JP2972842B2 - 有機非線形光学材料 - Google Patents

有機非線形光学材料

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JP2972842B2
JP2972842B2 JP3094960A JP9496091A JP2972842B2 JP 2972842 B2 JP2972842 B2 JP 2972842B2 JP 3094960 A JP3094960 A JP 3094960A JP 9496091 A JP9496091 A JP 9496091A JP 2972842 B2 JP2972842 B2 JP 2972842B2
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秀則 岡本
典宏 田中
敏夫 北島
俊夫 深谷
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  • Thiazole And Isothizaole Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた非線形光学効果
を有する2−ニトロチオフェン誘導体からなる非線形光
学材料に関する。
【0002】非線形光学材料は、レーザー光等の光を照
射した時にその光の波長変換や強度変調等の効果を有
し、光記録、情報処理、光通信等オプトエレクトロニク
ス分野に於て不可欠な材料として注目され、活発に研究
開発が行われている。
【0003】
【従来の技術】従来、非線形光学材料としては、リン酸
二水素カリウム(KDP)やニオブ酸リチウム(LN)
等の無機結晶がレーザー光の光波長変換素子や光シャッ
ター等として実用化されているが、これらの無機結晶は
操作性が悪く、かつ非線形光学効果も十分ではない。一
方、尿素、2−メチル−4ニトロアニリン(MNA)等
ある種の有機化合物は大きな非線形光学効果を有するこ
とが知られている。しかしながら、これらの有機化合物
の非線形光学効果もまだ十分満足されるものではなかっ
た。
【0004】一方、3位に置換又は非置換フェノキシ基
を有する2−ニトロチオフェン化合物は公知の化合物で
あり、除草活性等の生理活性を有することが報告されて
いる。しかしながら、該化合物を光学材料として利用す
る報告はなく、当然のことながら該化合物の非線形光学
活性については全く知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い非線形
光学効果を有する有機化合物を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、π電子共
役有機化合物が大きな非線形光学効果を有するという知
見に基づき、2−ニトロチオフェン誘導体の合成とその
非線形光学効果の測定を行ってきた。その結果、ある種
の2−ニトロチオフェン誘導体が高い非線形光学効果を
有することを見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は 一般式〔I〕
【0008】
【化2】 (式中、Rは水素原子又はハロゲン原子である。)で表
される2−ニトロチオフェン誘導体からなることを特徴
とする有機非線形光学材料である。
【0009】本発明の前記一般式〔I〕中、Rで示され
るハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子
等のハロゲン原子である。さらに、本発明の2−ニトロ
チオフェン誘導体を具体的に例示すると、2−ニトロ−
3−フェノキシチオフェン、2−ニトロ−3−(4−ヨ
ードフェノキシ)チオフェン、2−ニトロ−3−(4−
クロロフェノキシ)チオフェン、2−ニトロ−3−
(2,4−ジクロロフェノキシ)チオフェン、2−ニト
ロ−3−(2−クロロフェノキシ)チオフェン、2−ニ
トロ−3−(2−フルオロフェノキシ)チオフェン、2
−ニトロ−3−(3−ヨードフェノキシ)チオフェン等
が挙げられる。
【0010】本発明の2−ニトロチオフェン誘導体が高
い非線形光学活性を示す理由は明かではないが、例えば
2位のニトロ基の電子吸引性による効果的な分子内分極
の他、3位の酸素原子を介した2種の芳香環のπ電子の
広がり、及び反転対称性のない結晶構造を有しているこ
となどが考えられる。このことは、本発明の化合物の類
似化合物である、3−フェノキシチオフェン及び2−ニ
トロ−5−フェノキシチオフェン等の化合物の非線形光
学活性は不活性であることからも推測できる。本発明の
2−ニトロチオフェン誘導体の製造方法は特に限定され
ず、如何なる方法を用いてもよい。一般的には、3−ブ
ロモ−2−ニトロチオフェンとフェノール誘導体とを水
酸化カリウム等の塩基存在下で反応させることにより、
目的とする本発明の2−ニトロチオフェン誘導体を得る
ことができる。
【0011】
【発明の効果】本発明で提供する2−ニトロチオフェン
誘導体は、例えばNd:YAGレーザー(1064n
m)照射により強い第二次高調波(532nmの緑色
光)を発生する。
【0012】また、本発明で提供する2−ニトロチオフ
ェン誘導体は安定な結晶であり、単結晶としてだけでな
く、ファイバーや蒸着膜としても使用することができ、
光波長変換素子、光スイッチング素子等の素材用非線形
光学材料として有用な化合物である。
【0013】
【実施例】以下製造例及び実施例により、本発明をさら
に具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例及び実
施例に限定されるものではない。
【0014】製造例1 3−ブロモ−2−ニトロチオフェン(2.08g)、フ
ェノール(0.94g)及びN,N−ジメチルホルムア
