JP2959775B2 - 形状記憶成形体用材料 - Google Patents

形状記憶成形体用材料

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、溶剤不溶性ポリノルボルネン系樹脂からな
る形状記憶成形体用材料、形状記憶成形体および二次成
形体の製造法に関する。
〔従来の技術〕
形状記憶材料として、オーステナイト相−マルテンサ
イト相の変態を利用した形状記憶合金がよく知られてい
るが、最近、形状記憶高分子材料の開発が進められてい
る。
形状記憶材料とは、一般に、予め与えられた任意の形
状を記憶し、低温領域では変形を受けるが、高温になる
と原形に復する材料をいう。そこで、ある形状の成形体
を別の形状の成形体に塑性変形し、冷却してその形状を
固定化することができ、かつ再加熱によって元の形状に
復することのできる性質を高分子材料が有するならば、
その高分子材料を形状記憶成形体として使用することが
可能である。
従来、形状記憶高分子材料として、例えば、ポリノル
ボルネンが知られている。ポリノルボルネンは、多量の
油を吸収してゴムとなるが、一般のゴムとは異なり、ガ
ラス転移温度が35℃と比較的高く、平均分子量も300万
と高いことから、室温では容易に応力緩和せず、高温で
初めて復元する性質をもっている。そこで、例えば、予
め150℃付近である形状に作られたポリノルボルネンの
成形品は、室温では任意の形状に変形状態を保つが、約
40℃以上になると元の形に復元する。
また、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重
合体(SBS)、トランスポリイソプレン(TPI)、ハイス
チレン樹脂、ポリウレタン樹脂なども形状記憶高分子と
しての特性を有することが報告されている。
最近、このような形状記憶高分子材料の特性を生か
し、パイプの接合材、建築用固定材、住宅用間仕切りの
間隙防止剤などの用途への使用例が提案されている(特
開昭59−53528号、特開昭60−28433号)。
さらに、形状記憶高分子材料の用途としては、例え
ば、異径パイプの接合材、締め付けピンなどの固定材、
ギプスなどの医療用固定材、玩具用部材、自動車のバン
パー、携帯用容器、文具材、シール材、パイプや棒状体
の内・外部ラミネート材などとして、多くの分野での応
用が考えられる。
このように、高分子材料は、成形加工が容易であり、
分子設計も可能であるため、形状記憶成形体用の材料と
して期待されているけれども、従来公知の形状記憶高分
子材料は、ポリノルブルネンや熱可塑性エラストマー、
ハイスチレン樹脂などのごとく、エラストマーや低いガ
ラス転移温度を有するものが多く、耐熱性や機械的強度
が充分ではないために、耐熱性が要求される分野や継手
部材、定型シーリング材等の構造材としての用途には有
効に使用できないという問題がある。また、エポキシ樹
脂やウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬
化性樹脂の成形体も形状記憶性を有するが、ある形状に
一次成形した後、所望の形状に二次成形(二次賦形)す
る場合、塑性状態での変形が困難なことから熱変形温度
以上での高温下での作業が必須であり、しかもこの場合
であっても可撓性が不十分であるため、変形の度合いに
よっては割れが生じ易い。
形状記憶成形体用の高分子材料は、施工が容易で機械
的強度に優れているとともに、形状の繰り返し反復性が
良好で、回復速度が早く、形状の崩れがないことなどが
要求される。しかしながら、このような優れた特性を有
する形状記憶成形体用の高分子材料は未だ提供されてい
ない。
また、ある形状に一次成形した後、容易に二次成形す
ることが可能であれば、標準タイプの成形品を大量に作
り、二次成形により特定な形状に調整することができる
ため、成形工程の合理化上有用である。しかしながら、
従来、そのような用途に好適に使用できる高分子材料や
成形体の製造法は提案されていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、機械的強度に優れているとともに、
形状の繰り返し反復性が良好で、回復速度が早く、形状
の崩れがない形状記憶成形体用材料を提供することにあ
る。
また、本発明の目的は、容易に二次成形が可能な高分
子材料を用いて、一次成形品(一次成形体)から二次成
形品(二次成形体)を製造する方法を提供することにあ
る。
本発明者らは、従来技術のもつ前記問題点を解決すべ
く鋭意研究した結果、ガラス転移温度が50℃以上の溶剤
不溶性ポリノルボルネン系樹脂が形状記憶成形体用材料
として優れた特性を有し、前記目的を達成できることを
