JP2952579B2 - 耐熱性キチナーゼ - Google Patents

耐熱性キチナーゼ

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JP2952579B2
JP2952579B2 JP9324368A JP32436897A JP2952579B2 JP 2952579 B2 JP2952579 B2 JP 2952579B2 JP 9324368 A JP9324368 A JP 9324368A JP 32436897 A JP32436897 A JP 32436897A JP 2952579 B2 JP2952579 B2 JP 2952579B2
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はキトオリゴ糖の大量
生産に適した耐熱性キチナーゼに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】キチナ
ーゼは動物、植物及び微生物内に広く存在する酵素であ
り、そのうちの何種類かはすでに精製・取得されている
〔E.Cabib et al.,Methods
nzymol.,161,460−501(198
8)〕。そしてこれらのキチナーゼは、カビの細胞壁の
研究、キチンからのキトオリゴ糖の製造、転移又は縮合
反応によるキトオリゴ糖誘導体の製造などに利用されて
いる。
【0003】しかしながら、従来のキチナーゼはいずれ
も取得するためには多くの精製ステップを経なくてはな
らず、少量しか得られないという欠点を有していた。ま
た、その上、50℃前後までの耐熱性しか有さないた
め、キチンからのキトオリゴ糖の製造時に失活したりし
てしまい、産業分野での利用は不可能な状態にあった。
【0004】従って、簡易な方法によって得られる耐熱
性キチナーゼの開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは、キトオリゴ糖の大量生産に適した耐熱性キ
チナーゼを得るべく、鋭意研究したところ、特開昭63
−7792号記載のバチルス・リケニフォルミス(Ba
cillus licheniformis)X−7u
株の培養液から新規な耐熱性に優れた4種類のキチナー
ゼを精製・取得することに成功し、これらをキチナーゼ
I、II、III及びIVと命名した。このうちキチナーゼI
I、III及びIVの3種は分子量が少し異なるのみで、他の
物性は同一である。
【0006】従って、本発明はこの3種類の新規な耐熱
性キチナーゼを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の耐熱性キチナーゼを生産
する微生物であるバチルス・リケニフォルミス(Bac
illus licheniformis)X−7u
は、温泉より採取された微生物であり、本菌は工業技術
院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第8810号(F
ERM−P No.8810)として寄託されている。
【0008】本発明の耐熱性キチナーゼを得るには、通
常バチルス属に属する微生物の培養に用いられる培地
に、前記バチルス・リケニフォルミス(Bacillu
licheniformis)X−7u株を接種
し、常法に従って回転振盪培養又は通気攪拌培養を行な
えばよい。
【0009】本発明の酵素生産のためには培地中に炭素
源としてキチンを含有させることが必須であり、更にN
−アセチルグルコサミンを添加することが好ましい。ま
た、窒素源としては硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム等の無機化合物或いはコーンスチープリカー、酵母エ
キス等の有機窒素化合物がともに使用できるが、特に酵
母エキスが好ましい。無機塩としてはNa2HPO4・K
2PO4、NaCl、MgSO4・7H2O、CaCl2
・2H2O等が用いられる。
【0010】培地のpHは5〜10、好ましくは7〜9で
あり、培養温度は40℃以上60℃未満、好ましくは5
0℃である。斯かる培養条件で24〜96時間培養を行
なえば、培養液中に本発明のキチナーゼが蓄積する。
【0011】斯くして得られた培養液中の耐熱性キチナ
ーゼの精製は、一般の酵素の採取及び精製の手段に準じ
て行なうことができる。すなわち、まず遠心分離又は濾
過等の通常の固液分離手段により、又は、必要に応じて
塩析法、沈澱法、限外濾過法等の分離手段により、粗酵
素を得る。次いでブチルトヨパール(Butyl−TO
YOPEARL,東ソー(株))カラムクロマトグラフ
ィーにより粗酵素を分画すると、耐熱性キチナーゼIが
単品として分離でき、残りの画分をQ−セファロースフ
ァーストフロー(Q−Sepharose Fast
Flow,ファルマシア(株))カラムクロマトグラフ
ィーにより分画すると、本発明耐熱性キチナーゼIIを単
品として分離できる。更に残りの画分をセファクリル
(Sephacryl)S−200(ファルマシア
(株))カラムクロマトグラフィーにかけると、本発明
