JP2968110B2 - チョコレート菓子及びその製法 - Google Patents

チョコレート菓子及びその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、固形チョコレート内
、発泡性粉末、強酸味粉末及び冷感を持つ粉末から選
ばれる粉末状食品を内包したチョコレート菓子及び粉末
状食品を内包したチョコレート菓子の製法に係り、更に
詳しくは、発泡感や酸味、冷感等を有する粉末状食品を
センターとする新規なチョコレート菓子及び粉末状食品
の飛散を防止しながら、粉末状食品をチョコレートに内
包させることができるチョコレート菓子の製法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来の食品素材を内包するチョコレート
菓子は、次の3種類に分類できる。 (1)油脂を連続相とした混合物を内包したチョコレー
ト菓子。 (2)高濃度糖水溶液を連続相とした混合物を内包した
チョコレート菓子。 (3)その他の固形状物を内包したチョコレート菓子。
【0003】このうち、(1),(2)のチョコレート
菓子は、凹型のシェルチョコレートに、内包させる混合
物を、その混合物が流動性を持つ温度に保ちながら充填
した後、表面が適切な強度を持つ状態で混合物上にチョ
コレートを充填し、冷却、固化させて製造される。
(1)のチョコレート菓子では、内包させる素材として
チョコレートの製造法と同様な手法で作成された混合物
が主に用いられる。(2)のチョコレート菓子では、糖
水溶液を煮詰めて高濃度にしたものが一般に用いられ
る。
【0004】(3)のチョコレート菓子は、チョコレー
ト生地中に固形物を充填もしくは混合し、冷却、固化さ
せるか、固形物をチョコレートでコーティングする等の
方法によって、チョコレート生地中に固形物を内包す
る。ナッツ類やパフ等を内包するチョコレート菓子がそ
の代表的なものである。
【0005】更に、近年、食生活が多様化、グルメ化す
る中で、新しい組合せのチョコレート菓子が求められて
いる。そこで、発泡感等特長的な風味、食感を有する粉
末状食品とチョコレートとを組合せることが考えられ
る。粉末状食品は、細かい固形物の集合体であるので、
(3)のチョコレート菓子の様に、チョコレート生地中
に分散・混合させることが考えられる。しかし、粉末状
食品の持つ特長的な風味・食感をチョコレート菓子中に
表現するためには、適当量の粉末が気体を連続相として
まとまって空間内に存在し、粉末粒子相互の可動性が確
保されていることが必要である。
【0006】こうした構造を有する菓子類をガム、キャ
ンディに一部見ることができ、ガムの様に成形時に一定
の強度を持って結合しているものは、比較的容易に粉末
状食品をセンターとすることが可能である。しかしなが
ら、チョコレートの成形においては、成形時にチョコレ
ートが液状となり、流動性を持つため、ガムの製造方法
を利用することはできず、また、従来のチョコレート製
造方法でも粉末状食品をセンターとすることが困難であ
った。
【0007】また、粉末状食品の組成をラムネ菓子の様
に圧縮固化したものをチョコレートに内包することも考
えられるが、風味の早期発現性や口溶けが悪く、粉末の
ように流動性及び唾液による早期溶解性をもつ形態でな
くては、その特長的な風味、食感を発揮できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みなされたものであって、その目的とするとこ
ろは、粉末状食品の持つ特長的な風味、食感、具体的に
は、発泡感や強く刺激的な酸味、強い冷感等を、チョコ
レートの風味と組合せたチョコレート菓子を提供するに
ある。更に他の目的とするところは、粉末状食品を内包
するチョコレート菓子を良好に製造できる方法を提供す
るにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、固形チョ
コレート内に、発泡性粉末、強酸味粉末及び冷感を持つ
粉末から選ばれる粉末状食品を内包してなるチョコレー
ト菓子、並びに、チョコレート生地で凹型のシェルチョ
コレートを形成した後、該シェルチョコレート凹部に粉
末状食品を充填し、次いで、チョコレート生地をシェル
チョコレート周縁上部から供給して粉末状食品層上に流
入させることにより、粉末状食品を被覆し、固化させる
ことを特徴とするチョコレート菓子の製法によって達成
される。
【0010】次に、本発明を詳しく説明する。本発明の
