JP2946148B2 - トナーおよび画像形成方法 - Google Patents

トナーおよび画像形成方法

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JP2946148B2 JP4247191A JP24719192A JP2946148B2 JP 2946148 B2 JP2946148 B2 JP 2946148B2 JP 4247191 A JP4247191 A JP 4247191A JP 24719192 A JP24719192 A JP 24719192A JP 2946148 B2 JP2946148 B2 JP 2946148B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真、静電記録の
ような画像形成方法における静電潜像を顕像化するため
のトナー及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1に一般的な電子写真の概略構成を示
した。図において、1はドラム型感光体であり、矢印方
向に回転駆動される。感光体1は帯電装置2により均一
帯電を受け、次いで露光部3にて像露光を受ける。これ
により感光体に静電潜像が順次形成されてゆく。
【0003】その静電潜像は次いで現像装置4のトナー
によって現像される。この現像像は転写装置5により、
感光体と転写装置5との間に給送された紙などの転写材
Pに順次転写されてゆく。
【0004】像転写を受けた転写材Pは感光体面から分
離されて定着装置8へ導入されて複写物となる。
【0005】感光体上に残留するトナーは、クリーニン
グ装置6で除去され、クリーニング後の感光体は除電露
光7により除電される。
【0006】図のように帯電装置2や転写装置5として
は、従来一般的にコロトロンあるいはスコロトロンなど
が使用されている。タングステンなどの細線ワイヤーに
高電圧を印加し、ワイヤーからイオンが放出される方式
である。
【0007】しかしながら、このような装置においては
多量のオゾンの発生を伴い、その臭気が嫌われる。
【0008】また、このような装置は、ワイヤー2aか
ら放出されたイオンの大部分はケーシング2bに流れて
しまって効率が悪いという問題がある。また、逆にケー
シングがないと放電させるためにはきわめて高い電圧を
供給する必要が生じる。
【0009】これらの問題を改善するため、細線ワイヤ
ーと被帯電体との間隔を小さくすると被帯電体表面の微
細な凹凸によって帯電が不均一になったり、火花放電に
なってしまうことがある。
【0010】さらに、このような方式では、使用中にワ
イヤーが変質して切断するという信頼性の問題や、ワイ
ヤーが無機酸化物微粉体などで汚れて、画像欠陥につな
がる問題などがある。
【0011】このような問題に対し、帯電方式としては
感光体に直接接触する導電性の材料に電圧を印加する方
法が採用されてきており、転写方式としても同様に導電
性ローラーを感光体に直接接触させるような構成が採ら
れてきている。
【0012】これらの方法は、オゾンの発生を極度に減
らすことが可能であるなど上記の問題点を解決でき、さ
らに高電圧が必要でなくなるので小型化・低コスト化が
図れる。
【0013】しかしながら、部材が感光体に直接接触す
るがゆえに弊害が生じてしまう。即ち、転写材上に転写
されなかった転写残トナーはクリーニング装置6によっ
てクリーニングされるが、この時、感光体上はいつも完
全にクリーニングされるわけではなく、わずかにトナー
あるいはトナー中の成分が残存するのは避けられない。
そして、この感光体上の物質は、帯電あるいは転写のた
めに感光体と直接接触している部材によって押しつぶす
ような力を受けることになる。このため、感光体上にト
ナーなどが融着する現象が起きやすい。
【0014】さらに、部材に電圧が印加されていること
は、この現象を促進する。近年、小型の複写機だけでな
く、より高速・大型の複写機についても接触帯電や転写
用回転体が採用され始めている。この時、複写のスピー
ドの増加に従い印加電圧及び、交流周波数を増加させる
ことが、帯電・転写を安定させるために必要となる。し
かし、このことは、感光体へのトナー融着を促進してし
まう。さらに、高速・大型の複写機は感光体の耐用枚数
も伸ばす必要があるが、このことも問題をより深刻にし
ている。
【0015】このような問題に対して、特開平3−85
572号公報では、転写ローラーの表面を研削面とする
ことが提案されており、特開平3−102382号公報
では、補助帯電手段によってトナーの帯電量を上げてド
ラム汚れを防止することが提案されている。しかし、こ
のような装置的な改良は、ほかの機能を犠牲にしたりコ
ストアップになるので、装置的な改良をすることなく問
題を解決する方法が望まれていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、感光
体上にトナー融着を生じさせないトナー及び画像形成方
法を提供することにある。
【0017】また、本発明の目的は、高濃度でカブリが
なく、転写中抜けのない画像を得ることのできるトナー
及び画像形成方法を提供することにある。
【0018】また、本発明の目的は、接触帯電装置をト
ナーで汚染しにくく、また、汚染したとしても帯電ムラ
を起こさないトナー及び画像形成方法を提供することに
ある。
【0019】また、本発明の目的は、転写用回転体をト
ナーで汚染しにくく、また、汚染したとしても転写不良
を起こさないトナー及び画像形成方法を提供することに
ある。
【0020】すなわち、本発明の目的とするところは、
上記問題点を解決した新規なトナー及び画像形成方法を
提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の目的は、
以下の構成によって達成される。
【0022】すなわち、下記一般式(I)で表わされる
化合物あるいはそれをレーキ化した化合物、および結着
樹脂を少なくとも含有する樹脂粒子と、無機酸化物微粉
体とを少なくとも含有するトナーであって、該トナー
は、潜像保持体表面に当接する接触帯電手段及び/また
は潜像保持体表面に当接する転写用回転体をそなえた画
像形成方法に用いるトナーであり、該トナーのTHF可
溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)による分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少
なくとも1つピークが存在し、分子量10万以上の領域
に少なくとも1つピークが存在し、分子量10万以下の
成分が50〜90%である、トナーによって達成され
る。
【0023】
【化3】 [式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 は、各々
互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もし
くは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換の
アリール基を表わす。R7 、R8 、R9 は、各々互いに
同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、
アルキル基、アルコキシ基を表わす。A-は、硫酸イオ
ン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イ
オン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機り
ん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン、テ
トラフルオロボレートなどの陰イオンを示す。]さら
に、このトナーを、潜像保持体表面に当接する接触帯電
手段及び/または潜像保持体表面に当接する転写用回転
体をそなえた画像形成方法に用いて、該潜像保持体表面
に保持されている静電潜像を現像することによって達成
される。
