JPH073691A - 填料含有紙 - Google Patents

填料含有紙

Info

Publication number
JPH073691A
JPH073691A JP14259893A JP14259893A JPH073691A JP H073691 A JPH073691 A JP H073691A JP 14259893 A JP14259893 A JP 14259893A JP 14259893 A JP14259893 A JP 14259893A JP H073691 A JPH073691 A JP H073691A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
filler
fibrillated cellulose
weight
fine fibrillated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14259893A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Matsuda
裕司 松田
Mariko Hirose
真理子 広瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd filed Critical Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Priority to JP14259893A priority Critical patent/JPH073691A/ja
Publication of JPH073691A publication Critical patent/JPH073691A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 デュアルシステム等の従来法と比較して填料
歩留りを向上でき、強度的に強い填料含有紙を得る。さ
らに填料の含有量が多い場合においては、未塗工紙とし
ての風合いを生かしたままで、平滑度、透気度、白色
度、不透明度、印刷適性などの機能を、塗工紙のような
状態に仕上げることができる填料含有紙を得る。 【構成】 填料を5〜95重量%含有する紙を製造する
にあたり、数平均繊維長が0.1〜0.5mmである微
細フィブリル化セルロースを製紙用パルプに対して1〜
30重量%添加し、所定量の定着剤を添加し抄造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は従来法と比較して填料歩
留りを向上でき、強度的に強い填料含有紙に関するもの
であり、さらに填料の含有量が多い場合においては、未
塗工紙としての風合いを生かしたままで、平滑度、透気
度、白色度、不透明度、印刷適性などの機能を、塗工紙
のような状態に仕上げることができる填料含有紙に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】印刷適性,平滑度の向上や不透明度,白
色度などの光学特性の改良のために、紙にカオリン,炭
酸カルシウム,二酸化チタン,クレー,タルクなどの填
料を充填することは広く行われている。填料を紙に充填
させる方法として、主としてセルロース繊維と填料より
なるスラリーに硫酸バン土(硫酸アルミニウム)等の多
価金属イオンやカチオン性化合物を添加して填料を繊維
に定着させて抄造することは古くから行われていた。
【0003】これらの定着剤の使用量を多くすると分散
系全体の電荷平衡が破れ、過度の凝集が起こり地合の悪
化を引き起こすことがある。従ってこの方法で生産性良
く填料含有紙を抄造するには、填料の添加量はセルロー
ス繊維に対して40重量%が上限とされ、通常は填料の
充填割合は紙の10〜20重量%であった。一般的には
填料の充填割合が増加するに従って、添加された填料が
繊維間結合の形成を阻害するため、強度特に引張り強さ
が著しく減少するという問題を引き起こす。
【0004】そこで、これら填料を紙中に効率よく歩留
まらせる目的と、紙力の減少を最小限に抑える目的で、
各種薬品を紙料調整の際に添加している。このような薬
品の例としては、ポリアクリルアマイド、カチオン化澱
粉、ジアルデヒド澱粉、ポリアミンポリアミドエピクロ
ルヒドリンなどの有機高分子化合物等がある。
【0005】一方、最近は抄紙機の高速大型化と中性抄
紙の進展に伴って、填料の歩留り向上の要求がますます
高まり、より高い歩留りを得ることを目的に種々のデュ
アルシステムが提案されている。デュアルシステムは2
種類以上の凝集剤を組合せて、セルロース繊維と填料の
強固なフロックを形成させて填料歩留りを向上させる抄
造方法である。例えば特開昭57−51900号、特開
昭62−15391号等に提案されているようなカチオ
ン化澱粉とコロイド状ケイ酸の組合せ、グアーガムとコ
ロイド状ケイ酸の組合せ、カチオン性ポリアクリルアミ
ドとコロイド状ケイ酸の組合せ、特開昭62−1915
98号に提案されているようなカチオン性ポリアクリル
アミドと変性ベントナイトの組合せ、両性ポリアクリル
アミドとアルミ化合物の組合せ、ポリエチレンオキサイ
ドと特殊フェノール樹脂の組合せ、ポリエチレンオキサ
イドとベントナイトの組合せ、ベントナイトとアニオン
性ポリアクリルアミドの組合せ、ベントナイトとポリエ
チレンイミンとポリアクリルアミドの組合せ等が知られ
ている。
【0006】しかしこれら方法では紙中の填料の歩留ま
りを向上させることはできても、かなり紙力低下が起き
