JP2954324B2 - フルカラー現像用トナー - Google Patents

フルカラー現像用トナー

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JP2954324B2
JP2954324B2 JP2306107A JP30610790A JP2954324B2 JP 2954324 B2 JP2954324 B2 JP 2954324B2 JP 2306107 A JP2306107 A JP 2306107A JP 30610790 A JP30610790 A JP 30610790A JP 2954324 B2 JP2954324 B2 JP 2954324B2
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binder resin
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、多種のトナーが転写紙の画像上で重ね合わ
せて用いられるフルカラー現像用トナーに関するもので
あり、より詳細には、重ね合わせられる各トナーの現像
特性及び転写特性をほぼ等しくすることができるトナー
に関する。
本発明はまた、フルカラー現像用トナーの内でも、マ
ゼンタ、シアン、及びイエロートナーに関するものであ
り、より詳細には、転写紙の画像上にこれらのトナーが
混色された時、各トナーが目的とする色を鮮明に発色し
得るに十分な透明性を有したトナーに関する。
(従来技術及び発明が解決しようとする問題点) 電子写真法、静電印刷法の分野では、像担持体上に形
成された静電潜像を可視像化する目的でトナーを使用し
ている。このトナーは、樹脂媒質中としては所望の検電
性と結着性を備えた樹脂、例えばスチレン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂等の各種樹脂が使用され、着色剤として
はカーボンブラックや他の有機系又は無機系の着色顔料
が使用されている。
また、最近、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラ
ックのカラートナーを重ね合わせて画像を形成させるフ
ルカラー現像が行われている。
このフルカラー現像とは、多色原稿を色分解フィルタ
ーを用いて露光し、この工程をシアン、イエロー、マゼ
ンタのカラー現像剤とブラックトナーを用いて複数回繰
り返し、トナー像を重合わせて多色のカラー画像を得よ
うとするものである。そして、このようなフルカラー現
像に用いられるトナーにおいては、シアン、イエロー、
マゼンタ用トナーの着色剤としては有機顔料が用いら
れ、ブラック用トナーとしてはカーボンブラックが使用
される。
第7図はフルカラー画像を得る画像形成装置の現像部
と転写部を示す図であり、感光体ドラム1に適当な手段
で形成された静電潜像は上下動する現像ユニット2の現
像器3a,3b,3c,3dの何れかの現像器中の現像剤により可
視化され、グリッパ6によって転写ドラム4に保持さ
れ、除電チャージャー7によって除電された転写材に転
写チャージャー5によって転写される。更に、2色目と
1色目とは別の3a,3b,3c,3dの何れかの現像器の現像剤
によって現像されたトナー像も転写チャージャーによっ
て転写材に転写され、3色目、4色目も同様にして行わ
れる。このようにして転写ドラム4に保持された転写材
上に所定色数のトナー像が多重転写され、転写材は定着
工程(図示しない)へと搬送されて行きフルカラー画像
形成物が得られる。一般に、上記の転写工程では、転写
材上に転写されたトナー層の上に更に異なった色のトナ
ーを転写するという作業を行う。この作業においては、
転写材上に既に転写されたトナーの電荷が次のトナーの
転写作業において実行転写電界を低下させて所望の色相
の画像に再現されないことがある。このため、転写工程
において順次或いはトナー層が厚くなった3回目以降の
転写電圧を上げていく方法が取られることがある。
しかしながら、実際の転写工程におけるトナーの挙動
は微妙で、所定の転写電圧を印加して、更に転写電圧の
電圧値を後工程において上げていったとしても各色トナ
ーの諸特性(帯電特性、電気特性)が異なるためにトナ
ーの飛び散りや転写不良を発生することが多く所望の色
彩のトナー画像を得るに、今だ満足できる結果を得てい
ない。
また、特公平1−32981号に記載されているように、
現像、転写されるトナーの電荷を既に現像転写されたト
ナーの電荷量の絶対値よりも大きくして実行転写電界の
低下を補って転写工程の安定化を図る方法も提案されて
いるが、このものにおいては現像工程において各色毎の
現像条件(感光体帯電特性、現像バイアス、感光体−現
像剤担持体摺擦状態)を共通化しようとするとトナーの
帯電特性が著しく異なるために現像性にムラ(ベタ部濃
度不足、線、ドット画像の太り、画像部周辺部のトナー
のチリ)を生じたり、機内でトナー飛散を生じたりし
て、色相のずれや画像のボケ等を発生することがある。
また、カラートナーは、分光反射特性に優れているだ
けでなく、分光透過性にも十分に優れているものでなけ
れば本来のカラーと同様の色相の画像が得られなく、ま
た複数種のカラートナーの重ね合わせによるフルカラー
画像の製作には、特にトナーの透明性を持たせることが
重要であって、透明性の劣るカラートナーを使用した場
合は、相互に各トナー色が干渉し黒ずんだ画像になり所
望の発色画像を得ることができない場合がしばしばあ
る。
このような問題に対する改善の試みとしては、例えば
結着用樹脂媒質として特定のフッ素含有アクリル系樹脂
を選択することを提案したものや(特開昭62−27356
9)、イエロー用トナーに対し、C.I.ソルベントイエロ
ー60のような油溶性染料を含有することを提案したもの
などがある(特開昭62−273572)。
しかしながら、いずれも混色時に、もとの画像色調を
鮮明に発色させるには十分ではなく、しばしば画像が不
鮮明となりカラーの特徴が活かされないという問題を生
じ、根本的な解決にはほど遠い。
よって、本発明の目的は、光透過性が極めて高いフル
カラー現像用トナーを提供することにある。
本発明の目的はまた、トナー自身の光透過性を高める
ことにより、混色時に重ねられる各トナーの色調を鮮明
に発揮することができるフルカラー現像用トナーを提供
することにある。
本発明の目的は更に、フルカラー現像用トナーの内で
も、マゼンタ、シアン、及びイエロートナーを提供する
ことにある。
また、本発明の目的は、重ね合わせられる各トナーの
電気特性の相違を少なくして各トナーの現像特性、及び
転写特性をほぼ一致させることのできるフルカラー現像
用トナーを提供することにある。
また、本発明の目的は、現像特性及び転写特性を等し
くさせることにより、画像における彩度の減少及び濃度
ムラが見られない再現性の優れたフルカラー現像ができ
るトナーを提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、結着樹脂中にマゼンタ用着色剤が粒
子として分散されるトナーであって、該トナーを厚さ0.
