JP2954620B2 - β―ケトエステル基含有含フッ素重合体およびその製造方法 - Google Patents

β―ケトエステル基含有含フッ素重合体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2954620B2
JP2954620B2 JP31744289A JP31744289A JP2954620B2 JP 2954620 B2 JP2954620 B2 JP 2954620B2 JP 31744289 A JP31744289 A JP 31744289A JP 31744289 A JP31744289 A JP 31744289A JP 2954620 B2 JP2954620 B2 JP 2954620B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
fluorine
monomer
containing fluoropolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP31744289A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03179010A (ja
Inventor
俊一 児玉
康行 笹尾
功 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP31744289A priority Critical patent/JP2954620B2/ja
Publication of JPH03179010A publication Critical patent/JPH03179010A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2954620B2 publication Critical patent/JP2954620B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はβ−ケトエステル基含有含フッ素重合体とそ
の製造方法に関する。
[従来の技術] ポリフルオロオレフィン、水酸基含有ビニルエーテル
および水酸基を有しないビニルエーテルの少なくとも2
〜3種のモノマーを共重合させて得られる水酸基含有含
フッ素重合体は公知であり、溶剤可溶性で常温硬化可能
な塗料用成分として用いられ、耐候性、耐薬品性、光沢
等に優れた塗膜が得られ、かつ、基材との密着性にも優
れた塗膜が得られることが知られている(特公昭60−21
686、特開昭59−189108、特開昭60−67518等)。
[発明の解決しようとする問題点] 近年、塗料分野の需要としてhigh solid化すなわち高
固形分塗料化の要求が高まってきている。従来知られて
いるフッ素系溶剤型塗料では、高固形分塗料化した場合
に粘度が高くなり塗装性が悪くなるという問題があっ
た。また、従来塗料用硬化系としてメラミン硬化系やイ
ソシアネート硬化系が主に実施されているが、用途の多
様化などにより、他の硬化系においても良好な硬化物が
容易に得られる重合体も要求されつつある。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、前述の問題点を解決すべくなされたもので
あり、 a)CF2−CFX (Xはフッ素原子、塩素原子、炭素数1〜3のパーフル
オロアルキル基または炭素数1〜3のパーフルオロアル
コキシ基)、 b) (R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜12の非
置換またはフッ素置換の直鎖状、分枝状または脂環状の
アルキル基、nは0または1)、 c) (R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素数2〜10の非
置換またはフッ素置換の直鎖状、分枝状または脂環状の
アルキル基、R5、R6、R7はそれぞれ同一または異なる水
素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、 d) (R8は水素原子またはメチル基、R9は水酸基含有の非置
換またはフッ素置換の炭素数2〜10の直鎖状、分枝状ま
たは脂環状のアルキル基)、 で表わされる単位を、a)40〜60モル%、b)5〜57モ
ル%、c)3〜40モル%、およびd)0〜52モル%の割
合で含有し、テトラヒドロフラン中30℃で測定される固
有粘度が0.01〜1.0dl/gであるβ−ケトエステル基含有
含フッ素重合体を提供する。
また、β−ケトエステル基含有含フッ素重合体の製造
方法として、 水酸基含有含フッ素重合体と式 (R5、R6、R7はそれぞれ同一または異なる水素原子また
は炭素数1〜3のアルキル基)で表わされるジケテン化
合物を反応せしめることを特徴とするβ−ケトエステル
基含有含フッ素重合体の製造方法、 水酸基含有含フッ素重合体と式 CHR6R7COCHR5COOR10 (R5、R6、R7、R10はそれぞれ同一または異なる水素原
