JP2962152B2 - 化学繊維を主材とする染色シートの製造方法 - Google Patents

化学繊維を主材とする染色シートの製造方法

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JP2962152B2
JP2962152B2 JP6183260A JP18326094A JP2962152B2 JP 2962152 B2 JP2962152 B2 JP 2962152B2 JP 6183260 A JP6183260 A JP 6183260A JP 18326094 A JP18326094 A JP 18326094A JP 2962152 B2 JP2962152 B2 JP 2962152B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学繊維を主体とした
染色シートの製造方法に関し、より詳しくは、染料や顔
料(本明細書では両者を総称して“染顔料”という)の
化学繊維への定着に優れ、均一な染色ができ、しかも容
易に種々の色相に染色できる染色シートの製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】化学繊維は強度や寸法安定性が木材パル
プ繊維よりも優れているものが多いため、これらの特性
を付与する目的で製紙分野でも広く利用されている。製
紙用に広く利用されている化学繊維には、レーヨン繊
維、ビニロン繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ナ
イロン繊維、アクリル繊維などがある。しかしながらこ
れらの化学繊維の多くは疎水性を示し、またその殆どが
叩解によってフィブリル化を起さない。このような化学
繊維は繊維間に水素結合などの結合を形成しないため自
己接着性がなく、そのままスラリーとして湿式抄紙によ
りシート化しても強度が発現しない。そのためスラリー
に種々の接着剤を添加して抄紙することにより化学繊維
間結合を強化してシートとしての強度を発現させること
が従来から行われている。接着剤としては、エマルジョ
ン型の溶液状のもの、ポリビニルアルコール粉末のごと
き粉末状のもの、ビニロン繊維のごとき繊維状のものが
使用されている。
【0003】また近年、無機繊維をシート化するに際し
て、接着剤として微細フィブリル化セルロースを使用す
ることも提案されている。微細フィブリル化セルロース
とは、セルロース繊維の細胞壁を形成しているフィブリ
ルの結束を強力な機械的せん断力等により破壊すること
によってミクロフィブリルの次元まで微細化したもので
ある。例えば特開昭60−81398号公報には、アル
ミナ繊維に結合剤(接着剤)としてミクロフィブリル化
したセルロース繊維(微細フィブリル化セルロース)を
混合して抄紙することを開示している。また特開昭60
−134100号公報には、微細フィブリル化セルロー
スを無機繊維の定着剤兼分散剤として使用し、無機繊維
と微細フィブリル化セルロースとを含有するスラリーを
用いて無機繊維シートを抄造することを開示している。
【0004】一方、化学繊維を主材として抄造したシー
トでかつ染色が施されている染色シートを製造するに
は、予め化学繊維を染色した後、湿式抄紙法によりシー
ト化する方法が一般に採用されている。化学繊維を染色
するに際しては、化学繊維の種類によって使用する染顔
料を選択する必要がある。 例えば、代表的な合成繊維
であるポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維
などはそれらの種類によって使用できる染料が異なる。
すなわち、疎水性の大きいポリエステル繊維には分散染
料のような疎水性染料を用い、ナイロン繊維には酸性染
料を用い、酸性の染着座席を持つアクリル繊維にはカチ
オン染料を用いなければならない。またレーヨン繊維の
ような再生繊維は親水性を示すので反応染料や直接染料
などで容易に染色されるが、アセテート繊維のような半
合成繊維は疎水性が大きいため分散染料のような疎水性
染料を使用しなければならない。さらに、アスベスト繊
維やガラス繊維のような無機繊維は完全な疎水性のため
染着性を示さない。
【0005】また染顔料の選択により染色できる化学繊
維であっても、均一で一定濃度に染色したり、高堅牢度
を保持するためには染色助剤を使用しなければならない
ものもあり、化学繊維の種類に応じた種々の染色助剤が
従来から提案されている(例えば、特公昭56−387
12号公報、特開平3−132880号公報など)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】化学繊維を主材として
抄造したシートであって染色が施されている染色シート
を製造するために化学繊維を染色しようとする場合に
は、上述したように化学繊維の種類によって使用する染
顔料や染色助剤が制限され、さらには染色時間や染色温
