JP2969741B2 - 学習機能を有するカメラ - Google Patents

学習機能を有するカメラ

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JP2969741B2
JP2969741B2 JP2050718A JP5071890A JP2969741B2 JP 2969741 B2 JP2969741 B2 JP 2969741B2 JP 2050718 A JP2050718 A JP 2050718A JP 5071890 A JP5071890 A JP 5071890A JP 2969741 B2 JP2969741 B2 JP 2969741B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、学習機能を有するカメラに関するものであ
り、自動露出補正機能を有するカメラとして実用化され
るものである。
[従来の技術] 従来、撮影画面を種々のやり方で測光し、測光値に基
づいて所定のアルゴリズムで適切な露出値を決定する自
動露出制御機能を有するカメラが市販されている。とこ
ろが、撮影者によっては、カメラが決定した露出値に対
して少しオーバーに、あるいは少しアンダーに露出を与
えたいという場合がある。このような場合に対応するた
めに、カメラが決定した露出値を手動操作により補正可
能とする露出補正の機能を設けている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、撮影の度に露出補正の操作を行うのは
面倒であり、仮に露出補正の操作を忘れたり、あるいは
シャッターチャンスの方を優先して露出補正の操作を省
略した場合には、撮影者の意図した仕上がり感が得られ
ないという問題があった。そこで、過去の露出補正の傾
向をカメラに学習させて、その学習結果に基づいて自動
的に露出補正を行うことが考えられる。ところが、常に
露出補正の傾向をカメラに学習させていると、かえって
不都合が生じる場合がある。例えば、白い被写体を白く
描写するためにカメラの自動露出値を露出オーバー側に
露出補正したり、黒い被写体を黒く描写するためにカメ
ラの自動露出値を露出アンダー側に露出補正することが
あるが、このような露出補正は撮影者の個性とは無関係
であるので、カメラには学習させない方が良い。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、過去の露出補正の傾向に基づ
いて自動的に露出補正を行うことができる学習機能を有
するカメラにおいて、露出補正をカメラに学習させるか
否かを選択可能として、カメラが不適切な学習をしない
ようにすることにある。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る学習機能を有するカメラにあっては、上
記の課題を解決するために、第1図に示すように、露出
値EVを演算する露出演算手段2と、露出補正値BV4を設
定する露出補正値設定手段3と、露出補正値BV4を記憶
するための学習モードを設定する学習モード設定手段4
と、学習モードが設定されているときにのみ露出補正値
設定手段3で設定された露出補正値BV4を記憶する露出
補正値記憶手段5と、露出終了時に学習モードを解除す
る学習モード解除手段7と、露出補正値設定手段3によ
る露出補正値BV4の設定がないときは、露出補正値記憶
手段5に記憶された過去の露出補正値に基づいて露出値
EVを補正し、露出補正値設定手段3による露出補正値の
設定があるときには、設定された露出補正値に基づいて
露出値を補正する露出補正手段6とを有することを特徴
とするものである。
なお、露出補正値記憶手段5は、過去の露出に用いら
れた露出補正値のみを記憶する手段とすることが好まし
い。
ただし、第1図は本発明を機能的にブロック化して示
した説明図であり、後述の実施例では、手段1〜7の全
部又は一部をマイクロコンピュータのプログラムにより
実現している。測光手段1は#20〜45に、露出演算手段
2は#165に、露出補正値設定手段3は#110〜#135
に、学習モード設定手段4は#140〜#150に、露出補正
値記憶手段5は#185,#195に、露出補正手段6は#50
〜#60(及び#135)に、学習モード解除手段7は#190
にそれぞれ対応している。
[作 用] 以下、第1図により本発明の作用を説明する。
露出演算手段2は、例えば被写界の測光に基づいて、
露出値EVを演算する。したがって、撮影者は露出値EVを
決定する必要はなく、カメラが自動的に露出値EVを決定
する。撮影者が自分の個性に応じて、カメラが決定した
露出値EVよりも少しオーバーに、あるいはアンダーに露
出したい場合には、露出補正値設定手段3を用いて露出