9μmに形成し、該形成面の面積780000μm2中に分散し
ている前記マゼンタ用着色剤の占める面積が、10乃至1
2.5μm2の大きさを有する分散着色剤粒子が40個以下
で、且つ12.5乃至15.0μm2の大きさを有する分散着色剤
粒子が20個以下で分散していることを特徴とする透明性
に優れたフルカラー現像用トナーが提供される。
前記フルカラー現像用トナーにおいては、前記結着樹
脂の導電率が1.0×10-9乃至5.0×10-9(s/cm)の範囲を
満たすことを特徴とすることができる。
また、前記フルカラー現像用トナーにおいては、前記
結着樹脂の溶融温度を80乃至130℃の範囲とすることを
特徴とすることができる。
更に、前記フルカラー現像用トナーにおいて、着色剤
がキナクリドン系顔料であることを特徴とすることがで
きる。
本発明によればまた、結着樹脂中にシアン用着色剤が
粒子として分散されるトナーであって、該トナーを厚さ
0.9μmに形成し、該形成面の面積780000μm2中に分散
している前記シアン用着色剤の占める面積は、10乃至1
2.5μm2の大きさを有する分散着色剤粒子が80個以下
で、且つ12.5乃至15.0μm2の大きさを有する分散着色剤
粒子が50個以下で分散していることを特徴とする透明性
に優れたフルカラー現像用トナーが提供される。
本発明によれば更に、結着樹脂中にイエロー用着色剤
が粒子として分散されるトナーであって、該トナーを厚
さ0.9μmに形成し、該形成面の面積780000μm2中に分
散している前記イエロー用着色剤の占める面積は、10乃
至12.5μmの大きさを有する分散着色剤粒子が15個以下
で、且つ12.5乃至15.0μm2の大きさを有する分散着色剤
粒子が10個以下で分散していることを特徴とする透明性
に優れたフルカラー現像用トナーが提供される。
(作用) トナーの透明性に影響を及ぼす諸因子としては、結着
樹脂自身の特性、すなわち分光反射及び分光透過性等の
光学特性、形状の均一性等が考えられるが、着色剤の結
着樹脂中での特定の分散状態が、該トナーの透明性に格
段の大きな影響を及ぼすことは、あまり注目されていな
かった。本発明者等は、このような注目されなかった分
散状態を調べ、鋭意研究の結果本発明に至ったものであ
る。
即ち、本発明者等は、結着樹脂と着色剤との混練りに
際して、該着色剤を特定の状態に至るまで混練りし、着
色剤を均一且つ所定の微粒子状に分散させたものとする
ことにより、従来のトナーには見られない可視部での光
透過性の優れたカラートナーが得られることを探知した
ものである。そして、重ね合わせて用いられるフルカラ
ー現像用トナー、特に、マゼンタ、シアン、及びイエロ
ートナーに於ける各着色剤の好ましい分散状態及びその
量を調べ、本発明に至ったものである。
従来、有機系着色剤はその製造時の1次粒子径が0.1
乃至0.2μm程度であるか、乾燥時に凝集しやすいた
め、2次粒子径は、数μmから数百μmに及ぶ広範囲な
凝集粒径となり、従来のトナーにおいてはこのような粒
径の着色剤が主に樹脂中に分散されていた。
しかし、本発明のトナーにおいては、樹脂中の分散着
色剤粒子の内の10乃至12.5μm2の粒子及び12.5乃至15.0
μm2の粒子の存在を一定の量以下に制限している。この
存在制限粒子は2次粒子に主に当該するものであり、こ
のような制限を行ったトナーは着色剤の有する波長吸収
領域を除いて、可視部において光透過性が優れたものと
なる。また、本発明者等は、樹脂中の10乃至12.5μm2
着色剤粒子の数、及び12.5乃至15.5μm2の着色剤粒子の
数がマゼンタ、シアン、及びイエロートナーによってそ
れぞれ異なることも見出したものである。
第1図は従来のマゼンタ系着色剤が用いられたトナー
の可視部での吸収波長の透過率T%を調べたものであ
り、第2図は本発明に係るマゼンタ系着色剤が好適に樹
脂中に分散されて用いられたトナーの可視部での吸着波
長の透過率T%を調べたものである。第1図及び第2図
に示すように各マゼンタ用トナーは、500乃至600nmの波
長付近にほぼ同じ程度の吸着値を有している。一方、そ
の他の可視部での波長領域(500nm以下、及び600nm以
上)では、光を吸収せず透過性であることが解る。ま
た、従来のトナーにおいてはこの領域において光透過性
が悪いことが理解される。これに対して、本発明に係る
マゼンタトナーは本来の着色剤の吸収波長域の作用が従
来と同じで、その他の可視部の光透過性が優れている。
したがって、本発明に係るトナーはフルカラー現像用ト
ナーとしての使用が好適であり、再現性の優れた画像を
提供するものである。
また、トナーを測定サンプルとして厚さ0.9μmに形
成し、該形成面の面積780000μm2中に分散しているマゼ
ンタ用着色剤の占める面積が、10乃至12.5μm2の大きさ
を有する分散着色剤粒子が40個以下、特に30個以下で、
且つ12.5乃至15.0μm2の大きさを有する分散着色剤粒子
が20個以下、特に10個以下で分散形成されていること
も、マゼンタ用トナーにおいて重要である。マゼンタ用
トナーの場合、前記着色剤粒子が前記範囲の個数以下で
あれば、トナーにおいて充分な光透過性が得られるが、
前記範囲以上の個数であれば、光透過性が悪くなってく
る。このような大径な着色剤粒子の存在を制限すること
により、トナーの透過性が向上する理由については不明
であるが、結着樹脂中に1次粒径の着色剤粒子が多く存
在し、これらが均一に分散し、その表面全体に樹脂の高
分子膜が濡れ付着するのではないかと考えられる。
また前記マゼンタトナーにおいては着色剤としてキナ
クリドン系顔料を用いることが好適である。キクナリド
ン系顔料は樹脂中での分散性があり、前記粒径の範囲内
で、制限個数範囲内を満たし得るものである。このよう