ることが解っている。紙力低下を起こさずに、紙の平滑
度、透気度、不透明度、白色度、印刷適性を向上させる
方法として、填料をバインダーと共に紙表面に塗工する
方法がよく知られている。しかしこのような方法では、
紙本来が持っている手触りや柔らかさ、温かさなどの風
合いが失われてしまう。
【0007】またこの方法を応用して高填料充填紙を製
造すると、強い凝集によって填料歩留り(ワンパスリテ
ンション)は向上するものの、地合が悪く、ピンホール
の多数ある紙となってしまい、引張り強さ,引き裂き強
さ,内接強さ等の物理的強度のバラツキが大きくなって
しまう問題点がある。また、この方法は凝集剤の添加量
が少ないと填料歩留りが低下し、排水に多量の填料が流
失するという問題を起こすので、凝集剤の添加量を常時
制御する必要があり、また抄紙機の操業中には白水の循
環使用等により、凝集度合が時々刻々変化するので、常
時状態を観察し制御する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来法と比
較して紙力低下が少なく、填料の歩留まりを向上させ、
安定して抄造でき、さらに填料の含有量が多い場合に
は、未塗工紙の風合いを生かした状態で、平滑度、透気
度、白色度、不透明度、印刷適性などの機能が、塗工紙
のような状態に仕上げることができる填料含有紙を新た
に提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】最近、製紙用パルプ繊維
の叩解を極端に進めた微細フィブリル化セルロースの持
つ特性が注目されている。微細フィブリル化セルロース
を利用したものとして、特公昭62−33360号には
含浸加工原紙の製造に当たり、抄紙前の原料にマイクロ
フィブリル化セルロース(微細フィブリル化セルロー
ス)を、乾燥重量として紙重量の0.5%以上15%以
下となるよう添加しておくことを特徴とする、含浸加工
原紙の紙力増強方法が提案されている。本発明者らが検
討した結果によると、微細フィブリル化セルロースの添
加量が増加するに従い紙力は増加するものの、5重量%
以上の添加で濾水性が悪くなり、抄紙機のワイヤーパー
トでの水切れが悪化し、紙切れ等の問題を起こすことが
判った。
【0010】添加量の増加に従っての濾水性の悪化を解
決する手段として、特開平4−194097号では微細
フィブリル化セルロースを紙表面にサイズプレス等で塗
布することが提案されている。しかし、この方法は、微
細フィブリル化セルロースの均一な塗布は困難であり、
また、紙の表面強度が弱く、印刷等によって表面の微細
フィブリル化セルロースが剥がれ紙粉等の問題が発生す
ることが判った。
【0011】本発明者らは種々の検討を進めた結果、微
細フィブリル化セルロースを填料と一緒に添加すると上
記した濾水性の悪化の問題が起こらないこと、また、従
来法と比較して紙力の低下が少ないこと、印刷適性も優
れるという顕著な効果を見いだし本発明を完成させた。
【0012】本発明は、填料を5〜95重量%含有する
紙を製造するにあたり、数平均繊維長が0.1〜0.5
mmである微細フィブリル化セルロースを製紙用パルプ
に対して1〜30重量%添加し、所定量の定着剤を添加
し抄造したことを特徴とする填料含有紙である。
【0013】微細フィブリル化セルロースと填料を併用
することで上記したような効果が得られる理由は以下に
よるものと推定した。一般的な紙はパルプ繊維のネット
ワークで5〜10μmの空隙径を持つ穴が存在すると言
われている。微細フィブリル化セルロースを併用する
と、この穴の部分で微細フィブリル化セルロースがミク
ロなネットワークを形成し、填料を捕捉する。このよう
な填料保持の形態は、パルプの繊維間結合の形成を阻害
しないで、逆に強固にするため、填料の含有量が増加し
ても引張り強さが減少しないで逆に増加するものと推定
した。またこのような填料保持の形態が、填料含有量が
増加したシートの特性を塗工紙の特性近くまで向上させ
ているものと思われる。
【0014】本発明で使用する微細フィブリル化セルロ
ースは数平均繊維長が0.1〜0.5mmであることが
必要である。本発明の数平均繊維長はKJAANI社製
造の繊維長分布測定器で測定したデータのうち、一定の
パルプサスペンション中に存在する繊維の全長を積算し
た後、その本数で割った値を示す。通常の紙の原料であ
るNBKP,LBKP等は数平均繊維長でそれぞれ3m
m,1mm程度の長さであり、叩解を進めることで発生
するフィブリル化した繊維ですら数平均繊維長は最小
0.5mm程度の長さである。本発明で使用する微細フ
ィブリル化セルロースは、後に述べるような強力な機械
的な剪断力等によりパルプの細胞壁を形成しているフィ
ブリルの結束を破壊することにより、ミクロフィブリル
の次元まで微細化し、数平均繊維長を0.1〜0.5m
mとしたものである。
【0015】本発明で使用する微細フィブリル化セルロ
ースの製造法としては、機械的剪断力による方法、例え
ばビーター,コニカルリファイナー,シングルディスク
リファイナー,ダブルディスクリファイナー等の各種叩
解機を用いる方法、高圧下で小径のオルフィスを通過さ
せる方法、特開昭63−256787号で提案されてい
るようなヘベル付き駆動軸でインペラーを回転させ繊維
材料に衝撃を加える方法、特開平4−194097号で
提案されているようなサンドミル等の微粉砕機を使用す
る方法などをいずれも採用できる。
【0016】このような方法で微細フィブリル化セルロ
ースを製造するが、本発明ではその数平均繊維長を0.
