JPH05237971A - 積層パイプ - Google Patents

積層パイプ

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JPH05237971A
JPH05237971A JP4078616A JP7861692A JPH05237971A JP H05237971 A JPH05237971 A JP H05237971A JP 4078616 A JP4078616 A JP 4078616A JP 7861692 A JP7861692 A JP 7861692A JP H05237971 A JPH05237971 A JP H05237971A
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Hajime Horiuchi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量にして強度、耐衝撃性および振動減衰性
にバランスのとれたパイプを提供することにある。 【構成】 有機繊維と樹脂よりなる複合材料からなる層
が金属パイプに積層一体化され、対数振動減衰率が0.
003以上である積層パイプ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機繊維と樹脂よりな
る複合材料からなる層を金属パイプに設けてなる振動減
衰性に優れた積層パイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属パイプは、構造材料として幅
広く使用されてきており、特に軽量化が望まれる分野で
は鉄パイプの代わりに比重の軽いアルミニウムパイプや
合金製パイプが使用されている。近年さらなる軽量化の
要望があるためこの要望に応えて比重のより軽いプラス
チック材料によるパイプも開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、金属パイプで
は軽量化の点で不十分であるのみならず、構造材料とし
て使用した場合、振動減衰性が小さいために振動が人体
に伝達し易く、不快感等の負担を与えるという欠点を有
していた。一方、プラスチック材料によるパイプは、振
動減衰性の点では金属パイプより良いものの、構造材と
しての強度、剛性に劣ることが多く、このため強度、剛
性に優れたカーボン繊維、ガラス繊維などと樹脂を複合
一体化させた繊維強化プラスチック製のパイプも開発さ
れているが、耐衝撃性等の面で十分でないという問題が
あった。
【0004】したがって、本発明の目的は、軽量にして
強度、耐衝撃性および振動減衰性にバランスのとれたパ
イプを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような上
記問題を解消した積層パイプを提供しようとするもので
ある。すなわち、本発明によれば上記目的は、有機繊維
と樹脂よりなる複合材料からなる層が金属パイプに積層
一体化され、対数振動減衰率が0.003以上である積
層パイプによって達成される。
【0006】本発明に用いられる複合材料は、補強材で
ある有機繊維とマトリックス樹脂とより成る。補強材と
しての有機繊維としては、全芳香族ポリエステル繊維
(以下AFと略称することがある)、ポリビニルアルコ
ール繊維(以下VFと略称することがある)、全芳香族
ポリアミド繊維などが挙げられ、全芳香族ポリエステル
繊維が好ましく用いられる。これらの有機繊維には、本
発明の目的を害しない範囲で無機繊維である炭素繊維
(以下CFと略称することがある)、ガラス繊維(以下
GFと略称することがある)等と複合して用いることも
できる。これらの繊維の形態としては、特に制限はない
が、ロービングを引き揃えたもの、長繊維を使用してい
る織布、単繊維及び長繊維の不織布等が挙げられる。ま
たマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹
脂;ポリイミド樹脂、ポリエーテル・エーテルケトン、
ポリエーテルサルホンなどの熱可塑性樹脂を用いること
ができる。補強材としての繊維の使用割合は、繊維と樹
脂よりなる全複合材料に対して、繊維体積パーセントと
して20〜70vol%の範囲で用いられる。
【0007】補強材としての繊維にマトリックス樹脂を
含浸一体化した複合材料からなる層と金属パイプとから
なる積層パイプにおいて、有機繊維を含有した複合材料
層は、軽量性・衝撃強度・振動減衰性等の向上に特徴を
有し、一方金属パイプは、強度・衝撃性・剛性・導電性
に特徴を有する。本発明の積層パイプで使用される全芳
香族ポリエステル繊維を構成する全芳香族ポリエステル
とは、芳香族ヒドロキシ酸、芳香族ジカルボン酸、芳香
族ジオールなどの2官能性の芳香族化合物を主たるモノ
