JP2967542B2 - 体液検査体用の支持体 - Google Patents

体液検査体用の支持体

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JP2967542B2 JP22184590A JP22184590A JP2967542B2 JP 2967542 B2 JP2967542 B2 JP 2967542B2 JP 22184590 A JP22184590 A JP 22184590A JP 22184590 A JP22184590 A JP 22184590A JP 2967542 B2 JP2967542 B2 JP 2967542B2
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素裕 岡
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、尿,血液,リンパ液等の体液中に含まれて
いるブドウ糖,蛋白質,ウロビリノーゲン等の検査目的
成分の検出とその濃度の判定、さらには前記体液のpHの
測定等に利用される体液検査体にするための支持体、つ
まり体液検査体用の支持体に関する。
「従来の技術」 各種の病気の発見,診断,治療等に際して、例えば
尿,血液,リンパ液等の体液中に含有されているブドウ
糖や蛋白質等の各種成分の有,無およびその含有量、さ
らにはpH等を検査することが屡々行なわれており、体液
検査体用の支持体に対して各種の検査試薬層または前記
検査試薬層と判定用の基準色層とを担持させた体液検査
体が利用されている。
しかして、前記体液検査体における支持体には、適度
の剛性が必要とされることから、例えばポリスチレン等
によるプラスチックシートが使用されていたが、前記プ
ラスチックシートによる支持体を使用した体液検査体
は、支持体が水に溶解または分散するものではないた
め、使用後にトイレでの廃棄処理に付することができな
く、利用者にとっては使用後に衛生的に前記体液検査体
を廃棄する際の煩雑性が問題となっていた。
このために、例えば、ポリビニルアルコールやポリビ
ニルピドリドン等の水溶性樹脂による試験片シート[特
開昭62−24145号公報]、パルプや再生パルプからなる
繊維成分とカルボキシメチルセルロース等の水溶性樹脂
によるバインダー成分とを利用して得られた抄造紙を支
持体とする体液検査体[特開昭60−238763号公報]、水
溶性の支持体本体と該本体に被着されている水溶性物質
とによる支持体に対して、検出機能部を担持させた試験
具[特開平1−121752号公報]等が、トイレでの廃棄処
理が可能な水分散性の体液検査体として提案されてい
る。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、特開昭62−24145号公報に説明されている
水溶性樹脂による支持体を利用した体液検査体は、該支
持体が体液検査体用の支持体に必要とされる十分な剛性
を保持するためには、水溶性樹脂フィルムの複数枚を貼
着しなければならなく、製造上の煩雑性を有しているば
かりでなく、剛性を具備する厚さのものの場合には、水
中での溶解〜分散に対して30分以上も掛かるため、トイ
レでの廃棄処理が可能な十分な水溶性〜水分散性が得ら
れない。
また、特開昭60−238763に説明されているパルプや再
生パルプからなる繊維成分とカルボキシメチルセルロー
ス等の水溶性樹脂によるバインダー成分とを利用して得
られた抄造紙を支持体とする体液検査体は、使用済みの
検査体をトイレで廃棄処理し得るという取り扱い容易性
は得られるものの、支持体に対して検査試薬層や判定用
の基準色層を印刷層等による塗工層として形成する場合
に、印刷用インキが支持体中に浸透してしまい、所定の
検査試薬層あるいは検査試薬層と判定用の基準色層とを
塗工層で形成することが困難である。
さらに、特開平1−121752号公報に説明されている試
験具は、支持体本体に被着されている水溶性物質による
皮膜の耐水衝撃性が不十分であり、該試験具に対して体
液を洗瓶から射出するような試験方法を適用した場合に
は、皮膜部分に損傷が発生し、これが正確な検査結果の
妨げになることがある。
これに対して本発明は、支持体部分が体液検査体用の
支持体に対して必要とされる十分な剛性を具備するもの
でありながら、水分散性ないし水溶性が良好であり、こ
れによって使用済みの検査体をトイレで廃棄処理し得る
に十分な水分散性〜水溶性を有し、しかも支持体の表面
に、検査試薬層の判定用の基準色層を塗工層として形成
する際には、印刷用インキが支持体中にみだりに浸透し
てしまうようなことがないために、所定の検査試薬層や
判定用の基準色層を整然と形成することができ、かつ、
支持体と前記検査試薬層たる塗工層との間に優れた接着
強度が得られ、さらには、検査用の体液を試薬層に対し
て洗瓶から射出する方法で検査し得る強靭性、すなわ
ち、尿検査用の検査体の場合にはカップ等の容器に採尿
することなく、検査体の試薬層部分に対して検査用の尿
を直接噴射させる検査方法に耐え得る強靭性をも具備す
る体液検査体用の支持体を提供する。
「課題を解決するための手段」 上記の課題は、以下に記載する構成による本発明の体
液検査体用の支持体によって解決される。
すなわち本発明は、水分散性〜水溶性の繊維製基材と
該繊維製基材の表,裏両面に形成されている樹脂塗膜と
