JP2962872B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2962872B2
JP2962872B2 JP14932691A JP14932691A JP2962872B2 JP 2962872 B2 JP2962872 B2 JP 2962872B2 JP 14932691 A JP14932691 A JP 14932691A JP 14932691 A JP14932691 A JP 14932691A JP 2962872 B2 JP2962872 B2 JP 2962872B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを記録ヘッドの
吐出口から吐出させて記録を行うインクジェット記録装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】紙やOHP用シート等の被記録媒体に記
録を行う記録装置は、種々の記録方式による記録ヘッド
を搭載した形態で提案されている。すなわち、この記録
ヘッドには、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式
あるいはインクジェット方式のものがあり、それらの中
でもインクジェット方式の記録ヘッドを搭載した記録装
置は、被記録媒体にインクを吐出することにより記録を
行うものなので、ランニングコストが安い上、静かな記
録方法として注目されている。
【0003】このインクジェット記録装置において、記
録ヘッドには、インクが吐出される複数個の微細な吐出
口と各吐出口が配列されて開口する面である吐出口形成
面とが形成されている。前記各吐出口に塵埃や増粘した
インクが付着したり、記録ヘッド内のインクに気泡が混
入していたりすると、インクの吐出不良が発生する。こ
のインクの吐出不良が発生した場合には、キャップを吐
出口形成面に対向させた状態で記録ヘッド内のインクに
圧力を加えて各吐出口から強制的にインクを排出させた
り、記録ヘッドの吐出口形成面をキャップで覆い該キャ
ップの内部を負圧にして各吐出口から強制的にインクを
排出させたり、また、キャップを吐出口形成面に対向さ
せた状態で記録ヘッドの各吐出口から記録時と同様にイ
ンクを吐出させたりすることにより、前記塵埃、増粘し
たインク、気泡等の吐出不良要因を除去する吐出回復処
理が行われる。前記吐出回復処理により記録ヘッドの各
吐出口から吐出不良要因とともに排出されたインク(以
下、「廃インク」という。)は、廃インクタンク等の貯
留部材に移送されて貯留される。
【0004】ところで、従来、記録ヘッドと、該記録ヘ
ッドにインクを供給するためのインクタンクとが一体と
なったヘッドカートリッジを使用するインクジェット記
録装置は、新品のヘッドカートリッジを記録装置本体に
装着した場合や、記録装置本体から一時的に取外したヘ
ッドカートリッジを再使用のために記録装置本体に装着
した場合には、上述した吐出不良要因の除去およびイン
クタンク内のインクを記録ヘッドの吐出口に導くため
に、上述した吐出回復処理をキー操作等の手動によって
行う構成となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のインク
ジェット記録装置は、新品のヘッドカートリッジを記録
装置本体に装着した場合や、記録装置本体から一時的に
取外したヘッドカートリッジを再使用するために記録装
置本体に装着した場合には、その都度、吐出不良要因の
除去およびインクタンク内のインクを吐出口に導くため
の吐出回復処理をキー操作等の手動で行う構成であるの
で、吐出回復処理の前記操作が煩わしいとともに、前記
操作を忘れることに起因して、インク吐出状態の悪い記
録が進行し、その結果、記録画像の記録品位が低くなる
という問題点がある。
【0006】本発明は、上記従来技術の有する問題点に
鑑みてなされたものであり、ヘッドカートリッジの装着
時における吐出回復処理操作が自動的に行われ、前記操
作の煩わしさが解消されるとともに、記録品位が向上す
るインクジェット記録装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、被記録媒体にインクを吐出口から吐出する
ことにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドにイ
ンクを供給するためのインクタンクとが一体となったヘ
ッドカートリッジが記録装置本体に着脱可能であり、記
録ヘッドの吐出回復処理を行うための吐出回復装置を備
えたインクジェット記録装置において、前記ヘッドカー
トリッジが記録装置本体に装着されたことを検知するた
めの検知手段と、ヘッドカートリッジが記録装置本体に
装着されたことが前記検知手段によって検知されると、
前記記録ヘッドの吐出回復処理を行うための指令を前記
吐出回復装置に出力する制御装置とを有することを特徴
とする。
【0008】また、吐出回復処理により前記記録ヘッド
の吐出口から排出された廃インクを受けるためのキャッ
プに連通し、かつ該キャップからの廃インクを貯留する
ための貯留部材を備え、該貯留部材には開口部が形成さ
れているとともに、この開口部を覆う通気布が張られて
いる。
【0009】さらに、記録ヘッドは、シリアルタイプの
記録ヘッドであるものや、被記録媒体の記録領域の全幅
にわたって吐出口が形成されているフルラインタイプの
記録ヘッドであるものや、熱エネルギーを利用してイン
クを吐出するものであって、前記熱エネルギーを発生す
るための電気熱変換体を備えているものとすることがで
きる。
【0010】
【作用】上記のとおり構成された本発明では、新品のヘ
ッドカートリッジを記録装置本体に装着したり、一時的
に取外したヘッドカートリッジを再使用のために記録装
置本体に装着すると、該装着したことが検知手段によっ
て検出される。これにより、前記制御装置は、吐出回復
処理を行うための指令を吐出回復処理装置に出力するこ
とで、前記吐出回復処理装置によって記録ヘッドの吐出
回復処理が自動的に行われる。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。 (第1実施例)図1の(A)および(B)は、それぞれ
本実施例のインクジェット記録装置を有する電子タイプ
ライタの使用時、非使用時の外観構成例を示す。
【0012】キーボード部1は文書等を入力する入力装
置であり、文字、数字等キャラクタ入力用のキーやコン
トロールキー等のキー群2が配列されている。表示器6
は前記キーボード部1より入力した文書等を表示する部
分である。前記キーボード部1は、タイプライタの本体
にヒンジ3によって回動可能に保持され、図1の(B)
に示すように、非使用時には前記本体に重ねて折り畳め
るようになっている。給紙トレイ4は、被記録媒体であ
る記録用紙の給排紙時に記録用紙を支えるものであり、
同じく非使用時にはプリンタ部を覆って収納される。ノ
ブ5は手動にて記録用紙の給排紙を行うためのものであ
る。7は本例に係るタイプライタを運搬する際に用いら
れる把手である。
【0013】図2は、前記プリンタ部となる本実施例の
インクジェット記録装置(以下「記録装置」とい
う。)の構成例を示す。
【0014】図中2点鎖線で示すヘッドカートリッジ9
は、後述する記録ヘッドおよび該記録ヘッドに供給する
ためのインクを貯えるインクタンクが一体となったもの
であり、ヘッドカートリッジ9に設けられたヘッド開口
部(不図示)が記録装置本体であるキャリッジ11に立
設された支持板19に嵌合されて、キャリッジ11に着
脱可能に装着される。キャリッジ11に装着されたヘッ
ドカートリッジ9はフック13により固定され、また、
前記フック13による固定およびその解除は操作レバー
15の操作により行われる。この操作レバー15には、
図示しない装置カバーに設けられた目盛を指示してヘッ
ドカートリッジ9の記録ヘッドの印字位置や設定位置等
を読取り可能とするためのマーカ17が設けられてい
る。
【0015】前記支持板19にはヘッドカートリッジ9
と電気的に接続するための電気接続部(不図示)が設け
られており、該電気接続部は本体制御部(不図示)とF
PC(フレキシブルプリントケーブル)21を介して電
気的に接続されている。これにより、キャリッジ11に
装着されたヘッドカートリッジ9は前記本体制御部と電
気的に接続される。前記FPC21に関連した構成につ
いては後述する。前記キャリッジ11は、記録装置に配
設されたガイド軸23に軸受25を介して摺動自在に嵌
合されており、また、記録装置の両端部に配設された2
個のプーリ29A,29Bにかけまわされたタイミング
ベルト27の一点と結合している。前記2個のプーリ2
9A,29Bのうち一方のプーリ29Bにはキャリッジ
モータ31の駆動力がギヤ等の伝動機構を介して伝達さ
れて正転、逆転する。これにより、タイミングベルト2
7が正転、逆転し、キャリッジ11がガイド軸23に案
内されて矢印SR方向および矢印SL方向に往復移動す
る構成となっている。
【0016】前記ガイド軸23と平行に配設された搬送
ローラ33は、記録等に際して記録用紙を搬送するため
のものであり、搬送モータ35により駆動される。前記
搬送ローラ33の周面に沿って配設された、湾曲した形
状のペーパーパン37には、搬送ローラ33の軸方向と
平行な方向に長く延びる2個の長孔が穿孔されており、
各長孔内には2個のフィードローラ39A,39Bがそ
れぞれ回転自在に軸支されて配設されている。前記フィ
ードローラ39A,39Bは給紙トレイ4(図1参照)
側から搬送ローラ33とペーパーパン37との間に挿入
された記録用紙を不図示の押圧手段により搬送ローラ3
3に向けて押圧する。これにより、前記記録用紙は、搬
送ローラ33の回転にともなって、ペーパーパン37に
向けて搬送される。
【0017】前記ペーパーパン37の上方に位置するプ
ラテン34の両端部は、記録装置の両端部のプレート7
5A、75Bに回転自在に軸支された排紙ローラ軸41
Aに、それぞれ回動自在に支持されており、前記プラテ
ン34は、搬送ローラ33からペーパーパン37の方向
に向けて、不図示のばねにより常に付勢されている。ま
た、プラテン34には、搬送ローラ33の複数個所に設
けられた小径部33Aに対応して、すくい部34Aがそ
れぞれ形成されている。前記排紙ローラ軸41Aは、搬
送モータ35によりギヤ等の伝動機構を介して回転され
る構成となっている。この排紙ローラ軸41Aには複数
個の排紙ローラ41が適宜位置に固定され、各排紙ロー
ラ41には、拍車カバー(不図示)に回転自在に軸支さ
れた拍車42がそれぞれ押圧されている。
【0018】前記搬送ローラ33により搬送されてきた
記録用紙は、ペーパーパン37とプラテン34との間
を、挟まれた状態で通過し、プラテン34に沿って上昇
したのち、各排紙ローラ41と各拍車42とにより挟ま
れて、各排紙ローラ41の回転により排紙口(不図示)
に向けて排出される構成となっている。また、記録用紙
のセット等に際して、各フィードローラ39A,39B
および各拍車42を同時に移動して各フィードローラ3
9A,39Bおよび各拍車42の記録用紙に対する付勢
力をそれぞれ解除するための後述する解除レバー43が
設けられている。上述したとおり、ペーパーパン37
は、記録位置近傍において、記録用紙の浮き上がり等を
抑制し、搬送ローラ33に対する密着状態を確保するた
めのものである。本例においては、記録ヘッドとして、
インク吐出を行うことにより記録を行うインクジェット
記録ヘッドを採用している。従って記録ヘッドの吐出口
形成面と被記録媒体の被記録面との距離は比較的微小で
あり、かつ被記録媒体と吐出口形成面との接触を避ける
べくその間隔が厳しく管理されなければならないので、
後述する紙押え板45の配設が有効である。この紙押え
板45には目盛47が設けられており、この目盛47に
対応してキャリッジ11にマーカ49が設けられてい
る。これらによっても記録ヘッドの印字位置や設定位置
が読取り可能である。
【0019】前記搬送ローラ33の図示左側には吐出回
復処理を行うための吐出回復装置が設けられている。前
記吐出回復装置のキャップ51は、ゴム等の弾性材料か
らなり、ガイド軸23の図示左端部のホームポジション
にキャリッジ11が停止したとき、キャリッジ11に搭
載されているヘッドカートリッジ9の記録ヘッドの吐出
口形成面に対向する位置に配設されている。また、キャ
ップ51は前記記録ヘッドの吐出口形成面に対して当接
および離反が可能な構成となっている。前記キャップ5
1は、カム装置63を介したモータ61の駆動力により
駆動されるポンプ53と不図示の廃インク移送路を介し
て連通されており、前記ポンプ53は、廃インク移送路
となるチューブ57等を介して廃インクを貯留するため
の貯留部材である第1廃インクタンク55と連通されて
