JP2968908B2 - 紐状ゼリー菓子 - Google Patents

紐状ゼリー菓子

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JP2968908B2 JP5137447A JP13744793A JP2968908B2 JP 2968908 B2 JP2968908 B2 JP 2968908B2 JP 5137447 A JP5137447 A JP 5137447A JP 13744793 A JP13744793 A JP 13744793A JP 2968908 B2 JP2968908 B2 JP 2968908B2
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公雄 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紐状ゼリー菓子、殊に伸
縮性に富み且つ玩具としても使用可能な紐状ゼリー菓子
に係る。
【0002】
【従来の技術】従来、製品化された紐状ゼリー菓子とし
てはスターチ、小麦粉等をゲル化剤として配合し、エク
ストルーダを使用して製造されたものが知られている。
一方、紐状ゼラチンゼリー菓子に関する提案としては、
出願人により出願された実願平 2 - 405131 号明細書
(実開平 5 - 49290 号公報) に開示されているものが
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題乃至発明の目的】製品化
された従来の紐状ゼリー菓子は弾力性がなく且つ硬いた
めに、両端を持って引っ張っても伸び難く、切れ易い性
質を有しており、硬い食感を呈し、又歯への付着性を有
しているために、消費者の喫食意欲をそそるものではな
かった。一方、上記の実開平 5 - 46290 号公報に開示
されている紐状ゼラチンゼリー菓子は、消費者に購買意
欲をもたらすために毛糸玉状や網目状に加工されている
が、解いて玩具として使用することができる。但し、使
用するゼラチンの種類については特定されていない。
【0004】従って、本発明の目的は、消費者を充分に
満足せしめ得る食感と、1 本だけでも充分に楽しませ得
る遊びの要素とを併せ有する紐状ゼリー菓子を提供する
ことにある。ここで、「食感」とは硬さ、歯切れ、歯付
き、弾力性乃至伸縮性等の総称であり、「遊びの要素」
とは紐状ゼリー菓子を伸ばしたり、縮めたり、結んだ
り、丸めたり、物に巻き付けたり、一端を持って振り回
したりすること等が可能であることを意味している。換
言すれば、本発明の本質的な目的は伸縮性に富み、従っ
て引っ張っても切れ難く且つ喫食時の食感が良好な紐状
ゼリー菓子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決し目的を達成する手段及び作用】既述の課
題を解決し且つ上記の目的を達成するために鋭意検討を
重ねた結果、所望の食感を有し且つ従来の紐状ゼリー菓
子においては考慮の対象とされていなかった「伸ばし易
さ」と「切れ難さ」とを有する紐状ゼリー菓子を製造す
るためには、スターチや小麦粉はゲル化剤として不適当
であってゼラチンが適しており、ゼラチンであっても通
常のゼリー菓子に使用されているゼラチン (通常のゼラ
チンゼリー菓子には、成型後の形状変化が要求されない
ために、充填適性の面から分子量が 20 万以上のゼラチ
ン分子含量の低いもの、即ち 25 重量 % 未満のもので
あり、粘度の低いことが特徴のゼラチンが使用され、既
述の実願平 2 -405131 明細書に記載の紐状ゼリー菓子
においても、この種のゼラチンが使用された) は好まし
くなく、この通常のゼラチンよりも高分子ゼラチン分子
含量の高いゼラチンを用いる必要性のあることが判明
し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明による紐状ゼリー菓子は、配
合されているゼラチンの内で、分子量 20 万以上のゼラ
チン分子が 25 重量 % 以上占めていることを特徴とし
ている。
【0007】分子量 20 万以上のゼラチン分子含量が、
紐状ゼリー菓子の「伸ばし易さ」と「切れ難さ」とに及
ぼす影響については充分には解明されていないが、次の
