JP2946708B2 - 感湿素子 - Google Patents

感湿素子

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はビデオや車窓の結露検知あるいは空調機器や
乾燥器などの湿度検知に用いる湿度による電気抵抗変化
を利用した感湿素子に関する。
従来の技術 近年、空調機器、特にカーエアコン、小型家電製品な
どにおいても機器の自動制御化に伴う湿度センサが利用
されるようになってきている。これに伴い高精度,高信
頼性の直流駆動型感湿素子が求められている。
以下に従来の感湿素子について図面を参照しながら説
明する。
従来の電気抵抗式感湿素子は原理的に分類すると金属
酸化物表面のプロトン電導の変化を利用したもの、高分
子電解質のイオン解離度の変化を利用したもの、セラミ
ック半導体の高温における電子電導を利用したもの、吸
湿性高分子中に導電性粉末を分散させ、吸水性高分子の
吸湿による体積変化に基づく導電性粉末の接触状態の変
化による電子電導度の変化を利用したものなどがある。
金属酸化物表面のプロトン電導を利用したものは耐熱性
が高く、付着汚れに強く、また広い湿度範囲を検知でき
るという利点がある。しかし、電導種がイオンであるた
め印加電圧は交流に限られ、制御回路が複雑になりコス
ト面で不利である。また、湿度変化による抵抗値変化の
ドリフト現象を防ぐために、加熱クリーニングという面
倒なメンテナンスが必要となる。高分子電解質のイオン
電導を利用したものは、加熱クリーニングは必要ない
が、同じく電導種がイオンであるため印加電圧は交流に
限定される。セラミック半導体の電子電導を利用したも
のは、一時的には直流の使用も可能であるが400℃以上
の高温でなければ駆動しないため、高温における電極材
料の拡散を防ぐため実質的には交流を印加する必要があ
る。
第3図に従来用いられている炭素粉末を吸湿性高分子
に分散させた湿度センサの構成を示す。アルミナ基板21
上に櫛形電極22を形成し、炭素粉末を分散させた吸湿性
高分子からなる感湿材23を塗布してあり、抵抗値を取り
出すための端子24が設けられている。
以上のように構成された感湿素子について、以下その
動作を説明する。
まず、雰囲気の湿度の変化によって吸湿性高分子に膨
潤、収縮の体積変化が発生する。このとき吸湿性高分子
内部の炭素粒子の接触状態が変動する。そしてこの接触
状態の変動を抵抗値の変化として検出し、電極を介して
リードから湿度検知回路に信号を伝達する。この種の感
湿素子は電導種が電子であるため、直流が使用できると
いう利点がある。第4図にこの感湿素子の湿度に対する
抵抗値変化を示す。
発明が解決しようとする課題 このような従来の構成の感湿素子では、湿度変化によ
る電気抵抗変化が第4図に示すように特定の湿度以上で
急激に大きくなり、ついには抵抗値が無限大に増加する
ため、広い湿度範囲にわたって精度よく測定することが
できないという問題があった。
本発明はこのような課題を解決するもので、広い湿度
範囲にわたって精度よく湿度測定が可能な、直流印加方
式の感湿素子を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段 この課題を解決するために本発明は、異なる電気抵抗
を有する複数の抵抗体と、湿度により抵抗が変化し、そ
の感湿特性が異なる複数の感湿材とをそれぞれ電気的に
並列に連結して複数の感湿抵抗体を形成し、前記複数の
感湿抵抗体を直列に連結して、前記複数の感湿抵抗体の
直列合成抵抗の湿度による変化により湿度を検出するよ
うにしたものである。
また、感湿材として吸水性高分子中に電導性粉体を分
散した混合物を用いるものである。
作用 この構成により、特定の湿度領域で電気抵抗が変化す
る感湿抵抗体を複数直列に連結してあり、それぞれの感
湿抵抗体がそれぞれの湿度領域を検出し、その合成抵抗
により湿度を検出するので、複数の感湿抵抗体の感湿領
域全体にわたって連続的に精度よく湿度を測定すること
ができる。
また、それぞれの感湿抵抗体の感湿特性を選ぶことに
より、感湿素子の感湿特性を任意に変えることができ、
必要な測定領域の感度を高めることもできる。
さらに、感湿抵抗体は電子電導性の抵抗体とカーボン
粉体と吸湿性高分子とで構成されていて、電子電導性で
あるため、直流電流による湿度検知が可能で、測定回路
の部品点数とコストを大幅に削減できることとなる。
実施例 以下に、本発明の感湿素子を図面を参照しながら説明
する。
第1図に本発明の一実施例の感湿素子の構成を示す。
アルミナ基板1上に固有の抵抗値を有する複数抵抗体の
うちの1つの抵抗体2を形成し、その抵抗体2は、500
Ωの抵抗値を有する。同じく800Ωの抵抗値を有する抵
