JP2002347148A - 繊維強化複合材料製管状体およびそれを用いてなるゴルフクラブシャフト - Google Patents

繊維強化複合材料製管状体およびそれを用いてなるゴルフクラブシャフト

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JP2002347148A
JP2002347148A JP2001160668A JP2001160668A JP2002347148A JP 2002347148 A JP2002347148 A JP 2002347148A JP 2001160668 A JP2001160668 A JP 2001160668A JP 2001160668 A JP2001160668 A JP 2001160668A JP 2002347148 A JP2002347148 A JP 2002347148A
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tubular body
fiber
composite material
layer
reinforced composite
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JP2001160668A
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English (en)
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Shunsaku Noda
俊作 野田
Hajime Kishi
肇 岸
Hiroyuki Takiyama
浩之 瀧山
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ゴルフクラブシャフト等に好適に使用できる、
高いねじり強さを有する繊維強化複合材料を提供するこ
と。 【解決手段】複数の繊維強化複合材料層を積層してなる
管状体であって、強化繊維方向が管状体の主軸に対して
25〜65°のバイアス層と、その外周側に積層してな
る、強化繊維方向が管状体主軸に対して0〜20°のス
トレート層を含んでなり、前記バイアス層とストレート
層のマトリックス樹脂含有率が13重量%以上30重量
%以下であり、かつ、130℃で2時間硬化して得られ
た前記バイアス層およびストレート層を構成する繊維強
化複合材料のガラス転移温度Tg(℃)とゴム状態の弾
性率G’r(MPa)が特定式を満足する繊維強化複合
材料製管状体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化複合材料
で構成される管状体に関する。詳しくは、軽量かつねじ
り強さに優れ、ゴルフクラブシャフト、バドミントンラ
ケット等のスポーツ用具、航空宇宙構造体、トラス、マ
スト、船舶、自動車のプロペラシャフトに好適に用いら
れる管状体に関する。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂とからなる
繊維強化複合材料は、軽量で力学特性に優れるために、
スポーツ用途をはじめ、航空宇宙用途、一般産業用途に
広く用いられている。
【0003】スポーツ用途において、繊維強化複合材料
は管状体に成形され、ゴルフクラブシャフト、釣り竿、
テニスやバトミントンのラケット等に使用されている。
【0004】ゴルフクラブシャフトや釣り竿等には、軽
量性能、高度の材料剛性、材料強度が要求されるため、
強化繊維には炭素繊維が、マトリックス樹脂にはエポキ
シ樹脂がそれぞれ用いられる。
【0005】昨今のゴルフクラブシャフトや釣り竿の高
性能化、高品位化に伴い、その材料である管状体に要求
される性能もますます厳しくなりつつある。
【0006】かかる管状体の軽量性能をさらに向上さ
せ、材料剛性、材料強度を高めるべく、実開昭62−3
3872号公報、特開平9−327536号公報に、バ
イアス層とストレート層から構成されるシャフトの外周
にバイアス層を設ける方法が開示されている。
【0007】しかし、これら技術によれば、シャフトを
軽量化するための対応が不十分であるか、又は、積層数
が増して、製造工程が煩雑になる等の問題があった。
【0008】特開平4−218179号公報には、ねじ
り強さを高めるため、強化層を配する技術が開示されて
おり、特開平6−114131号公報には、各層を強化
繊維の方向を基準として対称に積層する技術が開示され
ている。
【0009】しかし、これら技術によれば、管状体の重
量がかさみ、また、積層数が増して製造工程も煩雑とな
