JP3994568B2 - 偏光性測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料に光が照射されたことにより発生する蛍光やラマン散乱光の偏光性を測定する偏光性測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
試料に光を照射すると、その光と同一波長の光が反射光や散乱光として生じるが、その他にも、その照射光の波長とは異なる波長の光(例えば、蛍光、ラマン散乱光)も発生する場合がある。この蛍光やラマン散乱光の強度を測定することにより、その試料に関する有益な情報が得られるが、これらの偏光性を測定することによっても試料に関する有益な情報が得られる。
【0003】
例えば、蛍光プローブにより蛍光標識された試料に励起光を照射し、その試料から発生する蛍光の偏光解消を測定することにより、その蛍光プローブが結合したターゲットが存在するか否かを知ることができる。すなわち、蛍光標識された試料に直線偏光のパルス励起光が照射されると、その蛍光プローブから蛍光が発生する。その蛍光の偏光状態は、励起光照射当初は直線偏光であるが、蛍光プローブがブラウン運動により不規則な回転を行うと、励起された蛍光プローブの分子軸が乱れ、そのために、時間の経過とともに蛍光の偏光状態は解消され、遂には無偏光状態となる。この偏光解消の速度は、蛍光プローブがターゲットに結合している場合と、フリーな場合とでは異なるので、その偏光解消の速度の差異を利用して、蛍光プローブが結合したターゲットの存否を知ることができる。
【0004】
したがって、顕微鏡下で、この蛍光の偏光解消の度合いの2次元像を測定することができれば、蛍光プローブが結合したターゲットが存在する位置を特定することができ、また、試料中のターゲットの挙動等を解析することができる。それ故、例えば、一般に生体分子間の相互作用に基づく生理的な反応の解析、すなわち、細胞における諸機能の解明に貢献し得るものとして期待されている。同様に、顕微鏡下でラマン散乱光の偏光性の2次元像を測定することによっても、試料に関する有益な情報が得られるものと期待されている。
【0005】
従来の偏光性測定技術では、角柱型の透明容器であるキュベットに試料を容れて、市販の分光光度計を用いて測定が行われている。すなわち、試料が容れられたキュベットに直線偏光の励起光を照射し、試料から生じる蛍光のうち励起光の入射方向と直交する方向に向かう蛍光を偏光子を介して受光し、この受光結果に基づいて、蛍光の偏光性を特徴づける異方性比または偏光度を測定する。しかし、この従来の方法では、精製された均一な試料についてしか測定をすることができない。
【0006】
そこで、顕微鏡を用いて偏光性を測定する偏光性測定装置が提案されている(例えば特開昭63−168543号公報を参照)。この装置では、細胞や組織等の複雑な試料の偏光性を測定することができ、試料中の生体分子間の相互作用を2次元的に検出することが可能である。
【0007】
図8は、従来の偏光性測定装置の構成図である。この図に示す装置では、光源1から出力された励起光は、コレクタレンズ2により開口絞り18の位置に集光される。この開口絞り18の開口の形状は円形である。開口絞り18の開口を通過した励起光は、リレーレンズ4を透過し、偏光子5により直線偏光とされ、視野絞り6に到達する。視野絞り6の開口を通過した励起光は、視野レンズ7を透過し、試料12中の蛍光物質を励起し得る波長成分が励起フィルタ8により選択され、ダイクロイックミラー9により反射され、対物レンズ10の後側焦点面11に開口絞り18の開口の実像が形成される。対物レンズ10を透過した励起光は、開口絞り18の開口径に応じた開口角で試料12に照射され、試料12中の蛍光物質を励起する。
【0008】
試料12への励起光の照射に伴い試料12から発生した蛍光は、対物レンズ10により集光され、ダイクロイックミラー9および励起光カットフィルタ13を透過して検光子14に到達する。検光子14は、蛍光を受光する光軸を中心に回転自在であり、励起光の直線偏光方位に平行または垂直な方位に光学軸が設定される。検光子14を透過した蛍光は、結像レンズ15により結像され、イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16により撮像される。イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16により撮像された蛍光画像は、画像処理部17により蓄積される。そして、画像処理部17では、励起光の偏光方位に平行な偏光方位の蛍光画像をIp(x,y)とし、励起光の偏光方位に垂直な偏光方位の蛍光画像をIs(x,y)として、試料12における異方性比画像r(x,y)が、