【0024】以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】本発明者らは、感光体に対して接触する部
材があるような構成において、上記(I)式で示される
化合物またはこれをレーキ化した化合物を用いれば、ト
ナー融着を防ぐことに対して非常に有効であることを見
いだし、本発明に到達した。
【0026】その理由のひとつは、トナーの帯電量を転
写に対して適切なレベルまで高めることができるからで
あると思われる。転写は基本的に電界を利用したプロセ
スであるので、トナーの帯電量が高い方がより強く静電
気力を働かせることができる。従って帯電能の高いトナ
ーの方が転写が効率良く行われ、感光体上の残存トナー
が減り、トナー融着に対して好ましい。特に、トナー融
着を防ぐために研磨性の添加剤をトナーに加えた場合、
帯電量が低下し画像濃度が低くなりやすいが、この意味
からもトナーの帯電能が高いことは好ましい。
【0027】一般式(I)で示される化合物はトリフェ
ニルメタン系の染顔料の一種である。このようなトリフ
ェニルメタン系の化合物を当該技術分野で用いることは
特公昭57−3940号公報、特開昭54−84732
号公報、特公昭58−9415号公報、特開昭55−7
9456号公報、特開昭60−107654号公報、特
開昭61−124955号公報、特開昭61−3675
8号公報、特開平2−73260号公報、特開平2−1
23372号公報、特開平2−273754号公報など
で公知である。
【0028】トリフェニルメタン系化合物の正摩擦帯電
性はフェニル基に置換しているアミノ基に大きな影響を
受ける。種々の化合物を検討したところ、特公昭57−
3940号公報、特開昭54−84732号公報、特公
昭58−9415号公報、特開昭60−107654号
公報などに開示されているような二つのフェニル基だけ
がアミノ基で置換されているトリフェニルメタン誘導体
では本発明の画像形成方法においては、摩擦帯電付与能
が不十分であった。すなわち、前述したように感光体上
へのトナー融着を防止するには、トナーの摩擦帯電量を
高くすることが好ましいが、二つのフェニル基だけがア
ミノ基で置換されているトリフェニルメタン誘導体では
トナー融着を防止するには、摩擦帯電量が不十分であっ
た。
【0029】一方、三つのフェニル基のひとつをナフチ
ル基に変えたものが、特開昭55−79456号公報、
特開昭61−124955号公報、特開昭61−367
58号公報などで開示されているが、これらの化合物の
正摩擦帯電量は本発明の画像形成方法においては高すぎ
た。すなわち、現像されたトナーの帯電量が過剰になる
と、鏡映力に基づく、感光体に対するトナーの付着力が
強くなり、クリーニング装置によるトナー除去が困難に
なるのが一般的である。そのため、本発明の画像形成装
置にこれらの化合物を含有するトナーを適用するとトナ
ー融着を生じやすくなる。
【0030】このように、本発明の画像形成装置に効果
的に用いることができるトリフェニルメタン系染顔料は
従来公知のものの内で限られたものに過ぎないことを新
たに見いだした。
【0031】また、トナー融着を完全に防止するには上
記(I)式で示される化合物を用いるだけでは不十分で
あり、後述するような結着樹脂の設計も必須の要件であ
る。本発明の結着樹脂の場合、通常の樹脂に比べてトナ
ー製造の混練工程における分散力が弱くなる傾向にあ
る。そのため、弱い分散力でも結着樹脂中に良好に分散
できる特性が本発明の添加剤には要求される。本発明者
らが検討したところ、上記(I)式で示される化合物
が、ほかの公知の帯電量付与剤に比べて、弱い分散力で
も良好な樹脂に対する分散性を有することを見いだし
た。
【0032】すなわち、上記(I)式で示される化合物
は、本発明の画像形成方法において最も適正な摩擦帯電
性を有するトリフェニルメタン系染顔料であり、しかも
本発明の樹脂に対する分散性も良好であることを見いだ
した。良好な分散性を有し、摩擦帯電能が高くしかも過
剰な帯電性を示さないという特性はトナーの摩擦帯電量
分布をシャープにするので、画像の安定化にも寄与が大
きい。
【0033】上記(I)式で示される化合物の具体例を
以下に示すが、本発明を限定するものではない。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】 化合物のレーキ化は公知の方法で実施される。例えば化
合物の酢酸水溶液にレーキ化剤の水溶液を添加してレー
キ顔料を沈殿せしめる。または、化合物の酢酸水溶液に
体質顔料を懸濁させ、その後レーキ化剤の水溶液を添加
してレーキ顔料を体質顔料の表面に析出させる。上記レ
ーキ化剤としては、りんタングステンモリブデン酸、り
んタングステン酸、りんモリブデン酸の水溶性塩及び、
フェロシアン、フェリシアンのような錯陰イオンを含む
水溶性塩などがある。レーキ化剤として有機酸塩も用い
ることができるが、例えば没食子酸レーキでは、帯電特
性がさほど良好ではない。これは、有機酸レーキでは、
樹脂とレーキの相溶性が良いために、帯電特性の不良な
樹脂の性質が顕著に現れることによると思われる。
【0036】上記の顔料、すなわち本発明に用いる電荷
制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部
に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制
御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の
有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定さ
れるもので、一義的に限定されるものではないが、好ま
しくは結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量
部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で用いられ
る。また、外添する場合は、樹脂100重量部に対し
0.01〜10重量部が好ましく、特に、メカノケミカ
ル的にトナー粒子表面に固着させるのが好ましい。
【0037】また本発明で用いられる電荷制御剤は、従
来公知の電荷制御剤と組み合わせて使用することもでき
る。
【0038】また、本発明の電荷制御剤を有するトナー
に無機酸化物微粉体を添加するが、シランカップリング
剤及び/または、窒素原子を含む側鎖を有するシリコー
ンオイルで処理されたシリカ、アルミナまたは、チタニ
アの微粉体を外添するのが好ましい。
【0039】本発明者らは、感光体に対して接触する部
材があるような構成において、上記のような微粉体を用
いれば、トナー融着を防ぐことに対して非常に有効であ
ることを見いだした。
【0040】この理由は、以下のようであると思われ
る。一般に、トナー融着が発生する場合、無機酸化物微
粉体が感光体上に付着することが、きっかけとなりやす
いことが知られている。そのメカニズムは、次のようで
あると思われる。もしも無機酸化物微粉体が、トナー表
面から離れてしまっていると、無機酸化物微粉体は非常
に細かいので、クリーニング装置をすり抜けやすい。す
り抜けた無機酸化物微粉体は感光体を薄く覆うようにな
る。感光体のその部分は、削れ性、トナーの樹脂との親
和性などの性質が変化し、トナー融着を誘発する、と考
えられる。
【0041】これに対して、上記の微粉体のうち、シラ
ンカップリング剤で処理されたものは、トナーに添加し
た時にほぐれやすく、微粉体が凝集したもの、いわゆる
“ダマ”が少なくなる。よって、トナー表面から遊離し
た微粉体が少ないので、上記のメカニズムのようにトナ
ー融着を誘発することがない。ただし、シランカップリ
ング剤の種類を選び、注意深く処理を行わないと、帯電
性・疎水性において不満足なものになることがある。
【0042】また、上記の微粉体のうち、窒素原子を含
む側鎖を有するシリコーンオイルで処理されたものも、
トナー融着を防ぐ効果がある。詳細なメカニズムは不明
だが、窒素原子を含む側鎖を有するシリコーンオイルで
処理された微粉体をトナーに外添すると、トナーの転写
性が向上することが影響しているものと考えられる。ト