子または炭素数1〜3のアルキル基、ただしR10は水素
原子ではない)で表わされる2−アシルアルカン酸エス
テル化合物を反応せしめることを特徴とするβ−ケトエ
ステル基含有含フッ素重合体の製造方法、 および、下記単量体(1)と(2)を共重合せしめる
か、または下記単量体(1)と(2)と(3)を共重合
せしめることを特徴とするβ−ケトエステル基含有含フ
ッ素重合体の製造方法、 を提供する。
単量体(1):式 CF2=CFX (Xは塩素原子、フッ素
原子、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭
素数1〜3のパーフルオロアルコキシ基)で表わされる
単量体。
単量体(2):式 CH2=CR3OR4OCOCHR5COCHR6R7 (R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素数2〜10の非
置換またはフッ素置換の直鎖状、分枝状または脂環状の
アルキレン基、R5、R6、R7はそれぞれ同一または異なる
水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)で表わされ
る単量体。
単量体(3):単量体(1)、(2)以外の他の単量
体。
本発明のβ−ケトエステル基含有含フッ素重合体は、 a) CF2−CFX (Xは前記と同じ)、 b) (R1、R2、nは前記と同じ)、 c) (R3、R4、R5、R6、R7は前記と同じ)、 d) (R8、R9は前記と同じ)、 で表わされる単位を、a)40〜60モル%、b)5〜57モ
ル%、c)3〜40モル%、およびd)0〜52モル%の割
合で含有する。
本発明の含フッ素重合体は、c)で表わされる単位を
特定の割合で含んでいるため、高濃度溶液としても粘度
の上昇が小さく、メラミン系、イソシアネート系以外の
硬化系の採用が容易になる。
c)で表わされる単位において、炭素原子に結合した
水素原子が種々の置換基に置換されていてもよい。ただ
し、R5の結合した炭素原子は、1個以上の直接結合した
水素原子を有する必要がある。かかる炭素−水素結合が
存在しないと、良好な硬化系を達成できない。
また、本発明の含フッ素重合体は、a)で表わされる
単位を有するため、塗料用に用いた場合、耐候性に優れ
た塗膜を得ることができ、c)で表わされる単位を有す
るため、塗料等に用いる場合に、顔料の分散性が優れ
る、溶剤に対する溶解性が優れるなど、配合性に優れた
効果が達成されたり、光沢の良好な塗膜が得られるなど
の利点がある。
本発明のβ−ケトエステル基含有含フッ素重合体は、
テトラヒドロフラン中30℃で測定される固有粘度(以
下、[η]と略すことがある)が0.01〜1.0dl/gであ
る。
[η]が小さいものは、塗料ベースとして用いたと
き、良好な機械的強度および耐溶剤性を有する塗膜が得
られ難くなり、好ましくない。[η]が大きいものは、
塗料ベースとして用いた場合に塗装性が低下するため好
ましくない。
本発明のβ−ケトエステル基含有含フッ素重合体は、
その用途の一つとして、塗料組成物の塗膜形成成分とし
て使用される。この重合体は、c)で表わされる単位を
有しているので、該官能基の活性メチレン基またはカル
ボニル基を利用し、多種多様な硬化状態をとることがで
きる。
活性メチレン基との反応による硬化系としては、メラ
ミン硬化、多価イソシアナートまたはブロック化イソシ
アナート硬化、ミカエル付加反応等が挙げられる。メラ
ミン硬化剤としてはブチル化メラミン、メチル化メラミ
ン、エポキシ変性メラミン等が例示され、用途に応じ、
0〜6の各種変性度のものが使用でき、自己縮合度も適
宜選べる。
多価イソシアナートとしては、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアナート等の無黄変ジ
イソシアナート類並びにその付加物が有用であり、常温
硬化を行なわせる場合には、ジブチルスズジラウレート
等の公知触媒の添加によって硬化を促進できる。
また、ミカエル型付加反応剤としては、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、エチレングリコールジア
クリレート等の多官能性アクリレート、メタクリレート
が採用される。常温硬化時には、塩基性物質の添加が効
果的である。一方カルボニル基の反応による硬化反応と
しては金属化合物とのキレート反応、ジアミンとの反応
等が挙げられる。
金属化合物としては、有機銅、鉄、ニッケル、コバル
ト、亜鉛、スズ化合物等が挙げられる。ジアミンとして
はヘキサメチレンジアミン、アミノエチルピペラジン
等、公知のエポキシ硬化用化合物が採用される。
また、上述のようなβ−ケトエステル基含有含フッ素
重合体は次に示す方法などにより製造できる。
第1に、水酸基含有含フッ素重合体と 式 (R5、R6、R7はそれぞれ同一または異なる水素原子また
は炭素数1〜3のアルキル基)で表わされるジケテン化