度といった染色条件も考慮しなければならなかった。
【0007】また、化学繊維を主材とするシートに使用
される繊維の繊維長は、木材繊維よりも長いものが多い
ため、シート形成時にシート同士の絡み合いが起こりや
すい。さらに化学繊維には叩解処理によりフィブリル化
が起こらないものが多く、シート形成時に濾水性が良す
ぎるため繊維が均一に分散されないままシート化され
る。これらの理由によりシートの地合が悪くなる傾向が
ある。
【0008】そこで本発明は、主材となる化学繊維の種
類によって染顔料の種類や染色条件を考慮する必要がな
く、しかもシートとしての強度を保持し良好な地合を有
する染色シートの製造方法を提供することを目的として
なされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来から
無機繊維のシート化に際して接着剤として利用されてい
た微細フィブリル化セルロースは化学繊維よりも染顔料
により染色しやすいことに着目し、予め微細フィブリル
化セルロースに染顔料を担持させて染色しておき、これ
を化学繊維に添加して抄紙することにより、化学繊維が
あたかも均一に染色されているように見える染色シート
が得られることを見いだし、本発明を完成させたもので
ある。
【0010】すなわち本発明の化学繊維を主材とする染
色シートの製造方法は、 数平均繊維長が0.05〜
0.3mm、軸比が50以上、かつ保水値が250%以
上の微細フィブリル化セルロースに染顔料を担持せしめ
た染顔料キャリヤーを、化学繊維を主材として調成した
スラリーに添加して混合した後、このスラリーを抄紙す
ることを特徴とするものである。
【0011】本発明で、染顔料を予め担持させる微細フ
ィブリル化セルロースは、前述したように、パルプ繊維
の細胞壁を形成しているフィブリルの結束を強力な機械
的せん断力等により破壊することによってミクロフィブ
リルの次元まで微細化したものであり、特に本発明にお
いては、数平均繊維長が0.05〜0.3mm、軸比が
50以上、保水値が250%以上の微細フィブリル化セ
ルロースを使用することが必要である。
【0012】数平均繊維長は、KAJAANI社(フィ
ンランド)製造の繊維長測定機(FS−200型)で測
定したデータのうち、一定のパルプサスペンション中に
存在する繊維の全長を積算した後、その本数で割った値
を示す。通常の紙の原料である広葉樹晒クラフトパルプ
および針葉樹晒クラフトパルプの数平均繊維長はそれぞ
れ0.5mmおよび1mm程度の長さであり、叩解を進
めることで発生するフィブリル化した繊維ですら数平均
繊維長は最小0.35mm程度の長さである。微細フィ
ブリル化セルロースの数平均繊維長は、均一にムラ染め
なく染色することに関係し、この観点から本発明では数
平均繊維長が0.05〜0.3mmの範囲の微細フィブ
リル化セルロースを使用する。本発明者らは、繊維長の
異なる種々の微細フィブリル化セルロースを予め染色し
て染顔料キャリヤーを調製し、この染顔料キャリヤーを
染色していない化学繊維に添加して抄紙した染色シート
について、その染色の状態を検討した。その結果、数平
均繊維長が0.05〜0.3mmの微細フィブリル化セ
ルロースを染色した染顔料キャリヤーを用いて得られた
染色シートにおいては、染色シート中の染顔料キャリヤ
ーが肉眼で識別できない程に小さいため、染色シート全
体として均一に染色されて見えることを確認した。数平
均繊維長が0.3mmを超える微細フィブリル化セルロ
ースによる染顔料キャリヤーを用いた場合には、染顔料
キャリヤーが大きすぎて染色シート中に肉眼で識別でき
てしまい、染色の均一性が低下する。0.05mm未満
の微細フィブリル化セルロースによる染顔料キャリヤー
であると、染顔料キャリヤーが小さすぎて染色シートの
抄紙時に抄紙網から流失する割合が多くなる。
【0013】微細フィブリル化セルロースの軸比は繊維
長/繊維巾で計算された値であり、繊維巾を電子顕微鏡
写真から測定し、繊維長を繊維長測定機から得られる数
平均繊維長として、計算することによって得られる。本
発明における軸比は、全ての微細フィブリル化セルロー
スについての平均値を示し、この値が大きいほど、細く
長い繊維が多いことを示している。軸比が50未満の微
細フィブリル化セルロースの場合には、得られた染顔料
キャリヤーが染色シートの抄紙時に抄紙網から流失する
割合が多くなる。一方、軸比の上限には特に制限はな
く、例えば軸比が2000程度であっても繊維巾が非常
に細いため、得られた染顔料キャリヤーが染色シート中
に混在していても肉眼で識別できない。
【0014】微細フィブリル化セルロースの保水値はパ
ルプの膨潤度の指標であり、膨潤繊維中に取り込まれて
保持された水分と繊維内および繊維間に存在する自由水
とを、適当な遠心力により区別しうるという考えに基づ
き測定される値である。本発明で規定している保水値も
同様の概念に基づき、JAPAN TAPPI No.
