JP2965521B2 - 記録体搬送装置 - Google Patents
記録体搬送装置Info
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Description
を搬送する記録体搬送装置に係り、特に、インクジェッ
ト記録装置などで記録体の排出部に設けられ、記録体の
印字表面に接触して記録体を押さえる拍車を利用した記
録体搬送装置の改良に関する。
用紙排出部に装備される記録体(用紙)搬送装置として
は、通常用紙に記録されたインクが完全に乾いていない
ため、用紙に点接触して搬送する拍車を利用したものが
用いられる。従来この種の拍車としては、例えば拍車の
歯先端の曲率半径Rを0.08mm以下に鋭くとがらせ
ることで拍車に対するインク付着量を微量に抑え、記録
体への再転写やインク未定着面での滑りを防止し、且
つ、表面処理やメッキなどによって歯先の硬度を高くし
て、磨耗を減少させるようにしたもの(特開平3−27
2694号公報)や、拍車の歯先端の曲率半径Rをさら
に小さく0.05mm以下に鋭くとがらせることで、よ
り高品位な画質を維持するようにしたもの(特開平6−
312866号公報)が提案されている。
度を高くするなどの要求から、インクドロップ量を多く
した場合や、インクの乾きを遅らせた場合(用紙に対し
てのインクの浸透速度を遅くすることで記録体表面にイ
ンクを止め、印字濃度を高くする)などにおいては、従
来の歯先端の曲率半径を小さくしたという発明だけで
は、拍車に対するインク付着量を微量に抑えることがで
きなくなり、記録体への再転写やインク未定着部での滑
りが発生し、画質トラブルが発生しやすいという技術的
課題があった。また、拍車に対するインク付着量が多く
なると、拍車の歯先端が用紙に対して食い込み難くな
り、その分、インク用紙の搬送性を損なう懸念もある。
ために為されたものであって、拍車に対するインクなど
の可視材付着量を抑え、記録体への再転写やインクなど
の可視材未定着部での滑りの発生に伴う画質トラブルを
回避し、しかも、記録体の搬送性を常時良好に保つこと
が可能な記録体搬送装置を提供するものである。
1に示すように、拍車1を利用してシート状の記録体2
を搬送する記録体搬送装置において、拍車1の各歯3を
少なくとも板状として形成し、かつ、拍車1の各歯3先
端の板厚方向断面を楔形状部4に形成すると共に、この
楔形状部4の少なくとも歯板厚方向の一面を凹状の湾曲
面としたことを特徴とするものである。また、本発明
は、拍車1を利用してシート状の記録体2を搬送する記
録体搬送装置において、拍車1の各歯3を少なくとも板
状として形成し、かつ、拍車1の各歯3先端の板厚方向
断面を楔形状部4に形成すると共に、この楔形状部4の
板厚方向下面を水平面とし板厚方向上面を傾斜面とした
ことを特徴とするものである。
の記録体搬送装置としては拍車1を利用して記録体2を
搬送するものであれば全て包含するものであり、例えば
インクジェット記録装置のように可視材としてインクを
使用する態様、特に、インクジェット記録装置の印刷部
の下流側に設けられるものが有効である。
のであり、少なくとも歯3が板状であればよい。ここ
で、コアと歯3とは一体的に形成されていればよく、金
属製のホイール歯3の中心部分に例えば樹脂製のコアを
印刷充填するようにしたり、あるいは、同一の金属板で
コアと歯との間で肉厚を相違させるようにしてもよい。
向の一面を傾斜させたものであってもよいし、歯板厚方
向の両面を傾斜させるものであってもよく、傾斜面につ
いては直線面状、曲面状を問わない。特に、記録体2に
対する各歯3のマーク(拍車1に付着したインクなどの
可視材の再転写に起因するマーク)を極力目立たなくす
るという観点からすれば、楔形状部4の少なくとも板厚
方向の一面を凹状の湾曲面とし、記録体2に対する楔形
状部4の食い込み部位の面積を小さくすることが好まし
い。
製造方法としては、各種の方法を採用して差し支えない
が、簡易な製造方法という観点からすれば、各歯形成用
の板状部材をエッチングして楔形状部4を得るようにす
るのが好ましい。特に、等方性エッチングを用いれば、
その性質から、楔形状部4の少なくとも板厚方向の一面
を凹状の湾曲面にすることが可能になる。
3先端の機械的強度(曲がりや折れ)を上げるものであ
れば適宜選定して差し支えなく、拍車1の各歯3の基材
としてはビッカース硬度が500度を超えるもの、例え
ばオーステナイト系のステンレス材(SUS631H)
の熱処理品(SUS631EH)であることが好まし
い。また、歯3先端の楔形状部4に表面処理を施し、歯
3先端の機械的強度を上げるようにしてもよい。
