JP2948713B2 - 硬貨包装機における硬貨集積制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、同一金種の硬貨を所
定枚数宛積み重ねて集積させ、その外周を包装紙によっ
て包装して外観上円柱状をなす包装硬貨を形成する硬貨
包装機における硬貨集積制御装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の集積硬貨の包装装置は、
各種提案されており、殊に搬入された硬貨の積層位置を
制御するものとしては、例えば、特開昭５８−１７１３
１８号公報（公知例１）や、特開昭６２−２０８３２９
号公報（公知例２）によって開示された発明が知られて
いる。

【０００３】前記の各公知例１，２の内容を要約すれ
ば、硬貨が搬入される毎にその支持位置を徐々に降下さ
せて、集積硬貨の上面位置と硬貨搬入通路の底面との距
離を一定に保ちながら、硬貨を集積していく硬貨集積装
置であって、金種に基づく１枚当たりの降下量を予め記
憶しておき、硬貨搬入通路内の計数センサによって、搬
入された硬貨が計数される度に、前記記憶データに基づ
いて集積装置を駆動し、硬貨を集積するように構成した
ものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の公知
例１，２の発明における前記記憶データは、新規硬貨の
規格通りの厚みに基づいて算出されたものであったた
め、新規に発行された硬貨の集積処理に当っては、支障
なくこれを集積処理しうるものである。

【０００５】しかしながら、流通硬貨は、使用によって
その厚みが減耗されるものであることは周知であって、
このような真正硬貨であっても、新規硬貨に比較してそ
の厚みが減少された流通硬貨の集積処理の際には、搬入
硬貨を受容する支持手段の位置は、前記の記憶データに
より支持された分量宛変化するので、結果的に当該支持
手段上に順次集積される硬貨の最上位硬貨の上面と、搬
入通路面との間には、落差が生ずることとなり、この落
差に基因して、不用意に搬入硬貨が傾斜し、あるいは、
起立状態で支持手段上に集積され、安定した集積処理が
保障されないという不安要因が残されていた。

【０００６】前記のような不具合を解消するために、こ
の発明が解決課題とする点は次の如くである。 （１）硬貨包装機の硬貨の搬入部と集積部の間の相対的
な位置を整列させ、硬貨が支障なく集積部に積層状に集
積されるものを提供することである。 （２）磁気センサにより硬貨の個数並びに特性を一挙に
検出しうるものを提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、前記の如き
課題の解決に万全を期することができるものであって、
しかも、その構成が単純で、コンパクトな装置を提供で
きるものであり、その構成上の特徴点は、次の通りであ
る。

【０００８】（１）同一金種の硬貨を積み重ねて集積
し、その外周を包装して円柱状の包装硬貨を形成するよ
うにした硬貨包装機において、硬貨包装手段（１）が硬
貨を集積部（２０）に供給可能な搬入部（１０）と積層
状の集積硬貨を包装部（３０）に供給可能とした集積部
（２０）とを具備し、制御指令手段（１００）には少な
くとも厚みデータ変換手段（１０１）並びに集積部駆動
手段（１０４）を装備させ、前記搬入部（１０）に設け
た磁気センサ（１５）によって搬入された硬貨の個数と
特性値を検出させ、この検出値を前記厚みデータ変換手
段（１０１）において硬貨の厚み寸法データに変換し、
前記集積部駆動手段（１０４）により硬貨を積層状に担
持しうる集積部（２０）をこの厚み寸法だけ変位させ、
前記搬入部（１０）の硬貨搬入通路（１３）と集積され
た最上位硬貨との関係位置の整合性を維持可能とした硬
貨包装機における硬貨集積制御装置。

【０００９】（２）前記の検出値に基づく硬貨の厚み寸
法データを受信した比較指令手段（１０２）において、
この厚み寸法データに対応する駆動パルス数を集積部駆
動量記憶手段（１０３）から読み出し、集積部駆動手段
（１０４）を前記駆動パルス数分だけ駆動させて、前記
集積部（２０）を変位させるようにした前記（１）記載
の硬貨包装機における硬貨集積制御装置。