26に指示されている方法で測定した値である。すなわ
ち、規定のフィルターに一定量の試料のマットを予め形
成しておき、遠心分離機を用いて3000Gの遠心力で
15分間脱水した後、保持されていた水の量を絶乾パル
プ量で割ったときの値を示している。通常の未叩解のパ
ルプでは90%前後、叩解したパルプでも200%程度
の保水値しか示さない。微細フィブリル化セルロースの
保水値は、スラリー中での化学繊維の分散性に大きく関
係している。保水値が250%以上の微細フィブリル化
セルロースをスラリー中に添加した場合には、1重量%
程度の僅かな添加量でもスラリー中で化学繊維が均一に
分散するため、抄造されたシートの地合は、地合の取り
にくい化学繊維を用いた場合でも良好な地合をもたらす
ことができる。さらに、微細フィブリル化セルロースの
保水値は、微細フィブリル化セルロースに対する染顔料
の吸着性にも大きく関係し、保水値が250%以上の微
細フィブリル化セルロースに対しては良好に染顔料が吸
着される。
【0015】セルロースの微細化物としては、微細フィ
ブリル化セルロースの他にセルロースパウダーがある。
セルロースパウダーは、セルロースに化学的処理を施し
てセルロース中の結晶部分のみを取り出し、さらに機械
的に粉砕して微細化することにより製造される。かよう
なセルロースパウダーは、数平均繊維長が0.1mm程
度であるが、保水値が50%程度と低いため、スラリー
中に比較的多量に添加しても化学繊維のシート中での分
散性は向上せず、さらにはセルロースパウダー自体の染
顔料の吸着性も低い。
【0016】微細フィブリル化セルロースの製造法とし
ては従来から種々の方法が知られており、本発明におい
てはいかなる方法で製造された微細フィブリル化セルロ
ースであっても、所定の数平均繊維長、軸比および保水
値を備えているものであれば使用できる。例えばセルロ
ース繊維に機械的せん断力を与えることにより微細フィ
ブリル化セルロースを製造する方法としては、特公昭6
0ー19921号で提案されているような繊維状セルロ
ースの懸濁液を小径オリフィスを通過させて、その懸濁
液に少なくとも3000psiの圧力差で高速度を与
え、次にこれを衝突させて急速に減速させることにより
切断作用を行わせる方法、特開昭63−256787号
で提案されているようなヘベル付き駆動軸でインペラー
を回転させ繊維材料に衝撃を加える方法、特開平4−8
2907号で提案されているようなハウジング内に配置
されたロータとハンマーによって乾式で微細化を行う方
法、特開平3−163135号で提案されているような
媒体撹拌湿式粉砕装置による方法、特開平6−1028
7号で提案されているような振動ミル粉砕装置による方
法、特開平4−194097号で提案されているような
サンドミル等の微粉砕機を使用する方法などが挙げられ
る。また、機械的処理だけでなく、酸加水分解処理、ア
ルカリ処理、液体アンモニア処理、酵素処理、水蒸気処
理などの化学的処理と機械的処理とを併用した方法も提
案されている。
【0017】微細フィブリル化セルロースの原料として
は、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉
樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒サルファイ
トパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルファイトパルプ
(NBSP)等の化学パルプや、砕木パルプ(GP)、
サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプとい
った木材パルプが使用でき、さらには、コットンパルプ
や麻、バガス、ケナフ、エスパルト、楮、三椏、雁皮等
の非木材パルプ、再生セルロース繊維等も用いることが
できる。原料の異なる微細フィブリル化セルロースを用
いることによって、風合いの異なる染色シートを得るこ
とができる。また、得られた染色シートの風合いは、使
用する微細フィブリル化セルロースの微細化の程度によ
っても異なってくる。
【0018】微細フィブリル化セルロースの染色に使用
される染顔料は、製紙用パルプを用いて染色紙を製造す
る際に従来から使用されている染顔料が使用でき、化学
繊維の染色に使用される染顔料のように制限されること
がない。染料としては、例えば塩基性染料、酸性染料、
直接染料、反応性染料、分散染料、蛍光増白剤等が用い
られる。顔料もその種類に制限はなく、金属の酸化物あ
るいは硫化物を主成分とする無機顔料や、通常レーキと
言われている溶解した染料に沈殿剤を加えて不溶性にし
た有機顔料等が広く使用できる。具体的な無機顔料とし
ては、チタン白、カーボンブラック、ウルトラマリンブ
ルー、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、酸化
鉄、金属粉などが挙げられ、有機顔料としては、フタロ
シアニン系、染付け系、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、ポ
リアゾ系のものなどが挙げられる。
【0019】微細フィブリル化セルロースに染顔料を担
持させて染顔料キャリヤーを調製するには、通常0.5
〜6重量%程度の微細フィブリル化セルロースを含む水