からなる体液検査体用の支持体において、水分散性〜水
溶性の繊維製基材の表面側の樹脂塗膜が、相対湿度90%
における飽和吸水率が15%未満のフィルム形成能を有す
る水不溶性の樹脂(a)5〜50重量%と相対湿度90%に
おける飽和吸水率が15%以上のフィルム形成能を有する
水可溶性の樹脂(b)95〜50重量%との混合樹脂を塗工
した水分散性の混合樹脂塗膜からなり、また、水分散性
〜水溶性の繊維製基材の裏面側の樹脂塗膜が、相対湿度
90%における飽和吸水率が15%以上のフィルム形成能を
有する水可溶性の樹脂(b)を塗工した水溶性の樹脂塗
膜、または該水可溶性の樹脂(b)に対して水不溶性の
樹脂(a)が水可溶性の樹脂(b)の量を超えることの
ない範囲内で添加されている混合樹脂を塗工した水分散
性の樹脂塗膜からなるものである。
上記の構成による本発明の体液検査体用の支持体にお
いては、水不溶性の樹脂(a)がポリビニルブチラール
からなり、水可溶性の樹脂(b)がポリビニルピロリド
ンからなることが好ましい。
又上記の構成による本発明の体液検査体用の支持体に
おいては、水不溶性の樹脂(a)がポリビニルブチラー
ルからなり、水可溶性の樹脂(b)がポリエチレングリ
コールからなることが好ましい。
更に、上記の構成による本発明は体液検査体用の支持
体においては、水分散性〜水溶性の繊維製基材は、エー
テル化度0.1〜1.0の繊維状カルボキシメチルセルロース
またはカルボキシエチルセルロースを繊維主成分とする
抄造紙からなるものであることが好ましい。
更に又、上記の構成による本発明の体液検査体用の支
持体においては、水分散性〜水溶性の繊維製基材は、エ
ーテル化度0.1〜1.0の繊維状カルボキシメチルセルロー
スまたはカルボキシエチルセルロースを繊維主成分とす
る抄造紙からなり、該抄造紙の繊維主成分をなす前記繊
維状カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシエチ
ルセルロースの塩基飽和度が20%以上であり、しかも、
該抄造紙の溶解液または分散液のpHが5.0〜8.0の範囲内
にあるものであることが好ましい。
前記構成からなる本発明の体液検査体用の支持体にお
ける水分散性〜水溶性の繊維製基材には、例えば、 (1)再生パルプやパルプを例えばカルボキシメチルセ
ルロース等の水溶性樹脂をバインダー成分として抄造し
た抄造紙、 (2)エーテル化度が0.1〜1.0の範囲内にある繊維状カ
ルボキシメチルセルロースまたはカルボキシエチルセル
ロースを繊維主成分とする抄造原料による抄造紙、 (3)繊維主成分をなす前述の繊維状カルボキシメチル
セルロースまたはカルボキシエチルセルロースの塩基飽
和度が20%以上に調整されており、しかも、前記抄造紙
の溶解液または分散液のpHが5.0〜8.0の範囲内にある抄
造紙、 等が使用される。
なお、例えば、体液中のブドウ糖の検出は、採取され
た体液中のブドウ糖がグルコースオキシダーゼ等のブド
ウ糖酸化酵素の作用によって空気中の酸素と反応し、最
終的にグルコン酸と過酸化水素に酸化される作用を利用
して行なわれるものであって、前記生成された過酸化水
素からペルオキシダーゼの作用によって発生期の酸素を
産出させ、この酸素をグアヤク脂やo−トリジン等の被
酸化性指示薬と反応させて得られる前記指示薬による発
色の程度によって前記ブドウ糖の有無およびその定量が
行なわれ、この反応に基づくブドウ糖検出用の検査体
は、支持体に担持されている前述の被酸化性支持薬がブ
ドウ糖検出用の検査試薬層中で好ましい呈色変化が生ず
るような酸性側のpHに調整されているのが普通である。
また、体液中の蛋白質の検出は、酸性側のpHに維持さ
れている蛋白検出用の指示薬、例えば、テトラブロモフ
ェノールブルー,テトラブロモチモールブルー,テトラ
フェノールフタレインエチルエステル等の蛋白質検出用
の指示薬と、体液中に含有されている蛋白質との間で複
合物が形成されることによって、指示薬の酸性色である
黄色から塩基性色である青色に前記指示薬が変色する原
理を利用するものであり、変色の程度によって体液中の
蛋白質の量が定量されるもので、支持体に担持されてい
る蛋白質検出用の検査試薬層は、反応の初期において
は、酸性側のpHに維持されていることが必要とされてい
る。
さらに、体液中のウロビリノーゲンの検出は、採取さ
れた体液中のウロビリノーゲンが、酸性側に維持されて
いるp−ジ(アルキル)−アミノベンズアルデヒドとの
間で複合体を形成し、被検査液中に存在するウロビリノ
ーゲンの濃度に応じて黄桃色〜赤紫色に呈色する原理を
利用するものであって、支持体に担持されているウロビ
リノーゲン検出用の検査試薬層は、反応の初期において
は酸性側のpHに維持されていることが必要とされる。
しかして、体液検査体用の支持体に対して検査試薬層
を形成してなる体液検査体は、該体液検査体における検
査試薬層のみが被検査体である体液と接触するわけでは
なく、支持体ととも検査試薬層が体液と接触するもので
あり、支持体との接触によって被検体である体液のpHが
変化するようなことは、得られる検査結果の判断を誤ら
せる要因となる。
以上のような理由により、前述の抄造紙のうちの
(3)項の繊維主成分をなす抄造紙、すなわち繊維状カ
ルボキシメチルセルロースまたはカルボキシエチルセル
ロースの塩基飽和度が20%以上に調整されており、しか
も該抄造紙の溶解液または分散液のpHが5.0〜8.0の範囲