とも歯板厚方向の一面を凹状の湾曲面とした各歯3先端
の板厚t、又は、この楔形状部4の板厚方向下面を水平
面とし板厚方向上面を傾斜面とした各歯3先端の板厚t
を、0.04mm以下に形成したことを特徴としてい
る。この態様において、拍車1の各歯3先端の板厚tを
0.01mm以下にすることが好ましい。
ば、拍車1の各歯3は少なくとも板状に形成され、か
つ、拍車1の各歯3先端は、板厚方向断面を楔形状部4
に形成したものであるか、又は、板厚tを0.04mm
以下(好ましくは0.01mm以下)に形成したもので
ある。このとき、拍車1の各歯3先端に付着するインク
等の可視材付着量は極めて少なく、しかも、拍車1の各
歯3は記録体2に対し狭い面積で深く食い込む。このた
め、拍車1の各歯3による記録体2への可視材の付着は
極めて少なく、目立たない。一方、拍車1の各歯3が記
録体2に対し深く食い込むため、拍車1による記録体2
の押さえ力が大きくなり、記録体2に対する搬送力が効
果的に伝達される。
に基づいてこの発明を詳細に説明する。図2はこの発明
に係る記録体(用紙)搬送装置の実施の一形態が組込ま
れたインクジェット記録装置の概略構成を示す。同図に
おいて、用紙10は送りロール11及びピンチロール1
2により印字ヘッド13及びプラテン14間に送り込ま
れ、印字ヘッド13にて印字される。そして、印字ヘッ
ド13の出口側には二つの用紙排出装置(用紙搬送装置
に相当)15,16が配設されている。本実施の形態に
おいて、用紙排出装置15,16はいずれも下側に駆動
用の排紙ロール17,18を有し、この排紙ロール1
7,18の上側に拍車21,22を所定圧で押圧配置
し、排紙ロール17,18に追従して従動回転させるよ
うにしたものである。尚、符号23,24は夫々拍車2
1,22に圧接配置される例えばスポンジ製ロールから
なる拍車クリーナであり、拍車21,22に付着したイ
ンクを清掃する。また、符号25は用紙10を搬送する
ためのガイドである。
は、図3(a)〜(c)に示すように、中心に回動軸
(図示外)が嵌挿される円柱状の例えば樹脂製のコア3
1と、このコア31の外周中央部に一体的に設けられ且
つ周囲に鋭利な歯33が形成されたリング状の金属製ホ
イール32とで構成されている。更に、ホイール32の
歯33は、例えば図3(c)に示すように、ホイール3
2の外周にm(10゜)毎に36個形成されるものであ
り、各歯33の先端鋭利角度θが25゜、各歯33の先
端部の曲率半径R0が0.05mm程度に設定されてい
る。
のホイール32の基材としては、例えばオーステナイト
系のステンレス材SUS631Hの熱処理品であるSU
S631EH(ビッカース硬度で500HV以上)が用
いられている。そして、ホイール32は、t1(本実施
の形態では0.1mm)の厚さを有するものであって、
ホイール32の各歯33の先端は、図4(a)(b)に
示すように、板厚方向断面を楔形状部34として形成さ
れている。この楔形状部34はホイール32の板厚方向
下面を水平面35とし、板厚方向上面を傾斜面36とす
るものであり、特に、本実施の形態では、傾斜面36が
凹状の湾曲面として形成されている。更に、楔形状部3
4の先端板厚方向厚さt2は0.04mm以下、好まし
くは0.01mm以下に設定されている。本実施の形態
において、楔形状部34の長さLは、拍車21,22の
板厚、歯先端の板厚t2及び歯先端に必要な機械的強度
により決定され、本実施の形態では、0.1mm程度に
設定される。
について説明する。本実施の形態では、先ず、ホイール
32基材であるSUS631EHの板材からエッチング
にてホイール32を形成する。このとき、ホイール32
の各歯33の楔形状部34は、例えば図4(b)に示す
ように、楔形状部34の長さ寸法L(本実施の形態では
L=0.1mm)に対応した箇所に対し、歯33の板厚
方向に等方性エッチングを施すことにより形成され、等
方性エッチングの性質から、楔形状部34の傾斜面36
部分が必然的に凹状の湾曲面として形成される。次い
で、エッチングにて形成されたホイール32の中空部に
対し樹脂からなるコア31を印刷成形することで、コア
31及びホイール32が一体化された拍車21,22が
成形される。
さと、拍車マーク(SWマーク)レベル(拍車に付着し
たインクが用紙に再転写した時のマークレベル)との関
係を図5に示す。尚、実験条件として、拍車21,22
の押圧力を10gfとし、また、比較の形態として、図
9に示すように、拍車21,22の歯33先端の厚さt
2が板厚t1と同じに設定されたものを用いた。同図にお
ける評価としては、グレードを5段階とした官能評価で