懸濁液に、染顔料の水溶液または水懸濁液を添加して均
一に攪拌すればよい。微細フィブリル化セルロースと親
和性の高い染顔料の場合には、染色助剤等を使用せずと
も微細フィブリル化セルロースの単位重量当り比較的多
量の染顔料を担持させることができる。微細フィブリル
化セルロースと親和性の低い染顔料の場合には、硫酸ア
ルミニウム等の定着剤、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウ
ム(芒硝)などの促染剤、第4級アンモニウム塩、ピリ
ジウム塩、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド縮合
物、ポリアミン系重合物などのフィックス剤といった染
色助剤を適宜併用することにより、微細フィブリル化セ
ルロースへの染顔料の担持量を増加させることができ
る。なお染色助剤を併用する場合の染色助剤の量は、染
顔料を化学繊維に定着させるために従来から使用されて
いた染色助剤の量と比較すれば少量でよい。
【0020】染色シートの母体となる化学繊維には再生
繊維、半合成繊維、合成繊維および無機繊維を含む。さ
らに述べるならば、再生繊維としてはレーヨン、ポリノ
ジック、キュプラ、テンセル等が、半合成繊維としては
アセテート、トリアセテート等が、合成繊維としてはポ
リエステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系等が、無
機繊維としてはガラス繊維、鉱滓繊維、炭素繊維等が使
用できる。これらの化学繊維は単独でもよく、2種類以
上を併用してもよい。
【0021】本発明により染色シートを抄造するに際し
て化学繊維を染色するには、微細フィブリル化セルロー
スに染顔料を担持せしめた染顔料キャリヤーを、化学繊
維のスラリーに添加して均一に混合撹拌するだけでよ
く、染顔料キャリヤーの化学繊維への吸着によって染色
がなされることになる。従って、染顔料の化学繊維への
定着性向上のために従来使用されていた定着剤等の染色
助剤の添加は必要なくなり、これらの薬品の添加により
発生していた染色シートの地合の乱れや耐光性の悪化を
無くすことができる。また、染顔料キャリヤー内で染顔
料は微細フィブリル化セルロースに良好に吸着されてお
り、染顔料キャリヤーのシート中への歩留りも非常に高
いため、排水への染顔料の流出は著しく少なくなる。
【0022】本発明において特に注目すべき利点は、従
来の化学繊維の染色に際しては化学繊維の種類によって
使用すべき染顔料が制限されていたのに対して、本発明
ではかような制限が全くなくなり、微細フィブリル化セ
ルロースを染色し得るものであればあらゆる種類の染顔
料が使用できる点である。これによって化学繊維の染色
を極めて容易に行なうことができる。さらに、微細フィ
ブリル化セルロースは化学繊維に比べて染顔料の吸着性
が良いため、通常は染色助剤等を使用せずとも良好な染
色が可能となる。
【0023】また、化学繊維は、レーヨン繊維やビニロ
ン繊維等の一部の繊維を除いて疎水性を示す繊維が多い
ため繊維間の結合強度が得られないため、シート化に際
しては一般に接着剤を使用しなければならなかった。し
かしながら、微細フィブリル化セルロースは接着効果を
有するため、繊維間結合部分に微細フィブリル化セルロ
ースが存在すると接着剤として機能し、接着剤を特に使
用しなくともシート強度を向上させることができる。従
って本発明における微細フィブリル化セルロースは、染
顔料を担持せしめるキャリヤーとしての機能と、化学繊
維間の接着剤としての機能を有している。
【0024】染顔料キャリヤーとしての微細フィブリル
化セルロースの添加量は、染色シートの濾水性、微細フ
ィブリル化セルロースの歩留り、さらにはシート強度に
関係する。すなわち、微細フィブリル化セルロースの添
加量が少なすぎると、シートの濾水性が良すぎるため微
細フィブリル化セルロースの歩留りが低くなり、染顔料
歩留りも低下する。従って染色シートは均一な染色がな
されず、均一な地合も形成されなくなる。さらには微細
フィブリル化セルロースによる繊維間の接着も十分でな
くなるためシート強度も低下する。一方、微細フィブリ
ル化セルロースの添加量が過剰になると、シートの地合
や均染性は得られるが、シートの濾水性が悪くなり、実
際の抄紙に適さなくなる。かような観点から、高速抄紙
を考慮した場合には、全部製紙原料に対して5〜30重
量%程度の範囲で微細フィブリル化セルロースを添加す
ることが望ましい。
【0025】本発明により染色シートを抄紙する際の抄
紙機としては、従来から慣用されている円網抄紙機、長
網抄紙機、傾斜型抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等を使
用することができる。
【0026】染顔料による色相の発現は減法混色の原理
に支配されることがよく知られている。従来法では、例
えば緑色の染色シートを製造したい場合には、黄色と青
色の染料を併用して化学繊維を緑色に染色してから抄造
することにより得ている。これに対して本発明では、微
細フィブリル化セルロースに黄、赤、青の3原色の染顔
料をそれぞれ単独で担持させて3原色の染顔料キャリヤ
ーを予め調製しておき、これら3原色の染顔料キャリヤ
ーを適宜の割合で混合することによって任意の色相を発
現させることができる。これは、カラー印刷における網
