JP2949506B2 - ポリアミドイミド系共重合体の製造方法 - Google Patents

ポリアミドイミド系共重合体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、新規なポリアミドイミド系共重合体の製造
方法に関する。
<従来の技術> ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂は、耐熱性をはじめ
とする優れた特性を生かして、多くの分野で例えばフィ
ルム、電線被覆、接着剤、塗料、積層品等に使用されて
いる。また、一方ではこれらの特性を生かしつつ、その
汎用性を広げるために、ポリアミドイミド樹脂、ポリエ
ステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の開発が
広く進められている。
<発明が解決しようとする問題点> しかし、現在汎用されているポリイミド樹脂、ポリア
ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等は、耐熱性は良好で
あるが、成形性等に難点がある。そこで、これらの長
所、短所のバランスをとるために他の反応性樹脂等とポ
リイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂
等との複合化が検討されているが、まだ不十分な状況で
ある。その主な障害は、これらポリイミド樹脂、ポリア
ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂の溶媒溶解性が不十分
であること、および、これらポリイミド樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリアミドイミド樹脂と他の反応性樹脂とが所
望の組成で均一に混合しないこと、そのため期待する特
性が発現しないことにあった。
したがって、本発明の目的は、有機溶媒に溶解可能
で、他の反応性樹脂に対する反応性活性点を有し、他の
反応性樹脂と複合化可能なポリアミドイミド系共重合体
の製造方法を提供することにある。
<問題を解決するための手段> 本発明は、下記式(1)で表される両末端にアミノ基
を有するポリアミドと、トリメリット酸又は無水トリメ
リット酸を反応させてイミドジカルボン酸を合成する工
程、しかる後、該イミドジカルボン酸と式(1)で表さ
れる両末端にアミノ基を有するポリアミドとを反応させ
る工程からなることを特徴とするポリアミドイミド系共
重合体の製造方法であり、かかる製造方法により得られ
たポリアミドイミド系共重合体は下記式(2)で表され
る繰り返し単位を有するものである。
[式中Rは、 (ここにAk1はC4のアルキレン基を示す)、 −Ak2−(ここにAk2はC4〜C8のアルキレン基を示
す)、 (ここにX1は直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO
−、−SO2−、−CH2を示す)、 (ここにX2は直接結合、−O−、−S又は−CO−を示
す)、 (ここにX3は直接結合、−O−、−S−、−SO2−、−C
H2を示す)、 (ここにW1は−CH2−、 を示す)、 であり、mは正の整数を示す。] (式中Rは前記と同じ意味である。) 本発明のポリアミドイミド系共重合体の製造方法は、
一般式(1)で表される両末端にアミノ基を有するポリ
アミドとトリメリット酸又は無水トリメリット酸とを重
縮合反応させることにより一旦、後述するようにイミド
ジカルボン酸を合成し、然るのち該イミドジカルボン酸
を一般式(1)のポリアミドと反応させることにより得
られる。
一般式(1)の両末端にアミノ基を有するポリアミド
は、一般式 NH2−R−NH2 (3) (式中のRは前記の意味を有する)で表されるジアミン
化合物と水酸基を有する芳香族ジカルボン酸とを重縮合
させる公知の方法により製造できる。
一般式(3)で表わされるジアミン化合物としては、
例えば下記の化合物があげがれる。N,N′−ビス(2−
アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N′−ビス(3
−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N′−ビス
(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N′−ビ
ス(2−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N′−
ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N′
−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,
N′−ビス(2−アミノフェニル)フタルアミド、N,N′
−ビス(3−アミノフェニル)フタルアミド、N,N′−
ビス(4−アミノフェニル)フタルアミド、N,N′−ビ
ス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)イソフタル
アミド、N,N′−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェ
ニル)テレフタルアミド、N,N′−ビス(4−アミノ−
3,5−ジメチルフェニル)フタルアミド、N,N′−ビス
(4−アミノn−ブチル)イソフタルアミド、N,N′−
ビス(4−アミノn−ヘキシル)イソフタルアミド、N,
N′−ビス(4−アミノn−ドデシ)イソフタルアミ
ド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、メタトリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニ
ルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェ
ニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、
3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノ
ジフェニルチオエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジ
アミノフェニルチオエーテル、3,3′−ジエトキシ−4,
4′−ジアミノフェニルチオエーテル、3,3′−ジアミノ
ジフェニルチオエーテル、4,4′−ジアミノベンゾフェ
ノン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノ
ン、3,3′−ジアミノフェニルメタン、4,4′−ジアミノ
ジフェニルメタン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミ
ノジフェニルメタン、2,2′−ビス(4−アミノフェニ
ル)プロパン、2,2′−ビス(3−アミノフェニル)プ
ロパン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,
4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジ
フェニルスルホン、ベンチジン、3,3′−ジメチルベン
チジン、3,3′−ジメトキシベンチジン、3,3′−ジアミ
ノビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2
−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタ
ン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル]エタン、ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ピペラジ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミ
ン、テトラメチレンジアミン、p−キシレンジアミン、
m−キシレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジア
ミン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビ
ス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン等。
水酸基を有する芳香族ジカルボン酸としては例えば、
3−ヒドロキシフタル酸、4−ヒドロキシフタル酸、2
−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル
酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、6−ヒドロキシイソ
フタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、3−ヒドロキ
シテレフタル酸等があげられる。
本発明のポリアミドイミド系共重合体の製造方法は、
前述のとおり例えば一般式(1)の両末端にアミノ基を
有するポリアミドと無水トリメリット酸から、公知のイ
ミド化反応により、一般式 (式中の記号は前記の意味を有する)で表わされるイミ
ドジカルボン酸を合成し、然るのちこの化合物(4)を
一般式(1)の両末端にアミノ基を有するポリアミドと
反応させることにより得られる。
本発明に用いられる一般式(4)のイミドジカルボン
酸は、公知のイミド化反応により容易に製造することが
できる。すなわち、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、
N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テ
トラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサ
メチルリン酸トリアミド等の不活性極性有機溶媒中で、
一般式(1)の両末端にアミノ基を有するポリアミドと
無水トリメリット酸とを−20〜300℃の範囲で、好まし
くは0〜60℃の範囲で数十分ないし数日間反応させ、ポ
リアミック酸を生成して、更にイミド化することにより
製造することが好ましい。
イミド化の方法としては、加熱により脱水閉環する方
法と脱水閉環触媒を用いて化学的に閉環する方法があげ
られる。
加熱により脱水閉環させる場合、反応温度は、150〜4
00℃、好ましくは180〜350℃であり、反応時間は、30秒
ないし10時間好ましくは5分〜5時間である。
また、脱水閉環触媒を用いる場合、反応温度は、0〜
180℃、好ましくは10〜80℃であり、反応時間は、数十
分ないし数日間好ましくは2時間〜12時間である。脱水
閉環触媒としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香
酸等の酸無水物が用いられ、環化反応を促進する化合物
としてピリジン等を併用することが好ましい。脱水閉環
触媒の使用量は、ジアミンの総量に対して200モル%以
上好ましくは300〜1000モル%である。また、環化反応
を促進する化合物の使用量は、ジアミンの総量に対して
150〜500モル%が好ましい。
本発明のポリアミドイミド系共重合体の製造方法を構
成する一般式(1)の両末端にアミノ基を有するポリア
ミドと一般式(4)のイミドジカルボン酸の重縮合反応
は、縮合剤を加え、溶媒中で行なうことが好ましい。
溶媒としては、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼン、アセトニトリル、ピリジン、テ
トラヒドロフラン、無水酢酸、ジクロロメタン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2
−ピロリドン、ヘキサメチレン酸トリアミド等が用いら
れる。
必要に応じて、プロトン性溶媒の溶媒和力を増加させ
るために、また、副反応を抑制するために、塩化リチウ
ム、塩化カルシウムに代表される無機塩類を反応系に添
加することもできる。
縮合剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジ
フェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o
−トリル、亜リン酸−m−トリル、亜リン酸ジ−m−ト
リル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−ト
リル、亜リン酸ジ−o−クロロフェニル酸、亜リン酸ト
リ−p−クロロフェニル、亜リン酸ジ−p−クロロフェ
