JP3496697B2 - 芳香族ポリアミドイミドおよびその製法 - Google Patents

芳香族ポリアミドイミドおよびその製法

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JP3496697B2 JP23390295A JP23390295A JP3496697B2 JP 3496697 B2 JP3496697 B2 JP 3496697B2 JP 23390295 A JP23390295 A JP 23390295A JP 23390295 A JP23390295 A JP 23390295A JP 3496697 B2 JP3496697 B2 JP 3496697B2
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐熱性および成
形性に優れた新規な芳香族ポリアミドイミドおよびその
製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドイミドとして、芳香族
トリカルボン酸無水物またはその誘導体と芳香族ジアミ
ンまたは芳香族ジイソシアネ−トとを反応させて合成さ
れるアモコ社の”ト−ロン”が知られており、その優れ
た耐熱性、機械特性によって電気、電子部品用に広く使
用されている。
【0003】また、無水トリメリット酸モノクロライ
ド、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、メタフェニレンジアミンおよびエ−テル基含
有ジアミンを共重合させた芳香族ポリアミドイミドが特
公平7−57804号公報に、4,4’−ビス(4−ア
ミノベンズアミド)−3,3’−ジメチルビフェニルと
テトラカルボン酸二無水物とを反応させた芳香族ポリア
ミドイミドが特開平7−33876号公報に、N,N’
−p−フェニレンビス(p−ベンズアミド)とテトラカ
ルボン酸二無水物とを反応させた芳香族ポリアミドイミ
ドが特開平6−345868号公報に記載されている。
さらに、4,4’−ビス〔N−(4−ブロモフェニル)
フタルイミド〕と芳香族ジアミンとをCO雰囲気下にパ
ラジウム触媒を用いて反応させた芳香族ポリアミドイミ
ドも知られている〔High Perform. Po
lym. ,395(1994)〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、耐
熱性、機械的特性、成形加工性に優れた新規な芳香族ポ
リアミドイミド、およびその製法を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
下記一般式(1)で表される構造単位を反復単位とする
芳香族ポリアミドイミドに関する。
【0006】
【化学式5】 (ただし、ビフェニルテトラカルボン酸成分残基は2,
3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分の残
基であり、Rは4,4’−ジアミノジフェニルエ−テ
ル、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェ
ノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]エ−テル、1,3−ビス(4−
アミノフェノキシ)ベンゼンおよび1,3−ビス(3−
アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる芳香族ジアミ
ンの残基である。)
【0007】 また、この発明は、下記一般式(2)で
表されるジイミドジカルボン酸ジクロリドと実質的に等
モル量の芳香族ジアミンとを反応させて重合するか、ま
たは下記一般式(3)で表されるジイミドジカルボン酸
と実質的に等モル量の芳香族ジアミンとを縮合剤の存在
下に反応させて重合するか、あるいは2,3,3’,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と実質的に
2倍モル量のアミノ安息香酸とを溶媒中で反応させて、
生成した下記一般式(3)で表されるジイミドジカルボ
ン酸に、さらに実質的に等モル量の芳香族ジアミンを添
加し、縮合剤の存在下に反応させて重合する芳香族ポリ
アミドイミドの製法に関する。
【0008】
【化学式6】 (ただし、ビフェニルテトラカルボン酸成分残基は2,
3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分の残
基であり、芳香族ジアミン4,4’−ジアミノジフェ
ニルエ−テル、2,2−ビス[4−(アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス
(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、1,3−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンおよび1,3−ビ
ス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる
る。)
【0009】 この発明の芳香族アミドイミドとしては
前記一般式(1)におけるビフェニルテトラカルボン酸
成分が2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸成分で、アミノ安息酸成分がp−アミノ安息香酸また
はm−アミノ安息香酸成分であるものが挙げられる。
【0010】この発明の芳香族ポリアミドイミドは、熱
安定性、成形性の点から無水フタル酸などのジカルボン
酸成分、安息香酸などの一価のカルボン酸成分や、アニ
リンなどの一価のアミン成分で末端封止されていてもよ
い。また、この発明の芳香族ポリアミドイミドは、特に
限定はないが熱可塑性を保持する目的には対数粘度(η
inh)が0.4〜1.3、さらに好ましくは0.5〜