見出した。また、金型内での塊状重合によって一次成形
されたガラス転移温度が50℃以上の溶剤不溶性ポリノル
ボルネン系樹脂で形成された一次成形品を、外力を加え
て変形させることにより、容易に二次成形ができ、か
つ、その二次成形品が充分に通常の使用に耐えることを
見出した。
本発明者等は、これらの知見に基づいて本発明を完成
するに至った。
〔課題を解決するための手段〕
かくして、本発明によれば、反応性の二重結合を2個
以上有する多環ノルボルネン系モノマーを含有するノル
ボルネン系モノマーをメタセシス触媒系の存在下に金型
内で塊状開環重合することにより得られたガラス転移温
度が80℃以上で溶剤不溶性の熱硬化型ポリノルボルネン
系樹脂からなる形状記憶成形体用材料が提供される。
また、本発明によれば、反応性の二重結合を2個以上
有する多環ノルボルネン系モノマーを含有するノルボル
ネン系モノマーをメタセシス触媒系の存在下に金型内で
塊状開環重合することにより得られたガラス転移温度が
80℃以上で溶剤不溶性の熱硬化型ポリノルボルネン系樹
脂一次成形体を、外力を加えて変形させることにより得
られた二次成形体からなる形状記憶成形体が提供され
る。
さらに、本発明によれば、反応性の二重結合を2個以
上有する多環ノルボルネン系モノマーを含有するノルボ
ルネン系モノマーをメタセシス触媒系の存在下に金型内
で塊状開環重合することにより得られたガラス転移温度
が80℃以上で溶剤不溶性の熱硬化型ポリノルボルネン系
樹脂一次成形体を、外力を加えて変形させることを特徴
とする二次成形体の製造方法が提供される。
以下、本発明について詳述する。
(ポリノルボルネン系樹脂) 本発明においては、ガラス転移温度が80℃以上、好ま
しくは100〜200℃のポリノルボルネン系樹脂を形状記憶
成形体用材料または成形体の材料として使用する。
熱変形温度が低いと成形品としての使用温度範囲が制
限されるため実用性に欠ける。また、ガラス転移温度を
80℃以上とすることにより、耐熱性の用途に好適に使用
できる。
このようなポリノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン
系モノマーをメタセシス触媒系の存在下に金型(型枠を
含む)内で塊状開環重合することにより得ることができ
る。
モノマー 本発明においてポリノルボルネン系樹脂の原料として
使用するモノマーの好ましい具体例は、三環体以上の多
環ノルボルネン系モノマーである。三環体以上であるこ
とによって、熱変形温度の高い重合体が容易に得られ
る。しかし、二環体のノルボルネン系モノマーであって
も、ガラス転移温度が80℃以上の重合体を与えるモノマ
ーであれば使用できる。
上記モノマーを塊状開環重合すると溶剤不溶性の重合
体が生成するが、全モノマー中の少なくとも10重量%、
好ましくは30重量%以上の架橋性モノマーを使用して熱
硬化型とすることが好ましい。なお、本発明において、
溶剤不溶性ポリノルボルネン系樹脂とは、重合体をトル
エン中に、25℃で24時間浸漬して溶けないものをいう。
ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン、ノ
ルボルナジエンなどの二環体のノルボルネン系モノマ
ー、ジシクロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタジ
エンなどのごとき三環体、テトラシクロドデセンなどの
ごとき四環体、トリシクロペンタジエンなどのごとき五
環体、テトラシクロペンタジエンなどのごとき七環体、
これらのアルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例
えば、エチリデン置換体など)、アリール置換体(例え
ば、フェニル、トリル置換体など)などが挙げられる。
一方、架橋性モノマーは、反応性の二重結合を2個以
上有する多環ノルボルネン系モノマーであり、その具体
例としてジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエ
ン、テトラシクロペンタジエンなどが例示される。した
がって、ノルボルネン系モノマーと架橋性モノマーが同
一物である場合には格別他の架橋性モノマーを用いる必
要はない。
これらのノルボルネン系モノマーは、単独で使用して
もよいし、また、2種以上を混合して用いることもでき
る。
また、上記ノルボルネン系モノマーの1種以上と共に
開環重合し得るシクロブテン、シクロペンテン、シクロ
ペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの
単環シクロオレフィンなどを、本発明の目的を損なわな