耐熱性キチナーゼIII及び耐熱性キチナーゼIVを単品と
して分離することができる。
【0012】斯くして得られる、本発明の耐熱性キチナ
ーゼII、III及びIVの酵素化学的諸性質について、以下
に説明する。尚、酵素活性測定、タンパク質の定量及び
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)は次に示す方法により行なった。
【0013】<酵素活性測定法> i)グリコールキチン水解活性 (反応液) 1.0ml 0.1%グリコールキチン水溶液*1 0.2ml 0.2Mホウ酸緩衝液(pH10.0) 0.3ml 酵素溶液 *1:S.Hirano,Methods Enzymo
161,408(1998)に記載のものを使用し
た。
【0014】上記反応液で50℃にて30分間反応後、
生じた還元糖をT.Imoto and K.Yagi
shita,AgricBiolChem.,
,1154(1971)に記載の方法により定量し
た。酵素1単位(Unit)は、上記の条件で1分間に
1μmoleのN−アセチル−D−グルコサミンに相当
する還元力を生成する酵素量と定義した。 ii)p−ニトロフェニル−ジ−N−アセチル−β−D−
キトビオシド水解活性 (反応液) 0.1ml 5mM p−ニトロフェニル−ジ−N−アセチ
ル−β−D−キトビオシド(焼津水産化学製Lot N
o.8812050) 0.2ml 0.2M リン酸緩衝液(pH6.0) 0.1ml 酵素溶液 上記反応液で37℃にて5分間反応後、0.2M Na
2CO3水溶液0.4mlを加えて反応を止め、生じたp−
ニトロフェノールを400nmの吸光度から定量した(吸
光係数18.1cm2/μmole)。酵素1単位(Un
it)は、上記の条件で1分間に1μmoleのp−ニ
トロフェノールを生成する酵素量と定義した。
【0015】<蛋白質の定量>精製酵素について得られ
た280nmにおける吸光係数E1% 1cm(耐熱性キチナー
ゼII=18.8、耐熱性キチナーゼIII=17.0、耐
熱性キチナーゼIV=18.8)を用いて測定した。
【0016】<SDS−PAGE>ラムリーの不連続緩
衝液系を用いた方法(U.K.Laemmli,Nat
ure277,680(1970))に従った。すな
わち、耐熱性キチナーゼII、III及びIVをそれぞれ5μ
gずつテフコゲルSDS−PAGEミニグラジェントゲ
ル(TEFCO−Gel SDS−PAGE mini
GRADIENTGel)8〜16%を用いて12mA
定電流で泳動した。次いで0.1%クーマーシーブルー
(Coomassie blue)250、40%メタ
ノール、10%酢酸水溶液で染色後、10%メタノー
ル、7.5%酢酸水溶液で脱色した。分子量マーカーと
しては、ファルマシア製 ロウ モレキュラーウェイト
カリブレーション キット(Low Molecul
ar Weight Calibration Ki
t;ホスホリラーゼb94,000、アルブミン67,
000、オボアルブミン43,000、カルボニックア
ンヒドラーゼ30,000、トリプシンインヒビター2
0,100、α−ラクトアルブミン14,400)を用
いた。
【0017】<酵素化学的諸性質> 1)作用 耐熱性キチナーゼII、III及びIVともにキチンを加水分
解してキトオリゴ糖を生成する。 2)基質特異性 キチナーゼII、III及びIVはコロイダルキチンを加水分
解して、N−アセチルグルコサミン(以下GlcNAc
と記す)及びN−アセチルキトビオース(GlcNAc
のダイマー=(GlcNAc)2)を生成する。耐熱性
キチナーゼII、III及びIVともにグリコールキチンを加
水分解し、還元糖を生成する。またp−ニトロフェニル
−ジ−N−アセチル−β−D−キトビオシド(以下「p
NP−キトビオシド」と略称する)を加水分解し、p−
ニトロフェノールを生成する。
【0018】pNP−キトビオシドを基質としたときの
Km及びVの値を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】3)至適pH 0.2Mマクイルベン(McIlvaine)緩衝液
(pH2.5〜7.5)又は0.2Mホウ酸緩衝液(pH
7.5〜11.0)0.2ml、0.1%基質水溶液(グ
リコールキチン)1.0ml、酵素液0.3ml(耐熱性キ
チナーゼII:12.7μg、耐熱性キチナーゼIII:1
4.3μg、耐熱性キチナーゼIV:12.7μg)から
なる反応液を50℃で30分間反応させ、活性を測定し
た。至適pHは、いずれも10.0付近であった。
【0021】4)pH安定性 耐熱性キチナーゼII、III及びIVの各酵素液0.01ml
(耐熱性キチナーゼII:25.4μg、耐熱性キチナー
ゼIII:30.7μg、耐熱性キチナーゼIV:31.8
μg)に0.2Mマクイルベン(McIlvaine)
緩衝液(pH3.0〜7.5)又は0.2Mホウ酸緩衝液
(pH7.5〜11.0)0.04mlを加え、35℃で2
4時間保存した。次いで保存液0.04mlに脱イオン水
0.06ml、0.2Mホウ酸緩衝液(pH10.0)0.