点の原理によく似ており、顕微鏡で観察すると実際には
独立した色相の染顔料キャリヤーが存在しているにもか
かわらず、その大きさが目で識別できないほど小さいた
め全体としては混合色に見えるのである。
【0027】これを添付図面に示す三角形の例を用いて
さらに説明する。三角形の各点に黄、赤、青の3原色を
配置すると、黄および赤の混合色は黄と赤とを結んだ直
線上に存在する橙系統の色相となり、黄および青の混合
色は黄と青とを結んだ直線上に存在する緑系統の色相と
なり、赤および青の混合色は赤と青とを結んだ直線上に
存在する紫系統の色相となる。このようにして3原色の
3種類の染顔料キャリヤーを適当な割合で混合すること
により、三角形内に示した全ての色相を表現することが
できることになる。三角形の中心部は、黄、赤、青の原
色自体の持つ濃度によって灰色になったり茶色になった
りする。
【0028】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。重量部、重量%はいずれも絶乾重量部、絶乾重量%
を示す。なお、実施例1〜実施例7および比較例1〜比
較例7は、最終的なシート重量に対する染料の添加量が
いずれも同じになるようにした。
【0029】
【実施例】実施例1 高圧ホモジナイザーを用いて機械的せん断力によりNB
SPを微細化し、数平均繊維長0.13mm、軸比30
0、保水値320%の微細フィブリル化セルロースを調
製した。この微細フィブリル化セルロースの水懸濁液
(固形分濃度1重量%)に赤色の直接染料(C.I.D
irect RED 23)を微細フィブリル化セルロ
ース絶乾重量に対して20重量%添加し、均一に染色さ
れるように10分間撹拌して、染料を担持せしめた染料
キャリヤーを調製した。この染料キャリヤー5重量部と
再生セルロース繊維(繊維長3mm、繊度1.7デニー
ル)95重量部を混合してスラリーを調成し、染料の定
着剤として硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対し
4重量%添加して全体が均一に混合されるように5分間
撹拌した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量1
00g/m2 の染色シートを得た。
【0030】実施例2 微細フィブリル化セルロースに染料を微細フィブリル化
セルロース絶乾重量に対して3.3重量%添加した以外
は実施例1と同様にして染料キャリヤーを調製した。こ
の染料キャリヤー30重量部と再生セルロース繊維70
重量部を混合した以外は実施例1と同様にして染色シー
トを得た。
【0031】実施例3 高圧ホモジナイザーを用いて機械的せん断力によりNB
SPを微細化し、数平均繊維長0.13mm、軸比30
0、保水値320%の微細フィブリル化セルロースを調
製した。この微細フィブリル化セルロースの水懸濁液
(固形分濃度1重量%)に赤色の直接染料(C.I.D
irect RED 23)を微細フィブリル化セルロ
ース絶乾重量に対して20重量%添加し、均一に染色さ
れるように10分間撹拌して、染料を担持せしめた染料
キャリヤーを調製した。この染料キャリヤー5重量部と
ポリエステル繊維(繊維長5mm、繊度2デニール)9
5重量部を混合してスラリーを調成し、染料の定着剤と
して硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対し4重量
%添加して全体が均一に混合されるように5分間撹拌し
た後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量100g
/m2 の染色シートを得た。
【0032】実施例4 微細フィブリル化セルロースに染料を微細フィブリル化
セルロース絶乾重量に対して3.3重量%添加した以外
は実施例3と同様にして染料キャリヤーを調製した。こ
の染料キャリヤー30重量部とポリエステル繊維70重
量部を混合した以外は実施例3と同様にして染色シート
を得た。
【0033】実施例5 高圧ホモジナイザーを用いて機械的せん断力によりNB
SPを微細化し、数平均繊維長0.13mm、軸比30
0、保水値320%の微細フィブリル化セルロースを調
製した。この微細フィブリル化セルロースの水懸濁液
(固形分濃度1重量%)に赤色の直接染料(C.I.D
irect RED 23)を微細フィブリル化セルロ
ース絶乾重量に対して20重量%添加し、均一に染色さ
れるように10分間撹拌して、染料を担持せしめた染料
キャリヤーを調製した。この染料キャリヤー5重量部と
無機繊維であるガラス繊維(繊維長6mm)95重量部
を混合してスラリーを調成し、染料の定着剤として硫酸
アルミニウム水溶液を全製紙原料に対し4重量%添加し
て全体が均一に混合されるように5分間撹拌した後、長
網抄紙機を使用して、常法に従い坪量100g/m2
染色シートを得た。
【0034】実施例6 微細フィブリル化セルロースに染料を微細フィブリル化
セルロース絶乾重量に対して3.3重量%添加した以外
は実施例5と同様にして染料キャリヤーを調製した。こ
の染料キャリヤー30重量部とガラス繊維70重量部を
混合した以外は実施例5と同様にして染色シートを得
た。
【0035】実施例7 高圧ホモジナイザーを用いて機械的せん断力によりNB
SPを微細化し、数平均繊維長0.13mm、軸比30