内にある抄造紙を利用する場合には、体液検査体用の支
持体による検査反応部分のpHが体液検査体用の支持体に
おける支持体自体の影響によって変化するようなことが
なく、適確な検査結果が得られるという特別の効果が奏
される。
本発明の体液検査体用の支持体において、水分散性〜
水溶性の繊維製基材として好適に利用される抄造紙は、
エーテル化度が0.1〜1.0の範囲内にある繊維状カルボキ
シメチルセルロースまたはカルボキシエチルセルロース
さらにはこれらの両者を繊維主成分とするものであり、
繊維状カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシエ
チルセルロースさらにはこれらの両者のみを繊維成分と
するものであってもよく、またはエーテル化度が0.1〜
1.0の範囲内にある繊維状カルボキシメチルセルロース
やカルボキシエチルセルロースに対して他の抄造用の繊
維成分、例えば製紙用のクラフトパルプ,サルファイト
パルプ,化繊用の溶解パルプ,ポリアミド繊維,ポリエ
ステル繊維等による他の繊維成分が混合されている抄造
紙であってもよい。
しかしながら、後者の他の繊維成分との混合繊維によ
る抄造紙の場合は、添加される他の繊維成分が前記カル
ボキシメチルセルロースとカルボキシエチルセルロース
との合計量100重量部に対して50重量部を超えると、得
られる抄造紙の水中分散性が悪化する傾向を有するの
で、前記添加成分たる他の繊維は、カルボキシメチルセ
ルロースとカルボキシエチルセルロースとの合計量100
重量部に対して50重量部未満に抑えられていることが好
ましい。
前述の抄造紙における繊維主成分をなすカルボキシメ
チルセルロースとカルボキシエチルセルロースとのエー
テル化度が0.1未満の場合には、抄造紙の水分散性〜水
溶性が十分ではなくなるため、抄造紙における繊維主成
分をなすカルボキシメチルセルロースとカルボキシエチ
ルセルロースとのそれぞれのエーテル化度は、0.1以上
とされていることが好ましい。
また、カルボキシメチルセルロースとカルボキシエチ
ルセルロースとのエーテル化度が0.65以上になると、繊
維の膨潤が激しくなり、抄造工程に手間どる傾向がある
が、抄造速度にこだわらなければエーテル化度1.0まで
のものを利用し得る。
しかしながら、抄造工程における抄造特性と抄造紙の
水分散〜水溶性と強度等との点から、通常は、エーテル
化度0.40〜0.60の繊維状カルボキシメチルセルロースま
たはカルボキシエチルセルロースが使用されるのが好ま
しい。
抄造紙における繊維主成分をなす前述の繊維状カルボ
キシメチルセルロースまたはカルボキシエチルセルロー
スは、塩基飽和度が20%未満になると、トイレに流せる
水分散性〜水溶性が得られなくなるので、本発明の体液
検査体用の支持体における水分散性〜水溶性の繊維製基
材としての前記抄造紙においては、該抄造紙における繊
維主成分をなす前述の繊維状カルボキシメチルセルロー
スまたはカルボキシエチルセルロースの塩基飽和度が20
%以上に調節されているものが好適である。
抄造紙における繊維主成分をなす前述の繊維状カルボ
キシメチルセルロースまたはカルボキシエチルセルロー
スの塩基飽和度の調節と、検査試薬層が設けられる側の
前記抄造紙の紙面のpHの調節と、前記抄造紙の溶解液ま
たは分散液のpHの調節とは、エーテル化度0.1〜1.0の繊
維状カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシエチ
ルセルロースを繊維主成分とする抄造用原料を抄造する
工程において、抄造工程中のフェルト上にある湿紙に、
例えば、炭酸ソーダ,苛性ソーダ等によるアルカリ金属
化合物の水溶液を小過剰(湿紙中におけるカルボキシメ
チルセルロースやカルボキシエチルセルロースの中和当
量以上)に添加し、繊維状セルロースグリコール酸がイ
オン交換によってNa塩等の金属塩に変えられているpH10
〜11程度の乾燥紙を得る前段工程と、前記得られた乾燥
紙を稀酸で処理する後段工程とによって、容易に行ない
得る。
すなわち、繊維状カルボキシメチルセルロースまたは
カルボキシエチルセルロースを繊維主成分とする抄造用
原料の抄造工程中において、フエルト上に湿紙にアルカ
リ金属化合物の水溶液を添加するようにすれば、前記フ
ェルトが湿紙に対する補強ベルトの作用を奏するため、
湿紙に切断等の損傷を起こすようなことがなく、しか
も、連続操業によって、前述の乾燥紙を得ることができ
る。
前記アルカリ金属化合物の水溶液として、例えば、メ
タノール,アセトン等を有機溶媒を含有する水溶液を利
用するようにすれば、前記アルカリ処理工程中での湿紙
の損傷がさらに効果的に防止される。
また、繊維主成分が繊維状セルロースグリコール酸の
Na塩等の金属塩で形成されているpH10〜11程度の抄造紙
に、稀酸を塗布,含浸させ、繊維状セルロースグリコー
ル酸を部分的に生成させることからなる後段工程たる酸
処理工程は、例えば、塩酸等の稀酸溶液をpHを調節しな
がら均一に塗布することによっても行なえるが、この方
法では、−COOH→COONaの逆反応が部分的に著しく生ず
る場合があり、塩基飽和度が20%以上の均一な繊維状セ
ルロースグリコール酸を生成させることが困難になる。
このために酸処理は、有機溶媒と水との混合溶媒に水
中酸指数(水中における解離定数の逆数の対数:pKa値)
3以上の水中酸指数の高い有機酸を溶解させた溶液を利