いる。この第1廃インクタンク55はさらにチューブ7
1により第2廃インクタンク70と連通されている。
【0020】前記吐出回復処理は次のように行われる。
キャップ51がホームポジションに位置する記録ヘッド
の吐出口形成面に当接して密封したのち、ポンプ53が
駆動されてポンプ53の吸引力によりキャップ51の内
部が負圧となり、記録ヘッドの全吐出口から廃インクが
強制的に排出される。また、ホームポジションに位置す
る記録ヘッドの吐出口形成面に対して離反した位置にあ
るキャップ51に向けて、記録ヘッドの全吐出口から記
録時と同様にインクを吐出させること(以下、「予備吐
出」という。)によっても行われる。前記キャップ51
に排出されたこれらの廃インクは、ポンプ53の吸引力
により廃インク移送路を経てポンプ53に達し、ポンプ
53に達した廃インクはポンプ53の排出力によりチュ
ーブ57を経て第1廃インクタンク55に移送される。
【0021】前記キャップ51に隣接して配設されたブ
レード59は、記録ヘッドの吐出口形成面のワイピング
を行うためのものであり、記録ヘッドの吐出口形成面の
移動経路上に突出するワイピング位置と前記吐出口形成
面の移動経路から後退した退避位置との間を往復移動可
能な構成となっている。前記ブレード59の往復移動
は、前記カム装置63を介したモータ61の駆動力によ
り行われる。
【0022】次に、上述したヘッドカートリッジ9の詳
細について説明する。
【0023】図3は、記録ヘッド9aと、該記録ヘッド
9aにインクを供給するインクタンク9bとが一体とな
ったヘッドカートリッジ9を斜め下方から見た外観斜視
図である。図において、つめ906eは、ヘッドカート
リッジ9を装着する際にキャリッジ11に設けられたフ
ック13(図2参照)によって掛止されるものであり、
このつめ906eは、記録ヘッド全延長の内側に配設さ
れている。ヘッド開口部906fには、キャリッジ11
に立設された支持板19(図2参照)が挿入される。こ
の支持板19は、フレキシブル基板(電気接続部)およ
びゴムパッドを支持するためのものである。また、ヘッ
ドカートリッジ9の記録ヘッド9aの近傍には、この図
には示されないが位置決め用の突き当て部が設けられて
いる。
【0024】図4の(A)は、前記ヘッドカートリッジ
9を図3とは別の方向から見た分解斜視図であり、図4
の(B)は図4の(A)の組立後の外観斜視図である。
ここで、記録ヘッド9aについて説明する。
【0025】図4の(A)において、ヒータボード91
1は、Si基板上に電気熱変換体とこれに電力を供給す
るAl等の配線とが成膜技術により形成されてなるもの
であり、ヒータボード911と配線基板921との互い
に対応する配線は、例えばワイヤボンディングにより接
続されている。前記ヒータボード911に貼り合わされ
る天板940は樹脂材料からなるものであり、前記天板
940には、インクが吐出される複数個の微細な吐出口
と各吐出口が配列されて開口する吐出口形成面とが形成
されている。また、前記天板940の内側(図では見え
ない)には、前記各吐出口とそれぞれ連通する液流路を
構成するための複数個の流路壁および各液流路とを連通
する共通液室が形成されている。
【0026】図5に示すように、吐出口形成面940b
は、ヘッドカートリッジ9がキャリッジ11に装着され
たときに、記録用紙の被記録面と平行な平面に対して角
度θだけ傾く傾斜した面となっており、また、複数個の
吐出口940cが並列する部分で段差940aが形成さ
れている。この傾斜は、天板940の後の壁(不図示)
を避けて、レーザービームを天板940の後方から吐出
口形成面940bの背面に斜めに照射して各吐出口94
0cを穿孔するという吐出口940cの加工方法に起因
するものである。一方、金属製の支持体930(図4の
(A)参照)には、該支持体930と押えばね950と
の間にヒータボード911および天板940が挟み込ま
れた状態で、押えばね950が係合されており、この押
えばね950の付勢力によってヒータボード911と天
板940とが圧着固定されている。前記支持体930に
は配線基板921が貼着され、該配線基板921は、ヘ
ッド開口部906f(図3参照)の内壁の一面になって
いる。また、支持体930はインクの吐出に伴って生じ
るヒータボード911の熱を放熱冷却する部材としても
機能する。
【0027】他方、サブタンク906は、インク供給源
をなす前記インクタンク9bから供給されるインクを一
時的に貯え、ヒータボード911と天板940との接合
により形成される共通液室にインクを供給するものであ
り、ヘッドカートリッジ9の外壁およびヘッド開口部9
06fの内壁となる蓋部材980により密封されてい
る。前記サブタンク960内のインクは、フィルタ97
0、インク導入口942を順次通過して前記共通液室に
供給される。
【0028】前記インクタンク9bは、内部にインクを
含浸させるための吸収体900(図4の(A)参照)が
充填され、蓋部材1100により密封される。また、イ
ンクタンク9bの内部は大気連通口1300により大気
と連通される。前記吸収体900には、記録ヘッド9a
がインクタンク9bの取付面1010に取付けられる前
に、取付面1010に穿孔された供給口1200からイ
ンクが充填される。前記取付面1010に記録ヘッド9
aを取付けるときの位置決めおよび固定は、取付面10
10に突設された2個の突起1012a,1012b
に、これらに対応して支持体930に穿孔された2個の
穴931a,931bをそれぞれ嵌合させることにより
行われる。インクは、インクタンク9b内部から供給口
1200、支持体930に穿孔された穴932を順次通
過してサブタンク960内に供給され、サブタンク96
0内に達したインクは前述したとおり共通液室に供給さ
れる。以上のインクの経路の各接続部には、例えば、シ
リコンゴムやブチルゴム等のパッキンが配設されてお
り、これによって、インクが漏れることなく、インクの
供給が確保される。
【0029】図6の(A)および(B)は、それぞれキ
ャリッジ11の詳細を示す上面図および左側面図であ
る。
【0030】これらの図において、キャリッジ11の底
部に前記支持板19が立設されており、この支持板19
は、可撓性のフレキシブル基板604、および該フレキ
シブル基板604に形成される端子パッドに対応して設
けられる突起部605Aを有するゴムパッド605を支
持するものである。キャリッジ11の前方においてその
底部には突き当て部材607が立設されており、この突
き当て部材607は、ヘッドカートリッジ9およびキャ
リッジ11の限定された配設スペースの範囲内で可能な
限りインクタンクのスペースを大きくとるために、その
肉厚を薄く形成される。このため、突き当て部材607
には、強度を確保するための3本のリブ608が形成さ
れ、各リブ608が延在する方向は、ヘッドカートリッ
ジ着脱時におけるその旋回方向の動きに対応した強度を
有するキャリッジ11の移動方向とする。また、各リブ
608は、ヘッドカートリッジが装着されたときにその
吐出口形成面より0.1mm程度前方へ突出するよう形
成される。これにより、記録紙が何らかの作用によって
記録ヘッドの移動経路に突出した場合でも、記録紙が吐
出口形成面を擦り損傷等を与えることを防止する。
【0031】ヘッドカートリッジの着脱操作を行うため
の操作レバー15は、キャリッジ11の本体に設けられ
た軸601dにより回動自在に軸支される、フック13
は、操作レバー15の一部と係合した動きにより、その
一部を係合させたヘッドカートリッジの着脱動作を行う
ために用いられる。このフック13は、これに形成され
る長穴603cがキャリッジ11の本体に設けられるガ
イド軸601eに案内されることにより上記着脱にかか
る動作を行う。操作レバー15およびフック13等から
なる着脱操作機構は、キャリッジ11の側方、すなわち
キャリッジ11の移動方向側に設けられるため、キャリ
ッジ11の移動によって着脱操作機構が大きなデッドス
ペースを形成することはない。
【0032】次に、ヘッドカートリッジ9装着の際の位
置決めのための突き当て部について説明する。
【0033】突き当て部材607の側部には、ヘッドカ
ートリッジ9の左右方向の位置決めのための突き当て部
601aが2ヶ所設けられている。また、左右方向の位
置決めは、突き当て部601aの他に、支持板19に設
けられる突き当て部601fが利用される。突き当て部
材607の側方下部には、ヘッドカートリッジ9の前後
方向の位置決めのための突き当て部601bが形成され
ているとともに、突き当て部材607の側方下部および
支持板側方下部の2ケ所には、ヘッドカートリッジ9の
上下方向の位置決めのための突き当て部601cが形成
される。
【0034】図7の(A)および(B)は、それぞれキ
ャリッジ11にヘッドカートリッジ9が装着されたとき
の状態を示す上面図および左側面図である。
【0035】これらの図において、ヘッドカートリッジ
装着時にキャリッジ11の前記突き当て部601aに当
接可能な当接部906aがヘッドカートリッジ9に設け
られており、906bおよび906cは、同様に突き当
て部601bおよび601c(図6の(A)参照)にそ
れぞれ対応した当接部である。
【0036】ここで、ヘッドカートリッジがキャリッジ
に装着された際の各部の係合関係を概説する。
【0037】ヘッドカートリッジ9の当接部906a
は、キャリッジ11の突き当て部601aと当接してお
り、同時にヘッドカートリッジ9のつめ906eとは、
これに掛止されたフック13を介したコイルばね610
の付勢力によって、図7の(A)中左方へ力を受ける。
これにより、ヘッドカートリッジ9は前記当接部906
aを中心とするモーメント力を受ける。このとき、ヘッ
ドカートリッジ9に設けられた基板906dは突き当て
部601fに当接することで、ヘッドカートリッジ9の
左右方向の位置決めがなされ、その位置が保持される。
このとき、ゴムパッド605の突起部605Aは、基板
906dとの当接によって、圧縮変形される。この変形
により、フレキシブル基板604の端子パッド(不図
示)と基板906dの端子とを圧接する力が生じる。こ
の場合、突き当て部601fに基板906dが当接して
いるため、突起部605Aの変形量は一定となり安定し
た上記圧接力を得られる。なお、各図においては、突起
部605Aの圧縮変形した状態は示されていない。ま
た、ヘッドカートリッジ9の前後および上下方向の位置
決めは、装着過程においてなされるものである。
【0038】図8は上記キャリッジ11の分解斜視図で
ある。ここで、613は後述するコロばねであり、61
5は操作レバー15をキャリッジ11上の取付部617
に取付けるためのレバー留めである。619はフレキシ
ブル基板604およびゴムパッド605の上端縁部分を
支持板19に固定するための取付部材、621は同じく
下端縁部分を固定するための取付部材である。
【0039】以上述べた構成に加え、本例においては、
ヘッドカートリッジ9の未装着時にキャリッジ側の前記
フレキシブル基板604を覆い、操作者の手等による接
触ないしは該接触等による破壊や静電気力の作用から、
フレキシブル基板604やこれに結合した本体側回路を
保護するための基板カバー623を設けてある。この基
板カバー623は、下縁側の前記基板取付部材621の
ピン621Aに対して回動可能に設けられている。62
5はフレキシブル基板604を覆う方向に基板カバー6
23に回動習性を与えるばね、627はヘッドカートリ
ッジ9の装着時に基板カバー623を収納する凹部であ
る。
【0040】図9の(A)および(B)を参照しつつ、
前記基板カバー623の動作を説明する。ヘッドカート
リッジ9の未装着時には、同図(A)に示すように、基
板カバー623はばね625の付勢力によりフレキシブ
ル基板604を覆った状態にある。この状態からヘッド
カートリッジ9を上方から取付けると、その下面とカバ
ー操作部623Aとの係合、もしくは操作者の手とカバ
ー操作部623Aとの係合に伴って、基板カバー623
はばね625の付勢力に抗してピン621Aを中心に図
中時計方向に回動する。そして、ヘッドカートリッジ9
が完全に装着され、フレキシブル基板604とヘッド側
の基板906dの当接状態では、図9の(B)に示すよ
うに、基板カバー623はヘッドカートリッジ9の下面
により押えられて凹部627に収納された状態となる。
なお、ヘッドカートリッジ9を取外せば、基板カバー6
23は直ちに同図(A)の状態に復帰するので、フレキ
シブル基板604の保護がなされることになる。
【0041】図10は、図2等で示した装置の主に被記
録媒体搬送系を示す模式的側面図である。
【0042】図10は通常の被記録媒体搬送時における
各要素の配置を示しており、不図示の給紙トレイから給
紙される被記録媒体は、搬送ローラ33とペーパーパン
37との間に形成される搬送経路に導入される。この搬