4ml、0.1%グリコールキチン水溶液1.0mlを加え
て、50℃で30分間反応させ、活性を測定したところ
耐熱性キチナーゼII、III及びIVともにpH4.0〜8.
0の範囲で90%以上の残存活性を示した。
【0022】5)至適温度 耐熱性キチナーゼII、III及びIVの各酵素液0.3ml
(耐熱性キチナーゼII:6.4μg、耐熱性キチナーゼ
III:7.2μg、耐熱性キチナーゼIV:6.4μ
g)、0.2Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)0.2
ml及び0.1%グリコールキチン水溶液1.0mlからな
る反応液を30〜80℃の各温度で30分間反応させ、
活性を測定したところ、至適温度は耐熱性キチナーゼI
I、III及びIVともに80℃であった。
【0023】6)温度安定性 耐熱性キチナーゼII、III及びIVの各酵素液〔0.2M
トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にそれぞれ耐熱性キチ
ナーゼII:25.4μg、耐熱性キチナーゼIII:2
8.7μg、耐熱性キチナーゼIV:25.5μgの酵素
を溶かしたもの〕0.1mlを30〜80℃の各温度で3
0分間保温した。次いで、保温液0.1mlに0.2Mホ
ウ酸緩衝液(pH10.0)0.2ml、脱イオン水0.2
ml及び0.1%グリコールキチン水溶液1.0mlを加
え、50℃で30分間反応させ、活性を測定したとこ
ろ、耐熱性キチナーゼII、III及びIVともに80℃以下
では80%以上の残存活性を示した。
【0024】7)分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)の結果(図6)を基に、対数(分子量)−移動
度のプロットより算出した。分子量はキチナーゼII、II
I、IVの順に76,000、66,000、59,00
0であった。キチナーゼII、III及びIVはSDS−PA
GEにより単一のバンドを示したので、それぞれが単一
の物質であると思われた。しかし、これらをSDSを用
いないポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけたとこ
ろ、キチナーゼII、III及びIVの全てにおいて相互に近
接した二本のバンドを示した。これらは分子量が同一で
電荷が僅かに異なる分子種が存在することを示唆する。
【0025】8)糖転移反応 キトテトラオース((GlcNAc)4)にキチナーゼI
I、III又はIVを作用させると加水分解反応によりキトビ
オースを生成する一方、糖転移反応によるキトヘキサオ
ース((GlcNAc)6)を生成することが、反応液
をHPLCで分析することにより判明した。
【0026】なお、反応式は次の通りである。
【0027】
【化1】 (GlcNAc)4+(GlcNAc)4→(GlcNAc)6+(GlcNAc)2
【0028】上記本発明キチナーゼの糖転移反応性を利
用すれば、種々のヌクレオシド、テルペン類等を配糖体
に変換せしめることができる。
【0029】すなわち、抗癌作用を有するヌクレオシド
類、例えばアラビノシルシトシン、5−フルオロラウシ
ル等とキトテトラオース等のキトオリゴ糖とを本発明キ
チナーゼの存在下に反応させれば、これらのヌクレオシ
ド類の配糖体が得られる。得られたヌクレニシド配糖体
は、安全性の高い抗癌剤として有用である。
【0030】すなわち、Michaelらの報告(Mi
chael J.N.et al(1987),Can
cer Res.,47,4634〜4641)によ
り、ヒト卵巣ガンは正常細胞に比べ細胞外に多くのβ−
N−アセチルグリコサミニダーゼを出していることが分
かった。従って、N−アセチルグルコサミンで保護され
た抗癌剤を投与すれば、ガン細胞の周辺で酵素によりN
−アセチルグルコサミンが脱離し、副作用を生ずること
なく抗癌活性が発現する。
【0031】
【発明の効果】本発明の耐熱性キチナーゼII、III及びI
Vはいずれも従来のキチナーゼに比較して高温度におけ
る安定性が良好である。従って、本発明の耐熱性キチナ
ーゼはキチンからのキトオリゴ糖の大量生産に非常に適
している。また、従来のキチナーゼよりも精製工程が簡
便であり、産業上有用なものである。更に本発明のキチ
ナーゼは糖転移反応性を有し、種々のキトオリゴ糖及び
配糖体の製造に適している。