1〜0.5mmに調整する。こうすることで微細フィブ
リル化セルロースは填料を包み込む性質を有するように
なる。紙の空隙部で微細フィブリル化セルロースがミク
ロなネットワークを良好に形成するためには、数平均繊
維長が0.1mm〜0.2mmの範囲に入っていること
が特に好ましい。
【0017】微細フィブリル化セルロースの原料として
は、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP),針葉
樹晒クラフトパルプ(NBKP),針葉樹晒サルファイ
トパルプ(NBSP)等の化学パルプ、砕木パルプ(G
P),サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パル
プ等の木材パルプや、コットンパルプや麻,楮,雁皮,
三椏等の靭皮繊維パルプ等の非木材繊維パルプ、再生セ
ルロース繊維が用いられる。本発明では木材パルプを使
用するほうが好ましい。木材パルプは非木材繊維パルプ
と比較してヘミセロルースの含有量が多く、填料をより
強固に保持する働きに優れるからである。
【0018】本発明で填料を紙に充填させる方法、使用
する薬品は公知のものがいずれも使用できる。例えば、
硫酸バン土(硫酸アルミニウム)などの無機化合物やポ
リエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリアミドポ
リアミンエピクロルヒドリンなどの有機高分子化合物を
用いることも可能で、カチオン性のポリアクリルアミド
とアニオン性のポリアクリルアミドを併用する等の前記
したようなデュアルシステムの方法等も可能である。本
発明の填料含有紙は円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄
紙機、ツインワイヤー抄紙機等を使用して通常坪量40
〜200g/m2で抄造する。
【0019】以下実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。重量
部、重量%はいずれも絶乾重量部、絶乾重量%を示す。実施例1 フリーネス400mlC.S.F.に調製したNBKP
からなるパルプスラリーに、LBKPから機械的な手段
(ホモジナイザー使用)によって数平均繊維長で0.1
5mmに調製した微細フィブリル化セルロースを添加し
た。添加率はNBKPの絶乾重量に対し1重量%とし
た。添加後10分間攪拌してから填料として二酸化チタ
ン(商品名「JA−3」、テイカ(株)製造)を全紙料
重量に対し40重量%添加し、定着剤として硫酸アルミ
ニウムをpH4.5になるように添加した。長網抄紙機
を使用して常法に従い坪量60g/m2の填料含有紙を
抄造した。
【0020】実施例2 微細フィブリル化セルロースを5重量%とした以外は実
施例1と同様の填料含有紙を製造した。
【0021】実施例3 微細フィブリル化セルロースを10重量%とした以外は
実施例1と同様の填料含有紙を製造した。
【0022】実施例4 微細フィブリル化セルロースを20重量%とした以外は
実施例1と同様の填料含有紙を製造した。
【0023】実施例5 微細フィブリル化セルロースを30重量%とした以外は
実施例1と同様の填料含有紙を製造した。
【0024】実施例6 填料を二酸化チタンの代わりにクレーとした以外は実施
例1と同様の填料含有紙を製造した。
【0025】実施例7 微細フィブリル化セルロースを5重量%とした以外は実
施例6と同様の填料含有紙を製造した。
【0026】実施例8 微細フィブリル化セルロースを10重量%とした以外は
実施例6と同様の填料含有紙を製造した。
【0027】実施例9 微細フィブリル化セルロースを20重量%とした以外は
実施例6と同様の填料含有紙を製造した。
【0028】実施例10 微細フィブリル化セルロースを30重量%とした以外は
実施例6と同様の填料含有紙を製造した。
【0029】比較例1 フリーネス400mlC.S.F.に調製したNBKP
からなるパルプスラリーに、二酸化チタン(同上)をN
BKPの絶乾重量に対し40%添加し、硫酸アルミニウ
ムで定着させて、坪量60g/m2の填料含有紙を得
た。
【0030】比較例2 比較例1で添加した填料を酸化チタンからクレーに変更
し、その他の条件は同一として填料含有紙を得た。
【0031】比較例3 フリーネス400mlC.S.F.に調製したNBKP
から坪量50g/m2の原紙を製造し、これに酸化チタ
ンを填料とした塗料を紙の表と裏に5g/m2塗工し、
全体として60g/m2とした塗工紙を得た。
【0032】実施例1〜10、比較例1〜3の紙の物性
測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】なお各物性測定方法及び評価は下記によっ
た。 1)濾水性:抄紙網上で水切れの程度を目視により観察
した。◎は濾水性が良好なことを、○は実用上問題のな
い濾水性を示す。 2)填料歩留り:JIS P8128に規定する方法で
測定した。 3)裂断長:JIS P8113に規定する方法で測定