ニル、ジシクロヘキシルカルボジイミド、リン酸トリフ
ェニル、ホスホン酸ジフェニル等が用いられる。
又、該重縮合反応の反応温度は、60〜150℃の範囲が
好ましく、反応時間は通常、数分ないし24時間である。
この際、場合によっては、反応溶液を高温に加熱した
り、あるいは、生成する水を除去して、平衡を生成系に
ずらす反応条件としてもよい。
<実施例> 以下に、実施例に基づいて本発明を説明する。
実施例1 A) m−フェニレンジアミン16.2g(150ミリモル)、
5−ヒドロキシイソフタル酸18.2g(100ミリモル)、ピ
リジン250ml、亜リン酸トリフェニル62g(200ミリモ
ル)、塩化リチウム10.6g(250ミリモル)の混合溶液を
100℃で4時間攪拌した。放冷後、重合体溶液を大量の
メタノール中に注ぎ入れた。析出した固体を濾別し、濾
過物を洗浄、乾燥し、アミン価2.93mmol/gの重合体を得
た。
赤外線スペクトル分析により3222cm-1にフェノール性
水酸基の吸収が見られ、1665cm-1にアミド結合によるカ
ルボニル基の吸収が認められた。これらの結果より、こ
のものは両末端にアミノ基を有する一般式(1)のポリ
アミドであることが確認された。
B) 両末端にアミノ基を有するポリアミド17.2g(25
ミリモル)と無水トリメリット酸16g(50ミリモル)を
N−メチル−2−ピロリドン80mlに溶解し、窒素雰囲気
下、室温で6時間反応させて、ポリアミック酸溶液を得
た。このポリアミック酸溶液を200℃で2時間、250℃で
1時間加熱し、脱水環化反応を行ない一般式(4)のイ
ミドジカルボン酸を生成した。放冷後、該反応混合溶液
に両末端にアミノ基を有するポリアミド17.2g(25ミリ
モル)、ピリジン13ml、亜リン酸トリフェニル16g(50
ミリモル)、塩化リチウム2.5g(62ミリモル)を順次加
え、100℃で6時間攪拌した。放冷後、重合体溶液を、
大量のメタノール中に注ぎ入れた。析出した固体を濾別
し、濾過物を洗浄、乾燥し、固有粘度0.62dl/g(N−メ
チル−2−ピロリドン中、0.5g/dl濃度、30℃)の重合
体を得た。
実施例2 m−フェニレンジアミン16.2g(150ミリモル)をp−
フェニレンジアミン16.2g(150ミリモル)に代え、その
他は実施例1と同様に操作して固有粘度0.60dl/g(N−
メチル−2−ピロリドン中、0.5g/dl濃度、30℃)の重
合体を得た。
実施例3 m−フェニレンジアミン16.2g(150ミリモル)を3,
3′−ジアミノビフェニル27.6g(150ミリモル)に代
え、その他は実施例1と同様に操作して固有粘度0.64dl
/g(N−メチル−2−ピロリドン中、0.5g/dl濃度、30
℃)の重合体を得た。
実施例4 m−フェニレンジアミン16.2g(150ミリモル)を3,
4′−ジアミノジフェニルエーテル30g(150ミリモル)
に代え、その他は実施例1と同様に操作して固有粘度0.
66dl/g(N−メチル−2−ピロリドン中、0.5g/dl濃
度、30℃)の重合体を得た。
実施例5 m−フェニレンジアミン16.2g(150ミリモル)を3,
3′−ジアミノジフェニルスルホン37.2g(150ミリモ
ル)に代え、その他は実施例1と同様に操作して固有粘
度0.66dl/g(N−メチル−2−ピロリドン中、0.5g/dl
濃度、30℃)の重合体を得た。
実施例6 m−フェニレンジアミン16.2g(150ミリモル)を1,3
−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン43.8g(150ミ
リモル)に代え、その他は実施例1と同様に操作して固
有粘度0.70dl/g(N−メチル−2−ピロリドン中、0.5g
/dl濃度、30℃)の重合体を得た。
実施例7 m−フェニレンジアミン16.2g(150ミリモル)をヘキ
サメチレンジアミン17.4g(150ミリモル)に代え、その
他は実施例1と同様に操作して固有粘度0.61dl/g(N−
メチル−2−ピロリドン中、0.5g/dl濃度、30℃)の重
合体を得た。
実施例8 5−ヒドロキシイソフタル酸18.2g(100ミリモル)を
4−ヒドロキシイソフタル酸18.2g(100ミリモル)に代
え、その他は実施例1と同様に操作して固有粘度0.59dl
/g(N−メチル−2−ピロリドン中、0.5g/dl濃度、30
℃)の重合体を得た。
上記実施例1〜8により得られた重合体を赤外線吸収
スペクトル分析により分析したところ、3220〜3230cm-1
にフェノール性水酸基の吸収が見られ、1770〜1777cm-1
および1720〜1725cm-1にイミド結合による吸収がみら
れ、1660〜1670cm-1にアミド結合によるカルボニル基の
吸収が認められた。これらの結果により、このものは各
れも第1表に示す繰り返し単位からなるポリアミドイミ
ド系共重合体であることが確認された。
<発明の効果> 本発明の製造方法により得られたポリアミドイミド系
共重合体は、耐熱性、溶媒溶解性が優れ、他の反応性樹
脂と均一に混合することができるので、その用途範囲が
拡大され高温で使用するフィルム、電線被覆、接着剤、
塗料、積層品等の素材として有用である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表される両末端にアミノ基
    を有するポリアミドと、トリメリット酸又は無水トリメ
    リット酸を反応させてイミドジカルボン酸を合成する工
    程、しかる後、該イミドジカルボン酸と式(1)で表さ
    れる両末端にアミノ基を有するポリアミドとを反応させ
    る工程からなることを特徴とするポリアミドイミド系共
    重合体の製造方法。 [式中Rは、 (ここにAk1はC4のアルキレン基を示す)、 −Ak2−(ここにAk2はC4〜C8のアルキレン基を示
    す)、 (ここにX1は直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO
    −、−SO2−、−CH2を示す)、 (ここにX2は直接結合、−O−、−S又は−CO−を示
    す)、 (ここにX3は直接結合、−O−、−S−、−SO2−、−C
    H2を示す)、 (ここにW1は−CH2−、 を示す)、 であり、mは正の整数を示す。]
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