にキナクリドン系顔料は結着樹脂中での分散性があり、
それを用いたトナーは電気特性が均一で、しかも光透過
性と分光特性に優れている。
第3図は従来のシアン系着色剤が用いられたトナーの
可視部での吸着波長の透過率T%を調べたものであり、
第4図は本発明に係るシアン系着色剤が樹脂中に好適に
分散されて用いられたトナーの可視部での吸着波長の透
過率T%を調べたものである。第3図及び第4図に示す
ように各シアン用トナーは、600乃至700nmの波長域にほ
ぼ同じ程度の吸着値を有している。一方、500nm付近で
の波長領域では、光を吸収せず光透過性があることが解
る。また、従来のトナーにおいてはこの領域において光
透過性が悪いことも理解される。これに対して本発明に
係るシアントナーは本来の着色剤の有する波長領域の作
用が従来と同じで、その他の可視部の光透過性が優れて
いる。したがって、本発明に係るトナーは、フルカラー
現像用トナーとしての使用が好適であり、再現性の優れ
た画像を提供するものである。
また、トナーを厚さ0.9μmに形成し、該形成面の面
積780000μm2中に分散しているシアン用着色剤の占める
面積が、10乃至12.5μm2の大きさを有する分散着色剤粒
子が80個以下、特に70個以下で、且つ12.5乃至15.0μm2
の大きさを有する分散着色剤粒子が50個以下、特に40個
以下で分散形成されていることも、シアントナーにおい
て重要である。シアントナーの場合、前記着色剤粒子が
前記範囲の個数以下であれば、トナーにおいて充分な光
透過性が得られるが、前記範囲以上の個数であれば、光
透過性が悪くなってくる。
また前記シアントナーにおいては着色剤として銅フタ
ロシアニン系顔料を用いることが好適である。銅フタロ
シアニン系顔料は樹脂中での分散性があり、前記粒径の
範囲内で、制限個数範囲内を満たし得るものである。こ
のように銅フタロシアニン系顔料は結着樹脂中での分散
性があり、それを用いたトナーは電気特性が均一で、光
透過性が優れている。
第5図は従来のイエロー系着色剤が用いられたトナー
の可視部での吸着波長を調べたものであり、第6図は本
発明に係るイエロー系着色剤が好適に分散されて用いら
れたトナーの可視部での吸収波長を調べたものである。
第5図及び第6図に示すように各イエロートナーは、40
0nmの波長付近にほぼ同じ程度の吸収値を有している。
一方、その他の可視部での波長領域(500nm以上)にお
いては、光を吸収せず光透過性があることが解り、また
従来のトナーにおいてはこの領域において光透過性が悪
いことも理解される。これに対して本発明に係るイエロ
ートナーは、本来の着色剤の作用が従来と同じで、その
他の可視部の光透過性が優れている。本発明に係るトナ
ーは、フルカラー現像用トナーとしての使用が好適であ
り、再現性の優れた画像を提供するものである。
また、トナーを厚さ0.9μmに形成し、該形成面の面
積780000μm2中に分散しているイエロー用着色剤の占め
る面積が、10乃至12.5μm2の大きさを有する分散着色剤
粒子が15個以下、特に10個以下で、且つ12.5乃至15.0μ
m2の大きさを有する分散着色剤粒子が10個以下、特に5
個以下で分散形成されていることも、イエロー用トナー
において重要である。イエロー用トナーの場合、前記着
色剤粒子が前記範囲の個数以下であれば、トナーにおい
て充分な光透過性が得られるが、前記範囲以上の個数で
あれば、光透過性が悪くなってくる。
また前記イエロートナーにおいては着色剤としてベン
ジジン系顔料を用いることが好適である。ベンジジン系
顔料は樹脂中での分散性であり、大径な分散着色剤粒子
の形成が少なく、制限個数範囲内を満たし得るものであ
る。このようにベンジジン系顔料は着色樹脂中での分散
性が優れているため、光透過性の優れたイエロー用トナ
ーを提供し得る。
本発明においては、前記着色樹脂の導電率が1.0×10
-9乃至5.0×10-9(s/cm)の範囲を満たすことが重要で
あり、特に1.0×10-9乃至3.0×10-9(s/cm)の範囲を満
たすことが望ましい。結着樹脂の導電率が前記範囲より
小さい場合には、重ね合わせられる各種トナーの導電率
に大きさ差が生じ、現像特性、転写特性が大きくなった
ものになってしまう。例えば、後述する実験例の試料4
−5(表4)に見られるように、結着樹脂に8.9×10-10
s/cmの低い導電率のものが用いられた場合、カーボンブ
ラックはトナー全体の導電率を引き上げ1.5×10-9s/cm
にする。一方、他のシアン、マゼンタ、イエロー等の各
種トナーの導電率は、10×-10s/cmのオーダーであり、
各種着色剤はトナー全体の導電率をカーボンブラックの
ように顕著に引き上げない。このため、重ねられるトナ
ーの導電率には差が生じる。
しかし、結着樹脂に前記範囲内の導電率のものを用い
ると、本発明に係るマゼンタ、シアン及びイエロートナ
ーにおいて、例えば、マゼンタトナーにおける実験例の
4−1及び4−2に見られるように各種トナーの導電率
には差が見られなくなる。このような導電率の差がない
フルカラー現像用トナーを用いた現像では、各種トナー
の現像特性、転写特性がほぼ一定しており、画像再現性
が優れている。一方、導電率が前記範囲より大きい場合
には、トナーに電荷を付与してもその電荷の逃げが遠く
なり帯電状態が不安定となる。
結着樹脂は前記範囲を満たすものであれば、本発明の
トナーとしての電気的特性を満たすが、本発明のトナー
の樹脂は、同時に使用される他のトナーの結着樹脂とそ
の種類が同じでもよく、或いは異なっていてもよい。但
し、他のトナーの結着樹脂の導電率は上記範囲を満たし
ていることが重要である。
本発明においてはまた、結着樹脂はその溶融温度が80
℃乃至130℃の範囲を満たすことが重要であり、特に、9