した。 4)平滑度:JIS P8119に規定する方法で測定
した(スーパーキャレンダー処理後)。 5)透気度:JIS P8117に規定する方法で測定
した(スーパーキャレンダー処理後)。 6)白色度:JIS P8123に規定する方法で測定
した(スーパーキャレンダー処理後)。 7)不透明度:JIS P8138に規定する方法で測
定した(スーパーキャレンダー処理後)。 8)印刷適性:得られた紙をスーパーキャレンダーで処
理し、シートカットした後オフセット印刷機を使用して
多色印刷を行い評価した。◎は良好なことを、○は実用
上問題の無いことを、△は実用上やや問題のあることを
示す。
【0035】図1に微細フィブリル化セルロースの添加
量と灰分の関係を示した。図1から明らかなように、填
料として酸化チタンを使用した場合(実施例1〜5)も
クレーを使用した場合(実施例6〜10)も、微細フィ
ブリル化セルロースを加えていない比較例1及び2と比
較して、実施例の方が填料の歩留まりが大きいことが確
認できる。また、微細フィブリル化セルロースの添加量
を増加させるに従って填料歩留まりが直線的に大きくな
ることが分かり、微細フィブリル化セルロースを添加す
ることによって填料の歩留まりが著しく向上することが
確認できる。
【0036】
【図1】
【0037】
【図2】
【0038】さらに、得られた填料含有紙の強度変化を
確認するため、引張り強さを坪量で換算した裂断長の変
化を微細フィブリル化セルロースの添加量に対しプロッ
トし、図2に示した。従来では、填料を紙中に定着させ
ることは、紙を形成する繊維間の結合形成を阻害するた
め、強度を減少させることが確認されている。しかし、
微細フィブリル化セルロース併用による填料定着は、図
2から明らかなように填料の歩留まりが増加しても強度
が減少せず逆に増加することが、確認できる。このこと
は従来の常識に反して、本発明によって初めて明らかに
なったことである。
【0039】さらに、微細フィブリル化セルロースによ
る填料定着の様子を観察するため、得られた填料含有紙
の表面を電子顕微鏡によって観察し、図3〜図6に示し
た。
【0040】
【図3】
【0041】
【図4】
【0042】
【図5】
【0043】
【図6】
【0044】図3は実施例5の填料含有紙の表面(フェ
ルト面)の形状を示す100倍の拡大写真である。図4
は比較例1の填料含有紙の表面(フェルト面)の形状を
示す100倍の拡大写真である。図3と図4の比較で明
らかなように、微細フィブリル化セルロースの併用(図
3)によって、填料はNBKP繊維表面ばかりでなく、
これら繊維で形成される空隙部も埋めつくし、あたかも
塗工紙の表面であるかのように観察できる。これに対し
て微細フィブリル化セルロースを併用しない比較例1
(図4)は空隙部が多数分布している。
【0045】図5は実施例5の填料含有紙の表面(フェ
ルト面)の形状を示す2000倍の拡大写真である。図
6は実施例5の填料含有紙の裏面(ワイヤ面)の形状を
示す100倍の拡大写真である。図5からわかるように
NBKPの空隙部で微細フィブリル化セルロースがネッ
トワークを形成し、填料を保持していること確認でき
る。
【0046】また、図3と図6の比較から明らかなよう
に、微細フィブリル化セルロースの併用によって表面
(フェルト面:図5)と裏面(ワイヤ面:図6)の状態
の差はほとんど認められず、両者とも塗工紙の表面であ
るかのように観察できる。従来の填料含有紙は繊維のネ
ットワークによるフィルター効果のため、表面により多
くの填料が保持され、裏面の填料はワイヤを通じて失わ
れる。しかし、本発明によって得られた填料含有紙は填
料が微細繊維に包まれるようにして保持されるため表裏
差なく、裏面でも多量の填料が保持される。
【0047】次に、填料含有紙と同一の填料を使用して
塗工した塗工紙(比較例3)の物性を印刷という観点に
注目して比較すると、表1から明らかなように、実施例
4,5,9,10は填料内添紙であるにもかかわらず塗
工紙に匹敵する特性が得られていることが確認できた。
この効果は実施例としては挙げないが、填料が10〜6
0重量%、微細フィブリル化セルロースが10〜30重
量%の範囲で顕著に現れることを確認した。
【0048】次に填料として水酸化アルミニウムを使用
し、デュアルシステムで定着した実施例を挙げる。実施例11 フリーネス400mlC.S.F.に調製したLBKP
からなるパルプスラリー70重量部(絶乾換算)に、L
BKPから機械的な叩解によって数平均繊維長で0.1
5mmに調製した微細フィブリル化セルロースを30重
量部(同)添加した。添加後10分間攪拌して水酸化ア
ルミニウム(商品名「ハイジライトH−42」、昭和電
工(株)製造)を20重量部添加し、定着剤として硫酸
アルミニウムでPH4.5に調整した後、ポリエチレン
イミン(商品名「ポリミンSN」、BASF(株)製
造)を1重量%添加し、長網抄紙機を使用して常法によ
り抄紙し、坪量60g/m2の填料含有紙を得た。