用するのが好ましい。
すなわち、有機溶媒と水との混合溶媒に対して、水中
酸指数3以上の水中酸指数の高い有機酸を溶解させた溶
液による酸処理の場合には、繊維状セルロースグリコー
ル酸のNa塩等の金属塩の塩基飽和度の低下の度合いが効
果液に抑えられるので、例えば、酢酸,コハク酸,乳
酸,グリコール酸,リンゴ酸,酒石酸等の水中酸指数3
以上の酸を、有機溶媒と水との混合溶媒の0.3〜10重量
%程度の酸溶液によって処理するのが好適である。
なお、混合溶媒における有機溶媒には、例えば、メチ
ルアルコール,エチルアルコール,ブチルアルコール,
プロピルアルコール等のアルコール類や、アセトン,メ
チルエチルケトン,メチルプロピルケトン等が好適であ
り、混合溶媒中の前記有機溶媒の存在が前記繊維状カル
ボキシメチルセルロースまたはカルボキシエチルセルロ
ースの塩基飽和度の低下の度合いを抑える作用を果たす
ものであることから、30重量%以上の有機溶媒を含有す
る混合溶媒を利用するのが好ましい。
また、前記酸処理工程によって得られる繊維状カルボ
キシメチルセルロースまたはカルボキシエチルセルロー
スの塩基飽和度は、カルボキシメチルセルロースまたは
カルボキシエチルセルロースのエーテル化度,利用され
る酸の種類,利用される酸の水中酸指数,混合溶媒の組
成,処理液の酸濃度,処理液の塗工速度等によって決定
されるが、他の因子が全て同一である場合には、処理液
の酸の濃度によって決まるので、予備実験で予め決定さ
れた条件による酸処理を施すことによって、繊維主成分
をなす前記繊維状カルボキシメチルセルロースまたはカ
ルボキシエチルセルロースの塩基飽和度が20%以上に維
持されており、しかも、前記抄造紙の溶解液または分散
液のpHが5.0〜8.0の範囲内にある抄造紙にするのがよ
い。
水分散性〜水溶性の繊維製基材の表面側に形成されて
いる水分散性の樹脂塗膜は、相対湿度90%における飽和
吸水率が15%未満のフィルム形成能を有する水不溶性の
樹脂(a)5〜50重量%と相対湿度90%における飽和吸
水率が15%以上のフィルム形成能を有する水可溶性の樹
脂(b)95〜50重量%との混合樹脂を塗工した混合樹脂
塗膜からなる。
この支持体の表面層をなす樹脂塗膜は、水に接触して
から一定の短時間の間は完全な状態を保ち、しかも、該
塗膜の表面にインキによる塗工層からなる検査試薬層を
形成する場合に、試薬層形成用のインキが支持体中に浸
透するのを防止し、該樹脂塗膜面に形成される検査試薬
層との間に、強固,一体の接着をもたらす。
なお、支持体の表面層をなす混合樹脂塗膜は、該樹脂
塗膜を構成している混合樹脂中の水不溶性の樹脂(a)
が5重量%未満になると、検査用の体液を直接噴射させ
た場合の表面破壊が激しく、体液検査体用の支持体に検
査用の体液を直接噴射させる体液検査方法に耐え得る強
靭性がなくなり、また、水不溶性の樹脂(a)が50重量
%を超えるようになると、トイレに流せ得る水分散性の
性質が失われる。
相対湿度90%における飽和吸水率が15%未満のフィル
ム形成能を有する水不溶性の樹脂(a)5〜50重量%と
相対湿度90%における飽和吸水率が15%以上のフィルム
形成能を有する水可溶性の樹脂(b)95〜50重量%との
混合樹脂を塗工した水分散性の混合樹脂塗膜は、これら
の混合樹脂を含有する溶剤溶液、すなわち水不溶性の樹
脂(a)と水可溶性の樹脂(b)との混合樹脂を含有す
るこれらの樹脂の共通溶剤溶液をコーティング剤とする
塗工によって、容易に形成し得る。
水不溶性の樹脂(a)と水可溶性の樹脂(b)の共通
溶剤としては、例えば、アミルアルコール,1,4−ジオキ
サン,アニソール等の親水性基を有する有機溶剤を利用
し得る。
例えば、ポリビニルブチラールとポリビニルピロリド
ンとの混合樹脂には、これらの共通溶剤として、アミル
アルコールあるいは1,4−ジオキサンを、また、ポリビ
ニルブチラールとポリエチレングリコールとの混合樹脂
には、これらの共通溶剤として、1,4−ジオキサンを利
用し得る。
水分散性〜水溶性の繊維製基材の裏面側に形成されて
いる樹脂塗膜は、短冊状をなす体液検査体用の支持体に
対して、検査用の体液を直接噴射させた場合に、前記体
液検査体用の支持体が非検査試薬層側へ垂れ下がり、極
度に屈曲するのを防止し、検査結果の確認操作を容易に
ならしめ、また、被検査液中に体液検査体用の支持体の
浸漬して体液の検査を行なうような場合には、検査体の
裏面側からの被検査液の浸透を抑え、該部分での腰が弱
くなるのを防止する作用を果たすものであって、体液検
査体用の支持体の取り扱い性を高めるものである。
裏面側に形成されている樹脂塗膜の方が、検査試薬層
が形成される側の樹脂塗膜(すなわち、繊維製基材の表
面側に形成されている樹脂塗膜)に比較して、樹脂組成
中の水可溶性の樹脂(b)の割合が多くなるように設定
されている場合、すなわち、繊維製基材の裏面側に形成
されている樹脂塗膜の方が、検査試薬層が形成される側
の樹脂塗膜に比較してその水溶性〜水分散性において優
れた性質を有するような場合には、表面の樹脂塗膜を強
靭にするための水不溶性の樹脂(a)の含有量が比較的
多くなっても、裏面側からの繊維製基材内への水浸潤性
が良好であることにより、体液検査体用の支持体の水分
散性〜水溶性において優れた作用が得られる。
相対湿度90%における飽和吸湿率が15%未満のフィル
ム形成能を有する水不溶性の樹脂(a)は、疎水性の樹