送経路では、搬送ローラ33が図中時計回り方向に回転
するのに伴って、2つのフィードローラ39A,39B
の押圧力に基づく搬送ローラ33と被記録媒体との間の
摩擦力により被記録媒体が搬送される。その後、被記録
媒体は搬送ローラ33と紙押え板45との間に導入さ
れ、同時に紙押え板45による押圧力に基づいた搬送ロ
ーラ33と被記録媒体との摩擦力によって搬送される。
さらに、被記録媒体は紙押え板45によってその方向を
規制されながら排紙ローラ41と拍車42との間へ搬送
され、この間にヘッドカートリッジ9からのインク滴吐
出によって被記録媒体上に記録がなされる。
【0043】図11は、ペーパーパン37とこれを搬送
ローラ33方向へ付勢するための後述するレリーズ板4
0とを分離した状態で装置上方から見た図である。
【0044】図10および図11を参照して、被記録媒
体搬送にかかる機構について説明する。レリーズ板40
は、ペーパーパン37を介してフィードローラ39A,
39Bを搬送ローラ33へ押圧し、また、この押圧を解
除するための部材である。すなわち、レリーズ板40
は、これの両端に形成された軸部40Cが、装置の底板
100に立設されたレリーズ板軸支部材101に設けら
れる軸支孔101Aと係合することにより、回動可能に
軸支される。この結果、レリーズ板40の一端の2個所
で、係合するばね401により、前記一端の部分が図1
0において斜め右下方に付勢されると、レリーズ板40
は軸部40Cを支点として時計回り方向に回動する。ペ
ーパーパン37の下側の2個所にはリブ371が形成さ
れており、これらのリブ371は、レリーズ板40の上
記回動においてその押圧部40Aとそれぞれ当接し、図
10中上方に押圧される。これにより、リブ371に軸
支されるフィードローラ39A、39Bは搬送ローラ3
3を押圧する。レリーズ板40による押圧の解除は、図
13において後述するようにレリーズ板40の一端にお
いて延在する肩部40Bが、ばね401による回動力に
逆らって図10中下方に押し下げられることによってな
される。この押圧の解除がなされると、ペーパーパン3
7およびフィードローラ39A,39Bはこれらの自重
によって下方へ移動し、フィードローラ39A,39B
と搬送ローラ33との間に所定量の間隙が形成される。
372は、ペーパーパン37の一部が下方に延在するこ
とによって形成される矩形の突設部である。この突設部
372には矩形の孔372Aが設けられてあり、この孔
372Aと、底板100に立設される突起102とが所
定量のガタを有して係合する。この係合により、ペーパ
ーパン37ひいてはフィードローラ39A,39Bの搬
送ローラ33に対する位置決めがなされる。
【0045】上記係合におけるガタを有した構成によ
り、搬送される被記録媒体の後端がフィードローラ39
Bを抜ける際に生じる、いわゆるけとばしによる悪影響
を排することができる。すなわち、図13の(A)に示
すように、被記録媒体の後端がフィードローラ39Bに
より搬送ローラ33に押圧される状態から、被記録媒体
がこの状態を抜け出し、図13の(B)に示すように、
フィードローラ39Bと搬送ローラ33とが当接する状
態に至る間に、被記録媒体はフィードローラ39Bと搬
送ローラ33との間から押し出される。本例の構成で
は、被記録媒体の後端の押し出しに伴ってペーパーパン
37が、上記係合におけるガタd(図13の(A)参
照)の分だけ図中右方向に逃げることができるため、被
記録媒体および搬送ローラ33には押し出しによる力が
作用しない。
【0046】再び、図10を参照すると、451は紙押
え板45を搬送ローラ33方向へ付勢するためのばねで
ある。このばね451はコイル形状部分から延在する一
端が紙押え板45の一部と係合し、他端が記録装置の前
記底板100の一部と係合し、前記コイル形状部分が底
板100の一部に軸支される。紙押え板45は、後述さ
れるようにキャリッジ11の前端部に設けられたコロ9
1を介してキャリッジ11により押圧されている。これ
らのばね451とコロ91を介した押圧によりヘッドカ
ートリッジ9の吐出口と被記録媒体の被記録面との距離
が適正に保たれる。紙押え板45は、上述の押圧力によ
り被記録媒体を介して搬送ローラ33に押圧力を作用
し、この押圧力に基づく被記録媒体と搬送ローラ33と
の摩擦力により被記録媒体の搬送を行う。ここで、種々
の被記録媒体に応じて良好な搬送を行うには、紙押え板
45と被記録媒体および搬送ローラ33と被記録媒体の
それぞれにおいて生ずる摩擦力を適切なものとしなけれ
ばならない。すなわち、紙押え板45と被記録媒体との
間の摩擦力はできるだけ小さく、また搬送ローラ33と
被記録媒体との間の摩擦力はできるだけ大きいことが望
ましい。このため、本例では、紙押え板45の材質とし
てPOM(ポリアセタール)を用い、搬送ローラ33と
してはCR(クロロプレンゴム、硬度60°/Aスケー
ル)にナイロン樹脂の単繊維を5〜10%(重量比)混
合したものを用いた。なお、紙押え板45の材質として
はフッソ樹脂を用いてもよい。
【0047】以上のような材質で紙押え板および搬送ロ
ーラを構成することにより、紙押え板45と被記録媒体
との間の摩擦係数を小さくできるため、上述したように
紙押え板45が搬送ローラ33に対して押圧する構成と
することができる。この結果、例えば、種々の被記録媒
体の紙厚に応じることができるように押圧する構成を採
れなかった従来の場合よりも、被記録媒体とヘッドカー
トリッジとの距離を容易に管理できるようになった。ま
た、被記録媒体と搬送ローラとの間の摩擦係数は大であ
るため、その搬送においてすべり等が生ぜず、良好な被
記録媒体の搬送を行うことができる。
【0048】46は紙押え板45と平行に延在しその両
端が装置フレームによって軸支される軸部材であり、こ
の軸部材46の断面はD文字形状をなす。被記録媒体搬
送時には、同図に示すようにD文字の直線部分が縦方向
(同図中上下方向)となるようその回転位置が定められ
る。一方、紙押え板45による搬送ローラ33への押圧
を解除する場合には、後述する図14の(B)および図
15の(B)に示されるように、その直線部分を横方向
(図10中左右方向)とすることにより、ばね451の
一部と当接してこれを変位させ、ばね451と紙押え板
45との係合を解除する。これにより、紙押え板45は
その位置を変位させずに押圧力のみが解除される。この
結果、被記録媒体挿入等のためにこの押圧力を解除した
状態でキャリッジ11が動作してもヘッドカートリッジ
9と紙押え板45とが干渉しヘッドカートリッジ9等を
破損するようなことがない。換言すれば、紙押え板45
の押圧力を解除した状態でも、キャリッジ11を移動さ
せ種々の動作を行うことも可能である。なお、コロ91
を介した紙押え板45への押圧力は、この際解除されな
いが、この押圧力が作用するのは、紙押え板45のキャ
リッジ11に対向する部分の一点であり、被記録媒体の
挿入等には支障がない。
【0049】再び、図10において、41は排紙ローラ
であり、この排紙ローラ41には拍車42が係合する。
拍車42は図14および15等に示される後述の付勢手
段によって排紙ローラ41に向けて付勢されており、こ
こでも同様にこの押圧力に基づく被記録媒体と排紙ロー
ラ41との間の摩擦力によって被記録媒体の搬送が行わ
れる。拍車42は、その保持部材42Aを介して上述の
ように排紙ローラ41に向けて付勢されるとともに、こ
れを介して排紙ローラ41からの離脱動作を行い、その
係合を解除することもできる。
【0050】以上図10および11に示したペーパーパ
ン37(フィードローラ39A,39B)、紙押え板4
5および拍車42は、上述したようにそれぞれの態様で
付勢力の解除が行われる。これらの解除は、図2に示し
た解除レバー43の操作によって一斉に行われるもので
あり、その結果、図12に示す状態となる。
【0051】図14の(A)および(B)、図15の
(A)および(B)は、上記付勢力解除のための機構を
示す図であり、図14の(A)および(B)は記録装置
におけるこれら機構を右側から見た図であり、図15の
(A)および(B)は左側から見た図である。
【0052】図14の(A)および図15の(A)は、
被記録媒体搬送時等の付勢力が解除されていない状態を
示す。このとき、これらの図において、搬送ローラ33
の軸によって回動自在に軸支された解除レバー43は、
後述されるばねの付勢力によってねた状態にあり、これ
に伴い解除レバー43に固定されるカム部材431、ギ
ア432および解除レバー43が配設される端部の他方
の端部に配され、搬送ローラ33と同心の軸に固定され
たギア432aは、レリーズ板40の肩部40Bや軸部
材46を回転させるギア列と所定の位置関係を有して係
合している。また、拍車42の保持部材42Aから延在
し両端部に配される拍車アーム421および421a
は、それぞれ解除レバー43および連結部材433の各
係合部421B,421Baでの係合を介しばね422
および422aの引張力によって装置後方に付勢されて
いる。この付勢状態において、それぞれの拍車アーム4
21,421aに設けられた各係合部421A,421
Aaが排紙ローラ41の軸と係合することにより、拍車
42と排紙ローラ41との位置、押圧力等が適切なもの
となる。
【0053】上記拍車アーム421と解除レバー43と
の係合は、所定量のガタを有してなされるため、拍車ア
ーム421の形状等の精度をそれほど必要とせずに拍車
42と排紙ローラ41との適切な係合を行うことが可能
となる。また、解除レバー43の回動は、ギア432お
よび中間ギア列を介して軸部材46に伝えられ、さらに
軸部材46を介し他端部側の中間ギア列およびギア43
2a、連結部材433に伝えられ、最終的に拍車アーム
421aを移動させる。この際、介在するギア間でのバ
ックラッシが、上記解除レバー43と拍車アーム421
とのガタを有した係合によって吸収される。
【0054】図14の(B)および図15の(B)は、
拍車42、紙押え板45およびペーパーパン37のそれ
ぞれによる付勢を解除した状態を示す。これらの解除
は、解除レバー43をばね422の引張力に逆らって装
置前方へ回動させることによりなされる。すなわち、解
除レバー43を回動させると、これに伴ってギア432
が回動する。このとき、上述したように、ギア432と
係合する中間ギア列を介して軸部材46が回動しそのD
文字形状の直線部分を横方向とする。これにより、図1
0にて上述したように軸部材46はばね451を狭める
方向に押し、ばね451と紙押え板45との係合が解除
される。この結果、紙押え板45の付勢力が解除され
る。
【0055】また、解除レバー43の回動に伴って、カ
ム部材431が回動する。カム部材431のカム部に
は、図10にて上述したレリーズ板40の肩部40Bが
係合しており、レリーズ板40はカム部材431の回動
に伴ってその位置を下げ、ペーパーパン37のリブ37
1との係合が解除され、リブ371を押圧しなくなる。
この結果、ペーパーパン37(フィードローラ39A,
39B)を搬送ローラ33に付勢する力が解除され、ペ
ーパーパン37は自重により下方に下がる。解除レバー
43の回動により、最終的に肩部40Bと、カム部材4
31の段落状のカム部が係合することにより、これらの
係合位置が固定されるとともに、これによって解除レバ
ー43の回動位置が固定される。
【0056】さらに、解除レバー43の回動に伴い、拍
車アーム421が装置前方へ移動するとともに、上述し
たように、軸部材46を介した回動の伝達により他端部
側の一方の拍車アーム421aも装置前方へ移動する。
これにより、これら2つの拍車アーム421,421a
に接続する拍車42は排紙ローラ41との係合が解除さ
れる。このように、解除レバーを1回回動させることに
より、ペーパーパン、紙押え板、拍車による付勢を解除
することができ、しかも、これを簡易な構成で行うこと
ができる。
【0057】図16の(A)は、搬送ローラ33の軸に
固定されるノブと、上記解除レバーの組立て状態を示す
模式的正面図であり、図16の(B)は(A)の分解図
である。
【0058】図16の(A)において、搬送ローラ(不
図示)を回転駆動するための被駆動ギア321は、搬送
ローラの軸333に固定され、また、ノブ5は、軸33
3に打ち込まれたスプリングピン332によって、前記
軸333に固定される。解除レバー43は、これらの間
にあって回動自在に軸支されるが、上述したようにばね
等によってその回動が規制されている。
【0059】図16の(B)に示されるように、軸33
3には予めスプリングピン332が打ち込まれ、また、
被駆動ギア331が固定されている。この状態の軸33
3に、解除レバー43をその開口部43Aを介して挿入
する。この開口部43Aは、軸333およびスプリング
ピン332が通過できる形状を有しており、これによ
り、解除レバー43はスプリングピン332が打ち込ま