0℃乃至110℃の範囲を満たすことが望ましい。前記範囲
内の溶融温度であれば、各トナーは重ね合せても発色性
に優れる。結着樹脂の溶融温度が前記範囲より大きい
と、発色が劣り、また、前記範囲より小さいと、オフセ
ット現象を生じることがある。
(発明の実施態様) 以下、本発明に係るフルカラー現像用トナーを詳説す
る。
本発明のトナーは、色の相違する他のトナーが転写紙
の画像上に重ね合わせて使用されるフルカラー現像用ト
ナーである。即ち、フルカラー現像における基本色を構
成するトナーを対象とするものである。フルカラー現像
用トナーの基本的トナーは、マゼンタ、シアン、イエロ
ー及びブラックの4種類のトナーが主なものとなってい
る。フルカラー現像においては、これらのトナーが順次
重ね合わせて現像され、原稿通りの色調画質が再現され
る。これ等のトナーは結着樹脂中に着色剤、場合によっ
ては電荷制御剤が含有され、更にはそれ自体周知のトナ
ー用配合剤が含有または添加される。
結着樹脂 本発明の結着樹脂は、樹脂についてはそれ自体公知の
ものを使用することができるが、前述したように導電率
が1.0×10-9乃至5.0×10-9(s/cm)の範囲を満たすこと
が重要であり、特に1.0×10-9乃至3.0×10-9(s/cm)の
範囲を満たすことが望ましい。また、結着樹脂は光透過
性の優れたものが好ましい。更に、結着樹脂はその溶融
温度が80℃乃至130℃の範囲を満たすことが重要であ
り、特に90℃乃至110℃の範囲を満たすことが望まし
い。
このような特性を有する樹脂としては、ポリエステル
系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリエーテル
系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等の内から1種以
上選択して、或いは組み合わせて用いることができる。
ポリエステル系の具体的樹脂としては、その酸成分が
芳香族ジカルボン酸や脂肪酸等である。より具体的な酸
成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等
が挙げられ、主にテレフタル酸が用いられる。また、ジ
オール成分としては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、
シクロヘキサンジメタノール、ヘキシレングリコール、
トリエチレングリコール、或いはグリセルロース、マン
ニトール、ペンタエリストール等を挙げることができ
る。
スチレン系の具体的な樹脂としては、単量体にスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロ
スチレン、o−,m−,p−クロロスチレン、エチルスチレ
ン、ジビニルスチレン等が単独または組み合わせて重合
したものが用いられる。
アクリル系樹脂としては、例えばエチルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、アクリル酸、メタク
リル酸等が単独或いは組み合わせて重合されたものが用
いられる。また、上述したものの他にエチレン系不飽和
カルボン酸乃至その無水物、例えば、無水マレイン酸、
フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を用
いることもできる。
ビニルエーテル系の具体的樹脂としては、ビニル−n
−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシ
クロヘキサシルエーテル等が用いられる。
ポリアミド系の具体的樹脂としては、ジアミンとジカ
ルボン酸とからなるそれ自体公知の樹脂或いは、ラクタ
ム系から重合されるナイロン6等を挙げることができ
る。
オレフィン系の具体的樹脂としては、エチレン、プロ
ピレン、ブテン−1、ペンテン−1、メチルペンテン−
1等が挙げられる。
以上の樹脂は1種単独で用いることのできるものもあ
り、また、2種以上の樹脂を組み合わせて、前述の導電
率になるように樹脂を混合して結着樹脂とすることもで
きる。
尚、本発明においては、導電率、光透過性及び溶融粘
度特性の点でポリエステル系樹脂の使用が特に好まし
い。
着色剤 着色樹脂中に含有させる着色剤は、マゼンタ、シア
ン、及びイエロー、の顔料に大きく大別することができ
る。また、これらの着色剤は前記結着樹脂に対して、通
常1重量%乃至20重量%の範囲で含有させることが望ま
しい。
マゼンタ系着色剤としては、C.I.ピグメントレッド8
1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド5
7、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベンレッド19、
C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベシック(Basic)レッ
ド10、C.I.ディスパーズ(Disperse)レッド15、等が挙
げられる。
また、マゼンタ用着色剤の中でも、結着樹脂との分散
性の良いものとして、特にキナクリドン系顔料を用いる
ことが望ましい。キナクリドン顔料は、下記式 (R2、R3はイミノ基またはカルボニル基を示し、R1、R4
は、水素、アルキル、ハロゲン等である。)に代表され
るものである。
シアン系着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、
C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー25、C.
I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.
ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー25、等が挙
げられる。
また、シアン用着色剤の中でも、結着樹脂との分散性
の良いものとして、特に銅フタロシアニン系顔料を用い
ることが望ましい。銅フタロシアニン系顔料は、下記式 で表され、該構造式中のベンゼン核にアルキル、ハロゲ
ン基が水素と置換されてもよい。
イエロー用着色剤としては、ナフトールイエローS等
のニトロ系顔料、ハンザイエロー5G、ハンザイエロー3
G、ハンザイエローG、ベンジジンイエローGR、ベンジ
ジンイエローG、バルカンファストイエロー5Gなどのア
ゾ系顔料または黄色酸化鉄、黄土等の無機顔料等が挙げ
られる。又染料としてはカラーインデックスに記されて
いるC.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロ
ー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエ
ロー15、C.I.ソルベントイエロー16、C.I.ソルベントイ
エロー19、C.I.ソルベントイエロー21等の油溶性染料が
ある。
このようなイエロー用着色剤の内でも、結着樹脂との
分散性の良いものとして、有機系染料又は顔料を使用す
ることが望ましく、特に、ベンジジン系の顔料は分散性
及び樹脂中の粒径が細くなる点で望ましく、電気特性に
優れたイエロー用トナーを提供し得る。
その他の含有物 結着樹脂にはトナーの帯電を制御するための電荷制御
剤を含有させることができる。電荷制御剤としては、そ
れ自体公知の任意の電荷制御剤、例えば、ナフテン酸金
属塩、金属石鹸、含金属アゾ染料、ピリミジン化合物、
アルキルサルチル酸の金属キレートが使用される。この
うち特に好適な電荷制御剤としては、サルチル酸と亜鉛
との塩または亜鉛錯化化合物、及びアルキルサルチル酸
と亜鉛との塩または亜鉛錯化化合物等が挙げられ、結着
樹脂に対して0.5乃至5.0重量%の範囲で含有させるのが
望ましい。
トナー 上記成分によって形成されるフルカラー現像用トナー
は、その粒子の粒径がコールターカウンターで測定した
体積基準メジアン径で5乃至20μm、特に8乃至15μm
の範囲にあるのがよい。また、トナーの表面には、疎水
性シリカ微粒子等の無機系の微粒子や各種重合体等から
成る有機系の微粒子をまぶして、その流動性を向上させ
てもよい。
(1)マゼンタトナー 本発明に於いては更に、マゼンタトナーを厚さ0.9μ
mに形成したとき、その成形面に表れる着色剤粒子は微
粒子として分散した状態になっており、その分散状態は
10乃至12.5μm2の大きさを有する粒子が形成面の面積78
0000μm2あたり40個以下、特に30個以下で、且つ12.5乃
至15.0μm2の多きさを有する粒子が20個以下、特に10個
以下に存在が限られていることが重要である。また、ト
ナーの透過率T%(550nm)が2%以下のとき、トナー
の透過率T%(440nm)が40%以上、特に45%以上の範
囲を満たすことが望ましい。
(2)シアントナー 本発明に於いては更に、シアントナーを厚さ0.9μm
に形成したとき、その成形面に表れる着色剤粒子は微粒
子として分散した状態になっており、その分散状態は10
乃至12.5μm2の大きさを有する粒子が形成面の面積7800
00μm2あたり80個以下、特に70個以下で、且つ12.5乃至
15.0μm2の大きさを有する粒子が50個以下、特に40個以
下に存在が限られていることが重要である。また、トナ
ーの透過率T%(600nm)が2%以下のとき、トナーの
透過率T%(490nm)が70%以上、特に75%以上の範囲
を満たすことが望ましい。
(3)イエロートナー 本発明に於いては更に、トナーを厚さ0.9μmに形成
したとき、その成形面に表れる着色剤粒子は微粒子とし
て分散した状態になっており、その分散状態は10乃至1
2.5μm2の大きさを有する粒子が形成面の面積780000μm
2あたる15個以下、特に10個以下で且つ12.5乃至15.0μm
2の大きさを有する粒子が10個以下、特に5個以下に存
在が限られていることが重要である。また、トナーの透
過率T%(400nm)が2%以下のとき、トナーの透過率
T%(550nm)が75%以上、特に80%以上の範囲を満た
すことが望ましい。
以上のようなトナーは磁性キャリヤと混合して二成分
現像剤として用いる場合、この分野で使用されるそれ自
体公知の磁性キャリヤが使用できるが、通常ソフトな磁
気ブラシが形成できるフェライト粒子の使用が好まし
い。
以上の如く本発明によれば、樹脂中の分散着色剤粒子
の内の10乃至12.5μmの粒子及び12.5乃至15.0μmの粒
子の存在を一定の量以下に制限したことにより、マゼン
タ、シアン、及びイエロー等のトナーの光透過性を高め
ることができる。したがって、光透過性を高めたトナー
は重ね合わせて使用されるフルカラー現像用トナーに好
適に使用することができる。
また、本発明によれば、導電率が1.0×10-9乃至5.0×
10-9(s/cm)の範囲を満たす樹脂をトナーの結着樹脂に
使用したことにより、フルカラー現像用トナーは重ねて
用いられる各トナーとの間の電気特性の相違を少なくし
て用いることができる。そして、このような電気特性の
相違の減少はフルカラー現像に際して、他のトナーとの
現像条件をほぼ一定にさせることができる。また、各ト
ナーの転写量のばらつきも少なくすることができ、画像
の再現性に優れたフルカラー現像ができる。
(実験例1) 実験例1−1 (1)マゼンタトナーの製造 結着樹脂としてのポリエステル樹脂と着色剤としての
キナクリドン系着色剤を用い、これらの成分は必要によ
り電荷制御剤を加えて充分に混練りされ、粉砕、分級さ
れた。これにより、粒径5μm乃至15μmのトナーが得
られた。
また、厚さ0.9mmに形成したトナーの形成面780000μm
2中の着色剤粒子が粒径10.0乃至12.5μm2において30
個、粒径12.5乃至15.0μm2において10個となるように混
練りを行った。
表1に示すように、得られたトナーの550nmの透過率
T%は2%、440nmの透過率T%は48%であった。尚、