通りであると推測される。即ち、ゼラチン分子の基本単
位は分子量が約 10 万のα鎖と称されている成分であ
り、これが架橋結合により 2 本、3 本及びそれ以上結
合したものをβ鎖、γ鎖及び H 鎖と称している。分子
量が 20 万以上のゼラチン分子は、このようなβ鎖、γ
鎖及び H 鎖であり、α鎖の多い通常のゼラチンと比較
する場合に、ゼラチン分子がゲルを形成する際の 3 次
元ネットワークは複雑なものとなり且つ高度に発達し、
これらが上記の両特性に関係するものと考えられるので
ある。
【0008】ゼリー菓子の原料としてはゼラチンと糖類
が必須のものであり、嗜好性の観点から必要に応じて甘
味料、酸味料、着色料、香料等が用いられる。ゼラチン
以外のゲル化剤の併用については、本発明の目的を逸脱
しない範囲内であれば任意である。本発明によるゼリー
菓子の製造に使用されるゼラチンは豚皮、牛皮又は牛骨
若しくはこれらの内の 2 又は 3 種を原料とし、酸又は
アルカリ処理法を用いて調製されたものである。
【0009】本明細書に記載のゼラチンの分子量は、大
野・水澤等の方法 (「昭和 62 年度日本写真学会 講演
要旨集」第 44 頁参照) に従い高速液体クロマトグラフ
ィーにより行った。即ち、ゼラチンに水を添加し、50℃
の湯煎で溶解させることにより得た 0.5 重量 % のゼ
ラチン溶液 50μl をカラムに注入し、溶離液 (0.2MNaH
2PO4, pH 6.8)、送液量 (1.0ml/min.)、カラム温度 (50
℃)、分析カラム(Asahipak GS620 を 2 本接続) の条件
で溶出時間を測定することにより求めたものである。本
明細書で言及する分子量 20 万以上のゼラチン分子と
は、溶出時間が 22 分10 秒以内で溶出するゼラチン分
子を意味している。
【0010】
【製造例等】次に、試験例及び製造例により本発明を更
に詳細に且つ具体的に説明する。尚、試験例は紐状ゼリ
ー菓子の製造に使用されるゼラチンの分子量分布と、こ
のゼリー菓子の「伸ばし易さ」、「切れ難さ」の関係を
比較説明するためのものである。
【0011】試験例 1 分子量分布が下記の表 1 に示されるように互いに異な
るゼラチン原料をそれぞれ「ゼラチン A」及び「ゼラチ
ン B」と命名し、これらを下記の表 2 に示される配合
比率で混合して各種の調製ゼラチンを得た (ゼラチン A
及び B の固形分含量は共に 100 重量 % である)。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】上記の表 2 に示された調製ゼラチンを用
い、下記の表 3 に示される配合で諸原料を用いゼリー
菓子を調製した。即ち、調製ゼラチンにゼラチン溶解用
水を添加し、60℃ にて湯煎してゼラチンを溶解させ
た。一方、砂糖に砂糖溶解用水を添加し、これに水飴を
添加し、130℃ 迄煮詰め、次いで冷却して品温を 90℃
になした。これに上記のゼラチン溶液を添加し、直ちに
攪拌混合して均一なものとなし、更に適宜加水して仕上
がり固形分含量を 80 重量 % に調整した。得られたゼ
リー菓子生地を、付着防止のために予め離型油を塗布し
ておいたトレーに流し込み、冷却して厚み 5mm のシー
ト状に成型固化させた。
【0015】
【表3】
【0016】紐状ゼリー菓子を使用して遊ぶ場合の指標
である「伸ばし易さ」と、「切れ難さ」を定義する基準
として、それぞれ a) 一定の力 (500g) で引っ張った時の最大伸び量 (mm)
及び b) 一定の速度 (6mm/min) で引っ張った時の最大伸び量
(mm) をレオメーター (不動工業株式会社製の NRM-2010J-CW
型) により下記の条件で測定した。 サンプルの作成 :既述の厚み 5mm のシート状ゼリーを
上記レオメーターの専用アダプター No.18 用の抜き型
により型抜きして作成した。このサンプルの形状はドー
ナツ状であり、寸法は長径 27mm、短径 17mm、幅 5mm、
中空部の長径 17mm、中空部の短径 7mm であって、厚み
は上述のように 5mm である。 サンプルの温度 : 20℃、 引っ張り用アダプター : 上述の専用アダプター No. 1
8、 試料台の移動速度 : 6mm/min、 記録計 : SEKONIC SS-250F、 チャートスピード : 150mm/min。 結果は下記の表 4 に示される通りであり、分子量が 20
