JP2955122B2 - 積層パイプ - Google Patents

積層パイプ

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JP2955122B2
JP2955122B2 JP4125559A JP12555992A JP2955122B2 JP 2955122 B2 JP2955122 B2 JP 2955122B2 JP 4125559 A JP4125559 A JP 4125559A JP 12555992 A JP12555992 A JP 12555992A JP 2955122 B2 JP2955122 B2 JP 2955122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維状補強材とマトリ
ックス樹脂からなる複合材料よりなる層の特定の組み合
わせからなる、高い対数振動減衰率と曲げ弾性率を有す
る積層パイプに関する。
【0002】本発明の積層パイプは、軽量であり、かつ
振動減衰性、機械的強度及び剛性に優れることから、刈
払機などの動力源を有する携帯機具;自転車、車椅子な
どの小型の乗り物などに使用される管状部品として有用
である。
【0003】
【従来の技術】刈払機などの動力源を有する携帯機具;
自転車、車椅子などの小型の乗り物などの軽量性並びに
高い機械的強度及び剛性が要求される物品では、その管
状部品として比較的軽量の金属パイプであるアルミニウ
ムパイプが使用されている。しかしながら、これらの物
品では、一層の軽量化を実現し、かつ動力源から伝達さ
れる振動を軽減し、又は乗り心地を改善することが望ま
れており、例えば特開昭61−170309号公報に記
載の如く一部の物品では、その管状部品として補強用の
炭素繊維、ガラス繊維とマトリックス樹脂からなる複合
材料よりなるパイプの使用が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の複合材料よりな
るパイプは、アルミニウムパイプに比べ、より軽量であ
る点及びより高い振動減衰性を有する点において優れて
いる。しかしながら、用途によっては、一層優れた振動
減衰性能を有する軽量のパイプが要望されているのが実
情であり、刈払機においても作業者の負担を軽くするた
めより一層優れた振動減衰性を有し、かつより軽量のパ
イプが強く要望されている。また刈払機を用いた作業時
には、刈払機を物に当てたり、樹木等に刃先が巻き込ま
れたりすることがあり、安全性を向上させる面からさら
に高い管剛性、耐衝撃性を有するパイプを使用した刈払
機が望まれている。
【0005】したがって、本発明の目的は、軽量であ
り、高い機械的強度及び剛性を有するのみならず、振動
減衰性において著しく優れたパイプを提供することにあ
る。なお、以下、本明細書中の「↑」および「↓」はそ
の直後の文字が添字であることを示しており、例えば
「↑2」は二乗を意味する上付きの添字「 2 」を、「↓
2」は下付きの添字「 2 」を示す。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、有機繊維と樹脂からなる複合材料よりなる層
(イ)の少なくとも層と、無機繊維と樹脂からなる複
合材料よりなる層(ロ)の少なくとも一層とが積層一体
化され、対数振動減衰率が0.08以上であって、かつ
曲げ弾性率が1,000kg/mm↑2以上であり、前
記層(イ)は、内径(di)が次式(2)を満足する層
の少なくとも一層および外径(do)が次式(1)を満
足する層の少なくとも一層のみからなる積層パイプによ
り達成される。 do<(3Di+Do)/4 (1) di>(Di+3Do)/4 (2) ここで、Diは、積層パイプの内径であり、Doは、積
層パイプの外径である。本発明によれば、上記の目的
は、また、有機繊維と樹脂からなる複合材料よりなる層
(イ)の少なくとも一層と、無機繊維と樹脂からなる複
合材料よりなる層(ロ)の少なくとも一層とが積層一体
化され、対数振動減衰率が0.08以上であって、かつ
曲げ弾性率が1,000kg/mm2 以上であり、前記
層(イ)は、内径(di)が上記の式(2)を満足する
の少なくとも一層のみからなる積層パイプにより達成
される。
【0007】本発明のパイプで使用される有機繊維とし
ては、特に制限はなく、例えば全芳香族ポリエステル繊
維、ポリビニルアルコール繊維、全芳香族ポリアミド繊
維などを挙げることができる。これらの有機繊維のう
ち、本発明のパイプに高い振動減衰率及び高い耐衝撃性
を付与できる点から、全芳香族ポリエステル繊維及び/
又はポリビニルアルコール繊維が好ましく、全芳香族ポ
リエステル繊維が特に好ましい。
【0008】全芳香族ポリエステル繊維を構成する全芳
香族ポリエステルとは、芳香族ヒドロキシ酸、芳香族ジ
カルボン酸、芳香族ジオールなどの2官能性の芳香族化
合物を主たるモノマーとするポリエステルであり、その
例として、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸を主モノマー成分とし、かつ溶融時異方
性を示す全芳香族共重合ポリエステルなどの液晶性全芳
