合よりも、2光
子励起の場合の方が、励起光の偏光方位に平行な分子軸
を有する蛍光プローブは、より選択的に励起される。
次に、1光子励起の場合および2光子励起の場合それ
ぞれについて、上記の励起確率で励起された蛍光プロー
ブから発生する蛍光の異方性比P2を求める。図22は、励
起光の偏光方位と蛍光プローブの分子軸の方位との関係
を説明する図である。xyz直交座標系を設定し、励起光
の伝搬方向をx方向とし、励起光の偏光方位Pをz方向
とする。蛍光プローブの分子軸の方位Aおよび蛍光の偏
光方位Eは、互いに同一であって、z軸と角度αをな
し、xy平面への投影がx軸と角度βをなすものとする。
また、蛍光プローブの分子軸の方位はランダムに配向し
ているものとする。
この場合、蛍光プローブから発生する蛍光の強度をk
とすると、その蛍光のz軸方位の成分の強度iz、x軸方
位の成分の強度ixおよびy軸方位の成分の強度iyそれぞ
れは、 iz=k・cos2α …(46a) ix=k・sin2α・cos2β …(46b) iy=k・sin2α・sin2β …(46c) で表される。
また、分子軸の方位Aがαとα+dαとの間およびβ
とβ+dβとの間にある蛍光プローブの数は、 sinα・dα・dβ …(47) に比例する。したがって、励起光により励起された蛍光
プローブのうちで、分子軸の方位A(すなわち、蛍光の
偏光方位E)がαとα+dαとの間およびβとβ+dβ
との間にある蛍光プローブの数は、(44)式、(45)式
および(47)式より、1光子励起の場合には、 cos2α・sinα・dα・dβ≡Ω1p(α)・dα・d
β …(48) に比例し、2光子励起の場合には、 cos4α・sinα・dα・dβ≡Ω2p(α)・dα・d
β …(49) に比例する。
また、一般に、励起光照射により励起された蛍光プロ
ーブのうちで分子軸の方位Aがz軸に対し角度αである
蛍光プローブの分布をΩ(α)とすると、蛍光プローブ
の集団である試料から発生する蛍光のz軸方位の成分の
強度Iz、x軸方位の成分の強度Ixおよびy軸方位の成分
の強度Iyそれぞれは、(46a),(46b),(46c)式よ
り、 で表され、また、 Iz≠Ix=Iy …(51) である。なお、Kは、比例定数である。
さらに、一般に、蛍光の異方性比P2は、励起光の偏光
方位に平行な蛍光偏光成分の強度Izと励起光の偏光方位
に垂直な蛍光偏光成分の強度IxまたはIyとの差を、全蛍
光量Ix+Iy+Izで割ったものであり、 P2=(Iz−Ix)/(Iz+2Ix) …(52) で表される。この(52)式に(50a),(50b),(50
c)式を代入すると、 P2=(3・<cos2α>−1)/2 …(53) が得られる。ただし、 である。
以上より、1光子励起の場合、励起直後(すなわち、
蛍光プローブの回転ブラウン運動により偏光解消を受け
る前)の蛍光の異方性比P2 1p(0)の値は、(48)式の
Ω1p(α)を(54)式のΩ(α)に代入して(53)式よ
り得られ、 P2 1p(0)=2/5=0.4 …(55) である。一方、2光子励起の場合、励起直後の蛍光の異
方性比P2 2p(0)の値は、(49)式のΩ2p(α)を(5
4)式のΩ(α)に代入して(53)式より得られ、 P2 2p(0)=4/7≒0.57 …(56) である。
このように、1光子励起の場合よりも、2光子励起の
場合の方が、蛍光の異方性比の初期値P2(0)は、1.43
倍(=0.57/0.4)だけ大きい。したがって、励起された
蛍光プローブが回転ブラウン運動していると、蛍光プロ
ーブから発生する蛍光の異方性比P2の値は、上記(55)
式または(56)式で示される初期値から次第に小さくな
っていくので、1光子励起の場合よりも、2光子励起の
場合の方が、偏光性測定のダイナミックレンジは、1.43
倍広い。また、定常光励起の場合も同様である。