0.8(N−メチル−2−ピロリドン中、濃度:0.5
g/dl、30℃で測定)であり、熱可塑的でありプレ
ス成形可能である。
【0011】 この発明の芳香族アミドイミドの構造
単位である前記一般式(1)における芳香族ジアミンは
4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、2,2−ビス
[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビ
ス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホ
ン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ス
ルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフ
ェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]エ−テル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン
ゼンが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合し
て使用される。
【0012】この発明の芳香族ポリアミドイミドは、前
記一般式(2)で表されるジイミドジカルボン酸クロリ
ドまたは一般式(3)で示されるジイミドジカルボン酸
と芳香族ジアミン成分とを縮合反応させて重合すること
によって製造することができる。その製造法に限定はな
く、それ自体公知の方法が適用できて、好適には下記の
(a)〜(c)の方法が挙げられる。
【0013】前記のジイミドジカルボン酸は新規化合物
であり、好適にはビフェニルテトラカルボン酸二無水物
とアミノ安息香酸とを有機溶媒中で100〜200℃に
加熱し、生成する水をトルエンと共沸させながら系外に
除去し、1〜10時間反応させて合成することができ
る。
【0014】前記のジイミドジカルボン酸ジクロリドは
通常のクロリド化を適用して合成することができる。例
えば、ジイミドジカルボン酸をチオニルクロリド、三塩
化リン、五塩化リンなどと共に1〜20時間還流し、目
的のジクロリドに変換することができる。これらのなか
で、特にチオニルクロリドが好適である。
【0015】この発明の芳香族ポリアミドイミドの製法
としては、下記の(a)〜(c)の各法が挙げられる。 (a)ジクロリド法 前記の一般式(2)で示されるジイミドジカルボン酸ジ
クロリドと前記芳香族ジアミン成分とを脱塩化水素剤の
存在下に有機溶媒中で反応させて重合する。前記の反応
において、ジイミドジカルボン酸ジクロリドと芳香族ジ
アミンとの割合は、モル比が0.95/1.00〜1.
00/0.95、特に1対1であることが好ましい。
【0016】前記の脱塩化水素剤としては、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ
ブチルアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジメチル
ベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、
N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエ
チルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリ
ン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルピロリジ
ン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N
−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エチ
ルモルホリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリ
ン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジ
ン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。その使
用量は、生成アミド結合単位当たり1〜2倍当量、特に
1〜1.2倍当量が好ましい。前記の反応条件として
は、温度が0〜200℃、特に50〜120℃であり、
反応時間が1〜10時間であり、ポリマ−濃度が5〜2
0重量%であることが好ましい。
【0017】前記の有機溶媒としては、N−メチル−2
−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルメトキシア
セトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、N−メチル−カプロラクタム、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチ
ルホスホルアミド、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコ
リン、γ−ピコリンなどのアプロチック溶媒が好適であ
る。これらは単独または2種以上併用することもでき
る。
【0018】(b)直接重合法 前記の一般式(3)で示されるジイミドジカルボン酸と
前記芳香族ジアミンとを縮合剤の存在下に前記の有機溶
媒中で反応させて重合する。前記の反応において、ジイ
ミドジカルボン酸と芳香族ジアミンとの割合は、モル比
が0.95/1.00〜1.00/0.95、特に1対
1であることが好ましい。
【0019】前記の縮合剤としては、亜リン酸エステ
ル、無機塩およびピリジン類を使用する。亜リン酸エス
テルとしては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェ
ニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−ト
リル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸ジ−m−ト
リル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−ト
リル、亜リン酸ジ−o−クロロフェニル、亜リン酸トリ
−p−クロロフェニル、亜リン酸ジ−p−クロロフェニ
ルなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上併
用でき、その使用量は、生成アミド結合単位当たり1〜
4倍当量、特に1〜2倍当量であることが好ましい。無
機塩としては、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化マ
グネシウム、塩化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カ
リウム、臭化リチウムなどが挙げられる。これらは単独
あるいは2種以上併用でき、その使用量は、生成アミド
結合単位当たり1〜10倍当量、特に3〜5倍当量であ
ることが好ましい。ピリジン類としては、ピリジン、α
−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ル
チジン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジンなどが挙
げられる。これらは単独あるいは2種以上併用でき、そ
の使用量は、生成アミド結合単位当たり1〜10倍当
量、特に2〜5倍当量であることが好ましい。前記の反
応条件としては、温度が0〜250℃、特に80〜18
0℃であり、反応時間が1〜10時間であり、ポリマ−
濃度が5〜20重量%であることが好ましい。
【0020】(c)ワンポット法 ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とアミノ安息香酸
とを前記の有機溶媒中で反応させて、生成した前記一般
式(3)で示されるジイミドジカルボン酸に、さらに実
質的に等モル量の芳香族ジアミンを添加し、縮合剤の存
在下に反応させて重合する。まず、ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物とアミノ安息香酸とを前記の溶媒中で
反応させる。両成分を1:2のモル比で使用し、100
〜200℃に加熱して生成する水をトルエンと共沸させ
ながら系外に除去する。1〜10時間反応させるとジイ
ミドジカルボン酸が生成する。この生成物を単離するこ
となく、次の重合反応を行う。一旦反応系を室温以下の
温度にもどした後、芳香族ジアミン、さらには前記の
(b)法における縮合剤を添加し、(b)法と同様に重
合を続ける。
【0021】この発明の芳香族ポリアミドイミドは、前
記(a)〜(c)の各重合法で反応後、反応溶液を水や
メタノ−ルなどの不溶性媒体中に投入・濾集し、あるい
は反応溶液から溶媒を蒸発し、固形分からポリマ−以外
の成分を水やメタノ−ルで洗浄除去することによって単
離・取得することができる。
【0022】この発明の芳香族ポリアミドイミドは、耐
熱性を有し、熱可塑性、溶媒可溶性であるので、プレス
成形や流延塗布成形などによって各種用途、例えば電
気、電子部品、自動車、機械の部品などに広く使用する
ことができる。
【0023】
【実施例】以下に、実施例によりこの発明の芳香族ポリ
アミドイミドの製造例および得られた芳香族ポリアミド
イミドの物性と性能を詳細に説明する。なお、各例にお
いて、芳香族ポリアミドイミドの物性測定は以下の方法
によっておこなった。
【0024】対数粘度:芳香族ポリアミドイミドを0.
5g/dlの濃度となるようにN−メチル−2−ピロリ
ドン(NMP)に溶解させた後、30℃でキャノンフェ
ンスケ型粘度計を用いて測定し、ηinhは下記式で算
出した。 ηinh=ln(t/t0 )/c (t0 はNMPの落下時間、tは試料溶液の落下時間、
cは試料の濃度である。) ガラス転移温度(Tg):DSC(デュポン社製 99
0サ−マル アナライザ−、910ディファレンシャル
スキャニング カロリメ−タ−)により窒素中、10
℃/分 の昇温速度で測定した。 5%重量減少温度(Td5%):セイコ−電子工業製 S
SC5200、示差熱重量同時測定装置(TG/DTA
320)により窒素中、10℃/分の昇温速度で測定し
た。
【0025】合成例1 1リットルの三つ口フラスコに攪拌機、窒素導入管、水
分離器を取りつけて、p−アミノ安息香酸28.33g
(206.6mmol)、N−メチル−2−ピロリドン
(NMPと略記する)300mlを装入し、溶解させた
後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物(s−BPDAと略記することもある)27.
63g(93.90mmol)を加えた。均一溶液とな
った後、トルエン120mlを加え、170℃に昇温し
生成した水を分離しながら7時間攪拌した。反応の進行
中に沈澱が析出し、反応終了後、濾過、アセトン洗浄、
120℃で3時間真空乾燥して、ジイミドジカルボン酸
であるN,N’−ビス(4−カルボキシフェニル)−ビ
フェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸ジイ
ミド(spと略記する)を得た。収量は47.87g
(95.7%)。赤外吸収スペクトル(IR)を図1に
示す(1780cm-1にイミドの特性吸収ピ−クが認め
られる。)。
【0026】元素分析及び電解脱着質量スペクトル測定
結果を以下に示す。 元素分析 実測値 C67.9 H3.3 N5.3 計算値 C67.7 H3.0 N5.3 電解脱着質量スペクトル(FD−MS) m/z=532(M+ )、C30168 2 (532.