【００１０】とした点にある。

【００１１】従って、前記の手段によりこの発明が解決
しようとする課題は達成されることとなる。

【００１２】

【作 用】この発明の構成は前記の通りであって、
搬入された硬貨は、磁気センサによってその特性が検出
され、この検出値を硬貨の厚みデータに変換し、比較指
令手段において、前記の厚みデータに対応する集積部駆
動用のパルス数を読み出し、このパルス数分だけ集積部
駆動手段を作動させて、支持手段を降下させるものであ
るから、支持手段とこの支持手段に担持された集積硬貨
は、次いで搬入される硬貨の厚み分だけ降下されること
となり、常時所定の位置で搬入部からの硬貨を受領でき
ることとなり、硬貨包装の品質の向上に寄与しうること
となるものである。

【００１３】

【実 施 例】次に、この発明の実施例を図面に基づい
て説明する。

【００１４】図１に示す通りに、この実施例の装置は、
硬貨包装手段（１）と、その制御指令手段（１００）と
によって構成されており、前記の硬貨包装手段（１）
は、搬入部（１０），集積部（２０）および包装部（３
０）からなるものであって、この内、搬入部（１０）に
ついて見れば、包装処理のために投入された硬貨（Ｃ）
は、回転円板（１１）上で付勢され、案内枠（１２）で
矢印方向に誘導されて搬入通路（１３）内に給送される
が、当該通路（１３）は、その通路巾が調節自在であっ
て、包装処理される設定金種の硬貨（Ｃ）のみの通過を
容認するよう制御されるものであるから、この通路（１
３）内で送ベルト（１４）により一枚ずつ推進されつ
つ、適宜選別されて設定された硬貨（Ｃ）のみが集積部
（２０）に供給されるものである。

【００１５】なお、前記の搬入通路（１３）に臨ませて
磁気センサ（１５）が配設されており、このセンサ（１
５）により通過する硬貨（Ｃ）の個数と特性値を検出し
うるように構成したものであるが、この点については、
制御指令手段（１００）の説明と共に後述する。

【００１６】次に、この集積部（２０）について、図２
および図３をも参照して説明する。

【００１７】即ち、この集積部（２０）には、ステッピ
ングモータなどの集積部駆動手段（後述）により相互に
対向方向に周期して旋回される一組の集積ドラム（２
１）（２１）が設定された金種の硬貨（Ｃ）の外径に適
合するよう間隔調整自在に並設されており、各集積ドラ
ム（２１）（２１）の外周には、それぞれ右ネジ状，左
ネジ状の螺旋突条（２２Ａ）（２２Ｂ）が周設されてお
り、各突条（２２Ａ）（２２Ｂ）は、その上面に硬貨
（Ｃ）を積層状に載置させ、集積ドラム（２１）（２
１）の同期的な旋回運動に伴って、この硬貨（Ｃ）を順
次下降させうるように構成されている。

【００１８】なお、図２において、仮想線で示す（２
３）は、硬貨（Ｃ）の前方規制材であって、硬貨（Ｃ）
の前方への位置変更を規制しうるものであり、（２４）
は硬貨（Ｃ）を支持する集積案内体を示しており、当該
集積案内体（２４）の下位には、集積された硬貨（Ｃ）
を担持し、後述の包装部（３０）へこの集積状の硬貨
（Ｃ）を提供するシャッター（２５）が配設されている
ものである。

【００１９】又、前記シャッター（２５）より提供され
た集積状の硬貨（Ｃ）を包装処理する包装部（３０）に
ついて見れば、図１に示す如く、集積状の硬貨（Ｃ）
を、３本の包装ロール（３１）間に挿入させ、当該包装
ロール（３１）を、同方向に旋回させて集積状の硬貨
（Ｃ）を、その対向方向に回動させた状態とし、別設の
ターンテーブル（３２）上に担持したロール状の包装紙
（Ｓ）を、一対の繰出しロール（３３）（３３）によっ
て繰り出し、前記の硬貨（Ｃ）の外周上に供給して硬貨
（Ｃ）の旋回運動を利用してその外周上に巻装し、カッ
ター（３４）で切断し、図示しないカシメ手段によって
包装紙の側縁部にカシメ処理を施し、包装硬貨（ＣＲ）
状となし、後続の収納手段などに搬出しうるものであ
る。