合物を反応せしめることを特徴とするβ−ケトエステル
基含有含フッ素重合体の製造方法。
第2に、水酸基含有含フッ素重合体と 式 CHR6R7COCHR5COOR10 (R5、R6、R7、R10はそれぞれ同一または異なる水素原
子または炭素数1〜3のアルキル基、ただしR10は水素
原子ではない)で表わされる2−アシルアルカン酸エス
テル化合物を反応せしめることを特徴とするβ−ケトエ
ステル基含有含フッ素重合体の製造方法。
第3に、下記単量体(1)と(2)を共重合せしめる
か、または下記単量体(1)と(2)と(3)を共重合
せしめることを特徴とするβ−ケトエステル基含有含フ
ッ素重合体の製造方法。
単量体(1):式 CF2=CFX (Xは塩素原子、フッ素
原子、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭
素数1〜3のパーフルオロアルコキシ基)で表わされる
単量体。
単量体(2):式 CH2=CR3OR4OCOCHR5COCHR6R7 (R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素数2〜10の非
置換またはフッ素置換の直鎖状、分枝状または脂環状の
アルキレン基、R5、R6、R7はそれぞれ同一または異なる
水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)で表わされ
る単量体。
単量体(3):単量体(1)、(2)以外の他の単量
体。
第1の方法において、水酸基含有含フッ素重合体とし
ては、従来知られている重合体(例えば特公昭60−2168
6、特開昭59−189108、特開昭59−102962、特開昭61−5
7609など)などが採用される。
例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオ
ロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ
(プロピルビニルエーテル)などのフルオロオレフィン
系単量体と、ヒドロキシブチルビニルエーテル、アリル
アルコール、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテ
ル、ヒドロキシブチルイソプロピニルエーテル、3−ヒ
ドロキシブチルビニルエーテルなどの水酸基含有単量体
および必要に応じてこれらと共重合可能な他の共単量体
を共重合して得られる水酸基含有含フッ素重合体や、フ
ルオロオレフィン系単量体とカルボン酸ビニルエステル
単量体との共重合体を加水分解することにより得られる
水酸基含有含フッ素重合体などが挙げられる。
第1の方法は、水酸基含有含フッ素重合体と 式 (R5、R6、R7は前記と同じ) で表わされるジケテン化合物を反応させる方法である。
かかるジケテン化合物としては、具体的には、β−メ
チレン−β−プロピオラクトン、メチルケテンダイマ
ー、エチルケテンダイマー、n−プロピルケテンダイマ
ーなどが例示される。
水酸基含有含フッ素重合体とジケテン化合物の反応
は、塩基性触媒の存在下に行なうと反応が円滑に進行す
るため好ましい。かかる塩基性触媒としては、トリエチ
ルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムなどが例示される。また反応は、
水酸基含有含フッ素重合体を溶解する溶媒中で、30〜70
℃の温度にて2〜5時間程度撹拌することにより達成さ
れる。ここで、上記溶媒としては、キシレン、トルエン
などが例示される。
水酸基含有含フッ素重合体とジケテン化合物との反応
は、水酸基含有含フッ素重合体の水酸基に対するジケテ
ン化合物のモル比が0.01〜1.0の割合で反応させること
が好ましい。上記モル比が低いと、β−ケトエステル基
の生成量が少なく、生成重合体に良好な諸物性を与える
ことができない。過剰にジケテン化合物を使用すると、
反応後未反応物や副生成物の除去が煩雑になり、好まし
くない。
第2の方法は、水酸基含有含フッ素重合体と 式 CHR6R7COCHR5COOR10 (R5、R6、R7、R10は前記と同じ) で表わされる2−アシルアルカン酸エステル化合物を反
応させる方法である。
水酸基含有含フッ素重合体としては、前述の第1の方
法で説明したものと同様のものが採用される。
2−アシルアルカン酸エステル化合物としては、アセ
ト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル
などが例示される。
また、かかる反応は、塩基性触媒または酸性触媒の存
在下に行なわしめると、円滑に目的の生成物が得られる
ため好ましい。ここで塩基性触媒としては、トリエチル
アミン、ピリジン、ジメチルアニリン、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどが例示され、酸性触媒として
は、硫酸、硝酸などが例示される。
水酸基含有含フッ素重合体と2−アシルアルカン酸エ