るため、製造コスト的にも不利になるといった問題があ
った。
【0010】一方、特開2000−263653号公報
には、低弾性率炭素繊維を、管状体の主軸に対して+3
5〜+55°及び−35〜−55°の配向角で配する方
法が開示されている。
【0011】しかし、この技術によれば、シャフトの剛
性が損なわれ、管状体にねじり力を加えたときにねじり
角が大きくなり、例えばゴルフクラブシャフトとして用
いた場合、打ったボールの方向安定性が得られない等の
問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した問題点を解決し、ゴルフクラブシャフト等に好適に
使用できる、高いねじり強さを有する繊維強化複合材料
管状体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維強化複合材
料管状体は、上記目的を達成するため、次の構成を有す
る。即ち、複数の繊維強化複合材料層を積層してなる管
状体において、強化繊維方向が管状体の主軸に対して2
5〜65°のバイアス層と、その外周側に積層してな
る、強化繊維方向が管状体主軸に対して0〜20°のス
トレート層を含んでなり、前記バイアス層とストレート
層のマトリックス樹脂含有率が13重量%以上30重量
%以下であり、かつ、130℃で2時間硬化して得られ
た前記バイアス層およびストレート層を構成する繊維強
化複合材料のガラス転移温度Tg(℃)とゴム状態の弾
性率G’r(MPa)が次式(1)と(2)を満足する
繊維強化複合材料製管状体である。
【0014】70℃≦Tg≦130℃ ・・・(1) 50MPa≦G’r≦170MPa ・・・(2)
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の管状体では、強化繊維方
向が管状体の主軸に対して25〜65°のバイアス層
と、その外周側に積層してなる、強化繊維方向が管状体
主軸に対して0〜20°のストレート層を含んでなり、
130℃で2時間硬化して得られる前記バイアス層およ
びストレート層を構成する繊維強化複合材料において、
周波数1Hzでの動的粘弾性測定により得られる貯蔵弾
性率G’−温度曲線のガラス状態由来の直線部分と転移
状態由来の直線部分の外挿直線の交点温度であるガラス
転移温度Tg(℃)および転移状態由来の直線部分とゴ
ム状態由来の直線部分の外挿直線の交点弾性率であるゴ
ム状態の弾性率G'r(MPa)が特定の範囲を満たす
ことが必要である(図1)。
【0016】具体的には、ガラス転移温度Tgが、次式
(1)で示す範囲を満足することが必要である。
【0017】70℃≦Tg≦130℃ ・・・(1) 70℃未満であると管状体に充分な耐熱性が得られず、
例えばゴルフクラブシャフトとして用いた場合、夏季の
車のトランク内のような高温にさらされた場合にシャフ
トが変形する等の不都合が生じることがあるので好まし
くなく、130℃を越えるとマトリックス樹脂の変形能
力が低くなり、管状体のねじり強さが損なわれることが
あるので好ましくない。
【0018】また、本発明では、130℃で2時間硬化
して得られるバイアス層およびストレート層を構成する
繊維強化複合材料のゴム状態の弾性率G’が、次式
(2)で示す範囲を満足することが必要であり、好まし
くは式(3)で示す範囲を満足するのが良い。
【0019】 50MPa≦G’r≦170MPa ・・・(2) 50MPa≦G’r≦120MPa ・・・(3) 50MPa未満であると、管状体に充分な剛性、耐熱性
が得られず、例えばゴルフクラブシャフトとして用いた
場合、打ったボールの方向安定性が得られない等の不都
合が生じることがあるので好ましくなく、170MPa
を越えると、マトリックス樹脂の変形能力が低くなり、
管状体のねじり強さが損なわれることがあるので好まし
くない。
【0020】さらに、本発明では、バイアス層とストレ
ート層に用いるマトリックス樹脂の含有率が13重量%
以上30重量%以下であることが必要である。マトリッ
クス樹脂含有率が13重量%未満であると、得られた成
形物にボイド(空隙)が生じ充分な力学物性が発現でき
ないことがあるので好ましくなく一方、マトリックス樹
脂含有率が30重量%を越えると成形物の軽量化を高め
る効果が損なわれることがあるので好ましくない。
【0021】本発明の管状体において、バイアス層およ
びストレート層に用いる強化繊維の引張弾性率E(GP
a)はが次式(4)を満足することが好ましく(請求項
1に記載の要件ではありませんので必須ではない)、よ
り好ましくは式(5)で示す範囲を満足するのが良い。