補正値BV4を設定し、露出補正手段6を用いて露出値EV
を手動操作により補正する。つまり、測光手段1により
求めた測光値BVに基づいて、露出演算手段2により適切
な露出値EVをカメラが決定し、撮影者は必要に応じて露
出補正値設定手段3により露出値EVを手動で補正するも
のである。この露出補正値BV4は、常に学習されるわけ
ではなく、学習モード設定手段4により学習モードが設
定されている場合において、実際に露出制御が行われた
ときにのみ、その露出に使用された露出補正値BV4のみ
が露出補正値記憶手段5に記憶され、学習されるもので
ある。露出が終了して、露出補正値BV4が学習される
と、学習モード解除手段7により学習モードが自動的に
解除される。したがって、改めて学習モード設定手段4
により学習モードを設定しない限り、不用意に露出補正
値BV4が記憶されることは無い。学習モードを設定した
状態で露出を繰り返すと、露出補正値記憶手段5には、
過去の露出に使用された露出補正値BV4が複数個記憶さ
れることになる。露出補正手段6では、露出補正値設定
手段3による露出補正値BV4の設定が無いときには、露
出補正値記憶手段5に記憶された複数個の露出補正値BV
4に基づいて、撮影者の個性に応じた露出補正値ΔBVcを
予測し、露出値EVを自動的に補正する。露出補正値を予
測するアルゴリズムは特に限定されるものではないが、
例えば、過去の露出補正値BV4のうち最近のN個の平均
値、又は中間値(最大値と最小値の平均値)、又は最頻
値(最も頻繁に用いられた値)などを予測値ΔBVcとす
るアルゴリズムが比較的簡単で実用的である。撮影者の
個性が経時的に変化しなければ、露出補正手段6により
予測される露出補正値は、撮影者の希望する露出補正値
に収束して行くことになる。したがって、カメラの学習
が進むと、撮影者の個性に応じた露出補正が自動的に行
われることになるので、カメラの自動露出決定機能が撮
影者の個性に馴染むことになり、露出補正は不要となる
場合が多くなる。
[実施例] 第2図は本発明の一実施例としてのカメラの回路構成
を示している。図中、μCはマイクロコンピュータ(以
下「マイコン」と呼ぶ)であり、露出演算及び露出制御
並びにカメラ全体のシーケンス制御を行う。マイコンμ
Cは各種の周辺回路と接続されており、これらの周辺回
路と情報を交換することができる。
LMCはTTL測光を行う測光回路であり、その測光範囲は
第3図に示すように撮影画面の中央部SPと撮影画面の中
央部を除く画面全体AMの2つの領域に分かれており、こ
れら2つの領域の面積比は1:8に設定されている。測光
回路LMCは、撮影画面の中央部SPを測光してスポット測
光値BVSPを求めるスポット測光機能と、撮影画面の中央
部を除く画面全体AMを測光して周辺測光値BVAMを求める
周辺測光機能を有している。スポット測光値BVSPと周辺
測光値BVAMの情報はデジタル量に変換された後、マイコ
ンμCに伝達される。
DSPは表示回路であり、マイコンμCから表示用デー
タを受け取り、ファインダー内に必要な表示を行う。そ
の表示内容については、後述する。
DDRは露出制御回路であり、マイコンμCで演算され
た絞り値及びシャッター速度に基づいて、絞り及びシャ
ッターを制御すると共に、フィルム巻き上げを制御す
る。
LECは撮影レンズに内蔵されたレンズ回路であり、撮
影レンズに固有のレンズデータをカメラボディに伝達す
る。レンズデータの内容としては、例えば開放絞り値AV
o、焦点距離f、距離データDvなどがある。
ISOはフィルム感度読取回路であり、フィルムパトロ
ーネやパトローネに装着された半導体メモリ等に記録さ
れたフィルム感度の情報を読み取り、マイコンμCに伝
達する。この情報はマイコンμCにおけるAE演算に使用
される。なお、この回路ISOに手動操作部材(押しボタ
ンやダイヤル等)を備え付け、手動でフィルム感度を設
定、変更できるようにしても良い。
マイコンμCの各入力ポートP0〜P10は図示しない抵
抗により“High"レベルにプルアップされており、それ
ぞれ別のスイッチを介してアースレベルに接続されてい
る。いずれかのスイッチがONされると、対応する入力ポ
ートは“Low"レベレとなり、各スイッチのON/OFFをマイ
コンμCにより判定することができる。以下、各スイッ
チについて説明する。
S1はレリーズボタン(不図示)の第1ストロークの押
し下げでONされる撮影準備スイッチであり、このスイッ
チがONされると、測光・露出演算の各動作が開始され
る。
SAELはAEロックを行うための状態スイッチ(AEロック
スイッチ)であり、このスイッチがONのときにのみAEロ
ックが行われる。
SQは学習モードスイッチであり、常開スイッチよりな
り、そのときの露出補正値を次の露出のときにカメラが
単独で決めた露出値にフィードバックさせるために操作