れた位置を越えて、被駆動ギア331側へ移動できる。
その後、ノブ5を軸333に挿入しながら、スプリング
ピン332を留め穴44Aに嵌合させることにより、ノ
ブ5を軸333に固定する。以上のような構成とするこ
とにより、解除レバー43の軸方向における固定および
ノブ5の固定を、スプリングピン332と、被駆動ギア
331とによって行うことができる。また、予めスプリ
ングピン332を軸333に打ち込むため、解除レバー
を挿入した後、スプリングピンを打ち込むものと比較し
て組立が容易となる。
【0060】図17および18は、図2等に示したヘッ
ドカートリッジ周辺の機構を示すそれぞれ側面図および
上面図である。
【0061】これらの図において、91は、前述したよ
うにキャリッジ11の前端部において、回動自在に軸支
されるコロである。このコロ91は、その一部がヘッド
カートリッジ9の吐出口形成面より前方に突出するよう
に設けられるものであり、紙押え板45に当接しこの上
を回動する。613はキャリッジ11の後端部に設けら
れたコロばねであり、このコロばね613は、コロ61
3Aと、コロ613Aを軸支する連結部材613Bと、
連結部材613Bを所定の回転方向に付勢するばね61
3C等からなる。前記コロ613Aは、装置の底板10
0の前端部において前述のガイド軸23と平行に延在す
るように立設された前端板105に当接し、この上を回
動する。連結部材613Bはキャリッジ11の所定の軸
113により回動自在に軸支され、また、ばね613C
は、キャリッジ11の所定の軸に支持され連結部材61
3Bを軸113の回りに反時計方向に回転させるような
付勢を行う。以上のようなコロばね613の構成によ
り、キャリッジ11は、常に紙押え板45の方向へ付勢
される。
【0062】25はガイド軸23と係合する軸受けであ
り、キャリッジ11の両側端部に装着される。軸受25
は後述されるように、その装着にかかるケースに対して
軸受部が偏心したものであり、2つの軸受25はその偏
心方向が反対になるよう装着される。また、図17に示
される側の一方の軸受25は、キャリッジ11に設けら
れたボス112を軸として揺動可能に設けられている。
すなわち、キャリッジ11においてこの軸受25が装着
される部分は長穴となっており、また、軸受25の2つ
の突起25Aがボス112により前後方向(図17中左
右方向)の動きを規制される。この結果、後述されるよ
うなキャリッジ11の動きに応じて、この軸受25はキ
ャリッジ11に相対的に揺動する。なお、このとき、こ
の軸受25のガイド軸23方向の動きは、軸受25に設
けられた突起25Bがキャリッジ11の一部(例えば、
図10参照)に規制される。
【0063】以上説明したコロ91とコロばね613お
よび軸受25の構成に基づく被記録媒体とヘッドカート
リッジの吐出口形成面との間隔(以下、ギャップともい
う)の自動調整について、図19および図20を参照し
て説明する。このギャップの自動調整は、紙押え板45
と搬送ローラ33との間に挿入される被記録媒体の厚さ
に応じてなされるものである。図19の(A)に示すよ
うな比較的薄い通常用いられる被記録媒体に記録を行う
場合、図19の(A)中左側の軸受25は前記長穴にお
ける相対的位置がほぼ中央に位置する。すなわち、コロ
ばね613が前端板105を押圧することによる前端板
105からの反力によってキャリッジ11は紙押え板4
5の方向に付勢され、これによりコロ91が紙押え板4
5を押圧する。このコロ91が紙押え板45を押圧する
力および上述のコロばね613が前端板105を押圧す
る力のそれぞれの反力は、図19の(A)図中右側の軸
受25を支点とするモーメントを構成し、この2つのモ
ーメントが釣合うことによって、上述した軸受25の長
穴における位置が定まる。換言すれば、装置本体に固定
されるガイド軸23ひいては軸受25に相対的なキャリ
ッジ11の位置が定まり、これに搭載されるヘッドカー
トリッジ9の吐出口形成面と被記録媒体とのギャップd
が定まる。
【0064】図19の(B)は封筒等の比較的厚い被記
録媒体に記録を行う場合のキャリッジ11の位置を示し
ている。この場合、コロ91ひいてはキャリッジ11
は、図19の(A)の場合と比較したとき、被記録媒体
の厚みに応じて同図中下方へ後退する。これにより、コ
ロばね613によって生じる前端板105からの反力が
変化し、これに応じて上記モーメントの釣合う位置が変
化する。この結果、図中左側の軸受25とキャリッジ1
1との相対的位置が変化し、キャリッジ11は、その前
端部が第16図中で左側が開いた位置となり、吐出口形
成面と被記録媒体とのギャップは、図19の(A)の場
合とほぼ等しいギャップdとなる。この際、左側の軸受
25は、相対的に図20中矢印で示されるような揺動を
行い前記長穴内での位置を変化させる。上記構成におい
て、コロばね613は、図20に詳細に示されるよう
に、コロ613Aが前端板105の折れ曲がった斜めの
部分と当接するため、コロ613Aが同図中下方に押圧
され、これにより、キャリッジ11全体が下方に押えら
れる。この結果、キャリッジ11の浮き等が防止され、
搭載されるヘッドカートリッジ9によるインク滴吐出の
方向が安定する。
【0065】再び、図18を参照すると、111はキャ
リッジ11の左側方下部に設けた切欠き部であり、ホー
ムポジション近傍に設けられたプーリ軸290Aと係合
する。この係合はキャリッジ11が吐出口形成面のキャ
ップ位置へ移動するのに伴ってなされるものであり、こ
の係合位置においてキャップ51(図2参照)による吐
出口形成面の係合ひいてはキャッピングが行われる。こ
の係合により、例えば記録装置に振動等が加えられた場
合にも、キャリッジ11はその前後方向に移動すること
ができないため、前記キャップ51とヘッドカートリッ
ジ9の吐出口形成面とは離反せず、前記キャッピングを
確実に行うことができる。また、キャリッジ11の切欠
き部111と係合する部材としてプーリ軸290Aを兼
用するため、この係合のための特別な部材を必要とせ
ず、簡潔かつ低コストな構成とすることができる。
【0066】図21は、ヘッドカートリッジ9およびキ
ャリッジ11を被記録媒体側から見た模式的立面図であ
る。
【0067】同図から明らかなように、ガイド軸23の
軸線方向、すなわちキャリッジ11の移動方向に対し
て、キャリッジ11およびこれに搭載されるヘッドカー
トリッジ9が傾いた構成となっている。これにより、吐
出口配列の方向も同様に傾く。この傾きは、上述したよ
うに軸受部が偏心した2つの軸受25を用いることによ
って得られる。すなわち、左側の軸受25(図21では
右側)は、図17、図20等で参照されるように、その
偏心位置が下方に位置するように装着され、右側の軸受
25(図21では左側)は、同種の軸受を用いその偏心
位置が上方に位置するように装着される。
【0068】以上示したような吐出口配列が傾いた構成
は、複数の吐出口について時分割駆動する場合に採る構
成である。すなわち、一般的にインクジェット記録ヘッ
ドの駆動においては、記録速度や駆動電力を大きくでき
ない等の観点にたって、時分割駆動を行うものである
が、例えば、縦方向に配列する64個の吐出口を8ブロ
ックに分けて時分割駆動した場合吐出口配列を傾けない
構成では、キャリッジの移動を考慮すれば、図22の
(A)に示すような記録がなされ、これを巨視的に見た
場合、斜めの線になる。これに対して、本例のように、
吐出口配列を傾けて記録した場合、図22の(B)に示
すような記録がなされ、これは巨視的に見た場合、縦線
となる。なお、この傾きの構成が有効なのは、上例で示
したブロック毎の時分割駆動に限られず、吐出口毎の時
分割駆動にも有効であることは勿論である。
【0069】本例による傾きは、キャリッジ11の両側
端に装着した軸受25によって構成するため、これらの
軸受25間の距離が比較的長いことから傾きの精度を出
し易い。また、一種類の軸受を上下逆方向に装着するだ
けでよいため、傾きの構成が簡潔なものとなる。さら
に、キャリッジの速度等により時分割駆動のタイミング
が異なる場合には、キャリッジや記録ヘッド等の変更無
しで軸受のみ変更することにより、上記タイミングに応
じた傾きを構成することができ、この構成では、キャリ
ッジ等を共通化することも可能である。
【0070】図23の(A)および(B)は、キャリッ
ジを移動させるためのタイミングベルトを駆動する2つ
のプーリのうち装置右端に配設されるプーリ29Bの周
辺の詳細を示すそれぞれ上面図および立面図である。
【0071】プーリ29Bには、これと同軸に被駆動ギ
ア291が固定され、この被駆動ギア291は、キャリ
ッジモータ31の回転軸に固定された駆動ギア294と
噛合する。プーリ29Bおよび被駆動ギア291を固定
する軸は、ブラケット292により回動自在に軸支され
ている。このブラケット292には、ばね293の一端
が接続し、ばね293の他端は底板100に立設される
突起106と接続する。これにより、ブラケット292
は、タイミングベルト27が延在する方向と所定の角度
を有した方向に付勢される。このとき、ブラケット29
2(およびこれに軸支される被駆動ギア291、プーリ
29B)は、底板100に立設されるL型部材295A
および295Bにより上下方向および底板100に沿っ
た所定方向の動きが規制される以外はフリーである。し
たがって、ばね293による上記付勢力により、その分
力に応じてタイミングベルト27のテンションおよび被
駆動ギア291と駆動ギア274との噛合力を得ること
ができる。
【0072】次に、図2に示した、キャップ51、ポン
プ53、ブレード59、モータ61およびカム装置63
等からなる吐出回復装置について説明する。図24は前
記吐出回復装置の主要部の分解斜視図である。
【0073】図24において、キャップ51は、その背
面に形成された突出部がキャップホルダ503の孔にキ
ャップ51の弾力性を利用して嵌め込まれることにより
キャップホルダ503に固定される。キャップ51が固
定されたキャップホルダ503はスナップ手段によりキ
ャップレバー505の先端部に固定され、該先端部に突
設された作用部517とキャップ51の前記突出部とが
密着する。また、キャップ51の内部には、廃インクを
吸収する吸収体501が嵌め込まれる。
【0074】ここで、前記キャップ51およびキャップ
ホルダ503について説明する。図25はキャップ51
およびキャップホルダ503の詳細を示す斜視図であ
る。
【0075】図25に示すように、キャップ51には、
記録ヘッド9aの吐出口形成面940bと当接するロ字
状のリブ51aが形成されており、前記リブ51aの断
面形状は、吐出口形成面940bの段差940a(図5
参照)に追従するために先端は細く根元で太くなる台形
になっている。また、前記リブ51aの吐出口形成面9
40bと当接するロ字状の先端は、該ロ字状の先端が形
成する平面と前述した角度θだけ傾く吐出形成面940
bとが平行になるように形成されている。
【0076】他方、キャップホルダ503のキャップ5
1を取付ける面には2個のストップリブ503cが形成
されており、各ストップリブ503cは、キャップ51
が吐出口形成面940bに60g〜80gの押圧力で押
圧されるときに、キャップ51が角度θの傾斜に起因し
て横すべりすることおよびキャップ51が変形すること
を防止するものである。また、前記キャップホルダ50
3の両側には、ストップ板503bが1個づつ形成され
ており、各ストップ板503bは、キャップ51が吐出
口形成面940bに押圧されたときに、キャップレバー
505(図24参照)に対して傾いてしまうことを防止
するものである。
【0077】図26は前記キャップ51を示す図であっ
て、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は(A)
におけるM−M線断面図である。
【0078】図26に示すように、キャップ51には廃
インク流路563が形成されており、前記廃インク流路
563の一方の開口端(吸引口561)は、記録ヘッド
9aの吐出口形成面940bを覆う凹部の下部に位置し
ており、他方の開口端は、キャップレバー505の作用
部517に穿孔された、ポンプ53に連通する廃インク
導入口517aと連通している。また、前記吸引口56
1の上半分は吸収体501によりふさがれている。前記
キャップ51は、吐出口形成面940bの形状に追従す
るためには、リブ51aの先端が細く、硬度も低いもの
がよいが、同時に吸引時に発生する負圧に耐えて密封性
を保持するには、リブ51aがある程度の強度を有する
ことが必要である。また、吐出口形成面940bを密封
した状態で長期間放置されたときに永久変形しないこと
が必要である。これらを考慮し、リブ51aの断面形状
を次のように選択した。すなわち、図26の(C)にお
いて、W1=0.3mm,W2=0.5mm,H=0.