い範囲で併用することができる。
触媒 塊状開環重合用の触媒は、ノルボルネン系モノマーの
塊状重合用触媒として公知のメタセシス触媒系であれば
いずれでもよく(例えば、特開昭58−127728号、同58−
129013号、同59−51911号、同60−79035号、同60−1865
11号、同61−126115号など)、特に制限はない。
メタセシス触媒としては、タングステン、モリブデ
ン、タンタルなどのハロゲン化物、オキシハロゲン化
物、酸化物、有機アンモニウム塩などが挙げられる。
活性剤(共触媒)としては、アルキルアルミニウムハ
ライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド、ア
リールオキシアルキルアルミニウムハライド、有機スズ
化合物などが挙げられる。
メタセシス触媒は、ノルボルネン系モノマー1モルに
対し、通常、約0.01〜50ミリモル、好ましくは0.1〜10
ミリモルの範囲で用いられる。活性剤(共触媒)は、触
媒成分に対して、通常、0.1〜200(モル比)、好ましく
は2〜10(モル比)の範囲で用いられる。
メタセシス触媒および活性剤は、いずれもモノマーに
溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的
に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁または溶解
させて用いてもよい。
重合法 本発明で用いるポリノルボルネン系樹脂は、ノルボル
ネン系モノマーをメタセシス触媒系の存在下に、金型
(型枠)内で、塊状開環重合することにより得ることが
できる。実質的に塊状重合であればよいが、成形品の物
性上からは触媒の調製においても不活性溶剤を用いない
ことが望ましい。
好ましい成形体の製造法では、ノルボルネン系モノマ
ーを二液に分けて別の容器に入れ、一方にはメタセシス
触媒を、他方には活性剤を添加し、二種類の安定な反応
溶液を調製する。この二種類の反応溶液を混合し、次い
で所定形状の型枠中に注入し、そこで塊状による開環重
合を行なう。
注入圧力は格別制限はないが通常10Kg/cm2以下で充分
であり、好ましくは常圧下で実施される。金型温度は、
通常、30℃以上、好ましくは40〜200℃、特に好ましく
は50〜130℃である。金型圧力は、通常、0.1〜100kg/cm
2の範囲である。また、重合時間は適宜選択すればよい
が、通常は2分から1時間程度である。
重合反応に用いる成分類は窒素ガスなどの不活性ガス
雰囲気下で貯蔵し、かつ操作することが好ましい。成形
金型は不活性ガスでシールしてもよいが、しなくてもか
まわない。
繊維状強化材 ポリノルボルネン系樹脂を繊維状強化材で強化するこ
とにより、成形体の強度が向上するとともに、形状記憶
成形体とした場合、形状の繰り返し回復性がより一層向
上する。
繊維状強化材としては、ガラス繊維やカーボン繊維な
どがあり、長繊維の形状で使用することにより、充分な
補強効果を得ることができる。長繊維としては、ストラ
ンド、ロービング、ロービングクロス、クロス、マット
などがある。また、シラン系カップリング材などで表面
処理を施したものであってもよい。
繊維強化材は、予め金型内に載置しておき、後からモ
ノマーを含む反応液を導入して重合反応を行なわせる。
充填量は、所望に応じて、少量から高充填量まで適宜選
択することができる。
各種添加剤 ポリノルボルネン系樹脂に、酸化防止剤、充填剤、エ
ラストマー、着色剤、高分子改質剤、難燃剤、摺動化剤
など種々の添加剤を配合することによって、成形体の特
性を改質することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、アミン
系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤がある。
これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよいが、併用す
ることもできる。配合割合は、通常、ノルボルネン系ポ
リマーに対し0.5重量%以上、好ましくは1〜3重量%
である。また、酸化防止剤はモノマーと共重合可能なも
のでもよく、その具体例として5−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ノルボルネンな
どのごときノルボルネニルフェノール系化合物などが例
示される(特開昭57−83522号公報参照)。
充填剤には、ガラス、カーボンブラック、タルク、炭
酸カルシウム、雲母などの無機質充填剤がある。
エラストマーを含有させることにより、耐衝撃性や可