次に、1光子励起の場合および2光子励起の場合それ
ぞれにおける偏光性測定の感度について検討する。励起
直後において、励起光の偏光方位と平行な蛍光偏光成分
の強度Ip(=Iz)と、励起光の偏光方位に垂直な蛍光偏
光成分の強度Is(=Iy)との比は、(50a),(50b),
(50c)式より、 で表される。1光子励起の場合には、(48)式のΩ
1p(α)を(57)式のΩ(α)に代入して、 Is/Ip=1/3 …(58) が得られ、2光子励起の場合には、(49)式のΩ
2p(α)を(57)式のΩ(α)に代入して、 Is/Ip=1/5 …(59) が得られる。したがって、励起された蛍光プローブが回
転ブラウン運動することにより、比Is/Ipは、1光子励
起の場合には1/3から1まで変化するのに対して、2光
励起の場合には1/5から1まで変化するので、1光子励
起の場合よりも、2光子励起の場合の方が、偏光性測定
の感度は高い。
次に、1光子励起の場合および2光子励起の場合それ
ぞれにおいて、一定の強度で連続的に励起されている蛍
光プローブから発生する蛍光の偏光性の測定感度につい
て検討する。蛍光寿命をτとし、蛍光プローブの回転相
関時間をθとし、蛍光の異方性比の最大値((55)式ま
たは(56)式で与えられる値)をP2(0)とすると、蛍
光の異方性比P2は、 で表される。ここで、回転相関時間θは、蛍光プローブ
の回転ブラウン運動の速さを特徴付ける量であり、ター
ゲットに結合している蛍光プローブとフリー状態にある
蛍光プローブとでは異なる値となる。回転相関時間θ
は、蛍光プローブが球状粒子である場合には、蛍光プロ
ーブの体積をVとし、溶媒の絶対温度をTとし、溶媒の
粘度をηとし、ボルツマン定数をkとすると、 で表される。
図23は、1光子励起の場合(細線)および2光子励起
の場合(太線)それぞれについて、定常光励起の場合の
蛍光の異方性比P2((60)式)の値をθ/τに対してプ
ロットしたグラフである。また、第24図は、1光子励起
の場合(細線)および2光子励起の場合(太線)それぞ
れについて、定常光励起の場合の蛍光の異方性比P
2((60式)のθ/τに対する傾斜をプロットしたグラ
フである。これらの図から判るように、1光子励起の場
合(細線)よりも、2光子励起の場合(太線)の方が、
蛍光の異方性比P2の値は大きく、また、蛍光の異方性比
P2のθ/τに対する傾斜も大きい。したがって、1光子
励起の場合よりも、2光子励起の場合の方が、蛍光の異
方性比P2は、θ/τの変化に対して敏感である。
上記(60)式をθに関して微分すると、 が得られる。1光子励起の場合と2光子励起の場合とで
蛍光寿命τが同一であれば、(55)式および(56)式よ
り P2 2p(0)>P2 1p(0) …(63) であるので、 となる。すなわち、1光子励起の場合よりも、2光子励
起の場合の方が、蛍光の異方性比P2は回転相関時間θの
変化に対して感度が高い。
次に、1光子励起の場合および2光子励起の場合それ
ぞれにおいて、蛍光の偏光性測定値のS/N比について検
討する。蛍光の異方性比P2の平均値を<P2>で表し、異
方性比P2の標準偏差をσとし、励起光の偏光方位と平行
な蛍光偏光成分の光検出器への入射光子数を<np>と
し、励起光の偏光方位に垂直な蛍光偏光成分の光検出器
への入射光子数を<ns>とし、光検出器の光電変換面の
量子効率をεとすると、蛍光の偏光性測定値のS/N比
は、 で与えられる。定常光励起の場合、 であるから、(65)式は、 となる。
したがって、1光子励起の場合と2光子励起の場合と
で同一光子数の蛍光が得られれば、1光子励起の場合よ
り、2光子励起の場合の方が、S/N比は1.43倍大きい。
また、1光子励起の場合と2光子励起の場合とで、τ/
θの同一値に対して同一のS/N比を得る為に必要な光子
数の比は、 である。すなわち、1光子励起の場合と比較して、2光