【0032】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明する。
【0033】実施例1 バチルス・リケニフォルミス(Bacillus li
cheniformis)X−7uを下記組成の培地を
用いて培養し、キチン水解活性を有する培養液を得た。使用培地 i)前培養用液体培地 エルリッヒ肉エキス (極東製薬製、Lot No.DC9227) 3.0g ポリペプトン (日本製薬製、Lot No.0559WB) 3.0g NaCl 0.6g H2O 300ml 1N NaOH又は1N HClを用いてpH7.0に調
整 ii)酵素生産用液体培地 コロイダルキチン 10.0g (焼津水産化学製のキチンPSL、 Lot No.8802130を用いて調整) N−アセチル−D−グルコサミン 10.0g (東京化成製、Lot No.AZ01) 酵母エキス 2.0g (DIFCO社製、Lot No.760805) Na2HPO4・12H2O 6.8g NH4NO3 4.0g KH2PO4 2.0g NaCl 1.0g MgSO4・7H2O 1.0g CaCl2・2H2O 0.2g H2O 2000ml 1N NaOH又は1N HClを用いてpH7.0に調
【0034】培養方法 前培養培地300mlを500ml三角フラスコ2本に15
0mlずつ分注し、本菌株1白金耳を接種後、50℃、2
4時間回転振盪培養(150rpm)を行なった。次いで
培養液300mlを遠心分離(14,000rpm、20mi
n)にかけ、集菌した菌を0.05Mリン酸緩衝液80m
lに懸濁後、酵素生産用培地2000mlに接種した。培
養は、いわしやminiジャーファメンタACD4を用いて
50℃にて48時間行なった(攪拌250rpm、通気量
1200ml/min)。
【0035】実施例2 実施例1で得られたキチン水解活性を有する培養液19
50mlを遠心分離(×8,000g、30分、4℃)
し、その上清1890mlに(NH42SO4を終濃度1
Mとなるように加え、更に1N NaOH又は1N H
Clを用いてpH7.5に調整した後、予め0.02Mト
リス−塩酸緩衝液(pH7.5;1M(NH 42SO4
含む)で平衡化したブチルトヨパール(Butyl−T
OYOPEARL)650Mカラム(カラムサイズ2.
6×20.5cm)に前記上清を流速1.8ml/分で流し
た。その後、0.8M(NH42SO4を含む、0.0
2Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を流速0.48ml
/分で流し、カラムを洗浄した。次に0.4M(N
42SO4を含む0.02Mトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)を用いて流速0.48ml/分、1フラクション
=5.0mlで酵素を溶出した。続いて(NH42SO4
を含まない0.02Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)
を用いて流速0.48ml/分、1フラクション=5.0
mlで酵素を溶出したところ、グリコールキチン水解活性
及びpNP−キトビオシド水解活性を示すピークA画分
(フラクションNo.18〜33)80mlとピークC画
分(フラクションNo.257〜262)30ml、並び
に強いpNP−キトビオシド水解活性を示すピークB画
分(フラクションNo.45〜70)130mlが得られ
た(図1)。
【0036】以上のピークA画分、ピークB画分及びピ
ークC画分をそれぞれSDS−PAGEにかけた。ピー
クB画分は単一のバンドを示したのでこの画分を以て精
製酵素標品とし、これを耐熱性キチナーゼIと命名し
た。ピークA画分では2つのバンドが現れ、ピークC画
分ではにごりが存在したので、これらの画分を更に実施
例3に従って分離精製を行なった。
【0037】実施例3 実施例2において得られたピークA画分80mlとピーク
C画分30mlを、それぞれアミコンPM−10膜を用い
て濃縮及び緩衝液の交換〔0.02Mトリス−塩酸緩衝
液(pH7.5)〕を行ない、続いてQ−セファロースフ
ァーストフロー(Q−Sepharose Fast
Flow)カラムにかけた〔カラムサイズ2.6×30
cm、平衡化緩衝液0.02Mトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)、流速0.57ml/分、1フラクション=5.