第2図に波長と透過率の関係を示した。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(2)シアントナーの製造 結着樹脂には、マゼンタトナーとの同様なものを用
い、着色剤は銅フタロシアニン系で、分散状態におい
て、トナーを厚さ0.9mmに形成し、その形成面780000μm
2中の着色剤粒子が粒径10.0乃至12.5μm2において60
個、粒径12.5乃至15.0μμm2において35個となるように
混練りを行った。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(3)イエロートナーの製造 結着樹脂には、マゼンタトナーと同様なものを用い、
着色剤はベンジジン系で、分散状態において、トナーを
厚さ0.9mmに形成し、その形成面780000μm2中の着色剤
粒子が粒径10.0乃至12.5μm2において10個、粒径12.5乃
至15.0μm2において5個となるように混練りを行った。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(1)乃至(3)の各種トナーを表1に示す同一の条
件でフルカラー現像を行い、転写材上に重ね合わせて画
像の評価を行った。評価の結果を表1に示した。
実験例1−2乃至1−5 (1)マゼンタトナーの製造 実験例1−1と同様にして、粒径5μm乃至15μmの
トナーとする共に、表1に示すような、着色剤の分散粒
子数及びトナーの透過率が得られた。
得れれたトナーは、実験例1−1と同様に二成分系現
像剤とした。
また、シアントナー及びイエロートナーにおいては実
験例1−1と同様なものを使用した。これらのトナーを
用いて実験例1−1と同様にして画像の評価を行った。
評価の結果を表1に示した。
実験例1−6 (1)マゼンタトナーの製造 トナーの結着樹脂はポリエステルで、着色剤はキナク
リドン系であり、これらの成分は必要により電荷制御剤
を加えて通常の混練りがされ、粉砕、分級された。これ
により、粒径5μm乃至15μmのトナーが得られた。
また、厚さ0.9mmに形成されたトナーの形成面780000
μm2中の着色剤粒子は粒径10.0乃至12.5μm2において12
0個、粒径12.5乃至15.0μm2において80個となった。
得られたトナーの550nmの透過率T%は1.5%、440nm
の透過率T%は20%であった。尚、第1図に波長と透過
率の関係を示した。
これにより、従来の分散状態のトナーは光透過率性が
悪いことが理解される。
また、シアントナー及びイエロートナーにおいては実
験例1−1と同様なものを使用し、同様にして画像の評
価を行った。その結果、画像は黒ずんだものとなり、透
明感、鮮彩さに著しく劣るものであった。
(実験例2) 実験例2−1 (1)シアントナーの製造 結着樹脂としてのポリエステル樹脂と着色剤としての
銅フタロシアニン系着色剤を用い、これらの成分は必要
により電荷制御剤を加えて充分に混練りされ、粉砕、分
級された。これにより、粒径8μm乃至15μmのトナー
が得られた。
また、厚さ0.9mmに形成したトナーの形成面7800μm2
中の着色剤粒子が粒径10.0乃至12.5μm2において60個、
粒径12.5乃至15.0μm2において35個となるように混練り
を行った。
表2に示すように、得られたトナーの600nmの透過率
T%は1.0%、490nmの透過率T%は76%であった。尚、
第4図に波長と透過率の関係を示した。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(2)イエロートナーの製造 結着樹脂には、シアントナーと同様なものを用い、着
色剤はベンジジン系で、分散状態において、トナーを厚
さ0.9mmに形成し、その形成面780000μm2中の着色剤粒
子が粒径10.0乃至12.5μm2において10個、粒径12.5乃至
15.0μm2において5個となるように混練りを行った。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(3)マゼンタトナーの製造 結着樹脂には、シアントナーと同様なものを用い、着
色剤はベンジジン系で、分散状態において、トナーを厚
さ0.9mmに形成し、その形成面780000μm2中の着色剤粒
子が粒径10.0乃至12.5μm2において30個、粒径12.5乃至
15.0μm2において10個となるように混練りを行った。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(1)乃至(3)の各種トナーを表2に示す同一の条
件でフルカラー現像を行い、転写材上に重ね合わせて画
像の評価を行った。評価の結果を表2に示した。
実験例2−2及び2−3 (1)シアントナーの製造 実験例2−1と同様にして、粒径8μm乃至15μmの
トナーとする共に、表2に示すような、着色剤の分散粒
子数及びトナーの透過率が得られた。
得れれたトナーは、実験例2−1と同様に二成分系現
像剤とした。
また、マゼンタトナー及びイエロートナーにおいては
実験例2−1と同様なものを使用してフルカラー現像を
行い、転写材上に重ね合わせて画像の評価を行った。評
価の結果を表2に示した。
実験例2−4 (1)シアントナーの製造 トナーの結着樹脂はポリエステルで、着色剤は銅フタ
ロシアニン系であり、これらの成分は必要により電荷制
御剤を加えて通常の混練りがされ、粉砕、分級された。
これにより、粒径8μm乃至15μmのトナーが得られ
た。
また、厚さ0.9mmに形成されたトナーの形成面780000
μm2中の着色剤粒子は粒径10.0乃至12.5μm2において11
0個、粒径12.5乃至15.0μm2において80個となった。
得られたトナーの600nmの透過率T%は0.5%、490nm
の透過率T%は64%であった。尚、第3図に波長と透過
率の関係を示した。
これにより、従来の分散状態のものは光透過性が悪い
ことが理解される。
また、マゼンタトナー及びイエロートナーにおいては
実験例2−1と同様なものを使用してフルカラー現像を
行い、転写材上の重ね合わせて画像の評価を行った。そ
の結果、画像は黒ずんだものとなり、鮮彩さや透明感に
欠けるものであった。
実験例2−5 (1)シアントナーの製造 厚さ0.9mmに形成されたトナーの形成面780000μm2