マーとするポリエステルであり、その例として、p−ヒ
ドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を
主たるモノマーとし、かつ溶融時異方性を示す全芳香族
共重合ポリエステルなどの液晶性全芳香族ポリエステル
が挙げられる。また、ポリビニルアルコール繊維を構成
するポリビニルアルコールの重合度は1500以上であ
ることが好ましい。さらにまた全芳香族ポリアミド繊維
を構成する全芳香族ポリアミドは、芳香族ジアミンと芳
香族ジカルボン酸化合物を主たるモノマーとするポリア
ミドであり、p−フェニレンテレフタルアミドなどがあ
る。有機繊維としては、特に制限はなく、上記有機繊維
が好ましく用いられ、通常引っ張りでの伸び率が2.0
%以上である。本発明の金属パイプとしては、鉄パイ
プ、アルミニウムパイプ、銅パイプ等が挙げられ、軽量
性の点でアルミニウムパイプが好ましく用いられる。本
発明の積層パイプにおいては、有機繊維と樹脂よりなる
複合材料からなる層と金属パイプとの間もしくは該複合
材料からなる層の外側にカーボン繊維、ガラス繊維等の
無機繊維と樹脂よりなる複合材料からなる層が介在して
もよく、介在した方が強度等の点では好ましい。
【0008】本発明の積層パイプは、対数振動減衰率が
0.003以上であることが必要である。対数振動減衰
率が0.003未満である場合には、パイプの振動減衰
性能が不十分となり好ましくない。対数振動減衰率の値
が高い程パイプの振動減衰性が向上するので、重量等他
に制約のない限りパイプの対数振動減衰率は0.005
以上であることが好ましく、0.010以上であること
がより好ましい。なおかかる対数振動減衰率は次の方法
によって求められた値である。積層パイプをその両端よ
り0.224(パイプ長さ比)に相当する部分をそれぞ
れ200mmの長さのタコ糸で吊し水平に保持する。こ
のパイプに一過性の振動を与え、その曲げ振動を検知す
る。検出方法としてはパイプ中心部より軸上10mmず
らした位置の真上に上下運動の加速度を測定できる加速
度計ピックアップを、その真下のパイプ位置に歪ゲージ
を軸方向向きにそれぞれ貼り付ける。歪ゲージからの信
号を、ブリッジボックスを介して動歪測定器に伝達し、
該動歪測定器で検知された伸縮振動の変位を記録計で波
形として記録する事により、その周波数を求める。ま
た、加速度ピックアップよりの信号は、振動計を通し、
記録計にてその加速度の変化を記録する。対数振動減衰
率は、加速度ピックアップより検出される加速度の変化
の傾きより求められる。すなわち傾きをD(dB/se
c)、振動周波数fn(Hz)、対数振動減衰率δとす
ると次式により求めることができる(騒音対策ハンドブ
ック:日本音響材料協会編;技報堂(1975年))。 δ=π×D/(27.29×fn) (但し、πは円周率を表わす)
【0009】本発明の積層パイプにおいて有機繊維を含
んだ層は、振動減衰性に主として寄与し、金属層は、剛
性などの機械的強度に寄与する。これらの効果を十分に
発現させるうえで、有機繊維を含んだ層は、0.1mm
以上、好ましくは0.3〜0.6mmであることが望ま
しく、金属層の厚みも0.5mm以上、好ましくは0.
8〜3mmであることが望ましい。積層パイプの振動減
衰性及び機械的強度の両方が特に良好となる点から金属
層の体積は、積層パイプ全体の10〜90vol%を占
めることが好ましく、積層パイプの30〜70vol%
を占めることがより好ましい。また、同様の観点から有
機繊維を含んだ層(以下層(イ)と称することがある)
の占める割合は、パイプ中の3〜90vol%を占める
ことが好ましく、7〜70vol%を占めることがより
好ましい。
【0010】本発明の積層パイプでは、パイプの寸法;
層(イ)の配置及び厚み;AF及び/又はVFの形態及
び使用量;マトリックス樹脂の種類及び使用量等を適宜
選択することによって対数振動減衰率を0.003以上
の値とすることができる。積層パイプの機械的強度を高
い水準に保持しながら対数振動減衰率を効果的に向上さ
せうる点において、積層構造における層(イ)の配置は
特に重要である。本発明の積層パイプでは、層(イ)の
少なくとも一層を内周近傍及び/又は外周近傍に位置さ
せることが、優れた振動減衰性と高い機械的強度とを両
立させるうえで好ましい。すなわち、積層パイプの内径
をDl(mm)、Do(mm)とするとき、層(イ)の
少なくとも一層が、式
【0011】do<(3Di+Do)/4
【0012】を満足する外径do(mm)を有するか、
又は
【0013】di>(Di+3Do)/4
【0014】を満足する内径di(mm)を有すること
が好ましい。層(イ)の少なくとも一層を積層パイプの
最内層及び/又は最外層として存在させる場合には、層
(イ)のパイプの対数振動減衰率の向上への寄与はとり