【0022】 200GPa≦E≦650GPa ・・・(4) 200GPa≦E≦500GPa ・・・(5) 200GPa未満であると、管状体に充分な剛性が得ら
れず、例えばゴルフクラブシャフトとして用いた場合、
打ったボールの方向安定性が得られない等の不都合が生
じることがあるので好ましくなく、650GPaを越え
ると、強化繊維の圧縮強度が低くなり、管状体のねじり
強さが損なわれることがあるので好ましくない。
【0023】バイアス層は、管状体の主軸に対する強化
繊維方向が25〜65°であることが必要であり、好ま
しくは35〜55°であるのが良い。25〜65°の角
度範囲から外れると、ねじり強さが損なわれることがあ
るので好ましくない。
【0024】また、管状体主軸に対し強化繊維方向が互
いに軸対称をなす、2層構造のバイアス層を備えていて
も良い。
【0025】バイアス層の繊維目付は、好ましくは50
〜200g/m2、より好ましくは70〜150g/m2
であるのが良い。50〜200g/m2の範囲から外れ
ると、軽量化を高める効果や管状体の成形性が損なわれ
ることがあるので好ましくない。
【0026】また、バイアス層のボイド含有率は、ねじ
り強さを維持する観点から、好ましくは5体積%未満、
より好ましくは3体積%未満、さらに好ましくは1体積
%未満であるのが良い。
【0027】本発明の管状体において、ストレート層
は、管状体の主軸に対する強化繊維方向が0〜20°で
あることが必要であり、好ましくは0〜10°であるの
が良い。0〜20°の範囲から外れると、曲げ応力に対
する強度が不足することがあるので好ましくない。
【0028】ストレート層の繊維目付は、好ましくは5
0〜200g/m2、より好ましくは70〜150g/
2であるのが良い。50〜200g/m2の範囲から外
れると、軽量化を高める効果や管状体の成形性が損なわ
れることがあるので好ましくない。
【0029】また、ストレート層のボイド含有率は、管
状体に加わる曲げ、衝撃、押し潰し(圧壊)の力に対す
る耐力を高める観点から、好ましくは5体積%未満、よ
り好ましくは3体積%未満、さらに好ましくは1体積%
未満であるのが良い。
【0030】本発明の管状体において、ストレート層
は、バイアス層の外周側に配する必要がある。ストレー
ト層が、バイアス層の内周側のみに配されていると、管
状体のねじり強さが大きく損なわれることがあり、好ま
しくない。
【0031】本発明における、このような管状体の積層
構成が、管状体のねじり強さを効率的に高める理由とし
ては、管状体にねじりの力が負荷された場合、バイアス
層の強化繊維方向圧縮と剪断さらにはストレート層の剪
断及びバイアス層とストレート層との層間剥離などが破
壊因子となり得るということが推定される。本発明で
は、これらの応力に対し、繊維強化複合材料の動的粘弾
性測定により得られるパラメータがある特定の条件を満
たし、かつマトリックス樹脂含有率が比較的少ない領域
で管状体のねじり特性が大きく向上することを見出し
た。
【0032】本発明の管状体では、上述したバイアス
層、ストレート層の他、様々な方向の強化繊維を含む層
を配することによって、管状体に多様な性能を具備させ
ることができる。例えば、側方からの押し潰し力(圧壊
力)に抗する耐力を具備させるために、管状体の主軸に
対し強化繊維方向が75°〜90°となるフープ層を、
例えばバイアス層とストレート層との間に配することが
できる。
【0033】本発明において、複合材料に用いる強化繊
維には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン
繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等が使用できる。
【0034】これらの繊維を2種以上混在させることも
できるが、より軽量かつ高耐久性の成形品を得るため
に、炭素繊維を用いるのが良く、中でも引張弾性率が好
ましくは200〜650GPa、より好ましくは200
〜500GPaの炭素繊維を用いるのが良い。引張弾性
率が200GPa未満であると、材料剛性が低下するこ
とがあるので好ましくなく、650GPaを越えると、
材料強度が低下することがあるので好ましくない。
【0035】本発明において、マトリックス樹脂として
は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエ
ステル樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、又はポリアミ
ド等の熱可塑性樹脂を使用できるが、力学物性、耐熱
性、寸法安定性、耐薬品性、及び成形性等の面から、エ