の着色剤粒子が10.0乃至12.5μm2において78個、粒径1
2.5乃至15.0μm2において53個となるように混練りを行
った以外は実験例2−4と同様である。
また、マゼンタトナー及びイエロートナーについて実
験例2−1と同様である。これらのトナーでフルカラー
現像を行い、転写材上に重ね合わせて画像の評価を行っ
た。その結果、画像には鮮彩さがなかった。
(実験例3) 実験例3−1 (1)イエロートナーの製造 結着樹脂としてのポリエステル樹脂と着色剤としての
ベンジジン系着色剤を用い、これらの成分は必要により
電荷制御剤を加えて充分に混練りされ、粉砕、分級され
た。これにより、粒径5μm乃至15μmのトナーが得ら
れた。
また、厚さ0.9mmに形成したトナーの形成面780000μm
2中に着色剤粒子が粒径10.0乃至12.5μmにおいて10
個、粒径12.5乃至15.0μm2において6個となるように混
練りを行った。
表3に示すように、得られたトナーの400nmの透過率
T%は2%、550nmの透過率T%は80%であった。尚、
第6図に波長と透過率の関係を示した。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(2)マゼンタトナーの製造 結着樹脂には、イエロートナーと同様なものを用い、
着色剤はキナクリドン系で、分散状態において、トナー
を厚さ0.9mmに形成し、その形成面780000μm2中の着色
剤粒子が粒径10.0乃至12.5μm2において30個、粒径12.5
乃至15.0μm2において10個となるように混練りを行っ
た。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(3)シアントナーの製造 結着樹脂には、イエロートナーと同様なものを用い、
着色剤は銅フタロシアニン系で、分散状態において、ト
ナーを厚さ0.9mmに形成し、その形成面780000μm2中の
着色剤粒子が粒径10.0乃至12.5μm2において60個、粒径
12.5乃至15.0μm2において35個となるように混練りを行
った。
上記トナーと公知の磁性フエライトキャリヤとを混ぜ
て二成分現像剤とした。
(1)乃至(3)の各種トナーを表3に示す同一の条
件でフルカラー現像を行い、転写材上に重ね合わせて画
像の評価を行った。評価の結果を表3に示した。
実験例3−2乃至3−4 (1)イエロートナーの製造 実験例3−1と同様にして、粒径5μm乃至15μmの
トナーとすると共に、表3に示すような、着色剤の分散
粒数及びトナーの透過率が得られた。
得れれたトナーは、実験例3−1と同様に二成分系現
像剤とした。
また、マゼンタトナー及びシアントナーにおいては実
験例3−1と同様なものを使用した。これらのトナーで
フルカラー現像を行い、転写材に重ね合わせて画像の評
価を行った。評価の結果を表3に示した。
実験例3−5 (1)イエロートナーの製造 トナーの結着樹脂はポリエステルで、着色剤はベンジ
ジン系であり、これらの成分は必要により電荷制御剤を
加えて通常の混練りがされ、粉砕、分級された。これに
より、粒径5μm乃至15μmのトナーが得られた。
また、厚さ0.9mmに形成されたトナーの形成面780000
μm2中の着色剤粒子は粒径10.0乃至12.5μm2において30
個、粒径12.5乃至15.0μm2において25個となるように混
練りを行った。
得られたトナーの400nmの過率T%は2.0%、550nmの
透過率T%は62%であった。尚、第5図に波長と透過率
の関係を示した。
これにより、従来の分散状態のものは光透過性が悪い
ことが理解される。
また、マゼンタトナー及びシアントナーにおいては実
験例3−1と同様なものを使用してフルカラー現像を行
い、画像の評価を行った。その結果、画像には濃度ムラ
が見られ、鮮彩さがなかった。
(実験例4) 実験例4−1 結着樹脂としての導電率が2.5×10-9(s/cm)で溶融
温度が90℃のポリエステル樹脂100重量部と、着色剤と
してのキナクリドン系顔料4.0重量部とを使用して、ト
ナー厚さ0.9μmに形成し、該形成面の面積780000μm2
中に分散しているキナクリドン系顔料の占める面積で、
10乃至12.5μm2の大きさを有する分散粒子が29個で、1
2.5乃至15.0μm2の大きさを有する分散粒子が8個とな
るように混練りして平均粒径が10μmのトナー粒子を作
成した。このトナーの導電率は、2.5×10-9(s/cm)で
あった。
以下、上記同様の結着樹脂100重量部に対して、ベン
ジジン系顔料3.0重量部を使用して、イエロートナーと
して着色剤であるベンジジン系顔料の分散状態が、トナ
ーの厚さを0.9μmに形成しその形成面780000μm2中の
顔料粒子が粒径10.0乃至12.5μm2において10個、粒径1
2.5乃至15.0μm2において5個となるように混練りして
平均粒径が10μmのトナーを作成した。このトナーの導
電率は2.6×10-9(s/cm)であった。
更に、同様の樹脂100重量部に対して銅フタロシアニ
ン系顔料4.0重量部を使用して、シアントナーとして着
色剤である銅フタロシアニン系顔料の分散状態が、トナ
ーの厚さを0.9μmに形成しその形成面780000μm2中の
顔料粒子が粒径10.0乃至12.5μm2において58個、粒径1
2.5乃至15.0μm2において36個となるように混練りして
平均粒径が10μmのトナー粒子を作成した。このトナー
の導電率は2.5×10-9(s/cm)であった。
更に、同様にして結着樹脂100重量部当たりカーボン
ブラック4重量部使用して、常法によって黒色トナーを
作成した。このトナーの導電率は2.7×10-9(s/cm)で
あった。
上記各色トナーと公知のフェライトキャリヤとを混合
して各色現像剤を調整し、同一現像条件でフルカラー現
像を行い転写材上に重ね合わせてフルカラー画像を得る
とともに、各色毎の現像トナー量(A4当たり画像部20%
の原稿を使用した。)と転写率を測定した。結果を表4
に示す。
実験例4−2乃至4−5 結着樹脂の導電率、溶融温度、マゼンタ系樹脂剤及び
各種トナー中の着色剤の分散状態を表4に示すように変
える以外は、実験例4−1と同様にして実験を行った。
結果を表4に示す。
実験例4−1及び4−2より本発明のマゼンタトナー
は他の各色トナーとの現像性、転写性を略同一にでき、