脂であり、かかる樹脂の代表的なもの、および該樹脂に
よって形成されるフィルムの飽和吸水率を第1表に示
す。
また、相対湿度90%における飽和吸湿率が15%以上の
フィルム形成能を有する水可溶性の樹脂(b)は、親水
性の樹脂であり、かかる樹脂の代表的なもの、および該
樹脂によって形成されるフィルムの飽和吸水率を第2表
に示す。
表面側に水分散性の樹脂塗膜が形成されており、又裏
面側には水溶性〜水分散性の樹脂塗膜が形成されている
体液検査体用の支持体は、水分散性であることはもちろ
んであるが、被検査液の検査は、該検査体を被検査液中
に浸漬して検査試薬層を呈色させることによって行なわ
れるものであることから、被検査液中に浸漬した部分が
所定の時間の間は溶解〜膨潤することのないように、前
記水分散性〜水溶解性の繊維製基材の厚さ、および該繊
維製基材の表,裏両面に形成されている水分散性〜水溶
解性の樹脂塗膜を形成する際の塗工量等の調節を適宜行
なう。
一般的には、坪量100〜200g/m2程度の抄造紙からなる
繊維製基材を利用し、該繊維製基材の表,裏両面に対し
て、2〜20(固形成分)g/m2程度のコーティング剤の塗
工を施すことによって得られる支持体が使用される。
なお、樹脂塗膜に厚さを設けたい場合には、2〜20
(固形成分)g/m2程度のコーティング剤の塗工工程と乾
燥工程とを交互に繰り返して重ね塗りすることによっ
て、得られる樹脂塗膜の強度や水分散性〜水溶解性の程
度を調節し得る。
また、繊維製基材における表,裏両面の樹脂塗膜を同
一成分の混合樹脂によって形成する場合には、これらの
表,裏の樹脂塗膜は含浸工程によっても設けることがで
きる。
本発明の体液検査体用の支持体に形成される検査試薬
層は、前記繊維製基材の表面層をなす混合樹脂塗膜面
に、樹脂をベヒクルとする塗工層で形成するのが好まし
い。
検査試薬層におけるベヒクルとして、前述の支持体の
表面層をなす混合樹脂塗膜における混合樹脂と同系の混
合樹脂を使用する場合には、支持体と検査試薬層との間
の接着性が良好であり、また、支持体に対して検査試薬
層を形成する際における体液検査体用組成物のインキを
得る際の溶媒として、適度の揮発速度の溶媒が利用で
き、インキによる塗工層の形成の際の操業が安定して行
なえるだけでなく、インキによる印刷適性も良好にな
り、さらには、検査試薬層による呈色性能が良く、しか
も、含有物の含有量に応じた濃度の発色を阻害するよう
なことがなく、また、ベヒクルによるpHの変化が被検体
中で生ずるようなことがなく、得られる検査試薬層にお
ける水浸潤性が良く、被検体である体液中の所定の含有
物との間に生ずる呈色反応が完了するに要する時間内は
水膨潤〜水溶解するようなことがない等の品質の良好な
検査試薬層になる。
「実 施 例」 以下本発明の体液検査体用の支持体の具体的な構成
を、その製造実施例を以って説明し、併せて該体液検査
体用の支持体を使用した体液検査体について説明する。
実施例1・比較例1 水分散性〜水溶解性の繊維製基材 エーテル化度0.54の繊維状カルボキシメチルセルロー
ス80重量部と晒クラフトパルプ20重量部との混合抄紙原
料を叩解度20゜SRに叩解した抄造用原料を、丸網抄紙機
によって速度20m/min.で無サイズで抄造する際に、前記
抄造工程中にて8重量%の炭酸ソーダ水溶液を湿紙に塗
布し、坪量120g/m2のアルカリ性抄造紙[A]を得た。
続いて、メタノール−水の等量混合溶媒中に、酢酸と
クエン酸(混合重量比2:3)を溶解した1.25重量%の稀
酸溶液を、ロールコーター法によって、前記稀酸溶液中
の酸成分が1.9g/m2の割合になるようにして塗工,乾燥
することによって、中性の抄造紙[B]を得た。
抄造紙[B]における酸処理面のpHは5.8、抄造紙
[B]の水分散液のpHは7.2、アルカリ性抄造紙[A]
の塩基置換容量は2.79meq/g(計算値)、中性の抄造紙
[B]の塩基飽和度は65.1%である。
繊維製基材の表面への樹脂塗膜の形成 中性の抄造紙[B]の表面に対して、ポリビニルブチ
ラール(Bx−1)[重合度約1700、ブチル化度65mol
%:積水化学工業・エスレックB]と、ポリビニルピロ
リドン(PVP)[重合度約11000:BASF AG・コリドン90]
との混合樹脂による樹脂塗膜{5.0g(固形成分)/m2
を、下記に説明する方法で調整したコーティング剤をN
O.6のミヤバーを利用して塗工することによって形成
し、また、裏面に対しては無処理、あるいは、樹脂塗膜
{5.0g(固形成分)/m2}を、同じくN0.6のミヤバーに
よる塗工によって形成し、本発明の体液検査体用の支持
体、および比較のための体液検査体用の支持体を得た。
支持体の種類と、樹脂塗膜の樹脂の組成(重量%)と
を第3表に示す。
なお、比較例に該当するものについては、支持体の種
類の欄に(*)を表示した。
コーティング剤の調整 ポリビニルピロリドン15重量%のアミルアルコール溶
液と、ポリビニルブチラール15重量%のアミルアルコー
ル溶液とを、それぞれ別々にホモミキサーで十分に攪拌
した後、各溶液の所定量の混合物を、スパーテルで十分
に混合することによって、コーティング剤を調整した。
前記各体液検査体用の支持体[a−1]〜[h−8]
と、抄造紙[B]とに対して、コーティング剤を適用し
てあるものについてはその表面側の樹脂塗膜面に、各支
持体を8mm×80mmの平面矩形状をなす短冊状に裁断した
ときに、各裁断片の端部の近くに5mm×5mmの平面矩形状