される。
Srfは測光表示の基準値を平均測光値とするかスポッ
ト測光値にするかを選択するための状態スイッチ(測光
基準選択スイッチ)であり、このスイッチがONのときに
平均測光値が選択され、OFFのときにスポット測光値が
選択される。
S2はレリーズボタンの第2のストロークの押し下げで
ONされるレリーズスイッチであり、このスイッチがONさ
れると、露出制御動作が開始される。
Supはアップスイッチ、Sdnはダウンスイッチであり、
共に常開スイッチであり、後述のスイッチSovがONであ
るときには、オーバーライド量を設定するためのアップ
/ダウンスイッチとなる。
SSPはスポット測光を行うために操作される状態スイ
ッチ(スポット測光スイッチ)であり、このスイッチが
ONのときにスポット測光モードとなり、OFFのときに自
動測光モードとなる。自動測光モードでは、基準測光値
BVrfと、撮影倍率β、周辺測光値BVAM、スポット測光値
BVSPから被写体のシーンを判別し、各シーンについての
過去の露出補正の傾向に基づいて露出値が自動的に補正
される。
Sovは手動で露出補正を行うためのオーバーライドス
イッチであり、このスイッチSovをONしながらアップ/
ダウンスイッチSup,Sdnを操作するとオーバーライド量
がアップ/ダウン操作される。なお、このスイッチSov
がOFFであるときには、アップ/ダウンスイッチSup,Sdn
は他の量をアップ/ダウン操作するために使用できる
が、本発明とは関係ないので、その説明は省略する。
SMはメインスイッチであり、このスイッチSMがONのと
きにカメラは動作可能となり、OFFのときにはカメラは
動作不可となる。
上記スイッチのうち、メインスイッチSMがONされるか
又はOFFされると、パルス発生器PGから“High"レベルよ
り“Low"レベルに変化する信号が割込入力端子INT1に入
力され、マイコンμCは第4図に示すSMINTのフローを
実行する。#1では、入力ポートP9の状態を検出し、メ
インスイッチSMがONかOFFかを判定する。メインスイッ
チSMがOFFであれば、マイコンμCは停止する。また、
メインスイッチSMがONであれば、#2でマイコンμCの
フラグ、レジスタ等が全てリセットされ、例えば、後述
の露出補正値BV4もここでリセットされる。ただし、後
述のE2PROMはリセットされない。#2のリセット処理を
終えると、マイコンμCは停止する。
上記のスイッチのうち、撮影準備スイッチS1、AEロッ
クスイッチSAEL、学習モードスイッチSQのいずれかがON
されると、アンド回路ANの出力が“High"レベルから“L
ow"レベルに変化し、この信号が割込入力端子INT2に入
力され、マイコンμCは第5図に示すS1INTのフローを
実行する。まず、AEロックを示すフラグAELFをリセット
する(#5)。次に、レンズ回路LECから撮影レンズに
固有のレンズデータを読み込む(#10)。このレンズデ
ータとしては、少なくとも開放絞り値AVo、焦点距離
f、距離データDvが含まれる。そして、入力した焦点距
離fと距離データDvとから撮影倍率βを演算する(#1
5)。次に、測光回路LMCからスポット測光値BVSPと周辺
測光値BVAMとを入力し、それぞれの測光値に開放絞り値
AVoを加える(#20,#22)。そして、基準測光値をスポ
ット測光値とするか平均測光値とするかをスイッチSrf
により検出し、スポット測光値とするのであれば基準測
光値BVrfにスポット測光値BVSPを代入し、平均測光値と
するのであれば基準測光値BVrfに平均測光値BVAV=(BV
SP+8BVAR)/9を代入する(#25〜#35)。次に、周辺
測光値BVAMとスポット測光値BVSPの差(BVAM−BVSP)を
求め、輝度差ΔBVとする(#40)。そして、撮影倍率β
とスポット測光値BVSPと周辺測光値BVAMとから、多分割
測光値BV1を次式により求める(#45)。
BV1=kBVSP+(1−k)BVAM 上式において、係数k(<1)はスポット測光値BVSP
と周辺測光値BVAMとの重み付け係数であり、撮影倍率β
から推定される主被写体の大きさを考慮して次のように
設定している。
β≧1/10であれば、画面一杯に主被写体が占めている
とみなし、中央重点的測光とするべく、k=0.5とす
る。
1/10>β≧1/40であれば、上記よりも少し主被写体が
小さく、周辺領域に含まれる部分に対する中央に含まれ
る部分の割合がより多いとみなし、k=0.6とする。
1/40>β≧1/100であれば、さらに主被写体が小さ
く、中央に含まれる割合が更に多いとみなし、k=0.8
とする。
1/100>β≧1/150であれば、主被写体がさらに小さく
なるが、必ずしも中央のスポット測光エリアに入るとは
限らず、中央の重み付けを少し小さくするべく、k=0.