撓性などが改良される。エラストマーとしては、ポリブ
タジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレ
ン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどを
挙げることができる。
添加剤は予め反応溶液のいずれか一方または双方に混
合して用いる。
(形状記憶成形体) 本発明の形状記憶成形体は、ノルボルネン系モノマー
をメタセシス触媒系の存在下に、金型(型枠)内で、塊
状開環重合することにより一次成形体を得、次いで外力
を加えることにより所望の形状に二次成形することによ
り得られる。
二次成形の方法は、他の形状記憶性材料の場合と同様
に重合体の熱変形温度以上で外力を加えて変形し、その
後冷却して変形した形状に固定させる方法、加熱せずに
機械的強度を加えて変形させる方法のいずれであっても
よい。とくに、後者の方法はポリノルボルネン系樹脂が
他の熱硬化性樹脂に比較してはるかに優れた延性を有す
ることによって初めて可能になったものであり、この方
法が採用できることにより、加熱、冷却期間を要しない
ため、生産性が向上し、また高温下での二次成形では変
形しにくいもの(例えば、管状の一次成形体に管径より
太目の拡管体を打ち込んで径を拡げようとする場合、高
温下では管がつぶれてしまい二次成形体を得ることが困
難である)の成形が容易に実施できる。加熱して変形す
る場合の加熱の手段は、適宜選択すればよく、オーブ
ン、ホットブラスター、ヒートガン等による空気加熱、
水蒸気加熱、加熱液体中での加熱、電熱チューブ、電熱
リボンによる加熱、電気による発熱体をノルボルネン系
樹脂内に埋設して、これに通電して加熱する方法等いず
れでもよい。冷却手段としては、空冷、水冷等の適当な
手段を採用することができる。
この変形させた二次成形体は、ポリノルボルネン系樹
脂の熱変形温度以上、分解温度以下の温度範囲、一般に
は、熱変形温度より10℃以上、好ましくは30℃以上高い
温度である復元温度に加熱すれば、元の形状(一次成形
体の形状)に容易に復元する。この復元温度は、種々の
材料について予備実験をすることにより容易に決定する
ことができる。
加熱温度は、成形品の大きさや変形状態、加熱温度等
にもよるが、通常、数秒から数10分、好ましくは約1〜
20分程度である。
復元温度まで加熱する方法としては、例えば、変形し
た状態の成形品をオーブン中で加熱する方法、ポットブ
ラスターで加熱する方法などがある。また、熱変形温度
が100℃未満の場合は熱湯に浸漬したり、ふきかけたり
しても復元できる。
本発明の形状記憶成形体は、耐熱性や機械的強度に優
れており、形状の繰り返し回復性がきわめて良好で、し
かも回復速度が早い。繊維補強材で補強した成形体の場
合には、さらに形状回復性が向上する。また、熱硬化型
のポリノルボルネン系樹脂を材料として用いた成形体
は、形状の崩れがない。そこで、例えば、施工作業し易
い形状に変形した成形体(二次成形体)を用いて施工
後、再加熱して元の形状に復元させれば、容易に部材ま
たは部材間相互の保持、連結または密封等ができる。
本発明の形状記憶成形体は、前記の特性を生かし、パ
イプの接合材(継手部材)、シール材、建築用固定材、
住宅用間仕切りの間隙防止剤、自動車のバンパー等の構
造材などとして、多くの分野での応用が考えられる。
(二次成形体) ポリノルボルネン系樹脂を材料とする成形体は、形状
記憶成形体としての用途の他に、二次成形体としての用
途がある。
すなわち、金型内での塊状重合によって一次成形され
たガラス転移温度が80℃以上のポリノルボルネン系樹脂
で形成された一次成形品を、外力を加えて二次成形して
得た成形体は、形状記憶特性を必要としない成形品とし
ても使用できる。
例えば、標準タイプの成形品を大量に作り、二次成形
により特定な形状に調整できるので、複雑な金型を多数
用意する必要がなくなり、生産の合理化を図ることがで
きる。また、金型では製造が困難な形状の成形体であっ
ても、予め金型で製造が容易な形状の一次成形体を作
り、その後二次成形することによって容易に製造でき
る。このような成形体の具体例としては、例えば、平板
を変形して得られる波板、箱体、トレー、トイ状構造体
など、棒状体を変形して得られるL字状棒、U字状棒な
どを挙げることができる。
前記したごとく、ポリノルボルネン系樹脂は、延性に
優れているため、室温で機械的に外力を加えることによ
って二次成形することができるが、二次成形での変形の
度合いが大きい場合には、割れ防止の見地から熱変形温
度以上に加熱した状態で変形することが好ましい。
〔実施例〕
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定