の検査試薬層が得られるようにして、下記組成からなる
ブドウ糖検査試薬用の組成物による検査試薬層を、80メ
ッシュのスクリーン版を利用して印刷した。
ブドウ糖検査試薬用組成物 ブトウ糖酸化酵素 ……3.6 重量部 ペルオキシダーゼ ……2.4 重量部 グアヤク脂 ……4.8 重量部 ソルビタンモノラウレート ……7.2 重量部 L−アスコルビルステアレート ……0.24重量部 クエン酸 ……2.8 重量部 クエン酸ソーダ ……11.0 重量部 ポリビニルピロリドン(BASF AG:コリドン90) ……12.6 重量部 ポリビニルブチラール(積水化学工業:エスレックBX
−1) ……2.25重量部 セルロース微粉末(旭化成工業:アビセルTG−D) ……171 重量部 n−アミルアルコール ……171 重量部 ブチルセロソルブアセテート ……67 重量部 検査試薬層を形成した各支持体を8mm×80mmの平面矩
形状の裁断し、各裁断片の端部の近くに、5mm×5mmの平
面矩形状の検査試薬層を有する各体液検査体を得た。
[実 験 1] 約500ccの水を収容してあるビーカー内の水をスター
ラーで撹拌し、高さ3〜4cmの渦が安定した時点で、実
施例1・比較例1で得られた各体液検査体(8×80mmの
短冊片)を投入し、これが塊状に分散するのに要する時
間(秒)を測定した。
各体液検査体の水分散性〜水溶解性の試験結果を第4
表に示す。
なお、前記塊状に分散するのに要する時間が700秒以
下であることが、トイレに流せる水分散性の一応の目安
である。
[実 験 2] 前記実施例1・比較例1で得られた各体液検査体を、
体液検査体における検査試薬層の位置している反対の端
部を把持し、水平面に対して45度に前記検査体を保持
し、検査試薬層側の中央部分(すなわち、端部から約40
mmの位置)に、該検査体から10mmの距離に位置するシリ
ンジから3mlの水を2秒間かけて、続けて2回射出した
後、体液検査体を水平状態に60秒間保持して表面の損傷
程度を観察したところ、表,裏とも未処理の支持体、及
びポリビニルピロリドンによる樹脂皮膜からなる表面樹
脂層を有する支持体を利用した体液検査体の場合は、い
ずれも試薬層側である表面層に損傷が認められたが、そ
れ以外の支持体を利用した体液検査体の場合には、前記
シリンジテストに十分に耐え得る耐水性を有しているこ
とが確認された。
[実 験 3] 前記実験2と同一の手順による実験によって、すなわ
ち、実施例1・比較例1で得られた各体液検査体を、体
液検査体における検査試薬層の位置している反対の端部
を把持し、水平面に対して45度に前記検査体を保持し、
前記検査体の試薬層側の中央部分(すなわち、端部から
約40mmの位置)に、検査体から10mmの距離に位置するシ
リンジから3mlの水を2秒間かけて、続けて2回射出し
た後、さらに、体液検査体を水平状態に保持することに
よって、60秒後における体液検査体の垂れ下がり角度θ
を測定した。
なお、前記体液検査体の垂れ下がり角度θは、体液検
査体における非試薬層側の曲がり角度によって表示した
ものであり、結果を第5表に示す。
角度θが110度よりも小さくなることは、垂れ下がり
の度合いが大きく、非検体である体液を直接体液検査体
に射出することによって検査する方法では、体液検査体
における呈色の変化を確認する際の操作性に難点を有す
る。
[実 験 4] 実施例1・比較例1で得られた各体液検査体の2枚
を、各体液検査体の検査試薬層側と非試薬層側とが接当
するようにして重ね合わせ、上から体液検査体の全体に
亙って20g/m2の加重を掛け、40℃,50%RHの雰囲気中に1
2時間放置した後、2枚の体液検査体同士を指先で引き
剥してブロッキングの発生状態をみたところ、ポリビニ
ルピロリドン樹脂による表面層を有する支持体を利用し
た体液検査体の場合はブロッキングの発生があったが、
それ以外の支持体を利用した体液検査体の場合にはブロ
ッキングの発生は無かった。
実施例2・比較例2 水分散性〜水不溶性の繊維製基材 実施例1で利用した中性の抄造紙[B]と同一の抄造
紙を使用した。
繊維製基材の表面への樹脂塗膜の形成 中性の抄造紙[B]の表面に対して、ポリビニルブチ
ラール(Bx−1)[重合度約1700、ブチル化度65mol
%:積水化学工業・エスレックB]と、ポリビニルピロ
リドン(PVP)[重合度約11000:BASF AG・コリドン90]
との混合樹脂による樹脂塗膜{25.0g(固形成分)/m2
膜厚:約30μ}を、下記に説明する方法で調整したコー
ティング剤を利用し、No.6のミヤバーによる塗工と乾燥
とを5回繰り返す重ね塗りによって形成した後、裏面に
対して、表面側と同一のコーティング剤および塗工工程
を繰り返し、樹脂塗膜{25.0g(固形成分)/m2膜厚:約
30μ}を形成し、本発明の実施例品としての体液検査体
用の支持体、および比較のための体液検査体用の支持体
を得た。
樹脂塗膜の樹脂の組成(重量%)と支持体の種類とを
第6表に示す。
なお、比較例に該当するものについては、支持体の種
類の欄に(*)を表示した。
コーティング剤の調整 ポリビニルピロリドン15重量%の1,4−ジオキサン溶
液と、ポリビニルブチラール15重量%の1,4−ジオキサ
ン溶液とを、それぞれ別々にホモミキサーで十分に撹拌
した後、各溶液の所定量の混合物をスパーテルで十分に
混合することによってコーティング剤を調整した。