子励起の場合には、τ/θの同一値に対して同一のS/N
比を得る為に必要な光子数は、1/2でよい。
次に、1光子励起の場合および2光子励起の場合それ
ぞれにおいて、偏光性測定値の標準偏差(ノイズ)σが
与えられたときの蛍光プローブの回転相関時間θの検出
限界について検討する。回転相関時間の値θに対する平
均異方性比を<P2(θ)>とし、回転相関時間に値θ+
Δθに対する平均異方性比を<P2(θ+Δθ)>とし、
回転相関時間θの検出限界をΔθとすれば、 <P2(θ+Δθ)>−<P2(θ)>=σ …(69) が成り立つ。これより、回転相関時間θの検出限界Δθ
を表す式として、 が得られる。(63)式および(70)式より、1光子励起
の場合よりも、2光子励起の場合の方が、同一ノイズの
条件の下では回転相関時間θの検出限界Δθは高い。
以上では、蛍光の異方性比P2について、1光子励起の
場合と2光子励起の場合それぞれについて述べたが、他
の偏光性(P1,P3,P4)についても同様である。また、2
光子励起の場合であっても、1光子励起の場合と同様
に、G因子に基づく偏光応答補正を行うことにより、蛍
光の偏光性の2次元画像を顕微鏡下で高精度に測定する
ことができる。2光子励起の場合には、これに加えて、
励起光の偏光方位に平行な分子軸を有する蛍光プローブ
は選択的に励起されるので、偏光性(P1,P2,P3,P4)の
初期値は大きく、偏光性測定のダイナミクレンジは広
く、偏光性測定の回転相関時間θに対する感度は高く、
偏光性測定値のS/N比は大きく、同一のS/N比を得る為に
必要な光子数は少なくてよく、また、回転相関時間θの
検出限界Δθは高く、1光子励起の場合よりも更に優れ
た効果を奏する。
以上の理論を検証するため、以下のような実験を行っ
た。蛍光プローブとしてBODIPY色素を用い、このBODIPY
色素をエタノールおよいグリセロールを含む溶液中に溶
かした溶液を試料とした。この蛍光プローブの回転相関
時間θすなわち回転ブラウン運動の速さの調整は、溶液
の粘度ηすなわちグリセロールの割合を調整することに
より行った。なお、回転ブラウン運動の速さは、溶液の
粘度ηに反比例する。
ここで用いた偏光性測定装置は、図10に示した構成と
し、顕微鏡下で偏光性の測定を行った。パルス励起光源
1としてモード同期チタンサファイアレーザ光源が用い
られ、2光子励起の場合には、このレーザ光源から出力
されたレーザ光(波長920nm、パルス幅200フェムト秒、
繰り返し周波数76MHz)が励起光として用いられ、1光
子励起の場合には、その第2高調波(波長460nm、繰り
返し周波数100kHz)が励起光として用いられた。対物レ
ンズ6として、倍率20倍のものが用いられた。また、ゲ
ート機能付イメージインテンシファイア13,14のゲート
が常に開いている状態で用いられた。
図25は、1光子励起の場合および2光子励起の場合そ
れぞれについて、グリセロール割合に対して、蛍光の異
方性比P2および標準偏差σの測定値をまとめた図表であ
る。また、第26図は、1光子励起の場合(細線)および
2光子励起の場合(太線)それぞれについて、グリセロ
ール割合に対して、蛍光の異方性比P2の測定値をプロッ
トしたグラフである。これらの図から判るように、1光
子励起の場合および2光子励起の場合の何れも、グリセ
ロール割合が多いほど、すなわち、溶液の粘度ηが大き
く回転相関時間θが大きいほど、蛍光の異方性比P2が大
きい。また、1光子励起の場合よりも、2光子励起の場
合の方が、蛍光の異方性比P2が大きい。これらは、上述
した理論に合致するものである。さらに、1光子励起の
場合に対する2光子励起の場合の蛍光の異方性比P2の比
は、グリセロール割合50%で1.15であり、60%で1.19で
あり、70%で1.41であり、80%で1.40であり、90%で1.
