JP2949500B2 - 超伝導セラミックスの製造方法 - Google Patents

超伝導セラミックスの製造方法

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JP2949500B2 JP63063113A JP6311388A JP2949500B2 JP 2949500 B2 JP2949500 B2 JP 2949500B2 JP 63063113 A JP63063113 A JP 63063113A JP 6311388 A JP6311388 A JP 6311388A JP 2949500 B2 JP2949500 B2 JP 2949500B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、超伝導セラミックスの製造方法の改良に関
する。特に、酸化物を構成成分とする超伝導セラミック
スの製造方法の改良に関する。さらに好ましくは、銅と
バリュウムとイットリュウムとのモル比がおよび3:2:1
である混合比に、酸化第二銅と酸化バリウムと三酸化二
イットリウムとを含有するように調整された原料成分組
成物を焼成してなす超伝導セラミックスの製造方法の改
良に関する。
〔従来の技術〕
酸化物を構成成分とする超伝導セラミックスの製造方
法、例えば、銅とバリュウムとイットリュウムとのモル
比がおよそ3:2:1である混合比に、酸化第二銅と酸化バ
リウムと三酸化二イットリウムとを含有するように調整
された原料成分組成物を焼成してなす超伝導セラミック
スの製造方法が知られている。本発明はこのような超伝
導セラミックスの製造方法の改良である。
〔発明が解決しようとする課題〕
酸化物を構成成分とする超伝導セラミックスを構成す
る成分のうち、ある種の酸化物例えば酸化第二銅・酸化
バリウム等は融点が低く、蒸発し易いため、焼成された
焼結体中に含まれるバリウム・銅・酸素等の量が最適値
より少なくなりやすい傾向があり、製造された超伝導セ
ラミックス中に含まれる超伝導相の割合が約30%程度と
低くなる場合がある。
この欠点は、酸化物超伝導セラミックスを構成する成
分のうちのある種の酸化物例えば酸化第二銅と酸化バリ
ウムとの蒸発量を予め予測しておき、これらを余分に添
加しておけば解消する筈ではあるが、蒸発量を予め予測
することは必ずしも容易ではない。超伝導セラミックス
バルクの形成に限らず、基板上に超伝導セラミックスの
配線パターン等を形成する場合は、融点の低い材料、例
えば、酸化第二銅と酸化バリウムとが蒸発を開始する前
に、配線を構成する酸化物超伝導セラミックスを構成す
る成分の粒子と基板との界面において、超伝導セラミッ
クス構成成分と基板材料成分との間に相互拡散反応が開
始し、バリウム・銅・酸素の量が最適値より多くなりや
すいという欠点もあり、この改良手法は現実的には利用
し難い。
本発明の目的は、この欠点を解消することにあり、焼
成して製造された時、酸化物超伝導セラミックス中に含
まれる各成分元素の組成比が超伝導体として最適値とな
り、超伝導相の割合が高くなる超伝導セラミックスの製
造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的は、焼成された時酸化物超伝導材料組成物
となるように調整された原料酸化物成分混合物を焼成す
る工程を有する超伝導セラミックスの製造方法におい
て、前記の原料酸化物成分混合物は、銅とバリュウムと
イットリュウムとのモル比が3:2:1である混合比に、酸
化第二銅と酸化バリュウムと三酸化二イットリュウムと
を含有する混合物であり、前記の焼成工程は、前記の原
料酸化物成分混合物を銅とバリュウムとを含有する原料
を焼成して製造された焼成室中に装入して、この焼成室
内において焼成する工程である超伝導セラミックスの製
造方法によって達成される。
〔作用〕
本発明に係る超伝導セラミックスの製造方法は、銅と
バリュウムとイットリュウムとのモル比が3:2:1である
原料酸化物成分混合物に対する焼結工程を、銅とバリュ
ウムとを含有する原料を焼成して製造された焼成室中に
おいてなすことゝされているので、融点の低い材料例え
ば酸化第二銅・酸化バリウム等が蒸発することはなく、
最適組成比を保ったまま焼成され、製造される酸化物超
伝導セラミックス中に含まれる各成分元素の組成比が超
伝導体としての最適値となり、超伝導相の割合が高くな
る。
実験の結果によれば、超伝導相の割合は90%以上であ
り、従来の技術における30%程度に比し、大幅に改善さ
れていることが確認されている。
〔実施例〕
以下、図面を参照しつゝ、本発明の一実施例に係る超
伝導セラミックスの製造方法について説明する。
下記に表記する組成を有する原料酸化物成分混合物を
製造する。
注 PMMAは、ポリメチルメタアクリレートであり、ME
Kは、メチルエチルケトンである。
ボールミル等を使用して、上記の原料酸化物成分混合
物を数十時間混合し、さらに、らいかい機等を使用して
メチルエチルケトンを揮発させ、混練機等を使用して、
ペースト状にする。
上記のペーストを高純度アルミナ焼成基板等の上に、
所望の配線パターン状に展延または印刷する。そして、
銅とバリュウムとイットリュウムとのモル比がおよそ3:
2:1である混合比に、酸化第二銅と酸化バリュウムと三
酸化二イットリュウムとを含有する原料酸化物成分混合
物のペーストが焼成アルミナ基板上に塗布された基板構
成体を製造する。なお、薄板状の超伝導セラミックス体
を製造する場合には、ドクターブレード法等を使用し
て、上記の原料酸化物成分混合物のペーストを、一時的
な基板として機能する基板、例えば、ステンレス板、マ
イラー等の上に塗布・乾燥して、乾燥した上記の原料酸
化物成分混合物の薄膜を、上記の一時的な基板から剥離
してグリーンシートとすればよい。
第2図参照 下記に表記する組成の組成物を製造する。