ナーの転写性が向上するのは、窒素原子の効果で安定し
た正帯電性が得られ転写の電界に対して忠実に挙動する
ようになることと、シリコーンオイルの粘性によって、
トナー粒子間の付着性が転写にとって適したものとなる
こととが効いていると思われる。トナーの転写性が良い
と、感光体上に残存するトナーが少なくなるのでトナー
融着が抑制される。ただし、シリコーンオイルによる処
理は、ダマができやすいので注意が必要である。
【0043】また、シランカップリング剤と、窒素原子
を含む側鎖を有するシリコーンオイルの両方で処理され
た微粉体は、トナー融着を防ぐのに最も好ましい。両者
で処理されているので、シリコーンオイルだけで処理さ
れたものに比べて、微粉体のダマが少ない。よって、ト
ナー表面から遊離した微粉体が少なくなり、トナー融着
が防止される。さらに、窒素原子を含む側鎖を有するシ
リコーンオイルで処理されているので、安定した正帯電
性とシリコーンオイルの粘性によるトナー融着の防止効
果も得られる。
【0044】処理を行う母体のシリカ微粉体には、無水
二酸化ケイ素(シリカ)の他、ケイ酸アルミニウム、ケ
イ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウ
ム、ケイ酸亜鉛等のケイ酸塩をいずれも適用できる。ま
た、乾式法、湿式法いずれの製造方法のものも使用でき
る。
【0045】また、添加するシリカ微粉体として、負荷
電性であるよりは正荷電性シリカ微粉体を用いた方が好
ましい。
【0046】本発明では正帯電性シリカ微粉体を得るた
めに、側鎖に窒素原子を少なくとも1つ以上有するオル
ガノ基を有するシリコーンオイルでの処理を利用する。
【0047】側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイル
としては一般に、(II)式で表わされる構造を持つも
のが使用できる。
【0048】
【化6】 (式中、R1 、R6 は水素、アルキル基、アリール基ま
たはアルコキシ基を表わし、R2 はアルキレン基、フェ
ニレン基を表わし、R3 は含窒素複素環をその構造に有
する化合物を表わし、R4 、R5 は水素、アルキル基、
アリール基を表わす。また、R2 はなくても良い。ただ
し上記のアルキル基、アリール基、アルキレン基、フェ
ニレン基はアミンを含有していても良いし、また、帯電
性を損ねない範囲でハロゲン等の置換基を有していても
良い。また、jは1以上の数であり、k、m、nは0を
含む正の数である。k+m+nは1以上の正の数であ
る。) 上記構造中最も好ましい構造は窒素原子を含む側鎖中の
窒素原子の数が1か2のものである。窒素を含有する複
素環としては従来多くのものが知られており、下記にそ
の一例を挙げる。
【0049】
【化7】 また窒素を含有する飽和複素環の一例を以下に挙げる。
【0050】
【化8】 本発明に用いられるシランカップリング剤は、従来公知
のものが使用できる。
【0051】例えば、ジメチルジクロルシラン、トリメ
チルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキ
サメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、
ベンジルジメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルクロルシラ
ン、ジメチルビニルクロルシラン等の負帯電性のもの
や、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメ
トキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシ
ラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、
ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチ
ルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミ
ノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピ
ルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメト
キシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラ
ン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミ
ン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン
等のものや、さらにトリメトキシシリル−γ−プロピル
ピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダ
ゾール等の含窒素複素環として前述の構造を含むものを
用いることができる。
【0052】本発明における処理剤としては側鎖に窒素
原子を有するシリコーンオイル(A)と含窒素シランカ
ップリング剤(B)の2種を用いるのが好ましい。この
2種はあらかじめ混合しておいて同時に処理しても良
く、あるいは処理剤(B)で処理し、次いで処理剤
(A)の順で処理しても良いが、処理剤(A)処理後、
処理剤(B)を処理するのは好ましくない。
【0053】先にシリコーンオイルで処理された場合
は、シリカ微粉体が凝集を起こし、処理されたシリカ粒
子が細かくなりにくいためであると思われる。シリカ粒
子が細かく、“ダマ”が少ないことが、本発明の作用効
果につながるので、最終の加熱処理がなされる以前に含
窒素シランカップリング剤と側鎖に窒素原子を有するシ
リコーンオイルとが同時にシリカ微粉体表面に均一に存
在するのが好ましい。
【0054】また、本発明に用いる無機酸化物微粉体と
して、チタニア及びアルミナの微粉体も好ましい。
【0055】一般に、シリカ微粉体では表面処理を行う
場合に、疎水性と正帯電性を両立させるため、アミノ変
性シリコーンオイルなどの処理剤を用いる必要がある。
しかし、オイル系の処理剤は、均一な処理が難しく、
“ダマ”ができたり、細かい粒子にほぐれにくかったり
する。これに対してチタニア及びアルミナの微粉体は、
シリカ微粉体のように負帯電性が強くない。このため、
オイル系の処理剤でなくとも疎水性と帯電性の両立を図
ることができる。従って、無機酸化物微粉体としてのチ
タニア及びアルミナの微粉体は、細かい粒子にほぐれや
すく、“ダマ”が少ないものが得られる。このようなチ
タニア微粉体を本発明に用いることにより、トナー融着
が防止される。上記無機酸化物微粉体のうちで、BET
法で測定した窒素吸着による比表面積が40m2 /g以
上(特に50〜400m2 /g)の範囲内のものが母体
微粉体として好ましく、処理された微粉体としては、3
0m2 /g以上(特に70〜350m2 /g)の範囲内
のものが好ましい。
【0056】これらの無機酸化物微粉体の適用量は、現
像剤重量に対して、0.01〜20%のときに効果を発
揮し、特に好ましくは0.03〜5%添加した時に優れ
た流動性と安定した帯電性を示す。添加形態について好
ましい態様を述べれば、現像剤重量に対して0.01〜
3重量%の無機酸化物微粉体がトナー粒子表面に付着し
ている状態にあるのが良い。
【0057】最終的に、無機酸化物微粉体の疎水化度が
メタノール滴定試験によって測定された疎水化度とし
て、30以上の値を示す様に疎水化された場合に、トナ
ーの摩擦帯電量がシャープで均一なる正荷電性を示す様
になるので好ましい。
【0058】無機酸化物微粉体に疎水化度を評価するた
めに本明細書において規定される“メタノール滴定試
験”は次の如く行う。供試無機酸化物微粉体0.2gを
容量250mlの三角フラスコ中の水50mlに添加す
る。メタノールをビューレットから無機酸化物微粉体の
全量が湿潤されるまで滴定する。この際、フラスコ内の
溶液はマグネチックスターラーで常時撹拌する。その終
点は無機酸化物微粉体の全量が液体中に懸濁されること
によって観察され、疎水化度は終点に達した際のメタノ