【0049】実施例12 水酸化アルミニウムを40重量部とした以外は実施例1
1と同様にして填料含有紙を製造した。
【0050】実施例13 水酸化アルミニウムを80重量部とした以外は実施例1
1と同様にして填料含有紙を製造した。
【0051】実施例14 水酸化アルミニウムを120重量部とした以外は実施例
11と同様にして填料含有紙を製造した。
【0052】実施例15 水酸化アルミニウムを200重量部とした以外は実施例
11と同様にして填料含有紙を製造した。
【0053】比較例4 フリーネス400mlC.S.F.に調製したLBKP
からなるパルプスラリー100重量部(絶乾換算)とし
た以外は、LBKPから機械的な叩解によって数平均繊
維長で0.15mmに調製した微細フィブリル化セルロ
ースを30重量部(同)添加した。
【0054】比較例5 水酸化アルミニウムを40重量部とした以外は比較例4
と同様にして填料含有紙を製造した。
【0055】比較例6 水酸化アルミニウムを80重量部とした以外は比較例4
と同様にして填料含有紙を製造した。
【0056】比較例7 水酸化アルミニウムを120重量部とした以外は比較例
4と同様にして填料含有紙を製造した。
【0057】比較例8 水酸化アルミニウムを200重量部とした以外は比較例
4と同様にして填料含有紙を製造した。
【0058】実施例11〜15、比較例4〜8の填料含
有紙の物性測定結果及び評価結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】表2から明らかなようにデュアルポリマー
システムにおいても、微細フィブリル化セルロースの存
在によって填料の歩留りが向上することが確認できる。
さらに、填料の歩留りに対する効果は、填料の添加量が
多くても同様であり、特に飛躍的な効果があることが確
認できる。強度についても同様であり、微細フィブリル
化セルロースを添加した実施例の方が填料の保持量が大
きいにもかかわらず強度が大きいことが明らかである。
さらにこれら実施例で抄造した填料含有紙の地合は非常
に良好であり、微細フィブリル化セルロースを添加して
いない比較例の地合は、歩留り向上剤の効果によるフロ
ックの形成によって非常に悪い状態であった。
【0061】また、実施例としては挙げないが本発明者
らは他の填料(炭酸カルシウム、タルク、カオリン等)
でも同様の結果が得られることを確認した。
【0062】
【発明の効果】本発明の填料含有紙は以上述べたような
方法で構成され、下記に述べるような顕著な効果を有す
る。 1)填料含有紙を製造するにあたって、微細フィブリル
化セルロースを併用することによって、常識的には相反
する特性である填料の定着量と紙の強度の両方を従来法
と比較して飛躍的に向上することがことができた。 2)微細フィブリル化セルロース単独の混合で紙の強度
を向上させようとしても、従来は濾水性が悪くて抄造す
ることができなかったが、本発明のように填料と併用す
ることによって濾水性を向上でき、抄造が容易になっ
た。 3)微細フィブリル化セルロースの併用によって、填料
の定着を向上させるための各種薬品の添加による紙料の
凝集現象も緩和され、地合が非常に良い填料含有紙が得
られるようになった。 4)微細フィブリル化セルロースが填料を捕捉し紙中に
保持するため、従来の填料含有紙の欠点であった表裏差
もほとんど無くなった。 5)填料と微細フィブリル化セルロースの添加量が特定
の範囲で(填料が10〜60重量%、微細フィブリル化
セルロースが10〜30重量%)、内添法によって得ら
れた紙であるにもかかわらず、紙表面を微細フィブリル
化セルロースで捕捉した填料が、均一でしかも密度高く
被っているため、未塗工紙の風合いを生かした状態で塗
工紙と同等の品質が得られることを確認した。 6)このような特性を生かして、本発明の填料含有紙
は、印刷用紙等に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜10と比較例1,2に於いて、微細
フィブリル化セルロースの添加量と灰分の関係を示した
図である。
【図2】同じく、裂断長の変化を微細フィブリル化セル
ロースの添加量に対しプロットした図である。
【図3】実施例5の填料含有紙の表面(フェルト面)の
形状を示す100倍の拡大写真である。
【図4】比較例1の填料含有紙の表面(フェルト面)の
形状を示す100倍の拡大写真である。
【図5】実施例5の填料含有紙の表面(フェルト面)の
形状を示す2000倍の拡大写真である。
【図6】実施例5の填料含有紙の裏面(ワイヤ面)の形
状を示す100倍の拡大写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜10と比較例1、2に於いて、微細
フィブリル化セルロースの添加量と灰分の関係を示した
図である。
【図2】同じく、裂断長の変化を微細フィブリル化セル
ロースの添加量に対しプロットした図である。
【図3】実施例5の填料含有紙の表面(フェルト面)の