4mmとし、ゴム硬度を60°とした。同時に、リブ5
1aの周囲の周囲部51bがリブ51aの形状に対して
十分大きいこと、例えば、周囲部51bのリブ51aの
根元から外端までの幅を2〜3mm以上、厚みを2〜3
mm以上とすることで上記機能はより確実なものとな
る。なお、キャップ51に用いられるゴムはブチルゴ
ム、塩素化ブチルゴム、シリコンゴム等を用いることが
できる。
【0079】ところで、吐出口形成面940bとリブ5
1aのロ字状の先端が形成する平面とは必ずしも平行と
しなくてもよい。平行である場合には、キャップ51の
当接および離反に際し、ロ字状の先端全体が同時に吐出
口形成面940bに対して当接および離反して、キャッ
プ51により密封される空間に大きな圧力変動が瞬間的
に生じてしまい、各吐出口940c内のインクのメニス
カスが適正に保たれなくなる恐れがあるからである。す
なわち、非平行とすることによって、キャップ51の当
接に際し、完全な密封状態をとるまでにリブ51aのロ
字状の先端が徐々に吐出口形成面940bに接触するこ
とになる。また、キャップ51の離反に際しては、完全
に離反するまでにリブ51aのロ字状の先端が徐々に離
れることになる。このような観点からすれば、図25お
よび図26に示したキャップ51の構成は必ずしも図5
に示したような吐出口形成面940bに対してのみ適用
されるものではない。すなわち、例えば記録用紙に対し
て平行に形成された吐出口形成面にも前記キャップ51
の構成は適用可能となる。また、同じく上記観点からす
れば、リブ51aのロ字状の先端が形成する平面は、必
ずしも図25および図26に示したように傾斜してなく
てもよく、さらに、リブ51aのロ字状の先端に前記圧
力変動を防止するための凹凸が設けられた構成でもよ
い。
【0080】次に、図24に戻って前記吐出回復装置の
説明を進める。
【0081】ポンプ53に立設された支持部515には
穴を有する治具513が嵌め込まれ、キャップレバー5
05は、その両側面にそれぞれ突設されたピン507
a,507bが治具513の穴と留め部材516に穿孔
された孔とにそれぞれ回動自在に嵌入した状態で、支持
部515と留め部材516とにより挟持される。前記留
め部材516は支持部515にスナップ手段により固定
される。前記キャップレバー505の内部には作用部5
17の廃インク導入口517aからピン507aの周面
まで通じる孔が穿孔され、該孔と連通する孔が治具51
3の穴の内周面から内部を通って下端面まで穿孔され、
また、この治具513の孔と連通する孔が支持部515
の治具513の下端面と接触する面から内部を通ってポ
ンプ53の内部に形成されたシリンダ53a(不図示)
まで穿孔されており、これら3個の孔が前記キャップ5
1からポンプ53までの廃インク移送路を構成してい
る。
【0082】前記ポンプ53の図示右側の端面には軸部
519aが突設されており、該軸部519aにはブレー
ド59が取付けられたブレード支持部材535が回動自
在に軸支される。前記ブレード支持部材535を備えた
ポンプ53は、前記軸部519aの端面にさらに突設さ
れた小径の軸部519bが側板520bの孔に嵌入さ
れ、かつシリンダキャップ531の端面に突設された軸
部(不図示)がカム装置取付部材520aの孔に嵌入さ
れて、カム装置取付部材520aと側板520bとによ
り回動自在に支持される構成となっている。
【0083】他方、カム装置63のカム549の軸部
は、カム装置取付部材520aの孔、カムシャフト63
aの軸孔および側板520bの孔に順次挿通され、カム
装置取付部材520aと側板520bとにより回転(正
転および逆転)自在に支持される。前記カムシャフト6
3aには、ホームポジションスイッチ(以下、「H.
P.SW」と記す。)555を開閉させるためのスイッ
チカム557、ポンプ53に突設されたポンプレバー5
45と当接してポンプ53の支持部515を回動させる
ためのキャップカム547およびブレード支持部材53
5に突設されたブレードレバー551と当接してブレー
ド支持部材535を回動させるためのブレードカム55
3が形成されており、また、カムシャフト63aはカム
549の軸部に対して固定される。
【0084】前記ポンプ53の下部に形成された係止部
には、カム装置取付部材520aに一端が係止されたば
ね539の他端が係止され、該ばね539の張引力によ
り、ポンプ53が常に矢印E方向に付勢されてポンプレ
バー545とキャップカム547とが当接する。前記ポ
ンプレバー545がキャップカム547に案内されて回
動することにより、支持部515が回動し、キャップレ
バー505が記録ヘッド9aの吐出口形成面940bに
対して前進および後退する構成となっている。また、前
記キャップレバー505のフォーク状の端部509には
カム装置取付部材520aに突設されたピン511が摺
動自在に嵌入され、該ピン511にフォーク状の端部5
09が規制されることにより、キャップレバー505の
前進および後進の際の姿勢が保たれる構成となってい
る。
【0085】前記ブレード支持部材535の下部に形成
された係止部には、カム装置取付部材520aに一端が
係止されたばね537の他端が係止され、該ばね537
の張引力により、ブレード支持部材535が常に矢印E
方向に付勢されてブレードレバー551とブレードカム
553とが当接する。前記ブレードレバー551がブレ
ードカム553に案内されて回動することにより、ブレ
ード支持部材535が回動し、ブレード59がワイピン
グ位置と退避位置との間を往復移動する構成となってい
る。前記カム装置取付部材520aに取付けられるモー
タ61の回転駆動力は2個のギヤ541a,541bを
介してカム549に伝動されてカム549が回転(正
転、逆転)する。前記カム549の回転駆動力の一部は
ピン533を介してピストン軸527に伝えられてポン
プ53の駆動に使用され、他部はカムシャフト63aを
回転させてキャップレバー505およびブレード支持部
材535の駆動に使用される。前記ポンプ53の軸部5
19bの端面には前記排出口53dが開口しており、該
排出口53dはチューブ取付部材523に支持された蓋
部材521により密封される。ただし、前記蓋部材52
1およびチューブ取付部材523の各内部には互いに連
通する孔がそれぞれ穿孔されており、前記各孔により排
出口53dとチューブ57とが連通される。前記各孔お
よびチューブ57によりポンプ53から第1廃インクタ
ンク55までの廃インク移送路が構成されている。
【0086】次に、第1廃インクタンク55および第2
廃インクタンク70について説明する。
【0087】図2に示したように、第1廃インクタンク
55を設けることに加え、記録装置内のスペースを有効
利用して第2廃インクタンク70を設け、これら第1お
よび第2廃インクタンク55,70をチューブ71によ
り接続している。
【0088】前記吐出回復装置により移送された廃イン
クは、まず、チューブ57を経て第1廃インクタンク5
5に導入される。第1廃インクタンク55に廃インクを
収容する余裕がある間は、第1廃インクタンク55に廃
インクが貯められることになるが、その後、第1廃イン
クタンク55が廃インクを収容しきれなくなると、第1
廃インクタンク55から溢れた廃インクがチューブ71
を介して第2廃インクタンク70に導入されることにな
る。各廃インクタンク55,70内には、廃インクを吸
収するための後述する吸収体がそれぞれ設けられてい
る。なお、本例ではインク流路をキャップレバーに設け
ているためキャップ51内の廃インク流路563(図2
6の(C)参照)を図示の構成としたが、インク吸引路
を別に設けるのであれば、キャップ内のインク流路を図
示のように構成する必要はない。すなわち、吸引口56
1(図26参照)がキャップ51の鉛直方向の下方に設
けられるのであれば、インク流路の構成はいかようにも
定めることができる。
【0089】図27は本例に係る第1廃インクタンク5
5の構成例を示す。
【0090】ここに、181は廃インクを保持するイン
ク吸収体、55Aは装置使用時(図1の(A)の状態)
に底面となる部分、55Bは記録装置を図1の(B)の
ように収納して把手7を持って運搬する際等に底面とな
る部分である。55Cはいずれの場合にも鉛直方向下向
きとならない斜面部であり、この斜面部55Cには矩形
の開口部が形成され、該開口部は斜面部55Cに貼付け
られた通気布183によって覆われている。この通気布
183はインク溶剤蒸気は通すが液体であるインクは透
過させないものであり、具体的には、例えばベイパーロ
ード((株)テイジン製)を用いることができる。この
ような通気布183の配設によって第1廃インクタンク
55からのインク漏洩は殆ど生じないが、本例ではさら
にこれを設ける部分を上記斜面部55Cとすることによ
って、その漏洩が完全に防止されるようにしている。す
なわち、図28の(A)および(B)に示すように、装
置使用時には部分55Aが底面となって斜面部55Cは
上方を向いており、収納時(運搬時)には部分55Bが
底面となって斜面部55Cはやはり上方を向き、廃イン
クが通気布183を通して浸出して漏洩が生じることが
ないからである。
【0091】次に、前記吐出回復装置のカム549の回
転により作動するH.P.SW555、キャップ51、
ポンプ53およびブレード59の各動作状態について、
状態(a)〜(h)にわけて説明する。
【0092】図29は、カム549の回転角度(以下、
「カム回転角度」という。)に対するH.P.SW55
5、キャップ51、ポンプ53およびブレード59の各
動作状態を説明するための説明図である。図30は、状
態(a)〜(h)の各状態におけるH.P.SW55
5,キャップ51、ポンプ53およびブレード59の各
動作状態を模式図により示した説明図である。なお、図
29中の数値はカム回転角度を示す。 〔状態(a)〕 このときのカム549の位置をカム回転角度0°として
基準にする。すなわち、カム装置63のホームポジショ
ンとする。記録装置が記録動作を行っているときの吐出
回復装置の待機状態である。H.P.SW555は閉じ
ており、キャップ51は記録ヘッド9aの吐出口形成面
940bの移動経路から後退した位置である離反位置に
あり、ポンプ53のピストン525は上死点に位置して
おり、また、ブレード59は退避位置に位置している。 〔状態(b)〕 状態(a)からカム549を回転させて行き、カム回転
角度は45°である。記録装置を使用しないとき等の状
態であり、ホームポジションに停止している記録ヘッド
9aの吐出口形成面940bは当接位置に移動されたキ
ャップ51により密封されている。H.P.SW555
は開いており、ポンプ53のピストン525は上死点に
位置しており、また、ブレード59は退避位置に位置し
ている。 〔状態(c)〕 状態(b)からカム549を回転させて行き、カム回転
角度は135°である。ポンプ53のピストン525を
上死点から下死点近くの位置まで移動し終えた状態であ
り、ポンプ53の吸引力が発生しキャップ51により密
封された吐出口形成面940bの各吐出口940cから
廃インクが強制的に排出される(以下、「ポンピング」
という。)。また、この状態のときには、ピストン軸5
27のフランジ部527aによりピストン525の各連
通孔と軸孔とが密封されており、シリンダ53aの図示
左室は負圧に保たれる。H.P.SW555は閉じてお
り、キャップ51は当接位置に位置しており、また、ブ
レード59は退避位置に位置している。 〔状態(d)〕 カム回転角度は169.8°である。ポンプ53のピス
トン525を下死点までさらに移動し終えた状態であ
る。ポンプ53に小さな吸引力が再度発生し、ピストン
525の前記移動中にキャップ51が当接位置から離反
位置に向けて移動されてキャップ51による密封が解か
れ、前記廃インク移送路の途中に残っていた廃インクが
シリンダ53aの図示左室にさらに取り込まれる(以
下、「小空吸引」という。)。H.P.SW555は閉
じており、ブレード59は退避位置に位置している。 〔状態(g)〕 状態(g)について先に説明する。カム回転角度は26
1°である。前記ポピングによりポンプ53のシリン
ダ53a内に充満した廃インクを排出口53d(図24
参照)から排出するための後述する中空吸引および大空
吸引を開始するときの準備状態である。ポンプ53のピ
ストン525は停止しており、弁口53cを閉じてい
る。H.P.SW555は閉じており、キャップ51は
離反位置に位置しており、また、ブレード59はほぼ退
避位置に位置している。 〔状態(e)〕 カム回転角度は180°である。ポンプ53のピストン
525を下死点まで移動し終えて大空吸引を終了した状
態である。この大空吸引によりシリンダ53aの図示右
室内にある廃インク(インク吸収体528に吸収されて
いるものも含む)は排出口53dから排出される。H.