しかも透明性、発色性に優れるため、画像の濃度ムラを
発生することなく鮮彩なフルカラー画像を提供すること
がわかる。
(実験例5) 実験例5−1乃至5−5 結着樹脂の導電率、溶融温度、シアン系着色剤及び各
種トナー中の着色剤の分散状態を表4に示すように変え
て、実験例4−1と同様にして各種トナーを製造し、フ
ルカラー現像の評価を行った。結果を表5に示した。
(実験例6) 実験例6−1乃至6−5 結着樹脂の導電率、溶融温度、シアン系着色剤及び各
種トナー中の着色剤の分散状態を示すように変えて、実
験例4−1と同様にして各種トナーを製造し、フルカラ
ー現像の評価を行った。結果を表6に示した。
実験例5−1及び5−2より本発明のシアントナーは
他の各色トナーとの現像性、転写性を略同一にでき、し
かも透明性、発色性に優れるため、画像の濃度ムラを発
生することなく鮮彩なフルカラー画像を提供することが
わかる。
実験例6−1及び6−2より本発明のイエロートナー
は他の各種トナーとの現像性、転写性を略同一にでき、
しかも透明性、発色性に優れるため、画像の濃度ムラを
発生することなく鮮彩なフルカラー画像を提供すること
がわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図はマゼンタ用着色剤が用いられた従来のトナーの
透過率を示す特性線図、 第2図はマゼンタ用着色剤が用いられた本発明に係るト
ナーの透過率を示す特性線図、 第3図はシアン用着色剤が用いられた従来のトナーの透
過率を示す特性線図、 第4図はシアン用着色剤が用いられた本発明に係るトナ
ーの透過率を示す特性線図、 第5図はイエロー用着色剤が用いられた従来のトナーの
透過率を示す特性線図、 第6図はイエロー用着色剤が用いられた本発明に係るト
ナーの透過率を示す特性線図、 第7図はフルカラー現像装置の原理説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平1−301998 (32)優先日 平1(1989)11月22日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−301999 (32)優先日 平1(1989)11月22日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−302000 (32)優先日 平1(1989)11月22日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 枝廣 和久 大阪府大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工業株式会社内

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結着樹脂中にマゼンタ用着色剤が分散され
    るトナーであって、該トナーを厚さ0.9μmに形成し、
    該形成面の面積780000μm2に分散している前記マゼンタ
    用着色剤の占める面積は、10乃至12.5μm2の大きさを有
    する分散着色剤粒子が40個以下で、且つ12.5乃至15.0μ
    m2の大きさを有する分散着色剤粒子が20個以下で分散し
    ていることを特徴とする透明性に優れたフルカラー現像
    用トナー。
  2. 【請求項2】前記結着樹脂の導電率が1.0×10-9乃至5.0
    ×10-9(s/cm)の範囲を満たすことを特徴とする請求項
    第1項フルカラー現像用トナー。
  3. 【請求項3】前記結着樹脂の溶融温度を80乃至130℃の
    範囲とすることを特徴とする請求項第1項または第2項
    記載のフルカラー現像用トナー。
  4. 【請求項4】前記着色剤がキナクリドン系顔料であるこ
    とを特徴とする請求項第1項乃至第3項記載のフルカラ
    ー現像用トナー。
  5. 【請求項5】結着樹脂中にシアン用着色剤が分散される
    トナーであって、該トナーを厚さ0.9μmに形成し、該
    形成面の面積780000μm2中に分散している前記マゼンタ
    用着色剤の占める面積は、10乃至12.5μm2の大きさを有
    する分散着色剤粒子が80個以下で、且つ12.5乃至15.0μ
    m2の大きさを有する分散着色剤粒子が50個以下で分散し
    ていることを特徴とする透明性に優れたフルカラー現像
    用トナー。
  6. 【請求項6】前記結着樹脂の導電率が1.0×10-9乃至5.0
    ×10-9(s/cm)の範囲を満たすことを特徴とする請求項
    第5項フルカラー現像用トナー。
  7. 【請求項7】前記結着樹脂の溶融温度を80乃至130℃の
    範囲とすることを特徴とする請求項第5項または第6項
    記載のフルカラー現像用トナー。
  8. 【請求項8】前記着色剤が銅フタロシアニン系顔料であ
    ることを特徴とする請求項第5項乃至第7項記載のフル
    カラー現像用トナー。
  9. 【請求項9】結着樹脂中にイエロー用着色剤が分散され
    るトナーであって、該トナーを厚さ0.9μmに形成し、
    該形成面の面積780000μm2中に分散している前記マゼン
    タ用着色剤の占める面積は、10乃至12.5μm2の大きさを
    有する分散着色剤粒子が15個以下で、且つ12.5乃至15.0
    μm2の大きさを有する分散着色剤粒子が10個以下で分散
    していることを特徴とする透明性に優れたフルカラー現
    像用トナー。
  10. 【請求項10】前記結着樹脂の導電率が1.0×10-9乃至
    5.0×10-9(s/cm)の範囲を満たすことを特徴とする請
    求項第9項フルカラー現像用トナー。
  11. 【請求項11】前記結着樹脂の溶融温度を80乃至130℃
    の範囲とすることを特徴とする請求項第9項または第10
    項記載のフルカラー現像用トナー。
  12. 【請求項12】前記着色剤がベンジジン系顔料であるこ
    とを特徴とする請求項第9項乃至第12項記載のフルカラ
    ー現像用トナー。
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