繊維の形状を示す100倍の電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例1の填料含有紙の表面(フェルト面)の
繊維の形状を示す100倍の電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例5の填料含有紙の表面(フェルト面)の
繊維の形状を示す2000倍の電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例5の填料含有紙の裏面(ワイヤ面)の繊
維の形状を示す100倍の電子顕微鏡写真である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 填料を5〜95重量%含有する紙を製造
    するにあたり、数平均繊維長が0.1〜0.5mmであ
    る微細フィブリル化セルロースを製紙用パルプに対して
    1〜30重量%添加し、所定量の定着剤を添加し抄造し
    たことを特徴とする填料含有紙。
  2. 【請求項2】 微細フィブリル化セルロースの数平均繊
    維長が0.1mm〜0.2mmであることを特徴とする
    請求項1記載の填料含有紙。
  3. 【請求項3】 填料が10〜60重量%、微細フィブリ
    ル化セルロースが10〜30重量%であることを特徴と
    する請求項1,2記載の填料含有紙。
JP14259893A 1993-05-21 1993-05-21 填料含有紙 Pending JPH073691A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14259893A JPH073691A (ja) 1993-05-21 1993-05-21 填料含有紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14259893A JPH073691A (ja) 1993-05-21 1993-05-21 填料含有紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH073691A true JPH073691A (ja) 1995-01-06

Family

ID=15319036

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14259893A Pending JPH073691A (ja) 1993-05-21 1993-05-21 填料含有紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH073691A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11189999A (ja) * 1997-12-19 1999-07-13 Tokushu Paper Mfg Co Ltd 全熱交換器用紙及びそれを使用した全熱交換器用エレメント
US6720041B2 (en) 1998-11-20 2004-04-13 Canon Kabushiki Kaisha Recording medium, and method for producing image using the same
WO2004081284A1 (ja) * 2003-03-13 2004-09-23 Oji Paper Co., Ltd. 紙の製造方法
JP2009263849A (ja) * 2008-03-31 2009-11-12 Nippon Paper Industries Co Ltd 印刷用紙
WO2010015726A1 (en) * 2008-08-04 2010-02-11 Teknillinen Korkeakoulu Engineered composite product and method of making the same
WO2011059398A1 (en) 2009-11-16 2011-05-19 Kth Holding Ab Strong nanopaper
JP2012529571A (ja) * 2009-06-08 2012-11-22 ユー ピー エム キュンメネ コーポレーション 新規な紙及びその製造方法
JP2013542335A (ja) * 2010-10-01 2013-11-21 エフピーイノベイションズ セルロース強化高鉱物含量製品及びそれを製造する方法
JP2017515007A (ja) * 2014-05-07 2017-06-08 ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11189999A (ja) * 1997-12-19 1999-07-13 Tokushu Paper Mfg Co Ltd 全熱交換器用紙及びそれを使用した全熱交換器用エレメント
US6720041B2 (en) 1998-11-20 2004-04-13 Canon Kabushiki Kaisha Recording medium, and method for producing image using the same