r(x,y)=[Ip(x,y)−Is(x,y)]/[Ip(x,y)+2Is(x,y)]
なる式で求められる。ここで、x,yは各画像上の座標である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の偏光性測定装置は、分光光度計を用いた測定系においては現れない問題点を有していることを本願発明者は見出した。その問題点の一つは、対物レンズ10の開口数と測定精度との関係である。
【0010】
図9は、対物レンズの開口数の各値それぞれについて測定された異方性比を示すグラフである。対物レンズとして、開口数0.50(倍率20)、開口数0.75(倍率40)および開口数1.30(倍率100)の3種類を用いた。試料は、グリセロールを含む均質なFITC(fluorescein isothiocyanate)色素溶液であり、グリセロールの割合を変えることにより粘度を変えた。すなわち、グリセロールの割合が大きいほど、試料の粘度が高く、色素分子の回転ブラウン運動が遅くなり、異方性比が高くなる。図9では、横軸がグリセロール濃度(%)であり、縦軸が異方性比である。
【0011】
このグラフから判るように、対物レンズの開口数が大きいほど、測定されて得られた異方性比が低下している。対物レンズの開口数が1.30である場合に、特に顕著に低下している。
【0012】
図10は、開口絞りの開口径の各値それぞれについて測定された異方性比を示すグラフである。ここでは対物レンズとして倍率100倍のものを用いた。開口絞りの開口径は大/小の2種類とした。このグラフから判るように、開口絞りの開口径が大きい場合が、測定されて得られた異方生比が低下している。
【0013】
以上のことから、偏光性測定装置において異方性比を精度よく測定する為には、対物レンズの開口数は小さい方が好ましいことが判る。しかし、その一方で、開口数が小さくなると、試料に照射される励起光のパワーや検出する蛍光のフォトン数が減少し、異方性比画像r(x,y)のノイズが増大しS/N比が悪くなる。
【0014】
以上の議論は、偏光解消を測定する場合に限られるものではなく、より広い概念の偏光性を測定する場合にも当てはまり、また、蛍光の偏光性の測定の場合に限られるものではなく、ラマン散乱光の偏光性の測定の場合でも当てはまる。
【0015】
本発明は、本願発明者が見出した上記問題点を解消する為になされたものであり、検出し得る蛍光またはラマン散乱光のフォトン数の減少を抑制しつつ、蛍光またはラマン散乱光の偏光性を精度よく測定することができる偏光性測定装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る偏光性測定装置は、照射手段により直線偏光の第1の光束を対物レンズを介して試料に照射するとともに、その照射に伴い試料から発生した第2の光束の偏光性を測定する偏光性測定装置であって、照射手段は、対物レンズの後側焦点面または該後側焦点面の共役面において、直線偏光の偏光方位に垂直な第1方位の第1の光束の幅が、該偏光方位に平行な第2方位の第1の光束の幅より大きくなるようにして、第1の光束を対物レンズを介して試料に照射する、ことを特徴とする。この偏光性測定装置によれば、対物レンズの後側焦点面または共役面において、偏光方位に垂直な第1方位の第1の光束の幅が、該偏光方位に平行な第2方位の第1の光束の幅より大きいので、検出し得る第2の光束(蛍光、ラマン散乱光)のフォトン数の減少を抑制しつつ、第2の光束の偏光性を精度よく測定することができる。
【0017】