香族ポリエステルが挙げられる。このような全芳香族共
重合ポリエステルからなる繊維の代表的な例としてクラ
レ製ベクトラン繊維が知られている。
【0009】ポリビニルアルコール繊維を構成するポリ
ビニルアルコールとしては平均重合度は1500以上の
ものであることが好ましい。
【0010】全芳香族ポリアミド繊維を構成する全芳香
族ポリアミドとは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン
酸を主たるモノマーとするポリアミドであり、その一例
としてp−フェニレンテレフタルアミドが挙げられる。
このような全芳香族ポリアミドからなる繊維の代表的な
例としてデュポン社製ケブラー繊維が知られている。
【0011】本発明のパイプで使用される無機繊維とし
ては、特に制限はなく、例えば炭素繊維、ガラス繊維な
どが例示される。本発明のパイプに高い機械的強度及び
剛性を付与する点において、無機繊維として炭素繊維及
び/又はガラス繊維を使用することが好ましい。無機繊
維として炭素繊維を使用することによってパイプに高い
剛性を付与することが可能となる。また無機繊維として
ガラス繊維を使用することによって、パイプに適度な衝
撃強度、剛性及び優れた絶縁抵抗性を付与することが可
能となる。
【0012】有機繊維及び無機繊維のごとき繊維状補強
材において、種々の形態を採用することができる。その
代表例としては、ロービングを引き揃えたもの、連続し
た長繊維からなる織布などが挙げられる。また繊維状補
強材がパイプの軸方向となす角度は、適宜選択される。
【0013】本発明のパイプで使用されるマトリックス
樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂などが例示
される。
【0014】次に、図面によって本発明を説明するが、
本発明はこれらの図面によって限定されるものではな
い。図1−(a)及び図1−(b)、図2−(a)及び
図2−(b)、並びに図3−(a)及び図3−(b)
は、それぞれ本発明のパイプの構造の一例を示す一部断
面図である。図1−(a)及び図1−(b)でそれぞれ
示されるパイプは層(イ)1/層(ロ)2の2層構造を
有する例であり、図2−(a)及び図2−(b)でそれ
ぞれ示されるパイプは層(イ)1/層(ロ)2/層
(ロ)2′の3層構造を有する例であり、また図3−
(a)又は図3−(b)で示されるパイプはそれぞれ層
(イ)1/層(ロ)2/層(ロ)2′/層(イ)1′又
は層(ロ)2/層(イ)1/層(ロ)2′/層(ロ)2
の4層構造を有する例である。
【0015】本発明の積層パイプにおいて、主として、
層(イ)は振動減衰性及び耐衝撃性の向上に寄与し、ま
た層(ロ)は剛性及び機械的強度の向上に寄与する。前
述のとおり、層(ロ)中に含まれる無機繊維が炭素繊維
である場合には、パイプの剛性が効果的に向上し、また
該無機繊維がガラス繊維である場合には、パイプの衝撃
強度及び剛性が効果的に向上するので、パイプに高い剛
性及び衝撃強度が要求される場合には、層(ロ)とし
て、炭素繊維と樹脂からなる層とガラス繊維と樹脂から
なる層の両方を有することが好ましい。層(イ)に由来
する振動減衰性及び耐衝撃性の向上効果及び層(ロ)に
由来する機械的強度及び剛性の向上効果を十分に発現さ
せるうえで、層(イ)及び層(ロ)の厚みはそれぞれ
0.1mm以上であることが好ましい。パイプの振動減
衰性、機械的強度及び剛性のすべてが特に良好となる点
から、有機繊維および無機繊維のごとき繊維状補強材の
体積の和が積層パイプの20〜70体積%を占めること
が好ましく、積層パイプの40〜60体積%を占めるこ
とがより好ましい。また同様の観点から、本発明の積層
パイプ中の有機繊維の体積の和が全繊維状補強材の体積
の和の3〜40体積%を占めることが好ましく、7〜2
5体積%を占めることがより好ましい。
【0016】本発明の積層パイプは対数振動減衰率が
0.08以上であることが必要である。対数振動減衰率
が0.08未満である場合には、パイプの振動減衰性能
が不十分となる。対数振動減衰率の値が高い程、パイプ
の振動減衰性が向上するので、パイプの対数振動減衰率
は0.09以上であることが好ましく、0.10以上で
あることがより好ましい。なおかかる対数振動減衰率は
次の方法によって求められた値である。
【0017】図4は本発明の積層パイプを特定する対数
振動減衰率を測定するための試験方法を示す図である。
図4に示すように、試験片であるパイプ3を、その一端
(以下かかる端をAと記す)から250mmの位置とA
から300mmの位置の間の50mmの長さにわたって
左右より固定具4で70kg・cmのトルクで挟持する
ことにより、水平に保持する。パイプ3の中心軸上の端
Aから10mmの点(以下かかる点をBと記す、ただし
図示せず)より垂直上方400mmの点(以下かかる点
をCと記す)に、他端に直径20mm、重さ32.8g
の鋼球5を接続した長さ390mmの細い糸(10番手
の綿糸3本からなる撚糸)の一端を支持する。該糸を緊
張させた状態で鋼球5を、その中心が点Bを通る、パイ
プ3の中心軸に対する垂直面上であって、かつパイプ3
の中心軸を通る水平面を基準にして高さが200mmの