0ml〕。次いで0→0.5M食塩の直線濃度勾配(合計
1000ml)で酵素を溶出したところ、ピークC画分の
溶出パターンでは、単一のタンパク質ピークに一致する
グリコールキチン水解活性を有するピークが65ml得ら
れた(図2のフラクションNo.122〜134)。こ
のピーク画分をSDS−PAGEにかけたところ、単一
バンドを与え、分子量的に均一であることが示された。
このピーク画分を精製酵素標品とし、キチナーゼIIと命
名した。また、ピークA画分の溶出パターンでは、タン
パク質ピークに一致する2つのグリコールキチン水解活
性を有するピークa画分40ml(図3のフラクションN
o.97〜104)とピークb画分35ml(図3のフラ
クションNo.105〜111)が得られた。
【0038】実施例4 実施例3において得られたピークa画分40mlとピーク
b画分35mlを、それぞれアミコンPM−10膜を用い
て3mlになるまで濃縮した後、セファクリル(Seph
acryl)S−200カラムにかけた〔カラムサイズ
2.6×92.5cm、平衡化緩衝液0.02Mトリス−
塩酸緩衝液(pH7.5;0.2M NaClを含む)、
流速0.3ml/分、1フラクション=50ml〕。
【0039】その結果、ピークbの溶出パターンでは一
つの肩と一つのピークが認められた(図4)。SDS−
PAGEによりピーク画分20ml(フラクションNo.
61〜64)を集めたところ、単一バンドを示したので
これを精製酵素標品とし、キチナーゼIIIと命名した。
【0040】また、ピークaの溶出パターンでは、大き
なピークと一つの肩とが認められた(図5)。SDS−
PAGEによりピークの方の画分20ml(フラクション
No.55〜58)を集めたところ、単一バンドを示し
たので、これを精製酵素標品とし、キチナーゼIVと命名
した。
【0041】実施例5 実施例2〜4で得られた本発明耐熱性キチナーゼII、II
I及びIVの酵素活性を測定した。その結果を下記表2に
示す。なお、基質としてはグリコールキチンを用いた。
【0042】
【表2】
【0043】実施例6 5%テトラ−N−アセチル−キトテトラオース135μ
l、0.2Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)15μ
l、キチナーゼII溶液12.5μl(6.6μg)から
なる反応液を50℃に保ち、一定時間ごとに20μlず
つ取りだし、生成物をHPLCにより分析した。図7に
反応開始60分後のHPLCの結果、図8に反応生成物
の時間経過による推移をしめした。なお、生成物は、T
SKgelNH2−60カラム(水−アセトニトリル:
40−70)を用いて分離し、キトオリゴ糖のピークは
220nmの吸収で検出した。その結果、キトテトラオー
スはキチナーゼIIによりキトビオースに加水分解される
とともに、キトヘキサオースに転移することが判明し
た。
【0044】実施例7 キトテトラオース50mgとアラビノシルシトシン(以
下、AraCという)200mgを1mlのpH10の溶液と
し、キチナーゼの転移反応によりAraCへの配糖化を
行なった。生成物の検出は、HPLCを用いて行なっ
た。用いたカラムはAsahipak−NH2−P50
(旭化成)で、溶媒はアセトニトリル:水=3:1で、
流速は1ml/minで行なった。検出は280nmの紫外吸
収を測定した。その結果、生成物は4つあり保持容量の
小さいものより化合物A、B、C及びDとした。
【0045】生成物はセファデックスG25で精製を行
ない、A及びBからなる分画L、C及びDからなる分画
Hを得た。生成物の構造確認のため、生成物の検出に用
いたものと同じシステムを使い、それぞれのピークを単
離精製した。得られたA〜Dの構造は次の通りである。
【0046】
【化2】
【0047】
【0048】G−401(卵巣ガンス)細胞培養上清中
のβ−N−アセチルグルコサミニダーゼ及び市販の同酵
素により、化合物A及びBはN−アセチルグルコサミン
とAraCに分解された。また、Cは、N−アセチルグ
ルコサミンと化合物Aに分解された。また、Dは、N−
アセチルグルコサミンと化合物Bに分解された。
【0049】実施例8 無血清培地セルグロッサーP(関東化学)1mlにG−4
01細胞を5×104個播種し、AraC又はChit
o−H−AraC(実施例7の化合物C及びDを含む分
画H)を0〜100μMの濃度になるように加えた。そ
のまま5日間培養を行ない、増殖抑制をもって活性を指
標とした。5日後、細胞数を測定したところ、次の表3
のようになり10μMでG−401細胞に対する増殖抑
制を示した。
【0050】
【表3】
【0051】実施例9 RPMI 1640を基本とする培地Aに、癌細胞5×
104個播種し、AraC、Chito−L−AraC
(実施例7の化合物A及びBを含む分画L)及びChi
to−H−AraC(実施例7の化合物C及びDを含む
分画H)を0〜100μMの濃度となるように加えた。
そのまま3日間培養し、増殖抑制をもって活性の指標と
した。得られた結果を表4〜表7に示す。