ここで、照射手段は、第1の光束を出力する光源と、後側焦点面または共役面に配され第1方位の開口幅が第2方位の開口幅より大きい開口絞りと、を備えるのが好適である。そして、この開口絞りは、第1方位の開口幅および第2方位の開口幅の双方または何れか一方が調整可能であるのが好適である。この場合には、開口絞りの開口面積を調整することにより、検出し得る第2の光束のフォトン数すなわちS/N比を適切に設定することができ、また、第2方位の開口幅を調整することにより、第2の光束の偏光性の測定精度を適切に設定することができる。また、開口絞りは、第1の光束の光軸を中心に回転自在であるのが好適であり、この場合には、種々の直線偏光方位の第1の光束を試料に対して照射することができ、偏光方位に依存して光学系が異なる応答を示すことに因り生じる偏光性測定誤差を補正(偏光応答補正)することができる。
【0018】
また、照射手段は、後側焦点面または共役面において、第1方位にアレイ状に配された複数の点光源を備えるのも好適であり、第1方位の発光幅が第2方位の発光幅より大きい面発光素子を備えるのも好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下では、試料に励起光を照射して該試料から発生した蛍光の偏光性を測定する偏光性測定装置について説明するが、試料に光を照射して該試料から発生するラマン散乱光の偏光性を測定する場合も同様である。
【0020】
図1は、本実施形態に係る偏光性測定装置の構成図である。本実施形態に係る偏光性測定装置は、光源1、コレクタレンズ2、開口絞り3、リレーレンズ4、偏光子5、視野絞り6、視野レンズ7、励起フィルタ8、ダイクロイックミラー9、対物レンズ10、励起光カットフィルタ13、検光子14、結像レンズ15、イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16および画像処理部17を備える。
【0021】
光源1は、試料12中の蛍光物質を励起し得る波長を含む波長帯域の励起光を出力する。コレクタレンズ2は、光源1から出力された励起光を入力し、開口絞り3の位置に集光する。開口絞り3は、対物レンズ10の後側焦点面11の共役面に配置され、第1方位に長いスリット形状の開口を有しており、コレクタレンズ2により集光された励起光のうち該開口を通過したものを出力する。リレーレンズ4および視野レンズ8は、開口絞り3の開口の実像を後側焦点面11に結像させる。偏光子5は、リレーレンズ4から出力された励起光を入力し、上記第1方位に直交する第2方位の直線偏光として出力する。なお、図1では、第1方位は紙面に平行な方向として示され、第2方位は紙面に垂直な方向として示されている。
【0022】
視野絞り6は、偏光子5により直線偏光とされた励起光を入力して、その開口を通過させる。励起フィルタ8は、視野レンズ7から出力された励起光のうち、試料12中の蛍光物質を励起し得る波長成分を選択して出力する。ダイクロイックミラー9は、その励起光を選択的に反射させるとともに、試料12から発生した蛍光を透過させる。対物レンズ10は、ダイクロイックミラー9により反射された励起光を試料12に集光照射して試料12中の蛍光物質を励起するとともに、試料12から発生した蛍光をダイクロイックミラー9に向けて出力する。
【0023】
励起光カットフィルタ13は、ダイクロイックミラー9を透過した蛍光を透過させるとともに、試料12で散乱されダイクロイックミラー9を僅かに透過した励起光を遮断する。検光子14は、励起光カットフィルタ13から出力された蛍光のうち上記第1方位および上記第2方位のうち何れかの偏光成分を透過させるよう光学軸が設定されている。結像レンズ15は、検光子14から出力された蛍光を結像し、イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16は、その蛍光の像を撮像する。画像処理部17は、イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16により撮像された蛍光画像に基づいて、所定の処理を行う。
【0024】
本実施形態に係る偏光性測定装置は以下のように動作する。光源1から出力された励起光は、コレクタレンズ2により開口絞り3の位置に集光される。この開口絞り3の開口の形状はスリット状である。開口絞り3の開口を通過した励起光は、リレーレンズ4を透過し、偏光子5により直線偏光とされ、視野絞り6に到達する。視野絞り6の開口を通過した励起光は、視野レンズ7を透過し、試料12中の蛍光物質を励起し得る波長成分が励起フィルタ8により選択され、ダイクロイックミラー9により反射され、対物レンズ10の後側焦点面11に開口絞り3の開口の実像が形成される。対物レンズ10を透過した励起光は、開口絞り3の開口形状に応じた開口角で試料12に照射され、試料12中の蛍光物質を励起する。