ール及び水の液状混合物中のメタノールの百分率として
表わされる。
【0059】本発明に使用される結着樹脂としては、ト
ナーの分子量分布が、THF可溶分のGPCによる分子
量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つピ
ークが存在し、分子量10万以上の領域に少なくとも1
つピークが存在し、分子量10万以下の成分が50〜9
0%となるような結着樹脂を用いる。
【0060】本発明者らは、感光体に対して接触する部
材があるような構成において、上記のような結着樹脂を
用いれば、トナー融着を防ぐことに対して非常に有効で
あることを見いだした。
【0061】この理由は、以下のようであると思われ
る。トナー融着では、トナーが熱や圧力によるストレス
を受けて変形するのであるから、熱や圧力によって変形
しにくいトナーであれば、トナー融着が起こりにくいは
ずである。しかしながら、そのようなトナーは、一般的
に定着性が悪化してしまう。この両立を図るためには、
粘弾性の温度依存性を考慮する必要がある。すなわち、
トナー融着が起こる環境では、熱は摩擦によるものが主
である。このため、その温度は定着させる時に比べて低
くなる。よって、比較的低い温度の時には、弾性が高
く、圧力に対して変形しにくいが、定着時のように温度
が高い時には、弾性が低くなるのが好ましい。結着樹脂
が上記のような分子量分布を持つものであることによ
り、粘弾性の温度依存性が好ましいものとなる。
【0062】弾性的性質は、比較的高分子量成分によっ
て支配されるが、本発明では、分子量10万以上の領域
に少なくとも1つのピークが存在する必要があり、好ま
しくは、30万〜500万の領域に少なくとも1つのピ
ークが存在するのが良い。更に好ましくは、30万〜2
00万の領域において、10万以上の領域に最大ピーク
があるのが良い。更にこのピークが、全領域において2
番目に大きなピークであることが、トナー融着と定着の
バランスを取る上で最も好ましい形態である。500万
を超える領域に高分子量成分のピークがあると、弾性が
高すぎて良好な定着性が得られない。また、10万以上
の領域にピークが存在しないと、弾性が低すぎて定着時
にオフセットが起こりやすい。
【0063】また、本発明では分子量3千〜5万の領域
に少なくとも1つピークが存在する必要があり、好まし
くは3千〜3万の領域に、更に好ましくは5千〜2万の
領域に少なくとも1つピークが存在するのが良い。さら
にこの領域のピークが最大ピークであることが、良好な
定着性及び、電荷制御剤として添加している上記顔料の
良好な分散性を得る上で最も好ましい形態である。5万
以下の領域にピークが存在しないと、粘性が不足して良
好な定着性が得られない。また、5万以下の領域であっ
てもその低分子量成分のピークが3千より小さい領域に
ある場合は、良好な顔料の分散状態が得られない。
【0064】更に、本発明は分子量10万以下の重量部
分率が50〜90%であることを特徴とし、65〜85
%であることが特に好ましい。この範囲にあることで、
良好な粘弾性温度依存性となり、良好な定着性を示すと
ともに、接触帯電装置や転写用回転体をトナーで汚染し
たとしても、帯電ムラや転写不良を起こさないようにな
る。これは、トナーが付着し汚染した時に厚みのある付
着物になりにくいためであると考えられる。
【0065】本発明に使用される結着樹脂の種類として
は、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレ
ン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の
単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、ス
チレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナ
フタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重
合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチ
レン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチ
ルエ−テル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル
共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共
重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合
体等のスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノー
ル樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイ
ン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビ
ニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレ
タン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キ
シレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、ク
マロンインデン樹脂、石油系樹脂等が使用できる。
【0066】また、架橋されたスチレン系共重合体も好
ましい結着樹脂である。
【0067】スチレン系共重合体のスチレンモノマーに
対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、
アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸
−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリ
ル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のような
二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;
例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メ
チル、マレイン酸ジメチル等のような二重結合を有する
ジカルボン酸及びその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸
ビニル、安息香酸ビニル等のようなビニルエステル類;
例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のようなエ
チレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、
ビニルヘキシルケトン等のようなビニルケトン類;例え
ば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビ
ニルイソブチルエーテル等のようなビニルエーテル類;
等のビニル単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0068】ここで架橋剤としては、主として2個以上
の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例え
ば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような
芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート、
1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二
重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニ
リン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニ
ルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル
基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いら
れる。
【0069】本発明に使用される着色剤としては、カー
ボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシ
ン化合物、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フ
タロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン
6G、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリ
ドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリ
ールメタン系化合物、モノアゾ系、ジスアゾ系染顔料等
従来公知の染顔料を単独或いは混合して使用し得る。
【0070】本発明に用いる磁性材料としては、例え
ば、マグネタイト、γ−酸化鉄、フェライト、鉄過剰型
フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのよう
な金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、
銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリ
リウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガ
ン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのよう
な金属との合金及びその混合物等が挙げられる。
【0071】これらの強磁性体は、平均粒径が0.1〜
1μm、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが望
ましく、磁性トナー中に含有させる量としては樹脂成分
100重量部に対し約40〜150重量部、特に好まし
くは樹脂成分100重量部に対し60〜120重量部で
ある。
【0072】本発明のトナーは、必要に応じて添加剤を
混合してもよい。添加剤としては、例えば、ステアリン
酸亜鉛のような滑剤、あるいは酸化セリウム、炭化ケイ
素のような研磨剤あるいは、ケーキング防止剤、あるい
は例えば、カーボンブラック、酸化スズ等の導電性付与
剤がある。
【0073】また、ポリビニリデンフルオライド微粉末
等のフッ素含有重合体微粉末も流動性、研磨性、帯電安
定性等の点から好ましい添加剤である。
【0074】また、熱ロール定着時の離型性を良くする
目的で低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレ
ン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワック
ス、サゾールワックス、パラフィンワックス等のワック
ス状物質を0.5〜5wt%程度トナーに加えることも
本発明の好ましい形態の一つである。
【0075】さらに本発明のトナーは、キャリアと混合
して二成分トナーとして用いることもできる。本発明に
使用し得るキャリアとしては、公知のものが使用可能で
あり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉の様な磁
性を有する粉体、ガラスビーズ等、及びこれらの表面を
樹脂等で処理したものが掲げられる。又、キャリア表面
を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステ
ル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合
体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステ
ル共重合体、シリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリア
ミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂など或いは、これらの混合物を用いることがで
きる。
【0076】本発明に係るトナーを製造するにあたって
は、上述したようなトナー構成材料をボールミルその他
の混合機により十分混合した後、熱ロールニーダー、エ
クストルーダーの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固
化後、機械的な粉砕、分級によってトナーを得る方法が
好ましく、他には、結着樹脂溶液中に構成材料を分散し
た後、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法;ある
いは結着樹脂を構成すべき単量体に所定の材料を混合し
て乳化懸濁液とした後に、重合させてトナーを得る重合
法トナー製造法;あるいはコア材、シェル材から成るい
わゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるい
はシェル材、あるいはこれらの両方に所定の材料を含有
させる方法;等の方法が応用できる。さらに必要に応じ
所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十
分に混合し、本発明に係るトナーを製造することができ
る。
【0077】本発明において、トナーのTHF可溶分の
GPCによる分子量分布は次の条件で測定される。
【0078】40℃のヒートチャンバー中でカラムを安
定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF
(テトラハイドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、
THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料
の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布
を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成され
た検量線(分子量の対数値とカウント数との関係)から
算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として
は、例えば東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量
が102 〜107 程度のものを用い、少なくとも10点
程度 標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なお
カラムとしては、市販のポリスチレンゲルカラムを複数
本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のsho
dex GPC KF−801,802,803,80
4,805,806,807,800Pの組み合わせ
や、東ソー社製のTSKgel G1000H
(HXL),G2000H(HXL),G3000H
(HXL),G4000H(HXL),G5000H
(HXL),G6000H(HXL),G7000H
(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせ
を挙げることができる。
【0079】また、試料は以下のようにして作製する。
【0080】試料をTHF中に入れ、数時間放置した
後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がな
くなるまで)、更に12時間以上静置する。この時TH
F中への放置時間が24時間以上となるようにし、その
後サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.