5)
【0027】合成例2 m−アミノ安息香酸25.00g(182.3mmo
l)及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物24.38g(82.86mmol)を使
用して合成例1と同様な操作を行い、ジイミドジカルボ
ン酸であるN,N’−ビス(3−カルボキシフェニル)
−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸
ジイミド(smと略記する)40.23g(収率91.
2%)を得た。赤外吸収スペクトル(IR)を図2に示
す(1780cm-1にイミドの特性吸収ピ−クが認めら
れる。)。
【0028】元素分析及び電解脱着質量スペクトル測定
結果を以下に示す。 元素分析 実測値 C67.9 H3.3 N5.3 計算値 C67.7 H3.0 N5.3 電解脱着質量スペクトル(FD−MS) m/z=532(M+ )、C30168 2 (532.
5)
【0029】合成例3 p−アミノ安息香酸30.17g(220.0mmo
l)及び2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物29.42g(99.99mmol)を使
用して合成例1と同様な操作を行い、ジイミドジカルボ
ン酸であるN,N’−ビス(4−カルボキシフェニル)
−ビフェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸
ジイミド(apと略記する)47.01g(収率88.
3%)を得た。赤外吸収スペクトル(IR)を図3に示
す(1780cm-1にイミドの特性吸収ピ−クが認めら
れる。)。
【0030】元素分析及び電解脱着質量スペクトル測定
結果を以下に示す。 元素分析 実測値 C67.2 H2.8 N5.3 計算値 C67.7 H3.0 N5.3 電解脱着質量スペクトル(FD−MS) m/z=532(M+ )、C30168 2 (532.
5)
【0031】合成例4 m−アミノ安息香酸25.55g(186.3mmo
l)及び2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物24.92g(84.70mmol)を使
用して合成例1と同様な操作を行い、ジイミドジカルボ
ン酸であるN,N’−ビス(3−カルボキシフェニル)
−ビフェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸
ジイミド(amと略記する)36.22g(収率80.
3%)を得た。赤外吸収スペクトル(IR)を図4に示
す(1780cm-1にイミドの特性吸収ピ−クが認めら
れる。)。
【0032】元素分析及び電解脱着質量スペクトル測定
結果を以下に示す。 元素分析 実測値 C67.2 H2.8 N5.1 計算値 C67.7 H3.0 N5.3 電解脱着質量スペクトル(FD−MS) m/z=532(M+ )、C30168 2 (532.
5)
【0033】合成例5 300mlのフラスコに、攪拌機、還流管をとりつけ
て、合成例1で得られたN,N’−ビス(4−カルボキ
シフェニル)−ビフェニル−3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸ジイミド5.00g、塩化チオ
ニル150ml、N,N−ジメチルホルムアミド3滴を
入れ、6時間還流した。その後、塩化チオニルを留去し
た後、生成物を濾過脱水n−ヘプタン200mlで洗浄
し、60℃で3時間真空乾燥して、5.23g(収率9
7.8%)の対応のジイミドジカルボン酸ジクロリド
(sp−Clと略記する)を得た。このジイミドジカル
ボン酸ジクロリドの元素分析結果は次の通りである。 元素分析 実測値 C63.5 H2.6 N4.9 Cl12.3 計算値 C63.3 H2.5 N4.9 Cl12.5
【0034】合成例6 合成例2で得られたN,N’−ビス(3−カルボキシフ
ェニル)−ビフェニル−3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸ジイミド5.00gを使用した他は
合成例5と同様な操作を行い、生成物を80℃で12時