0、保水値320%の微細フィブリル化セルロースを調
製した。この微細フィブリル化セルロースの水懸濁液
(固形分濃度1重量%)に赤色の顔料(C.I.Pig
ment RED 48)を微細フィブリル化セルロー
ス絶乾重量に対して3.3重量%添加し、均一に染色さ
れるように10分間撹拌して、染料を担持せしめた顔料
キャリヤーを調製した。この顔料キャリヤー30重量部
とポリエステル繊維(繊維長5mm、繊度2デニール)
70重量部を混合してスラリーを調成し、顔料の定着剤
として硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対し4重
量%添加して全体が均一に混合されるように5分間撹拌
した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量100
g/m2の染色シートを得た。
【0036】比較例1 再生セルロース繊維(繊維長3mm,繊度1.7デニー
ル)のスラリーにこの繊維の絶乾重量に対して1重量%
の赤色の直接染料(C.I.Direct Red 2
3)を添加し、染料の定着剤として硫酸アルミニウム水
溶液を全製紙原料に対して4重量%添加して全体が均一
に混合されるように5分間撹拌した後、長網抄紙機を使
用して、常法に従い坪量100g/m2 の染色シートを
得た。
【0037】比較例2 ポリエステル繊維(繊維長5mm,繊度1.7デニー
ル)のスラリーにこの繊維の絶乾重量に対して1重量%
の赤色の直接染料(C.I.Direct Red 2
3)を添加し、染料の定着剤として硫酸アルミニウム水
溶液を全製紙原料に対して4重量%添加して全体が均一
に混合されるように5分間撹拌した後、長網抄紙機を使
用して、常法に従い坪量100g/m2 の染色シートを
得た。
【0038】比較例3 ガラス繊維(繊維長6mm)のスラリーにこの繊維の絶
乾重量に対して1重量%の赤色の直接染料(C.I.D
irect Red 23)を添加し、染料の定着剤と
して硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対して4重
量%添加して全体が均一に混合されるように5分間撹拌
した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量100
g/m2 の染色シートを得た。
【0039】比較例4 ポリエステル繊維(繊維長5mm、繊度2デニール)の
スラリーにこの繊維に対して1重量%の赤色の顔料
(C.I.Pigment Red 48)を添加し、
顔料の定着剤として硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原
料に対して4重量%添加して全体が均一に混合されるよ
うに5分間撹拌した後、長網抄紙機を使用して常法に従
い坪量100g/m2 の染色シートを得た。
【0040】比較例5 再生セルロース繊維(繊維長3mm、繊度1.7デニー
ル)80重量部および接着剤としてビニロン繊維(繊維
長3mm、繊度1デニール)20重量部を混合してスラ
リーを調成した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い
坪量100g/m2 のシートを得た。
【0041】比較例6 ポリエステル繊維(繊維長5mm、繊度2デニール)8
0重量部および接着剤としてビニロン繊維(繊維長3m
m、繊度1デニール)20重量部を混合してスラリーを
調成した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量1
00g/m2 のシートを得た。
【0042】比較例7 ガラス繊維(繊維長6mm)80重量部および接着剤と
してビニロン繊維(繊維長3mm、繊度1デニール)2
0重量部を混合してスラリーを調成した後、長網抄紙機
を使用して、常法に従い坪量100g/m2 のシートを
得た。
【0043】上記の実施例1〜7および比較例1〜7で
得られた染色シートについて、厚さと密度、裂断長、比
破裂強さを測定するとともに、染色性、均染性、地合を
評価した。結果を表1に示す。
【0044】各測定および評価は以下の方法で行った。 1)厚さと密度:JIS P 8118 2)裂断長:JIS P 8113 3)比破裂強さ:JIS P 8112 4)染色性:JIS Z 8729に規定されたL*a
*b*表色系による物体色の表示方法に従って評価し
た。L*は明度指数、a*およびb*はクロマティクネ
ス指数である。 5)均染性:○は目視の判断で均一に染色されているレ
ベル、△は染色ムラが確認できるレベル、×は著しい染
色ムラが認められるレベルを示す。 6)地合:○はシートを透過光による目視の判断でフロ
ックが目立たないレベル、△はフロックがやや目立つレ
ベル、×はフロックが非常に目立つレベルを示す。