点に位置するように持ち上げ、次いで鋼球5を自由に落
下させることによって、鋼球5をパイプ3の側面に衝突
させる。かかる鋼球5の落下においては、鋼球5の中心
は点Cを中心とする半径400mmの弧を描く。またパ
イプ3の側面上の鋼球5と衝突する位置は、点Bを通
る、パイプ3の中心軸に対する垂直面上におけるパイプ
3の外周と点Bを通る水平線との2つの交点のうちの1
点(以下この点をEと記す)の付近である。かかる衝突
時において発生するパイプ3の軸方向での歪、すなわち
伸縮振動の波形を、パイプ3の外周面における点Eの母
線g上の、端Aから220mmの位置(以下この点をF
と記す)において検知し、記録する。パイプ3の軸方向
における伸縮振動の測定は、例えば、軸方向及びそれと
垂直方向にそれぞれ点Fで十字形に交差するように歪ゲ
ージ6,6′をパイプ3の外周面に貼付し、各歪ゲージ
6,6′からの信号をブリッジボックス7を介して動歪
測定器8に伝達し、該動歪測定器8で検知されたパイプ
軸方向での歪、すなわち伸縮振動の変位を記録計9で波
形として記録することによって行われる。
【0018】図5は、上記の方法によって記録されたパ
イプ軸方向での伸縮振動の波形の一例を示す図である。
本発明の積層パイプを特定する対数振動減衰率は、かか
る波形に基づき、減衰振動波形から対数減衰率を実験的
に求めるために採用される公知の方法〔例えば、山田伸
志監修「振動工学入門」(パワー社、1990年発行)
第30〜31頁参照〕に従って求めることができる。す
なわち、図5に示すように、2番目の振幅をA↓2で表
し、n+2(nは1以上の整数を表す)番目の振幅をA
↓(n+2)で表すとき、対数振動減衰率δは下記式により
求められる。
【0019】 δ=(1/n)ln〔A↓2/A↓(n+2)〕
【0020】本発明のパイプを特定する対数振動減衰率
を求める場合、精度の高さなどの点から、上記nとして
は5以上の整数を採用することが好ましい。
【0021】本発明のパイプは、パイプの剛性の高さの
点から、曲げ弾性率が1,000kg/mm↑2以上で
あることが必要であり、1,200kg/mm↑2以上
であることが好ましい。さらに本発明の積層パイプが山
林作業用刈払機である場合には、曲げ弾性率が1600
kg/mm↑2以上であることが好ましい。曲げ弾性率
が1,000kg/mm↑2未満である場合には、パイ
プの剛性が不十分となりたわみやすいものとなる。本発
明におけるパイプの曲げ弾性率は、JIS K6911
に規定された成形材料の曲げ試験方法(3点曲げ試験方
法)に準じた方法で、試験片としてはパイプそのものを
使用し、支点間距離を200mmとして曲げ試験を行
い、その結果に基づいて下記式で求められた値である。
【0022】 Eb=4(L↑3)(F/Δl)/〔3π(D↓1↑4−D↓2↑4)〕
【0023】〔式中、Ebは曲げ弾性率(kg/mm↑
2)を表し、D↓1はパイプの外径(mm)を表し、D↓
2はパイプの内径(mm)を表し、F/Δlは荷重−た
わみ曲線の初期直線部分のこう配(kg/mm)を表
し、Lは支点間距離(200mm)を表し、πは円周率
(3.14)を表す〕
【0024】本発明のパイプでは、パイプの寸法;層
(イ)の配置及び厚み;有機繊維の素材、形態及び使用
量;マトリックス樹脂の種類及び使用量等を適宜選択す
ることによって対数振動減衰率を0.08以上の値とす
ることができる。積層パイプの機械的強度及び剛性を高
い水準に保持しながら対数振動減衰率を効果的に向上さ
せうる点において、積層構造における層(イ)の配置は
特に重要である。
【0025】本発明の積層パイプでは、層(イ)を外周
近傍及び内周近傍の両方にのみ位置させること、又は外
周近傍にのみ位置させることが、優れた振動減衰性と高
い機械的強度及び剛性とを両立させる。すなわち、積層
パイプの内径をDi(mm)、外径をDo(mm)とす
るとき、層(イ)は、内径di(mm)が上記の式
(2)を満足する層の少なくとも一層および外径do
(mm)が上記の式(1)を満足する層の少なくとも一
のみからなるか、又は内径di(mm)が上記の式
(2)を満足する層の少なくとも一層のみからなる。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】層(イ)を外周近傍及び内周近傍の両方に
のみ位置させる、又は外周近傍にのみ位置させる場合に
は、層(イ)のパイプの対数振動減衰率の向上への寄与
はとりわけ大となる。またこの場合、露出した層(イ)
の表面に切削、研磨等の後加工を施す必要があれば、該
露出した層(イ)を加工性の良好なポリビニルアルコー
ル繊維とマトリックス樹脂からなる複合材で構成するこ
とが好ましい。
【0030】更に本発明の目的をより効果的に達成させ
るため、本発明の積層パイプの構成としては、内側に9
0度巻き層を、次いで0度巻き層を、そして外側にアン
グル巻き層を配置させることが好ましく、各層の占める
体積割合は、それぞれ20〜50%、25〜60%、1
0〜35%の範囲であることが好ましい。アングル巻き
層の角度としては15〜75゜の範囲が好ましい。指定
される角度は配向した補強繊維がパイプ長手軸に対して
なす角度を示す。このようなパイプ構成とすることによ