4とする。
1/150>βであれば、風景撮影である可能性が高いと
みなして、平均的測光とするべく、k=0.2とする。
次に、基準測光値BVrfと撮影倍率β、及び輝度差ΔBV
から被写体のシーンを判別し、そのシーンについて記憶
されているN個の露出補正値ΔBVciを読み出す(#5
0)。つまり、基準測光値BVrfと撮影倍率β、及び輝度
差ΔBVの1つの組み合わせに対して、1つのシーンc
(BVrf,β,ΔBV)が決まり、その1つ1つのシーンc
(BVrf,β,ΔBV)に対してそれぞれN個の露出補正値
ΔBVci(i=1,…,N)が記憶されている。この露出補正
値ΔBVciはマイコンμCに内蔵されたE2PROM(あるいは
カメラに装着されるICカードに内蔵されたE2PROM)に記
憶されており、カメラのメインスイッチSMをOFFしても
消去されない。#55では、E2PROMから読み出したN個の
露出補正値ΔBVci(i=1,…,N)の平均を求めて、これ
をそのシーンについて学習された補正値ΔBVcとする。
そして、上記の測光値BV1に補正値ΔBVcを加えて自動測
光値BV2とする(#60)。この自動測光値BV2は、そのと
きの被写体のシーンについての学習結果を反映して、そ
のシーンについて適正露出を与えると予測される測光値
となっている。
ここで、被写体のシーンについて説明する。本発明の
カメラは、過去の露出補正の傾向を学習して、撮影者の
希望する露出補正値ΔBVcを予測し、この予測された露
出補正値ΔBVcを測光値BV1に加算して、適正露出を与え
るように自動的に補正された測光値BV2を求めるもので
あるが、この露出補正値ΔBVcは被写体のシーンに応じ
て異なる。例えば、順光シーンと逆光シーンとでは露出
補正の方向が逆になると考えられる。そこで、スポット
測光値BVSPと周辺測光値BVAMの輝度差ΔBVを用いて、順
光シーンと逆光シーンを判別している。また、風景シー
ン、人物シーン、接写シーンでは、露出補正の傾向がそ
れぞれ異なると考えられる。そこで、これらのシーンを
撮影倍率βを用いて判別している。さらに、高輝度の雪
山撮影シーンと低輝度の夜間撮影シーンとでは、露出補
正の傾向は異なると考えられる。そこで、基準測光値BV
rfを用いて高輝度シーンと低輝度シーンを判別してい
る。なお、撮影画面を複数の領域に分割し、各領域につ
いて得られた被写体距離情報と被写体輝度情報とを組み
合わせることにより、更に複雑な被写体のシーンを判別
することもできる。
次に、スポット測光スイッチSSPがONかOFFかを判定す
る(#65)。スイッチSSPがONであればスポット測光で
あるから、最終測光値BV3にスポット測光値BVSPを代入
し、スイッチSSPがOFFであれば自動測光であるから、最
終測光値BV3に自動測光値BV2を代入する(#70,#7
5)。次に、AEロックを示すフラグAELFがセットされて
いるか否かを判定する(#80)。フラグAELFがセットさ
れていなければ、#85で補正前の測光値BV6に最終測光
値BV3を代入し、フラグAELFがセットされていれば、#8
5をスキップして、それぞれ#90に進む。#90では、AE
ロックスイッチSAELがONからOFFかを判定する。このス
イッチSAELがONであれば、AEロックを示すフラグAELFが
セットされているか否かを判定する(#95)。フラグAE
LFがセットされていれば、#135へ進む。また、フラグA
ELFがセットされていなければ、#100へ進んでフラグAE
LFをセットし、#102で補正値BV5を(BV2−BV6)で求め
て、#135へ進む。
#90において、AEロックスイッチSAELがOFFであれ
ば、AEロックを示すフラグAELFをリセットし、オーバー
ライドスイッチSovがONかOFFかを判定する(#105,#11
0)。オーバーライドスイッチSovがONであれば、アップ
スイッチSupがOFFからONに変化したか否かを判定する
(#115)。アップスイッチSupがOFFからONに変化した
のであれば、所定値BVk(例えば1/8EV)を補正値BV4に
加算し、#135に進む(#120)。アップスイッチSupがO
FFからONに変化したのでなければ、ダウンスイッチSdn
がOFFからONに変化したか否かを判定する(#125)。ダ
ウンスイッチSdnがOFFからONに変化したのであれば、所
定値BVkを補正値BV4から減算し、#135に進む(#13
0)。#110でオーバーライドスイッチSovがOFFのとき、