ポキシ樹脂を使用するのが好ましい。
【0036】エポキシ樹脂を用いる場合、靭性、耐衝撃
性、接着性向上又はレオロジー制御のため、マトリック
ス樹脂を形成する樹脂組成物中に、熱可塑性樹脂、有機
又は無機の粒子等の他成分を配合することもできる。
【0037】本発明による管状体は、いわゆるプリプレ
グを介して製造することができる。この場合、強化繊維
の形態及び配列は、例えば、一方向に引き揃えたもの
(長繊維)、織物(クロス)、トウ、マット、ニット等
が用いられる。中でも、積層構成によって容易に強度特
性を設計可能であることから、一方向に引き揃えられた
ものを採用するのが好ましい。
【0038】本発明による管状体は、プリプレグを介す
る場合、所定の形状に切り出したプリプレグを芯金(マ
ンドレル)に巻き付けた後、さらにラッピングテープを
巻き付け、硬化炉等で加熱して成形した後、脱芯してラ
ッピングテープを除去して管状体を得るシートワインド
法が適用できる。
【0039】本方法は、強化繊維の配向や強化繊維の含
有率の調整が容易であり、多様な特性の管状体を設計で
きること、材料の表面が平滑であり、高品位の管状体が
得られること、ボイドレス成形が容易であること等、他
の成形法にはない特長がある。
【0040】ここに、熱及び圧力を付与する方法には、
プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形
法、内圧成形法等を用いることができる。
【0041】この内圧成形法は、熱可塑性樹脂のチュー
ブ等の内圧付与体にプリプレグを巻きつけたプリフォー
ムを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体
を導入して圧力をかけると同時に金型を加熱し成形する
方法であり、ゴルフシャフト、バット、テニスやバトミ
ントン等のラケットのような複雑な形状物を成形する際
に好適に用いられる。
【0042】本発明による管状体を、ゴルフクラブシャ
フトに適用する場合、シャフトのねじり破壊が、ヘッド
側の先端部より長手方向500mmまでの領域に生じる
ことが多いことから、この領域に、いわゆる補強層を配
することによって、管状体に様々な性能を発現させるこ
とができる。ここでの補強層は、管状体の主軸に対する
強化繊維の方向が、好ましくは0〜65°、より好まし
くは0〜50°であるのが良い。
【0043】本発明の管状体は、軽量でねじり強さに優
れることから、ゴルフクラブやバドミントンラケットの
シャフトとして、特に好ましく用いられる。
【0044】本発明による管状体をゴルフシャフトに使
用すると、ゴルフクラブシャフトが、その全体重量が好
ましくは20〜65g、より好ましくは20〜50gの
軽量品種であっても、ねじり強さを充分に発現できるよ
うになる。さらに、本発明による管状体は、SGねじり
強さが800〜3000N・m・度、トルクが2〜7
°、フレックスが40〜90mmであると、軽量性能と
耐曲げ応力、ねじり強さの各物性のバランスがとれたゴ
ルフクラブシャフトが得られるようになり、好ましい。
ゴルフシャフトの全体重量が20g未満であると、該シ
ャフトに、十分なSGねじり強さ、トルク及びフレック
スが得られないことがあり、シャフト折損の可能性が高
まることがあるので好ましくない。一方、ゴルフシャフ
トの全体重量が65gを越えると、SGねじり強さ、ト
ルク、フレックスの各物性値のバランス制御は容易とな
るが、重量がかさみ、軽量性能が損なわれることがある
ので好ましくない。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。各物性値の測定は、次の方法によった。なお、物性
測定は、断りのない限り温度23℃、相対湿度50%の
環境で行った。 〈強化繊維の引張弾性率〉JIS R 7601法に従
い、含浸樹脂として脂環式エポキシ樹脂(ERL422
1、ユニオン・カーバイド日本(株)製)/三フッ化ホ
ウ素・モノエタノールアミン錯体(100重量部/3重
量部)の有機溶媒溶液を用いてストランドに含浸し、加
熱硬化(130℃、35分)後、ストランド引張試験機
を用いて、試長200mm、引張速度60mm/分の条
件で測定した。 〈複合材料のガラス転移温度、ゴム状態の弾性率〉一方
向プリプレグシートを繊維の方向が同じ方向になるよう
に、また積層板の厚みがほぼ1mmとなるようにプリプ
レグシートを積層し、オートクレーブ中で温度130
℃、圧力290MPaで2時間加熱加圧して硬化し、一
方向複合材料を作製した。
【0046】A.ガラス転移温度Tgの測定 一方向複合材料試験片をSACMA SRM18R−9