P.SW555は閉じており、キャップ51はほぼ離反
位置に位置してキャップ51による密封が解かれてお
り、また、ブレード59は退避位置に位置している。 〔状態(f)〕 カム回転角度は210°である。ポンプ53のピストン
525を適宜回数だけ往復移動させて中空吸引を終了し
た状態である。この中空吸引により、廃インク移送路中
に残留していた廃インクの吸引、シリンダ53aの図示
左室から図示右室への廃インクの移動および前記図示右
室内にある廃インクの排出口53dから外へ排出が同
時に行われる。ピストン525の位置は下死点までは達
していない。H.P.SW555は閉じており、キャッ
プ51は離反位置に位置しており、また、ブレード59
は退避位置に位置している。 〔状態(h)〕 カム回転角度は300°である。ブレード59がワイピ
ング位置に位置しており、該ブレード59と記録ヘッド
9aの吐出口形成面940bとが摺擦して吐出口形成面
940bが清掃されるときの状態である。H.P.SW
555は閉じており、キャップ51は離反位置に位置し
ており、また、ポンプ53のピストン525は上死点に
位置している。
【0093】次に、記録装置の制御系の構成について説
明する。図31は前記制御系の構成を示すブロック図で
ある。
【0094】MPU1000は、図32〜図37におい
て説明する制御手順等を各部を制御して実行するもので
あり、ROM1001は前記制御手順に対応したプログ
ラム等を格納したものであり、RAM1002は、キャ
リッジ11(図2参照)の現在位置を記憶したり、前記
制御手順の実行時におけるワークエリアとして用いられ
るものである。タイマ1003は前記制御手順の実行時
に、後述するT秒、t秒、α秒等の時間を計測するもの
である。前記制御手順の実行の際、キャリッジ11の位
置はキャリッジホームセンサ67により検出され、キャ
ップ51の位置は回復系ホームセンサ65により検出さ
れる。また、キャリッジ11の指示位置への移動や、指
示位置設定入力等は、キーボード部1(図1参照)に設
けられたスペースキーや所定のキーを用いて行う。上述
したMPU1000,ROM1001およびRAM10
02等により吐出回復処理を行うための指令を吐出回復
装置に出力する本体制御部としての制御装置200が構
成されている。
【0095】前記MPU1000の制御の下に、吐出回
復装置により実行される吐出回復処理のひとつであるヘ
ッドクリーニングの手順について説明する(図32参
照)。前記ヘッドクリーニングは、まず、キャップ51
により吐出口形成面940bが密封され、ポンプ53の
ピストン525が上死点に位置している状態(b)から
始まる(ステップS1)。前記状態(b)から状態
(c)に変化させてポンピングを行い(ステップS
3)、廃インクの吸引が十分行われるように状態(c)
を3秒間維持する(ステップS5)。前記状態(c)か
ら状態(d)に変化させて小空吸引を行い(ステップS
7)、前記廃インクがポンプ53にさらに取り込まれる
ように状態(d)を1秒間維持する(ステップS9)。
次に、前記状態(d)から状態(g)に変化させて中空
吸引の準備状態にし(ステップS11)、前記状態
(g)から状態(f)への変化を3回実行させる。すな
わち、ポンプ53のピストン525を3回繰り返して移
動させて中空吸引を行う(ステップS11〜S19)。
前記中空吸引の終了後、状態(g)から状態(e)に変
化させて大空吸引を行い(ステップS21)、再び状態
(g)に戻す(ステップS23)。次いで離反位置にあ
るキャップ51に向けて記録ヘッド9aの予備吐出を行
い(ステップS25)、前記状態(g)から状態(h)
に変化させてブレード59をワイピング位置に移動させ
(ステップS27)、キャリッジ11を移動させてワイ
ピングを行い(ステップS29)、最後に状態(b)に
戻す(ステップS31)。前記ヘッドクリーニングは、
記録装置の主制御ルーチンで適宜行うこともできるし、
操作者の指示に応じて実行することもできる。
【0096】次に、記録途中等に適宜実行される予備吐
出によってキャップ51に排出された廃インクを第1廃
インクタンク55へ移送するときの空吸引の手順につい
て説明する(図33参照)。
【0097】前記空吸引は、記録の途中等に記録を中断
して行われるものであり、ホームポジションに移動して
きた記録ヘッド9aの吐出口形成面940bに対して、
キャップ51が離反位置に位置する状態(a)から始ま
る(ステップS41)。前記状態(a)からカム549
を逆転させて状態(g)に変化させ中空吸引の準備状態
にし(ステップS43)、前記状態(g)から状態
(f)に変化させて中空吸引を実行する(ステップS4
5)。次に前記状態(f)から状態(g)に変化させて
大空吸引の準備状態にし(ステップS47)、前記状態
(g)から状態(e)に変化させて大空吸引を実行し
(ステップS49)、前記状態(e)から状態(a)に
戻して空吸引を終了する(ステップS51)。その後、
前記記録ヘッド9aはホームポジションから記録用紙側
に移動して記録を再開する。
【0098】次に、記録処理の手順の一例について、図
34および35を参照して説明する。
【0099】図34において、電源がオンされると、前
記吐出回復装置が状態(a)にされてキャップ51が離
反位置に設定され(ステップS61)、次いでキャリッ
ジ11がホームポジションに設定される(ステップS6
3)。次に、予備吐出の回数が所定の回数(本実施例で
は7回または15回)に達したときに前記空吸引の手順
を実行するために使用されるカウンタのカウンタ値n1
をリセットし(ステップS65)、前記吐出回復装置を
状態(a)から状態(b)に変化させてホームポジショ
ンに位置する記録ヘッド9aの吐出口形成面940bを
キャップ51により密封し(ステップS67)、記録信
号の入力があるまで待機する(ステップS69)。な
お、前記吐出口形成面940bをキャップ51により密
封することを、以下、「キャッピング」という。
【0100】前記記録信号の入力を得ると、記録用紙の
給紙を開始し(ステップS71)、吐出回復装置を状態
(b)から状態(a)に変化させてキャッピングを解除
し(ステップS73)、次いで、予備吐出を行うととも
にカウンタ値n1 を+1歩進する(ステップS75)。
次に、記録動作中の所定時間毎(例えば30秒毎)に予
備吐出を行うためのタイマT1 の時間t1 をリセットす
るとともに該タイマT1 をスタートさせ(ステップS7
7)、記録用紙に1行分の記録を実行する(ステップS
79)。この後、前記タイマT1 の時間t1 が30秒を
越えたか否かを判定し(ステップS81)、肯定判定で
あればステップS75と同様のステップS83およびス
テップS77と同様のステップS85を順次経てステッ
プS87に進み、否定判定であれば直ちにステップS8
7に進む。前記ステップS87ではカウンタ値n1 の値
が15に達したか否かを判定し、肯定判定であれば空吸
引の手順(図33参照)を実行し(ステップS89)、
カウンタ値n1 をリセットして(ステップS91)ステ
ップS93に移行する。また、前記ステップS87で否
定判定された場合には直ちにステップS93に進む。ス
テップS93では1頁分の記録が終了して改頁が指示さ
れているか否かを判定し、否定判定であればステップS
95に進んで記録信号の有無を判定する。ステップS9
5にて肯定判定がなされた場合にはステップS97にて
記録終了のEND信号があるか否かを判定し、否定判定
であればステップS79に移行して次行の記録を行う。
【0101】一方、ステップS95にて記録信号が入力
されない場合にはステップS99(図35の(A)参
照)に進み、記録信号が所定時間(例えば5秒)以上入
力されないときにキャッピングを行うために用いられる
タイマT2 の時間t2 をリセットし、スタートする。次
に、ステップS101にて記録信号の有無を判定し、肯
定判定であればステップS79に復帰して次行の記録を
実行する。一方、否定判定であればステップS103に
てタイマT2 の時間t2 が5秒を越えたか否かを判定
し、否定判定であればステップS104に進み、END
信号の入力がなければステップS101に復帰する。
【0102】前記タイマT2 の時間t2 が5秒を経過し
ていればステップS105にてキャッピングを行い、ス
テップS107にてタイマT1 を停止するとともに、所
定時間(例えば60秒間)前記キャッピング状態を継続
した後の予備吐出を実行するためのタイマT3 をリセッ
トしてスタートする。
【0103】次いで、ステップS109にてEND信号
の入力の有無の判定を行い、入力がなかった場合にステ
ップS111に進み、ステップS111にて記録信号が
あればステップS113にてキャッピングを解除し、ス
テップS115にてタイマT3 に時間t3 が60秒を越
えているか否かを判定する。ここで肯定であればステッ
プS75に移行し、一方否定判定であればステップS1
17にてタイマT1 をスタートさせた後、ステップS7
9に復帰する。
【0104】ところで、ステップS93にて改頁指令が
入力された場合にはステップS119(図35の(B)
参照)に進み、カウンタ値n1 が“7”以上であるか否
かを判定する。ここで肯定判定であればステップS12
1にて空吸引を行い、ステップS123にてカウンタ値
1 のリセットを行った後にステップS125に進み、
一方否定判定であれば直ちに、ステップS125に進ん
でブレード59によるワイピングの動作を行う。そし
て、ステップS127にてキャッピングを行い、ステッ
プS129にて記録を終了した記録用紙を排出した後、
ステップS69に進んで次頁の記録信号を待機する。な
お、ステップS97、ステップS104またはS109
にてEND信号が検出された場合にはステップS131
(図34参照)の終了動作を実行する。前記終了動作
は、図35の(C)に示すように、空吸引(ステップS
141)、カウンタ値n1 のリセット(ステップS14
3)、ワイピング(ステップS145)、キャッピング
(ステップS147)、および記録用紙の排出(ステッ
プS149)を順次行う処理である。
【0105】以上の主な動作をまとめれば、まず予備吐
出があげられる。本実施例では記録直前に予備吐出が行
われ、その後は30秒間隔で予備吐出が行われる。ま
た、この30秒間隔の積算にはタイマT1 が用いられて
いる。タイマT1 は、キャッピングに入ったとき(ステ
ップS105)にストップされるので(ステップS10
7)、この30秒間隔にキャッピング中の時間は積算さ
れない。また、キャッピングが60秒以上にわたる場合
(ステップS105〜S115)には、制御手順は予備
吐出(ステップS75)に戻る。
【0106】本実施例では、予備吐出はキャップ51内
に行っている。したがって、予備吐出を繰り返し行う際
には、それによってキャップ51内に貯ってしまう廃イ
ンクを、第1廃インクタンク55へ移送するために空吸
引を行うことが必要である。基本的には、記録をしない
改頁の際、予備吐出用カウンタのカウンタ値n1 が7以
上になっている場合に、ステップS121の空吸引が行
われる。しかし、改頁の際以外にも改行の際にカウンタ
値n1 が15以上になった場合、すなわち、長い記録時
間を要する文章においてはステップS89の空吸引を行
う、また、記録終了時には必ず空吸引が行われる。
【0107】図36および図37は、本例のインクジェ
ット記録装置における他の記録位置指示モードの制御手
順を示すそれぞれタイミングチャートおよびフローチャ
ートである。
【0108】本例にかかる記録位置指示モードは、本例
記録位置が用いられる電子タイプライタのように、フォ
ーマット紙や既に一部記録のなされた記録紙に記録を行
う場合などに起動される制御手順である。すなわち、キ
ャリッジ(記録ヘッド)を移動させながら、記録位置の
確認、設定や記録範囲の設定を行うが、この間インク滴
は吐出されない。このため、インク増粘や不吐出を防止
するために予備吐出やキャッピングを行うが、これら
処理を行う場合には、キャリッジによる記録位置設定等
の処理を中断して所定時間毎に予備吐出等のための位置
へキャリッジを移動させるものである。
【0109】以下、図37のフローチャートに基づき、
図36のタイミングチャートを参照しながら記録位置指
示モードの制御手順について説明する。
【0110】所定のキー入力によって記録位置指示命令
があると、本制御手順が起動され、ステップS201で
キャップ51をオープンし(図36、時点(1)以下、
時点のみ記す)、ステップS202で、例えばスペース
キーの入力に応じ指示位置へ向けてキャリッジ11を移
動させる(時点(2))。この間、ステップS203で
は、キャリッジ11が指示位置に至った結果所定のキー
入力によってこの位置の設定が有ったか否かを判断し、
否定判断であればステップS204でキャップオープン
から所定時間T秒経過したか否かを判断する。
【0111】T秒経過した場合には、ステップS205
でキャリッジ11の現在の位置を記憶し、ステップS2
06でキャリッジ11を予備吐出位置へ移動させる(時
点(3))。さらに、ステップS207で所定量(A回
吐出)の予備吐出を行う(時点(4))。その後、ステ
ップS208で前回記憶した位置までキャリッジ11を
移動させ、ステップS209で上記と同様にして指示位
置への移動を行う。この間、ステップS210では、上
記と同様に指示位置設定の入力が有ったか否かを判断
し、否定判断であればステップS211で位置指示命令
から、すなわち本制御手順が起動されてから所定時間α
秒経過したか否かの判断を行う、このα秒は、通常には
指示位置の設定が終了して然るべき時間であり、また、
この時間を経過して記録ヘッドをキャップオープンのま
まにしておくことはインク滴吐出に重大な支障を招くも
のとして設定されたものである。前記ステップS211
で否定判断の場合は、ステップS212で、前回の予備
吐出から所定時間t秒経過したか否かを判断し、t秒経
過した場合には、上記と同様のステップS213および
S214の処理を経て、ステップS215でB回吐出の
予備吐出を行い、ステップS208の処理へ戻る。
【0112】ステップS203またはS210で指示位
置設定入力があった場合は、それぞれステップS216
またはS217でその位置を記憶し、また、ステップS
211でα秒経過したと判断した場合は、処理はステッ
プS218へ進む。ステップS218では、キャリッジ
11をキャップ位置へ移動させ(時点(5))、ステッ
プS219でキャッピングし(時点(6))、ステップ
S220で指示モードをリセットして本処理手順を終了
する。なお、上記経過時間T秒、t秒、α秒は例えば雰
囲気の温度や湿度に応じてそれぞれ設定することもでき