あるいは#115,#125でアップスイッチSup又はダウンス
イッチSdnがOFFからONに変化したのでないときには、補
正値BV4は変化させずに、そのまま#135に進む。#135
では、求めた補正値BV4を補正前の測光値BV6に加えて、
制御用の測光値BVとする。
ここで、補正値BV4とBV5の相違について説明する。補
正値BV4は手動で設定されるオーバーライド量であり、
オーバーライドスイッチSovをONしながらアップ/ダウ
ンスイッチSup,Sdnを操作することにより、BVk単位で増
減できる。この補正値BV4は撮影者の個性や好みに依存
するので、撮影者によって異なるし、被写体のシーンに
よっても異なることが一般的である。一方、補正値BV5
は被写体の反射率に依存する補正値であり、撮影者によ
って異なることもあるが、主として被写体のシーンによ
って異なる。この補正値BV5はスポット測光モードでAE
ロックすることにより設定され、AEロックしたときのス
ポット測光値BVSPと自動測光値BV2との輝度差に相当す
る。自動測光値BV2はシーン判別により自動的に露出補
正された測光値であるから、任意のシーンに対して適正
な測光値となっていることが望まれる。しかるに、ある
シーンについて撮影者がスポット測光モードを選択して
AEロックしたということは、カメラが決定した自動測光
値BV2がそのシーンに適していないということである。
そこで、このような場合には、もし撮影者が希望するの
であれば、AEロックされたスポット測光値BVSPと自動測
光値BV2との輝度差をそのシーンについての露出補正値
として学習する必要がある。例えば、逆光シーンにおい
て学習前に自動測光モードを使って人物撮影すると、背
景の方が明るくなるために人物が黒くつぶれて写ること
が多い。このような場合には、スポット測光モードを選
択し、スポット測光エリアに人物を入れてスポット測光
値BVSPを求め、これをAEロックして露出制御に使用すれ
ば、人物が適正露出となるように撮影される。そして、
このときの露出に使用したスポット測光値BVSPと自動測
光値BV2との輝度差を逆光シーンについての補正値BV5と
して学習すれば、その後の自動測光モードでは逆光シー
ンでも人物が適正露出となるように撮影される可能性が
高くなる。なお、自動測光モードでAEロックしたときに
は、補正前の測光値BV6が自動測光値BV2と等しくなるの
で、補正値BV5は0となる。
次に、第6図の#140に進んで、学習モードスイッチS
QがOFFからONに変化したか否かを判定する。このスイッ
チSQがOFFからONに変化したのであれば、学習モードを
示すフラグLMFがセットされているか否かを判定する
(#145)。そして、フラグLMFがセットされている場合
にはリセットし、リセットされている場合にはセット
し、#165に進む(#150,#155)。また、学習モードス
イッチSQがOFFからONに変化したのでなければ、何もせ
ずに#165に進む。#165では、測光値BV、フィルム感度
SVから所定の演算を行って露出値EV(つまりシャッター
速度TVと絞り値AVの組み合わせ)を演算し、#170で
は、表示のサブルーチン(後述)を実行する。表示を終
えると、レリーズスイッチS2がONかOFFかを判定する
(#175)。レリーズスイッチS2がOFFであれば、入力ポ
ートP10が“High"レベルか“Low"レベルかを判定する
(#205)。入力ポートP10が“High"レベルであれば、
撮影準備スイッチS1、AEロックスイッチSAEL、学習モー
ドスイッチSQのいずれもOFFということであり、#200に
進んで、表示を消去して停止する。入力ポートP10が“L
ow"レベルであれば、撮影準備スイッチS1、AEロックス
イッチSAEL、学習モードスイッチSQのいずれかがONされ
ているということであり、第5図の#10に戻る。#175
において、レリーズスイッチS2がONであれば、上述の#
165で求められたシャッター速度TV、絞り値AVに基づい
て露出制御が行われる(#180)。その後、学習モード
が設定されているか否かをフラグLMFにより判定する
(#185)。フラグLMFがセットされていなければ、学習
モードが設定されていないとして、#200に進む。フラ
グLMFがセットされていれば、学習モードが設定されて
いるので、このフラグLMFをリセットして、学習モード
を解除する(#190)。そして、スポット測光スイッチS
SPがONかOFFを判定する(#191)。スイッチSSPがOFFで