各体液検査体用の支持体[j−1]〜[j−8]の樹
脂塗膜面に、各支持体を8mm×80mmの平面矩形状をなす
短冊状に裁断したときに、各裁断片の端部の近くに5mm
×5mmの平面矩形状の検査試薬層が得られるようにし
て、実施例1で利用したブドウ糖検査試薬用の組成物に
よる検査試薬層を、80メッシュのスクリーン版を利用し
て印刷し、さらに検査試薬層が形成されている支持体を
8mm×80mmの平面矩形状の裁断し、各裁断片の端部の近
くに、5mm×5mmの平面矩形状の検査試薬層が形成されて
いる体液検査体を得た。
[実 験 5] 約500ccの水を収容してあるビーカー内の水をスター
ラーで撹拌し、高さ3〜4cmの渦が安定するようになっ
てから、実施例2・比較例2で得られた各体液検査体
(8×80mmの短冊片)を投入し、体液検査体が塊状に分
散するのに要する時間(秒)を測定した。
得られた各体液検査体の水溶性〜水分散性の試験結果
を、第7表に表示する。
[実 験 6] 実施例2・比較例2得られた各体液検査体を、体液検
査体における検査試薬層の位置している反対の端部を把
持し、水平面に対して45度に前記検査体を保持し、前記
検査体の試薬層側の中央部分(すなわち、端部から約40
mmの位置)に、該検査体から10mmの距離に位置するシリ
ンジから3mlの水を2秒間かけて、続いて2回射出し、
次いで、体液検査体を水平状態に60秒間保持した後に、
体液検査体の表面の損傷程度を観察したところ、ポリビ
ニルピロリドン樹脂溶液の塗膜を有する支持体[j−
1]を利用した体液検査体は、試薬層側である表面層に
損傷が認められたが、それ以外の支持体を利用した体液
検査体の場合は、該支持体の表面の塗膜が、シリンジテ
ストに十分に耐え得る耐水性を有していることが確認さ
れた。
[実 験 7] 前記実施例2・比較例2で得られた各体液検査体の2
枚宛を重ね合わせ、上方から、体液検査体の全体に亙っ
て、20g/m2の荷重を掛けたまま、40℃,50%RHの雰囲気
中に12時間放置した後、各体液検査体同士お指先で引き
剥す際のブロッキングの状態を観察したところ、ポリビ
ニルピロリドン樹脂溶液で処理した支持体[j−1]を
利用した体液検査体には、ブロッキングの発生が認めら
れたが、それ以外の支持体を利用した体液検査体の場合
には、ブロッキングの問題は無かった。
実施例3・比較例3 水分散性〜水溶解性の繊維製基材 実施例1で利用した中性の抄造紙[B]と同一の抄造
紙を使用した。
樹脂塗膜の形成 中性の抄造紙[B]の片側表面に対して、ポリビニル
ブチラール[重合度約1700,ブチル化度約65mol%:積水
化学工業・エスレックBx−1](Bx−1)と、ポリエチ
レングリコール[ユニオンカーバイド・POLYOX WSR N75
0](POLYOX)との混合樹脂による樹脂塗膜{25.0g(固
形成分)/m2・膜厚:約30μ}を、下記に説明する方法
で調整したコーティング剤を利用し、No.6のミヤバーに
よる塗工と乾燥とを5回宛繰り返す重ね塗りによって形
成した後、裏面に対して表面側と同一のコーティング剤
および塗工工程を繰り返し、樹脂塗膜{25.0g(固形成
分)/m2・膜厚:約30μ}を形成し、本発明の実施例品
である体液検査体用の支持体、および比較のための体液
検査体用の支持体を得た。
樹脂塗膜の樹脂の組成(重量%)と支持体の種類とを
第8表に示す。
なお、比較例に該当するものについては、支持体の種
類の欄に(*)を表示した。
コーティング剤の調整 ポリビニルブチラール15重量%の1,4−ジオキサン溶
液と、ポリエチレングリコール15重量%の1,4−ジオキ
サン溶液とを、それぞれ別々にホモミキサーで十分に撹
拌した後、得られた各溶液の所定量の混合物をさらにス
パーテルで十分に混合することによってコーティング剤
を調整した。
各体液検査体用の支持体[k−1]〜[k−8]の樹
脂塗膜面に、各支持体を8mm×80mmの平面矩形状をなす
短冊状に裁断したときに、各裁断片の端部の近くに5mm
×5mmの平面矩形状の検査試薬層が得られるようにし
て、実施例1で利用したブドウ糖検査試薬用の組成物に
よる検査試薬層を、80メッシュのスクリーン版を利用し
て印刷し、さらに、検査試薬層が形成されている支持体
を8mm×80mmの平面矩形状の裁断し、各裁断片の端部の
近くに、5mm×5mmの平面矩形状の検査試薬層が形成され
ている体液検査体を得た。
[実 験 8] 約500ccの水を収容してあるビーカー内の水をスター
ラーで撹拌し、高さ3〜4cmの渦が安定するようになっ
てから、実施例3・比較例3で得られた各体液検査体
(8×80mmの短冊片)を投入し、体液検査体が塊状に分
散するのに要する時間(秒)を測定した。
得られた各体液検査体の水溶性〜水分散性の試験結果
を、第9表に表示する。
[実 験 9] 実施例3・比較例3で得られた各体液検査体を、体液
検査体における検査試薬層の位置している反対の端部を
把持し、水平面に対して45度に前記検査体を保持し、前
記検査体の試薬層側の中央部分(すなわち、端部から約
40mmの位置)に、該検査体から10mmの距離に位置するシ
リンジから3mlの水を2秒間かけて、続けて2回射出
し、次いで、体液検査体を水平状態に60秒間保持した後
に、体液検査体の表面の損傷程度を観察したところ、ポ
リエチレングリコール溶液の樹脂塗膜を有する支持体
[k−1]を利用した体液検査体は、試薬層側である表
面に損傷が認められたが、それ以外の支持体を利用した