り、積層パイプの曲げ弾性率、管剛性、耐衝撃性等の性
能をバランスよく優れたものとすることができる。
【0031】また本発明の積層パイプが刈払機に使用さ
れる場合には、前記の好ましい態様を採用することによ
り、管剛性が30kg−mm以上、衝撃角度が100度
以上となり、衝撃を受けた時あるいは樹木等に刈払機の
刃先が巻き込まれた時の安全性を高めることができる。
【0032】本発明の積層パイプは、複合材料を用いて
製造される積層パイプの製法として公知の種々の方法に
より製造可能である。例えば(1)一方向に引き揃えた
繊維状補強材に樹脂を含浸させた一方向プリプレグシー
ト又は織布に樹脂を含浸させたクロスプリプレグシート
を用い、マンドレルに所定の角度に補強繊維がなるよう
にプリプレグシートより切り出した矩形のシート状物を
ローリングテーブルを用いて巻きつける。更にその上
に、延伸テープを巻き回した後加熱硬化することからな
るテープラッピング法;(2)繊維状補強材としてのロ
ービングを樹脂を含浸させながら連続的にマンドレルに
巻きつけるか、又は上記一方向プリプレグシート若しく
はクロスプリプレグシートをテープ状に切断したものを
連続的にマンドレルに巻きつけ、更にその上に、延伸テ
ープを巻き回した後、加熱硬化することからなるフィラ
メントワインディング法;(3)テープラッピング法と
フィラメントワインディング法とを組み合わせた方法;
(4)一方向に引き揃えた繊維状補強材及び/又は繊維
状補強材の織物に樹脂を含浸し、硬化ダイ中に入れ引き
抜くことからなるいわゆるプルートルージョン法等によ
り成形することが出来る。なお、積層パイプは必要に応
じて、表面に切削、研磨、塗装などの後加工を施しても
よい。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例及び比較例で得られたパイプの性能評
価は次の方法で行った。
【0034】(a)対数振動減衰率の測定は、該パイプ
から切り出した所定長さの試料を用いて、nとして6を
採用し前記の方法に従って行った。
【0035】(b)得られたパイプの曲げ弾性率の測定
は、JIS K 6911に規定された曲げ試験方法
(3点曲げ試験方法)に準じて行った。ただし、試験片
としてはパイプそのものを使用し、支点間距離を200
mmとした。この試験の結果に基づき、パイプの曲げ弾
性率Ebを下記式で求めた。
【0036】 Eb=4(L↑3)(F/Δl)/〔3π(D↓1↑4−D↓2↑4)〕
【0037】〔式中、D↓1はパイプの外径(mm)を
表し、D↓2はパイプの内径(mm)を表し、F/Δl
は荷重−たわみ曲線の初期の直線部分のこう配(kg/
mm)を表し、Lは支点間距離(200mm)を表し、
πは円周率(3.14)を表し、Ebは曲げ弾性率(k
g/mm↑2)を表す〕
【0038】(c)管剛性は、得られたパイプより長さ
10mmの試験片を切り取り、加圧盤の間に挟んで荷重
(F)とたわみ量(Δl)との関係を求め、その結果か
ら下記式により求めた。
【0039】Ec=F/Δl
【0040】(式中、Ecは管剛性(kg/mm)、F
/Δlは荷重−たわみ曲線の初期の直線部分の勾配(k
g/mm)を表わす。)
【0041】(d)耐衝撃性の評価は、図6に示す方法
で行った。すなわち、図6に示すように試験片であるパ
イプ10をその一端から1100mmの位置を回転自在
な治具で固定し、さらにパイプ先端に1kgの荷重11
を取り付けた後、パイプを所定の振り落とし角度に持ち
あげて円弧を描くように落下回転させ、一端から300
mmの位置を16φの鉄棒12に当てる。この方法によ
り新しい試験片を用い種々の角度で試験を行った後、肉
眼観察して、パイプの外観にはじめて異常が認められた
時の振り落とし角度(θ)をもって衝撃角度とした。
【0042】実施例1 炭素繊維とエポキシ樹脂からなる一方向引き揃えプリプ
レグ(以下CF−UDPPと記す)、ガラス繊維とエポ
キシ樹脂からなる一方向引き揃えプリプレグ(以下GF
−UDPPと記す)及び全芳香族ポリエステル繊維とエ
ポキシ樹脂からなる一方向引き揃えプリプレグ(以下A
F−UDPPと記す)を用いて、テープラッピング法に
より3層構造の積層パイプを製造した。すなわち、CF
−UDPPとしてトレカ3053(東レ製;繊維目付
量:125g/m↑2;樹脂含有率:30重量%)、G
F−UDPPとしてGE17500−51933N(新
日鉄化学製;繊維目付量:175g/m↑2;樹脂含有
率:36重量%)、AF−UDPPとしてV10000
−51940N〔新日鉄化学製;全芳香族ポリエステル
繊維:ベクトラン(クラレ製);繊維目付量:100g
/m↑2;樹脂含有率:40重量%〕をそれぞれ用い、
ローリングテーブルでこれらをそれぞれ下記表1の巻き
方で4重、7重及び1重となるように外径21mmのマ
ンドレルに順次巻きつけた。
【0043】
【表1】
【0044】このようにして得られたプリプレグが巻き
つけられた芯金にさらに延伸テープをテープラッピング
マシンで巻きつけ、これを加熱炉中で、90℃で30分
間、さらに130℃で90分間加熱することにより、硬
化させた。硬化反応後、芯金を脱型し、延伸テープを除