るし、また、温度等のセンサを設け、これらセンサによ
る検出に応じて経過時間を自動的に設定するようにして
もよい。
【0113】上記制御手順における指示位置へ移動は、
操作者がスペースキーを押下げながら行うものである
が、この際、図2および図18等に示されるキャリッジ
11上のマーカ49と紙押え板45上の目盛47とを併
用することにより、被記録媒体に対するキャリッジ11
の位置、すなわち吐出口の位置を知ることができる。な
お、マーカ49の位置と吐出口の位置とはずれている
が、このオフセット量は予め記憶されており、記録動作
等においては自動的に修正されるものである。目盛47
は、紙押え板45といったインクジェット方式の記録装
置に特有の部材上に記されるため、極めて近接して目盛
47を被記録媒体に合わせることができる。また、同様
に指示位置への移動等にかかる操作においては、同様に
図2および図18等に示される操作レバー15上のマー
カ17と、装置カバーの窓(不図示)に記された目盛と
により、特にキャリッジ11の移動量を知ることができ
る。このように、マーカ49,17およびこれらと併用
される構成は、本例記録装置がインクジェット方式であ
って、予備吐出等のためにキャリッジ移動による位置確
認操作が中断される場合には、再び中断時の位置にキャ
リッジを戻す場合等に特に有効である。
【0114】次に、本実施例の特徴とする構成について
説明する。
【0115】図38の(A)に示すように、操作レバー
15の、軸601dにより軸支された部分が延長されて
フックレバー部628が形成されている。フック629
は、一端に係止部629a、略中央部上面に突起部をそ
れぞれ有し、かつ略先端部に長穴635を有しており、
該長穴635には、記録装置本体であるキャリッジ11
に固着された軸634が係合されている。また、キャリ
ッジ11には、フック629の係止部629aの下端に
当接する回り止め部材636が固着されている。これら
の構成により、フック629はその長手方向(水平方
向)に所定距離だけ移動自在であるとともに、前記軸6
34を支点として図示時計回り方向にのみ回動自在とな
っている。前記フック629の後端部(図示右端部)
は、キャリッジ11に係止されたフックスプリング63
0によって図示斜め上方へ引張られていることにより、
フック629は水平方向に延びた状態で保持されてい
る。また、キャリッジ11の前方部位には、フック62
9の係止部629aと係合可能なストッパ部材633が
固着されている。操作レバー15を持ち上げてヘッドカ
ートリッジ9のロックを解除すると、フック629の後
端はフックレバー部628によって前方へ押圧されて移
動し、その係止部629aはストッパ部材633に係止
され(図38の(B)参照)、この状態から操作レバー
15を図38の(A)で示した元の位置に戻しても、フ
ック629の係止部629aはストッパ部材633に引
掛かったままに保持される構成となっている。
【0116】スイッチレバー637は、フック629の
上方に設けられ、その一端部がレバー軸639によりキ
ャリッジ11に回動自在に軸支されており、他端部はレ
バースプリング638により斜め上方へ付勢されてい
る。マイクロスイッチ631aは、そのスイッチ端子が
下方を向いてスイッチレバー637の中央部に固定され
ており、このマイクロスイッチ631aは、リード線6
32aを介して前記制御装置200(図31参照)に結
線されている。マイクロスイッチ631aのスイッチ端
子がONになると、その旨の信号が制御装置200に入
力され、制御装置200は、図32に示した吐出回復処
理を行うための指令を前記吐出回復装置に出力する構成
となっている。操作レバー15を反時計回り方向に回動
させて、ヘッドカートリッジ9をロックすると、操作レ
バー15によりスイッチレバー637の他端部がレバー
スプリング638のばね力に対抗して押し下げられ、こ
れにより、マイクロスイッチ631aの位置が下方向に
移動する(図38の(A)の状態)。このとき、フック
629の係止部629aがストッパ部材633に係止し
た状態であると、マイクロスイッチ631aのスイッチ
端子がフック629の前記突起部に押圧されてONとな
る(図39の(A)参照)。これとは逆に、操作レバー
15を時計回り方向に回動させて、ヘッドカートリッジ
9のロックを解除すると、スイッチレバー637の他端
部がレバースプリング638によって押し上げられて、
マイクロスイッチ631aは上方に移動するので、フッ
ク629の係止部629aがストッパ部材633に係止
した状態であってもマイクロスイッチ631aのスイッ
チ端子はONにならない(図38の(B)参照)。上述
した図39の(A)の状態において、軸634の支点
は、回り止め部材636の後端とマイクロスイッチ63
1aのスイッチ端子との間に位置している。
【0117】一方、フック解除レバー5451はポンプ
レバー545に一体的に設けられ、ポンプレバー545
と一体的に回動するものである。図39の(B)に示す
ように、吐出回復装置が作動されて、キャップカム54
7が回動すると、ポンプレバー545が押下げられるに
伴い、キャップ51がオープン状態になる。これと同時
に、前記フック解除レバー5451も回動してフック6
29の係止部629aを押上げ、これにより、係止部6
29aとストッパ部材633との係合が解除される。図
39の(B)において、押上げられたフック629はこ
の状態から、直ちにフックスプリング630によって引
張られて後退する(図40参照)。
【0118】上記構成の動作について説明する。図38
の(B)に示すように、キャリッジ11に装着されてい
るヘッドカートリッジ9のロックを解除する際、操作レ
バー15を時計回り方向に回動させると、これにフック
レバー部628が連動して回動し、フック629が前方
へ移動し、その係止部629aがストッパ部材633に
係止される。この状態で、ヘッドカートリッジ9をキャ
リッジ11から取外せる。そして、図39の(A)に示
すように、新品のヘッドカートリッジ9あるいはキャリ
ッジ11から一時的に取外したヘッドカートリッジ9を
再使用のためにキャリッジ11(記録装置本体)に装着
し、操作レバー15を図示反時計回り方向に押下げて、
ヘッドカートリッジ9をロックする。この際、操作レバ
ー15によってスイッチレバー637の他端部が押し下
げられ、マイクロスイッチ631aが下方に移動し、マ
イクロスイッチ631aのスイッチ端子がフック629
の突起部に押圧されてONになり、その旨の信号が制御
装置200に入力される。その結果、制御装置200か
らの指令に基づいて、吐出回復処理装置によって、図3
2に示した記録ヘッドの吐出回復処理が自動的に行われ
る。その過程で、図39の(B)に示すように、キャッ
プカム547が回転するため、キャップ51がオープン
状態になると同時に、フック解除レバー5451はフッ
ク629の係止部629aを押上げる。これにより、係
止部629aとストッパ部材633との係合は解除さ
れ、直ちに図40に示した状態となる。そして、操作レ
バー15によるヘッドカートリッジ9のロックを解除し
ない限り、マイクロスイッチ631aのスイッチ端子が
ONになることはない。また、記録装置の電源OFF時
に、ヘッドカートリッジの着脱を行っても、図39の
(A)に示したように、マイクロスイッチ631aのス
イッチ端子がONの状態に保持されるため、それを検出
でき、電源ON時には吐出回復処理が行われる。
【0119】上記説明から明らかなように、マイクロス
イッチ631a、フック629、ストッパ部材633お
よびフック解除レバー5451等により、ヘッドカート
リッジ9がキャリッジ11に装着されたことを検知する
ための検知手段が構成されている。 (第2実施例)第2実施例について説明する。
【0120】図41の(A)および(B)に示すよう
に、キャリッジ11(図1参照)側のフレキシブル基板
604の2つの端子パッド(不図示)上に第1および第
2端子604a,604bがそれぞれ設けられており、
一方、ヘッドカートリッジ9側の基板906dには端子
906d1が設けられており、この端子906d1は、
ヘッドカートリッジ9がキャリッジ11に装着されてい
る状態では、前記第1および第2端子604a,604
bにそれぞれ圧接するものである。この圧接により第1
および第2端子604a,604bは端子906d1を
介して導通状態になる。
【0121】図42に示すように、前記第1端子604
aは信号線を介して信号発生器604Xに接続されてい
るとともに、第2端子604bは信号検出器604Yに
接続され、この信号検出器604Yは制御装置200a
に結線されている。第1および第2端子604a,60
4bが導通状態となることで、信号発生器604Xで発
生した信号が信号検出器604Yに入力されると、制御
装置200aは、図32に示した吐出回復処理を行うた
めの指令を吐出回復装置に出力する構成となっている。
各端子604a,604b,900d1,信号発生器6
04Xおよび信号受信器604Y等により検知手段が構
成されている。
【0122】上記のとおり構成された本実施例では、ヘ
ッドカートリッジ9をキャリッジ11に装着すると、基
板906dの端子906d1が第1および第2端子60
4a,604bにそれぞれ圧接し、第1および第2端子
604a,604bは導通状態となる。その結果、信号
発生器604Xで発生した信号は、第1端子604a、
端子906d1および第2端子604bを順次介して信
号検出器604Yに入力されることで、制御装置200
aからの指令に基づいて、吐出回復装置によって、図3
2に示した吐出回復処理が自動的に行われ、その後、印
字が開始される。その他の構成は第1実施例のものと同
じであり、動作も同様であるので、それらの説明は省略
する。
【0123】本実施例においては、信号検出器が信号を
検出してから直ちに、吐出回復処理が行われる構成であ
るが、これに限られず、信号検出器が信号を検出したと
きから予め設定した時間経過後に、吐出回復処理を行う
構成としてもよく、この場合、ヘッドカートリッジの装
着時に、オペレータの手等により吐出回復処理が妨害さ
れることはない。また、ヘッドカートリッジ装着後、最
初の記録命令を受取ったとき、吐出回復処理を開始する
構成としてもよい。
【0124】記録装置の電源がOFFの場合には、バッ
クアップ電池等を利用して前記信号をメモリに記憶して
おき、前記電源のON時に前記メモリより信号を読取っ
て、吐出回復処理を行うことで、電源OFF時のヘッド
カートリッジ交換にも対処できる。 (第3実施例)本実施例は、図43の(A)および
(B)に示すように、操作レバー15の中間部に突起部
としての押圧部636aを一体的に設け、キャリッジ1
1にマイクロスイッチ631bを固定したものである。
このマイクロスイッチ631bの位置は、図43の
(B)に示すように、ヘッドカートリッジ9の装着後、
操作レバー15の回動に伴い、その押圧部636aがマ
イクロスイッチ631bのスイッチ端子を押圧してON
にするように設定されている。また、前記マイクロスイ
ッチ631bは、リード線632bおよびFPC21
(図2参照)の信号線を順次介して、制御装置200b
(図44参照)に結線されており、マイクロスイッチ6
31bのスイッチ端子がONになると、制御装置200
bは、図32に示した吐出回復処理を行うための指令を
吐出回復装置に出力する構成となっている。マイクロス
イッチ631b、リード線632bおよび押圧部636
a等により検出手段が構成されている。
【0125】上記のとおり構成された本実施例では、ヘ
ッドカートリッジ9をキャリッジ11に装着し、操作レ
バー15を押下げて、ヘッドカートリッジ9をロックす
ると(図43の(B)参照)、マイクロスイッチ631
bのスイッチ端子は前記押圧部636aにより押圧され
てONになり、その旨の信号が制御装置200bに入力
される。これにより、制御装置200からの指令に基づ
いて、吐出回復装置によって、図32に示した吐出回復
処理が自動的に行われ、その後、印字が開始される。そ
の他の構成や動作は第1実施例のものと同様である。
【0126】FPCの形状を工夫することにより、マイ
クロスイッチをリード線を介さずに、直接FPCの信号
線に接続し、組付け性の向上を図ってもよく、マイクロ
スイッチの代わりに、フォトセンサ等を用いてもよい。 (第4実施例) 本実施例は、図45の(A)および(B)に示すよう
に、キャリッジ11の側方部位にマイクロスイッチ63
1cを固定し、このマイクロスイッチ631cの位置
は、図45の(B)に示すように、ヘッドカートリッジ
9の装着後、操作レバー15によるヘッドカートリッジ
9のロックに伴い、ヘッドカートリッジ9の側面がマイ
クロスイッチ631cのスイッチ端子を押圧してONに
するように設定されている。また、マイクロスイッチ6
31cは、リード線632cおよびFPC(図2参照)
の信号線を順次介して、制御装置200c(図46参
照)に結線されており、このマクロスイッチ631c
のスイッチ端子がONになると、制御装置200cは、
図32に示した吐出回復処理を行うための指令を吐出回
復装置に出力する構成となっている。その他の構成は第
1実施例のものと同じであり、動作も第3実施例のもの
と同様であるので、それらの説明は省略する。
【0127】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でもキヤノン株式会社が提唱する、バブルジェット方
式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもた
らすものである。
【0128】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生
せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的
にこの駆動信号に一対一対応し液体(インク)内の気泡
を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮に
より吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われる
、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成で
き、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第4463359号明細書、同第4345
262号明細書に記載されているようなものが適してい
る。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米