ステル化合物との反応は、水酸基含有含フッ素重合体を
溶解しうる溶液中にて、塩基性物質または酸性物質の存
在下に40〜100℃程度の温度で、2〜6時間程度撹拌し
ながら反応させることにより達成される。
水酸基含有含フッ素重合体と2−アシルアルカン酸エ
ステル化合物の反応は、水酸基含有含フッ素重合体の水
酸基に対する2−アシルアルカン酸エステル化合物のモ
ル比が0.01〜1.0の割合で行なうことが好ましい。上記
モル比が低すぎると、β−ケトエステル基の生成量が少
なく、生成重合体に良好な諸物性を与えることができな
い。過剰に2−アシルアルカン酸エステル化合物を使用
すると、反応後、未反応物や副生成物の除去が煩雑にな
り好ましくない。
第3の方法は、前記単量体(1)と(2)を共重合せ
しめるか、または下記単量体(1)と(2)と(3)を
共重合せしめる方法である。
ここで、単量体(1)としては、クロロトリフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプ
ロピレン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)な
どが例示される。なかでもクロロトリフルオロエチレン
またはテトラフルオロエチレンは他の単量体との共重合
性に優れ、優れた耐候性塗料ベースとしての含フッ素重
合体を与えるため好ましい。
単量体(2)は、ヒドロキシブチルビニルエーテル、
エチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビ
ニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、
ヒドロキシブチルイソプロペニルエーテルのような水酸
基を有するビニルエーテル系の化合物に、ジケテン化合
物または2−アシルアルカン酸エステル化合物を反応さ
せることにより得ることができる。ここで、ジケテン化
合物または2−アシルアルカン酸エステルの反応は、前
述の第2または第3の方法で述べた方法と同様の方法に
より達成できる。
また、第3の方法では、必要に応じて単量体(3)を
共重合する。単量体(3)としては、上記2種の単量体
と共重合性を示すものであれば特に限定されない。例え
ば、ビニルエーテル系化合物、ビニルエステル系化合
物、アリルエーテル系化合物、アリルエステル系化合
物、オレフィン類などが好ましい。
共重合割合としては、式 CF2=CFXで表わされる単量
体が40〜60モル%、式 CH2=CR3OR4OCOCHR5COCHR6R7
表わされる単量体が3〜40モル%、単量体(3)が0〜
57モル%となるよう共重合させることが好ましい。
共重合反応は、通常の付加重合の方法と同様の方法で
行なえる。すなわち、所定割合の単量体に、電離性放射
線、重合開始剤のような重合開始源を作用させることに
より共重合させうる。また共重合方法は、塊状重合、溶
液重合、乳化重合、懸濁重合いずれの方法であってもよ
い。具体的には、特開昭57−34107などに開示された方
法と同様の方法によって重合できる。
[実施例] 合成例1(水酸基含有含フッ素重合体の合成) 特公昭60−21686に記載された方法に従い、第1表に
示すモノマー組成でキシレン中で重合を行ない、水酸基
含有含フッ素重合体A−1〜A−7を得た。水酸基含有
含フッ素重合体の共重合組成、水酸基価およびテトラヒ
ドロフラン中30℃で測定される固有粘度[η]を第1表
に示す。
合成例2(モノマーの合成) 撹拌器、滴下ロート、温度計つきの500ml三つ口フラ
スコにヒドロキシブチルビニルエーテル100g(0.86モ
ル)、トリエチルアミン0.87g(0.0086モル)およびキ
シレン150gを入れ、撹拌下に、後述する第2表の脚注に
示すジケテンA79.5g(0.95モル)のキシレン(100g)溶
液を室温にて滴下する。
滴下終了後、室温で3時間撹拌を続けた後、反応混合
物を減圧蒸留し、アセト酢酸ビニロキシブチルエステル
(以下、HBAAという)を単離した(収率85%)。構造は
1H−NMRにて同定した。
実施例1 水酸基含有含フッ素重合体A−1のキシレン溶液(重
合体100g)に前記ジケテンA1.4g(ジケテンの水酸基に
対する反応モル比=0.1)およびトリエチルアミン0.017
gを加え、65℃に保ち、3時間撹拌しながら反応させ
た。赤外吸収スペクトルにより反応の進行を追跡したと
ころ、3300cm-1の水酸基の特性吸収が減少し、1735c
m-1、1645cm-1および1715cm-1にβ−ケトエステル基
(カルボニル基(ケト型)、カルボニル基(エノール
型)およびエステル基)の特性吸収が生成していること
から、反応が終了し、β−ケトエステル基含有含フッ素
重合体が生成していることが確認された。
使用したジケテン化合物の量から計算した生成重合体
のβ−ケトエステル基の量と赤外吸収スペクトルにより
求めた重合体のβ−ケトエステル基の量はほぼ一致し
た。得られたβ−ケトエステル基含有含フッ素重合体B