去することにより、内径21mm、肉厚1.58mm、
長さ1500mm、重量296gの3層構造の積層パイ
プを得た。得られた積層パイプにおける炭素繊維含有
層、ガラス繊維含有層及び全芳香族ポリエステル繊維含
有層の厚みは、それぞれ0.44mm、1.02mm及
び0.12mmであった。積層パイプ中、繊維状補強材
は51体積%を占め、全繊維状補強材に対して全芳香族
ポリエステル繊維は9体積%であった。また積層パイプ
の対数振動減衰率は0.11、曲げ弾性率は1498k
g/mm↑2、管剛性は25kg/mm及び衝撃角度は
130゜であった。
【0045】実施例2本実施例は、この発明には含まれない参考の実施例であ
る。 実施例1で用いたものと同じAF−UDPP、CF
−UDPP及びGF−UDPPを用いて、これらをそれ
ぞれ下記表2の巻き方で1重、4重及び7重となるよう
に芯金に順次巻きつけた以外は、実施例1におけると同
様にして、内径21mm、肉厚1.57mm、長さ15
00mm、重量293gの3層構造の積層パイプを得
た。得られた積層パイプにおける全芳香族ポリエステル
繊維含有層、炭素繊維含有層及びガラス繊維含有層の厚
みは、それぞれ0.12mm、0.44mm及び1.0
1mmであった。積層パイプ中、繊維状補強材は51体
積%を占め、全繊維状補強材に対してAFは8体積%で
あった。また積層パイプの対数振動減衰率は0.10、
曲げ弾性率は1339kg/mm↑2、管剛性は20k
g/mm及び衝撃角度は120°であった。
【0046】
【表2】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 AF−UDPP 0 1 CF−UDPP 45 4 ↓ GF−UDPP 0 2 GF−UDPP 90 3 外側 GF−UDPP 45 2
【0047】実施例3 AF−UDPPの代わりにポリビニルアルコール繊維と
エポキシ樹脂からなる一方向引き揃えプリプレグ(以下
VF−UDPPと記す)を用い、下記表3の巻き方とす
る以外は実施例1におけると同様にして積層パイプを成
形した。VF−UDPPとしては、平均重合度4000
のポリビニルアルコール繊維(クラレ製ビニロンT−7
901−2、1800d/1000f)を繊維状補強材
とする繊維目付量100g/m↑2、樹脂含有量37重
量%のプリプレグを用い、1重巻きとなるように巻きつ
けた。得られた3層構造の積層パイプの内径は21mm
であり、肉厚は1.58mmであり、長さは1500m
mであり、重量は294gであった。得られた積層パイ
プにおける炭素繊維含有層、ガラス繊維含有層及びポリ
ビニルアルコール繊維含有層の厚みは、それぞれ0.4
4mm、1.02mm及び0.12mmであった。積層
パイプ中、繊維状補強材は51体積%を占め、全繊維状
補強材に対してポリビニルアルコール繊維は10体積%
であった。また積層パイプの対数振動減衰率は0.1
2、曲げ弾性率は1303kg/mm↑2、管剛性は2
5kg/mm及び衝撃角度は125゜であった。
【0048】
【表3】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 CF−UDPP 45 4 GF−UDPP 0 2 ↓ GF−UDPP 90 3 GF−UDPP 45 2 外側 VF−UDPP 0 1
【0049】実施例4 実施例1で用いたものと同じAF−UDPP、CF−U
DPP、GF−UDPP及び実施例3で用いたものと同
じVF−UDPPとを、それぞれ下記表4の巻き方で1
重、4重、7重及び1重となるように外径21mmの芯
金に順次巻きつけた。このようにして得られたプリプレ
グが巻きつけられた芯金にさらに延伸テープを巻きつ
け、これを加熱炉中で、90℃で30分間、さらに13
0℃で90分間加熱することにより、内径21mm、肉
厚1.69mm、長さ1500mm、重量312gの4
層構造の積層パイプを得た。得られた積層パイプにおけ
る全芳香族ポリエステル繊維含有層、炭素繊維含有層、
ガラス繊維含有層及びポリビニルアルコール繊維含有層
の厚みは、それぞれ0.12mm、0.44mm、1.
01mm及び0.12mmであった。積層パイプ中、繊
維状補強材は52体積%を占め、全繊維状補強材に対し
てAFとVFは合わせて16体積%であった。また積層
パイプの対数振動減衰率は0.17、曲げ弾性率は13
91kg/mm↑2、管剛性は24kg/mm及び衝撃
角度は130゜であった。
【0050】
【表4】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 AF−UDPP 0 1 CF−UDPP 45 4 GF−UDPP 0 2 ↓ GF−UDPP 90 3 GF−UDPP 45 2 外側 VF−UDPP 0 1
【0051】実施例5 実施例1で用いたものと同じCF−UDPP及びAF−
UDPPをそれぞれ下記表5の巻き方で12重及び2重
となるように外径21mmの芯金に順次巻きつけた以外
は実施例1と同様にして内径21mm、肉厚1.56m
m、長さ1500mm、重量260gの2層構造の積層
パイプを得た。得られた積層パイプにおけるCF含有層
及びAF含有層の厚みはそれぞれ1.32mm及び0.