【００２０】次に、図１に基づいて、制御指令手段（１
００）について説明すると、以下の通りである。

【００２１】即ち、前記の如く、搬入通路（１３）に臨
ませて設けた磁気センサ（１５）によって通過する硬貨
（Ｃ）の個数並びにその特性値を検出し、このデータ信
号を厚みデータ変更手段（１０１）に通知して、検出し
た特性値から通過した硬貨（Ｃ）の現実の厚みを算出
し、この厚みデータ信号を比較指令手段（１０２）に通
報するように構成されている。

【００２２】ところで、この比較指令手段（１０２）に
おいては、前記の硬貨の厚みデータ信号に応じて、集積
部駆動量記憶手段（１０３）に記憶されている所要パル
ス数を読み出し、このパルス数によってステッピングモ
ータなどで構成された集積部駆動手段（１０４）を駆動
するための指令信号を発信しうるものであり、この指令
信号により前記の集積部駆動手段（１０４）は、通過す
る硬貨（Ｃ）の厚みに対応する距離分だけ硬貨（Ｃ）を
降下させるのに適切な角度だけ集積ドラム（２１）（２
１）を旋回させうるように構成されている。

【００２３】次に、この実施例の作動手順について見れ
ば、まず、予め、図示しない硬貨包装機の包装処理金種
設定手段を操作して、硬貨（Ｃ）の搬送通路（１３）の
通路巾を、設定金種の硬貨（Ｃ）のみが通過しうるよう
に調節すると共に、集積ドラム（２１）（２１）の間隔
ならびに、包装ローラ（３１）の間隔を、それぞれに適
合する寸法の包装紙（Ｓ）を装填することにより、包装
処理の準備が完了する。

【００２４】又、ターンテーブル（３２）上の包装紙
（Ｓ）については、マニュアル操作によって設定金種の
硬貨（Ｃ）に適合する寸法の包装紙（Ｓ）を装填するこ
とにより、包装処理の準備が完了する。

【００２５】次で、図示しない始動スイッチを操作し
て、回転円板（１１）上に硬貨を投入すると、硬貨
（Ｃ）は、前記した如くに、集積ドラム（２１）（２
１）間で積層状に集積され、包装ロール（３１）間で包
装紙（Ｓ）によって包装処理されるものであるが、図２
に示す如くに螺旋突条（２２Ａ）（２２Ｂ）間において
集積された硬貨（Ｃ）を担持する集積ドラム（２１）
（２１）は、対向方向に周期して旋回されるものであっ
て、その旋回量は、以下に述べる如く、現実に搬入通路
（１３）から集積ドラム（２１）（２１）間に搬入され
た硬貨（Ｃ）の厚み寸法分だけ集積硬貨の支持位置が降
下するように制御されるものである。

【００２６】以下、この点を図１および図２に基づいて
詳しく説明すると、次の通りである。

【００２７】即ち、搬送ベルト（１４）により搬入通路
（１３）を通過する硬貨（Ｃ）は、磁気センサ（１５）
により、その通過個数ならびにその硬貨個有の特性値が
検出される。

【００２８】ところで、前記の硬貨（Ｃ）のうち、流通
硬貨は使用期間や使用状態の差異に応じて摩損され、そ
の厚みが少なからず減耗されていることが多いので、前
記の通過した硬貨（Ｃ）の現実の特性値は、通常新規の
硬貨（Ｃ）の特性値とは一致しないが、この通過した硬
貨（Ｃ）の特有の特性値が磁気センサ（１５）により検
出され、この特性値に応じて、これを通報された厚みデ
ータ交換手段（１０１）において、通過する硬貨（Ｃ）
の厚み寸法を算出し、この厚み寸法情報を比較指令手段
（１０２）に通信する。