5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5 東
ソー製、エキクロディスク25CR ゲルマンサイエン
スジャパン社製などが利用できる)を通過させたもの
を、GPCの試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分
が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0081】本発明に適用可能な接触帯電手段として
は、図2に示すような帯電ローラー12が好ましい。そ
の他の手段としては、図3に示すような帯電ブレード1
2’を用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法があ
る。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になった
り、オゾンの発生が低減するといった効果がある反面、
部材が直接感光体に接触するがゆえにトナー融着という
弊害が生じやすいので、具体的な接触帯電手段として本
発明に最適である。本発明は、適用される接触帯電手段
がどんな方法で、どんな作用効果を有するかといったこ
とを限定するものではなく、部材を直接感光体に接触さ
せて帯電させる方法であればすべて本発明に適用可能で
ある。
【0082】帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセ
ス条件としては、ローラーの当接圧が5〜500g/c
mで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時に
は、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50
〜5kHz、直流電圧=−200〜−1.5kVであ
り、直流電圧を用いた時には、直流電圧=−200〜−
5kVである。
【0083】帯電ローラー及び帯電ブレードの材質とし
ては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を
もうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹
脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポ
リ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
【0084】本発明に適用可能な転写用回転体の材質と
しては、帯電ローラーと同様のものを用いることがで
き、好ましい転写のプロセス条件としては、ローラーの
当接圧が、5〜500g/cmで、直流電圧が、200
〜10kVである。
【0085】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、これは、本発明を何ら限定するものではない。
尚、以下の配合における部数は、全て重量部である。
【0086】(合成例1) スチレン 80部 n−ブチルアクリレート 20部 2,2ビス(4,4−ジ−t− 0.2部 ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン これらを、懸濁重合させて重合体Aを得た。
【0087】 スチレン 83部 ブチルアクリレート 17部 ジ−t−ブチルパーオキサイド 1.0部 これらを、キシレンを溶媒とした溶液重合をさせて重合
体Bを得た。重合体Aと重合体Bを30:70の重量比
で溶液混合して、結着樹脂1を得た。
【0088】(合成例2) スチレン 80部 n−ブチルアクリレート 20部 2,2ビス(4,4−ジ−t− 0.1部 ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン これらを、懸濁重合させて重合体Cを得た。
【0089】 スチレン 84部 ブチルアクリレート 16部 ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.8部 これらを、キシレンを溶媒とした溶液重合をさせて重合
体Dを得た。重合体Cと重合体Dを25:75の重量比
で溶液混合して、結着樹脂2を得た。
【0090】(合成例3) スチレン 80部 ブチルアクリレート 20部 ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5部 これらを、キシレンを溶媒とした溶液重合をさせて結着
樹脂3を得た。
【0091】実施例1 結着樹脂1 100部 マグネタイト 80部 低分子量ポリプロピレンワックス 3部 化合物例(1) 2部 上記材料をブレンダーでよく混合した後、150℃に設
定した2軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を
冷却し、カッターミルにて粗粉砕した後、ジェット気流
を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉体を
コアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製
エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に厳密に
分級除去して、重量平均粒径8.3μmの黒色微粉体を
得た。
【0092】一方、乾式法で合成されたシリカ微粉体
(比表面積およそ200m2 /g)100部を撹拌しな
がら温度をおよそ250℃に保持する。ヘキサメチルジ
シラザンと側鎖に一級アミンを有するシリコンオイルを
1/1で混合し処理剤とする。該シリコーンオイルは
(III)式の構造を構成単位として含有している。
【0093】
【化9】 この処理剤30部を上記シリカ微粉体に噴霧し30分間
処理した。
【0094】この処理したシリカ微粉体(比表面積16
0m2 /g)0.6部と前記黒色微粉体100部とを、
ヘンシェルミキサーで混合して正帯電性の一成分磁性ト
ナーとした。このトナーのGPC測定結果を表1に示
す。
【0095】また、図2に示すように市販の電子写真複
写機NP−2020(キヤノン(株)製)を改造した。
感光体1には、導電性ゴムからなり、電源9に接続され
た帯電ローラー12が当接配置してあって接触帯電装置
を形成し、感光体表面を一様に帯電させる。帯電ローラ
ーの当接圧は、50g/cmで、−700Vの直流電圧
に600Hz、2.6kVppの交流電圧を重畳したも
のを印加した。
【0096】感光体の回転方向に見て現像装置4の下流
側には、前記帯電ローラーと同様の導電性ゴムで形成さ
れた転写ローラー15が圧接しており、感光体表面のト
ナー像とタイミングを合わせて、転写材が搬送され、こ
の時転写ローラーには電源9から転写バイアスが印加さ
れて、トナー像が感光体から転写材に転移する。転写ロ
ーラーの当接圧は、20g/cmで−4.5kVの直流
電圧を印加した。
【0097】上記のNP−2020改造機にて、上記の
磁性トナーについて30,000枚の複写テストを実施
した。その結果、初期から画像濃度1.35でカブリの
ない鮮明な画像が得られた。30,000枚複写後の画
像も濃度1.38の鮮明なものであり、トナー融着によ
る画像欠陥も見られなかった。
【0098】実施例2 結着樹脂2 100部 マグネタイト 80部 低分子量ポリプロピレンワックス 3部 化合物例(2) 2部 上記材料より、実施例1と同様にして重量平均粒径8.