24mmであった。積層パイプ中、繊維状補強材は61
体積%を占め、全繊維状補強材に対して全芳香族ポリエ
ステル繊維は15体積%であった。また積層パイプの対
数振動減衰率は0.13、曲げ弾性率は1856kg/
mm↑2、管剛性は32kg/mm、衝撃角度は95゜
であった。
【0052】
【表5】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 CF−UDPP 45 4 CF−UDPP 0 4 ↓ CF−UDPP 90 4 外側 AF−UDPP 0 2
【0053】実施例6 CF−UDPPとしてトレカ3051(東レ製;繊維目
付量:175g/m↑2;樹脂含有率:36重量%)、
GF−UDPPとしてGE13500−51933N
(新日鉄化学製;繊維目付量:135g/m↑2;樹脂
含有率:33重量%)及びAF−UDPPとして実施例
1と同じものを用い、ロータリングテーブルでこれらの
一方向に引き揃えられたプリプレグをそれぞれ内側から
下記表6の順序で外径20.7mmのマンドレルに指定
角度及び巻き数で順次巻きつけた。
【0054】
【表6】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 CF−UDPP 90 2 GF−UDPP 90 3 ↓ CF−UDPP 0 3 AF−UDPP 0 1 外側 CF−UDPP 45 2
【0055】このようにして得られたプリプレグが巻き
つけられた芯金に実施例1と同様に延伸テープを巻きつ
け、加熱硬化させ、内径20.7mm、肉厚1.71m
m、長さ1500mm、重量280gの3種ハイブリッ
ドパイプを得た。炭素繊維含有層、ガラス繊維含有層及
び全芳香族ポリエステル繊維含有層の厚みは、それぞれ
1.26mm、0.33mm及び0.12mmであり、
積層パイプ中の繊維状補強材の割合は54体積%、全繊
維状補強材に対する全芳香族ポリエステル繊維の割合は
8体積%であった。また90゜巻層は38体積%、0゜
巻層は40体積%、アングルプライ巻層は22体積%で
あった。得られた積層パイプの対数振動減衰率は0.1
1、曲げ弾性率は2019kg/mm↑2、管剛性は5
6kg/mm及び衝撃角度は120゜であった。この積
層パイプは対数振動減衰率、曲げ剛性、管剛性及び耐衝
撃性に優れバランスの取れたものであった。
【0056】実施例7本実施例は、この発明には含まれない参考の実施例であ
る。 実施例6で用いたものと同じCF−UDPP、GF
−UDPP及びAF−UDPPを用いて、プリプレグの
巻き方を下記表7に示すように変更した以外は実施例1
と同様にして、内径20.7mm、肉厚1.71mm、
長さ1500mm、重量284gの3種ハイブリッドパ
イプを得た。
【0057】
【表7】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 AF−UDPP 90 1 CF−UDPP 90 2 ↓ GF−UDPP 90 3 CF−UDPP 0 3 外側 CF−UDPP 45 2
【0058】炭素繊維含有層、ガラス繊維含有層及び全
芳香族ポリエステル繊維の厚みは、それぞれ1.26m
m、0.33mm及び0.12mmであり、積層パイプ
中の繊維状補強材の割合は53体積%、全繊維補強材に
対する全芳香族ポリエステル繊維の割合は7体積%であ
った。また90゜巻層、0゜巻層及びアングルプライ巻
層は、それぞれ46体積%、32体積%及び22体積%
の割合であった。得られた積層パイプの対数振動減衰率
は0.09、曲げ弾性率は2032kg/mm↑2、管
剛性は53kg/mm及び衝撃角度は110゜であっ
た。
【0059】実施例8 プリプレグの巻き方を下記表8に示すように変更した以
外は実施例1と同様にして、内径21mm、肉厚1.5
8mm、長さ1500mm、重量296gの3種ハイブ
リッド構造の積層パイプを得た。
【0060】
【表8】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 GF−UDPP 90 4 GF−UDPP 0 3 ↓ CF−UDPP 0 2 AF−UDPP 0 1 外側 CF−UDPP 45 2
【0061】得られた積層パイプにおける炭素繊維含有
層、ガラス繊維含有層及び全芳香族ポリエステル繊維含
有層の厚みは、それぞれ0.44mm、1.02mm及
び0.12mmであり、積層パイプ中の繊維状補強材の
割合は52体積%を占め、全繊維状補強材に対する全芳
香族ポリエステル繊維の割合は10体積%であった。ま
た90゜巻層、0゜巻層及びアングルプライ巻層は、そ
れぞれ26体積%、57体積%及び17体積%であっ
た。この積層パイプを評価したところ対数振動減衰率は
0.10、曲げ弾性率は1608kg/mm↑2、管剛
性は34kg/mm及び衝撃角度は130゜であった。
曲げ弾性率はやや低めであるが、対数振動減衰率及び耐
衝撃性に優れバランスのとれた積層パイプであることが
わかる。
【0062】実施例9 プリプレグの巻き方を下記表9に示すように変更した以
外は実施例3と同様にして、内径21mm、肉厚1.5
8mm、長さ1500mm、重量294gの3種ハイブ
リッドの積層パイプを得た。
【0063】