−1の[η](dl/g)、ジケテンの水酸基に対する反応
モル比(ジケテン/水酸基)を第2表に示す。
実施例2 水酸基含有含フッ素重合体の種類、ジケテン化合物の
種類およびジケテン化合物と水酸基含有含フッ素重合体
の割合を変える他は実施例1と同様にして、反応終了ま
で反応させた。得られたβ−ケトエステル基含有含フッ
素重合体B−2〜B−13について、用いた水酸基含有含
フッ素重合体の種類(A欄)、ジケテン化合物の種類
(B欄)、ジケテン/水酸基および[η](dl/g)を第
2表に示す。
実施例3 水酸基含有含フッ素重合体A−2のキシレン溶液(重
合体100g)にアセト酢酸メチル1.20gおよびトリエチル
アミン0.010gを加え、70℃で5時間反応させた。生成す
るメタノールを減圧下に留去し、定量することにより反
応の進行を追跡した。メタノールを定量して求めたアセ
ト酢酸エチルの水酸基に対する反応モル比から計算され
る生成重合体のアセトアセトキシ基の量と赤外吸収スペ
クトルにより求めたアセトアセトキシ基の量はほぼ一致
した。得られたβ−ケトエステル基含有含フッ素重合体
のB−14の[η](dl/g)およびアセト酢酸メチルの水
酸基に対する反応モル比(アセト酢酸メチル/水酸基)
を第3表に示す。
実施例4 水酸基含有含フッ素重合体の種類およびアセト酢酸メ
チルの量を変える他は実施例3と同様にして、β−ケト
エステル基含有含フッ素重合体を得た。用いた水酸基含
有含フッ素重合体の種類、得られたβ−ケトエステル基
含有含フッ素重合体の[η](dl/g)およびアセト酢酸
メチルの水酸基に対する反応モル比(アセト酢酸メチル
/水酸基)を第3表に示す。
実施例5(合成例2で得たモノマーとフルオロオレフィ
ンの共重合の例) 内容積260mlのステンレス製撹拌機つきオートクレー
ブ(耐圧30kg/cm2G)にキシレン98g、エタノール28g、
シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)11.2g、エチル
ビニルエーテル(EVE)6.4g、HBAA20.2g、炭酸カリウム
0.69gを仕込み、冷却脱気、窒素ガスによる加圧をくり
返して、溶存酸素を除去する。
その後、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)34.6g
をオートクレーブ中に導入し昇温する。オートクレーブ
内の温度が65℃に達した時点で、圧力3.8kg/cm2Gを示
す。その後、t−ブチルパーオキシピバレート70%キシ
レン溶液0.28gを加え反応を開始させる。10時間後、圧
力が0.2kg/cm2Gを示したところでオートクレーブを水冷
し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマ
ーをパージし、オートクレーブを開放する。得られたポ
リマーを減圧乾燥により単離した。ポリマー収量63.0
g、ポリマー濃度33.3%、モノマー反応率87.0%であっ
た。
得られたβ−ケトエステル基含有含フッ素重合体の
[η]は0.1dl/gであり、13C−NMRで測定した共重合体
組成は CTFE/CHVE/EVE/HBAA =51.2/14.7/15.0/19.1(モル%)であった。
応用例1 実施例1〜4で合成したβ−ケトエステル基含有含フ
ッ素重合体を用いて下記組成(単位:重量部、応用例2
においても同じ)の塗料溶組成物を製造した。
β−ケトエステル基含有含フッ素重合体 100 キシレン 54 メラミン樹脂ワニス 50 n−ブタノール 20 ソルベッソ#100(エクソン化学製商品名、芳香族炭
化水素系溶剤) 20 上記塗料溶組成物をアルミニウム板に塗布し、140℃
で30分焼成した。得られた塗膜の密着性、耐薬品性、耐
候性および指触乾燥性を下記の方法で測定した。また、
重合体のキシレン溶液(70重量%)の25℃における溶液
粘度(単位:cP)を測定した。結果をまとめて第4表に
示す。
密着性:JIS−K5400によるゴバン目密着性試験 耐薬品性:キシロールラビングテスト 判定:○ 100回以上合格、× 100回未満 耐候性:サンシャインウェザーオメーター2000時間暴
露後の光沢保持率 判定:○ 90%以上、× 90%未満 指触乾燥性:JIS−K5400によるベトツキの有無 判定:◎ なし、○ わずかにあり、△ あり 応用比較例1 β−ケトエステル基含有含フッ素重合体のかわりに、
合成例1の水酸基含有含フッ素重合体A−1、A−2を
用いる他は応用例1と同様に行なった結果を第4表に示
す。
応用例2 実施例2で合成したB−3を用いて下記組成の塗料用
組成物を製造した。
β−ケトエステル基含有含フッ素重合体 100 キシレン 54 トリメチロールプロパントリアクリレート 35 ソルベッソ#100(エクソン化学製商品名、芳香族炭
化水素系溶剤) 20 トリブチルアミン 2 上記塗料用組成物をアルミニウム板に塗布、80℃で30
分焼成した。得られた塗膜の密着性、耐薬品性、指触乾
燥性を応用例1の方法で測定した。結果を第5表に示