7μmの黒色微粉体を得た。
【0099】一方、乾式法で合成されたシリカ微粉体
(比表面積およそ200m2 /g)100部を撹拌しな
がら温度をおよそ250℃に保持する。ジブチルアミノ
プロピルトリメトキシシランと実施例1と同じ側鎖に一
級アミンを有するシリコンオイルを2/1で混合し処理
剤とする。この処理剤30部を上記シリカ微粉体に噴霧
し30分間処理した。
【0100】この処理シリカ微粉体0.6部を実施例1
と同様にして混合して1成分磁性トナーとした。このト
ナーのGPCの測定結果を表1に示す。
【0101】実施例1と同じNP−2020改造機に
て、上記の磁性トナーについて30,000枚の複写テ
ストを実施した。その結果、初期から画像濃度1.41
でカブリのない鮮明な画像が得られた。30,000枚
複写後の画像も濃度1.40の鮮明なものであり、トナ
ー融着による画像欠陥も見られなかった。
【0102】比較例1 結着樹脂1 100部 マグネタイト 75部 低分子量ポリプロピレンワックス 3部 4級アンモニウム塩 5部 上記材料より、実施例1と同様にして重量平均粒径8.
8μmの黒色微粉体を得た。該4級アンモニウム塩は下
記(IV)式の構造のものである。
【0103】
【化10】 この黒色微粉体と実施例1と同じ処理シリカ微粉体0.
6部を実施例1と同様にして混合して1成分磁性トナー
とした。このトナーのGPCの測定結果を表1に示す。
【0104】実施例1と同じNP−2020改造機に
て、上記の磁性トナーについて、複写テストを実施し
た。その結果、初期においては画像濃度1.31でカブ
リのない鮮明な画像が得られたが、10,000枚複写
後から、数ミリ程度のトナー融着による画像欠陥が見ら
れるようになった。その後複写を続けるに従って画像欠
陥がひどくなったので、テストを中止した。
【0105】比較例2 実施例1において、結着樹脂1を結着樹脂3に変えた以
外は同様にして1成分磁性トナーを得た。このトナーの
GPCの測定結果を表1に示す。
【0106】このトナーについて、実施例1と同様に複
写テストを実施した。その結果、初期においては画像濃
度1.39でカブリのない鮮明な画像が得られたが、
7,000枚複写後から、数ミリ程度のトナー融着によ
る画像欠陥が2、3点見られるようになった。その後複
写を続けるに従って画像欠陥がひどくなったので、テス
トを中止した。
【0107】実施例3 実施例1において、化合物例(1)を化合物例(3)に
変えた以外は同様にして1成分磁性トナーを得た。
【0108】このトナーについて、実施例1と同様に2
0,000枚の複写テストを実施した。その結果、初期
から画像濃度1.32でカブリのない鮮明な画像が得ら
れた。20,000枚複写後の画像も濃度1.33の鮮
明なものであり、トナー融着による画像欠陥も見られな
かった。
【0109】実施例4 実施例1において、化合物例(1)を化合物例(4)に
変えた以外は同様にして1成分磁性トナーを得た。
【0110】このトナーについて、実施例1と同様に2
0,000枚の複写テストを実施した。その結果、初期
から画像濃度1.36でカブリのない鮮明な画像が得ら
れた。20,000枚複写後の画像も濃度1.31の鮮
明なものであり、トナー融着による画像欠陥も見られな
かった。
【0111】実施例5 実施例1において、シリカ微粉体の処理剤を側鎖に1級
アミンを有するシリコンオイル30部だけに変えた以外
は同様にして1成分磁性トナーを得た。
【0112】このトナーについて、実施例1と同様に2
0,000の複写テストを実施した。その結果、初期か
ら画像濃度1.40でカブリのない鮮明な画像が得られ
た。20,000枚複写後の画像も濃度1.38の鮮明
なものであり、トナー融着による画像欠陥も見られなか
った。
【0113】実施例6 実施例1において、シリカ微粉体を酸化チタン100部
に対してヘキシルトリメトキシシラン25部処理したも
の(疎水化度60、比表面積90m2 /g)1.0部に
変えた以外は同様にして1成分磁性トナーを得た。
【0114】このトナーについて、実施例1と同様に3
0,000枚の複写テストを実施した。その結果、初期
から画像濃度1.32でカブリのない鮮明な画像が得ら
れた。30,000枚複写後の画像も濃度1.37の鮮
明なものであり、トナー融着による画像欠陥も見られな
かった。
【0115】実施例7 実施例1において、シリカ微粉体の処理剤をジブチルア
ミノプロピルトリメトキシシラン20部だけに変えた以
外は同様にして1成分磁性トナーを得た。
【0116】このトナーについて、実施例1と同様に2
5,000枚の複写テストを実施した。その結果、初期
から画像濃度1.41でカブリのない鮮明な画像が得ら
れた。25,000枚複写後の画像も濃度1.38の鮮
明なものであり、トナー融着による画像欠陥も見られな
かった。
【0117】実施例8 結着樹脂1 100部 カーボンブラック 5部 低分子量ポリプロピレンワックス 4部 化合物例(1) 2部 上記材料を用いて、実施例1と同様にして重量平均径
9.0μmの樹脂微粉体を得た。得られた樹脂微粉体1
00部に、実施例1で用いたシリカ微粉体0.6部を混
合しトナーを得た。
【0118】次いで、平均粒径55μmのアクリルコー
トフェライトキャリア94部と得られたトナー6部を混
合して現像剤とした。
【0119】この現像剤について、実施例1で用いたN
P−2020改造機にて、2成分用の現像器を用いて3
0,000枚の複写テストを実施した。その結果、初期
から画像濃度1.38でカブリのない鮮明な画像が得ら
れた。30,000枚複写後の画像も濃度1.42で鮮
明なものであり、トナー融着による画像欠陥も見られな
かった。
【0120】
【表1】
【0121】
【発明の効果】以上のように本発明では、上記一般式
(I)で表わされる化合物を電荷制御剤として含有する
ことにより、シャープで適度な帯電性を示すようになる
ので感光体へのトナー融着が抑制される。さらに、結着
樹脂として良好な粘弾性温度依存性となるものを用いる
ので、トナー融着の防止と良好な定着性との両立が達成
される。また、シランカップリング剤及び/または、窒
素原子を含む側鎖を有するシリコーンオイルで処理され
たシリカ、アルミナ、またはチタニアの微粉体を用いる