【表9】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 GF−UDPP 90 4 GF−UDPP 0 3 ↓ CF−UDPP 0 2 VF−UDPP 0 1 外側 CF−UDPP 45 2
【0064】得られた積層パイプにおける炭素繊維含有
層、ガラス繊維含有層及びポリビニルアルコール繊維含
有層の厚みは、それぞれ0.44mm、1.02mm及
び0.12mmであり、積層パイプ中の繊維状補強材の
割合は51体積%、全繊維状補強材中のポリビニルアル
コール繊維の割合は11体積%であった。また90゜巻
層、0゜巻層及びアングルプライ巻層は、それぞれ26
体積%、57体積%及び17体積%であった。この積層
パイプを評価したところ対数振動減衰率は0.11、曲
げ弾性率は1503kg/mm↑2、管剛性は34kg
/mm及び衝撃角度は125゜であった。曲げ剛性、管
剛性はやや低くいものの、対数振動減衰率及び耐衝撃性
は良好でバランスのとれた積層パイプであることがわか
る。
【0065】実施例10 プリプレグの巻き方を下記表10に示すように変更し、
外径20.7mmのマンドレルを用いた以外は実施例4
と同様にして、内径20.7mm、肉厚1.69mm、
長さ1500mm、重量312gの4種ハイブリッドの
積層パイプを得た。
【0066】
【表10】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 AF−UDPP 90 1 GF−UDPP 90 4 ↓ GF−UDPP 0 3 CF−UDPP 0 2 VF−UDPP 0 1 外側 CF−UDPP 45 2
【0067】得られた積層パイプにおける全芳香族ポリ
エステル繊維含有層、炭素繊維含有層、ガラス繊維含有
層及びポリビニルアルコール繊維含有層の厚みは、それ
ぞれ0.12mm、0.44mm、1.01mm及び
0.12mmであり、積層パイプ中の繊維状補強材の割
合は52体積%、全繊維状補強材中の全芳香族ポリエス
テル繊維とポリビニルアルコール繊維との割合は16体
積%であった。また90゜巻層、0゜巻層及びアングル
巻層は、それぞれ39体積%、47体積%及び14体積
%であった。この積層パイプを評価したところ対数振動
減衰率は0.14、曲げ弾性率は1476kg/mm↑
2、管剛性は45kg/mm及び衝撃角度は135゜で
あった。曲げ剛性はやや低くいものの、対数振動減衰
率、管剛性及び耐衝撃性は良好でバランスのとれた積層
パイプであることがわかる。
【0068】実施例11 実施例3と同じCF−UDPP及びVF−UDPPの2
種類のプリプレグだけを用い、プリプレグの巻き方を下
記表11に示す以外は実施例1と同様にして、内径21
mm、肉厚1.56mm、長さ1500mm、重量26
0gの2種ハイブリッドの積層パイプ0得た。
【0069】
【表11】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 CF−UDPP 90 6 CF−UDPP 0 4 ↓ CF−UDPP 45 2 外側 VF−UDPP 45 2
【0070】得られた積層パイプにおける炭素繊維含有
層及びポリビニルアルコール繊維含有層の厚みは、それ
ぞれ1.32mm及び0.24mmであり、積層パイプ
中の繊維状補強材の割合は62体積%、全繊維状補強材
中のポリビニルアルコール繊維の割合は16体積%であ
った。また90゜巻層、0゜巻層及びアングル巻層は、
それぞれ41体積%、28体積%及び31体積%であっ
た。この積層パイプを評価したところ対数振動減衰率は
0.15、曲げ弾性率は1798kg/mm↑2、管剛
性は63kg/mm及び衝撃角度は105゜であった。
【0071】比較例1 実施例1で用いたものと同じCF−UDPPを外径21
mmの芯金に14重となるように巻きつけ、さらにその
上に延伸テープを巻きつけた。以下、実施例1における
と同様にして、加熱硬化、脱型及びテープ除去を行うこ
とにより、内径21mm、肉厚1.54mm、長さ15
00mm、重量264gの単層構造のパイプを得た。得
られたパイプの対数振動減衰率は0.06であり、曲げ
弾性率は2133kg/mm↑2であった。該パイプは
振動減衰性能に劣るものである。
【0072】比較例2 実施例1で用いたものと同じGF−UDPPを外径21
mmの芯金に11重となるように巻きつけ、さらその上
に延伸テープを巻きつけた。以下、実施例1におけると
同様にして、加熱硬化、脱型及びテープ除去を行うこと
により、内径21mm、肉厚1.59mm、長さ150
0mm、重量320gの単層構造のパイプを得た。得ら
れたパイプの対数振動減衰率は0.07であり、曲げ弾
性率は1150kg/mm↑2であった。該パイプは振
動減衰性能に劣るものである。
【0073】比較例3 実施例1で用いたものと同じAF−UDPPを外径21
mmの芯金に13重となるように巻きつけ、さらその上
に延伸テープを巻きつけた。以下、実施例1におけると
同様にして、加熱硬化、脱型及びテープ除去を行うこと
により、内径21mm、肉厚1.56mm、長さ150
0mm、重量228gの単層構造のパイプを得た。得ら
れたパイプの対数振動減衰率は0.21であったが、曲
げ弾性率は692kg/mm↑2であった。該パイプは
剛性に劣るものである。
【0074】比較例4 実施例6と同じCF−UDPP及びGF−UDPPの2
種類のプリプレグだけを用い、プリプレグの巻き方を下