わけ大となる。またこの場合、露出した層(イ)の表面
に切削、研磨等の後加工を施す必要があれば、該露出し
た層(イ)を加工性の良好なVFとマトリックス樹脂か
らなる複合材で構成することが好ましい。
【0015】本発明の積層パイプは、たわみ量が60m
m以下、好ましくは50mm以下であることが望まし
い。たわみ量は、パイプを支点間距離1,400mmと
してその中心に10kgの荷重を掛けた時のパイプ中心
部のたわみを測定することにより求めることができる。
【0016】本発明のパイプは衝撃角度30°以上、好
ましくは40°以上、より好ましくは50°以上である
ことが衝撃強度向上の点で望ましい。衝撃強度を測定す
る方法を以下に述べる。まず積層パイプを水平に支点間
距離(S)で固定する。また先端に6kgの荷重を取付
けた金属棒(外径22mm)の一端を回転できるように
固定する。次いで積層パイプの中心を前記金属棒の振り
上げ角度を変えて衝撃を加えることにより積層パイプの
破損状態を確認する。この場合の金属棒の回転固定部か
ら衝撃点までは800mm、荷重部までの距離は1,1
00mmとした。またパイプ長さ(L)と支点間距離
(S)は、以下の関係とした。
【0017】積層パイプの長さ(L)=(D1・D1−
D2・D2)・π
【0018】支点間距離(S)=2L/3
【0019】(但し、D1は積層パイプの外径、D2は
積層パイプの内径、πは円周率を表す。)
【0020】上記の方法により、パイプの破壊や変形の
見られる最小の角度を求め、その角度を衝撃角度とし
た。
【0021】本発明の積層パイプは、複合材料製積層パ
イプの製法として公知の種々の製法により製造可能であ
る。例えば(1)一方向に引き揃えた繊維状補強材に樹
脂を含浸させた一方向プリプレグシート又は織布に樹脂
を含浸させたクロスプリプレグシートを用い、所望の繊
維配向度で金属パイプに積層巻き回し、更にその上に、
加熱収縮テープを巻き回した後加熱硬化することからな
るテープラッピング法;(2)繊維状補強材としてのロ
ービングを樹脂含浸させながら連続的に金属パイプに巻
きつけるか、又は上記一方向プリプレグシート若くはク
ロスプリプレグシートをテープ状に切断したものを連続
的に金属パイプに巻きつけ、更にその上に、加熱収縮テ
ープを巻き回した後、加熱硬化することからなるフィラ
メントワインディング法;(3)テープラッピング法と
フィラメントワインディング法とを組み合わせた方法等
により成形することが出来る。また、上記各種方法にお
いて、金属パイプの代わりにマンドレルを用いあらかじ
め複合材料層を形成し、これを金属パイプの外側又は内
側に積層してもよい。なお、必要に応じて、表面に切
削、研磨、塗装などの後加工を施してもよい。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0023】実施例1 AFとエポキシ樹脂からなる一方向引き揃えプリプレグ
(以下AF−UDPPと記す)とアルミパイプを用いて
テープラッピング法により2層構造の積層パイプを製造
した。すなわち、AF−UDPPとしてV10000−
51940N[新日鉄化学製;AF:ベクトラン(クラ
レ製);繊維目付量:100g/m2;樹脂含有率:4
0重量%]を用いローリングテーブルで外径24mm、
肉厚1.0mmのアルミパイプ上に4重となるように巻
き付けた。こうして得られたプリプレグが巻き付けられ
たアルミパイプにさらに加熱収縮テープをテープラッピ
ングマシンで巻き付けこれを加熱炉中で90℃で30分
間、さらに130℃で90分間加熱することにより、硬
化させた。硬化反応後収縮テープを除去することによ
り、内径22mm、肉厚1.48mm、長さ1500m
m、重量368gの2層構造の積層パイプを得た。積層
パイプ中、金属材料は66vol%を占め、AFは19
vol%であった。また、積層パイプの対数振動減衰率
は0.014であり、たわみ量は14mm、衝撃角度は
50°であった。衝撃角度40°ではパイプの損傷、A
F層の剥離切断は見られなかった。
【0024】実施例2 VFとエポキシ樹脂からなる一方向引き揃えプリプレグ
(以下VF−UDPPと記す)とCFとエポキシ樹脂か
らなる一方向引き揃えプリプレグ(以下CF−UDPP
と記す)とアルミパイプを用いて実施例1におけると同
様にして積層パイプを作製した。VF−UDPPとして
は、平均重合度4000のクラレ製ビニロンT−790
1−2のVFを繊維状補強材とする繊維目付量100g
/m2、樹脂含有量37重量%のプリプレグを用い、C
F−UDPPとしてトレカ3053S(東レ製;繊維目
付量125g/m2;樹脂含有量30重量%)を用い、
これらを4重、1重となるように内径20.8mm、肉
厚1mmのアルミパイプに順次巻き付けた以外は、実施
例1におけると同様にして内径20.8mm、肉厚1.