されるものではない。なお、部や%などは、断わりのな
い限り重量基準である。
成形体試料の形状回復試験は、以下のようにして行な
った。
形状回復試験 各樹脂を成形して得られた平板状成形体(縦20mm、横
100mm、厚さ3mm)を、加熱手段としてオーブンを用い、
それぞれの樹脂の熱変形温度より約30℃高い温度で30分
間加熱後、横100mmのぼぼ中央部の約50mmのところで、
折り曲げ部に若干の丸みをもたせて180゜に折り曲げ、
直ちに水中に浸漬して冷却し、変形形状を固定した(二
次成形)。
二次成形した試料を前記二次成形時と同じ温度に15分
間保持し、形状の回復性を観察した。
形状回復性の良好な試料について、上記操作を10回繰
り返し、回復性を観察した。また、同じ樹脂について、
各5個の平板状成形体試料を調製して形状回復試験を行
なった。
[実施例1] 反応原液として、ジシクロペンタジエン(DCP)をモ
ノマー成分とする下記組成のA液とB液を1:1で混合し
て用いた。
A液:モノマー フェノール系酸化防止剤(商品名イルガノック
ス 1010、チバガイギー社製)2% ジエチルアルミニウムクロリド40ミリモル濃度 n−プロパノール44ミリモル濃度 四塩化ケイ素20ミリモル濃度 B液:モノマー トリ(トリデシル)アンモニウムモリブ デート10ミリモル濃度 A液およびB液をそれぞれギヤーポンプにて1対1の
容積比となるようにパワーミキサーに送液し、次いで、
20mm×100mm×3mmの空間容積を有し、70℃に加熱された
金型内に速やかに注入した。注入時間は、約10秒であ
り、金型内で3分間反応を行なった。これらの一連の操
作は窒素雰囲気下で行なった。
得られた平板状成形体のガラス転移温度または熱変形
温度の測定値、および形状回復試験の結果を第1表に示
した。
[実施例2] モノマー成分として、DCP85%とシクロペンタジエン
三量体(3−C)(対称型約80%と非対称型約20%の混
合物)15%の混合モノマーを使用し、かつモノマー成分
に対してエラストマーとしてスチレン−イソプレン−ス
チレンブロック共重合体(SIS)(クレイトン1170、シ
ェル社製)を5%溶解させたものを用いた以外は、実施
例1と同様にして平板状成形体を得、同様に評価した。
[実施例3] モノマー成分として、DCP50%と5−エチリデン−2
−ノルボルネン(ENB)50%の混合モノマーを使用し、
かつモノマー成分に対してエラストマーとしてSISを5
%溶解させたものを用いた以外は、実施例1と同様にし
て平板状成形体を得、同様に評価した。
[実施例4] モノマー成分として、DCP70%とメチルテトラシクロ
ドデセン(MTD)30%の混合モノマーを使用し、かつモ
ノマー成分に対してエラストマーとしてSISを5%溶解
させたものを用いた以外は、実施例1と同様にして平板
状成形体を得、同様に評価した。
[実施例5] モノマー成分として、MTDを使用した以外は、実施例
1と同様にして平板状成形体を得、同様に評価した。
[比較例1] 次の配合処方により液状混合物を得、これを20mm×10
0mm×3mmの空間容積を有する金型内に注入し、20℃で24
時間、さらに80℃で3時間硬化させてエポキシ樹脂製の
平板状成形体を作り、実施例1と同様にして評価した。
配合処方 エピコート282(*1) 100部 エポメートB−002W(*2) 50部 (*1)シェル社製ビスフェノールA型液状エポキシ樹
脂 (*2)シェル社製のスピロアセタール環骨格を有する
ジアミン硬化剤、3,9−ビス−(3−アミノプロピル)
−2,4,8,10−テトラオキソ−スピロ−〔5,5〕−ウンデ
カン [比較例2] 次の配合処方によりA液およびB液を調製し、両液を
A液/B液の混合比(容積比)4/6で混合して、20mm×100
mm×3mmの空間容積を有する金型内に注入し、60℃で2
時間反応させてポリウレタン製の平板状成形体を得、実
施例1と同様に評価した。
配合処方 A液:アイソノール93(*1) 60部 プラクセル305(*2) 40部 B液:ミリオネートMTL−C(*3) 100部 (*1)エム・ディ化成(株)社製ポリエーテルポリオ
ール(3官能性) (*2)ダイセル(株)社製カプロラクタン変性ポリエ
ステルポリオール(2官能性) (*3)日本ポリウレタン工業(株)社製ジフェニルメ
タンジイソシアナート [比較例3] 次の配合処方により液状混合物を得、これを20mm×10
0mm×3mmの空間容積を有する金型内に注入し、20℃で5
時間反応させて、不飽和ポリエステル樹脂製の平板状成
形体を作り、実施例1と同様にして評価した。