31であり、グリセロール割合70%および80%では理論値
1.43に近い値が得られた。
図27は、1光子励起の場合および2光子励起の場合そ
れぞれについて、グリセロール割合の10%増に対して、
蛍光の異方性比P2の増分ΔP2をまとめた図表である。ま
た、図28は、1光子励起の場合(細線)およい2光子励
起の場合(太線)それぞれについて、グリセロール割合
の10%増に対して、蛍光の異方性比P2の増分ΔP2の値を
プロットしたグラフである。これらの図から判るよう
に、1光子励起の場合よりも、2光子励起の場合の方
が、蛍光の異方性比P2の増分ΔP2が大きい。これらは、
上述した理論に合致するものである。さらに、1光子励
起の場合に対する2光子励起の場合の蛍光の異方性比P2
の増分ΔP2の比は、平均1.42であり、理論値1.43に近い
値が得られた。
図29は、1光子励起の場合および2光子励起の場合そ
れぞれについて、グリセロール割合に対して、蛍光の異
方性比P2を標準偏差σで割った値(P2/σ)、および、
蛍光の異方性比P2の増分ΔP2を標準偏差σで割った値
(ΔP2/σ)をまとめた図表である。図30は、1光子励
起の場合(細線)および2光子励起の場合(太線)それ
ぞれについて、グリセロール割合に対して、蛍光の異方
性比P2を標準偏差σで割った値(P2/σ)をプロットし
たグラフである。また、図31は、1光子励起の場合(細
線)および2光子励起の場合(太線)それぞれについ
て、グリセロール割合に対して、蛍光の異方性比P2の増
分ΔP2を標準偏差σで割った値(ΔP2/σ)をプロット
したグラフである。これらの図から判るように、1光子
励起の場合よりも、2光子励起の場合の方が、S/N比
(=P2/σ)は良く、また、回転相関時間θの検出限界
Δθ(ΔP2/σ)も高い。
次に、2光子励起の場合に好適に用いられ得る偏光性
測定装置の構成について説明する。
図10に示した構成の偏光性測定装置は、2光子励起の
場合にも用いられ得るものである。しかし、上述の理論
および実験結果で示したように、2光子励起により励起
された試料中の蛍光プローブから発生する蛍光の偏光性
測定は優れた効果を奏するものであるが、2光子励起の
場合には、励起光は非常に強力である必要であり、1光
子励起の場合と同程度の蛍光強度を得る為には、1光子
励起の場合の約100倍の励起光強度が必要である。それ
故、図10に示した構成では、試料7で反射・散乱されダ
イクロイックミラー5を透過してゲート機能付イメージ
インテンシファイア13,14に達する励起光は、1光子励
起の場合よりも強く、無視し得ない場合がある。そこ
で、図10に示した構成に加えて、ダイクロイックミラー
5とゲート機能付イメージインテンシファイア13,14そ
れぞれとの間の光路上に、励起光を遮断するフィルタを
追加して挿入するのが好適である。
また、より好適には、図20Aおよび図20Bに示す検出光
学系を有する偏光性測定装置が2光子励起の場合に用い
られ得る。すなわち、ダイクロイックミラー17は、ダイ
クロイックミラー5のもつ偏光特性を相殺するだけでな
く、強力な励起光の反射・散乱光を遮断するフィルタと
しても機能し、偏光測定のS/N比が改善される。
以上のように、本発明に係る偏光性測定方法および装
置によれば、蛍光プローブを含む試料から発生した蛍光
の偏光性(P1,P2,P3,P4)の2次元画像を顕微鏡下で得
ることができる。しかも、本発明に係る偏光性測定装置
のような顕微鏡下であっても、偏光応答補正を行うこと
で高精度な偏光性の測定を行うことができる。
なお、以上の実施形態の説明においては、偏光解消イ
メージングを例にして偏光性測定について説明したが、
2次元(イメージング)に限られるものではなく、0次
元(ポイント)や1次元の偏光性測定にも本発明は適用
可能であり、また、偏光解消の測定に限られるものでは
ない。また、試料に励起光を照射して発生した蛍光の偏
光性の測定について述べたが、ラマン散乱光の偏光性の
測定についても全く同様である。
産業上の利用可能性 以上のように、本発明に係る偏光性測定方法および装
置は、試料に第1の光束(励起光、照射光)が照射され
て発生した第2の光束(蛍光、ラマン散乱光)の偏光性
の2次元画像を顕微鏡下で測定することができる。した
がって、例えば、本発明が蛍光偏光解消イメージングに
用いられる場合には、ターゲットに結合した蛍光プロー
ブが存在する位置を高精度に特定することができ、試料
中のターゲットの挙動等を解析することができるので、