あれば、スポット測光モードではないとして、#195に
進み、学習を行って#200に進む。スイッチSSPがONであ
れば、スポット測光モードであるとして、#192に進
み、AEロックスイッチSAELがONかOFFかを判定する。ス
イッチSAELがOFFであれば、#200に進み、学習は行わな
い。スイッチSAELがONであれば、#193で上述の補正値B
V5(=BV2−BV6)を露出補正値BV4とし、#195に進む。
#195では、基準測光値BVrfと撮影倍率β、及び輝度差
ΔBVから被写体のシーンを判別し、そのシーンについて
記憶されているN個の補正値ΔBVciを呼び出し、その内
容を1つ更新する。つまり、i=2,…,Nについて、同順
にΔBVciをΔBVc(i-1)に代入することにより、最も古く
入力された補正値ΔBVc1を消去し、上記の露出補正値BV
4を最も新しい補正値ΔBVcNとして入力する。そして、
#200に進み、表示を消去して、停止する。
次に、表示回路DSPによる表示の内容を第8図(a)
〜(f)により説明する。第8図(a)は、表示回路DS
Pによりファインダーの視野内に表示可能なセグメント
を全て表示したときの状態を示している。図中、10は一
眼レフカメラにおいて、ファインダーを覗いたときに見
える撮影画面を示している。この撮影画面10内に表示を
行うために、ファインダー光学系のフォーカス・スクリ
ーン上にゲスト・ホスト方式の透過型LCD(液晶表示
板)を配置している。この撮影画面内の表示について説
明する。11は学習モードが設定されているときに表示さ
れるマークである。12はスポット測光エリアであり、第
3図に示す撮影画面の中央部SPと同じものである。13は
基準値を0として、この基準値からの偏差をEV値で表す
数値である。数値の符号がプラスであれば、露出がオー
バーであることを示し、マイナスであれば露出がアンダ
ーであることを示す。14は(1/2)EV毎に設けられた目
盛バーである。15は偏差表示用の指標であり、目盛バー
14に沿って(1/2)EV置きに13個配置されており、第8
図(b)〜(f)に示すように、白抜きの三角“Δ”の
指標を表示するか、黒塗りの三角“▲”の指標を表示す
るか、あるいは無表示とするかを個別に選択できる。次
に、20は上記撮影画面10の下部に表示されるファインダ
ー内表示部であり、制御シャッター速度表示部21と、制
御絞り値表示部22と、オーバーライド表示部23とからな
る。オーバーライド表示部23では、露出補正が行われて
いるときに、四角で囲まれた“+”又は“−”の符号が
表示され、露出補正が行われていないときには無表示と
なる。
以下、種々の場合について、具体的な表示例を示しな
がら説明する。第8図(b)は通常の測光状態(撮影準
備スイッチS1のみON)での表示例であり、自動測光モー
ドであるため、スポット測光エリアは表示されていな
い。基準測光値BVrf(スポット測光値BVSP又は平均測光
値(BVSP+8BVAM)/9)を目盛バーの原点(数値が0の
点)としたときに、そこからの偏差として、自動測光モ
ードでの測光値が黒塗りの三角“▲”の指標で表示され
ている。また、撮影画面の外部下方には、自動測光モー
ドでの測光値に基づく制御シャッター速度と制御絞り値
が表示されている。
第8図(c)はスポット測光スイッチSSPをONにし
て、スポット測光モードを選択したときの表示例であ
り、撮影画面の中央にスポット測光エリアが表示されて
いる。基準測光値BVrfを目盛バーの原点としたときに、
そこからの偏差として、スポット測光値が黒塗りの三角
“▲”の指標で表示されており、また、自動測光モード
での測光値が白抜きの三角“△”の指標で表示されてい
る。このときの基準測光値BVrfとしては平均測光値が選
択されており、仮にスポット測光値が選択されていれ
ば、黒塗りの三角“▲”の指標は目盛バーの原点に表示
されることになる。なお、撮影画面の下部には、スポッ
ト測光値に基づく制御シャッター速度と制御絞り値が表
示されている。
第8図(d)は、スポット測光状態で学習モードが設
定され、且つAEロックスイッチSAELがON操作されたとき
の表示例であり、撮影画面の右上端に学習モードを示す
マークが表示されている。この状態で露出制御が行われ
ると、自動測光モードの測光値とスポット測光値との差
が学習され、次回の自動測光モードの測光値にフィード
バックされる。
第8図(e)は、スポット測光状態でオーバーライド