【0025】
試料12への励起光の照射に伴い試料12から発生した蛍光は、対物レンズ10により集光され、ダイクロイックミラー9および励起光カットフィルタ13を透過して検光子14に到達する。検光子14は、蛍光を受光する光軸を中心に回転自在であり、励起光の直線偏光方位に平行または垂直な方向に光学軸が設定される。検光子14を透過した蛍光は、結像レンズ15により結像され、イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16により撮像される。イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16により撮像された蛍光画像は、画像処理部17により蓄積される。そして、画像処理部17では、励起光の偏光方位に平行な偏光方位の蛍光画像をIp(x,y)とし、励起光の偏光方位に垂直な偏光方位の蛍光画像をIs(x,y)として、試料12における異方性比画像r(x,y)が、
r(x,y)=[Ip(x,y)−Is(x,y)]/[Ip(x,y)+2Is(x,y)]
なる式で求められる。ここで、x,yは各画像上の座標である。
【0026】
本実施形態では、開口絞り3は、対物レンズ10の後側焦点面11の共役面に配置されており、第1方位に長いスリット形状の開口を有している。一方、偏光子5は、上記第1方位に直交する第2方位の直線偏光として励起光を出力する。このことから、本実施形態に係る偏光性測定装置は、イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16に到達し得る蛍光のフォトン数の減少を抑制しつつ、蛍光の偏光性を精度よく測定することができる。この点について以下に詳しく説明する。
【0027】
座標軸を図2に示すように設定する。試料面上に原点をとり、試料面上にx軸およびy軸をとり、また、光軸に一致してz軸をとる。対物レンズ10から試料12に向けて励起光光線が入射する方位とz軸(光軸)とがなす角度をθとする。その励起光光線の入射面とyz平面とがなす角度をφとする。また、対物レンズ10に入射する前での励起光の偏光方位すなわち第2方位はy軸に平行であって、第1方位はx軸に平行であるとする。
【0028】
図3は、蛍光分子の分子軸がランダムに分布している試料で観察される最大の異方性比(すなわち、蛍光分子の回転ブラウン運動により蛍光の偏光解消が引き起こされる前の異方性比)を角度θおよび角度φに対して求めたシミュレーション結果を示すグラフである。このグラフから判るように、角度θに対する異方性比の依存性は、角度φが90°であるときには無く、角度φが小さいほど大きくなり、角度φが0°であるときに最大となる。すなわち、角度φが小さいときには、角度θが大きいほど異方性比は小さくなる。励起光入射角に対する異方性比の依存性は、励起光の偏光方位に垂直な第1方位(φ=90°)については無く、励起光の偏光方位に平行な第2方位(φ=0°)については大きい。
【0029】
図4は、角度φが0°の場合および90°の場合それぞれについて異方性比を角度θに対して求めた実験結果を示すグラフである。このグラフには、実測値(○印および×印)だけでなく、理論値(無印の実線および破線)も示されている。このグラフからも判るように、励起光入射角に対する異方性比の依存性は、励起光の偏光方位に垂直な第1方位(φ=90°)については無く、励起光の偏光方位に平行な第2方位(φ=0°)については大きい。この実測値は理論値とよく一致している。
【0030】
次に、対物レンズの瞳面での光線座標と異方性比との関係について考察する。対物レンズ10の瞳面すなわち後側焦点面11を励起光光線が通過する座標を(X,Y)とする。励起光の偏光方位すなわち第2方位は、Y軸に平行であるとする。図5は、蛍光分子の分子軸がランダムに分布している試料で観察される最大の異方性比(すなわち、蛍光分子の回転ブラウン運動により蛍光の偏光解消が引き起こされる前の異方性比)を座標値(X,Y)に対して求めたシミュレーション結果を示すグラフである。このグラフから判るように、異方性比は、座標値Xの値に対しては略一定であるが、座標値Yの値に対しては大きく依存する。すなわち、座標値Yの絶対値が大きいほど異方性比は小さい。