ことにより、トナー融着のきっかけを作ることがない。
【0122】このようにそれぞれがトナー融着を防ぐ働
きをするが、本発明ではそれぞれの効果を合わせたとし
て予想されるものよりも、さらに大きな効果が発揮さ
れ、接触帯電、転写用回転体に対して非常に適した構成
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な電子写真装置の概略構成図である。
【図2】接触帯電手段として帯電ローラーを有する電子
写真装置の概略構成図である。
【図3】接触帯電手段として帯電ブレードを有する電子
写真装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 潜像保持体(感光体) 4 現像装置 12,12’ 帯電手段 15 転写ローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷川 博英 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−60552(JP,A) 特開 平3−54575(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 9/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされる化合物あ
    るいはそれをレーキ化した化合物、および結着樹脂を少
    なくとも含有する樹脂粒子と、無機酸化物微粉体とを少
    なくとも含有するトナーにおいて、(a)該トナーは、
    潜像保持体表面に当接する接触帯電手段及び/または潜
    像保持体表面に当接する転写用回転体をそなえた画像形
    成方法に用いるトナーであって、(b)該トナーのTH
    F可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラ
    フィー)による分子量分布で、分子量3千〜5万の領域
    に少なくとも1つピークが存在し、分子量10万以上の
    領域に少なくとも1つピークが存在し、分子量10万以
    下の成分が50〜90%である、ことを特徴とするトナ
    ー。 【化1】 [式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 は、各々
    互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もし
    くは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換の
    アリール基を表わす。R7 、R8 、R9 は、各々互いに
    同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、
    アルキル基、アルコキシ基を表わす。A-は、硫酸イオ
    ン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イ
    オン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機り
    ん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン、テ
    トラフルオロボレートなどの陰イオンを示す。]
  2. 【請求項2】 前記無機酸化物微粉体が、シランカップ
    リング剤及び/または窒素原子を含む側鎖を有するシリ
    コーンオイルで処理されたシリカ、アルミナまたはチタ
    ニアの微粉体であることを特徴とする請求項1に記載の
    トナー。
  3. 【請求項3】 潜像保持体表面に当接する接触帯電手段
    及び/または潜像保持体表面に当接する転写用回転体を
    そなえた画像形成方法であって、(a)下記一般式
    (I)で表わされる化合物あるいはそれをレーキ化した
    化合物、および結着樹脂を少なくとも含有する樹脂粒子
    と、無機酸化物微粉体とを少なくとも含有し、かつ、
    (b)THF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションク
    ロマトグラフィー)による分子量分布で、分子量3千〜
    5万の領域に少なくとも1つピークが存在し、分子量1
    0万以上の領域に少なくとも1つピークが存在し、分子
    量10万以下の成分が50〜90%である、トナーを用
    いて該潜像保持体表面に保持されている静電潜像を現像
    することを特徴とする画像形成方法。 【化2】 [式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 は、各々
    互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もし
    くは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換の
    アリール基を表わす。R7 、R8 、R9 は、各々互いに
    同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、
    アルキル基、アルコキシ基を表わす。A-は、硫酸イオ
    ン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イ
    オン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機り
    ん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン、テ
    トラフルオロボレートなどの陰イオンを示す。]
  4. 【請求項4】 前記無機酸化物微粉体が、シランカップ
    リング剤及び/または窒素原子を含む側鎖を有するシリ
    コーンオイルで処理されたシリカ、アルミナまたはチタ
    ニアの微粉体であることを特徴とする請求項3に記載の
    画像形成方法。
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