す。
応用比較例2 β−ケトエステル基含有含フッ素重合体のかわりに、
水酸基含有含フッ素重合体A−1を用いる他は応用例1
と同様にして行なった結果を第5表に示す。
[発明の効果] 本発明の共重合体は、塗料ベースとして使用する場合
に、表面硬度、光沢に優れるとともに可撓性を有し、耐
溶剤性、耐汚染性に優れ、かつ耐候性に優れた塗膜を温
和な条件下に与えうるものであり、カラー鋼板、カラー
アルミニウム板、アルミニウムサッシ等を対象とする焼
付塗料としてばかりでなく、現場施工可能な常乾型塗料
としても有用であり、基材の材質も金属に限られず、ガ
ラス、セメント、コンクリート等の無機材料、FRP、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、ナイロン、アクリル、ポリエステル、エチレン
−ポリビニルアルコール共重合体、塩ビ、塩化ビニリデ
ン等のプラスチック、木材等の有機材料の塗装にもきわ
めて有用である。環境汚染の防止に寄与する高固形分塗
料原料として、また、高い鮮映性を有する車両用塗料原
料として特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 214/00 - 214/28 C08F 14/00 - 14/28 C08F 216/00 - 216/38 C08F 16/00 - 16/38 C08F 8/00 - 8/50 C09D 1/00 - 201/10

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸基含有含フッ素重合体と式 (R5、R6、R7はそれぞれ同一または異なる水素原子また
    は炭素数1〜3のアルキル基)で表わされるジケテン化
    合物を反応せしめることを特徴とするβ−ケトエステル
    基含有含フッ素重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】塩基触媒の存在下に反応せしめる請求項1
    に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】ジケテン化合物の水酸基に対するモル比を
    0.01〜1.0の割合で反応せしめる請求項1または2に記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】水酸基含有含フッ素重合体と式 CHR6R7CO
    CHR5COOR10 (R5、R6、R7、R10はそれぞれ同一または異なる水素原
    子または炭素数1〜3のアルキル基、ただしR10は水素
    原子ではない)で表わされる2−アシルアルカン酸エス
    テル化合物を反応せしめることを特徴とするβ−ケトエ
    ステル基含有含フッ素重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】塩基触媒または酸性触媒の存在下に反応せ
    しめる請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】2−アシルアルカン酸エステル化合物の水
    酸基に対するモル比を0.01〜1.0の割合で反応せしめる
    請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】下記単量体(1)と(2)を共重合せしめ
    るか、または 下記単量体(1)と(2)と(3)を共重合せしめるこ
    とを特徴とするβ−ケトエステル基含有含フッ素重合体
    の製造方法。 単量体(1):式 CF2=CFX (Xは塩素原子、フッ素
    原子、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基または炭
    素数1〜3のパーフルオロアルコキシ基)で表わされる
    単量体。 単量体(2):式 CH2=CR3OR4OCOCHR5COCHR6R7 (R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素数2〜10の非
    置換またはフッ素置換の直鎖状、分枝状または脂環状の
    アルキレン基、R5、R6、R7はそれぞれ同一または異なる
    水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)で表わされ
    る単量体。 単量体(3):単量体(1)、(2)以外の他の単量
    体。
  8. 【請求項8】重合を重合開始剤の存在下に有機溶媒中で
    行なう請求項7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】a)CF2−CFX (Xはフッ素原子、塩素原子、炭素数1〜3のパーフル
    オロアルキル基または炭素数1〜3のパーフルオロアル
    コキシ基)、 b) (R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜12の非