【0045】 表 1 厚さ 密度 裂断長 比破裂強さ 染色性 均染性 地合 mm g/cm3 km kgf/cm2 L* 1 0.386 0.26 1.05 0.52 54.7 ○ ○ 実2 0.234 0.43 4.62 3.75 51.5 ○ ○ 3 0.469 0.21 0.28 0.26 58.6 ○ ○ 施4 0.377 0.26 2.57 2.49 53.0 ○ ○ 5 0.679 0.15 0.47 0.54 67.8 ○ ○ 例6 0.535 0.18 2.12 1.78 61.3 ○ ○ 7 0.375 0.26 2.48 2.43 54.5 ○ ○ 1 0.484 0.20 0 0.43 72.3 △ △ 比2 0.469 0.21 0 0 72.4 × × 3 0.900 0.11 0 0 75.2 × × 較4 0.467 0.21 0 0 73.0 × × 5 0.432 0.23 1.71 2.47 − − × 例6 0.439 0.23 0.20 0.48 − − × 7 0.381 0.26 0.40 0.30 − − ×
【0046】表1から明らかなように、予め染顔料を担
持せしめた微細フィブリル化セルロースからなる染料キ
ャリヤーを用いて、湿式抄紙法により抄紙した化学繊維
を主材とする染色シート(実施例1〜7)は、均染性や
地合が良好であることがわかる。
【0047】また、実施例1,2と比較例1、実施例
3,4と比較例2、実施例5,6と比較例3、実施例7
と比較例4を各々比較すると、実施例の方がL*の値が
低くなっていることから、微細フィブリル化セルロース
からなる染顔料キャリヤーを用いた染色シートの方が、
染顔料で直接染色した化学繊維を用いた染色シートより
も染色濃度が高くなることがわかる。
【0048】さらに、実施例1,2と比較例5、実施例
3,4と比較例6、実施例5,6と比較例7を各々比較
すると、微細フィブリル化セルロースの添加によって、
従来の接着剤(ビニロン繊維)を使用した場合と同レベ
ルあるいはそれ以上のレベルのシート強度が得られるこ
とがわかる。
【0049】次に、3原色による色相の発現状態を実施
例を挙げて説明する。実施例8 高圧ホモジナイザーを用いて機械的せん断力によりNB
SPを微細化し、数平均繊維長0.13mm、軸比30
0、保水値320%の微細フィブリル化セルロースを調
製した。この微細フィブリル化セルロースの水懸濁液
(固形分濃度1重量%)に黄色の直接染料(C.I.D
irect Yellow 50)を微細フィブリル化
セルロース絶乾重量に対して2重量%添加し、均一に染
色されるように10分間撹拌して、染料を担持せしめた
黄色染料キャリヤーを調製した。
【0050】この黄色染料キャリヤー6重量部と再生セ
ルロース繊維(繊維長3mm、繊度1.7デニール)9
4重量部を混合してスラリーを調成し、染料の定着剤と
して硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対し4重量
%添加して全体が均一に混合されるように5分間撹拌し
た後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量100g
/m2 の黄色の染色シートを得た。
【0051】実施例9 高圧ホモジナイザーを用いて機械的せん断力によりNB
SPを微細化し、数平均繊維長0.13mm、軸比30
0、保水値320%の微細フィブリル化セルロースを調
製した。この微細フィブリル化セルロースの水懸濁液
(固形分濃度1重量%)に赤色の直接染料(C.I.D
irect Red 23)を微細フィブリル化セルロ
ース絶乾重量に対して2重量%添加し、均一に染色され
るように10分間撹拌して、染料を担持せしめた赤色染
料キャリヤーを調製した。この赤色染料キャリヤー6重
量部と再生セルロース繊維(繊維長3mm、繊度1.7
デニール)94重量部を混合してスラリーを調成し、染
料の定着剤として硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料
に対し4重量%添加して全体が均一に混合されるように
5分間撹拌した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い
坪量100g/m2 の赤色の染色シートを得た。
【0052】実施例10 高圧ホモジナイザーを用いて機械的せん断力によりNB
SPを微細化し、数平均繊維長0.13mm、軸比30
0、保水値320%の微細フィブリル化セルロースを調
製した。この微細フィブリル化セルロースの水懸濁液
(固形分濃度1重量%)に青色の直接染料(C.I.D
irect Blue 236)を微細フィブリル化セ
ルロース絶乾重量に対して2重量%添加し、均一に染色
されるように10分間撹拌して、染料を担持せしめた青
色染料キャリヤーを調製した。この青色染料キャリヤー
6重量部と再生セルロース繊維(繊維長3mm、繊度
1.7デニール)94重量部を混合してスラリーを調成
し、染料の定着剤として硫酸アルミニウム水溶液を全製
紙原料に対し4重量%添加して全体が均一に混合される
ように5分間撹拌した後、長網抄紙機を使用して、常法
に従い坪量100g/m2 の青色の染色シートを得た。
【0053】実施例11 実施例8で得られた黄色染料キャリヤー3重量部と、実
施例9で得られた赤色染料キャリヤー3重量部と、再生
セルロース繊維(繊維長3mm、繊度1.7デニール)
94重量部とを混合してスラリーを調成し、染料の定着
剤として硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対し4
重量%添加して全体が均一に混合されるように5分間撹
拌した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量10
0g/m2 の橙色の染色シートを得た。