万以上のゼラチン分子の含量が多い程、紐状ゼリー菓
子に伸ばし易さと、切れ難い特徴をもたらすものである
ことが判る。尚、分子量が 20 万以上のゼラチン分子の
含量が 50 重量% 以上となると、ゼラチン溶液の粘度が
高くなり、糖類等を含有する煮詰め液との混合が不均一
になり易いことや、成型のための充填が困難になる等の
問題が生じることも想定されるが、上記と同様の効果は
充分に期待できる。
【0017】
【表4】 表 4 中において、試験区 1 - 5 はゲル化剤としての調
製ゼラチン 1 - 5 を用いて試作されたゼリー菓子に関
するものであり、数値は試験区 1 のゼリー、即ち対照
ゼリーについての測定値を 1.00 と設定した場合の相対
値である。
【0018】試験例 2 表 2 に示されている調製ゼラチンの内で、調製ゼラチ
ン 5 をゲル化剤として選択し、下記の表 5 に示される
配合 2 及び 3 に従いゼリー菓子を試作した。尚、これ
らの配合 2 及び 3 は、仕上がり品の固形分含量及び砂
糖/水飴比率は 試験例 1 と同様に設定し、ゼラチン含
量のみを変更したものである。即ち、ゼラチン含量が、
配合 1 においては仕上がり品に対して 7 重量 % であ
るが、配合 2 及び 3 ではそれぞれ 6 及び 8 重量 %
である。
【0019】
【表5】
【0020】結果は、下記の表 6 に示されている通り
であり、ゲル化剤として調製ゼラチン 5 を用い、その
使用量を 6 又は 8 重量 % に設定しても、調製ゼラチ
ン 5を 7 重量 % に設定した場合 [試験例 1 における
試験区 5 に関する結果 (表 4参照) が、この表 6 にも
参考までに併せて示されている] と同様の効果がもたら
されることが判明した。尚、この表 6 中の数値も試験
例 1 における試験区 1のゼリー菓子に関する測定値を
1.00 とした場合の相対値で示されている。
【0021】
【表6】
【0022】製造例 試験例 1 に示されている調製ゼラチン 5 を 70g 採取
し、これにゼラチン溶解用水 10.5g を添加し、60℃ に
て湯煎してゼラチンを溶解させた。一方、砂糖373g に
砂糖溶解用水 124g を添加し、これに水飴 485g を添加
し、130℃ 迄煮詰め、次いで冷却して品温を 90℃ にな
した。これに上記のゼラチン溶液を添加し、直ちに攪拌
混合して均一なものとなし、更に適宜加水して仕上がり
固形分含量を 80 重量 % に調整してゼリー菓子生地を
得た。このゼリー菓子生地を、幅が 5mm、長さ 35cm、
深さ 5mm の溝が複数本形成されているスターチトレー
に流し込み、次いで冷却して固化させた。この固化した
ゼリーの表面に付着しているスターチを取り除き、相互
付着防止のために 1 本当り約 0.1g の椰子油を塗布す
ることにより、所望の紐状ゼリー菓子を得た。このゼリ
ー菓子を試食した処、食感は良好であった。
【0023】
【発明の効果】本発明による紐状ゼリー菓子は伸縮性に
富み、引っ張っても簡単に切れてしまうことがない。従
って、喫食に先だって紐玩具として使用することができ
且つ食感が良好である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−4751(JP,A) 特開 昭63−203149(JP,A) 実開 平1−59085(JP,U) 日本家政学会誌(1990)第41巻 第9 号 p.825−831 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/05 - 1/09 A23G 1/00 - 9/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配合されているゼラチンの内で、分子量
    20 万以上のゼラチン分子が 25 重量 % 以上占めてい
    ることを特徴とする、紐状ゼリー菓子。
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日本家政学会誌(1990)第41巻 第9号 p.825−831

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