あり、拍車マークレベルの許容値をグレード2以下とし
た。比較の形態にあっては、拍車マークレベルはグレー
ド3であるのに対し、実施の形態に係る拍車にあって
は、t2が0.04mm以下であればグレード2以下に
なり、拍車マークレベルが許容値を満足する。特に、t
2が0.01mm以下であればグレード1以下となり、
非常に好ましいことが確認された。このような結果に関
しては、比較の形態の場合には、拍車の歯先端の用紙と
の対接地面積が大きくなり、結果的に歯先端に付着する
インク量が多くなってしまうのに対し、実施の形態にあ
っては、拍車の歯先端の用紙との対接地面積が小さくな
り、結果的に歯先端に付着するインク量が大幅に減少す
ることに起因するものと思料される。
2基材として、オーステナイト系ステンレス材であるS
US631EH(SUS631Hに熱処理を加えたも
の)が適当であることを実験的に確認した。実験方法と
しては、ホイール基材を複数種類(SUS304H、S
US301EH、SUS631H、SUS631EH)
ふって拍車を作製し、拍車を適宜数(例えば3個=75
歯[実際は36歯×3個=108歯であるが、観察でき
た数として、75歯を挙げた])ビニール袋に入れ左右
上下に数回(例えば10回)振り、更に、手で軽く5回
揉むというストレステストを行った。また、ホイール基
材を複数種類(SUS304H、SUS301EH、S
US631H、SUS631EH)ふって拍車を作製
し、拍車を実機に搭載し、実際に用紙を10KPVパス
するというランニングテストを行った。このようなスト
レステスト及びランニングテスト後の拍車の歯先端の曲
がり頻度を図6,図7に夫々示す。また、図6,図7の
結果を以下の表1に示す。
ステナイト系ステンレスであるSUS631EH(SU
S631Hに熱処理を加えたもの)が適当であることが
理解される。現に、ホイール基材として、SUS304
H、SUS301EH、SUS631Hを使用した拍車
については、ランニングテスト中に拍車の歯先端が曲が
ってしまい、結果的にインク付着量が増えて、インク再
転写トラブルが発生した。これに対し、ホイール基材と
して、オーステナイト系ステンレスであるSUS631
EHを使用した拍車にあっては、拍車の歯先端の機械的
強度が上がり、拍車の歯先端の板厚を0.01mm以下
にした場合においても、用紙搬送時の歯先端の曲がりや
折れ、磨耗などの問題が生じなくなり、継続的に高品位
な画質が得られるようになることが確認された。
ロップ量との関係について実験した。実験方法として
は、実施の形態に係る拍車(t2=0.01mm)につ
いてインクドロップ量を9.0mg/inch2から1
0.1g/inch2程度に増加させ、このときの拍車
マーク(SWマーク)レベルを官能評価した。尚、本実
験においては、拍車21,22の押圧力を10gfとし
た。結果を図8に示す。同図によれば、インクドロップ
量が9.0mg/inch2から10.1g/inch2
に増加すると、拍車マーク(SWマーク)レベルがグレ
ード1からグレード2.3に悪化することが確認され
る。このとき、拍車マーク(SWマーク)レベルがグレ
ード2以下で許容値であるとすれば、本実施の形態で
は、インクドロップ量が9.8mg/inch2程度ま
で増加したとしても対応できることが確認され、比較の
形態に係る拍車(図9参照)にあっては、インクドロッ
プ量が9.0mg/inch2程度までしか対応できな
いのに比べて、インクドロップ量の増加に対する対応性
に優れていることが理解される。
拍車マークレベルとしてグレード2を実現するための必
要拍車数について検討する。今、A4横210mmの用
紙を搬送するのに必要な搬送エネルギを100gfとし
た場合、拍車マークレベルとしてグレード2を確保し
て、拍車一個にかけられる押圧力(拍車クリーナなし)
は、実施の形態に係る拍車(t2=0.01mm)では
約11gfであるのに対し、比較の形態に係る拍車(図
9参照)にあっては、約5gfである。従って、拍車マ
ークレベルとしてグレード2を実現するために必要な拍
車の数は、比較の形態に係る拍車では、100÷5=2
0個、本実施の形態に係る拍車では、100÷11=
9.1個となり、必要拍車数が大幅に低減する。
拍車の各歯を少なくとも板状に形成し、かつ、拍車の各
歯先端の板厚方向断面を楔形状部に形成すると共に、こ
の楔形状部の少なくとも歯板厚方向の一面を凹状の湾曲
面とするか、又は、この楔形状部の板厚方向下面を水平
面とし板厚方向上面を傾斜面としたので、拍車の各歯先
におけるインクなどの可視材付着量自体を少なく抑え、
しかも、記録体に対する拍車の各歯先の食い込み面積を
狭くすることができる。このため、印字濃度を高くする