国特許第4313124号明細書に記載されている条件
を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0129】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。
【0130】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満
たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を
一層有効に発揮することができる。
【0131】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0132】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対しての加圧手段、電気熱変換体あるいは
これとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによ
る予備加熱手段等を行うことも安定した記録を行うため
に有効である。
【0133】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってで
もよいが、異なる色の複カラー又は、混色によるフル
カラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極め
て有効である。
【0134】以上説明した本発明実施例においては、イ
ンクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固
化するインクであって、室温で軟化もしくは液体あるい
は、上述のインクジェットではインク自体を30℃以上
70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を
安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的で
あるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすも
のであればよい。加えて、積極的に熱エネルギーによる
昇温をインクの固形状態から液体状態への態変化のエネ
ルギーとして使用せしめることで防止するか又は、イン
クの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを
用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号
に応じた付与によってインクが液化してインク液状とし
て吐出するものや記録媒体に到達する時点ではすでに固
化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初め
て液化する性質のインク使用も本発明には適用可能であ
る。このような場合インクは、特開昭54−56847
号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載さ
れるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固
形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対
向するような形態としてもよい。本発明においては、上
述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜
沸騰方式を実行するものである。
【0135】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。
【0136】さらに加えて、本発明のインクジェット記
録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器
の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と
組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するフ
ァクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0137】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおり構成され
ているので、新品のヘッドカートリッジを記録装置本体
に装着したり、記録装置本体から一時的に取外したヘッ
ドカートリッジを再使用のために記録装置本体に装着す
ると、記録ヘッドの吐出回復処理が自動的に行われるこ
とで、前記吐出回復処理の操作の煩わしさが解消される
とともに、前記操作を忘れることに起因する、インク吐
出状態の悪い記録が進行せず、その結果、記録画像の記
録品位が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる装置としての電子
タイプライタの外観斜視図であり、(A)は使用時の状
態を示し、(B)は収納時の状態を示している。
【図2】本発明に適用可能なインクジェット記録装置の
一構成例を示す斜視図である。
【図3】図2に示したヘッドカートリッジの外観斜視図
である。
【図4】図3に示したヘッドカートリッジの斜視図であ
り、(A)は分解斜視図、(B)は外観斜視図である。
【図5】記録ヘッドの天板の斜視図である。
【図6】図2に示したキャリッジの図であり、(A)は
上面図、(B)は側面図である。
【図7】上記ヘッドカートリッジを上記キャリッジに搭
載した状態を示す図であり、(A)は上面図、(B)は
側面図である。
【図8】上記キャリッジの分解斜視図である。
【図9】上記キャリッジを示す図であり、(A)は側面
図、(B)はキャリッジにヘッドカートリッジを搭載し
た状態を示す側面図である。
【図10】図2に示したプリンタにおける被記録媒体搬
送系の側断面図である。
【図11】図10の分解上面図である。
【図12】上記搬送系において各付勢力を解除した状態
を示す側断面図である。
【図13】上記搬送系におけるフィードローラの逃げを
説明するための構成を示す模式的側面図である。
【図14】上記搬送系におけるフィードローラ、紙押え
板および拍車の付勢を解除する機構のうち装置右側に配
設される部分を示す図であり、(A)は付勢解除前の側
面図であり、(B)は付勢解除後の側面図である。
【図15】図11と同機構の装置左側に配設される部分
を示す図であり、(A)は付勢解除前の側面図であり、
(B)は付勢解除後の側面図である。
【図16】上記付勢解除のためのレバーとノブの係合状
態を示す図であり、(A)は模式的正面図、(B)は
(A)に示した機構の分解斜視図である。
【図17】図2等に示したキャリッジの他の要素との係
合関係を説明するための側面図である。
【図18】キャリッジの上面図である。
【図19】上記キャリッジが被記録媒体の厚さに応じて
その位置を変化させる様子を示す模式的上面図であり、
(A)は薄紙の場合、(B)は厚紙の場合を示してい
る。
【図20】上記変化に伴うガイド軸の軸受の変位を説明
するための模式的側面図である。
【図21】図2等に示したキャリッジにおいて、このキ
ャリッジの移動方向に対して吐出口配列を傾ける機構を
示す模式的正面図である。
【図22】上記傾ける機構(構成)のない場合およびあ
る場合の記録例を示すそれぞれ被記録媒体の模式的平面
図である。
【図23】図2に示したキャリッジ駆動のためのベルト
のテンション機構およびその駆動機構を示す図であり、
(A)は上面図、(B)は正面図である。
【図24】図2に示した吐出回復装置の分解斜視図であ
る。
【図25】キャップおよびキャップホルダの斜視図であ
る。
【図26】キャップを示す図であり、(A)は正面図、
(B)は平面図、(C)は(A)のM−M線断面図であ
る。
【図27】吐出回復動作によって排出されるインクを貯
留する廃インクタンクの模式的斜視図である。
【図28】上記廃インクタンクのプリンタに対する配置
を示す図であり、(A)は使用時状態を、(B)は収納
時状態を示している。
【図29】吐出回復装置のH.P.SW、キャップ、ポ
ンプおよびブレードの各動作状態を説明するためのタイ
ミングチャートである。
【図30】吐出回復装置のH.P.SW、キャップ、ポ
ンプおよびブレードの各動作状態を模式図により示した
説明図である。
【図31】制御系の構成例を示すブロック図である。
【図32】ヘッドクリーニング(吐出回復処理)の手順
の一例を示すフローチャートである。
【図33】空吐出の手順の一例を示すフローチャートで
ある。
【図34】記録処理の手順の一例を示すフローチャート
の一部である。
【図35】上記記録処理手順の一例のフローチャートの
他の部分である。
【図36】図2等で示した記録装置における記録位置指
示モードのタイミングチャートである。
【図37】図2等で示した記録装置における記録位置指
示モードのフローチャートである。
【図38】第1実施例の特徴とするところのキャリッジ
近傍の側面図であり、(A)はヘッドカートリッジがロ
ックされている状態、(B)は前記ロックが解除されて
いる状態を示している。
【図39】本実施例のキャリッジ近傍の側面図であり、
(A)はヘッドカートリッジを再装着してロックしたと
きの状態、(B)は上記(A)の状態からフック解除レ
バーが連動したときの状態を示している。
【図40】本実施例のキャリッジ近傍の側面図であり、
上記図39の(B)の直後の状態を示している。
【図41】本発明の第2実施例に係る図であり、(A)
は記録ヘッド側の基板の要部正面図、(B)はキャリッ
ジ側のフレキシブル基板の要部正面図である。
【図42】第2実施例に係るモードの制御構成を示すブ
ロック図である。
【図43】本発明の第3実施例に係るキャリッジ近傍の
側面図であり、(A)はヘッドカートリッジが装着され
ていない状態を示し、(B)はヘッドカートリッジが装
着されてロックされている状態を示している。
【図44】第3実施例に係るモードの制御構成を示すブ
ロック図である。
【図45】本発明の第4実施例に係るキャリッジ近傍の
上面図であり、(A)はヘッドートリッジが装着され
ていない状態を示し、(B)はヘッドカートリッジが装
着されてロックされている状態を示している。
【図46】第4実施例に係るモードの制御構成を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
1 キーボード部 2 キー群 3 ヒンジ 4 給紙トレイ 5 ノブ 6 表示器 7 把手 9 ヘッドカートリッジ 9a 記録ヘッド 9b インクタンク 11 キャリッジ 13 フック 15 操作レバー 17 マーカ 19 支持板 21 FPC 23 ガイド軸 25 軸受 27 タイミングベルト 29A,29B プーリ 31 キャリッジモータ 33 搬送ローラ 34 プラテン 35 搬送モータ 37 ペーパーパン 39A,39B フィードローラ 40 レリーズ板 41 排紙ローラ 42 拍車 43 解除レバー 45 紙押え板 46 軸部材 47 目盛 49 マーカ 51 キャップ 53 ポンプ 55 第1廃インクタンク 57,71 チューブ 59 ブレード 61 モータ 63 カム装置 70 第2廃インクタンク 91 コロ 100 底板 181 インク吸収体 183 通気布 200 制御装置 501 吸収体 561 吸引口 604 フレキシブル基板 604a,604b 端子 613 コロばね 623 基板カバー 628 フックレバー部 629 フック 630 フックスプリング 631a,631b,631c マイクロスイッチ 632a,632b,632c リード線 633 ストッパ部材 634 軸 635 長穴 636 回り止め部材 637 スイッチレバー 638 レバースプリング 639 レバー軸 906d 基板 906d1 端子 906e つめ 940 天板 5451 フック解除レバ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/175 B41J 2/18 B41J 2/185 B41J 29/00 B41J 29/38

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被記録媒体にインクを吐出口から吐出す
    ることにより記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドに
    インクを供給するためのインクタンクとが一体となった
    ヘッドカートリッジが記録装置本体に着脱可能であり、
    記録ヘッドの吐出回復処理を行うための吐出回復装置を
    備えたインクジェット記録装置において、前記ヘッドカ
    ートリッジが記録装置本体に装着されたことを検知する
    ための検知手段と、ヘッドカートリッジが記録装置本体
    に装着されたことが前記検知手段によって検知される
    と、前記記録ヘッドの吐出回復処理を行うための指令を
    前記吐出回復装置に出力する制御装置とを有することを
    特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 吐出回復処理により前記記録ヘッドの吐
    出口から排出された廃インクを受けるためのキャップに
    連通し、かつ該キャップからの廃インクを貯留するため
    の貯留部材を備え、該貯留部材には開口部が形成されて
    いるとともに、この開口部を覆う通気布が張られている
    請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 記録ヘッドはシリアルタイプの記録ヘッ
    ドである請求項1または2に記載のインクジェット記録
    装置。
  4. 【請求項4】 記録ヘッドは、被記録媒体の記録領域の
    全幅にわたって吐出口が形成されているフルラインタイ
    プの記録ヘッドである請求項1または2に記載のインク
    ジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 記録ヘッドは、熱エネルギーを利用して
    インクを吐出するものであって、前記熱エネルギーを発
    生するための電気熱変換体を備えている請求項1乃至4
    のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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