【0031】
以上のシミュレーション結果および実験結果は、対物レンズ10の後側焦点面11において、励起光の偏光方位に平行な第2方位(Y軸方位)についてのみ励起光の光束幅を制限すればよく、励起光の偏光方位に垂直な第1方位(X軸方位)については励起光の光束幅を制限する必要がないことを示している。そこで、本実施形態では、図1および図6に示すように、開口絞り3の開口形状をスリット状として、偏光方位に垂直な第1方位(X軸方位)の開口幅が偏光方位に平行な第2方位(Y軸方位)の開口幅より大きくする。そして、この開口絞り3を対物レンズ10の後側焦点面11または該後側焦点面11の共役面に配置する。このようにすることにより、試料12に照射される励起光のパワーやイメージインテンシファイア付きCCDカメラ16に到達する蛍光のフォトン数の減少を抑制しつつ、蛍光の異方性比を精度よく測定することができる。
【0032】
次に、本実施形態に係る偏光性測定装置による効果を確認する実験の結果について説明する。図7は、本実施形態に係る偏光性測定装置を用いて異方性比を求めた結果を示すグラフである。このグラフは、本実施形態のように開口絞り3のスリット状開口の長手方向と励起光の偏光方位とを垂直にした場合(図中の○印)だけでなく、開口絞り3のスリット状開口の長手方向と励起光の偏光方位とを平行にした場合(図中の△印)、および。開口絞り3を用いない場合(図中の×印)をも示している。
【0033】
ここでは、対物レンズ10として倍率100倍で開口数1.30(油浸)のものを用いた。開口絞り3のスリット状開口の寸法は、3mm×50μmであった。用いた試料12は、グリセロールを含む均質なFITC(fluorescein isothiocyanate)色素溶液であり、グリセロールの割合を変えることにより粘度を変えた。すなわち、グリセロールの割合が大きいほど、試料の粘度が高く、色素分子の回転ブラウン運動が遅くなり、異方性比が高くなる。図7では、横軸がグリセロール濃度(%)であり、縦軸が異方性比である。
【0034】
このグラフから判るように、開口絞り3のスリット状開口の長手方向と励起光の偏光方位とを平行にした場合(△印)には、開口絞り3を用いない場合(×印)と比べて、測定により得られる異方性比は小さい。一方、本実施形態のように開口絞り3のスリット状開口の長手方向と励起光の偏光方位とを垂直にした場合(○印)には、他の2つの場合(△印、×印)と比べて、測定により得られる異方性比が大きな値をとっている。
【0035】
なお、開口絞り3は、第1方位の開口幅および第2方位の開口幅の双方または何れか一方が調整可能であるのが好適である。このようにすることにより、開口絞り3の開口面積を調整することで、イメージインテンシファイア付きCCDカメラ16に到達する蛍光のフォトン数すなわちS/N比を適切に設定することができ、また、第2方位の開口幅を調整することで、蛍光の異方性比の測定精度を適切に設定することができる。
【0036】
また、開口絞り3は、励起光の光軸を中心に回転自在であるのが好適である。この場合、偏光子5も、開口絞り3の長手方向である第1方位に垂直な第2方位の直線偏光として励起光を出力することができるよう回転自在であるのが望ましい。また、検光子14も、第1方位および第2方位それぞれの偏光成分を出力することができるよう回転自在であるのが望ましい。そして、このようにすることにより、種々の直線偏光方位の励起光を試料12に対して照射することができ、偏光方位に依存して光学系が異なる応答を示すことに因り生じる偏光性測定誤差を補正(偏光応答補正)することができる。
【0037】
また、開口絞り3の開口形状は、スリット状に限られるものではなく、例えば楕円状であってもよい。この場合には、その楕円の長軸方向と励起光の偏光方位とは互いに直交するように設定される。
【0038】
また、図1における光源1、コレクタレンズ2および開口絞り3に替えて、共役面である開口絞り3の開口位置に、励起光の偏光方位(第2方位)に直交する第1方位にアレイ状に配された複数の点光源を備えるようにしてもよいし、第1方位の発光幅が第2方位の発光幅より大きい面発光素子を備えるようにしてもよい。
【0039】