例えば細胞における諸機能の解明に貢献し得るものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−109949(JP,A) 特開 昭52−12881(JP,A) 特開 昭59−182341(JP,A) 特開 平1−209343(JP,A) 特開 昭58−117439(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01J 4/00 JOIS

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料に照射する第1の光束および前記試料
    から発生する第2の光束のうち何れか一方を反射し他方
    を透過する光束分岐手段を用いて、前記第1の光束を前
    記光束分岐手段を経て前記試料に照射し、該照射により
    前記試料から発生し前記光束分岐手段を経た前記第2の
    光束の偏光性を測定する偏光性測定方法であって、 前記第1の光束を前記光束分岐手段に対してp偏光とし
    て前記試料に照射したときに発生する前記第2の光束の
    p偏光成分の強度Ippおよびs偏光成分の強度Ipsを測定
    する第1のステップと、 前記第1の光束を前記光束分岐手段に対してs偏光とし
    て前記試料に照射したときに発生する前記第2の光束の
    p偏光成分の強度Ispおよびs偏光成分の強度Issを測定
    する第2のステップと、 偏光応答補正因子Gを G=[(Ipp・Isp)/(Ips・Iss)]1/2 なる式により求める第3のステップと、 前記偏光応答補正因子Gに基づいて偏光応答補正を行っ
    て前記第2の光束の偏光性を求める第4のステップと、 を備えることを特徴とする偏光性測定方法。
  2. 【請求項2】前記第2のステップは、前記第1のステッ
    プの測定時と同じ配置の前記試料に対して前記第1の光
    束を照射する、ことを特徴とする請求の範囲第1項記載
    の偏光性測定方法。
  3. 【請求項3】前記第1のステップは、前記所定方向を中
    心軸とする所定回転角度位置にある前記試料に対して前
    記第1の光束を照射し、 前記第2のステップは、前記中心軸について前記所定回
    転角度位置とは90度異なる回転角度位置にある前記試料
    に対して前記第1の光束を照射する、 ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の偏光性測定方
    法。
  4. 【請求項4】前記第4のステップは、前記第2の光束の
    偏光性Pを P1(p)=(Ipp−G・Ips)/(Ipp+G・Ips) または、 P1(s)=(G・Iss−Isp)/(G・Iss+Isp) なる式により求める、ことを特徴とする請求の範囲第1
    項記載の偏光性測定方法。
  5. 【請求項5】前記第4のステップは、前記第2の光束の
    偏光性Pを P2(p)=(Ipp−G・Ips)/(Ipp+2・G・Ips) または、 P2(s)=(G・Iss−Isp)/(G・Iss+2・Isp) なる式により求める、ことを特徴とする請求の範囲第1
    項記載の偏光性測定方法。
  6. 【請求項6】前記第4のステップは、前記第2の光束の
    偏光性Pを P3(p)=1−G・(Ips/Ipp) または、 P3(s)=G−(Isp/Iss) なる式により求める、ことを特徴とする請求の範囲第1
    項記載の偏光性測定方法。
  7. 【請求項7】前記第4のステップは、前記第2の光束の
    偏光性Pを P4(p)=(Ipp/Ips)−1G または、 P4(s)=G・(Iss/Isp)−1 なる式により求める、ことを特徴とする請求の範囲第1
    項記載の偏光性測定方法。
  8. 【請求項8】前記第1の光束は、前記試料により多光子
    吸収され得る波長を光束であり、前記第2の光束は、そ
    の多光子吸収に伴い発生する光束である、ことを特徴と
    する請求の範囲第1項記載の偏光性測定方法。
  9. 【請求項9】試料に照射する第1の光束および前記試料
    から発生する第2の光束のうち何れか一方を反射し他方
    を透過する光束分岐手段を用いて、前記第1の光束を前
    記光束分岐手段を経て前記試料に照射し、該照射により
    前記試料から発生し前記光束分岐手段を経た前記第2の
    光束の偏光性を測定する偏光性測定装置であって、 試料に照射する直線偏光の第1の光束を出力する光源部
    と、 前記光源部から出力された前記第1の光束の偏光方位を
    回転させる偏光方位回転手段と、 前記第1の光束が前記試料に照射されて発生した光束の
    うち前記光束分岐手段を経た前記第2の光束のp偏光成
    分およびs偏光成分それぞれの強度を検出する検出手段