4に従い、DMA法によりガラス転移温度Tgを求め
た。試験片の長手方向に対し、繊維方向が垂直方向にな
るように試験片を作製した。
【0047】貯蔵弾性率G'曲線において、ガラス状態
由来の直線部分と転移状態由来の直線部分の外挿直線の
交点温度値をガラス転移温度Tgとし、耐熱性の指標と
した。 ここではRheometric Scientific社製粘弾性測
定システム“RDAII”を用い、昇温速度5℃/分、周
波数1Hzで測定した。
【0048】B.ゴム状態の弾性率G’rの測定 A項と同様の測定にて得られる貯蔵弾性率G'曲線にお
いて、転移状態由来の直線部分とゴム状態由来の直線部
分の外挿直線の交点弾性率値をゴム状態の弾性率G’r
とし、塑性変形能力の指標とした。 〈複合材料管状体及びシャフトのねじり強さ〉内径10
mmの管状体から長さ400mmの試験片を切り出し、
「ゴルフクラブシャフトの認定基準及び基準確認方法」
(製品安全協会編、通商産業大臣承認5産第2087
号、1993年)記載の方法に従い、ねじり試験を行っ
た。試験片ゲージ長は300mmとし、試験片両端の5
0mmを固定治具で把持した。
【0049】またゴルフクラブシャフトでは、長さ11
63mmのシャフトの両端を各々10mm切り落とし、
1143mm(45インチ)のシャフトとした後、管状
体の測定と同様な方法にて試験した。試験片ゲージ長は
1063mmとし、試験片両端の50mmを固定治具で
把持した。
【0050】この後、SGねじり強さおよび管状体のね
じり強度を次式により計算した。
【0051】SGねじり強さ(N・m・度)=破壊トル
ク(N・m)×破壊時のねじれ角(度) ねじり強度(MPa)=16/π×外径/(外径4−内
4)×破壊トルク×1000 〈シャフトのトルク〉長さ1163mmのゴルフクラブ
シャフトの両端を各々10mm切り落とし、1143m
m(45インチ)のシャフトとした後、シャフトのねじ
り強さ測定と同様な方法でシャフト両端を50mmの治
具で固定し、ゲージ長1063mmの試験片を作製し
た。シャフト両端の治具部分を把持し、1.35N・m
(1ftf・lb)のトルクを加えた時のねじり角をト
ルクとした。 〈シャフトのフレックス〉長さ1163mmのゴルフク
ラブシャフトの両端を各々10mm切り落とし、114
3mm(45インチ)のシャフトとした後、シャフトの
細径先端から925mm及び1065mmの2点を支点
とした状態で、シャフトの細径先端から175mmの部
分に2.7kgのおもりを吊り下げた時のシャフトの細
径先端から200mm部分のたわみ量を測定しフレック
スとした。 (実施例1)次の操作により、管状体の主軸に対して
[03/±453]の積層構成を有し、内径が10mmの
管状体を作製した。芯金(マンドレル)には直径10m
m、長さ1000mmのステンレス製丸棒を使用した。
【0052】バイアス層として炭素繊維(CF)とエポ
キシ樹脂からなる一方向プリプレグシートA(繊維目
付:125g/m2、マトリックス樹脂含有率:24重
量%、繊維引張弾性率:375GPa)をCFの方向が
マンドレル主軸方向に対して45°になるように、縦8
00mm×横103mmの長方形に2枚切り出した。こ
の2枚を繊維方向が互いに直角に交差するように、かつ
横方向に16mm(マンドレル半周分に対応)ずらして
貼り合わせた。
【0053】次に、貼り合わせたプリプレグを、外径1
0mm、長さ1000mmの、離型処理したステンレス
製マンドレルに、2枚のプリプレグシートを貼り合わせ
たプリプレグの縦方向とマンドレル主軸が一致するよう
に巻き付けた。
【0054】更にその上に、ストレート層として炭素繊
維(CF)とエポキシ樹脂からなる一方向プリプレグシ
ートB(繊維目付:125g/m2、マトリックス樹脂
含有率:24重量%、CF引張弾性率:230GPa)
をプリプレグの繊維方向が縦方向になるように、縦80
0mm×横112mmの長方形に切り出した一方向プリ
プレグシートをプリプレグの縦方向とマンドレル軸方向
が一致するように巻き付けた。
【0055】次に、シートワインド成形用のラッピング
テープ(熱収縮フィルムテープ)を所定の方法で巻き付
けた後、硬化炉中で温度130℃、2時間加熱成形し
た。
【0056】その後、マンドレルを脱芯(抜き取り)
し、ラッピングテープを除去して管状体を得た。 (比較例1)バイアス層として用いるプリプレグシート
を、一方向プリプレグシートC(繊維目付:125g/
2、マトリックス樹脂含有率:24重量%、CF引張
弾性率:375GPa)に、ストレート層として用いる
プリプレグシートを、一方向プリプレグシートD(繊維