【0054】実施例12 実施例8で得られた黄色染料キャリヤー3重量部と、実
施例10で得られた青色染料キャリヤー3重量部と、再
生セルロース繊維(繊維長3mm、繊度1.7デニー
ル)94重量部とを混合してスラリーを調成し、染料の
定着剤として硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対
し4重量%添加して全体が均一に混合されるように5分
間撹拌した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量
100g/m2 の緑色の染色シートを得た。
【0055】実施例13 実施例9で得られた赤色染料キャリヤー3重量部と、実
施例10で得られた青色染料キャリヤー3重量部と、再
生セルロース繊維(繊維長3mm、繊度1.7デニー
ル)94重量部とを混合してスラリーを調成し、染料の
定着剤として硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対
し4重量%添加して全体が均一に混合されるように5分
間撹拌した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量
100g/m2 の紫色の染色シートを得た。
【0056】実施例14 実施例8で得られた黄色染料キャリヤー2重量部と、実
施例9で得られた赤色染料キャリヤー2重量部と、実施
例10で得られた青色染料キャリヤー2重量部と、再生
セルロース繊維(繊維長3mm、繊度1.7デニール)
94重量部とを混合してスラリーを調成し、染料の定着
剤として硫酸アルミニウム水溶液を全製紙原料に対し4
重量%添加して全体が均一に混合されるように5分間撹
拌した後、長網抄紙機を使用して、常法に従い坪量10
0g/m2 の茶色の染色シートを得た。
【0057】上記の実施例8〜14で得られた染色シー
トについて、JIS Z 8729に規定されたL*a
*b*表色系による物体色の表示方法に従って染色性を
評価した。結果を表2に示す。
【0058】 表 2 L* a* b* 色相 実施例 8 87.34 1.03 52.55 黄 実施例 9 65.02 34.73 10.51 赤 実施例10 64.40 -4.90 -21.78 青 実施例11 71.17 26.59 24.17 橙 実施例12 69.18 -14.68 11.32 緑 実施例13 60.98 11.67 -4.79 紫 実施例14 64.14 5.87 9.70 茶
【0059】表2から明らかなように、予め黄色、赤
色、青色の染顔料を担持せしめた微細フィブリル化セル
ロースからなる染顔料キャリヤーを2種類以上混合使用
することによって、減法混色に支配された任意の色相の
染色シートが得られることがわかる。
【0060】
【発明の効果】本発明は、特定の大きさの微細フィブリ
ル化セルロースに染顔料を担持せしめた染顔料キャリヤ
ーを予め調製しておき、これを母体となる化学繊維に添
加混合して抄紙することによって染色シートを製造する
方法であるため、以下のような効果を奏するものであ
る。
【0061】1)染顔料を担持した微細フィブリル化セ
ルロースが化学繊維に吸着されることによって色が発現
するため、従来法のように化学繊維の種類によって染顔
料が制限されたり、染色条件を考慮したりする必要がな
い。 2)微細フィブリル化セルロースの接着効果により化学
繊維間が効果的に接着されるため、従来必要とされてい
た接着剤を使用せずとも、強度の強いシートが抄造でき
る。 3)例えば赤、青、黄色それぞれ単独に調製した、染顔
料キャリヤーを調製しておき、これらを適宜混合するこ
とによって各種色相の染色シートを容易に製造できる。 4)微細フィブリル化セルロースの保水効果および分散
効果によって地合の良い染色シートが得られる。 5)染顔料のシート中への歩留りが非常に高く、抄紙工
程における染顔料の排水への流出量を低く抑えることが
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】染顔料の黄、赤、青の3原色による減法混色の
原理を説明するための三角形説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06P 3/60 D06P 3/60 Z (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21H 27/02,11/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均繊維長が0.05〜0.3mm、
    軸比が50以上、かつ保水値が250%以上の微細フィ
    ブリル化セルロースに染顔料を担持せしめた染顔料キャ
    リヤーを、化学繊維を主材として調成したスラリーに添
    加して混合した後、このスラリーを抄紙することを特徴
    とする化学繊維を主材とする染色シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 2種類以上の異色の染顔料キャリヤーを
    スラリーに添加混合することを特徴とする請求項1記載
    の化学繊維を主材とする染色シートの製造方法。
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