60mm、長さ1500mm、重量365gの3層構造
の積層パイプを得た。得られた積層パイプにおけるCF
含有層、VF含有層及びアルミ層の厚みは、各々0.1
2mm、0.48mm及び1.00mmであった。積層
パイプ中のアルミニウムは61vol%、VFは18v
ol%であった。また、積層パイプの対数振動減衰率は
0.010であり、たわみ量は13mm、衝撃角度は4
0°であった。衝撃角度30°ではパイプの損傷は見ら
れなかった。
【0025】実施例3 実施例1で用いたものと同じAF−UDPPを用い、ロ
ーリングテーブルでこれを4重になるように外径21m
mの芯金(マンドレル)に巻き付けた。これを実施例1
と同様な方法で収縮テープを巻き、硬化させた。硬化反
応後、芯金を脱型し、加熱収縮テープを除去し、内径2
1mm、肉厚0.48mm、長さ1500mm、重量5
6gのパイプ状物を得た。このパイプ状物を内径22.
00、肉厚1.00mmの鉄パイプに接着剤を使用し、
挿入貼り付けた。このパイプは内径21.00mm、肉
厚1.50mm、長さ1500mm、重量901gの2
層構造の積層パイプを得た。得られた積層パイプにおけ
る積層パイプ中鉄は68vol%、AFは17vol%
であった。また、積層パイプの対数振動減衰率は0.0
07であり、たわみ量は7mm、衝撃角度は60°であ
った。衝撃角度50°ではパイプの損傷は見られなかっ
た。
【0026】比較例1 実施例1で用いたものと同じアルミパイプ(外径24m
m、肉厚1.0mm、長さ1,500mm、重量308
g)の対数振動減衰率は0.001であり、たわみ量は
16mmであった。また衝撃角度は50°で、この時パ
イプの若干の曲がりが見られた。この結果から該パイプ
は振動減衰性に劣るものであることがわかる。
【0027】比較例2 実施例2のCF−UDPPと実施例1のアルミパイプを
用いて、CF−UDPP4層を外径24.0mm、肉厚
1mmのアルミパイプに巻き付け、実施例1におけると
同様にして内径22.0mm、肉厚1.46mm、長さ
1500mm、重量352gの2層構造の積層パイプを
得た。積層パイプの対数振動減衰率は0.002であ
り、たわみ量は19mmであった。また衝撃角度は28
°で、この時CF層亀裂が見られた。この結果から該パ
イプは振動減衰性及び衝撃特性に劣るものであることが
わかる。
【0028】比較例3 GFとエポキシ樹脂からなる一方向引き揃えプリプレグ
(以下GF−UDPPと記す)を用いてテープラッピン
グ法によりパイプ状物を製造した。。すなわち、GF−
UDPPとしてGE17500−51933N(新日鉄
化学製:繊維目付量;175g/m2;樹脂含有量36
重量%)を用いローリングテーブルでこれを11重とな
るように外径21mmの芯金に巻き付けた。これを実施
例3と同様な方法でGF複合材料のみのパイプを製造し
た。パイプ内径は21mm、肉厚1.59mm、長さ
1,500mm、重量320gであった。得られたパイ
プの対数振動減衰率は、0.002であり、たわみ量は
43mmであった。また衝撃角度は30°で、この時パ
イプの破壊が見られた。この結果から該パイプは、振動
減衰性、衝撃特性に劣るものであることがわかる。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、軽
量化することができ、また強度、耐衝撃性および振動減
衰性にバランスのとれた積層パイプを提供することがで
きる。本発明の積層パイプは、このような特徴を有する
ことから、刈払機などの携帯機具などの管状部品として
有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機繊維と樹脂よりなる複合材料からな
    る層が金属パイプに積層一体化され、対数振動減衰率が
    0.003以上であることを特徴とする積層パイプ。
  2. 【請求項2】 有機繊維が全芳香族ポリエステル繊維で
    ある請求項1記載の積層パイプ。
  3. 【請求項3】 金属パイプが、アルミニウムパイプであ
    る請求項1又は2記載の積層パイプ。
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