    置換またはフッ素置換の直鎖状、分枝状または脂環状の
    アルキル基、nは0または1)、 c) (R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素数2〜10の非
    置換またはフッ素置換の直鎖状、分枝状または脂環状の
    アルキレン基、R5、R6、R7はそれぞれ同一または異なる
    水素原子または炭素数1〜3のアルキル基)、 d) (R8は水素原子またはメチル基、R9は水酸基含有の非置
    換またはフッ素置換の炭素数2〜10の直鎖状、分枝状ま
    たは脂環状のアルキル基)、 で表わされる単位を、a)40〜60モル%、b)5〜57モ
    ル%、c)3〜40モル%、およびd)0〜52モル%の割
    合で含有し、テトラヒドロフラン中30℃で測定される固
    有粘度が0.01〜1.0dl/gであるβ−ケトエステル基含有
    含フッ素重合体。
JP31744289A 1989-12-08 1989-12-08 β―ケトエステル基含有含フッ素重合体およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2954620B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31744289A JP2954620B2 (ja) 1989-12-08 1989-12-08 β―ケトエステル基含有含フッ素重合体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31744289A JP2954620B2 (ja) 1989-12-08 1989-12-08 β―ケトエステル基含有含フッ素重合体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03179010A JPH03179010A (ja) 1991-08-05
JP2954620B2 true JP2954620B2 (ja) 1999-09-27

Family

ID=18088265

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31744289A Expired - Lifetime JP2954620B2 (ja) 1989-12-08 1989-12-08 β―ケトエステル基含有含フッ素重合体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2954620B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03179010A (ja) 1991-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0135917B1 (en) Fluorine-containing copolymer
JPH0662719B2 (ja) 硬化可能なフルオロオレフイン共重合体及びその製造法
IE63445B1 (en) Hardenable fluorinated copolymer process for its manufacture and its application in varnishes and paints
JPH03146510A (ja) 含フッ素共重合体
Tournut New copolymers of vinylidene fluoride
JPH05407B2 (ja)
JP3131985B2 (ja) 含フッ素共重合体および該重合体を含む塗料用組成物
JP2954620B2 (ja) β―ケトエステル基含有含フッ素重合体およびその製造方法
JP2543903B2 (ja) 活性エネルギ−線硬化性組成物
JP3087286B2 (ja) フッ化ビニリデン共重合体およびそれを含有した硬化用組成物
JP3160869B2 (ja) 含フッ素共重合体および該共重合体を主成分とする塗料用組成物
JP2964561B2 (ja) 塗料用組成物
JPH10120738A (ja) 含フッ素グラフトポリマーの製造方法
JPH02265979A (ja) 塗料用含フッ素樹脂
JP2698261B2 (ja) 塗料用樹脂
JPS632418B2 (ja)
TW202419484A (zh) 塗料用含氟聚合物組合物
JPH0832847B2 (ja) 塗料用組成物
JP3046325B2 (ja) 含フッ素共重合体の製造方法
JP3160002B2 (ja) 硬化性組成物
JP2512886B2 (ja) 含フッ素共重合体および該共重合体からなる塗料
JP3001230B2 (ja) 含フッ素ポリエステルの製造方法
JPH06340840A (ja) 塗料用硬化性樹脂組成物
JPH01287129A (ja) 含フッ素共重合体硬化性組成物
JPH0733842A (ja) 含フッ素ブロック共重合体及び塗料用組成物