目付:125g/m2、マトリックス樹脂含有率:24
重量%、CF引張弾性率:230GPa)に変更した以
外は、実施例1と同様にして管状体を得た。 (実施例2)バイアス層として用いるプリプレグシート
を、一方向プリプレグシートE(繊維目付:92g/m
2、マトリックス樹脂含有率:30重量%、CF引張弾
性率:375GPa)に、ストレート層として用いるプ
リプレグシートを、一方向プリプレグシートB(繊維目
付:125g/m2、マトリックス樹脂含有率:24重
量%、CF引張弾性率:230GPa)に変更した以外
は、実施例1と同様にして管状体を得た。 (比較例2)バイアス層として用いるプリプレグシート
を、一方向プリプレグシートE(繊維目付:92g/m
2、マトリックス樹脂含有率:30重量%、CF引張弾
性率:375GPa)に、ストレート層として用いるプ
リプレグシートを、一方向プリプレグシートF(繊維目
付:125g/m2、マトリックス樹脂含有率:33重
量%、CF引張弾性率:230GPa)に変更した以外
は、実施例1と同様にして管状体を得た。 (実施例3)バイアス層として用いるプリプレグシート
を、一方向プリプレグシートG(繊維目付:100g/
2、マトリックス樹脂含有率:20重量%、CF引張
弾性率:375GPa)に、ストレート層として用いる
プリプレグシートを、一方向プリプレグシートB(繊維
目付:125g/m2、マトリックス樹脂含有率:24
重量%、CF引張弾性率:230GPa)に変更した以
外は、実施例1と同様にして管状体を得た。 (比較例3)バイアス層として用いるプリプレグシート
を、一方向プリプレグシートH(繊維目付:100g/
2、マトリックス樹脂含有率:20重量%、CF引張
弾性率:375GPa)に、ストレート層として用いる
プリプレグシートを、一方向プリプレグシートD(繊維
目付:125g/m2、マトリックス樹脂含有率:24
重量%、CF引張弾性率:230GPa)に変更した以
外は、実施例1と同様にして管状体を得た。 (実施例4)バイアス層として用いるプリプレグシート
を、一方向プリプレグシートA(繊維目付:125g/
2、マトリックス樹脂含有率:24重量%、CF引張
弾性率:375GPa)に、ストレート層として用いる
プリプレグシートを、一方向プリプレグシートI(繊維
目付:125g/m2、マトリックス樹脂含有率:24
重量%、CF引張弾性率:295GPa)に変更した以
外は、実施例1と同様にして管状体を得た。 (比較例4)バイアス層として用いるプリプレグシート
を、一方向プリプレグシートC(繊維目付:125g/
2、マトリックス樹脂含有率:24重量%、CF引張
弾性率:375GPa)に、ストレート層として用いる
プリプレグシートを、一方向プリプレグシートJ(繊維
目付:125g/m2、マトリックス樹脂含有率:24
重量%、CF引張弾性率:295GPa)に変更する以
外は、実施例1と同様にして管状体を得た。 (実施例5)バイアス層として炭素繊維(CF)とエポ
キシ樹脂からなる一方向プリプレグシートK(繊維目
付:116g/m2、マトリックス樹脂含有率:24重
量%、CF引張弾性率:375GPa)をCFの方向が
縦方向に対して40°になるように縦1163mm×横
(長辺151mm、短辺63mm)の台形に2枚切り出
し、この2枚をCF方向が互いに直角に交差するよう
に、かつ横方向にマンドレル全長に半周分ずらして貼り
合わせ、これを細径先端外径4.4mm、テーパー率8
/1000、長さ1500mmの、離型処理したステン
レス製マンドレルに、プリプレグの縦方向とマンドレル
主軸が一致するように、プリプレグの横短辺がマンドレ
ルの先端方向になるように巻き付けた。
【0057】その上に、ストレート層として炭素繊維
(CF)とエポキシ樹脂からなる一方向プリプレグシー
トI(繊維目付:125g/m2、マトリックス樹脂含
有率:24重量%、CF引張弾性率:295GPa)が
CF方向が縦方向になるように縦1163mm×横(長
辺160mm、短辺72mm)の台形に切り出したもの
をプリプレグの縦方向とマンドレル主軸が一致するよう
にプリプレグの横短辺がマンドレルの先端方向になるよ
うに巻き付けた。
【0058】さらにその上に、補強層用としてプリプレ
グシートIを縦230mm×横128mmの直角3角形
に切り出したものをプリプレグの縦方向とマンドレル主
軸が一致するようにプリプレグの横辺がマンドレルの先
端方向になるように巻き付けた。
【0059】次にシートワインド成形用のラッピングテ
ープを所定の方法で巻き付けた後、硬化炉中で温度13
0℃、2時間加熱成形した。
【0060】成形後、マンドレルを脱芯し、ラッピング