体液検査体の場合は、該支持体の表面の塗膜が、シリン
ジテストに十分に耐え得る耐水性表面を有していること
が確認された。
「発明の作用,効果」 本発明の体液検査体用の支持体は、抄造紙を得る工程
と該抄造紙に樹脂のコーティングを施す工程とによって
形成されるものであるからその製造工程が簡単であり、
しかも体液検査体の支持体にとって必要な剛性を具備す
るものでありながら、水溶解〜水分散に対して良好な性
質を有するものであり、トイレでの廃棄処理が可能であ
ることから、使用後に衛生的にしかも簡単に廃棄処理し
得る。
さらに本発明の体液検査体用の支持体は、該支持体の
表面側が、相対湿度90%における飽和吸水率が15%未満
のフィルム形成能を有する水不溶性の樹脂(a)5〜50
重量%と、相対湿度90%における飽和吸水率が15%以上
のフィルム形成能を有する水可溶性の樹脂(b)95〜50
重量%との特定の混合樹脂を塗工した混合樹脂塗膜で形
成されているので、検査用の体液を試薬層に対して洗瓶
から射出するような方法で検査し得る強靭性、すなわ
ち、尿検査用の検査体の場合にはカップ等の容器に採尿
することなく、検査体の試薬層部分に対して検査用の尿
を直接噴射させる方法で検査し得る強靭性を具備する。
また、本発明の体液検査体用の支持体は、裏面側の樹
脂塗膜が、体液検査体による検査結果の判定時に体液検
査体が反対側へ垂れ下がる度合いを少なくさせる作用、
すなわち湿潤によって体液検査体が反対側へ反り返る度
合いを抑える作用を奏するので、判定結果の観察が容易
に行ない得るという取り扱い特性においても優れた作
用,効果を有する。
フロントページの続き (72)発明者 岡 素裕 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 渡辺 正直 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−121752(JP,A) 特開 昭62−261060(JP,A) 特開 昭60−238763(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 33/48 - 33/52 G01N 33/58 - 33/98 G01N 31/00 - 31/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水分散性〜水溶性の繊維製基材と該繊維製
    基材の表,裏両面に形成されている樹脂塗膜とからなる
    体液検査体用の支持体において、水分散性〜水溶性の繊
    維製基材の表面側の樹脂塗膜が、相対湿度90%における
    飽和吸水率が15%未満のフイルム形成能を有する水不溶
    性の樹脂(a)5〜50重量%と相対湿度90%における飽
    和吸水率が15%以上のフィルム形成能を有する水可溶性
    の樹脂(b)95〜50重量%との混合樹脂を塗工した水分
    散性の混合樹脂塗膜からなり、また水分散性〜水溶性の
    繊維製基材の裏面側の樹脂塗膜が、相対湿度90%におけ
    る飽和吸水率が15%以上のフィルム形成能を有する水可
    溶性の樹脂(b)、または該水可溶性の樹脂(b)に対
    して水不溶性の樹脂(a)が水可溶性の樹脂(b)の量
    を超えることのない範囲内で添加されている混合樹脂を
    塗工した水溶性〜水分散性の樹脂塗膜からなることを特
    徴とする体液検査体用の支持体。
  2. 【請求項2】水不溶性の樹脂(a)がポリビニルブチラ
    ールからなり、水可溶性の樹脂(b)がポリビニルピロ
    リドンからなることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    に記載の体液検査体用の支持体。
  3. 【請求項3】水不溶性の樹脂(a)がポリビニルブチラ
    ールからなり、水可溶性の樹脂(b)がポリエチレング
    リコールからなることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項に記載の体液検査体用の支持体。
  4. 【請求項4】水分散性〜水溶性の繊維製基材が、エーテ
    ル化度0.1〜1.0の繊維状カルボキシメチルセルロースま
    たはカルボキシエチルセルロースを繊維主成分とする抄
    造紙からなることを特徴とする特許請求の範囲第1項〜
    第3項のうちのいずれかの1項に記載の体液検査体用の
    支持体。
  5. 【請求項5】水分散性〜水溶性の繊維製基材が、エーテ
    ル化度0.1〜1.0の繊維状カルボキシメチルセルロースま
    たはカルボキシエチルセルロースを繊維主成分とする抄
    造紙からなり、該抄造紙の繊維主成分をなす前記繊維状
    カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシエチルセ
    ルロースの塩基飽和度が20%以上であり、しかも、該抄
    造紙の溶解液または分散液のpHが5.0〜8.0の範囲内にあ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項〜第3項のう
    ちのいずれかの1項に記載の体液検査体用の支持体。
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