ミド(20ml)からなる溶液に水酸化カリウム(0.
73g)を加え6時間室温にて攪拌した。反応終了後、
反応液を水に添加し、生成した固体を濾取した。得られ
た固体を石油エーテルで再結晶し、2−ニトロ−3−フ
ェノキシチオフェン(1.97g)を得た。融点は12
0.0〜120.5℃で、収率は85%であった。該化
合物の化合物No.をNo.1とする。
【0015】製造例2 3−ブロモ−2−ニトロチオフェン(2.08g)、4
−ヨードフェノール(1.14g)及びN,N−ジメチ
ルホルムアミド(20ml)からなる溶液に水酸化カリ
ウム(0.73g)を加え6時間室温にて攪拌した。反
応終了後、反応液を水に添加し、生成した固体を濾取し
た。得られた固体を石油エーテルで再結晶し、2−ニト
ロ−3−(4−ヨードフェノキシ)チオフェン(1.5
2g)を得た。融点は149.0〜150.0℃で、収
率は85%であった。該化合物の化合物No.をNo.
2とする。
【0016】製造例3 3−ブロモ−2−ニトロチオフェン(2.08g)、4
−クロロフェノール(1.29g)及びN,N−ジメチ
ルホルムアミド(20ml)からなる溶液に水酸化カリ
ウム(0.73g)を加え6時間室温にて攪拌した。反
応終了後、反応液を水に添加し、生成した固体を濾取し
た。得られた固体を石油エーテルで再結晶し、2−ニト
ロ−3−(4−クロロフェノキシ)チオフェン(2.1
9g)を得た。融点は124.5〜125.0℃で、収
率は86%であった。該化合物の化合物No.をNo.
3とする
【0017】製造例4 3−ブロモ−2−ニトロチオフェン(2.08g)、
2,4−ジクロロフェノール(1.63g)及びN,N
−ジメチルホルムアミド(20ml)からなる溶液に水
酸化カリウム(0.73g)を加え4時間室温にて攪拌
した。反応終了後、反応液を水に添加し、生成した固体
を濾取した。得られた固体を石油エーテルで再結晶し、
2−ニトロ−3−(2,4−ジクロロフェノキシ)チオ
フェン(2.46g)を得た。融点は110.5〜11
1.0℃で、収率は85%であった。該化合物の化合物
No.をNo.4とする。
【0018】製造例5 3−ブロモ−2−ニトロチオフェン(2.08g)、2
−クロロフェノール(1.29g)及びN,N−ジメチ
ルホルムアミド(20ml)からなる溶液に水酸化カリ
ウム(0.73g)を加え4時間室温にて攪拌した。反
応終了後、反応液を水に添加し、生成した固体を濾取し
た。得られた固体を石油エーテルで再結晶し、2−ニト
ロ−3−(2−クロロフェノキシ)チオフェン(2.0
8g)を得た。このものの融点は85.0〜86.0℃
で、収率は81%であった。該化合物の化合物No.を
No.5とする。
【0019】製造例6 3−ブロモ−2−ニトロチオフェン(2.08g)、2
−フルオロフェノール(1.12g)及びN,N−ジメ
チルホルムアミド(20ml)からなる溶液に水酸化カ
リウム(0.73g)を加え4時間室温にて攪拌した。
反応終了後、反応液を水に添加し、生成した固体を濾取
した。得られた固体を石油エーテルで再結晶し、2−ニ
トロ−3−(2−フルオロフェノキシ)チオフェン
(1.97g)を得た。融点は117.5〜118.5
℃で、収率は82%であった。該化合物の化合物No.
をNo.6とする。
【0020】製造例7 3−ブロモ−2−ニトロチオフェン(2.08g)、3
−ヨードフェノール(2.20g)及びN,N−ジメチ
ルホルムアミド(20ml)からなる溶液に水酸化カリ
ウム(0.73g)を加え4時間室温にて攪拌した。反
応終了後、反応液を水に添加し、生成した固体を濾取し
た。得られた固体を石油エーテルで再結晶し、2−ニト
ロ−3−(3−ヨードフェノキシ)チオフェン(2.5
8g)を得た。このものの融点は92.5〜93.0℃
で、収率は74%であった。該化合物の化合物No.を
No.7とする。
【0021】実施例1 製造例1〜8で合成した化合物を用いて、第2次高調波
発生(SHG)の測定を行った。該測定は、Kurtz
等により考案された粉末法の改良方法であり、単結晶が
発する高調波の強度を素早く、簡便に予測する方法であ
る。すなわち、光源には平均出力3.5WのQ−スイッ
チ付きNd:YAGレーザー(波長1064nm)のパ
ルスを用いた。レーザー光はレンズを通して集光し、ガ
ラスに挟んだ試料に、ガラス面に対して45度の角度で
入射した。発生した高調波は、ガラス面から5cmの距
離においたSH光のみを透過するフィルターを通して、
フォトンカウンティングヘッドにより検出した。尿素及
び2−メチル−4−ニトロアニリンを標準試料としてS
HGを測定し、尿素との強度比をもって試料の評価を行
った。試料の粉末には、メノウ乳鉢でできるかぎリ均質
に粉砕したものを使用した。その結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深谷 俊夫 茨木県つくば市東一丁目一番地 工業技 術院化学技術研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/35 - 1/35 504 C07D 275/06 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔I〕 【化1】 (式中、Rは水素原子又はハロゲン原子である。)で表
    される2−ニトロチオフェン誘導体からなることを特徴
    とする有機非線形光学材料。
JP3094960A 1991-04-02 1991-04-02 有機非線形光学材料 Expired - Lifetime JP2972842B2 (ja)

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