などの要求から、インクなどの可視材ドロップ量を多く
した場合や、インクなどの可視材の乾きを遅らせた場合
においても、拍車に対する可視材付着量を微量に抑える
ことができ、記録体への再転写や可視材未定着部での滑
りがなくなり、高品位な画質を得ることができる。ま
た、記録体に対する拍車の各歯先の食い込みを深くする
ことができるため、記録体に対する拍車の押さえ力を大
きくすることが可能になり、その分、拍車による記録体
の搬送性を良好に保つことができる。
明図である。
が組込まれたインクジェット記録装置の概要を示す説明
図である。
説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、
(c)は(a)中C部拡大図である。
先端部を詳細に示す説明図、(b)はその正面説明図で
ある。
ークレベルとの関係を示すグラフ図である。
ストの結果に基づいて拍車の歯基材硬度と拍車の歯先の
機械的強度(歯先端の曲がり頻度)との関係を示すグラ
フ図である。
パスするランニングテストの結果に基づいて拍車の歯基
材硬度と拍車の歯先の機械的強度(歯先端の曲がり頻
度)との関係を示すグラフ図である。
ップ量と拍車マークレベルとの関係を示すグラフ図であ
る。
明図である。
車の歯先端の板厚,10…用紙,21,22…拍車,3
1…コア,32…ホイール,33…歯,34…楔形状部
Claims (6)
- 【請求項1】 拍車(1)を利用してシート状の記録体
(2)を搬送する記録体搬送装置において、拍車(1)
の各歯(3)を少なくとも板状として形成し、かつ、拍
車(1)の各歯(3)先端の板厚方向断面を楔形状部
(4)に形成すると共に、この楔形状部(4)の少なく
とも歯板厚方向の一面を凹状の湾曲面としたことを特徴
とする記録体搬送装置。 - 【請求項2】 拍車(1)を利用してシート状の記録体
(2)を搬送する記録体搬送装置において、拍車(1)
の各歯(3)を少なくとも板状として形成し、かつ、拍
車(1)の各歯(3)先端の板厚方向断面を楔形状部
(4)に形成すると共に、この楔形状部(4)の板厚方
向下面を水平面とし板厚方向上面を傾斜面としたことを
特徴とする記録体搬送装置。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のものにおいて、拍
車(1)の各歯(3)先端の楔形状部(4)は各歯
(3)形成用の板状部材をエッチングして得られたこと
を特徴とする記録体搬送装置。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載のものにおいて、拍
車(1)の各歯(3)の基材はオーステナイト系のステ
ンレス材(SUS631H)の熱処理品(SUS631
EH)であることを特徴とする記録体搬送装置。 - 【請求項5】 請求項1又は2記載のものにおいて、拍
車(1)の各歯(3)の基材はビッカース硬度が500
度を超えるものであることを特徴とする記録体搬送装
置。 - 【請求項6】 請求項1又は2記載のものにおいて、拍
車(1)の各歯(3)先端の板厚(t2)を0.04m
m以下に形成したことを特徴とする記録体搬送装置。
Priority Applications (2)
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JP8305738A JP2965521B2 (ja) | 1996-10-31 | 1996-10-31 | 記録体搬送装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10129911A JPH10129911A (ja) | 1998-05-19 |
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Family Applications (1)
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JP8305738A Expired - Fee Related JP2965521B2 (ja) | 1996-10-31 | 1996-10-31 | 記録体搬送装置 |
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1997
- 1997-10-27 US US08/958,085 patent/US5912690A/en not_active Expired - Fee Related
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