(露出補正)をかけたときの表示例であり、基準測光値
BVrf(ここでは平均測光値)を目盛バーの原点としたと
きに、そこからの偏差として、オーバーライドのかかっ
た制御値(制御に使用する露出値)が黒塗りの三角
“▲”の指標で表示されており、また、オーバーライド
をかける前のズポット測光値が白抜きの三角“△”の指
標を点滅させることにより表示されている。ここで、白
抜きの三角“△”の指標を点滅させているのは、このと
きだけは、この指標が自動測光モードでの測光値ではな
く、スポット測光値を示しているからである。なお、撮
影画面の外部右下では、マイナス側にオーバーライドが
かかっていることを示すべく“−”のマークが表示され
ている。
第8図(f)は自動測光モードでオーバーライドをか
けたときの表示例であり、基準測光値BVrf(スポット測
光値又は平均測光値)を目盛バーの原点としたときに、
そこからの偏差として、オーバーライドのかかった制御
値が黒塗りの三角“▲”の指標で表示されており、ま
た、オーバーライドをかける前の自動測光モードでの測
光値が白抜きの三角“△”の指標で表示されている。な
お、自動測光モードでは、学習モードが設定されると、
AEロックスイッチSAELのON/OFFには関係なく、学習モー
ドを示すマークが表示される。
第8図(b)〜(f)では、露出制御のためのシャッ
ター速度と絞り値は全て同じ値となっているが、これら
は露出量の補正や被写界の輝度の変化によって変化する
ことは言うまでもない。
次に、上述の表示のサブルーチン(#170)を第7図
に示し説明する。このサブルーチンがコールされると、
シャッター速度TVと絞り値AVを表示し、BV7(=BV−BVr
f)となる箇所に“▲”の指標を表示し、露出補正値BV4
が0か否かを判定する(#250〜#300)。露出補正値BV
4が0であれば、“+”又は“−”のオーバーライドの
表示を消去し、スポット測光スイッチSSPがONかOFFかを
判定する(#302,#305)。スポット測光スイッチSSP
OFFであれば、上述の“▲”の指標は自動測光値の基準
測光値からの偏差を示していることになるので、#310
で“△”の指標を消去して、#335へ進む。#305でスポ
ット測光スイッチSSPがONであれば、上述の“▲”の指
標はスポット測光値の基準測光値からの偏差を示してい
ることになるので、自動測光値の基準測光値からの偏差
をも表示するべく、#315でBV8(=BV2−BVrf)となる
箇所に“△”の指標を表示して、#335へ進む。#300で
露出補正値BV4が0でなければ、露出補正値BV4の値に応
じて“+”(オーバー)又は“−”(アンダー)のオー
バーライドの表示が行われる(#320)。そして、#325
でスポット測光スイッチSSPがONかOFFかを判定する。#
325でスポット測光スイッチSSPがOFFであれば、上述の
“▲”の指標は露出補正された自動測光値の基準測光値
からの偏差を示していることになるので、露出補正され
る前の自動測光値の基準測光値からの偏差を表示するべ
く、上述の#315に進む。また、#325でスポット測光ス
イッチSSPがONであれば、上述の“▲”の指標は露出補
正されたスポット測光値の基準測光値からの偏差を示し
ていることになるので、露出補正される前のスポット測
光値の基準測光値からの偏差を表示するべく、#330に
進んでBV8(=BV3−BVrf)となる箇所に“△”の指標を
点滅させながら表示して、#335へ進む。以上の説明か
ら明らかなように、“▲”の指標は最終的な制御に使用
される測光値の基準測光値からの偏差を示しており、
“△”の指標は自動測光値の基準測光値からの偏差を示
しており、“△”の指標の点滅表示は露出補正される前
のスポット測光値の基準測光値からの偏差を示してい
る。
#335では、学習モードが設定されているか否かをフ
ラグLMFにより判定する。フラグLMFが1であれば、学習
モードが設定されており、#340でスポット測光スイッ
チSSPがONかOFFかを判定する。スポット測光スイッチS
SPがONであれば、#345でAEロックスイッチSAELがONかO
FFかを判定する。AEロックスイッチSAELがONであれば、
#350で学習モードを示すマークの表示を行い、AEロッ
クスイッチSAELがOFFであれば、#355で学習モードを示
すマークの表示を消去し、それぞれ#360に進む。ま
た、#340でスポット測光スイッチSSPがOFFのときは、A
EロックスイッチSAELの状態に関係なく、#350に進んで