    と、 前記偏光方位回転手段により前記光束分岐手段に対して
    p偏光とされた前記第1の光束が前記試料に照射された
    ときに前記検出手段により検出された前記第2の光束の
    p偏光成分の強度Ippおよびs偏光成分の強度Ips、並び
    に、前記偏光方位回転手段により前記光束分岐手段に対
    してs偏光とされた前記第1の光束が前記試料に照射さ
    れたときに前記検出手段により検出された前記第2の光
    束のp偏光成分の強度Ispおよびs偏光成分の強度Iss
    基づいて、 G=[(Ipp・Isp)/(Ips・Iss)]1/2 なる式により偏光応答補正因子Gを求める補正因子演算
    手段と、 前記偏光応答補正因子Gに基づいて偏光応答補正を行っ
    て前記第2の光束の偏光性を求める偏光性演算手段と、 を備えることを特徴とする偏光性測定装置。
  10. 【請求項10】前記補正因子演算手段は、一定配置にあ
    る前記試料について前記検出手段により検出された前記
    強度Ipp,Ips,IspおよびIssそれぞれに基づいて、前記偏
    光応答補正因子Gを求める、ことを特徴とする請求の範
    囲第9項記載の偏光性測定装置。
  11. 【請求項11】前記所定方向を中心軸として前記試料を
    回転させる試料回転手段を更に備え、 前記補正因子演算手段は、前記中心軸について所定回転
    角度位置にある前記試料について前記検出手段により検
    出された前記強度IppおよびIps、並びに、前記試料回転
    手段により前記中心軸について前記所定回転角度位置と
    は90度異なる回転角度位置に設定された前記試料につい
    て前記検出手段により検出された前記強度IspおよびIss
    に基づいて、前記偏光応答補正因子Gを求める、ことを
    特徴とする請求の範囲第9項記載の偏光性測定装置。
  12. 【請求項12】前記偏光性演算手段は、前記第2の光束
    の偏光性Pを P1(p)=(Ipp−G・Ips)/(Ipp+G・Ips) または、 P1(s)=(G・Iss−Isp)/(G・Iss+Isp) なる式により求める、ことを特徴とする請求の範囲第9
    項記載の偏光性測定装置。
  13. 【請求項13】前記偏光性演算手段は、前記第2の光束
    の偏光性Pを P2(p)=(Ipp−G・Ips)/(Ipp+2・G・Ips) または、 P2(s)=(G・Iss−Isp)/(G・Iss+2・Isp) なる式による求める、ことを特徴とする請求の範囲第9
    項記載の偏光性測定装置。
  14. 【請求項14】前記偏光性演算手段は、前記第2の光束
    の偏光性Pを P3(p)=1−G・(Ips/Ipp) または、 P3(s)=G−(Isp/Iss) なる式により求める、ことを特徴とする請求の範囲第9
    項記載の偏光性測定装置。
  15. 【請求項15】前記偏光性演算手段は、前記第2の光束
    の偏光性Pを P4(p)=(Ipp/Ips)−G または、 P4(s)=G・(Iss/Isp)−1 なる式により求める、ことを特徴とする請求の範囲第9
    項記載の偏光性測定装置。
  16. 【請求項16】前記光源部は、前記試料により多光子吸
    収され得る波長の光束を前記第1の光束として出力する
    とともに、前記検出手段は、その多光子吸収に伴い発生
    する光束を前記第2の光束として検出する、ことを特徴
    とする請求の範囲第9項記載の偏光性測定装置。
  17. 【請求項17】試料に照射する第1の光束を出力する光
    源部と、 前記第1の光束を前記試料に照射し、該照射により前記
    試料から発生した第2の光束を入力し、前記第1の光束
    および前記第2の光束のうち何れか一方を反射し他方を
    透過する第1の光束分岐手段と、 前記第1の光束分岐手段の分光特性と等しい分光特性を
    有し、前記第1の光束分岐手段における前記第2の光束
    に対する入射面と90度異なる入射面を有し、前記第1の
    光束分岐手段から出力された前記第2の光束を入力する
    第2の光束分岐手段と、 前記第2の光束分岐手段を経た前記第2の光束のp偏光
    成分およびs偏光成分それぞれの強度を検出する検出手
    段と、 前記検出手段により検出された前記第2の光束のp偏光
    成分およびs偏光成分それぞれの強度に基づいて前記第
    2の光束の偏光性を測定する偏光性演算手段と、 を備えることを特徴とする偏光性測定装置。
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