さらに、上記実施形態に係る偏光性測定装置は、励起光照射と蛍光検出とを共通の対物レンズで行う落射照明型の光学系のものであったが、本発明は、励起光照射用の対物レンズと蛍光検出用の対物レンズとが試料を挟んで対向して配される透過照明型の光学系のものにも適用可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、直線偏光の第1の光束を対物レンズを介して試料に照射する照射手段は、対物レンズの後側焦点面または該後側焦点面の共役面において、偏光方位に垂直な第1方位の第1の光束の幅が、該偏光方位に平行な第2方位の第1の光束の幅より大きくなるようにして、第1の光束を対物レンズを介して試料に照射する。このようにすることにより、対物レンズの後側焦点面または共役面において第1の光束の第1方位の幅が大きいことから、試料に照射される第1の光束のパワーや検出し得る第2の光束(蛍光、ラマン散乱光)のフォトン数の減少を抑制することができる。また、対物レンズの後側焦点面または共役面において第1の光束の第2方位の幅が小さいことから、第2の光束の偏光性を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る偏光性測定装置の構成図である。
【図2】座標軸を説明する図である。
【図3】蛍光分子の分子軸がランダムに分布している試料で観察される最大の異方性比を角度θおよび角度φに対して求めたシミュレーション結果を示すグラフである。
【図4】角度φが0°の場合および90°の場合それぞれについて異方性比を角度θに対して求めた実験結果を示すグラフである。
【図5】蛍光分子の分子軸がランダムに分布している試料で観察される最大の異方性比を座標値(X,Y)に対して求めたシミュレーション結果を示すグラフである。
【図6】本実施形態に係る偏光性測定装置における開口絞りの開口形状を説明する図である。
【図7】本実施形態に係る偏光性測定装置を用いて異方性比を求めた結果を示すグラフである。
【図8】従来の偏光性測定装置の構成図である。
【図9】対物レンズの開口数の各値それぞれについて測定された異方性比を示すグラフである。
【図10】開口絞りの開口径の各値それぞれについて測定された異方性比を示すグラフである。
【符号の説明】
1…光源、2…コレクタレンズ、3…開口絞り、4…リレーレンズ、5…偏光子、6…視野絞り、7…視野レンズ、8…励起フィルタ、9…ダイクロイックミラー、10…対物レンズ、11…後側焦点面、12…試料、13…励起光カットフィルタ、14…検光子、15…結像レンズ、16…イメージインテンシファイア付きCCDカメラ、17…画像処理部。

Claims (6)

  1. 照射手段により直線偏光の第1の光束を対物レンズを介して試料に照射するとともに、その照射に伴い前記試料から発生した第2の光束の偏光性を測定する偏光性測定装置であって、
    前記照射手段は、前記対物レンズの後側焦点面または該後側焦点面の共役面において、前記直線偏光の偏光方位に垂直な第1方位の前記第1の光束の幅が、該偏光方位に平行な第2方位の前記第1の光束の幅より大きくなるようにして、前記第1の光束を前記対物レンズを介して前記試料に照射する、ことを特徴とする偏光性測定装置。
  2. 前記照射手段は、前記第1の光束を出力する光源と、前記後側焦点面または前記共役面に配され前記第1方位の開口幅が前記第2方位の開口幅より大きい開口絞りと、を備えることを特徴とする請求項1記載の偏光性測定装置。
  3. 前記開口絞りは前記第1方位の開口幅および前記第2方位の開口幅の双方または何れか一方が調整可能であることを特徴とする請求項2記載の偏光性測定装置。
  4. 前記開口絞りは前記第1の光束の光軸を中心に回転自在であることを特徴とする請求項2記載の偏光性測定装置。
  5. 前記照射手段は前記後側焦点面または前記共役面において前記第1方位にアレイ状に配された複数の点光源を備えることを特徴とする請求項1記載の偏光性測定装置。
  6. 前記照射手段は前記後側焦点面または前記共役面において前記第1方位の発光幅が前記第2方位の発光幅より大きい面発光素子を備えることを特徴とする請求項1記載の偏光性測定装置。
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