チョコレート菓子は、発泡性粉末、強酸味粉末、冷感を
持つ粉末から選ばれる粉末状食品を固形チョコレートで
内包してなるものである。
【0011】発泡性粉末としては、酒石酸等の酸成分と
重曹とが主となり、必要に応じて、発泡助剤等を含有さ
せ、溶解し易い顆粒状に成形されたものが好適に使用さ
れる。
【0012】強酸味粉末としては、クエン酸やアスコル
ビン酸等有機酸そのものの粉末や、FD果汁パウダー等
酸味の強い素材を粉末化させたもの等が挙げられる。
【0013】冷感を持つ粉末としては、ソルビットやエ
リスリトール等の粉末やメントールパウダー等食したと
きに冷感を供う粉末あるいはこれらの造粒物が挙げられ
る。
【0014】そして、これらの粉末状食品が最もその特
長を表すのは、その粒子径が20メッシュ以上60メッ
シュ以下であるときで、粉末状食品の70%が、この粒
子径に入ることが望ましい。粒子径がこれ以上小さくな
ると、口中の水分を一気に吸収して集合化し易く、食感
的にももの足りないものとなる傾向にある。また、粒子
径が大きくなると、粉末としての食感が消失してしまう
傾向にある。
【0015】また、外層のチョコレートは、一般に、製
造されているチョコレート類を使用すればよく、特に限
定されるものではない。上記粉末状食品は、粉末粒子相
互の可動性をもつよう気体を連続層とし、適当量まとま
って、固形チョコレートに内包されているようにするこ
とが、喫食時に粉末状食品の特長的風味、食感を良好に
味わうことができる点で好適である。
【0016】本発明のチョコレート菓子の製造は、例え
ば、次のようにして行う。すなわち、まず、準備したチ
ョコレート生地をシェルチョコレート用モールドに充填
し、モールドを反転振動させ、モールド接着面に近いチ
ョコレート生地のみを残して冷却、固化させることによ
り、シェルチョコレートを形成させる。
【0017】次に、このシェルチョコレートに、粉末状
食品、好適には発泡性粉末、強酸味粉末及び冷感を持つ
粉末等を、シェルチョコレート周縁部の高さより低い適
宜位置まで充填する。このシェルチョコレートに粉末状
食品が充填された状態を図1に示す。同図において、1
はシェルチョコレート、2は粉末状食品、10はシェル
チョコレート用モールドである。
【0018】また、粉末状食品の充填については、粉末
状食品の飛散を防止することが重要であり、粉末状食品
の充填口からシェルチョコレート周縁部までの距離は、
10mm以下とすることが好ましい。距離が長くなる
と、粉末状食品の飛散がはなはだしく、次工程が困難と
なる。
【0019】次に、図2に示すように、シェルチョコレ
ート周縁部上部からボトム用チョコレート生地4を供給
し、シェルチョコレート周縁部から徐々に、チョコレー
ト生地4が粉末状食品層上に流入するようにする。この
ようにすることにより、粉末状食品の舞い上がりや形崩
れを防ぐことができ、かつ、大きな気泡を含む比率を大
きく減ずることが可能となる。
【0020】すなわち、充填された粉末状食品層上に直
接にボトム用チョコレート生地を充填すると、粉末状食
品が舞い上がったり、形が崩れたりしてしまう。また、
大きな気泡を含み易いため、脱泡のための振動が必要と
なるが、振動により脱泡を行うと、気体を連続相とした
粉末状食品も気体と供に上昇し、表面へと噴出してしま
う。
【0021】また、ボトム用チョコレート生地の供給
は、シェルチョコレート周縁部全体にしてもよいし、数
箇所に充填口を設け、そこから供給するようにしてもよ
い。
【0022】上記のようにしてボトム用チョコレート生
地で粉末状食品層を被覆した後、冷却して、ボトム用チ
ョコレートを固化させ、モールドより取り出すことによ
り本発明のチョコレート菓子が得られる。
【0023】以上の様にして得られた本発明のチョコレ
ート菓子は、粉末状食品が気体を連続相としてその可動
性を保ち、粉末本来の物性を維持しながら、チョコレー
トに内包されているため、粉末の持つ特長的な発泡感や
強酸味、冷感等の風味、食感を喫食時に効果的に発現す
ることができる。
【0024】
【発明の効果】以上の様に、本発明のチョコレート菓子
は、風味、食感に特長をもつ粉末状食品を内包している
ことにより、従来にない新しい風味、食感を楽しむこと
ができるチョコレート菓子である。また、本発明の製法
により、粉末状食品の飛散を防止しながら粉末状食品を
内包するチョコレート菓子を製造することができ、本発
明のチョコレート菓子の工業的生産が可能となる。
【0025】次に、本発明を実施例を挙げて具体的に説