WO2004081284A1 (ja) * 2003-03-13 2004-09-23 Oji Paper Co., Ltd. 紙の製造方法
JP2009263849A (ja) * 2008-03-31 2009-11-12 Nippon Paper Industries Co Ltd 印刷用紙
WO2010015726A1 (en) * 2008-08-04 2010-02-11 Teknillinen Korkeakoulu Engineered composite product and method of making the same
JP2011530021A (ja) * 2008-08-04 2011-12-15 ウーペーエム−キュンメネ コーポレイション 改良複合製品およびその製造方法
JP2012529571A (ja) * 2009-06-08 2012-11-22 ユー ピー エム キュンメネ コーポレーション 新規な紙及びその製造方法
WO2011059398A1 (en) 2009-11-16 2011-05-19 Kth Holding Ab Strong nanopaper
JP2013510963A (ja) * 2009-11-16 2013-03-28 テトゥラ・ラバル・ホールディングス・アンド・ファイナンス・ソシエテ・アノニム 強いナノペーパー
US8658287B2 (en) 2009-11-16 2014-02-25 Tetra Laval Holdings & Finance Sa Strong nanopaper
JP2013542335A (ja) * 2010-10-01 2013-11-21 エフピーイノベイションズ セルロース強化高鉱物含量製品及びそれを製造する方法
JP2017515007A (ja) * 2014-05-07 2017-06-08 ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ ナノフィブリル化セルロースの高効率な製造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10927504B2 (en) Microfibrillated film
US5017268A (en) Filler compositions and their use in papermaking
EP2622133B1 (en) Cellulose-reinforced high mineral content products and methods of making the same
FI68283C (fi) Foerfarande foer papperstillverkning
US7037405B2 (en) Surface treatment with texturized microcrystalline cellulose microfibrils for improved paper and paper board
US7497924B2 (en) Surface treatment with texturized microcrystalline cellulose microfibrils for improved paper and paper board
CN102124162A (zh) 工程化复合产品及其制造方法
WO2019132001A1 (ja) セルロースナノファイバーを含有する紙
JP2003507583A (ja) セルロース系繊維シートの填料歩留まりを向上させる方法
JPH073691A (ja) 填料含有紙
JP2001288692A (ja) 紙の製造方法
US20020100564A1 (en) Paper web with pre-flocculated filler incorporated therein
KR100230852B1 (ko) 강도에 최소의 영향을 주면서 티슈 종이의 유연성을 향상시키는 방법
JP4268583B2 (ja) 中性新聞印刷用紙の製造方法
JP2005336678A (ja) 上質紙
JP2588211B2 (ja) 中性紙の製造方法
JPH0813380A (ja) 印刷用紙の製造方法
JP4324073B2 (ja) 填料の前処理方法とこれを配合した紙及び紙の製造方法
JP6200245B2 (ja) オフセット輪転印刷用塗工紙
JP4035376B2 (ja) 嵩高紙
JP6927403B1 (ja) 紙の製造方法
JP5661358B2 (ja) 新聞用紙
JP3989269B2 (ja) 嵩高紙
JPH0978496A (ja) ビニル壁紙裏打ち用難燃紙
WO2023199203A1 (en) Highly refined cellulose pulp composition with compression refined cellulose pulp