【００２９】ところで、この演算指令手段（１０２）に
おいては、集積部駆動量記憶手段（１０３）から、前記
硬貨（Ｃ）の厚み寸法に対応する集積部駆動手段（１０
４）をなすステッピングモータなどへの供給パルス数を
読み出し、この信号をステッピングモータなどに供給す
る。

【００３０】これにより、集積ドラム（２１）（２１）
が所望の角度だけ旋回されて、その結果において、その
螺旋突条（２２Ａ）（２２Ｂ）の位置が変更され、これ
に担持された積層状の硬貨（Ｃ）が、通過する搬入硬貨
（Ｃ）の厚み分だけ下降されることとなり、常時集積さ
れた硬貨（Ｃ）の頂面が搬入通路（１３）に対して一定
の距離を保って維持されることとなり、後続の硬貨
（Ｃ）が安定して整然と積層されうることとなるもので
ある。

【００３１】なお、この実施例においては、一組の集積
ドラムを旋回させて、その外周の螺旋突条（２２Ａ）
（２２Ｂ）の位置を変更させて、集積硬貨の支持位置を
降下させるように構成したものを例示して説明したが、
例えば、集積硬貨を自動昇降テーブルに代えることによ
っても、同様の目的を達成しうるものであって、この発
明が単にこの実施例に限定されるものではないことは言
うまでもないことである。

【００３２】

【発明の効果】（１）新規で損耗されていない硬貨もし
くは、使用により摩損された硬貨のいずれについても、
直ちにその現実の厚みを算出し、この厚み寸法の総和に
対応するよう硬貨の支持手段を変位させることにより、
集積部には搬入部から支障なく硬貨を受領しうることと
なり、硬貨を安定的に整然と集積処理し、品質の優れた
包装硬貨を作成しうるものである。（２）磁気センサにより硬貨の個数と特性値とを一挙に
検出しうる構成であって、簡素化され、調整操作が不要
であって故障が少ないものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す機能説明図。

【図２】図１の集積部の一部側面図。

【図３】図１の搬入部の一部平面図。

【符号の説明】

１ 硬貨包装手段 １０ 搬入部 ２０ 集積部 ２１ 集積ドラム ２２Ａ，２２Ｂ 螺旋突条 ３０ 包装部 １００ 制御指令手段 １０１ 厚みデータ変換手段 １０２ 演算指令手段 １０３ 集積部駆動量記憶手段

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 同一金種の硬貨を積み重ねて集積し、そ
   の外周を包装して円柱状の包装硬貨を形成するようにし
   た硬貨包装機において、硬貨包装手段（１）が硬貨を集
   積部（２０）に供給可能な搬入部（１０）と積層状の集
   積硬貨を包装部（３０）に供給可能とした集積部（２
   ０）とを具備し、制御指令手段（１００）には少なくと
   も厚みデータ変換手段（１０１）並びに集積部駆動手段
   （１０４）を装備させ、前記搬入部（１０）に設けた磁
   気センサ（１５）によって搬入された硬貨の個数と特性
   値を検出させ、この検出値を前記厚みデータ変換手段
   （１０１）において硬貨の厚み寸法データに変換し、前
   記集積部駆動手段（１０４）により硬貨を積層状に担持
   しうる集積部（２０）をこの厚み寸法だけ変位させ、前
   記搬入部（１０）の硬貨搬入通路（１３）と集積された
   最上位硬貨との関係位置の整合性を維持可能とした硬貨
   包装機における硬貨集積制御装置。
2. 【請求項２】 前記の検出値に基づく硬貨の厚み寸法デ
   ータを受信した比較指令手段（１０２）において、この
   厚み寸法データに対応する駆動パルス数を集積部駆動量
   記憶手段（１０３）から読み出し、集積部駆動手段（１
   ０４）を前記駆動パルス数分だけ駆動させて、前記集積
   部（２０）を変位させるようにした請求項１記載の硬貨
   包装機における硬貨集積制御装置。