配合処方 ESTAR GAー10(*1) 100部 55%メチルエチルケトンパーオキサイド 1部 6%ナフテン酸コバルト 0.5部 (*1)三井東圧(株)社製不飽和ポリエステル [実施例6] 予めガラス長繊維からなるチョップドストランドガラ
スマット(日本電気ガラス(株)社製)1枚をセットし
た金型内に反応液を注入した以外は、実施例1と同様に
してガラス繊維含有量12%の平板状成形体を得、同様に
評価した。
[実施例7] ガラスマットのかわりに、カーボンクロス(東レ
(株)社製商品名トレカ#6343)3枚を用いた以外は、
実施例6と同様にして、カーボンクロス含有量10%の平
板状成形体を得、同様に評価した。
前記各実施例および比較例の結果を一括して第1表に
示す。
第1表から明らかなように、ポリノルボルネン系樹脂
を用いた成形体は、ガラス転移温度が高く、耐熱性に優
れているとともに、二次成形が容易であり、かつ、180
゜折り曲げという厳しい試験を反復しても異常は見られ
ない。そして、二次成形体は、再加熱することにより、
速やかに元の形状に復元する。
これに対して、比較例のエポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂を用いた成形体は、いずれ
も二次成形による変形で割れ易いものであり、形状記憶
成形体としては不充分なものであった。
また、曲げ強度や耐衝撃性などの物性についても、ポ
リノルボルネン系樹脂を用いた成形体は、他の熱硬化性
樹脂に比較して同等もしくはそれ以上の優れた物性を有
している。
[実施例8] 実施例1と同様の条件で一次成形して、 のシーリング材を得、次いで、180℃に加温して、挿入
する部材を差し込み易いように開口部分をさらに広くす
べく変形し、その形状のまま水冷して のシーリング材を得た。
このシーリング材に部材を差し込み、ホットガンで20
0℃に加熱したところ、元の形状に回復し、部材を良好
に保持することが確認された。
[実施例9] 一次成形して得たシーリング材を室温で変形した以外
は実施例8と同様に実施したところ、変形したシーリン
グ材は、200℃の加熱により元の形状に回復し、部材を
良好に保持することが確認できた。
[実施例10] 実施例2で得た平板(20mm×100mm×3mm)を200℃に
加熱した後、室温に保ったプレス材にセットし、長手方
向の中央部分で直角に変形するようプレス成形した。そ
の結果、中央部で直角に折れ曲がった二次成形体を容易
に得ることができた。
〔発明の効果〕
本発明により、機械的強度に優れているとともに、形
状の繰り返し反復性が良好で、回復速度が早く、形状の
崩れがない形状記憶成形体用材料および該材料を用いた
形状記憶成形体が提供される。また、本発明により、ポ
リノルボルネン系樹脂を用いて、一次成形品から変形さ
せた二次成形品を容易に製造する方法が提供される。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応性の二重結合を2個以上有する多環ノ
    ルボルネン系モノマーを含有するノルボルネン系モノマ
    ーをメタセシス触媒系の存在下に金型内で塊状開環重合
    することにより得られたガラス転移温度が80℃以上で溶
    剤不溶性の熱硬化型ポリノルボルネン系樹脂からなる形
    状記憶成形体用材料。
  2. 【請求項2】繊維強化材で強化された請求項1記載の形
    状記憶成形体用材料。
  3. 【請求項3】反応性の二重結合を2個以上有する多環ノ
    ルボルネン系モノマーを含有するノルボルネン系モノマ
    ーをメタセシス触媒系の存在下に金型内で塊状開環重合
    することにより得られたガラス転移温度が80℃以上で溶
    剤不溶性の熱硬化型ポリノルボルネン系樹脂一次成形体
    を、外力を加えて変形させることにより得られた二次成
    形体からなる形状記憶成形体。
  4. 【請求項4】熱硬化型ポリノルボルネン系樹脂一次成形
    体が、ノルボルネン系モノマーをメタセシス触媒系と繊
    維強化材の存在下に金型内で塊状開環重合することによ
    り得られた繊維強化樹脂成形体である請求項3記載の形
    状記憶成形体。
  5. 【請求項5】反応性の二重結合を2個以上有する多環ノ
    ルボルネン系モノマーを含有するノルボルネン系モノマ
    ーをメタセシス触媒系の存在下に金型内で塊状開環重合
    することにより得られたガラス転移温度が80℃以上で溶
    剤不溶性の熱硬化型ポリノルボルネン系樹脂一次成形体
    を、外力を加えて変形させることを特徴とする二次成形
    体の製造方法。
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