間真空乾燥して5.33g(収率99.7%)の対応の
ジイミドジカルボン酸ジクロリド(sm−Clと略記す
る)を得た。このジイミドジカルボン酸ジクロリドの元
素分析結果は次の通りである。 元素分析 実測値 C63.3 H2.6 N4.9 Cl12.5 計算値 C63.3 H2.5 N4.9 Cl12.5
【0035】合成例7 合成例3で得られたN,N’−ビス(4−カルボキシフ
ェニル)−ビフェニル−2,3,3’,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸ジイミド5.00gを使用した他は
合成例5と同様な操作を行い、生成物を80℃で6時間
真空乾燥して5.29g(収率98.9%)の対応のジ
イミドジカルボン酸ジクロリド(ap−Clと略記す
る)を得た。このジイミドジカルボン酸ジクロリドの元
素分析結果は次の通りである。 元素分析 実測値 C63.6 H2.9 N4.7 Cl12.4 計算値 C63.3 H2.5 N4.9 Cl12.5
【0036】実施例1(参考のため示す) 撹拌機、滴下ロ−ト、窒素導入管を取りつけた300m
lの三つ口フラスコに窒素雰囲気下で、ジイミドジカル
ボン酸ジクロリド(sm−Cl)5.378g(9.4
5mmol)、NMP45ml、ピリジン2.9mlを
装入した。60℃に加温して4,4’−ジアミノジフェ
ニルエ−テル(以下DADEと略記する)1.892g
(9.45mmol)を含むNMP20ml溶液を5分
間で滴下ロ−トから添加した。10分後には均一溶液と
なり、150℃で3時間撹拌して粘稠な均一溶液を得
た。得られた粘稠なポリマ−溶液を、激しく撹拌してい
る水1l中に投じ、黄色粉末を析出させた。この黄色粉
末を濾別後、水、メタノ−ルで洗浄し、120℃で3時
間乾燥し、6.20g(収率94.2%)の芳香族ポリ
アミドイミド粉末を得た。
【0037】この芳香族ポリアミドイミドの対数粘度η
inhは0.49dl/g、ガラス転移温度(Tg)は
253℃、5%重量減少温度Td5%は474℃であっ
た。さらに、前記の芳香族ポリアミドイミドを300℃
で5分間予熱した後に、300℃、50kg/cm2
30秒間の条件でプレス成形を行った。得られたプレス
シ−トは黄褐色透明なフィルムであり、かなりの強靱さ
を有していた。さらに、前記の芳香族ポリアミドイミド
粉末をNMPに溶解後、ガラス板上にキャストし、80
℃で30分、200℃で30分、300℃で30分加熱
して黄褐色で透明な厚さ19μmのフィルムを得た。こ
の芳香族ポリアミドイミドフィルムは、引張強度が14
00kgf/cm2 、伸びが35%、引張初期弾性率が
34000kgf/cm2 であった。
【0038】実施例2(参考のため示す) ジイミドジカルボン酸ジクロリド(sm−Cl)1.2
56g(2.21mmol)、NMP13ml、ピリジ
ン0.7ml混合液中に、2,2−ビス〔4−(アミノ
フェノキシ)フェニル〕プロパン(以下BAPPと略記
する)0.905g(2.21mmol)とNMP7m
lとの混合溶液を添加し、実施例1と同様な操作を行っ
た。1.87g(収率91.6%)の芳香族ポリアミド
イミド粉末を得た。
【0039】この芳香族ポリアミドイミドは、ηinh
が0.50dl/g、Tgが257℃、Td5%が480
℃であった。さらに、前記の芳香族ポリアミドイミドを
300℃で5分間予熱した後に、300℃、50kg/
cm2 、30秒間の条件でプレス成形を行って、黄褐色
透明でかなりの強靱さを有するフィルムを得た。さら
に、前記の芳香族ポリアミドイミド粉末をNMPに溶解
後、ガラス板上にキャストし、実施例1と同様にして、
黄褐色で透明な厚さ17μmのフィルムを得た。この芳
香族ポリアミドイミドフィルムは、引張強度が1000
kgf/cm2、伸びが40%、引張初期弾性率が30
500kgf/cm2 であった。
【0040】実施例3(参考のため示す) 撹拌機、窒素導入管、還流管を取りつけた300mlの
三つ口フラスコに窒素雰囲気下で、ジイミドジカルボン
酸(am)1.761g(3.31mmol)、p−フ
ェニレンジアミン0.358g(3.31mmol)、
トリフェニルホスファイト(TPP)1.9ml(7.