記表12に示す以外は実施例6と同様にして、内径2
0.7mm、肉厚1.70mm、長さ1500mm、重
量252gの2種ハイブリッドパイプを得た。
【0075】
【表12】 プリプレグ 角度(゜) 巻き数(重) 内側 CF−UDPP 90 2 GF−UDPP 90 3 ↓ CF−UDPP 0 4 外側 CF−UDPP 45 2
【0076】得られた積層パイプにおける炭素繊維含有
層及びガラス繊維含有層の厚みは、それぞれ1.37m
m及び0.33mmであり、積層パイプ中の全繊維補強
材の割合は57体積%であった。また90゜巻層、0゜
巻層及びアングルプライ巻層は、それぞれ45体積%、
41体積%及び14体積%であった。この積層パイプを
評価したところ対数振動減衰率は0.07、曲げ弾性率
は2170kg/mm↑2、管剛性は58kg/mm及
び衝撃角度は95゜であった。この結果から、この積層
パイプは対数振動減衰性及び耐衝撃性に劣ることがわか
る。
【0077】比較例5 内径21mm、肉厚1.61mm、長さ1500mmの
アルミニウムパイプの重量を測定してところ、556g
であった。また、そのパイプの対数振動減衰率は0.0
5であった。該パイプは重く、振動減衰性に劣るもので
ある。
【0078】試験例 上記実施例1〜11及び比較例1〜5で得られた各パイ
プを刈払機操作桿の主管として用いて、一端にエンジン
からなる動力部、他端に円板状回転刃からなる刃物部、
動力部と刃物部とを指示する操作桿主管、該主管に内蔵
された動力伝達用主軸、及び該主管に設置された把手部
を主たる構成要素とする刈払機を組立てた。これらの刈
払機を用いて、刈払作業を行った。
【0079】実施例1〜11でそれぞれ得られたパイプ
が用いられた刈払機では、比較例1、2及び4でそれぞ
れ得られたパイプが用いられた刈払機と比較して動力部
及び刃物部から発生する振動の作業者の手への伝達が軽
減されていること、および特に実施例6〜11の場合に
は実用上の衝撃にも耐えうることが認められ、また比較
例5のアルミニウムパイプが用いられた刈払機と比較し
て、振動の伝達の軽減が認められるとともに重量感の軽
減が認められた。その結果、実施例1〜11、特に実施
例6〜11でそれぞれ得られたパイプが用いられた刈払
機を使用した場合には、比較例1、2、4及び5でそれ
ぞれ得られたパイプが用いられた刈払機を使用した場合
と比較して、作業者の疲労が大幅に軽減され、作業能率
が向上した。
【0080】なお、比較例3で得られたパイプが用いら
れた刈払機では、操作桿主管の剛性が不十分であるた
め、刃先の振れが大きく、実用性に欠けるものであっ
た。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、上記の実施例から明ら
かなとおり、軽量であり、振動減衰性に優れ、かつ高い
機械的強度及び剛性を有するパイプが提供される。本発
明のパイプは、このような特徴を有することから、刈払
機などの携帯機具などの管状部品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層パイプの一例を示す一部断面図で
ある。
【図2】本発明の積層パイプの他の一例を示す一部断面
図である。
【図3】本発明の積層パイプのさらに他の一例を示す一
部断面図である。
【図4】本発明の積層パイプを特定する対数振動減衰率
を測定するための試験方法を示す図である。
【図5】パイプの軸方向での伸縮振動の波形の一例を示
す図である。
【図6】パイプの耐衝撃性を測定するための試験方法を
示す図である。
【符号の説明】
1、1′ 層(イ) 2、2′ 層(ロ) 3、10 パイプ 4 固定具 5 鋼球 6、6′ 歪ゲージ 11 荷重 12 鉄棒

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機繊維と樹脂からなる複合材料よりな
    る層(イ)の少なくとも層と、無機繊維と樹脂からな
    る複合材料よりなる層(ロ)の少なくとも一層とが積層
    一体化され、対数振動減衰率が0.08以上であって、
    かつ曲げ弾性率が1,000kg/mm2 以上であり、
    前記層(イ)は、内径(di)が次式(2)を満足する
    の少なくとも一層および外径(do)が次式(1)を
    満足する層の少なくとも一層のみからなることを特徴と
    する積層パイプ。 do<(3Di+Do)/4 (1) di>(Di+3Do)/4 (2) ここで、Diは、積層パイプの内径であり、Doは、積
    層パイプの外径である。
  2. 【請求項2】 有機繊維と樹脂からなる複合材料よりな
    る層(イ)の少なくとも一層と、無機繊維と樹脂からな
    る複合材料よりなる層(ロ)の少なくとも一層とが積層
    一体化され、対数振動減衰率が0.08以上であって、
    かつ曲げ弾性率が1,000kg/mm2 以上であり、
    前記層(イ)は、内径(di)が次式(2)を満足する
    の少なくとも一層のみからなることを特徴とする積層
    パイプ。 di>(Di+3Do)/4 (2) ここで、Diは、積層パイプの内径であり、Doは、積
    層パイプの外径である。
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