【0052】 培地A: RPMI 1640培地(GIBCO)475mlに、無菌的に 5ml L−グルタミン200mM(×100)(GIBCO) MEM非必須アミノ酸10mM(×100)(GIBCO) 5ml MEMピルビン酸ナトリウム溶液100mM(×100) 5ml (GIBCO) ペニシリン−ストレプトマイシン(GIBCO) 5ml 及びFlowラボラトリーのFCS(56℃、35分の
処理をして不活化したもの)を5ml加えて用いた。 用いた癌細胞: G−401 (卵巣ガン) Chang Liver (肝ガン) HeLa (子宮頸部ガン) A−549 (肺ガン)
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2における培養液のブチルトヨパール6
50Mカラムクロマトグラフィーの溶出パターンを示す
図面である。
【図2】実施例3におけるピークC画分のQ−セファロ
ース急流速カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを
示す図面である。
【図3】実施例3におけるピークA画分のQ−セファロ
ース急流速カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを
示す図面である。
【図4】実施例4におけるピークb画分のセファクリル
S−200カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを
示す図面である。
【図5】実施例4におけるピークa画分のセファクリル
S−200カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを
示す図面である。
【図6】本発明の精製キチナーゼのSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)の結果を示
す図面である。
【図7】実施例6における反応開始60分後のHPLC
の結果を示す図面である。
【図8】実施例7における反応時間の経過にともなう転
移反応生成物の推移を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 浩 神奈川県小田原市成田540 明治乳業ヘ ルスサイエンス研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/42 C12P 19/26 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の酵素化学的性質を有する耐熱性キチ
    ナーゼII。 1)作用 キチンを加水分解してキトオリゴ糖を生成する。 2)基質特異性 コロイダルキチンを加水分解してN−アセチルグルコサ
    ミン及びN−アセチルキトビオースを生成する。グリコ
    ールキチンを加水分解し、還元糖を生成する。またp−
    ニトロフェニル−ジ−N−アセチル−β−D−キトビオ
    シドを加水分解し、p−ニトロフェノールを生成する。 3)至適pH 約10.0 4)pH安定性(35℃、24時間処理) 4.0〜8.0で90%以上の残存活性 5)至適温度 約80℃ 6)温度安定性(30分間処理) 80℃以下で80%以上の残存活性 7)分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
    法) 約76,000
  2. 【請求項2】 次の酵素化学的性質を有する耐熱性キチ
    ナーゼIII。 1)作用 キチンを加水分解してキトオリゴ糖を生成する。 2)基質特異性 コロイダルキチンを加水分解してN−アセチルグルコサ
    ミン及びN−アセチルキトビオースを生成する。グリコ
    ールキチンを加水分解し、還元糖を生成する。またp−
    ニトロフェニル−ジ−N−アセチル−β−D−キトビオ
    シドを加水分解し、p−ニトロフェノールを生成する。 3)至適pH 約10.0 4)pH安定性(35℃、24時間処理) 4.0〜8.0で90%以上の残存活性 5)至適温度 約80℃ 6)温度安定性(30分間処理) 80℃以下で80%以上の残存活性 7)分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
    法) 約66,000
  3. 【請求項3】 次の酵素化学的性質を有する耐熱性キチ
    ナーゼIV。 1)作用 キチンを加水分解してキトオリゴ糖を生成する。 2)基質特異性 コロイダルキチンを加水分解してN−アセチルグルコサ
    ミン及びN−アセチルキトビオースを生成する。グリコ
    ールキチンを加水分解し、還元糖を生成する。またp−
    ニトロフェニル−ジ−N−アセチル−β−D−キトビオ
    シドを加水分解し、p−ニトロフェノールを生成する。 3)至適pH 約10.0 4)pH安定性(35℃、24時間処理) 4.0〜8.0で90%以上の残存活性 5)至適温度 約80℃ 6)温度安定性(30分間処理) 80℃以下で80%以上の残存活性 7)分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
    法) 約59,000
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