抗体3、1100Ωの抵抗体4、1400Ωの抵抗体5、1700Ω
の抵抗体6、2000Ωの抵抗体7がそれぞれ設けられてい
る。これらの抵抗体は、RuO2ペーストを矩形状にスクリ
ーン印刷し、高温で焼き付けたものである。抵抗体の形
状は矩形状に限らず、正弦状、あるいは櫛形対向電極の
間に特定の抵抗値を有する材料を設けるような構造でも
構わない。なお抵抗体は表面で後述の感湿材と電気的に
接続される必要があるため、表面が絶縁状態であっては
ならない。感湿材8,9,10,11,12は、それぞれ抵抗体2,3,
4,5,6,7の上に形成され、それぞれ感湿特性が異なるよ
う、炭素粉末を吸湿性高分子中に分散させたものであ
る。感湿材の感湿特性は炭素端末と吸湿性高分子の混合
比率で決定され、炭素粉末の混合比率が少ないほど低い
湿度で急激な抵抗増加を示す。例えば、感湿材8におい
ては吸湿性高分子に対する炭素粉末の重量比率は10%、
同じく9は20%、10は40%、11は60%、12は80%、13は
90%である。各抵抗体を電気的に直列に接続する導電パ
ターン25とこれら電気的に直列に接続された感湿抵抗体
の合成抵抗を取り出すための端子14とで感湿素子が構成
されている。
以上のように構成された本実施例の感湿素子につい
て、以下にその動作を説明する。
まず、低湿状態においては吸湿性高分子は収縮状態に
あるため、内部の炭素粒子間は良電導性状態になる。こ
のとき抵抗体の矩形面をリークする形で並列抵抗を形成
して感湿抵抗体の抵抗値は決定されるため、電導性は感
湿材の抵抗値に依存する。つぎに、次第に湿度が上昇す
ると炭素粒子の距離が離れていくため感湿材の抵抗値は
増大する、すなわち感湿抵抗体の抵抗値も増大し、感湿
材の抵抗値が無限大まで上昇すると感湿抵抗体の抵抗値
は抵抗体の抵抗値に帰属する。第2図に各感湿抵抗体の
湿度変化に対する抵抗値変化を示す。抵抗体2上に感湿
材8を形成した感湿抵抗体15、同じく16が3の抵抗体に
9の感湿材を、17が4の抵抗体に10の感湿材を、18が5
の抵抗体に11の感湿材を、19が6の抵抗体に12の感湿材
を、20が7の抵抗体に13の感湿材を形成した感湿抵抗体
の湿度変化に対する抵抗値変化である。これらはいずれ
も特定の湿度以上で急激に抵抗値が上昇するが、特定の
抵抗値を有する抵抗体が電気的に並列に接続されている
ために特定の抵抗値以上には感湿抵抗体の抵抗は上がら
ない。本実施例の感湿素子は、これら感湿抵抗体を直列
に接続しているため、感湿素子の全抵抗は各感湿抵抗体
の抵抗値の和になる。従って端子14間の湿度に対する抵
抗値の変化は、図2に記載した各感湿抵抗体の和をとれ
ばわかるように、緩やかに変化し、いずれの湿度域でも
湿度に対して感度を有しているため、広い範囲の湿度検
知が可能になることがわかる。
発明の効果 以上の実施例の説明からも明らかなように、本発明に
よる感湿素子は、それぞれ固有の抵抗値を有する抵抗体
と、それに電気的並列に形成されたそれぞれ湿度に対す
る抵抗値変化が異ある感湿材からなる複数の感湿抵抗体
を直列に接続し、これらの合成抵抗を湿度信号として検
出するという構成により高湿度領域での抵抗値変化を緩
やかにし、広い湿度範囲で湿度検知が可能になるという
効果が得られる。また導電性粉体を吸湿性高分子中に分
散した感湿材を用いることで直流の印加も可能となり、
広い範囲の湿度を検知する制御回路の部品点数とコスト
を大幅に削減できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の感湿素子の斜視図、第2図
は同複数の感湿抵抗体の湿度による抵抗変化を示す特性
図、第3図は従来の感湿素子の斜視図、第4図は同感湿
素子の湿度と抵抗値の関係を示す特性図である。 1……アルミナ基板、2,3,4,5,6,7……抵抗体、8,9,10,
11,12,13……感湿材、14……端子、15,16,17,18,19,20
……感湿抵抗体、25……導電パターン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる電気抵抗を有する複数の抵抗体と、
    湿度により抵抗が変化し、その感湿特性が異なる複数の
    感湿材とをそれぞれ電気的に並列に連結して複数の感湿
    抵抗体を形成し、前記複数の感湿抵抗体を直列に連結し
    て、前記複数の感湿抵抗体の直列合成抵抗の湿度による
    変化により湿度を検出する感湿素子。
  2. 【請求項2】感湿材として吸水性高分子中に電導性粉体
    を分散した混合物を用いる請求項1記載の感湿素子。
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