テープを除去して全重量が62gのゴルフクラブシャフ
トを得た。 (比較例5)バイアス層として用いるプリプレグシート
を一方向プリプレグシートL(CF目付:116g/m
2、マトリックス樹脂含有率:24重量%、CF引張弾
性率:375GPa)に変更する以外は、実施例5と同
様にして全重量が62gのゴルフクラブシャフトを得
た。
【0061】実施例1〜4、比較例1〜4で得られた管
状体のねじり強さ及びバイアス層に用いるプリプレグを
積層して硬化した板のガラス転移温度Tg、ゴム状態の
弾性率G’rの結果を表1に示す。
【0062】また、実施例5、比較例5で得られたシャ
フトのねじり強さ及びバイアス層に用いるプリプレグを
積層して硬化した板のガラス転移温度Tg、ゴム状態の
弾性率G’rの結果を表2に、シャフト重量、フレック
ス、トルクの結果を表3に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、ゴルフクラブシャフト
等に好適に使用できる、高いねじり強さを有する繊維強
化複合材料管状体が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DMA測定によるTg、G’rの概念図。
【符号の説明】 1:貯蔵弾性率G’ 2:ガラス状領域 3:ガラス転移領域 4:ゴム状領域 5:ガラス転移温度Tg 6:ゴム状態の貯蔵弾性率G'r 7:温度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C002 AA05 CS03 MM02 4F100 BA02 BA22 DA11 DH01A DH01B GB87 JA05 JK07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の繊維強化複合材料層を積層してな
    る管状体であって、強化繊維方向が管状体の主軸に対し
    て25〜65°のバイアス層と、その外周側に積層して
    なる、強化繊維方向が管状体主軸に対して0〜20°の
    ストレート層を含んでなり、前記バイアス層とストレー
    ト層のマトリックス樹脂含有率が13重量%以上30重
    量%以下であり、かつ、130℃で2時間硬化して得ら
    れた前記バイアス層およびストレート層を構成する繊維
    強化複合材料のガラス転移温度Tg(℃)とゴム状態の
    弾性率G’r(MPa)が次式(1)と(2)を満足す
    ることを特徴とする繊維強化複合材料製管状体。 70℃≦Tg≦130℃ ・・・(1) 50MPa≦G’r≦170MPa・・・(2)
  2. 【請求項2】前記繊維強化複合材料層が一方向プリプレ
    グシートの硬化物より形成されてなることを特徴とする
    請求項1に記載の繊維強化複合材料製管状体。
  3. 【請求項3】前記強化繊維が、200〜650GPaの
    引張弾性率を有する炭素繊維であることを特徴とする請
    求項1または2に記載の繊維強化複合材料製管状体。
  4. 【請求項4】前記バイアス層及びストレート層におい
    て、各層の繊維目付がそれぞれ50〜200g/m2
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    繊維強化複合材料製管状体。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化
    複合材料製管状体を用いてなることを特徴とするゴルフ
    クラブシャフト。
  6. 【請求項6】ヘッド側の先端部より長手方向500mm
    までの領域に、管状体の主軸に対し強化繊維の方向が0
    〜65°の補強層が配されてなることを特徴とする請求
    項5に記載のゴルフクラブシャフト。
  7. 【請求項7】SGねじり強さが800〜3000N・m
    ・度であることを特徴とする請求項5または6に記載の
    ゴルフクラブシャフト。
  8. 【請求項8】全重量が20〜65gであることを特徴と
    する請求項5〜7のいずれかに記載のゴルフクラブシャ
    フト。
  9. 【請求項9】トルクが2〜7°であることを特徴とする
    請求項5〜8のいずれかに記載のゴルフクラブシャフ
    ト。
  10. 【請求項10】フレックスが40〜90mmであること
    を特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載のゴルフク
    ラブシャフト。
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