注 PMMAは、ポリメチルメタアクリレートであり、ME
Kは、メチルエチルケトンである。
らいかい機等を利用してメチルエチルケトンを揮発さ
せながら粉末状にする。この粉末を金型に充填し、約30
MPa(300Kgcm-2)の高圧下において10分間成形して箱状
の原料酸化物成分嵌合物のグリーンシートを製造する。
この箱状の原料酸化物成分混合物のグリーンシートを90
0℃において1時間大気中において焼成して、図示する
箱状の焼成室1を製造する。
第1図参照 上記の箱状の焼成室1中に、上記の原料酸化物成分混
合物2例えば先に製造した基板構成体(銅とバリュウム
とイットリュウムとのモル比がおよそ3:2:1である混合
比に、酸化第二銅と酸化バリュウムと三酸化二イットリ
ュウムとを含有する原料酸化物成分混合物のペーストが
焼成アルミナ基板上に塗布された基板構成体、または、
薄板状の超伝導セラミックス体を製造するために製造し
た、上記の原料酸化物成分混合物の薄膜よりなるグリー
ンシート)、あるいは、バルク状をなす上記の原料酸化
物成分混合物を入れ、蓋3をなして密閉し、この箱状の
焼成室1を石英よりなる焼成管4中に入れ、焼成管4中
には乾燥空気を流し込みながら、加熱器5を使用して約
2時間約950℃をもって焼成し、その後、約600℃の酸素
中において約12時間熱処理する。
以上の工程をもって製造した焼結体の電気抵抗を液体
窒素中において測定したところ、90Kで電気抵抗は零と
なり、超伝導状態を実現していることが確認された。ま
た、基板上に形成された超伝導セラミックスの焼結体を
剥離し、その超伝導相の割合をVSMで測定したところ、
上記のとおり、超伝導相の割合が90%以上であることが
確認されている。
この実施例においては、超伝導セラミックスバルクの
場合は勿論、上記の原料酸化物成分混合物の薄膜よりな
るグリーンシートを焼成して製造した薄板状の超伝導セ
ラミックス体の場合も、焼成アルミナ基板上に塗布され
た基板構成体を焼成して製造した焼成アルミナ基板上に
形成された超伝導セラミックスの場合も、結果はおゝむ
ね同一であった。よって、基板上に超伝導セラミックス
の配線パターン等を形成する場合、従来技術においては
避け難かった欠点の一つ(原料酸化物成分混合物と基板
との界面において、原料酸化物成分混合物の構成成分と
基板材料成分との間に相互拡散反応)は回避できたもの
と思われる。
〔発明の効果〕
以上説明せるとおり、本発明に係る超伝導セラミック
スの製造方法は、銅とバリュウムとイットリュウムとの
モル比がおよそ3:2:1である混合比に酸化第二銅と酸化
バリュウムと三酸化二イットリュウムとを含有する混合
物を、銅とバリュウムとを含有する原料を焼成して製造
された焼成室中に載置して、焼成する工程をもって構成
されているので、融点の低い成分、例えば、酸化第二銅
も酸化バリウムも蒸発することはなく、最適組成比(銅
とバリュウムとイットリュウムとのモル比がおよそ3:2:
1である組成比)を保ったまま焼成され、超伝導相の割
合を上昇させることができる。実験の結果によれば、上
記のとうり、超伝導相の割合は90%以上であり、従来の
技術における30%程度に比し、大幅に改善されているこ
とが確認されている。
なお、本発明を使用すれば、前述の如く、超伝導セラ
ミックスバルクの製造は勿論、上記の原料酸化物成分混
合物の薄膜よりなるグリーンシートを焼成して製造する
薄板状の超伝導セラミックス体の製造も、焼成アルミナ
基板上に塗布される基板構成体を焼成して製造する焼成
アルミナ基板上に形成される超伝導セラミックスの製造
も、可能であり、基板上に超伝導セラミックスの配線パ
ターン等を形成する場合、従来技術においては避け難か
った欠点の一つ(原料酸化物成分混合物と基板との界面
において、原料酸化物成分混合物の構成成分と基板材料
成分との間に相互拡散反応)を回避することもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例に係る超伝導セラミックス
の製造方法の説明図である。 第2図は、本発明の一実施例に係る超伝導セラミックス
の製造方法の工程図である。 1……箱状の焼成室、 2……焼成されて酸化物超伝導材料組成物となるように
調整された原料成分混合物または酸化物超伝導材料組成
物、 3……蓋、 4……焼成管、 5……加熱器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 弘美 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 亀原 伸男 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−307115(JP,A) 特開 平1−160855(JP,A) 特開 昭63−242923(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01G 3/00 C04B 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼成された時超伝導セラミックスとなるよ
    うに調整された原料酸化物成分混合物を焼成する工程を
    有する超伝導セラミックスの製造方法において、 前記原料酸化物成分混合物は、銅とバリュウムとイット
    リュウムとのモル比がおよそ3:2:1である混合比に、酸
    化第二銅と酸化バリュウムと三酸化二イットリュウムと
    を含有する混合物であり、 前記焼成工程は、前記原料酸化物成分混合物を、銅とバ
    リュウムとを含有する原料を焼成して製造された焼成室
    中に載置してなす工程である ことを特徴とする超伝導セラミックスの製造方法。
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