明する。 <実施例1>シェル成形モールドラインのボトムデポの
前に粉末の充填機を装備し、成形に用いた。まず、通常
のシェルチョコレート成形と同様に、溶解したチョコレ
ート生地を調温(テンパリング)し、モールド(20m
m×20mm×14mm)に充填し、モールドを反転振
動させ、モールド接着面に近いチョコレート生地のみ残
し冷却固化させることにより、シェルチョコレートを得
た。次に、シェルチョコレート凹部に表1、表2に示す
組成の発泡性粉末を0.6g充填した。このとき、粉末
の粒子は40メッシュを中心に分布するものを用い、8
0%が20〜60メッシュの範囲に入るものを用いた。
また、ボトム用チョコレートが充填される分の空間が確
保される様に、充填量はシェル空間の8割以内の体積に
とどめられていた。
【0026】次に、粉末の充填されたシェルチョコレー
トをプレヒートし、シェルチョコレートの表層をうっす
らと溶解させた後、ボトム用チョコレート生地を、シェ
ルチョコレートの周縁部4ケ所に落下させ、ごくわずか
な微振動をもって、粉末層の表面を覆うようにした。ボ
トム用チョコレート生地が粉末層の表面を覆った時点で
微振動を止め、それ以後、振動は与えないようにした。
余分に充填されたチョコレート生地をスクレイプして除
き、冷却、固化させた後、モールドから離形し、チョコ
レート菓子を得た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】<実施例2>粉末状食品として、クエン酸
0.6gを用いる他は、実施例1と同様にしてチョコレ
ート菓子を得た。
【0030】<実施例3>粉末状食品として、エリスリ
トール0.6gを用いる他は、実施例1と同様にしてチ
ョコレート菓子を得た。
【0031】<比較例1〜3>実施例における粉末状食
品の充填量と等重量の粉末状食品に結合剤としてデキス
トリン10重量%を加え、圧力30kg/cm3 で打錠
成形したものを、実施例中の粉末の代わりに使用し、そ
れぞれチョコレート菓子を作成した。
【0032】実施例1〜3及び比較例1〜3のチョコレ
ート菓子について、それぞれ発泡感(実施例1,比較例
1)、酸味(実施例2,比較例2)、冷感(実施例3,
比較例3)について、20名の専門パネルにより相対的
試食評価を行った。その結果を表3に示す。
【0033】
【表3】 (※)評価は0から5までの点数評価とし、点数が高い
ほど感度が強い。
【0034】以上の結果より、実施例のチョコレート菓
子は、チョコレート菓子中に今だ表現されたことのない
粉末特異の風味を持ったチョコレート菓子であり、粉末
特有の発泡感(実施例1)、粉末特有の酸味(実施例
2)、粉末特有の冷感(実施例3)をそれぞれ持つもの
であった。一方、打錠成形した比較例のチョコレート菓
子は、それぞれ発泡感(比較例1)、酸味(実施例
2)、冷感(比較例3)が実施例のチョコレート菓子に
対して少ないことが明らかである。
【0035】<比較例4〜6>実施例1〜3で用いた粉
末状食品を、それぞれ実施例と同じチョコレート生地中
に分散混合し、同形のモールドを用いて成形を行った。
こうして得られたチョコレート菓子は、それぞれの粉末
の持つ特長が大きく減じたものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチョコレート菓子の製法の一工程の断
面の様子を示す説明図。
【図2】本発明のチョコレート菓子の製法の一工程の断
面の様子を示す説明図。
【符号の説明】
1 シェルチョコレート 2 粉末状食品 3 ボトム用空間 4 ボトム用チョコレート生地 10 シェルチョコレート用モールド 11 ボトム用チョコレート生地充填口

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固形チョコレート内に、発泡性粉末、強
    酸味粉末及び冷感を持つ粉末から選ばれる粉末状食品を
    内包してなるチョコレート菓子。
  2. 【請求項2】 チョコレート生地で凹型のシェルチョコ
    レートを形成した後、該シェルチョコレート凹部に粉末
    状食品を充填し、次いで、チョコレート生地をシェルチ
    ョコレート周縁部上部から供給して粉末状食品層上に流
    入させることにより、粉末状食品層を被覆し、固化させ
    ることを特徴とするチョコレート菓子の製法。
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