28mmol)、塩化カルシウム1.2g、NMP20
ml、ピリジン4mlを装入し、150℃に昇温した。
150℃で3時間反応させて、粘稠な均一溶液を得た。
反応終了後、得られた粘稠なポリマ−溶液を、激しく撹
拌している水1l中に投じ、黄色粉末を析出させた。こ
の黄色粉末を濾別後、水1000ml、メタノ−ル10
00mlで洗浄し、120℃で3時間乾燥し、1.90
g(収率95.0%)の芳香族ポリアミドイミド粉末を
得た。
【0041】この芳香族ポリアミドイミドは、ηinh
が0.76dl/g、Tgが328℃、Td5%が474
℃であった。さらに、前記の芳香族ポリアミドイミド粉
末をNMPに溶解後、ガラス板上にキャストし、実施例
1と同様にして、黄褐色で透明な厚さ19μmのフィル
ムを得た。この芳香族ポリアミドイミドフィルムは、引
張強度が1240kgf/cm2、伸びが10%、引張
初期弾性率が35300kgf/cm2 であった。
【0042】実施例4(参考のため示す) 撹拌機、窒素導入管、水分離器を取りつけた300ml
の三つ口フラスコに、m−アミノ安息香酸2.408g
(17.6mmol)、NMP23mlを装入し溶解さ
せた後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物2.583g(8.78mmol)を加
え、均一溶液を得た。ついで、トルエン6mlを加え、
170℃に昇温し、水を分離しながら4時間撹拌した。
反応の進行中に沈澱が析出した。この混合液中に4,
4’−ジアミノジフェニルエ−テル(DADE)1.8
32g(9.15mmol)、安息香酸0.090g
(0.733mmol)、TPP10.6ml(40.
2mmol)、塩化カルシウム3.78g、ピリジン1
2.6ml、NMP40mlを加え、水分離器を還流管
に代え、150℃に昇温した。150℃で3時間反応さ
せて、粘稠な均一溶液を得た。反応終了後、得られた粘
稠なポリマ−溶液を、激しく撹拌している水1000m
l中に投じ、黄色粉末を析出させた。この黄色粉末を濾
別後、水1000ml、メタノ−ル1000mlで洗浄
し、120℃で3時間乾燥し、5.95g(収率95.
0%)の芳香族ポリアミドイミド粉末を得た。
【0043】この芳香族ポリアミドイミドは、ηinh
が0.68dl/g、Tgが248℃、Td5%が506
℃であった。さらに、前記の芳香族ポリアミドイミド粉
末をNMPに溶解後、ガラス板上にキャストし、実施例
1と同様にして、黄褐色で透明な厚さ19μmのフィル
ムを得た。この芳香族ポリアミドイミドフィルムは、引
張強度が1200kgf/cm2、伸びが35%、引張
初期弾性率が32000kgf/cm2 であった。
【0044】実施例5〜18(5〜10、17および1
8は参考のため示す) 表1に示した原料および反応条件で重合して、熱可塑性
ポリマ−である芳香族ポリアミドイミドを得た。結果を
まとめて表1に示す。表1において、原料の略号は下記
の化合物を意味する。 sp−Cl:N,N’−ビス(4−カルボキシフェニ
ル)−ビフェニル−3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸ジイミドのジクロリド sm−Cl:N,N’−ビス(3−カルボキシフェニ
ル)−ビフェニル−3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸ジイミドのジクロリド ap−Cl:N,N’−ビス(4−カルボキシフェニ
ル)−ビフェニル−2,3,3’,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸ジイミドのジクロリド am:N,N’−ビス(3−カルボキシフェニル)−ビ
フェニル−2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸ジイミド BAPS:ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルホン BAPS−M:ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕スルホン 3,3’−DADS:3,3’−ジアミノジフェニルス
ルホン BAPB:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビ
フェニル BAPE:ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕エ−テル DADE:4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル NMP:N−メチル−2−ピロリドン Py:ピリジン TPP:トリフェニルホスファィト
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】この発明によれば、耐熱性、機械的物性
および成形加工性が良好で、ポリマ−鎖中にアミド結合
とイミド結合が交互に規則的に繰り返されている新規な
芳香族ポリアミドイミドを得ることができる。
【0047】また、この発明によれば、透明な芳香族ポ
リアミドイミド成形物を与える高分子量のポリマ−を高
収率で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の芳香族ポリアミドイミドを
製造するために使用されるジイミドジカルボン酸の1種
であるN,N’−ビス(4−カルボキシフェニル)−ビ
フェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸ジイ
ミドの赤外吸収スペクトルである。
【図2】図2は、この発明の芳香族ポリアミドイミドを
製造するために使用されるジイミドジカルボン酸の1種
であるN,N’−ビス(3−カルボキシフェニル)−ビ
フェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸ジイ
ミドの赤外吸収スペクトルである。
【図3】図3は、この発明の芳香族ポリアミドイミドを
製造するために使用されるジイミドジカルボン酸の1種
であるN,N’−ビス(4−カルボキシフェニル)−ビ
フェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸ジイ
ミドの赤外吸収スペクトルである。
【図4】図4は、この発明の芳香族ポリアミドイミドを
製造するために使用されるジイミドジカルボン酸の1種
であるN,N’−ビス(3−カルボキシフェニル)−ビ
フェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸ジイ
ミドの赤外吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−102856(JP,A) 特開 平6−345868(JP,A) 特開 平7−33876(JP,A) 特開 平7−62095(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で表される構造単位を反
    復単位とする芳香族ポリアミドイミド。 【化1】 (ただし、ビフェニルテトラカルボン酸成分残基は2,
    3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分の残
    基であり、Rは4,4’−ジアミノジフェニルエ−テ
    ル、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニ
    ル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
    ェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)
    フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキ
    シ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェ
    ノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−ア
    ミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノ
    フェノキシ)フェニル]エ−テル、1,3−ビス(4−
    アミノフェノキシ)ベンゼンおよび1,3−ビス(3−
    アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる芳香族ジアミ
    ンの残基である。)
  2. 【請求項2】下記一般式(2) 【化2】 で表されるジイミドジカルボン酸ジクロリドと実質的に
    等モル量の芳香族ジアミンとを反応させて重合すること
    を特徴とする芳香族ポリアミドイミドの製法。(ただ
    し、ビフェニルテトラカルボン酸成分残基は2,3,
    3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分の残基で
    あり、芳香族ジアミン4,4’−ジアミノジフェニル
    エ−テル、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フ
    ェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキ
    シ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノ
    キシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェ
    ノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノ
    フェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4
    −アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−ア
    ミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、ビス[4−(3
    −アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、1,3−ビ
    ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンおよび1,3−ビ
    ス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる。)
  3. 【請求項3】下記一般式(3) 【化3】 で表されるジイミドジカルボン酸と実質的に等モル量の
    芳香族ジアミンとを縮合剤の存在下に反応させて重合す
    ることを特徴とする芳香族ポリアミドイミドの製法。
    (ただし、ビフェニルテトラカルボン酸成分残基は2,
    3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分の残
    基であり、芳香族ジアミン4,4’−ジアミノジフェ
    ニルエ−テル、2,2−ビス[4−(アミノフェノキ
    シ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェ
    ノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフ
    ェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノ
    フェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−ア
    ミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス
    (4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4
    −アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、ビス[4−
    (3−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、1,3
    −ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンおよび1,3
    −ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれ
    。)
  4. 【請求項4】2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカ
    ルボン酸二無水物と実質的に2倍モル量のアミノ安息香
    酸とを溶媒中で反応させて、生成した下記一般式(4) 【化4】 で表されるジイミドジカルボン酸に、さらに実質的に等
    モル量の芳香族ジアミンを添加し、縮合剤の存在下に反
    応させて重合することを特徴とする芳香族ポリアミドイ
    ミドの製法。(ただし、ビフェニルテトラカルボン酸成
    分残基は2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボ
    ン酸成分の残基であり、芳香族ジアミン4,4’−ジ
    アミノジフェニルエ−テル、2,2−ビス[4−(アミ
    ノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−
    アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3
    −アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−
    (4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス
    [4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、
    4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
    ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テ
    ル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ
    −テル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
    ンおよび1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
    ンから選ばれる。)
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