学習モードを示すマークの表示を行い、#335でフラグL
MFが1でないときには、#355に進んで学習モードを示
すマークの表示を消去する。#360では、スポット測光
スイッチSSPがONかOFFかを判定し、ONであれば#356で
スポット測光エリアを表示し、OFFであればスポット測
光エリアの表示を消去し、それぞれリターンする。
最後に、本実施例で用いた変数のうち、測光値に関連
する変数を以下にリストアップしておく。
BV …制御用の測光値 BVSP…スポット測光値 BVAM…周辺測光値 BVAV…平均測光値=(BVSP+8BVAM)/9 ΔBVci…あるシーンについて学習されたN個の露出補正
値 ΔBVc…同上の平均値 BV1…多分割測光値=kBVSP+(1−k)BVAM BV2…自動測光値=BV1+ΔBVc BV3…最終測光値(BV2又はBVSP) BV4…撮影者の個性に依存する補正値 BV5…被写体の反射率に依存する補正値 BV6…手動で露出補正される前の測光値 BV7…黒指標“▲”表示用の偏差 BV8…白指標“△”表示用の偏差 BVrf…偏差表示用の基準測光値(BVSP又はBVAV) BVk…オーバーライド量設定の最小単位(1/8EV) [発明の効果] 本発明にあっては、過去の露出補正の傾向に基づいて
自動的に露出補正を行う学習機能を有するカメラにおい
て、学習モードを設定した場合にのみカメラが露出補正
値を学習するようにしたので、カメラが不適切な学習を
することを防止できるという効果がある。
また、露出終了時には学習モードを自動的に解除する
ようにしたので、カメラが不適切な学習をする可能性を
少なくすることができる。
また、学習モードの設定時であっても実際に露出が行
われた場合にだけ、その露出に用いられた露出補正値の
みを学習するようにすれば、カメラが不適切な学習をす
る可能性をさらに少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本構成を示すブロック図、第2図は
本発明の一実施例としてのカメラのブロック回路図、第
3図は同上の測光エリアの説明図、第4図乃至第7図は
同上の動作説明図のためのフローチャート、第8図
(a)乃至(f)は同上のファインダー内表示の説明図
である。 1は測光手段、2は露出演算手段、3は露出補正値設定
手段、4は学習モード設定手段、5は露出補正値記憶手
段、6は露出補正手段、7は学習モード解除手段であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑 浩司 大阪府大阪市中央区安土町2丁目3番13 号 大阪国際ビル ミノルタカメラ株式 会社内 (72)発明者 藤野 明彦 大阪府大阪市中央区安土町2丁目3番13 号 大阪国際ビル ミノルタカメラ株式 会社内 (72)発明者 大塚 博司 大阪府大阪市中央区安土町2丁目3番13 号 大阪国際ビル ミノルタカメラ株式 会社内 (72)発明者 難波 克行 大阪府大阪市中央区安土町2丁目3番13 号 大阪国際ビル ミノルタカメラ株式 会社内 (56)参考文献 特開 平2−96724(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03B 7/00 - 7/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】露出値を演算する露出演算手段と、 露出補正値を設定する露出補正値設定手段と、 露出補正値を記憶するための学習モードを設定する学習
    モード設定手段と、 学習モードが設定されているときにのみ露出補正値設定
    手段で設定された露出補正値を記憶する露出補正値記憶
    手段と、 露出終了時に学習モードを解除する学習モード解除手段
    と、 露出補正値設定手段による露出補正値の設定がないとき
    は、露出補正値記憶手段に記憶された過去の露出補正値
    に基づいて露出値を補正し、露出補正値設定手段による
    露出補正値の設定があるときには、設定された露出補正
    値に基づいて露出値を補正する露出補正手段とを有する
    ことを特徴とする学習機能を有するカメラ。
  2. 【請求項2】露出補正値記憶手段は、過去の露出に用い
    られた露出補正値のみ記憶する手段であることを特徴と
    する請求項1記載の学習機能を有するカメラ。
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